(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036252
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】規制部材及び電気機器ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 25/00 20060101AFI20240308BHJP
H01R 41/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01R25/00 J
H01R41/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141084
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 将司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健
(72)【発明者】
【氏名】榎薗 良二
(72)【発明者】
【氏名】芳井 理
(57)【要約】
【課題】DCダクトからのアダプタの持ち出しを起きにくくする規制部材及び電気機器ユニットを提供する。
【解決手段】規制部材K1は、電気機器94が着脱可能なDCダクト3を有しかつ電気機器94にDC電力を供給するDCダクトシステム100からの、電気機器94の取り外しを規制する。規制部材K1は、壁部K2と、錠部K3と、挿入部K5と、を備える。壁部K2は、電気機器94のDCダクト3に対向する端面に隣接する側面を囲む環状に形成されている。錠部K3は、特定のキーK4によってDCダクト3からの離脱を規制する施錠状態とDCダクト3からの離脱を可能とする解錠状態とを切り替える。挿入部K5は、DCダクト3の内部に挿入されてDCダクト3に対して回り止めを行う。規制部材K1は、錠部K3の施錠状態において、壁部K2が電気機器94の側面を囲んだ態様でDCダクト3に取り付けられ、電気機器94の取り外しを規制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器が着脱可能なDCダクトを有しかつ前記電気機器にDC電力を供給するDCダクトシステムからの、前記電気機器の取り外しを規制する規制部材であって、
前記電気機器の前記DCダクトに対向する端面に隣接する側面を囲む環状に形成された壁部と、
特定のキーによって前記DCダクトからの離脱を規制する施錠状態と前記DCダクトからの離脱を可能とする解錠状態とを切り替える錠部と、
前記DCダクトの内部に挿入されて前記DCダクトに対して回り止めを行う挿入部と、を備え、
前記規制部材は、前記錠部の前記施錠状態において、前記壁部が前記電気機器の側面を囲んだ態様で前記DCダクトに取り付けられ、前記電気機器の取り外しを規制する、
規制部材。
【請求項2】
前記DCダクトは、導電バーと、前記導電バーが収納される凹部を含むダクトレールと、を有し、
前記電気機器は、その固定リブを前記凹部へ挿入し、及びその挿入方向に沿った回転軸を中心に所定の角度回転させることで、前記導電バーとの電気的な接続が達成され、かつ前記凹部からの引き抜きが抑制され、
前記規制部材は、前記錠部が前記施錠状態において、前記壁部により前記電気機器の回転を阻害し、前記電気機器の取り外しを規制する、
請求項1に記載の規制部材。
【請求項3】
前記壁部は、
前記電気機器の側面と対向する板面を有する筒状板部と、
前記筒状板部から前記板面の面内方向と交差する方向に延びる鍔状板部と、を有する、
請求項1又は2に記載の規制部材。
【請求項4】
前記板面は、前記電気機器の側面と間隔をあけて対向し、
前記鍔状板部は、前記筒状板部から前記電気機器の側面に向けて延びる、
請求項3に記載の規制部材。
【請求項5】
前記筒状板部は、前記電気機器の側面を囲む環状に形成される、
請求項4に記載の規制部材。
【請求項6】
前記電気機器は、前記固定リブの前記凹部への抜き差しのための操作を可能とするように構成される操作体を前記側面に有し、
前記壁部は、前記錠部の前記施錠状態において、前記操作体の操作を阻害するように前記操作体の少なくとも一部を覆う、
請求項2に記載の規制部材。
【請求項7】
前記挿入部は、前記壁部の前記電気機器を挟んだ両側にそれぞれ位置する、
請求項1又は2に記載の規制部材。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の規制部材と、
前記電気機器と、を備える、
電気機器ユニット。
【請求項9】
前記電気機器は、コネクタが接続されるアダプタである、
請求項8に記載の電気機器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、規制部材及び電気機器ユニットに関する。より詳細には、本開示は、DCダクトシステムに適用される規制部材及び電気機器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線ダクト用プラグが開示されている。このプラグは、その接触子が配線ダクトのダクト本体内に挿入されることで、配線ダクトの導体に接触する。プラグの接触子は、給電ケーブルの芯線と導通している。その結果、プラグを介して、配線ダクトから給電ケーブルの側への交流電圧の供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配線ダクトシステム(配線ダクト)が、AC電力ではなくDC電力の供給を行うDCダクトシステムである場合、比較的にユーザの手の届きやすい位置に設置される可能性がある。その場合、ユーザ等によってDCダクトからプラグ(アダプタ)が無断で持ち出されてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、DCダクトからのアダプタの持ち出しが起きにくい規制部材及び電気機器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の規制部材は、電気機器が着脱可能なDCダクトを有しかつ前記電気機器にDC電力を供給するDCダクトシステムからの、前記電気機器の取り外しを規制する。前記規制部材は、壁部と、錠部と、挿入部と、を備える。前記壁部は、前記電気機器の前記DCダクトに対向する端面に隣接する側面を囲む環状に形成されている。前記錠部は、特定のキーによって前記DCダクトからの離脱を規制する施錠状態と前記DCダクトからの離脱を可能とする解錠状態とを切り替える。前記挿入部は、前記DCダクトの内部に挿入されて前記DCダクトに対して回り止めを行う。前記規制部材は、前記錠部の前記施錠状態において、前記壁部が前記電気機器の側面を囲んだ態様で前記DCダクトに取り付けられ、前記電気機器の取り外しを規制する。
【0007】
本開示の一態様の電気機器ユニットは、前記規制部材と、前記電気機器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の規制部材及び電気機器ユニットによれば、DCダクトからのアダプタの持ち出しが起きにくくなる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る規制部材を備える錠システム、アダプタ、及びDCダクトシステムの要部の(一部断面を含む)斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1における同上の規制部材が同上のアダプタから分離した状態の(一部断面を含む)斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の規制部材を後ろ側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の規制部材が同上のDCダクトシステムに取り付けられて、錠部が施錠状態にある要部の断面図である。
【
図5】
図5Aは、同上のアダプタが同上のDCダクトシステムに取り付けられた状態のDCダクトシステムの要部の(一部断面を含む)斜視図である。
図5Bは、同上のアダプタが同上のDCダクトシステムに取り付けられる際のアダプタの後面を説明するための図である。
【
図6】
図6は、同上のDCダクトシステムの適用例の斜視図である。
【
図13】
図13は、同上のDCダクトシステムを用いて複数の電気機器に給電するシステムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の規制部材を備える錠システム、アダプタ、及びDCダクトシステムについて図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態及び変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0011】
(実施形態1)
(概要)
先ず、本実施形態に係る規制部材K1が適用されるアダプタ5及びDCダクトシステム100の概要について説明する。
【0012】
図1はアダプタ5とDCダクトシステム100の一部との斜視図であり、規制部材K1がDCダクトシステム100に取り付けられた状態を示す。
図2はアダプタ5とDCダクトシステム100の一部との斜視図であり、規制部材K1がDCダクトシステム100から分離した状態を示す。
図6はDCダクトシステム100の適用例の斜視図であり、
図7はその適用例の正面図であり、
図8はその適用例の右側面図であり、
図9はその適用例の平面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る規制部材K1は、DCダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制するように構成される。ここでは、規制部材K1は、DCダクトシステム100に接続されている状態のアダプタ5に対して外付けされるように構成される。
【0014】
DCダクトシステム100は、コネクタ95(
図13参照)が接続されるアダプタ5が着脱可能なDCダクト3を有する。ここでは、DCダクト3は、ダクトレール31(
図1、
図2及び
図4参照)と、導電バー32(
図1、
図2及び
図4参照)と、を有する。ここでは一例として、導電バー32は、アダプタ5に対して、ダクトレール31の長さ方向に連続した取付領域のうち任意の位置において電気的に接続可能である。言い換えると、アダプタ5は、DCダクト3の長さ方向に連続した取付領域のうち任意の位置に取り付けられる。アダプタ5には、DC電力を受電するコネクタ95が接続可能である。DCダクトシステム100は、アダプタ5を介してコネクタ95にDC(直流)電力を供給する。導電バー32は、ダクトレール31に収納されている。
【0015】
上記取付領域は、ダクトレール31の表面又は内部に設けられた領域である。本実施形態のDCダクト3は、ダクトレール31の長さ方向に沿って形成された凹部3110(
図1及び
図2参照)を含む。より詳細には、凹部3110は、ダクトレール31の長さ方向の両端に亘って形成されている。上記取付領域は、凹部3110が設けられた領域と一致する。
【0016】
図13に示すように、コネクタ95は、電気機器94の(又は、電気機器94に接続されるケーブルの)コネクタである。コネクタ95をアダプタ5に接続することで、DCダクト3から電気機器94に電力を供給することができる。よって、電力を電源コンセントから又は電源コンセントの電力を分配する電源タップから電気機器94に供給する場合と比較して、配線の取り回しを改善させることができる。
【0017】
ここでいう電気機器94の種類は、特に限定されない。電気機器94の一例としては、コンピュータ端末(パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末等)、コンピュータ端末の付属機器(モニタ、スピーカ及びマイクロフォン等)、照明機器(デスクライト等)、ネットワークカメラ、センサ(温度センサ、湿度センサ及び照度センサ等)、ゲーム機及び空調機器(卓上扇風機等)が挙げられる。アダプタ5も電気機器94に含まれ得る。
【0018】
DCダクトシステム100は、例えば、什器に固定されて使用される。什器とは、住宅又は非住宅で使用される家具及び備品等の器具の総称である。什器の一例は、物を載せる台として使用される机、テーブル及び作業台等である。什器の別の一例は、棚、箱、ドレッサー、ベッド、ホワイトボード、スクリーン、間仕切り及び長椅子等である。
【0019】
図6~
図13等では、一例として、DCダクトシステム100が什器としての机7に固定されて使用される場合を例に説明する。
図6に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。以下では、天板71の長辺に沿った方向を左右方向と規定し、天板71の短辺に沿った方向を前後方向と規定し、天板71の法線に沿った方向を上下方向と規定する場合がある。ただし、これらの規定は、DCダクトシステム100の使用方向を限定する趣旨ではない。また、
図1、
図2、
図4、
図6~
図13等における前後、左右、上下を表す矢印はそれぞれ、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0020】
ところで、DCダクトシステム100は、上述の通り、机7等の什器に設置される可能性がある。つまり、利便性の観点から、アダプタ5が、比較的に人(例えば、DCダクト3からの給電を利用するユーザ)の手の届きやすい位置に設置される可能性がある。その場合、人(ユーザ等)によってDCダクト3からアダプタ5が無断で持ち出されてしまう可能性がある。
【0021】
これに対して、規制部材K1は、
図1に示すように、アダプタ5の側面を囲む環状に構成された壁部K2と、特定のキーK4によって施錠状態及び解錠状態が切り替わる錠部K3と、を備える。規制部材K1は、錠部K3が施錠状態において、壁部K2がアダプタ5の側面を囲む態様でDCダクト3に取り付けられ、アダプタ5の取り外しを規制する。
【0022】
この構成によれば、特定のキーK4で錠部K3を解錠状態にしない限り、規制部材K1が、アダプタ5の取り外しを規制することになる。結果的に、DCダクト3からのアダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。
【0023】
(詳細)
(1)DCダクトシステム
以下、先ず、規制部材K1が適用されるDCダクトシステム100及びDCダクトシステム100と共に用いられる構成について、より詳細に説明する。
【0024】
図6に示すように、DCダクトシステム100は、ダクト固定具F1と、2つ(
図6では1つのみ図示)のDCダクト3と、2つ(
図6では1つのみ図示)のフィードイン4(フィードインキャップ)(
図10参照)と、2つ(
図10では1つのみ図示)のエンドキャップE1と、を備える。ダクト固定具F1は、2つの第1固定部1と、2つの第2固定部2と、を有する。2つの第1固定部1は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。各第1固定部1は、対応するDCダクト3を保持する。つまり、各DCダクト3は、対応する第1固定部1に固定される。2つの第2固定部2は、什器(机7)に固定される。
【0025】
また、DCダクトシステム100と共に用いられる構成としては、1以上のアダプタ5(
図1及び
図2参照)と、3つのパーティション6と、机7と、がある。
【0026】
(2)机
図6に示すように、机7は、平面視長方形状の天板71と、2つの脚部72と、2つの支持台73と、を有する。2つの脚部72のうち一方は、天板71の右端付近から下に突出しており、他方は、天板71の左端付近から下に突出している。2つの支持台73は、2つの脚部72と一対一で対応する。各支持台73は、対応する脚部72の下端につながっており、脚部72を支持する。
【0027】
(3)第1固定部
図9に示すように、2つの第1固定部1は、前後に並んで、互いに合わさっている。
図10に示すように、2つの第1固定部1の各々は、ダクト収納部11と、2つの連結突起12と、を含む。ダクト収納部11と2つの連結突起12とは、一体に形成されている。
【0028】
ダクト収納部11の形状は、直方体状である。ダクト収納部11は、左右方向に長さを有する。2つの連結突起12のうち一方は、ダクト収納部11の右端から突出しており、他方は、ダクト収納部11の左端から突出している。ダクト収納部11は、DCダクト3(及びDCダクト3のダクトレール31)を収納する。また、ダクト収納部11は、フィードイン4をも収納する。2つの連結突起12の各々は、第1固定部1を第2固定部2に連結するための構成である。
【0029】
各第1固定部1は、収納溝130と、2つの通線溝140と、を有する。収納溝130は、DCダクト3と、フィードイン4と、を収納する。通線溝140には、DCダクト3に電気的に接続される配線W1(
図12A及び
図12B参照)が通される。
【0030】
収納溝130は、ダクト収納部11に設けられている。収納溝130は、ダクト収納部11の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1のうち前側の第1固定部1では、収納溝130は、ダクト収納部11の前面において開口しており、後側の第1固定部1では、収納溝130は、ダクト収納部11の後面において開口している。
【0031】
2つの通線溝140は、2つの連結突起12と一対一で対応する。各通線溝140は、対応する連結突起12と、ダクト収納部11と、に亘って設けられている。つまり、第1固定部1の右端と左端とにそれぞれ通線溝140が設けられている。各通線溝140は、ダクト収納部11の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。2つの第1固定部1のうち前側の第1固定部1では、各通線溝140は、ダクト収納部11の後面において開口しており、後側の第1固定部1では、各通線溝140は、ダクト収納部11の前面において開口している。
【0032】
2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の右端の通線溝140が合わさって、1つの空間を形成し(
図12A参照)、かつ、2つの第1固定部1の各々の左端の通線溝140が合わさって、別の1つの空間を形成する。各通線溝140は、収納溝130とつながっている。通線溝140に通された配線W1は、収納溝130に収納されたフィードイン4の端子部432(
図12A及び
図12B参照)に電気的に接続され、端子部432を介して、DCダクト3の導電バー32(
図11及び
図12A参照)に電気的に接続される。
【0033】
2つの第1固定部1の各々は、パーティション固定構造S1の一部として、4つ(
図10では2つのみ図示)の窪み150を有する。4つの窪み150は、ダクト収納部11に設けられている。2つの第1固定部1が合わさることで、2つの第1固定部1の各々の4つの窪み150がそれぞれ合わさって、2つの第1固定部1の間の4つの隙間を形成する。この4つの隙間がそれぞれ、パーティション固定構造S1に相当する。各パーティション固定構造S1は、より詳細には、2つの第1固定部1が合わさった構成を上下方向に貫通する貫通孔である。4つのパーティション固定構造S1は、左右方向に並んでいる。各パーティション6は、その下部から突出する嵌合突起が、対応するパーティション固定構造S1に挿入されことにより、2つの第1固定部1に固定される。
【0034】
(4)第2固定部
図10に示すように、2つの第2固定部2の各々は、横架部21と、支柱部22と、クランプ機構23と、を含む。横架部21と支柱部22とは、一体に形成されている。2つの第2固定部2は、ダクトレール31を什器(ここでは机7)に固定するための固定部材である。より詳細には、2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1と共に用いられることで、ダクトレール31を机7に固定する。
【0035】
横架部21の形状は、角筒状である。横架部21の軸方向は、左右方向に沿っている。
【0036】
2つの第2固定部2は、2つの第1固定部1の各々の2つの連結突起12と、一対一で対応する。各第2固定部2の横架部21には、2つの第1固定部1の各々の対応する連結突起12が挿入される。更に、2つの第1固定部1がそれぞれ、2つの第2固定部2にねじ止めされる。これにより、2つの第1固定部1が2つの第2固定部2に連結される。つまり、2つの第1固定部1は、2つの第2固定部2の間を架け渡すように、2つの第2固定部2に連結される。また、2つの第1固定部1の各々は、2つの第2固定部2から分離可能である。すなわち、2つの第1固定部1と2つの第2固定部2とを連結するねじを取り外し、各連結突起12を横架部21から引き出すことで、2つの第1固定部1の各々を2つの第2固定部2から分離することができる。
【0037】
支柱部22の形状は、円筒状である。支柱部22の軸方向は、上下方向に沿っている。横架部21は、支柱部22の上端から、左右方向に突出している。横架部21の内部空間は、支柱部22の内部空間とつながって、1つの内部空間SP1を形成している。内部空間SP1には、配線W1(
図12A参照)が通される。すなわち、第2固定部2は、導電バー32(
図11参照)に電気的に接続される配線W1が通される内部空間SP1を有する。
【0038】
支柱部22は、通線孔220を有する。通線孔220は、支柱部22の側面に設けられている。配線W1は、内部空間SP1から通線孔220を通って外部へ引き出される。
【0039】
クランプ機構23は、机7を挟むことで机7に固定される。より詳細には、2つの第2固定部2のうち一方は、机7の天板71の左端を挟み、他方は、天板71の右端を挟む。これにより、DCダクトシステム100が机7に固定される。
【0040】
クランプ機構23は、可動部231(
図8及び
図10参照)と、ベース232と、操作部233と、を有する。
【0041】
ベース232は、支柱部22と一体に形成されている。ベース232は、支柱部22の下端から左右方向に突出している。
【0042】
可動部231は、ベース232の上に配置されている。可動部231の一部は、支柱部22の通線孔220の内側に配置されている。
【0043】
操作部233は、可動部231を上下に動かすための操作を受け付ける。操作部233は、レバーであって、作業者が操作部233を回すことで、可動部231が上下に動く。
【0044】
以下、クランプ機構23を用いてDCダクトシステム100を机7に固定する手順について説明する。
図7に示すように、机7の天板71の左端(又は右端)は、通線孔220に挿入される。これにより、天板71の左端(又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に配置される。作業者は、操作部233を回し、可動部231を上に動かす。これにより、天板71の左端(又は右端)は、支柱部22と可動部231との間に挟まれる。2つの第2固定部2の各々のクランプ機構23を用いて天板71の左端及び右端を挟むことにより、DCダクトシステム100が机7に固定される。
【0045】
また、支柱部22が存在することにより、DCダクトシステム100の2つの第1固定部1と机7の天板71との間に隙間G1(
図7参照)が確保される。つまり、2つの第1固定部1に固定された2つのダクトレール31と天板71との間に隙間G1が確保される。言い換えると、第2固定部2は、2つのダクトレール31と机7との間に隙間G1をあけて2つのダクトレール31を支持する支柱部22を含む。隙間G1を通すことで、机7の前後で書類等の物を受け渡すことができる。また、机7の天板71のうち、第1固定部1の下の部位に、開口部を設けてもよい。開口部は、交流電力を供給する配線を天板71の下から引き出すための構成である。ユーザは、隙間G1に手を入れて、開口部を通して配線を引き出すことができる。
【0046】
(5)DCダクト
DCダクト3は、導電バー32と、導電バー32が収納される凹部3110を含むダクトレール31と、を有する。本実施形態では、DCダクトシステム100は、上述の通り、2つのDCダクト3を備えており、
図10及び
図11に示すように、各DCダクト3は、ダクトレール31と、2つの導電バー32と、を有する。
図4に示すように、ダクトレール31は、電気絶縁性を有する。ダクトレール31は、例えばPVC(polyvinylchloride)等の合成樹脂材料により形成されている。ダクトレール31は、その内側に導電バー32を保持している。
【0047】
図1及び
図2に示すDCダクト3は、
図10に示す2つのDCダクト3のうちのいずれか一方に相当し得る。なお、
図1及び
図2では、第1固定部1の図示を省略している。
【0048】
2つのDCダクト3は、2つの第1固定部1と一対一で対応する。各DCダクト3は、対応する第1固定部1の収納溝130に収納されている。そのため、2つのDCダクト3のうち一方は、パーティション6に対して前側に配置され、他方は、パーティション6に対して後ろ側に配置されている。
【0049】
また、上記2つのDCダクト3は、第1固定部1に複数のDCダクト3が固定され、かつ、机7に第2固定部2が固定された状態で、水平面に沿った所定方向(前後方向)において互いに反対側に位置する。
【0050】
ダクトレール31の形状は、角筒状である。ダクトレール31は、例えば金属製である。ダクトレール31の軸方向(長さ方向)は、左右方向に沿っている。ダクトレール31は、凹部3110を含む。凹部3110は、ダクトレール31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、凹部3110は、ダクトレール31の長さ方向の両端に亘って形成されている。凹部3110には、2つの導電バー32が収納されている。
【0051】
凹部3110は、パーティション6の表面と直交する方向に沿って開口している。つまり、凹部3110は、パーティション6の表面に沿った面において開口している。
【0052】
図4に示すように、ダクトレール31は、2つの嵌合部3111と、2つの取付溝3112と、を更に含む。
【0053】
2つの嵌合部3111はそれぞれ、溝である。2つの嵌合部3111は、凹部3110の内面に設けられている。2つの嵌合部3111は、凹部3110の内面のうち、ダクトレール31の長さ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)の端部にされている。2つの嵌合部3111は、ダクトレール31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの嵌合部3111は、ダクトレール31の長さ方向の両端に亘って形成されている。2つの嵌合部3111は、アダプタ5に嵌合する。これにより、アダプタ5がDCダクト3に取り付けられる。すなわち、ダクトレール31は、アダプタ5を取り付けるためのアダプタ取付部(2つの嵌合部3111)を含む。アダプタ5をDCダクト3に取り付ける手順については後述する。
【0054】
2つの取付溝3112は、凹部3110の内面に設けられている。2つの取付溝3112は、凹部3110の内面のうち、ダクトレール31の長さ方向(左右方向)と直交する方向(上下方向)の端部にされている。2つの嵌合部3111と2つの取付溝3112とのうち、2つの取付溝3112の方が、凹部3110の開口部の近くに設けられている。2つの取付溝3112は、ダクトレール31の長さ方向(左右方向)に沿って形成されている。より詳細には、2つの取付溝3112は、ダクトレール31の長さ方向の両端に亘って形成されている。2つの取付溝3112は、規制部材K1に嵌合する。これにより、規制部材K1がDCダクト3に取り付けられる。すなわち、ダクトレール31は、規制部材K1を取り付けるためのアダプタ取付部(2つの取付溝3112)を含む。規制部材K1をDCダクト3に取り付ける手順については後述する。
【0055】
また、ダクトレール31は、規制突起3114を更に有する。規制突起3114は、突起である。規制突起3114は、ダクトレール31の下部に設けられている。
【0056】
2つの導電バー32の各々は、左右方向に長さを有する。2つの導電バー32の各々は、ダクトレール31の右端から左端までに亘って設けられている。2つの導電バー32は、フィードイン4を介して、対応する配線W1(
図12A参照)に電気的に接続される。各DCダクト3の2つの導電バー32のうち一方は、正極側の配線W1に電気的に接続され、他方は、負極側の配線W1に電気的に接続される。これにより、2つの導電バー32には、直流電力が供給される。
【0057】
(6)フィードイン及びエンドキャップ
図10に示すように、2つのフィードイン4は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。2つのエンドキャップE1は、2つのDCダクト3と一対一で対応する。各DCダクト3の長さ方向の第1端及び第2端のうち一方には、対応するフィードイン4が取り付けられ、他方には、対応するエンドキャップE1が取り付けられる。
【0058】
フィードイン4は、DCダクト3の2つの導電バー32をそれぞれ対応する配線W1(
図11参照)に電気的に接続するための構成である。すなわち、2つの導電バー32は、フィードイン4を介して、対応する配線W1に電気的に接続される。以下、
図11を参照して、フィードイン4の構成を説明する。
【0059】
フィードイン4は、外箱41と、端子ボックス42と、2つの端子ユニット43と、を含む。
【0060】
外箱41の形状は、直方体状である。外箱41は、端子ボックス42を収納している。
【0061】
端子ボックス42は、第1ブロック421と、第2ブロック422と、を有する。第1ブロック421と第2ブロック422とが結合することで、端子ボックス42が構成される。端子ボックス42は、2つの端子ユニット43を収納している。また、端子ボックス42は、2つの配線W1が挿入される2つの入線孔423を有する。2つの入線孔423は、第1ブロック421に設けられている。
【0062】
2つの端子ユニット43の各々は、ばね431と、端子部432と、を有する。ばね431と端子部432との組は、速結端子を構成する。すなわち、端子ユニット43は、速結端子を有する。
【0063】
ばね431は、金属板に曲げ加工等を施すことで形成されている。端子部432は、金属板からなり、板状に形成されている。端子部432は、ばね431に対向している。2つの端子ユニット43は、2つの導電バー32と一対一で対応する。各端子ユニット43の端子部432は、対応する導電バー32に電気的に接続されている。
【0064】
図12A及び
図12Bに示すように、入線孔423を通して端子ボックス42の内部に挿入された配線W1は、ばね431と端子部432との間に挟まれる。これにより、配線W1は、端子部432に電気的に接続され、かつ、ばね431と端子部432との間に保持される。
【0065】
(7)パーティション
本実施形態では、DCダクトシステム100は、上述の通り、パーティション6を固定可能なパーティション固定構造S1を備える。“パーティション”は、間仕切り、又は、衝立とも称される。パーティション付きダクトシステム200(
図6~
図9参照)は、DCダクトシステム100と、複数(ここでは3つ)のパーティション6(6A、6B、6C)と、を備える。
【0066】
各パーティション6は、天板71の上方に固定される。これにより、天板71の上方の空間は、前側の空間と、後側の空間とに仕切られる。何人かの人(以下、“第1の人”と称す)は、机7の前方に着席し、別の何人かの人(以下、“第2の人”と称す)は、机7の後方に着席する。第1の人と第2の人との間の空間がパーティション6により仕切られるので、第1の人と第2の人との間で飛沫感染が起きる可能性を低減させることができる。
【0067】
各パーティション6は、透光性を有する。各パーティション6の材質は、例えば、アクリル樹脂である。各パーティション6の形状は、板状である。パーティション6の厚さ方向は、前後方向に沿っている。各パーティション6の平面視形状は、長方形状である。各パーティション6の嵌合突起は、その本体から下方に突出していて、対応するパーティション固定構造S1(貫通孔)に挿入される。これにより、各パーティション6がDCダクトシステム100に固定される。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6の自重によりパーティション6と嵌合する構造である。また、嵌合突起をパーティション固定構造S1から抜き取ることで、各パーティション6は、DCダクトシステム100から取外し可能である。すなわち、パーティション固定構造S1は、パーティション6を着脱可能に固定する。
【0068】
(8)アダプタ
図13に示すように、パーティション6の前後にそれぞれ第1固定部1が配置され、各第1固定部1には、DCダクト3(
図6参照)が収納されている。これら2つのDCダクト3にそれぞれ、アダプタ5が着脱可能である。DCダクトシステム100は、アダプタ5を介してコネクタ95にDC電力を供給する。
【0069】
図1、
図2、
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、アダプタ5は、筐体51と、(解除)操作体52と、取付突起53と、2つの受電端子54と、筐体51に収納されたばねと、蓋部56(
図5参照)と、を有する。またアダプタ5は、筐体51に収納された、一対の接続コネクタ(USBソケット)及び回路基板等を更に有する。ここでは、アダプタ5における筐体51、取付突起53、2つの受電端子54、一対の接続コネクタ、回路基板、及び蓋部56等が、アダプタ本体部50を構成する。
【0070】
筐体51は、例えば樹脂製である。筐体51は、一面(
図5A等では後面)が開放された中空の箱状である。筐体51の開放された一面が蓋部56によって塞がれるように、蓋部56がねじ止め等により筐体51に組み付けられる。筐体51の外形状は、直方体状である。筐体51は、第1差込口511と、第2差込口512と、を有する。第1差込口511は、コネクタ95(
図13参照)としてのUSB Type-Aプラグの差込口である。第2差込口512は、コネクタ95としてのUSB Type-Cプラグの差込口である。すなわち、第1差込口511は、第2差込口512とは規格が異なる。第1差込口511は、第2差込口512とは大きさが異なる。筐体51内では、一対の接続コネクタは、第1差込口511及び第2差込口512と、それぞれ一対一で対向するように回路基板に実装されている。第1差込口511又は第2差込口512に差し込まれたコネクタ95は、一対の接続コネクタの対応する一方に接続され、回路基板を介して受電端子54と電気的に接続される。
【0071】
第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5がDCダクト3に取り付けられているとき、DCダクト3と反対側を向く面(コネクタ装着面501:
図5A等では前面)に設けられている。第1差込口511及び第2差込口512は、アダプタ5がDCダクト3に取り付けられているとき、
図1及び
図2に示すように、上下に並ぶ。
【0072】
操作体52は、DCダクト3の凹部3110に抜き差し操作可能に構成されて、凹部3110に差し込むことでアダプタ5の回転を制限するように構成される。操作体52は、筐体51の側面に設けられる。操作体52は、例えば樹脂製である。操作体52は、板状である。操作体52は、その表面に操作部521を有しており、操作部521のある表面が、筐体51の一側面から露出する態様で、筐体51に保持される。操作体52は、操作部521に対して人の指先等で力が加えられることで、所定方向(
図5Aでは前後方向)にスライド移動可能である。操作体52は、筐体51内に収納されたばねの復帰力がコネクタ装着面501から離れる方向(後方)に作用した状態で、筐体51に保持されている。そのため、操作体52に対して力が加えられていないとき、操作体52の先端部(爪部520)は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側へ突出した状態となる。操作部521に対して、人の指先等でばねの力に抗して前方に力を加えることで、操作体52が前方にスライド移動する。
【0073】
蓋部56は、例えば樹脂製である。蓋部56は、矩形の板状である。蓋部56の後面には、取付突起53が設けられている。
図5Bに示すように、蓋部56と取付突起53とは連続一体となって形成されている。取付突起53は、軸部531と、2つの固定リブ532と、を含む。軸部531は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つの固定リブ532は、軸部531の側面から突出している。2つの固定リブ532は、互いに反対向きに突出している。
【0074】
2つの受電端子54は、筐体51からコネクタ装着面501側とは反対側に突出している。2つの受電端子54の各々の先端部は、屈曲している。2つの受電端子54は、それらの屈曲する先端部が軸部531の先端から露出するように取付突起53によって保持される。
【0075】
アダプタ5は、電力変換器を更に有する。電力変換器を構成する複数の電子部品は、筐体51内の回路基板に実装されている。電力変換器は、2つの受電端子54で受電された電力を、所望の電圧の電力に変換する。一対の接続コネクタ(USBソケット)からは、電力変換器で変換された電力が出力される。電気機器94(
図13参照)は、第1差込口511又は第2差込口512に差し込まれ接続コネクタに接続されたコネクタ95(
図13参照)を含むケーブルを介して、電力を受電することができる。
【0076】
以下、アダプタ5をDCダクト3に取り付ける手順について説明する。
【0077】
図1及び
図2では、2つの固定リブ532は、上下方向に並んでいる。
【0078】
作業者は、まず、
図5Bに示すように、2つの固定リブ532の並んでいる方向がダクトレール31の長さ方向(左右方向)に沿うように、アダプタ5を持つ。この状態では、
図5Aに示すように、操作体52の操作部521のある表面は、上方を向いている。この状態では、2つの固定リブ532がダクトレール31に干渉することなく、挿入方向A1(後方)に沿って、取付突起53をダクトレール31の凹部3110に挿入できる。この時、操作体52は、その先端の爪部520が第1固定部1と接触し、第1固定部1の接圧により、コネクタ装着面501側(前方)に向かって動く。操作体52は、固定リブの凹部への抜き差しのための操作を可能とするように構成されている。
【0079】
取付突起53を凹部3110に挿入した後、作業者は、アダプタ5を、回転軸B1を中心に時計回りに90度回転させる。示す回転軸B1は仮想的な軸であり、軸部531の中心軸と概ね一致する。すると、2つの固定リブ532が2つの嵌合部3112に挿入される。これにより、アダプタ5の前後方向の移動が規制される。また、操作体52の爪部520がダクトレール31の凹部3110に挿入されることにより、筐体51の回転が規制される。また、2つの受電端子54は、それぞれ対応する導電バー32に接触し、これにより、対応する導電バー32に電気的に接続される。要するに、アダプタ5は、その固定リブ532を凹部3110へ挿入し、及びその挿入方向A1に沿った回転軸B1を中心に所定の角度(例えば90度)回転させることで、導電バー32との電気的な接続が達成され、かつ凹部3110からの引き抜きが抑制される。
【0080】
以上の手順により、アダプタ5がDCダクト3に取り付けられる。アダプタ5は、凹部3110が設けられた領域(DCダクト3の長さ方向に連続した取付領域)のうち任意の位置において、DCダクト3に取付可能である。またアダプタ5は、導電バー32に電気的に接続可能である。
【0081】
本実施形態では、DCダクト3に取り付けられたアダプタ5の左右方向の移動を規制する構成は設けていない。そのため、アダプタ5は、DCダクト3に取り付けられた状態のまま左右方向にスライド移動可能である。言い換えると、アダプタ5は、取付後においてDCダクト3の長さ方向に沿ったスライド移動が可能である。ただし、アダプタ5が左右方向に移動することによる2つの受電端子54の摩耗を抑制するために、DCダクトシステム100は、DCダクト3に取り付けられたアダプタ5の左右方向の移動を規制する構成を備えていてもよい。
【0082】
次に、アダプタ5をDCダクト3から取り外す手順について説明する。作業者が操作体52の操作部521に対して、コネクタ装着面501側に向かう力を加えると、操作体52が動き、爪部520が凹部3110から出る。これにより、筐体51の回転の規制が解除される。作業者が筐体51を反時計回りに90度回転させることで、2つの固定リブ532が2つの嵌合部3112から出る。そして、アダプタ5を手前に引き抜くことで、DCダクト3から取り外される。
【0083】
(9)電力供給システム
次に、
図13を参照して、電気機器94に電力を供給するシステム(DCダクトシステム100を含む)の構成の一例について、説明する。
【0084】
電気機器94の使用場所の施設には、スイッチングハブ92と、スプリッタ93と、が設けられている。スイッチングハブ92は、電源91に電気的に接続されている。電源91は、スイッチングハブ92に交流電力を供給する。電源91は、例えば、商用電源又は分散型電源である。
【0085】
スイッチングハブ92は、PoE(Power over Ethernet)に対応したPoEスイッチングハブである。スイッチングハブ92は、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して、スプリッタ93に電気的に接続される。また、スイッチングハブ92は、PoEに対応した機器にも電気的に接続され得る。PoEに対応した機器は、例えば、コンピュータ端末、ネットワークカメラ、IP(Internet Protocol)電話及び、無線アクセスポイント等である。スイッチングハブ92は、スイッチングハブ92に電気的に接続された機器との間で、データと電力(直流電力)とを備えたPoE信号の授受を行うことができる。
【0086】
スプリッタ93は、PoEに対応したPoEスプリッタである。スプリッタ93は、スイッチングハブ92から受け取ったPoE信号を、データと電力(直流電力)とに分離する。スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、PoEに非対応の機器へ供給する。一例として、スプリッタ93は、PoE信号から分離された電力を、DCダクトシステム100を介して、PoEに非対応の1又は複数の電気機器94へ供給する。
【0087】
また、スプリッタ93は、PoE信号から分離されたデータを含むデータ信号を、PoEに非対応の機器へ送信する。
【0088】
スプリッタ93の直流電力の出力端子は、4つの配線W1の各々の第1端に電気的に接続される。2つのDCダクト3のうち一方のDCダクト3は、4つの配線W1のうち2つの配線W1と対応し、他方のDCダクト3は、残りの2つの配線W1と対応する。以下では、一方のDCダクト3と、このDCダクト3に対応する2つの配線W1及び1つのフィードイン4に着目して説明する。
【0089】
2つの配線W1は、正極側の配線と負極側の配線とである。2つの配線W1は、フィードイン4に設けられた2つの入線孔423(
図11参照)と一対一で対応する。また、2つの配線W1は、DCダクト3の2つの導電バー32と一対一で対応する。2つの配線W1の各々の第2端は、対応する入線孔423に挿入され、対応する導電バー32に電気的に接続される。1又は複数のアダプタ5は、DCダクト3に接続可能であり、各導電バー32には、アダプタ5を介して1又は複数の電気機器94が電気的に接続可能である。
【0090】
以上より、各電気機器94は、配線W1から供給される電力を、導電バー32及びアダプタ5を介して受電することができる。ユーザは、机7(
図6参照)の上、又は、机7の周囲で電気機器94を使用することができる。
【0091】
アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧(2つの導電バー32間の電圧)は、60V以下であることが好ましい。この場合、アダプタ5を設置する際に、電気工事士等の資格が不要であるという利点がある。よって、AC100Vのコンセントを移設又は新設する場合と比較して、手軽に電源を確保することができる。
【0092】
アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧は、24V以下であることがより好ましい。また、アダプタ5が2つの導電バー32から受電する直流電圧は、48V以下であることも好ましい。
【0093】
一例として、スイッチングハブ92から出力されるPoE信号の直流電圧は、48Vである。スプリッタ93は、スイッチングハブ92から受電したPoE信号の直流電圧を降圧する機能を有し、スプリッタ93から出力される直流電圧は、一例として、24Vである。アダプタ5は、スプリッタ93から出力される直流電圧を受電し、24V以下の直流電圧を電気機器94へ出力する。
【0094】
DCダクト3の2つの導電バー32間の電圧を、60V以下(例えば、24V)とすることにより、ユーザが導電バー32に接触したとき感電する可能性を低減させることができる。よって、DCダクト3にカバーを設けなくてもよく、アダプタ5をDCダクト3に取り付ける作業においてカバーを着脱する作業の手間がかからないという利点がある。
【0095】
以上、電気機器94に電力を供給するシステムの構成例を説明したが、このシステムに代えて、より簡素に、例えば、各配線W1を、ACアダプタを介して商用電源のコンセントに接続するようにしてもよい。
【0096】
(10)錠システム
以下、本実施形態に係る錠システムC1について
図1~
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0097】
錠システムC1は、
図1に示すように、規制部材K1と、特定のキーK4とを備える。
【0098】
規制部材K1は、DCダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制する部材である。規制部材K1は、壁部K2と、錠部K3と、挿入部K5と、を備える。ここでは一例として、壁部K2と錠部K3とは、一体となって形成されている。
【0099】
以下では、
図1に示すように、規制部材K1がDCダクトシステム100に取り付けられてアダプタ5の取り外しを規制した状態時のことを、単に「規制部材K1の使用時」と呼ぶことがある。
【0100】
特定のキーK4は、
図1に示すように、一例として、丸型キー(いわゆるエースキー)である。特定のキーK4を錠部K3の鍵穴K32に差し込み、回すことで、錠部K3の状態が、解錠状態から施錠状態へ、あるいは施錠状態から解錠状態へ切り替わる。特定のキーK4の種類は特に限定されず、ディスクシリンダー等でもよい。また特定のキーK4には、スペアキーが存在してもよい。
【0101】
壁部K2は、アダプタ5のDCダクト3に対向する端面に隣接する側面を囲む環状に形成されている。本実施形態では、アダプタ5のDCダクト3に対向する端面は後面であり、壁部K2が囲むアダプタ5の側面は、後面に隣接し、上下及び左右を向く表面である。
【0102】
具体的には、壁部K2は、
図2及び
図3に示すように、具体的には、壁部K2は、第1片K21、第2片K22、第3片K23及び第4片K24を有する。
【0103】
第1片K21は、アダプタ5の上方を向く側面に対向し、DCダクト3の長手方向(左右方向)に延びる。第1片K21は、アダプタ5の上方を向く側面と対向する板面を有する板状をしている。規制部材K1がアダプタ5に装着されたとき、第1片K21は、アダプタ5の上方を向く側面と沿う状態、すなわち、前記側面と接触する状態か、あるいは前記側面と若干の間隔をあけて近接する状態となる。
【0104】
第2片K22は、アダプタ5の左方を向く側面に対向し、DCダクト3の短手方向(上下方向)に延びる。第2片K22は、板部K220と、板部K221と、板部K222と、を有する。板部K220は、前後方向を向く板状をした部分である。板部K221は、板部K220から後方に延びて、アダプタ5の左方を向く側面と対向する板状をした部分である。板部K222は、板部K220から前方に延びて、アダプタ5の左方を向く側面と対向する板状をした部分である。規制部材K1がアダプタ5に装着されたとき、板部K222は、アダプタ5の左方を向く側面と沿う状態、すなわち、前記側面と接触する状態か、あるいは前記側面と若干の間隔をあけて近接する状態となる。
【0105】
第3片K23は、アダプタ5の下方を向く側面に対向し、DCダクト3の長手方向(左右方向)に延びる。第3片K23は、アダプタ5の下方を向く側面と対向する板面を有する板状をしている。規制部材K1がアダプタ5に装着されたとき、第3片K23は、アダプタ5の下方を向く側面と沿う状態、すなわち、前記側面と接触する状態か、あるいは前記側面と若干の間隔をあけて近接する状態となる。
【0106】
第4片K24は、アダプタ5の右方を向く側面に対向し、DCダクト3の短手方向(上下方向)に延びる。第4片K24は、板部K240と、板部K241と、板部K242と、板部K243と、板部K244と、を有する。板部K240は、前後方向を向く板状をした部分である。板部K241は、板部K240から後方に延びて、右方と下方の間の方を向く板状をした部分である。板部K242は、板部K240から後方に延びて、左右方向を向く板状をした部分である。板部K243は、板部K240から後方に延びて、右方と上方の間の方を向く板状をした部分である。板部K244は、板部K240から前方に延びて、アダプタ5の右方を向く側面と対向する板状をした部分である。規制部材K1がアダプタ5に装着されたとき、板部K244は、アダプタ5の右方を向く側面と沿う状態、すなわち、前記側面と接触する状態か、あるいは前記側面と若干の間隔をあけて近接する状態となる。
【0107】
壁部K2は、例えば一枚の金属板に、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで形成されている。壁部K2は、筒状板部と、鍔状板部と、を有する。筒状板部は、第1片K21、板部K221、第3片K23、板部K241、板部K242及び板部K243により構成される。筒状板部は、アダプタ5の側面と対向する板面を有している。
【0108】
鍔状板部は、板部K220及び板部K240により構成される。鍔状板部は、筒状板部から板面の面内方向と交差する方向に延びる。すなわち、筒状板部の表面の法線方向と、鍔状板部の表面の法線方向とは、交差(本実施形態においては直交)している。
【0109】
本実施形態では、筒状板部を構成する板部K221、板部K241、板部K242及び板部K243の板面は、アダプタ5の側面と間隔をあけて対向する。鍔状板部を構成する板部K220は、筒状板部を構成する板部K221からアダプタ5の側面に向けて延び、鍔状板部を構成する板部K240は、筒状板部を構成する板部K241、板部K242及び板部K243からアダプタ5の側面に向けて延び、アダプタ5の側面を囲む環状に形成される。
【0110】
鍔状板部は、筒状板部から板面の面内方向と交差する方向に延びることにより、規制部材K1の剛性及び強度が向上する。すなわち、筒状板部から鍔状板部が延びていない場合、筒状板部が平面状に延びていると、この平面内の折り曲げ線に沿って筒状板部は折れ曲がりやすい。これに対し、折り曲げる方向に鍔状板部が延びていると、筒状板部の曲げ剛性及び曲げ強度が向上し、規制部材K1の剛性及び強度が向上する。
【0111】
挿入部K5は、DCダクト3の内部(凹部3110)に挿入されてDCダクト3に対して回り止めを行う。
図3に示すように、挿入部K5は、壁部K2から後方に延びる。本実施形態では、挿入部K5は、板部K221と板部K242から後方に向けて突出している。挿入部K5は、壁部K2のアダプタ5を挟んだ両側にそれぞれ位置している。
【0112】
板部K240は、錠部K3を保持するように構成される。
【0113】
錠部K3は、一例として、いわゆるシリンダー錠である。上述の通り、錠部K3は、特定のキーK4が差し込まれる鍵穴K32を有する。錠部K3は、鍵穴K32が正面を向く態様で板部K240によって保持される。また錠部K3は、施錠状態において、DCダクト3に嵌合するカムロック部K31を有する。カムロック部K31は、錠部K3のシリンダー部分に組み付けられている。カムロック部K31は、長円の板状のカムK310を有する。
【0114】
以下に、規制部材K1の使用手順について説明する。
【0115】
まず作業者は、アダプタ5をDCダクト3に取り付ける。次に作業者は、規制部材K1を持ち、壁部K2内にアダプタ5を収めるように規制部材K1をアダプタ5の上から被せる(
図2参照)。
【0116】
ここで錠部K3が解錠状態時には、カムK310の長軸が凹部3110の長手方向(左右方向)に沿う状態となる。したがって、解錠状態時には、壁部K2でアダプタ5を囲んだ状態で、カムK310を、挿入方向A1に沿ってDCダクト3の凹部3110に挿入することができる。
【0117】
そして、作業者は、特定のキーK4を鍵穴K32内に差し込み時計回りに回す。すると、カムロック部K31が回転してカムK310の長軸が凹部3110の長手方向と直交する方向(上下方向)に沿う状態となり、錠部K3が、解錠状態から施錠状態に切り替わる。その結果、カムK310が、
図4に示すように、DCダクト3におけるダクトレール31の2つの嵌合部3112に嵌合する。つまり、アダプタ5の2つの固定リブ532の嵌合先(嵌合部3112)を、カムK310の嵌合先として共用している。施錠状態時には、規制部材K1は、壁部K2でアダプタ5を囲んだ状態で、DCダクト3の凹部3110から引き抜けなくなる。すなわち、規制部材K1のDCダクト3への取り付けが達成される。
【0118】
更に錠部K3が施錠状態に切り替わったことで、壁部K2がアダプタ5の一部を覆う態様でDCダクト3に取り付けられ、アダプタ5の取り外しを規制する。
【0119】
規制部材K1を取り外す場合には、作業者は、再び特定のキーK4を鍵穴K32内に差し込み、反時計回りに回すことで、錠部K3は、施錠状態から解錠状態に切り替わる。そして、作業者は、規制部材K1を掴んで手前(挿入方向A1と逆方向)に移動させることで、カムK310がDCダクト3の凹部3110から引き抜かれる。この状態になれば、作業者は、壁部K2を引き上げて、アダプタ5から規制部材K1を脱離することができる。
【0120】
ここで本実施形態の規制部材K1は、上述した説明からも理解できるように、アダプタ5の取り外しに対して二種類の規制を行っているといえる。
【0121】
第一に、規制部材K1は、錠部K3が施錠状態において、壁部K2によりアダプタ5の回転を阻害し、アダプタ5の取り外しを規制する。具体的には、規制部材K1の使用時に、壁部K2がアダプタ5を概ね隙間なく囲んだ状態にある。そのため、アダプタ5を反時計回りに回転して引き抜こうにも、筐体51が壁部K2に当たり回転を阻害することになる。もっとも、アダプタ5は、上述の通り、操作体52の爪部520が凹部3110に差し込まれているため、操作体52によっても回転が防止されている。そのため、より強固にアダプタ5の回転が阻害されている。
【0122】
第二に、規制部材K1の使用時に、壁部K2の右側の板部K244が操作体52の表面(特に操作部521)を覆い隠している。そのため、人(ユーザ等)が指先等で操作体52を操作しにくい状態にある。言い換えると、本実施形態では、壁部K2は、錠部K3が施錠状態において、操作体52の操作を阻害するように操作体52を覆う構成である。
【0123】
本実施形態では、アダプタ5が、DCダクト3の長手方向に沿ってスライド移動が可能である。そして、規制部材K1は、錠部K3が施錠状態において、アダプタ5と一体的に長さ方向に沿ったスライド移動が可能である。つまり、カムK310は、DCダクト3におけるダクトレール31の2つの嵌合部3112に嵌合しているため引き抜くことは規制されているが、2つの嵌合部3112内に沿って左右方向にスライド移動することは可能である。ここでは、規制部材K1は、壁部K2がアダプタ5を囲む構成を有することで、アダプタ5と連なってスライド移動が可能である。そのため、DCダクトシステム100からの給電を利用するユーザの利便性を向上しつつも、アダプタ5の取り外しの規制を維持できる。
【0124】
しかし、アダプタ5がDCダクト3の長手方向に対して移動不可である場合、規制部材K1もDCダクト3の長手方向に対して移動不可でもよい。更にアダプタ5を囲む構成も、省略されてもよい。
【0125】
逆に、本実施形態におけるアダプタ5の操作体52は必須の構成ではない。仮に操作体52がアダプタ5に設けられていなくても、規制部材K1が、アダプタ5を囲む壁部K2を有することで、アダプタ5の回転を阻害し、アダプタ5の取り外しを規制し得る。
【0126】
(11)利点
本実施形態では、電気機器94の(又は、電気機器94に接続されるケーブルの)コネクタ95を、DCダクト3に取り付けられたアダプタ5に接続することで、DCダクト3から電気機器94に電力を供給することができる。よって、電力を電源コンセントから又は電源コンセントの電力を分配する電源タップから電気機器94に供給する場合と比較して、什器の周りの配線の取り回しを改善させることができる。またアダプタ5を、コネクタ95への出力電圧が異なる別のアダプタへ交換することで、電気機器94への供給電圧を容易に変更可能である。
【0127】
ここで上述の通り、DC電力の供給を行うDCダクトシステム100は、机7等の什器といった、比較的にユーザの手の届きやすい位置に設置される可能性がある。その場合、ユーザ等によってDCダクト3からアダプタ5が無断で持ち出されてしまう可能性がある。特に、DCダクトシステム100が、図書館等の公共施設、ホテル、又は民泊等の什器に適用される場合は、ユーザは、不特定多数の者になることから、持ち出しされる可能性が高い。
【0128】
これに対して、本実施形態の規制部材K1は、錠部K3を備え、DCダクトシステム100からの、アダプタ5の取り外しを規制する。そのため、特定のキーK4で錠部K3を解錠状態にしない限り、規制部材K1が、アダプタ5の取り外しを規制することになる。結果的に、DCダクト3からのアダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。
【0129】
また本実施形態では、アダプタ5が回転により着脱される構成を前提として、壁部K2によりアダプタ5の回転が阻害されるため、簡単な構成でありながら、アダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。更に、壁部K2が電気機器94の側面を囲む環状に形成されているため、電気機器94の周方向の一部のみを覆う場合と比べて壁部K2の強度が向上し、規制部材K1を破損させてDCダクト3からアダプタ5を持ち出すことが起きにくくなる。
【0130】
更に、筒状板部が電気機器94の側面を囲む環状に形成されているため、筒状板部の曲げ剛性及び曲げ強度が向上し、規制部材K1の剛性及び強度が向上する。
【0131】
更に、筒状板部の板面は電気機器94の側面と間隔をあけて対向し、鍔状板部は筒状板部から電気機器94の側面に向けて延びるため、鍔状板部を摘まんで鍔状板部を曲げにくく、規制部材K1が破損されることが抑えられる。
【0132】
更に本実施形態では、アダプタ5が回転により着脱され、かつ操作体52の差し込みによりその回転が制限される構成を前提として、壁部K2により操作体52の操作が阻害される。そのため、簡単な構成でありながら、アダプタ5の持ち出しが起きにくくなる。
【0133】
特に本実施形態では、壁部K2は、DCダクト3の長手方向におけるアダプタ5の両端部を挟み込むように構成されるため、アダプタ5の持ち出しをより抑制できる。
【0134】
更に、挿入部K5は、壁部K2の電気機器94を挟んだ両側にそれぞれ位置するため、DCダクト3に対する規制部材K1の回り止めがより一層強固となる。
【0135】
また、少なくとも上述した電気機器94(アダプタ5)と規制部材K1とをセットにして、電気機器94と規制部材K1とを含む電気機器ユニットを構成することにより、ユーザは電気機器94と規制部材K1とを別個に入手する必要がなくなる。
【0136】
(12)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0137】
DCダクトシステム100の一部の構成が、他の構成とは独立して提供されてもよい。例えば、DCダクト3、ダクト固定具F1、第1固定部1又は第2固定部2(固定部材)が、他の構成とは独立して提供されてもよい。
【0138】
実施形態1で示した個々の構成の個数は、一例であって、実施形態1で示した個数に限定されない。例えば、DCダクトシステム100は、2つのDCダクト3を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上のDCダクト3を備えていてもよい。また、DCダクトシステム100は、2つの第1固定部1を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第1固定部1を備えていてもよい。また、DCダクトシステム100は、2つの第2固定部2を備えることに限定されず、1つ又は3つ以上の第2固定部2を備えていてもよい。また、パーティション付きダクトシステム200は、3つのパーティション6を備えることに限定されず、1つ、2つ又は4つ以上のパーティション6を備えていてもよい。
【0139】
複数のDCダクト3は、上下方向に並んだ2つ以上のDCダクト3を含んでいてもよい。また、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、導電バー32の電圧が異なっていてもよい。また、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5の規格が異なっていてもよい。例えば、上記2つ以上のDCダクト3を、凹部3110の幅又は深さにおいてそれぞれ異ならせることで、上記2つ以上のDCダクト3ごとに、取付可能なアダプタ5の形状が限定されていてもよい。この場合、アダプタ5の形状に応じた規制部材K1が複数種類あってもよい。
【0140】
2つ以上のDCダクト3が1つの第1固定部1に固定されてもよい。あるいは、1つのDCダクト3が2つ以上の第1固定部1に固定されてもよい。
【0141】
2つ以上のDCダクト3が、各々の長さ方向(左右方向)に連結可能であってもよい。
【0142】
第2固定部2として、横架部21の長さがそれぞれ異なる複数の規格の第2固定部2を用意してもよい。第2固定部2を、規格の異なる別の第2固定部2へ交換することで、什器(机7)の長さに応じて、第1固定部1の両側の2つの第2固定部2の各々の支柱部22間の距離を調整することができる。
【0143】
DCダクト3は、机7の天板71の上に固定されることに限定されない。DCダクト3は、例えば、天板71の側面又は裏面に固定されてもよい。
【0144】
DCダクト3は、DCダクト3の長さ方向が水平面に沿うように什器に取り付けられなくてもよく、例えば、DCダクト3の長さ方向が鉛直方向に沿うように什器に取り付けられてもよい。また、例えば、DCダクト3がパーティション6のうち上下方向に沿った側面に組み込まれていてもよい。
【0145】
DCダクト3において、取付領域(凹部3110)は、複数設けられて、DCダクト3の長さ方向に並んでいてもよい。
【0146】
また、コネクタ95は、プラグに限定されず、ジャック(差込口)であってもよい。DCダクト3は、コネクタ95としてのプラグが接続可能な第1のアダプタと、コネクタ95としてのジャックが接続可能な第2のアダプタと、の両方を接続可能であってもよい。これにより、プラグとジャックとのいずれを備える電気機器94又はケーブルにも対応できる。第1のアダプタと第2のアダプタとにおいて、コネクタ95との接続部分以外の構成が共通であってもよい。
【0147】
受電端子54と固定リブ532とが別体として形成されず、受電端子54が固定リブ532を兼用してもよい。
【0148】
また、筒状板部は、アダプタ5の側面を囲む環状に形成されてもよい。上述した実施形態においては、筒状板部を構成する第1片K21、板部K221、第3片K23、板部K241、板部K242及び板部K243は、互いに分離している。これに対して、第1片K21、板部K221、第3片K23、板部K241、板部K242及び板部K243のうち、互いに隣接する板部同士を連結して、筒状板部を環状に形成することで、より一層強度を向上させることができる。壁部K2が、例えば一枚の金属板に打ち抜き加工及び曲げ加工等が施されて形成されている場合、更に第1片K21、板部K221、第3片K23、板部K241、板部K242及び板部K243のうち、互いに隣接する板部同士を溶接することで、簡単な構成で容易に筒状板部を環状に形成することができる。
【0149】
また、鍔状板部は、筒状板部よりアダプタ5(電気機器94)の側面から離れる方に延びてもよい。
【0150】
(13)まとめ
以上説明したように、第1の態様の規制部材(K1)は、電気機器(94)が着脱可能なDCダクト(3)を有しかつ電気機器(94)にDC電力を供給するDCダクトシステム(100)からの、電気機器(94)の取り外しを規制する。規制部材(K1)は、壁部(K2)と、錠部(K3)と、挿入部(K5)と、を備える。壁部(K2)は、電気機器(94)のDCダクト(3)に対向する端面に隣接する側面を囲む環状に形成されている。錠部(K3)は、特定のキー(K4)によってDCダクト(3)からの離脱を規制する施錠状態とDCダクト(3)からの離脱を可能とする解錠状態とを切り替える。挿入部(K5)は、DCダクト(3)の内部に挿入されてDCダクト(3)に対して回り止めを行う。規制部材(K1)は、錠部(K3)の施錠状態において、壁部(K2)が電気機器(94)の側面を囲んだ態様でDCダクト(3)に取り付けられ、電気機器(94)の取り外しを規制する。
【0151】
第1の態様では、特定のキー(K4)で錠部(K3)を解錠状態にしない限り、規制部材(K1)が、アダプタ(5)の取り外しを規制することになる。結果的に、DCダクト(3)からのアダプタ(5)の持ち出しが起きにくくなる。
【0152】
更に、壁部(K2)が電気機器(94)の側面を囲む環状に形成されているため、電気機器(94)の周方向の一部のみを覆う場合と比べて壁部(K2)の強度が向上し、規制部材(K1)を破損させてDCダクト(3)からアダプタ(5)を持ち出すことが起きにくくなる。
【0153】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、DCダクト(3)は、導電バー(32)と、導電バー(32)が収納される凹部(3110)を含むダクトレール(31)と、を有する。電気機器(94)は、その固定リブ(532)を凹部(3110)へ挿入し、及びその挿入方向に沿った回転軸を中心に所定の角度回転させることで、導電バー(32)との電気的な接続が達成され、かつ凹部(3110)からの引き抜きが抑制される。規制部材(K1)は、錠部(K3)が施錠状態において、壁部(K2)により電気機器(94)の回転を阻害し、電気機器(94)の取り外しを規制する。
【0154】
第2の態様では、壁部(K2)によりアダプタ(5)の回転が阻害されるため、簡単な構成でありながら、アダプタ(5)の持ち出しが起きにくくなる。
【0155】
第3の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、壁部(K2)は、筒状板部と、鍔状板部と、を有する。筒状板部は、電気機器(94)の側面と対向する板面を有する。鍔状板部は、筒状板部から板面の面内方向と交差する方向に延びる。
【0156】
第3の態様では、筒状板部の曲げ剛性及び曲げ強度が向上し、規制部材(K1)の剛性及び強度が向上する。
【0157】
第4の態様は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、板面は、電気機器(94)の側面と間隔をあけて対向する。鍔状板部は、筒状板部から電気機器(94)の側面に向けて延びる。
【0158】
第4の態様では、鍔状板部を摘まんで鍔状板部を曲げにくく、規制部材(K1)が破損されることが抑えられる。
【0159】
第5の態様は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、筒状板部は、電気機器(94)の側面を囲む環状に形成される。
【0160】
第5の態様では、筒状板部の曲げ剛性及び曲げ強度が向上し、規制部材(K1)の剛性及び強度が向上する。
【0161】
第6の態様は、第2~第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、電気機器(94)は、固定リブ(532)の凹部(3110)への抜き差しのための操作を可能とするように構成される操作体(52)を側面に有する。壁部(K2)は、錠部(K3)の施錠状態において、操作体(52)の操作を阻害するように操作体(52)の少なくとも一部を覆う。
【0162】
第6の態様では、壁部(K2)により操作体(52)の操作が阻害され、アダプタ(5)の持ち出しが起きにくくなる。
【0163】
第7の態様は、第1~第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、挿入部(K5)は、壁部(K2)の電気機器(94)を挟んだ両側にそれぞれ位置する。
【0164】
第7の態様では、DCダクト(3)に対する規制部材(K1)の回り止めがより一層強固となる。
【0165】
第8の態様は、第1~第7の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、電気機器ユニットは、第1~第7の態様の規制部材(K1)と、電気機器(94)と、を備える。
【0166】
第8の態様では、電気機器(94)と規制部材(K1)とをセットにして、これらを別個に入手する必要がなくなる。
【0167】
第9の態様は、第8の態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様では、電気機器(94)は、コネクタ(95)が接続されるアダプタである。
【0168】
第9の態様では、電気機器(94)としてアダプタの持出しが起きにくくなる。
【符号の説明】
【0169】
100 DCダクトシステム
3 DCダクト
31 ダクトレール
3110 凹部
32 導電バー
52 操作体
532 固定リブ
94 電気機器
95 コネクタ
K1 規制部材
K2 壁部
K3 錠部
K4 キー
K5 挿入部