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特開2024-36300家禽の頸部をクリーニングするスクレーパー及び処理ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036300
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】家禽の頸部をクリーニングするスクレーパー及び処理ライン
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/06 20060101AFI20240308BHJP
   A22C 21/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A22C21/06
A22C21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140599
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】2032952
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ、コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】デイン、ステイファン クリスティアン セイムエル
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部分を除去するための、特に、屠殺された家禽の頸部領域から素嚢を伴う食道及び気管を除去するためのスクレーパーを提供する。
【解決手段】スクレーパーは、マンドレル2と、前方を向く突起3,4とを備える。前方を向く突起3,4は、屠殺された家禽の頸部領域での使用中に動作するように配置される。前方を向く突起3,4は、少なくとも1つのプレート5,6の一部を形成する。少なくとも1つのプレート5,6は、マンドレル2に対して移動可能に取り付けられ、又は、取付け可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部分を除去するための、特に、屠殺された家禽の前記頸部領域から素嚢を伴う食道及び気管を除去するためのスクレーパー(1)であって、
マンドレル(2)と、
屠殺された家禽の前記頸部領域での使用中に動作するように配置される、前方を向く突起(3,4)と
を備え、
前方を向く突起(3,4)は、少なくとも1つのプレート(5,6)の一部を形成し、
前記少なくとも1つのプレート(5,6)は、マンドレル(2)に取り付けられ、又は、取付け可能であり、
少なくとも1つのプレート(5,6)は、マンドレル(2)に取り付けられている間、マンドレル(2)に対して移動可能であることを特徴とするスクレーパー(1)。
【請求項2】
2つのプレート(5,6)を備え、
2つのプレート(5,6)のそれぞれは、前記前方を向く突起(3,4)が設けられ、
2つのプレート(5,6)は、マンドレル(2)に取り付けられている間、それぞれマンドレル(2)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のスクレーパー。
【請求項3】
2つのプレート(5,6)は、マンドレル(2)に対向する両側で取り付けられ、又は、取付可能であることを特徴とする、請求項2に記載のスクレーパー。
【請求項4】
プレート(5,6)は、前記突起(3,4)が設けられる領域で平坦であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のスクレーパー。
【請求項5】
前記突起(3,4)は、プレート(5,6)の長手方向で互いに裏側に設けられ、
前記突起(3,4)のぞれぞれは、前方を指す鈍端部分(3’,4’)を有することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のスクレーパー。
【請求項6】
プレート(5,6)は、マンドレル(2)の長手方向を横切る方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のスクレーパー。
【請求項7】
プレート(5,6)は、マンドレル(2)の可動ピン(7,8;7’,8’)に取り付けられ、
前記可動ピン(7,8;7’,8’)は、マンドレル(2)の長手方向に対して斜めに配向された第1スリット(9,10;9’,10’)を通って延び、
可動ピン(7,8;7’,8’)がマンドレル(2)の長手方向に駆動される時に、マンドレル(2)の斜めに配向された第1スリット(9,10;9’,10’)は、可動ピン(7,8;7’,8’)に、マンドレル(2)の長手方向を横切る移動を少なくとも実行させることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のスクレーパー。
【請求項8】
マンドレル(2)は、長手方向に移動可能な駆動ロッド(15)を収容するための中空部(2’)を有することを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のスクレーパー。
【請求項9】
駆動ロッド(15)は、駆動ロッド(15)の長手方向に対して横方向に配向された第2スリット(16,17)を有し、
マンドレル(2)の可動ピン(7,8;7’,8’)は、第2スリット(16,17)を通って延びることを特徴とする、請求項8に記載のスクレーパー。
【請求項10】
プレート(5,6)のそれぞれは、マンドレル(2)の可動ピン(7,8;7’,8’)に適合する開口部(11,12;11’,12’)が設けられたことを特徴とする、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のスクレーパー。
【請求項11】
それぞれのプレート(5,6)は、マンドレル(2)の可動ピン(7,8;7’,8’)に適合する少なくとも2つの開口部(11,12;11’,12’)を有し、
前記少なくとも2つの開口部(11,12;11’,12’)は、マンドレル(2)の対向する端部に設けられることを特徴とする、請求項10に記載のスクレーパー。
【請求項12】
家禽を処理するための、特に、屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部分を除去するための処理ラインであって、
カルーセル装置(18)と、
屠殺された家禽を脚で吊り下げるキャリアを有するコンベヤラインと
を備え、
コンベヤラインは、吊り下げられた家禽を前記カルーセル装置(18)に沿って案内し、
前記カルーセル装置(18)は、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のスクレーパ(1)が設けられることを特徴とする、処理ライン。
【請求項13】
カルーセル装置(18)は、第1軌道(19)と、第2軌道(20)とが設けられ、
長手方向に移動可能な駆動ロッド(15)は、第1軌道(19)で案内される第1車輪に接続され、
マンドレル(2)は、第2軌道(20)で案内される第2車輪に接続され、
少なくとも1つのプレート(5,6)は、第2車輪に対する第1車輪の相対移動により、マンドレル(2)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項12に記載の処理ライン。
【請求項14】
カルーセル装置(18)は、
第1軌道(19)に設けられた第1カルーセルユニット(18’)と、
第2軌道(20)に設けられた第2カルーセルユニット(18’’)と
を備え、
第1カルーセルユニット及び第2カルーセルユニットは、互いに上下に相対移動が可能であることを特徴とする、請求項13に記載の処理ライン。
【請求項15】
第1カルーセルユニット(18’)と第2カルーセルユニット(18’’)との間の距離を調整する駆動装置を備えることを特徴とする、請求項14に記載の処理ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺された家禽の頸部から望ましくない部位を除去するためのスクレーパーに関し、特に、屠殺された家禽の前記頸部領域から素嚢を伴う食道及び気管を除去するための前記スクレーパーであって、マンドレルと、屠殺された家禽の前記頸部領域での使用中に動作するように配置される前方を向く突起とを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスクレーパーは、1984年の特許文献1から知られている。1984年以来、このようなスクレーパーの開発は継続され、それは、1992年の特許文献2,1997年の特許文献3の図3A,1999年の特許文献4,1999年の特許文献5,2014年の特許文献6,及び2009年の特許文献7のような刊行物で証明される。
【0003】
特許文献8は、屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部分を除去するためのスクレーパー、特に、屠殺された家禽の前記頸部領域から素嚢を伴う食道及び気管を除去するためのスクレーパーを開示している。前記スクレーパーは、マンドレルと、屠殺された家禽の前記頸部領域での使用中に動作するように配置される、前方を向く突起とを備える。前方を向く突起は、少なくとも1つのプレートの一部を形成し、前記少なくとも1つのプレートは、マンドレルに取り付けられ、又は、取付け可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第178825号明細書
【特許文献2】米国特許第5222905号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第838156号明細書
【特許文献4】米国特許第6213864号明細書
【特許文献5】欧州特許第1048214号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0186895号明細書
【特許文献7】欧州特許第2299834号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2010/273407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1984年以来、数十年にわたる継続的な努力にもかかわらず、本業界は、屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部位を除去する作業が必ずしも満足のいくものではない、という課題を効果的に解決できなかった。屠殺された家禽の頸部領域に望ましくない部位が作業後に残るという不満足な結果は、例えば、全ての家禽が同じ寸法でないという事実が原因であり得る。また、クリーニングの実行中に破壊しなければならない組織の強度も、家禽によって異なる場合がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前述した課題に対する解決を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲のうちの1つ以上の特徴を備える新規な設計のスクレーパーが提案される。本発明は、家禽を処理するための処理ライン、特に、そのような屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部位を除去するための処理ラインで具現化される。処理ラインは、カルーセル装置と、屠殺された家禽を脚で吊り下げるキャリアを有するコンベアラインとを備える。このコンベアラインは、吊り下げられた家禽を前記カルーセル装置に沿って案内する。前記カルーセル装置は、スクレーパーを有する。スクレーパーは、添付の特許請求の範囲のうちの1つ以上の特徴を有する。
【0008】
マンドレルと、屠殺された家禽の頸部領域での使用中に動作するように配置される前方を向く突起とを備える本発明のスクレーパーの必須の特徴は、前方を向く突起が少なくとも1つのプレートの一部を形成し、前記少なくとも1つのプレートがマンドレルに取り付けられ又は取付け可能であり、少なくとも1つのプレートは、マンドレルに取り付けられている間、マンドレルに対して移動可能であることである。
【0009】
プレートの形状は必須ではなく、少なくとも1枚のプレートは直線状でもよいし、曲線状でもよい。マンドレルに対して突起を備えたプレートが移動可能であることにより、家禽の頸部領域に掻取り動作を実行する突起を、最も効果的な位置に配置することが可能である。さらに、プレートがマンドレルに対して移動可能であるので、本発明のスクレーパーは、処理される家禽の寸法に容易に合わせることができる。
【0010】
効果的な理由から、スクレーパーが2つのプレートを備え、2つのプレートのそれぞれに前記前方を向く突起が設けられ、前記2つのプレートは、マンドレルに取り付けられている間、それぞれマンドレルに対して移動可能であることが好ましい。
【0011】
そして、2つのプレートがマンドレルの対向する両側に取り付けられ、又は、取付け可能であることが最も好都合である。これにより、2つのプレートの前方を向く突起によって家禽の頸皮の内側に及ぼされる力が互いに均衡する。このため、クリーニングの作業において、家禽は安定して吊り下げられた姿勢に保たれる。単数又は複数のプレートにおいて突起が設けられる領域で平坦であることは、コストの面で効果的である。そして、製造コストを低く抑えることができる。
【0012】
突起は、単数又は複数のプレートの長手方向で互いに裏側に設けられ、前記突起のそれぞれは、前方を指す鈍端部分を有することが好ましい。この配置は、操作の観点から最も効果的であることが証明されている。
【0013】
単数又は複数のプレートは、マンドレルの長手方向を横切る方向に移動可能であることが望ましい。これにより、処理される家禽の寸法に本発明のスクレーパーを調整することの容易性が、さらに促進される。これは、単数又は複数のプレートが、マンドレルの長手方向に移動可能であると同時に、マンドレルの前記長手方向を横切る方向に移動可能であるように配置されることで、具現化され得る。
【0014】
本発明のスクレーパーは、異なる点で解釈され得る。しかしながら、好ましくは、単数又は複数のプレートがマンドレルの可動ピンに取り付けられ、可動ピンは、マンドレルの長手方向に対して斜めに配向された第1スリットを通って延び、ピンがマンドレルの長手方向に駆動される時に、マンドレルの斜めに配向された第1スリットは、可動ピンに、マンドレルの長手方向を横切る移動を少なくとも実行させる。
【0015】
マンドレルの可動ピンを駆動するために、マンドレルは、長手方向に移動可能な駆動ロッドを収容するための中空部を有することが好ましい。
【0016】
長手方向に可動な駆動ロッドとマンドレルの可動ピンとの間の動力伝達を伴う接続は、次の配置が好ましい。すなわち、駆動ロッドが駆動ロッドの長手方向に対して横方向に配向された第2スリットを有し、マンドレルの可動ピンが第2スリットを通って延びる。
【0017】
マンドレルへの単数又は複数のプレートの取付けは、次の特徴により可能にされることが好ましい。すなわち、プレートのそれぞれは、マンドレルの可動ピンに適合する開口部を有する。
【0018】
それぞれのプレートは、マンドレルの可動ピンに適合する少なくとも2つの開口部を有し、前記少なくとも2つの開口部は、マンドレルの対向する端部に設けられることが望ましい。
【0019】
本発明は、家禽を処理するための処理ライン、特に、そのような屠殺された家禽の頸部から望ましくない部位を除去するための処理ラインで実現されることも述べられる。処理ラインは、カルーセル装置と、屠殺された家禽を脚部で吊り下げるキャリアを有するコンベアラインとを備える。このコンベアラインは、吊り下げられた家禽を前記カルーセル装置に沿って案内し、前記カルーセル装置は、本発明のスクレーパーが設けられる。
【0020】
カルーセル装置は、第1軌道と第2軌道とが設けられ、長手方向に移動可能な駆動ロッドは、第1軌道で案内される第1車輪に接続され、マンドレルは、第2軌道で案内される第2車輪に接続され、少なくとも1つのプレートは、第2車輪に対する第1車輪の相対移動により、マンドレルに対して移動可能であることが好適である。
【0021】
カルーセル装置の好ましい実施形態は、第1軌道に設けられた第1カルーセルユニットと、第2軌道に設けられた第2カルーセルユニットとを備え、第1カルーセルユニット及び第2カルーセルユニットは、互いに上下に相対移動が可能である。これにより、家禽群に応じて、これらの2つのカルーセルユニットの垂直距離が調整される。したがって、もし、大型の家禽を備える家禽群が処理されようとする場合、第1カルーセルユニットに対して第2カルーセルユニットを下降させることにより、これらの2つのカルーセルユニットの距離を大きくし得る。こうすることで、処理の開始時に、プレートは、僅かに開かれた状態にすることができる。
【0022】
処理ラインは、第1カルーセルユニットと第2カルーセルユニットとの間を調整する駆動装置(例えば、第2カルーセルユニットの垂直高さを制御する液圧システム)を備えることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のスクレーパーを等角図で示す。
図2】本発明のスクレーパーを分解図で示す。
図3】小型の家禽に使用する本発明のスクレーパーを示す。
図4】中型の家禽に使用する本発明のスクレーパーを示す。
図5】大型の家禽に使用する本発明のスクレーパーを示す。
図6】本発明によるスクレーパーを備えたカルーセル装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の特許請求の範囲を限定するものではないが、図面を参照しながら、本発明に係るスクレーパー及びカルーセル装置の例示的な実施形態をさらに説明する。
【0025】
図面で同じ符号が付されている場合、常に、同じ符号は同じ部分を指す。
【0026】
まず参照される図1及び図2には、屠殺された家禽の頸部領域から望ましくない部分を除去するための、特に、屠殺された家禽の前記頸部領域から素嚢を伴う食道及び気管を除去するためのスクレーパー1が示される。
【0027】
本発明のスクレーパー1は、マンドレル2と、前方を向く突起3,4とを備える。前方を向く突起3,4は、使用中に、屠殺された家禽の頸部の内側及び頸部領域、特に頸部の皮膚で動作するように配置される。
【0028】
スクレーパーは、少なくとも1つの直線状または曲線状のプレートを備えるが、図示されているように、2つのそのようなプレート5,6を備えることが好ましい。2つのプレート5,6のそれぞれは、前記前方を向く突起3,4が設けられる。前記2つのプレート5,6は、マンドレル2に対して移動可能に取り付けられ、又は、取付け可能である。「移動可能に取り付けられ、又は、取付け可能」とは、単数のプレート又は複数のプレート5,6がマンドレル2に取り付けられている間、単数のプレート又は複数のプレート5,6がマンドレル2に相対的に移動できることを意味する。2つのプレート5,6は、図示されるように、マンドレル2に対向する両側で取り付けられ、又は、取付け可能であることが好ましい。
【0029】
図2で最も明確に示されるように、単数のプレート又は複数のプレート5,6は、突起3,4が設けられる領域で平坦であることが好ましい。
【0030】
全ての図から明らかなように、突起3,4は、単数のプレート又は複数のプレート5,6の長手方向で互いに裏側に設けられる。突起3,4のそれぞれは、好ましくは鈍い、前方を指す端部分3’,4’を有する。
【0031】
図3図4及び図5を比較すると、単数のプレート又は複数のプレート5,6は、マンドレル2に対して移動可能であることが明らかである。図3に示されるように、本発明のスクレーパー1が小さな寸法である小型の家禽を処理するために配置される場合、突起3,4は、マンドレル2に対して、マンドレル2の縁からはみ出ないように位置する。図4に示されるように、本発明のスクレーパー1が中型の家禽の処理を意図する場合、スクレーパーの突起3,4は、マンドレル2に対して、マンドレル2の縁から少しはみ出る。本発明のスクレーパー1が比較的大型の家禽の処理を意図する場合、スクレーパーの突起3,4は、マンドレルの縁から最もはみ出る。この後者の配置は、図5に示される。
【0032】
本発明のスクレーパー1を処理される家禽の異なる寸法に合わせるために、プレート5,6は、マンドレル2の長手方向を横切る方向に移動可能である。これは、図3図4及び図5から明らかである。図示された構造では、これは次の配置により実現される。すなわち、この配置は、単数のプレート又は複数のプレート5,6が、マンドレル2の長手方向に移動可能であり、同時に、マンドレル2の長手方向を横切る方向にも移動可能であるとする配置である。これは、以下で述べられるスクレーパー1の特徴により実現される。
【0033】
全ての図から明らかであるが、図2に示される分解図から最もよく理解され得るように、前側のプレート5は、マンドレル2における第1組の可動ピン7,8に取り付けられ、後側のプレート6は、マンドレル2における第2組の可動ピン7’,8’に取り付けられる。
【0034】
前側のプレート5をサポートするピン7,8は、マンドレル2の長手方向に対して斜めに配向された第1スリット9,10を通って延びる。一方、後側のプレート6をサポートするピン7’,8’は、マンドレル2の長手方向に対して斜めに配向された第1スリット9’,10’を通って延びる。
【0035】
ピン7,8に取り付けられる前側のプレート5は、マンドレル2の第1組の可動ピン7,8に適合する開口部11,12が設けられる。ここで、適合するとは、ぴったりと嵌まることを意味する。前記少なくとも2つの開口部11,12は、マンドレル2の対向する端部に設けられる。同様に、第2組の可動ピン7’,8’に取り付けられる後側のプレート6は、第2組の可動ピン7’,8’に適合する開口部11’,12’が設けられる。少なくとも2つの開口部11’,12’は、マンドレル2の対向する端部に設けられる。
【0036】
ここで説明された構造により、前側のプレート5をサポートするピン7,8がマンドレル2の長手方向に駆動される時に、マンドレル2の斜めに配向された第1スリット9,10は、ピン7,8に、斜めに配向された移動を実行させる。この移動は、マンドレル2に対する前側のプレート5の移動も決定する。同時に、第1組の可動ピン7,8は、マンドレル2に対して反対側に位置する、後側のプレート6に設けられたスリット13,14を通って延びる。後側のプレート6でのこれらのスリット13,14は、後側のプレート6の位置に影響を与えることなく、前側のプレート5をサポートするピン7,8が移動する空間を提供する。したがって、ピン7,8を駆動することで、前側のプレート5のみを動かすことができる。
【0037】
前段落で説明されたものと対応する似た構造が、前側のプレート5の運動と協働して後側のプレート6を移動させるために提供される。留意すべきは、後側のプレート6をサポートするピン7’,8’は、マンドレル2の長手方向に駆動される時に、マンドレル2の斜めに配向された第1スリット9’,10’は、ピン7’,8’に、マンドレル2の長手方向に対して斜めに配向された移動を実行させる。この移動は、マンドレル2に対する後側のプレート6の移動も決定する。同時に、第2組の可動ピン7’,8’は、マンドレル2に対して反対側に位置する、前側のプレート5に設けられたスリット13’,14’を通って延びる。前側のプレート5でのこれらのスリット13’,14’は、前側のプレート5の位置に影響を与えることなく、後側のプレート6をサポートするピン7’,8’が移動する空間を提供する。したがって、ピン7’,8’を駆動することで、後側のプレート6のみを動かすことができる。
【0038】
第1組のピン7,8及び第2組のピン7’,8’は、次の配置により駆動することが好ましい。すなわち、マンドレル2は、長手方向に移動可能な駆動ロッド15を収容するための中空部2’を有する。駆動ロッド15は、駆動ロッド15の長手方向に対して横方向に配向された第2スリット16,17を有する。マンドレル2の第1組の可動ピン7,8及び第2組の可動ピン7’,8’は、第2スリット16,17を通って延びる。
【0039】
駆動ロッド15を上下に動かすことで、前側のプレート5をサポートするピン7,8と後側のプレート6をサポートするピン7’,8’とが、斜めの方向に駆動される。斜めの方向は、前側のプレート5についてはスリット9,10の配向で規定され、後側のプレート6についてはスリット9’,10’の配向で規定された通りである。実際に、前側のプレート5及び後側のプレート6は、前記ピン7,8及び7’,8’にそれぞれ取り付けられる。したがって、前記前側のプレート5は、第1組の可動ピン7,8で規定される移動を実行し、同時に、後側のプレート6は、第2組の可動ピン7’,8’で規定される移動を実行する。
【0040】
図6は、最後に、屠殺された家禽を脚で吊り下げるキャリアを有するコンベヤラインとともに組み立てられ得る、カルーセル装置18を示す。コンベヤラインは、吊り下げされた家禽をこのカルーセル装置18に沿って案内する。図6は、カルーセル装置18に本発明に係るスクレーパー1が設けられていることを描写する。
【0041】
図6に示されるように、さらに、カルーセル装置18は、第1軌道19と第2軌道とが設けられる。長手方向に移動可能な駆動ロッド15は、第1軌道19で案内される第1車輪に接続される。マンドレル2は、第2軌道20で案内される第2車輪に接続される。
【0042】
図6にさらに描写されるように、カルーセル装置18は、第1軌道19に設けられた第1カルーセルユニット18’と、第2軌道20に設けられた第2カルーセルユニット18’’とを備える。第1カルーセルユニット及び第2カルーセルユニットは、互いに上下に相対移動が可能である。この目的のために、処理ラインは、第1カルーセルユニット18’と、第2カルーセルユニット18’’との間を調整する駆動装置を備える。駆動装置の実施態様は、当業者にとって明らかなので、図示されない。このように、少なくとも1つのプレート5,6は、第2車輪に対する第1車輪の相対移動により、マンドレル2に対して移動可能である。第2車輪に対する第1車輪の相対移動は、第1カルーセルユニット18’と第2カルーセルユニット’’との距離を変更することで、実行される。
【0043】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される特徴のあらゆる組み合わせを互いに独立して含むことができる。本発明は、本発明の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができるこの特定の実施形態に限定されるものではない。したがって、説明された例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲を同実施形態にしたがって厳密に解釈するために使用されるものではないものとする。それどころか、実施形態は、単に添付の特許請求の範囲の文言を説明するためのものであり、特許請求の範囲に係る発明をこれらの例示的な実施形態に限定する意図はない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみにしたがって解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言において起こり得る曖昧さは、この例示的な実施形態を使用して解決されるものとする。
【0044】
本発明の変形および修正は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲において、全てのそのような修正および等価物を網羅することが意図される。前記で引用した全ての文献、出願、特許、及び出版物の開示内容全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。前記で「必須」であると具体的に述べられない限り、様々な構成要素又はその相互関係のいずれも、本発明の動作に必須ではない。むしろ、様々な構成要素を代用すること、及び/又は、それらの相互の関係を再構成することによって、望ましい結果を達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6