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特開2024-36211チャネル推定を高精度化するネットワークノード、端末装置、制御方法、及び、プログラム
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  • 特開-チャネル推定を高精度化するネットワークノード、端末装置、制御方法、及び、プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036211
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】チャネル推定を高精度化するネットワークノード、端末装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20240308BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20240308BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W72/04 136
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141007
(22)【出願日】2022-09-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度総務省、「日米産学連携を通じた5G高度化の国際標準獲得のための無線リンク技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神渡 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】菅野 一生
(72)【発明者】
【氏名】天野 良晃
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067JJ13
(57)【要約】
【課題】送受信点と端末装置との間のチャネル推定を高精度化すること。
【解決手段】複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、複数の送受信点の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと、複数の送受信点の他の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおけるネットワークノードは、複数の送受信点の一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で端末装置から送信されたSRSの、複数の送受信点の他の一部における受信品質の測定の結果に関連する情報を他のネットワークノードから受信し、その情報に基づいて、SRSの第2の送信電力を決定し、複数の送受信点の一部の少なくともいずれかを用いて、第2の送信電力で端末装置にSRSを送信させるための通知を端末装置へ送信する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記ネットワークノードであって、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された前記SRSの、前記複数の送受信点の前記他の一部における受信品質の測定の結果に関連する情報を前記他のネットワークノードから受信する受信手段と、
前記情報に基づいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する決定手段と、
前記複数の送受信点の前記一部の少なくともいずれかを用いて、前記第2の送信電力で前記端末装置に前記SRSを送信させるための通知を当該端末装置へ送信する通知手段と、
を有することを特徴とするネットワークノード。
【請求項2】
前記情報は、前記複数の送受信点の前記他の一部における前記SRSの受信品質の測定の結果に基づく、前記他のネットワークノードからの前記SRSの送信電力の変更指示情報であり、
前記決定手段は、前記情報を受信した場合に、前記変更指示情報に従って前記第2の送信電力を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記決定手段は、前記変更指示情報を受信した場合、前記第2の送信電力が前記第1の送信電力より高くなるように、前記第2の送信電力を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記情報は、前記複数の送受信点の前記他の一部における前記SRSの受信品質の測定の結果を示す情報であり、
前記決定手段は、前記測定の結果の情報に基づいて、前記複数の送受信点の前記他の一部において前記SRSが受信されるべき電力が所定値となるように前記第2の送信電力を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記通知手段は、さらに、前記他のネットワークノードへ前記第2の送信電力を通知することを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記複数の送受信点の前記一部における前記SRSの受信品質の測定の結果を取得する取得手段と、
前記複数の送受信点の前記一部における前記SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報を前記他のネットワークノードへ送信する送信手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項7】
複数の送受信点の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて端末装置と通信する他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける、前記ネットワークノードであって、
前記複数の送受信点の前記一部におけるサウンディング参照信号(SRS)の受信品質の測定の結果を取得する取得手段と、
前記複数の送受信点の前記一部における、前記複数の送受信点の前記他の一部において前記SRSが受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された、前記SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報であって、前記他のネットワークノードにおいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する際に使用される前記情報を当該他のネットワークノードへ送信する送信手段と、
を有することを特徴とするネットワークノード。
【請求項8】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記端末装置であって、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で、前記複数の送受信点のそれぞれでの測定のための前記SRSを送信し、当該SRSの送信の後に、前記複数の送受信点の前記他の一部において当該SRSが受信されるべき電力に従って決定された第2の送信電力で前記SRSを送信すべきことを示す情報を前記ネットワークノードから受信した場合に、当該第2の送信電力で前記SRSを送信する送信手段を有する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項9】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記ネットワークノードによって実行される制御方法であって、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された前記SRSの、前記複数の送受信点の前記他の一部における受信品質の測定の結果に関連する情報を前記他のネットワークノードから受信することと、
前記情報に基づいて、前記SRSの第2の送信電力を決定することと、
前記複数の送受信点の前記一部の少なくともいずれかを用いて、前記第2の送信電力で前記端末装置に前記SRSを送信させるための通知を当該端末装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
複数の送受信点の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて端末装置と通信する他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける、前記ネットワークノードによって実行される制御方法であって、
前記複数の送受信点の前記一部におけるサウンディング参照信号(SRS)の受信品質の測定の結果を取得することと、
前記複数の送受信点の前記一部における、前記複数の送受信点の前記他の一部において前記SRSが受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された、前記SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報であって、前記他のネットワークノードにおいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する際に使用される前記情報を当該他のネットワークノードへ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記端末装置によって実行される制御方法であって、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で、前記複数の送受信点のそれぞれでの測定のための前記SRSを送信することと、
当該SRSの送信の後に、前記複数の送受信点の前記他の一部において当該SRSが受信されるべき電力に従って決定された第2の送信電力で前記SRSを送信すべきことを示す情報を前記ネットワークノードから受信した場合に、当該第2の送信電力で前記SRSを送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記ネットワークノードに備えられたコンピュータに、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された前記SRSの、前記複数の送受信点の前記他の一部における受信品質の測定の結果に関連する情報を前記他のネットワークノードから受信させ、
前記情報に基づいて、前記SRSの第2の送信電力を決定させ、
前記複数の送受信点の前記一部の少なくともいずれかを用いて、前記第2の送信電力で前記端末装置に前記SRSを送信させるための通知を当該端末装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項13】
複数の送受信点の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて端末装置と通信する他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける、前記ネットワークノードに備えられたコンピュータに、
前記複数の送受信点の前記一部におけるサウンディング参照信号(SRS)の受信品質の測定の結果を取得させ、
前記複数の送受信点の前記一部における、前記複数の送受信点の前記他の一部において前記SRSが受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された、前記SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報であって、前記他のネットワークノードにおいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する際に使用される前記情報を当該他のネットワークノードへ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項14】
複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記端末装置に備えられたコンピュータに、
前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で、前記複数の送受信点のそれぞれでの測定のための前記SRSを送信させ、
当該SRSの送信の後に、前記複数の送受信点の前記他の一部において当該SRSが受信されるべき電力に従って決定された第2の送信電力で前記SRSを送信すべきことを示す情報を前記ネットワークノードから受信した場合に、当該第2の送信電力で前記SRSを送信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信におけるチャネル推定の高精度化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムにおける複信方法として、時分割複信(TDD)が知られている。TDDでは、上りリンク(端末装置からネットワークノード(基地局装置)へ信号が送信されるリンク)と下りリンク(ネットワークノードから端末装置へ信号が送信されるリンク)との通信に、同じ周波数チャネルにおける異なるタイムスロットを割り当てられて通信が行われる。TDDでは、上りリンクと下りリンクとで同じ周波数チャネルを使用するため、例えば、上りリンクのサウンディング参照信号(SRS)に基づいてネットワーク側において得られたチャネル推定値を、下りリンクにおける通信に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
下りリンクにおいては、1つ以上のネットワークノードによって提供される複数の送受信点から、1つの端末装置に向けて信号を送信することができる。このような下りリンクの信号送信を効率的に行うには、複数の送受信点のそれぞれと端末装置が有する複数のアンテナとの間のチャネル推定が高精度に行われることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、送受信点と端末装置との間のチャネル推定を高精度化するための技術を提供する。
【0005】
本発明の一態様によるネットワークノードは、複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記ネットワークノードであって、前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された前記SRSの、前記複数の送受信点の前記他の一部における受信品質の測定の結果に関連する情報を前記他のネットワークノードから受信する受信手段と、前記情報に基づいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する決定手段と、前記複数の送受信点の前記一部の少なくともいずれかを用いて、前記第2の送信電力で前記端末装置に前記SRSを送信させるための通知を当該端末装置へ送信する通知手段と、を有する。
【0006】
本発明の別の一態様によるネットワークノードは、複数の送受信点の一部を用いて端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて端末装置と通信する他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける、前記ネットワークノードであって、前記複数の送受信点の前記一部におけるサウンディング参照信号(SRS)の受信品質の測定の結果を取得する取得手段と、前記複数の送受信点の前記一部における、前記複数の送受信点の前記他の一部において前記SRSが受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で前記端末装置から送信された、前記SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報であって、前記他のネットワークノードにおいて、前記SRSの第2の送信電力を決定する際に使用される前記情報を当該他のネットワークノードへ送信する送信手段と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、複数の送受信点を用いて通信サービスの提供を受ける端末装置と、前記複数の送受信点の一部を用いて前記端末装置と通信するネットワークノードと、前記複数の送受信点の前記一部と異なる他の一部を用いて前記端末装置と通信する前記ネットワークノードと異なる他のネットワークノードとを含んだ無線通信ネットワークにおける前記端末装置であって、前記複数の送受信点の前記一部においてサウンディング参照信号(SRS)が受信されるべき電力に従って決定された第1の送信電力で、前記複数の送受信点のそれぞれでの測定のための前記SRSを送信し、当該SRSの送信の後に、前記複数の送受信点の前記他の一部において当該SRSが受信されるべき電力に従って決定された第2の送信電力で前記SRSを送信すべきことを示す情報を前記ネットワークノードから受信した場合に、当該第2の送信電力で前記SRSを送信する送信手段を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送受信点と端末装置との間のチャネル推定を高精度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信ネットワークの構成例を示す図である。
図2】装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】ネットワークノードの機能構成例を示す図である。
図4】端末装置の機能構成例を示す図である。
図5】無線通信ネットワークにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(ネットワーク構成)
図1に、本実施形態にかかる無線通信ネットワークの構成例を示す。本無線通信ネットワークは、地理的に分散配置された複数の送受信点(TRP)101~102と、その複数の送受信点を介してネットワークと通信する端末装置111とを含んで構成される。送受信点101~102は、それぞれ1つ以上のアンテナを含んで構成される。また、本実施形態では、送受信点101~102は、それぞれ異なるネットワークノードに接続されうる。すなわち、第1の送受信点101に接続された第1のネットワークノードと、第2の送受信点102に接続された第2のネットワークノードが協働して、端末装置111に対して無線通信サービスを提供する。なお、これは一例であり、送受信点101~102は、1つのネットワークノードに接続されてもよい。すなわち、1つのネットワークノードが、地理的に分散配置された複数の送受信点を介して、端末装置111と通信するように構成されうる。なお、以下では、各送受信点が別個のネットワークノードに接続される場合にそれらのネットワークノード間で行われる処理について説明するが、その処理は、複数の送受信点を配下に置く1つのネットワークノード内での処理として読み替え可能である。
【0012】
このような無線通信システムにおける無線通信サービスの品質は、端末装置111が有するアンテナと複数の送受信点101~102に含まれる各アンテナとの間のチャネル推定値の精度に依存する。ここで、本実施形態では、時分割複信(TDD)が用いられるものとすると、端末装置111から送信されるサウンディング参照信号(SRS)の無線品質が複数の送受信点の各アンテナにおいて測定されることにより下りリンクのチャネル推定が行われうる。TDDでは、各送受信点から端末装置111へ信号が送信される下りリンクと、端末装置111から各送受信点へ信号が送信される上りリンクとで、同じ周波数チャネルが用いられるからである。
【0013】
SRSは、例えば、端末装置111が有するアンテナごとにそれぞれ異なる系列であって、端末装置111と送受信点とにおいて既知の系列を用いて生成される。すなわち、例えば、端末装置111が4本のアンテナを有する場合、その4本のアンテナにおいてそれぞれ異なる系列を用いてSRSが生成される。そして、生成されたSRSは、同じ時間および周波数リソースにおいて、対応するアンテナから送信される。このようにして、SRSは、同じ時間及び周波数リソースにおいて、異なる系列を用いて電力方向に多重(符号分割多重)されて送信される。送受信点では、端末装置111の各アンテナに対応する系列を用いてSRSを検出し、端末装置111の各アンテナと送受信点との間のチャネル推定を行うことができる。なお、送受信点が複数のアンテナを有する場合には、その複数のアンテナのそれぞれにおいて、端末装置111の各アンテナとの間のチャネル推定が行われる。
【0014】
また、端末装置111は、例えば、制御用の通信を行うネットワークノードの配下の送受信点(例えば送受信点101)においてSRSが受信されるべき電力が所定値となるように決定された第1の送信電力を用いて、SRSを送信する。なお、これは一例であり、第1の送信電力は事前決定された値であってもよい。また、制御用の通信を行う際に使用された送信電力が、第1の送信電力として決定されてもよい。一例において、SRSの設定情報がネットワークノードから送信される際に、第1の送信電力が指定されうる。
【0015】
この場合、例えば、制御用の通信を行わないネットワークノードの配下の送受信点(例えば送受信点102)が、端末装置111から相対的に離れた位置に存在する場合、その送受信点においてSRSを十分な電力で受信することができないことが想定されうる。このような状況では、SRSを十分な電力で受信することができない送受信点において、十分に高い精度でチャネル推定を行うことができず、十分な通信性能を得ることが困難となってしまいうる。
【0016】
本実施形態では、このような事情に鑑み、例えば、一部の送受信点において、上述の第1の送信電力で端末装置111から送信されたSRSの測定の結果、その受信電力などの受信品質が不十分である場合に、SRSの送信電力を上昇させる手順を提供する。上述の第1の送信電力は、端末装置111との間で制御用の通信を行っているネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信電力が所定値となるように設定される。これに対して、端末装置111との間で制御用の通信を行わない他のネットワークノードの配下の送受信点では、SRSの受信電力が所定値より大幅に低くなりうる。この場合に、その他のネットワークノードは、端末装置111との間で制御用の通信を行っているネットワークノードへ、端末装置111のSRSの送信電力を上げさせるための情報を提供する。
【0017】
例えば、送受信点102を配下に有する第2のネットワークノードは、送受信点102においてSRSの受信電力が不十分である場合に、端末装置111と制御用の通信を行うと共に送受信点101を配下に有する第1のネットワークノードに対して、SRSの受信電力に関連する情報を通知する。そして、第1のネットワークノードは、第2のネットワークにおいてSRSの受信電力が十分となるように、SRSの第2の送信電力を決定し、配下の送受信点101を介して、端末装置111へその第2の送信電力を通知する。その後、端末装置111は、この第2の送信電力を用いてSRSを送信する。これによれば、端末装置111は、制御用の通信を行うネットワークノードの配下の送受信点のみを基準とした送信電力ではなく、それ以外の送受信点を基準とした送信電力で、SRSを送信することができる。この結果、制御用の通信を行わないネットワークノードの配下の送受信点においても十分な電力でSRSを受信することが可能となり、チャネル推定精度を十分に高くすることが可能となる。
【0018】
なお、SRSの受信電力に関連する情報は、第2のネットワークノードの配下の送受信点102におけるSRSの受信品質の測定の結果に基づいて生成された、SRSの送信電力の変更指示情報でありうる。例えば、SRSの送信電力の変更指示情報は、SRSの送信電力のターゲットの値と実際の受信電力との差分値だけ、SRSの送信電力を上昇させることを指示する情報でありうる。なお、第2のネットワークノードは、端末装置111の移動などによりSRSの受信電力が改善した場合には、SRSの送信電力を下げるように送信電力の変更指示情報を送信してもよい。これらの場合、SRSの送信電力の変更指示情報は、送信電力を変化させる量を示す値を含んだ情報として構成されうる。なお、第1のネットワークノードは、SRSの送信電力の変更指示情報によって示される値を、現在の第1の送信電力にそのまま加算して、端末装置111がSRSの送信に使用すべき第2の送信電力を決定しうる。そして、第1のネットワークノードは、その第2の送信電力でSRSを送信するように指示する信号を端末装置111へ通知しうる。ただし、これは一例に過ぎず、第2の送信電力は、SRSの送信電力の変更指示情報によって示される値と異なる値を第1の送信電力に加算した値として決定されてもよい。例えば、第1のネットワークノードは、SRSの送信電力の変更指示情報によって示される値より小さい値を第1の送信電力に加算した値を第2の送信電力として決定しうる。これによれば、SRSの送信電力を過剰に大きく又は小さくすることを防ぐことが可能となる。また、SRSの送信電力の変更指示情報は、例えば1dBなどの事前定義された値だけ、SRSの送信電力を上昇又は下降させることを指示する情報でありうる。第1のネットワークノードは、この情報を受信すると、端末装置111に対して、その指示されたSRSの送信電力の、事前定義された値だけの上昇又は下降の指示を送信しうる。
【0019】
また、第1のネットワークノードは、決定された第2の送信電力を第2のネットワークノードへ通知しうる。これによれば、第2のネットワークノードは、SRSがどの程度の送信電力で送信されたかを認識することができるため、例えばパスロスなどを正確に推定することができる。なお、第2のネットワークノードが大まかなパスロスを第1の送信電力で送信されたSRSによって特定した場合には、改めて第2の送信電力が通知される必要はない。また、第2のネットワークノードによる変更指示情報に基づいて送信電力の変更が行われる場合、第2のネットワークノードはSRSの送信電力を特定することができるため、第1のネットワークノードは、第2の送信電力を第2のネットワークノードへ通知しなくてもよい。
【0020】
なお、第1のネットワークノードは、第2のネットワークノードから、送信電力を変化させる量を示す値を含んだ情報を受信し、その値に応じて、事前定義された値だけのSRSの送信電力の上昇又は下降の指示を送信するようにしてもよい。第1のネットワークノードは、受信した値が送信電力を上昇させる値である場合には、事前定義された値だけSRSの送信電力の上昇を指示する情報を端末装置111に通知しうる。また、第1のネットワークノードは、受信した値が送信電力を下降させる値である場合には、事前定義された値だけSRSの送信電力の下降を指示する情報を端末装置111に通知しうる。なお、送信電力を上昇させる際の事前定義された第1の値は、送信電力を下降させる際の事前定義された第2の値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。例えば、第1の値を第2の値より大きくすることにより、送信電力が不足している際に、十分な送信電力となるまでの時間を短縮しながら、送信電力を下げた際に送信電力が大幅に不足することとなることを防ぐことができる。また、第2の値を第1の値より大きくすることにより、過剰な電力でSRSが送信されることを防ぐことが可能となる。なお、電力上昇のための値として複数の異なる値が事前定義されてもよく、また、それに加えてもしくはそれに代えて、電力下降のための値として複数の異なる値が事前定義されてもよい。例えば、+3dB、+1dB、-1dB、-3dBなどの段階的な値が、送信電力制御のために定義されてもよい。
【0021】
また、SRSの受信電力に関連する情報は、第2のネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信品質の測定の結果を示す値であってもよい。例えば、受信品質は、受信信号強度インジケータ(RSSI)や信号対雑音比(SNR)などによって表現されうる。第1のネットワークノードは、この受信品質の測定の結果の情報を受信すると、その受信品質がチャネル推定に適した値以上となるように、第2の送信電力を決定しうる。例えば、第1のネットワークノードは、第2のネットワークノードの配下の送受信点102においてSRSが受信されるべき電力が所定値となるように、第2の送信電力を決定しうる。なお、これは一例であり、第1のネットワークノードは、上述のように、事前定義された値だけSRSの送信電力が上昇または下降するように、第2の送信電力を決定してもよい。
【0022】
また、第1のネットワークノードは、自装置の配下の送受信点におけるSRSの受信品質の測定の結果を示す値と、第2のネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信品質の測定の結果を示す値との差分が所定値を超える場合に、第2の送信電力を決定するようにしてもよい。すなわち、第2のネットワークノードが、第1のネットワークノードにおけるSRSの受信品質と同等の受信品質でSRSを受信することができている場合には、不必要に送信電力の制御を行わなくてもよい。
【0023】
なお、第1のネットワークノードは、第2のネットワークノードが制御用の通信を行っている端末装置から送信されたSRSに関して、上述のようなSRSの受信電力に関連する情報を第2のネットワークノードへ通知するように構成されうる。このように、ネットワークノードは、端末装置との間で制御用の通信を行う場合の機能とそれ以外の機能とを有しうる。また、ネットワークノードは、端末装置との間での通信に使用される複数の送受信点のうち、SRSを十分な電力で受信することができていない送受信点がある場合に、上述のようにして、そのSRSの送信電力を上昇させうる。すなわち、制御用の通信を行っているか否かによらず、十分な品質でSRSを受信することができていない送受信点が存在する場合に、ネットワークノードは、端末装置に対して、SRSの送信電力を上昇させるための通知を行いうる。また、例えば、全ての送受信点におけるSRSの受信品質が十分である場合に、ネットワークノードは、端末装置に対して、SRSの送信電力を下降させるための通知を行いうる。
【0024】
なお、上述の構成例では、送受信点に接続されたネットワークノードがSRSの設定を決定する例について説明したが、任意の構成で上述の処理と同様の処理を行うことができる。例えば、各送受信点が上述のネットワークノードとしての機能を有してもよい。この場合、各送受信点が、他の送受信点と協働して、上述のようにして端末装置において使用されるべきSRSの送信電力の設定を決定してもよい。また、ネットワークノードより上位のノードにおいて、端末装置において使用されるべきSRSの送信電力の設定を決定してもよい。この場合、各送受信点の各アンテナにおけるSRSの受信品質の測定結果がその上位のノードに集約され、その上位のノードが、集約した情報に基づいて、端末装置において使用されるべきSRSの送信電力の設定を決定しうる。
【0025】
以上のようにして、端末装置との通信で使用される送受信点の全てにおいて十分な電力でSRSが受信されるようになり、チャネル推定精度を向上させることができる。
【0026】
(装置構成)
図2を用いて、ネットワークノード(例えば基地局装置)および端末装置のハードウェア構成例について説明する。ネットワークノードおよび端末装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、ネットワークノードおよび端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gやその後継規格の無線通信用の回路によって構成される。なお、図2では、1つの通信回路205が図示されているが、ネットワークノードおよび端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、ネットワークノードおよび端末装置は、5G用やその後継規格用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、ネットワークノードおよび端末装置は、5G用のアンテナとその後継規格用のアンテナとを別個に有してもよい。また、端末装置は、無線LAN等の他の無線通信ネットワークのための通信回路を有してもよい。なお、ネットワークノードおよび端末装置は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。また、ネットワークノードは、さらに、他のネットワークノードやコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。なお、ネットワークノードは、無線通信回路を有さず、送受信点との有線通信回路を有してもよい。すなわち、送受信点に無線通信機能を持たせ、ネットワークノードは、無線通信の処理には関与しないように構成されてもよい。
【0027】
図3に、ネットワークノードの機能構成例を示す。ネットワークノードは、その機能として、例えば、情報交換部301、送信電力決定部302、設定通知部303、及び受信品質取得部304を有する。なお、図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、ネットワークノードが有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、ネットワークノードは、5Gやその後継規格のネットワークノードが一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0028】
情報交換部301は、上述のようにして、他のネットワークノードとの間で情報を交換する。情報交換部301は、端末装置のサービングセルを提供する送受信点に接続されたネットワークノードに情報を集約するように動作する。例えば、端末装置のサービングセルを提供する送受信点を配下に有するネットワークノードの情報交換部301は、その端末装置の通信に使用される他の送受信点を配下に有する他のネットワークノードから、その端末装置から送信されたSRSの受信品質の測定の結果に関連する情報を受信する。ここで、端末装置がSRSを送信する際の送信電力は、例えば、サービングセルを提供する送受信点において、そのSRSの受信品質が所定値に達するように、その送受信点に接続されたネットワークノードにおいて決定された第1の送信電力でありうる。また、その第1の送信電力は、例えば、そのネットワークノードによる指示により、送信電力が上昇又は下降させられた電力であってもよい。また、SRSの受信品質の測定の結果に関連する情報は、例えば、上述のように、SRSの送信電力を変更することを指示する変更指示情報や、受信品質の値を示す情報でありうる。なお、情報交換部301は、XnインタフェースやNGインタフェースを介して他のネットワークノードと情報を交換しうる。
【0029】
送信電力決定部302は、情報交換部301において他のネットワークノードから取得したSRSの受信品質の測定の結果に関連する情報に基づいて、端末装置がSRSを送信する際に用いるべき第2の送信電力を決定する。例えば、情報交換部301において受信したSRSの送信電力の変更指示情報を受信した場合、その指示に基づいて第2の送信電力を決定する。また、送信電力決定部302は、情報交換部301において受信した、他のネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信品質に基づいて、その受信品質が所定値に達するように、第2の送信電力を決定しうる。
【0030】
設定通知部303は、送信電力決定部302において決定された第2の送信電力でSRSが送信されるように、設定情報を端末装置へ通知する。設定通知部303は、例えば、無線リソース制御(RRC)メッセージによって、端末装置へその設定情報を送信しうる。また、例えば、設定通知部303は、下りリンク制御情報(DCI)によってその設定情報を送信するようにしてもよい。このような構成により、ネットワークノードは、通信の状況に応じて、端末装置に容易かつ迅速にSRSの送信電力を変更させることが可能となる。また、設定通知部303は、例えば情報交換部301を介して、他のネットワークノードへ、最終的に決定した第2の送信電力を通知してもよい。
【0031】
受信品質取得部304は、ネットワークノード自身に接続されている送受信点において、端末装置から送信されたSRSの測定が行われた場合の、受信品質の測定結果の情報を送受信点から取得する。なお、送受信点は、受信した無線信号に対して例えば周波数変換のみ行ってネットワークノードに転送してもよい。この場合、受信品質取得部304は、その転送されてきた無線信号に基づいて、SRSの測定を行って、SRSの受信品質の測定結果を取得してもよい。なお、SRSの受信品質は、例えば、各送受信点におけるチャネル推定値の大きさ(チャネル推定値の絶対値)又はチャネル推定値の二乗値として取得されうる。また、SRSの受信品質は、例えば、信号対雑音比などの他のメトリックにより表現されてもよい。ネットワークノードは、そのSRSの受信品質の測定結果に関連する情報を、情報交換部301によって他のネットワークノードへ提供しうる。
【0032】
図4に、端末装置の機能構成例を示す。端末装置は、その機能として、例えば、設定受信部401、及び、SRS送信部402を有する。なお、図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置は、5Gやその後継規格の端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0033】
設定受信部401は、SRSの送信電力の設定を、サービングセルを提供するネットワークノードから受信する。このSRSの送信電力の設定は、例えば、無線リソース制御(RRC)メッセージによって、受信されうる。また、例えば、設定受信部401は、下りリンク制御情報(DCI)によって、SRSの送信電力の設定を示す情報を受信するようにしてもよい。SRS送信部402は、設定受信部401によって受信された送信電力の設定情報に基づいて送信電力を設定して、SRSを送信する。
【0034】
(処理の流れ)
続いて、無線通信ネットワークにおいて実行される処理の流れの例について、図5を用いて説明する。なお、ここで説明する処理ステップの詳細については上述の通りであるため、ここでは処理の流れの概要を述べるにとどめる。
【0035】
まず、サービングセルを提供する送受信点を配下に有する第1のネットワークノードと端末装置との間で、従来の処理と同様にして、SRSの送信電力の指定を含んだ設定を行う。まず、第1のネットワークノードは、端末装置に対して能力情報(UE Capability)の送信を要求する(S501)。端末装置は、この要求に応答して、UE Capabilityを第1のネットワークノードへ送信する(S502)。ここでのUE Capabilityは、例えば、端末装置111が使用可能な送信電力の最大値の情報等を含む。第1のネットワークノードは、このUE Capabilityに基づいて、初期的なSRSの送信電力の設定を含んだ設定情報を決定して、その設定情報を端末装置へ通知する(S503)。ここでのSRSの送信電力は、例えば、第1のネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信品質(例えば受信電力)が所定値に達するように決定された第1の送信電力でありうる。SRSの送信電力に関する設定を含んだ設定情報は、例えば、RRCシグナリングを用いて、第1のネットワークノードから端末装置へ通知されうる。端末装置は、このSRSの設定を受信すると、受信に成功したことを示すための応答メッセージを第1のネットワークノードへ通知する(S504)。これにより、初期的なSRSの設定が完了する。
【0036】
端末装置111は、SRSを生成して、S503で通知された第1の送信電力で、1つ以上のアンテナのそれぞれからそのSRSを送信する(S505)。第1のネットワークノード及び第2のネットワークノードは、それぞれに接続されている送受信点の各アンテナにおいて、端末装置111の各アンテナから送信されたSRSを測定する(S506)。第1のネットワークノード及び第2のネットワークノードは、このSRSに基づいてチャネル推定を行うと共に、SRSの受信品質の測定を行う。なお、SRSの受信品質の測定結果は、チャネル推定値の絶対値など、チャネル推定の結果を流用して取得されてもよい。
【0037】
ここで、第2のネットワークノードにおいて、SRSの受信品質の測定結果が高精度なチャネル推定には不十分であったものとする。この場合、一例において、第2のネットワークノードは、設定を変更すべきことを通知する変更指示情報を、サービングセルを提供している第1のネットワークノードへ通知する(S507)。この通知は、例えば、XnインタフェースやNGインタフェースを用いて行われうる。なお、第2のネットワークノードは、SRSの受信品質の測定結果を第1のネットワークノードへ通知してもよい。また、第2のネットワークノードは、設定を変更すべきことを通知するのではなく、例えば所定の受信品質の向上が要求されることなどを、第1のネットワークノードへ通知してもよい。第1のネットワークノードは、第2のネットワークノードから通知された情報に基づいて、SRSの送信電力を変更すべきか否かを決定する。ここでは、第1のネットワークノードが、送信電力を上昇させた第2の送信電力でSRSが送信されるべきことを決定したものとする(S508)。そして、第1のネットワークノードは、この決定した第2の送信電力でSRSが送信されるようにするための設定情報を端末装置へ通知する(S509)。ここでのSRSの設定情報の通知は、RRCメッセージを用いて行われてもよいし、DCI等の他の形式のメッセージを用いて行われてもよい。なお、第1のネットワークノードは、決定された第2の送信電力を第2のネットワークノードにも通知してもよい(S510)。この通知は、例えば、XnインタフェースやNGインタフェースを用いて行われうる。
【0038】
その後、端末装置は、通知された設定情報に基づいて、第2の送信電力でSRSを送信し(S511)、第1のネットワークノード及び第2のネットワークノードは、このSRSを用いてチャネル推定及び受信品質の測定を行う(S512)。このようなSRSの送信電力の設定が用いられることにより、第2のネットワークノードの配下の送受信点におけるSRSの受信品質が改善する。これにより、端末装置の各アンテナと送受信点のアンテナとの間のチャネル推定の精度を向上させることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、SRSの送信電力を制御することにより、ネットワークの送受信点におけるSRSの受信品質を向上させ、チャネル推定精度を向上させることができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0040】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5