(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036245
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240308BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01L21/30 569C
G03F7/30 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141076
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】甲盛 諄
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA30
2H196GA21
2H196GA26
5F146LA04
5F146LA06
5F146LA07
5F146LA12
(57)【要約】
【課題】 装置全体の排気量の調整を容易にした基板処理装置を提供する
【解決手段】 基板処理装置は、基板Wに処理液を供給するノズル310と、基板Wの上方の供給位置と基板Wの外方の待機位置との間でノズル310を移動させる移動部と、待機位置に位置し、ノズル310を収容するノズル収容器500と、基板Wに処理液が供給される処理空間内の気体を排気装置X1に導く第1の排出流路と、ノズル収容器内の気体を第1の排出流路に導く第2の排出流路とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給するノズルと、
基板の上方の供給位置と基板の外方の待機位置との間で前記ノズルを移動させる移動部と、
前記待機位置に位置し、前記ノズルを収容するノズル収容器と、
基板に処理液が供給される処理空間内の気体を排気装置に導く第1の排出流路と、
前記ノズル収容器内の気体を前記第1の排出流路に導く第2の排出流路とを備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の排出流路を流れる気体の流量を調整する流量調整部をさらに備えた、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記流量調整部は、前記第2の排出流路内の気体の流量を調整するために使用者により操作される操作部をさらに含み、
前記操作部は、前記ノズル収容器および前記処理空間を含む筐体に隣り合うように形成されたメンテナンス空間に向くように設けられる、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ノズル収容器は、前記ノズル収容器の内部空間と前記第2の排出流路とを連通する開口部と、
前記ノズル収容器の内部に設けられ、前記開口部を覆う流路形成部材とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記ノズル収容器の側壁に形成され、
前記流路形成部材は、前記ノズル収容器の前記内部空間を第3の排出流路とその他の空間とに区画するように設けられ、
前記第3の排出流路は、前記開口部に接続される排出口と、下方に向けて開口する吸入口と、を有する、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記流路形成部材の下端は、前記ノズル収容器に収容された前記ノズルの下端よりも下方に位置する、請求項5記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来基板処理装置として、現像液等の処理液を用いて感光性膜の現像処理を行う現像装置がある。現像液が強い臭気を有する場合、現像液を含む雰囲気が現像装置の外部に漏れ出ると、現像装置の外部の環境の快適性が低下する。そのため、現像装置内の現像液を含む雰囲気の漏洩を抑制する要求がある。
【0003】
例えば、特開2017-092240号公報(特許文献1)に記載の現像装置においては、現像液を吐出するノズル、基板を処理する処理室と待機ポッドとを有する。ノズルは、処理室内の基板の上方の処理位置と待機ポッドに収容される待機位置の間で移動可能に構成される。ノズルからは処理室と待機ポッドそれぞれにおいて、ノズルから処理液が吐出される。このため、処理室および待機ポッドそれぞれに排気流路が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の現像装置においては、処理室および待機ポッドそれぞれに排気流路が設けられるので、処理室内の気体の排出量および待機ポッド内の気体の排出量を別個に管理しなければならない。このため、現像装置全体の排気量を調整する制御が困難であるといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、装置全体の排気量の調整を容易にした基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る基板処理装置は、基板に処理液を供給するノズルと、基板の上方の供給位置と基板の外方の待機位置との間でノズルを移動させる移動部と、待機位置に位置し、ノズルを収容するノズル収容器と、基板に処理液が供給される処理空間内の気体を排気装置に導く第1の排出流路と、ノズル収容器内の気体を第1の排出流路に導く第2の排出流路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置全体の排気量の調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る現像装置の概略構成を説明するための模式的斜視図である。
【
図2】液処理ユニットの一部の構成を説明するための模式的断面図である。
【
図3】排気ダクトの構成を説明するための平面図である。
【
図4】液処理ユニットの構成を説明するための斜視図である。
【
図5】複数のノズルが待機位置に位置する状態における液処理ユニットの構成を説明するための斜視図である。
【
図6】排気流路の全体を模式的に示す斜視図である。
【
図9】第2の方向から見たノズル収容器および流量調整筐体の断面図である。
【
図10】上方から見たノズル収容器の一部および流量調整筐体の断面図である。
【
図11】他の実施の形態に係るノズル収容器の構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0011】
基板処理装置の一例として、現像装置を説明する。本実施の形態において現像処理の対象となる基板は、主面および裏面を有する。また、本実施の形態に係る現像装置においては、基板の主面が上方に向けられ、基板の裏面が下方に向けられた状態で、基板の裏面(下面)が保持され、基板の主面(上面)に現像処理が行われる。
【0012】
基板の主面の少なくとも中央部には露光処理後の感光性膜が形成されている。この感光性膜は、例えばネガ型の感光性ポリイミド膜である。露光されたネガ型の感光性ポリイミド膜を溶解する現像液として、シクロヘキサノンまたはシクロペンタノン等を含む有機溶剤が用いられる。また、リンス液として、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等を含む有機溶剤が用いられる。
【0013】
なお、本実施の形態において、「基板の現像処理」とは、基板の主面に形成された露光処理後の感光性膜に現像液を供給することにより、その感光性膜の一部を溶解することを意味する。
【0014】
(1)現像装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る現像装置の概略構成を説明するための模式的斜視図である。
図1に示すように、現像装置1は、基本的に筐体CA内に2つの液処理ユニットLPA,LPBが収容された構成を有する。
図1では、2つの液処理ユニットLPA,LPBの概略形状が点線で示される。液処理ユニットLPA,LPBの構成の詳細については後述する。
【0015】
筐体CAは、水平面内で一方向に延びる略直方体の箱形状を有する。具体的には、筐体CAは、第1の側壁板1w、第2の側壁板2w、第3の側壁板3w、第4の側壁板4w、床板5wおよび天井板6wが図示しないフレームに取り付けられることにより形成される。以下の説明では、水平面内で筐体CAが延びる方向に平行な方向を適宜第1の方向D1と呼び、水平面内で第1の方向D1に直交する方向を適宜第2の方向D2と呼ぶ。2つの液処理ユニットLPA,LPBは、筐体CA内で第1の方向D1に並ぶように床板5w上に配置されている。
【0016】
第1および第2の側壁板1w,2wは、矩形の板形状を有し、上下方向および第1の方向D1に平行でかつ互いに対向するように設けられている。第3および第4の側壁板3w,4wは、矩形の板形状を有し、上下方向および第2の方向D2に平行でかつ互いに対向するように設けられている。
【0017】
第2の側壁板2wには、筐体CAの内部と筐体CAの外部との間で基板を搬送するための2つの搬入搬出口phが形成されている。2つの搬入搬出口phは、第2の側壁板2wのうち第2の方向D2において液処理ユニットLPA,LPBに対向する2つの部分にそれぞれ形成されている。天井板6wには、第1の方向D1に並ぶように、2つの開口op1が形成されている。天井板6wにおける2つの開口op1の開口率は、筐体CAの上端全体が上方に開放されている状態と同じ程度に十分に大きく設定されている。
【0018】
天井板6wの2つの開口op1をそれぞれ塞ぐように、天井板6wの上方に2つのフィルタFLが設けられている。なお、2つのフィルタFLは、天井板6wの直下に設けられてもよい。
図1では、2つのフィルタFLが太い一点鎖線で示される。2つのフィルタFLは、例えばULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタであり、筐体CAを構成する図示しないフレームまたは天井板6wに取り付けられている。筐体CAの天井板6w上には、2つのフィルタFLを取り囲むように空気ガイドAGが設けられている。
図1では、空気ガイドAGが二点鎖線で示される。
【0019】
筐体CAは、メンテナンス空間MSPと隣接する。メンテナンス空間MSPは、液処理ユニットLPA,LPBを含む内部空間SPと第1の側壁板1wを挟んで反対側に位置する。メンテナンス空間MSPは、内部空間SPと第2の方向D2において隣り合う。このため現像装置1のメンテナンス時に使用者または点検者がメンテナンス空間MSP側から内部空間SPにアクセス可能である。第1の側壁板1wは、メンテナンス空間MSP側から容易に取り外し可能に構成されている。
【0020】
筐体CAの外部には、気体供給部10が設けられている。気体供給部10は、例えばエアーコントロールユニットであり、現像装置1の電源がオンされている間、予め定められた条件を満たすように温度および湿度等の空気の状態を調整する。また、気体供給部10は、状態が調整された空気をダクトDUを通して空気ガイドAGに供給する。この場合、空気ガイドAGは、気体供給部10から供給された空気を、2つのフィルタFLを通して天井板6wの2つの開口op1に導く。それにより、温度および湿度等が調整された清浄な空気が筐体CA内に供給され、筐体CAの内部空間SPの全体に下降気流が発生する。
【0021】
筐体CAの外部には、気体供給部11aおよび現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが設けられている。
図1においては、気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが液処理ユニットLPBに接続される例が示されているが、液処理ユニットLPAについても、別の気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが接続されている。気体供給部11aは、気体供給源を含む。それにより、気体供給経路12aを通して液処理ユニットLPA,LPBに気体が供給される。現像液供給部11bは、現像液供給源を含む。それにより、現像液供給経路12bを通して液処理ユニットLPA,LPBに現像液が供給される。リンス液供給部11cは、リンス液供給源を含む。それにより、リンス液供給経路12cを通して液処理ユニットLPA,LPBにリンス液が供給される。
図1では、気体供給経路12a、現像液供給経路12bおよびリンス液供給経路12cが一点鎖線で示される。なお、本実施の形態において、気体供給経路12a、現像液供給経路12bおよびリンス液供給経路12cは、1または複数の配管およびバルブ等により構成される。
【0022】
(2)液処理ユニットの構成
図1の2つの液処理ユニットLPA,LPBは、一部の構成要素が第1の方向D1に直交する面(鉛直面)を基準として互いに対称となるように設けられる点を除いて、基本的に同じ構成を有する。したがって、以下の説明では特に言及しない限り2つの液処理ユニットLPA,LPBを代表して液処理ユニットLPBの構成を説明する。
【0023】
図2は、液処理ユニットLPA,LPBの一部の構成を説明するための模式的断面図である。
図2に示すように、液処理ユニットLPBは、区画板100、筒部材200、カップ40、収容器50および排気ダクト20を含む。
【0024】
筐体CA内では、収容器50が床板5w上に固定される。収容器50は、側壁部51および底部52を含む。側壁部51は、円環形状の水平断面を有し、一定の内径および一定の外径で上下方向に延びるように形成されている。底部52は、側壁部51の下端を閉塞するように形成されている。
【0025】
底部52には、3つの貫通孔が形成されている。3つの貫通孔のうち2つの貫通孔の形成部分の各々に排気管61が接続されている。排気管61の上端(開口端)は底部52よりも上方に位置する。排気管61の下端は、筐体CA内の雰囲気を、筐体CAの外部に設けられる図示しない排気装置X1に導くための排気ダクト20に接続されている。排気ダクト20は、収容器50の底部52の下方に位置する。排気ダクト20の詳細については、後述する。
【0026】
また、底部52には、底部52に形成された3つの貫通孔のうち他の1つの貫通孔の形成部分に排液管62がさらに接続されている。排液管62は、基板Wの現像処理時に、カップ40から収容器50の底部に流れる液体(現像液およびリンス液)を筐体CAの外部に設けられる図示しない排液装置に導く。収容器50において、排液管62の端部(開口端)は、底部52の上面と同じ高さ位置し、排気管61の端部よりも下方に位置する。
【0027】
各液処理ユニットLPA,LPBにおいては、スピンモータ72の下部は収容器50の底部52よりも下方に突出している。そのため、底部52には、スピンモータ72の下部を収容するための円形状の開口が形成されている。これにより、スピンモータ72と底部52とが干渉することが防止される。
【0028】
収容器50内には、基板保持装置70の少なくとも一部が収容される。具体的には、基板保持装置70は、吸着保持部71、スピンモータ72およびモータカバー79を含む。スピンモータ72は、平面視で収容器50の中央に位置するように底部52上に固定されている。スピンモータ72には、上方に向かって延びるように回転軸73が設けられている。回転軸73の上端に吸着保持部71が設けられている。吸着保持部71は、収容器50の上端よりも上方に突出している。
【0029】
収容器50の外部には、図示しない吸引装置が設けられている。吸着保持部71は、吸引装置が動作することにより基板Wの裏面中央部を吸着可能に構成されている。吸着保持部71が基板Wの裏面中央部を吸着することにより、基板Wが収容器50の上方の位置で水平姿勢で保持される。また、基板Wが吸着保持部71により吸着保持された状態でスピンモータ72が動作することにより、基板Wが水平姿勢で回転する。
【0030】
モータカバー79は、略椀形状を有し、開放された径大部分が下方を向くように収容器50に固定されている。モータカバー79は、そのモータカバー79の上端中央部の貫通孔に回転軸73が挿入された状態で、回転軸73を除くスピンモータ72の上端部分と水平面内でスピンモータ72を取り囲む一定幅の空間とを上方から覆っている。モータカバー79の外周端部と側壁部51の内周面との間には、一定幅の隙間が形成されている。
【0031】
ここで、上記の排気管61の上端部は、平面視でモータカバー79の内側に位置し、側面視でモータカバー79の下端よりも上方に位置する。それにより、基板Wの現像処理時に、収容器50の上方から落下する液体(現像液およびリンス液)が排気管61の内部に進入することが防止される。
【0032】
収容器50内には、基板保持装置70の一部に加えて、カップ40の少なくとも下端が収容される。ここで、カップ40は、収容器50内で上下方向に移動可能に構成されている。また、カップ40は、筒状壁部41および液受け部42を含む。筒状壁部41および液受け部42の各々は、円環形状の水平断面を有し、少なくとも上下方向に延びるように設けられている。カップ40は、平面視で基板保持装置70を取り囲むように構成されている。
【0033】
液受け部42の外径および内径は、液受け部42の上端から下方に向かうにつれて漸次拡大されている。液受け部42の下端の外径(液受け部42の最大外径)は、収容器50の側壁部51の内径よりも小さい。そのため、液受け部42の外周端部と側壁部51の内周面との間には、一定幅の隙間が形成されている。筒状壁部41は、一定の内径および一定の外径で、液受け部42の上端から上方に向かって延びるように形成されている。
【0034】
筒部材200は、円筒形状を有し、図示しないブラケットを介して筐体CAの一部に固定されている。筒部材200の内径は、カップ40の筒状壁部41の外径よりも大きい。区画板100は、略円板形状を有し、筒部材200の上端部近傍でかつ筒部材200の内周面全体に接するように、筒部材200に取り付けられている。区画板100の略中央部には、第1の方向D1に延びる長方形のノズル開口110が形成されている。ノズル開口110は、基板Wの現像処理時に、基板保持装置70により保持される基板Wの中央部分に対向する。区画板100には、複数の貫通孔(図示せず)がノズル開口110を除く区画板100の全体に渡って分散するように形成されている。
【0035】
筐体CA内で収容器50の近傍には昇降駆動部(図示せず)が設けられている。昇降駆動部は、モータまたはエアシリンダ等の駆動機構を含み、カップ40を支持するとともにカップ40を上下動させることにより、カップ40を第1の状態と第2の状態とに移行させる。ここで、第1の状態とは、カップ40が収容器50の内部の位置まで下降した状態である。第2の状態とは、カップ40の上端が筒部材200の下端よりも上方の位置まで上昇した状態である(
図2の状態)。
【0036】
現像装置1においては、液処理ユニットLPA,LPBに対する基板Wの搬入搬出時に、カップ40が第1の状態で維持される。それにより、現像装置1の外部から搬入される基板Wを液処理ユニットLPA,LPBの吸着保持部71上に載置することができる。また、液処理ユニットLPA,LPBの吸着保持部71上に載置された基板Wを取り出し、現像装置1の外部に搬出することができる。
【0037】
カップ40が第2の状態においてカップ40の液受け部42の内周面は、基板保持装置70により保持される基板Wを水平面内で取り囲む。それにより、基板Wの現像処理時に複数のノズル310から基板Wに供給される現像液およびリンス液の大部分は、液受け部42の内周面により受け止められて、収容器50へ導かれる。
【0038】
一方、基板保持装置70により保持される基板Wの現像処理時に、液処理ユニットLPA,LPBの各々において、カップ40が第2の状態で維持されカバー部材330が区画板100のノズル開口110を覆う。それにより、筐体CAの内部空間SPが、液処理ユニットLPA,LPBの区画板100、筒部材200、カバー部材330、カップ40および収容器50により、処理空間SPaと非処理空間SPbとに区画される。処理空間SPaは基板保持装置70により保持される基板Wを含む空間であり、非処理空間SPbは処理空間SPaを取り囲む空間である。処理空間SPaは、複数のノズル310から基板Wに処理液を供給するための空間である。
【0039】
図3は、排気ダクト20の構成を説明するための平面図である。
図3には、液処理ユニットLPBのカップ40、収容器50およびスピンモータ72の外縁が点線で示されている。
図3に示すように、排気ダクト20は、排気管路部21~25を含み、カップ40内の気体を排出するための排気流路を形成する。
【0040】
排気管路部21は、第1の方向D1に延び、スピンモータ72から第2の方向D2方向に離間した位置に設けられる。排気管路部22と排気管路部23とは、第2の方向D2に延び、スピンモータ72を挟んで対向するように設けられる。排気管路部22の下流端部は、排気管路部21の上流端部に接続される。排気管路部22の下流端部は、排気管路部21の上流端部と下流端部との間に接続される。排気管路部22,23の上流端部の上面には、長円形状の開口22a,23aがそれぞれ形成される。開口22a,23aには、2つの排気管61(
図2)の下端部がそれぞれ接続される。
【0041】
排気管路部24は、第2の方向D2に延びる。排気管路部24の上流端部は、排気管路部21の下流端部に接続される。排気管路部21の下流端部と排気管路部24の上流端部との接続部分は、所定の角度(本例では90度)で屈曲する。排気管路部25は、第1の方向D1に延びる。排気管路部25の上流端部は、排気管路部24の下流端部に接続される。排気管路部25の上流端部と排気管路部24の下流端部との接続部分は、所定の角度(本例では90度)で屈曲する。排気管路部25の下流端部は、現像装置1の外部の排気装置X1に接続される。排気管路部25の下流端部の上面には、後述する排気管540が接続されている。
【0042】
上記の接続によれば、2つの排気管61から排出された気体は、開口22a,開口23aを通して排気管路部22,23に導入される。排気管路部22,23に導入された排気は、
図3に太い一点鎖線で示すように、排気管路部21,24,25を通して上流から下流に流れる。本実施の形態において、排気装置X1は、現像装置1の運転中に常時稼働するように構成されている。そのため、収容器50内の気体は、現像装置1の運転中に常時排気装置X1に導かれる。
【0043】
排気ダクト20は、スピンモータ72の第2の方向D2の反対方向側に排気管路部が配置されないので、スピンモータ72に干渉することなく、第2の方向D2にスライド可能である。このため、使用者は、排気ダクト20をメンテナンス空間MSP側にスライドさせることにより、現像装置1の筐体CA内から取り外すことができる。
【0044】
図4は、液処理ユニットLPBの構成を説明するための斜視図である。
図4に示すように、
図1の筐体CA内では、ノズル駆動部400が第1の方向D1において収容器50に隣り合うように設けられている。ノズル駆動部400は、回転軸401を有するモータとアクチュエータとを含む。アクチュエータは、エアシリンダ、液圧シリンダまたはモータ等を含み、回転軸401を有するモータが上下方向に移動可能となるように、当該モータを床板5w(
図1)上に支持する。回転軸401は、ノズル駆動部400の上端部に位置する。
【0045】
図1の筐体CA内では、床板5w(
図1)上にノズル収容器500がさらに設けられている。ノズル駆動部400およびノズル収容器500は、収容器50の側方の位置で間隔をおいて第2の方向D2に並ぶ。ノズル収容器500は、第2の方向D2に一定長さ延びる箱形状を有する。ノズル収容器500の上面には、後述する複数のノズル310を収容するための複数の待機孔510が形成されている。
【0046】
ノズル駆動部400の回転軸401の上端部に、ノズルアームユニット300が取り付けられている。ノズルアームユニット300は、回転軸401の上端部に取り付けられた状態で、回転軸401とは異なる方向に直線状に延びる長手形状を有する。
【0047】
ノズルアームユニット300は、主として、複数(本例では6個)のノズル310、支持体320およびカバー部材330から構成される。本実施の形態において、ノズル310は、基板Wに現像液を供給するための3つの現像液用ノズルおよび基板Wにリンス液を供給するための3つのリンス液用ノズルを含む。ノズルアームユニット300においては、3つの現像液用ノズルが所定間隔で配置され、3つのリンス液用ノズルが所定間隔で配置される。現像液用ノズルおよびリンス液用ノズルは、液体および気体の混合液を噴射可能な二流体ノズルにより構成される。それにより、現像液用ノズルから現像液および気体の混合液が噴射され、リンス液用ノズルからリンス液および気体の混合液が噴射される。
【0048】
ノズル駆動部400のモータが上下方向に移動すると、ノズルアームユニット300は上下方向に移動する。また、ノズル駆動部400のモータが動作すると、ノズルアームユニット300は回転軸401を中心として水平面内で回転する。本実施の形態では、
図4に示すように、ノズルアームユニット300の複数のノズル310は、基板Wに対する現像処理が行われる間、基板保持装置70により保持される基板Wの上方の処理位置P2で保持される。
図4においては、複数のノズル310が処理位置P2に位置する状態が示される。なお、
図4には、待機位置P1および処理位置P2がそれぞれ白抜きの矢印で示されている。
【0049】
図5は、複数のノズル310が待機位置に位置する状態における液処理ユニットLPBの構成を説明するための斜視図である。
図5に示すように、ノズルアームユニット300の複数のノズル310は、基板Wに対する現像処理が行われない間、基板保持装置70により保持される基板Wの側方の待機位置P1で保持される。なお、
図5には、待機位置P1および処理位置P2がそれぞれ白抜きの矢印で示されている。ノズル310が待機位置P1で保持されている間、ノズル310がノズル収容器500の待機孔510に収容される。本実施の形態においては、ノズル310内に滞留する液体を吐出する動作が行われる。
【0050】
ノズル収容器500には、ノズルアームユニット300が待機位置P1に位置する状態において、複数のノズル310から噴射された液体または落下した液体を筐体CAの外部に排出する排液管(図示せず)が接続されている。また、ノズル収容器500には、当該ノズル収容器500内部の雰囲気を筐体CAの外部に排出するための排気流路520が接続されている。
【0051】
図6は、排気流路520の全体を模式的に示す斜視図である。排気流路520は、流量調整部530および排気管540を含む。排気流路520は、ノズル収容器500内の気体が排気ダクト20を介して排気装置X1に導かれるように構成される。
図6には、排気流路520内の気体の流れが点線矢印で示される。
【0052】
流量調整部530は、ノズル収容器500の側壁501に取り付けられる。排気管540は、部分管540a~540eを含む。部分管540aの上流端は、流量調整部530に接続される。部分管540aは、上流端から下方に延びる。部分管540aの下流端には、部分管540bの上流端が接続される。部分管540bは、上流端から第2の方向D2に平行に延びる。部分管540bの下流端には、部分管540cの上流端が接続される。部分管540cは、上流端から上方に排気管路部25の上方まで延びる。部分管540cの下流端には、部分管540dの上流端が接続される。
【0053】
部分管540dは、平面視で排気管路部25と重なる位置まで水平方に延びる。部分管540dの下流端には、部分管540eが接続される。部分管540eは、部分管540dの下流端から下方に延び、前述した排気管路部25の上面に接続される。部分管540eが排気管路部25の上面に接続されているので、使用者または点検者は、部分管540eを排気管路部25から取り外す際に、排気管路部25の上方から部分管540eにアクセスできるので、作業が容易である。
【0054】
図7は、排気流路の流量調整部の拡大図である。
図7に示すように、流量調整部530は、流量調整筐体531を備える。流量調整筐体531は、ノズル収容器500の側壁501に接続される。流量調整筐体531は、第2の方向D2に延びる箱形状を有する。
【0055】
流量調整筐体531の第2の方向D2側の側面に操作部534が設けられる。操作部534は、前述したメンテナンス空間MSP(
図1)に向く。このため、使用者または点検者は、操作部534に容易にアクセスすることができる。
【0056】
図8は、流量調整筐体の透視図である。
図8に示されるように、ノズル収容器500の側壁501には、ノズル収容器500内の空間SP2と流量調整筐体531の空間SP1とが連通するように、開口部OP2が形成されている。開口部OP2の断面積は、S2に設定される。
【0057】
流量調整筐体531の底部には排気管540に繋がる開口部OP3が形成されている。流量調整筐体531は、空間SP1内に回転軸532と一対の遮蔽板533とが設けられる。回転軸532は、第2の方向D2に平行に延びる円柱形状であり、第2の方向D2に平行な回転軸AXの周りで回転可能に流量調整筐体531の側壁531aで支持される。また、回転軸532は、流量調整筐体531の側壁531aを貫通するように設けられる。一対の遮蔽板(調整板)533、平板形状であり、回転軸532から外方に互いに反対方向に延びるように回転軸532に固定されている。
【0058】
回転軸532のD2方向側の端部は操作部534と接続される。操作部534は、ガイド部材534a、突起部材534bおよび固定部材534cを含む。ガイド部材534aおよび突起部材534bは、回転軸532と一体的に回転可能に回転軸532の一端532aに接続される。固定部材534cは、流量調整筐体531に形成されたネジ穴にねじ込まれるネジである。
【0059】
ガイド部材534aには、ガイド孔GHが形成される。ガイド孔GHは、回転軸532の回転範囲を規制するために回転軸AXの同心円弧状に形成されている。固定部材534cは、ガイド孔GHを通って、流量調整筐体531のネジ穴にねじ込まれる。固定部材534cが流量調整筐体531のネジ穴に最後までねじ込まれて固定されると、固定部材534cと流量調整筐体531との間でガイド部材534aが固定される。この状態において、回転軸532が自由に回転することはできないので、回転軸532の回転位置が固定される。
【0060】
一方、固定部材534cが最後までネジ込まれずにネジ込み量が少ない場合、固定部材534cと流量調整筐体531との間でガイド部材534aが固定されない。すなわち、回転軸532が自由に回転可能な状態である。使用者または点検者は、突起部材534bを操作して、回転軸532の回転位置を変更することができる。
【0061】
図9は、第2の方向D2から見たノズル収容器および流量調整筐体の断面図である。なお、
図9には、ノズル収容器500の待機孔510に収容される状態のノズル310が図示されている。回転軸532が回転軸AX中心に矢印a1の方向に回転させると、
図9に実線で示すように、遮蔽板533が上下方向に平行になる。
図9に実線で示される遮蔽板533の位置は、固定部材534cがガイド孔GHの他端GH2(
図8参照)に位置する場合である。
【0062】
回転軸532が回転軸AX中心に矢印a2の方向に回転させると、
図9に点線で示すように、遮蔽板533が第1の方向D1に平行になる。
図9に点線で示される遮蔽板533の位置は、固定部材534cがガイド孔GHの他端GH1(
図8参照)に位置する場合である。流量調整筐体531の空間SP1において、遮蔽板533は、開口部OP2と開口部OP3との間に配置される。このため、回転軸532の回転角度が変更されると、開口部OP2から開口部OP3までの流路の断面積が変更する。開口部OP2から開口部OP3までを結ぶ流路の断面積は、回転軸532の回転角度に応じて定まる。
【0063】
遮蔽板533が第1の方向D1に平行の場合、開口部OP2から開口部OP3までを結ぶ流路の断面積が最小となる。一方、遮蔽板533が上下方向に平行の場合、開口部OP2から開口部OP3までを結ぶ流路の断面積が最大となる。
【0064】
このように、ノズル収容器500の空間SP2から流量調整筐体531の空間SP1に導かれた気体の量は、回転軸532の回転角度によって調整することができる。換言すれば、
図8のガイド部材534aおよび突起部材534bの位置を調整することにより、ノズル収容器500の空間SP2から排気管540に導かれる気体の流量を調整することが可能になる。ガイド部材534aと固定部材534cとの相対的な位置は、回転軸532の回転角度を示すので、使用者または点検者は、ガイド部材534aと固定部材534cとの相対的な位置に基づいて、回転軸532の回転角度、換言すれば、開口部OP2から開口部OP3までの流路の断面積を、確認することができる。
【0065】
ノズル収容器500の空間SP2においては、側壁501の開口部OP2に対向する位置に開口部OP2を覆うように流路形成部材503が配置される。
【0066】
流路形成部材503の上端503aは、ノズル収容器500の天板502の内面に固定される。流路形成部材503は、ノズル収容器500の天板502からノズル収容器500の開口部OP2およびノズル収容器500に収容された状態のノズル310の下端よりも下方の位置まで延びるように形成される。それにより、ノズル310から吐出されたミスト状の処理液が流量調整部530および排気管540に進入することが抑制される。また、流路空間FS1において気体導入口GI1が、下方に向く。現像液を含んだ気体は空気より重いので、ノズル収容器500の空間SP2内の下方に蓄積される。このため、現像液を含んだ気体を効率的に排出することができる。
【0067】
図10は、上方から見たノズル収容器の一部および流量調整筐体の断面図である。流路形成部材503は、例えば、一枚の平板状の部材一枚の金属板を適宜折り曲げ加工することにより作製される。
図10に示されるように、流路形成部材503は、中央部503d、中央部の両端に繋がる端部503b,503cを有する。端部503b、503cは、中央部503dの両端それぞれから中央部503dに交差する(本例では、90度)ように接続される。流路形成部材503の端部503b,503cは、ノズル収容器500の側壁501の内面に固定される。流路形成部材503の中央部503dは、開口部OP2が形成される側壁501の内面から間隔I1離間する。
【0068】
流路形成部材503は、ノズル収容器500の空間SP2を、流路空間FS1とその他の空間とに区画する。流路空間FS1は、上流端に相当する気体導入口GI1で空間SP2のその他の空間と連通し、下流端に相当する開口部OP2で流量調整筐体531の空間SP1と連通する。気体導入口GI1の断面積が開口部OP2の断面積S2より小さくなるように設定されるのが好ましい。この場合、気体導入口GI1における流速を開口部OP2における流速よりも大きくできる。それにより、ノズル収容器500の空間SP2の気体の吸引効率を向上させることが可能になる。また、流路空間FS1において気体導入口GI1が下方を向くので、現像液を含んだ気体を効率的に排出することができる。
【0069】
(3)実施の形態の効果
上記実施の形態の現像装置1によれば、液処理ユニットLPA,LPB内の雰囲気が排気ダクト20を通って排気装置X1に導かれる。また、ノズル収容器500の空間SP2内の雰囲気が排気管540および排気ダクト20を通って排気装置X1に導かれる。このため、単一の排気装置X1を用いて液処理ユニットLPA,LPB内の雰囲気およびノズル収容器500の空間SP2内の雰囲気を現像装置1の外部に排出すること可能になる。その結果、装置全体の排気量の調整を容易にすることが可能になる。また、液処理ユニットLPA,LPBおよびノズル収容器500ごとに独立した排気装置を儲ける必要がないので、装置が大型化が抑制される。
【0070】
また、ノズル収容器500の空間SP2内の雰囲気を排出するための排気流路520に流量調整部530が設けられる。それにより、排気流路520を流れる雰囲気の排出量が調整される。単一の排気装置X1により、液処理ユニットLPA,LPBおよびノズル収容器500の雰囲気の排出量が制限される場合、ノズル収容器500の雰囲気の排出量を調整することができる。それにより、液処理ユニットLPA,LPB内の雰囲気を排出するために必要な流量を確保することができる。その結果、筐体CAの内部空間SPへの雰囲気の漏洩がさらに抑制される。
【0071】
(4)他の実施の形態
上記実施の形態において、流量調整部530は、ノズル収容器500と排気管540との間に位置するように設けられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、流量調整部530は、ノズル収容器500の空間SP2内の雰囲気を排気装置X1に導くための排気管540に介挿されるように設けられてもよい。また、流量調整部530として、コントロールバルブ等の流量調整弁が用いられてもよい。
【0072】
上記実施の形態において、使用者が流量調整部530の操作部534を操作することにより、排気流路520の気体の流量が調整されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、排気流路520の気体の流量が自動的に調整されるように構成されてもよい。
【0073】
上記実施の形態の
図9において、流路形成部材503が天板502および側壁501に接続されることにより、側壁501、天板502および流路形成部材503により流路空間FS1が形成されるが本発明はこれに限定されない。
図11は、他の実施の形態に係るノズル収容器500の構成を示す模式的断面図である。
図11に示すように、流路形成部材503は、平板形状であり、図示しない支持部材により支持されてもよい。例えば、流路形成部材503は、側壁501から延びる支持部材により側壁501に固定されてもよい。側壁501および流路形成部材503の間隔I1は、側壁501と流路形成部材503との間に流入する気体の断面積が開口部OP2の断面積より小さくなるように設定されてもよい。この場合、ノズル収容器500の空間SP2の気体の吸引効率を向上させることが可能になる。また、流路形成部材503が支持部材により支持されるので、流路形成部材503を側壁501および天板502に接続する必要がない。そのため、ノズル収容器500の製作が容易になる。
【0074】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、ノズル駆動部400が移動部の例であり、排気ダクト20が第1の排出流路の例であり、排気流路520が第2の排出流路の例であり、流路空間FS1が第3の排出流路の例である。
【0075】
(6)実施の形態の総括
(第1項) 一態様に係る基板処理装置は、
基板に処理液を供給するノズルと、
基板の上方の供給位置と基板の外方の待機位置との間で前記ノズルを移動させる移動部と、
前記待機位置に位置し、前記ノズルを収容するノズル収容器と、
基板に処理液が供給される処理空間内の気体を排気装置に導く第1の排出流路と、
前記ノズル収容器内の気体を前記第1の排出流路に導く第2の排出流路とを備える。
【0076】
第1項に記載の基板処理装置によれば、処理空間内の気体が第1の排出流路を通って排気装置に導かれる。また、ノズル収容器内の気体が第2の排出流路および第1の排出流路を通って排気装置に導かれる。このため、単一の排気経路を用いてノズル収容器内の処理液を含む気体および処理空間内の処理液を含む気体を外部に排出することが可能になる。その結果、装置全体の排気量の調整を容易にすることが可能になる。
【0077】
(第2項) 第1項に記載の基板処理装置において、前記第2の排出流路を流れる気体の流量を調整する流量調整部をさらに備えてもよい。
【0078】
第2項に記載の基板処理装置によれば、流量調整部により、第2の排出流路を流れる気体の流量が調整される。このため、第1および第2の排気流路を流れる気体の流量が制限される場合においても、第2の排出流路を流れる気体の流量が調整されるので、処理空間内の気体を外部に排出するために必要な流量を確保することができる。
【0079】
(第3項) 第2項に記載の基板処理装置において、
前記流量調整部は、前記第2の排出流路内の気体の流量を調整するために使用者により操作される操作部をさらに含み、
前記操作部は、前記ノズル収容器および前記処理空間を含む筐体に隣り合うように形成されたメンテナンス空間に向くように設けられてもよい。
【0080】
第3項に記載の基板処理装置によれば、使用者はメンテナンス空間から操作部を操作できるので、使用者が第2の排出流路を流れる気体の流量を容易に調整することが可能になる。その結果、装置に対するメンテナンス性が向上する。
【0081】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記ノズル収容器は、前記ノズル収容器の内部空間と前記第2の排出流路とを連通する開口部と、
前記ノズル収容器の内部に設けられ、前記開口部を覆う流路形成部材とを含んでもよい。
【0082】
第4項に記載の基板処理装置によれば、流路形成部材が開口部を覆うので、ノズル収容器内で開口部に向かって流れる気体の流れが調整される。したがって、効率的にノズル収容器内の気体を排出することが可能になる。
【0083】
(第5項)第4項に記載の基板処理装置において、
前記開口部は、前記ノズル収容器の側壁に形成され、
前記流路形成部材は、前記ノズル収容器の前記内部空間を第3の排出流路とその他の空間とに区画するように設けられ、
前記第3の排出流路は、前記開口部に接続される排出口と、下方に向けて開口する吸入口と、を有してもよい。
【0084】
第5項に記載の基板処理装置によれば、ノズル収容器内の気体が第3の排出流路の下方に向く吸入口から第3の排出流路を通して開口部に導かれる。この場合、処理液を含んだ気体は空気より重いので、ノズル収容器内の処理液を含んだ気体を効率的に排出することが可能になる。
【0085】
(第6項) 第5項に記載の基板処理装置において、
前記流路形成部材の下端は、前記ノズル収容器に収容された前記ノズルの下端よりも下方に位置してもよい。
【0086】
第6項に記載の基板処理装置によれば、流路形成部材がノズルの下端よりも下方に位置する。この場合、ノズルから吐出される処理液が開口部から第2の排出流路に流入することを抑制できる。
【0087】
上記実施の形態の基板処理装置によれば、液処理ユニットLPA,LPBおよびノズル収容器500ごとに独立した排気装置を儲ける必要がないので、一の基板処理装置に対する排気量を低減することができる。その結果、余分なエネルギーを消費することがなくなるため、基板処理装置の使用者の節電に寄与することが可能になる。また、処理液が薬液を含む場合に、それらが大気中に放出されるのを抑制して、環境が汚染されるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…現像装置,11a…気体供給部,11b…現像液供給部,11c…リンス液供給部,20…排気ダクト,21~25…排気管路部,22a,23a…開口,40…カップ,41…筒状壁部,50…収容器,61…排気管,70…基板保持装置,79…モータカバー,100…区画板,110…ノズル開口,200…筒部材,300…ノズルアームユニット,310…ノズル,330…カバー部材,400…ノズル駆動部,500…ノズル収容器,501…側壁,502…天板,503…流路形成部材,503a…上端,503b,503c…端部,503d…中央部,510…待機孔,520…排気流路,530…流量調整部,531…流量調整筐体,531a…側壁,532…回転軸,532a…一端,533…遮蔽板,534…操作部,534a…ガイド部材,534b…突起部材,534c…固定部材,540…排気管,540a~540e…部分管,CA…筐体,FS1…流路空間,GH…ガイド孔,GH1,GH2…他端,GI1…気体導入口,LPA,LPB…液処理ユニット,MSP…メンテナンス空間,OP2…開口部,P1…待機位置,P2…処理位置,SP…内部空間,SP1,SP2…空間,SPa…処理空間,SPb…非処理空間,W…基板,X1…排気装置,XX,op1…開口,ph…搬入搬出口