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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036233
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】物品前出し装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/02 20060101AFI20240308BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A47F3/02
A47F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141051
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸平
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110JA02
3B118DA31
(57)【要約】
【解決課題】障害物がある場合でも希望の位置に物品を設置して、棚上のスペースを有効に活用することが可能な物品前出し装置を提供する。
【解決手段】物品前出し装置は、引出具と、ベースと、を備える。ベースは、本体部上に設けられた第1位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を幅方向における一方の端部に寄せて位置決め可能な第1位置決め部と、前記本体部上に設けられた第2位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における一方の端部とは反対側の他方の端部に寄せて位置決め可能な第2位置決め部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるロッド部と、前記ロッド部の前側に設けられ指を掛けることが可能な指掛け部と、前記ロッド部の後側に設けられ物品の背面に当接可能に前記ロッド部から起立した起立部と、を有する引出具と、
棚に載置される本体部であって前記引出具が前記前後方向に沿って進退移動可能に載置される本体部と、前記本体部の前側に設けられ前記本体部に対して起立した転び止め部と、前記転び止め部に設けられ前記引出具が通される貫通孔部であって、前記前後方向と交差する幅方向に長く延びた貫通孔部と、前記本体部上に設けられた第1位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における一方の端部に寄せて位置決め可能な第1位置決め部と、前記本体部上に設けられた第2位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における前記一方の端部とは反対側の他方の端部に寄せて位置決め可能な第2位置決め部と、を有するベースと、
を備える物品前出し装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記本体部上に設けられた第3位置決め部を有し、前記第3位置決め部は、前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における中央部に位置決め可能である請求項1に記載の物品前出し装置。
【請求項3】
前記引出具は、前記ロッド部と前記指掛け部との間に設けられた段部を有し、前記段部は、前記ロッド部と交差する方向に延び且つ前記棚の前端面に当接可能である請求項1に記載の物品前出し装置。
【請求項4】
前記ロッド部は、前記指掛け部側に設けられる第1部分と、前記起立部側に設けられるとともに前記第1部分よりも前記幅方向における幅寸法が大きい第2部分と、を有し、
前記引出具は、前記段部が前記前端面に当接した第1位置と、前記第1位置よりも前方に引き出された第2位置と、の間で移動可能であり、
前記引出具が前記第1位置にあるときに、前記第2部分は、前記ベースよりも後側に突出している請求項3に記載の物品前出し装置。
【請求項5】
前記幅方向に関する前記起立部の長さは、前記幅方向に関する前記第1部分の長さよりも大きい請求項4に記載の物品前出し装置。
【請求項6】
前記ベースは、前記本体部から突出して前記引出具を前記前後方向に沿って進退移動可能に位置決めする複数のリブを有し、前記リブが前記本体部から突出する高さは、前記本体部上に載置された前記引出具の高さよりも大きい請求項1に記載の物品前出し装置。
【請求項7】
前記リブは、後側の端部に、後側に行くにつれて前記本体部からの突出高さが小さくなる傾斜部を有する請求項6に記載の物品前出し装置。
【請求項8】
前記転び止め部に対して着脱可能に装着されるPOSレールを備え、
前記POSレールは、前記貫通孔部を覆った第3位置と、前記引出具の前記第2位置への移動に伴い上方に持ち上げられた第4位置と、の間で回動可能である請求項4に記載の物品前出し装置。
【請求項9】
前記指掛け部は、前記段部の下端から前記前後方向に延び、前記引出具が前記第1位置にあるときに、前記第3位置にあるPOSレールの下端よりも下側で、前記下端よりも前側に配置される請求項8に記載の物品前出し装置。
【請求項10】
前記棚に固定可能に前記本体部から突出する固定部を有し、前記固定部は、前記転び止め部よりも後側に設けられる請求項1に記載の物品前出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を手前側に引き出すことが可能な物品前出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品の前出し装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この商品の前出し装置は、陳列棚前部の転び止めと、それとは別の他の転び止めと、棚板の前後方向に延びる商品の載置部材と、を有する。他の転び止めは、商品の載置部材を通すための長穴を有する。ユーザは、商品の載置部材を手前側に引き出して商品を前出しする際に、商品の載置部材の手前側の前端部を持ち上げて、商品の載置部材が転び止めを乗り越えることができるようにする。それによって、商品の前出しをすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-127622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、陳列棚の前部で、幅方向における両端部付近に柱などの障害物がある場合には、柱と商品の載置部材とが干渉してしまう問題がある。このため、希望の位置にこの商品の前出し装置を設置できないこととなり、その結果、希望の位置に商品を配置できず、棚上のスペースを有効に活用できなくなるという問題がある。
従って、本発明の目的は、障害物がある場合でも希望の位置に物品を設置して、棚上のスペースを有効に活用することが可能な物品前出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の物品前出し装置は、
前後方向に延びるロッド部と、前記ロッド部の前側に設けられ指を掛けることが可能な指掛け部と、前記ロッド部の後側に設けられ物品の背面に当接可能に前記ロッド部から起立した起立部と、を有する引出具と、
棚に載置される本体部であって前記引出具が前記前後方向に沿って進退移動可能に載置される本体部と、前記本体部の前側に設けられ前記本体部に対して起立した転び止め部と、前記転び止め部に設けられ前記引出具が通される貫通孔部であって、前記前後方向と交差する幅方向に長く延びた貫通孔部と、前記本体部上に設けられた第1位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における一方の端部に寄せて位置決め可能な第1位置決め部と、前記本体部上に設けられた第2位置決め部であって前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における一方の端部とは反対側の他方の端部に寄せて位置決め可能な第2位置決め部と、を有するベースと、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)の物品前出し装置は、(1)記載の物品前出し装置であって、
前記ベースは、前記本体部上に設けられた第3位置決め部を有し、前記第3位置決め部は、前記本体部上において前記引出具を前記幅方向における中央部に位置決め可能である。
【0007】
また、本発明(3)の物品前出し装置は、(1)記載の物品前出し装置であって、
前記引出具は、前記ロッド部と前記指掛け部との間に設けられた段部を有し、前記段部は、前記ロッド部と交差する方向に延び且つ前記棚の前端面に当接可能である。
【0008】
また、本発明(4)の物品前出し装置は、(3)に記載の物品前出し装置であって、
前記ロッド部は、前記指掛け部側に設けられる第1部分と、前記起立部側に設けられるとともに前記第1部分よりも前記幅方向における幅寸法が大きい第2部分と、を有し、
前記引出具は、前記段部が前記前端面に当接した第1位置と、前記第1位置よりも前方に引き出された第2位置と、の間で移動可能であり、
前記引出具が前記第1位置にあるときに、前記第2部分は、前記ベースよりも後側に突出している。
【0009】
また、本発明(5)の物品前出し装置は、(1)に記載の物品前出し装置あって、
前記幅方向に関する前記起立部の長さは、前記幅方向に関する前記第1部分の長さよりも大きい。
【0010】
また、本発明(6)の物品前出し装置は、(1)に記載の物品前出し装置であって、
前記ベースは、前記本体部から突出して前記引出具を前記前後方向に沿って進退移動可能に位置決めする複数のリブを有し、前記リブが前記本体部から突出する高さは、前記本体部上に載置された前記引出具の高さよりも大きい。
【0011】
また、本発明(7)の物品前出し装置は、(6)に記載の物品前出し装置であって、
前記リブは、後側の端部に、後側に行くにつれて前記本体部からの突出高さが小さくなる傾斜部を有する。
【0012】
また、本発明(8)の物品前出し装置は、(4)に記載の物品前出し装置であって、
前記転び止め部に対して着脱可能に装着されるPOSレールを備え、
前記POSレールは、前記貫通孔部を覆った第3位置と、前記引出具の前記第2位置への移動に伴い上方に持ち上げられた第4位置と、の間で回動可能である。
【0013】
また、本発明(9)の物品前出し装置は、(8)に記載の物品前出し装置であって、
前記指掛け部は、前記段部の下端から前記前後方向に延び、前記引出具が前記第1位置にあるときに、前記第3位置にあるPOSレールの下端よりも下側で、前記下端よりも前側に配置される。
【0014】
また、本発明(10)の物品前出し装置は、(1)に記載の物品前出し装置であって、
前記棚板に固定可能に前記本体部から突出する固定部を有し、前記固定部は、前記転び止め部よりも後側に設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、障害物がある場合でも希望の位置に物品を設置して、棚上のスペースを有効に活用することが可能な物品前出し装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の物品前出し装置を示す斜視図である。
図2図1に示す物品前出し装置を左方向から示す左側面図である。
図3図1に示す物品前出し装置の引出具およびベースを上方向から示す平面図である。
図4図3に示す引出具を示す斜視図である。
図5図4に示す引出具を左方向から示した左側面図である。
図6図3に示すベースを示す斜視図である。
図7図3に示すベースおよび引出具を示した正面図である。
図8図6に示すベースを上方向から示した平面図である。
図9図8に示すベースのF9-F9線の位置に沿った断面図である。
図10】実施形態の物品前出し装置において、第1位置決め部によって、引出具を幅方向における一方の端部に寄せて位置決めした状態を示す平面図である。
図11図10に示す物品前出し装置において、引出具を第1位置から第2位置に移動した後の状態を示す斜視図である。
図12】実施形態の物品前出し装置において、第2位置決め部によって、引出具を幅方向における他方の端部に寄せて位置決めした状態を示す平面図である。
図13図12に示す物品前出し装置において、引出具を第1位置から第2位置に移動した後の状態を示す斜視図である。
図14図1に示す物品前出し装置において、引出具を第1位置から第2位置に移動させ、それによってPOSレールを第3位置から第4位置に移動させた状態を示す斜視図である。
図15】実施形態において、棚上で4つの物品前出し装置を用いた例を示し、引出具が第1位置にある状態を示した断面図である。
図16図15に示す実施形態において、棚上で4つの物品前出し装置の引出具を第2位置にした状態を示した断面図である。
図17図15に示す物品前出し装置のF17-F17線の位置に沿った断面図である。
図18図17に示す物品前出し装置の引出具を第1位置から第2位置に移動した後の状態を示す断面図である。
図19図18に示す物品前出し装置の引出具を第2位置から第1位置に戻し、後側のスペースに物品を補充する作業を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して、本発明の物品前出し装置の実施形態について説明する。本発明の物品前出し装置は、陳列棚上に設置されて店舗管理者が物品(商品)の前出しを容易に行えるものである。また、本発明の物品前出し装置は、陳列棚の柱等の障害物がある場合でも、障害物に対して引出具が干渉することがないように、引出具の位置の調整が可能なものである。
【0018】
図1図3に示すように、物品前出し具11は、陳列棚の棚12(棚板)上に設置される平板状のベース13と、ベース13上に前後方向FRに沿って進退移動可能に載置される引出具14と、ベース13の後述する転び止め部15に取り付けられるPOSレール16と、を備える。
【0019】
図4図5に示すように、引出具14は、前後方向FRに延びるロッド部21と、ロッド部21の前側Fに設けられる指掛け部22と、ロッド部21の後側Rに設けられロッド部21から起立した起立部23と、ロッド部21と指掛け部22との間に設けられる段部24と、を有する。ロッド部21は、金属、例えば、スチール等で形成された環状の線材を所定形状に折り曲げて形成されている。
【0020】
ロッド部21は、指掛け部22側の第1部分21Aと、起立部23側の第2部分21Bと、を有する。第2部分21Bは、前後方向FRと交差(直交)する幅方向Wに関して、第1部分21Aよりも幅寸法が大きく形成されている。ロッド部21は、第1部分21Aと第2部分21Bとの間に、前後方向FRに対して斜めになった接続部21Cを有する。接続部21Cは、後側Rに行くにつれて拡開して幅方向Wに関する寸法が大きくなるように、前後方向FRに対して斜めに形成されている。
【0021】
段部24は、前後方向FRと交差(直交)する上下方向に延びている。より詳細には、段部24は、ロッド部21の第1部分21Aの前側Fの端部から下方向に向けて延びている。段部24は、引出具14が最も後退した第1位置P1において、棚12(棚板)の前端面12Aと当接する部分を構成する。
【0022】
指掛け部22は、段部24が延びる上下方向とは交差(直交)する前後方向FRに延びている。より詳細には、段部24は、段部24の下端から前側Fに向けて延びている。指掛け部22は、先端で半円状をなしており、文字通りこの箇所に店舗管理者が指を掛けることができる。
【0023】
起立部23は、ロッド部21の第2部分21Bと連続するように、幅方向Wに関して第2部分21Bと同じ幅寸法で形成されている。すなわち、幅方向Wに関する起立部23の長さは、幅方向Wに関するロッド部21の第1部分21Aの長さよりも大きい。起立部23は、前後方向FRと交差(直交)する上下方向に延びている。より詳細には、起立部23は、第2部分21Bの後端から上方向に向けてのびている。起立部23は、上端において逆「U」字形の環状をなしている。起立部23は、物品25の背面に当接することができる。
【0024】
引出具14は、ベース13の本体31上において、図1図3図17に示すように、最も後方に後退して段部24が棚12(棚板)の前端面12Aに当接した第1位置P1と、図13図18等に示すように第1位置P1よりも前方に引き出された第2位置P2と、の間で前後方向FRに進退移動可能である。引出具14が第1位置P1にあるときに、第2部分21Bは、ベース13よりも後側に突出している。
【0025】
ベース13は、例えば、合成樹脂材料によって一体的に成形されている。図6図9に示すように、ベース13は、長方形の平板状をなして棚12に載置される本体部31と、本体部31の前側Fの端部から上方に向けて起立した転び止め部15と、転び止め部15の下側で幅方向Wに長く延びるように設けられた貫通孔部32と、幅方向Wに関して均一なピッチで本体部31から起立するように設けられる複数のリブ33と、本体部31の前側Fの端部から下方に向けて突出した固定部34と、を有する。
【0026】
転び止め部15は、略方形の平板状に形成されている。転び止め部15は、ベース13の前側Fの端部に設けられ、物品25をベース13上に保持して、物品25がベース13の前側Fから落下することを防止するダムのような役割を果たす。転び止め部15は、文字通り物品25が前側Fに転倒してしまうことを防止する役割も果たしている。
図7に示すように、貫通孔部32は、略長方形の開口として形成されている。貫通孔部32の内側に引出具14を通すことができる。
【0027】
複数のリブ33のそれぞれは、前後方向FRに連続的に延びている。図7に示すように、リブ33が本体部31から突出する高さは、本体部31上に載置された引出具14(ロッド部21)の高さよりも大きい。図8に示すように、幅方向Wにおける両端部のリブおよび両端部から2番目のリブは、前側Fで幅方向Wに関する内側に突出した抜け止め部33Bを有する。
【0028】
図8図9に示すように、リブ33のそれぞれは、後側Rの端部に、後側Rに行くにつれて本体部31からの突出高さが小さくなる傾斜部33Aを有する。引出具14の第2部分21B上に載置され且つ引出具14の第1位置P1から第2位置P2への移動に伴い、傾斜部33Aは、前出しされる物品25を引出具14上からリブ33上に円滑に案内できる。
【0029】
リブ33は、図10および図11に示すように本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける一方の端部に寄せて位置決め可能な第1位置決め部35と、図12および図13に示すように本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に寄せて位置決め可能な第2位置決め部36と、図1図3図14に示すように本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける中央部に位置決め可能な第3位置決め部37と、を有する。第1~第3位置決め部37は、リブ33を互いに共用しており、例えば、1個のリブ33が第1位置決め部35を構成するとともに、第3位置決め部37を構成している。
【0030】
図6図9図17等に示すように、固定部34は、平板状に形成され、棚12(棚板)の前部に形成されるPOSレール固定用の溝部12Bに対して差し込むことが可能に形成される。固定部34は、転び止め部15よりも後側に設けられている。
【0031】
図1図2図14に示すように、POSレール16は、一般的で商業的に入手可能なPOSレール16で構成されている。POSレール16は、物品25の価格や説明を付したシートをフラップ部分16Aの内側に収納することができる。POSレール16は、フラップ部分16Aが上部の支点16Bを中心に回動可能である。POSレール16(フラップ部分16A)は、図1に示すように下方に垂下して貫通孔部32を覆った第3位置P3と、図14に示すように引出具14の第2位置P2への移動に伴い上方に持ち上げられた第4位置P4と、の間で回動可能である。
【0032】
図2に示すように、引出具14が第1位置P1にある場合には、指掛け部22は、第3位置P3にあるPOSレール16(フラップ部分16A)の下端よりも下側で、POSレール16の下端よりも前側Fに配置される。このため、店舗管理者は、POSレール16をめくることなく、指掛け部22にアクセスすることができる。
【0033】
続いて、本実施形態の物品前出し装置11の作用について説明する。本実施形態では、棚12(陳列棚)が、例えば冷凍ケースである場合について説明する。
図15図17に示すように、商店において物品25が顧客によって買われて棚12から物品25がなくなると、残りの物品25が棚12の後側に残ることになる。
【0034】
特に、図15に示すように、棚12が冷凍ケースである場合には、棚12の幅方向Wの両端部に柱や筐体の一部が障害物41として張り出していることが多い。図15において、最も左端に位置する物品前出し装置11は、引出具14を幅方向Wの一方の端部に寄せて配置している。同様に、最も右端に位置する物品前出し装置11は、引出具14を幅方向Wの他方の端部に寄せて配置している。このように配置することで、障害物41に干渉しない位置に引出具14を配置することができる。一方、中央に位置する2つの物品前出し装置11は、引出具14を幅方向Wの中央に配置している。
【0035】
この状態で、店舗管理者が物品25を補充したい場合に、図16図18に示すように、4つの引出具14の指掛け部22に指を掛けて引出具14を第1位置P1から前側Fの第2位置P2に引っ張ることで、物品25を前出しすることができる。その際、引出具14のロッド部21の第2部分21B上に載置された物品25は、リブ33の傾斜部33Aを経由してリブ33上に円滑に乗り上げることができる。
【0036】
また、実際の棚12(陳列棚)では、転び止め部15に対して、図1に示すように物品25の価格を付したPOSレール16が取り付けられている場合が多い。この場合でも、図2に示すように、指掛け部22は、第3位置P3にあるPOSレール16の下端よりも下側で、POSレール16の下端よりも前側Fに配置されるので、POSレール16をめくることなく、店舗管理者が指掛け部22にアクセスすることができる。
【0037】
店舗管理者によって引出具14が第1位置P1から第2位置P2に移動される場合には、図14に示すように、段部24によってPOSレール16のフラップ部分16Aが上方に押し上げられて、POSレール16が第3位置P3から第4位置P4に移動する。したがって、POSレール16が設置される場合でも、引出具14の操作に支障を生じたり、店舗管理者の物品補充のオペレーションに負担を生じることがない。
【0038】
さらに、図19に示すように、引出具14を再び第2位置P2から、段部24が棚12の前端面12Aに当接した第1位置P1に戻すことで、前出しされた物品25の後側にスペースを作ることができる。この後側のスペースに対して新しい物品25を補充することができる。これによって、消費期限の近い物品25から顧客に取ってもらうように物品25の在庫を管理することができる。
【0039】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。物品前出し装置11は、前後方向FRに延びるロッド部21と、ロッド部21の前側Fに設けられ指を掛けることが可能な指掛け部22と、ロッド部21の後側Rに設けられ物品25の背面に当接可能にロッド部21から起立した起立部23と、を有する引出具14と、棚12に載置される本体部31であって引出具14が前後方向FRに沿って進退移動可能に載置される本体部31と、本体部31の前側Fに設けられ本体部31に対して起立した転び止め部15と、転び止め部15に設けられ引出具14が通される貫通孔部32であって、前後方向FRと交差する幅方向Wに長く延びた貫通孔部32と、本体部31上に設けられた第1位置決め部35であって本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける一方の端部に寄せて位置決め可能な第1位置決め部35と、本体部31上に設けられた第2位置決め部36であって本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける一方の端部とは反対側の他方の端部に寄せて位置決め可能な第2位置決め部36と、を有するベース13と、を備える。
【0040】
この構成によれば、棚の柱等の障害物41の位置に応じて、ベース13に対して引出具14の位置を調整することができる。このため、柱等に応じて、ベース13に対して引出具14の位置を調整することができる。これによって、柱等に対して引出具14の位置をずらすことができ、引出具14が柱等に干渉することで手前側に引き出せなくなってしまう不具合を生じることを防止できる。
【0041】
ベース13は、本体部31上に設けられた第3位置決め部37を有し、第3位置決め部37は、本体部31上において引出具14を幅方向Wにおける中央部に位置決め可能である。
【0042】
この構成によれば、本体部31上の一方の端部および他方の端部に加えて、引出具を本体部31上の中央部にも位置決めすることができる。このため、最も標準的な位置に引出具14およびこれに前出しされる物品25をベース13の本体部31上に載置することができる。これによって、本体部31上の3か所の位置で引出具14を位置決めすることができ、柱等の障害物の位置に応じて、これに干渉しない位置にフレキシブルに引出具14を配置することができる。これによって、棚12のスペースを有効に活用することができ、ユーザフレンドリーな物品前出し装置11を提供できる。
【0043】
引出具14は、ロッド部21と指掛け部22との間に設けられた段部24を有し、段部24は、ロッド部21と交差する方向に延び且つ棚12の前端面12Aに当接可能である。
【0044】
この構成によれば、段部24を介してベース13に対して引出具14を位置決めすることができる。これによって、引出具14が正しく定位置(最も後側の位置)にあることをユーザが確認することができる。
【0045】
ロッド部21は、指掛け部22側に設けられる第1部分21Aと、起立部23側に設けられるとともに第1部分21Aよりも幅方向Wにおける幅寸法が大きい第2部分21Bと、を有し、引出具14は、段部24が前端面12Aに当接した第1位置P1と、第1位置P1よりも前方に引き出された第2位置P2と、の間で移動可能であり、引出具14が第1位置P1にあるときに、第2部分21Bは、ベース13よりも後側Rに突出している。
【0046】
特に棚12が冷凍ケースである場合には、棚12の奥行きの長さはメーカや仕様によって様々である。上記の構成によれば、棚12に対してベース13の前後方向の長さを小さめに形成することができ、ベース13に用いる原材料費を低減することができる。また、棚12の奥行き長さは、メーカや仕様等によって様々であるところ、上記の構成によれば、棚12の奥行き長さ毎にベース13の長さを変更する必要がなく、物品前出し装置11の製造コストを低減できる。一方、引出具14については、メーカ毎、或いは棚12の奥行き長さ毎に、複数の長さの引出具14を用意すれば足りる。さらに、引出具14が第1位置P1にあるときに、ベース13よりも後側に突出した第2部分21Bが第1部分21Aよりも幅方向に幅広に形成されるために、引出具14に乗せ込まれた物品25が安定し、当該物品25が引出具14から落下する危険を防止できる。
【0047】
幅方向Wに関する起立部23の長さは、幅方向Wに関する第1部分21Aの長さよりも大きい。
【0048】
この構成によれば、物品25の背面に当接可能な起立部23をロッド部21の第1部分21Aよりも幅広にすることができる。これによって、物品25が引出具14から落下してしまうことを防いで、物品25を安定して前出しすることができる。
【0049】
ベース13は、本体部31から突出して引出具14を前後方向FRに沿って進退移動可能に位置決めする複数のリブ33を有し、リブ33が本体部31から突出する高さは、本体部31上に載置された引出具14の高さよりも大きい。
【0050】
この構成によれば、引出具14によって前出しされた物品25をリブ33上に載置して保持することができる。これによって、引出具14を再度後側Rに移動させる場合に、引出具14とともに前出しされた物品25が後退してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0051】
リブ33は、後側Rの端部に、後側Rに行くにつれて本体部31からの突出高さが小さくなる傾斜部33Aを有する。
【0052】
この構成によれば、引出具14上に載置され、引出具14によって前出しされた物品25を円滑にリブ33上に移動させることができる。
【0053】
転び止め部15に対して着脱可能に装着されるPOSレール16を備え、POSレール16は、貫通孔部32を覆った第3位置P3と、引出具14の第2位置P2への移動に伴い上方に持ち上げられた第4位置P4と、の間で回動可能である。
【0054】
この構成によれば、貫通孔部32をPOSレール16で覆い隠すことができ、棚12の体裁を良好に維持することができる。
【0055】
指掛け部22は、段部24の下端から前後方向FRに延び、引出具14が第1位置P1にあるときに、第3位置P3にあるPOSレール16の下端よりも下側で、前記下端よりも前側Fに配置される。
【0056】
この構成によれば、POSレール16を避けた位置に指掛け部22を配置することができる。これによって、POSレール16を第3位置P3から第4位置P4に移動させることなく、店舗管理者が指掛け部22に容易にアクセスすることができる。これによって、物品を前出しする際に、オペレーションが複雑化してしまうことを防止できる。
【0057】
棚12に固定可能に本体部31から突出する固定部34を有し、固定部34は、転び止め部15よりも後側Rに設けられる。
【0058】
通常、棚12の前側FにPOSレール固定用の溝部12Bがあり、固定部34は、このPOSレール固定用の溝部12Bに対して差し込んで固定することとなる。上記の構成によれば、転び止め部15の後方に固定部34および棚12の前端面12Aを配置することができるため、引出具14を第1位置P1にした際に、引出具14の段部24がPOSレール16と干渉してしまうという不具合を生じることがない。
【0059】
上記した実施形態および変形例は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。
【符号の説明】
【0060】
11 物品前出し装置
12 棚
12A 前端面
13 ベース
FR 前後方向
F 前側
R 後側
W 幅方向
14 引出具
15 転び止め部
16 POSレール
21 ロッド部
21A 第1部分
21B 第2部分
22 指掛け部
23 起立部
24 段部
25 物品
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
31 本体部
32 貫通孔部
33 リブ
33A 傾斜部
34 固定部
35 第1位置決め部
36 第2位置決め部
37 第3位置決め部
41 障害物
図1
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