(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036229
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】粉末冶金用混合粉
(51)【国際特許分類】
B22F 1/105 20220101AFI20240308BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240308BHJP
B22F 1/17 20220101ALI20240308BHJP
【FI】
B22F1/105
B22F1/00 V
B22F1/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141041
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】島本 葉菜子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼取 尚史
(72)【発明者】
【氏名】芦塚 康佑
(72)【発明者】
【氏名】宇波 繁
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018BA14
4K018BB04
4K018BC22
4K018BC28
4K018CA07
(57)【要約】
【課題】クリーンな潤滑剤である脂肪酸アミドを用いて、常温だけでなく金型温度上昇後にも優れた成形体の抜出性と圧縮性とを示す末冶金用混合粉を提供する。
【解決手段】粉末冶金用混合粉は、鉄基粉末と潤滑剤として脂肪酸アミドとを含み、脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド及び不飽和脂肪酸アミドを含み、不飽和脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの一方又は両方を含み、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの添加量を鉄基粉末100質量部に対する重量部でそれぞれb1、b2、b3及びb4で示した場合次式(1)から(3)を満たす。
0<(b1)+(b2)+(b3)+(b4)≦2.0…(1)
0<(b1)/(b2)<0.45…(2)
0<[(b3)+(b4)]/[(b1)+(b2)+(b3)+(b4)]≦0.35…(3)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄基粉末と、
潤滑剤として脂肪酸アミドと、を含み、
前記脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド及び不飽和脂肪酸アミドを含み、
前記不飽和脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの一方又は両方を含み、
前記飽和脂肪酸ビスアミド、前記飽和脂肪酸モノアミド、前記不飽和脂肪酸ビスアミド及び前記不飽和脂肪酸モノアミドの添加量を前記鉄基粉末100質量部に対する重量部でそれぞれb1、b2、b3及びb4で示した場合、次式(1)から(3)を満たす、粉末冶金用混合粉。
0<(b1)+(b2)+(b3)+(b4)≦2.0・・・式(1)
0<(b1)/(b2)<0.45・・・式(2)
0<[(b3)+(b4)]/[(b1)+(b2)+(b3)+(b4)]≦0.35・・・式(3)
【請求項2】
前記脂肪酸アミドは、炭素数11以上21以下の長鎖アルキル基又はアルケニル基を有する請求項1に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項3】
前記脂肪酸アミドは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸又はエルカ酸の誘導体である請求項1に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項4】
流動性改善剤として、カーボンブラック、金属酸化物微粒子及び金属石鹸のうち少なくとも一つを更に含む、請求項1から3の何れか一項に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項5】
合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を更に含む請求項1から3の何れか一項に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項6】
合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を更に含む請求項4に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項7】
前記合金用粉末及び前記切削性改善剤の一方又は両方が、前記脂肪酸アミドを介して前記鉄基粉末の粒子表面に付着している請求項5に記載の粉末冶金用混合粉。
【請求項8】
前記合金用粉末及び前記切削性改善剤の一方又は両方が、前記脂肪酸アミドを介して前記鉄基粉末の粒子表面に付着している請求項6に記載の粉末冶金用混合粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末冶金用混合粉に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末冶金とは、金属の粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼結し、寸法精度の高い部品をつくる技術である。粉末冶金によれば、複雑な形状の部品であっても、高い寸法精度で成形できることから、削り出しなどによる形状加工に比べて切削コストを大幅に低減することができる。そのため、粉末冶金製品は各種の機械や部品として、多方面に利用されている。
【0003】
粉末冶金では、主原料となる鉄基粉末に、必要に応じて銅粉、黒鉛粉、リン化鉄粉などの合金用粉末や、MnS等の切削性改善用粉末及び潤滑剤を混合した粉末冶金用混合粉(以下、混合粉と称する場合がある)を原料粉末として用いる。
【0004】
このような粉末冶金用混合粉を成形して製品を製造する上で、粉末冶金用混合粉に含まれる潤滑剤が果たす役割は極めて大きい。潤滑剤には、混合粉を金型で成形する際の混合粉に含まれる粒子間の摩擦を低減する作用と、成形に用いられる金型と粒子との間の摩擦を低減する作用とが求められる。
【0005】
混合粉を金型で成形する際の混合粉に含まれる粒子間の摩擦を低減する作用は、例えば成形時に潤滑剤が粒子間に介在することにより生じる。粒子間の摩擦が低減されることで粒子の再配列が促されて成形性が向上する。成形に用いられる金型と粒子との間の摩擦を低減する作用は、例えば金型表面に存在する潤滑剤が金型と粒子との間に介在することによって生ずる。金型と粒子との間の摩擦が低減されることで成形体表面での粒子の再配列が促され、成形性が向上する。これら2つの作用により、成形時に混合粉を高い密度まで圧縮することが可能となる。更に、金型と粒子との間の摩擦が低減されることで、金型と成形体との摩擦が低減され、また、金型からの成形体の離型性も向上する。成形体の金型からの抜出しは、例えばパンチによって押し出すことによって行われるが、金型と成形体との摩擦が大きいと、成形体の金型からの抜出しが行いにくくなったり、成形体の表面を傷つけてしまったりする場合がある。
【0006】
潤滑剤は、上記のように成形時や金型からの抜出し時に大きな役割を果たすものの、焼結体には残留しないことが求められる。成形体を金型から抜き出した後には潤滑剤は不要となるので、例えば、成形体の焼結時に潤滑剤が消失していることが望まれる。
【0007】
ところで、粉末冶金用混合粉には、更に結合剤として機能する成分が添加されることがある。ここで、結合剤とは、主成分である鉄基粉末の鉄粒子の表面に、添加成分である合金用粉末などを付着させるための成分のことである。鉄基粉末に、合金用粉末、切削性改善用粉末、及び潤滑剤などの添加成分を混合しただけの混合粉では、混合後に各成分が偏析する場合がある。特に合金用粉として一般的に用いられる黒鉛粉は、他の成分に比べて密度が小さいため、混合粉を流動や振動などさせると容易に偏析する。このような偏析を防止するために、鉄基粉末の粒子表面に結合剤を介して添加成分を付着させる場合がある。このような混合粉は、特に偏析防止処理粉と呼ばれる場合がある。偏析防止処理粉では、添加成分が鉄基粉末に付着しているため、上述したような成分の偏析が防止される。
【0008】
さて、一般に潤滑剤は鉄基粉末に比べて付着力が強いため、混合粉の流動性を悪化させるという問題がある。しかし、このような付着力を利用して、偏析防止処理粉に用いられる結合剤として潤滑剤としても機能する化合物を採用する場合がある。
【0009】
粉末冶金用混合粉は、一般に、300から1000MPaの圧力でプレス成形して、所定の部品形状とした後、1000℃以上の高温で焼結し、最終的な部品形状とされる。その際、混合粉に含まれる潤滑剤及び結合剤の総量は、一般的には、鉄基粉末100質量部に対し0.1から2質量部程度である。潤滑剤や結合剤は、密度が鉄基粉末に比べ小さいため、多量に添加すると成形体の密度が低下し、その結果、焼結体の密度が低下するという問題もある。そのため、成形体の密度を高くするためには潤滑剤や結合剤の添加量は少ないほうがよい。例えば結合剤として潤滑性能も有するものを用いれば、混合粉に添加する結合剤と潤滑剤との総量を減らすことができる。
【0010】
潤滑剤の潤滑性能は、潤滑剤に含まれる化合物の種類に大きく影響を受ける。脂肪酸アミド及び脂肪酸金属石鹸は粉末冶金用潤滑剤として汎用されている代表的な化合物である。脂肪酸アミドと脂肪酸金属石鹸とは、いずれも潤滑性に優れた物質である。しかし、脂肪酸金属石鹸は焼結時に金属酸化物生じて焼結体表面や焼結炉を汚染する場合がある。これに対し、脂肪酸アミドは焼結時に分解してすべての成分が揮発してしまうため、汚染が生じないクリーンな潤滑剤として活用されている。
【0011】
例えば、特許文献1では、ステアリン酸、オレイン酸モノアミド、ステアリン酸モノアミドから選ばれた1種以上と、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドから選ばれた1種以上を結合材兼潤滑剤として使用することが開示されている。
【0012】
また、特許文献2では、1級もしくは2級の脂肪酸アミドと、アルキレンビス脂肪酸アミドもしくは2級ないし3級のポリヒドロキシ脂肪酸アミドを組み合わせて使用することが開示されている。
【0013】
更に、特許文献3では、直鎖脂肪酸ビスアミド及び直鎖脂肪酸モノアミドと不飽和脂肪ビスアミド又は分枝脂肪酸ビスアミド又は不飽和脂肪酸モノアミドとを所定の割合で使用することが開示されている。
【0014】
更に、特許文献4では、不飽和脂肪酸ビスアミドと飽和ヒドロキシ脂肪酸を複合させた潤滑剤を使用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開1993-148505号公報
【特許文献2】特開2011-184708号公報
【特許文献3】国際公開2014/123106号
【特許文献4】特開2019-143200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
商業的な粉末冶金の成形プロセスでは、数百から数千個の部品を連続で成形する。そのような連続成形の過程においては、金型の温度が摩擦熱によって徐々に上昇する。金型の温度上昇の度合いは金型や部品の形状によって異なるが、側面積の大きい部品では70から80℃まで上昇することもある。したがって、粉末冶金用潤滑剤には、成形初期の常温の状態だけでなく、金型温度上昇後にも高い潤滑性を発揮することが求められる。しかしながら、特許文献1から4には、常温下での成形における成形密度や抜出力が記載されているのみで、金型温度上昇時の性能については言及されていない。
【0017】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、クリーンな潤滑剤である脂肪酸アミドを用いて、常温だけでなく金型温度上昇後にも優れた成形品の抜出性と圧縮性とを示す末冶金用混合粉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するための本発明に係る粉末冶金用混合粉は、以下のとおりである。
【0019】
[1] 鉄基粉末と、
潤滑剤として脂肪酸アミドと、を含み、
前記脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド及び不飽和脂肪酸アミドを含み、
前記不飽和脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの一方又は両方を含み、
前記飽和脂肪酸ビスアミド、前記飽和脂肪酸モノアミド、前記不飽和脂肪酸ビスアミド及び前記不飽和脂肪酸モノアミドの添加量を前記鉄基粉末100質量部に対する重量部でそれぞれb1、b2、b3及びb4で示した場合、次式(1)から(3)を満たす、粉末冶金用混合粉。
0<(b1)+(b2)+(b3)+(b4)≦2.0・・・式(1)
0<(b1)/(b2)<0.45・・・式(2)
0<[(b3)+(b4)]/[(b1)+(b2)+(b3)+(b4)]≦0.35・・・式(3)
【0020】
本発明に係る粉末冶金用混合粉は、更に以下のようであってよい。
【0021】
[2] 前記脂肪酸アミドは、炭素数11以上21以下の長鎖アルキル基又はアルケニル基を有する上記[1]に記載の樹脂被覆金属板。
【0022】
[3] 前記脂肪酸アミドは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸又はエルカ酸の誘導体である上記[1]又は[2]に記載の樹脂被覆金属板。
【0023】
[4] 流動性改善剤として、カーボンブラック、金属酸化物微粒子及び金属石鹸のうち少なくとも一つを更に含む上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の樹脂被覆金属板。
【0024】
[5] 合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を更に含む上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の樹脂被覆金属板。
【0025】
[6] 合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を更に含む上記[4]に記載の樹脂被覆金属板。
【0026】
[7] 前記合金用粉末及び前記切削性改善剤の一方又は両方が、前記脂肪酸アミドを介して前記鉄基粉末の粒子表面に付着している上記[5]に記載の樹脂被覆金属板。
【0027】
[8] 前記合金用粉末及び前記切削性改善剤の一方又は両方が、前記脂肪酸アミドを介して前記鉄基粉末の粒子表面に付着している上記[6]に記載の樹脂被覆金属板。
【発明の効果】
【0028】
本発明の粉末冶金用混合粉は、常温だけでなく金型温度上昇後にも優れた成形品の抜出性と圧縮性とを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態に係る粉末冶金用混合粉について説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施形態を例示すものであって、本発明はこれら例示に限定されない。
【0030】
まず、本実施形態に係る粉末冶金用混合粉の概要を説明する。
【0031】
本実施形態に係る粉末冶金用混合粉は、鉄基粉末と、潤滑剤として脂肪酸アミドと、を含む。脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド及び不飽和脂肪酸アミドを含む。不飽和脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの一方又は両方を含む。
【0032】
本実施形態に係る粉末冶金用混合粉では、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの添加量を鉄基粉末100質量部に対する重量部でそれぞれb1、b2、b3及びb4で示した場合、次式(1)から(3)を満たす。
【0033】
0<(b1)+(b2)+(b3)+(b4)≦2.0・・・式(1)
【0034】
0<(b1)/(b2)<0.45・・・式(2)
【0035】
0<[(b3)+(b4)]/[(b1)+(b2)+(b3)+(b4)]≦0.35・・・式(3)
【0036】
本実施形態に係る粉末冶金用混合粉は、クリーンな潤滑剤である脂肪酸アミドを用いており、常温だけでなく金型温度上昇後にも優れた成形品の抜出性と圧縮性とを実現することができる。
【0037】
以下、本実施形態に係る粉末冶金用混合粉について詳述する。
【0038】
本実施形態に係る粉末冶金用混合粉(以下、単に混合粉と称する場合がある)は、鉄基粉末と、脂肪酸アミドと以外に、更に、流動性改善剤、合金用粉末及び切削性改善剤のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0039】
本実施形態において、鉄基粉末は、Feを50質量%以上含む金属粉末である。なお、本実施形態において「鉄粉」とは、Fe及び不可避不純物からなる粉末を指す。「鉄粉」は、本技術分野においては一般的に「純鉄粉」と称される。
【0040】
鉄基粉末としては、特に限定されることなく任意の鉄基粉末を用いることができる。鉄基粉末の例としては、鉄粉や合金鋼粉が挙げられる。合金鋼粉としては、合金元素を溶製時に予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、鉄粉に合金元素を部分拡散させて合金化した部分拡散合金化鋼粉、予合金化鋼粉にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉など、任意のものを用いることができる。合金元素としては、例えば、C、Cu、Ni、Mo、Mn、Cr、V、及びSiからなる群より選択される1又は2以上を用いることができる。
【0041】
鉄基粉末としては、酸化鉄を還元して製造される還元鉄基粉末や、アトマイズ法によって製造されるアトマイズ鉄基粉末など、任意のものを用いることができる。
【0042】
鉄基粉末の粒子径は特に限定されないが、鉄基粉末の粒子径は、メジアン径(50%粒子径:D50)が30から120μmであることが好ましい。
【0043】
混合粉の全質量に対する鉄基粉末の質量の割合は特に限定されない。混合粉の全質量に対する鉄基粉末の質量の割合は、86質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。
【0044】
潤滑剤として、脂肪酸アミドを含む。本実施形態に係る混合粉は、潤滑剤としての脂肪酸アミドとして、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド及び不飽和脂肪酸アミドを含む。不飽和脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの一方又は両方を含む。
【0045】
本実施形態に係る混合粉では、飽和脂肪酸ビスアミド、飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド及び不飽和脂肪酸モノアミドの添加量を鉄基粉末100質量部に対する重量部でそれぞれb1、b2、b3及びb4で示した場合、上述の式(1)から(3)を満たす。
【0046】
すなわち、b1、b2、b3及びb4の合計量は、鉄基粉末に対して0質量部より大きく2.0質量部以下であることが望ましい(式1参照)。合計量がこの範囲内であることで、混合粉の圧縮成形時に成形密度が高くなる。なお、この合計量が2.0質量部を超えると、圧縮時の成形密度が低下する場合がある。
【0047】
b2に対するb1の比は、0より大きく0.45未満であることが望ましい(式2参照)。b2に対するb1の比がこの範囲内であると、常温成形時及び金型温度上昇後の成形密度を高め、且つ、金型からの成形体の抜出力を低くすることができる。
【0048】
b1、b2、b3及びb4の合計量に対するb3及びb4の合計量の比は、0より大きく0.35以下であることが望ましい。b3及びb4の合計量の割合がこの範囲内であると、金型温度上昇後の成形密度を高め、且つ、金型からの成形体の抜出力を低くすることができる。b3及びb4の合計量の割合が高くなりすぎると、金型温度上昇後の成形密度が下がり、かつ抜出力が高くなってしまう場合がある。
【0049】
脂肪酸アミドは、炭素数11以上の長鎖アルキル基又はアルケニル基を有することが望ましい。アルキル鎖もしくはアルケニル鎖が短くなると潤滑性が保たれなくなるためである。また、容易に入手できるという観点から、脂肪酸アミドのアルキル鎖もしくはアルケニル鎖の炭素数は21以下とすることが好ましい。脂肪酸アミドは、具体的には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を原料とするアミドであることが好ましい。すなわち、脂肪酸アミドは、具体的には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸の誘導体であることが好ましい。
【0050】
流動性改善剤は、カーボンブラック、金属酸化物微粒子又は金属石鹸である。本実施形態に係る混合粉は、流動性改善剤として、カーボンブラック、金属酸化物微粒子及び金属石鹸のうち、少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより、混合粉の流動性が向上して圧縮成形時の金型への投入が円滑となる。また、圧縮成形時の成形性が向上する。
【0051】
合金用粉末は、混合粉の成形体の強度を向上させるために用いる。合金用粉末は、特に限定されることなく、合金成分となり得る粉末であれば任意のものを用いることができる。合金用粉末としては、例えば、C、Cu、Ni、Mo、Mn、Cr、V、及びSiからなる群より選択される1又は2以上の粉末を用いることができる。Cを合金成分として用いる場合、合金用粉末として黒鉛粉を用いることが好ましい。
【0052】
合金用粉末を含有する混合粉を焼結すると、合金元素が鉄に固溶して合金化する。そのため、合金用粉末を用いることにより、最終的に得られる焼結体の強度を向上させることができる。
【0053】
切削性改善剤としては、例えば、MnS、CaF2、及びタルクからなる群より選択される1又は2以上を用いることができる。切削性改善剤を添加することにより、最終的に得られる焼結体の切削性(加工性)を向上させることができる。
【0054】
合金用粉末及び切削性改善剤は必ずしも含有される必要はない。合金用粉末及び切削性改善剤は、鉄基粉末100質量部に対する合計量の下限を0質量部とすることができる。
【0055】
合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を混合粉に添加する場合、合金用粉末及び切削性改善剤の添加量は特に限定されず、任意の量とすることができる。合金用粉末及び切削性改善剤の合計量は、鉄基粉末100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましく、7質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることがさらに好ましい。合金用粉末及び切削性改善剤の合計量を上記範囲内とすることにより、焼結体の密度をさらに高め、焼結体の強度を一層向上させることができる。
【0056】
合金用粉末及び切削性改善剤が含有される場合、これらの合計量は0.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましく、1質量部以上とすることがさらに好ましい。合金用粉末及び切削性改善剤の合計量を上記範囲内とすることにより、それら成分の添加効果をより高めることができる。
【0057】
以下では、混合粉の製造方法について説明する。
【0058】
本発明の混合粉は、特に限定されず、任意の方法で製造することができる。例えば、鉄基粉末、潤滑剤(脂肪酸アミド)、流動性改善剤、合金用粉末及び切削性改善剤の各成分を、混合機を用いて混合して混合粉末とすることができる。各成分の添加と混合は、1回で行うこともできるが、2回以上に分けて行うこともできる。
【0059】
合金用粉末や切削性改善剤を、鉄基粉末の粒子表面に付着させる場合、例えば、鉄基粉末及び潤滑剤(脂肪酸アミド)と、合金用粉末や切削性改善剤とを以下のように加熱混合して、潤滑剤を結合材として付着させるとよい。すなわち、合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を、潤滑剤及び鉄基粉末と共に撹拌して混合する。これにより、合金用粉末や切削性改善剤を、脂肪酸アミドを介して、鉄基粉末の粒子表面に付着させることができる。以下では、撹拌によって混合することを、単に混合又は混合する、と記載する。この際、混合中の粉末を、潤滑剤の融点以上に加熱しつつ混合し、その後、混合しながら徐々に冷却すればよい。
【0060】
上記のような加熱混合を行い、且つ、カーボンブラック、金属酸化物及び金属石鹸のうち少なくとも一つを添加する場合は、上記のようにして合金用粉末及び切削性改善剤の一方又は両方を鉄基粉末の粒子表面に付着させた後、カーボンブラック、金属酸化物及び金属石鹸のうち少なくとも一つを更に添加して混合するとよい。カーボンブラック、金属酸化物及び金属石鹸のうち少なくとも一つの添加後の混合操作は、一度固着させた潤滑剤(脂肪酸アミド)が溶融することのないよう、潤滑剤の融点以下で行う。
【0061】
混合粉の製造に用いる混合方法又は混合装置は特に制限はない。混合粉の製造に用いる混合装置としては、各種公知の混合機など任意のものを使用できる。混合装置の一例は、V型混合機、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機、及び円錐遊星スクリュー形混合機である。これら混合装置は、2以上の装置を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
なお、加熱混合は必須ではない。すなわち、加熱混合を一切行わず、常温ですべての成分を混合して混合粉を製造してもよい。
【実施例0063】
[実験例1]
表1に記載の配合で各成分をV型混合機に投入し、10分間混合して実験例1に係る各混合粉を製造し、更にこれら混合粉を圧縮成形して成形体を得た。なお、表1では、鉄基粉末の配合量を100質量部とし、その他の成分の配合量を鉄基粉末100質量部に対する量(質量部)で示している。
【0064】
【0065】
表1中、項目「(b1)+(b2)+(b3)+(b4)」、「(b1)/(b2)」
及び「[(b3)+(b4)]/[(b1)+(b2)+(b3)+(b4)]」中の下線を付した値は、これら項目の値が上述の式(1)から(3)の何れかを満たさず、本実施形態に係る要件を満たさないことを示している。
【0066】
鉄基粉末としては、アトマイズ法によって製造された鉄粉(純鉄粉)(JFEスチール株式会社製 JIP301A)を用いた。この鉄粉のメジアン径は80μmである。このメジアン径はレーザ回折式粒子径分布測定装置により測定した。
【0067】
合金用粉末としては、銅粉及び黒鉛粉を用いた。
【0068】
潤滑剤としての脂肪酸アミドの粉末や合金用粉末も、鉄粉と同様にしてメジアン径を測定した。合金用粉末として用いた銅粉のメジアン径は25μmである。黒鉛粉のメジアン径は4.2μmである。
【0069】
なお、脂肪酸アミドとしては、以下を用いた。飽和脂肪酸ビスアミドとして、エチレンビスステアリン酸アミド又はメチレンビスステアリン酸アミドを用いた。飽和脂肪酸モノアミドとして、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド又はベヘン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸ビスアミドとして、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸モノアミドとして、エチレンビスオレイン酸アミドを用いた。
【0070】
各混合粉は金型で圧縮成形し、抜出力と成形体密度とを評価した。これら評価結果も併せて表1に示す。
【0071】
抜出力は以下の手順で評価した。各混合粉を用いてJPMA P 13‐2022に規定された方法に従って、686MPaの成形圧力で直径11.3mm、高さ10mmの円柱状の成形体を作製した。このとき、金型にヒーターをセットして金型温度を30℃及び70℃に調整した。この評価では、金型から抜出す際の最大荷重を抜出力とした。この評価において、抜出力が低いほど、抜出性が優れている。なお、金型温度が70℃である場合は、商業的な粉末冶金の成形プロセスにおける連続成形の過程において、金型の温度が摩擦熱によって上昇した場合を模したものである。
【0072】
成形体密度はJIS Z 2508:2020に規定された方法に従って成形体の寸法と重量から算出した。成形体密度が高いほど、混合粉の圧縮性が優れている。
【0073】
本実施形態に係る(実施例に該当する)No.1から13の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.14から16の成形体と比べて、抜出性及び圧縮性の一方又は両方が優れていた。
【0074】
特に金型温度上昇後(圧粉特性(70℃))に着目すると、本実施形態に係るNo.1から13の成形体は、金型温度上昇後にも優れた抜出性と圧縮性とを示している。
【0075】
[実験例2]
実験例1と同様に、表2に記載の配合で各成分をV型混合機に投入し、10分間混合して実験例2に係る各混合粉を製造し、更にこれら混合粉を圧縮成形して成形体を得た。なお、表2では、鉄基粉末の配合量を100質量部とし、その他の成分の配合量を鉄基粉末100質量部に対する量(質量部)で示している。表1と同様に、表2中、本実施形態の要件を満たさない部分の値には下線を付している。
【0076】
【0077】
なお、脂肪酸アミドとしては、以下を用いた。飽和脂肪酸ビスアミドとして、エチレンビスステアリン酸アミドを用いた。飽和脂肪酸モノアミドとして、ステアリン酸アミド又はベヘン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸ビスアミドとして、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸モノアミドとして、エチレンビスオレイン酸アミドを用いた。
【0078】
各混合粉は金型で圧縮成形し、抜出力と成形体密度とを、実験例1と同様にして評価した。これら評価結果も併せて表2に示す。
【0079】
本実施形態に係るNo.17、19、21、23の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.18、20、22、24の成形体と比べて、抜出性及び圧縮性の一方又は両方が優れていた。
【0080】
特に金型温度上昇後(圧粉特性(70℃))に着目すると、本実施形態に係るNo.17、19、21、23の成形体は、それぞれ、「(b1)/(b2)」に関連する条件以外が同じ条件のNo.18、20、22、24と比べて、金型温度上昇後にも優れた抜出性と圧縮性を示している。
【0081】
[実験例3]
実験例1、2と同様に、表3に記載の配合で各成分をV型混合機に投入し、10分間混合して実験例3に係る各混合粉を製造し、更にこれら混合粉を圧縮成形して成形体を得た。なお、表3では、鉄基粉末の配合量を100質量部とし、その他の成分の配合量を鉄基粉末100質量部に対する量(質量部)で示している。なお、実験例3では、実験例1、2とは異なり、更に流動性改善剤としてカーボンブラック、金属酸化物(酸化チタン:TiO2又はシリカ:SiO2)又は金属石鹸(ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸リチウム)を添加している。表1と同様に、表3中、本実施形態の要件を満たさない部分の値には下線を付している。
【0082】
【0083】
なお、脂肪酸アミドとしては、以下を用いた。飽和脂肪酸ビスアミドとして、エチレンビスステアリン酸アミド又はメチレンビスステアリン酸アミドを用いた。飽和脂肪酸モノアミドとして、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド又はベヘン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸ビスアミドとして、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸モノアミドとして、エチレンビスオレイン酸アミドを用いた。
【0084】
各混合粉について、粉体特性として見掛密度と流動性とを評価した。これら評価結果も併せて表3に示す。
【0085】
見掛密度は、JIS Z 2504:2020に規定された方法に従って、直径2.5mmの漏斗を使用し、評価した。見掛密度は、その値が大きいほど良好である。
【0086】
流動性は、JIS Z 2502:2020に規定された方法に従って、オリフィスの直径2.5mmの漏斗を使用し、50gの混合粉が流れ落ちるまでの時間を測定した。流動性は、混合粉が流れ落ちるまでの時間が短いほど良好である。
【0087】
また、各混合粉は金型で圧縮成形し、抜出力と成形体密度とを、実験例1と同様にして評価した。これら評価結果も併せて表3に示す。
【0088】
流動性改善剤としてカーボンブラック、金属酸化物又は金属石鹸を加えたことで、良好な見掛密度と流動性を示した。流動性に問題がある粉末の場合、JIS Z 2502:2020に規定された方法では粉が漏斗から排出されず測定できないことがある。しかし、No.25から40の混合粉はいずれも流動性を測定できていることから、良好な流動性を示したと言える。
【0089】
また、本実施形態に係るNo.25から28、30から33、35、36、38、39の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.29、34、37、40の成形体と比べて、抜出性と圧縮性との少なくとも一方が優れていた。
【0090】
特に金型温度上昇後(圧粉特性(70℃))に着目すると、本実施形態に係るNo.25から28、30から33、35、36、38、39の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.29、34、37、40の成形体と比べて、金型温度上昇後において、圧縮性は同等となるものもあるものの、少なくとも抜出性において優れている。
【0091】
[実験例4]
実験例3と同様に、表4に記載の配合で各成分をV型混合機に投入し、10分間混合して実験例4に係る各混合粉を製造し、更にこれら混合粉を圧縮成形して成形体を得た。なお、表4では、鉄基粉末の配合量を100質量部とし、その他の成分の配合量を鉄基粉末100質量部に対する量(質量部)で示している。なお、実験例4では、実験例3とは異なり、更に切削性改善剤として硫化マンガン(MnS)を添加している。
【0092】
【0093】
なお、脂肪酸アミドとしては、以下を用いた。飽和脂肪酸ビスアミドとして、エチレンビスステアリン酸アミド又はメチレンビスステアリン酸アミドを用いた。飽和脂肪酸モノアミドとして、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド又はベヘン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸ビスアミドとして、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸モノアミドとして、エチレンビスオレイン酸アミドを用いた。
【0094】
また、流動性改善剤としてカーボンブラック、金属酸化物(シリカ:SiO2)又は金属石鹸(ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸リチウム)を添加している。
【0095】
実験例3と同様に、混合粉の見掛密度及び流動性と、成形体の抜出力及び成形体密度とを評価した。これら評価結果も併せて表4に示す。
【0096】
本実験例では切削性改善剤を新たに加えたが、本実施形態に係るNo.41、43、45、47の混合粉は、良好な見掛密度と流動性を示している。また、本実施形態に係るNo.41、43、45、47の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.42、44、46、48の成形体と比べて抜出性及び圧縮性の少なくとも一方が優れていた。
【0097】
特に金型温度上昇後(圧粉特性(70℃))に着目すると、本実施形態に係るNo.41、43、45、47の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.42、44、46、48の成形体と比べて、金型温度上昇後において、圧縮性は同等となるものもあるが、少なくとも抜出性において優れている。
【0098】
[実験例5]
表5に記載の配合で各成分を高速底部撹拌式混合機に投入して混合し、実験例5に係る各混合粉を製造し、更にこれら混合粉を圧縮成形して成形体を得た。なお、表5では、鉄基粉末の配合量を100質量部とし、その他の成分の配合量を鉄基粉末100質量部に対する量(質量部)で示している。なお、実験例5では、実験例3とは異なり、潤滑剤を2回に分けて添加している。
【0099】
【0100】
なお、脂肪酸アミドとしては、以下を用いた。飽和脂肪酸ビスアミドとして、エチレンビスステアリン酸アミドを用いた。飽和脂肪酸モノアミドとして、ステアリン酸アミド又はベヘン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸ビスアミドとして、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドを用いた。不飽和脂肪酸モノアミドとして、エチレンビスオレイン酸アミドを用いた。
【0101】
また、流動性改善剤としてカーボンブラック又は金属石鹸(ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸リチウム)を添加している。
【0102】
潤滑剤の添加は以下のようにして行った。まず、鉄基粉末に対して、合金用粉末と、潤滑剤の一部(表5において、1次添加量の欄に記載されている量)とを高速底部撹拌式混合機に投入し、1次添加の潤滑剤に含まれるすべての化合物の融点より高い温度で20分間加熱混合した後、その融点より低い温度に冷却した。その後、潤滑剤の一部(表5において、2次添加量の欄に記載されている量)及び流動性改善剤を添加し、室温で1分間混合し、実験例5に係る混合粉を得た。
【0103】
実験例3と同様に、混合粉の見掛密度及び流動性と、成形体の抜出力及び成形体密度とを評価した。これら評価結果も併せて表5に示す。
【0104】
本実施形態に係るNo.49、51、53の成形体は、本実施形態の要件を満たさないNo.50、52、54の成形体と比べて、金型温度上昇後(70℃)における抜出性及び圧縮性が優れていた。
【0105】
以上のようにして、粉末冶金用混合粉を提供することができる。
【0106】
なお、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。