(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036287
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】熱交換装置
(51)【国際特許分類】
F28D 1/02 20060101AFI20240308BHJP
E03B 11/02 20060101ALI20240308BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20240308BHJP
E03B 3/08 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F28D1/02
E03B11/02 Z
F28F1/32 A
E03B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118981
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2022140689
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500575972
【氏名又は名称】株式会社リビエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 喜代美
(72)【発明者】
【氏名】今 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】今 祐治郎
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA31
3L103AA37
(57)【要約】
【課題】地下水・自然水・排水に含まれる夾雑物の影響を受けにくい熱交換装置の提供。
【解決手段】本発明は、このような課題に鑑みて、水槽と仕切材と熱交換器を備え、前記水槽は、流入部と流出部を備えるものであり、前記仕切材は、前記水槽を仕切り、前記流入部から前記流出部を繋ぐ流路を形成するものであり、前記流路の上流側は、底部に夾雑物を沈殿させる沈殿部となっており、前記流路の下流側は、熱交換部となっており、前記熱交換器は、前記熱交換部に設けられている熱交換装置。とすることで課題を解決した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と仕切材と熱交換器を備え、
前記水槽は、流入部と流出部を備えるものであり、
前記仕切材は、前記水槽を仕切り、前記流入部から前記流出部を繋ぐ流路を形成するものであり、
前記流路の上流側は、底部に夾雑物を沈殿させる沈殿部となっており、
前記流路の下流側は、熱交換部となっており、
前記熱交換器は、前記熱交換部に設けられている
熱交換装置。
【請求項2】
前記仕切材の少なくとも一つは、オーバーフロー部を有するオーバーフロー板である請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記水槽は、断熱材で形成されている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記熱交換部のある前記流路は、オーバーフローしない仕切材で仕切られている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記熱交換部の底部は、前記沈殿部の底部よりも高くなっており、前記沈殿部の底部に溜まった前記夾雑物が前記熱交換部に侵入しないようになっている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記仕切材と前記熱交換器は、前記水槽から着脱自在になっている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記沈殿部は、少なくとも一部に水流に直交する方向に凹凸が設けてある請求項1記載の熱交換装置。
【請求項8】
さらに、地下水、自然水又は排水を汲み上げる取水管を有し、前記取水管は、汲み上げた地下水、自然水又は排水を前記流入部に送るものである請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を熱源とする熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のような、地下水を熱源とする熱交換装置があった。
熱交換するために汲み上げる地下水には、シルト(泥)や砂が混じることがあり、しばしば、熱交換部の特に、フィンとフィンとの間に砂が挟まることがあった。熱交換部は、砂などの異物が挟まると熱交換効率が次第に下がって行く。さらに、地下水に含まれる鉄やマンガンなどの酸化物は、フィンに強固に付着し、除去が困難または不可能になるなど問題となっていた(非特許文献1)。さらに、酸化物やシルトと砂が組み合わさってフィンとフィンの間を塞いでしまうと、熱交換効率を著しく下げてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】URL:http://water-solutions.jp/commentary/heavy-metals/chromium_manganese_iron/「水浄化フォーラム -科学と技術-」、技術解説、「クロム・マンガン・鉄」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地下水を含む自然水(河川水や海水)を熱源とする熱交換装置は、数多く提案されている。しかしながら、熱交換装置は汚れやすい。たとえば地下水を熱源とする熱交換装置は、使用者が、シルトや砂の除去のため定期的に熱交換部を取り外し、洗浄すること行っている。しかし、夾雑物は、フィンとフィンの奥に挟まっていることがあり、除去するには多大な手間を要していた。これら夾雑物が、熱交換部に付着してしまうと除去が非常に困難であった。強固に付着した夾雑物は、場合によって除去できないこともあり、熱交換装置を入れ替えることもあった。
また、夾雑物を多く含む浄化処理前の排水を熱源とする熱交換装置は、排水に含まれる有機物や無機物などの夾雑物が熱交換器に付着し、熱交換効率を落とすばかりか、熱交交換装置の劣化を速めたり、フィンとフィンの間に排水中の有機物を栄養とする微生物が繁殖し、衛生上の問題も生じていた。
自然水(河川水・海水に加え湖水や雨水など)を熱源とする熱交換装置は、フィンとフィンの間にゴミや砂などのが挟まることがある。熱交換装置は、フィンとフィンの間に物が挟まると、熱交換効率を悪化させ、清掃を困難にする。
本発明は、地下水・自然水・排水に含まれる夾雑物の影響を受けにくい熱交換装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みて、水槽と仕切材と熱交換器を備え、前記水槽は、流入部と流出部を備えるものであり、前記仕切材は、前記水槽を仕切り、前記流入部から前記流出部を繋ぐ流路を形成するものであり、前記流路の上流側は、底部に夾雑物を沈殿させる沈殿部となっており、前記流路の下流側は、熱交換部となっており、前記熱交換器は、前記熱交換部に設けられている熱交換装置とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱交換装置は、地下水・自然水・排水に含まれる夾雑物を沈殿部に沈殿させ、熱交換器にまで到達できないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は水槽の説明図である。
図2(A)は水槽の斜視図であり、
図2(B)は熱交換部の説明図であり、
図2(C)は
図2(A)に付したA-A間の断面図である。
【
図3】
図3は凹凸のある沈殿部3の説明図である。
図3(A)は、滑らかな凹凸、
図3(B)は角がある凹凸、
図3(B)は壁状凹凸の沈殿部3の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[実施例]
図1は熱交換装置1の全体図である。井戸7内の地下水Wは、取水管71を介してポンプPで汲み上げられ、水槽2へと送られる。水槽2には、流入部21があり、取水管71と接続されている。水槽2の構造は後述するが、上面が蓋により閉鎖されており、落葉や塵芥等が水槽2内に侵入しないようになっている。落葉や塵芥が、熱交換器41に付着すると熱交換効率を低下させるため、水槽2は、流入部21と流出部22を除き密閉されている。熱交換器41は、水槽2の流出部22側に設置されている。熱交換器41で熱交換された熱媒体は、その後エアコンディショナーなどの熱源として使われる。また、駐車場に熱交換した熱媒体を通す管を埋設し、冬季の消雪に使うなど、熱媒体の利用は適宜である。
【0011】
熱交換を終えた地下水Wは、流出部22から戻し管72に送られ、再び井戸7に戻される。
【0012】
(水槽)
図2は水槽2の説明図である。
図2(A)は水槽2の斜視図である。説明のため、蓋と熱交換部4に設置される熱交換器41は図示していない。水槽2は、熱交換部4を備えており、地下水Wの熱を熱媒体へと移す役割を果たす。地下水Wから熱が逃げないように、側壁26や底部27は断熱材で覆われていることが好ましい。水槽2は、一回り大きな槽で囲われ、水槽2と水槽2より一回り大きな槽の間を真空にすることにより、断熱(真空断熱)することがより好ましい。
また、図示してない蓋は、断熱材で構成されており、さらに、水槽2を密封できる適宜な構造となっている。密封は、蓋と水槽2の間から、塵芥が水槽2内に侵入するのを防止するためである。
【0013】
実施例の水槽2は、陸上設置型であったが、水槽2は、地下に埋設(埋設型)されてもよい。水槽2が埋設されることで、地上部を別の用途に使用することができる。埋設型は、陸上設置型と比べ寒暖差が少なく有利である。また、陸上設置型は、点検が簡単に行えるので有利である。それぞれ、有利な点があり、使用者が目的に応じて適宜選択できる。
【0014】
(仕切材)
地下水Wに含まれる夾雑物31は、砂やシルトや粘土などがあるが、説明を簡略にするため、実施例ではシルト特有の問題がある場合を除き、砂を夾雑物31の例として説明する。夾雑物31の内、砂は沈みやすく粒が大きい。シルトは、砂より小さく粘土より粗い粒である。粘土は、土壌学上0.002mm以下の粒子をいうが、砂を沈みやすい粒とすればそれ以外のシルトや粘土は沈みにくい粒であるという他は特段の区別はない。
水槽2内には、流入部21から流出部22の間に、仕切材6が複数設けられている。仕切材6は、流路24をできる限り長くするためのものである。長い流路24を地下水Wが進む間に、地下水Wに含まれる砂は、水槽2の底部27に沈殿する。仕切材6は2種類あり、一つはオーバーフロー部612を備えたオーバーフロー板61であり、他はオーバーフローしない仕切材62である。
【0015】
実施例の水槽2内には、流入部21から流出部22までの間に、所定の間隔を空けて2枚のオーバーフロー板61が設けられ、流出部22の近傍にオーバーフローしない仕切材62が配置され、地下水Wが流れる第1の区画が形成されている。流入部21に最も近いオーバーフロー板61は、上部にオーバーフロー部612が設けられている。オーバーフロー部612の位置は、流入部21から遠い位置にあり、地下水Wが第1の区画を流れた後に、オーバーフロー部612から隣の第2の区画に流出する流路24を形成する。水流23は砂が沈殿するのに適した速度で流れており、地下水Wは、流路24を流れる内に底部27に砂が沈殿する。このように、第1の区画の底部27は沈殿部3となっている。
【0016】
第2の区画は、最初のオーバーフロー板61と第2のオーバーフロー板61の間に作られている。第2のオーバーフロー板61のオーバーフロー部612は、最初のオーバーフロー板61のそれと反対側にあり、地下水Wは第2の区画を長い距離に渡って通らなければ、隣の第3の区画へ行けないような流路24を作る。第1の区画と同様に、第2の区画の底部27は沈殿部3となっている。
第1の区画と第2の区画は、オーバーフロー板61のみで仕切られているため、底部27の沈殿部3に溜まった砂、シルトや粘土が、たとえ水流23で若干舞い上がることがあっても、熱交換部4まで運ばれることはない。
【0017】
第3の区画は、第2のオーバーフロー板61とオーバーフローしない仕切材62の間に形成されている。オーバーフローしない仕切材62は、横幅が水槽2の幅より短い。第2のオーバーフロー板61のオーバーフロー部612側にある側壁26と、オーバーフローしない仕切材62は密着している。その反対側の側壁26とオーバーフローしない仕切材62の間は開放されており、流路24となっている。第3の区画の底部27は沈殿部3となっている。
【0018】
第4の区画は、オーバーフローしない仕切材62と側壁26の間に形成されている。第4の区画の終点には流出部22があり、流出部22側の底部27には、箱体271が設置されており、上げ底になっている。
図2(B)は熱交換部4の説明図であり、箱体271の上面に、熱交換器41が配設されている。
熱交換器41は、熱交換路412の内部を熱媒体が流通している。熱媒体は、熱媒体流出路42を介して熱交換装置1の外に運ばれ、熱媒体で運ばれる熱は、エアコンディショナーなどの何らかの形で使用される。使い終わった熱媒体は、熱媒体戻し路43から熱交換器41に戻される。熱交換路412には、無数のフィン411が取り付けられており、フィン411に接触する地下水Wから熱を受け取り、熱媒体流出路42へと伝熱する。
図2(B)に示されるようにフィン411は、熱交換効率を上げるため、密に設けられており、夾雑物31が挟まると取り除きにくくなる。
【0019】
(沈殿部の形状)
第3の区画の底部27と第4の区画の底部27は、仕切られることなく繋がっており、沈殿部3を構成している。砂よりはるかに沈みにくいシルトや粘土が沈殿部3に溜まると、水流23により熱交換部4に向かってわずかずつ移動することがあり得る。
図3は凹凸のある沈殿部3の説明図である。
図3(A)は、滑らかな凹凸の沈殿部3の例である。変形例として、第3の区画と第4の区画の沈殿部3は、水流23の方向と直交する方向に凹凸を設け、凹部に夾雑物31が堆積するようにしてもよい。夾雑物31の内、沈みにくいシルトや粘土が水流23で舞い上がったとしても、凸部に遮られ熱交換部4に向かって流されることが無くなる。
【0020】
発明者の意図のとおりに凹凸が機能するならば、上流側は粒が大きな砂が凹部に溜まりやすく、下流に行くにつれ沈殿しにくいシルトや粘土が凹部に溜まることになる。
図3(B)は角がある凹凸、
図3(C)は壁状凹凸の沈殿部3の例である。
凹凸の形状は、凹部に夾雑物31が堆積するという機能を果たせるならば、
図3(B)や
図3(C)を含め、どのような形状でもよい。
なお、
図3(A)の滑らかな凹凸の沈殿部3は、洗浄が簡単に行えるという有利な点がある。また、
図3(B)、
図3(C)の凹凸の沈殿部3は、水流23が強くても夾雑物31が凸部を乗り越える可能性が
図3(A)に比べて低く、速い流速で地下水Wを水槽2に流す態様のときに有利である。
【0021】
(地下水に含まれる鉄、マンガンなど)
地下水Wに含まれる、鉄やマンガンなどの酸化物は可溶性であり、沈殿しないが、徐マンガン装置や除鉄装置を本発明と組み合わせることで除去が可能である。また、凝集剤を用いて、沈殿できる夾雑物31は、凝集剤添加装置を流入部21付近に設けることで、除去できる。この場合、鉄やマンガンなど不溶化するため、実施例で除去できる夾雑物31に含まれる。
【0022】
さらに、特許文献2の「III.鉄」の項によれば、「地下水中では、有機物が溶存酸素によって酸化分解されて、二酸化炭素を生じる一方、酸素が消費されて還元状態にあるとみられる。このような地下水中では、鉄は鉄(II)イオンとしてかなり高濃度で、かつ安定に溶けている。その地下水を汲み上げ地表に持ってくると、二酸化炭素が大気中に揮散し、水中の鉄イオンと炭酸との平衡が崩れ、他方、大気中の酸素が溶け込み酸化が起こり、その結果、赤褐色の水酸化鉄(III)が沈殿することとなる(文献を参照)。無色透明な温泉水が瞬く間に真っ赤に濁るのは、同じ機構によるものである。」と記載されている。酸素を断つべく、水槽を密閉構造にして、鉄が可溶化している状態を保つようにしてもよい。水槽内に入った鉄は、酸素が環境で可溶化した状態を保てるため、熱交換器41に鉄が付着することはない。
本発明を使えば、鉄やマンガンなどの金属イオンを多く含む地下水Wでも熱資源として使うことができる。
【0023】
(熱交換部)
これまで第1の区画から第4の区画まで、水槽2の底部27が沈殿部3となっていることを説明した。そして、第4の区画の最も流出部22側に熱交換部4が配置されていること、仕切材6は流入部21から流出部22を繋ぐ流路24を形成することを説明した。そして、流路24の下流にある第4の区画のさらに最下流に熱交換部4が配置されており、それより流路24の上流側は、すべて底部27に夾雑物31を沈殿させる沈殿部3となっていることを説明した。
【0024】
図2(C)は
図2(A)に付したA-A間の断面図である。箱体271の設置された箇所は、流路24の最下流であり熱交換部4になっている。第4の区画では沈殿部3と熱交換部4は、隣り合って配置されており、沈殿部3に沈殿した砂が熱交換部4に流れ込む可能性がある。
箱体271は、熱交換部4に夾雑物31が流れ込むことが無いような障壁の役割を果たすためのものある。箱体271は、熱交換部4の底部27を沈殿部3の底部27より高くするものであれば、どのようなものでもよい。また、箱体271である必要もない。例えば、箱体271は、水槽2の底部27自体を変形させたものに代えてもよい。さらに、箱体271は、高さの低い衝立のような部材に置き換えることができる。熱交換部4の底部27の一部が、衝立によって沈殿部3の底部27より高くなるからである。熱交換器41に脚部を設けて、熱交換部4の底部27より高くすることもできる。
【0025】
第4の区画の幅は、熱交換器41の幅と略同じになるように設計されている。また、箱体271を設置したため熱交換部4の水深は、熱交換器41の高さと略同じに揃えられている。このように、熱交換部4の水深と幅が、熱交換器41の幅と高さと同じになっており、熱交換部4を通る水流23が必ず熱交換器41を通過するように設計されている。熱交換部4を通る地下水Wは、必ず熱交換器41と接触するようになり、熱交換効率が向上する。
【0026】
また、オーバーフロー部612は水流23を乱すため、第4の区画はオーバーフローしない仕切材62で構成されている。水流23は、穏やかに熱交換器41に向かい、沈殿部3に溜まった砂が舞い上がるなどのことが起きないように工夫されている。
【0027】
また、変形例として、流路24は、オーバーフローしない仕切材62のみで形成されてもよい。また、熱交換器41は、箱体271の上に載置されてもよいし、図示していない蓋に吊下されていてもよい。
熱交換器41を蓋に吊下する場合、箱体271を設けない変形例もあり得る。熱交換器41の下端は、底部27から所定距離だけ離れるように吊り下げられ、沈殿部3に溜まった砂が仮に舞い上がったとしても、熱交換器41に届かないようにできる。
【0028】
(メンテナンス)
水槽2の沈殿部3は使用中に砂が溜まるので、使用者は定期的に水槽2を洗浄する。
実施例の仕切材6、箱体271、熱交換器41など水槽2内に設けられる部材はすべて着脱自在に構成されており、使用者はメンテナンス時にこれらを簡単に取り外すことができる。水槽2は空になり、使用者は、沈殿した砂を底部27に設けた排水部28からきわめて簡単に流し出すことができる。
実施例の熱交換装置1の沈殿部3で最初に除去されるのは沈殿しやすい砂であり、仮に夾雑物31が熱交換器41のフィン411に付着するとしても、もっぱらシルトや粘土である。
砂が付着すると、シルトや粘土も溜まりやすくなるが、実施例の熱交換装置1は、上述した数々の工夫により、実施例の熱交換装置1は砂がフィン411に挟まることがない。そのため、シルトと粘土を落とすだけでよく、メンテナンスが簡単になる。
【0029】
さらに、排水部28の開閉は、自動制御で行われてもよい。また、第1区画、第2区画は独立した区画であり、また、第3区画と第4区画の沈殿部3は一続きになっている。これらの区画の沈殿部3最下流側に排水部28を設けることができる。図示しない制御部は、一時的にポンプPを停止し地下水Wが水槽2に流れ込まないようにし、各区画の排水部28を開放する。各区画から地下水Wが抜けるときに勢いのある水流23ができ、水流23とともに、沈殿部3に溜まった夾雑物31は、排水部28から排出される。
なお、第1区画や第2区画に比べ、熱交換部4に近い第3区画や第4区画は、頻繁に洗浄することが好ましい。
さらに、制御部は運転時間または水質に応じて排水部28の開閉を制御してもよい。
【0030】
(地下水)
これまで説明したとおり、熱交換を終えた地下水Wは、戻し管72を介して井戸7に戻される。別の態様として、熱交換を終えた地下水Wは、井戸7に戻さず、別の用途に使用してもよい。
【0031】
(ポンプ)
ポンプPは、地下水Wを汲み上げるのに使用される。ポンプPは、地上に設置してもよいし、井戸7の内部に設置してもよい。ポンプPを井戸7の内部に設置すると、陸上設備は、ほぼ水槽2だけになり、陸上設備がコンパクトになる。ポンプPは、地下水Wに浸漬する位置に設置されてもよい。ポンプPは、取水管71ごとポンプPを引き上げることで、簡単に井戸7から外に出せる。
【0032】
実施例は、地下水Wを熱源とする熱交換装置1の例であった。熱源となる水は、地下水Wに限らず、自然水(河川水・海水に加え湖水や雨水など)、排水(浄化処理前の有機物・無機物を多く含む排水)でもよい。
【0033】
以上、本発明に係る実施の態様を、実施例や変形例に沿って詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施の態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 熱交換装置
2 水槽
21 流入部
22 流出部
23 水流
24 流路
26 側壁
27 底部
271 箱体
28 排水部
3 沈殿部
31 夾雑物
4 熱交換部
41 熱交換器
411 フィン
412 熱交換路
42 熱媒体流出路
43 熱媒体戻し路
6 仕切材
61 オーバーフロー板
612 オーバーフロー部
62 オーバーフローしない仕切材
7 井戸
71 取水管
72 戻し管
P ポンプ
W 地下水