(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036210
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】励磁機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H02K9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141006
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶士郎
(72)【発明者】
【氏名】岡島 直輝
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609QQ02
5H609QQ10
5H609RR11
5H609RR35
5H609RR41
5H609RR42
5H609RR52
(57)【要約】
【課題】回転子を効率的に冷却することができる新規な構成の励磁機を得る。
【解決手段】励磁機120は、シャフト26と、スパイダ150と、回転子121と、を備える。回転子121の回転子鉄心131は、スパイダ150を介してシャフト26に固定されている。回転子鉄心131には、鉄心流路135が設けられている。スパイダ150には、軸方向溝151と、周方向溝152と、が設けられている。軸方向溝151は、回転中心軸Axの軸方向にスパイダ150を貫通するとともにスパイダ150の外周面150bに開口し、冷却用気体が通過可能である。周方向溝152は、鉄心流路135に対して径方向の内側に位置し、スパイダ150の外周面150bに開口するとともに軸方向溝151から回転中心軸Axの周方向に延びている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸まわりに回転可能なシャフトと、
前記シャフトが入れられ、前記シャフトに固定された、環状のスパイダと、
前記スパイダが入れられ、前記スパイダを介して前記シャフトに固定された、環状の回転子鉄心と、前記回転子鉄心に固定された回転子巻線と、を有した回転子と、
前記回転子が入れられた環状の固定子と、
を備え、
前記回転子鉄心には、前記回転中心軸の径方向に前記回転子鉄心を貫通し、気体が通過可能な鉄心流路が設けられ、
前記スパイダには、前記回転中心軸の軸方向に前記スパイダを貫通するとともに前記スパイダの外周面に開口し、前記気体が通過可能な軸方向溝と、前記鉄心流路に対して前記径方向の内側に位置し、前記スパイダの外周面に開口するとともに前記軸方向溝から前記回転中心軸の周方向に延びる周方向溝と、が設けられた、
励磁機。
【請求項2】
前記軸方向溝と前記周方向溝とは、前記回転中心軸まわりの環状の環状流路を構成した、
請求項1に記載の励磁機。
【請求項3】
前記軸方向溝は、前記周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記周方向溝は、前記周方向で隣り合う二つの前記軸方向溝に亘った、
請求項1に記載の励磁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、励磁機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトと、シャフトに固定されたスパイダと、スパイダを介してシャフトに固定された回転子と、を備え、スパイダを軸方向に貫通した軸方向溝と、回転子を径方向に貫通した径方向流路とが設けられた励磁機が知られている。
【0003】
このような構成では、例えば、スパイダの軸方向溝に気体が送られて、当該気体が軸方向溝を通過する際に、その一部が回転子の径方向流路に流れて径方向流路を通過する。この際、気体によって回転子が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の励磁機では、回転子を効率的に冷却することができれば有益である。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、回転子を効率的に冷却することができる新規な構成の励磁機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の励磁機は、回転中心軸まわりに回転可能なシャフトと、前記シャフトが入れられ、前記シャフトに固定された、環状のスパイダと、前記スパイダが入れられ、前記スパイダを介して前記シャフトに固定された、環状の回転子鉄心と、前記回転子鉄心に固定された回転子巻線と、を有した回転子と、前記回転子が入れられた環状の固定子と、を備え、前記回転子鉄心には、前記回転中心軸の径方向に前記回転子鉄心を貫通し、気体が通過可能な鉄心流路が設けられ、前記スパイダには、前記回転中心軸の軸方向に前記スパイダを貫通するとともに前記スパイダの外周面に開口し、前記気体が通過可能な軸方向溝と、前記鉄心流路に対して前記径方向の内側に位置し、前記スパイダの外周面に開口するとともに前記軸方向溝から前記回転中心軸の周方向に延びる周方向溝と、が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、回転子を効率的に冷却することができる新規な構成の励磁機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の回転電機の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態の回転電機の一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の回転電機における励磁機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0011】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0012】
図1は、実施形態の回転電機200の構成を示す模式図である。
図2は、実施形態の回転電機200の一部を示す断面図である。
【0013】
図1および
図2に示されるように、回転電機200は、筐体10と、隔壁部15と、回転子20と、固定子30と、冷却器66と、励磁装置100と、を有する。なお、本明細書中では、ブラシレス回転電機を挙げて説明するが、回転電機200はブラシレス回転電機に限定されない。
【0014】
筐体10には、第1の室10aと、第1の室10aに隣接する第2の室10bと、が設けられている。例えば、第1の室10aは機内側、第2の室10bは機外側とも称される。第1の室10aには、連結側軸受45aと、励磁機側軸受45bとが設けられている。また、第1の室10aには、連結側軸受ブラケット55aと、励磁機側軸受ブラケット55bとが設けられている。連結側軸受45aは連結側軸受ブラケット55aに、励磁機側軸受45bは励磁機側軸受ブラケット55bにそれぞれ固定されている。
【0015】
回転子20は、第1のシャフト21と、回転子鉄心22と、を有する。第1のシャフト21は、回転中心軸Axに沿って第1の室10aと第2の室10bとに亘って延び、連結側軸受45aおよび励磁機側軸受45bによって、回転中心軸Axまわりに回転可能に支持されている。また、第1のシャフト21の一端には、連結部13が形成される。第1のシャフト21は、回転電機200が電動機の場合は駆動対象と、また回転電機200が発電機の場合は原動機と、連結部13において結合する。
【0016】
回転中心軸Axは、第1のシャフト21の中心軸であるとともに、第1のシャフト21の回転の中心軸である。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向、径方向、および周方向は、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向である。
【0017】
回転子鉄心22は、強磁性体製で中央に開口を有する円筒状の一体構造である。なお、回転子鉄心22は、円板状の鋼板が回転中心軸Axの軸方向に積層された積層構造であってもよい。回転子鉄心22は、第1の室10aにおいて、第1のシャフト21の径方向の外側に取り付けられる。回転子鉄心22には図示しない界磁巻線が設けられている。
【0018】
第1の室10aにおいて、第1のシャフト21に内扇ファン25a,25bが取り付けられている。内扇ファン25a,25bは、第1のシャフト21と一体に回転中心軸Axまわりに回転することで、第1の室10aに気流を発生させる。回転子鉄心22は、内扇ファン25aと内扇ファン25bとの間に位置する。
【0019】
隔壁部15は、第1の室10aと第2の室10bとの間に位置し、第1のシャフト21が通る第1の孔16が設けられている。第1の孔16の内周面には、例えば、第1のシャフト21に対向してラビリンスシールが設けられている。ラビリンスシールの第1のシャフト21を向いた先端は、第1の孔16を通る第1のシャフト21の外周面から径方向に第1の間隙を空けて離間する。なお、隔壁部15は油止環とも称される。
【0020】
隔壁部15は、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられている。
図2に示されるように、励磁機側軸受ブラケット55bは、励磁機側軸受45bを径方向に囲う。また、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられた隔壁部15は、励磁機側軸受45bを軸方向に囲う。励磁機側軸受ブラケット55bと隔壁部15とは、励磁機側軸受45bを径方向および軸方向に囲う励磁機側軸受封止部56bを形成する。励磁機側軸受封止部56bは、潤滑油が充填されており、例えばオイルボックスとも称される。
【0021】
図1に示されるように、固定子30は、回転子20の径方向の外側に設けられて、軸方向に延びた円筒状に形成される。固定子30は、固定子鉄心31と固定子巻線32を有する。固定子鉄心31は、例えば、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造である。回転子鉄心22の径方向の外側に対向する固定子鉄心31の内側には、回転中心軸Axの周方向に互いに間隔をおいて軸方向に延びた図示しないスロットが形成されている。それぞれのスロット内および固定子鉄心31の軸方向の両外側には固定子巻線32が設けられている。
【0022】
筐体10は、第1の室10aの上部に、冷却器カバー62を有する。冷却器カバー62は、冷却器66を収納している。冷却器66は、例えば熱交換器である。第1の室10aと冷却器カバー62の内部の空間とは、冷却器入口開口51aと、冷却器出口開口51b,51cとによって連通している。冷却器入口開口51aは、冷却器出口開口51bと冷却器出口開口51cとの間に位置する。
【0023】
第1の室10a内には、仕切り板51d,51fが設けられている。仕切り板51d,51fには、軸方向に当該仕切り板51d,51fを貫通する円形の開口が形成されている。
【0024】
仕切り板51dは、軸方向において固定子鉄心31と連結側軸受45aとの間に設けられている。仕切り板51fは、軸方向において固定子鉄心31と励磁機側軸受45bとの間に設けられている。
【0025】
第1のシャフト21の励磁機側軸受45bによって支持されている部分の延長部分には、励磁装置用シャフト26が設けられている。励磁装置用シャフト26は、第2の室10bに設けられた第1のシャフト21の一部であり、回転中心軸Axまわりに回転可能である。なお、励磁装置用シャフト26は、第1の室10aに設けられた第1のシャフト21の一部と別体であってもよい。励磁装置用シャフト26は、シャフトの一例である。
【0026】
励磁装置100は、第2の室10bの内部に設けられ、回転体110および励磁機120を有する。
【0027】
図2に示されるように、回転体110は、例えば、回転整流器115を有する。回転整流器115は、例えば、周方向に等間隔に配置されるとともに放射状に延びる複数の整流器を有する。回転体110は、第2の室10bで励磁装置用シャフト26に設けられ、励磁装置用シャフト26と一体に回転中心軸Axまわりに回転可能である。
【0028】
励磁機120は、励磁機回転子121と、励磁機固定子122と、スパイダ150と、を有する。励磁機回転子121は、回転子の一例であり、励磁機固定子122は、固定子の一例である。
【0029】
励磁機固定子122は、径方向に励磁機回転子121に対向するように設けられ、円環状であり、筐体10に固定されている。励磁機固定子122には図示しない電源から直流電力が供給される。なお、励磁機固定子122は、巻線による電磁石には限定されない。例えば、回転電機200の界磁電流すなわち回転子20の巻線に流れる電流の制御が不要な場合は、永久磁石であってもよい。
【0030】
図3は、実施形態の回転電機200における励磁機120の一部を示す断面図である。
図4は、
図3のIV-IV断面図である。
図5は、
図3のV-V断面図である。
【0031】
図2~
図5に示されるように、励磁機回転子121は、励磁機回転子鉄心131と、励磁機回転子巻線132と、を有する。励磁機回転子鉄心131は、回転子鉄心の一例であり、励磁機回転子巻線132は、回転子巻線の一例である。
【0032】
励磁機回転子鉄心131は、回転中心軸Axまわりの環状(円筒状)である。励磁機回転子鉄心131は、その径方向の内側にスパイダ150が入れられ、スパイダ150を介して励磁装置用シャフト26に固定されている。また、励磁機回転子鉄心131は、励磁機固定子122の径方向の内側に入れられている。
【0033】
図3~
図5に示されるように、励磁機回転子鉄心131は、内周面131aと、外周面131bと、を有する。また、励磁機回転子鉄心131は、二つのベース部133A,133Bと、複数の板134と、を有する。二つのベース部133A,133Bは、軸方向に間隔をあけて並べられている。各ベース部133A,133Bは、例えば、強磁性体製の複数の板が軸方向に積層されて構成されている。複数の板134は、二つのベース部133A,133Bの間に介在している。複数の板134は、回転中心軸Axまわりに間隔をあけて並べられている。具体的には、複数の板134は、回転中心軸Axを中心とした放射状に設けられている。周方向に隣り合う二つの板134によってダクトが構成される。ベース部133A,133B間には、複数の鉄心流路135が設けられている。鉄心流路135は、周方向で隣り合う二つの板134(ダクト)の間を通り、回転中心軸Axの径方向に励磁機回転子鉄心131を貫通している。鉄心流路135には、冷却用気体(気体)が通過可能である。
【0034】
また、
図4および
図5に示されるように、励磁機回転子鉄心131の外周部には、回転中心軸Axの周方向に互いに間隔をおいて軸方向に延びた複数のスロット136が形成されている。これら複数のスロット136に励磁機回転子巻線132が入れられている。励磁機回転子巻線132は、励磁機回転子鉄心131に固定されている。
【0035】
図3~
図5に示されるように、スパイダ150は、回転中心軸Axまわりの環状(円筒状)であり、その径方向の内側に励磁装置用シャフト26が入れられ、励磁装置用シャフト26に固定されている。
【0036】
スパイダ150は、内周面150aと、外周面150bと、を有する。また、スパイダ150には、複数の軸方向溝151と、複数の周方向溝152と、が設けられている。スパイダ150は、ブラケットや固定部材とも称される。
【0037】
軸方向溝151は、回転中心軸Axの軸方向にスパイダ150を貫通するとともにスパイダ150の外周面150bに開口し、冷却用気体が通過可能である。複数の軸方向溝151は、周方向に間隔をあけて設けられている。軸方向と直交する軸方向溝151の断面は、軸方向で一定である。なお、軸方向と直交する軸方向溝151の断面は、軸方向で変化してもよい。軸方向溝151は、軸方向流路とも称される。
【0038】
周方向溝152は、鉄心流路135に対して径方向の内側に位置し、スパイダ150の外周面150bに開口するとともに軸方向溝151から回転中心軸Axの周方向に延びている。周方向溝152は、周方向で隣り合う二つの軸方向溝151に亘っている。周方向と直交する周方向溝152の断面は、周方向で一定である。なお、周方向と直交する周方向溝152の断面は、周方向で変化してもよい。また、周方向溝152の深さは、軸方向溝151の深さよりも浅い。なお、周方向溝152の深さは、軸方向溝151の深さと同じであってもよい。周方向溝152は、周方向流路とも称される。
【0039】
これらの軸方向溝151と周方向溝152とは、周方向に環状の環状流路153を構成している。
【0040】
励磁機固定子122による直流の界磁の内側で、励磁機回転子121が回転中心軸Axまわりに回転すると、励磁機回転子121の励磁機回転子121には、交流の誘導起電力が発生する。励磁機回転子巻線132に発生する交流電力は、回転整流器115によって直流電力に変換され、同じく回転中心軸Axまわりに回転する回転子鉄心22に設けられた界磁巻線に供給される。この界磁によって、固定子巻線32すなわち電機子巻線に誘導起電力が発生する。
【0041】
図1に示されるように、筐体10は、第2の室10bを囲う励磁装置カバー63を有する。励磁装置カバー63と、冷却器カバー62の間には、励磁装置カバー63と冷却器カバー62を連通する励磁装置入口ダクト64が設けられている。また、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55b間には、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55bを連通する励磁装置出口ダクト65が設けられている。
【0042】
第1の室10aは、軸方向の両端に設けられる連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bと、連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bの間で第1のシャフト21に沿って設けられたフレーム61により形成される。第2の室10bは、隔壁部15と、励磁機側軸受ブラケット55bと、励磁装置カバー63により形成される。
【0043】
励磁装置出口ダクト65には、第1の室10aと第2の室10bとを連通する流路59cが設けられる。流路59cの一方の端部である第1の開口端59aは、励磁機側軸受ブラケット55bの上端部に開口する。これにより、第1の開口端59aは、第1の室10aに開口する。また、流路59cの他方の端部である第2の開口端59bは、回転体110から径方向に離間した位置で励磁装置カバー63に開口する。これにより、第2の開口端59bは、第2の室10bに開口する。本実施形態では、第2の開口端59bは、回転体110から上方向に離間した位置で第2の室10bに開口する。
【0044】
励磁装置入口ダクト64は、励磁装置出口ダクト65よりも第1の室10aから離間した位置で、励磁装置カバー63に連結される。軸方向において、励磁装置入口ダクト64が励磁装置カバー63に連結された位置と、第2の開口端59bとの間に、励磁機120が設けられる。
【0045】
フレーム61と、冷却器カバー62と、励磁装置カバー63と、励磁装置入口ダクト64と、励磁装置出口ダクト65は、密閉空間70を形成する。密閉空間70は、励磁装置カバー部75と、フレーム中央部76と、冷却器カバー部77と、ファン入口部78,79と、を有する。励磁装置カバー部75は、第2の室10bに含まれる。フレーム中央部76およびファン入口部78,79は、第1の室10aに含まれる。
【0046】
フレーム中央部76は、仕切り板51dと仕切り板51fとの間に位置し、回転子鉄心22および固定子30が設けられている領域である。ファン入口部78は、内扇ファン25aおよび仕切り板51dと連結側軸受45aとの間の部分である。ファン入口部79は、励磁機側軸受45bと内扇ファン25bおよび仕切り板51fとの間の部分である。ファン入口部79は、流路59cを通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0047】
冷却器カバー部77は、冷却器カバー62により形成される。冷却器カバー部77は、冷却器入口開口51aを通じてフレーム中央部76に連通し、冷却器出口開口51b,51cを通じてファン入口部78,79に連通する。また、冷却器カバー部77は、励磁装置入口ダクト64を通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0048】
以上のように構成された本実施形態において、回転電機200の運転中、第1のシャフト21が回転する。この結果、内扇ファン25a,25bが回転し、密閉空間70内で冷却用気体を循環させる。
【0049】
冷却用気体は、フレーム中央部76から冷却器入口開口51aを経て冷却器カバー部77に流入する。冷却用気体は、冷却器カバー部77内の冷却器66において冷却された後、一部が、冷却器出口開口51bを経由してファン入口部78に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。また他の一部は、冷却器出口開口51cを経由してファン入口部79に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。このようにして、冷却用気体は、回転子鉄心22および固定子30を冷却する。
図1は、冷却用気体の流れ(気流)を矢印で図示する。
【0050】
また、冷却器カバー部77からファン入口部79への流れに並行して、励磁装置カバー部75を経由する流れが存在する。すなわち、冷却用気体が、冷却器カバー部77内の冷却器66において冷却された後、励磁装置入口ダクト64を通過して励磁装置カバー部75に流入し、さらに、励磁装置出口ダクト65内の流路59cを経由して、ファン入口部79に流入する。励磁装置カバー部75を流れる冷却用気体が、励磁装置100を通過すして、励磁装置100を冷却する。
【0051】
例えば、励磁装置100においてスパイダ150の軸方向溝151に流入した冷却用気体の一部は、軸方向溝151を通過する。軸方向溝151に流入した冷却用気体の他の一部は、軸方向溝151の途中から周方向溝152に流れて、周方向溝152から励磁機回転子121の鉄心流路135に径方向内側から流入し、鉄心流路135を径方向外側に流れて通過する。このように流れる冷却用気体によって、励磁機回転子121が冷却される。
【0052】
以上のように、本実施形態では、励磁機120は、励磁装置用シャフト26(シャフト)と、スパイダ150と、励磁機回転子121(回転子)と、励磁機固定子122と、を備える。励磁装置用シャフト26は、回転中心軸Axまわりに回転可能である。スパイダ150は、環状であり、励磁装置用シャフト26が入れられ、励磁装置用シャフト26に固定されている。励磁機回転子121は、励磁機回転子鉄心131と、励磁機回転子鉄心131と、を有する。励磁機回転子鉄心131は、スパイダ150が入れられ、スパイダ150を介して励磁装置用シャフト26に固定されている。励磁機回転子巻線132は、励磁機回転子鉄心131に固定されている。励磁機固定子122は、環状であり、励磁機回転子121が入れられている。励磁機回転子鉄心131には、鉄心流路135が設けられている。鉄心流路135は、回転中心軸Axの径方向に励磁機回転子鉄心131を貫通し、冷却用気体(気体)が通過可能である。スパイダ150には、軸方向溝151と、周方向溝152と、が設けられている。軸方向溝151は、回転中心軸Axの軸方向にスパイダ150を貫通するとともにスパイダ150の外周面150bに開口し、冷却用気体が通過可能である。周方向溝152は、鉄心流路135に対して径方向の内側に位置し、スパイダ150の外周面150bに開口するとともに軸方向溝151から回転中心軸Axの周方向に延びている。
【0053】
このような構成によれば、スパイダ150に周方向溝152が設けられているので、周方向溝152が設けられていない構成に比べて、冷却用気体が励磁機回転子鉄心131の鉄心流路135に流れやすく、鉄心流路135へ流れる冷却用気体の流量を増加させることができる。よって、上記構成によれば、励磁機回転子鉄心131を冷却用気体によって効率的に冷却することができる。すなわち、励磁機回転子鉄心131の冷却効率を向上させることができる。
【0054】
また、軸方向溝151と周方向溝152とは、周方向に環状の環状流路153を構成している。
【0055】
このような構成によれば、励磁機回転子鉄心131をより一層効率的に冷却することができる。
【0056】
また、軸方向溝151は、前記周方向に間隔をあけて複数設けられている。周方向溝152は、周方向で隣り合う二つの軸方向溝151に亘っている。
【0057】
このような構成によれば、励磁機回転子鉄心131をより一層効率的に冷却することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、周方向溝152が、周方向で隣り合う二つの軸方向溝151に亘っている例が示されたが、これに限定されない。周方向溝152は、一つの軸方向溝151から周方向に延びていればよく、隣の軸方向溝151まで延びていなくもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、励磁機回転子鉄心131に、軸方向溝151を流れる冷却用気体を周方向溝152にガイドするガイド部を設けてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
26…励磁装置用シャフト(シャフト)、120…励磁機、121…励磁機回転子(回転子)、122…励磁機固定子、131…励磁機回転子鉄心(回転子鉄心)、132…励磁機回転子巻線(回転子巻線)、135…鉄心流路、150…スパイダ、150b…外周面、151…軸方向溝、152…周方向溝、153…環状流路、Ax…回転中心軸。