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特開2024-36191部品管理システム、部品管理方法、及び、部品管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036191
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】部品管理システム、部品管理方法、及び、部品管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
G01H17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140970
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大隈 滋
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政智
(72)【発明者】
【氏名】上林 正和
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA11
2G064AB02
2G064AB16
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】機器の構成部品の変更履歴を管理する。
【解決手段】部品管理システムは、機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信することにより、構成部品の監視データを取得する。監視データは、基準データと比較されることにより、構成部品の交換履歴が評価される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部と、
前記第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得するための監視データ取得部と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する基準データ取得部と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価するための交換履歴評価部と、
を備える、部品管理システム。
【請求項2】
前記交換履歴に基づいて、前記機器の性能劣化リスクを評価するための性能劣化リスク評価部を更に備える、請求項1に記載の部品管理システム。
【請求項3】
前記監視データ取得部は、前記第1通信部が前記パーツセンサとの通信範囲に入った場合に、前記パーツセンサから前記監視データを自動的に取得する、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項4】
前記機器のケーシング外に取り付けられ、前記第1通信部と通信可能な第2通信部と、
前記ケーシング内に設けられた前記パーツセンサを前記第2通信部に接続する通信ケーブルと、
を備える、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項5】
前記パーツセンサは、前記第1通信部から前記第2通信部が受信した要求信号に応じて前記監視データを発信し、
前記第2通信部は、前記パーツセンサから前記通信ケーブルを介して受信した前記監視データを前記第1通信部に発信する、請求項4に記載の部品管理システム。
【請求項6】
前記パーツセンサは、前記監視データとして前記構成部品の識別情報を発信可能なRFIDタグである、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項7】
前記パーツセンサは、前記構成部品と、前記構成部品に外部からアクセスする際に移動が必要な周辺部品とにわたって設けられた閉ループ電線である、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項8】
前記パーツセンサは、前記構成部品と、前記構成部品が接触する周辺部品との接触部に設けられたUTセンサである、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項9】
前記周辺部品と前記パーツセンサとの間に設けられた音響結合材を更に備える、請求項8に記載の部品管理システム。
【請求項10】
前記交換履歴評価部の評価結果に基づいて、アラームを報知するための報知部を更に備える、請求項1又は2に記載の部品管理システム。
【請求項11】
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を備える、部品管理方法。
【請求項12】
コンピュータ装置に、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を実行可能である、部品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品管理システム、部品管理方法、及び、部品管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばタービンや船舶のような機器は、その性能を維持するために、所定のタイミングで、消耗した構成部品の交換等のメンテナンスを実施する必要がある。例えば特許文献1には、ガスタービンの高温部品の点検補修に関して適切な補修措置方針を提示可能な点検補修支援装置について開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-174891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンテナンスにおける構成部品の交換作業は、最良には、機器の生産者の管理下で、生産者が推奨する正規品(オリジナル部品と同一の部品や正規の交換用部品等)が用いられることが望ましい。その一方で、市場には正規品に比べて安価な非正規品のような代替品が流通することがある。メンテナンスに関するコストを削減したいと考える一部のユーザは、自らの裁量で、構成部品をこのような安価な代替品に交換することがある。この場合、メンテナンス後の機器は、代替品が用いられることによる性能低下や不具合が発生するおそれがある。そのため、機器の生産者側では、ユーザが使用している機器の構成部品に、適切に正規品が用いられているか否かは、製品管理上、重要な問題となる。しかしながら、ユーザに出回っている各機器において、構成部品として正規品が適切に用いられているか否かを管理する手段がなかった。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、機器の構成部品の変更履歴を管理可能な部品管理システム、部品管理方法、及び、部品管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る部品管理システムは、上記課題を解決するために、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部と、
前記第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得するための監視データ取得部と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する基準データ取得部と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価するための交換履歴評価部と、
を備える。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る部品管理方法は、上記課題を解決するために、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る部品管理プログラムは、上記課題を解決するために、
コンピュータ装置に、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記監視データに対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を実行可能である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、機器の構成部品の変更履歴を管理可能な部品管理システム、部品管理方法、及び、部品管理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る部品管理システムの全体構成図である。
図2図1の機能的構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る部品管理方法を示すフローチャートである。
図4】部品管理システムの一適用例を示す模式図である。
図5】部品管理システムの他の適用例を示す模式図である。
図6】部品管理システムの他の適用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
図1は一実施形態に係る部品管理システム1の全体構成図であり、図2図1の機能的構成を示すブロック図である。
【0013】
本開示の少なくとも一実施形態に係る部品管理システム1は、組立型製品である機器2に組み込まれた特定の構成部品4を管理対象とする。構成部品4は、例えば消耗品であり、機器2の性能を維持するために所定のタイミングで実施されるメンテナンスにおいて交換対象となる部品である。本実施形態では、構成部品4はケーシング5の内部に収容されているが、ケーシング5外に露出していてもよい。
【0014】
構成部品4にはパーツセンサ6が取り付けられる。パーツセンサ6は、監視データDsを出力可能なデバイスであり、自発的に監視データDsを出力するように構成されてもよいし、外部からの要求に応じて監視データDsを出力されるように構成されてもよい。監視データDsは、機器2における構成部品4の交換履歴に関連する情報を含む。監視データDsの態様は後述するように様々あり得るが、例えば、監視データDsは、構成部品4を識別するための識別情報であってもよいし、構成部品4が交換される際に構成部品4の周辺部品3(例えば構成部品4の交換時に作業者が構成部品4にアクセスするために脱着や開閉が必要となる他の構成部品)が取り外されたか否かを判別するための情報であってもよい。
【0015】
部品管理システム1は、パーツセンサ6からの監視データを用いて、機器2の構成部品4を管理するためのシステムである。本実施形態では、部品管理システム1の一態様として、パーツセンサ6と無線通信ネットワーク8を介して通信可能なポータブル端末10として構成される。
【0016】
ポータブル端末10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。尚、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0017】
ポータブル端末10は、機器2のメンテナンスを実施する作業員が所持する端末であって、図2に示すように、第1通信部12と、監視データ取得部14と、基準データ取得部16と、交換履歴評価部18と、性能劣化リスク評価部20と、報知部22とを備える。
【0018】
尚、ポータブル端末10は、メンテナンスを実施する作業員にとって有用な機能(例えば、メンテナンスに関する手順書の表示、メンテナンスの実施記録の入出力など)を有することで、部品管理以外の用途と兼用可能に構成されていてもよい。
【0019】
また図2においてポータブル端末10が有する各ブロックの少なくとも一部は、ポータブル端末10と通信可能なサーバ機器として構成されてもよい。この場合、ポータブル端末10の構成の一部をサーバ機器で実施することで、ポータブル端末10の処理負担を軽減したり、サーバ機器においてより高度な演算処理を行うことができる。また部品管理システム1の演算結果をサーバ機器で取り扱うことが可能となり、ポータブル端末10を所持する作業者以外の第三者が演算結果に基づいて様々な判断を行うことも可能となる。
【0020】
第1通信部12は、機器の構成部品に取り付けられたパーツセンサ6と通信することで各種情報を送受信するための構成である。第1通信部12は無線通信ネットワークを介してパーツセンサ6と通信可能であり、パーツセンサ6から出力される監視データDsを受信する。またパーツセンサ6が要求に応じて監視データDsを出力する仕様である場合には、パーツセンサ6に対する要求信号を送信することも可能である。
【0021】
監視データ取得部14は、第1通信部12を介して監視データDsを取得するための構成である。第1通信部12で受信された監視データDsは、監視データ取得部14によって取得されることで、部品管理に関する各種演算に使用可能である。また監視データ取得部14は、第1通信部12から取得した監視データDsメモリ等の記憶装置(不図示)に記憶し、記憶装置から監視データDsを読み出すことで取得してもよい。
【0022】
基準データ取得部16は、基準データDrefを取得するための構成である。基準データDrefは、構成部品4の交換履歴を評価するために監視データDsと比較する際に基準となる参照データである。監視データDsが、構成部品4を識別するための識別情報である場合には、基準データDrefとして、機器2に使用されているべき部品(例えば生産時等の初期状態に用いられたオリジナル部品のような正規部品)に関する情報が用いられ、監視データDsと比較されることにより構成部品4として適切な部品が用いられているか否かを判別可能である。また監視データDsが、構成部品4が交換される際に構成部品4の周辺部品3が取り外されたか否かを判別するための情報である場合には、基準データDrefは、当該情報を判定するための閾値であってもよい。
【0023】
交換履歴評価部18は、監視データDsを基準データDrefと比較することにより、構成部品4の交換履歴Rを評価するための構成である。交換履歴評価部18の評価結果には、構成部品4の交換履歴に関する情報が含まれ、例えば、過去に構成部品4が正規品から交換された事実や、構成部品4にアクセスするために周辺部品3が移動された痕跡が含まれる。
【0024】
性能劣化リスク評価部20は、交換履歴評価部18によって評価された交換履歴Rに基づいて、更に機器2の性能劣化リスクLを評価するための構成である。機器が備える構成部品4が適切である場合、機器2は正常に機能することで性能劣化リスクLは少ないが、例えば、構成部品4が非正規品や安価な代替品に交換されていた場合には、機器2は本来の性能を発揮できず、劣化進行が早まる等の性能劣化が生じる可能性がある。性能劣化リスクLは、このような可能性が生じるリスクを定量的に評価するための指標として求められる。
【0025】
報知部22は、交換履歴評価部18の評価結果に基づいて、アラームを報知するための構成である。これにより、例えば、交換履歴Rに基づいて、構成部品4が非正規品に交換されていたり、構成部品4が交換された可能性を示す痕跡がある等の評価が認められた場合には、アラームを報知することによって作業員に迅速に認識させることができる。
【0026】
続いて上記構成を有する部品管理システム1によって実施される部品管理方法について説明する。図3は一実施形態に係る部品管理方法を示すフローチャートである。
【0027】
まずポータブル端末10が起動される(ステップS1)。ポータブル端末10が起動されると、不図示の電源から供給される電力によって、ポータブル端末10を構成する各ブロックが機能可能な状態となる。
【0028】
続いて監視データ取得部14は、監視データDsを取得する(ステップS2)。ステップS2では、監視データDsは、ポータブル端末10が備える第1通信部12を介して取得される。第1通信部12は、機器2に組み込まれた構成部品4に取り付けられたパーツセンサ6が通信範囲に入った場合に監視データDsを受信可能である。第1通信部12による監視データDsの受信は、パーツセンサ6が第1通信部12の受信範囲に入った場合に自動的に行われてもよいし、パーツセンサ6が第1通信部12の受信範囲に入った場合に第1通信部12からパーツセンサ6に対して要求信号を送信するレスポンスとして行われてもよい。
【0029】
続いて基準データ取得部16は、基準データDrefを取得する(ステップS3)。基準データDrefは、メモリ等の記憶装置(不図示)に予め読み出し可能に記憶される。このような基準データDrefは、例えば、オリジナル部品である正規品に対応する識別情報であってもよいし、出荷前の機器2を用いた試験によって取得されたサンプルデータであってもよい。後者の場合、基準データDrefに含まれるサンプルデータには、例えば、振動や音響に関する各種データを用いることができる。
【0030】
続いて交換履歴評価部18は、ステップS2で取得した監視データDsと、ステップS3で取得した基準データDrefとを比較することにより、構成部品4の交換履歴Rを評価する(ステップS4)。ステップS4では、例えば、監視データDsと基準データDrefとが一致するか否かを判定することにより、監視データDsから特定される構成部品4が、基準データDrefに対応する正規品であるか否かを照合することにより交換履歴Rを評価してもよい。またステップS4では、監視データDsと基準データDrefとの大小関係を判定することにより、構成部品4に対するアクセスがあることで構成部品4が正規品から交換された可能性があるか否かを判定し、その判定結果から交換履歴Rを評価してもよい。
尚、ステップS4で評価された交換履歴Rに基づいて、構成部品4として非正規品が用いられていることが判明したり、構成部品4が交換された痕跡が発見された場合には、報知部22によってアラームを報知することで、その旨をポータブル端末10を所持する作業員に認識させてもよい。
【0031】
続いて性能劣化リスク評価部20は、ステップS5で評価された交換履歴Rに基づいて性能劣化リスクLを評価する(ステップS6)。ステップS6では、交換履歴Rから機器2に組み込まれた構成部品4が適切であるか否かに基づいて性能劣化リスクLが評価される。性能劣化リスクLは、例えば、構成部品4として、機器2が正常に機能できる部品(例えば正規品)が用いられている場合には低く評価される。一方、機器2が正常に機能できないおそれがあったり、機器2の製品寿命が短くなるおそれがある部品(例えば模倣品のような非正規品)が用いられている場合には、性能劣化リスクLは高く評価される。
【0032】
尚、ステップS4で評価される交換履歴Rに基づいて、構成部品4が非正規品に交換された可能性が疑われる場合には、ポータブル端末10は、実際の機器2を作業員に確認するように促すための出力(アラームや表示)を行ってもよい。そして作業員が実際の機器2を確認することが可能である場合、その確認結果を実績データとして部品管理システム1に提供してもよい。この場合、部品管理システム1では、このように提供された実績データを考慮して、ステップS4における交換履歴Rの評価や、ステップS5における性能劣化リスクの評価に活用してもよい。
【0033】
またステップS5で評価された性能劣化リスクLは、機器2を使用するユーザに対して今後のメンテナンスを提案する際の情報として活用してもよい。例えば、ステップS4で評価された交換履歴Rから構成部品4として模倣品等の非正規品が代替的に用いられていることが判明した場合、ステップS5では性能劣化リスクLが高く評価される。そのため、高い性能劣化リスクLを下げるために、構成部品4を非正規品から正規品に交換するためのメンテナンスを促すことができる。
【0034】
尚、ステップS2で取得した監視データDs、ステップS4で評価された交換履歴R、又は、ステップS5で評価された性能劣化リスクLの少なくとも一つは、不図示の記憶装置に適宜に蓄積されてもよい。この場合、記憶装置に蓄積された各データは、例えば、機器2のユーザや機種別に閲覧可能とすることで、ユーザや機種ごとに構成部品4の状況を管理するようにしてもよい。
【0035】
続いて上記の部品管理システム1及び部品管理方法を適用した具体的な実施例について幾つか説明する。
【0036】
幾つかの実施形態では、パーツセンサ6として、RFIDタグが用いられてもよい。RFIDタグは、構成部品4に対して取り付けられ(例えば内蔵され)、監視データDsとして、構成部品4の識別情報を無線信号として発信可能である。第1通信部12は、その通信範囲にパーツセンサ6であるRFIDタグが入った場合に、RFIDタグから発信される識別情報を監視データDsとして取得する。
【0037】
この実施形態では、交換履歴評価部18は、監視データDsとして、パーツセンサ6であるRFIDタグから発信された識別情報を取得し、基準データDrefと比較することにより、構成部品4の交換履歴を評価する。この場合、基準データDrefは、予め設定された好適な部品に関する識別情報である。
【0038】
そして交換履歴評価部18は、監視データDsを基準データDrefと照合することにより、機器2に組み込まれている構成部品4の交換履歴Rを評価する。例えば、監視データDsである識別情報と、基準データDrefとが一致する場合には、構成部品4として正規品が使用されているため、構成部品4の交換が行われていないと交換履歴Rが評価される。一方、監視データDsである識別情報と、基準データDrefとが一致しない場合には、構成部品4として正規品以外が使用されているため、過去に構成部品4の交換が行われていると交換履歴Rが評価される。
【0039】
このように本実施形態によれば、パーツセンサ6としてRFIDタグを用いることで、機器2の内部に組み込まれた構成部品4の識別情報を、監視データDsとして取得可能となる。これにより、機器2を分解することなく、外部に取得した監視データDsに基づいて内部に組み込まれた構成部品4を識別し、構成部品4の交換履歴Rを評価することができる。
【0040】
続いて図4は部品管理システム1の一適用例を示す模式図である。この実施形態では、ケーシング5が金属材料で形成されるため、電磁遮蔽効果によって、ケーシング5の内外の無線通信が困難である。そのため、仮に図1のように構成部品4とともに無線通信可能なパーツセンサ6がケーシング5の内側に配置されると、第1通信部12とパーツセンサ6との間での通信が困難となり、監視データDsの取得ができないという課題がある。
【0041】
これに対して図4に示す実施形態では、ケーシング5外に第1通信部12と通信可能な第2通信部13を設けるとともに、パーツセンサ6と第2通信部13との間を有線の通信ケーブル15を介して接続する。通信ケーブル15は、例えば銅線等を含んで構成され、ケーシング5に設けられた開口(不図示)を介して取りまわされることにより、ケーシング5外にある第2通信部13と、ケーシング5内にあるパーツセンサ6とを接続する。
尚、パーツセンサ6は、コネクタ9を介して、構成部品4に対して取り付けられることにより、構成部品4に対して容易に脱着できるようになっている。
【0042】
本実施形態では、ステップS2において監視データDsを取得する場合に、例えば、以下のような処理が可能である。まず作業員がポータブル端末10を操作することにより第1通信部12から監視データDsの要求信号を送信する。第1通信部12から送信された要求信号は、無線通信ネットワーク8を介して、第2通信部13で受信される。第2通信部13で受信された要求信号は、通信ケーブル15を介してパーツセンサ6に送信される。パーツセンサ6は要求信号を受信すると、要求信号に対応する監視データDsを発信する。パーツセンサ6から発信された監視データDsは、通信ケーブル15を介して第2通信部13によって受信される。第2通信部13で受信された監視データDsは、無線通信ネットワーク8を介して、第1通信部12に送信される。そして第1通信部12で受信された監視データDsは、監視データ取得部14によって取得される。
【0043】
本実施形態では、監視データDsは、例えば、構成部品4を識別するための識別用信号である。識別用信号である監視データDsは、ステップS4において基準データDrefと比較されることにより、交換履歴評価部18は、機器2に組み込まれている構成部品4が、基準データDrefに対応するオリジナル部品のような正規品であるか否かを判別して、交換履歴Rを評価することができる。
【0044】
このように、構成部品4とともにパーツセンサ6がケーシング5内に収容されている場合であっても、第1通信部12は、第2通信部13及び通信ケーブル15を介してパーツセンサ6と通信することで、好適に監視データDsの取得が可能となる。
【0045】
図5は部品管理システム1の他の適用例を示す模式図である。この実施形態では、構成部品4に取り付けられるパーツセンサ6は、構成部品4と、構成部品4に外部からアクセスする際に移動が必要な周辺部品3とにわたって設けられた閉ループ電線(例えば耐熱性を有する極細のMIケーブルや光ファイバ等)として構成される。図5では、パーツセンサ6が取り付けられた構成部品4がケーシング5内に収容されるように配置されており、構成部品4を交換するためには、周辺部品3を移動させて、構成部品4に対して外部からアクセス可能なように開放する必要がある。閉ループ電線であるパーツセンサ6は、このような構成部品4と周辺部品3との間にわたって設けられることにより、構成部品4を交換しようと周辺部品3が移動された際に変形や断線する。
【0046】
この場合、監視データ取得部14は、監視データDsとして、閉ループ電線の通電状態に対応する信号を取得する。具体的には、周辺部品3が移動された痕跡がない場合には閉ループ電線は断線していないため、通電状態に対応する第1電圧信号が得られる。一方、周辺部品3が移動された痕跡がある場合には閉ループ電線は断線することにより、断線状態に対応する第2電圧信号が得られる。
【0047】
通電状態に対応する第1電圧信号は、断線状態に対応する第2電圧信号に比べて電圧値が小さい。そのため、交換履歴評価部18は、監視データDsとして取得した電圧信号(第1電圧信号又は第2電圧信号)が、基準データDrefとして取得された閾値より大きいか否かに基づいて、交換履歴Rを評価する。この場合、基準データDrefである閾値は、第1電圧信号と第2電圧信号との中間電圧値として設定されることで、監視データDsとして取得された電圧信号が、第1電圧信号又は第2電圧信号のいずれであるかを判定することで、交換履歴Rが評価される。具体的には、監視データDsが第1電圧信号に対応すると判定された場合には、パーツセンサ6である閉ループ電線が通電状態にあり、周辺部品3が移動された痕跡がなく、構成部品4が交換されていないと判断する。一方、監視データDsが第2電圧信号に対応すると判定された場合には、パーツセンサ6である閉ループ電線が断線状態にあり、周辺部品3が移動された痕跡があり、構成部品4が交換された可能性があると判断する。
【0048】
このように本実施形態によれば、パーツセンサ6として閉ループ電線が、パーツセンサ6が取り付けられた構成部品4と、その周辺部品3にわたって設けられる。これにより、構成部品4を交換するために機器2を分解・開放した場合には、周辺部品3が移動することによって閉ループ電線が断線するため、閉ループ電線の通電状態を監視データDsとして取得することにより、機器2における構成部品4の交換履歴Rを好適に評価できる。
【0049】
図6は部品管理システム1の他の適用例を示す模式図である。この実施形態では、構成部品4に取り付けられるパーツセンサ6は、構成部品4と、構成部品4が接触する周辺部品3との接触部11に設けられたUTセンサである。接触部11では、構成部品4と周辺部品3とが互いに接触するが、これらの接触状態は、構成部品4に対して周辺部品3が相対的に移動すると変化する。これにより、構成部品4を交換するために周辺部品3を移動させることで接触状態が変化すると、パーツセンサ6であるUTセンサの検出値もまた変化する。
【0050】
本実施形態では、交換履歴評価部18は、UTセンサであるパーツセンサ6から監視データDsとして当該接触状態に対応する音響反射特性を取得し、基準となる接触状態に対応する音響反射特性である基準データDrefと比較することで、交換履歴Rを評価できる。例えば、監視データDsとして取得された音響反射特性が基準データDrefと同じである場合には、周辺部品3が移動された痕跡がなく、構成部品4が交換されていないと判断する。一方、監視データDsとして取得された音響反射特性が基準データDrefと異なる場合(又は監視データDsとして基準データDrefと同じ信号が所定期間得られなかった場合)には、周辺部品3が移動された痕跡があり、構成部品4が交換された可能性があると判断する。
【0051】
尚、この実施形態では、基準データDrefは、例えば、構成部品4として正規品が取り付けられている状態の機器2を用いて予め試験等によって音響反射特性を把握することで、構成部品4が非正規品に交換されたことを区別するためのクライテリアとして把握される。
【0052】
また図6に示すように、接触部11には、音響結合材17が設けられていてもよい。音響結合材17は、例えば、耐熱性のゴムやゲル等であり、接触部11において構成部品4と周辺部品3との間に介在するように設けられる。接触部11に設けられた音響結合材17は、構成部品4と周辺部品3との接触状態が変化すると、その性質が不可逆的に変化する。これにより、パーツセンサ6であるUTセンサの検出信号を監視データDsとして取り扱う場合、接触部11に音響結合材17を設けることで、機器2が分解・開放される際に周辺部品3が移動することによる接触状態の変化をより感度よく検出することができ、構成部品4の交換履歴Rをより好適に評価できる。
【0053】
尚、音響結合材17は、接触部11のうち周辺部品3側に取り付けられていてもよい。この場合、構成部品4が交換された後に再度組立を行った際に、以前の状態が復旧しない構成とすることができる(他の構成としては、構成部品4を周辺部品3に対して接着剤のようなもので固定し、一度、構成部品4を取り外すと復旧できない構成としてもよい)。これにより、UTセンサであるパーツセンサ6から取得された監視データDsに基づいて、構成部品4の交換履歴Rを好適に評価できる。
【0054】
このように本実施形態によれば、パーツセンサ6であるUTセンサの検知信号を監視データDsとして取得することにより、機器2における構成部品4の交換履歴Rを好適に評価できる。
【0055】
尚、パーツセンサ6としてUTセンサを用いる場合、構成部品4側に耐熱性に優れた圧電素子を直接成膜しておくことで、構成部品4が周辺部品に取り付けられている間は、監視データDsとして圧電素子からの信号が得られるが、構成部品4が周辺部品から取り外されると、センサ結線部が容易に断線することによって信号が消失する。このような構成においても、UTセンサであるパーツセンサ6から取得した監視データDsに基づいて構成部品4の交換履歴Rを評価することもできる。
【0056】
尚、上記実施形態では、パーツセンサ6が交換履歴Rの評価対象である構成部品4に取り付けられている場合について述べたが、パーツセンサ6は、構成部品4を内部に収容するために機器2が備えるケーシング5に取り付けられてもよい。この場合、ケーシング5の内部に収容された構成部品4を交換するためにケーシング5が解体された際には、ケーシング5の解体履歴に基づいて構成部品4の交換履歴Rを評価できる。
【0057】
尚、機器2のユーザが構成部品4を交換しようとする場合に、警告を報知する手段を備えてもよい。例えば、構成部品4が機器2から取り外されたり、或いは、構成部品4として非正規品が取り付けられた場合に、警告が報知されるアラーム機構が設けられてもよい。このような手段は、前述の構成部品4の交換履歴の評価に用いられるものではないが、機器2のユーザに対して機器2に組み込まれた構成部品4を非正規品に交換しないように促すモチベーションとなり得る。
尚、上記のアラーム機構では、正規品が取り付けられた場合や、所定の解除用コードが入力された場合にアラームが停止するように、アラームの停止手段を備えてもよい。
【0058】
また機器2は、例えば船舶等の移動体であってもよい。この場合、部品管理システム1は、前述のポータブル端末10に代えて、船舶が入港する拠点に固定的に設置されていてもよい。この場合、船舶が拠点に入港することで、固定的に設置された第1通信部12の通信範囲に船舶に組み込まれた構成部品4が入ることで、構成部品4に取り付けられたパーツセンサ6から監視データDsが取得される。このように取得された監視データDsを前述のように処理することで、船舶である機器2に組み込まれている管理対象の構成部品4について交換履歴Rを評価できる。
【0059】
また部品管理システム1は、ポータブル端末10に代えて、ドローンのような飛行体を用いてもよい。この場合、管理対象の構成部品4を組み込んだ機器2に対して飛行体をアプローチさせることで、構成部品4からの監視データDsを取得する。この場合、ドローンで取得した監視データDsを前述のように処理することで、遠方にある機器2に組み込まれている管理対象の構成部品4について交換履歴Rの評価を行うことができる。
【0060】
また管理対象である構成部品4を機器2に組み込む際に機器2の分解が必要となる場合、ユーザによる機器2の分解履歴を後発的に検知するための構成が採用されてもよい。このような構成として、例えば、機器2が分解される際に何らかの操作が行われる箇所に、アイマークや割印のようなマーキングを設けてもよいし、フタのような解放される部位の内側に感圧フィルム等を設けてもよい。また機器2の分解の際に開放によって空気に接触する箇所に、空気に接触した際に変化(例えば変色)する感知シールのような部材を設けることで、機器2の開放履歴の有無を後発的に確認可能にしてもよい。
【0061】
尚、機器2の開封が好ましくない旨を示すステッカのような表示手段を構成部品4の交換用部品(正規品)とセットでユーザに提供することで、ユーザが非正規品のような代替品に交換を行うことが好ましくない旨を啓蒙してもよい。
【0062】
また構成部品4の取付構造を特有な形状にすることで、非正規品への交換を構造的に防止してもよい。例えば構成部品4を機器2に取り付ける際にボルトを締結するための構造としてロックナットを使用することができる。ロックナットは、脱着する際に専用のキーアダプタ(又はキーソケット)が必要となるため、ユーザが構成部品4を代替品のような非正規品に交換することを防止することができる。
【0063】
以上説明したように上記各実施形態によれば、機器2の構成部品4に取り付けられたパーツセンサ6から監視データDsを取得し、監視データDsと基準データDrefとを比較することで、機器2における構成部品4に関する交換履歴Rを評価できる。このように評価された交換履歴Rに基づいて、構成部品4がオリジナル部品のような正規品から変更されているか否かを好適に評価することができる。
【0064】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0065】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0066】
(1)一態様に係る部品管理システムは、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部と、
前記第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得するための監視データ取得部と、
前記監視データに対応する基準データを取得する基準データ取得部と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価するための交換履歴評価部と、
を備える。
【0067】
上記(1)の態様によれば、機器の構成部品に取り付けられたパーツセンサから監視データを取得し、監視データと基準データとを比較することで、機器における構成部品に関する交換履歴が評価される。このように評価された交換履歴に基づいて、現在の構成部品が例えばオリジナル部品のような正規品から変更されているか否かを好適に把握できる。
【0068】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記交換履歴に基づいて、前記機器の性能劣化リスクを評価するための性能劣化リスク評価部を更に備える。
【0069】
上記(2)の態様によれば、上記のように評価された構成部品の交換履歴に基づいて、機器の性能劣化リスクが評価される。これにより、機器に組み込まれた構成部品が非正規品のような他の部品に交換されている場合には、当該部品交換によって機器の性能への影響を定量的に把握することができ、またその評価結果は、機器のユーザに対して正規品への交換メンテナンスを促すモチベーションにすることができる。
【0070】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記監視データ取得部は、前記第1通信部が前記パーツセンサとの通信範囲に入った場合に、前記パーツセンサから前記監視データを自動的に取得する。
【0071】
上記(3)の態様によれば、第1通信部がパーツセンサの通信範囲に入った場合に、パーツセンサから自動的に監視データが取得される。これにより、機器の構成部品に関する監視データを少ない手間で速やかに取得できる。
【0072】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記機器のケーシング外に取り付けられ、前記第1通信部と通信可能な第2通信部と、
前記ケーシング内に設けられた前記パーツセンサを前記第2通信部に接続する通信ケーブルと、
を備える。
【0073】
パーツセンサが取り付けられた構成部品がケーシング内に収容される場合、ケーシングが例えば金属材料で形成されていると電磁遮蔽効果によってパーツセンサからの無線通信信号が遮断され、パーツセンサから監視データを直接取得することが難しい場合がある。上記(4)の態様によれば、このような場合においても、パーツセンサからの監視データは通信ケーブルを介してケーシング外に取り付けられた第2通信部に送られることで、第1通信部はケーシング外にある第2通信との通信によって好適に監視データを取得できる。
【0074】
(5)他の態様では、上記(4)の態様において、
前記パーツセンサは、前記第1通信部から前記第2通信部が受信した要求信号に応じて前記監視データを発信し、
前記第2通信部は、前記パーツセンサから前記通信ケーブルを介して受信した前記監視データを前記第1通信部に発信する。
【0075】
上記(5)の態様によれば、第1通信部からの要求信号に応じて、パーツセンサから通信ケーブルを介して監視データを所定のタイミングで取得できる。
【0076】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記パーツセンサは、前記監視データとして前記構成部品の識別情報を発信可能なRFIDタグである。
【0077】
上記(6)の態様によれば、パーツセンサとしてRFIDタグを用いることで、機器の内部に組み込まれた構成機器の識別情報を、監視データとして取得可能となる。これにより、機器を分解することなく、取得した監視データに基づいて、機器の内部に組み込まれた構成機器を識別し、構成部品の交換履歴を評価できる。
【0078】
(7)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記パーツセンサは、前記構成部品と、前記構成部品に外部からアクセスする際に移動が必要な周辺部品とにわたって設けられた閉ループ電線である。
【0079】
上記(7)の態様によれば、パーツセンサとして閉ループ電線が、パーツセンサが取り付けられた構成部品と、その周辺部品にわたって設けられる。これにより、構成部品を交換するために機器を分解・開放した場合には、周辺部品が移動することによって閉ループ電線が断線する。そのため、閉ループ電線の通電状態を監視データとして取得することにより、機器における構成部品の交換履歴に関する情報を好適に得られる。
【0080】
(8)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記パーツセンサは、前記構成部品と、前記構成部品が接触する周辺部品との接触部に設けられたUTセンサである。
【0081】
上記(8)の態様によれば、パーツセンサとしてUTセンサが、パーツセンサが取り付けられた構成部品と、その周辺部品との接触部に設けられる。接触部における構成部品と接触部との接触状態はUTセンサによって監視され、構成部品を交換するために機器を分解・開放した場合には、構成部品と周辺部品との接触状態が変化することにより、UTセンサの検知信号が変化する。本態様では、このようなUTセンサの検知信号を監視データとして取得することにより、機器における構成部品の交換履歴に関する情報を好適に得られる。
【0082】
(9)他の態様では、上記(8)の態様において、
前記周辺部品と前記パーツセンサとの間に設けられた音響結合材を更に備える。
【0083】
上記(9)の態様によれば、パーツセンサとしてUTセンサが用いられる場合、構成部品に取り付けられたパーツセンサと周辺部品との間には、音響結合材が設けられる。音響結合材と周辺部品は互いに接触し、その接触状態は、構成部品を交換するために機器を分解・開放した場合に不可逆的に変化するため、UTセンサの検知信号によって、機器が分解・開放されることで構成部品の交換が行われた事実をより好適に監視できる。
【0084】
(10)他の態様では、上記(1)から(9)のいずれか一態様において、
前記交換履歴評価部の評価結果に基づいて、アラームを報知するための報知部を更に備える。
【0085】
上記(10)の態様によれば、評価結果として得られた交換履歴に基づいてアラームを報知可能である。これにより、好ましくない交換履歴があると評価された場合には、アラームによって迅速に認識可能である。
【0086】
(11)一態様に係る部品管理方法は、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記構成部品の初期状態に対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を備える。
【0087】
上記(11)の態様によれば、機器の構成部品に取り付けられたパーツセンサから監視データを取得し、監視データと基準データとを比較することで、機器における構成部品に関する交換履歴が評価される。このように評価された交換履歴に基づいて、現在の構成部品が例えばオリジナル部品のような正規品から変更されているか否かを好適に把握できる。
【0088】
(12)一態様に係る部品管理プログラムは、
コンピュータ装置に、
機器の構成部品に取り付けられパーツセンサと通信するための第1通信部を介して、前記構成部品の監視データを取得する工程と、
前記構成部品の初期状態に対応する前記監視データの基準データを取得する工程と、
前記監視データを前記基準データと比較することにより、前記構成部品の交換履歴を評価する工程と、
を実行可能である。
【0089】
上記(12)の態様によれば、機器の構成部品に取り付けられたパーツセンサから監視データを取得し、監視データと基準データとを比較することで、機器における構成部品に関する交換履歴が評価される。このように評価された交換履歴に基づいて、現在の構成部品が例えばオリジナル部品のような正規品から変更されているか否かを好適に把握できる。
【符号の説明】
【0090】
1 部品管理システム
2 機器
3 周辺部品
4 構成部品
5 ケーシング
6 パーツセンサ
8 無線通信ネットワーク
9 コネクタ
10 ポータブル端末
11 接触部
12 第1通信部
13 第2通信部
14 監視データ取得部
15 通信ケーブル
16 基準データ取得部
17 音響結合材
18 交換履歴評価部
20 性能劣化リスク評価部
22 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6