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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003633
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】レール形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240105BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20240105BHJP
   E01B 35/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01B5/00 R
B61K9/08
E01B35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102910
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】長坂 整
(72)【発明者】
【氏名】兼松 義一
【テーマコード(参考)】
2D057
2F062
【Fターム(参考)】
2D057BA24
2F062AA51
2F062BC02
2F062CC22
2F062CC26
2F062DD23
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF03
2F062GG38
2F062GG44
2F062GG71
2F062MM06
2F062MM10
(57)【要約】
【課題】作業者の負担が小さく軽量な装置によってレールの断面形状を正確に測定することができるレール形状測定装置を提供する。
【解決手段】レール形状測定装置1は、レールRの断面形状を測定する装置であり、レールRに着脱自在に固定される固定部5と、レールRの断面形状を測定する測定部2を支持する支持部4と、支持部4が固定部5に固定部5を基準として支持されるように、固定部5に支持部4を着脱自在に装着する装着部15A~15Cとを備えている。支持部4は、レールRの削正時には固定部5から取り外され、レールRの形状測定時には固定部5に装着される。装着部15A~15Cは、固定部5に支持部4が3箇所で支持されるように、固定部5に支持部4を装着する。装着部15A~15Cは、固定部5側の接触部に支持部4側の接触部を接触させることによって、固定部5に支持部4を装着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの断面形状を測定するレール形状測定装置であって、
前記レールに着脱自在に固定される固定部と、
前記レールの断面形状を測定する測定部を支持する支持部と、
前記支持部が前記固定部にこの固定部を基準として支持されるように、この固定部にこの支持部を着脱自在に装着する装着部と、
を備えるレール形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレール形状測定装置において、
前記支持部は、前記レールの削正時には前記固定部から取り外され、前記レールの形状測定時には前記固定部に装着されること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記装着部は、前記固定部に前記支持部が3箇所で支持されるように、この固定部にこの支持部を装着すること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記装着部は、前記固定部側の接触部に前記支持部側の接触部を接触させることによって、この固定部にこの支持部を装着すること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレール形状測定装置において、
前記装着部は、前記固定部側の接触部に前記支持部側の接触部を位置決めする位置決め部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレール形状測定装置において、
前記位置決め部は、
前記固定部側及び前記支持部側の接触部の一方に凸部を備え、
前記固定部側及び前記支持部側の接触部の他方に前記凸部と嵌合する凹部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項7】
請求項4に記載のレール形状測定装置において、
前記装着部は、前記支持部側の接触部と前記固定部側の接触部との間に磁気吸引力を発生させる磁石部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項8】
請求項4に記載のレール形状測定装置において、
前記固定部から前記支持部が取り外されているときに、前記支持部側及び/又は前記固定部側の接触部を保護する保護カバー部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記レールの断面形状を前記測定部によって測定するときに基準位置となる基準ブロック部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載のレール形状測定装置において、
前記レールに対する前記基準ブロック部の位置を調整する位置調整部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記支持部の垂直軸回りの回転を規制する回転規制部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項12】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記レールの底部に前記固定部を着脱自在に取り付ける取付部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載のレール形状測定装置において、
前記レールの底部の両縁部に前記固定部の両端部を締結するときに、この固定部に生ずる曲げ変形を抑制する曲げ変形抑制部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載のレール形状測定装置において、
前記曲げ変形抑制部は、前記固定部の両端部の下面と前記取付部との間に形成された間隙部であること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項15】
請求項13に記載のレール形状測定装置において、
前記曲げ変形抑制部は、前記レールの底部の中央部と前記固定部の中央部の上面との間に形成された間隙部であること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【請求項16】
請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、
前記固定部側の測定基準部を基準とする前記支持部の相対的な高さを測定する高さ測定部を、この支持部に保持する保持部を備えること、
を特徴とするレール形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レールの断面形状を測定するレール形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の形状スキャニング装置(以下、従来技術1という)は、平面内で移動可能な第1アーム及び第2アームを有するリンク機構の可動部と、この可動部を支持する固定部と、この固定部をレールに取り付ける取付部などを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1は、レール表面と回転接触するローラが第2アームの自由端部に取り付けられており、第1アームと第2アームの端部同士と、第2アームと固定部とをエンコーダ継手によってそれぞれ連結し、エンコーダ継手の出力信号に基づいてレール断面形状を測定している。
【0003】
従来のレール断面形状測定装置(以下、従来技術2という)は、レールに固定される固定金具と、固定金具を着脱するためのクランプ部と、この固定金具に取り付けられてレール頭部を囲む円形ガイドと、この円形ガイドに装着されてレール断面形状の変化を測定するレーザ変位計などを備えている(例えば、非特許文献1参照)。この従来技術2は、レーザ変位計を円形ガイドに沿って作業者が手動で移動させながら、レール断面形状をレーザ変位計によって測定している。
【0004】
従来の携帯型非接触測定器(以下、従来技術3という)は、レールにレーザ光を照射する照射部と、レールから反射する反射光を受光するセンサ部と、レール断面形状を測定する画像処理部などを備えている(例えば、非特許文献2参照)。この従来技術3は、携帯型の装置本体を作業者が手に持った状態で、レール方面に沿って装置本体を動かしながら非接触でレール断面形状を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平06-507428号公報
【0006】
【非特許文献1】近鉄軌道エンジニアリング株式会社,’’レール断面形状測定装置’’,[online],][令和3年3月10日検索],インターネット<URL: http://www.kte-net.co.jp/business/newtechnology/measurement.html>
【0007】
【非特許文献2】NEXTSENSE(ネクストセンス),’’ NEXTSENSE GmbH(ネクストセンス)’’,[online],][令和3年3月10日検索],インターネット<URL: http://sunvision.jp/track/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鉄道では、走行時の列車走行音などを低減するために、レール頭頂面の凹凸などを除去して平滑化するために、このレール頭頂面の凹凸などをグラインダによって削正して、レール断面形状を復元することなどを目的とするレール削正作業が実施されている。このようなレール削正作業は、近年、レール頭頂面の凹凸を削り取るレール削正車によって実施されている。レール削正作業では、レール削正前後のレール断面形状を測定し、レール削正量を正確に把握することが必要である。
【0009】
従来技術1は、絶対的な基準点がないため正確な切削量を把握することが困難である。従来技術2は、レール削正時にクランプ部を操作して基準となる固定金具をレールから取り外し、レール削正後にクランプ部を操作して固定金具をレールに取り付ける必要がある。このため、従来技術2は、重いガイド部などを作業者が取り外す必要があり、作業者の負担が大きくなってしまう問題点がある。また、従来技術2は、レール削正後にレールの同一の箇所を測定することが困難であり、レール削正前後のレール断面形状を正確に比較することができない問題点がある。従来技術3は、作業者が手に持って測定をする必要があるため基準面が不正確になり、レールの同一の箇所をレール削正前後で正確に測定することができない問題点がある。
【0010】
この発明の課題は、作業者の負担が小さく軽量な装置によってレールの断面形状を正確に測定することができるレール形状測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1及び図3図6に示すように、レール(R)の断面形状(S11,S21)を測定するレール形状測定装置であって、前記レールに着脱自在に固定される固定部(5)と、前記レールの断面形状を測定する測定部(2)を支持する支持部(4)と、前記支持部が前記固定部にこの固定部を基準として支持されるように、この固定部にこの支持部を着脱自在に装着する装着部(15A~15C)とを備えるレール形状測定装置(1)である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のレール形状測定装置において、図1及び図7に示すように、前記支持部は、前記レールの削正時には前記固定部から取り外され、前記レールの形状測定時には前記固定部に装着されることを特徴としているレール形状測定装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図1及び図3図5に示すように、前記装着部は、前記固定部に前記支持部が3箇所で支持されるように、この固定部にこの支持部を装着することを特徴とするレール形状測定装置である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図3図5図7図21及び図22に示すように、前記装着部は、前記固定部側の接触部(17A~17C)に前記支持部側の接触部(16A~16C)を接触させることによって、この固定部にこの支持部を装着することを特徴とするレール形状測定装置である。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載のレール形状測定装置において、図7及び図21に示すように、前記装着部(15A)は、前記固定部(5)側の接触部(17A)に前記支持部(4)側の接触部(16A)を位置決めする位置決め部(18)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載のレール形状測定装置において、図21に示すように、前記位置決め部は、前記固定部側及び前記支持部側の接触部の一方に凸部(18a)を備え、前記固定部側及び前記支持部側の接触部の他方に前記凸部と嵌合する凹部(18b)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0017】
請求項7の発明は、請求項4に記載のレール形状測定装置において、図21及び図22に示すように、前記装着部(15A~15C)は、前記支持部側の接触部(16A~16C)と前記固定部側の接触部(17A~17C)との間に磁気吸引力を発生させる磁石部(19A~19C)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0018】
請求項8の発明は、請求項4に記載のレール形状測定装置において、図21及び図22に示すように、前記固定部から前記支持部が取り外されているときに、前記支持部側及び/又は前記固定部側の接触部を保護する保護カバー部(22A~22C,23A~23C)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図1図3図5図7図8及び図10に示すように、前記レールの断面形状を前記測定部によって測定するときに基準位置となる基準ブロック部(3)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0020】
請求項10の発明は、請求項9に記載のレール形状測定装置において、図26及び図28に示すように、前記レールに対する前記基準ブロック部の位置を調整する位置調整部(24)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図1図5図7図10及び図22に示すように、前記支持部の垂直軸(Z)回りの回転を規制する回転規制部(20)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図3図11図12図16図19及び図20に示すように、前記レールの底部(R2)に前記固定部を着脱自在に取り付ける取付部(10A,10B)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0023】
請求項13の発明は、請求項12に記載のレール形状測定装置において、図11図13図16図19及び図20に示すように、前記レールの底部の両縁部に前記固定部の両端部を締結するときに、この固定部に生ずる曲げ変形を抑制する曲げ変形抑制部(7,8)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0024】
請求項14の発明は、請求項13に記載のレール形状測定装置において、図3図11図15図16及び図19に示すように、前記曲げ変形抑制部(7)は、前記固定部の両端部の下面(5b)と前記取付部との間に形成された間隙部であることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0025】
請求項15の発明は、請求項13に記載のレール形状測定装置において、図3図11図13図15及び図20に示すように、前記曲げ変形抑制部(8)は、前記レールの底部(R2)の中央部と前記固定部の中央部の上面(5a)との間に形成された間隙部であることを特徴とするレール形状測定装置である。
【0026】
請求項16の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレール形状測定装置において、図27図28及び図31図34に示すように、前記固定部側の測定基準部(27A,27B)を基準とする前記支持部の相対的な高さ(δ1,δ2)を測定する高さ測定部(28A,28B)を、この支持部に保持する保持部(29A,29B)を備えることを特徴とするレール形状測定装置である。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、作業者の負担が小さく軽量な装置によってレールの断面形状を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部に支持部を取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の平面図である。
図3】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の正面図である。
図4】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の右側面図である。
図5】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の左側面図である。
図6】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の基準ブロック部の機能を説明するための模式図であり、(A)はレール削正前のレール断面形状の測定結果を示す模式図であり、(B)はレール削正後のレール断面形状の測定結果を示す模式図であり、(C)はレール削正前後のレール断面形状の測定結果を重ね合わせた模式図である。
図7】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部から支持部を取り外した状態を示す斜視図である。
図8】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部から取り外した支持部の正面図である。
図9】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部から取り外した支持部の右側面図である。
図10】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部から取り外した支持部の左側面図である。
図11】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の支持部を取り外した固定部の正面図である。
図12】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の支持部を取り外した固定部の平面図である。
図13】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の平面図である。
図14図12のXIV-XIV線で切断した状態を示す断面図である。
図15図12のXV-XV線で切断した状態を示す断面図である。
図16】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の底面図である。
図17】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の支持部を取り外した固定部の右側面図である。
図18】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の支持部を取り外した固定部の左側面図である。
図19】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の両端の曲げ変形抑制部の原理を説明するための模式図であり、(A)は曲げ変形抑制部を備えている場合の模式図であり、(B)は曲げ変形抑制部を備えていない場合の模式図である。
図20】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の中央の曲げ変形抑制部の原理を説明するための模式図であり、(A)は曲げ変形抑制部を備えている場合の模式図であり、(B)は曲げ変形抑制部を備えていない場合の模式図である。
図21図4のXXI部分の縦断面図であり、(A)は固定部に支持部を装着した状態を示す縦断面図であり、(B)は固定部から支持部を取り外した状態を示す縦断面図である。
図22図4のXXII部分の縦断面図であり、(A)は固定部に支持部を固定した状態を示す縦断面図であり、(B)は固定部から支持部を固定解除した状態を示す縦断面図であり、(C)は固定部から支持部を取り外した状態を示す縦断面図である。
図23】この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の作用を説明するために模式図であり、(A)はレール削正前にレール断面形状を測定している状態を示す模式図であり、(B)はレール削正前に固定部から支持部を取り外した状態を示す模式図であり、(C)はレール削正中の状態を示す模式図であり、(D)はレール削正後にレール断面形状を測定している状態を示す模式図である。
図24】この発明の第2実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の両欄の曲げ変形抑制部の縦断面図である。
図25】この発明の第2実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の両端の曲げ変形抑制部の原理を説明するための模式図であり、(A)は曲げ変形抑制部を備えている場合の模式図であり、(B)は曲げ変形抑制部を備えていない場合の模式図である。
図26】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の正面図である。
図27】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の右側面図である。
図28】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の左側面図である。
図29】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の位置調整部の原理を説明するための模式図である。
図30】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の平面図である。
図31図27に示すXXXI部分の縦断面図であり、(A)は固定部から支持部を取り外した状態を示す縦断面図であり、(B)は固定部に支持部を装着した状態を示す縦断面図である。
図32図28に示すXXXII部分の縦断面図であり、(A)は固定部から支持部を取り外した状態を示す縦断面図であり、(B)は固定部に支持部を装着した状態を示す縦断面図である。
図33】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の一方の高さ測定部による測定原理を説明するための模式図であり、(A)は支持部を固定部に装着したときの測定状態を示す模式図であり、(B)は一旦取り外した支持部を固定部に再装着したときの測定状態を示す模式図である。
図34】この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の他方の高さ測定部による測定原理を説明するための模式図であり、(A)は支持部を固定部に装着したときの測定状態を示す模式図であり、(B)は一旦取り外した支持部を固定部に再装着したときの測定状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1図5に示すレールRは、車輪Wを案内する部材である。レールRは、鉄道車両の左右の車輪Wをそれぞれ支持し案内してこの鉄道車両を走行させる。レールRは、レール頭部R1と、レール底部(フランジ部)R2と、レール腹部(ウェブ部)R3などを備えている。レール頭部R1は、車輪Wと接触する部分である。レール頭部R1は、車輪Wを直接支持する頭頂面(頭部上面)R11と、レール頭部R1の左右の側面部分を構成する頭部側面R12と、頭頂面R11と頭側面R12との間を繋ぐゲージコーナー部R13などを備えている。レール底部R2は、レールRを支持する支承体(支持体)に取り付けられる部分である。レール底部R2は、レールRと支承体とを締結するレール締結装置によって押さえ付けられる底部上面R21と、支承体上に設置される底部下面R22と、レール底部R2の左右の側面部分を構成する底部側面R23などを備えている。レール腹部R3は、レール頭部R1とレール底部R2とを繋ぐ部分である。レール腹部R3は、レール頭部R1に作用する荷重をレール底部R2に伝達する。レールRは、例えば、60kgレール又は50kgNレールのような高さ及び幅などの寸法が異なる複数種類が存在する。
【0030】
図2及び図3に示す車輪Wは、レールRと回転接触する部材である。車輪Wは、レール頭部R1の頭頂面R11と接触して摩擦抵抗を受ける踏面W1と、脱輪を防止するために車輪Wの外周部に連続して形成されたフランジ面W2などを備えている。
【0031】
図1図5及び図7図10に示すレール形状測定装置1は、レール断面形状を測定する装置である。レール形状測定装置1は、例えば、レール断面形状の変化の前後を測定することによって、レールRの削正量を測定するレール削正量測定器である。ここで、レール削正とは、レール表面の凹凸を平滑化する作業である。レール削正は、レール溶接部又は波状摩耗のような頭頂面R11の凹凸を平滑化したり、転がり接触による疲労損傷の一種である頭頂面R11のシェリングを予防したりするために実施される。レール削正は、例えば、レール削正車のような特殊車を用いて、レール面に対して略平行に砥石(グラインダ)を回転させながら砥石をレール面に押し付けて前進し、レール表面の凹凸を砥石によって削正する。レール断面形状とは、レールRの中心線に対して垂直な平面で切断したときのレールRの断面の形状である。レール形状測定装置1は、レール断面形状の変化の前後を測定する。レール形状測定装置1は、例えば、レールRのレール頭部R1のうち頭頂面R11、頭部側面R12及びゲージコーナー部R13の断面形状の変化の前後を測定する。
【0032】
レール形状測定装置1は、図1図5及び図7図10に示す測定部2と、図1図3図5図8及び図10に示す基準ブロック部3と、図1図5及び図7図10に示す支持部4と、図1図3図5図7及び図11図18に示す固定部5と、図13図14及び図16に示す固定部側嵌合部6と、図3図11図15及び図16に示す曲げ変形抑制部7と、図3図11及び図13図15に示す曲げ変形抑制部8と、図13図15に示す磁石部9と、図3図5図7及び図11図18に示す取付部10A,10Bと、図13図14及び図16に示す取付部側嵌合部13と、図12図14及び図15に示す締結部14と、図1図3図5及び図7に示す装着部15A~15Cと、図7図11図13図17及び図21に示す位置決め部18と、図21及び図22に示す磁石部19A~19Cと、図22に示す回転規制部20と、切替部21と、図21及び図22に示す支持部側保護カバー部22A~22Cと、固定部側保護カバー部23A~23Cなどを備えている。
【0033】
図1図5及び図7図10に示す測定部2は、レール断面形状を測定する手段である。測定部2は、レールRの表面に沿って接触しながらレール断面形状を測定する接触式のレール断面形状測定装置である。測定部2は、支持部4の搭載部4aにボルトなどの締結部材によって着脱自在に固定されている。測定部2は、図1図5及び図7図10に示す測定子(接触子)2aと、回転アーム部2bと、図1図2図5図7及び図9に示す回転検出部2cと、図1図5及び図7図10に示す回転アーム部2dと、回転検出部2eと、図1に示す演算部2fと、表示部2gなどを備えている。測定部2は、回転アーム部2b,2dによって構成されるリンク機構によって測定子2aが支持されており、レールRの中心線に対して垂直である垂直面(図1に示すXZ平面)内におけるこのリンク機構の可動範囲内で、測定子2aが移動可能である。測定部2は、レールRの表面に沿って測定子2aを接触移動させたときに回転検出部2c,2eが出力する回転検出信号に基づいて、レール断面形状を演算部2fが演算し、レール断面形状を表示部2gが表示する。
【0034】
図1図5及び図7図10に示す測定子2aは、レールRの表面と回転接触する部分である。測定子2aは、円板状の回転体(ローラ)であり、レールRの表面と接触するように、この測定子2aとレールRとの間に磁気吸引力を発生する磁石部を備えている。測定子2aは、レールRの表面に付着する汚れ、粉塵、切削粉又は油などの付着物による測定結果への影響を低減するために、この付着物を押し退けるようにレールRの表面と接触する外周部が鋭角に形成されている。
【0035】
回転アーム部2bは、測定子2aを回転自在に支持する部分である。回転アーム部2bは、回転検出部2cの回転軸(検出軸)を中心として回転可能であり、外観が板状のリンク部材である。回転アーム部2bは、先端部に測定子2aが回転自在に連結されており、後端部に回転検出部2cの回転軸が連結されている。図1図2図5図7及び図9に示す回転検出部2cは、回転アーム部2dに対する回転アーム部2bの回転を検出する部分である。回転検出部2cは、例えば、高精度の測定が可能な光学式ロータリエンコーダのような検出装置である。回転検出部2cは、この回転検出部2cの回転軸によって回転アーム部2bの回転移動量、回転方向及び回転角を検出して、これらの検出結果を回転検出信号として演算部2fに出力する。
【0036】
図1図5及び図7図10に示す回転アーム部2dは、回転アーム部2bを回転自在に支持する部分である。回転アーム部2dは、回転検出部2eの回転軸(検出軸)を中心として回転可能であり、外観が板状のリンク部材である。回転アーム部2dは、先端部に回転検出部2cの回転軸を介して回転アーム部2bの後端部が連結されており、後端部に回転検出部2eの回転軸が連結されている。回転検出部2eは、回転アーム部2dの回転を検出する部分である。回転検出部2eは、回転検出部2cと同様の検出装置である。回転検出部2eは、この回転検出部2eの回転軸によって回転アーム部2dの回転移動量、回転方向及び回転角を検出して、これらの検出結果を回転検出信号として演算部2fに出力する。
【0037】
図1に示す演算部2fは、レール断面形状を演算する部分である。演算部2fは、回転検出部2c,2eが出力する回転検出信号に基づいて、レール断面形状を演算する。表示部2gは、演算部2fの演算結果を表示する部分である。表示部2gは、例えば、図6(A)に示すレール削正前のレール断面形状S11とレール削正後のレール断面形状S21とを画面上に表示したり、レール削正量Δを画面上に表示したりする。
【0038】
図1図3図5図8及び図10に示す基準ブロック部3は、レール断面形状S11,S21を測定部2によって測定するときに基準位置となる部分である。基準ブロック部3は、レール削正前後のレール断面形状S11,S21を測定部2によって測定するときに測定基準となるブロックゲージ部として機能する。基準ブロック部3は、図2及び図3に示すように、車輪Wのフランジ面W2が位置する側(フランジ側)とは反対側(反フランジ側)のレール頭部R1の頭部側面R12との間に隙間をあけて配置されている。基準ブロック部3は、レールRが左右対称形状であり、レール削正前後のレール断面形状S11,S21だけではレールRの左右を判別できないため、レールRの左右を特定する指標部としても機能する。基準ブロック部3は、図1図3図7図8及び図10に示すように、支持部4の脚部4cに固定されている。基準ブロック部3は、図3に示すように、測定子2aが回転接触するこの基準ブロック部3の表面(基準面)が高精度に平滑に加工されており、側面形状が略S字状の段部に形成されている。基準ブロック部3は、垂直基準面3aと、垂直基準面3aの下端部から水平に伸びる下側の水平基準面3bと、垂直基準面3aの上端部から水平に伸びる上側の水平基準面3cなどを備えている。
【0039】
ここで、この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の基準ブロック部の原理について説明する。
図6(A)に示すレール断面形状S11は、レール削正前のレール断面形状であり、レール頭部R1が摩耗した状態のレール頭部R1の断面形状である。図6(B)に示すレール断面形状S21は、レール削正後のレール断面形状であり、レール頭部R1が削正された状態のレール頭部R1の断面形状である。図6(A)(B)に示す基準形状S10,S20は、基準ブロック部3の断面形状である。図6(A)に示すように、レール削正前に、基準ブロック部3に沿って測定子2aを回転接触させたときの基準形状S10と、レールRの表面に沿って測定子2aを回転接触させたときのレール断面形状S11とを演算部2fが演算する。次に、図6(B)に示すように、レール削正後に、基準ブロック部3に沿って測定子2aを回転接触させたときの基準形状S20と、レールRの表面に沿って測定子2aを回転接触させたときのレール断面形状S21とを演算部2fが演算する。レール削正前及びレール削正後では、基準形状S10,S20には変化がない。このため、図6(C)に示すように、レール削正前後の基準形状S10,S20を演算部2fが重ね合わせたときに、レール断面形状S11とレール断面形状S21との差分をレール削正量Δとして演算部2fが演算する。
【0040】
図1図5及び図7図10に示す支持部4は、測定部2を支持する部分である。支持部4は、図7に示すように、レール削正時には固定部5から取り外され、図1に示すようにレール形状測定時には固定部5に装着される。支持部4は、図1及び図2に示すように、平面形状が略L字形であり、図1図3図7及び図8に示すように正面形状が略逆U字状の上面板であり、アルミニウムなどの比較的軽量な金属製の板状部材である。支持部4は、図1及び図3に示すように、固定部5に取り付けられたときにレールRを跨ぐように、レールRの上面と間隔をあけて水平方向に配置されている。支持部4は、図1図5及び図7図10に示す搭載部4aと、図1図3図5及び図7図10に示す脚部4b,4cなどを備えている。
【0041】
図1図5及び図7図10に示す搭載部4aは、測定部2を搭載する部分である。搭載部4aは、図3に示すように、測定部2の底部と接触する平坦面であり、レール頭部R1の頭頂面R11の中央部の上方に配置されている。図1図3図5及び図7図10に示す脚部4b,4cは、搭載部4aを支持する部分である。脚部4b,4cは、図3に示すように、レールRの側面と間隔をあけて垂直方向に配置されている。図1図3図7及び図8に示すように、脚部4bは搭載部4aの一方の端部に固定されており、脚部4cは搭載部4aの他方の端部に固定されている。脚部4bは、図1図4図7及び図9に示すように、側面形状が略逆Y字状であり、この脚部4bの下端部側が2つに分岐している。脚部4b,4cは、搭載部4aに着脱自在であり、高さの異なる複数種類のレールRに対応するために複数種類が存在し、レールRの種類に応じて交換可能である。
【0042】
図1図3図5図7及び図11図18に示す固定部5は、レールRに着脱自在に固定される部分である。固定部5は、レール削正前のレール断面形状S11を測定するときにレール底部R2に取り付けられて、レール削正中にはレール底部R2に取り付けられたままの状態を維持し、レール削正後のレール断面形状S21を測定した後にレール底部R2から取り外される。固定部5は、図13及び図16に示すように、平面形状が略四角形の底面板であり、アルミニウムなどの比較的軽量な金属製の板状部材である。固定部5は、この固定部5の軽量化を図るために、4つの角部のうちの1つの角部が面取りされている。固定部5は、図11~~図15に示すように、レール底部R2に取り付けたときにレール底部R2の両端部から突出するように、レール底部R2の幅よりも長く形成されている。固定部5は、幅の異なる複数種類のレールRに対応するために複数種類が存在し、レールRの種類に応じて交換可能である。固定部5は、図11及び図13図15に示す上面5aと、図11及び図14図16に示す下面5bと、図13図15に示す収容部5cなどを備えている。
【0043】
図11及び図13図15に示す上面5aは、固定部5の表面側を構成する部分である。上面5aは、レール底部R2の底面と接触するように平坦面に形成されている。図11及び図14図16に示す下面5bは、固定部5の裏面側を構成する部分である。下面5bは、上面5aと同様に平坦面に形成されている。図13図15に示す収容部5cは、磁石部9を収容する部分である。収容部5cは、図13に示すように、上面5aの長さ方向及び幅方向に2箇所ずつ間隔をあけて配置されており、平面形状が円形の凹部である。
【0044】
図13図14及び図16に示す固定部側嵌合部6は、取付部側嵌合部13と着脱自在に嵌合する部分である。固定部側嵌合部6は、図13及び図16に示すように、固定部5の両端部に形成された平面形状が四角形の切欠部であり、固定部5の中心線上に配置されている。固定部側嵌合部6は、取付部側嵌合部13と嵌合したときに、固定部5に対して取付部10A,10Bを所定の位置に位置決めする位置決め部として機能する。固定部側嵌合部6は、図13図14及び図16に示すように、取付部10A,10B側の接触部13aと接触する接触部6aなどを備えており、図14に示すように接触部6aは上面5a及び下面5bに対して垂直な平坦面に形成されている。
【0045】
図3図11図15及び図16に示す曲げ変形抑制部7は、レール底部R2の両縁部に固定部5の両端部を締結するときに、固定部5に生ずる曲げ変形を緩和する部分である。曲げ変形抑制部7は、図15に示すように、固定部5の両端部と取付部10A,10Bの下側クランプ部12とが接触するのを防ぐ逃げ部として機能する。曲げ変形抑制部7は、固定部5の両端部の下面5bと取付部10A,10Bとの間に形成された間隙部である。曲げ変形抑制部7は、レール底部R2に固定部5を取付部10A,10Bによって締結したときに、固定部5の両端部と取付部10A,10Bとが接触して固定部5が曲げ変形するのを防ぐ。曲げ変形抑制部7は、取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面と固定部5の下面5bとの間に形成されている。曲げ変形抑制部7は、図16に示すように、固定部5の下面5bの両端部を切り欠くように形成された平面形状が四角形の凹部であり、固定部5の中心線上に配置されている。曲げ変形抑制部7は、図19(A)に示すように、取付部10A,10Bの下側クランプ部12の締結力作用部12a以外の部分と固定部5の下面5bとが接触しないように、図16に示すように下側クランプ部12の幅よりも広く形成されている。
【0046】
ここで、この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の両端の曲げ変形抑制部の原理を説明する。
レールRには基準となる寸法に対して許容される寸法許容差(限界差)があり、この寸法許容差の範囲内でレール底部R2の底部上面R21の高さが基準値よりも高くなって製造されることがある。レール底部R2の高さが基準値である場合には、上側クランプ部11がレール底部R2に作用させる締結力Fの作用点(接触点)P1と、下側クランプ部12が固定部5に作用させる締結力Fの作用点(接触点)P2とが上下方向でほぼ一致する。このため、固定部5に曲げモーメントが作用しない。
【0047】
図19(B)に示すように、レール底部R2の底部上面R21の高さが基準値よりも高い場合には、下側クランプ部12が固定部5に作用させる締結力Fの作用点P2が固定部5の両端部寄りに移動する。このため、曲げ変形抑制部7を固定部5が備えていない場合には、上側クランプ部11がレール底部R2に作用させる締結力Fの作用点P1よりも、下側クランプ部12が固定部5に作用させる締結力Fの作用点(接触点)P2が外側になる。取付部10A,10Bを締結したときに、レール底部R2の両縁部と固定部5の両端部の下面5bとが接触すると、固定部5の両端部に曲げモーメントMが作用する。その結果、固定部5が下側に凸状に曲げ変形して、固定部5に装着される支持部4の高さが変化し、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じる。
【0048】
一方、図19(A)に示すように、曲げ変形抑制部7を固定部5が備えている場合には、固定部5の両端部の下面5bと下側クランプ部12の上面との間に隙間が形成されている。このため、レール底部R2の底部上面R21の高さが基準値よりも高い場合に、作用点P1,P2に締結力Fを作用させても、下側クランプ部12の締結力作用部12a以外の下側クランプ部12の上面と固定部5の下面5bとが接触しない。その結果、締結力Fの作用点P2が固定部5の両端部寄りに移動しないため、固定部5の両端部に曲げモーメントMが作用しない。このため、固定部5が曲げ変形せず、固定部5に装着される支持部4の高さが変化することもなく、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じない。
【0049】
図3図11及び図13図15に示す曲げ変形抑制部8は、レール底部R2の両縁部に固定部5の両端部を締結するときに、固定部5に生ずる曲げ変形を緩和する部分である。曲げ変形抑制部8は、図3図11図14及び図15に示すように、レール底部R2の中央部と固定部5の中央部とが接触するのを防ぐ逃げ部として機能する。曲げ変形抑制部8は、レール底部R2の中央部と固定部5の中央部の上面5aとの間に形成された間隙部である。曲げ変形抑制部8は、レール底部R2に固定部5を取付部10A,10Bによって締結したときに、レール底部R2の中央部と固定部5とが接触して固定部5が曲げ変形するのを防ぐ。曲げ変形抑制部8は、レール底部R2の底部下面R22と固定部5の上面5aとの間に形成されている。曲げ変形抑制部8は、図13に示すように、固定部5の上面5aの中央部を切り欠くように形成された平面形状が四角形の凹部であり、図14及び図15に示すようにレール底部R2の底部下面R22の両縁部のみが固定部5の上面5aと接触するように配置されている。曲げ変形抑制部8は、図13に示すように、固定部5の幅方向(レールRの長さ方向)に沿って、固定部5の一方の縁部から他方の縁部まで、レール底部R2の幅よりも長さが短くなるように、直線状に形成されている。
【0050】
ここで、この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の固定部の中央の曲げ変形抑制部の原理を説明する。
レールRの寸法許容差の範囲内でレール底部R2の底部下面R22が平坦面ではなく、底部下面R22が僅かに湾曲面になり下側に凸状になって製造されることがある。図20(B)に示すように、曲げ変形抑制部8を固定部5が備えていない場合に、レール底部R2の中央部と固定部5の中央部の上面5aとが接触して、レール底部R2から固定部5の主に中央部に下向きの荷重(締結力の合力2F)が作用する。このため、取付部10A,10Bによって作用点P1,P2に締結力Fを作用させると、固定部5の端部に上向きの力が作用して、固定部5の両端部に曲げモーメントMが作用する。その結果、レール底部R2の底部下面R22の形状に沿って固定部5が下側に凸状に曲げ変形するため、固定部5に装着される支持部4の高さが変化し、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じる。
【0051】
一方、図20(A)に示すように、曲げ変形抑制部8を固定部5が備えている場合には、レール底部R2の底部下面R22の中央部と固定部5の中央部の上面5aとの間に隙間が形成される。このため、レール底部R2の底部下面R22が下側に凸状である場合に、取付部10A,10Bによって作用点P1,P2に締結力Fを作用させても、レール底部R2の底部下面R22の中央部と固定部5の中央部の上面5aとが接触しない。その結果、固定部5の両端部に曲げモーメントMが作用しないため、固定部5が曲げ変形せず、固定部5に装着される支持部4の高さが変化することもなく、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じない。
【0052】
図13図15に示す磁石部9は、レールRと固定部5との間に磁気吸引力を発生させる部分である。磁石部9は、レール底部R2の底部下面R22に固定部5を磁力によって吸着させて、レール底部R2に固定部5を仮固定する。磁石部9は、例えば、ネオジム磁石のような永久磁石であり、外観が円板状に形成されている。磁石部9は、図13に示すように、曲げ変形抑制部8の両端部から間隔をあけて固定部5の幅方向にそれぞれ2つずつ配置されている。
【0053】
図3図5図7及び図11図18に示す取付部10A,10Bは、固定部5をレール底部R2に取り付ける部分である。取付部10A,10Bは、図3図11図14及び図15に示すように、レール底部R2の底部下面R22と固定部5の上面5aとを密着させて、レール底部R2に固定部5を固定する。取付部10A,10Bは、側面形状が略C字状の金属製の部材である。取付部10A,10Bは、レール底部R2及び固定部5に締結力Fを作用させることによってこれらを固定するクランプ装置であり、レール底部R2の所定の位置に固定部5を位置決めする。取付部10A,10Bは、レール底部R2に対して固定部5が図1に示すX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動するのを規制する移動規制部として機能するとともに、X軸回り(ロール方向)、Y軸回り(ピッチング方向)及びZ軸回り(ヨーイング方向)に回転するのを規制する回転規制部としても機能する。取付部10A,10Bは、いずれも同一構造であり、取付部10Aは固定部5の一方の端部をレール底部R2の一方の底部上面R21に固定し、取付部10Bは固定部5の他方の端部をレール底部R2の他方の底部上面R21に固定する。取付部10A,10Bは、レール底部R2及び固定部5を挟み込み、これらに締結力Fを作用させてレール底部R2に固定部5を固定する。取付部10A,10Bは、図3図11図13図14及び図16及び図15に示す上側クランプ部11と、下側クランプ部12と、図13図14及び図16に示す取付部側嵌合部13と、図12図14及び図15に示す締結部14などを備えている。
【0054】
図13図14及び図16及び図15に示すに示す上側クランプ部11は、レール底部R2を押圧する部分である。上側クランプ部11は、図3図11図14及び図15に示すように、下側クランプ部12との間にレール底部R2及び固定部5を挟み込む。上側クランプ部11は、図12に示すように、平面形状が四角形の板状部材である。上側クランプ部11は、図3図11図14及び図15に示す締結力作用部11aと、図14及び図15に示す嵌合部11bと、図14に示す挿入部11cと、図12図14及び図15に示す座面部11dなどを備えている。
【0055】
図3図11図14及び図15に示す締結力作用部11aは、レール底部R2に締結力Fを作用させる部分である。締結力作用部11aは、上側クランプ部11の先端部下面に形成されている。締結力作用部11aは、レール底部R2の底部上面R21と密着するように、底部上面R21に沿った形状に形成されており、底部上面R21の傾斜角と同じ角度で傾斜する平坦な傾斜面に形成されている。図14及び図15に示す嵌合部11bは、下側クランプ部12側の嵌合部12bと嵌合する部分である。嵌合部11bは、締結力作用部11aが形成されている側とは反対側の上側クランプ部11の後端部端面及び後端部下面に形成されている。図14に示す挿入部11cは、締結部14の締結ボルト14aを挿入する部分である。挿入部11cは、上側クランプ部11を上下方向に貫通する貫通孔である。図12図14及び図15に示す座面部11dは、締結部14の座金14bを載せる部分である。座面部11dは、上側クランプ部11の上面に形成された平坦面である。
【0056】
図3図11図13図14及び図16及び図15に示す下側クランプ部12は、固定部5を押圧する部分である。下側クランプ部12は、図3図11図14及び図15に示すように、上側クランプ部11との間にレール底部R2及び固定部5を挟み込む。下側クランプ部12は、側面形状が略L字状の板状部材である。下側クランプ部12は、図7及び図10図12に示す締結力作用部12aと、図14及び図15に示す嵌合部12bと、図14に示す挿入部12cなどを備えている。
【0057】
図3図11図14及び図15に示す締結力作用部12aは、固定部5に締結力Fを作用させる部分である。締結力作用部12aは、下側クランプ部12の先端部上面に形成されており、固定部5の下面5bと密着するように平坦面に形成されている。図14及び図15に示す嵌合部12bは、上側クランプ部11側の嵌合部11bと嵌合する部分である。嵌合部12bは、締結力作用部12aが形成されている側とは反対側の下側クランプ部12の上端部端面を段状に切り欠くように形成されている。図14に示す挿入部12cは、締結部14の締結ボルト14aを挿入する部分である。挿入部12cは、下側クランプ部12を上下方向に貫通する貫通孔であり、締結ボルト14aの雄ねじ部と噛み合う雌ねじ部が形成されている。
【0058】
図13図14及び図16に示す取付部側嵌合部13は、固定部側嵌合部6と着脱自在に嵌合する部分である。取付部側嵌合部13は、固定部側嵌合部6と嵌合することによって、レールR及び固定部5に対して取付部10A,10Bを所定の位置に位置決めする位置決め部として機能する。取付部側嵌合部13は、固定部側嵌合部6と嵌合することによって、取付部10A,10Bが垂直軸(図1に示すZ軸(ヨー軸))回りに回転するのを規制する回転規制部としても機能するとともに、取付部10A,10Bが水平面(図1に示すX軸方向及びY軸方向)に移動するのを規制する移動規制部としても機能する。取付部側嵌合部13は、図13及び図14に示すように、固定部側嵌合部6と嵌合したときに、図14及び図15に示すように取付部10A,10Bの締結力作用部11aがレール底部R2の底部上面R21と密着し、締結力作用部12aが固定部5の下面5bと密着する。取付部側嵌合部13は、図13及び図16に示すように、平面形状が四角形状の板状部材であり、固定部側嵌合部6よりも幅及び長さが僅かに小さく形成されている。取付部側嵌合部13は、図14に示すように、下側クランプ部12の上面に一体に形成されている凸部であり、この取付部側嵌合部13の上下方向に挿入部12cが貫通している。取付部側嵌合部13は、図13図14及び図16に示す接触部13aなどを備えている。
【0059】
図13図14及び図16に示す接触部13aは、固定部側嵌合部6の接触部6aと接触する部分である。接触部13aは、レールRに対して取付部10A,10Bを左右方向から装着するときに、この接触部13aが接触部6aと接触することによって、取付部10A,10Bを所定の位置で停止させるストッパ部として機能する。接触部13aは、図14に示すように、固定部5側の接触部6aと密着するように垂直な平坦面に形成されている。
【0060】
図14及び図15に示す締結部14は、レールRと固定部5とを締結する部分である。締結部14は、図19(A)及び図20(A)に示すように、上側クランプ部11と下側クランプ部12との間に締結力Fを作用させて、レール底部R2に固定部5を固定する。締結部14は、図14に示すように、挿入部11c,12cに挿入されて挿入部11c,12cの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を有する締結ボルト14aと、上側クランプ部11の座面部11dと締結ボルト14aとの間に挟み込まれる座金14bなどを備えている。
【0061】
図1図3図5及び図7に示す装着部15A~15Cは、支持部4が固定部5に固定部5を基準として支持されるように、固定部5に支持部4を着脱自在に装着する部分である。装着部15A~15Cは、図1に示すように、固定部5に支持部4が3箇所で支持されるように、固定部5に支持部4を装着する。図1図4及び図7に示すように、装着部15A,15Bはレール底部R2の一方の底部側面R23の外側で固定部5に支持部4を2点で支持しており、図1図5及び図7に示すように装着部15Cはレール底部R2の他方の底部側面R23の外側で固定部5に支持部4を1点で支持している。装着部15A~15Cは、図1及び図7に示すように、固定部5に支持部4を3箇所で支持する3点支持構造を備えており、固定部5に支持部4を安定して支持する。装着部15A~15Cは、レールRを中心として左右に配置されており、固定部5及び支持部4に間隔をあけて配置されている。
【0062】
図1に示すように、装着部15A,15Bは固定部5の一方の端部の角部にそれぞれ配置されており、装着部15Cは固定部5の他方の端部の角部に配置されている。図4に示すように、装着部15A,15Bは支持部4の一方の脚部4bの分岐した下端部にそれぞれ配置されており、図5に示すように装着部15Cは支持部4の他方の脚部4cの下端部に配置されている。装着部15A~15Cは、図7図10図21及び図22に示す支持部側接触部16A~16Cと、図7図11図13図17図18図21及び図22に示す固定部側接触部17A~17Cと、図7図11図13図17及び図21に示す位置決め部18と、図21及び図22に示す磁石部19A~19Cと、図22に示す回転規制部20と、切替部21と、図21及び図22に示す支持部側保護カバー部22A~22Cと、固定部側保護カバー部23A~23Cなどを備えている。装着部15A~15Cは、図3図5に示すように、固定部側接触部17A~17Cに支持部側接触部16A~16Cを接触させることによって、固定部5に支持部4を装着する。
【0063】
図7図10図21及び図22に示すに示す支持部側接触部16A~16Cは、固定部5に支持部4を装着したときに、固定部側接触部17A~17Cと接触する部分である。支持部側接触部16A~16Cは、支持部4の脚部4b,4cの下端部から突出して形成されており、固定部側接触部17A~17Cと密着するように平面形状が四角形に形成されている。支持部側接触部16A~16Cは、高精度に平滑な平坦面(接触面)に加工されている。支持部側接触部16A~16Cは、図7図9に示すように、支持部4を基準として全て同じ高さに形成されている。
【0064】
図7図11図13図17図18図21及び図22に示す固定部側接触部17A~17Cは、固定部5に支持部4を装着したときに、支持部側接触部16A~16Cと接触する部分である。固定部側接触部17A~17Cは、図7図11及び図21に示すように、削正粉や粉塵などの異物が付着し易い固定部5の上面5aに支持部側接触部16A~16Cを直接搭載する構造ではなく、固定部5の上面5aの角部から上方に突出する構造によって支持部側接触部16A~16Cを支持している。固定部側接触部17A~17Cは、図21(B)及び図22(C)に示すように、固定部側保護カバー部23A~23Cを装着し易いように、直方体状に形成されており、図7図12及び図13に示すように平面形状が四角形に形成されている。固定部側接触部17A~17Cは、支持部側接触部16A~16Cと同様に、高精度に平滑な平坦面(接触面)に加工されている。固定部側接触部17A~17Cは、図7図17及び図18に示すように、固定部5を基準として全て同じ高さに形成されており、支持部4の脚部4b,4cを受ける脚受け部として機能する。固定部側接触部17A,17Bは、図7図12及び図13に示すように、この固定部側接触部17A,17Cの側面をレール底部R2の底部側面R23に密着させることによってレールRに固定部5を位置決めする。
【0065】
図7図11図13図17及び図21に示す位置決め部18は、固定部側接触部17Aに支持部側接触部16Aを位置決めする部分である。位置決め部18は、固定部5に対して水平である水平面(図1に示すXY平面)内において支持部4を位置決めする。位置決め部18は、図7図11図17及び図21に示すように、固定部側接触部17Aに凸部18aを備えており、図21に示すように支持部側接触部16Aに凸部18aと嵌合する凹部18bを備えている。凸部18aは、図12及び図13に示すように、平面形状が円形であり、図21に示すように固定部側接触部17Aから垂直方向に突出する所定長さのねじ付きピンのような円柱状部材である。凸部18aは、例えば、固定部側接触部17Aの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部18cを備えている。凹部18bは、凸部18aの外径よりも内径が僅かに大きく、かつ、凸部18aの長さよりも僅かに深くなるように支持部側接触部16Aに形成されている。
【0066】
図21及び図22に示す磁石部19A~19Cは、支持部側接触部16A~16Cと固定部側接触部17A~17Cとの間に磁気吸引力を発生させる部分である。磁石部19A~19Cは、例えば、ネオジム磁石のような永久磁石であり、外観が円板状に形成されている。磁石部19Aは、図21に示すように、支持部側接触部16Aの凹部18bの底部に収容されており、支持部側接触部16Aと固定部側接触部17Aとが接触したときに、凸部18aの先端部にこの磁石部19Aの表面が接触する。磁石部19Aは、磁力によって凸部18aと吸着することによって、支持部側接触部16Aと固定部側接触部17Aとを密着させて、凹部18bへの凸部18aの差し込み不良を防止する。図21に示すように、磁石部19Bは支持部側接触部16Bの凹部に収容されており、図22に示すように磁石部19Cは支持部側接触部16Cの凹部に収容されている。磁石部19B,19Cは、支持部側接触部16A,16Bと固定部側接触部17B,17Cとが接触したときに、固定部側接触部17B,17Cとこの磁石部19B,19Cの表面とが接触する。磁石部19B,19Cは、磁力によって固定部側接触部17B,17Cと吸着することによって、支持部側接触部16B,16Cと固定部側接触部17B,17Cとを密着させる。
【0067】
図22に示す回転規制部20は、支持部4の垂直軸回りの回転を規制する部分である。回転規制部20は、図1及び図22に示すように、固定部5の上面5aに対する垂直軸(Z軸(ヨー軸))回りの回転を規制することによって、固定部5に対する支持部4のヨーイング方向の角度を所定の角度に定め、固定部5に対して支持部4が位置ずれした状態で支持されるのを防止する。回転規制部20は、図22に示す挟み込み部20a,20bなどを備えている。挟み込み部20a,20bは、固定部側接触部17Cを挟み込む部分である。挟み込み部20a,20bは、この挟み込み部20aとこの挟み込み部20bとの間に固定部側接触部17Cの側面を挟み込む。挟み込み部20a,20bは、図22(A)に示すように、間隔をあけて対向して配置されており、挟み込み部20aは支持部側接触部16Cの一方の端部から突出して形成されており、挟み込み部20bは支持部側接触部16Cの他方の端部から突出して形成されている。
【0068】
図22に示す切替部21は、支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとを固定状態及び固定解除状態に切り替える部分である。切替部21は、支持部側接触部16Cの側面に取り付けられている。切替部21は、固定部5に対する支持部4の垂直軸(Z軸)方向の移動を規制する移動規制部としても機能する。切替部21は、図22(A)に示すように、固定位置P3に位置するときには支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとを固定状態に切り替える。一方、切替部21は、図22(B)に示すように、固定解除位置P4に位置するときには支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとを固定解除状態に切り替える。切替部21は、固定状態及び固定解除状態に切り替えるときに作業者に操作されるレバー部21aと、レバー部21aを回転自在に支持する支持部21bと、支持部21bの端部に形成されており挟み込み部20aの貫通孔を貫通し支持部側接触部16Cの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部21cと、固定位置P3に位置するときに挟み込み部20aを支持部側接触部16Cの側面に密着させるカム部21dと、固定解除位置P4に位置するときに挟み込み部20aを支持部側接触部16Cの側面から離間させるカム部21eなどを備えている。
【0069】
切替部21は、支持部21bを回転中心とするカム部21dの回転半径よりも、支持部21bを回転中心とするカム部21eの回転半径が小さくなるように設定されている。切替部21は、図22(A)に示すように、レバー部21aが固定位置P3に回転操作されると、カム部21dが挟み込み部20aの表面と密着して、挟み込み部20aと挟み込み部20bとの間に固定部側接触部17Cの側面を挟み込み、支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとを固定状態にする。一方、切替部21は、図22(B)に示すように、レバー部21aが固定解除位置P4に回転操作されると、固定部側接触部17Cの側面と挟み込み部20aとの間に隙間が形成され、支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとを固定解除状態にする。
【0070】
図21及び図22に示す支持部側保護カバー部22A~22Cは、固定部5から支持部4が取り外されているときに、支持部側接触部16A~16Cを保護する部分である。支持部側保護カバー部22A~22Cは、着脱自在に装着可能なキャップ状の合成樹脂製の被覆部材である。支持部側保護カバー部22A~22Cは、固定部5から支持部4を取り外したときに、支持部側接触部16A~16Cに異物が付着するのを防止する。支持部側保護カバー部22A~22Cは、支持部側接触部16A~16Cの磁石部19A~19Cに磁力によって吸着することによって、支持部側接触部16A~16Cからの脱落が防止される。
【0071】
図21及び図22に示す固定部側保護カバー部23A~23Cは、固定部5から支持部4が取り外されているときに、固定部側接触部17A~17Cを保護する部分である。固定部側保護カバー部23A~23Cは、例えば、着脱自在に装着可能なキャップ状の被覆部材であり、難燃性のアルミニウムのような金属製である。固定部側保護カバー部23A~23Cは、レール削正時に発生する削正粉などの異物が固定部側接触部17A~17Cに付着するのを防止する。固定部側保護カバー部23A~23Cは、固定部側接触部17A~17Cとの間に磁気吸引力を発生させる磁石部23aを備えている。磁石部23aは、例えば、外観が円板状のネオジム磁石のような永久磁石である。磁石部23aは、固定部側保護カバー部23A~23Cの底部に取り付けられており、固定部側接触部17A~17Cに磁力によって吸着することによって、固定部側保護カバー部23A~23Cが固定部側接触部17A~17Cから脱落するのを防止する。
【0072】
次に、この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置の作用を説明する。
図23(A)に示すように、レール削正前のレール断面形状S11がレール形状測定装置1によって測定される。図13図15に示すように、レール削正量Δを測定する箇所のレールRの底部下面R22に、固定部5の上面5aを磁石部9によって吸着させると、固定部5がレール底部R2に仮固定される。この状態で、図13図14及び図16に示すように、レール底部R2の左右方向から取付部10A,10Bをレール底部R2に作業者が装着して、固定部5の固定部側嵌合部6に取付部10A,10Bの取付部側嵌合部13を作業者が嵌合させる。固定部5の両端部とレール底部R2の両縁部とを締結部14によって作業者が締結すると、上側クランプ部11と下側クランプ部12との間にレール底部R2及び固定部5が挟み込まれて、取付部10A,10Bによってレール底部R2に固定部5が固定される。
【0073】
このとき、図19(B)に示すように、レール底部R2の高さが基準寸法よりも高い場合には、レール底部R2に固定部5を締結すると固定部5の両端部に曲げモーメントMが生じ、固定部5が曲げ変形することがある。図19(A)に示すように、曲げ変形抑制部7を固定部5が備えているため、固定部5の両端部の下面5bと取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面との間に間隙部が形成されている。このため、レール底部R2に固定部5を締結しても、固定部5の両端部の下面5bと取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面とが接触することがなく、図19(B)に示すような曲げモーメントMが固定部5に作用せず固定部5の曲げ変形が抑制される。
【0074】
図20(B)に示すように、レール底部R2の底部下面R22が下側に凸状にある場合には、レール底部R2に固定部5を締結すると底部下面R22に沿って固定部5が曲げ変形することがある。図20(A)に示すように、曲げ変形抑制部8を固定部5が備えているため、固定部5の中央部の上面5aとレール底部R2の中央部の底部下面R22との間に間隙部が形成されている。このため、レール底部R2に固定部5を締結しても、固定部5の中央部の上面5aとレール底部R2の中央部の底部下面R22とが接触することがなく、図20(B)に示すような曲げモーメントMが固定部5に作用せず固定部5の曲げ変形が抑制される。
【0075】
図21(A)に示すように、支持部4を固定部5に作業者が装着するときに、位置決め部18の凸部18aを凹部18bに差し込む。その結果、支持部4側の凹部18bが固定部5側の凸部18aにガイドされて、装着部15Aの支持部側接触部16Aと固定部側接触部17Aとが密着する。同時に、装着部15Bの支持部側接触部16Bと固定部側接触部17Bとが密着するとともに、図22(B)に示すように装着部15Cの支持部側接触部16Cと固定部側接触部17Cとが密着する。図22(A)に示すように、切替部21のレバー部21aを作業者が固定解除位置P4から固定位置P3に切り替えると、固定部側接触部17Cの側面が挟み込み部20aと挟み込み部20bとの間に挟み込まれて、支持部側接触部16Cが固定部側接触部17Cに固定される。その結果、固定部5に支持部4が取り付けられて、レールRにレール形状測定装置1が装着される。この状態で、測定部2の測定子2aを基準ブロック部3及びレール頭部R1の表面に沿って作業者が転動させると、図6(A)に示すようなレール削正前の基準形状S10及びレール断面形状S11が測定される。
【0076】
次に、図23(B)に示すように、測定部2とともに支持部4が固定部5から取り外されて、固定部5のみがレール底部R2に取り付けられた状態になる。図22(B)に示すように、切替部21のレバー部21aを作業者が固定位置P3から固定解除位置P4に切り替えると、固定部側接触部17Cの側面と挟み込み部20aとの間に隙間が形成されて、支持部側接触部16Cが固定解除される。その結果、作業者が支持部4を持ち上げると、装着部15A~15Cから支持部4が取り外される。支持部側保護カバー部22A~22Cを支持部側接触部16A~16Cに作業者が取り付けるとともに、固定部側保護カバー部23A~23Cを固定部側接触部17A~17Cに作業者が取り付ける。その結果、支持部側接触部16A~16C及び固定部側接触部17A~17Cに異物が付着するのが防止される。
【0077】
次に、図23(C)に示すように、レールRに沿って走行するレール削正車の砥石G1~G3によってレールRが削正される。このとき、取付部10A,10Bによって固定部5のみがレール底部R2に取り付けられているため、鉄道車両を安全に運行するために軌道上に確保された空間の境界線である建築限界を固定部5などが支障することがなく、レール削正車によるレール削正作業の障害とはならない。固定部側保護カバー部23A~23Cが固定部側接触部17A~17Cに装着されているため、レール削正時に発生する削正粉などの異物が固定部側接触部17A~17Cに付着するのが防止される。
【0078】
次に、図23(D)に示すように、レール削正後のレール断面形状S21がレール形状測定装置1によって測定される。図21(B)及び図22(C)に示す支持部側保護カバー部22A~22C及び固定部側保護カバー部23A~23Cを支持部側接触部16A~16C及び固定部側接触部17A~17Cから作業者が取り外す。その後に、図21(A)及び図22(B)に示すように、装着部15A~15Cの支持部側接触部16A~16Cと固定部側接触部17A~17Cとを作業者が密着させて、図22(A)に示すレバー部21aを作業者が操作すると、支持部側接触部16Cが固定部側接触部17Cに固定される。その結果、固定部5に支持部4が取り付けられて、レール形状測定装置1がレールRに再装着される。この状態で、測定部2の測定子2aを基準ブロック部3及びレール頭部R1の表面に沿って作業者が転動させると、図6(B)に示すような基準形状S20及びレール断面形状S21が測定される。その結果、図6(C)に示すように、基準形状S10,S20を基準としてレール断面形状S11とレール断面形状S21とを演算部2fが重ね合わせて、レール削正量Δを演算部2fが演算する。また、レール削正前後のレール断面形状S11,S21やレール削正量Δを表示部2gが画面上に表示する。
【0079】
この発明の第1実施形態に係るレール形状測定装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、レールRに着脱自在に固定部5が固定され、レール断面形状S11,S21を測定する測定部2を支持部4が支持し、支持部4が固定部5に固定部5を基準として支持されるように、固定部5に支持部4を装着部15A~15Cが着脱自在に装着する。このため、固定部5を絶対的な基準として、レール削正前後の同一箇所のレール断面形状S11,S21を測定部2によって正確に測定することができる。また、同一箇所のレール削正量Δを検査することによって、レール削正量Δを正確に把握することができる。また、レール形状測定装置1全体をレールRに着脱する必要がなく、レール形状測定装置1の主要構成部分を固定部5から簡単に取り外して固定部5のみをレールRに取り付けたままの状態にすることができる。このため、測定に必要な機器の重量を軽減し、作業者の負担を低減することができる。さらに、取り外し式のレール形状測定装置1であるため、レール削正前後に再設置した場合であっても、レール断面形状S11,S21を測定する際の基準位置を高精度に再現することができる。
【0080】
(2) この第1実施形態では、レール削正時には固定部5から支持部4が取り外され、レール形状測定時には固定部5に支持部4が装着される。このため、レール削正前後の同一箇所のレール断面形状S11,S21を正確に比較することができ、レール削正前後の同一箇所のレール削正量Δを正確に測定することができる。また、レール削正時に固定部5をレールRに残し、支持部4を固定部5から取り外すことができるため、レール形状測定装置1がレール削正作業中に支障となるのを防ぐことができる。さらに、レール削正前後に比較的重量のあるレール形状測定装置1をレールRに着脱する必要がなくなるため、作業負担を軽減することができる。
【0081】
(3) この第1実施形態では、固定部5に支持部4が3箇所で支持されるように、固定部5に支持部4を装着部15A~15Cが装着する。このため、支持部4を固定部5に3点で接地させることができ、固定部5に対する支持部4のローリング方向(図1に示すX軸回り)及びピッチング方向(図1に示すY軸回り)の角度及び垂直方向(図1に示すZ軸方向)の位置を所定の角度及び所定の位置に定めることができる。その結果、固定部5に対して支持部4が安定して支持されて、固定部5に対する支持部4の姿勢を一定にすることができ、レール断面形状S11,S21の測定精度を向上させることができる。
【0082】
(4) この第1実施形態では、固定部側接触部17A~17Cに支持部側接触部16A~16Cを接触させることによって、装着部15A~15Cが固定部5に支持部4を装着する。このため、例えば、固定部5に支持部4を接触面同士で接触させるような簡単な構造によって、固定部5に支持部4を簡単に装着することができる。
【0083】
(5) この第1実施形態では、固定部側接触部17Aに支持部側接触部16Aを位置決め部18が位置決めする。このため、固定部5の上面5aに対して水平である水平面(図1に示すXY平面)内における支持部4の位置を定めることができる。
【0084】
(6) この第1実施形態では、固定部側接触部17Aに凸部18aを備え、支持部側接触部16Aに凸部18aと嵌合する凹部18bを備えている。このため、着脱が容易で簡単な嵌合構造によって、固定部5に支持部4を正確に位置決めすることができる。
【0085】
(7) この第1実施形態では、支持部側接触部16A~16Cと固定部側接触部17A~17Cとの間に磁石部19A~19Cが磁気吸引力を発生させる。このため、支持部側接触部16A~16Cと固定部側接触部17A~17Cとを磁力によって密着させることができる。また、位置決め部18の凸部18aを凹部18bに差し込むときに発生する差し込み不良を防止することができる。
【0086】
(8) この第1実施形態では、固定部5から支持部4が取り外されているときに、支持部側接触部16A~16Cを支持部側保護カバー部22A~22Cによって保護する。また、この第1実施形態では、固定部5から支持部4が取り外されているときに、固定部側接触部17A~17Cを固定部側保護カバー部23A~23Cによって保護する。このため、支持部4を固定部5に載せるときに、支持部側接触部16A~16Cと固定部側接触部17A~17Cとの間に粉塵などの異物を挟み込み、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じるのを防ぐことができる。
【0087】
(9) この第1実施形態では、レール断面形状S11,S21を測定部2によって測定するときに基準ブロック部3が基準位置となる。このため、レール削正前後において形状が変化しない基準ブロック部3を基準として、レール削正前後のレール断面形状S11,S21の変化を正確に測定することができるとともに、レール削正量Δを高精度に測定することができる。
【0088】
(10) この第1実施形態では、支持部4の垂直軸回りの回転を回転規制部20が規制する。このため、固定部5に対する支持部4のヨーイング方向(図1に示すZ軸回り)の角度を所定の角度に定めることができ、レール断面形状S11,S21の測定精度を向上させることができる。
【0089】
(11) この第1実施形態では、レール底部R2に固定部5を取付部10A,10Bが着脱自在に取り付ける。このため、レールRに対して固定部5のヨーイング方向(図1に示すZ軸回り)の角度を所定の角度に定めることができ、レール断面形状S11,S21の測定精度を向上させることができる。また、取り付けが容易で簡単な締結構造を有する小型の取付部10A,10Bによって、レール底部R2に固定部5を強固に固定することができる。さらに、レール底部R2に固定部5を固定することによって、レール断面形状S11,S21を測定する際の基準面として固定部5を設定することができる。
【0090】
(12) この第1実施形態では、レール底部R2の両縁部に固定部5の両縁部を締結するときに、固定部5に生ずる曲げ変形を曲げ変形抑制部7,8が抑制する。このため、取付部10A,10Bによってレール底部R2及び固定部5に締結力Fを作用させたときに、固定部5に曲げモーメントMが作用して固定部5が曲げ変形するのを防ぐことができる。その結果、レールRの形状にある程度の製造誤差があってレール底部R2の高さが基準値よりも高かったり、取付部10A,10Bが異物を挟み込んだりした場合であっても、固定部5が曲げ変形して固定部5の基準高さが変化することがなく、測定誤差が生じるのを防ぐことができる。
【0091】
(13) この第1実施形態では、曲げ変形抑制部7が固定部5の両端部の下面5bと取付部10A,10Bとの間に形成された間隙部である。このため、例えば、固定部5の両端部の下面5bを切り欠くことによって簡単に間隙部を形成することができ、固定部5の曲げ変形を抑制することができる。また、間隙部を形成するために固定部5の下面5bを部分的に切り欠くことによって、固定部5の軽量化を図ることができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0092】
(14) この第1実施形態では、曲げ変形抑制部8がレール底部R2の中央部と固定部5の中央部の上面5aとの間に形成された間隙部である。このため、例えば、固定部5の中央部の上面5aを切り欠くことによって簡単に間隙部を形成することができ、固定部5の曲げ変形を抑制することができる。また、間隙部を形成するために固定部5の上面5aを部分的に切り欠くことによって、固定部5の軽量化を図ることができ、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0093】
(第2実施形態)
以下では、図1図23に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図24及び図25に示す曲げ変形抑制部7は、図15に示す曲げ変形抑制部7とは異なり、固定部5ではなく取付部10A,10Bが備えている。図24及び図25に示す曲げ変形抑制部7は、取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面を切り欠くように形成された凹部である。曲げ変形抑制部7は、図25(A)に示すように、下側クランプ部12の締結力作用部12a以外の部分と固定部5の下面5bが接触しないように、下側クランプ部12の上面の長さ方向に沿って形成されている。この第2実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
【0094】
(第3実施形態)
図26図28に示すレール形状測定装置1は、図1図5に示すレール形状測定装置1とは異なり、図26及び図27に示す位置調整部24と、図27図28及び図30図32に示す測定基準部27A,27Bと、図26図28図30及び図31に示す高さ測定部28A,28Bと、図27図28図31及び図32に示す保持部29A,29Bと、図32に示す基準部側保護カバー部30などを備えている。図26図28に示すレール形状測定装置1は、基準ブロック部3を最適な位置に調整する位置調整機能と、固定部5に対する支持部4の相対的な高さを確認する高さ確認機能とを備えている。
【0095】
図26に示す基準ブロック部3は、図3に示す基準ブロック部3とは異なり、この基準ブロック部3の先端部が鋭角に形成されている。図26に示す基準ブロック部3は、図6に示す基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21の測定結果の軌跡が滑らかに繋がって、図29に示す測定部2の測定子2aの軌跡が可能な限り滑らかな曲線になるように、この基準ブロック部3の先端部がくさび状に形成されている。
【0096】
図27及び図31に示す支持部4は、高さ測定部28Aの測定子8aを挿入する挿入部4dを備えている。挿入部4dは、図31に示すように、支持部4の支持部側接触部16Aが形成された脚部4bを上下方向に貫通する貫通孔である。挿入部4dは、測定子8aの外周部との間に隙間を形成するように、この挿入部4dの内径が測定子8aの外径よりも大きく形成されている。図30に示す固定部5は、図13に示す固定部5とは異なり、4つの角部のうちの1つの角部に面取りがされておらず、平面形状が四角形である。図31に示す固定部側保護カバー部23Aは、固定部5から支持部4が取り外されているときに、固定部側接触部17Aとともに測定基準部27Aを保護する。
【0097】
図26及び図27に示す位置調整部24は、基準ブロック部3の位置を調整する部分である。位置調整部24は、図29に示すように、基準ブロック部3をX軸方向及びZ軸方向に位置調整することによって、レール頭部R1に対して最適な位置に基準ブロック部3を位置決めする。位置調整部24は、測定部2の測定子2aをレール頭部R1に沿って転がり接触させながら基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21を測定するときに、測定結果にノイズ成分が発生するのを防ぐために、基準ブロック部3を最適な位置に位置調整する。位置調整部24は、図26及び図27に示すように、上下位置調整部25と左右位置調整部26などを備えている。
【0098】
上下位置調整部25は、基準ブロック部3の上下方向の位置を調整する部分である。上下位置調整部25は、図29に示すように、レール頭部R1の頭頂面R11と基準ブロック部3の水平基準面3bとの間の高さが小さくなるように、基準ブロック部3の位置を調整する。上下位置調整部25は、レール頭部R1に対して基準ブロック部3を上昇及び下降させることによって、基準ブロック部3を上下方向の任意の位置に位置決めする。上下位置調整部25は、図26及び図28に示すように、ガイド部25aと、スライド部25bと、切替部25cなどを備えている。ガイド部25aは、スライド部25bを移動自在にガイドする部分である。ガイド部25aは、スライド部25bが上下方向(Z軸方向)に移動可能なようにスライド部25bを支持する軸状部材である。ガイド部25aは、上端部が支持部4の搭載部4aの下面に支持されており、下端部が支持部4の脚部4cの段部に支持されている。スライド部25bは、ガイド部25aに沿って移動自在にガイドされる部分である。スライド部25bは、基準ブロック部3及び左右位置調整部26を支持した状態でこれらと一体となって移動する。
【0099】
切替部25cは、ガイド部25aとスライド部25bとを固定状態及び固定解除状態に切り替える部分である。切替部25cは、作業者によって操作されるレバー部25dを備えている。切替部25cは、図29に示すように、ガイド部25a上の任意の位置にスライド部25bを固定して、基準ブロック部3を上下方向の任意の位置に位置決めする。切替部25cは、図26に示すように、図中二点鎖線で示す固定解除位置P6にレバー部25dが操作されたときには、ガイド部25aとスライド部25bとを固定状態から固定解除状態に切り替えて、ガイド部25aに対してスライド部25bを移動可能な状態に切り替える。一方、切替部25cは、図中実線で示す固定位置P5にレバー部25dが操作されたときには、ガイド部25aとスライド部25bとを固定解除状態から固定状態に切り替えて、ガイド部25aに対してスライド部25bを固定状態に切り替える。
【0100】
図28に示す左右位置調整部26は、基準ブロック部3の左右方向の位置を調整する部分である。左右位置調整部26は、図29に示すように、基準ブロック部3の先端部とレール頭部R1との間の隙間が小さくなるように、基準ブロック部3の位置を調整する。左右位置調整部26は、レール頭部R1に対して基準ブロック部3を前進及び後退させることによって、基準ブロック部3を左右方向の任意の位置に位置決めする。左右位置調整部26は、図28に示すように、作業者によって操作される回転ハンドル部26aと、上下位置調整部25のスライド部25bに固定される固定部26bと、基準ブロック部3を支持し固定部26bに対して可動する可動部26cなどを備えている。左右位置調整部26は、例えば、固定部26b側の凸部と可動部26c側の凹部とをアリ溝構造によってスライド自在に嵌合させて、固定部26bに対して可動部26cを送りねじ機構部によって左右方向(X軸方向)に移動させるステージである。左右位置調整部26は、回転ハンドル部26aと一体となって回転する送りねじ機構部によって、固定部26bに対して可動部26cを移動させる。
【0101】
図27図28及び図30図34に示す測定基準部27A,27Bは、固定部5に対する支持部4の相対的な高さδ1,δ2を高さ測定部28A,28Bによって測定するときに基準となる部分である。測定基準部27A,27Bは、高さ測定部28A,28Bによって測定される固定部側の絶対基準面(測定対象部)である。測定基準部27Aは、図27及び図31に示すように、位置決め部18の凸部18aの上端面であり、高精度に平滑な平坦面(測定面)に加工されている。測定基準部27Bは、図30に示すように、装着部15Cが配置されている側の固定部5の端部の角部に、装着部15Cと間隔をあけて配置されている。測定基準部27Bは、図30及び図32に示すように、図13図21及び図22に示す装着部15A~15Cの固定部側接触部17A~17Cと同様に、固定部5の上面5aの角部から上方に突出した直方体状に形成されており、平面形状が四角形に形成されている。測定基準部27Bは、高精度に平滑な平坦面(測定面)に加工されており、固定部5を基準として固定部側接触部17A~17Cと同じ高さに形成されている。
【0102】
図26図28及び図31図34に示す高さ測定部28A,28Bは、固定部5側の測定基準部27A,27Bを基準とする支持部4の相対的な高さδ1,δ2を測定する手段である。図26に示すように、高さ測定部28Aは支持部4の脚部4b側に装着されており、高さ測定部28Bは支持部4の脚部4c側に装着されている。高さ測定部28A,28Bは、図31図34に示すように、固定部5に対する支持部4の上下方向の相対位置を測定する。高さ測定部28A,28Dは、レール削正前に支持部4を固定部5から取り外して、レール削正後に支持部4を固定部5に再装着したときに、レール削正前に支持部4が固定部5に装着されていたときと同じ高さで、支持部4が固定部5に再装着されているか確認するために使用される。高さ測定部28A,28Bは、支持部4を固定部5から取り外す前の測定値と、支持部4を固定部5に再装着したときの測定値とを比較して、これらの測定値の変化を表示する。高さ測定部28A,28Bは、いずれも同一構造であり、図27図28及び図31図34に示すように、測定子28aと固定軸部28bなどを備えている。高さ測定部28A,28Bは、例えば、測定子28aの直線運動をエンコーダによって読み取り、このエンコーダによって読み取った測定値を表示するデジタル式のダイヤルゲージのような計測機器である。高さ測定部28A,28Bは、支持部4から取り外されてしまうとレール削正前後における測定結果の比較が不可能になるため、支持部4に取り付けられたままの状態で保持されている。
【0103】
測定子28aは、測定基準部27A,27Bと点接触する部分である。測定子28aは、この測定子28aの先端部が滑らかな半球状に形成されており、測定基準部27A,27Bの上面と接触する。固定軸部28bは、測定子28aを保護する部分である。固定軸部28bは、この固定軸部28bの内部に測定子28aを上下方向に移動自在に挿入している。
【0104】
図27図28及び図31図34に示す保持部29A,29Bは、高さ測定部28A,28Bを支持部4に保持する部分である。図27及び図31に示すように、保持部29Aは高さ測定部28Aを支持部4の脚部4bに着脱自在に固定しており、図28及び図32に示すように保持部29Bは高さ測定部28Bを支持部4の脚部4cに着脱自在に固定している。保持部29A,29Bは、ブラケット状の支持部材であり、高さ測定部28A,28Bの背面に取り付けられた支柱部を支持するとともに、高さ測定部28A,28Bの固定軸部28bを支持している。保持部29A,29Bは、高さ測定部28A,28Bの固定軸部28bを挿入する挿入部29aを備えている。挿入部29aは、固定軸部28bが嵌合するように保持部29A,29Bを上下方向に貫通する貫通孔である。
【0105】
図32に示す基準部側保護カバー部30は、固定部5から支持部4が取り外されているときに、測定基準部27Bを保護する部分である。基準部側保護カバー部30は、図21及び図22に示す固定部側保護カバー部23Aと同一構造であり、レール削正時に発生する削正粉などの異物が測定基準部27Bに付着するのを防止する。基準部側保護カバー部30は、固定部側保護カバー部23Aと同様に、測定基準部27Bとの間に磁気吸引力を発生させる磁石部30aを備えている。磁石部30aは、基準部側保護カバー部30の底部に取り付けられており、測定基準部27Bに磁力によって吸着することによって、基準部側保護カバー部30が測定基準部27Bから脱落するのを防止する。
【0106】
次に、この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の位置調整部の作用を説明する。
図6に示す基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21について良好な測定結果を得るためには、図26図29に示す測定部2の測定子2aがレール頭部R1に沿ってスムーズに転がり接触する必要がある。このため、図29に示すように、レール頭部R1の頭頂面R11に近い高さに基準ブロック部3を位置決めする必要があるとともに、基準ブロック部3とレール頭部R1との間に測定子2aが落ち込まないように、レール頭部R1に近い位置に基準ブロック部3の先端部を位置決めする必要がある。
【0107】
図26及び図28に示す位置調整部24のレバー部25dを固定位置P5から固定解除位置P6に作業者が引き上げると、固定状態から固定解除状態にスライド部25bを切替部25cが切り替える。ガイド部25aに沿ってスライド部25bを作業者がスライドさせて、図29に示すようにレール頭部R1の頭頂面R11に近い高さに基準ブロック部3を作業者が保持する。図26に示すように、レバー部25dを固定解除位置P6で作業者が離すと、内部のばね機構部のばね力によってレバー部25dが固定解除位置P6から固定位置P5に復帰し、ガイド部25aにスライド部25bが固定されて、図29に示すように頭頂面R11に近い高さに基準ブロック部3が位置決めされる。次に、図26及び図28に示す位置調整部24の回転ハンドル部26aを作業者が回転させると、固定部26bに沿って可動部26cが移動して、図29に示すようにゲージコーナー部R13との間に僅かな隙間をあけて基準ブロック部3の先端部が位置決めされる。この状態で、ゲージコーナー部R13と基準ブロック部3の先端部との間から基準ブロック部3の水平基準面3bを通じて垂直基準面3aに向かって、測定子2aを測定方向D1に作業者が転がり接触させる。次に、ゲージコーナー部R13と基準ブロック部3の先端部との間から頭頂面R11及びゲージコーナー部R13を通じて頭部側面R12に向かって、測定子2aを測定方向D2に作業者が転がり接触させる。その結果、ノイズの少ない高精度の基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21が測定される。
【0108】
次に、この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置の高さ測定部の作用を説明する。
図6に示す基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21について良好な測定結果を得るためには、レール削正前に支持部4を固定部5に装着したときの支持部4の高さと、レール削正後に支持部4を固定部5に再装着したときの支持部4の高さとが同じになる必要がある。図23に示すように、支持部4を固定部5に一度装着した後に、支持部4を固定部5から一旦取り外して、支持部4を固定部5に再装着したときに、一度目と二度目の装着状態の違いや異物の介在などによって、固定部5に対する支持部4の高さに差が生じることがある。その結果、図6に示す基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21の測定結果に、このような高さの差によって誤差が生ずる。
【0109】
図23(A)に示すように、レール削正前において、支持部4を固定部5に装着すると、図31(B)に示すように高さ測定部28Aの測定子28aが測定基準部27Aと接触し、図32(B)に示すように高さ測定部28Bの測定子28aが測定基準部27Bと接触する。このため、図31(B)に示すように、測定基準部27Aを基準とする支持部4の相対的な高さを高さ測定部28Aが測定し、高さ測定部28Bのメモリ内にこの測定値が記録される。一方、図32(B)に示すように、測定基準部27Bを基準とする支持部4の相対的な高さを高さ測定部28Bが測定し、高さ測定部28Bのメモリ内にこの測定値が記録される。その後、図23(B)に示すように、支持部4が固定部5から一旦取り外されて、図23(C)に示すようにレール削正作業が実施される。
【0110】
図23(D)に示すように、レール削正後において、一旦取り外された支持部4を固定部5に再装着するときに、図33(B)及び図34(B)に示すように固定部側接触部17B,17Cと支持部側接触部16B,16Cとの間に異物Sが介在している場合がある。この場合には、レール削正前後において、固定部5に対する支持部4の高さが異なり、図6に示す基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じる。図33(B)及び図34(B)に示すように、異物Sが介在した状態で支持部4を固定部5に再装着すると、高さ測定部28A,28Bの測定子28aが測定基準部27A,27Bと接触する。このため、測定基準部27A,27Bを基準とする支持部4の相対的な高さδ1,δ2を高さ測定部28A,28Bが測定して、高さ測定部28A,28Bのメモリ内にこの測定値が記録される。その結果、前回の装着時の支持部4の高さと、今回の装着時の支持部4の高さとの違いを、高さ測定部28A,28Bが数値によって表示する。このため、レール削正後の支持部4の高さが、レール削正前の支持部4の高さと相違することを作業者が把握する。
【0111】
この発明の第3実施形態に係るレール形状測定装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、レールRに対する基準ブロック部3の位置を位置調整部24が調整する。このため、レール削正前後のレール断面形状S11,S21に応じて基準ブロック部3の位置を調整することができる。測定子2aを転がり接触させながら測定子2aの軌跡を記録するときに、測定子2aが一旦停止したり、ある点で移動方向が直角に変化したりすると、測定子2aの軌跡が安定せず、インパルス状のノイズが測定されることがある。この実施形態では、レール頭部R1の形状の変化や高さに応じて、レール頭部R1の近くに基準ブロック部3の位置を合わせることができる。このため、上下左右方向に基準ブロック部3の位置を調整することによって、基準形状S10,S20及びレール断面形状S11,S21の測定結果の軌跡が滑らかにすることができる。その結果、レール断面形状S11,S21を高精度に安定して測定することができる。
【0112】
(2) この第3実施形態では、固定部5側の測定基準部27A,27Bを基準とする支持部4の相対的な高さδ1,δ2を測定する高さ測定部28A,28Bを、保持部29A,29Bが支持部4に保持する。例えば、支持部4を固定部5に装着して一度目の高さ測定を実施し、その後に一旦取り外した支持部4を固定部5に再装着して二度目の高さ測定を実施することができる。このため、一度目と二度目の高さの違いを数値で把握することができ、固定部5への支持部4の載せ方の適否や、測定の再現性が十分に確保されているか容易に確認することができる。その結果、一度目と二度目の固定部5への支持部4の載せ方の相違や、支持部4と固定部5との間の介在物の存在などによって、レール断面形状S11,S21の測定結果に誤差が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0113】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、レール形状測定装置1によってレール削正量Δを測定する場合を例に挙げて説明したが、レール形状測定装置1によってレール摩耗量を測定する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、測定部2によって測定子2aを回転接触させながらレール断面形状S11,S21を測定する場合を例に挙げて説明したが、測定子を点接触させながらレール断面形状S11,S21を測定するダイヤルゲージのような測定部についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、測定部2が接触式のレール断面形状測定装置である場合を例に挙げて説明したが、測定部2がレーザ光などを利用した非接触式のレール断面形状測定装置である場合についても、この発明を適用することができる。
【0114】
(2) この実施形態では、測定部2によってレール頭部R1のレール断面形状S11,S21を測定する場合を例に挙げて説明したが、レール頭部R1以外のレール底部R2又はレール腹部R3のレール断面形状を測定する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、固定部5の下面5b又は取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面が曲げ変形抑制部7を備える場合を例に挙げて説明したが、固定部5の下面5b及び取付部10A,10Bの下側クランプ部12の上面が曲げ変形抑制部7を備える場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、支持部側接触部16A側に凹部18bを配置し、固定部側接触部17A側に凸部18aを配置する場合を例に挙げて説明したが、支持部側接触部16A側に凸部18aを配置し、固定部側接触部17A側に凹部18bを配置する場合についても、この発明を適用することができる。
【0115】
(3) この実施形態では、支持部側保護カバー部22A~22Cが合成樹脂製である場合を例に挙げて説明したが、支持部側保護カバー部22A~22Cの材質を合成樹脂に限定するものではない。例えば、支持部側保護カバー部22A~22Cが比較的軽量なアルミニウムなどの金属製である場合や、支持部側接触部16A~16Cの磁石部19A~19Cとの間に磁気吸引力を発生させる磁性体である場合などについても、この発明を適用することができる。同様に、この実施形態では、固定部側保護カバー部23A~23Cが金属製である場合を例に挙げて説明したが、固定部側保護カバー部23A~23Cの材質を金属に限定するものではない。例えば、固定部側保護カバー部23A~23Cが難燃性の合成樹脂製である場合についても、この発明を適用することができる。
【0116】
(4) この実施形態では、支持部側保護カバー部22A~22C及び固定部側保護カバー部23A~23Cを備えている場合を例に挙げて説明したが、支持部側保護カバー部22A~22C又は固定部側保護カバー部23A~23Cの一方又は双方を省略する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、固定部側保護カバー部23A~23Cが磁石部23aを備える場合を例に挙げて説明したが、磁石部23aを備えていない場合についても、この発明を適用することができる。
【0117】
(5) この第3実施形態では、接触式の高さ測定部28A,28Bによって測定基準部27A,27Bの高さを測定する場合を例に挙げて説明したが、レーザ光などを利用した非接触式の高さ測定部によって測定基準部27A,27Bの高さを測定する場合についても、この発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、高さ測定部28A,28Bがデジタル式のダイヤルゲージである場合を例に挙げて説明したが、アナログ式のダイヤルゲージについても、この発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、支持部4の相対的な高さδ1,δ2を測定しているが、測定誤差のあるレール断面形状S11,S21の測定結果を相対的な高さδ1,δ2によって補正する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この第3実施形態では、固定部側接触部17B,17Cと支持部側接触部16B,16Cとの間に異物Sが介在している場合を例に挙げて説明したが、このような場合にこの発明を限定するものではない。例えば、固定部側接触部17B,17Cと支持部側接触部16B,16Cとの接触状態が前回の装着時と今回の装着時とで変化した場合や、前回の装着時に対して今回の装着時には固定部5に対して支持部4が傾いて装着された場合などについても、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 レール形状測定装置
2 測定部
2a 測定子
2b,2d 回転アーム部
2c,2e 回転検出部
2f 演算部
2g 表示部
3 基準ブロック部
4 支持部
5 固定部
5a 上面
5b 下面
6 固定部側嵌合部
7,8 曲げ変形抑制部
9 磁石部
10A,10B 取付部
11 上側クランプ部
11a 締結力作用部
11b 嵌合部
12 下側クランプ部
12a 締結力作用部
12b 嵌合部
13 取付部側嵌合部
14 締結部
15A~15C 装着部
16A~16C 支持部側接触部
17A~17C 固定部側接触部
18 位置決め部
18a 凸部
18b 凹部
19A~19C 磁石部
20 回転規制部
20a,20b 挟み込み部
21 切替部
21a レバー部
21b 支持部
21d,21e カム部
22A~22C 支持部側保護カバー部
23A~23C 固定部側保護カバー部
23a 磁石部
24 位置調整部
25 上下位置調整部
25a ガイド部
25b スライド部
25d レバー部
26 左右位置調整部
26a 回転ハンドル部
26b 固定部
26c 可動部
27A,27B 測定基準部
28A,28B 高さ測定部
28a 測定子
29A,29B 保持部
30 基準部側保護カバー部
R レール
1 レール頭部
11 頭頂面
12 頭部側面
13 ゲージコーナー部
2 レール底部
21 底部上面
22 底部下面
23 底部側面
W 車輪
1 踏面
2 フランジ面
F 締結力
1,P2 作用点
M 曲げモーメント
3,P5 固定位置
4,P6 固定解除位置
10,S20 基準形状
11,S21 レール断面形状
Δ レール削正量
S 異物
δ1,δ2 相対的な高さ
1,D2 測定方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34