(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003631
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20240105BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/564 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240105BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/533
H01M50/564
H01M50/188
H01M50/193
H01M50/178
H01M50/531
H01M50/553
H01M50/184 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102906
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 守伯
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA09
5H043DA13
5H043DA14
5H043EA13
5H043EA14
5H043EA15
5H043EA16
5H043EA18
5H043EA19
5H043HA07E
5H043JA06E
5H043KA01E
5H043KA06E
5H043KA07E
5H043KA08E
5H043KA09E
5H043KA22D
5H043KA33E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極タブと電極端子部材との電気的接続および固定化の観点から新たな電池構造を提供すること。
【解決手段】電極組立体10と、前記電極組立体10を収納する外装体300とを有して成る二次電池400が提供される。電極組立体10の電極タブ6は、電極タブ6と組み合わされた導電性部材20を備え、外装体300に設けられた電極端子部材30と導電性部材20とが、電極端子部材30および導電性部材20の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と前記電極組立体とを収納する外装体とを有して成り、
前記電極組立体の電極タブは、前記電極タブと組み合わされた導電性部材を備え、
前記外装体に設けられた電極端子部材と前記導電性部材とが、前記電極端子部材および前記導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている、二次電池。
【請求項2】
前記導電性部材の形状に起因して前記導電性部材が前記弾性を呈する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記導電性部材は、折返し形状の導電性湾曲部を備えており、前記導電性湾曲部が前記電極端子部材と接している、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記導電性部材に設けられた開口部を前記電極タブが通るように前記電極タブと前記導電性部材とが互いに前記組み合わされている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極タブと前記導電性部材とは圧接合によって互いに前記組み合わされている、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記電極端子部材は、前記外装体の内部に位置する端子形状に起因して前記弾性を呈する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電極端子部材が、折返し形状の端子湾曲部を備えており、前記端子湾曲部が前記導電性部材と接している、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電極端子部材は、樹脂部材によって前記外装体に固定化されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記導電性部材と前記電極端子部材との前記接続は、溶接部を含まない非溶接な接続となっている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電極タブと前記導電性部材との前記組み合せは、溶接部を含まない非溶接な組み合せとなっている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記導電性部材が折返し形状の導電性湾曲部を備えると共に、前記電極端子部材が折返し形状の端子湾曲部を備えており、
前記導電性湾曲部の内部に前記端子湾曲部が位置付けられて前記電極端子部材と前記導電性部材とが互いに前記接続されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
断面視において前記導電性湾曲部と前記端子湾曲部とが互いに相補的に係合している、請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記電極組立体の電極として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極および負極が含まれる、請求項1~12のいずれかに一項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。特に、本発明は、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層から成る電極組立体を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、いわゆる蓄電池ゆえ充電および放電の繰り返しが可能であり、様々な用途に用いられている。例えば、携帯電話、スマートフォンおよびノートパソコンなどのモバイル機器に二次電池が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-66170号公報
【特許文献2】特開2017-107688号公報
【特許文献3】特開2009-289593号公報
【特許文献4】特開2010-27521号公報
【特許文献5】特開2000-260478号公報
【特許文献6】特開2009-26490号公報
【特許文献7】特開2020-53333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池は、電極組立体の各電極構成層から電気を集約する電極タブを設ける必要がある。一方、二次電池は、その使用のために外部との電気接続に供する電極端子部材を設ける必要がある。
【0005】
二次電池を使用するためには、電極タブと電極端子部材とが互いに電気的に接続されている必要がある。また、電気的な接続が解消されないように電極タブと電極端子部材とが互いに好適に組み合わされている必要がある。
【0006】
本願発明者は、電極タブと電極端子部材との電気的接続および組合せの双方を満たす構造に関して、新たな電池構造を開発できる余地が依然ないか鋭意検討した。その結果、電極タブと電極端子部材との電気的接続および固定化の双方を満たす構造には依然開発の余地が残されていることを見出した。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、電極タブと電極端子部材との電気的接続および好適な組合せの観点から新たな電池構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された二次電池の発明に至った。
【0009】
本発明に係る二次電池は、
電極組立体と前記電極組立体とを収納する外装体とを有して成り、
前記電極組立体の前記電極タブは、前記電極タブと組み合わされた導電性部材を備え、
前記外装体に設けられた電極端子部材と前記導電性部材とが、前記電極端子部材および前記導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二次電池では、電極タブは、電極タブと組み合わされた導電性部材を備え、外装体に設けられた電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されており、電極タブと電極端子部材との電気的接続および好適な組合せの観点から新たな電池構造が供される。かかる新たな電池構造では、電極端子部材と導電性部材との電気的な接続に溶接を要しないため、溶接工程を省略でき、より簡易な二次電池の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る二次電池の模式部分断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る導電性部材の模式斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る導電性部材と電極タブとを圧接合する様子を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る導電性部材の模式斜視図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る導電性部材と電極タブとを圧接合する様子を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る導電性部材と電極タブとを溶接する様子を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る二次電池の模式部分断面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る電極端子部材を樹脂部材により一体化する様子を説明する模式断面図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る電極端子部材がリベットにより固定されている様子を示す模式断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法を説明する模式斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る二次電池の斜視図である。
【0012】
以下では、本発明の一実施形態に係る二次電池をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0013】
本明細書で直接的または間接的に説明される“厚み”の方向は、二次電池を構成する電極材の積層方向に基づいている。例えば扁平状電池などの「板状に厚みを有する二次電池」でいえば、“厚み”の方向は、かかる二次電池の板厚方向に相当する。
【0014】
本明細書で直接的または間接的に説明される「断面視」は、二次電池を構成する電極組立体または電極構成層の積層方向に沿って二次電池を切り取った仮想的な断面に基づいている。本明細書で直接的または間接的に説明される“厚み”の方向は、二次電池を構成する電極材の積層方向や巻回積層構造の巻回軸に沿う方向などに基づいている。ある一例では、二次電池を構成する電極層の積層方向に基づく厚み方向と、電極層が電極端子部材の位置する方向へと延在する長手方向とが構成する面に沿って切り取ったような断面に基づいている。端的にいえば、
図2などに示される二次電池の断面の形態に基づいている。
【0015】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、特段の説明が付されない限り、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。なお、“約”という用語は、数パーセント、例えば±10%の変動又は違いを含み得ることを意味する。
【0016】
[本発明に係る二次電池の基本構成]
本発明は二次電池を提供する。本明細書中、「二次電池」という用語は充電・放電の繰り返しが可能な電池のことを指している。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」などの電気化学デバイスも包含し得る。
【0017】
本発明に係る二次電池は、正極、負極およびセパレータを含む電極構成単位を有する電極組立体を備えている。
図1Aおよび
図1Bには電極組立体10を例示している。図示されるように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して積み重なって電極構成単位10を成している。かかる電極構成単位が少なくとも1つ以上積層して電極組立体が構成されていたり(
図1A参照)、あるいは、電極構成単位が巻回することで電極組立体が構成されたりする(
図1B参照)。二次電池では、そのような電極組立体が電解質(例えば非水電解質)と共に外装体に封入されている。
【0018】
正極は、少なくとも正極材層および正極集電体(例えば層形態を成す正極集電体)から構成されている。正極では正極集電体の少なくとも片面に正極材層が設けられており、正極材層には電極活物質として正極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の正極は、それぞれ、正極集電体の両面に正極材層が設けられていてよいし、あるいは、正極集電体の片面にのみ正極材層が設けられていてよい。二次電池のさらなる高容量化の観点でいえば正極は正極集電体の両面に正極材層が設けられていてよい。
【0019】
負極は、少なくとも負極材層および負極集電体(例えば層形態を成す負極集電体)から構成されている。負極では負極集電体の少なくとも片面に負極材層が設けられており、負極材層には電極活物質として負極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の負極は、それぞれ、負極集電体の両面に負極材層が設けられていてよいし、あるいは、負極集電体の片面にのみ負極材層が設けられていてよい。二次電池のさらなる高容量化の観点でいえば負極は負極集電体の両面に負極材層が設けられていてよい。
【0020】
正極および負極に含まれる電極活物質、即ち、正極活物質および負極活物質は、二次電池において電子の受け渡しに直接関与する物質であり、充放電、すなわち電池反応を担う正負極の主物質である。より具体的には、「正極材層に含まれる正極活物質」および「負極材層に含まれる負極活物質」に起因して電解質にイオンがもたらされ、かかるイオンが正極と負極との間で移動して電子の受け渡しが行われて充放電がなされる。正極材層および負極材層は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であってよい。つまり、非水電解質を介してリチウムイオンが正極と負極との間で移動して電池の充放電が行われる非水電解質二次電池となっていてよい。充放電にリチウムイオンが関与する場合、本発明に係る二次電池は、いわゆるリチウムイオン電池に相当し、正極および負極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有している。
【0021】
正極材層の正極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが正極材層に含まれていてよい。更には、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が正極材層に含まれていてもよい。同様にして、負極材層の負極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれていてもよく、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が負極材層に含まれていてもよい。このように、複数の成分が含有されて成る形態ゆえ、正極材層および負極材層はそれぞれ「正極合材層」および「負極合材層」などと称すこともできる。
【0022】
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、正極活物質は例えばリチウム含有複合酸化物であってよい。より具体的には、正極活物質は、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であってよい。つまり、本実施態様に係る二次電池の正極材層においては、そのようなリチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質として含まれていてよい。例えば、正極活物質はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、または、それらの遷移金属の一部を別の金属で置き換えたものである。そのような正極活物質は、単独種として含まれてよいものの、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0023】
正極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロチレン共重合体およびポリテトラフルオロチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。正極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維などの炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀などの金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0024】
正極材層の厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば5μm以上200μm以下であってよい。正極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであって、任意の10箇所における測定値の平均値が用いられる。
【0025】
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、負極活物質は例えば各種の炭素材料、酸化物、または、リチウム合金などであってよい。
【0026】
負極活物質の各種の炭素材料としては、黒鉛(例えば天然黒鉛および/もしくは人造黒鉛)、ハードカーボン、ソフトカーボン、ならびに/またはダイヤモンド状炭素などを挙げることができる。負極活物質の酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化リチウムなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質のリチウム合金は、リチウムと合金形成され得る金属であればよく、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元、3元またはそれ以上の合金である。
【0027】
負極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維などの炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀などの金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、負極材層には、電池製造時に使用された増粘剤成分(例えばカルボキシルメチルセルロース)に起因する成分が含まれていてもよい。
【0028】
負極材層の厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば5μm以上200μm以下である。負極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであって、任意の10箇所における測定値の平均値が用いられる。
【0029】
正極および負極に用いられる正極集電体および負極集電体は電池反応に起因して活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する部材である。そのような集電体は、シート状の金属部材であってよく、多孔または穿孔の形態を有していてよい。例えば、集電体は金属箔、パンチングメタル、網またはエキスパンドメタルなどである。正極に用いられる正極集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼およびニッケルなどから成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものであってよく、例えばアルミニウム箔である。一方、負極に用いられる負極集電体は、銅、ステンレス鋼およびニッケルなどから成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものであってよく、例えば銅箔である。
【0030】
セパレータは、正負極の接触による短絡防止および電解質保持などの観点から設けられる部材である。換言すれば、セパレータは、正極と負極との間の電子的接触を防止しつつイオンを通過させる部材であるといえる。例えば、セパレータは多孔性または微多孔性の絶縁性部材であり、その小さい厚みに起因して膜形態を有している。あくまでも例示にすぎないが、ポリオレフィン製の微多孔膜がセパレータとして用いられてよい。この点、セパレータとして用いられる微多孔膜は、例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレン(PE)のみ又はポリプロピレン(PP)のみを含んだものであってよい。更にいえば、セパレータは、“PE製の微多孔膜”と“PP製の微多孔膜”とから構成される積層体であってもよい。セパレータの表面は無機粒子コート層および/または接着層などにより覆われていてもよい。セパレータの表面は接着性を有していてもよい。
【0031】
セパレータの厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上100μm以下であってよく、例えば5μm以上20μm以下である。セパレータの厚み寸法は二次電池内部での厚み(特に正極と負極との間での厚み)であって、任意の10箇所における測定値の平均値が用いられる。
【0032】
本発明に係る二次電池では、正極、負極およびセパレータを含む電極組立体が電解質と共に外装体に封入されている。電解質は電極(正極・負極)から放出された金属イオンの移動を助力する。電解質は有機電解質および有機溶媒などの“非水系”の電解質であってもよく、または水を含む“水系”の電解質であってもよい。ある例示態様において、本発明に係る二次電池は、電解質として“非水系”の溶媒と、溶質とを含む電解質が用いられた非水電解質二次電池となっている。
【0033】
具体的な非水電解質の溶媒としては、少なくともカーボネートを含んで成るものであってよい。かかるカーボネートは、環状カーボネート類および/または鎖状カーボネート類であってもよい。特に制限されるわけではないが、環状カーボネート類としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジプロピルカーボネート(DPC)から成る群から選択される少なくも1種を挙げることができる。本発明の1つの例示態様では、非水電解質として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組合せが用いられ、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物が用いられる。具体的な非水電解質の溶質としては、例えば、LiPF6および/またはLiBF4などのLi塩が用いられてよい。
【0034】
電極タブとしては、二次電池の分野で使用されているあらゆる電極タブが使用可能である。電極タブは、電子の移動が達成され得る材料から構成されればよく、通常は銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケル、および/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。電極タブの形態は特に限定されず、例えば、線状であってもよいし、または板状であってもよい。正極側および負極側の電極タブ(以下では総称的に「正負極の電極タブ」とも称する)は、電極組立体のいずれの面から突出していてよい。正負極の電極タブは、互いに電極組立体の別の面から突出していてよく、あるいはそれぞれ同一の面から突出していてもよい。二次電池のコンパクト化の観点から、正負極の電極タブは、同一の面から突出していてよい。つまり、正極タブと負極タブとが、互いに電極組立体の同一の端面(すなわち同一側面)から突出するように延在していてよい。
【0035】
外装体は通常、ハードケースであり、本体部および蓋部などの2つの部材から成っていてよい。例えば、外装体が本体部および蓋部から構成される場合、本体部と蓋部とは、電極組立体、電解質および電極タブ、ならびに所望により電極端子部材の一部または全部などが収容された後、密封される。外装体の密封方法としては、特に限定されず、例えば、
レーザー溶接により互いに組み合わせて外装体としてよく、あるいは、かしめ加工により互いに組み合わせて外装体としてもよい。外装体には、外装体内に電解液を注入するための注入口が設けられていてもよい。電解液注入後、注入口は樹脂製の栓によって封止されてもよい。
【0036】
外装体の本体部および蓋部を構成する材料としては、二次電池の分野でハードケース型外装体を構成し得るあらゆる材料が使用可能である。そのような材料は、電子の移動が達成され得る導電性材料であってもよいし、または電子の移動が達成され得ない絶縁材料であってもよい。外装体の材料は、電極取り出しの観点から、導電性材料であってよい。
【0037】
導電性材料としては、例えば銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよび/またはステンレス鋼などの導電性材料が挙げられる。絶縁材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ならびに/またはポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよび/もしくはポリプロピレン)などの絶縁ポリマー材料が挙げられる。
【0038】
上述した導電性および剛性の観点から、本体部および蓋部はともに、ステンレス鋼から構成されていてよい。なお、ステンレス鋼とは、「JIS G 0203 鉄鋼用語」に規定されている通り、クロムまたはクロムとニッケルとを含有させた合金鋼で、一般にはクロム含有量が全体の約10.5%以上の鋼をいう。そのようなステンレス鋼としては、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼および/または析出硬化系ステンレス鋼が挙げられる。
【0039】
外装体の本体部および蓋部の寸法は、主として電極組立体の寸法に応じて決定される。例えば、電極組立体を収容したとき、外装体内での電極組立体の移動が防止される程度の寸法を外装体が有していてもよい。電極組立体の移動を防止することにより、衝撃などによる電極組立体の損傷を防止し、二次電池の安全性が向上することができる。
【0040】
外装体はラミネートフィルムからなるパウチなどのフレキシブルケースであってもよい。ラミネートフィルムとしては、少なくとも金属層(例えば、アルミニウムなど)と接着層(例えば、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなど)とが積層される構成であり、付加的に保護層(例えば、ナイロンおよび/またはポリアミドなど)が積層される構成であってもよい。
【0041】
外装体の厚み寸法(すなわち、肉厚寸法)は、特に制限されるわけではないが、10μm以上200μm以下であってよく、例えば50μm以上100μm以下であってよい。外装体の厚み寸法は、任意の10箇所における測定値の平均値が用いられる。
【0042】
[本発明に係る二次電池の特徴]
本発明にかかる二次電池は、電極組立体およびそれを収納する外装体を有して成る電池であるところ、電極組立体の電極タブと外装体に設けられた電極端子部材とを互いに電気的に接続する形態について特徴を有する。
【0043】
具体的には、本発明に係る二次電池において、電極タブと組み合わされた導電性部材を備え、外装体に設けられた電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。つまり、電極端子部材と導電性部材とが弾性に起因して互いに電気的に接続されていることにより、電極組立体から外部へと電気を取り出すことが可能となっている。
【0044】
本明細書における「弾性」とは、物体に外力を加えて変形させた後、力を取除くと元の状態に戻る性質を意味する。換言すると、物体に力を加えて変形させると、物体に力を加えられる前の状態に戻ろうとする力が生じる性質を意味する。本明細書では、当該「力」を「弾性力」と称する。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態に係る二次電池400を示す。二次電池400は、外装体300内部に収容した電極組立体10を有して成る。電極組立体10を構成する電極構成層5のそれぞれには電極タブ6が設けられている。電極タブ6は、導電性部材20と組合されている。具体的には、各電極層に設けられたそれぞれの電極タブ6は集められて、導電性部材20と組み合わされている。
【0046】
外装体300には、外部との電気接続に供する電極端子部材30が設けられている。電極端子部材30は、樹脂部材50を介して、外装体300の外部と外装体300の内部との間を横断するように設けられている。外装体300の内部では、電極端子部材30と導電性部材20とが、互いに電気的に接続されている。
【0047】
図2に示す態様でいえば、導電性部材20の端部を折り返すことで形作られる形状に、電極端子部材30が嵌り込むように位置づけられている。電極端子部材30と導電性部材20とのこのような位置関係では、導電性部材20および/または電極端子部材30は互いから外力を受けているところ、導電性部材20および/または電極端子部材30には、当該外力に抗する力、つまり弾性力が働き得る。かかる弾性力により、導電性部材20と電極端子部材30は互いに押圧されて接触し、電気的に接続され得る。換言すると、電極端子部材30および導電性部材20の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。
【0048】
一実施形態に係る二次電池は、上記特徴を有するため、従前の二次電池とは異なる構造を有する。従前の二次電池では、電極タブと電極端子部材とを互いに溶接して電気的な接続を確保する。従前の二次電池の製造工程では、溶接が必要となり、加工費および二次電池の製造効率の点で改善の余地がある。本発明では、電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されるため、溶接による電気的な接続を要しない。従って、溶接機、溶接材料、および加工に関する費用の低減、ならびに溶接工程を省略できる点で二次電池の製造効率が向上し得る。
【0049】
また、従来の溶接等による電気的な接続は、電極タブと電極外部端子との電気的な接続が解除されないように、電極タブと電極外部端子とが強固に固定される。したがって、溶接等による電気的な接続は、外部からの振動または衝撃等を吸収し難く、接続部分が破損し易い。例えば、外部からの振動または衝撃等による溶接部への負荷の蓄積、あるいは溶接部への応力集中により、溶接部が破断する虞がある。
【0050】
本発明では、電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されているため、当該弾性が外部からの振動または衝撃等を効果的に吸収し得る。つまり、外部からの振動または衝撃等によって、弾性に起因する電気的な接続部分に外力が加わっても、当該接続部分には、外力に対する弾性力が働くため、電気的な接続が維持され得る。従って、本発明では、振動または衝撃を受け得る環境下においても、電極端子部材と導電性部材との互いの電気的な接続が好適に維持され易い。
【0051】
なお、導電性部材および電極端子部材は、特記しない限り、正極側および負極側のそれぞれに設けられる。つまり、正極側には、正極導電性部材および正極端子部材が設けられる。負極側には、負極導電性部材および負極端子部材が設けられる。本明細書では、単に導電性部材と称する場合、それは正極導電性部材および負極導電性部材の少なくとも一方を意味している。同様にして、単に電極端子部材と称する場合、それは正極端子部材および負極端子部材の少なくとも一方を意味している。本発明の効果は、特記しない限り、正極側および負極側のそれぞれの電極側にも奏し得る。
【0052】
本発明では、さらに以下の態様を採ることができる。
【0053】
一実施形態では、導電性部材の弾性に起因して電極端子部材と導電性部材とが互いに電気的に接続されていてよい。換言すると、導電性部材が受ける外力に抗する弾性力により、電極端子部材と導電性部材とが互いに電気的に接続されていてよい。
【0054】
一実施形態では、導電性部材の形状に起因して導電性部材が弾性を呈してよい。換言すると、導電性部材によって立体的に形作られた形状の変位に起因する弾性力を利用してもよい。例えば、導電性部材を湾曲および/または屈曲させて形作られた立体形状の少なくとも一部の変位に起因する弾性力を利用するものであってよい。
図2に示す態様では、導電性部材20の最端部21を折り返すことで形作られる形状に、外装体300の内部にある電極端子部材30が嵌り込むように位置づけられている。換言すると、導電性部材20の折り返し形状を押し広げるように電極端子部材30が嵌まり込んでいると言える。
【0055】
押し広げられた導電性部材20は外力を受けているところ、導電性部材20には外力に抗する力、つまり弾性力が働き得る。かかる弾性力に起因して、導電性部材20は電極端子部材30に対して押圧するように作用し得る。つまり、導電性部材20の形状に起因して導電性部材20が弾性を呈することにより、その導電性部材20の弾性力を利用して、導電性部材20と電極端子部材30とを互いに電気的に接続できる。かかる態様を採ることにより、導電性部材20と電極端子部材30との電気的接続がより強固になり易くなる。
【0056】
導電性部材の形状に起因して導電性部材が弾性を呈する態様としては、上記の通り、導電性部材の折り返し形状が挙げられる。折り返し形状は、例えば、導電性部材を湾曲させて形成してもよく、または屈曲させて形成してもよい。折り返し形状は、導電性部材を複数回湾曲および/または複数回屈曲させて形成してもよい。
【0057】
本開示における「湾曲」とは、
図2に示すように、断面視において、湾状(または弓状)に曲がること(すなわち略曲線的に曲がること)であって、丸みを帯びた輪郭を有し得、撓曲も包含する。本開示における「屈曲」は、断面視において、鈍角または鋭角に折れ曲がること(すなわち略直線的に曲がること)であって、角張った輪郭(例えば略V字状の輪郭)を有し得る。
【0058】
一実施形態では、導電性部材は、折返し形状の導電性湾曲部を備えており、導電性湾曲部が電極端子部材と接していてよい。
図2に示すように、導電性部材20は折り返されているところ、その折り返しの部分が湾曲した形状となっている。換言すると、折り返された導電性部材20の折り返しの部分は、導電性湾曲部22となっている。導電性湾曲部22はその形状が連続的に変位しているため、導電性部材20に加えられた外力は湾曲部全体に伝わり易い。つまり、外力が加えられた際、湾曲部全体が変形し易くなる。例えば、外力を加えた際に折返し形状が大きく開き易くなるため、導電性部材20の最端部21を折り返すことで形作られる形状に、電極端子部材30が嵌り込み易くなる。また、導電性部材20に加えられた外力は、湾曲部全体に作用し易い。外力が湾曲部全体に分散し易くなる点で、導電性部材20の局所的な疲労による破損が抑制され易くなる。
【0059】
一実施形態では、
図2および
図3に示すように、導電性部材20は、その同一主面側が互いに向かい合うように折り返されている。そのような導電性部材の折り返し部分では、その最端部21が、導電性部材の折り返し部分と対向する主面から離れるように湾曲していてよい。かかる態様を採ることにより、導電性部材の最端部21を折り返すことで形作られる形状の挿入口が広くなり得る。従って、導電性部材の最端部21を折り返すことで形作られる形状に電極端子部材30が嵌り込め易くなり、導電性部材20と電極端子部材30との電気的接続が容易となる。
【0060】
一実施形態では、
図2および
図3に示すように、導電性部材20は、その同一主面側が互いに向かい合うように折り返されている。導電性部材の最端部21と導電性湾曲部22との間に、導電性部材の折り返し部分と対向する主面に向かって凸状に湾曲する部分を有してもよい。かかる態様を採ることにより、上記凸状に湾曲する部分が、導電性部材が形作る形状に嵌り込んだ電極端子部材30に対する抜け止めとして機能し得る。従って、導電性部材と電極端子部材との電気的接続がより解除され難くなる。
【0061】
一実施形態では、導電性部材に設けられた開口部を電極タブが通るように電極タブと導電性部材とが互いに組み合わされていてよい。導電性部材に設けられた開口部は、導電性部材の一部を剪断に付すことで設けられていてよい。例えば、導電性部材の一部を除して設けてもよい。つまり、導電性部材の一部をくり抜き、貫通孔を設けてもよい。
【0062】
導電性部材の一部を除することで、導電性部材に開口部を設ける場合、例えば、導電性部材と電極端子部材とが互いに電気的に接続される箇所に開口部を設けてもよい。
図2および
図3に示す態様では、導電性部材の導電性湾曲部22には、導電性部材20の一部を除することで形成した第1の開口部25が設けられている。換言すると、導電性部材20と電極端子部材30とが電気的に接続される箇所に第1の開口部25が設けられており、電極タブ6は当該第1の開口部25を挿通している。
【0063】
導電性部材20の第1の開口部25を通ることにより、電極タブ6は、導電性部材20と電極端子部材30との間に介在し易くなり、電極タブ、導電性部材、および電極端子部材を互いに一体化させ易くなる。換言すると、導電性部材20と電極端子部材30とによって電極タブ6が挟持され得るため、電極タブ6がより好適に固定され易くなる。このように、本発明では電極タブ6と導電性部材20とが溶接を用いずに互いに組み合わされて好適な電気接続が成され得る。
【0064】
別態様では、導電性部材にスリットを設けて、当該スリットを押し広げて開口部としてもよい。つまり、切れ目を入れた導電性部材を押圧して変形させ、当該切れ目を拡張することにより導電性部材に開口部を設けてもよい。かかる方法により形成された開口部は押し広げられて形成されているため、外力をかけることにより開口部を再び閉じることができる。
【0065】
導電性部材には、スリットを複数設けてもよい。スリットを設けることにより、導電性部材にトンネル状の開口部を形成してもよい。具体的には、導電性部材に設けられた複数のスリットの間を押圧することで、複数のスリットの間の導電性部材が突き出るように変形させて開口部を形成してもよい。かかる方法の場合、設けたスリットの数に対応した分の開口部が形成される。
【0066】
例えば、2つのスリットを用いて開口部を形成した場合、
図3に示すように、それぞれのスリットに由来する2つの開口部26が形成され得る。それぞれの開口部26は、同一平面状に並ぶように位置付けられているため、例えば
図2に示すように、電極タブ6等をそれぞれの開口部26に、導電性部材20の表面に対し平行に挿通可能である。このような一対の開口部26を有する点で、
図3に示す導電性部材は、2つの第2の開口部を有するトンネル部27が設けられていると言える。
【0067】
一実施形態では、電極タブと導電性部材とは圧接合によって互いに組み合わされていてよい。「圧接合」とは、押さえつけて繋ぎ合わさることを意味する。具体的には、「圧接合」とは、単に接しているというよりも、むしろ圧力および/またはせん断力などが加えられた状態で緊密に接している態様を指している。
【0068】
電極タブと導電性部材との圧接合は、導電性部材に設けられた第2の開口部に電極タブを挿通させ、当該第2の開口部を電極タブごと閉じることによって為されてもよい。上記の通り、第2の開口部は押し広げられて形成されているため、外力を加えることにより開口部を再度閉じることができる。第2の開口部に電極タブが挿通された状態で第2の開口部を閉じることにより、電極タブは第2の開口部の開口端に挟持され、導電性部材と圧接合され得る。
【0069】
図3に示すように、導電性部材に第2の開口部を設けてトンネル部27を形成した場合、トンネル部27を押圧することで、第2の開口部26を電極タブ6ごと押し潰してもよい。かかる態様により、電極タブ6と導電性部材20とが圧接合され、強固に固定し易くなる。このように、本発明では電極タブ6と導電性部材20とが溶接を用いずに互いに組み合わされて好適な電気接続が成され得る。
【0070】
一実施形態では、導電性部材にトンネル部を分割して設けてもよい。換言すると、導電性部材にトンネル部を複数設けてもよい。例えば
図5に示すように、導電性部材20にトンネル部27を2つ設けてもよい。導電性部材に複数のトンネル部を設ける場合、
図5に示すように、同一の形状を有するトンネル部を複数設けてもよく、異なる形状を有するトンネル部を複数設けてもよい。
【0071】
導電性部材にトンネル部を分割して設けると、個々のトンネル部は相対的に小さくなり得る。具体的には、
図5の態様における導電性部材20では、トンネル部27を2つに分割して設けているところ、個々のトンネル部の大きさは、
図3の態様における分割せずに設けられているトンネル部27よりも小さい。
【0072】
導電性部材にトンネル部を分割して設けると、個々のトンネル部の大きさが相対的に小さくなり得るところ、特に個々のトンネル部の幅が相対的に短くなり得る。「トンネル部の幅」とは、トンネル部が有する2つの第2の開口部の配列方向におけるトンネル部の長さを意味する。
図3と
図5とを対比すると、
図5の態様における個々のトンネル部27の幅が
図3のトンネル部の幅よりも短くなっている。トンネル部の幅が短くなると、トンネル部を押圧して押し潰し易くなる。つまり、トンネル部の幅が短くなるため、トンネル部を押し潰すための応力が相対的に小さくなり易い。従って、導電性部材20にトンネル部27を分割して設けることにより、より小さい押圧力で電極タブ6を導電性部材20に圧接合し易くなる。また、複数のトンネル部(第2の開口部)により電極タブ6と導電性部材20とを圧接合するため、接合信頼性がより向上し得る。
【0073】
開口部を電極タブごと押し潰す方法は、例えば、
図4および
図6に示すようにトンネル部27をパンチ600等で押圧して塑性変形させて行ってもよい。かかる方法では、トンネル部27を挿通している電極タブ6が塑性変形したトンネル部27により圧接合される。
【0074】
電極タブと導電性部材との接合をより強固にする観点から、トンネル部に導電性部材を挿通させた状態で、トンネル部における導電性部材と電極タブとを溶接により接合してもよい。導電性部材と電極タブとの溶接は、例えば抵抗溶接、超音波溶接、またはレーザー溶接等であってよい。電極タブをトンネル部に挿通させた状態で溶接する場合、電極タブと導電性部材との接合をさらに強固にする観点から、抵抗溶接により導電性部材と電極タブとを溶接してもよい。抵抗溶接では、
図7に示すように、一方の抵抗溶接棒610と他方の抵抗溶接棒620とにより、電極タブ6と導電性部材20が挟持され、電極タブ6と導電性部材20とが互いにより密着し得る。より密着した状態で溶接するため、電極タブ6と導電性部材20との接合信頼性が向上し、電極タブ6と導電性部材20との溶接がより強固になり得る。
【0075】
第1の開口部および第2の開口部は、例えば、機械加工により導電性部材上に設けてもよい。機械加工としては、せん断加工により導電性部材を切断、穿孔、打ち抜き等をして開口部を設けてもよい。
【0076】
一実施形態では、電極端子部材は、外装体の内部に位置する端子形状に起因して弾性を呈してもよい。換言すると、電極端子部材によって立体的に形作られた形状を変位させた際に生じる弾性力を利用してもよい。例えば、電極端子部材を湾曲および/または屈曲させて形作られた立体形状の少なくとも一部を変位させた際に生じる弾性力を利用するものであってよい。
図2に示す態様では、電極端子部材30の最端部31を折り返すことで形作られる形状を、導電性部材20を折り返すこと形成された空間に嵌り込むように位置づけられている。換言すると、電極端子部材30の折り返し形状は、導電性部材20によって圧縮されて変形し得る。変形した電極端子部材30の折り返し形状には、元の形状に戻ろうとする弾性力が働き得る。
【0077】
上記弾性力に起因して電極端子部材30は導電性部材20に対して押圧するように作用し得る。つまり、電極端子部材30の形状に起因して電極端子部材30が弾性を呈することにより、その電極端子部材30の弾性力を利用して、導電性部材20と電極端子部材30とを互いに電気的に接続できる。かかる態様を採ることにより、導電性部材20と電極端子部材30との電気的接続がより強固になり易くなる。
【0078】
一実施形態では、電極端子部材が、折返し形状の端子湾曲部を備えており、端子湾曲部が導電性部材と接していてよい。
図2に示すように、電極端子部材30は折り返されているところ、その折り返しの部分は湾曲した形状となっている。換言すると、折り返された電極端子部材30の折り返しの部分は、端子湾曲部32となっている。湾曲形状とすることにより、導電性部材20が形作る形状に電極端子部材30を嵌め込んだ際、電極端子部材30と導電性部材20とが当接し易くなる。つまり、電極端子部材30の端子湾曲部32が丸みを帯びた形状をしているため、導電性部材20と当接する箇所が偏り難くなる。したがって、電極端子部材30と導電性部材20との電気的接続が維持し易くなる。また、電極端子部材30に加えられた外力は、湾曲部全体に作用し易い。外力が湾曲部全体に分散し易くなる点で、電極端子部材30の局所的な疲労による破損を抑制し易くなる。
【0079】
一実施形態では、導電性部材が折返し形状の導電性湾曲部を備えると共に、電極端子部材が折返し形状の端子湾曲部を備えており、導電性湾曲部の内側に端子湾曲部が位置付けられて電極端子部材と導電性部材とが互いに接続されていてよい。「導電性湾曲部の内側」とは、
図2および
図3に示すように、折り返し形状を有する導電性部材の主面、湾曲部、および最端部によって囲まれる空間24側を意味する。当該空間24に、端子湾曲部32が位置付けられている。
【0080】
図2に示す態様において導電性部材20に着目すると、導電性部材20の最端部21を折り返すことで形作られる形状に、電極端子部材30が嵌り込むように位置づけられている。換言すると、導電性部材20の折り返し形状を押し広げるように電極端子部材30が嵌まり込んでいると言える。押し広げられた導電性部材20の折り返し形状には、元の形状に戻ろうとする弾性力が働き得る。
【0081】
一方で電極端子部材30に着目すると、電極端子部材30の最端部31を折り返すことで形作られる形状が、導電性部材20を折り返すことで形成された空間24に嵌り込むように位置づけられている。換言すると、導電性部材20の折り返し形状が、電極端子部材30を圧縮していると言える。圧縮された電極端子部材30の折り返し形状には、元の形状に戻ろうとする弾性力が働き得る。
【0082】
上記の態様では、電極端子部材には導電性部材からの弾性力が作用し、導電性部材には電極端子部材からの弾性力が作用し得る。つまり、電極端子部材と導電性部材には、双方からの弾性力が作用し得る。換言すると、外装体に設けられた電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の双方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。かかる態様を採ることにより、電極端子部材と導電性部材との電気的接続がより強固になり得る。また、電極端子部材および導電性部材の双方からの弾性力が作用する点において、導電性湾曲部と端子湾曲部とが互いの弾性力でもって互いに電気接続するための応力を補っていると言える。この点につき、導電性湾曲部と端子湾曲部とが互いに相補的に係合し得る。
【0083】
互いに相補的に係合する導電性湾曲部22および端子湾曲部32は、
図2に示すような形態となっていてよい。具体的には、図示されるような断面視において、導電性湾曲部22の内側輪郭と端子湾曲部32の外側輪郭とが互いに接するようになっていてよい。つまり、導電性湾曲部22の内側輪郭と端子湾曲部32の外側輪郭とが互いに相補的な関係を有していてよい。かかる態様を採ることにより、導電性部材20と電極端子部材30との電気的接続がより好適に強固になり易くなる。
【0084】
一実施形態では、導電性部材と電極端子部材との接続は、溶接部を含まない非溶接な接続となっていてよい。換言すると、導電性部材と電極端子部材との接続において、溶接部を形成しないで互いに電気的に接続されかつ固定されていてよい。かかる態様は、上述した外装体に設けられた電極端子部材と導電性部材とが、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されることで為される。この点で、溶接機、溶接材料、および加工に関する費用の低減、ならびに溶接工程を省略できる点で二次電池の製造効率が向上し得る。また、かかる態様では、溶接部を含まない非溶接な接続であるため、可逆的な接続形態で成り得る。つまり、導電性部材と電極端子部材との接続を接続した後に、導電性部材と電極端子部材との接続を解除できる。
【0085】
一実施形態では、導電性部材と電極タブとの接続は、溶接部を含まない非溶接な接続となっている。換言すると、導電性部材と電極タブとの接続において、溶接部を形成しないで、互いに電気的に接続されかつ固定されていてよい。かかる態様は、
図2に示すように、電極タブが、導電性部材と電極端子部材との間に設けられていることで為される。上述の通り、電極端子部材と導電性部材とは、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。かかる電気的に接続されている部分には、弾性力が作用され得る。当該弾性力が、導電性部材に対して電極タブを押さえ付け得るため、電極タブが導電性部材に対して圧して接合され得る。導電性部材と電極タブとが、溶接部を含まない非溶接な接続となる態様は、例えば、導電性部材に第2の開口部を有するトンネル部を設けて電極タブを挿通し、トンネル部を電極タブごと圧着しても為すことができる。溶接部を含まない非溶接な接続とすることにより、
図15に示すような従来の二次電池400’における溶接に要する部位700’を省略でき、その分だけスペースを縮小可能となる。したがって、二次電池の体積を小さくでき、電池容量を大きくし易くなる。
【0086】
以下に、本発明の一実施形態の二次電池に持ちる各部材について説明する。
【0087】
<導電性部材>
正極導電性部材は、電子の移動が達成され得る材料から構成されていればよい。例えば、正極導電性部材は、導電性材料から構成されていればよく、具体的には銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケル、および/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。
【0088】
ある好適な態様では、正極導電性部材と正極タブは、互いに同じ金属材料であってよい。例えば、正極タブがアルミニウムから構成される場合、正極導電性部材もアルミニウムから構成されていてよい。かかる構成を採ることにより、正極導電性部材と正極タブとの接続安定性が高くなり易い。
【0089】
負極導電性部材は、電子の移動が達成され得る材料から構成されていればよい。例えば、負極導電性部材は、導電性材料から構成されていればよく、具体的には銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよび/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。
【0090】
ある好適な態様では、負極導電性部材と負極タブは、互いに同じ金属材料であってよい。例えば、負極タブが銅から構成される場合、負極導電性部材も銅から構成されていてよい。かかる構成を採ることにより、負極導電性部材と負極タブとの接続安定性が高くなり易い。なお、負極タブと負極導電性部材としてニッケルまたはステンレス鋼を用いる場合も、負極導電性部材と負極タブとの接続安定性が高くなり易い。
【0091】
導電性部材は、導電性材料を機械的加工に付すことにより得ることができる。機械的加工は、例えば、せん断加工、曲げ加工、抜き打ち加工、および穴あけ加工等を組み合わせた加工であってよい。導電性部材を効率的に作製する観点から、導電性部材はプレス加工で作製してもよい。プレス加工は、例えば、順送加工、トランスファー加工、または単発加工であってよい。プレス加工として順送加工を選んだ場合、複数の機械的加工を連続的に行えるため、導電性部材を安価に作製し易くなる。導電性材料を機械的加工に付す際、導電性材料は、板状またはシート状の形態(例えばブランク材)であってよい。
【0092】
<電極端子部材>
正極端子部材は、電子の移動が達成され得る材料から構成されていればよい。例えば、正極端子部材は、銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよび/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。
【0093】
ある好適な態様では、正極端子部材は、正極タブおよび/または正極導電性部材と同じ金属材料であってよい。例えば、正極タブおよび正極導電性部材がアルミニウムから構成される場合、正極端子部材もアルミニウムから構成されていてよい。かかる構成を採ることにより、導電性部材と集電電極端子部材との接続安定性が高くなり易い。
【0094】
正極端子部材は、例えば、外部環境によって腐食することがある。特に、外装体の外部に露出する正極端子部材は、外部環境に晒され易く、相対的に腐食し易い。例えば、正極端子部材が酸化すると、酸化した部分にて電気的な接続がし難くなり、接続不良が生じ得る。
【0095】
正極端子部材の腐食を抑制する観点から、正極端子部材は、クラッド材であってよい。クラッド材は、例えば、銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼から成る群から選択される2種類以上の金属を組み合わせて構成されていてよい。なお、正極端子部材に用いるクラッド材は、例えば、正極タブおよび/または正極導電性部材に用いられる導電性材料に応じて選んでもよい。ある好適な態様では、正極導電性部材としてアルミニウムが用いられている場合、正極端子部材は、アルミニウム-ニッケルのクラッド材を用いてもよい。
【0096】
正極端子部材としてクラッド材を用いる場合、正極端子部材と正極タブとが電気的に接続する部分は同種の金属にすることが好ましい。換言すると、正極端子部材と正極タブとが電気的に接続する部分は、異種金属同士による接続でないことが好ましい。
図8は、正極端子部材としてクラッド材を用いた態様を示す。
図8に示すように、正極端子部材は2種類の異なる金属から構成されており、クラッド材となっている。正極端子部材と正極タブとが互いに接する面は、同種の金属となるように互いに電気的に接続されている。
【0097】
外装体の外部の正極端子部材は、
図8に示すように、屈曲形状を有していてよい。換言すると、正極端子部材の端部を180°折り返し、正極端子部材の同一金属の主面同士が互いに接するように構成されていてよい。外装体の外部に露出するクラッド材の主面は、クラッド材に用いられている金属のうちイオン化傾向が低い金属で構成される主面であることが好ましい。かかる態様を採ることにより、クラッド材は、同種の金属同士と電気的に接続され、かつ外部に露出する金属層をイオン化傾向が低い金属で構成される主面にすることができる。これにより、正極端子部材の腐食を抑制し易くなる。
【0098】
負極端子部材は、電子の移動が達成され得る材料から構成されていればよい。例えば、負極端子部材は、銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよび/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。
【0099】
ある好適な態様では、負極端子部材は、負極タブおよび/または負極導電性部材と同じ金属材料であってよい。例えば、負極タブおよび負極導電性部材が銅から構成される場合、負極端子部材も銅から構成されていてよい。かかる構成を採ることにより、負極導電性部材と負極端子部材との接続安定性が高くなり易い。なお、負極タブ、負極導電性部材、および負極端子部材としてニッケルまたはステンレス鋼を用いる場合も、負極導電性部材と負極端子部材との接続安定性が高くなり易い。
【0100】
<樹脂部材>
一実施形態では、電極端子部材は、樹脂部材によって外装体に固定化されていてよい。例えば、電極端子部材は、単一の樹脂部材によって外装体に固定化されていてよく、複数の樹脂部材を組み合わせて外装体に固定化されていてよい。
【0101】
(単一の樹脂部材を用いる態様)
本発明における「単一の樹脂部材」とは、樹脂部材が、一個の樹脂の部品のみから構成
されていることを意味する。または、複数の樹脂の部品を組合せて構成されていないことを意味する。
図2で示す態様で例示すると、樹脂部材50は、1つの樹脂の部品から構成されており、複数の樹脂の部品へと別々に分離可能な構造または境界部分を有してない。
【0102】
単一の樹脂部材によって電極端子部材を外装体に固定化する方法は、例えば、外装体に電極端子部材を挿入した状態で樹脂を組み込んで固定化してもよい。樹脂の組み込みは、例えば、溶融した樹脂を注入し、その後所望の形状に樹脂を硬化させて行ってもよい。具体的には、アウトサート成形により、電極端子部材を樹脂部材によって外装体に固定化されていてよい。
【0103】
アウトサート成形とは、金型の中に金属部品等をセットし、次いで樹脂を射出成形して成型品を作製する方法である。アウトサート成形により作製された成型品は、例えば、金属等の部材の周囲に樹脂等の部材を成形し、金属等の部材の一部又は全部を、樹脂等の部材で覆うように成形されていてよい。つまり、アウトサート成形品は、金属等の部材と樹脂等の部材とが一体化した構造を有していてよい。
【0104】
アウトサート成形は、例えば、以下の方法により実施できる。
図9(a)のように、側面に開口部320を設けた外装部材310を樹脂成形金型にセット(図示せず)し、外装部材の開口部320に電極端子部材30を挿入する。短絡を防ぐ観点から、電極端子部材と外装ケースとが接触しないように位置決めする。位置決めした状態で樹脂の射出成形を行い、外装部材と電極端子部材とを樹脂により固定する(
図9(b))。電極端子部材30の不要な部分は、カットしてもよい(
図9(c))。電極端子部材の固定後、電極端子部材を樹脂に向かって折り曲げる(
図9(d)および
図9(e)。以上により、外装部材、電極端子部材、および樹脂が一体化した成型品が得られる。
【0105】
単一の樹脂部材によって電極端子部材を外装体に固定化する方法では、電極端子部材を外装体に固定化するために用いる部品数が比較的少なくなり易い。また、用いる部品が少ない場合、組立て工数が少なくなり易い。従って、上記方法では、コスト削減し易くなりおよび製造効率が向上し得る。また、溶接による固定ではないため、スパッタ等が発生せず、電極組立体に異物が混入する虞が減じられ、二次電池に不具合が起きることを抑制し易くなる。溶接機の故障(例えば、抵抗溶接機の異常放電)も回避できる。
【0106】
作業性向上の観点から、アウトサート成形において、正極側の電極端子部材と負極側の電極端子部材とを予め金属板等で連結させたものを用いてもよい。正極側の電極端子部材および負極側の電極端子部材の挿入位置を調整し易くなり、より正確な位置決めを実現し易くなる。なお、連結に用いた金属板等は、外装部材と電極端子部材とを樹脂による固定後、カットして取り除くことが好ましい。
【0107】
(複数の樹脂部材を用いる態様)
複数の樹脂部材によって電極端子部材を外装体に固定化する方法は、例えば、複数の樹脂部材同士を圧着させることにより、電極端子部材を外装体に固定化する方法であってよい。例えば、リベット部を設けて、当該リベット部を加締めることにより、外装体を複数のガスケットで挟持および圧着して固定する方法であってよい。
【0108】
リベット部は、特に限定されないが、例えば、外装体に設けた貫通孔に嵌合して挿通されていてもよい。リベット部は導電性を有し得る。ガスケットは、リベット部と外装体との電気的な絶縁を確保しつつ、電解質の漏出を防止するための外装体の外側に設ける外側ガスケットおよび外装体の内側に設ける内側ガスケットを含んでもよい。
【0109】
図10に示す態様では、外装体の内側には、電極端子部材30および内側ガスケット51が設けられており、外装体の外側には、外側ガスケット52が設けられている。リベット部60が、内側ガスケット51、外装部材310、および外側ガスケット52のそれぞれに設けられた開口部を挿通している。リベット部60は、加締めによって塑性変形させて、内側ガスケット51および外側ガスケット52を挟持するように圧着している。電極端子部材30は、リベット部60によって、内側ガスケット51とともに外装体圧着されており、リベット部60を介して外装体の外側に設けられた電極端子70から外部へと電気が取出し可能となっている。
【0110】
リベット部は、電子の移動が達成され得る材料から構成されていればよい。例えば、リベット部は、銀、金、銅、鉄、スズ、プラチナ、アルミニウム、ニッケルおよび/またはステンレス鋼などの導電性材料から構成される。
【0111】
樹脂部材は、絶縁材料から構成されていればよい。例えば、樹脂部材は、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、芳香族ポリエステル(例えばポリエチレンナフタレート)、芳香族ポリエーテルケトン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ならびに/またはポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよび/もしくはポリプロピレン)などの絶縁ポリマー材料から構成される。なお、樹脂部材は、外装体内部と外装体外部との間の流体の移動を抑制するために設けることから、ガスケットと称し得る。ガスケットとしての封止性をより向上する観点から、樹脂材料は、エポキシ樹脂またはポリフェニレンサルファイド等を用いていもよい。
【0112】
樹脂部材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば、無機フィラーおよび/または有機フィラーを用いてもよい。無機フィラーとしては、金属粉、炭素材料、ケイ素酸化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。例えば、無機フィラーとして、セラミックス粒子、アルミナ粒子、カーボンブラック、黒鉛またはシリカ粒子等を用いてもよい。有機フィラーとしては、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、エーテルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、セルロース、および/またはフェノール樹脂等を含んでいてよい。
【0113】
無機フィラーおよび/または有機フィラーの形状は、特に制限されず、粒状、球状、針状、板状、繊維状および/または不定形などであってよい。なお、ガスケットとしての封止性をより向上する観点から、フィラーは、シリカ粒子等を用いてもよい。
【0114】
樹脂部材と外装部材および/または電極端子部材との密着性を向上させる観点から、外装部材および/または電極端子部材が表面処理(または表面改質)されていてもよい。そのような表面処理は、例えば、機械的処理、プライマー処理、化学的処理、洗浄、または電気化学処理であってよい。
【0115】
機械的処理としては、研磨紙またはサンドブラスト等により表面異物を除去し、表面に微細な凹凸を設けてもよい。これにより、樹脂部材と外装部材および/または電極端子部材との接触面積が増加し、密着性がより向上し得る。プライマー処理としては、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、およびシランカップリング剤から成る群から選択される1種以上を含むプライマーを塗布して表面処理してもよい。
【0116】
[本発明の二次電池の製造方法]
本発明の二次電池は、正極、負極及びセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を外装体に封入することを通じて得ることができる。具体的には、電極組立体を外装体に封入する際に、電極組立体に設けられた導電性部材と、外装体に設けられた電極端子部材とを、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続することで本発明の二次電池を得ることができる。
【0117】
電極組立体は、常套的な手法で作製してよい。電極組立体に導電性部材を設けるにあたり、まずは電極組立体の各電極層から引き出されている電極タブを束ねて1つの集合体にしてもよい。束ねた電極タブは、その形状を導電性部材に取り付け易い形状に成形してもよい。例えば、束ねた電極タブを圧縮して薄型化してもよい。または、束ねた電極タブの周囲を切り落とし、矩形状の電極タブにしてもよい。
【0118】
電極タブに導電性部材を取り付けるにあたり、電極タブを導電性部材と電極端子部材との間に設けてもよい。電極タブを導電性部材と電極端子部材との間に位置付けることで電極タブを固定し易くなる。好ましい態様では、電極端子部材および導電性部材の少なくとも一方の弾性に起因して固定してもよい。また、
図11(a)に示すように、導電性部材20に設けた第1の開口部25に電極タブ6を通すと、電極タブ6を導電性部材20と電極端子部材との間に位置付け易くなる。また、導電性部材20に設けたスリットを拡張して形成したトンネル部27の第2の開口部26に電極タブ6を挿通してもよい。
図11(b)に示すように、挿通後、トンネル部27を電極タブ6ごと押圧し、電極タブ6を導電性部材20に圧着してもよい。電極タブ6に導電性部材を取り付けた後、
図12のように、導電性部材20を電極組立体10の端面に沿うように電極タブ6を曲げてもよい。このように電極タブ6を折り曲げて位置づけることにより、二次電池を省スペースな設計にし易くなる。
【0119】
外装体に電極端子部材を取り付けるにあたり、電極端子部材は、樹脂部材によって外装体に固定化されていてよい。例えば、電極端子部材は、単一の樹脂部材によって外装体に固定化されていてよく、複数の樹脂部材を組み合わせて外装体に固定化されていてよい。例えば、溶融した樹脂を注入し、その後所望の形状に樹脂を硬化させて行ってもよい。具体的には、アウトサート成形により、電極端子部材を樹脂部材によって外装体に固定化されていてよい。
【0120】
電極タブに設けた導電性部材と外装体の内側に設けた電極端子部材とを互いに電気的に接続する方法は、下記で説明する方法により接続してもよい。
【0121】
まず、
図13(a)に示すように、電極タブ6に設けた導電性部材20と外装体300の内側に設けた電極端子部材30とを位置合わせする。次に、
図13(b)に示すように、導電性部材20を電極端子部材30に向かって移動し、導電性部材20と電極端子部材30とを当接させる。具体的には、導電性部材20の最端部21と電極端子部材30の端子湾曲部とを当接させる。
【0122】
一実施形態では、当接後、導電性部材20を電極端子部材30に向かって継続して移動させると、
図13(c)に示すように、導電性部材20の最端部21が、電極端子部材30によって電極組立体10側から離れるように押し広げられる。導電性部材20の最端部21が押し広げられたまま、導電性部材の主面、導電性湾曲部、および導電性部材の際端部とによって形作られる空間24に電極端子部材30が収納される。かかる状態では、電極端子部材30によって導電性部材20に外力が与えられるところ、導電性部材20には、外力に抗する力、つまり弾性力が発生する。当該弾性力によって、導電性部材20は、電極端子部材30を押圧するように外力を加える。
【0123】
一実施形態では、当接後、導電性部材20を電極端子部材30に向かって継続して移動させると、導電性部材の主面、導電性湾曲部、および導電性部材の最端部とによって形作られる空間24に電極端子部材30が収納される。収納された電極端子部材30は、空間24を形作る導電性部材20によって外力が加えられ、例えば、圧縮される。かかる状態では、導電性部材20によって電極端子部材30に外力が与えられるところ、電極端子部材30には、外力に抗する力、つまり弾性力が発生する。当該弾性力によって、電極端子部材30は、導電性部材20を押圧するように外力を加える。
【0124】
電極端子部材30を導電性部材20に向かって移動し続けると、最終的に
図13(d)に示すように、電極端子部材30は、導電性部材20の主面と導電性湾曲部と最端部とによって包囲される空間29に位置付けられる。具体的には、電極端子部材30と、導電性部材20の主面、湾曲部および最端部とが接触した状態になり得る。ここで、導電性部材20は、電極端子部材30によって押し広げられ得るため、電極端子部材30に向かって弾性力が作用し得る。一方で、電極端子部材30は、導電性部材20によって圧縮され得るため、導電性部材20に向かって弾性力が作用し得る。従って、導電性部材20および電極端子部材30は、少なくとも一方からの弾性力を受け得るため、導電性部材20と電極端子部材30は互いに接触し、電気的に接続され得る。換言すると、外装体に設けられた電極端子部材30と導電性部材20とが、電極端子部材30および導電性部材20の少なくとも一方の弾性に起因して互いに電気的に接続されている。
【0125】
電極端子部材と導電性部材とを互いに電気的に接続した後、レーザー照射等により外装体を密封し、外装体内に電解液を外装体に設けた注入口から注入する。以上により、
図14で例示するような、二次電池が得られる。なお、電解液の注入口には、樹脂栓80等で栓がされている。
【0126】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る二次電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の二次電池は、電気・電子機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイスなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例
【符号の説明】
【0128】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
5 電極構成層
6 電極タブ
10、10’ 電極組立体
20 導電性部材
21 端部
22 導電性湾曲部
24 導電性部材の主面、湾曲部、および端部によって囲まれる空間
25 第1の開口部
26 第2の開口部
27 トンネル部
30 電極端子部材
31 端部
32 端子湾曲部
50 樹脂部材
51 内側ガスケット
52 外側ガスケット
60 リベット部
70 電極端子
80 樹脂栓
300 外装体
310 外装部材
320 開口部
400、400’ 二次電池
600 パンチ
610 一方の抵抗溶接棒
620 他方の抵抗溶接棒
700’溶接する部位