(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036303
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 7/00 20060101AFI20240308BHJP
C22B 3/38 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C22B7/00 G
C22B3/38
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141082
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202211080363.1
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518275822
【氏名又は名称】山西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】程芳琴
(72)【発明者】
【氏名】崔莉
(72)【発明者】
【氏名】高建明
(72)【発明者】
【氏名】郭彦霞
(72)【発明者】
【氏名】薛芳斌
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001AA10
4K001AA11
4K001AA34
4K001BA19
4K001BA22
4K001DB02
4K001DB31
4K001DB34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法を提供する。
【解決手段】ステップ1において、まず、TBPを抽出剤として採用し、Fe、Li、Gaを複雑な酸性系から抽出し、抽残液1を取得し、その後、水または希酸を用いて逆抽出してFe、Li、Gaを含む溶液2を取得する。ステップ2において、四級アンモニウム塩または四級ホスホニウム塩抽出剤を採用して上記溶液2を抽出し、Fe、Gaを担持している有機相およびLi含有抽残液3を取得し、Fe、Gaを担持している有機相を希酸で逆抽出してFe、Gaを含む溶液4を取得する。ステップ3において、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルでステップ2の溶液4を抽出し、Feを担持している有機相およびGa含有抽残液5を取得し、Feを担持している有機相を硫酸で逆抽出してFeを含む溶液を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高アルミニウム固形廃棄物の酸性浸出液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、相分離後にFe、Li、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得し、
Fe、Li、Gaを担持している有機相と塩酸とを体積比1:2~1:3の割合で混合して逆抽出し、Fe、Li、Ga混合溶液を取得するステップ1と、
Fe、Li、Ga混合溶液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、相分離後にFe、Gaを担持している有機相およびLi含有抽残液を取得し、
Fe、Gaを担持している有機相と硫酸とを体積比1:2~1:3の割合で混合して逆抽出し、Fe、Gaを含む混合溶液を取得するステップ2と、
Fe、Gaを含む混合溶液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、Feを担持している有機相およびGa含有抽残液を取得し、
Feを担持している有機相と硫酸とを体積比1:2~1:3で混合して逆抽出し、Fe溶液を取得するステップ3と、
を含み、
前記ステップ1では、有機相は抽出剤および希釈剤を含み、前記抽出剤はリン酸トリブチルである、ことを特徴とする高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項2】
前記ステップ1では、高アルミニウム固形廃棄物は、フライアッシュ、脈石、低品位ボーキサイトの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、酸性浸出液は塩酸系であり、酸性浸出液のpHは0~1であり、抽出の時間は5~30minであり、逆抽出の時間は30~60minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項3】
前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、塩酸の濃度は0~1mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項4】
前記ステップ2では、有機相は抽出剤を含み、前記抽出剤は四級ホスホニウム塩または四級アンモニウム塩であり、抽出の時間は5~30minであり、逆抽出の時間は30~60minであり、硫酸濃度は0.1~0.5mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項5】
前記有機相は希釈剤を更に含み、前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物である、
ことを特徴とする請求項4に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項6】
前記ステップ3では、有機相は抽出剤および希釈剤を含み、前記抽出剤は2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルであり、前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、硫酸濃度は1.0~4.0mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【請求項7】
前記ステップ3では、抽出の時間は30~60minであり、逆抽出の時間は30~60minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資源の総合利用の技術分野に属し、具体的には、高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムは重要なエネルギー戦略金属で、ガリウムは重要なレアメタルであり、「電子工業の味の素」でもある。それらは、航空宇宙、原子力開発、新エネルギー自動車、電子材料等の戦略新興分野に広く適用され、国防および国民経済建設で重要な役割を果たす。中国の産業構造の変革および新エネルギー自動車、電子材料産業の急速な発展に伴い、リチウム、ガリウム製品の需要量は急速に上昇する。しかし、中国のリチウム・ガリウムリソースの供給量は、市場需要より大きく遅れ、リチウムの対外依存度は70%以上と高く、ガリウムの確認埋蔵量は10万トンのみである。ガリウムは、自然界で独立して成鉱しておらず、主に、ボーキサイトおよび亜鉛製錬スラグから抽出され、そのうち、ボーキサイトからガリウムを抽出する生産量は、総生産量の90%を占める。山西省北部および内モンゴル等の地域の炭田には、アルミニウム、ケイ素、鉄等の多量元素に加え、豊かなリチウム、ガリウム、希土類等の重要なレアメタル元素が随伴して含まれる。石炭採掘による固形廃棄物脈石にも、大量の随伴戦略金属が含まれる。石炭が燃焼されてフライアッシュが生成された後、リチウム、ガリウムは、灰で更に濃化し、工業採掘品位(Li:200μg/g、Ga:30μg/g)を超え、且つ、埋蔵量が巨大で、極めて採掘価値がある。
【0003】
固形廃棄物または低品位のリソースとして、その鉱物相の構成は非常に複雑であり、随伴した戦略的な金属リチウム、ガリウムの含有量が低く、且つ、分布が乱雑で分散し、個別に抽出するコストが高く、エネルギー消費が大きく、経済効果が欠け、アルミニウム、ケイ素の大量元素は、リソース化利用するとともに、その中のリチウム、ガリウム戦略金属を協同抽出することができれば、プロセス過程の経済効果を向上させることができるだけでなく、リチウム・ガリウムリソースの供給の新しいルートを開拓し、一定の程度で戦略金属リソースの供給不足の局面を緩和することもできる。従って、多元素の協同抽出は、必然な傾向である。一般的には、浸出により元素を浸出液に転移してから分離精製を行い、浸出液は、イオン強度が高く、複数のイオンが共存する複雑な系であり、イオンの種類が多く、一部の元素は化学的性質が極めて近く、分離しにくいため、選択的な分離濃化は、随伴元素の抽出およびリソース化利用のキーである。
【0004】
現在、フライアッシュ浸出液からAl、Li、Gaを協同分離することについては、既にいくつかの報道がある。河北工程大学の孫玉壮は、公開した中国専利CN102923742Aで、フライアッシュを総合的に利用してアルミニウムおよびリチウムを抽出する方法を提出し、脱珪、磁選鉄除去、石灰石活性化、アルカリ浸出、炭化等のプロセス環節を含み、アルカリ浸出後に、アルミニウム、リチウムを含む溶液を取得し、アルミニウム、リチウムを含む溶液を炭化してから固液分離し、Liを含む母液およびAl(OH)3を取得し、前者を蒸発濃縮して炭酸リチウムを取得し、Al(OH)3を焼成した後にAl2O3を取得する。中国科学院過程工程研究所の李少鵬は、公開した中国専利CN107758714Aで、フライアッシュ内のアルミニウム、ケイ素、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法を提出し、まず、アルカリ液で予備脱珪し、脱珪液を不純物除去した後、リチウムイオン篩で吸着し、溶出後に濃縮沈殿して炭酸リチウム製品を取得し、脱珪後のスラグを、バイヤー法でアルミニウムを抽出して水酸化アルミニウム製品を調製し、バイヤー法のシード析出母液を複数回循環した後、吸着、リンスしてガリウム富化溶液を取得し、また、濃縮、結晶、電解プロセスを経て金属ガリウム製品を取得し、上記プロセスにより、フライアッシュ浸出液内のAl、Li、Gaの協同抽出を実現する。現在報道された多元素協同抽出のプロセスは、フライアッシュアルカリ性系に対するものであり、フローが長く、プロセスが複雑である。
【0005】
フライアッシュ、脈石等の固形廃棄物のAl/Siが低い点で、アルカリ法抽出はスラグ量が多く、アルカリの消費量が多いが、酸性媒体の使用は、溶出プロセスが簡単で、スラグ量が少なく、有価金属の溶出率が高い等の優位性があり、分離されたケイ素スラグも更にリソース化利用でき、脈石、フライアッシュのリソース化に有効なプロセスであり、ワンステップアシッドペースティング法により、その中のアルミニウム、リチウム、ガリウム、鉄等の元素を大量に溶出することができる。しかし、酸性浸出液内の元素の種類が多く、系がより複雑であることは、酸法分離の困難点である。酸性系のLi、Ga分離については、現在、LiまたはGaの単一分離に集中することが多い。神華集団は、中国専利CN103101935Aで、フライアッシュから炭酸リチウムを調製する方法を開示し、フライアッシュ酸法でアルミニウムを抽出する過程中の塩化アルミニウム結晶母液を複数回循環蒸発し、Liを濃化させ、浄化・不純物除去、鉄除去、アルミニウムリチウム共沈、焼成、浸出、炭酸ナトリウムを加えてリチウムを沈殿させる等のプロセスにより炭酸リチウムを調製した。中国科学院青海塩湖研究所の李麗娟は、中国専利CN108265176Aで、フライアッシュからリチウムを抽出する方法を開示し、作者は、TBP-FeCl3-灯油抽出系を用いてフライアッシュ酸性浸出液からLiを選択的に抽出し、マルチレベルの向流抽出、洗浄、逆抽出を経た後、LiCl溶液を取得した。中国専利CN109897961Aは、フライアッシュ硫酸系における段階的分離、不純物除去およびアルミニウムガリウム協同抽出の方法を開示した。要するに、現在、酸性系に対するLi、Gaの抽出は、単一元素の分離が多く、酸性浸出液内のAl、Fe、Li、Gaの協同抽出の報道は見られなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高アルミニウム固形廃棄物酸性浸出液内の金属元素の種類が多く、選択的に分離しにくく、リチウム、ガリウムをそれぞれ抽出するコストが高い等の問題に対し、高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
【0008】
高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム・リチウム・ガリウムを協同抽出する方法であって、
高アルミニウム固形廃棄物の酸性浸出液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、相分離後にFe、Li、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得し、
Fe、Li、Gaを担持している有機相と塩酸とを体積比1:2~1:3の割合で混合して逆抽出し、Fe、Li、Ga混合溶液を取得するステップ1と、
Fe、Li、Ga混合溶液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、相分離後にFe、Gaを担持している有機相およびLi含有抽残液を取得し、
Fe、Gaを担持している有機相と硫酸とを体積比1:2~1:3の割合で混合して逆抽出し、Fe、Gaを含む混合溶液を取得するステップ2と、
Fe、Gaを含む混合溶液と有機相とを体積比1:3~3:1の割合で混合して抽出し、Feを担持している有機相およびGa含有抽残液を取得し、
Feを担持している有機相と硫酸とを体積比1:2~1:3で混合して逆抽出し、Fe溶液を取得するステップ3と、を含む。
【0009】
更に、前記ステップ1では、高アルミニウム固形廃棄物は、フライアッシュ、脈石、低品位ボーキサイトの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、酸性浸出液はpH0~1の塩酸系であり、抽出の時間は5~30minであり、逆抽出の時間は30~60minである。
【0010】
更に、前記ステップ1では、有機相は抽出剤および希釈剤を含み、前記抽出剤はリン酸トリブチル(TBP)であり、前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、塩酸の濃度は0~1mol/L(0mol/Lの時に脱イオン水を加える)である。
【0011】
更に、前記ステップ2では、有機相は抽出剤を含み、前記抽出剤は四級ホスホニウム塩または四級アンモニウム塩であり、例えば、[P14,6,6,6]Cl、[N8,8,8,1]Cl、[P14,6,6,6]Br、[N4,4,4,4]Cl等であり、抽出の時間は5~30minであり、逆抽出の時間は30~60minであり、硫酸濃度は0.1~0.5mol/Lである。
【0012】
更に、前記有機相は希釈剤を更に含み、前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物である。
【0013】
更に、前記ステップ3では、有機相は抽出剤および希釈剤を含み、前記抽出剤は2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル(P507)であり、前記希釈剤は、260#溶媒油、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンの1種または複数種を任意の比で混合した混合物であり、硫酸濃度は1.0~4.0mol/Lである。
【0014】
更に、前記ステップ3では、抽出の時間は30~60minであり、逆抽出の時間は30~60minである。
【0015】
上記抽出過程で得られたAl含有抽残液を蒸発結晶して高品質の結晶塩化アルミニウム製品を取得することができ、Li含有抽残液およびGa含有抽残液は、更に不純物除去、濃縮、濃化してから、炭化または電着等のプロセス過程により炭酸リチウムおよび金属ガリウム等の製品を調製し、Fe溶液は水熱反応によりα-Fe2O3を調製する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べ、本発明は、以下の利点を有する。
【0017】
本発明は、TBPを抽出剤として採用し、ワンステップで、Li/Fe/Gaを複雑な酸性系から抽出し、分離系を簡略化し、後の分離に対する酸度およびCl-の干渉を減少し、後で、2ステップの抽出-逆抽出により、酸性浸出液内のAl、Li、Ga、Feの段階的な選択的分離を達成する。分離されたAl、Li、Ga、Fe溶液は、高品質の結晶塩化アルミニウム、炭酸リチウム、電解ガリウムおよびα-Fe2O3等の製品の調製に使用でき、酸性浸出液内のAl、Li、Ga、Feの協同抽出および高付加価値の利用を実現する。フライアッシュアルカリ法系元素協同抽出のプロセスと比べ、該技術プロセスは、より簡単で、フローが短く、分離効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム、鉄、リチウム、ガリウムを協同抽出する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施例1]
図1に示すように、高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム・リチウム・ガリウムを協同抽出する方法は、以下のステップを含む。
【0020】
ステップ1、抽出-逆抽出:
フライアッシュを塩酸で酸浸出した後、固液分離して酸性浸出液を取得し、そのうち、Al濃度は56.7g/Lで、Fe濃度は5.1g/Lで、Li濃度は202mg/Lで、Ga濃度は105mg/Lであった。10mLの酸性浸出液と5mLの2mol/LのTBPとを混合し、希釈剤がジクロロメタンであり、酸性浸出液をpH0.4程度に制御し、反応時間が30minであった。反応終了後に静置して相分離し、Li、Fe、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得した。水相をテストして計算し、Feの抽出率は84.2%で、Liの抽出率は80.9%で、Gaの抽出率は97.5%であり、少量のAlが同伴された。抽出は室温下で行われた。
【0021】
5mLのFe、Li、Gaを担持しているTBPと10mLの脱イオン水とを混合し、逆抽出時間は30minであった。逆抽出後に静置して相分離し、Fe、Li、Gaはほぼ完全に逆抽出された。
【0022】
ステップ2、抽出-逆抽出:
5mLのステップ1におけるFe、Li、Ga混合溶液と5mLの[N8,8,8,1]Clとを混合し、抽出時間は30minであった。抽出後に静置して分層し、Fe、Gaを担持している有機相およびLiを含む抽出液を取得した。水相をICP-OESでテストし、Feの抽出率は99.9%で、Gaの抽出率は97.2%で、Liはほとんど抽出されず、溶液内のLi濃度は160mg/Lであった。本実施例Liの回収率は80%程度であった。
【0023】
5mLの上記Fe、Gaを担持している有機相と10mLの0.1mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で30min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、逆抽出液をテストし、そのうち、Feの逆抽出率は83.3%で、Gaの逆抽出率は92.1%であり、Fe、Ga混合溶液を取得した。
【0024】
ステップ3、抽出-逆抽出:
5mLのステップ2におけるFe、Ga混合溶液と5mLの1mol/LのP507とを混合し、希釈剤が260#スルホン化灯油であり、平衡pHを0.8程度に制御し、30min抽出した後に静置して相分離し、Feを担持しているP507およびGa含有抽残液を取得した。水相をテストし、Fe除去率は96.6%に達し、10%程度のGaが同伴され、抽残液内のGa濃度は67mg/Lに達した。本実施例Gaの回収率は65%程度であった。
【0025】
5mLの上記Feを担持しているP507と10mLの4mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で30min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、水相をテストし、Feの逆抽出率は93.4%であった。
【0026】
上記逆抽出を経た有機相は、再生された後、新たな抽出プロセスに再利用することができる。
【0027】
[実施例2]
高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム・リチウム・ガリウムを協同抽出する方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ステップ1、抽出-逆抽出:
低品位ボーキサイトを塩酸で酸浸出した後、固液分離して酸性浸出液を取得し、ここで、Al濃度は83.5g/Lで、Fe濃度は5.8g/Lで、Li濃度は210mg/Lで、Ga濃度は32mg/Lであった。塩酸で酸性浸出液をpH1に調整した後、10mLの酸性浸出液と5mLの2mol/LのTBPとを混合し、希釈剤がジクロロメタンで、反応時間が30minであった。反応終了後に静置して相分離し、Li、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得した。水相をテストして計算し、Liの抽出率は81.2%で、Gaの抽出率は97.5%であり、少量のAlが同伴された。抽出は室温下で行われた。
【0029】
5mLのLi、Gaを担持しているTBPと10mLの脱イオン水とを混合し、逆抽出時間は30minであった。逆抽出後に静置して相分離し、Li、Gaはほぼ完全に逆抽出された。
【0030】
ステップ2、抽出-逆抽出:
5mLのLi、Gaを含む溶液と5mLの[P14,6,6,6]Clとを混合し、抽出時間は30minであった。抽出後に静置して分層し、Gaを担持しているAliquat 336抽出剤およびLiを含む抽出液を取得した。水相をICP-OESでテストし、Gaの抽出率は97.2%で、Liはほとんど抽出されず、溶液内のLi濃度は168mg/Lであった。本実施例Liの回収率は81%程度であった。
【0031】
5mLの上記Gaを担持している[P14,6,6,6]Clと10mLの0.1mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で30min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、逆抽出液をテストし、Gaの逆抽出率は92.1%であり、Fe、Ga混合溶液を取得した。
【0032】
ステップ3、抽出-逆抽出:
5mLのFe、Gaを含む溶液と5mLの1mol/LのP507とを混合し、平衡pHを0.8程度に制御し、希釈剤が260#スルホン化灯油であり、30min抽出した後に静置して相分離し、Feを担持しているP507およびGa含有抽残液を取得した。水相をテストし、Fe除去率は95.6%に達し、15%程度のGaが同伴され、抽残液内のGa濃度は21mg/Lであった。本実施例Gaの回収率は66%程度であった。
【0033】
5mLの上記Feを担持しているP507と10mLの1mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で30min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、水相をテストし、Feの逆抽出率は90.3%であった。
【0034】
[実施例3]
高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム・リチウム・ガリウムを協同抽出する方法は、以下のステップを含む。
【0035】
ステップ1、抽出-逆抽出:
高アルミニウム脈石を塩酸で酸浸出した後、固液分離して酸性浸出液を取得し、そのうち、Al濃度は52.6g/Lで、Fe濃度は4.8g/Lで、Li濃度は195mg/Lで、Ga濃度は85mg/Lであった。10mLの酸性浸出液と10mLの2mol/LのTBPとを混合し、希釈剤がジクロロメタンであり、酸性浸出液をpH1程度に制御し、反応時間が5minであった。反応終了後に静置して相分離し、Li、Fe、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得した。水相をテストして計算し、Feの抽出率は97.2%で、Liの抽出率は78.9%で、Gaの抽出率は97.5%であり、少量のAlが同伴された。抽出は室温下で行われた。
【0036】
5mLのFe、Li、Gaを担持しているTBPと15mLの1mol/Lの塩酸とを混合し、逆抽出時間は60minであった。逆抽出後に静置して相分離し、Fe、Li、Gaはほぼ完全に逆抽出された。
【0037】
ステップ2、抽出-逆抽出:
5mLのステップ1におけるFe、Li、Ga混合溶液と15mLの[N8,8,8,1]Clとを混合し、抽出時間は5minであった。抽出後に静置して分層し、Fe、Gaを担持している有機相およびLiを含む抽出液を取得した。水相をICP-OESでテストし、Feの抽出率は99.9%で、Gaの抽出率は99.8%で、Liはほとんど抽出されず、溶液内のLi濃度は154mg/Lであった。本実施例Liの回収率は78%程度であった。
【0038】
5mLの上記Fe、Gaを担持している有機相と15mLの0.5mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で60min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、逆抽出液をテストし、そのうち、Feの逆抽出率は89.3%で、Gaの逆抽出率は95.2%であり、Fe、Ga混合溶液を取得した。
【0039】
ステップ3、抽出-逆抽出:
5mLのステップ2におけるFe、Ga混合溶液と15mLのP507とを混合し、希釈剤が260#スルホン化灯油であり、平衡pHを0.8程度に制御し、40min抽出した後に静置して相分離し、Feを担持しているP507およびGa含有抽残液を取得した。水相をテストし、Fe除去率は92.6%に達し、13%程度のGaが同伴され、抽残液内のGa濃度は64mg/Lに達した。本実施例Gaの回収率は75%程度であった。
【0040】
5mLの上記Feを担持しているP507と15mLの1.0mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で40min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、水相をテストし、Feの逆抽出率は90.2%であった。
【0041】
[実施例4]
高アルミニウム固形廃棄物酸性系からアルミニウム・リチウム・ガリウムを協同抽出する方法は、以下のステップを含む。
【0042】
ステップ1、抽出-逆抽出:
フライアッシュを塩酸で酸浸出した後、固液分離して酸性浸出液を取得し、そのうち、Al濃度は56.7g/Lで、Fe濃度は5.1g/Lで、Li濃度は202mg/Lで、Ga濃度は105mg/Lであった。30mLの酸性浸出液と10mLの2mol/LのTBPとを混合し、希釈剤がジクロロメタンであり、酸性浸出液をpH0程度に制御し、反応時間が20minであった。反応終了後に静置して相分離し、Li、Fe、Gaを担持している有機相およびAl含有抽残液を取得した。水相をテストして計算し、Feの抽出率は80.2%で、Liの抽出率は76.9%で、Gaの抽出率は96.5%であり、少量のAlが同伴された。抽出は室温下で行われた。
【0043】
5mLのFe、Li、Gaを担持しているTBPと15mLの0.5mol/Lの塩酸とを混合し、逆抽出時間は60minであった。逆抽出後に静置して相分離し、Fe、Li、Gaはほぼ完全に逆抽出された。
【0044】
ステップ2、抽出-逆抽出:
15mLのステップ1におけるFe、Li、Ga混合溶液と5mLの[N8,8,8,1]Clとを混合し、抽出時間は20minであった。抽出後に静置して分層し、Fe、Gaを担持している有機相およびLiを含む抽出液を取得した。水相をICP-OESでテストし、Feの抽出率は99.3%で、Gaの抽出率は96.2%で、Liはほとんど抽出されず、溶液内のLi濃度は150mg/Lであった。本実施例Liの回収率は74%程度であった。
【0045】
5mLの上記Fe、Gaを担持している有機相と10mLの0.3mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で60min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、逆抽出液をテストし、そのうち、Feの逆抽出率は85.4%で、Gaの逆抽出率は93.5%であり、Fe、Ga混合溶液を取得した。
【0046】
ステップ3、抽出-逆抽出:
10mLのステップ2におけるFe、Ga混合溶液と3mLの1mol/LのP507とを混合し、希釈剤が260#スルホン化灯油であり、平衡pHを0.8程度に制御し、60min抽出した後に静置して相分離し、Feを担持しているP507およびGa含有抽残液を取得した。水相をテストし、Fe除去率は86.6%に達し、8%程度のGaが同伴され、抽残液内のGa濃度は75mg/Lに達した。本実施例Gaの回収率は71%程度であった。
【0047】
5mLの上記Feを担持しているP507と10mLの3.0mol/LのH2SO4溶液とを混合し、室温下で60min逆抽出した。逆抽出後に静置して相分離し、水相をテストし、Feの逆抽出率は93.4%であった。