(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036340
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】光拡散板積層体
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20240308BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240308BHJP
G02F 1/13357 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B5/02 C
F21S2/00 481
G02F1/13357
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222658
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021012863の分割
【原出願日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2018069774
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018215551
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 正幸
(72)【発明者】
【氏名】岡部 元彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 孝弘
(57)【要約】
【課題】光源から出射された光の輝度の均一性を向上させることができる光拡散板積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】光拡散板積層体10は、複数積層された光拡散板43を備え、隣接する光拡散板43間に空気層に相当する凹部52aが設けられている。複数の光拡散板43のうち、少なくとも1つの光拡散板43の一方の表面は、凹凸形状を持ち、凹凸形状は、光拡散板43の表面に隙間なく配置された多角錐である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂マトリックス中に光拡散剤を含有する光拡散板が複数積層され、隣接する前記光拡散板間に空気層が設けられ、
前記複数の光拡散板のうち、少なくとも1つの光拡散板の一方の表面は、凹凸形状を持ち、
前記凹凸形状は、前記光拡散板の表面に隙間なく配置された多角錐であることを特徴とする光拡散板積層体。
【請求項2】
前記光拡散板が2枚または3枚であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板積層体。
【請求項3】
前記光拡散板において、該光拡散板全体に対する前記光拡散剤の含有量が、0.3質量%以上8.0質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光拡散板積層体。
【請求項4】
前記光拡散板において、樹脂マトリックス中に含有される光拡散剤の平均粒子径が0.8μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の光拡散板積層体。
【請求項5】
前記樹脂マトリックスがポリカーボネートであり、前記光拡散剤がシリコーン系拡散剤であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光拡散板積層体。
【請求項6】
前記光拡散板は、前記凹凸形状を仮想的に取り除いた場合に現れる平坦な表面を仮想平面として、前記仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を、前記仮想平面に沿って二次元的にずらしながら、当該仮想平面の各位置での前記微小領域に含まれる前記凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面と前記仮想平面とのなす傾斜角度を求めた場合に、前記各位置での前記微小領域の総面積に対する、前記傾斜角度が30°以上となる前記微小領域の総面積の比率が30%以上となることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光拡散板積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトユニットに使用される光拡散板積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットディスプレイが、省スペ-スであり高精細であることから、表示装置として広範に使用されている。このうち、液晶ディスプレイは、より省電力であり高精細であるため注目され、開発が進められている。
【0003】
液晶表示装置は、例えば、互いに対向するように配置された薄膜トランジスタ(thin film transistor、以下、「TFT」と称する)基板及びカラーフィルタ(color filter、以下、「CF」と称する)基板と、TFT基板及びCF基板の間に封入された液晶層とにより構成された液晶表示パネル、並びに液晶表示パネルの背面側に設けられたバックライトを備えた、非発光型の表示装置である。そして、CF基板では、画素を構成する各副画素に、例えば、赤色、緑色又は青色に着色された着色層が設けられている。
【0004】
また、バックライトとしては、液晶層の下面側にエッジライト型(サイドライト型)や導光シートを用いない直下型のバックライトユニットが装備されている。この直下型のバックライトユニットとしては、例えば、液晶表示パネルの光入射側に臨ませて配置されたプリズムシート等からなる光学シート群、拡散シート、及びLED等により構成された光源を備え、背面側から順に、光源、拡散シート、及び光学シート群が積層されたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載のバックライトユニットにおいては、拡散シートが、透明樹脂と当該透明樹脂中に分散された透明微粒子により構成され、透明樹脂と透明微粒子との間の屈折率の差により、光源から出射された光の輝度ムラを抑制するものであるが、光源が画面直下に配置される直下型バックライトユニットでは、光源の直下部分と光源間部分との明暗差が大きいため、光源から出射された光の輝度の均一性を十分に向上させることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、直下型のバックライトユニットにおいて、光源から出射された光の輝度の均一性を向上させることができる光拡散板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光拡散板積層体は、樹脂マトリックス中に光拡散剤を含有する光拡散板が複数積層され、隣接する光拡散板間に空気層が設けられ、複数の光拡散板のうち、少なくとも1つの光拡散板の一方の表面は、凹凸形状を持ち、凹凸形状は、光拡散板の表面に隙間なく配置された多角錐であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、直下型のバックライトユニットにおいて、光源からの光を均一に面発光させることが可能になるため、光源から出射された光の輝度の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置におけるバックライトユニットを説明するための断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置におけるバックライトユニットを説明するための断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る光拡散板を説明するための断面図である。
【
図5A】本発明の第2の実施形態に係る光拡散板において、仮想平面に沿って所定の投影面積を持つ微小領域をずらしながら、微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面の傾斜角度を求めている様子の一例を示す図である。
【
図5B】本発明の第2の実施形態に係る光拡散板において、仮想平面に沿って所定の投影面積を持つ微小領域をずらしながら、微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面の傾斜角度を求めている様子の他の例を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る光拡散板によって、光源から入射した光が反射する様子を示す図である。
【
図7】変形例に係る液晶表示装置におけるバックライトユニットを説明するための断面図である。
【
図9】
図8に示す輝度分布のうちx方向の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の断面図であり、
図2は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置におけるバックライトユニットを説明するための断面図である。
【0013】
図1に示すように、液晶表示装置1は、複数の画素がマトリックス状に配列された液晶表示パネル2と、液晶表示パネル2の表面側(図の上面側であって、液晶表示装置1における視認者側)に貼り付けられた第1偏光板3(以下、単に「偏光板3」と言う場合がある。)と、液晶表示パネル2の裏面側(背面側、図の下面側であって、液晶表示装置1における視認者側と反対側)に貼り付けられた第2偏光板4(以下、単に「偏光板4」と言う場合がある。)と、液晶表示パネル2の裏面側に設けられたバックライトユニット5とを備えている。
【0014】
液晶表示パネル2は、
図1に示すように、第1基板であるTFT基板6と、TFT基板6に対向して配置された第2基板であるCF基板7と、TFT基板6及びCF基板7の間に設けられた液晶層8と、TFT基板6及びCF基板7を互いに接着するとともに、TFT基板6及びCF基板7の間に液晶層8を封入するために枠状に設けられたシール材(不図示)とを備えている。
【0015】
なお、TFT基板6及びCF基板7は、それぞれ矩形板状に形成されている。また、液晶表示装置1は、液晶層8の厚み(即ち、セルギャップ)を規制するための複数のフォトスペーサ(不図示)を備えている。
【0016】
TFT基板6は、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板と、絶縁基板上に互いに平行に延びるように設けられた複数のゲート線と、各ゲート線と直交する方向に互いに平行に延びるように設けられた複数のソース線と、各ゲート線及び各ソース線の交差する部分毎、即ち、各副画素Pr、Pg及びPb毎にそれぞれ設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた保護膜と、保護膜上にマトリックス状に設けられ、各TFTに接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜(いずれも不図示)とを備えている。
【0017】
CF基板7は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜(いずれも不図示)とを備えている。
【0018】
液晶層8は、電気光学特性を有するネマチックの液晶材料などにより構成されている。
【0019】
<バックライトユニット>
図2に示すように、バックライトユニット5は、光拡散板23の裏面側に光源22が配設された直下型のバックライトユニットであり、光拡散板23の裏面に向けて光線を照射する光源22と、裏面側から入射する光線を集光拡散させる光拡散板23と、光拡散板23の表面側に重畳される量子ドット(Quantum Dot)シート25と、量子ドットシート25の表面側に配設されるプリズムシート24と、プリズムシート24の表面側に配設される反射型偏光フィルム26とを備える。
【0020】
なお、ここで言う「裏面」とは、バックライトユニット5の出射面を表面とした場合の、その表面と対向するバックライトユニット5の裏面のことを言う。
【0021】
<光源>
光源22は、バックライトユニット5の光出射面と平行な面に配置され、当該光出射面側へと向かって光を発光させるものであり、本実施形態においては直下型方式が採用されている。この光源22としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。なお、この光源22として、複数の発光ダイオードが光拡散板23の裏面に沿って配設されたものを用いてもよい。
【0022】
<光拡散板>
光拡散板23は、裏面側から入射される光線を拡散させつつ法線方向側へ集光させる(集光拡散させる)機能を有しており、光源22からの光を均一に面発光させるためのものである。
【0023】
この光拡散板23は、光源22の表面側に光源22から離間して設けられており、
図2に示すように、樹脂マトリックス37中に光拡散剤40が分散されたものである。
【0024】
光拡散板23の樹脂マトリックス37は、光線を透過させる必要があるため、透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。樹脂マトリックス37の主成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル、ポリイミド等が挙げられる。
【0025】
光拡散板23の光拡散剤40は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、マグネシウムシリケート、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、又はこれらの混合物が挙げられる。有機フィラーの具体的な材料としては、例えば、シリコーンパウダーなどのシリコーン系拡散剤、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。シリコーン系拡散剤とは、シロキサン結合を有する球状微粒子であり、例えばシリコーンレジン、シリコーンゴム、球状のシリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した球状粉末であるシリコーン複合パウダー、又はそれらの組み合わせたものである。中でも、シリコーン複合パウダーが好ましい。
【0026】
光拡散剤40の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0027】
また、球状のビーズを使用する場合、光拡散剤40の体積基準粒度分布による平均粒子径D50は、0.8μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0028】
<量子ドットシート>
量子ドットシート25は、量子ドットにより、光源22から発光された光(例えば青色の光)を、任意の色(例えば、緑色や赤色)の波長を発光ピーク波長とする光に変換する機能を有するものである。
【0029】
この量子ドットシート25は、量子ドット及びバインダ樹脂を含む量子ドット層と、量子ドット層の入光面及び出光面に形成された一対のバリアフィルム(いずれも不図示)とを備えている。
【0030】
この量子ドットシート25は、例えば、波長450nmの青色光を波長540nmの緑色光と波長650nmの赤色光に変換するものである。従って、波長450nmの青色光を発する光源を用いることにより、この量子ドットシート25により青色光が部分的に緑色と赤色に変換され、量子ドットシート25を透過した光は白色光になる。
【0031】
<プリズムシート>
プリズムシート24は、裏面側から入射される光線を法線方向側に屈折させる機能を有するものである。
【0032】
このプリズムシート24は、量子ドットシート25と反射型偏光フィルム26との間に設けられているおり、光線を透過させる必要があるため、透明、特に無色透明の合成樹脂を主成分として形成されている。プリズムシート24は、基材層35と、基材層35の表面に積層される複数の凸条プリズム部36からなる突起列とを有する。凸条プリズム部36は、基材層35の表面にストライプ状に積層されている。凸条プリズム部36は、裏面が基材層35の表面に接する三角柱状体である。
【0033】
プリズムシート24の厚さ(基材層35の裏面から凸条プリズム部36の頂点までの高さ)の下限としては、35μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、プリズムシート24の厚さの上限としては、200μmが好ましく、180μmがより好ましい。
【0034】
また、プリズムシート24における凸条プリズム部36のピッチP(
図2参照)の下限としては、12μmが好ましく、20μmがより好ましい。一方、プリズムシート24における凸条プリズム部36のピッチPの上限としては、100μmが好ましく、60μmがより好ましい。
【0035】
また、凸条プリズム部36の頂角としては、85°以上95°以下が好ましい。さらに、凸条プリズム部36の屈折率の下限としては、1.5が好ましく、1.55がより好ましい。一方、凸条プリズム部36の屈折率の上限としては、1.7が好ましい。
【0036】
なお、
図2においては、2枚のプリズムシート24を設けているが、2枚のプリズムシートを貼り合わせて1枚にしたものを使用してもよい。
【0037】
<反射型偏光フィルム>
反射型偏光フィルム26は、プリズムシート24から出射された光において、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過させるとともに、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有するものである。
【0038】
そして、反射された第2の直線偏光成分は、再度、反射されて偏光が解消された状態となり、この状態で、再度、反射型偏光フィルム26に入射することになり、反射型偏光フィルム26は、再度入射した光において、第1の直線偏光成分のみを透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分を吸収せずに、再度、反射する。
【0039】
そして、反射型偏光フィルム26における上述の工程が繰り返され、反射型偏光フィルム26における第1の直線偏光成分(透過軸成分)の偏光方向と液晶表示パネル2の偏光板4の透過軸方向とを一致させることにより、バックライトユニット5からの出射光の全てを液晶表示パネル2における画像形成に利用することができるようになる。
【0040】
なお、この反射型偏光フィルム26としては、市販のフィルム(例えば、スリーエムジャパン(株)製、商品名:DBEF(登録商標))を使用することができる。
【0041】
ここで、本実施形態においては、
図2に示すように、バックライトユニット5の厚み方向Xにおいて、2枚の光拡散板23が積層されるとともに、隣接する光拡散板23間に空気層30が設けられている光拡散板積層体10が設けられている点に特徴がある。
【0042】
このような構成により、光拡散板23の光拡散剤40と空気層30との間の屈折率差により、光拡散剤40と空気層30との界面で光の反射と散乱が生じるため、2枚の光拡散板23の全体における拡散性能が向上し、光源22からの光を均一に面発光させることが可能になる。その結果、直下型のバックライトユニット5において、光源22から出射された光の輝度の均一性を向上させることが可能になる。
【0043】
また、本実施形態においては、バックライトユニット5の厚み方向Xにおいて、光源22と光拡散板積層体10との離間距離Dが10mm以下であることが好ましい。
【0044】
これは、離間距離Dが10mmよりも大きい場合は、輝度が低下するとともに、バックライトユニット5の厚みが大きくなりすぎるため、薄型化への対応が困難になるためである。
【0045】
なお、この離間距離Dは、バックライトユニット5の薄型化を図るとともに、輝度を向上させて節電を図るとの観点から、8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましい。
【0046】
また、光拡散板23の全体に対する光拡散剤の含有量は、0.3質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。これは、0.3質量%未満の場合は、光拡散剤の含有量が少ないため、光拡散剤による光拡散性が十分に得られない場合があり、8.0質量%よりも大きい場合は、輝度、及び輝度の均一性がともに低下するという不都合が生じる場合があるためである。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る液晶表示装置におけるバックライトユニットを説明するための断面図であり、
図4は、本実施形態に係る光拡散板を説明するための断面図である。なお、液晶表示装置の全体構成は、上述の第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図3~4に示すように、本実施形態においては、上述の光拡散板23の代わりに、ピラミッド形状を有する光拡散板43が設けられている。
【0049】
光拡散板43は、
図4に示すように、樹脂マトリックス51と、樹脂マトリックス51上に形成された凹凸形状層52とを有する。樹脂マトリックス51は、上述の樹脂マトリックス37と同様に、例えば、ポリカーボネートを母材として構成され、母材100質量%に対して、例えば、0.5~4質量%程度の光拡散剤51aを含有する。光拡散剤51aとしては公知の材料を適宜用いることができる。凹凸形状層52は、例えば、クリアポリカーボネートから構成され、凹凸形状層52の表面には、例えば、逆ピラミッド形状の凹部52a(上述の空気層30に相当)が2次元配列されている。凹部52aの頂角θは、例えば90°であり、凹部52aの配列ピッチpは、例えば100μm程度である。光拡散板43は、光拡散剤を含有し、表面に凹凸形状を持つ1層構造で構成してもよい。このように、光拡散板43は、
図4の形態に限られない。例えば、光拡散板を、凹凸形状を設けた一層構造としてもよいし、凹凸形状を備えた層を含む3層以上の構造としてもよい。また、凹凸形状層は、上述のとおり逆ピラミッド形状の凹部を二次元配列するものに限られず、ランダムに凹凸を配置するようにしてもよい。
【0050】
また、光拡散板43の少なくとも一方の表面は、凹凸形状を持ち、光拡散板43の仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を、当該仮想平面に沿って二次元的にずらしながら、当該仮想平面の各位置での微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面が光拡散板43の仮想平面となす傾斜角度を求めた場合に、各位置の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の比率が30%以上となる。
【0051】
ここで、光拡散板43の仮想平面とは、光拡散板43において凹凸を仮想的に取り除いて残る平坦な表面を意味する。より具体的には、「仮想平面」とは、凹凸の凹部の最深部に接するように水平に設けた仮想面をいう。もっとも、ここでの「水平」は、光拡散板43の水平面と平行に、という意味であって、厳密な意味での水平という意味までをいうものではない。例えば,光拡散板43の凹凸が設けられている面とは反対側の面が平面又は平面に近い形状である場合は、この面と平行になるように前記仮想面を設ければよい。
【0052】
図5Aは、光拡散板43(具体的には凹凸形状層52)の仮想平面(P)に沿って、所定の投影面積を持つ微小領域をずらしながら、各位置の微小領域(例えばR
1 、R
2 、R
3 、・・・)に含まれる凹凸形状を持った表面(例えばS
1 、S
2 、S
3 、・・・
)を平面近似し、当該平面近似した平面(例えばV
1 、V
2 、V
3 、・・・
)の傾斜角度(例えばθ
1 、θ
2 、θ
3 、・・・)を求めている様子を示す。尚、
図5Aでは、簡単のために、凹凸の各斜面に合わせて微小領域をずらしているが、実際には、
図5Bに示すように、凹凸の状態とは関係無く微小領域を2次元的にずらしていく。このとき、ずらした後の微小領域が、ずらす前の微小領域とオーバーラップしてもよい。
【0053】
以上に説明した本実施形態によると、光拡散板43の仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を当該仮想平面に沿ってずらしながら、各位置の微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面の傾斜角度を求めた場合に、各位置の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の比率が30%以上となるように、凹凸形状が制御されている。このため、
図6に示すように、例えば、反射シート(例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成されたもの)41上に2次元状に配置された複数の光源22から光拡散板43に入射した光の反射、具体的には、光拡散板43内での多重反射や、光源22が載置された反射シート41と光拡散板43との間での多重反射等が促進されることになる。その結果、LED等の光源22が複数配置された直下型のバックライトユニット9において光源22と光拡散板43との間の距離が小さくなったとしても、発光面における各光源22と光源間領域との間に輝度ムラが生じることを十分に抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態において、光源22の配置数は特に限定されないが、複数の光源22を分散配置する場合は、反射シート41上に規則的に配置することが好ましい。規則的に配置するとは、一定の法則性をもって配置することを意味し、例えば、光源22を等間隔で配置する場合が該当する。等間隔で光源22が配置される場合、隣り合う2つの光源22の中心間距離は、0.5mm以上(好ましくは2mm以上)20mm以下であってもよい。また、隣り合う2つの光源22の中心間距離が0.5mm以上であると、隣り合う光源22同士の間の領域において他の領域よりも輝度が小さくなる現象(輝度ムラ)が発生しやすくなるので、本実施形態を適用する有用性が大きくなる。
【0055】
また、光拡散板43の表面に形成される凹凸形状は、工業生産上の加工精度の制約があるために、均一な形状にはならず、ある程度のバラツキを有していてもよい(
図5A参照)。この場合、凹凸形状が設けられた光拡散板43の表面における各微小領域の表面(近似平面)の傾斜角度は0~90度までの範囲でばらつくことになるが、本実施形態は、これらのバラツキを集計した場合に、その3割以上が30度以上の傾斜角度を有するように、凹凸形状を制御するものである。特に、プラスチックフィルムを用いて光拡散板43を形成する場合、光拡散板43の表面に形成される凹部又は凸部の形状を均一にすることは困難になるため、各微小領域の表面の傾斜角度がバラツキを有することを前提とする本実施形態を適用する利点は大きい。
【0056】
また、本実施形態においては、光拡散板43の上面(プリズムシート24側の表面)に凹凸形状(凹部52a)を設けたが、凹凸形状は光拡散板43の少なくとも一方の表面に設けられていればよい。すなわち、光拡散板43の下面(光源22側の表面)又は両面(上面及び下面)に凹凸形状を設けてもよい。
【0057】
また、光拡散板43の表面に設けられる凹凸形状は、後述の方法等によって微小領域の表面の傾斜角度が測定できる形状であれば、特に制限されず、例えば、ピッチ、配列、形状等がランダムなマット形状、又は、複数の凸部や凹部が規則的に2次元配列された形状であってもよい。
【0058】
また、光拡散板43の表面に設けられる凹凸形状は、多角錘又は多角錐に近似可能な形状を含んでいてよい。ここで、「多角錐」としては、光拡散板43の表面に隙間なく配置することが可能な三角錐、四角錘又は六角錐が好ましい。多角錘又は多角錐に近似可能な形状を光拡散板43の表面に隙間なく配置することによって、光拡散板43の仮想平面における傾斜角度が0°である部分の面積を低減することができる。また、光拡散板43の表面に凹凸形状を設ける際の押し出し成形や射出成型などの製造工程では金型(金属ロール)が用いられるが、この金型(金属ロール)表面の切削作業の精度を考慮して、「多角錐」として四角錘を選択してもよい。
【0059】
凸部の形状としては、例えば、半球(上半分)、円錐、三角錐、四角錐、六角錐等を挙げることができ、凹部の形状としては、例えば、半球(下半分)、逆円錐、逆三角錐、逆四角錐、逆六角錐等を挙げることができる。
【0060】
また、凸部の形状としては、例えば、略半球(上半分)、略円錐、略三角錐、略四角錐、略六角錐等を挙げることができ、凹部の形状としては、例えば、略半球(下半分)、略逆円錐、略逆三角錐、略逆四角錐、略逆六角錐等を挙げることができる。ここで、「略」とは、近似可能であることを意味し、例えば「略四角錐」とは、四角錐に近似可能な形状な形状をいう。もっとも、凸部や凹部は、工業生産上の精度を考慮し、略半球(上半分又は下半分)、略円錐(略逆円錐)、略三角錐(略逆三角錐)、略四角錐(略逆四角錐)から変形した形でもよく、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきがあってもよい。
【0061】
光拡散板43の表面に複数の凸部や凹部が規則的に2次元配列される場合、複数の凸部や凹部は、光拡散板43の表面全体に隙間無く設けられていてもよいが、一定の間隔(ピッチ)で設けられていてもよいし、ランダムな間隔で設けられていてもよい。
【0062】
また、本実施形態において、光拡散板43における凹凸形状を持った表面の傾斜角度を微小領域毎に求めることができれば、当該傾斜角度の算出方法は、特に制限されるものではないが、例えば、以下のような算出方法を用いてもよい。
【0063】
(手順1)キーエンス社製・レーザーマイクロスコープVK-100を使用して、光拡散板43の表面形状を400倍の倍率で測定し、自動傾き補正を行って、縦768ピクセル×横1024ピクセル(522.6μm×697μm)の高さデータをCSVファイルとして採取する。高さ測定は、例えば、次のように行うことができる。まず、段階的にピント位置を変えて、測定対象の複数の共焦点画像を取得した後、離散的なピント位置(Z)と光検出強度(I)との関係に基づいて、画素毎に光強度変化曲線(I-Zカーブ)を推定し、I-Zカーブからピーク位置つまり高さを求める。
【0064】
(手順2)手順1で採取した高さデータ(digit)をZキャリブレーション値を使用して高さデータ(μm)に変換する。
【0065】
(手順3)手順2により得られた高さデータを使用し、縦4ピクセル×横4ピクセルの微小領域(面積(光拡散板43の仮想平面に対する投影面積)は7.29μm2 )のデータに基づいて公知の数学的手法により当該微小領域に含まれるシート表面を近似する平面を算出する。
【0066】
(手順4)手順3で算出された近似平面が光拡散板43の仮想平面(つまり高さ0の平面)となす角度を算出し、当該微小領域の傾斜角度とする。
【0067】
(手順5)縦方向又は横方向に1ピクセルずつ微小領域をずらしながら、手順3及び手順4を50万箇所以上(具体的には779280箇所)の微小領域に対して実施する。
【0068】
(手順6)手順5で測定した50万箇所以上の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の割合(以下、単に「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」という)を算出する。
【0069】
なお、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の算出は、前述の手順1のように、加工バラツキ等を考慮して0.5mm四方以上の対象範囲(手順1では、522.6μm×697μmの範囲)の高さデータから求めることが好ましい。もちろん、データ精度を向上させるために、0.5mm四方以上の対象範囲を複数設定する、或いは、シート全面を対象範囲として、高さデータを取得してもよいことは言うまでもない。この対象範囲の拡大に伴い、傾斜角度の算出を行う「微小領域」の数も増大する。「微小領域」の数について、測定やデータ処理等のリソース上支障が無ければ、特に上限はない。例えば、0.5mm四方以上の対象範囲を2つ設定した場合は、「微小領域」の数も2倍になる。また、同一サイズの対象範囲であっても、当該範囲に含まれるピクセル数が増えれば、「微小領域」の数も増大する。すなわち、対象範囲の広さ、対象範囲に含まれるピクセル数、後述する微小領域の面積等によって、傾斜角度の算出を行う「微小領域」の数は決まる。但し、加工バラツキ等を考慮して0.5mm四方以上を対象範囲とする場合、凹凸形状を精度良く把握するためには、少なくとも10万箇所以上(好ましくは30万箇所以上、より好ましくは50万箇所以上)の微小領域について傾斜角度の算出を行ってもよい。
【0070】
また、前述の傾斜角度の算出方法においては、縦4ピクセル×横4ピクセルの微小領域を縦方向又は横方向に1ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ったが、これに代えて、同サイズの微小領域を縦方向又は横方向に2ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ってもよい。或いは、より大きなサイズ(例えば、縦8ピクセル×横8ピクセル)の微小領域を縦方向又は横方向に4ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ってもよい。すなわち、微小領域のピクセルサイズ、微小領域をずらすピクセルピッチは、凹凸形状を精度良く把握できる限りにおいて、任意に設定可能である。
【0071】
また、傾斜角度の測定における微小領域の面積(光拡散板の仮想平面に対する投影面積)は、小型光源からの光の反射特性をミクロで評価できる十分小さい面積であれば、特に制限されるものではないが、測定精度や測定機器の性能等を考慮し、0.1mm2 以下(好ましくは0.01mm2 以下、より好ましくは0.001mm2 以下、さらに好ましくは0.0001mm2 (100μm2 )以下)の面積(手順3では7.29μm2 の面積)としてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、光拡散板43が、光拡散剤51aを含む樹脂マトリックス51を有することによって、光拡散板43内での光拡散が促進されるので、各光源22と光源間領域との間の輝度ムラをより一層抑制することができる。
【0073】
樹脂マトリックス51に含有される光拡散剤51aの材料は、特に限定されないが、無機粒子として、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等、有機粒子として、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等を用いてもよい。
【0074】
光拡散剤51aの粒径としては、光拡散効果の観点で、例えば、0.1μm以上(好ましくは1μm以上)10μm以下(好ましくは8μm以下)としてもよい。
【0075】
光拡散剤51aの含有量としては、光拡散効果の観点で、樹脂マトリックス51を構成する材料(マトリックス)を100質量%として、例えば、0.1質量%以上(好ましくは0.3質量%以上)10質量%以下(好ましくは8質量%以下)としてもよい。
【0076】
光拡散剤51aの屈折率と樹脂マトリックス51のマトリックスの屈折率との差は、0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、最も好ましくは0.15以上としてもよい。光拡散剤51aの屈折率と樹脂マトリックス51の屈折率との差が0.01未満であると、光拡散剤51aによる拡散効果が不十分になる。
【0077】
樹脂マトリックス51の主成分としては、光を透過させる材料であれば、特に限定されないが、例えば、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等を用いてもよい。
【0078】
本実施形態の光拡散板43の厚さは、特に限定されないが、例えば、3mm以下(好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下)で0.1mm以上であってもよい。光拡散板43の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる。一方、光拡散板43の厚さが0.1mmを下回ると、前述の輝度均一性向上効果を発揮することが難しくなる。
【0079】
本実施形態の光拡散板43のように多層構造(下層の樹脂マトリックス51及び上層の凹凸形状層52)を持つ場合は、表面に凹凸形状が設けられる層(凹凸形状層52)の厚さは、凹凸形状の最大高さ又は最大深さよりも大きい厚さを持つ。例えば、高さ(又は深さ)20μmの凸部(又は凹部)が設けられる層の場合は、厚さを20μmよりも大きくする。
【0080】
光拡散板43の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、押し出し成型法、射出成型法などを用いてもよい。押し出し成型法を用いて、凹凸形状を表面に持つ単層の光拡散板43を製造する手順は次の通りである。まず、拡散剤が添加されたペレット状のプラスチック粒子(併せて、拡散剤が添加されていないペレット状のプラスチック粒子を混合してもよい)を単軸押し出し機に投入し、加熱しながら溶融、混錬した後、T-ダイスにより押し出された溶融樹脂を2本の金属ロールで挟んで冷却し、その後、ガイドロールを用いて搬送し、シートカッター機により枚葉平板に切り落とすことによって、光拡散板43を作製する。ここで、所望の凹凸形状を反転した形状を表面に持つ金属ロールを使用して溶融樹脂を挟むことにより、ロール表面の反転形状が樹脂に転写されるので、所望の凹凸形状を拡散シート表面に賦形することができる。また、樹脂に転写された形状は、必ずしもロール表面の形状が100%転写されたものとはならないので、転写度合いから逆算して、ロール表面の形状を設計してもよい。
【0081】
押し出し成型法を用いて、凹凸形状を表面に持つ2層構造の光拡散板43を製造する場合は、例えば、2つの単軸押し出し機のそれぞれに、各層の形成に必要なペレット状のプラスチック粒子を投入した後、各層毎に前述と同様の手順を実施し、作製された各シートを積層すればよい。
【0082】
或いは、2つの単軸押し出し機のそれぞれに、各層の形成に必要なペレット状のプラスチック粒子を投入し、加熱しながら溶融、混錬した後、各層となる溶融樹脂を1つのT-ダイスに投入し、当該T-ダイス内で積層し、当該T-ダイスにより押し出された積層溶融樹脂を2本の金属ロールで挟んで冷却し、その後、ガイドロールを用いて搬送し、シートカッター機により枚葉平板に切り落とすことによって、凹凸形状を表面に持つ2層構造の光拡散板43を作製してもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、バックライトユニット9として、液晶表示装置1の表示画面60の背面側に複数の光源22を分散配置させた直下型のバックライトユニットを用いている。このため、液晶表示装置1を小型化するためには、光源22と光拡散板43との距離を小さくする必要がある。しかしながら、この距離を小さくすると、分散配置された光源22同士の間の領域上に位置する部分の表示画面60の輝度が他の部分よりも小さくなる現象(輝度ムラ)が生じやすくなる。
【0084】
それに対して、前述のように、本発明の凹凸形状を表面に持つ光拡散板43を用いることは、輝度ムラの抑制に有用である。特に、今後の中小型液晶ディスプレイの薄型化をにらみ、光源22と光拡散板43との距離を15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは2mm以下、究極的には0mmとした場合に、本発明の有用性はより一層顕著になると考えられる。
【0085】
なお、上記実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0086】
上記第1の実施形態においては、バックライトユニット5の厚み方向Xにおいて、2枚の光拡散板23を積層する構成としたが、
図7に示すバックライトユニット50のように、3枚の光拡散板23を積層した光拡散板積層体10を設ける構成としてもよい。この場合、
図7に示すように、隣接する光拡散板23間に2層の空気層30が設けられることになる。
【0087】
そして、この様な構成においても、上述のバックライトユニット5と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、光源22と光拡散板積層体10との間に、上述の反射型偏光フィルム26を設ける構成としてもよい。このような構成により、光源22と光拡散板積層体10との離間距離Dを増大させることなく、両者間における混光を促進させて、光分布をより一層均一にすることが可能になる。
【0089】
また、上記第2の実施形態の光拡散板43は、上述のごとく、樹脂マトリックス51上に、本発明の凹凸形状が設けられた表面を持つ凹凸形状層52を備えたものであるが、これに代えて、光拡散板43を、拡散剤を含有し、表面に凹凸形状を持つ1層構造で構成してもよい。或いは、光拡散板43を、樹脂マトリックス51及び凹凸形状層52を含む3層以上の構造で構成してもよい。或いは、樹脂マトリックス51と凹凸形状層52とをそれぞれ独立した光拡散板として構成し、両者を積層してもよいし、別個に配置してもよい。後者の場合、凹凸形状層52を光源22側に配置してもよい。或いは、光拡散板43を樹脂マトリックス51のみで構成し、プリズムシート24の下面に本発明の凹凸形状を設けてもよい。
【実施例0090】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0091】
(実施例1)
まず、
図2に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、光源として、発光ダイオード(Cree社製、商品名:XPGDRY-L1-0000-00501)を使用した。また、光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚み:0.5mm)を2枚積層することにより光拡散板間に空気層が設けられたもの使用し、マット面を表面側に向けた。また、量子ドットシート(日立化成(株)製)を使用するとともに、2枚のプリズムシート(スリーエムジャパン(株)製、商品名:BEF-2)を使用し、いずれもプリズム列の頂点が表面側に突出し、かつプリズム列の稜線が互いに直交するよう配置した。また、反射型偏光フィルムとしては、市販のフィルム(スリーエムジャパン(株)製、商品名:DBEF(登録商標))を使用した。
【0092】
また、光源と光拡散板積層体との離間距離Dを2.0mmに設定し、光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を0.8質量%、3.0質量%、及び8.0質量%に設定した。
【0093】
<輝度の均一性評価>
次に、用意したバックライトユニットにおいて、発光ダイオードを点灯させ、二次元色彩輝度計測装置(ハイランド製、商品名:RISA-COLOR/ONE)を用いて、二次元輝度分布を測定した。そして、得られた二次元輝度分布(平面視)において、最大輝度を示す中央位置での輝度Br=0mmと、当該中央位置から半径5mmの位置における輝度Br=5mmを取得し、輝度比Br=5mm/Br=0mmを求めた。なお、この輝度比Br=5mm/Br=0mmが高いほど、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることを意味する。以上の結果を、表1に示す。
【0094】
<光源と光拡散板積層体との離間距離の検討>
次に、上述のバックライトユニットにおいて、光源と光拡散板積層体との離間距離Dを1.5mm、2.0mm、2.8mm、3.7mm、5.0mm、及び7.0mmに設定するとともに、光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に設定した。
【0095】
そして、上述の輝度の均一性評価を行うことにより、光源と光拡散板積層体との離間距離について検討を行った。以上の結果を表2に示す。
【0096】
(実施例2)
光拡散板積層体として、上述の光拡散板(厚み:0.3mm)を3枚積層することにより、光拡散板間に2層の空気層が設けられたもの使用し、更に光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を0.3質量%、0.8質量%、3.0質量%、及び8.0質量%に設定したこと以外は、実施例1と同様にして、
図7に示す直下型のバックライトユニットを用意した。
【0097】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価、及び光源と光拡散板積層体との離間距離の検討を行った。以上の結果を表1~2に示す。
【0098】
(比較例1)
上述の光拡散板積層体の代わりに、光拡散板として、上述の光拡散板(厚み:1.0mm)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないもの使用し、更に光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を0.3質量%、0.8質量%、3.0質量%、及び8.0質量%に設定したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0099】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価、及び光源と光拡散板との離間距離の検討を行った。以上の結果を表1~表2に示す。
【0100】
【0101】
【0102】
表1に示すように、バックライトユニットの厚み方向において、複数(2枚、または3枚)の光拡散板が積層されるとともに、隣接する光拡散板間に空気層が設けられた光拡散板積層体を用いた実施例1~2においては、空気層が設けられていない比較例1に比し、輝度比Br=5mm/Br=0mmが高くなっており、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。
【0103】
特に、光拡散板全体に対する光拡散剤の含有量が、0.3質量%以上8.0質量%以下である実施例1~2においては、比較例1に比し、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。
【0104】
また、表2に示すように、実施例1~2においては、比較例1に比し、光源と光拡散板積層体との離間距離Dが7mm以下の場合に、輝度比Br=5mm/Br=0mmが高くなっており、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。
【0105】
次に、ピラミッド形状を有する光拡散板を用いた本発明を実施例に基づいて説明する。
【0106】
なお、各例の光拡散板における凹凸形状を持った表面の傾斜角度の算出、及び、各例の光拡散板における「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の算出には、前述の手順1~6の方法を用いた。
【0107】
また、各例における輝度均一性の評価は、光源として用いるLEDの出光特性やLEDの配置などの影響を考慮し、普遍的な評価とするために、次のような手順で行う。まず、LEDを1つ点灯させた上で、当該LEDから一定の距離をあけて、評価対象の光拡散板を配置し、その上にプリズムシートを2枚、互いの稜線が直交するように積層配置し、その上に偏光シート(例えば、3M社製のDBEFシリーズ)を配置した状態において当該偏光シートの上側からLED像の2次元平面輝度を測定し、LED中心からの距離による輝度変化を求める。
図8は、前述の2次元輝度測定にHI-LAND社製・RISACOLORを使用して得られたLED像の2次元輝度分布を示す。次に、LED中心点を通る直線(
図8ではx軸方向に延びる白い線)に沿って、輝度変化曲線を抽出し、
図9に示すように、横軸にLED中心からの距離、縦軸に最大輝度を1とする相対輝度をとったグラフで表し、相対輝度が0.5となるときの横軸方向のグラフ幅をFWHM(Full Width at Half Maximum)として求める。FWHMが大きいほど、光の広がりが大きく、輝度均一性が向上しているので、FWHMを用いて、各例における輝度均一性の評価を行う。
【0108】
また、各例の光拡散板のベース樹脂(マトリックス)としては、ポリカーボネート(屈折率1.59)、ベース樹脂に添加する拡散剤としては、シリコーン(屈折率1.43)を用いた。すなわち、各例の光拡散板においてベース樹脂と拡散剤との間の屈折率差は0.16である。
【0109】
(実施例3)
実施例3の光拡散板の製造方法は次の通りである。まず、ベース樹脂と拡散剤樹脂を混合し押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面がランダムなマット形状(Ra:4.5μm)を持ったロール、もう片方のロールとしてピラミッドの形状を持つロールを使用し、当該両ロールを樹脂膜に圧着して各ロールの表面形状を転写し、片面にランダムマット(エンボスマット)形状、もう片面に凹ピラミッド形状を持つ単層の光拡散板(厚み:0.15mm)を作製した。
【0110】
このように作製された実施例3の光拡散板の表面形状を表3に示す。また、実施例3の光拡散板の凹ピラミッド形状面の「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は90%であった。
【0111】
次に、
図3に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、光源として、発光ダイオード(Cree社製、商品名:XPGDRY-L1-0000-00501)を使用した。また、光拡散板積層体として、上述の光拡散板を2枚積層することにより光拡散板間に空気層が設けられたもの使用し、表3に示すように凹ピラミッド形状面を裏面側(入光側)に向けた。また、量子ドットシート(日立化成(株)製)を使用するとともに、2枚のプリズムシート(スリーエムジャパン(株)製、商品名:BEF-2)を使用し、いずれもプリズム列の頂点が表面側に突出し、かつプリズム列の稜線が互いに直交するよう配置した。また、反射型偏光フィルムとしては、市販のフィルム(スリーエムジャパン(株)製、商品名:DBEF(登録商標))を使用した。
【0112】
また、光源と光拡散板積層体との離間距離Dを1.0mm、及び2.0mmに設定した。そして、上述の方法により、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0113】
(実施例4)
実施例3において作製した光拡散板の向きを表3に示す向きに変更したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0114】
(実施例5)
実施例3において作製した光拡散板の向きを表3に示す向きに変更したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0115】
(比較例3)
比較例3の光拡散板の製造方法は次の通りである。まず、ベース樹脂と拡散剤樹脂を混合し押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面がランダムなマット形状(Ra:4.5μm)を持ったロール、もう片方のロールとして鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂膜に圧着して各ロールの表面形状を転写し、片面にランダムマット形状、もう片面に鏡面を持つ単層の光拡散板(厚み:0.3mm)を作製した。
【0116】
このように作製された比較例3の光拡散板の表面形状を表3に示す。また、比較例3の光拡散板の凹ピラミッド形状面の「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は25%であった。
【0117】
そして、実施例3において作製した光拡散板の代わりに、本比較例の光拡散板を1枚使用し、表3に示す向きに配置したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0118】
(比較例4)
比較例3において作製した光拡散板の向きを表3に示す向きに変更したこと以外は、上述の比較例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0119】
(比較例5)
比較例5の光拡散板の製造方法は次の通りである。まず、ベース樹脂と拡散剤樹脂を混合し押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面がランダムなマット形状(Ra:4.5μm)を持ったロール、もう片方のロールとして鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂膜に圧着して各ロールの表面形状を転写し、片面にランダムマット形状、もう片面に鏡面を持つ単層の光拡散板(厚み:0.1mm)を作製した。
【0120】
このように作製された比較例5の光拡散板の表面形状を表3に示す。また、比較例5の光拡散板の凹ピラミッド形状面の「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は25%であった。
【0121】
そして、実施例3において作製した光拡散板の代わりに、本比較例の光拡散板を3枚使用し、表3に示す向きに配置したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0122】
(比較例6)
比較例5において作製した光拡散板の向きを表3に示す向きに変更したこと以外は、上述の比較例5と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0123】
(比較例7)
比較例7の光拡散板の製造方法は次の通りである。まず、ベース樹脂と拡散剤樹脂を混合し押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面がランダムなマット形状(Ra:4.5μm)を持ったロール、もう片方のロールとして鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂膜に圧着して各ロールの表面形状を転写し、片面にランダムマット形状、もう片面に鏡面を持つ単層の光拡散板(厚み:0.15mm)を作製した。
【0124】
このように作製された比較例7の光拡散板の表面形状を表3に示す。また、比較例7の光拡散板の凹ピラミッド形状面の「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は25%であった。
【0125】
そして、実施例3において作製した光拡散板の代わりに、本比較例の光拡散板を2枚使用し、表3に示す向きに配置したこと以外は、上述の実施例3と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0126】
(比較例8)
比較例7において作製した光拡散板の向きを表3に示す向きに変更したこと以外は、上述の比較例7と同様にして、FWHMを測定し、輝度均一性の評価を行った。以上の結果を表3に示す。
【0127】
【0128】
表3に示すように、バックライトユニットの厚み方向において、凹ピラミッド形状面を有する複数(2枚)の光拡散板が積層されるとともに、隣接する光拡散板間に空気層が設けられた光拡散板積層体を用いた実施例3~5においては、凹ピラミッド形状面が設けられていない比較例3~8に比し、FWHMの値が高くなっており、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。
【0129】
(実施例6)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を3枚(厚みが0.2mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.15mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを2枚)積層することにより、光拡散板間に2層の空気層が設けられ、総厚が0.5mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図7に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.15mmの光拡散板を2枚配置し、その裏面側に厚みが0.2mmの光拡散板を配置した。
【0130】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0131】
(実施例7)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を2枚(厚みが0.2mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.15mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを1枚)積層することにより、光拡散板間に1層の空気層が設けられ、総厚が0.35mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図2に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.15mmの光拡散板を配置し、その裏面側に厚みが0.2mmの光拡散板を配置した。
【0132】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0133】
(実施例8)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を2枚(厚みが0.1mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.1mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを1枚)積層することにより、光拡散板間に1層の空気層が設けられ、総厚が0.2mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図2に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.1mmで光拡散剤の配合量が0.8質量%の光拡散板を配置し、その裏面側に厚みが0.1mmで光拡散剤の配合量が3.0質量%の光拡散板を配置した。
【0134】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0135】
(実施例9)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を2枚(厚みが0.1mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.05mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを1枚)積層することにより、光拡散板間に1層の空気層が設けられ、総厚が0.15mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図2に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.05mmの光拡散板を配置し、その裏面側に厚みが0.1mmの光拡散板を配置した。
【0136】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0137】
(実施例10)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を3枚(厚みが0.05mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.05mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを2枚)積層することにより、光拡散板間に2層の空気層が設けられ、総厚が0.15mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図7に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.05mmで光拡散剤の配合量が0.8質量%の光拡散板を2枚配置し、その裏面側に厚みが0.05mmで光拡散剤の配合量が3.0質量%の光拡散板を配置した。
【0138】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0139】
(実施例11)
光拡散板積層体として、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板を2枚(厚みが0.05mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が3.0質量%のものを1枚、厚みが0.05mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のものを1枚)積層することにより、光拡散板間に1層の空気層が設けられ、総厚が0.1mmのものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、
図2に示す直下型のバックライトユニットを用意した。なお、表面側に厚みが0.05mmで光拡散剤の配合量が0.8質量%の光拡散板を配置し、その裏面側に厚みが0.05mmで光拡散剤の配合量が3.0質量%の光拡散板を配置した。
【0140】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
【0141】
(比較例9)
上述の光拡散板積層体の代わりに、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚みが0.5mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のもの)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0142】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0143】
(比較例10)
光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に変更したこと以外は、比較例9と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0144】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0145】
(比較例11)
上述の光拡散板積層体の代わりに、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚みが0.35mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のもの)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0146】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0147】
(比較例12)
光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に変更したこと以外は、比較例11と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0148】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0149】
(比較例13)
上述の光拡散板積層体の代わりに、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚みが0.2mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のもの)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0150】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0151】
(比較例14)
光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に変更したこと以外は、比較例13と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0152】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0153】
(比較例15)
上述の光拡散板積層体の代わりに、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚みが0.15mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のもの)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0154】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0155】
(比較例16)
光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に変更したこと以外は、比較例15と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0156】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0157】
(比較例17)
上述の光拡散板積層体の代わりに、ポリカーボネートに、光拡散剤としてシリコーン系の微粒子が混合され、片面がマット面、もう一方の片面が鏡面を有する光拡散板(厚みが0.1mmで光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量が0.8質量%のもの)1枚のみにより構成され、空気層が設けられていないものを、マット面を表面側に向けて使用したこと以外は、実施例1と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0158】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0159】
(比較例18)
光拡散板の全体に対する光拡散剤の配合量を3.0質量%に変更したこと以外は、比較例17と同様にして、直下型のバックライトユニットを用意した。
【0160】
次に、上述の実施例1と同様にして、輝度の均一性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
【0161】
【0162】
【0163】
表4、表5に示すように、バックライトユニットの厚み方向において、複数(3枚)の光拡散板が積層されるとともに、隣接する光拡散板間に空気層が設けられた光拡散板積層体を用いた実施例6においては、総厚が同じ0.5mmではあるが、光拡散板が1枚のみ使用され、空気層が設けられていない比較例9~10に比し、輝度比Br=5mm/Br=0mmが高くなっており、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。
【0164】
また、同様に、実施例7と比較例11~12(総厚が0.35mm)、実施例8と比較例13~14(総厚が0.2mm)、実施例9~10と比較例15~16(総厚が0.15mm)、及び実施例11と比較例17~18(総厚が0.1mm)との比較から、複数(2枚または3枚)の光拡散板が積層されるとともに、隣接する光拡散板間に空気層が設けられた光拡散板積層体を用いた実施例7~11においては、輝度分布の拡散性が高く、光源から出射された光の輝度の均一性が向上していることが分かる。