(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036250
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】路面雪氷破砕転圧装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/08 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
E01H5/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141081
(22)【出願日】2022-09-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CB01
2D026CK00
(57)【要約】
【課題】路面上の積雪や圧雪氷の破砕・敷きならし・転圧を行うことで、車両等が通行しやすい路面状況を作るのに好適な、路面雪氷破砕転圧装置を提供する。
【解決手段】車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置1と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置2と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置3と、を備えることを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置とする。路面上の雪氷や転圧装置3に対して加熱を行う加熱装置7、または、路面上の雪氷に対して水・湯・薬液・塩・硫安・薬材などを散布する散布装置8、を備えてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置(1)と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置(2)と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置(3)と、を備えることを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置。
【請求項2】
路面上の雪氷や転圧装置(3)に対して加熱を行う加熱装置(7)、または、路面上の雪氷に対して水・湯・薬液・塩・硫安・薬材などを散布する散布装置(8)、を備えることを特徴とする、請求項1に示す路面雪氷破砕転圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面上の積雪や圧雪氷の破砕・敷きならし・転圧を行うことで、車両等が通行しやすい路面状況を作るのに好適な、路面雪氷破砕転圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪地域では、道路等に積もった雪は、通常、除雪車両などの機械装置での除雪により路面上から移動され路側等に積み上げられる。この路側等に積み上げられた雪は市民生活に大きな影響を与えるため、路側等に雪を積み上げないで道路等に積もった雪を処理する方法が望まれる。
路側等に雪を積み上げないで道路等に積もった雪を処理する方法として、引用文献1に、積雪路面を圧雪する積雪路面整備装置が、引用文献2に、雪を道路面に押しつける圧雪装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-274569号公報
【特許文献2】特開2011-184877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
路側等に雪を積み上げないで道路等に積もった雪を処理する方法として、引用文献1に、積雪路面の雪を掘り起こして圧雪する積雪路面整備装置が開示されているが、積雪路面の雪を掘り起こす雪堀ユニット3が静的構造、かつ、自重とウェイトによる荷重で雪に食い込ませる構造のため、堅く凍りついているような雪氷路面では十分な雪の掘り起こしが困難なものとなっている。また、引用文献2に、雪を道路面に押し付ける圧雪装置が開示されているが、降り積った雪を圧雪するものであるため、既に深い轍が発生して堅く凍りついているような雪氷路面では、平坦な路面状況を作ることが困難なものとなっている。
【0005】
本発明は、動的構造である破砕装置1により路面上の雪氷をある程度の厚みで破砕して、破砕した雪氷を敷均し装置2により敷きならして、転圧装置3により転圧を行うことで、既に深い轍が発生して堅く凍り付いているような雪氷路面であっても、車両等が通行しやすい平坦な路面状況を作るのに好適な、路面雪氷破砕転圧装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置1と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置2と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置3と、を備えることを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置とする。
【発明の効果】
【0007】
路面上の雪氷を破砕装置1によりある程度の厚みで破砕し、破砕した雪氷を敷均し装置2により進行方向に対して左右方向に略均一に敷きならし、敷きならした雪氷を転圧装置3により転圧することにより、車両等が通行しやすい平坦な路面状況を作ることができる。本路面雪氷破砕転圧装置による路面上の雪氷処理は、本路面雪氷破砕転圧装置の進行範囲の雪氷が転圧されていくものであるため、処理後の雪氷が路側等に積み上げられることがなく、除雪のように処理後の雪氷の移動先を考慮する必要がないものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置1と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置2と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置3と、を備えることを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置とする。
【0010】
図1に、本路面雪氷破砕転圧装置の実施例1を示す。実施例1では、本路面雪氷破砕転圧装置を既存のロータリ除雪車の前部に取り付けるものとしている。着脱可能とすることで、本路面雪氷破砕転圧装置を使用しない場合には通常のロータリ除雪車として使用することができる。
破砕装置1は、ロータリ除雪車におけるオーガのような回転運動装置としており、高さ調節機構を設けることで雪氷を破砕する厚さを調節できるものとしている。敷均し装置2は、路面との隙間を調節することができるシャッターとしており、破砕した雪氷の量に応じて敷きならしの厚さを調節できるようにしている。転圧装置3は、転圧部分である転圧板4をそり形状とし、強力かつ効率的な転圧を行えるように起振装置5を備えている。また、転圧装置3には、高さ調節機構を設けており、転圧装置3の自重や起振装置5による力のほかに、取り付け車両の重量を加えて転圧を行えるようにしている。路面上に降り積もった積雪を破砕装置1に取り込むために予圧板6を破砕装置1の前方に備え、予圧板6は積雪量に応じて位置を調節できるようにしている。積雪が少ない時には、予圧板6を格納できるようにして、人などを巻き込みにくくするようにしている。雪氷の一部を溶かすことで転圧後の雪面強度を上げる効果を期待するために、転圧前の雪氷および転圧板4への加熱を行う、加熱装置7としてのバーナーを転圧装置3の前方に備えている。加熱装置7での加熱を効率よく行うため、転圧装置3や加熱装置7を覆うように、保温カバー9を備えている。なお、
図1および
図2では、保温カバー9の内側の構造を表現するため、側面の保温カバー9を外した状態を示している。巻き込み事故防止などの安全対策のため、動的構造を持つ破砕装置1を覆うように、安全カバー10を備えている。
【0011】
図2に、実施例1における、路面上の雪氷を処理する状況を示す。積雪を破砕装置1に取り込めるように、積雪量に応じて予圧板6を使用して積雪の予備圧雪を行う。破砕装置1により圧雪氷をある程度の厚みで破砕して、積雪がある場合には積雪と破砕した圧雪氷が合わさって破砕雪氷となる。破砕雪氷は敷均し装置2により左右均一の厚みに敷きならす。加熱装置7により、敷きならした破砕雪氷表面および転圧板4を加熱して、破砕雪氷表面の一部を融解させる。その後、転圧装置3により転圧を行うことで、路面上に圧雪状態の転圧雪氷が作成されるとともに、前記の一部融解した雪氷の水分により、転圧雪氷表面の強度が高くなるようにしている。
【0012】
図3に、本路面雪氷破砕転圧装置の実施例2を示す。実施例2では、本路面雪氷破砕転圧装置を専用車両の前後輪の間に配置するものとしている。
破砕装置1は、ロータリ除雪車におけるオーガのような回転運動装置としており、高さ調節機構を設けることで雪氷を破砕する厚さを調節できるものとしている。敷均し装置2は、路面との隙間を調節することができるシャッターとしており、破砕した雪氷の量に応じて敷きならしの厚さを調節できるようにしている。転圧装置3は、転圧部分を突起がついたローラー形状として転圧後の雪面路面にくぼみをつけることですべり防止効果を期待するとともに、強力かつ効率的な転圧を行えるように起振装置5を備えている。また、転圧装置3には、高さ調節機構を設けており、転圧装置3の自重や起振装置5による力のほかに、取り付け車両の重量を加えて転圧を行えるようにしている。なお、取り付け車両の重量を大きく加えた場合には、取り付け車両の後輪の荷重が抜けるため、転圧装置3の回転駆動力により取り付け車両を推進させることもできるようにしている。路面上に降り積もった積雪を破砕装置1に取り込むために、固定式の予圧板6を破砕装置1の前方に備えている。転圧後の雪面強度を上げる効果を期待するために、転圧前の雪氷に水を散布する散布装置8を転圧装置3の前方に備えている。
【0013】
破砕装置1は、実施例1~2に示すように、ロータリ除雪車におけるオーガのような回転運動装置を想定しているが、コンクリートブレーカーのような往復運動装置としてもよい。また、破砕装置1に高さ調節機構を設けることで路面上の雪氷を破砕する厚さを調節できるが、高さ調節機構の有無は限定されるものではない。
【0014】
転圧装置3は、起振装置5が備わっている方が強力かつ効率的な転圧を行うことができるが、転圧装置3自体の重量や取り付け車両の重量により静的な転圧を行うものも考えられ、この場合には構造を簡易にすることができる。また、転圧装置3の転圧部分は実施例1のようなそり形状でも、実施例2のようなローラー形状でもよく、転圧部分に設ける突起の有無や表面形状は限定されるものではない。例えば、実施例1のようなそり形状の下表面に、進行方向に沿った凹凸をつけることで、転圧後の雪氷路面に凹凸をつけることができ、すべり防止効果を期待できる。
【0015】
転圧後の雪面強度を上げる方法としては、前記のように転圧装置3の前方で熱や水分を加える処置のほかにも、処置箇所としては、破砕装置1の前後や転圧装置3の前後が考えられ、処置方法としては、バーナーなどによる加熱、水や湯や薬液などの散布、塩や硫安や薬材などの散布、などが考えられる。なお、これらの処置の効果は気温や雪温などの環境条件に大きく影響を受けるため、これらの処置は常時使用するものではなく、環境条件などにより使用を判断するものである。
【0016】
本路面雪氷破砕転圧装置は既存の除雪車両や土木工事車両などに取り付けられるアタッチメント装置としてもよいし、本路面雪氷破砕転圧装置専用の車両に取り付けて専用車両とすることも可能である。前者の場合、取り付け車両から本路面雪氷破砕転圧装置を取り外すことにより、取り付け車両を自身の用途として使用することができる。
【0017】
本路面雪氷破砕転圧装置は破砕装置1・敷均し装置2・転圧装置3が一体でもそれぞれ別体でもよく、それぞれ別体の場合には、取り付け車両前方に破砕装置1を、中央部に敷均し装置2を、後方に転圧装置3を、それぞれ設置するなど、破砕装置1・敷均し装置2・転圧装置3をそれぞれ別々の場所に配置することもできる。
【0018】
本路面雪氷破砕転圧装置の駆動方法は、油圧モーターや油圧シリンダーなど、取り付け車両に搭載する油圧発生装置が発生する油圧を利用する駆動方法を想定しているが、本路面雪氷破砕転圧装置自身に油圧発生装置やエンジンを搭載して駆動力を自己発生型とする駆動方法なども考えられるため、本路面雪氷破砕転圧装置の駆動方法は限定しない。
【0019】
図1~3に示した実施例1~2は、本発明の実施例に過ぎず、本路面雪氷破砕転圧装置の構造・形状・大きさ、破砕装置1や敷均し装置2や転圧装置3の構造・形状・大きさ・取付位置、起振装置5や予圧板6や加熱装置7や散布装置8や保温カバー9や安全カバー10の有無・構造・形状・大きさ・取付位置、等を限定するものではない。
【0020】
本路面雪氷破砕転圧装置での雪氷処理では、一般的な除雪機械での除雪のように処理する雪氷の移動先を考慮する必要がなく、本路面雪氷破砕転圧装置が通行した部分以外への影響がほとんどないことから、本路面雪氷破砕転圧装置を搭載する車両や移動体は、一般的な除雪機械と比較して運転難易度が低く自動運転化への適応性も高い。昨今における、除雪従事者・除雪技術者不足、労働力高齢化、過酷労働忌避、などの観点からも、除雪機械の運転難易度が低いことや自動運転化への適応性が高いことは有益だと考えられる。
【符号の説明】
【0021】
1 破砕装置
2 敷均し装置
3 転圧装置
4 転圧板
5 起振装置
6 予圧板
7 加熱装置
8 散布装置
9 保温カバー
10 安全カバー
【手続補正書】
【提出日】2022-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置(1)と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置(2)と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置(3)と、を備え、転圧装置(3)は高さ調節機構を備えることにより本装置を設置する車両や移動体の重量を加えて転圧を行うことができることを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置。
【請求項2】
路面上の雪氷や転圧装置(3)に対して加熱を行う加熱装置(7)、または、路面上の雪氷に対して水・湯・薬液・塩・硫安・薬材のいずれかを散布する散布装置(8)、を備えることを特徴とする、請求項1に示す路面雪氷破砕転圧装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両や移動体に設置する機械装置であって、動的構造により路面上の雪氷を破砕する破砕装置(1)と、破砕した雪氷を敷きならす敷均し装置(2)と、敷きならした雪氷を転圧する転圧装置(3)と、を備え、転圧装置(3)は高さ調節機構を備えることにより本装置を設置する車両や移動体の重量を加えて転圧を行うことができ、破砕装置(1)は転圧装置(3)の前方に位置することを特徴とする、路面雪氷破砕転圧装置。
【請求項2】
路面上の雪氷や転圧装置(3)に対して、転圧後の雪面強度を上げるための水分を発生させることを目的とした加熱を行う加熱装置(7)、または、路面上の雪氷に対して、転圧後の雪面強度を上げることを目的に水・湯・薬液・塩・硫安・薬材のいずれかを散布する散布装置(8)、を備えることを特徴とする、請求項1に示す路面雪氷破砕転圧装置。