(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036365
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】パッケージ内のガス、蒸気、圧力を制御する装置
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B65D81/26 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003345
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2020561617の分割
【原出願日】2019-01-26
(31)【優先権主張番号】15/881,667
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520272857
【氏名又は名称】レーザーシャープ フレックスパック サービシーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】クラン、ケネス
(57)【要約】
【課題】パッケージ内のガス、蒸気、圧力を制御する装置を提供する。
【解決手段】包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する装置は、パッケージの内側に露出するための第1の開口部とパッケージの外側に露出するための第2の開口部とを有するフィルムを備える。チャネルは、第1の開口部と第2の開口部との間に延びている。チャネルの寸法は、CO
2/OTRの流れの比が包装された商品の許容レベルになるように、パッケージの内側からパッケージの外側へのCO
2の流量(1PSIでのcc/分)を制御し、パッケージの外側からパッケージの内側への酸素透過率(cc/日/Atm)を制御するように構成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する装置であって、
パッケージの内側に露出するための第1の開口部とパッケージの外側に露出するための第2の開口部と、を有するフィルムと、
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に延びるチャネルとを備え、前記チャネルの寸法が、CO2/OTRの流れの比が約0.1から約100の間であるように、前記パッケージの内側から前記パッケージの外側へのCO2の流量(1PSIでのcc/分)を制御し、前記パッケージの外側から前記パッケージの内側への酸素透過率(cc/日/Atm)を制御するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記CO2/OTRの流れの比が、約0.2から約50の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記CO2/OTRの流れの比が、約0.2から約16の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チャネルの寸法が、1PSIでのCO2の流量を約0.001cc/分から約1000cc/分に制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記チャネルの寸法が、1PSIでのCO2の流量を約0.010cc/分から約100cc/分に制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記チャネルの寸法が、1PSIでのCO2の流量を約0.03cc/分から約35cc/分に制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記チャネルの寸法が、前記チャネルの断面積および前記チャネルの長さを使用して構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記チャネルの断面積が、約1,500μm2から約1mm2の間である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記チャネルの断面積が、約1,500μm2から約100,000pm2である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記チャネルの長さが、約1mmから約100cmの間である、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記チャネルの長さが、約3mmから約200mmの間である、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記チャネルが、レーザーアブレーションされたチャネルであり、前記フィルムが、多層フィルムである、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記包装された商品がコーヒーを含み、前記チャネルの寸法が、前記コーヒーを包装した日から120日間にわたって約5%以下のヘッドスペース酸素の割合を維持するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する方法であって、
前記包装された商品の許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件を特定することと、
前記許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件の双方が満たされるように、パッケージの内側からパッケージの外側へのCO2の流量を制御し、且つパッケージの外側からパッケージの内側への酸素透過率を制御することができるチャネルの適切な断面積および長さを判定することと、
前記判定された適切な断面積および長さに基づいて、フィルム構造にチャネルを形成することと、
を備える、方法。
【請求項15】
前記許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件の双方が満たされるように、適切な断面積および長さを有する適切な数のチャネルを判定することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
レーザーを使用して前記チャネルを形成して、前記フィルム構造内の材料の層をアブレーションすることをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルム構造をパッケージ上に貼付して、前記チャネルと前記パッケージ内容物との間の気密連通を形成することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
パッケージのフィルム構造にチャネルを形成することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記パッケージがコーヒーを含み、前記コーヒーを包装した日から120日間にわたって約5%以下のヘッドスペース酸素の割合を維持することをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記パッケージが生鮮食品を含み、前記生鮮食品の貯蔵寿命を延ばすために前記パッケージ内の酸素の割合を維持することをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
この出願は、ひいては2018年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/617,542号に対する優先権を主張する2018年1月26日に出願された米国特許出願第15/881,667号から優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、包装された商品の圧力解放装置および方法に関し、より具体的には、包装された商品の貯蔵寿命を延ばすために、パッケージに出入りする特定のガスの流れを選択的に制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
柔軟な包装フィルムに包装された多くの生鮮食品は、オフガスによる圧力の増加、または不適切なレベルの酸素もしくは水蒸気による腐敗の影響を受ける。例えば、野菜や果物などの包装された生鮮食品の場合、パッケージへの酸素移動とCO2または他のガスのガス放出は、製品の種類およびその固有の細胞呼吸ニーズまたは他の生物学的特性ごとに特定のレベルに制御される必要がある。包装焙煎コーヒーの場合、長期間にわたってかなりの量のCO2オフガスが発生するため、1PSIという低い圧力で発生する可能性があるパッケージの破裂や破損を回避するために、パッケージ内部の圧力の上昇を緩和するメカニズムが必要である。これらの問題を解決するために、包装フィルムのマイクロ穿孔または一方向弁の適用を含むいくつかの方法および装置が利用されている。
【0004】
例えば、米国特許第5,263,777号明細書では、コーヒーバッグ用の一般的な一方向圧力解放弁設計が開示されており、通常は孔に対して着座し、且つパッケージ壁における孔または複数の孔を覆う接着剤のない非結合中央ゾーンを備えた膜またはフィルムを教示している。膜は、中央ゾーンの両側にある2つの平行な接着ストリップを介してパッケージの壁に固定されている。パッケージの圧力が特定の閾値まで増加すると、それは、膜をパッケージ壁の孔から浮き上がらせ、したがって、弁が外れたり開いたりすることにより、パッケージガスが接着ストリップを介して固定されていない膜のいずれかの開口端から逃げることができるチャネルを形成する。流れがある閾値まで減少すると、膜は、パッケージの壁と孔の上に再着座し、パッケージを再び密封し、酸素を含む大気の侵入を防ぐ。
【0005】
例えば、米国特許第5,427,839号明細書に記載されているように、上述したような弁はまた、複合ストリップなどのロール形態で提供され、そのまま包装機に輸送され、連続的に分離され、接着剤を使用して既製のパッケージ上に設置されることができる。対照的に、他のものは、米国特許第7,527,840号明細書に記載されているように、2つの薄層間の非結合弁領域を介して柔軟な包装ラミネート自体に圧力解放弁を設計することを記載している。
【0006】
これらの圧力解放弁の様々な構成および最適化を記載している特許は多数あるが、それらは、全て、いくつかの共通の欠点を被る。例えば、弁が存在する領域において、パッケージ壁や材料が屈曲したり、包装、輸送またはその他の取り扱いによって外部から応力が加えられたりすると、圧力差がない場合であっても弁材料が外れたり分離したりして、弁を通ってパッケージに入る不要なガスの交換を引き起こすことがある。したがって、そのような弁の配置は、そのような屈曲または伸張を受ける可能性が最も低い包装の領域に制限され、それによって、パッケージの設計および取り扱いの自由を制限する可能性がある。
【0007】
さらに、これらの圧力解放弁は、適切に機能している場合であっても、比較的大きな通路またはチャネルを形成し、内部ガスが排出されている間であっても、大気中の酸素がパッケージ内にクリープすることを可能にする。これは、放出されたガスの速度が低下し、弁が再び閉じるのに時間がかかる圧力解放サイクルの終わりに特に当てはまる。包装コーヒーに関しては、酸素がコーヒーと反応して芳香と風味に悪影響を及ぼす過酸化物を形成する。
【0008】
さらにまた、焙煎コーヒーの芳香は、主に、室温および圧力で容易に蒸発し、焙煎後であってもコーヒーバッグに蓄積し続ける芳香性の揮発性化合物に由来する。最高品質の味と香りを確実に味わうには、これらの化合物をバッグの内側からコーヒーの醸造まで保存することが重要である。しかしながら、全ての従来の圧力解放方法では、これらの芳香化合物は、CO2とともに無差別に解放され、したがって、包装コーヒーの品質を数週間にまで急速に低下している。さらに、これらの従来の方法は、バッグに入る酸素のレベルを適切に制御または制限せず、これはまた、芳香化合物との酸化および他の触媒反応を引き起こし、したがってそれらの特性を破壊する。
【0009】
包装コーヒーにマイクロ穿孔を使用する場合、それらは、上述した欠点を解消するために十分に小さい直径から構成されることができないため、酸素クリープおよびパッケージ壁を横切る無差別なガス移動という少なくとも同じ問題に悩まされ、さらに大気から遮断されることはないという欠点を有する。輸送や保管中に細胞活動を行っている果物や野菜などの生鮮食品に関しては、細胞死と腐敗を防ぐために、パッケージ内側で特定の最小量の酸素濃度を維持するとともに、パッケージからCO2を許容レベルまで放出する必要がある。繰り返しになるが、マイクロ穿孔の直径の制限は、製品の種類ごとに許容可能なレベルに酸素の移動や他の関連ガスの移動を微調整することを不能にする。
【0010】
従来技術の方法および装置によるこれらの多数の問題のため、袋詰めされたコーヒーの品質は、数週間のうちに急速に低下し、包装製品は、あまりにも早く腐敗する傾向があり、企業や家庭にとって毎年大量の食品廃棄物をもたらし、社会に悪影響を及ぼしている。
【発明の概要】
【0011】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求された主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を制限する助けとして使用されることも意図していない。
【0012】
本開示は、包装された商品の圧力を緩和し、包装された商品の固有の要件に基づいて、パッケージの内側と外側との間のガスの流量を選択的に制御する装置および方法に関する。
【0013】
一態様では、包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する装置であって、パッケージの内側に露出するための第1の開口部とパッケージの外側に露出するための第2の開口部と、を有するフィルムと、第1の開口部と第2の開口部との間に延びるチャネルとを備える、装置が記載される。チャネルの寸法は、CO2/OTRの流れの比が包装された商品の許容レベルになるように、パッケージの内側からパッケージの外側へのCO2の流量(1PSIでのcc/分)を制御し、パッケージの外側からパッケージの内側への酸素透過率(cc/日/Atm)を制御するように構成されている。
【0014】
他の態様では、包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する方法であって、包装された商品の許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件を特定することと、許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件の双方が満たされるように、パッケージの内側からパッケージの外側へのCO2の流量を制御し、且つパッケージの外側からパッケージの内側への酸素透過率を制御することができるチャネルの適切な断面積および長さを判定することと、判定されたチャネルの適切な断面積および長さに基づいてフィルム構造にチャネルを形成することとを備える、方法も記載される。
【0015】
他の態様およびその変形は、本明細書で参照される以下の開示および図から明らかになるであろう。
【0016】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきである。必ずしも縮尺通りではない図面は、例を示しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。本開示は、添付の図面に関連して、様々な例に関する以下の説明を考慮して、より完全に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】異なるマイクロチャネルおよび穿孔についての流量とPSIとの間の流量図を示している。
【
図2】マイクロ穿孔対マイクロチャネルについてのOTR対流量のグラフを示している。
【
図3】低レーザー吸光性層と高レーザー吸光性層との間に形成されたチャネルを示している。
【
図4】チャネルが多層フィルムの2つの層間において並進レーザー光から形成されることができる方法を示している。
【
図5】チャネルが3層の多層フィルムの2層間に形成および拘束される代替実施形態を示している。
【
図6】膨張チャネルが多層フィルムに形成される他の代替実施形態を示している。
【
図7】ブリーチがチャネルに形成されることができる方法を示している。
【
図8】チャネルへの機械的ブリーチが形成されることができる方法を示している。
【
図9】チャネル構造が接着剤層を備えた多層構造に形成されることができる且つパッケージのパッチとして使用されることができる方法を示している。
【
図10】双方のチャネルブリーチが多層フィルムの同じ表面上に提示される代替設計を示している。
【
図11a】パッチがパッケージ表面に貼り付けられて機能することができる方法を示す
図9の断面図を示している。
【
図11b】フィルタ材料がレーザーブリーチに含まれる代替実施形態を示している。
【
図11c】単一のチャネルと連通する複数のフィーダブリーチを含む代替実施形態を示している。
【
図12】チャネルブリーチにおいて使用される乾燥フィルタを含む代替実施形態を示している。
【
図13】異なる断面積のチャネルについての二酸化炭素の流れとチャネル長との間の関係を示すグラフである。
【
図14】異なる断面積のチャネルについての空気の流れとチャネル長との間の関係を示すグラフである。
【
図15】異なる断面積のチャネルについてのOTRとチャネル長との間の関係を示すグラフである。
【
図16】異なるサイズの従来技術のマイクロ穿孔に対する本発明のチャネルについてのOTRと二酸化炭素の流れとの間の関係を示すグラフである。
【
図17】異なるサイズの従来技術のマイクロ穿孔に対する本発明のチャネルについてのOTRと空気の流れとの間の関係を示すグラフである。
【
図18】高い流れ特性を有するチャネルを使用した、3オンスの挽いた包装コーヒーについての酸素および二酸化炭素レベルの120日ヘッドスペース分析を示すグラフである。
【
図19】低い流れ特性を有するチャネルを使用した、3オンスの挽いた包装コーヒーについての酸素および二酸化炭素レベルの120日ヘッドスペース分析を示すグラフである。
【
図20】高い流れ特性を有するチャネルを使用した、1ポンドの挽いていない豆の包装コーヒーについての酸素および二酸化炭素レベルの120日ヘッドスペース分析を示すグラフである。
【
図21】低い流れ特性を有するチャネルを使用した、1ポンドの挽いていない豆の包装コーヒーについての酸素および二酸化炭素レベルの120日ヘッドスペース分析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、例えばコーヒーおよび生鮮食品を含む、用途のニーズおよび包装された商品の要件に応じて、包装された商品の圧力を調整するとともに、異なるガスの流量および拡散特性を選択的に制御するための改善された装置および方法について説明する。
【0019】
一般的な包装フィルムのマイクロ穿孔の実現可能な下限は、直径が約50マイクロメートルであり、これは、上述したように、酸素移動速度(OTR)の制御ならびにCO2、O2、揮発性化合物などのガス流の制御に関して、マイクロ穿孔されたパッケージにおいて実行されることができる様々な通気を制限する。例えば、包装コーヒーの高CO2オフガスおよび通気のニーズを満たすために、マイクロ穿孔は、比較的大きな直径で設計される必要があるが、直径が大きいほど多くの酸素がパッケージに移動する傾向がある。したがって、多くの場合、CO2通気の要件は、パッケージ設計についてのOTRの要件に対して敵対的である。
【0020】
弁はまた、柔軟な包装にも使用されることができる;しかしながら、それらは、上述した他の問題の中でも、成形および充填プロセス中に包装フィルムに適用される必要があり、パッケージの最小限の圧力上昇を必要とする固有のクラッキング圧力を有し、全てのガスが弁を通して無制限に流れることを可能にするといういくつかの欠点を有する。
【0021】
本明細書に記載される本発明のマイクロチャネルおよび方法は、従来技術の弁およびマイクロ穿孔に対して多くの利点を提供し、穿孔は他の問題の中でも特に目詰まりしやすいため、穿孔よりもOTRおよびガス流の双方において性能がより一貫している。本明細書で使用する場合、チャネルに関する「マイクロ」という用語は、上述した弁における従来技術のチャネルとは対照的に、チャネルが開放しているときに全てのガスおよび分子が双方向に無差別に流れることを可能にする、特定のガスまたは分子の流れを他のものよりも優先的に制限するのに十分小さいサイズに設計されていることを示すために使用される。したがって、「マイクロ」は、本明細書において提供される開示および例から理解されることができるように、マイクロメートルでのみ測定されることができるチャネルのサイズを必ずしも意味するものではない。
【0022】
本明細書に記載されるマイクロチャネルは、とりわけ、チャネルの断面積および長さの適切な選択を通じて、特定のガスまたは分子の流れを優先的に制限するように構成されることができる。マイクロチャネルの両端に圧力差がない場合、流れはほぼゼロであり、ガスの拡散は、主にマイクロチャネルの両端のガスの相対濃度に影響される。既知の直径のマイクロ穿孔に対するマイクロチャネルを通過するガス流は、異なる圧力で測定されることができる。
【0023】
マイクロチャネルまたはマイクロチャネルのセットは、直径200マイクロメートルを超え、直径0.01マイクロメートルの下限よりも小さいマイクロ穿孔の同等の流れを有するように構築および構成されることができ、それにより、OTRの最小化および制御、ならびに例えばCO2、O2および揮発性化合物を含む様々なガスおよび分子の流れに関するマイクロ穿孔の固有の構造上の制限を解消する。
【0024】
図1は、マイクロチャネル、先行、PSIおよび流量の間のグラフィカルな関係を示している。これは、実現可能な最小の穿孔直径によって可能な場合よりも低い全体的なOTRを必要とするパッケージの通気要件を満たすように設計されることができるチャネルの例を示している。見てわかるように、マイクロチャネルは、マイクロ穿孔によって実現可能な流量よりもはるかに低い流量に制限するように設計されることができる。
図2は、所与の圧力におけるOTRおよび流れの双方の関係を示しており、様々な直径のマイクロ穿孔と様々な流量のマイクロチャネルの双方について描かれることができる。マイクロチャネルと同等の流れを有するマイクロ穿孔は、5から10倍高いOTRを有する。
【0025】
図2は、特定の酸素感受性製品の貯蔵寿命を延ばすことができる、所与の流量に対してより低いOTRを有するマイクロチャネルの利点を示している。パッケージへの酸素の拡散は、チャネルを通過するガスの逆流によって遮断されるため、製品がオフガスである間、マイクロチャネルのOTRはほぼゼロである。さらに、マイクロチャネルは常に開いているが、寸法的に制限されているため、ガスの流出が同様に延長され、包装コーヒーの場合、数ヶ月の貯蔵寿命の間ほぼ一定であり、それによって継続的な流出が生じ、酸素がパッケージ内に戻ってクリープするのを阻止する。
【0026】
チャネルの有効直径および長さは、優先的に通過を許可されるガスタイプの流れに影響を与えるように設定されることができる。例えば、二酸化炭素ガスは、一般に、酸素や芳香化合物よりも速い速度でガスカラムクロマトグラフィのチューブを流れる。十分に小さい有効直径または断面積と適切な長さを有するチャネルは、酸素または芳香ガス分子よりも速い速度で二酸化炭素が通過することを可能にする。このようにして、パッケージ内のガスは、例えば、コーヒーのより大きな芳香化合物を内部に保持し、酸素の浸透を低減しながら、パッケージからの二酸化炭素のより高い相対流れを可能にする、マイクロチャネル装置の構成によって制御されることができる。チャネルのより小さい有効直径または断面積が流れに対して過度に制限されていて、パッケージの内側で圧力が高すぎることを可能にする傾向がある場合、用途のニーズに応じて異なるガスおよび化合物に向けて装置の選択的な性質をなおも維持しながら、追加のチャネルが装置に追加されることができる。
【0027】
マイクロチャネル装置の特別な構造も設計されることができる。例えば、マイクロチャネルは、均圧化後にOTRまたはガス透過を効果的に低下させるための吸湿性化合物を含むことができ、したがって、包装された製品の貯蔵寿命を延長する。オフガスの製品が低い水蒸気濃度を有する場合、ガスの流れを使用して、吸湿性化合物が外気からパッケージ内に水分を吸収しないようにすることができる。乾燥ガスの流れがパッケージの外側からの水蒸気を止めると、水が吸湿性化合物に浸透し、それを膨潤させ、チャネルを効果的に密閉することができる。
【0028】
したがって、生鮮食品の貯蔵寿命を延ばすためにマイクロチャネルを使用してパッケージのOTRを正確に制御することができ、マイクロ穿孔フィルムよりもOTRおよびその他のガスのより良好な制御を可能にする。さらに、マイクロチャネルはまた、粒子や水蒸気の浸透に起因して、より低い詰まり傾向を有する。
【0029】
柔軟な包装フィルムに包装された電子レンジで調理可能な冷凍食品を通気することはまた、加熱中に蒸気の流れが厳密に制御されることができ且つマイクロ穿孔フィルムよりも低いOTRを有するという点で、マイクロチャネルを使用することから恩恵を受けることができる。マイクロチャネル装置を使用すると、冷凍、冷蔵、およびその他の電子レンジで調理可能な製品の実行可能な貯蔵寿命を延長する。
【0030】
変更された大気包装(MAP)または山を越えてまたは飛行機で輸送される気密密閉された柔軟なパッケージは、大気圧の大きな変化を経験する可能性がある。これらの製品はまた、マイクロチャネル装置を使用することにより、圧力の上昇と、その後のより高い大気圧に戻る際の低圧が自動的に取り扱われるという点で、マイクロチャネルから恩恵を受けることができる。
【0031】
パッケージのOTRを損なうことなく、または微生物をパッケージに入れずに、パッケージに閉じ込められた空気が逃げることが可能にされるという点で、柔軟な包装で満たされた製品のパレチゼーションもまた、マイクロチャネルから恩恵を受けることができる。
【0032】
パレットまたはコンテナの密度が高くなる利点は、パレットにおける包装された製品の数が増えるため、より低い全体の配送コストをもたらす。
【0033】
マイクロチャネル装置の使用を組み込んだ柔軟なパッケージもまた、包装フィルムの使用の削減をみることができる。製品のオフガス用に通常設計されている追加のヘッドスペースをなくすことにより、包装の容量を削減することができる。本発明のマイクロチャネル装置によって可能にされるより低い内圧のために、または従来の溶接タイプ弁の機械的取り付けをサポートするための追加のフィルム厚さの必要性を排除することによって、パッケージ全体の厚さを削減することができるという点で、包装材料および重量も削減することができる。
【0034】
ゴミ、液体および微生物をパッケージから遠ざけるという追加の利点はまた、マイクロチャネルによっても見られる。チャネルの断面の面積は、マイクロ穿孔とほぼ同じとすることができるが、チャネル長のため、汚染の可能性は、マイクロ穿孔されたスルーホールよりもはるかに低くなる。
【0035】
実施形態によれば、レーザーを使用して、多層フィルム構造内の材料を除去することによってマイクロチャネルを形成することができる。異なる材料は、様々な周波数(波長)のレーザー光を異なる量で反射または吸収する。材料は、レーザー光を100%吸収することができ、これは、レーザー光に曝された表面に影響を与え、下方の材料には影響しない。他の極端な例は、レーザー光に対する吸光率が0%に近く、レーザー光が影響を受けずに材料を通過することを可能にすることである。両極端の間の範囲では、加熱のレベルは、レーザー光に曝された表面から材料の反対側に到達する。レーザー光を吸収する適切な材料の例は、これらに限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコールポリマー(EVOH)およびアクリルを含むことができる。レーザー光を容易に吸収しない適切な材料の例は、これらに限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)および二軸配向ポリプロピレン(BOPP)などのそれらの変形を含むことができる。
【0036】
図3に示す例示的な実施形態によれば、低レーザー吸光性材料300は、入射レーザー光320の方向から高レーザー吸光性材料310の上に積層される。このようにして構成された材料は、第1のまたは低吸光性材料層に直接影響を与えることなく、高吸光性材料310をアブレーション(蒸発)させることを可能にする。これは、レーザーが材料をアブレーションした場所に形成されたチャネル340を残す。
【0037】
図4は、レーザービームがチャネルの軸を形成するように並進される経路400に沿ってチャネル340が形成されることができる方法を示している。チャネル340は、高吸光性材料310の表面において低吸光性材料300の下方に形成され、レーザー光の並進方向400に沿って形成される。
【0038】
チャネル340の断面積が決定され、いくつかの要因によって制御されることができる。チャネル340の深さは、主に、レーザー出力および並進400の速度、ならびにレーザーが比較的高い吸光性材料310にどのように影響するかによって影響を受ける。チャネルの幅は、主に、レーザービームの集束スポットサイズに影響され、材料および速度によってはさほど影響されない。
【0039】
図5は、チャネルの深さが、使用されるレーザーの周波数に対して反射性または不透過性であるレーザーの方向に対して第3の材料500を積層することによって制御されることができる、代替の例示的な実施形態を示している。この第3の層500の反射性は、高吸光性材料310が第1の層300と第3の層500との間で完全に除去されることを可能にする。使用されるレーザーの周波数を反射するかまたはそれに対して不透過性である適切な材料の例は、これらに限定されるものではないが、金属化材料、アルミニウムなどの箔、またはバックストップとしてのHDPEもしくはBOPPを含むことができる。
【0040】
図6および
図7を参照すると、フィルム構造のレーザー側面からチャネルまでブリーチ760または開口部を形成することは、追加の出力が比較的低吸光性フィルム300を加熱および穿孔する点までレーザー出力を増加するかまたはレーザーの速度を減少することによって、または高吸光性層310におけるアブレーションによって生成された蒸気が低吸光性層300を拡張させるか、またはそれを通して破裂する点まで熱がフィルム300を軟化させることによって達成されることができる。これは、低吸光性層300が軟化および拡張した領域に膨張チャネル600を形成する。高吸光性材料310もまた、
図6に示すように拡張されることができ、または高吸光性材料のアブレーションによって引き起こされる圧力によって膨張されることができる。
【0041】
チャネル710へのアクセスを提供するレーザーブリーチ760は、本明細書に記載されている任意の実施形態における任意のチャネルとすることができる。レーザーブリーチ760は、ガスがチャネル710に入って通過することを可能にし、且つパッケージの内部内容物に面することができる開口部を形成する。ブリーチ760は、チャネルに沿った任意の点においてレーザー出力を増加させることによって形成されることができ、増加したレーザー出力に起因して低吸光性材料300のパンチスルーを引き起こす。あるいは、レーザーは、ブリーチ760が形成されるように、ブリーチ760が望まれる点において減速または停止されることができる。
【0042】
あるいは、ブリーチは、
図8に示されるように、機械的に切断されたブリーチ770とすることができる。機械的切断は、レーザー、またはパンチもしくはいくつかのその他の切断構造を使用することができる。マイクロチャネルの寸法は、おおよそ1マイクロメートルから1200マイクロメートル以上の幅、および1から1200マイクロメートル以上の深さ(高さ)であるが、本明細書に記載されている原理にしたがって且つ当業者によって理解されることができるようにさらなるサイズ用に最適化されることができる。マイクロチャネルの流れは、断面積および長さに依存する。例えば、幅がおよそ100マイクロメートル、深さが25マイクロメートル、および長さが7ミリメートルのチャネルは、チャネルの一端から他端までの圧力差が約6,900パスカル(1PSI)で毎分1mlの空気の流量を有する。2つ以上のチャネルを有する装置は、2つの独立したチャネルの流量に加算される。チャネルのOTRも加算される。
【0043】
マイクロチャネルは、包装フィルムに直接形成されることができる。しかしながら、例示的な好ましい方法は、低吸光性材料910および高吸光性材料920を含む多層フィルム900から構成された、
図9に示されるような装置を備える。フィルムは、少なくとも1つのブリーチおよびチャネルを含む。しかしながら、当該技術分野において理解されることができるように、他の多層構造を利用して、様々な機能を有する異なる層または追加の層を組み込んでもよい。一例では、低吸光性材料910としてのHDPE、チャネル形成のためのレーザーアブレーションされた高吸光性材料920としてのPET、反射バックストップとしての箔(
図5に示される層500など)、および構造層または硬化層としての最後のPET層によってHDPE-PET-箔-PETが層状にされることができる。他の10個の可能性は、低吸光性材料910としてのHDPEおよびレーザーアブレーションされた高吸光性材料920としての厚いEVOHを有するHDPE-EVOHを含むことができ、EVOHの厚さは、レーザーがフィルムの反対側を通るブリーチを形成しないように十分である。あるいは、多層構造は、より薄いEVOH層がアブレーションされてチャネルを形成するHDPE-EVOH-HDPEを含んでもよい。いくつかの実施形態では、適切なレーザー波長(例えば、短波ファイバーレーザー)を使用して箔層自体がアブレーションされてチャネルを形成し、したがって、装置またはパッケージの構築に使用されるより薄い材料を可能にする。
【0044】
図9の実施形態の例では、内部パッケージ空気に曝されたレーザー形成されたブリーチ930、および外気に曝された機械的に切断されたブリーチ950があり、それらの間にチャネル940が延在する。この多層フィルム900は、接着剤層960を含むことができ、したがって、包装フィルム上に塗布されることができるチャネルがその中に形成された接着剤パッチを形成する。接着剤層960は、レーザーブリーチ930などのブリーチを内部パッケージ空気のみに隔離し、チャネル940を通る以外の外気に曝されないように保護し、したがって、パッケージ内部とチャネルとの間に気密連通を形成するように構築されることができる。さらに、各端部にブリーチを有する1つの例示的なチャネル940のみが示されているが、任意数のチャネルおよびブリーチが、用途の特定の必要性のために構成される多層フィルム900に形成されることができることが理解されることができる。さらに、これらの実施形態を参照して「空気」という用語が使用されているが、実際の条件および大気の構成に限定されることは意図されておらず、「内部パッケージ環境」対「外部パッケージ環境」などの「環境」として一般に理解されることができる。
【0045】
図10は、ブリーチ1000および1010の双方がレーザー形成され、ブリーチ間のチャネル1020もまたレーザー形成される代替実施形態を示している。ブリーチ1000は、内部パッケージ空気に曝されるように配置されている。ブリーチ1010は、チャネル1020によってブリーチ1000に接続されている。ブリーチ1010は、接着剤層1040の切り欠き部1030によってパッケージの外部の外気に曝される。このようにして、ブリーチ1000は、チャネル1020を通ってブリーチ1010まで、次に切り欠き部1030を通って外気環境に逃げるように通気されることができる、内部パッケージ空気に曝される場所に配置される。パッケージ内のガスは、ブリーチの周囲の接着剤の外周内の包装フィルムにレーザーまたは機械的パンチを介して穿孔することにより、接着剤層1040によって分離されたブリーチ1000に曝されることができる。
【0046】
図11aは、
図9の多層構造900がブリーチ1100または包装フィルムの開口部上に配置されることができる方法を示す断面を示している。多層構造900は、2つのブリーチが少なくとも一般に位置合わせされてガスがそこを流れることを可能にするように、そのブリーチ930を包装フィルムにおける11ブリーチ1100と一般に一致する位置に配置される必要がある。接着剤960は、2つのブリーチ1100および930の周りを密閉して、パッケージ内容物環境の外部の外気からの完全な気密隔離を確実にし、その結果、チャネル940は、ガスが移動することができる唯一の経路である。パッケージフィルムにおけるブリーチ1100は、チャネル940と連通し、機械的に切断されたブリーチ950を通って外気に排出される。
【0047】
このようにして、パッケージの構成に使用される包装フィルムは、チャネルおよびブリーチを有するパッチにおいて利用されるフィルム構成とは無関係である。パッチが構成される多層フィルムは、一般に、多くの一般的な包装フィルムよりも高価であるため、これは有利である。
【0048】
図11bは、フィルタが包装フィルムのブリーチ(
図11における1100など)と内部チャネル940との間において装置900に組み込まれることができる代替実施形態を示している。このフィルタ1150は、ゴミがチャネル940に入るのを阻止し、装置900を通るガスの流れを阻止または制限するように動作する。
【0049】
一実施形態では、フィルタ1150は、蒸気およびガスが通過することを可能にしながら液体が通過するのを阻止する疎水性材料から構成されることができる。このようにして、そうでなければ液体が適切な機能を妨げる可能性があるため、チャネル940は、液体がないままである。
【0050】
図11cは、複数の「フィーダ」チャネル1170、1171、1172および1173を使用して、ガスが装置の流れおよびOTRを調整するように設計されたチャネル1175に入るのを可能にすることができる実施形態を示している。複数の入口チャネルは、調整チャネル1175よりも有効直径または断面積を大きく且つ長さを短くすることができ、装置の全体的な流れおよびOTR特性に影響せず、フィーダチャネルのいずれかが阻止される場合に冗長として機能する。調整チャネル1175内のゴミは、性能に影響を与える可能性があるため、これらのチャネルは、ゴミが調整チャネル1175内に入る前に落ち着く領域として機能する緊密な交差パターンを有することができる。
【0051】
他の例示的な実施形態は、水蒸気または湿度に曝された後に密閉する気道を組み込んでもよい。一部の製品によって生成されるガスは、非常に低い湿度を有する。これらの製品が包装後(すなわち、焙煎したてのコーヒー)の所与の期間だけオフガスする場合、この所与の期間後は、膨満を防ぐための通気は必要ない。オフガスの期間後に通気する能力は、酸素がパッケージに入り、製品の貯蔵寿命を短くすることを可能にすることができる。この実施形態は、通気をしばらく継続させた後、通気を密閉する。
【0052】
図12は、オフガスを「乾燥フィルタ」1200を通して強制的に流す装置を示しており、フィルタは、吸湿性化合物によって含浸されている。この乾燥フィルタ1200は、ガスが吸湿性化合物に影響を与えるであろう水蒸気または湿度レベルを下回っている間、流れを変えない。オフガスサイクルが完了した後、乾燥した空気の流れは、もはや吸湿性化合物を高湿度雰囲気から隔離しない。大気中の湿気に曝されると、化合物は、膨潤、液化または吸着水に溶解する。これらのケースのそれぞれにおいて、フィルタは、パッケージの内部への大気の通過を効果的に阻止する。パッケージの内部から外気を遮断すると、製品の貯蔵寿命を延ばす。充填前に装置が湿気を吸収するのを防ぎ、乾燥したオフガスが機能を維持するのを防ぐように注意する必要がある。
【0053】
例示的な製造方法
【0054】
パッチを形成するための例示的な方法が本明細書に記載されている。
【0055】
第1のステップは、レーザー技術によって形成されたブリーチおよびチャネルを含む接着剤パッチを製造することである。パッチは、接着剤を保護するシリコンコーティングされたキャリアライナー付きのロール形式で提供される。次に、包装フィルムは、印刷物に一致させて機械的にまたはレーザーで穿孔され、接着剤パッチは、通常、包装フィルムのウェブが移動しているとき、包装フィルムの機械的またはレーザー穿孔と一致させて、包装フィルムの外面に塗布される。インライン機械式またはレーザー穿孔器およびラベルアプリケーターを使用して、これらの2つのステップを実行する。ラベルアプリケーターは、通常、ラベル巻き戻し、印刷位置合わせセンサ、ラベル除去メカニズム、塗布ローラー、およびライナー巻き戻しから構成される。パッチのロールがラベルアプリケーターを通過し、パッチが解放されて包装フィルムの外面に塗布され、キャリアライナーが巻き戻される。包装フィルムもまた、ロール形式で提供されるため、巻き出しおよび巻き戻しが継続的に行われる。包装フィルムは、包装フィルムに印刷されたグラフィックと位置合わせて正確な穿孔およびパッチの塗布を可能にするように、印刷された位置合わせマークを有する。パッチが塗布されると、包装フィルムの移動するウェブが完成したロールに巻き戻される。完成したロールは、顧客の包装ラインに出荷され、そこで、通常、顧客の製品は、縦型充填密閉機に入れられ、最終的なバッグを形成する。
【0056】
例示的な方法-ガス流およびOTR
【0057】
上述したようなブリーチを有する実験的マイクロチャネルは、HDPE-PET-箔-PET多層フィルムパッチに様々な断面積および長さを有して形成された。機械的ブリーチは、最初のレーザーブリーチから様々な長さでかみそり刃によって形成され、所定の断面積について異なる長さを有する複数のサンプルを形成した。接着剤をHDPE層の表面に固定するとともに、チャネルまでレーザーブリーチの周囲に接着剤のないゾーンを残した後、取り扱いおよび試験のためにパッチをPETフィルムに貼付して包装フィルムの表面をシミュレートした。フィルムは、各パッチの各レーザーブリーチによって位置合わせされた孔を有した。
【0058】
1つまたは複数のマイクロチャネルを有する各パッチを通るガスの流れを判定するために、PETフィルム上の選択されたパッチを、25cc圧力チャンバのオリフィスが位置合わせされ且つパッチのレーザーブリーチおよびマイクロチャネルと連通するように配置し、システムを外気に対して気密にするために接着剤を使用して密閉した。チャンバの圧力を1PSIを超えて上昇させ、パッチマイクロチャネルを通るガスの流れを開始した後、1PSI(P1)からモニターされた圧力が0.99PSI(P2)に降下するまで計時した。次に、所定の時間間隔中に逃げたガスの既知の体積に基づいて、流量を判定した。対象となる特定のガスのガス流量を判定するために、25ccチャンバを空気や純CO2などの特定のガスによって洗い流して加圧した。
【0059】
1つまたは複数のマイクロチャネルを有する各パッチを通るOTRを判定するために、PETフィルム上の選択されたパッチを、窒素で洗い流されたチャンバのオリフィスが位置合わせされ且つパッチのレーザーブリーチおよびマイクロチャネルと連通するように配置し、システムを外気に対して気密にするために接着剤を使用して密閉した。パッチを窒素で洗い流されたチャンバに密閉した後、チャンバ内でOxyDot(02xyDot(登録商標))を使用して、標準的な大気圧(Atm)下で経時的にパッチを通り且つ窒素で洗い流されたチャンバへの酸素透過率を測定した。
【0060】
例示的な結果-ガス流およびOTR
【0061】
異なる断面積および長さを有する、上述した方法にしたがってサンプルパッチを調製した。マイクロチャネルは、一般に矩形断面形状であることが多いため、アスペクト比は、各チャネルの最大高さ/深さを最大幅によって除算して計算した。チャネルサンプルのこの断面形状はまた、例えば矩形対円形領域など、面積計算の適切な式を判定するためにも使用された。
【0062】
【0063】
【0064】
図13に示すように、CO
2の流量では、より大きい断面積を有するチャネルの方が、チャネルの全ての所与の長さごとにより大きい流量のCO
2を有し、断面積が小さいほど、小さい流量を有した。全ての所与の断面積に対して長さが長いチャネルは、CO
2の流速が遅くなり、長さが短いチャネルは、CO
2の流速が速くなった。表1および本明細書の所見から理解されることができるように、本発明のマイクロチャネルを適切な断面積および長さによって構成することにより、1PSIでのCO
2流れを約0.03cc/分から約35cc/分の範囲に制御されることができるが、また、有効とされ、優先的には約0.010cc/分から約100cc/分、最も好ましくは約0.001cc/分から約1000cc/分に制御されることが示された。
【0065】
図14に示すように、同じ寸法を有するチャネルを使用すると、空気の流れは、どのチャネルでもCO
2よりも比較的遅くなるが、それ以外の場合は、チャネルの断面積および長さに基づいて速いまたは遅い流れの同じ一般的な現象が示され、断面積が大きいほど、短いチャネル長で流れを増加させた。しかしながら、興味深いことに、長さ1mmまたはその近くのチャネルでは、CO
2および空気がほぼ同じ速度で流れることがわかった。
【0066】
図15に示されるように、OTRは、CO
2および空気のガス流と同じ基本的傾向にしたがうが、OTRは、チャネルの長さにより依存し、断面積にはあまり依存しないことがわかった。
【0067】
図16および
図17は、全てのサンプルパッチAからG、ならびに73.5pmおよび100
mの直径を有する従来技術の比較マイクロ穿孔のプロットである。示されるように、従来技術のマイクロ穿孔と比較して、CO
2(
図16)または空気(
図17)の流量にかかわらず、全てのサンプルパッチについて、OTRは非常に低いままである。例えば、
図17および表1のデータに示されるように、所与の空気流量について、73.5pmの穿孔は、チャネルGにおける同等の流れの40倍を超えるOTRを有した。
【0068】
表1に示すように、CO2の流れをOTRによって除算した比率(CO2/OTRの流れの比率)をとることによって、マイクロチャネルの性能も示された。本発明のマイクロチャネルを適切な断面積および長さによって構成することにより、CO2/OTR比は、約0.2から約16の範囲に制御されることができるが、有効とされ、優先的には約0.2から約50、最も好ましくは約0.1から約100に制御されることが示された。これらの製品は、通常、適切なレベルまで通気される必要があるオフガスCO2であるとともに、商品の腐敗を制限するためにOTRの量を制御するため、この比率は、ほとんどの包装コーヒーや、生鮮食品や発酵製品を含む食品にとって有用な指標である。
【0069】
例示的な方法-ヘッドスペース分析(包装コーヒー用の装置の構成)
【0070】
焙煎したての挽いたコーヒーと挽いていない豆のコーヒーを、パッケージ内容物とパッチにおけるチャネルとの間で気密な連通が確立されるように、フィルムのオリフィスを覆う包装フィルム上の接着性の実験パッチによって袋詰めした。各パッチのチャネルの長さおよび断面積は、高いガス流または低いガス流に対して構成され、最適な構成を試験し(以下の表2に示すように)、各パッチは、同じ寸法の2つのチャネルを有して構成された。ガス分析器を使用して、120日間にわたって(焙煎および包装の日付からの時間)各バッグのヘッドスペースからガスサンプルを採取し、CO2とO2の割合を分析した。
【0071】
【0072】
結果の例-ヘッドスペース分析_(包装コーヒー用の装置の構成)
【0073】
各構成されたパッチ(チャネルを有する)の包装コーヒーのヘッドスペース分析の結果を以下の表3に示す。
【0074】
【0075】
表3からのデータを使用して、
図18-
図21のグラフを生成した。
【0076】
図18は、高い流れのマイクロチャネルパッチを使用した3オンスの挽いたコーヒーバッグのデータを示している。結果に基づいて、マイクロチャネルは、パッケージの内側に蓄積されたCO
2を正常に通気することができたが、120日間の試験期間中にバッグ内の酸素レベルを僅かに上昇させ、これは、最適ではなかったが、どのマイクロ穿孔が達成することができるよりもさらに優れていた。
【0077】
図19は、低い流れのマイクロチャネルパッチを使用した3オンスの挽いたコーヒーバッグのデータを示している。結果に基づいて、マイクロチャネルは、一部の残留酸素がCO
2オフガスによってパッケージからさらに通気していた7日間を除いて、パッケージの内側に蓄積されたCO
2の適切な通気を正常に維持しながら、120日間の試験期間全体にわたって酸素レベルを5%未満の安定した低レベルに維持することができた。
【0078】
図20は、高い流れのマイクロチャネルパッチを使用した1lbの挽いていない豆のコーヒーバッグのデータを示している。結果に基づいて、マイクロチャネルは、パッケージの内側に蓄積されたCO
2を正常に通気することができたが、120日間の試験期間中にバッグ内の酸素レベルを僅かに上昇させ、これは、最適ではなかったが、どのマイクロ穿孔が達成することができるよりもさらに優れていた。
【0079】
図21は、低い流れのマイクロチャネルパッチを使用した1lbの挽いていない豆のコーヒーバッグのデータを示している。結果に基づいて、マイクロチャネルは、パッケージの内側に蓄積されたC0
2の適切な通気を正常に維持しながら、120日間の試験期間全体にわたって酸素レベルを5%未満の安定した低レベルに維持することができた。
【0080】
圧力解放の微調整ならびにパッケージに出入りするガス流に対する選択的制御は、本明細書において提供される前述の開示および例から可能とされ、当業者が各種類の包装された商品の固有の仕様および要件を満たすために適切な断面積および長さを有するチャネルを構成することを可能にする。チャネルの広い範囲の寸法が構築されることができるが、適切な寸法の例は、限定されるものではないが、好ましくは約1,500μm2から約1mm2の間の断面積、または約1,500μm2から約100,000μm2の間の断面積を含む。適切な長さは、限定されるものではないが、好ましくは約1mmから約100cm、または約3mmから約200mmを含む。
【0081】
例えば、コーヒーの場合、本明細書における方法および例は、高CO2圧力解放(すなわち、ガスの流出量が多い)と低OTR(すなわち、酸素の流入が少ない)の双方を満たすという困難で敵対的な要件にもかかわらず、構成されたマイクロチャネルを含む本発明の装置が双方の要件を同時に満たすことができ、最適化された低い流れの設計のために、ヘッドスペースの酸素レベルを少なくとも120日間にわたって約5%未満に保つことができることを示す。前述のようにパッケージ内容物を完全に閉じることによってOTRを制限するように機能する、従来技術に記載された従来型のユビキタス弁装置とは対照的に、マイクロチャネルは、直観的に常に開いているように設計されており、ガスをパッケージから自由に移動することを可能にしながら、チャネルの断面積および長さの適切な選択によって流れを厳しく制限する。このCO2対OTR性能の有用な尺度は、発明者によって特定され且つ本明細書に記載されたCO2/OTRの流れの比によって提供される。
【0082】
コーヒーを超えて、本発明の装置および方法は、とりわけ、野菜および果物などの生鮮食品を含む、それぞれの独特の商品のほぼ全てのCO2、OTRおよび空気流の要件を満たすようにチャネル寸法のカスタマイズを可能にする。例えば、多くの包装された野菜は、特定の割合のCO2しか許容することができないが、細胞死および腐敗を防ぐためにちょうど適切なレベルで細胞活性を維持するように、それらのパッケージ環境において厳しく制御された最小限の酸素レベルを必要とする。
【0083】
包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する例示的な方法では、まず、包装された商品の許容可能なCO2レベルおよびOTR要件が特定される。次に、許容可能なCO2レベルおよび酸素透過率の要件の双方がその商品にとって満たされるように、パッケージの内側からパッケージの外側へのCO2の流量を制御し、且つパッケージの外側からパッケージの内側への酸素透過率を制御または制限することができる適切なチャネルの断面積および長さが判定される。次に、判定された適切な断面積および長さに基づいて、フィルム構造にチャネルが形成される。場合によっては、パッケージの十分なガス放出とともにOTRの最小化の双方を可能にするのに単一のチャネルでは不十分な場合があり、そのような場合、本方法は、包装された商品の許容可能なCO2およびOTRの要件を満たす同じまたは異なる断面積および長さを有するチャネルの適切な数を判定することを含むことができる。各チャネルの性能は、ガス流およびOTRに関して本質的に付加的であるため、この判定は、比較的容易に行うことができる。
【0084】
1つまたは複数のチャネルは、例えば、本明細書に記載されたレーザーアブレーション技術を使用して、パッケージフィルム構造自体に直接形成されることができるか、または好ましい実施形態では、(例えば、
図9および
図11Aを参照して説明したような)パッケージ壁のオリフィス上およびその上に接着されることができる別個のフィルム構造に形成される。このフィルム構造は、包装ラインにおける保管、輸送および設置を容易にするために、ロール形式の多数の接着剤パッチとして提供されることができる。
【0085】
本明細書における本発明の装置および方法により、製品および他の商品の貯蔵寿命が大幅に延長され、それにより、食品廃棄物が最小限に抑えられ、家庭および企業にとって莫大な費用が節約されることが予想される。さらに、装置および方法の最小限の材料要件により、パッケージの重量および輸送コスト、ならびに製造コストは、環境の利益のために大幅に削減されることができる。
【0086】
本発明は、例示的な実施例および実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形が可能であり、その要素を均等物で置き換えることができることは、当業者にとって理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの変更を行うことができる。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含むことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装された商品のパッケージ圧力およびガス流を制御する装置であって、
パッケージの内側に露出するための第1の開口部とパッケージの外側に露出するための第2の開口部と、を有するフィルムと、
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に延びるチャネルとを備え、前記チャネルの寸法が、CO2/OTRの流れの比が約0.1から約100の間であるように、前記パッケージの内側から前記パッケージの外側へのCO2の流量(1PSIでのcc/分)を制御し、前記パッケージの外側から前記パッケージの内側への酸素透過率(cc/日/Atm)を制御するように構成されている、装置。
【外国語明細書】