(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036290
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】X線分析中におけるX線ビームの特性のモニタリング
(51)【国際特許分類】
G01N 23/223 20060101AFI20240308BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20240308BHJP
G21K 5/00 20060101ALI20240308BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G01N23/223
G01T7/00 A
G21K5/00 A
G21K5/02 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132276
(22)【出願日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】17/902,926
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517006463
【氏名又は名称】ブルカー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー クロクマル
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー ペレド
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001CA01
2G001FA02
2G001FA03
2G001FA04
2G001JA02
2G001JA08
2G001JA09
2G001JA12
2G001JA17
2G001LA11
2G001PA05
2G001PA11
2G001PA12
2G001QA01
2G188AA27
2G188BB02
2G188BB11
2G188CC00
2G188CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】X線ビームの特性を必要な頻度でモニタしながらX線分析システムの高スループットを維持する技術を提供する。
【解決手段】X線分析システムが、X線ビーム33を試料30の表面にぶつかるように向け、試料から励起された蛍光放射線を受け取るように構成されたX線分析アセンブリ10と、測定ターゲット88を含むターゲットアセンブリ43であって、X線分析アセンブリと試料との間の光路内に配置され、測定ターゲットがX線ビーム内に配置される第1の位置37と、光路がターゲットアセンブリによって妨げられない第2の位置35との間で移動するように構成された、ターゲットアセンブリと、測定ターゲットを使用したX線ビームの特性のモニタリング、及び試料の測定位置におけるX線分析の実行を交互に行えるように、第1の位置と第2の位置との間でのターゲットアセンブリの移動を制御するように構成されたプロセッサ22と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線分析のためのシステムであって、
(i)X線ビームを試料の表面にぶつかるように向け、(ii)前記ぶつかったX線ビームに応答して前記試料から励起された蛍光放射線を受け取るように構成されたX線分析アセンブリと、
1又は2以上の測定ターゲットを含むターゲットアセンブリであって、前記測定ターゲットのうちの少なくとも1つが、前記X線分析アセンブリと前記試料との間の光路内に配置されて、(i)前記測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上が前記X線ビーム内に配置される1又は2以上の第1の位置と、(ii)前記光路が前記ターゲットアセンブリによって妨げられない1又は2以上の第2の位置との間で移動するように構成される、ターゲットアセンブリと、
(i)前記測定ターゲットを使用した前記X線ビームの特性のモニタリング、及び(ii)前記試料の測定位置における前記X線分析の実行を交互に行うために、前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記ターゲットアセンブリの移動を制御するように構成されたプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記X線分析アセンブリは、(i)前記X線ビームを前記試料の表面にぶつかるように向けるよう構成されたX線源と、(ii)前記ぶつかったX線ビームに応答して前記試料から励起された前記蛍光放射線を受け取るように構成された検出器サブアセンブリとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ターゲットアセンブリは基板を含み、前記1又は2以上の測定ターゲットは、前記基板の1又は2以上の部分上に配置される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ターゲットアセンブリは、前記基板の前記1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記X線ビームは、前記1又は2以上の第1の位置において、前記基板の前記1又は2以上の部分のうちの少なくとも1つにぶつかり、前記X線ビームは、前記1又は2以上の第2の位置において、前記開口部のうちの1つを通過して前記測定位置にぶつかる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ターゲットアセンブリは、前記基板を前記第1の位置と前記第2の位置との間で軸を中心に回転させるように構成されたモータを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記ターゲットアセンブリは、前記基板を前記第1の位置と前記第2の位置との間で軸に沿って移動させるように構成されたモータを含み、前記ターゲットアセンブリは、前記基板の前記1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記測定ターゲットのうちの少なくとも1つは、(i)前記試料の第2の基板と同様の第1の基板と、(ii)前記第1の基板上に配置されて0.3mmよりも大きな厚みを有する少なくとも1つの層とを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項9】
前記測定ターゲットのうちの前記少なくとも1つは、前記層上に配置されて1000ナノメートルより小さな厚みを有するさらなる層を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記X線ビームのモニタリング特性に基づいて、前記試料の表面に向けられる前記X線ビームの特性を調整するように前記X線分析アセンブリを制御するよう構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項11】
X線ビームを試料の表面にぶつかるように向けることと、
1又は2以上の測定ターゲットを有するターゲットアセンブリの移動を、(i)前記測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上が前記X線ビームと前記試料との間の光路内に配置される1又は2以上の第1の位置と、(ii)前記光路が前記ターゲットアセンブリによって妨げられない1又は2以上の第2の位置との間で制御することと、
前記ぶつかったX線ビームに応答して前記測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上又は前記試料から励起された蛍光放射線を受け取ることと、
前記ターゲットアセンブリの移動及び前記蛍光放射線に基づいて、(i)前記測定ターゲットを使用した前記X線ビームの特性のモニタリング、及び(ii)前記試料の測定位置におけるX線分析の実行を交互に行うことと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記X線ビームを向けることは、前記X線ビームを前記試料の表面にぶつかるように向けるX線源を適用することを含み、前記蛍光放射線を受け取ることは、前記ぶつかったX線ビームに応答して前記試料から励起された蛍光放射線を受け取る検出器サブアセンブリを適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ターゲットアセンブリは基板を含み、前記1又は2以上の測定ターゲットは、前記基板の1又は2以上の部分上に配置される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ターゲットアセンブリは、前記基板の前記1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記移動を制御することは、(i)前記1又は2以上の第1の位置において、前記X線ビームが前記基板の前記1又は2以上の部分のうちの少なくとも1つにぶつかること、及び(ii)前記1又は2以上の第2の位置において、前記X線ビームが前記開口部のうちの1つを通過して前記測定位置にぶつかることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ターゲットアセンブリの移動を制御することは、前記基板を前記第1の位置と前記第2の位置との間で軸を中心に回転させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ターゲットアセンブリの移動を制御することは、前記基板を前記第1の位置と前記第2の位置との間で軸に沿って移動させることを含み、前記ターゲットアセンブリは、前記基板の前記1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記測定ターゲットのうちの少なくとも1つは、(i)前記ターゲットアセンブリの前記基板上に配置された、前記試料の第2の基板と同様の第1の基板と、(ii)前記第1の基板上に配置されて0.3mmよりも大きな厚みを有する少なくとも1つの層とを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項19】
前記測定ターゲットのうちの前記少なくとも1つは、前記層上に配置されて1000ナノメートルより小さな厚みを有するさらなる層を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記X線ビームを向けることは、前記X線ビームのモニタリング特性に基づいて、前記試料の表面に向けられる前記X線ビームの特性を調整することを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にX線分析に関し、具体的には、X線分析中にX線ビームの特性をモニタする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当業では、X線分析システムにおいて使用されるX線ビームの特性をモニタするための様々な技術が知られている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開2020/0300790号には、フルビームX線散乱測定法(full beam x-ray scatterometry)によって半導体デバイスの寸法及び材料特性を評価する方法及びシステムが記載されている。フルビームX線散乱測定法は、試料をX線ビームで照射し、結果として得られるゼロ回折次数(zero diffraction order)及び高次回折次数(higher diffraction orders)の強度を試料に対する1又は2以上の入射角について同時に検出するものである。直接ビーム及び散乱次数の同時測定は、高い精度での高スループット測定を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開2020/0300790号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、X線分析のためのシステムであって、(i)X線ビームを試料の表面にぶつかる(impinge)ように向け、(ii)ぶつかったX線ビームに応答して試料から励起された蛍光放射線(fluorescence radiation)を受け取るように構成されたX線分析アセンブリ(X-ray analysis assembly)と、1又は2以上の測定ターゲット(measurement targets)を含むターゲットアセンブリ(target assembly)であって、測定ターゲットのうちの少なくとも1つが、X線分析アセンブリと試料との間の光路内に配置されて、(i)測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上がX線ビーム内に配置される1又は2以上の第1の位置と、(ii)光路がターゲットアセンブリによって妨げられない1又は2以上の第2の位置との間で移動するように構成された、ターゲットアセンブリと、(i)測定ターゲットを使用したX線ビームの特性のモニタリング(monitoring)、及び(ii)試料の測定位置(measurement site)におけるX線分析の実行を交互に行うために、第1の位置と第2の位置との間でのターゲットアセンブリの移動を制御するように構成されたプロセッサと、を含むシステムを提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、X線分析アセンブリが、(i)X線ビームを試料の表面にぶつかるように向けるよう構成されたX線源と、(ii)ぶつかったX線ビームに応答して試料から励起された蛍光放射線を受け取るように構成された検出器サブアセンブリ(detector sub-assembly)とを含む。他の実施形態では、ターゲットアセンブリが基板を含み、1又は2以上の測定ターゲットが、基板の1又は2以上の部分(sections)上に配置される。さらに他の実施形態では、ターゲットアセンブリが、基板の1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部(openings)を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、X線ビームが、1又は2以上の第1の位置において、基板の1又は2以上の部分のうちの少なくとも1つにぶつかり、X線ビームが、1又は2以上の第2の位置において、開口部のうちの1つを通過して測定位置にぶつかる。他の実施形態では、ターゲットアセンブリが、基板を第1の位置と第2の位置との間で軸を中心に回転させるように構成されたモータを含む。さらに他の実施形態では、ターゲットアセンブリが、基板を第1の位置と第2の位置との間で軸に沿って移動させるように構成されたモータを含み、ターゲットアセンブリが、基板の1又は2以上の部分間に形成された1又は2以上の開口部を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセッサが、X線ビームのモニタリング特性(monitoring properties)に基づいて、試料の表面に向けられるX線ビームの特性を調整するようにX線分析アセンブリを制御するよう構成される。他の実施形態では、測定ターゲットのうちの少なくとも1つが、(i)試料の第2の基板と同様の(similar)第1の基板と、(ii)第1の基板上に配置されて0.3mmよりも大きな厚みを有する少なくとも1つの層とを含む。さらに他の実施形態では、測定ターゲットのうちの少なくとも1つが、層上に配置されて1000ナノメートルより小さな厚みを有するさらなる層を含む。
【0009】
本発明の実施形態によれば、X線ビームを試料の表面にぶつかるように向けることを含む方法がさらに提供される。1又は2以上の測定ターゲットを有するターゲットアセンブリの移動を、(i)測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上がX線ビームと試料との間の光路内に配置される1又は2以上の第1の位置と、(ii)光路がターゲットアセンブリによって妨げられない1又は2以上の第2の位置との間で制御する。ぶつかったX線ビームに応答して測定ターゲットのうちの1つ又は2つ以上又は試料から励起された蛍光放射線を受け取る。ターゲットアセンブリの移動及び蛍光放射線に基づいて、(i)測定ターゲットを使用したX線ビームの特性のモニタリング、及び(ii)試料の測定位置におけるX線分析の実行を交互に行う。
【0010】
本発明は、図面と共に行う本発明の実施形態についての以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態によるX線分析装置の概略的側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、
図1において実装されるX線ビームモニタリング及びX線分析のためのアセンブリの概略的上面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、
図1のシステムのプロセッサから受け取られる、X線ビームに対するターゲットアセンブリの基板の位置を示す信号のグラフである。
【
図4】本発明の別の実施形態によるX線分析システムの概略的側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、
図4において実装されるX線ビームモニタリング及びX線分析のためのアセンブリの概略的絵図である。
【
図6】本発明の実施形態による、X線ビームモニタリング及びX線分析を交互に実行する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概要
通常、X線分析システムを用いた半導体デバイスの測定及び分析では、ビーム強度などのX線ビーム特性を厳密に制御する必要がある。原理上は、様々なタイプの測定ターゲットを使用して定期的特性検査を行うことができる。例えば、可動ステージのチャック上に半導体ウェハ(又は他のいずれかの好適なタイプの試料)を配置して、ステージ上のチャックの近くに測定ターゲットを位置付ける。この構成では、ビーム特性を測定するためにX線ビームが測定ターゲットに向けられるように、ステージを1又は2以上の第1の位置に配置する。その後、ウェハ上の1又は2以上の測定位置においてそれぞれX線分析を実行するためにビームがウェハに向けられるように、ステージを1又は2以上の第2の位置に移動させる。この第1の位置と第2の位置との間の移動は、ウェハ上でビームモニタリング及びX線分析をそれぞれ実行するために交互に行われる。なお、この方法では、ステージを第1の位置と第2の位置との間で交互に移動させる必要があり、従ってX線分析システムのスループットが低下する。本開示の文脈及び特許請求の範囲における「スループット」という用語は、1時間(又は他のいずれかの所定の時間間隔)内にX線分析を受けるウェハの測定位置の平均数を意味する。従って、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で交互にステージを移動させている間はシステムがX線分析を実行せず、従ってスループットが低下する。
【0013】
後述する本開示の実施形態は、X線ビームの特性をいずれかの必要な頻度でモニタしながらX線分析システムの高スループットを維持する技術を提供するものである。
【0014】
いくつかの実施形態では、X線分析のためのシステム(本明細書では、簡潔にするためにシステムとも呼ぶ)が、少なくとも(i)X線ビームを試料(本実施例では、上部に層及び構造が半導体ウェハ)の表面にぶつかるように向けるよう構成されたX線源と、(ii)ぶつかったX線ビームに応答して試料から励起された蛍光放射線を受け取るように構成された検出器サブアセンブリと、を有するX線分析アセンブリを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、システムが、上部に1又は2以上の測定ターゲットが形成されたターゲットアセンブリを含む。測定ターゲットのうちの少なくとも1つは、X線分析アセンブリと試料との間の光路内に配置することができる。いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリが、(i)測定ターゲットのうちの少なくとも1つにX線ビームがぶつかるように測定ターゲットのうちの少なくとも1つがX線分析アセンブリとウェハとの間に配置される1又は2以上の第1の位置と、(ii)光路がターゲットアセンブリによって妨げられずにX線ビームがウェハ表面にぶつかる1又は2以上の第2の位置との間で移動するように構成される。
【0016】
1つの実装では、ターゲットアセンブリが、測定ターゲットを含む1又は2以上の部分(sections)と、測定ターゲットの部分間の1又は2以上の開口部とを有する回転可能な基板を含む。ターゲットアセンブリは、(ターゲットを有する)基板を回転軸の周囲で回転させて、上述した第1の位置と第2の位置との間でターゲットアセンブリを交互に移動させるように構成されたモータをさらに含む。
【0017】
別の実装では、ターゲットアセンブリが、上部に測定ターゲットが形成された基板と、基板に結合されたバーと、バー及び基板を軸に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されたモータ又はアクチュエータとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、システムが、(i)測定ターゲットを使用してX線ビームの特性(例えば、強度)をモニタすること、及び(ii)試料の1又は2以上の測定位置においてX線分析を実行することを交互に行うために、第1の位置と第2の位置との間でのターゲットアセンブリの移動を制御するように構成されたプロセッサを含む。
【0019】
開示する技術は、(ビーム特性をモニタするために)ステージを移動させることなくX線ビームの特性のモニタリングを可能にし、従ってX線ビームの安定性モニタリングを改善し、ビームモニタリングに必要な時間を短縮し、X線分析システムのスループットを改善する。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態によるX線分析システム11の概略的側面図である。
【0021】
いくつかの実施形態では、システム11がX線蛍光(XRF)分析システムを含むが、本開示で説明する実施形態の少なくともいくつかは、他の種類のX線分析システム、並びに集積回路(IC)デバイスを製造するための超大規模集積(VLSI)プロセス中に半導体ベースの試料を分析及び/又は処理するために使用される他の種類のシステムにも準用可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、システム11が、電源ユニット(PSU)26から電力を受け取り、本実施例ではいずれかの好適なVLSIプロセスを使用してパターン化された層及び構造を有するシリコンウェハである試料30に向けてX線ビーム33を放出するように構成されたX線源12を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、システム11が、線源12と試料30との間に配置されて、例えば試料30の上面13上の所定の測定位置に成形スポット77を形成するようにビーム33を成形するよう構成されたX線光学系14を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、システム11が、試料30と試料30にぶつかったX線ビーム33との間の相互作用に応答して試料30から励起された蛍光放射線を受け取るように構成された1又は2以上の(本実施例では4つの)検出器17を含むX線検出器サブアセンブリ(XDSA)16を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、X線源12、X線光学系14及びXDSA16が真空チャンバ内に存在し、本開示の文脈ではこれらの組み合わせをX線分析アセンブリ10と呼ぶ。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム11が、制御されたモータ15と、上部に1又は2以上の測定ターゲット88が取り付けられ又は形成された(アルミニウム、又はステンレス鋼、又は化学気相成長(CVD)プロセスを使用して製造されたダイヤモンドなどの他のいずれかの好適な材料、或いは好適なタイプのX線耐性ポリマーから形成された)基板43とを有するターゲットアセンブリ44を含む。いくつかの実施形態では、モータ15が、基板43をX線ビーム33に対して1又は2以上の軸に沿って移動させるように構成される。本実施例では、モータ15が、システム11のXYZ座標系のXY平面に直角な回転軸18を中心にして基板43を回転させるように構成される。他の実施形態では、以下で詳細に説明するように、XYZ座標系のX軸に沿って及び/又はY軸に沿って基板43を移動させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、XYZ座標系のZ軸に沿ったX線分析アセンブリ10と試料30との間の光路内に少なくともターゲット88(及び典型的にはターゲットアセンブリ44の全てのコンポーネント)が配置される。ターゲット88は、限定するわけではないがX線ビーム33の強度などの特性をモニタするように適合される。
【0028】
いくつかの実施形態では、システム11が、プロセッサ22と、インターフェイス24と、ディスプレイ(図示せず)とを含むコンピュータ20を含む。プロセッサ22は、後述するシステム11の様々なコンポーネント及びアセンブリを制御し、検出器17から受け取られた電気信号を処理するように構成される。インターフェイス24は、プロセッサ22とシステム11のそれぞれのコンポーネント及びアセンブリとの間で電気信号を交換するように構成される。
【0029】
通常、プロセッサ22は、本明細書で説明する機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを含む。ソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形態でコンピュータにダウンロードすることも、或いはこれに代えて又は加えて、磁気、光学又は電子メモリなどの非一時的有形媒体上に提供及び/又は記憶することもできる。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム11が、上部に試料30が取り付けられたチャック21を含む。チャック21は、試料30を機械的に支持するとともに、表面13のエリアの大部分又はエリア全体にビーム33を向けることを可能にするように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、チャック21がリング状の試料支持体を含むことができるが、これに加えて又は代えて、チャック21は、3点キネマティックマウント(three-point kinematic mount)などの他のいずれかの好適な設計を含むこともできる。
【0032】
いくつかの実施形態では、システム11が、例えば本明細書では「ステージ23」と呼ぶ、上部にチャック21が取り付けられた電動式xyzφステージなどのマウントを含む。ステージ23は、プロセッサ22によってシステム11のXYZ座標系内で制御され、入射ビーム33が試料30の表面13上に直接ぶつかるのを可能にするように設計される。
【0033】
次に、ターゲットアセンブリ44の基板43の上面図を示す挿入
図35を参照する。
【0034】
いくつかの実施形態では、基板43が、ターゲット88が内部に形成された及び/又は上部に取り付けられた部分66を含む。
図1及び
図2の例では、基板43が2つの部分66を有するが、他の実施形態では、基板43が、2つよりも多くの他のいずれかの好適な数の部分66を有することができる。例えば、4つの部分は、基板43の機械的剛性を改善するとともに、さらなるターゲット88の使用も可能にする。ターゲット88の実装例については、以下の
図2で説明する。基板43は、基板43の部分66、外側リング25及び部分19によって取り囲まれた開口部55を有する。なお、本実施例では、部分66が部分19とリング25との間を接続しているが、他の実施形態では、部分66が他のいずれかの好適な幾何学的サイズ及び形状を有することもできる。
【0035】
図1の実装例では、モータ15が、基板43を軸18の周囲で回転させるように構成された回転モータを含む。回転は、(i)方向32などへの反時計回り、(ii)方向34などへの時計回り、(iii)方向32及び方向34への往復回転などのこれらの組み合わせで実行することができる。往復回転の回転速度及び頻度は、ビーム33の安定性及びX線分析用途によって決定される。
【0036】
挿入
図35の例では、プロセッサ22が、ビーム33の光路がターゲットアセンブリ44の基板43によって妨げられないように基板43を軸18の周囲で回転させるようにモータ15を制御するよう構成される。換言すれば、ビーム33は、試料30の測定位置においてX線分析を実行できるように、開口部55を通過して試料30の表面13にスポット77としてぶつかる。XDSA16は、X線ビーム33が表面13にぶつかったことに応答して試料30から励起された蛍光放射線を受け取るように構成され、X線分析中に表面13から放出されたX線光子を示す第1の信号を生成する。プロセッサ22は、第1の信号に基づいて、試料30の測定位置においてX線分析を実行するように構成される。
【0037】
次に、ターゲットアセンブリ44の基板43の上面図を示す挿入
図37を参照する。挿入
図37の例では、プロセッサ22が、ビーム33の光路が基板43の部分66によって妨げられるように基板43を軸18の周囲で回転させるようにモータ15を制御するよう構成される。挿入
図37に示すように、部分66上にスポット77が当たり、ビーム33がターゲット88のうちの1つにぶつかる。XDSA16は、X線ビーム33がターゲット88のうちの1つにぶつかったことに応答して試料30及びターゲット88から励起された蛍光放射線を受け取るように構成され、ビーム33の強度及び/又はその他の特性を示す信号を生成する。プロセッサ22は、信号に基づいてビーム33の強度及び/又は他の特性をそれぞれの閾値などに対してモニタするように構成される。
【0038】
ここで、再び
図1の全体図を参照する。いくつかの実施形態では、プロセッサ22が、挿入
図35及び37に示すような基板43の部分に対するスポット77の位置に基づいて、(i)測定ターゲット88を使用してX線ビーム33の特性をモニタすること、及び(ii)試料30の1又は2以上の測定位置においてX線分析を実行することを交互に行うように構成される。さらに、開示する技術では、X線ビーム33の特性をモニタしながらX線分析が実行されるため、X線分析測定のスループットが改善される。
【0039】
いくつかの実施形態では、例えばX線光子のフラックスの変動が所定の時間間隔内に約0.1%よりも大きい場合などのビーム33の安定性が比較的低い場合、プロセッサ22が、各ターゲットにつき約1秒毎にビーム33の強度をモニタするように、基板43を毎分約60回転(RPM)の回転速度で回転させるようにモータ15を制御することができる。他の実施形態では、ビーム33の安定性が高い場合、例えば10分毎又は1時間毎にビーム強度のモニタリングが必要となり得る。このような実施形態では、プロセッサ22が、挿入
図37に示す配置から、(i)試料30の1又は2以上の測定位置において約10分間又は1時間にわたってX線分析を実行できるように基板43を方向32に約10°又は20°だけ回転させて挿入
図35に示す配置を取得し、その後に(ii)ビーム33の強度(及びその他の特性)をモニタできるように基板43を方向34に約10°又は20°だけ回転させて挿入
図37に示す配置を再取得する、ようにモータ15を制御することができる。なお、強度のモニタリングは、各試料がシステム11を用いたX線分析を受けるのに必要な合計時間の(用途及び測定位置の数に応じて)約1%~5%を必要とすることができる。換言すれば、1時間あたりにX線分析を受ける測定位置の数は、ビーム33のモニタリングを行わない場合とほぼ同一である。
【0040】
本開示の文脈及び特許請求の範囲における、いずれかの数値又は数値範囲を表す「約」又は「おおよそ」という用語は、部品又は一群のコンポーネントが本明細書で説明するようなその用途のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。
【0041】
別の実施形態では、プロセッサが、基板43を(例えば、方向32及び34に)往復回転させる代わりに、ビーム33の強度(及び他の特性)をモニタできるように、(例えば)10分後に基板43が約180°を完了してビーム33が次の部分66にぶつかるように基板43の回転速度を制御することができる。
【0042】
他の実施形態では、プロセッサ22が、上記の例以外のいずれかの好適な動作プロファイルを使用して基板43の回転を制御するように構成される。
【0043】
このシステム11及びターゲットアセンブリ44の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処されるいくつかの問題点を示して、このようなシステムの性能を高める上でのこれらの実施形態の適用を実証するために、一例として示すものである。しかしながら、本発明の実施形態は、決してこの特定の種類のシステム例及び/又はターゲットアセンブリ例に限定されるものではなく、本明細書で説明する原理は、他の種類のX線分析システム及び他の構成のターゲットアセンブリにも同様に適用することができる。
【0044】
図2は、本発明の実施形態による、スポット77に対して回転したアセンブリの基板43の概略的上面図である。
【0045】
いくつかの実施形態では、X軸及びY軸におけるターゲット88a及び88bの各々のサイズが約4mm×4mmであるが、他の実施形態では、ターゲット88a及び88bの少なくとも一方が正方形以外の形状及び/又は異なるサイズを有することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、通常はターゲット88a及び88bが基板43の接線軸に沿って、
図2の例では部分66のY軸に沿って配置される。この構成では、プロセッサ22が、基板43を軸18の周囲で回転させることによって関心ターゲット上のスポット77の位置を制御することができる。
【0046】
次に、部分66の表面上に配置されたターゲット88a及び88bの断面図を示す挿入
図39を参照する。いくつかの実施形態では、部分66における基板43の厚みがZ軸に沿って約0.3mm~1.5mmである。なお、基板43は、(基板43に取り付けられた)ターゲット88がX線分析アセンブリ10と試料30の表面13との間に収まった上で、上記の
図1で説明したようなビーム33の特性のモニタリング及び試料30の測定位置のX線分析が可能になるように、十分に薄くなければならない。
【0047】
いくつかの実施形態では、ターゲット88aが、約0.7mm又は他のいずれかの好適な、例えば(Z軸に沿って)約0.3mmよりも大きな厚みを有する層36を含む。通常、層36は、試料30と同じ材料であるシリコン(又は金属層などの他のいずれかの好適な材料)、又は他のいずれかの好適な材料を含む。なお、層36の厚みはビーム33の貫通深さよりも大きく、従って本明細書ではターゲット88aを無限ターゲットとも呼ぶ。この構成では、XDSA16の検出器17が、ビーム33が層36にぶつかったことに応答して層36のみから励起された蛍光放射線を受け取り、プロセッサ22が、XDSA16によって生成された信号に基づいてビーム33の強度及び/又はその他の特性を推定する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ターゲット88bが、層36と同じ特徴(例えば、材料及び厚み)を有することができる層40を含む。ターゲット88bは、層40上に配置された層38をさらに含み、層38の特性(例えば、厚み及び材料)はX線分析用途に依存する。従って、層38は、数オングストローム~数百ナノメートルのいずれかの好適な厚みを有することができ、とにかくこの厚みは約1000ナノメートルよりも小さい。さらに、層38は、試料30上に形成された構造、及び/又は試料30の所有者によって決定された用途に従って、以下に限定するわけではないが、銅、ゲルマニウム、コバルト、銀、チタン、又はその他のいずれかの好適な材料などの、試料30上に配置された材料を含むことができる。この構成では、XDSA16の検出器17が、層36にビーム33がぶつかったことに応答して層38及び40から励起された蛍光放射線を受け取り、プロセッサ22が、XDSA16によって生成された信号に基づいて、ビーム33の強度及び/又はその他の特性、並びにビーム33と層38及び40との間の相互作用を推定する。
【0049】
ここで、再び
図2の全体図を参照する。いくつかの実施形態では、基板43が軸18の周囲で(例えば、一方向又は両方向32及び34に沿って)回転している間に部分66のエッジにスポット77が当たって、XDSA16が励起された蛍光放射線を受け取るが、この放射線は、試料30又はターゲット88のいずれかから励起された蛍光放射線を表すものではないためフィルタ除去されなければならない。本明細書では、この放射線をフィルタ除去する方法の1つの実装を以下の
図3で説明する。
【0050】
図3は、本発明の実施形態による、X線ビーム33に対する基板43の位置を示す、プロセッサ22から受け取られる信号を示すグラフ60である。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロセッサ22に、基板43の動きを制御するための1又は2以上のアルゴリズムが実装される。
【0052】
いくつかの実施形態では、グラフ60が、X線ビーム33に対する部分55及び66の位置を示す信号をプロセッサ22が生成する時間を表す軸64を含む。グラフ60は、プロセッサ22によって生成される(X線ビーム33に対する部分55及び66の位置を示す)信号の(軸64に沿って示される時間の関数としての)電圧である軸62をさらに含む。
【0053】
本実施例では、グラフ60が、X線ビーム33が部分66及び55にぶつかる時間間隔をそれぞれ示す部分67及び56を有する。グラフ60の部分68は、部分67と部分56との間の遷移エリアを示す。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセッサ22が、閾値42を適用することによって部分68の電圧をフィルタ除去することができる。閾値42は、電圧の高域フィルタ又はその他のいずれかの好適な技術を使用して実装することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、X線ビーム33の特性が変化している場合、ターゲット88にぶつかったビーム33に応答して受け取られたX線蛍光を使用して計測測定値(metrology measurements)(例えば、測定位置におけるX線分析)を補正することができる。これらの特性は、ビーム33の強度、ビーム33の波長スペクトル、及びその他の特性を含む。例えば、計測のための測定強度Imは、測定の開始時点であるt=0において(本明細書ではドリフトモニタとも呼ぶ)ターゲット88から受け取られたX線蛍光の信号と、ドリフトモニタ強度がId(t)である若干後の時点tにおいてターゲット88から受け取られたX線蛍光の信号との比率によってIc(補正された強度)になるように補正され、従ってIc=Im×Id(t=0)/Id(t)である。ドリフトモニタの強度Idは、統計的サンプリングからの不確実性が導入されないように、(本明細書では計測強度Imとも呼ぶ)試料30から受け取られたX線蛍光の測定強度よりも有意に(例えば、10倍)大きい必要がある。
【0056】
いくつかの実施形態では、プロセッサ22が、X線ビーム33のモニタリング特性に基づいて、表面13に向けられるX線ビーム33の特性を、試料30の測定位置においてX線分析を実行できるように調整するようにX線分析アセンブリ10を制御するよう構成される。このような実施形態では、プロセッサ22が、複数のパラメータを使用してX線ビーム33の特性を制御するようにX線分析アセンブリ10を制御するよう構成される。例えば、(i)PSU26からX線源12に供給される電流を調整し、(ii)X線ビーム33が部分66のターゲット88にぶつかる時間間隔を調整し、(iii)ビームパラメータ情報を結果ファイルに記憶し、この結果ファイルを使用して、測定位置における測定結果の処理中に試料30から受け取られたX線蛍光を分析する。
【0057】
図4は、本発明の他の実施形態によるX線分析システム71の概略的側面図である。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム71が上記の
図1のシステム11と同様のものであるが、上述したターゲットアセンブリ44とは異なるターゲットアセンブリ74を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリ74が、ターゲット88が上部に取り付けられた(又は内部に形成された)(以下の
図5に示して詳細に説明する)基板48と、例えばXYZ座標系のX軸に平行な方向47及び49に基板48を移動させるように構成されたモータ72とを含む。
【0060】
このような実施形態では、基板48が方向47に移動するとビーム33がターゲット88に衝突し、基板48が方向49に移動すると、基板48がX線分析アセンブリ10(例えば、X線源12及びXDSA16)と試料30との間の光路内に配置されなくなり、従ってビーム33が試料30の表面13に衝突し、検出器17が試料30から励起された蛍光放射線を受け取る。
【0061】
図5は、本発明の実施形態によるターゲットアセンブリ74の概略的絵図である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリ74が、本実施例では基板48のX軸に沿って配置された(ただし、他の実施形態ではいずれかの好適な配置を有することができる)(上記の
図4で詳細に説明した)ターゲット88a及び88bを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、上記の
図2で説明したように、基板48が、基板43の少なくとも部分66と同様の厚み及び材料を有することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、モータ72が、基板48に接続されたバー46を上記の
図4で説明した方向47及び49にZ軸に沿って移動させるように構成されたアクチュエータを含む。他の実施形態では、モータ72が、例えば間にバー46を挟むことなく他のいずれかの好適な技術を使用して基板48を移動させることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、基板48が、上記の
図1及び
図2に示す基板43の開口部55に対応する開口部89a及び89bを有する。このような実施形態では、基板48が方向47及び/又は49に移動するとビーム33が開口部89を通過し、従って上記の
図1の挿入
図35で説明したものと同じ技術を使用して試料30の測定位置のX線分析を可能にすることができる。
【0066】
他の実施形態では、基板48が開口部89a及び89bを有さないこともでき、ターゲット88a又はターゲット88bがビーム33と試料30との間の光路内に配置されていることを検証した後にビーム33の特性をモニタすることができる。この検証は、プロセッサ22内のソフトウェアモジュールとして又は他のいずれかの構成されたコントローラ(図示せず)内に実装できる、ターゲット88a及び88bの位置を識別する手段及び動作制御アルゴリズムを有するいずれかの好適なタイプの動作制御アセンブリを使用して実行することができる。
【0067】
これに加えて又は代えて、モータ72は、ターゲット88a又はターゲット88bがビーム33と試料30との間の光路内に位置するように基板48をY軸に沿って移動させるように構成される。
【0068】
図6は、本発明の実施形態による、X線ビームモニタリング及びX線分析を交互に実行する方法を概略的に示すフローチャートである。
【0069】
いくつかの実施形態では、
図6の方法が上記
図1のシステム11に適用されるが、この方法の原理は上記の
図4のシステム71に準用することもできる。
【0070】
方法は、ターゲットアセンブリ位置決めステップ100から開始して、上記
図1の構成に示して詳細に説明したようにX線分析アセンブリ10と試料30との間にターゲットアセンブリ44を位置付ける。
【0071】
ビーム方向付けステップ102において、上記の
図1の構成に示して詳細に説明したように、X線ビーム33を試料30の表面13にぶつかるように向ける。
【0072】
ターゲットアセンブリ移動ステップ104において、プロセッサ22が、(i)測定ターゲット88a又は88bがX線ビーム33と試料30との間の光路内に位置する1又は2以上の第1の位置と、(ii)光路がターゲットアセンブリ44によって妨げられない1又は2以上の第2の位置との間でのターゲットアセンブリ44の1又は2以上のコンポーネントの移動を制御する。
図1の例では、プロセッサ22が、(i)1又は2以上の第1の位置では(基板43の部分66上に配置された)測定ターゲット88a又は88bがX線ビーム33と試料30との間の光路内に配置されてそれぞれの測定ターゲット上にスポット77が当たり、(ii)1又は2以上の第2の位置ではX線ビーム33が開口部55を通過して試料30の表面13上の測定位置にスポット77が当たるように、基板43を軸18の周囲で回転させるようにモータ15を制御する。第1及び第2の位置については、上記の
図1に示して詳細に説明している。
【0073】
なお、上記の
図4に示すシステム71及び上記の
図5に示すターゲットアセンブリ74の構成例では、プロセッサ22が、基板48を方向47及び49に沿って移動させるようにモータ72を制御する。従って、1又は2以上の第1の位置では、測定ターゲット88a又は88bがX線ビーム33と試料30との間の光路内に配置され、1又は2以上の第2の位置では、X線ビーム33が開口部89a又は89bを通過して(又は、基板48がビーム33から離れて移動して)スポット77が試料30の測定位置に当たるようになる。
【0074】
検出ステップ106において、上記の
図1に詳細で説明したように、XDSA16の検出器17が、ぶつかったX線ビーム33に応答してそれぞれの測定ターゲット88又は試料30の測定位置から励起された蛍光放射線を受け取り、XDSA16が、検出された蛍光放射線を示す1又は2以上の信号を生成する。
【0075】
なお、蛍光放射線はぶつかったX線ビーム33に応答して直ちに放出されるので、ターゲットアセンブリ44の位置付けはX線ビーム33を向ける前に実行されるが、概念を明確にするためにステップ100をステップ102に先行させている。
【0076】
方法を終了するビームモニタリング及び試料分析ステップ108において、一方又は両方のターゲット88a及び88bを使用してビーム33の特性(例えば、強度)を測定し、或いは試料30の測定位置においてX線分析を実行する。上記の
図1で詳細に説明したように、ビームモニタリング及びX線分析は、第1の位置と第2の位置との間でのターゲットアセンブリ44の移動と、ターゲットアセンブリ44が第1の位置及び第2の位置に位置している時にそれぞれ検出される蛍光放射線とに基づいて実行される。
【0077】
この
図6の特定の方法は、本発明の実施形態によって対処されるいくつかの問題点を示して、(i)測定位置におけるX線分析、及び(ii)X線ビーム33の特性のモニタリングを交互かつ同時に実行するこのような方法の性能を高める上でのこれらの実施形態の適用を実証するために、単純化して一例として示すものである。しかしながら、本発明の実施形態は、決してこの特定の種類の方法例に限定されるものではなく、本明細書で説明する原理は、他の種類のX線分析システム及び他の構成のターゲットアセンブリにも同様に適用することができる。
【0078】
本明細書で説明した実施形態は、主に半導体ウェハのX線蛍光(XRF)分析に対応するものであるが、本明細書で説明した方法及びシステムは、入射した一次ビームによって生成される光子、電子及びイオンの反射した及び/又は散乱した及び/又は放出された放射線の測定に基づくいずれかの分析などの他の用途で使用することもできる。
【0079】
上述した実施形態は一例として示したものであり、本発明は本明細書で具体的に図示し説明した内容に限定されるものではないと理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読んだ時点で当業者に浮かぶであろう、先行技術には開示されていないこれらの変形例及び修正例を含む。引用により本特許出願に組み入れられる文書は、これらの組み入れられた文書におけるいずれかの用語が本明細書において明示的又は非明示的に行っている定義と矛盾する形で定義されている限りにおいては本明細書における定義のみを考慮すべきである点を除き、本出願の不可欠な部分とみなすべきである。
【外国語明細書】