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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036286
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】除毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20240308BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240308BHJP
   A61Q 9/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/31
A61K8/86
A61Q9/00
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117735
(22)【出願日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2022140901
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】黒川 圭吾
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC771
4C083AC772
4C083AC901
4C083AC902
4C083CC18
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE10
(57)【要約】
【課題】皮膚刺激を抑制することができ、かつ乳化安定性を高めることができる除毛剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の除毛剤組成物は、チオグリコール酸及び/又はその塩(成分A)と、25℃で固体の炭化水素(成分B)と、HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(成分C)と、HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(成分D)とを含み、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩(成分E)並びにエチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(成分F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分Dとを含み、
下記成分E並びに下記成分Fからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、除毛剤組成物。
成分A:チオグリコール酸及び/又はその塩
成分B:25℃で固体の炭化水素
成分C:HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
成分D:HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
成分E:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩
成分F:エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
【請求項2】
pHが12.0以上である、請求項1に記載の除毛剤組成物。
【請求項3】
下記成分Gを含む、請求項1又は2に記載の除毛剤組成物。
成分G:多価アルコール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チオグリコール酸及び/又はその塩を除毛成分として含む除毛剤組成物が広く用いられている。この除毛剤組成物では、チオグリコール酸及び/又はその塩が、体毛を構成するケラチンのジスルフィド結合を還元することにより、除毛効果が発揮される。
【0003】
上記除毛剤組成物は、一般的に、乳化剤を用いて、除毛成分、油性成分及び水を乳化させることによって製造される。
【0004】
下記の特許文献1には、チオグリコール酸又はチオグリコール酸塩と、シリコーン油とを含む除毛剤が開示されている。
【0005】
下記の特許文献2には、チオグリコール酸と、水酸化ナトリウムと、水酸化カルシウムと、HLBが13以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、セチルアルコール、ステアリルアルコール、流動パラフィン及び固形パラフィンからなる群より選択された油性物質と、水とを含むクリーム状除毛剤組成物が開示されている。このクリーム状除毛剤組成物では、上述した各成分が特定の含有量で含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-246372号公報
【特許文献2】特開平5-170624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
除毛剤組成物は、体毛の生えた皮膚表面に除毛剤組成物を塗布した後、皮膚表面に除毛剤組成物が付着した状態で数分~数十分間程度放置して用いられる。
【0008】
しかしながら、従来の除毛剤組成物では、チオグリコール酸及び/又はその塩が比較的多く含まれていたり、アルカリ剤が比較的多く含まれていたりするため、皮膚刺激が強い。そのため、従来の除毛剤組成物では、使用時に、強い痛みを感じることがある。
【0009】
また、従来の除毛剤組成物では、乳化安定性を十分に高めることができないことがある。例えば、従来の除毛剤組成物では、室温環境下で長期間保管した場合に除毛剤組成物の粘度が過度に低下したり、高温環境下で保管した場合に除毛剤組成物が油層と水層とに分離したりすることがある。
【0010】
本発明の目的は、皮膚刺激を抑制することができ、かつ乳化安定性を高めることができる除毛剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)と、下記成分(D)とを含み、下記成分(E)並びに下記成分(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、除毛剤組成物を提供する。
【0012】
成分(A):チオグリコール酸及び/又はその塩
成分(B):25℃で固体の炭化水素
成分(C):HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
成分(D):HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
成分(E):ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩
成分(F):エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
【0013】
本発明の除毛剤組成物では、pHが12.0以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の除毛剤組成物は、下記成分(G)を含むことが好ましい。
【0015】
成分(G):多価アルコール
【発明の効果】
【0016】
本発明の除毛剤組成物は、特定の成分(A)と特定の成分(B)と特定の成分(C)と特定の成分(D)とを含む。本発明の除毛剤組成物は、特定の成分(E)並びに特定の成分(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。本発明の除毛剤組成物では、上記の構成が備えられているので、皮膚刺激を抑制することができ、かつ乳化安定性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の除毛剤組成物は、チオグリコール酸及び/又はその塩と、25℃で固体の炭化水素と、HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルと、HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルとを含む。
【0019】
本発明の除毛剤組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩、並びにエチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
【0020】
本明細書においては、上記「チオグリコール酸及び/又はその塩」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0021】
本明細書においては、上記「25℃で固体の炭化水素」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0022】
本明細書においては、上記「HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0023】
本明細書においては、上記「HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0024】
本明細書においては、上記「ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0025】
本明細書においては、上記「エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(F)」と称する場合がある。
【0026】
したがって、本発明の除毛剤組成物は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)とを含む。本発明の除毛剤組成物は、成分(E)並びに成分(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。本発明の除毛剤組成物は、成分(E)を含んでいてもよく、成分(F)を含んでいてもよく、成分(E)と成分(F)とを含んでいてもよい。
【0027】
本発明の除毛剤組成物では、上記の構成が備えられているので、皮膚刺激を抑制することができ、かつ乳化安定性を高めることができる。
【0028】
本発明の除毛剤組成物は、多価アルコールを含んでいてもよい。
【0029】
本明細書においては、上記「多価アルコール」を「成分(G)」と称する場合がある。
【0030】
本発明の除毛剤組成物は、成分(A)~(G)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0031】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、成分(G)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0032】
なお、本明細書において、各成分の含有量とは、除毛剤組成物中に含まれる全ての該成分の含有量の合計を意味する。例えば、成分(C)の含有量とは、除毛剤組成物中の全ての成分(C)の含有量の合計を意味する。
【0033】
以下、本発明の除毛剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0034】
(成分(A))
成分(A)は、チオグリコール酸及び/又はその塩である。成分(A)は、除毛成分である。上記除毛剤組成物は、成分(A)として、チオグリコール酸を含んでいてもよく、チオグリコール酸塩を含んでいてもよく、チオグリコール酸とチオグリコール酸塩との双方を含んでいてもよい。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、及びチオグリコール酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0036】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下である。成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量が上記下限以上であると、除毛力をより一層高めることができる。成分(A)のチオグリコール酸構造換算での含有量が上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができ、また、皮膚刺激をより一層抑制することができる。
【0037】
上記チオグリコール酸構造換算での含有量は、成分(A)がチオグリコール酸である場合には、チオグリコール酸の含有量を意味し、成分(A)がチオグリコール酸塩である場合には、下記式で表される含有量を意味する。また、上記チオグリコール酸構造換算での含有量は、成分(A)がチオグリコール酸とチオグリコール酸塩との双方を含む場合には、チオグリコール酸の含有量と下記式で表される含有量との合計を意味する。
【0038】
チオグリコール酸塩のチオグリコール酸構造換算での含有量(質量%)=チオグリコール酸塩の含有量(質量%)×(チオグリコール酸の分子量/チオグリコール酸塩の分子量)
【0039】
(成分(B))
成分(B)は、25℃で固体の炭化水素である。上記固体には、ペースト状は含まれない。成分(B)を用いることにより、皮膚刺激を抑制することができる。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
成分(B)としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0041】
皮膚刺激をより一層抑制する観点からは、成分(B)は、パラフィンワックスであることが好ましい。
【0042】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上であると、皮膚刺激をより一層抑制することができる。成分(B)の含有量が上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0043】
(成分(C))
成分(C)は、HLB値が12.0以上であり、かつエチレンオキシドの平均付加モル数が100未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。成分(C)を用いることにより、乳化安定性を高めることができる。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
成分(C)のHLB値は12.0以上である。成分(C)のHLB値は、好ましくは14.0以上、より好ましくは16.0以上、好ましくは20.0以下である。
【0045】
成分(C)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、100未満である。成分(C)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、好ましくは50以下である。上記平均付加モル数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0046】
成分(C)のアルキル基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、好ましくは22以下である。上記炭素数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0047】
成分(C)としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0048】
成分(C)の含有量の、成分(D)の含有量に対する質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、好ましくは8.0以下、より好ましくは5.0以下である。上記質量比(成分(C)の含有量/成分(D)の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0049】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。また、成分(C)の含有量が上記上限以下であると、除毛剤組成物の製造コストを低く抑えることができる。
【0050】
(成分(D))
成分(D)は、HLB値が12.0未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。成分(D)を用いることにより、乳化安定性を高めることができる。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
成分(D)のHLB値は12.0未満である。成分(D)のHLB値は、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下である。
【0052】
成分(D)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。上記平均付加モル数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0053】
成分(D)のアルキル基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、好ましくは22以下である。上記炭素数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0054】
成分(D)としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0055】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。成分(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。また、成分(D)の含有量が上記上限以下であると、除毛剤組成物の製造コストを低く抑えることができる。
【0056】
(成分(E))
成分(E)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及び/又はその塩である。上記除毛剤組成物は、成分(E)を含むことが好ましい。成分(E)を用いることにより、乳化安定性を高めることができる。特に、成分(E)を成分(C)及び成分(D)と組み合わせて用いることにより、乳化安定性をかなり高めることができる。そのため、除毛剤組成物を室温環境下で長期間保管した場合でも、また、除毛剤組成物を高温環境下で保管した場合でも、除毛剤組成物の性状や粘性の変化を抑えることができる。上記除毛剤組成物は、成分(E)として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸を含んでいてもよく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩を含んでいてもよく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩との双方を含んでいてもよい。成分(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0057】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、及びポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等が挙げられる。
【0058】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0059】
乳化安定性をより一層高める観点からは、成分(E)は、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸及び/又はポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を含むことが好ましい。
【0060】
乳化安定性をより一層高める観点からは、成分(E)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは25以下である。
【0061】
乳化安定性をより一層高める観点からは、成分(E)のアルキル基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。
【0062】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。成分(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。成分(E)の含有量が上記上限以下であると、除毛剤組成物の製造コストを低く抑えることができる。
【0063】
(成分(F))
成分(F)は、エチレンオキシドの平均付加モル数が100以上であるポリオキシエチレンアルキルエーテルである。上記除毛剤組成物は、成分(F)を含むことが好ましい。成分(F)を用いることにより、乳化安定性を高めることができる。特に、成分(F)を成分(C)及び成分(D)と組み合わせて用いることにより、乳化安定性をかなり高めることができる。そのため、除毛剤組成物を室温環境下で長期間保管した場合でも、また、除毛剤組成物を高温環境下で保管した場合でも、除毛剤組成物の性状や粘性の変化を抑えることができる。成分(F)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
成分(F)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、100以上である。そのため、成分(F)のHLB値は、12.0以上であり、従って、成分(F)は、成分(D)とは異なる。
【0065】
成分(F)のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)は、好ましくは120以上、より好ましくは140以上、好ましくは220以下、より好ましくは200以下である。上記平均付加モル数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0066】
成分(F)のアルキル基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、好ましくは22以下である。上記炭素数が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。
【0067】
成分(F)としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、及びポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0068】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(F)の含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。成分(F)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。特に、成分(F)の含有量が上記下限以上であると、除毛剤組成物を室温環境下で長期間保管した場合でも、除毛剤組成物の粘性変化を効果的に抑えることができる。また、成分(F)の含有量が上記上限以下であると、除毛剤組成物の製造コストを低く抑えることができる。
【0069】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量と成分(F)の含有量との合計は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下である。成分(E)の含有量と成分(F)の含有量との合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、乳化安定性をより一層高めることができる。また、成分(E)の含有量と成分(F)の含有量との合計が上記上限以下であると、除毛剤組成物の製造コストを低く抑えることができる。
【0070】
(成分(G))
成分(G)は、多価アルコールである。上記除毛剤組成物は、成分(G)を含むことが好ましい。成分(G)を用いることにより、使用時の保湿感を高めることができる。成分(G)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
成分(G)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及び1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0072】
上記除毛剤組成物100質量%中、成分(G)の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。成分(G)の含有量が上記下限以上であると、使用時の保湿感をより一層高めることができる。成分(G)の含有量が上記上限以下であると、乳化安定性の低下を抑えることができる。
【0073】
(他の成分)
上記除毛剤組成物は、上述した成分(A)~(G)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、高級アルコール;25℃で液状の炭化水素;エステル油;油脂;シリコーン油;除毛促進成分;成分(C)、成分(D)及び成分(F)のこれら3種とは異なるノニオン界面活性剤;成分(E)とは異なるアニオン界面活性剤;両性界面活性剤;低級アルコール;増粘剤;アルカリ剤;清涼剤;防腐剤;抗酸化剤;金属封鎖剤;着色剤;香料等が挙げられる。上記他の成分は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
<高級アルコール>
上記除毛剤組成物は、高級アルコールを含んでいてもよい。
【0075】
上記高級アルコールとしては、炭素数16~22のアルコールが挙げられる。上記炭素数16~22のアルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0076】
上記除毛剤組成物100質量%中、上記高級アルコールの含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは4.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。上記高級アルコールの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、除毛剤組成物の粘性をより一層良好にすることができる。
【0077】
<25℃で液状の炭化水素>
上記25℃で液状の炭化水素としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、及び流動パラフィン等が挙げられる。
【0078】
<エステル油>
上記エステル油としては、カプリン酸グリセリル等のカプリン酸エステル、カプリル酸グリセリル等のカプリル酸エステル、2-エチルヘキサン酸セチル、及びイソノナン酸イソノニル等が挙げられる。
【0079】
<油脂>
上記油脂としては、オリーブ油、コメヌカ油、ヒマシ油、ヤシ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、及びアボカド油等が挙げられる。
【0080】
<シリコーン油>
上記シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーン等が挙げられる。
【0081】
<除毛促進成分>
上記除毛促進成分としては、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0082】
本明細書においては、上記「式(1)で表される化合物」を「除毛促進成分(X)」と称する場合がある。除毛促進成分(X)を用いることにより、成分(A)による除毛力を高めることができる。
【0083】
【化1】
【0084】
上記式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1以上、5以下のアルキル基を表し、nは、2以上、5以下の整数を表す。
【0085】
上記炭素数1以上、5以下のアルキル基は、直鎖状のアルキル基であってもよく、分岐構造を有するアルキル基であってもよい。
【0086】
上記式(1)中、Rは、炭素数1又は2のアルキル基であることが好ましい。すなわち、上記式(1)中、Rは、メチル基又はエチル基であることが好ましい。この場合には、除毛促進効果がより一層効果的に発揮され、除毛力をより一層高めることができる。
【0087】
上記式(1)中、nは、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。この場合には、除毛促進効果がより一層効果的に発揮され、除毛力がより一層効果的に高められる。
【0088】
上記除毛剤組成物100質量%中、除毛促進成分(X)の含有量は、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは10.0質量%以下である。除毛促進成分(X)の含有量が上記下限以上であると、除毛促進効果がより一層効果的に発揮され、除毛力がより一層効果的に高められる。除毛促進成分(X)の含有量が上記上限以下であると、除毛力を高め、かつ皮膚刺激を小さくすることができる。
【0089】
<成分(C)、成分(D)及び成分(F)のこれら3種とは異なるノニオン界面活性剤>
上記除毛剤組成物は、成分(C)、成分(D)及び成分(F)のこれら3種とは異なるノニオン界面活性剤(以下、ノニオン界面活性剤(X)と記載することがある)を含んでいてもよい。
【0090】
ノニオン界面活性剤(X)としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0091】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(ポリオキシエチレン部分のEOの平均付加モル数)が30以上、80以下であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0092】
<成分(E)とは異なるアニオン界面活性剤>
上記除毛剤組成物は、成分(E)とは異なるアニオン界面活性剤(以下、アニオン界面活性剤(X)と記載することがある)を含んでいてもよい。
【0093】
アニオン界面活性剤(X)としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα-オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN-アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、及びセチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、及びヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のN-アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、及びヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のN-アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、及びベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩等が挙げられる。
【0094】
<両性界面活性剤>
上記両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、及びN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、及びアルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
【0095】
<低級アルコール>
上記低級アルコールとしては、エタノール等が挙げられる。
【0096】
<増粘剤>
上記増粘剤としては、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記カルボキシビニルポリマーは、アルキル変性カルボキシビニルポリマーであってもよい。
【0097】
<アルカリ剤>
上記除毛剤組成物は、アルカリ剤を含むことが好ましい。
【0098】
上記アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0099】
除毛剤組成物に必要なpHに調整しやすいという観点から、上記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムからなる群より選ばれるアルカリ剤(少なくとも1のアルカリ剤)であることが好ましい。
【0100】
上記除毛剤組成物100質量%中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、好ましくは10.0質量%以下である。上記アルカリ剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、除毛剤組成物のpHを好適な範囲内に調整しやすくなり、除毛力をより一層高めることができる。
【0101】
<清涼剤>
上記清涼剤としては、l-メントール、1,8-シネオール、及びカンファ等が挙げられる。
【0102】
<防腐剤>
上記防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、及びフェノキシエタノール等が挙げられる。
【0103】
<水>
上記除毛剤組成物は、水を含むことが好ましい。上記水は精製水であることが好ましい。
【0104】
上記除毛剤組成物中の水の含有量は、他の成分の含有量によって適宜調整することができる。上記除毛剤組成物100質量%中、水の含有量は、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは65.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは85.0質量%以下である。
【0105】
(除毛剤組成物の他の詳細)
上記除毛剤組成物の性状は、特に限定されない。上記除毛剤組成物の性状は、乳液状であってもよく、クリーム状であってもよく、ペースト状であってもよい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記除毛剤組成物の性状は、乳液状又はクリーム状であることが好ましく、クリーム状であることがより好ましい。上記除毛剤組成物は、乳液状除毛剤組成物又はクリーム状除毛剤組成物であることが好ましく、クリーム状除毛剤組成物であることがより好ましい。
【0106】
上記除毛剤組成物のpHは、好ましくは12.0以上、より好ましくは12.4以上、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.8以下である。上記pHが上記下限以上であると、除毛力をより一層高めることができる。上記pHが上記上限以下であると、皮膚刺激をより一層抑制することができる。
【0107】
製造直後の上記除毛剤組成物の25℃での粘度は、好ましくは5000mPa・s以上、より好ましくは7000mPa・s以上、更に好ましくは10000mPa・s以上、好ましくは50000mPa・s以下、より好ましくは40000mPa・s以下、更に好ましくは30000mPa・s以下である。
【0108】
上記粘度は、粘度計を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm又は6rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業社製、TV-25型粘度計を使用可能である。
【0109】
上記除毛剤組成物の製造方法として、公知の除毛剤組成物の製造方法を採用することができる。上記除毛剤組成物の製造方法としては、各成分をパドルミキサー等で撹拌して均一化する方法等が挙げられる。
【0110】
上記除毛剤組成物は、特に限定されないが、例えば、容器に収容された形態で用いることができる。上記除毛剤組成物の性状が乳液状又はクリーム状である場合には、上記容器は、チューブ容器であることが好ましい。
【実施例0111】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0112】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0113】
(成分(A))
チオグリコール酸
チオグリコール酸カルシウム(チオグリコール酸構造換算率:50.0%)
【0114】
(成分(B))
パラフィンワックス(日本精蝋社製「PARAFFIN WAX-125」)
【0115】
(成分(C))
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数20、HLB値(実測法)17.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数40、HLB値(実測法)20.0
【0116】
(成分(D))
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数5、HLB値(実測法)9.2
ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数5、HLB値(実測法)9.4
【0117】
(成分(E))
ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(20E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数20
【0118】
(成分(F))
ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数150
【0119】
(成分(G))
1,3-ブチレングリコール
【0120】
(その他の成分)
水酸化カルシウム
水酸化ナトリウム
流動パラフィン(25℃で液状の炭化水素)
セタノール
ステアリルアルコール
セトステアリルアルコール
グルコン酸ナトリウム
精製水
【0121】
(実施例1~13及び比較例1~5)
下記の表1~4に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、除毛剤組成物を調製した。なお、表中の配合量は、純分の配合量で示した。したがって、チオグリコール酸カルシウムのチオグリコール酸構造換算での含有量は、表中の配合量の50%の量である。また、表中、水酸化ナトリウムの含有量は、除毛剤組成物のpHが12.5となる量である。
【0122】
実施例1~13及び比較例1~5で得られた除毛剤組成物は、流動性を有さないクリーム状の除毛剤組成物であった。
【0123】
(評価)
得られた除毛剤組成物について、以下の評価を行った。なお、試験例1~3の評価は専門パネル3名で行い、協議して評価結果を決定した。
【0124】
(試験例1:皮膚刺激性)
得られた除毛剤組成物1mLを、専門パネル3名の頚部に塗布した後、10分間放置した。その際の痛みの強さを、下記の基準に従い評価した。
【0125】
<皮膚刺激性の評価基準>
A:痛みを感じない
B:やや痛みを感じるが許容できるレベルである
C:許容できない痛みを感じる
【0126】
(試験例2:乳化安定性(長期保存安定性))
得られた除毛剤組成物を25℃で3カ月間保管した。保管後の除毛剤組成物の状態を目視にて確認した。
【0127】
<乳化安定性(長期保存安定性)の評価基準>
A:流動性を有さない性状である(保管前と比べて性状が変化しておらず、乳化安定性が良好)
B:流動性がやや高いものの、使用上問題のない性状である(乳化安定性がやや良好)
C:流動性が高く、使用上問題のある性状である(乳化安定性が不良)
【0128】
(試験例3:乳化安定性(高温安定性))
得られた除毛剤組成物を50℃で4週間保管した。保管後の除毛剤組成物の状態を目視にて確認した。
【0129】
<乳化安定性(高温安定性)の評価基準>
A:保管前後において性状の変化がないか又は変化がわずかである(乳化安定性が良好)
B:除毛剤組成物の表面にわずかに水層の分離がみられる(乳化安定性がやや良好)
C:除毛剤組成物が水層と油層との2層に分離している(乳化安定性が不良)
【0130】
組成及び結果を下記の表1~4に示す。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】