(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036193
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電力供給支援装置、電力供給システム、電力供給方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240308BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240308BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240308BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140972
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼本 紘希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC06
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】複数の建物の総体的な買電量を抑制する。
【解決手段】電力供給支援装置10は、建物30で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、蓄電池から電力を供給可能な駐車スペース40の位置情報と、駐車スペース40の空き情報と、を含む供給情報を複数取得する供給情報取得部11Aと、複数の運転者によって共用される電気自動車50に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する需要情報取得部11Bと、供給情報及び不足電力量情報に基づいて、運転者に、駐車スペース40を提案する提案部11Dと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する供給情報取得部と、
複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する需要情報取得部と、
前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する提案部と、
を備えた電力供給支援装置。
【請求項2】
前記運転者の住所情報を取得する運転者情報取得部をさらに備え、
前記提案部は、前記駐車スペースに加えて、前記駐車スペースの位置情報及び前記住所情報に基づいた報酬情報を提案する、
請求項1に記載の電力供給支援装置。
【請求項3】
前記提案部は、前記駐車スペースの位置情報及び前記住所情報に加えて、前記空き情報に基づいた報酬情報を提案する、
請求項2に記載の電力供給支援装置。
【請求項4】
自家発電された電力を蓄電する蓄電池を備えた複数の建物と、
それぞれの前記蓄電池から電力を供給可能な複数の駐車スペースと、
蓄電池が搭載された電気自動車と、
前記建物の前記蓄電池の余剰電力量情報、前記駐車スペースの位置情報及び前記駐車スペースの空き情報を含む複数の供給情報と、前記電気自動車の前記蓄電池の不足電力量情報を、ネットワークを介して取得する電力供給支援装置と、
を備え、
前記電力供給支援装置は、前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記電気自動車の運転者に前記駐車スペースを提案する、
電力供給システム。
【請求項5】
建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する工程と、
複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する工程と、
前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する工程と、
を含む電力供給方法。
【請求項6】
建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する工程と、
複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する工程と、
前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する工程と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給支援装置、電力供給システム、電力供給方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ホームエネルギー管理システムに関する発明が開示されている。このホームエネルギー管理システムでは、太陽光発電装置によって得られた電力が余剰となった場合、この余剰電力は、建物の分電盤と接続された蓄電池や電気自動車の車両用蓄電池に蓄えられる。そして、蓄えられた余剰電力は、太陽光発電装置が発電できない夜間等において、建物内の負荷に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、建物に蓄電池と電気自動車の駐車スペースがある場合や、建物に蓄電池があり、建物の近傍に電気自動車の駐車スペースがある場合は、太陽光発電装置によって得られた電力を建物の蓄電池に蓄えて、蓄えられた電力を電気自動車の蓄電池に蓄えることもできる。
【0005】
この場合、ある建物の蓄電池に蓄えられた電力量から、建物内の負荷に供給される電力量を差し引いた余剰電力を、車両用蓄電池に蓄えることができる。そして、余剰電力では車両用蓄電池を満充電できない場合は、電力系統からの買電が必要となる。
【0006】
一方で、別の建物の蓄電池に蓄えられた余剰電力で当該別の建物の駐車スペースに駐車された車両用蓄電池を満充電できれば、当該余剰電力が更に余る場合もある。このような余剰電力は売電することもできるが、例えば電力系統からの買電が必要となった建物に供給すれば、複数の建物における買電量を抑制することができる。
【0007】
すなわち、1つの建物だけでは買電が必要になる場合でも、複数の建物間で余剰電力を融通することで、総体的な買電量を減らすことができる。買電量を減らすことができれば、火力発電等に伴う環境負荷を低減できる。
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、複数の建物の総体的な買電量を抑制する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一態様の電力供給支援装置は、建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する供給情報取得部と、複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する需要情報取得部と、前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する提案部と、を備える。
【0010】
第一態様の電力供給支援装置では、供給情報取得部によって、建物の蓄電池に蓄電された余剰電力量情報が取得される。また、供給情報取得部は、蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報及び空き情報を取得する。これにより、電力供給支援装置は、空きがある駐車スペースの場所と、当該駐車スペースに電気自動車を駐車した場合の余剰電力による充電可能量と、を把握できる。
【0011】
また、この電力供給支援装置では、需要情報取得部によって、電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する。
【0012】
これにより、提案部は、電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量を余剰電力によって充電可能な駐車スペースを、運転者に提案することができる。したがって、電気自動車に充電するための電力を余剰電力で賄って、買電量を抑制できる。
【0013】
このように、この電力供給支援装置では、複数の運転者によって共用される電気自動車を利用することにより、複数の建物の総体的な買電量を抑制できる。
【0014】
第二態様の電力供給支援装置は、前記運転者の住所情報を取得する運転者情報取得部をさらに備え、前記提案部は、前記駐車スペースに加えて、前記駐車スペースの位置情報及び前記住所情報に基づいた報酬情報を提案する。
【0015】
上述したように、提案部は、電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量を余剰電力によって充電可能な駐車スペースを、運転者に提案することができる。
【0016】
しかしながら、提案された駐車スペースが運転者の住所から比較的離れた場所である場合、運転者は、提案された駐車スペースではなく運転者の住所に比較的近い駐車スペースに駐車する蓋然性が高くなる。この場合、電気自動車に充電するための電力を余剰電力で賄い難くなる。
【0017】
そこで、第二態様の電力供給支援装置では、運転者情報取得部によって、運転者の住所情報が取得される。そして、提案部が、駐車スペースの位置情報及び住所情報に基づいた報酬情報を提案する。
【0018】
例えば提案部は、提案する駐車スペースが運転者の住所から離れているほど、多い報酬を提案する。また例えば提案部は、複数の駐車スペースとそれぞれの報酬情報とを併せて提案する。
【0019】
これにより、運転者は、報酬が少ないものの運転者の住所に近い駐車スペースと、運転者の住所から離れているものの報酬が多い駐車スペースと、を比較検討することができる。これにより、報酬がない場合と比較して、運転者が自分の住所から離れた駐車スペースに駐車する蓋然性が高くなる。これにより、電気自動車に充電するための電力を余剰電力で賄い易くできる。
【0020】
第三態様の電力供給支援装置は、前記提案部は、前記駐車スペースの位置情報及び前記住所情報に加えて、前記空き情報に基づいた報酬情報を提案する。
【0021】
空いている駐車スペースが局所的に偏っている場合、運転者の住所に近い駐車スペースに空きが無い場合がある。このような場合は、運転者は自分の住所から離れた駐車スペースに駐車することを余儀なくされる。このため、運転者にとって選択肢が少なくなるので利便性が必ずしも高くない。
【0022】
そこで、第三態様の電力供給支援装置では、駐車スペースの位置情報及び運転者の住所情報に加えて、空き情報に基づいた報酬情報を提案する。
【0023】
例えば提案部は、提案する駐車スペースが、空きの多い地域である場合に、多い報酬を提案する。これにより、空いている駐車スペースを分散させて、運転者の利便性を高めることができる。
【0024】
第四態様の電力供給システムは、自家発電された電力を蓄電する蓄電池を備えた複数の建物と、それぞれの前記蓄電池から電力を供給可能な複数の駐車スペースと、蓄電池が搭載された電気自動車と、前記建物の前記蓄電池の余剰電力量情報、前記駐車スペースの位置情報及び前記駐車スペースの空き情報を含む複数の供給情報と、前記電気自動車の前記蓄電池の不足電力量情報を、ネットワークを介して取得する電力供給支援装置と、を備え、前記電力供給支援装置は、前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記電気自動車の運転者に前記駐車スペースを提案する。
【0025】
第四態様の電力供給システムでは、第一態様の電力供給支援装置と同様の効果を得ることができる。
【0026】
第五態様の電力供給支援方法は、建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する工程と、複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する工程と、前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する工程と、を含む。
【0027】
第五態様の電力供給支援方法では、第一態様の電力供給支援装置と同様の効果を得ることができる。
【0028】
第六態様のプログラムは、建物で自家発電された電力を蓄電する蓄電池の余剰電力量情報と、前記蓄電池から電力を供給可能な駐車スペースの位置情報と、前記駐車スペースの空き情報と、を含む供給情報を複数取得する工程と、複数の運転者によって共用される電気自動車に搭載された蓄電池の不足電力量情報を取得する工程と、前記供給情報及び前記不足電力量情報に基づいて、前記運転者に、駐車スペースを提案する工程と、をコンピュータに実行させる。
【0029】
第六態様のプログラムでは、第一態様の電力供給支援装置と同様の効果を得ることができる。
【0030】
以上説明したように、本発明によると、複数の建物の総体的な買電量を抑制する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態に係る電力供給システムの構成及び電力供給支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る電力供給支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】(A)は本実施形態に係る駐車スペースデータベースを示す表であり、(B)は電気自動車データベースを示す表であり、(C)は個人情報スデータベースを示す表であり、(D)は報酬データベースを示す表であり、(E)は別の報酬データベースを示す表である。
【
図4】本実施形態に係る電力供給支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態に係る電力供給支援装置、電力供給システム、プログラム及び電力制御方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0033】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0034】
<電力供給システム>
(概要)
図1には、本発明の実施形態に係る電力供給システム80の全体構成が示されている。電力供給システム80は、電力供給支援装置10、運転者の個人端末20、複数の建物30、それぞれの建物30に設けられた駐車スペース40、複数の電気自動車50並びにネットワークNを利用するネットワークシステムである。
【0035】
電気自動車50は、予め利用登録した複数の運転者によって共用されるシェアカーである。運転者は、複数の駐車スペース40に駐車された電気自動車50のなかから、予約により任意の電気自動車50を利用することができる。また、運転者は、利用している電気自動車50を、複数の駐車スペース40のうち、任意の駐車スペース40へ返却することができる。
【0036】
電力供給システム80は、これらの複数の電気自動車50に対して充電する際に、総体的な買電量を抑制することを目的として構築されている。
【0037】
(建物)
本明細書においては、電力供給システム80が適用される建物30を、戸建て住宅として説明するが、本発明の実施形態はこれに限らない。電力供給システム80は、例えば戸建て住宅のほか集合住宅に適用できるし、事務所ビルや商業施設、病院や図書館などの非住戸系施設に適用することもできる。この建物30は、太陽光パネル32、蓄電池34、分電盤36及び管理装置38を備えている。
【0038】
太陽光パネル32は、建物30の屋根面に設けられ、太陽光を受けて発電する太陽電池を備えている。太陽光パネル32は、季節や日照条件などに応じて、発電電力が時間的に変動する電源である。
【0039】
蓄電池34は、建物30に設けられている定置型蓄電池である。蓄電池34は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池を備えている。蓄電池34には、太陽光パネル32で発電された電力及び電力系統Eから買電した電力が充電される。
【0040】
また、蓄電池34は、放電することにより建物30内の電気機器である負荷(不図示)や駐車スペース40に駐車された電気自動車50の蓄電池54へ電力を供給することもできる。
【0041】
分電盤36は、電力系統Eからの交流電力を、図示しない分岐電路を介して建物30内の負荷に分配する。負荷は、分岐電路に供給される交流電力により動作する。さらに、分電盤36は、図示しない変換装置に接続されており、変換装置に交流電力を供給することができる。
【0042】
この変換装置は、電力系統Eと「太陽光パネル32、蓄電池34及び54」との間において、直流電力から交流電力、又は交流電力から直流電力への変換を行うことができる。
【0043】
管理装置38は、建物30における電力管理及び制御を実施する装置であり、例えばHEMS(Home Energy Management System)等とも称される。
【0044】
管理装置38は、太陽光パネル32の発電電力を、上述した変換装置(不図示)を介して蓄電池34や54に充電することができる。あるいは、太陽光パネル32の発電電力を、変換装置を介して分電盤36に接続された負荷(不図示)や電力系統Eに供給することもできる。
【0045】
また、管理装置38は、電力系統Eから供給された電力を、変換装置を介して蓄電池34や蓄電池54に充電することができる。さらに、管理装置38は、蓄電池34や54に充電する順序や充電量を制御することができる。
【0046】
さらに、管理装置38は、蓄電池34に充電された電力を、変換装置を介して分電盤36に接続された負荷に供給することができる。また、管理装置38は、蓄電池54に充電された電力を、変換装置を介して分電盤36に接続された負荷や電力系統Eに供給することもできる。
【0047】
またさらに、管理装置38は、蓄電池34に充電された電力量を把握することができる。そして、管理装置38は、負荷における消費電力量を把握することができる。これにより、管理装置38は、建物30の太陽光パネル32で自家発電された電力を蓄電する蓄電池34の余剰電力量(本発明における「余剰電力量情報」)を把握することができる。
【0048】
ここで、「負荷における消費電力量」は、所定日において太陽光パネル32による自家発電が終了した時点から、翌日に自家発電が開始されるまでの、消費電力量の予測値である。この予測値は、例えば、管理装置38内の記憶部に記憶された過去の累積データから導出される。また、この予測値は、管理装置38に入力によって記憶しておいてもよい。
【0049】
管理装置38が把握する「余剰電力量」は、随時、ネットワークNへ送信され、電力供給支援装置10によって取得される。
【0050】
(駐車スペース)
駐車スペース40は、建物30に付帯する駐車場である。駐車スペース40には、少なくとも1台の電気自動車50が駐車可能である。駐車スペース40の駐車可能台数は、建物30毎に異なっていてもよい。
【0051】
駐車スペース40には、コネクタ42が設置されている。コネクタ42は、電気自動車50の充電用のコネクタに着脱自在に接続される接続端子である。
【0052】
建物30の蓄電池34に充電された電力又は電力系統Eから買電した電力は、コネクタ42を介して、駐車スペース40に駐車された電気自動車50の蓄電池54へ充電することができる。
【0053】
なお、駐車スペース40の住所(すなわち建物30の住所)や緯度、経度の情報(以下、「位置情報」と称す)は、上述した管理装置38によって把握される。また、駐車スペース40において電気自動車50を駐車可能な最大台数(以下、「最大駐車台数」と称す)及び空きスペースの数量(すなわち、最大駐車台数から駐車されている自動車の台数を引いた値)の情報(以下、「空き情報」と称す)も、上述した管理装置38によって把握される。
【0054】
管理装置38が把握する駐車スペース40の「位置情報」及び「最大駐車台数」は、ネットワークNへ送信され、後述する電力供給支援装置10によって取得される。
【0055】
また、管理装置38が把握する「空き情報」は、随時、ネットワークNへ送信され、電力供給支援装置10によって取得される。
【0056】
これらの「余剰電力量」「位置情報」及び「空き情報」は、電気自動車50に充電するための余剰電力がある位置を示し、また、当該位置に電気自動車50を駐車(返却)できるか否かを示す情報である。つまりこれらの情報は、電気自動車50への電力の供給に関する情報である。本明細書では、これらの「余剰電力量」「位置情報」及び「空き情報」を総称して「供給情報」と称す。
【0057】
なお、本例における駐車スペース40は、建物30に付帯する駐車場であり、駐車スペース40の住所と建物30の住所とは同一であるが、本発明の実施形態はこれに限らない。つまり、駐車スペース40は建物30と離れていてもよい。
【0058】
このような場合としては、例えばひとつの街区に複数の建物30が含まれ、それぞれの建物30の住人が利用する駐車スペース40が一箇所にまとめて形成されている場合が考えられる。この場合、複数の建物30の蓄電池34に充電された電力を、これらの建物30から離れた位置にある駐車スペース40に駐車された電気自動車50の蓄電池54へ、充電することができる。
【0059】
(電気自動車)
電気自動車50は、蓄電池54を内蔵しており、蓄電池54に充電された電気エネルギーを用いて走行する電動車両である。電気自動車50としては、電動機の出力によって走行する電気自動車のほか、エンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車を適用することができる。
【0060】
シェアカーである電気自動車50は複数設けられ、運転者は、各自が保有する個人端末20を介して、これら複数の電気自動車50のうちの一台を利用予約する。
【0061】
電力供給システム80では、1つの電気自動車50に対して、同時間に複数の利用者からの予約が重ならないように予約管理される。この予約管理は、電力供給支援装置10によって実行される。
【0062】
電気自動車50は、カーナビゲーションシステム52を備えている。電気自動車50の運転者又は運転者以外の搭乗者は、このカーナビゲーションシステム52を介して、運転している電気自動車50を返却する駐車スペース40を指定することができる。
【0063】
電気自動車50は、図示しない制御装置を備えており、当該制御装置は、蓄電池54に満充電した際の電力量(以下、「最大電力量」と称す)と充電されている電力量との差(以下、「不足電力量」と称す)を把握することができる。
【0064】
電気自動車50の最大電力量は、電気自動車50毎に、後述する電力供給支援装置10の電気自動車データベース13C(
図3(C)参照)に記憶される。また、電気自動車50の制御装置が把握する「不足電力量」は、随時、ネットワークNへ送信され、電力供給支援装置10によって取得される。
【0065】
<電力供給支援装置の電気的な構成>
図1に示すように、電力供給支援装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0066】
(記憶部)
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、電力供給支援プログラム13Aが記憶されている。電力供給支援プログラム13Aは、電力供給支援プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの電力供給支援プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、電力供給支援プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、電力供給支援プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0067】
記憶部13には、駐車スペースデータベース13B、電気自動車データベース13C、個人情報データベース13D及び報酬データベース13Eが記憶される。これらのデータベースについては、詳細を後述する。
【0068】
(入力部)
入力部14では、ユーザによって、電力供給支援プログラム13Aを開始及び終了するための操作が実行される。ユーザとは、一例として、電力供給システム80の管理者である。
【0069】
また、入力部14では、ユーザまたは運転者によって、駐車スペースデータベース13B、電気自動車データベース13C、個人情報データベース13D及び報酬データベース13Eへ各種の情報が入力される。これらの情報については、詳細を後述する。
【0070】
(表示部)
表示部15には、電力供給支援プログラム13Aを開始及び終了するための情報や、上述した各種の情報を入力するための情報が表示される。
【0071】
<電力供給支援装置の機能的な構成>
図2を参照して、本実施形態に係る電力供給支援装置10の機能的な構成について説明する。
図2に示すように、電力供給支援装置10は、供給情報取得部11A、需要情報取得部11B、運転者情報取得部11C及び提案部11Dを含む。
【0072】
電力供給支援装置10のCPU11は、電力供給支援プログラム13Aを実行することで、供給情報取得部11A、需要情報取得部11B、運転者情報取得部11C及び提案部11Dとして機能する。
【0073】
(供給情報取得部)
供給情報取得部11Aは、
図1に示す建物30の太陽光パネル32で自家発電された電力を蓄電する蓄電池34の「余剰電力量」と、蓄電池34から電力を供給可能な駐車スペース40の「位置情報」と、駐車スペース40の「空き情報」と、を含む供給情報を複数取得する。「複数取得する」とは、複数箇所の「建物30及び駐車スペース40」からそれぞれの情報を取得することを示す。
【0074】
具体的には、電力供給システム80を利用する建物30の管理装置38が把握する「余剰電力量」が、随時、ネットワークNへ送信され、
図2に示す電力供給支援装置10の供給情報取得部11Aによって取得される。取得された「余剰電力量」は、後述する駐車スペースデータベース13B(
図3(A)参照)に記憶される。
【0075】
また、建物30の管理装置38が把握する駐車スペース40の「位置情報」及び「最大駐車台数」が、ネットワークNへ送信され、後述する電力供給支援装置10の供給情報取得部11Aによって取得される。取得された「位置情報」及び「最大駐車台数」は、後述する駐車スペースデータベース13Bに記憶される。
【0076】
なお、これらの「位置情報」及び「最大駐車台数」は、必ずしも管理装置38から送信される必要はない。これらの情報は、建物30の住人が個人端末20を介して入力してもよいし、電力供給システム80の管理者等が、電力供給支援装置10の入力部14を介して入力してもよい。
【0077】
また、建物30の管理装置38が把握する駐車スペース40の「空き情報」が、随時、ネットワークNへ送信され、電力供給支援装置10の供給情報取得部11Aによって取得される。取得された「空き情報」は、後述する駐車スペースデータベース13Bに、随時、記憶される。
【0078】
(需要情報取得部)
需要情報取得部11Bは、
図1に示す電気自動車50に搭載された蓄電池54の「不足電力量」を取得する。
【0079】
具体的には、電気自動車50の制御装置が把握する「不足電力量」が、随時、ネットワークNへ送信され、
図2に示す電力供給支援装置10の需要情報取得部11Bによって取得される。取得された「不足電力量」は、後述する電気自動車データベース13C(
図3(B)参照)に、随時、記憶される。
【0080】
(運転者情報取得部)
運転者情報取得部11Cは、運転者の「住所」(本発明における「住所情報」の一例)を取得する。
【0081】
具体的には、運転者は、シェアカーである電気自動車50の利用登録時に、個人端末20を用いて、登録フォームなどへ住所を入力する。入力された「住所」は、ネットワークNへ送信され、電力供給支援装置10の運転者情報取得部11Cによって取得される。取得された「住所」は、後述する個人情報データベース13D(
図3(C)参照)に記憶される。
【0082】
なお、この「住所」は、電力供給システム80の管理者等が、電力供給支援装置10の入力部14を介して入力してもよい。
【0083】
(データベース)
ここで、
図3を参照して、各データベースについて説明する。
【0084】
図3(A)に示す駐車スペースデータベース13Bには、各駐車スペース40(駐車スペースA1、A2、・・・)の「位置情報」及び「最大駐車台数」が記憶されている。そして、駐車スペースデータベース13Bには、供給情報取得部11Aによって取得された「空き情報」及び「余剰電力量」が、随時記憶される。
【0085】
この駐車スペースデータベース13Bを参照することにより、駐車スペース40毎に、何台の電気自動車50を駐車(返却)できるかをリアルタイムで把握し、かつ、電気自動車50を駐車した場合にどれだけの電力量を供給できるかをリアルタイムで把握できる。
【0086】
図3(B)に示す電気自動車データベース13Cには、電力供給システム80によって管理される各電気自動車50(電気自動車B1、B2、・・・)の「最大電力量」が記憶されている。そして、電気自動車データベース13Cには、需要情報取得部11Bによって取得された「不足電力量」が、随時記憶される。
【0087】
この電気自動車データベース13Cを参照することにより、電気自動車50毎に、満充電するために必要な電力量である「不足電力量」を、リアルタイムで把握できる。
【0088】
図3(C)に示す個人情報データベース13Dには、運転者(運転者C1、C2、・・・)、すなわち、シェアカーである電気自動車50の利用登録者毎に「住所」が記憶されている。
【0089】
この個人情報データベース13Dと、駐車スペースデータベース13Bと、を併せて参照することにより、各駐車スペース40と、運転者の自宅との距離を把握できる。
【0090】
図3(D)に示す報酬データベース13Eには、運転者が電気自動車50を駐車する駐車スペース40の位置と運転者の自宅との距離(50m以内、100m以内、・・・)毎に、運転者に与えられる「報酬」(本発明における「報酬情報」の一例)が記憶されている。
【0091】
例えば運転者が、自宅からの距離Xが50m未満の距離に位置する駐車スペース40に電気自動車50を返却した場合、報酬は得られない。一方、運転者が、自宅からの距離Xが50m以上100m未満の距離に位置する駐車スペース40に電気自動車50を返却した場合、1pt(ポイント)の報酬が得られる。
【0092】
つまり、運転者は、自宅から遠い駐車スペース40に電気自動車50を返却したほうが、多くのポイントを得ることができる。
【0093】
運転者は、このポイントに応じて、例えば、自宅として利用する建物30の管理費用、電気自動車50の利用料などの割引を得ることができる。なお、この距離設定、得られるポイント設定、ポイントにより得られる具体的なメリットは一例であり、電力供給システム80の管理者等が任意に設定できる。
【0094】
図3(E)に示す報酬データベース13Fには、運転者が電気自動車50を駐車する駐車スペース40を中心とする1km四方の領域内における駐車可能台数(10台以上、8台以上、・・・)毎に、運転者に与えられる「報酬」が記憶されている。
【0095】
例えば電気自動車50を返却する駐車スペース40が、当該駐車スペース40を中心とする1km四方の領域内における駐車可能台数Yが2台未満である場合、運転者は報酬を得られない。一方、当該駐車スペース40を中心とする1km四方の領域内における駐車可能台数Yが2台以上4台未満である場合、運転者は、1pt(ポイント)の報酬を得られる。
【0096】
つまり、運転者は、空いている駐車スペース40が多い領域に電気自動車50を返却したほうが、多くのポイントを得ることができる。
【0097】
なお、この駐車可能台数及び得られるポイントは一例であり、電力供給システム80の管理者等が任意に設定できる。
【0098】
(提案部)
図3に示す提案部11Dは、「供給情報」及び「不足電力量」に基づいて、運転者に、駐車スペース40を提案する。
【0099】
具体的には、提案部11Dは、「供給情報」として、供給情報取得部11Aが取得した各駐車スペース40の「余剰電力量」を、駐車スペースデータベース13Bから読み出す。また、提案部11Dは、「供給情報」として、運転者が運転している電気自動車50の「不足電力量」を、電気自動車データベース13Cから読み出す。
【0100】
そして、提案部11Dは、「余剰電力量」が、運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40を、運転者に提案する。条件に合う駐車スペース40が複数ある場合は、条件に合う全ての駐車スペース40が提案される。
【0101】
この提案は、電気自動車50の運転者によるカーナビゲーションシステム52を介した「返却依頼」に応じて、カーナビゲーションシステム52を介して実行される。
【0102】
なお、提案部11Dは、複数の電気自動車50の「不足電力量」を読み出して、なるべく多くの電気自動車50を「余剰電力」で満充電できるように、駐車スペース40を提案する。
【0103】
具体的に説明すると、提案部11Dは、例えば以下のようにして駐車スペース40を提案する。
【0104】
電気自動車50(「不足電力量」が10kwh)の運転者から返却依頼を受け付けると、提案部11Dは、当該電気自動車50の「不足電力量」を把握する。また、提案部11Dは、電気自動車データベース13Cを読み出して、貸出中の電気自動車50であって、返却依頼を受け付けた電気自動車50とは「別の」電気自動車50の「不足電力量」も把握する。
【0105】
例えば提案部11Dは、「不足電力量」が20kwh程度である電気自動車50が、2台、貸出中であることを把握する。
【0106】
次に、提案部11Dは、駐車スペースデータベース13Bを読み出して、各駐車スペース40の「空き情報」と「余剰電力量」とを把握する。
【0107】
例えば提案部11Dは、駐車可能台数が2台で余剰電力量が60kwhである駐車スペース40、及び、駐車可能台数が1台で余剰電力量が10kwhである駐車スペース40があることを把握する。
【0108】
次に提案部11Dは、返却依頼を受け付けた電気自動車50と、貸出中であって返却依頼を受け付けていない2台の電気自動車50と、の全てを、「余剰電力」で満充電できる可能性が高くなるように、駐車スペース40を提案する。
【0109】
例えば提案部11Dは、返却依頼を受け付けた電気自動車50(「不足電力量」が10kwh)には、駐車可能台数が1台で余剰電力量が10kwhである駐車スペース40を提案する。
【0110】
そして、貸出中であって返却依頼を受け付けていない2台の電気自動車50(「不足電力量」が20kwh程度)には、返却依頼を受け付け次第、駐車可能台数が2台で余剰電力量が60kwhである駐車スペース40を提案する。
【0111】
これに対して、例えば返却依頼を受け付けた電気自動車50(「不足電力量」が10kwh)に、駐車可能台数が2台で余剰電力量が60kwhである駐車スペース40を提案した場合、貸出中であって返却依頼を受け付けていない2台の電気自動車50(「不足電力量」が20kwh程度)の何れか一方に、駐車可能台数が1台で余剰電力量が10kwhである駐車スペース40を提案することになる。この場合、「余剰電力」で満充電することはできないため好ましくない。
【0112】
また、提案部11Dは、駐車スペース40に加えて、駐車スペース40の「位置情報」及び「住所」に基づいた「報酬」を提案する。
【0113】
具体的には、提案部11Dは、電気自動車50を運転している運転者の「住所」を個人情報データベース13Dから読み出す。次に、提案部11Dは、駐車スペース40毎に、運転者の自宅からの距離Xを算出する。そして、提案部11Dは、当該距離X毎に、報酬データベース13Eに記憶された報酬を読み出す。
【0114】
そして、提案部11Dは、「余剰電力量」が、運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40に加えて、電気自動車50を当該駐車スペース40に返却した場合の「報酬」を併せて提案する。この提案も、カーナビゲーションシステム52を介して実行される。
【0115】
さらに、提案部は、駐車スペースの「位置情報」及び「住所情報」に加えて、「空き情報」に基づいた報酬情報を提案する。
【0116】
具体的には、提案部11Dは、駐車スペース40毎に、当該駐車スペース40を中心とする1km四方の領域内における駐車可能台数Yを、駐車スペースデータベース13Bに記憶された情報から導出する。
【0117】
次に、提案部11Dは、導出された駐車可能台数Y毎に、報酬データベース13Fに記憶された報酬を読み出す。
【0118】
そして、提案部11Dは、「余剰電力量」が、運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40、電気自動車50を当該駐車スペース40に返却した場合の「報酬」を併せて提案する。この「報酬」は、報酬データベース13Eから読み出された報酬と合算して提示される。この提案も、カーナビゲーションシステム52を介して実行される。
【0119】
なお、提案部11Dは、「余剰電力量」が、運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40を、運転者に提案するものとして説明しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0120】
提案部11Dは、例えば「余剰電力量」が運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40が無い場合は、「余剰電力量」が当該電気自動車50の「不足電力量」より少ない駐車スペース40を提案することができる。
【0121】
また、提案部11Dは、「余剰電力量」が運転者の運転している電気自動車50の「不足電力量」以上である駐車スペース40がある場合でも、「余剰電力量」が当該電気自動車50の「不足電力量」より少ない駐車スペース40を提案することもできる。
【0122】
<作用>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る電力供給システム80の作用を説明する。ユーザからの入力部14を介した実行指示等に応じて、電力供給支援装置10のCPU11が電力供給支援プログラム13Aを実行することにより、
図4に示す電力供給支援処理が実行される。
【0123】
錯綜を避けるため、ここでは、駐車スペースデータベース13Bにおける各駐車スペース40の位置情報及び最大駐車台数が予め記憶されている場合について説明する。また、電気自動車データベース13Cにおける各電気自動車50の最大電力量も予め記憶されている場合について説明する。また、個人情報データベース13D、報酬データベース13E及び13Fも予め構築されている場合について説明する。
【0124】
(電力制御処理)
電力供給支援プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ102で、CPU11は、上記の方法に基づいて余剰電力量を取得し、空き情報を取得する。
【0125】
ステップ104で、CPU11は、貸出中の電気自動車50の返却依頼受付待ちを実行する。返却依頼を受付けるまで、ステップ102を繰り返し実行する。返却依頼を受付けると、ステップ106へ移行する。
【0126】
ステップ106で、CPU11は、返却依頼を受付けた電気自動車50の不足電力量を取得する。また、CPU11は、返却依頼を受付けた電気自動車50「以外」の貸出中の電気自動車50の不足電力量を取得する。ステップ106の後は、ステップ108へ移行する。
【0127】
ステップ108で、CPU11は、駐車スペースデータベース13Bから、駐車スペース毎の余剰電力量、空き情報を読み出す。また、個人情報データベース13Dから、返却依頼を受付けた電気自動車50の運転者の住所を読み出す。ステップ108の後は、ステップ110へ移行する。
【0128】
ステップ110で、CPU11は、返却依頼を受付けた電気自動車50の運転者へ、駐車スペース40を提案する。この際、駐車スペースと併せて、報酬も提案する。ステップ110の後は、ステップ112へ移行する。
【0129】
ステップ112で、CPU11は、電力供給支援処理の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合は電力供給支援処理を終了する。この終了タイミングは、一例として、ユーザの入力部14を介した入力によって到来する。ステップ112で否定判定となった場合はステップ102へ戻る。
【0130】
<効果>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電力供給システム80及び電力供給支援装置10では、
図2に示す供給情報取得部11Aによって、建物30の蓄電池34(
図1参照)に蓄電された余剰電力量が取得される。
【0131】
また、供給情報取得部11Aは、蓄電池34から電力を供給可能な駐車スペース40(
図1参照)の位置情報及び空き情報を取得する。これにより、電力供給支援装置10は、空きがある駐車スペース40の場所と、当該駐車スペース40に電気自動車50を駐車した場合の余剰電力による充電可能量と、を把握できる。
【0132】
また、この電力供給支援装置10では、需要情報取得部11Bによって、電気自動車50に搭載された蓄電池54(
図1参照)の不足電力量情報を取得する。
【0133】
これにより、提案部11Dは、電気自動車50に搭載された蓄電池54の不足電力量を余剰電力によって充電可能な駐車スペース40を、運転者に提案することができる。したがって、電気自動車50に充電するための電力を余剰電力で賄って、買電量を抑制できる。
【0134】
このように、この電力供給システム80及び電力供給支援装置10では、複数の運転者によって共用される電気自動車50(シェアカー)を利用することにより、複数の建物30の総体的な買電量を抑制できる。
【0135】
ここで、上述したように、提案部11Dは、電気自動車50に搭載された蓄電池54の不足電力量を余剰電力によって充電可能な駐車スペース40を、運転者に提案することができる。
【0136】
しかしながら、蓄電池54の不足電力量を余剰電力によって充電可能な駐車スペースとして提案された駐車スペース40が、運転者の住所から比較的離れた場所である場合もある。このような場合、運転者は、当該駐車スペース40ではなく運転者の住所に比較的近い駐車スペース40に駐車する蓋然性が高くなる。この場合、電気自動車50に充電するための電力を余剰電力で賄い難くなる。
【0137】
そこで、本発明の電力供給支援装置10では、運転者情報取得部11Cによって、運転者の住所が取得される。そして、提案部11Dが、駐車スペース40の位置情報及び住所に基づいた報酬情報を提案する。
【0138】
例えば提案部11Dは、提案する駐車スペース40が運転者の住所から離れているほど、高い報酬を提案する(
図3(D)の報酬データベース13E参照)。また例えば提案部11Dは、カーナビゲーションシステム52を介して、複数の駐車スペース40とそれぞれの報酬情報とを併せて提案する。
【0139】
これにより、運転者は、報酬が少ないものの運転者の住所に近い駐車スペース40と、運転者の住所から離れているものの報酬が多い駐車スペース40と、を比較検討することができる。
【0140】
これにより、報酬がない場合と比較して、運転者が自分の住所から離れた駐車スペースに駐車する蓋然性が高くなる。これにより、電気自動車に充電するための電力を余剰電力で賄い易くできる。
【0141】
なお、空いている駐車スペース40が局所的に偏っている場合、運転者の住所に近い駐車スペース40に空きが無い場合がある。このような場合は、運転者は自分の住所から離れた駐車スペース40に駐車することを余儀なくされる。このため、運転者にとって選択肢が少なくなるので利便性が必ずしも高くない。
【0142】
そこで、本発明の電力供給支援装置10では、駐車スペース40の位置情報及び運転者の住所に加えて、空き情報に基づいた報酬を提案する。
【0143】
例えば提案部は、提案する駐車スペース40が、駐車スペース40の空きが多い地域であるほど、高い報酬を提案する(
図3(E)の報酬データベース13F参照)。これにより、空いている駐車スペース40を分散させて、運転者の利便性を高めることができる。
【0144】
<その他の変形例>
上記実施例においては、提案部11Dが、「運転者の住所」及び駐車スペース40の「空き情報」に基づいて報酬を提案するものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0145】
例えば「運転者の住所」に基づく報酬の提案を省略してもよいし、駐車スペース40の「空き情報」に基づく報酬の提案を省略してもよい。「運転者の住所」に基づく報酬の提案を省略する場合は、運転者情報取得部11C及び個人情報データベース13Dは省略してもよい。
【0146】
また、提案部11Dは、報酬情報を「提案しない」ものとしてもよい。このような報酬を提案しなくても、提案部11Dは、少なくとも電気自動車50に搭載された蓄電池54の不足電力量を、余剰電力によって充電可能な駐車スペース40を、運転者に提案することができる。これにより、複数の建物の総体的な買電量を抑制できる効果を得ることができる。
【0147】
また、上記実施例においては、提案部11Dが、カーナビゲーションシステム52を介して駐車スペース40及び報酬を提案するものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0148】
駐車スペース40及び報酬の提案は、カーナビゲーションシステム52とは独立した装置によって提案することもできる。同様に、電気自動車50の返却依頼も、カーナビゲーションシステム52とは独立した装置によって実施することができる。このような装置の一例として、音声認識が可能な装置やタッチ入力が可能な装置が挙げられる。
【0149】
また、上記実施例においては、電気自動車50の運転者によるカーナビゲーションシステム52を介した「返却依頼」に応じて、提案部11Dが駐車スペース40を提案するものとしているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0150】
例えば電気自動車50の返却予定時間が予め決まっている場合は、提案部11Dは、例えば返却予定時間の30分前、1時間前など、所定の時刻に駐車スペース40を提案するものとしてもよい。
【0151】
また、上記実施形態において、例えば、供給情報取得部11A、需要情報取得部11B、運転者情報取得部11C及び提案部11Dの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0152】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0153】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0154】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0155】
10 電力供給支援装置
11A 供給情報取得部
11B 需要情報取得部
11C 運転者情報取得部
11D 提案部
13A 電力供給支援プログラム(プログラム)
30 建物
34 蓄電池
40 駐車スペース
50 電気自動車
54 蓄電池
80 電力供給システム