(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036304
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】積層フィルム及び包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240308BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142570
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2022140696
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松岡 みなも
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
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(57)【要約】
【課題】成形性及び耐衝撃性に優れた積層フィルムと、前記積層フィルムを用いた包装体の提供。
【解決手段】機能層及び酸素バリア層を備えた積層フィルムであって、前記機能層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記機能層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記機能層において、前記機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、積層フィルム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能層及び酸素バリア層を備えた積層フィルムであって、
前記機能層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、
前記機能層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、
前記機能層において、前記機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、積層フィルム。
【請求項2】
前記積層フィルムが、さらに、一方の最表層として内層を備えており、
前記内層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、
前記内層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、
前記内層において、前記内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムが、さらに、他方の最表層として外層を備えており、
前記外層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、
前記外層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、
前記外層において、前記外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、請求項2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記積層フィルムの厚さに対する、前記機能層と前記内層と前記外層との合計の厚さの割合が、85%以上である、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合が、80質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記積層フィルムが、前記機能層を2層以上備えており、
前記酸素バリア層が、一対の前記機能層の間に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行及び垂直な方向の引張衝撃強度が、225kJ/m2以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記機能層が含む前記プロピレン系重合体、前記内層が含む前記プロピレン系重合体、及び前記外層が含む前記プロピレン系重合体からなる群より選択される1種又は2種以上が、プロピレン系ブロック共重合体である、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上であり、前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して垂直な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上である、請求項9に記載の積層フィルム。
【請求項11】
前記積層フィルムを400℃で120秒加熱した場合に、前記積層フィルムのドローダウン長さが50mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項12】
前記積層フィルムの一方の最表層の表面粗さRaが、0.65μm以下であり、
前記積層フィルムの他方の最表層の表面粗さRaが、0.65μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項13】
JIS Z 8741に準拠して測定された、前記積層フィルムの一方の最表層の60°光沢度が、90以上であり、
JIS Z 8741に準拠して測定された、前記積層フィルムの他方の最表層の60°光沢度が、90以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数層の樹脂層が積層されて構成された積層フィルムは、包装体の材料として幅広く利用されている。典型的な積層フィルムとしては、シール対象物と加熱シールするために設けられたシーラント層と、シーラント層側とは反対側に設けられた外層と、を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0003】
一方、このような包装体用途の積層フィルムは、その利便性の高さから、世界中で毎日大量に生産及び消費されており、使用後には大量の廃棄物が発生する。廃棄物の発生は、地球環境の改善の観点では、解決すべき重要な課題となっており、近年は、廃棄物の発生量の低減とともに、廃棄物の再利用(リサイクル)の方法について、盛んに検討されている。
【0004】
例えば、積層フィルム中の複数層の樹脂層の主要構成材料を同種のものとすれば、各樹脂層を分離して別々に再利用する必要性がなくなり、積層フィルム全体を容易に再利用することができることから、有用性が高くなる。
このような積層フィルムとしては、例えば、延伸ポリエチレンフィルムと、接着層と、ヒートシール性ポリエチレン層とを少なくとも備え、前記接着層が無溶剤型接着剤を含む、包装材料用ポリエチレン積層体が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、積層フィルム中の複数層の樹脂層の主要構成材料を、例えばポリプロピレンとした場合、前記積層フィルムを成形時に加熱すると、ポリプロピレンの流動性に起因して、積層フィルムの加熱部分が垂れ下がり(ドローダウンし)、成形が困難であるという問題があった。また、積層フィルムの耐衝撃性が十分ではないという問題もあった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、成形性及び耐衝撃性に優れた積層フィルムと、前記積層フィルムを用いた包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].機能層及び酸素バリア層を備えた積層フィルムであって、前記機能層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記機能層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記機能層において、前記機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、積層フィルム。
【0009】
[2].前記積層フィルムが、さらに、一方の最表層として内層を備えており、前記内層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記内層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記内層において、前記内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、[1]に記載の積層フィルム。
【0010】
[3].前記積層フィルムが、さらに、他方の最表層として外層を備えており、前記外層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記外層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記外層において、前記外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である、[2]に記載の積層フィルム。
【0011】
[4].前記積層フィルムの厚さに対する、前記機能層と前記内層と前記外層との合計の厚さの割合が、85%以上である、[3]に記載の積層フィルム。
[5].前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合が、80質量%以上である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[6].前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【0012】
[7].前記積層フィルムが、前記機能層を2層以上備えており、前記酸素バリア層が、一対の前記機能層の間に設けられている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8].前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行及び垂直な方向の引張衝撃強度が、225kJ/m2以上である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[9].前記機能層が含む前記プロピレン系重合体、前記内層が含む前記プロピレン系重合体、及び前記外層が含む前記プロピレン系重合体からなる群より選択される1種又は2種以上が、プロピレン系ブロック共重合体である、[3]に記載の積層フィルム。
[10].前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上であり、前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して垂直な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上である、[9]に記載の積層フィルム。
[11].前記積層フィルムを400℃で120秒加熱した場合に、前記積層フィルムのドローダウン長さが50mm以下である、[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【0013】
[12].前記積層フィルムの一方の最表層の表面粗さRaが、0.65μm以下であり、前記積層フィルムの他方の最表層の表面粗さRaが、0.65μm以下である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[13].JIS Z 8741に準拠して測定された、前記積層フィルムの一方の最表層の60°光沢度が、90以上であり、JIS Z 8741に準拠して測定された、前記積層フィルムの他方の最表層の60°光沢度が、90以上である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[14].[1]~[13]のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、成形性及び耐衝撃性に優れた積層フィルムと、前記積層フィルムを用いた包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】積層フィルムまたは単層フィルムのドローダウン長さの測定方法の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの面衝撃強度の測定時の割れモード((a)脆性破壊、(b)脆性~延性破壊、(c)延性破壊)を示す写真である。
【
図6】ペレットの伸長速度と伸長粘度の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<積層フィルム>>
(引張衝撃強度)
JIS K 7160Aに準拠して測定された、前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行及び垂直な方向の引張衝撃強度は、225kJ/m2以上であることが好ましく、225kJ/m2以上500kJ/m2以下であることがより好ましく、230kJ/m2以上490kJ/m2以下であることがさらに好ましく、240kJ/m2以上480kJ/m2以下であることが特に好ましく、例えば、330kJ/m2以上850kJ/m2以下、340kJ/m2以上800kJ/m2以下、及び350kJ/m2以上750kJ/m2以下のいずれかであってもよい。
引張衝撃強度が、前記下限値以上であることにより、積層フィルムの耐衝撃性をより向上させることができる。引張衝撃強度が、前記上限値以下であることにより、積層フィルムの引張衝撃強度が過剰となることがより抑制される。
【0017】
積層フィルムの引張衝撃強度は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む機能層を備えて構成することによって、積層フィルムの引張衝撃強度を容易に向上させることができる。
例えば、積層フィルムを、プロピレン系ブロック共重合体及びエチレン系重合体を含む機能層、内層または外層を備えて構成することによって、積層フィルムの引張衝撃強度をより向上させることができる。例えば、このように引張衝撃強度がより向上している前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して平行な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上であり、前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して垂直な方向の引張衝撃強度が、330kJ/m2以上であることが好ましく、樹脂の流れ方向に対して平行な方向の引張衝撃強度が、340kJ/m2以上であり、前記積層フィルムの、樹脂の流れ方向に対して垂直な方向の引張衝撃強度が、350kJ/m2以上であることがさらに好ましい。
ただし、これらは一例であり、積層フィルムの引張衝撃強度の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0018】
(面衝撃強度)
JIS K 7124-2に準拠して測定された、前記積層フィルムの、測定温度0℃、測定時間15minの条件での面衝撃強度(総貫通エネルギー)は、2.0J以上4.0J以下であることが好ましく、2.1J以上3.9J以下であることがより好ましく、2.2J以上3.8J以下であることがさらに好ましい。
面衝撃強度が、前記下限値以上であることにより、積層フィルムの耐衝撃性をより向上させることができる。面衝撃強度が、前記上限値以下であることにより、積層フィルムの面衝撃強度が過剰となることがより抑制される。
【0019】
積層フィルムの面衝撃強度は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、エチレン系重合体を含む機能層を備えて構成することによって、積層フィルムの面衝撃強度を容易に向上させることができる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの面衝撃強度の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0020】
(ドローダウン長さ)
前記積層フィルムを400℃で120秒加熱した場合に、前記積層フィルムのドローダウン長さは、50mm以下であることが好ましく、3mm以上45mm以下であることがより好ましく、4mm以上40mm以下であることがさらに好ましく、例えば、5mm以上50mm以下、6mm以上48mm以下、及び7mm以上46mm以下のいずれかであってもよい。
ドローダウン長さが、前記下限値以上であることにより、シートが均一に溶融した状態となり、積層フィルムの成形性を向上させることができる。ドローダウン長さが、前記上限値以下であることにより、積層フィルムの成形時のフランジ部のしわを抑制することができる。
【0021】
積層フィルムのドローダウン長さは、例えば、以下の方法によって測定することができる。積層フィルムから試験片を切り出し、前記試験片の上面側を稼働式の棒ヒーターで、400℃で120秒、間接加熱する。加熱後ヒーターを除去し、レーザー式の変位計で、シートが垂れた最下点の位置を測定する。
具体的には、
図1に示されるように、試験片のドローダウンが認められない領域での、試験片のドローダウンの方向とは反対方向側の表面における一点を起点とし、試験片のドローダウンが認められる領域での、前記ドローダウンの方向とは反対方向側の表面における一点のうち、前記ドローダウンの方向において、前記起点からの距離が最も遠い一点を終点として、前記起点から前記終点までの前記距離Dを、積層フィルムのドローダウン長さとする。
単層フィルムのドローダウン長さも、上記と同様に測定することができる。
【0022】
積層フィルムのドローダウン長さは、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む機能層を備えて構成することによって、積層フィルムのドローダウン長さを容易に低減できる。
例えば、積層フィルムを、プロピレン系ブロック共重合体及びエチレン系重合体を含む機能層、内層または外層を備えて構成することによって、前記機能層、内層または外層の伸長粘度をより増加させ、その結果、積層フィルムのドローダウン長さをより低減させることができる。例えば、このようにドローダウン長さがより低減される前記積層フィルムを400℃で120秒加熱した場合に、前記積層フィルムのドローダウン長さは、50mm以下であることが好ましく、6mm以上48mm以下であることがより好ましく、7mm以上46mm以下であることがさらに好ましい。
ただし、これらは一例であり、積層フィルムのドローダウン長さの調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0023】
(最表層の表面粗さRa)
JIS B0601:2013に準拠して測定された、前記積層フィルムの一方の最表層の表面粗さRaは、0.65μm以下であり、前記積層フィルムの他方の最表層の表面粗さRaは、0.65μm以下であることが好ましい。すなわち、前記積層フィルムの両方の最表層の表面粗さRaは、0.65μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.65μm以下であることがより好ましく、0.015μm以上0.6μm以下であることさらに好ましい。
積層フィルムの両方の最表層の表面粗さRaが、前記下限値以上であることにより、シート巻取り時のハンドリングが向上する(ブロッキングが抑制される)。積層フィルムの両方の最表層の表面粗さRaが、前記上限値以下であることにより、シート表面の光沢度が向上し、シート外観が良好となる。また、積層フィルムのシール強度のレンジが小さくなり、剥離時に引っ掛かりが少なくなる。その結果、積層フィルムを用いて得られた包装体の開封性がよりなめらかとなる。
【0024】
積層フィルムの最表層の表面粗さRaは、製造プロセス、又は積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムの最表層を押し当てるロールの表面粗さを調整することによって、積層フィルムの最表層の表面粗さRaを容易に低減できる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの最表層の表面粗さRaの調節は、積層フィルムを構成するいずれかの層の調節によって行うこともできる。
【0025】
本明細書において、「包装体の開封」とは、特に断りのない限り、蓋材と底材との剥離に伴う包装体の開封を意味する。
【0026】
(最表層の60°光沢度)
JIS Z 8741に準拠して測定された、前記積層フィルムの一方の最表層の60°光沢度は、90以上であり、前記積層フィルムの他方の最表層の60°光沢度は、90以上であることが好ましい。すなわち、前記積層フィルムの両方の最表層の60°光沢度は、90以上であることが好ましく、91以上110以下であることがより好ましく、92以上109以下であることさらに好ましい。
積層フィルムの両方の最表層の60°光沢度が、前記下限値以上であることにより、積層フィルムを用いて得られた包装体の意匠性をより向上させることができる。積層フィルムの両方の最表層の60°光沢度が、前記上限値以下であることにより、包装体の意匠性としては十分な光沢性となる。
【0027】
積層フィルムの最表層の60°光沢度は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、最表層を押し当てるロールの表面粗さを調整することによって、積層フィルムの最表層の60°光沢度を容易に向上させることができる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの最表層の60°光沢度の調節は、積層フィルムを構成するいずれかの層の調節によって行うこともできる。
【0028】
(ヘーズ)
JIS K 7136:2000に準拠して測定された、積層フィルムのヘーズは、5%以上であることが好ましく、5%以上60%以下であることがより好ましく、10%以上55%以下であることがさらに好ましく、15%以上50%以下であることが特に好ましく、例えば、5%以上96%以下、10%以上95%以下、及び20%以上94%以下のいずれかであってもよい。
ヘーズが、前記下限値以上であることにより、容器内容物の視認性を十分に確保することができ、かつ容易に製造することができる。ヘーズが、前記上限値以下であることにより、積層フィルムを用いて得られた包装体において、内容物の視認性がより良好となる。
【0029】
積層フィルムのヘーズは、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、エチレン系重合体を含む機能層を備えて構成することによって、積層フィルムのヘーズを容易に低減できる。ただし、これは一例であり、積層フィルムのヘーズの調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0030】
(シール強度)
JIS Z1707:2019に準拠して測定された、積層フィルムのシール強度は、5N/15mm以上25N/15mm以下であることが好ましく、7.5N/15mm以上22.5N/15mm以下であることがより好ましく、10N/15mm以上20N/15mm以下であることがさらに好ましい。
シール強度が、前記下限値以上であることにより、積層フィルムのシール強度をより向上させることができ、内容物の密封性を保持できる。前記シール強度が、前記上限値以下であることにより、内容物の密封性と剥離性を両立できる。その結果、積層フィルムを用いて得られた包装体の開封性がよりなめらかとなる。
【0031】
積層フィルムのシール強度は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む内層を備えて構成することによって、積層フィルムのシール強度を容易に向上させることができる。ただし、これは一例であり、積層フィルムのシール強度の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0032】
(酸素透過量)
JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量は、5cc/(m2・24h・atm)以下であってもよく、例えば、2.5cc/(m2・24h・atm)以下、1cc/(m2・24h・atm)以下、0.8cc/(m2・24h・atm)以下、0.5cc/(m2・24h・atm)以下、及び0.3cc/(m2・24h・atm)以下のいずれかであってもよい。
一方、積層フィルムの酸素透過量は、0cc/(m2・24h・atm)以上である。
すなわち、積層フィルムの酸素透過量は、0~5cc/(m2・24h・atm)、0~2.5cc/(m2・24h・atm)、0~1cc/(m2・24h・atm)、0~0.8c/(m2・24h・atm)、0~0.5cc/(m2・24h・atm)、及び0~0.3cc/(m2・24h・atm)のいずれかであってもよい。
【0033】
積層フィルムの酸素透過量は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば、積層フィルムを、EVOHを含む酸素バリア層を備えて構成することによって、積層フィルムの酸素透過量を容易に低減できる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの酸素透過量の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0034】
(その他の特性)
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
前記割合が前記下限値以上であることにより、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることにより、前記積層フィルムの他の特性を付与させることが容易になる。
【0035】
前記積層フィルムの全体の厚さは、特に限定されないが、300μm以上1500μm以下であることが好ましく、315μm以上1400μm以下であることがより好ましく、330μm以上1300μm以下であることがさらに好ましい。
【0036】
前記積層フィルムにおいては、これを構成するすべての層(例えば、機能層、酸素バリア層、内層、外層、接着層)が、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。このような、無延伸の積層フィルムは、成形性に特に優れ、例えば、包装体を構成するのに適している。
前記積層フィルムを用いて構成する包装体の種類は、目的に応じて任意に選択できる。
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0038】
図2は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、第1機能層111、第1接着層151、酸素バリア層12、第2接着層152、第2機能層112がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
第1接着層151及び第2接着層152は、任意の構成であり、積層フィルム1は、これらの層を備えていなくてもよい。
【0039】
第1機能層111の一方の面(第1接着層151側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、露出面である。
第2機能層112の一方の面(第2接着層152側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)11aは、露出面である。
積層フィルム1では、包装体の製造時に、第1機能層111がシーラント層として機能する。
【0040】
図3は、本実施形態の積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム2は、内層13と、第1機能層111と、第1接着層151と、酸素バリア層12と、第2接着層152と、第2機能層112と、外層14と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
内層13、第1接着層151、第2接着層152及び外層14は、任意の構成であり、積層フィルム1は、これらの層を備えていなくてもよい。
【0041】
内層13の一方の面(第1機能層111側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)13bは、露出面である。
外層14の一方の面(第2機能層112側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)14aは、露出面である。
【0042】
積層フィルム2は、さらに、一方の最表層として内層を備えており、さらに、他方の最表層として外層を備えている点以外は、積層フィルム1と同じである。
積層フィルム2では、包装体の製造時に、内層13がシーラント層として機能する。
【0043】
本発明の一実施形態に係る積層フィルムは、機能層及び酸素バリア層を備えた積層フィルムであって、前記機能層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記機能層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記機能層において、前記機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下である。
【0044】
<機能層>
積層フィルムは、機能層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、第1機能層111及び第2機能層112)を備えている。機能層は、積層フィルムに優れた成形性及び耐衝撃性を付与する。
【0045】
機能層は、プロピレン系重合体を含む。機能層が含むプロピレン系重合体の融点は、130℃以上であることが好ましい。このような機能層は、高い耐熱性を有する。
本明細書において、「プロピレン系重合体」とは、少なくともプロピレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、プロピレンから誘導された構成単位のみを有するホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)であってもよいし、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するプロピレン系共重合体であってもよい。
【0046】
機能層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン系ランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、rPP)、プロピレン系ブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、bPP)等のプロピレン系共重合体が挙げられる。
機能層が含む前記プロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-1-ブテンブロック共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンブロック共重合体、プロピレン-1-ヘキセンブロック共重合体、プロピレン-1-オクテンブロック共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンブロック共重合体等が挙げられる。
【0047】
機能層が含む前記プロピレン系重合体の融点は、140℃以上であることがより好ましく、145℃以上、及び150℃以上のいずれかであってもよい。前記プロピレン系重合体の融点が高いほど、機能層の耐熱性がより向上する。
機能層が含む前記プロピレン系重合体の融点の上限値は、特に限定されない。例えば、前記融点が170℃以下である前記プロピレン系重合体は、容易に入手できる。
【0048】
機能層は、前記プロピレン系重合体として、ポリプロピレン(PP)を含むことが好ましく、ホモポリプロピレンまたはプロピレン系ブロック共重合体を含むことが好ましい。
機能層が、ホモポリプロピレンを含むことで、耐熱性の向上と透明性の向上が期待できる。
機能層が、プロピレン系ブロック共重合体を含むことで、積層フィルムの引張衝撃強度をより向上させることができる。
【0049】
機能層が含む前記プロピレン系重合体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0050】
機能層は、前記プロピレン系重合体として、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)と、プロピレン系共重合体と、のいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、上述のいずれかの融点を有するホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)と、上述のいずれかの融点を有するプロピレン系共重合体と、のいずれか一方又は両方を含むことがより好ましく、例えば、融点が130~170℃のホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体、hPP)と、融点が130~170℃のプロピレン系共重合体と、のいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。前記プロピレン系重合体の融点が高いほど、機能層の耐熱性が向上する。
【0051】
前記プロピレン系重合体のメルトフローレート(本明細書においては、プロピレン系重合体の場合に限らず、「MFR」と称することがある)は、0.1g/10分以上2.0g/10分以下であることが好ましく、0.2g/10分以上1.5g/10分以下であることがより好ましく、0.3g/10分以上1.0g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン系重合体のメルトフローレートが前記下限値以上であることにより、製膜性が向上し容易にシートを作製できる。プロピレン系重合体のメルトフローレートが前記上限値以下であることにより、積層フィルムのドローダウン長さをより低減させることができ、その結果、積層フィルムの成形性をより向上させることができる。
【0052】
プロピレン系重合体のメルトフローレートは、プロピレン系重合体の溶融張力や重量平均分子量等を調節することで、調節できる。
本明細書においては、プロピレン系重合体の場合に限らず、特に断りのない限り、メルトフローレート(メルトマスフローレイトともいう)とは、JIS K 7210-1:2014に準拠して測定したものを意味する。
【0053】
プロピレン系重合体の密度は、0.85g/cm3以上0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.87g/cm3以上0.92g/cm3以下であることがより好ましく、0.89g/cm3以上0.91g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0054】
機能層は、さらにエチレン系重合体を含んでいる。プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む機能層は、成形性及び耐衝撃性を示すものとして好適である。
【0055】
本明細書において、「エチレン系重合体」とは、少なくともエチレンから誘導された構成単位を有する重合体(樹脂)を意味し、エチレンから誘導された構成単位のみを有するポリエチレン(エチレンの単独重合体)であってもよいし、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン及びプロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有するエチレン系共重合体であってもよい。
【0056】
機能層が含む前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレン(LDPE)の1種である。
【0057】
本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)の密度は、0.910g/cm3以上、0.940g/cm3未満である。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)の密度は、0.940g/cm3以上、0.950g/cm3未満である。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)の密度は、0.950g/cm3以上である。
【0058】
機能層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー樹脂(ION樹脂)等が挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
【0059】
機能層が含む前記エチレン系重合体の融点は、100℃以上であることが好ましく、例えば、105℃以上であってもよい。前記エチレン系重合体の融点が前記下限値以上であることで、機能層の耐熱性がより向上する。
機能層が含む前記エチレン系重合体の融点の上限値は、特に限定されない。例えば、前記融点が140℃以下である前記エチレン系重合体は、容易に入手できる。
【0060】
機能層は、前記エチレン系重合体として、ポリエチレン(PE)を含むことが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)を含むことがより好ましい。
【0061】
前記エチレン系重合体のメルトフローレートは、3g/10分以下である。前記エチレン系重合体のメルトフローレートは、0.1g/10分以上2.5g/10分以下であることが好ましく、0.2g/10分以上1.5g/10分以下であることがより好ましく、0.3g/10分以上1.0g/10分以下であることがさらに好ましく、例えば、0.1g/10分以上3.0g/10分以下、0.1g/10分以上1.0g/10分以下、及び1.0g/10分以上3.0g/10分以下のいずれかであってもよい。
前記エチレン系重合体のメルトフローレートが前記下限値以上であることにより、ベースのポリプロピレン樹脂との相溶性が向上しきれいなシートを作製できる。前記エチレン系重合体のメルトフローレートが前記上限値以下であることにより、積層フィルムのドローダウン長さを低減させることができ、その結果、積層フィルムの成形性を向上させることができる。
【0062】
エチレン系重合体のメルトフローレートは、エチレン系重合体の溶融張力または重量平均分子量等を調節することで、調節できる。
【0063】
エチレン系重合体の密度は、0.89g/cm3以上0.97g/cm3以下であることが好ましく、0.90g/cm3以上0.95g/cm3以下であることがより好ましく、0.91g/cm3以上0.93g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0064】
機能層は、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなるもの、であってもよい)し、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体と、これら以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0065】
機能層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、のいずれにも該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0066】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、顔料、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0067】
機能層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0068】
機能層における、機能層の総質量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([機能層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[機能層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[機能層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、機能層の成形性及び耐衝撃性がより向上する。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する機能層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([機能層形成用組成物のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[機能層形成用組成物のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[機能層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0069】
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
【0070】
前記機能層において、前記機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合は、10質量%以上40質量%以下である。前記割合は、15質量%以上40質量%以下であることが好ましく、17.5質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、10質量%以上30質量%以下、10質量%以上25質量%以下、及び10質量%以上20質量%以下のいずれかであってもよい。
【0071】
機能層としては、例えば、機能層における、機能層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合([機能層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]/[機能層の総質量(質量部)]×100)が、60~90質量%であり、機能層における、機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合([機能層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[機能層の総質量(質量部)]×100)が、10~40質量%である機能層が挙げられる。
なかでも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい機能層としては、機能層における、機能層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、60~80質量%であり、機能層における、機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、20~40質量%である機能層が挙げられる。このような条件を満たす機能層は、その成形性と耐衝撃性の点で、より優れている。
他にも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい機能層としては、機能層における、機能層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、70~90質量%であり、機能層における、機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10~30質量%である機能層が挙げられる。このような条件を満たす機能層は、その成形性と耐衝撃性の点で、より優れている。
【0072】
機能層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。機能層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なかでも、機能層は、1層からなるものが好ましい。
【0073】
本明細書においては、機能層に限らず、例えば、1層からなる同種の層が、積層フィルム中で直接積層することなく互いに離間して配置されている場合には、これらの層は、2層(複数層)からなるものとは見做さず、1層からなる層が、積層フィルム中の異なる位置に配置されている、と見做す。
同様に、2層からなる層と、1層からなる層が、いずれも同種の層で、2層からなる層と、1層からなる層が、積層フィルム中で直接積層することなく互いに離間して配置されている場合には、これらの層は、3層からなるものとは見做さず、2層からなる層と、1層からなる層が、積層フィルム中の異なる位置に配置されている、と見做す。
層数の組み合わせが他の場合も同様である。
【0074】
本明細書においては、機能層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0075】
機能層の厚さは、100μm以上1000μm以下であることが好ましく、125μm以上950μm以下であることがより好ましく、150μm以上900μm以下であることがさらに好ましい。機能層の厚さが前記下限値以上であることにより、積層フィルムの成形性及び耐衝撃性をより向上させることができる。機能層の厚さが前記上限値以下であることで、機能層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
ここで、「機能層の厚さ」とは、機能層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる機能層の厚さとは、機能層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0076】
積層フィルムの厚さに対する、機能層の厚さの割合は、20%以上97%以下であることが好ましく、25%以上96%以下であることがより好ましく、30%以上95%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムの成形性及び耐衝撃性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、機能層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
【0077】
<酸素バリア層>
本実施形態に係る積層フィルムは、酸素バリア層を備えている。酸素バリア層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、酸素バリア層12)は、積層フィルムに強い酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与する。
【0078】
酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)を含んでいることが好ましい。酸素バリア層が、EVOHを含んでいることにより、積層フィルムの酸素バリア性をより向上させることができる。
【0079】
酸素バリア層は、EVOH以外に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を含んでいてもよい(本明細書においては、EVOH及びPVDCを「酸素バリア性付与樹脂」と称することがある)。酸素バリア層が酸素バリア性付与樹脂を含んでいることにより、積層フィルムの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
【0080】
酸素バリア層は、酸素バリア性付与樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、酸素バリア性付与樹脂からなるものであってもよい)し、酸素バリア性付与樹脂と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、酸素バリア性付与樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0081】
酸素バリア層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、酸素バリア性付与樹脂以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、機能層が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
【0082】
酸素バリア層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0083】
酸素バリア層における、酸素バリア層の総質量に対する、酸素バリア性付与樹脂の含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、70~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、85~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、酸素バリア性付与樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0084】
酸素バリア層における、酸素バリア性付与樹脂の含有量に対する、EVOHの含有量の割合は、85~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。
【0085】
酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0086】
酸素バリア層の厚さは、3μm以上300μm以下であることが好ましく、6μm以上225μm以下であることがより好ましく、9μm以上150μm以下であることがさらに好ましく、例えば、9~100μm、9~50μm、及び9~25μmのいずれかであってもよい。酸素バリア層の厚さが前記下限値以上であることで、酸素バリア層の層切れをより抑制し、積層フィルムの酸素バリア性をより向上させることができる。なお、本明細書において、「酸素バリア層の層切れ」とは、積層フィルム中で酸素バリア層が一部形成されないこと意味し、これは、例えば、酸素バリア層の厚さが薄過ぎることによって生じる。
酸素バリア層の厚さが前記上限値以下であることで、酸素バリア層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
ここで、「酸素バリア層の厚さ」とは、酸素バリア層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層の厚さとは、酸素バリア層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0087】
積層フィルムの厚さに対する、酸素バリア層の厚さの割合は、1%以上20%以下であることが好ましく、2%以上15%以下であることがより好ましく、3%以上10%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、酸素バリア層の層切れをより抑制し、積層フィルムの酸素バリア性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0088】
前記積層フィルムは、前記機能層を2層以上備えており、前記酸素バリア層は、一対の前記機能層の間に設けられていてもよい。前記酸素バリア層が、一対の前記機能層の間に設けられていることにより、外部からの水蒸気の透過を抑制し、酸素バリア性能を十分に発揮できる。また、シール性を付与できる。
【0089】
<内層>
積層フィルムは、内層(
図3に示す積層フィルム2においては、内層13)を備えていてもよい。内層は、積層フィルムに成形性及び耐衝撃性、並びにシール性を付与する。
内層は、前記積層フィルムの一方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、一方の最も外側に配置されている。
【0090】
内層は、プロピレン系重合体を含んでいてもよい。
内層が含む前記プロピレン系重合体としては、先に説明した、機能層が含むプロピレン系重合体と、同じものが挙げられる。
内層が含む前記プロピレン系重合体と、機能層が含む前記プロピレン系重合体は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0091】
内層は、さらにエチレン系重合体を含んでいてもよい。
内層が含む前記エチレン系重合体としては、先に説明した、機能層が含むエチレン系重合体と、同じものが挙げられる。
内層が含む前記エチレン系重合体と、機能層が含む前記エチレン系重合体は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0092】
内層は、前記プロピレン系重合体のみ、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体からなるもの、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなるもの、であってもよい)し、前記プロピレン系重合体、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体と、これら以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体と、前記他の成分と、からなるもの、又は前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0093】
内層が含む前記他の成分としては、先に説明した、機能層が含む他の成分と、同じものが挙げられる。
【0094】
内層における、内層の総質量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([内層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[内層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[内層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、90質量%以上、92.5質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、内層の成形性及び耐衝撃性、並びにシール性がより向上する。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する内層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([内層形成用組成物のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[内層形成用組成物のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[内層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0095】
前記内層が、前記エチレン系重合体を含む場合、前記内層において、前記内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、10質量%以上30質量%以下、10質量%以上25質量%以下、及び10質量%以上20質量%以下のいずれかであってもよい。
【0096】
内層としては、例えば、内層における、内層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合([内層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]/[内層の総質量(質量部)]×100)が、60~90質量%であり、内層における、内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合([内層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[内層の総質量(質量部)]×100)が、10~40質量%である内層が挙げられる。
なかでも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい内層としては、内層における、内層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、60~80質量%であり、内層における、内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、20~40質量%である内層が挙げられる。このような条件を満たす内層は、その成形性及び耐衝撃性、並びにシール性の点で、より優れている。
他にも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい内層としては、内層における、内層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、70~100質量%であり、内層における、内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、0~30質量%である内層が挙げられる。このような条件を満たす内層は、その成形性及び耐衝撃性、並びにシール性の点で、より優れている。
【0097】
前記内層が、前記エチレン系重合体を含まない場合、前記内層において、前記内層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、97.5質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0098】
内層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。内層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なかでも、内層は、1層からなるものが好ましい。
【0099】
内層の厚さは、15μm以上750μm以下であることが好ましく、18μm以上735μm以下であることがより好ましく、21μm以上720μm以下であることがさらに好ましい。内層の厚さが前記下限値以上であることで、内層の成形性及び耐衝撃性、並びにシール性をより向上させることができる。内層の厚さが前記上限値以下であることで、内層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
ここで、「内層の厚さ」とは、内層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる内層の厚さとは、内層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0100】
積層フィルムの厚さに対する、内層の厚さの割合は、5%以上50%以下であることが好ましく、6%以上49%以下であることがより好ましく、7%以上48%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、内層の成形性及び耐衝撃性、並びにシール性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、内層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
【0101】
本実施形態に係る積層フィルムは、さらに、一方の最表層として内層を備えており、前記内層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記内層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記内層において、前記内層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0102】
<外層>
積層フィルムは、外層(
図3に示す積層フィルム2においては、外層14)を備えていてもよい。外層は、剛性及び耐熱性を付与し、シート外観を向上させる。また、外層は、前記積層フィルムを構成する、外層以外の層を保護するための層である。
外層は、前記積層フィルムの他方の最表層であり、前記積層フィルムを構成する各層の積層方向において、他方の最も外側に配置されている。
【0103】
外層は、プロピレン系重合体を含んでいてもよい。
外層が含む前記プロピレン系重合体としては、先に説明した、機能層が含むプロピレン系重合体と、同じものが挙げられる。
外層が含む前記プロピレン系重合体と、機能層が含む前記プロピレン系重合体は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0104】
外層は、さらにエチレン系重合体を含んでいてもよい。
外層が含む前記エチレン系重合体としては、先に説明した、機能層が含むエチレン系重合体と、同じものが挙げられる。
外層が含む前記エチレン系重合体と、機能層が含む前記エチレン系重合体は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0105】
外層は、前記プロピレン系重合体のみ、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体からなるもの、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなるもの、であってもよい)し、前記プロピレン系重合体、又は前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体と、これら以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記プロピレン系重合体と、前記他の成分と、からなるもの、又は前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0106】
外層が含む前記他の成分としては、先に説明した、機能層が含む他の成分と、同じものが挙げられる。
【0107】
外層における、外層の総質量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([外層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[外層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[外層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、90質量%以上、92.5質量%以上、及び95質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層のシート外観、並びに剛性及び耐熱性をより向上させることができる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記プロピレン系重合体と、前記エチレン系重合体と、の合計含有量(質量部)の割合(([外層形成用組成物のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]+[外層形成用組成物のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[外層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0108】
前記外層が、前記エチレン系重合体を含む場合、前記外層において、前記外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。前記割合は、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましく、例えば、10質量%以上30質量%以下、10質量%以上25質量%以下、及び10質量%以上20質量%以下のいずれかであってもよい。
【0109】
外層としては、例えば、外層における、外層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合([外層のプロピレン系重合体の含有量(質量部)]/[外層の総質量(質量部)]×100)が、60~90質量%であり、外層における、外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合([外層のエチレン系重合体の含有量(質量部)])/[外層の総質量(質量部)]×100)が、10~40質量%である外層が挙げられる。
なかでも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい外層としては、外層における、外層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、60~80質量%であり、外層における、外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、20~40質量%である外層が挙げられる。このような条件を満たす外層は、シート外観、並びに剛性及び耐熱性の点で、より優れている。
他にも、前記プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含む、好ましい外層としては、外層における、外層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、70~100質量%であり、機能層における、機能層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、0~30質量%である機能層が挙げられる。このような条件を満たす機能層は、その剛性及び耐熱性の点で、より優れている。
【0110】
前記外層が、前記エチレン系重合体を含まない場合、前記外層において、前記外層の総質量に対する、前記プロピレン系重合体の含有量の割合が、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、97.5質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0111】
外層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なかでも、外層は、1層からなるものが好ましい。
【0112】
外層の厚さは、15μm以上750μm以下であることが好ましく、18μm以上735μm以下であることがより好ましく、21μm以上720μm以下であることがさらに好ましい。外層の厚さが前記下限値以上であることで、外層のシート外観、並びに剛性及び耐熱性をより向上させることができる。外層の厚さが前記上限値以下であることで、外層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
ここで、「外層の厚さ」とは、外層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層の厚さとは、外層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0113】
積層フィルムの厚さに対する、外層の厚さの割合は、5%以上50%以下であることが好ましく、6%以上49%以下であることがより好ましく、7%以上48%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、外層のシート外観、並びに剛性及び耐熱性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、外層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
【0114】
前記積層フィルムの厚さに対する、前記機能層と前記内層と前記外層との合計の厚さの割合は、85%以上であることが好ましい。前記割合は、86%以上99%以下であることがより好ましく、87%以上98%以下であることがさらに好ましい。
【0115】
本実施形態に係る積層フィルムは、さらに、他方の最表層として外層を備えており、前記外層が、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体を含み、前記外層において、前記エチレン系重合体のメルトフローレートが、3g/10分以下であり、前記外層において、前記外層の総質量に対する、前記エチレン系重合体の含有量の割合が、10質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0116】
<接着層>
本実施形態の積層フィルムは、機能層と、酸素バリア層と、内層と、外層と、のいずれにも該当しない接着層を備えていてもよい。
前記接着層は、積層フィルムにおいて、隣接する2層を接着するための層であり、接着性を発現する成分を含む。
【0117】
前記積層フィルムにおける接着層の配置位置は、積層フィルムの最表層とならない位置であれば、特に限定されない。
積層フィルムにおける接着層の配置位置は、1箇所であってもよいし、2箇所以上であってもよい。積層フィルムにおける接着層の配置位置が、2箇所以上である場合には、これら2箇所以上の接着層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「2箇所以上の接着層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての接着層が同一であってもよいし、すべての接着層が異なっていてもよいし、一部の接着層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「接着層が互いに異なる」とは、「接着層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0118】
積層フィルムは、例えば、酸素バリア層と第1機能層との間に接着層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、第1接着層151)を備えていてもよいし、酸素バリア層と第2機能層との間に接着層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、「第2接着層152」)を備えていてもよい。
【0119】
接着層は、透明性を有することが好ましい。
接着層は任意の構成であり、積層フィルムは接着層を備えていなくてもよいが、接着層を備えていることで、その構造がより安定する。
【0120】
接着層は、接着性樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
【0121】
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、例えば、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0122】
接着層が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、機能層が含むものとして先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられ、例えば、機能層が含むものとして先に説明したプロピレン系共重合体も挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
【0123】
接着層が含む、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0124】
接着層は、その接着性を損なわない範囲で、接着性を発現する成分(例えば、前記接着性樹脂)以外に、他の成分を含んでいてもよい。
接着層が含む前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
【0125】
接着層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0126】
接着層における、接着層の総質量に対する、接着性を発現する成分の含有量の割合([接着層の接着性を発現する成分の含有量(質量部)]/[接着層の総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
一方、前記割合は、100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性を発現する成分の含有量(質量部)の割合([接着層形成用組成物の接着性を発現する成分の含有量(質量部)])/[接着層形成用組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
【0127】
1箇所あたりの接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0128】
1箇所あたりの接着層の厚さは、特に限定されないが、3μm以上150μm以下であることが好ましく、4.5μm以上135μm以下であることがより好ましく、6μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着層はより優れた接着性を有する。接着層の厚さが前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることが避けられる。また、接着層の厚さが薄くなるほど、包装体(例えば、後述する底材)の透明性が向上することで、包装体の積層フィルム側(例えば、底材側)の外部からの収納物の視認がより容易となる。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0129】
積層フィルムの厚さに対する、接着層の厚さの割合は、1%以上10%以下であることが好ましく、1.5%以上9%以下であることがより好ましく、2%以上8%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、接着層が過剰な厚さとなることがより抑制される。
【0130】
<その他の層>
前記積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、機能層と、酸素バリア層と、内層と、外層と、接着層と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよいが、前記他の層を備えていないことが好ましい。
前記他の層は、ポリオレフィン系樹脂を含まない層であり、このような他の層を備えていないことにより、前記積層フィルムの再利用適性が、より高くなる。
【0131】
<<積層フィルムの製造方法>>
前記積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
【0132】
前記樹脂組成物を用いる場合には、例えば、2種以上の成分の配合物(ドライブレンド物、非混練物)を、樹脂組成物として押出機へ直接投入してもよいし、2種以上の成分を予め練り合わせた事前混練物を、樹脂組成物として押出機へ投入してもよい。
前記事前混練物は、例えば、2種以上の成分を二軸押出機又はバンバリーミキサー等の装置を用いて、溶融混練することで得られる。
【0133】
また、前記積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0134】
前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
【0135】
第1機能層及び第2機能層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、第1機能層111及び第2機能層112)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「機能層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
【0136】
酸素バリア層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム2においては、酸素バリア層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、酸素バリア性付与樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0137】
内層(
図3に示す積層フィルム2においては、内層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「内層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
【0138】
外層(
図3に示す積層フィルム2においては、外層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
【0139】
接着層(
図2に示す積層フィルム1及び
図3に示す積層フィルム1においては、第1接着層151又は第2接着層152)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、上述の接着性を発現する成分と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0140】
<<包装体>>
前記積層フィルムは、包装体の材料として好適である。
すなわち、好ましい包装体としては、前記積層フィルムを用いて構成されたものが挙げられる。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、包装対象物を包装することで、製造できる。包装体の製造時には、
図2に示す積層フィルムにおいては、前記積層フィルム中の第1機能層を包装対象物側に配置し、第2機能層を包装対象物側とは反対側に配置して、包装対象物を包装することが好ましく、
図3に示す積層フィルムにおいては、前記積層フィルム中の内層を包装対象物側に配置し、外層を包装対象物側とは反対側に配置して、包装対象物を包装することが好ましい。
【0141】
例えば、前記積層フィルムは、包装体の底材を構成するのに好適である。特に、成形性が良好な前記積層フィルムは、収納部を構成するための凹部を有する底材を構成するのに好適である。
【0142】
図4は、本実施形態の積層フィルムを備えた包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8(カバーフィルム)と、底材10(成形フィルム)と、を備えて構成されている。底材10は、
図2に示す積層フィルム1又は
図3に示す積層フィルム2を用いて、構成されている。
図4中の底材10においては、これを構成している積層フィルム1又は積層フィルム2中の各層の区別を省略している。
【0143】
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
【0144】
底材10が、
図2に示す積層フィルム1を用いて構成されている場合、底材10の一方の面(第2面)10bは、積層フィルム1中の第1機能層11の第2面11bと同じであることが好ましい。底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、積層フィルム1中の第2機能層11の第1面11aと同じであることが好ましい。
底材10が、
図3に示す積層フィルム2を用いて構成されている場合、底材10の一方の面(第2面)10bは、積層フィルム2中の内層13の第2面13bと同じであることが好ましい。底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、積層フィルム2中の外層14の第1面14aと同じであることが好ましい。
【0145】
蓋材8としては、例えば、アルミニウム層を含む蓋材、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン層を含む蓋材、等が挙げられる。
【0146】
図4においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
【0147】
底材10のその平坦部における厚さは、先に説明した積層フィルム1又は積層フィルム2の厚さと同様であってもよい。
【0148】
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、例えば、前記積層フィルム同士、又は、前記積層フィルムと、前記積層フィルム以外の他の樹脂フィルムと、によって、包装対象物(換言すると収納物)を収納するための収納部を形成しながら、包装対象物を収納して行き、これらフィルムの前記収納部以外の領域を加熱シールすることにより、製造できる。
【実施例0149】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0150】
<<単層フィルムの評価>>
<単層フィルムの製造>
以下に示す手順により、単層フィルムを製造した。
すなわち、単層を構成する樹脂として、表1に示す樹脂を用意した。
【表1】
【0151】
前記ホモポリプロピレンを押出しすることにより、単層フィルム1及び6(厚さ400μm)を得た。これらの単層は、いずれも無延伸の層である。
【0152】
前記ホモポリプロピレンと、前記低密度ポリエチレンとを、表2に示す割合で混合することにより樹脂組成物を準備した。これらの樹脂組成物を押出しすることにより、単層フィルム2~5及び7~10(厚さ400μm)を得た。これらの単層は、いずれも無延伸の層である。
【0153】
<単層フィルムのドローダウン長さの測定>
上記の得られた単層フィルムから、長さ300mm、幅160mmの試験片を切り出し、その上部にヒーターを設置した。試験片からヒーターまでの距離は100mmである。
次いで、ヒーターを500℃に設定して、試験片を400℃で120秒加熱し、先に記載した方法で、試験片のドローダウン長さを測定した。結果を表2に示す。
【0154】
【0155】
上記結果から明らかなように、低密度ポリエチレンの添加量を30質量%とした場合(単層フィルム5及び10)に、低密度ポリエチレンの添加量を15質量%とした場合(単層フィルム2~4及び7~9)よりもドローダウン長さが低減することが確認された。
また、ホモポリプロピレンとしてhPP1を用い、低密度ポリプロピレンとしてLDPE1を用いた場合に、ドローダウン長さが最も低減することが確認された。
【0156】
上記結果を踏まえて、以下の実施例では、ホモポリプロピレンとしてhPP1を用い、低密度ポリプロピレンとしてLDPE1を用い、前記LDPE1の添加量を15質量%より多くすることとした。
【0157】
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、
図2に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記hPP1及び前記LDPE1を用意した。
第1接着層及び第2接着層を構成する樹脂として、変性ポリプロピレン(変性PP)(三井化学社製「アドマー(登録商標)QF551」(品番))を用意した。
酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)F101A」(品番)」、エチレンの共重合比率32モル%)を用意した。
【0158】
前記hPP1(80質量%)と、前記LDPE1(20質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(1)を準備した。
【0159】
前記樹脂組成物(1)と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記樹脂組成物(1)とを、この順で共押出しすることにより、第1機能層(厚さ364μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ364μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層は、いずれも無延伸の層である。
【0160】
<<積層フィルムの評価>>
<積層フィルムの引張衝撃強度の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7160Aに準拠して、樹脂の流れ方向に対して垂直な方向(TD)の引張衝撃強度を測定した。結果を表3に示す。
【0161】
<積層フィルムの面衝撃強度の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7124-2に準拠して、測定温度0℃、測定時間15minの条件で、面衝撃強度及び割れモードを測定した。面衝撃強度及び割れモードの結果を表3に示し、割れモードの写真を
図5に示す。
【0162】
<積層フィルムのドローダウン長さの測定>
上記の得られた積層フィルムから、長さ300mm、幅160mmの試験片を切り出し、その上部にヒーターを設置した。試験片からヒーターまでの距離は100mmである。
次いで、ヒーターを500℃に設定して、試験片を400℃で120秒加熱し、先に記載した方法で、試験片のドローダウン長さを測定した。結果を表3に示す。
【0163】
<積層フィルムの表面粗さRaの測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS B0601:2013に準拠して、その第1機能層側の最表層の表面粗さRa(μm)、及び、その第2機能層の最表層の表面粗さRa(μm)を測定した。結果を表3に示す。
【0164】
<積層フィルムの60°光沢度の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS Z 8741に準拠して、その第1機能層側の最表層の60°光沢度、及び、その第2機能層側の最表層の60°光沢度を測定した。結果を表3に示す。
【0165】
<積層フィルムのヘーズの測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、そのヘーズを測定した。結果を表3に示す。
【0166】
<積層フィルムのシール強度の測定>
上記で得られた積層フィルム同士を、これらの第1機能層側の最表層同士が対向するように向かい合わせて、シール温度180℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2.0秒、シール幅15mmの条件で加熱シールすることで試験片を作製した。
この試験片について、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を200mm/minとして、積層フィルム同士を剥離し、このときの剥離強度の測定値を、積層フィルムのシール強度(N/15mm)として採用した。結果を表3に示す。
【0167】
<積層フィルムの酸素透過量の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過量を測定した。結果を表3に示す。
【0168】
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[実施例2]
以下に示す手順により、
図3に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、内層及び外層、並びに第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記hPP1及びLDPE1を用意した。
【0169】
前記hPP1(70質量%)と、前記LDPE1(30質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(2)を準備した。
【0170】
前記樹脂組成物(1)と、前記樹脂組成物(2)と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記樹脂組成物(2)と、前記樹脂組成物(1)とを、この順で共押出しすることにより、内層(厚さ80μm)、第1機能層(厚さ284μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ284μm)と、外層(厚さ80μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0171】
[実施例3]
以下に示す手順により、
図3に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、内層及び外層を構成する樹脂として、前記hPP1(日本ポリプロ社製「ノバテックPP(登録商標)EA9(品番)」、密度0.900g/cm
3、MFR0.5g/10min)を用意した。
【0172】
前記hPP1と、前記樹脂組成物(1)と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記樹脂組成物(1)と、前記hPP1とを、この順で共押出しすることにより、内層(厚さ80μm)、第1機能層(厚さ284μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ284μm)と、外層(厚さ80μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0173】
[比較例1]
以下に示す手順により、
図2に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、前記hPP1と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記hPP1とを、この順で共押出しすることにより、第1機能層(厚さ364μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ364μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0174】
【0175】
上記結果から明らかなように、実施例1~3の積層フィルムの引張衝撃強度は、比較例1の積層フィルムの引張衝撃強度よりも大きく、耐衝撃性がより良好であることが確認された。
【0176】
実施例1~3の積層フィルムの面衝撃強度は、比較例1の積層フィルムの面衝撃強度よりも大きかった。ここで、実施例1及び3並びに比較例1の積層フィルムは、
図5(a)に示すように脆性破壊されているのに対し、実施例2の積層フィルムは、
図5(b)に示すように脆性~延性破壊されており、割れモード、すなわち耐衝撃性がより良好であることが確認された。
【0177】
実施例1~3の積層フィルムのドローダウン長さは、比較例1の積層フィルムのドローダウン長さよりも短く、成形性がより良好であることが確認された。
【0178】
実施例1~3の積層フィルムの最表層の表面粗さRaは、第1機能層側も第2機能層側も小さい値であったのに対し、比較例1の積層フィルム最表層の表面粗さRaは、第2機能層側のみが小さい値であった。すなわち、実施例1~3の積層フィルムを用いて得られた包装体は、比較例1の積層フィルムを用いて得られた包装体よりも、開封性がなめらかとなる(シール強度のレンジが小さく、剥離時に引っ掛かりが少なくなる)ことが確認された。
【0179】
実施例1~3の積層フィルムの最表層の60°光沢度は、第1機能層側も第2機能層側も大きい値であったのに対し、比較例1の積層フィルム最表層の60°光沢度は、第1機能層側のみが大きい値であった。すなわち、実施例1~3の積層フィルムを用いて構成された包装体は、比較例1の積層フィルムを用いて構成させた包装体よりも、意匠性が向上することが確認された。
【0180】
実施例1~3の積層フィルムのヘーズは、比較例1の積層フィルムのヘーズよりも小さくなることが確認された。
実施例1~3の積層フィルムのシール強度は、比較例1の積層フィルムのシール強度と同等であることが確認された。
さ実施例1~3の積層フィルムの酸素透過量は、比較例1の積層フィルムの酸素透過量と同等であることが確認された。
【0181】
<<単層フィルムの評価>>
<単層フィルムの製造>
以下に示す手順により、単層フィルムを製造した。
すなわち、単層を構成する樹脂として、表4に示す樹脂を用意した。
【表4】
【0182】
前記プロピレン系ブロック共重合体(bPP)を押出しすることにより、単層フィルム11(厚さ400μm)を得た。この単層は、無延伸の層である。
【0183】
前記bPPと、前記低密度ポリエチレン(LDPE4)とを、表5に示す割合で二軸押出機で混錬し、ペレット1~4(粒径5mm)を得た。
【0184】
【0185】
<単層フィルムの伸長粘度の測定>
上記で得られたペレット1~4について、キャピラリーレオメーター「RHEOGRAPH 20」を用いて、Cogswell法により、240℃での測定対象のペレットの伸長粘度を測定した。結果を
図6に示す。
【0186】
上記結果から明らかなように、前記LDPE4の添加量を、0質量%(単層フィルム11)、8質量%(単層フィルム12)、14質量%(単層フィルム13)、18質量%(単層フィルム14)と増やすにつれて、伸長粘度が増加する傾向が確認された。
【0187】
伸長粘度が増加すると、ドローダウン長さが低減することが推測できるため、以下の実施例では、前記bpp及び前記LDPE4を用い、積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合を、0質量%、8質量%、14質量%及び18質量%と変化させることとした。
【0188】
[実施例4]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、
図3に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、内層及び外層、並びに第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記bPP及び前記LDPE4を用意した。
第1接着層及び第2接着層を構成する樹脂として、変性ポリプロピレン(変性PP)(三井化学社製「アドマー(登録商標)QF551」(品番))を用意した。
酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)F101A」(品番)」、エチレンの共重合比率32モル%)を用意した。
第1機能層及び第2機能層に添加する顔料(PG)として、クリーム顔料マスターバッチ(大日精化工業社製「PP-M-SSCD 16N9913 クリーム」)を用意した。
【0189】
前記bPP(73質量%)と、前記LDPE4(18質量%)と、前記PG(9質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(3)を準備した。
【0190】
前記bPPと、前記樹脂組成物(3)と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記樹脂組成物(3)と、前記bPPとを、この順で共押出しすることにより、内層(厚さ180μm)、第1機能層(厚さ184μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ184μm)と、外層(厚さ180μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合は、8質量%であった。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
【0191】
<<積層フィルムの評価>>
<積層フィルムの引張衝撃強度の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7160Aに準拠して、樹脂の流れ方向に対して平行な方向(MD)及び垂直な方向(TD)の引張衝撃強度を測定した。結果を表6に示す。
【0192】
<積層フィルムの面衝撃強度の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7124-2に準拠して、測定温度0℃、測定時間15minの条件で、面衝撃強度及び割れモードを測定した。面衝撃強度及び割れモードの結果を表6に示す。
【0193】
<積層フィルムのドローダウン長さの測定>
上記の得られた積層フィルムから、長さ300mm、幅160mmの試験片を切り出し、その上部にヒーターを設置した。試験片からヒーターまでの距離は100mmである。
次いで、ヒーターを500℃に設定して、試験片を400℃で120秒加熱し、先に記載した方法で、試験片のドローダウン長さを測定した。結果を表6に示す。
【0194】
<積層フィルムのヘーズの測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、そのヘーズを測定した。結果を表6に示す。
【0195】
<積層フィルムのシール強度の測定>
上記で得られた積層フィルム同士を、これらの第1機能層側の最表層同士が対向するように向かい合わせて、シール温度180℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2.0秒、シール幅15mmの条件で加熱シールすることで試験片を作製した。
この試験片について、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を200mm/minとして、積層フィルム同士を剥離し、このときの剥離強度の測定値を、積層フィルムのシール強度(N/15mm)として採用した。結果を表6に示す。
【0196】
<積層フィルムの酸素透過量の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過量を測定した。結果を表6に示す。
【0197】
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[実施例5]
前記bPP(80質量%)と、前記LDPE4(20質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(4)を準備した。
【0198】
内層及び外層を構成する樹脂として、前記bPPに代えて、前記樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例4の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造した。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合は、17質量%であった。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0199】
[実施例6]
前記bPP(76質量%)と、前記LDPE4(19質量%)と、前記PG(5質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(5)を準備した。
内層及び外層の厚さを80μmに代え、第1機能層及び第2機能層の厚さを284μmに代え、第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記樹脂組成部(3)に代えて、前記樹脂組成物(5)を用いた点以外は、実施例4の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造した。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合は、14質量%であった。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0200】
[実施例7]
内層及び外層を構成する樹脂として、前記bPPに代えて、前記樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例6の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造した。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合は、18質量%であった。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0201】
[実施例8]
前記bPP(85質量%)と、前記LDPE4(10質量%)と、前記PG(5質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(6)を準備した。
第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記樹脂組成部(5)に代えて、前記樹脂組成物(6)を用いた点以外は、実施例6の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造した。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記LDPE4の含有量の割合は、7質量%であった。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0202】
【0203】
[比較例2]
前記bPP(95質量%)と、前記PG(5質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(7)を準備した。
【0204】
第1機能層及び第2機能層を構成する樹脂として、前記樹脂組成物(5)に代えて、前記樹脂組成物(7)を用いた点以外は、実施例6の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造した。
内層と、第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0205】
[比較例3]
以下に示す手順により、
図2に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、前記bPP(96.5質量%)と、前記PG(3.5質量%)とを混合することにより、樹脂組成物(8)を準備した。
前記樹脂組成物(8)と、前記変性PPと、前記EVOHと、前記変性PPと、前記樹脂組成物(8)とを、この順で共押出しすることにより、第1機能層(厚さ364μm)と、第1接着層(厚さ20μm)と、酸素バリア層(厚さ32μm)と、第2接着層(厚さ20μm)と、第2機能層(厚さ364μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ800μm)を得た。
第1機能層と、第1接着層と、酸素バリア層と、第2接着層と、第2機能層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例4の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0206】
【0207】
上記結果から明らかなように、実施例4~8の積層フィルムの引張衝撃強度は、比較例2及び3の積層フィルムの引張衝撃強度よりも大きく、耐衝撃性がより良好であることが確認された。
【0208】
実施例4~8の積層フィルムの面衝撃強度は、比較例2及び3の面衝撃強度とほぼ同程度であった。ここで、実施例4~8並びに比較例2及び3の積層フィルムは、
図5(c)に示すように延性破壊されており、割れモード、すなわち耐衝撃性がより良好であることが確認された。
【0209】
また、実施例4~8の積層フィルムのドローダウン長さは、比較例2及び3の積層フィルムのドローダウン長さよりも短く、成形性がより良好であることが確認された。
【0210】
実施例4~8の積層フィルムのヘーズは、比較例2及び3の積層フィルムのヘーズと同等であることが確認された。
実施例4~8の積層フィルムのシール強度は、比較例2及び3の積層フィルムのシール強度とほぼ同等であることが確認された。
実施例4~8の積層フィルムの酸素透過量は、比較例2及び3の積層フィルムの酸素透過量と同等であることが確認された。