(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036327
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】樹脂材料及び多層プリント配線板
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240308BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240308BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
H05K1/03 610H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217632
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2020518738の分割
【原出願日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2019061451
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 顕紀子
(72)【発明者】
【氏名】林 達史
(72)【発明者】
【氏名】川原 悠子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奨
(57)【要約】
【課題】硬化物の反りを抑えることができ、かつベーキング時間を短くすることができる樹脂材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂材料は、熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH
3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、無機充填材とを含み、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である。
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH
3末端の個数
B:前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、
無機充填材とを含み、
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である、樹脂材料。
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B:前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【請求項2】
前記熱硬化性化合物が、熱硬化性官能基を除く構造部分において、tert-ブチル基を有し、
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するtert-ブチル基の個数が、1個以上である、請求項1に記載の樹脂材料。
【請求項3】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数が、5個以上30個以下である、請求項1又は2に記載の樹脂材料。
【請求項4】
前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個又は2個である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項5】
前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項6】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項7】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有し、
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数100%中、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の最大の原子数を有する鎖が有する炭素原子の個数の割合が、40%以上90%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項8】
樹脂フィルムである、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項9】
多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項10】
回路基板と、
前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、
複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、
複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂材料の硬化物である、多層プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性化合物を含む樹脂材料に関する。また、本発明は、上記樹脂材料を用いた多層プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂材料が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂材料が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、上記絶縁層を形成するために、上記樹脂材料がフィルム化された樹脂フィルムが用いられることがある。上記樹脂材料及び上記樹脂フィルムは、ビルドアップフィルムを含む多層プリント配線板用の絶縁材料等として用いられている。
【0003】
下記の特許文献1には、(A)ビフェニル構造を有する1官能エポキシ樹脂、及び(B)硬化剤を含む樹脂組成物が開示されている。
【0004】
下記の特許文献2には、(A)エステル骨格を有するエポキシ樹脂、(B)活性エステル型硬化剤及び(C)無機充填材を含有する樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物では、該樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(C)無機充填材の含有量が50質量%以上であり、(C)無機充填材を100質量部とした場合、(A)エステル骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が1~20質量部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-095749号公報
【特許文献2】特開2014-177530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリント配線板等の製造工程では、樹脂材料を硬化させて、絶縁層(樹脂材料の硬化物)を形成させる。また、プリント配線板等の製造工程では、電子部品等を実装する前において、絶縁層に含まれる水分及び溶剤を十分に除去することを目的として、ベーキング処理(加熱処理)が行われる。このベーキング処理が不十分であると、電子部品等の実装時に行われるリフロー工程において、絶縁層と金属層との間に膨れが生じる。特許文献1,2に記載のような従来の樹脂材料では、絶縁層から水分及び溶剤が除去されにくく、ベーキング時間が長くなることがある。このため、従来の樹脂材料を用いてプリント配線板等を製造した場合には、生産性が低下することがある。
【0007】
また、従来の樹脂材料では、該樹脂材料の硬化物に反りが生じることがある。特に、特許文献1に記載のような芳香族環を有するエポキシ化合物を含む従来の樹脂材料では、硬化物の反りがより一層生じやすい。硬化物に反りが生じると、該硬化物に付随して、回路基板及び金属層にも反りが生じ、歩留まりが低下する。
【0008】
近年、情報伝送量の増加に伴う高速通信化を達成するために、プリント配線板等は多層化、大型化及び微細配線化しており、硬化物の反りがより一層生じやすくなったり、ベーキング時間がより長くなったりしている。
【0009】
本発明の目的は、硬化物の反りを抑えることができ、かつベーキング時間を短くすることができる樹脂材料を提供することである。また、本発明は、上記樹脂材料を用いた多層プリント配線板を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、無機充填材とを含み、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である、樹脂材料が提供される。
【0011】
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B:前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【0012】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、熱硬化性官能基を除く構造部分において、tert-ブチル基を有し、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するtert-ブチル基の個数が、1個以上である。
【0013】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数が、5個以上30個以下である。
【0014】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個又は2個である。
【0015】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個である。
【0016】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有する。
【0017】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有し、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数100%中、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の最大の原子数を有する鎖が有する炭素原子の個数の割合が、40%以上90%以下である。
【0018】
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記樹脂材料は、樹脂フィルムである。
【0019】
本発明に係る樹脂材料は、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。
【0020】
本発明の広い局面によれば、回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、上述した樹脂材料の硬化物である、多層プリント配線板が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る樹脂材料は、熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において、2個以上のCH3末端を有し、かつ上記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、無機充填材とを含む。本発明に係る樹脂材料では、上記
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量が30重量%以上である。本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、硬化物の反りを抑えることができ、かつベーキング時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂材料を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明に係る樹脂材料は、熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、無機充填材とを含む。以下、「熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物」を、第1の熱硬化性化合物と記載することがある。上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性成分である。
【0025】
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B:上記第1の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【0026】
本発明に係る樹脂材料では、上記樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量が30重量%以上である。
【0027】
本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、硬化物の反りを抑えることができ、かつベーキング時間を短くすることができる。
【0028】
また、本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、硬化物の誘電正接を低くすることができる。また、本発明に係る樹脂材料は、耐リフロー性に優れる。
【0029】
従来の樹脂材料では、硬化物の反りを抑えかつベーキング時間を短くすることは困難である。特に、無機充填材が配合された樹脂材料や、芳香族環を有する熱硬化性化合物が配合された樹脂材料では、硬化物の反りを抑えかつベーキング時間を短くすることは困難である。
【0030】
これに対して、本発明に係る樹脂材料では、樹脂材料が無機充填材を含むにもかかわらず、特定の上記第1の熱硬化性化合物を含むので、ベーキング時間を短くすることができる。また、本発明に係る樹脂材料では、ベーキング時間を短くしても、プリント配線板などの電子部品を良好に形成することができる。
【0031】
また、本発明に係る樹脂材料は、2種以上の熱硬化性化合物を含んでいてもよい。本発明に係る樹脂材料は、第1の熱硬化性化合物とは異なる熱硬化性化合物を含んでいてもよい。以下、「第1の熱硬化性化合物とは異なる熱硬化性化合物」を第2の熱硬化性化合物と記載することがある。上記第2の熱硬化性化合物は、熱硬化性成分である。
【0032】
本発明に係る樹脂材料は、樹脂組成物であってもよく、樹脂フィルムであってもよい。
上記樹脂組成物は、流動性を有する。上記樹脂組成物は、ペースト状であってもよい。上記ペースト状には液状が含まれる。取扱性に優れることから、本発明に係る樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましい。
【0033】
本発明に係る樹脂材料は、熱硬化性材料であることが好ましい。上記樹脂材料が樹脂フィルムである場合には、該樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。
【0034】
以下、本発明に係る樹脂材料に用いられる各成分の詳細、及び本発明に係る樹脂材料の用途などを説明する。
【0035】
[第1の熱硬化性化合物]
本発明に係る樹脂材料は、上記第1の熱硬化性化合物を含む。上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、芳香族環を有さない熱硬化性化合物である。上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、2個以上のCH3末端を有する熱硬化性化合物である。上記第1の熱硬化性化合物は、上記式(X)を満足する熱硬化性化合物である。上記第1の熱硬化性化合物は熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さないため、絶縁層の弾性率を良好にすることができ、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。また、上記第1の熱硬化性化合物は上記(X)を満足するため、ベーキング時間を効果的に短くすることができ、また、硬化物の誘電正接を低くすることができる。上記第1の熱硬化性化合物は、硬化剤でなくてもよい。上記第1の熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、芳香族環を有さない。上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環を有さない。
【0037】
上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、脂肪族環を有していてもよい。上記脂肪族環は、環の一部に二重結合を有していてもよい。
【0038】
上記熱硬化性官能基としては、エポキシ基、マレイミド基、ベンゾオキサジン基、シアネート基、フェノール性水酸基、及び活性エステル基等が挙げられる。上記第1の熱硬化性化合物は、エポキシ化合物であってもよく、マレイミド化合物であってもよく、ベンゾオキサジン化合物であってもよく、シアネート化合物であってもよく、フェノール化合物であってもよく、活性エステル化合物であってもよい。
【0039】
上記エポキシ基は、グリシジルエステル基であってもよく、グリシジルエーテル基であってもよく、脂環式エポキシ基であってもよい。上記エポキシ基がグリシジルエステル基である場合には、熱硬化性官能基を除く構造部分とは、グリシジルエステル基を除く構造部分を意味する。上記エポキシ基がグリシジルエーテル基である場合には、熱硬化性官能基を除く構造部分とは、グリシジルエーテル基を除く構造部分を意味する。上記エポキシ基が脂環式エポキシ基である場合には、熱硬化性官能基を除く構造部分とは、オキサシクロプロパン構造を形成する2個の炭素原子と1個の酸素原子とを除く構造部分を意味する。
【0040】
上記第1の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基は、エポキシ基又はマレイミド基であることが好ましい。熱硬化性を良好にする観点からは、上記第1の熱硬化性化合物は、エポキシ化合物又はマレイミド化合物であることが好ましい。
【0041】
本発明の効果を発揮させる観点から、上記第1の熱硬化性化合物は、下記式(X)を満足する熱硬化性化合物である。
【0042】
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B:第1の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【0043】
上記式(X)において、上記「A/(B×C)」の値は、0.1以上0.6以下である。上記式(X)において、上記「A/(B×C)」の値は、好ましくは0.2以上、好ましくは0.5以下である。上記「A/(B×C)」の値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0044】
上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、2個以上のCH3末端を有するため、上記式(X)中のAは2以上である。上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数(上記式(X)中のA)は、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、好ましくは15個以下、より好ましくは10個以下である。上記CH3末端の個数が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができ、また、樹脂材料中の第1の熱硬化性化合物の溶解性を高めることができる。
【0045】
上記第1の熱硬化性化合物は熱硬化性官能基を有するため、上記式(X)中のBは1以上である。上記第1の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数(上記式(X)中のB)は、1個であってもよく、2個であってもよく、2個以上であってもよく、3個であってもよく、3個以上であってもよい。本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記第1の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数は、1個又は2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。上記第1の熱硬化性化合物は、1官能又は2官能の熱硬化性化合物であることが好ましく、1官能の熱硬化性化合物であることがより好ましい。
【0046】
上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数(上記式(X)中のC)は、好ましくは5個以上、より好ましくは8個以上、好ましくは40個以下、より好ましくは30個以下、更に好ましくは20個以下である。上記炭素原子の個数が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。また、上記炭素原子の個数が上記上限以下であると、樹脂材料中の第1の熱硬化性化合物の溶解性を高めることができる。
【0047】
上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分に炭素以外の原子を有していてもよく、炭素以外の原子を有していなくてもよい。
上記第1の熱硬化性化合物は、ケイ素原子を有していてもよく、ケイ素原子を有していなくてもよい。上記第1の熱硬化性化合物は、ケイ素原子を有さないことが好ましい。
【0048】
本発明の効果を効果的に発揮させる観点からは、上記第1の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、tert-ブチル基を有することが好ましい。上記第1の熱硬化性化合物が熱硬化性官能基を除く構造部分において、tert-ブチル基を有する場合、上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数(上記式(X)中のA)は3個以上である。
【0049】
上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するtert-ブチル
基の個数は、好ましくは1個以上である。上記tert-ブチル基の個数が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0050】
本発明の効果を効果的に発揮させる観点及び硬化物の誘電正接を低くする観点からは、上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分は、分岐構造を有することが好ましい。
【0051】
上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数100%中、上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の最大の原子数を有する鎖が有する炭素原子の個数の割合は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。上記割合が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができ、また、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。
【0052】
本発明の効果を効果的に発揮させる観点からは、上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、好ましくは400以下、より好ましくは300以下である。
【0053】
上記第1の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の分子量は、上記第1の熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び上記第1の熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合に、当該構造式から算出できる分子量を意味する。
【0054】
本発明の効果を効果的に発揮させる観点からは、上記第1の熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは200以上、好ましくは600以下、より好ましくは500以下である。
【0055】
上記第1の熱硬化性化合物の分子量は、上記第1の熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び上記第1の熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記第1の熱硬化性化合物の分子量は、上記第1の熱硬化性化合物が重合体である場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
【0056】
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記第1の熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができ、また、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。
【0057】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。上記第1の熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができ、また、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。
【0058】
[第2の熱硬化性化合物]
上記樹脂材料は、上記第2の熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記第2の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、芳香族環を有する熱硬化性化合物であってもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を除く構造部分において、CH3末端を有さないか、又は1個のCH3末端を有する熱硬化性化合物であってもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、上記式(X)を満足しない熱硬化性化合物であってもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、下記式(Y1)を満足する熱硬化性化合物であってもよく、下記式(Y2)を満足する熱硬化性化合物であってもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、硬化剤でなくてもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、硬化剤であってもよい。上記第2の熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
A’/(B’×C’)<0.1 ・・・式(Y1)
A’/(B’×C’)>0.6 ・・・式(Y2)
【0060】
上記式(Y1)及び上記式(Y2)中、A’、B’及びC’は以下を意味する。
【0061】
A’:第2の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B’:第2の熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C’:第2の熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【0062】
上記第2の熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、マレイミド化合物、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物、酸無水物、アミン化合物、チオール化合物、ホスフィン化合物、ジシアンジアミド、ビニル化合物、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、ポリアリレート化合物、ジアリルフタレート化合物、アクリレート化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0063】
上記第2の熱硬化性化合物は、エポキシ化合物、マレイミド化合物、ビニル化合物、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物の内の少なくとも1種の熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記第2の熱硬化性化合物は、エポキシ化合物、マレイミド化合物、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物及びカルボジイミド化合物の内の少なくとも1種の熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。上記第2の熱硬化性化合物は、少なくともエポキシ化合物を含むことが更に好ましい。この場合には、硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0064】
なお、上記第2の熱硬化性化合物のうち、「フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物」は一般に硬化剤である。そのため、本明細書において、「フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物」を、「硬化剤」と記載することがある。
【0065】
以下、第2の熱硬化性化合物であるエポキシ化合物、マレイミド化合物、ビニル化合物フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物、酸無水物、アミン化合物、チオール化合物、ホスフィン化合物、及びジシアンジアミドについて更に詳細に説明する。
【0066】
<エポキシ化合物>
上記エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用可能である。上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物である。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0067】
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0068】
上記エポキシ化合物は、グリシジルエーテル化合物であってもよい。上記グリシジルエーテル化合物とは、グリシジルエーテル基を少なくとも1個有する化合物である。
【0069】
誘電正接をより一層低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性及び難燃性を高める観点からは、上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、ナフタレン骨格又はフェニル骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、芳香族骨格を有するエポキシ化合物であることがより好ましい。
【0070】
誘電正接をより一層低くし、かつ硬化物の線膨張係数(CTE)を良好にする観点からは、上記エポキシ化合物は、25℃で液状のエポキシ化合物と、25℃で固形のエポキシ化合物とを含むことが好ましい。
【0071】
上記25℃で液状のエポキシ化合物の25℃での粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。
【0072】
上記エポキシ化合物の粘度は、例えば動的粘弾性測定装置(レオロジカ・インスツルメンツ社製「VAR-100」)等を用いて測定することができる。
【0073】
上記エポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、無機充填材の含有量が50重量%以上であっても、絶縁層の形成時に流動性が高い樹脂材料が得られる。このため、樹脂材料の未硬化物又はBステージ化物を回路基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
【0074】
上記エポキシ化合物の分子量は、上記エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記エポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記エポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
【0075】
硬化物の熱寸法安定性をより一層高める観点からは、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは4重量%以上、より好ましくは7重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。
【0076】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が上
記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0077】
上記エポキシ化合物の含有量の、上記第1の熱硬化性化合物と硬化剤との合計の含有量に対する重量比(エポキシ化合物の含有量/第1の熱硬化性化合物と硬化剤との合計の含有量)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。上記重量比が上記下限以上及び上記上限以下であると、誘電正接をより一層低くし、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0078】
<マレイミド化合物>
上記マレイミド化合物として、従来公知のマレイミド化合物を用いることができる。上記マレイミド化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0079】
上記マレイミド化合物は、ビスマレイミド化合物であってもよい。
【0080】
上記マレイミド化合物としては、N-フェニルマレイミド及びN-アルキルビスマレイミド等が挙げられる。
【0081】
上記マレイミド化合物は、ダイマージアミン以外のジアミン化合物又はトリマートリアミン以外のトリアミン化合物に由来する骨格を有することが好ましい。
【0082】
上記マレイミド化合物は、芳香族環を有していてもよく、有していなくてもよい。上記マレイミド化合物は、芳香族環を有することが好ましい。
【0083】
上記マレイミド化合物では、マレイミド骨格における窒素原子と、芳香族環とが結合していることが好ましい。
【0084】
硬化物の熱寸法安定性をより一層高める観点からは、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記マレイミド化合物の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0085】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記マレイミド化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは7.5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。上記マレイミド化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0086】
本発明の効果を効果的に発揮する観点からは、上記マレイミド化合物の分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、好ましくは30000未満、より好ましくは20000未満である。
【0087】
上記マレイミド化合物の分子量は、上記マレイミド化合物が重合体ではない場合、及び上記マレイミド化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記マレイミド化合物の分子量は、上記マレイミド化合物が重合体である場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
【0088】
上記マレイミド化合物の市販品としては、例えば、大和化成工業社製「BMI-4000」及び「BMI-5100」、並びにDesigner Molecules Inc
.製「BMI-3000」等が挙げられる。
【0089】
<ビニル化合物>
上記ビニル化合物として、従来公知のビニル化合物を使用可能である。上記ビニル化合物は、少なくとも1個のビニル基を有する有機化合物である。上記ビニル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0090】
上記ビニル化合物としては、ジビニルベンジルエーテル化合物が挙げられる。
【0091】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ビニル化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記ビニル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0092】
<フェノール化合物>
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
【0093】
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD-2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH-7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH-7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA-1356」及び「LA-3018-50P」)等が挙げられる。
【0094】
<活性エステル化合物>
上記活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に脂肪族鎖、脂肪族環又は芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物は、例えばカルボン酸化合物又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物又はチオール化合物との縮合反応によって得られる。活性エステル化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【0096】
上記式(1)中、X1は、脂肪族鎖を含む基、脂肪族環を含む基又は芳香族環を含む基を表し、X2は、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
【0097】
上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。さらに、上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していても
よいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
【0098】
上記活性エステル化合物は特に限定されない。熱寸法安定性及び難燃性をより一層高める観点からは、上記活性エステル化合物は、2個以上の芳香族骨格を有する活性エステル化合物であることが好ましい。硬化物の誘電正接を低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性を高める観点から、上記活性エステル化合物は、主鎖骨格中にナフタレン環を有することがより好ましい。ベーキング時間をより一層短くする観点からは、上記活性エステル化合物は、3個以上の官能基を有する活性エステル化合物であることが好ましい。硬化物の反りをより一層効果的に抑える観点からは、上記樹脂材料は、2個以上の官能基を有する活性エステル化合物と、3個以上の官能基を有する活性エステル化合物とを含むことが好ましい。上記官能基は、活性エステル基であることが好ましい。
【0099】
上記活性エステルの当量は、好ましくは200以上であり、好ましくは450以下、より好ましくは400以下、さらに好ましくは350以下である。上記活性エステルの当量が上記下限以上及び上記上限以下であると、ベーキング時間をより一層短くすることができる。
【0100】
上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC-8000-65T」、「HPC-8000L-65MT」、「EXB9416-70BK」、「HPC-8150-62T」、「HPC-8900-70BK」及び「EXB8100-65T」等が挙げられる。
【0101】
<シアネートエステル化合物>
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
【0102】
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT-30」及び「PT-60」)、並びにビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA-230S」、「BA-3000S」、「BTP-1000S」及び「BTP-6020S」)等が挙げられる。
【0103】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記シアネートエステル化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは85重量%以下、より好ましくは75重量%以下である。上記シアネートエステル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0104】
<ベンゾオキサジン化合物>
上記ベンゾオキサジン化合物としては、P-d型ベンゾオキサジン、及びF-a型ベンゾオキサジン等が挙げられる。
【0105】
上記ベンゾオキサジン化合物の市販品としては、四国化成工業社製「P-d型」等が挙げられる。
【0106】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ベンゾオキサジン化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0107】
<カルボジイミド化合物>
上記カルボジイミド化合物は、下記式(2)で表される構造単位を有する化合物である。下記式(2)において、右端部及び左端部は、他の基との結合部位である。上記カルボジイミド化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0108】
【0109】
上記式(2)中、Xは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基に置換基が結合した基、アリーレン基、又はアリーレン基に置換基が結合した基を表し、pは1~5の整数を表す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0110】
好適な一つの形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、又はシクロアルキレン基に置換基が結合した基である。
【0111】
上記カルボジイミド化合物の市販品としては、日清紡ケミカル社製「カルボジライト V-02B」、「カルボジライト V-03」、「カルボジライト V-04K」、「カルボジライト V-07」、「カルボジライト V-09」、「カルボジライト 10M-SP」、及び「カルボジライト 10M-SP(改)」、並びに、ラインケミー社製「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、及び「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0112】
<酸無水物>
上記酸無水物としては、テトラヒドロフタル酸無水物、及びアルキルスチレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0113】
上記酸無水物の市販品としては、新日本理化社製「リカシッド TDA-100」等が挙げられる。
【0114】
上記第1の熱硬化性化合物100重量部に対する上記硬化剤の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは85重量部以上、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高め、残存未反応成分の揮発をより一層抑制できる。
【0115】
上記第1の熱硬化性化合物と上記第2の熱硬化性化合物のうちの硬化剤を除く熱硬化性化合物との合計100重量部に対する上記硬化剤の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは85重量部以上、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120
重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高め、残存未反応成分の揮発をより一層抑制できる。
【0116】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは95重量%以下である。上記第1の熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0117】
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物と上記第2の熱硬化性化合物との合計の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは95重量%以下である。上記第1の熱硬化性化合物と上記第2の熱硬化性化合物との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
【0118】
[無機充填材]
上記樹脂材料は、無機充填材を含む。上記無機充填材の使用により、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。また、上記無機充填材の使用により、硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。上記無機充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0119】
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素等が挙げられる。
【0120】
硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、また、硬化物の誘電正接がより一層低くなる。また、シリカの使用により、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
【0121】
硬化環境によらず、樹脂の硬化を進め、硬化物のガラス転移温度を効果的に高くし、硬化物の熱線膨張係数を効果的に小さくする観点からは、上記無機充填材は球状シリカであることが好ましい。
【0122】
上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは500nm以上、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高くすることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。
【0123】
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
【0124】
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に硬化物と金属層と
の接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
【0125】
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。上記無機充填材が表面処理されていることにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記無機充填材が表面処理されていることにより、硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
【0126】
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン、及びエポキシシラン等が挙げられる。
【0127】
本発明に樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は、30重量%以上である。本発明では、無機充填材の含有量が30重量%以上であっても、本発明に効果を発揮することができる。
【0128】
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。さらに、この無機充填材の含有量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。
【0129】
[硬化促進剤]
上記樹脂材料は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂材料を速やかに硬化させることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0130】
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物等のアニオン性硬化促進剤、アミン化合物等のカチオン性硬化促進剤、リン化合物及び有機金属化合物等のアニオン性及びカチオン性硬化促進剤以外の硬化促進剤、並びに過酸化物等のラジカル性硬化促進剤等が挙げられる。
【0131】
上記イミダゾール化合物としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-
ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0132】
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0133】
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン化合物等が挙げられる。
【0134】
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
【0135】
上記過酸化物としてはジクミルペルオキシド、及びパーヘキシル25B等が挙げられる。
【0136】
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤を含むことが好ましく、上記イミダゾール化合物を含むことがより好ましい。
【0137】
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤100重量%中、上記アニオン性硬化促進剤の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。したがって、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤であることが最も好ましい。
【0138】
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂材料の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
【0139】
[熱可塑性樹脂]
上記樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0140】
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がり難くなる。
【0141】
上記樹脂材料に含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0142】
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0143】
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鉄住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
【0144】
ハンドリング性、低粗度でのメッキピール強度及び絶縁層と金属層との密着性を高める観点から、上記熱可塑性樹脂は、ポリイミド樹脂(ポリイミド化合物)であることが好ましい。
【0145】
溶解性を良好にし、誘電正接をより一層低くし、ベーキング時間をより一層短くする観点からは、上記ポリイミド化合物は、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンとを反応させる方法によって得られたポリイミド化合物であることが好ましい。
【0146】
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、及びビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
【0147】
上記ダイマージアミンとしては、例えば、バーサミン551(商品名、BASFジャパン社製、3,4-ビス(1-アミノヘプチル)-6-ヘキシル-5-(1-オクテニル)シクロヘキセン)、バーサミン552(商品名、コグニクスジャパン社製、バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(商品名、いずれもクローダジャパン社製)等が挙げられる。
【0148】
なお、上記ポリイミド化合物は末端に、酸無水物構造、マレイミド構造、シトラコンイミド構造を有していてもよい。この場合には、上記ポリイミド化合物とエポキシ樹脂とを反応させることができる。上記ポリイミド化合物とエポキシ樹脂とを反応させることにより、硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
【0149】
保存安定性により一層優れた樹脂材料を得る観点からは、上記熱可塑性樹脂、上記ポリ
イミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上であり、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
【0150】
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
【0151】
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の上記無機充填材及び上記溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂である場合には、ポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂フィルムの形成がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
【0152】
[溶剤]
上記樹脂材料は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂材料の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂材料の塗工性を高めることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0153】
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N-メチル-ピロリドン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
【0154】
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物中の上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性などを考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
【0155】
上記樹脂材料がBステージフィルムである場合には、上記Bステージフィルム100重量%中、上記溶剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0156】
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂材料は、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、及び揺変性付与剤等を含んでいてもよい。
【0157】
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
【0158】
(樹脂フィルム)
上述した樹脂組成物をフィルム状に成形することにより樹脂フィルム(Bステージ化物/Bステージフィルム)が得られる。上記樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムは、Bステージフィルムであることが好ましい。
【0159】
樹脂組成物をフィルム状に成形して、樹脂フィルムを得る方法としては、以下の方法が挙げられる。押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法。溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法。従来公知のその他のフィルム成形法。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
【0160】
樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50℃~150℃で1分間~10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂フィルムを得ることができる。
【0161】
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
【0162】
上記樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロス等に沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。
【0163】
上記樹脂フィルムは、金属箔又は基材フィルムと、該金属箔又は基材フィルムの表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムの形態で用いることができる。上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
【0164】
上記積層フィルムの上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のオレフィン樹脂フィルム、並びにポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材フィルムの表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
【0165】
樹脂フィルムの硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記樹脂フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。上記樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。
【0166】
(半導体装置、プリント配線板、銅張積層板及び多層プリント配線板)
上記樹脂材料は、半導体装置において半導体チップを埋め込むモールド樹脂を形成するために好適に用いられる。
【0167】
上記樹脂材料は、絶縁材料として好適に用いられる。上記樹脂材料は、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
【0168】
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂材料を加熱加圧成形することにより得られる
。
【0169】
上記樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属層を表面に有する積層対象部材を積層できる。金属層を表面に有する積層対象部材と、上記金属層の表面上に積層された樹脂フィルムとを備え、上記樹脂フィルムが上述した樹脂材料である、積層構造体を好適に得ることができる。上記樹脂フィルムと上記金属層を表面に有する積層対象部材とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記樹脂フィルムを、金属層を表面に有する積層対象部材に積層可能である。
【0170】
上記金属層の材料は銅であることが好ましい。
【0171】
上記金属層を表面に有する積層対象部材は、銅箔等の金属箔であってもよい。
【0172】
上記樹脂材料は、銅張積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張積層板が挙げられる。
【0173】
上記銅張積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1μm~50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記樹脂材料の硬化物と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
【0174】
上記樹脂材料は、多層基板を得るために好適に用いられる。
【0175】
上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記樹脂材料により形成されている。また、多層基板の絶縁層が、積層フィルムを用いて、上記積層フィルムの上記樹脂フィルムにより形成されていてもよい。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
【0176】
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
【0177】
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ、特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
【0178】
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
【0179】
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
【0180】
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶
縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料を用いて形成される。上記多層基板は、上記樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
【0181】
多層基板のうち多層プリント配線板においては、低い誘電正接が求められ、絶縁層による高い絶縁信頼性が求められる。本発明に係る樹脂材料では、誘電正接を低くし、かつ本発明の効果を発揮することによって絶縁信頼性を効果的に高めることができる。従って、本発明に係る樹脂材料は、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。
【0182】
上記多層プリント配線板は、例えば、回路基板と、上記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の上記絶縁層間に配置された金属層とを備える。上記絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料の硬化物である。
【0183】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂材料を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
【0184】
図1に示す多層プリント配線板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13~16が積層されている。絶縁層13~16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13~16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13~15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13~16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
【0185】
多層プリント配線板11では、絶縁層13~16が、上記樹脂材料の硬化物により形成されている。本実施形態では、絶縁層13~16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13~16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層プリント配線板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層プリント配線板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
【0186】
(粗化処理及び膨潤処理)
上記樹脂材料は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
【0187】
上記樹脂材料を予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
【0188】
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エ
チレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30℃~85℃で1分間~30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50℃~85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
【0189】
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0190】
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0191】
硬化物の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm以上であり、好ましくは300nm未満、より好ましくは200nm未満、更に好ましくは150nm未満である。この場合には、硬化物と金属層との接着強度が高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。さらに、導体損失を抑えることができ、信号損失を低く抑えることができる。上記算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
【0192】
(デスミア処理)
上記樹脂材料を予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、CO2レーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60μm~80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
【0193】
上記スミアを除去するために、硬化物の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
【0194】
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物等の化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
【0195】
上記樹脂材料の使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さが十分に小さくなる。
【0196】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0197】
以下の材料を用意した。
【0198】
(第1の熱硬化性化合物)
熱硬化性化合物X1:
高級脂肪酸である日産化学社製「ファインオキソコールイソステアリン酸」を用意した
。
【0199】
反応フラスコに、ファインオキソコールイソステアリン酸50重量部、アリルブロミド40重量部、炭酸カリウム19重量部、及びN-メチル-2-ピロリドン450重量部を加え、70℃で3時間撹拌し反応させた。得られた反応液をろ過し、ろ液をトルエンと水とで洗浄し、有機層を抽出した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。反応フラスコに、精製して得られた化合物50重量部とクロロホルム660重量部とを加えた。得られた溶液に3-クロロ過安息香酸(純度70%)80重量部を撹拌しながら加え、室温で6日間撹拌し反応させた。得られた反応液に、10質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液450重量部を加え、5質量%重曹水溶液及び水で有機層を洗浄した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、グリシジルエステル化合物である熱硬化性化合物X1を得た。
【0200】
熱硬化性化合物X2:
高級脂肪酸である日産化学社製「ファインオキソコールイソステアリン酸N」を用意した。ファインオキソコールイソステアリン酸の代わりに、ファインオキソコールイソステアリン酸Nを用いたこと以外は、熱硬化性化合物X1の合成方法と同様にして、グリシジルエステル化合物である熱硬化性化合物X2を得た。
【0201】
熱硬化性化合物X3:
反応フラスコに、3,5,5-トリメリルへキシルアルコール30重量部、アリルブロミド45重量部、水素化ナトリウム20重量部及びテトラヒドロフラン500重量部を加え、70℃で30時間撹拌し反応させた。得られた反応液を水で洗浄、抽出した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。反応フラスコに、精製して得られた化合物30重量部とクロロホルム400重量部とを加えた。得られた溶液に3-クロロ過安息香酸50重量部を撹拌しながら加え、室温で4日間撹拌し反応させた。得られた反応液に、10質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液300重量部を加え、5質量%重曹水溶液及び水で有機層を洗浄した後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、グリシジルエーテル化合物である熱硬化性化合物X3を得た。
【0202】
熱硬化性化合物X4:
高級脂肪酸である日産化学社製「ファインオキソコールイソステアリン酸T」を用意した。ファインオキソコールイソステアリン酸の代わりに、ファインオキソコールイソステアリン酸Tを用いたこと以外は、熱硬化性化合物X1の合成方法と同様にして、グリシジルエステル化合物である熱硬化性化合物X4を得た。
【0203】
熱硬化性化合物X5:
エポキシ化合物(グリシジルエーテル化合物)である日産化学社製「FOLDI E201」を熱硬化性化合物X5として用いた。
【0204】
熱硬化性化合物X6:
エポキシ化合物(2-エチルヘキシルグリシジルエーテル)であるナガセケムテックス社製「EX-121」を熱硬化性化合物X6として用いた。
【0205】
熱硬化性化合物X7:
滴下ロート、撹拌機、温度計、窒素同入管及び水酸化ナトリウム水溶液トラップを備えた反応容器に、マレイミド酢酸20重量部とトルエン200重量部とを添加し、攪拌しながら、室温にて塩化チオニル50重量部を滴下した。滴下終了後、反応混合物を攪拌しながら50℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧留去し、マレイミド酢酸クロライドを得
た。マレイミド酢酸クロライド30重量部、ファインオキソコール180(日産化学工業社製)42重量部、パラメトキシフェノール0.2重量部、トルエン450重量部を反応容器に入れ、100℃に加熱しながら2時間攪拌した。ピリジン10重量部を30分かけて滴下し、2時間攪拌した。反応混合物からトルエンを減圧留去し、残渣を酢酸エチル/トルエン混合溶剤に溶解し、再結晶化させたのちに溶剤を除去し、マレイミド化合物である熱硬化性化合物X7を得た。
【0206】
(第2の熱硬化性化合物)
熱硬化性化合物Y1:
3,5,5-トリメリルへキシルアルコールの代わりに、3,5-ジ-ターシャリーブチルベンジルアルコールを用いたこと以外は、熱硬化性化合物X3の合成方法と同様にして、グリシジルエーテル化合物である熱硬化性化合物Y1を得た。
【0207】
熱硬化性化合物Y2:
エポキシ化合物である三菱ケミカル社製「YX8034」を熱硬化性化合物Y2として用いた。
【0208】
熱硬化性化合物Y3:
エポキシ化合物である三菱ケミカル社製「JER871」を熱硬化性化合物Y3として用いた。
【0209】
熱硬化性化合物Y4:
ビフェニル型エポキシ化合物である日本化薬社製「NC-3000」を熱硬化性化合物Y4として用いた。
【0210】
熱硬化性化合物Y5:
エポキシ化合物である大阪ガスケミカル社製「オグソールPG-100」を熱硬化性化合物Y5として用いた。
【0211】
熱硬化性化合物Y6:
活性エステル化合物であるDIC社製「HPC-8900-70BK」(活性エステル化合物含有液、固形分70重量%)を熱硬化性化合物Y6含有液として用いた。
【0212】
熱硬化性化合物Y7:
フェノール化合物含有液であるDIC社製「LA-1356」(フェノール化合物含有液、固形分60重量%)を熱硬化性化合物Y7含有液として用いた。
【0213】
熱硬化性化合物Y8:
活性エステル化合物であるDIC社製「HPC-8150-62T」(活性エステル化合物含有液、固形分62重量%)を熱硬化性化合物Y8含有液として用いた。
【0214】
熱硬化性化合物Y9:
窒素気流下で、三つ口フラスコに1-ナフトール14.4g、テトラヒドロフラン(THF)350g及びトリエチルアミン12.1gを加え、均一になるまで撹拌した。次いで、三つ口フラスコを氷浴下で冷却しながら、イソフタロイルクロリド9.1gをゆっくりと滴下した。滴下後、常温(23℃)で1時間撹拌し、反応を進行させた。反応後、反応液に酢酸エチルを加え、1mol/Lの硝酸水溶液で洗浄後、水でさらに洗浄した。洗浄後の有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶液を減圧留去することにより、活性エステル化合物である熱硬化性化合物Y9を得た。
【0215】
熱硬化性化合物Y10:
攪拌器、還流冷却器、ディーンスタークの水分離器を備えた容器を用いて、無水トリメリット酸クロリド21.1重量部をN-メチル-2-ピロリドン200重量部に溶解させた。得られた溶液に2-ナフトール14.4重量部を添加し、更にトリエチルアミン10.1重量部を添加し、25℃で4時間撹拌して反応させた。得られた反応液に、2-メチル-4,6-ジエチル-1,3-フェニレンジアミンと2,4-ジエチル-6-メチル-1,3-フェニレンジアミンとの混合物8.9重量部を添加し、25℃で4時間撹拌して反応させた。得られた溶液に、トルエン200重量部を添加した後、150℃で水が発生しなくなるまで、4時間還流を行った。反応終了後、得られた溶液から、エバポレーターを用いてトルエンを除去した溶液を純水800重量部に適下し、析出物を濾別した後、真空乾燥を行い、活性エステル化合物である熱硬化性化合物Y10を得た。
【0216】
熱硬化性化合物Y11:
攪拌器、還流冷却器、ディーンスタークの水分離器を備えた容器を用いて、無水トリメリット酸クロリド21.1重量部をN-メチル-2-ピロリドン200重量部に溶解させた。得られた溶液に2-ナフトール14.4重量部を添加し、さらにトリエチルアミン10.1重量部を添加し、25℃で4時間撹拌して反応させた。得られた反応液に、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン14.6重量部を添加し、25℃で4時間撹拌して反応させた。得られた溶液に、トルエン200重量部を添加した後、150℃で水が発生しなくなるまで、4時間還流を行った。反応終了後、得られた溶液から、エバポレーターを用いてトルエンを除去した溶液を純水800重量部に適下し、析出物を濾別した後、真空乾燥を行い、活性エステル化合物である熱硬化性化合物Y11を得た。熱硬化性化合物Y11の当量は、446であった。
【0217】
熱硬化性化合物X1~X7,Y1~Y3の詳細を下記の表1,2に示す。
【0218】
【0219】
【0220】
(無機充填材)
シリカ含有スラリー(シリカ75重量%:アドマテックス社製「SC4050-HOA」、平均粒径1.0μm、アミノシラン処理、シクロヘキサノン25重量%)
【0221】
(硬化促進剤)
ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業社製「DMAP」)
【0222】
(熱可塑性樹脂)
フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX6954BH30」、固形分30重量%)
ポリイミド樹脂:以下の合成例にて作製されたポリイミド樹脂(合成品)。
【0223】
(合成例)
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、テトラカルボン酸二無水物(SABICジャパン合同会社製「BisDA-1000」)300.0gと、シクロヘキサノン665.5gとを入れ、容器中の溶液を60℃まで加熱した。次いで、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE1075」)89.0gと、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製)54.7gとを滴下した。その後、メチルシクロヘキサン121.0gと、エチレングリコールジメチルエーテル423.5gとを入れ、140℃で10時間かけてイミド化反応を行い、ポリイミドの溶液(不揮発分26.8重量%)を得た。得られたポリイミドの分子量(重量平均分子量)は20000であった。
【0224】
(実施例1~19及び比較例1~3)
下記の表3~5に示す成分を下記の表3~5に示す配合量(単位は固形分重量部)で配合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂材料を得た。
【0225】
樹脂フィルムの作製:
アプリケーターを用いて、離型処理されたPETフィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂材料を塗工した後、100℃のギヤオーブン内で2分30秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmである樹脂フィルム(Bステージフィルム)が積層されている積層フィルム(PETフィルムと樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
【0226】
(評価)
(1)ベーキング後のリフロー試験による硬化物の膨れ
(1-1)基板作製:
ラミネート工程及び半硬化処理:
両面銅張積層板(CCL基板)(各面の銅箔の厚み18μm、基板の厚み0.7mm、基板サイズ100mm×100mm、日立化成社製「MCL-E-679FG(R)」)を用意した。この両面銅張積層板の銅箔面の両面をメック社製「Cz8101」に浸漬して、銅箔の表面を粗化処理した。粗化処理された銅張積層板の両面に、名機製作所社製「バッチ式真空ラミネーターMVLP-500-IIA」を用いて、積層フィルムの樹脂フィルム(Bステージフィルム)側を銅張積層板上に重ねてラミネートして、積層構造体を得た。ラミネートは、30秒減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃及び圧力0.7MPaで30秒間ラミネートし、次いで、100℃及びプレス圧力0.8MPaで60秒間プレスすることにより行った。その後、PETフィルムを剥離し、100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間さらに加熱して樹脂フィルムを半硬化させた。このようにして、CCL基板に樹脂フィルムの半硬化物が積層されている積層体を得た。
【0227】
粗化処理及びデスミア処理:
(a)膨潤処理:
60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」)に、得られた積層体を入れて、10分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
【0228】
(b)過マンガン酸塩処理(粗化処理及びデスミア処理):
80℃の過マンガン酸カリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」)粗化水溶液に、膨潤処理後の積層体を入れて、30分間揺動させた。次に、25℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」)を用いて2分間処理した後、純水で洗浄を行い、デスミア処理後の積層体を得た。
【0229】
無電解めっき処理:
得られたデスミア処理後の積層体における硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、上記硬化物を25℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、上記硬化物を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、硬化物を5分間処理した。
【0230】
次に、上記硬化物を化学銅液(アトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK-DK」、「カッパープリントガントMSK」、「スタビライザープリントガントMSK」、及び「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニール処理した。なお、無電解めっきの工程までの全ての工程は、ビーカースケールで処理液を2Lとし、硬化物を揺動させながら実施した。
【0231】
電解めっき処理:
次に、無電解めっき処理された硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電解銅めっきとして硫酸銅溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cm2の電流を流しめっき厚さが25μm程度となるまで電解めっきを実施した。銅めっき処理後、硬化物を200℃で90分間加熱し、硬化物を更に硬化させた。このようにして、銅めっき層が上面に積層された硬化物を得た。
【0232】
ベーキング処理:
得られた銅めっき層が上面に積層された硬化物を、85mm角に裁断し、125℃でベーキング処理し、ベーキング処理の開始から1時間後、2時間後、6時間後の硬化物を得た。得られた硬化物について、硬化物の膨れの有無を評価した。具体的には、以下のリフロー試験を行った。
【0233】
(2-2)リフロー試験
ベーキング処理後の銅めっき層が積層された硬化物を用いて、JEDECのLEVEL3に準拠して、上記基板の吸湿(温度60℃及び湿度60RH%で40時間)を行った。ピーク温度260℃の半田リフロー温度を再現するリフロー装置(日本アントム社製「HAS-6116」)を用いてリフロー試験(リフロー温度プロファイルはIPC/JEDEC J-STD-020Cに準拠)を実施した。なお、リフローは10回繰り返した。リフロー後のブリスターの発生の有無を目視により確認した。
【0234】
[ベーキング後のリフロー試験による硬化物の膨れの判定基準]
○:10回のリフローにてブリスターの発生が無い
×:1回~9回のリフローにてブリスターの発生がある
【0235】
[ベーキング後のリフロー試験による硬化物の膨れの総合評価]
○○:ベーキング1時間の判定結果が○
○:ベーキング2時間の判定結果が○
△:ベーキング6時間の判定結果が○
×:ベーキング6時間の判定結果が×
【0236】
(2)硬化物の反り
得られた積層フィルムを50mm×50mmの大きさに裁断した。裁断された積層フィルムを、樹脂フィルム側から銅板(50mm×50mm×厚み100μm)に重ねて、ダイアフラム式真空ラミネーター(名機製作所社製「バッチ式真空ラミネーターMVLP-500-IIA」)を用い、30秒減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃及び圧力0.7MPaで30秒間ラミネートした。このようにして、銅板上に積層フィルム(樹脂フィルムの未硬化物及びPETフィルム)が積層された積層体を得た。
【0237】
PETフィルムを剥離し、得られた積層体を100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間さらに加熱した。次いで、200℃で90分間加熱した。このようにして、銅板上に樹脂フィルムの硬化物が積層された積層体を得た。銅板が下側かつ硬化物が上側となるように、該積層体を平坦なガラスの上に置き、4つの角がどの程度反っているかを測定した。平坦なガラスの上面からの4つの角までの各距離を反り量とし、4つの角の反り量の平均値を求めた。硬化物の反りを下記の基準で判定した。
【0238】
[硬化物の反りの判定基準]
○○:反り量の平均値が3mm以下
○:反り量の平均値が3mmを超え5mm以下
△:反り量の平均値が5mmを超え10mm以下
×:反り量の平均値が10mmを超える
【0239】
(3)誘電正接
得られた樹脂フィルムを100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間さらに加熱した。さらに200℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせて、関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定した。
【0240】
[誘電正接の判定基準]
〇:誘電正接が3.5×10-3以下
△:誘電正接が3.5×10-3を超え4.0×10-3以下
×:誘電正接が4.0×10-3を超える
【0241】
組成及び結果を下記の表3~5に示す。
【0242】
【0243】
【0244】
【符号の説明】
【0245】
11…多層プリント配線板
12…回路基板
12a…上面
13~16…絶縁層
17…金属層
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性官能基を除く構造部分において芳香族環を有さず、熱硬化性官能基を除く構造部分において2個以上のCH3末端を有し、かつ下記式(X)を満足する熱硬化性化合物と、
無機充填材とを含み、
前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物であり、
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である、樹脂材料。
0.1≦A/(B×C)≦0.6 ・・・式(X)
A:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するCH3末端の個数
B:前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数
C:前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数
【請求項2】
前記熱硬化性化合物が、熱硬化性官能基を除く構造部分において、tert-ブチル基を有し、
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有するtert-ブチル基の個数が、1個以上である、請求項1に記載の樹脂材料。
【請求項3】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数が、5個以上30個以下である、請求項1又は2に記載の樹脂材料。
【請求項4】
前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個又は2個である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項5】
前記熱硬化性化合物が有する熱硬化性官能基の個数が、1個である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項6】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項7】
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が、分岐構造を有し、
前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分が有する炭素原子の個数100%中、前記熱硬化性化合物の熱硬化性官能基を除く構造部分の最大の原子数を有する鎖が有する炭素原子の個数の割合が、40%以上90%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項8】
樹脂フィルムである、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項9】
多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂材料。
【請求項10】
回路基板と、
前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、
複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、
複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂材料の硬化物である、多層プリント配線板。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0224
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0224】
(実施例1~7、参考例8、実施例9~19及び比較例1~3)
下記の表3~5に示す成分を下記の表3~5に示す配合量(単位は固形分重量部)で配合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂材料を得た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0242
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0242】