(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036372
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240308BHJP
F01P 3/18 20060101ALI20240308BHJP
F01P 11/00 20060101ALI20240308BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20240308BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20240308BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E02F9/00 M
F01P3/18 V
F01P11/00 C
F01P11/10 K
F01P11/00 A
F01P3/20 B
B60K11/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004977
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2019558805の分割
【原出願日】2019-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2018068544
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 幸治
(57)【要約】
【課題】ラジエータと、密閉式の貯留タンクとを含む冷却装置の高さが低く抑えられる作業機械、を提供する。
【解決手段】作業機械としての油圧ショベルは、ラジエータ51と、ラジエータ51と対向するファン63と、ラジエータ51からの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留し、ファン63の回転軸方向においてラジエータ51と並ぶ貯留タンク71とを備える。ラジエータ51は、ラジエータ上面55を有する。貯留タンク71は、タンク上面73と、タンク下面74とを有する。タンク上面73は、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置される。タンク下面74は、ラジエータ上面55よりも低い位置に配置される。上面視において、ファン63の回転軸に直交し、水平方向に平行な所定方向における貯留タンク71の幅は、ファン63の回転軸に直交し、水平方向に平行な所定方向におけるラジエータ51の幅よりも大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を冷却するように構成されるラジエータと、
前記ラジエータと対向して配置されるファンと、
前記ラジエータからの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留し、前記ファンの回転軸方向において前記ラジエータと並んで設けられる貯留タンクとを備え、
前記ラジエータは、ラジエータ上面を有し、
前記貯留タンクは、タンク上面と、タンク下面とを有し、
前記タンク上面は、前記ラジエータ上面よりも高い位置に配置され、
前記タンク下面は、前記ラジエータ上面よりも低い位置に配置され、
上面視において、前記ファンの回転軸に直交し、水平方向に平行な所定方向における前記貯留タンクの幅は、前記ファンの回転軸に直交し、水平方向に平行な前記所定方向における前記ラジエータの幅よりも大きい、作業機械。
【請求項2】
前記貯留タンクは、第1タンク側面と、前記第1タンク側面と対向する第2タンク側面とをさらに有し、
上面視において、前記第1タンク側面は、前記ファンの回転軸を挟んだ一方の側の領域に配置され、前記第2タンク側面は、前記ファンの回転軸を挟んだ他方の側の領域に配置される、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
上面視において、前記ファンの回転軸と、前記第1タンク側面および前記第2タンク側面の少なくともいずれか一方との間の距離は、前記ファンの半径よりも大きい、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記貯留タンクに貯留される冷却水を、エンジンおよび前記ラジエータを含む冷却水の循環路に戻すように構成される管部材をさらに備え、
上面視において、前記管部材は、前記ファンの回転軸に直交する方向における前記タンク下面の中央部に接続される、請求項1から3のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記ファンの外周を覆うシュラウドをさらに備え、
前記貯留タンクは、前記シュラウドの上方に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記貯留タンクは、前記ファンの回転軸方向において前記ラジエータと隙間を挟んで対向する第3タンク側面をさらに有し、
前記シュラウドは、上下方向において前記第3タンク側面と並んで設けられ、前記ファンの回転軸方向において前記ラジエータと隙間を挟んで対向する対向面を有し、
前記第3タンク側面は、前記ファンの回転軸方向において前記対向面と揃う位置、または、前記ファンの回転軸方向において前記対向面よりも前記ラジエータから離れた位置に配置される、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記ラジエータは、冷却水が外気と熱交換しながら流通するコア部と、前記コア部の上方に設けられ、冷却水が集合する集合空間を形成するアッパタンク部とを含み、
前記アッパタンク部は、前記ラジエータ上面と、前記集合空間を挟んで前記ラジエータ上面と対向するアッパタンク下面とを有し、
前記タンク下面は、前記アッパタンク下面よりも高い位置に配置される、請求項5または6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記ラジエータは、冷却水が外気と熱交換しながら流通するコア部と、前記コア部の上方に設けられ、冷却水が集合する集合空間を形成するアッパタンク部とを含み、
前記アッパタンク部は、前記ラジエータ上面と、前記集合空間を挟んで前記ラジエータ上面と対向するアッパタンク下面とを有し、
前記タンク下面は、前記アッパタンク下面と同じ高さ、または、前記アッパタンク下面よりも低い位置に配置される、請求項1から6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
弁体を有するタンクキャップと、
前記貯留タンクおよび前記タンクキャップの間を接続する配管とをさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項10】
前記タンクキャップは、前記ラジエータ上面の上方に設けられる、請求項9に記載の作業機械。
【請求項11】
前記配管は、前記貯留タンクおよび前記タンクキャップ間の経路上に、前記タンク上面における少なくとも一方向に向かって凸形状をなすように曲がる曲がり部を有する、請求項9または10に記載の作業機械。
【請求項12】
弁体を有するタンクキャップをさらに備え、
前記タンク上面には、前記タンクキャップが接続される接続口が設けられ、
前記貯留タンクは、前記貯留タンク内において、前記接続口を取り囲む空間を区画形成する壁部をさらに有し、
前記壁部には、前記空間の内外を連通させる貫通孔が設けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項13】
前記弁体は、前記貯留タンクの内圧が予め定められた上限値を超えた場合に開動作する、請求項9または12に記載の作業機械。
【請求項14】
冷却水を冷却するように構成されるラジエータと、
前記ラジエータと対向して配置されるファンと、
前記ラジエータからの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留し、前記ファンの回転軸方向において前記ラジエータと並んで設けられる貯留タンクとを備え、
前記ラジエータは、ラジエータ上面を有し、
前記貯留タンクは、タンク上面と、タンク下面とを有し、
前記タンク上面は、前記ラジエータ上面よりも高い位置に配置され、
前記タンク下面は、前記ラジエータ上面よりも低い位置に配置され、
前記貯留タンクは、第1タンク側面と、前記第1タンク側面と対向する第2タンク側面とをさらに有し、
上面視において、前記第1タンク側面は、前記ファンの回転軸を挟んだ一方の側の領域に配置され、前記第2タンク側面は、前記ファンの回転軸を挟んだ他方の側の領域に配置される、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2017-185931号公報(特許文献1)には、インタークーラーと、インタークーラーの下方に配設され、インタークーラーの横幅よりも短い横幅を有するラジエータおよびオイルクーラと、インタークーラーの側方に配設された加圧密閉式のリザーバタンクとを備える、建設機械における冷却システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラジエータと、冷却水の熱膨張による体積変化に対応するために、ラジエータからの冷却水を貯留する貯留タンクとを有する冷却装置を備えた作業機械が知られている。貯留タンクのタイプには、冷却水を大気と非接触の状態で貯留する密閉式がある。
【0005】
密閉式の貯留タンクが用いられる場合、ラジエータには、ラジエータキャップが設けられない。冷却装置の組み立て時、冷却水は、貯留タンクに設けられた注液口を通じてラジエータ内部に導入される。この際にラジエータへの冷却水の導入を可能とするため、貯留タンクをラジエータよりも高い位置に設ける必要がある。しかしながら、上述の特許文献1に開示される冷却システムのように、単に貯留タンクをラジエータの上方に配置する構成では、冷却装置の高さが大きくなってしまう。
【0006】
そこで本開示の目的は、ラジエータと、密閉式の貯留タンクとを含む冷却装置の高さが低く抑えられる作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの局面に従った作業機械は、ラジエータと、ファンと、貯留タンクとを備える。ラジエータは、冷却水を冷却するように構成される。ファンは、ラジエータと対向して配置される。貯留タンクは、ラジエータからの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留する。貯留タンクは、ファンの回転軸方向においてラジエータと並んで設けられる。ラジエータは、ラジエータ上面を有する。貯留タンクは、タンク上面と、タンク下面とを有する。タンク上面は、ラジエータ上面よりも高い位置に配置される。タンク下面は、ラジエータ上面よりも低い位置に配置される。上面視において、ファンの回転軸に直交し、水平方向に平行な所定方向における貯留タンクの幅は、ファンの回転軸に直交し、水平方向に平行な所定方向におけるラジエータの幅よりも大きい。
【0008】
本開示の別の局面に従った作業機械は、ラジエータと、ファンと、貯留タンクとを備える。ラジエータは、冷却水を冷却するように構成される。ファンは、ラジエータと対向して配置される。貯留タンクは、ラジエータからの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留する。貯留タンクは、ファンの回転軸方向においてラジエータと並んで設けられる。ラジエータは、ラジエータ上面を有する。貯留タンクは、タンク上面と、タンク下面とを有する。タンク上面は、ラジエータ上面よりも高い位置に配置される。タンク下面は、ラジエータ上面よりも低い位置に配置される。貯留タンクは、第1タンク側面と、第2タンク側面とをさらに有する。第2タンク側面は、第1タンク側面と対向する。上面視において、第1タンク側面は、ファンの回転軸を挟んだ一方の側の領域に配置され、第2タンク側面は、ファンの回転軸を挟んだ他方の側の領域に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に従えば、ラジエータと、密閉式の貯留タンクとを含む冷却装置の高さが低く抑えられる作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における油圧ショベルを示す側面図である。
【
図2】
図1中のエンジンルーム内を示す上面図である。
【
図3】
図2中のエンジンの冷却システムを示す回路図である。
【
図5】
図2中の冷却装置およびファンを示す斜視図である。
【
図6】
図4中のVI-VI線上の矢視方向から見た冷却装置およびファンを示す断面図である。
【
図7】
図6中の2点鎖線VIIで囲まれた範囲におけるラジエータ、貯留タンクおよびシュラウドの特徴的な構造を示す断面図である。
【
図8】ラジエータおよび貯留タンクにおける冷却水の水位(初期状態)を示す図である。
【
図9】ラジエータおよび貯留タンクにおける冷却水の水位(膨張状態)を示す図である。
【
図10】
図4中の貯留タンク、シュラウドおよびファンを示す上面図である。
【
図12】
図4中の貯留タンクおよびシュラウドを示す上面図である。
【
図13】
図12中のXIII-XIII線上の矢視方向から見た貯留タンクを示す断面図である。
【
図14】ラジエータのアッパタンク下面と、貯留タンクのタンク下面との高さ関係を示す図である。
【
図15】ラジエータのアッパタンク下面と、貯留タンクのタンク下面との高さ関係を示す図である。
【
図16】実施の形態2における油圧ショベルの冷却装置を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態3における油圧ショベルの冷却装置およびファンを示す上面図である。
【
図18】実施の形態4における油圧ショベルの冷却装置を示す斜視図である。
【
図19】
図18中の冷却装置が適用された場合のエンジンの冷却システムを示す回路図である。
【
図20】
図18中のXX-XX線上の矢視方向に見た冷却装置を示す断面図である。
【
図22】
図18中の貯留タンクおよびタンクキャップと、貯留タンクおよびタンクキャップ間で配索される配管とを示す上面図である。
【
図23】
図18中の貯留タンクおよびタンクキャップと、貯留タンクおよびタンクキャップ間で配索される配管とを示す別の上面図である。
【
図24】
図22中の第1曲がり部の変形例を示す上面図である。
【
図25】
図18中の油圧ショベルの冷却装置の変形例を示す斜視図である。
【
図26】
図25中のXXVI-XXVI線上の矢視方向に見た貯留タンクおよびタンクキャップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における油圧ショベルを示す側面図である。
図1に示されるように、油圧ショベル10は、本体21と、作業機12とを有する。本体21は、走行装置22と、旋回体25とを有する。
【0013】
走行装置22は、一対の履帯23と、走行モータ24とを有する。油圧ショベル10は、履帯23の回転により走行可能である。走行モータ24は、走行装置22の駆動源として設けられている。走行モータ24は、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行装置22が車輪(タイヤ)を有してもよい。
【0014】
旋回体25は、走行装置22上に設けられ、かつ、走行装置22により支持されている。旋回体25は、上下方向に延びる旋回軸を中心として、走行装置22に対して旋回可能である。旋回体25は、運転室(キャブ)26を有する。運転室26には、オペレータが着座する運転席が設けられている。オペレータは、運転室26において油圧ショベル10を操作可能である。
【0015】
本明細書において、前後方向とは、運転室26内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。運転席に着座したオペレータの正面方向が、前方であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が、後方である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの右側が、右方であり、運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの左側が、左方である。上下方向とは、前後方向および左右方向を含む平面に直交する方向である。地面のある側が、下方であり、空のある側が、上方である。
【0016】
旋回体25は、エンジンルーム31と、カウンターウェイト28とを有する。エンジンルーム31は、カウンターウェイト28の前方に設けられている。エンジンルーム31は、運転室26の後方に設けられている。エンジンルーム31には、後述するエンジン33および冷却装置40などが収容されている。
【0017】
作業機12は、旋回体25の前方に設けられている。作業機12は、旋回体25により支持されている。作業機12は、ブーム14と、アーム16と、バケット18と、油圧シリンダ15,17,19とを有する。ブーム14は、旋回体25に対して回動可能に接続されている。アーム16は、ブーム14に対して回動可能に接続されている。バケット18は、アーム16に対して回動可能に接続されている。油圧シリンダ15は、ブーム14を駆動する。油圧シリンダ17は、アーム16を駆動する。油圧シリンダ19は、バケット18を駆動する。
【0018】
図2は、
図1中のエンジンルーム内を示す上面図である。
図2に示されるように、油圧ショベル10は、油圧ポンプ36と、フライホイールハウジング35と、エンジン33と、冷却装置40とを有する。
【0019】
油圧ポンプ36、フライホイールハウジング35、エンジン33および冷却装置40は、エンジンルーム31に収容されている。油圧ポンプ36、フライホイールハウジング35、エンジン33および冷却装置40は、エンジンルーム31において、左右方向に並んでいる。油圧ポンプ36、フライホイールハウジング35、エンジン33および冷却装置40は、挙げた順に左側から右側に並んでいる。
【0020】
油圧ポンプ36、フライホイールハウジング35、エンジン33および冷却装置40の順は、左右逆であってもよい。この場合、油圧ポンプ36が右側の端に配置され、冷却装置40が左側の端に配置される。
【0021】
エンジン33は、クランク軸34を有する。クランク軸34は、エンジン33におけるピストンの往復運動を回転運動に変換する軸体である。エンジン33は、クランク軸34が左右方向に延びるように設けられている。油圧ポンプ36は、フライホイールハウジング35を介して、エンジン33に取り付けられている。油圧ポンプ36は、エンジン33から出力される回転運動を受けることにより駆動する。油圧ポンプ36は、前述の油圧シリンダ15,17,19等の各種のアクチュエータに向けて作動油を供給する。冷却装置40は、左右方向において、エンジン33を挟んで油圧ポンプ36の反対側に配置されている。
【0022】
冷却装置40は、オイルクーラ41と、ラジエータ51と、シュラウド62と、貯留タンク71とを有する。冷却装置40は、オイルクーラ41、ラジエータ51、シュラウド62および貯留タンク71が一体とされた冷却ユニットにより構成されている。
【0023】
オイルクーラ41は、油圧ポンプ36から各種アクチュエータに向けて供給された作動油を冷却するように構成されている。ラジエータ51は、エンジン33の冷却水を冷却するように構成されている。オイルクーラ41およびラジエータ51は、前後方向に並んで設けられている。
【0024】
油圧ショベル10は、ファン63を有する。ファン63は、オイルクーラ41およびラジエータ51に冷却風を供給するように構成されている。ファン63は、エンジン33から出力される回転運動を受けることにより回転軸101を中心に回転する。回転軸101は、ファン63の回転中心を表わす仮想上の直線であり、クランク軸34と平行に延びている。回転軸101は、左右方向に延びている。
【0025】
シュラウド62は、ファン63の外周を覆うケース体である。ファン63およびシュラウド62は、ファン63の回転軸101の軸方向において、オイルクーラ41およびラジエータ51と対向して配置されている。ファン63およびシュラウド62は、左右方向において、オイルクーラ41およびラジエータ51と対向して配置されている。ファン63およびシュラウド62は、左右方向において、オイルクーラ41およびラジエータ51と、エンジン33との間に配置されている。
【0026】
貯留タンク71は、冷却水の温度変化に伴う体積変化に応じて、ラジエータ51からの冷却水を貯留するように構成されている。貯留タンク71は、シュラウド62の上方に設けられている。なお、貯留タンク71の構造および配置については、後で詳細に説明する。
【0027】
図1および
図2に示されるように、油圧ショベル10は、外装カバー29を有する。外装カバー29は、エンジンルーム31を区画形成するカバー体の一部である。
【0028】
外装カバー29は、左右方向において、オイルクーラ41およびラジエータ51と対向して配置されている。外装カバー29と、オイルクーラ41およびラジエータ51との間には、通気空間38が設けられている。外装カバー29には、通気孔30が設けられている。通気孔30は、通気空間38と、エンジンルーム31の外側の空間との間を連通させる貫通孔からなる。
【0029】
ファン63の回転に伴って、エンジンルーム31の外側の空気が、通気孔30を通じて通気空間38に流れ込む。空気は、通気空間38からオイルクーラ41およびラジエータ51を通過し、ファン63が配置されたシュラウド62に向かって吸い込まれる。
【0030】
図3は、
図2中のエンジンの冷却システムを示す回路図である。
図3に示されるように、貯留タンク71は、貯留空間79を形成している。貯留タンク71は、貯留空間79において、冷却水を大気と非接触の状態で貯留する密閉式である。貯留空間79に貯留された冷却水の上方には、空気層が設けられている。密閉式には、貯留タンク71内の空気層が貯留タンク71の外部の大気と完全に遮断される「完全密閉式」と、貯留タンク71の内圧が高い場合に、貯留タンク71内の空気層から空気を開放する「加圧密閉式」とがあり、ここでは、「加圧密閉式」を例に挙げて説明する。
【0031】
貯留タンク71には、タンクキャップ72が設けられている。タンクキャップ72は、貯留タンク71に設けられた注水口を塞ぐように設けられている。タンクキャップ72は、圧力開放機能を有する。タンクキャップ72は、貯留タンク71の内圧が、予め設定された上限値を超えた場合に開動作して、貯留タンク71内の加圧空気を開放する。タンクキャップ72は、貯留タンク71の内圧が変化する通常の範囲内では、開動作しない。
【0032】
油圧ショベル10は、管部材42および管部材43と、管部材45および管部材47と、管部材44とを有する。
【0033】
管部材42は、その両端において、エンジン33と、ラジエータ51(後述する
図6中のアッパタンク部53)とに接続されている。管部材43は、その両端において、ラジエータ51(後述する
図6中のロアタンク部54)と、エンジン33とに接続されている。エンジン33、管部材42、ラジエータ51および管部材43は、冷却水の循環路50を構成している。
【0034】
冷却水は、エンジン33を冷却する。エンジン33の冷却により温度上昇した冷却水は、管部材42を通ってラジエータ51に供給される。冷却水は、ラジエータ51において外気と熱交換することにより冷却される。温度が低下した冷却水は、管部材43を通って再びエンジン33に供給される。
【0035】
管部材45は、その両端において、ラジエータ51(後述する
図6中のアッパタンク部53)と、貯留タンク71とに接続されている。管部材47は、その両端において、貯留タンク71と、管部材43とに接続されており、貯留タンク71内の冷却水と、ラジエータ51を通過した冷却水とが、合流してポンプ46に供給される。
【0036】
循環路50を循環する冷却水の温度が上昇すると、冷却水の体積が増大する。このとき、ラジエータ51からオーバーフローした冷却水が、管部材45を通って貯留タンク71に供給される。これにより、貯留タンク71における冷却水の貯留量が増える。循環路50を循環する冷却水の温度が低下すると、冷却水の体積が減少する。このとき、貯留タンク71に貯留された冷却水が、管部材47を通って、循環路50における管部材43の管路上に戻される。
【0037】
管部材44は、その両端において、エンジン33と、ラジエータ51(後述する
図6中のアッパタンク部53)とに接続されている。管部材44は、エンジン33からラジエータ51へのエア抜き用の管路として設けられている。管部材45は、上記のオーバーフローした冷却水を貯留タンク71に導く管路としてのほか、ラジエータ51から貯留タンク71へのエア抜き用の管路としても機能している。
【0038】
図4は、
図2中の冷却装置を示す斜視図である。
図4中には、
図2中の通気空間38の側から見た冷却装置40が示されている。
図5は、
図2中の冷却装置およびファンを示す斜視図である。
図5中には、
図2中のエンジン33の側から見た冷却装置40およびファン63が示されている。
図6は、
図4中のVI-VI線上の矢視方向から見た冷却装置およびファンを示す断面図である。
【0039】
図4から
図6に示されるように、ラジエータ51は、平板形状の外観をなしている。ラジエータ51の厚み方向は、ファン63の回転軸101の軸方向と平行である。ラジエータ51は、ファン63の回転軸101の軸方向から見た場合に、長手方向が上下方向と平行となり、短手方向が水平方向と平行となる矩形形状を有する。
【0040】
オイルクーラ41は、ラジエータ51と同様の平板形状の外観をなしている。オイルクーラ41は、オイルクーラ41の厚み方向が、ラジエータ51の厚み方向と平行となり、かつ、オイルクーラ41と水平方向に並ぶように設けられている。オイルクーラ41は、ファン63の回転軸101と直交する水平方向において、ラジエータ51と並んで設けられている。オイルクーラ41およびラジエータ51は、ファン63の回転軸101の軸方向から見た場合に、オイルクーラ41単体よりも縦横比が正方形に近く、ラジエータ51単体よりも縦横比が正方形に近い四角形状を有する。
【0041】
図7は、
図6中の2点鎖線VIIで囲まれた範囲におけるラジエータ、貯留タンクおよびシュラウドの特徴的な構造を示す断面図である。
図3、
図6および
図7に示されるように、ラジエータ51は、コア部52と、アッパタンク部53と、ロアタンク部54とを有する。
【0042】
アッパタンク部53は、コア部52の上方に設けられている。ロアタンク部54は、コア部52の下方に設けられている。コア部52は、上下方向において、アッパタンク部53およびロアタンク部54の間に設けられている。
【0043】
アッパタンク部53は、冷却水が集合する集合空間59を形成している。ロアタンク部54は、冷却水が集合する集合空間60を形成している。集合空間59および集合空間60は、矩形形状の断面を有しながら、ファン63の回転軸101と直交する水平方向に延びている。
【0044】
コア部52では、冷却水が外気と熱交換しながら流通する。コア部52は、複数のチューブ57と、複数枚のフィン58とを有する。複数枚のフィン58は、互いに間隔を設けて上下方向に並んで設けられている。複数のチューブ57は、複数枚のフィン58を貫きながら、アッパタンク部53およびロアタンク部54の間で延びている。複数のチューブ57は、アッパタンク部53において集合空間59に連通している。複数のチューブ57は、ロアタンク部54において集合空間60に連通している。
【0045】
エンジン33から管部材42を通ってラジエータ51に供給される高温の冷却水は、まず、アッパタンク部53における集合空間59に集まる。冷却水は、集合空間59から、コア部52における複数のチューブ57を通って、ロアタンク部54における集合空間60に集まる。冷却水は、複数のチューブ57を流れる間、複数枚のフィン58を介して外気と熱交換する。外気との熱交換により温度が低下した冷却水は、集合空間60から管部材43を通ってエンジン33に戻される。
【0046】
なお、本開示におけるラジエータは、上記の冷却水が上方方向に流れるダウンフロー式に限られず、冷却水が水平方向に流れるサイドフロー式であってもよい。
【0047】
図4から
図6に示されるように、ファン63は、シャフト部66と、複数枚の羽根部67とを有する。シャフト部66は、ファン63の回転軸101に沿って軸状に延びている。エンジン33からの回転運動は、シャフト部66に対して入力される。羽根部67は、シャフト部66から、回転軸101の半径方向外側に向けて延出している。複数枚の羽根部67は、回転軸101の周方向において互いに間隔を隔てて設けられている。
【0048】
シュラウド62は、基部65と、円筒部64とを有する。基部65は、直方体形状を有し、シュラウド62の周囲を取り囲むように設けられている。基部65は、ファン63の回転軸101の軸方向においてエンジン33と対向する側で円形に開口し、ファン63の回転軸101の軸方向において通気空間38(オイルクーラ41およびラジエータ51)と対向する側で矩形に開口している。円筒部64は、ファン63の回転軸101を中心とする円筒形状を有する。円筒部64は、基部65における円形の開口部の周縁からエンジン33に近づく方向に円筒状に突出している。
【0049】
基部65は、天板部68を有する。天板部68は、水平に延在する板材からなり、基部65の天板をなしている。天板部68は、上面視において、ファン63の回転軸101の軸方向が短手方向となり、ファン63の回転軸101に直交する方向が長手方向となる矩形形状を有する。天板部68は、延出部86を有する。延出部86は、ファン63の回転軸101の軸方向においてエンジン33の側に延出するひさし形状を有する。延出部86は、円筒部64の上方に配置されている。
【0050】
貯留タンク71は、直方体形状を有する。貯留空間79は、矩形形状の断面を有しながら、ファン63の回転軸101と直交する水平方向に延びている。
【0051】
貯留タンク71は、ラジエータ51と並んで設けられている。貯留タンク71は、ラジエータ51とファン63の回転軸101の軸方向に並んで設けられている。貯留タンク71は、ラジエータ51のうちのアッパタンク部53と、ファン63の回転軸101の軸方向に並んで設けられている。
【0052】
貯留タンク71は、シュラウド62の上方に設けられている。貯留タンク71は、天板部68に載置されている。貯留タンク71は、天板部68に締結されている。貯留タンク71は、ファン63の回転軸101の軸方向において、ラジエータ51およびエンジン33の間に設けられている。貯留タンク71は、ラジエータ51よりも、ファン63の回転に伴って形成される空気の流れ方向の下流側に設けられている。
【0053】
油圧ショベル10は、支持部材81を有する。支持部材81は、ファン63の回転軸101の軸方向から見た場合に矩形形状を有する枠体から構成されている。
【0054】
ラジエータ51、オイルクーラ41、シュラウド62および貯留タンク71は、支持部材81により一体に支持されている。ラジエータ51およびオイルクーラ41は、支持部材81の内側に配置されている。シュラウド62は、ファン63の回転軸101の軸方向においてエンジン33の側から支持部材81に固定されている。貯留タンク71は、シュラウド62を介して支持部材81により支持されている。
【0055】
図4から
図7に示されるように、ラジエータ51は、ラジエータ上面55を有する。ラジエータ上面55は、ラジエータ51の最頂部において、ラジエータ51の上面をなしている。ラジエータ上面55は、上面視において、ファン63の回転軸101の軸方向が短手方向となり、ファン63の回転軸101に直交する方向が長手方向となる矩形形状を有する。
【0056】
アッパタンク部53は、上記のラジエータ上面55と、アッパタンク下面56とを有する。ラジエータ上面55は、集合空間59の上方に配置されている。ラジエータ上面55は、集合空間59を区画している。アッパタンク下面56は、集合空間59の下方に配置されている。アッパタンク下面56は、集合空間59を区画している。複数のチューブ57は、アッパタンク下面56に開口している。ラジエータ上面55およびアッパタンク下面56は、集合空間59を挟んで、上下方向において対向している。
【0057】
貯留タンク71は、タンク上面73と、タンク下面74と、第1タンク側面75と、第2タンク側面76と、第3タンク側面77と、第4タンク側面78とを有する。タンク上面73、タンク下面74、第1タンク側面75、第2タンク側面76、第3タンク側面77および第4タンク側面78は、直方体形状を有する貯留タンク71の6つの面を構成している。
【0058】
タンク上面73は、貯留空間79の上方に配置されている。タンク上面73は、貯留空間79を区画している。タンク下面74は、貯留空間79の下方に配置されている。タンク下面74は、貯留空間79を区画している。タンク上面73およびタンク下面74は、貯留空間79を挟んで、上下方向において対向している。
【0059】
タンク上面73およびタンク下面74の各々は、上面視において、ファン63の回転軸101の軸方向が短手方向となり、ファン63の回転軸101に直交する方向が長手方向となる矩形形状を有する。タンク上面73は、凹部80を有する。凹部80は、貯留空間79の外側から見て下方に向けて窪む凹形状を有する。タンクキャップ72は、凹部80に設けられている。タンク下面74は、天板部68に対して上方から重ね合わされている。
【0060】
第1タンク側面75、第2タンク側面76、第3タンク側面77および第4タンク側面78は、貯留空間79の側方に配置されている。第1タンク側面75、第2タンク側面76、第3タンク側面77および第4タンク側面78は、水平方向における四方から貯留空間79を取り囲んで区画している。第1タンク側面75および第2タンク側面76は、貯留空間79を挟んで、ファン63の回転軸101に直交する水平方向において対向している。
【0061】
第3タンク側面77および第4タンク側面78は、貯留空間79を挟んで、ファン63の回転軸101の軸方向において対向している。第3タンク側面77は、ファン63の回転軸101の軸方向において、ラジエータ51と対向している。第4タンク側面78は、ファン63の回転軸101の軸方向において、エンジン33と対向している。第4タンク側面78には、油圧ショベル10のメンテナンス時に作業者の足場をなすステップ82が取り付けられている。
【0062】
図7に示されるように、タンク上面73は、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置されている。タンク下面74は、ラジエータ上面55よりも低い位置に配置されている。ラジエータ上面55は、上下方向において、タンク上面73およびタンク下面74の間に配置されている。
【0063】
図8は、ラジエータおよび貯留タンクにおける冷却水の水位(初期状態)を示す図である。初期状態とは、エンジン33の冷却システムが稼動しておらず、冷却水が平温である状態を意味している。
【0064】
図7および
図8に示されるように、密閉式の貯留タンク71を用いた冷却システムにおいては、冷却装置40の組み立て時、貯留タンク71からタンクキャップ72を取り外し、開口した注水口を通じてラジエータ51の内部に冷却水が導入される。この際、タンク上面73が、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置されているため、貯留タンク71に空気層122を設けた状態で、ラジエータ51への冷却水の導入を可能とできる。
【0065】
その一方で、単に貯留タンク71をラジエータ51の上段に積んだ構成では、冷却装置40の高さが大きくなる。これに対して、タンク下面74が、ラジエータ上面55よりも低い位置に配置されているため、冷却装置40の高さを低く抑えることができる。
【0066】
なお、本開示におけるラジエータが、サイドフロー式である場合、ラジエータは、コア部と、水平方向においてコア部の両側に設けられる一対のタンク部とを有する。この場合、一般的に、ラジエータ上面は一対のタンク部の上面(上端面)である。
【0067】
図9は、ラジエータおよび貯留タンクにおける冷却水の水位(膨張状態)を示す図である。
【0068】
図8および
図9に示されるように、冷却水の温度が上昇し、冷却水が膨張すると、ラジエータ51からオーバーフローした冷却水によって、貯留タンク71の貯留空間79における冷却水の水位が上昇する。この際、貯留空間79は、大気と遮断された密閉空間であるため、冷却水の水位の上昇を可能とするために貯留空間79内に空気層122を確保する必要がある。したがって、貯留タンク71には、冷却水の温度変化(体積変化)の範囲に応じて、空気層122の確保を可能とする程度に貯留空間79の容積を大きくすることが求められる。
【0069】
これに対して、
図8に示される初期状態のラジエータ51において、アッパタンク部53(集合空間59)における冷却水の水位が、冷却水の上方に空気層121が設けられるように設定されている。このような構成によれば、
図9に示される膨張状態のラジエータ51において、膨張した冷却水の一部が、空気層121を占め、膨張した冷却水の残りの部分が、貯留空間79に移動するため、空気層121の分だけ貯留空間79の容積を小さく抑えることができる。これにより、貯留タンク71の小型化が可能となり、延いては、冷却装置40の高さをさらに低く抑えることができる。
【0070】
図10は、
図4中の貯留タンク、シュラウドおよびファンを示す上面図である。
図4および
図10に示されるように、上面視において、ファン63の回転軸101に直交する方向における貯留タンク71の幅B1は、ファン63の回転軸101に直交する方向におけるラジエータ51の幅B2(
図4)よりも大きい。貯留タンク71の幅B1は、第1タンク側面75および第2タンク側面76の間の長さである。ラジエータ51の幅B2は、ファン63の回転軸101に直交する方向におけるアッパタンク部53およびロアタンク部54の各長さである。
【0071】
このような構成によれば、貯留タンク71における貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0072】
図10に示されるように、上面視において、ファン63の回転軸101を挟んだ一方の側には、領域110が規定され、ファン63の回転軸101を挟んだ他方の側には、領域120が規定されている。第1タンク側面75は、領域110に配置されている。第2タンク側面76は、領域120に配置されている。
【0073】
このような構成によれば、貯留タンク71を、ファン63の回転軸101を挟んだ両側の領域110,120に幅広く設けることによって、貯留タンク71における貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0074】
上面視において、ファン63の回転軸101と、第1タンク側面75との間の距離Lは、ファン63の半径Rよりも大きい。ファン63の半径Rは、ファン63の回転軸101と、羽根部67のうちで最も径方向外側に位置する羽根部67の先端部との間の長さである。
【0075】
このような構成によれば、貯留タンク71を、ファン63の最大外径部を超えて幅広く設けることによって、貯留タンク71における貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0076】
なお、貯留タンク71は、ファン63の回転軸101と、第1タンク側面75との間の距離と、ファン63の回転軸101と、第2タンク側面76との間の距離との双方が、ファン63の半径Rよりも大きくなるように構成されてもよいし、ファン63の回転軸101と、第2タンク側面76との間の距離のみが、ファン63の半径Rよりも大きくなるように構成されてもよい。
【0077】
図11は、
図5中の貯留タンクを示す斜視図である。
図11中には、タンク下面74側から見た貯留タンク71が示されている。
図12は、
図4中の貯留タンクおよびシュラウドを示す上面図である。
図13は、
図12中のXIII-XIII線上の矢視方向から見た貯留タンクを示す断面図である。
【0078】
図11から
図13に示されるように、天板部68(延出部86)には、切り欠き部87が設けられている。切り欠き部87は、ファン63の回転軸101の軸方向において、エンジン33と対向する側の延出部86の端辺が、通気空間38に近づく方向に切り欠かれた切り欠き形状を有する。切り欠き部87は、上面視において、ファン63の回転軸101を挟んだ両側において所定の幅に渡って設けられている。
【0079】
タンク下面74は、凹部91を有する。凹部91は、貯留空間79の内部から見て下方に向けて窪む凹形状を有する。凹部91は、切り欠き部87に配置されている。管部材47は、タンク下面74に接続されている。管部材47は、凹部91に接続されている。
【0080】
図12中に示す上面視において、管部材47は、ファン63の回転軸101に直交する方向におけるタンク下面74の中央部に接続されている。ファン63の回転軸101に直交する水平方向における、タンク下面74における管部材47の接続口と、第1タンク側面75との間の長さは、ファン63の回転軸101に直交する水平方向における、タンク下面74における管部材47の接続口と、第2タンク側面76との間の長さと等しい。
【0081】
このような構成によれば、油圧ショベル10の姿勢の変化に伴って、貯留空間79における冷却水の水面が傾いた場合であっても、タンク下面74における管部材47の接続口が冷却水から露出することを抑制できる。これにより、冷却水の循環路50にエアが侵入することを防止できる。
【0082】
図6および
図7に示されるように、シュラウド62は、対向面69を有する。対向面69は、上下方向において第3タンク側面77と並んで設けられている。対向面69は、ファン63の回転軸101の軸方向においてラジエータ51と隙間を挟んで対向している。対向面69は、ファン63の回転軸101の軸方向において通気空間38(オイルクーラ41およびラジエータ51)と対向する側の基部65の側面である。
【0083】
貯留タンク71の第3タンク側面77は、ファン63の回転軸101の軸方向において対向面69と揃う位置に配置されている。第3タンク側面77は、ファン63の回転軸101の軸方向において対向面69よりもラジエータ51から離れた位置に配置されてもよい。第3タンク側面77は、対向面69よりも、ファン63の回転軸101の軸方向において通気空間38(ラジエータ51)の側に突出しないように設けられている。
【0084】
このような構成によれば、ラジエータ51と、貯留タンク71およびシュラウド62との間の隙間を通じてラジエータ51のコア部52をメンテナンスする際に、貯留タンク71に邪魔されることなくコア部52にアクセスすることができる。このため、ラジエータ51のメンテナンス性を向上させることができる。
【0085】
図14および
図15は、ラジエータのアッパタンク下面と、貯留タンクのタンク下面との高さ関係を示す図である。
【0086】
図14に示されるように、タンク下面74が、アッパタンク下面56よりも高い位置に配置される場合、羽根部67が通過する範囲の上端高さが、コア部52の上端高さよりも高くなるように、ファン63の直径を設定することができる。これにより、ファン63の回転によって生じる空気流れが、コア部52の全体に行き渡り易くなるため、ラジエータ51における冷却水の冷却効率を向上させることができる。
【0087】
図15に示されるように、タンク下面74が、アッパタンク下面56と同じ高さ、または、アッパタンク下面56よりも低い位置に配置される場合、貯留タンク71(貯留空間79)の容量を大きくすることができる。
【0088】
このような構成において、シュラウド62は、ファン63の回転によって生じる空気流れをコア部52の全体に行き渡らせるためのガイド部92を有してもよい。一例として、ガイド部92は、筒部93と、テーパ部94とを有する。筒部93は、貯留タンク71の下方に設けられている。筒部93は、ファン63を覆うように設けられている。筒部93は、ファン63の回転軸101の軸方向に沿って延びる筒形状を有する。テーパ部94は、ファン63の回転軸101の軸方向において、筒部93の端部から、開口面積を大きくしながら通気空間38(ラジエータ51)に近づく方向に延出している。
【0089】
以上に説明した、実施の形態1における油圧ショベル10の構成および効果についてまとめて説明する。
【0090】
作業機械としての油圧ショベル10は、ラジエータ51と、貯留タンク71とを備える。ラジエータ51は、エンジンの冷却水を冷却するように構成される。貯留タンク71は、ラジエータ51からの冷却水を、大気と非接触の状態で貯留する。貯留タンク71は、ラジエータ51と並んで設けられる。ラジエータ51は、ラジエータ上面55を有する。貯留タンク71は、タンク上面73と、タンク下面74とを有する。タンク上面73は、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置される。タンク下面74は、ラジエータ上面55よりも低い位置に配置される。
【0091】
このような構成によれば、タンク上面73が、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置されるため、貯留タンク71を通じたラジエータ51への冷却水の導入を可能とできる。また、タンク下面74は、ラジエータ上面55よりも低い位置に配置されるため、ラジエータ51および貯留タンク71を含む冷却装置40の高さを低く抑えることができる。
【0092】
また、油圧ショベル10は、ファン63をさらに備える。ファン63は、ラジエータ51と対向して配置される。貯留タンク71は、ファン63の回転軸101の軸方向においてラジエータ51と並んで設けられる。
【0093】
このような構成によれば、ラジエータ51、貯留タンク71およびファン63をコンパクトに配置することができる。
【0094】
また、貯留タンク71は、第1タンク側面75と、第2タンク側面76とをさらに有する。第2タンク側面76は、第1タンク側面75と対向する。上面視において、第1タンク側面75は、ファン63の回転軸を挟んだ一方の側の領域110に配置され、第2タンク側面76は、ファン63の回転軸を挟んだ他方の側の領域120に配置される。
【0095】
このような構成によれば、貯留タンク71の貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0096】
また、上面視において、ファン63の回転軸101と、第1タンク側面75および第2タンク側面76の少なくともいずれか一方との間の距離は、ファン63の半径よりも大きい。
【0097】
このような構成によれば、貯留タンク71の貯留空間79の容量をさらに大きくすることができる。
【0098】
また、上面視において、ファン63の回転軸101に直交する方向における貯留タンク71の幅は、ファン63の回転軸101に直交する方向におけるラジエータ51の幅よりも大きい。
【0099】
このような構成によれば、貯留タンク71の貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0100】
また、油圧ショベル10は、管部材47をさらに備える。管部材47は、貯留タンク71に貯留される冷却水を、エンジン33およびラジエータ51を含む冷却水の循環路50に戻すように構成される。上面視において、管部材47は、ファン63の回転軸101に直交する方向におけるタンク下面74の中央部に接続される。
【0101】
このような構成によれば、タンク下面74における管部材47の接続口が冷却水から露出し難くなるため、管部材47を通じて冷却水の循環路50にエアが侵入することを抑制できる。
【0102】
また、油圧ショベル10は、ファン63の外周を覆うシュラウド62をさらに備える。貯留タンク71は、シュラウド62の上方に配置される。
【0103】
このような構成によれば、ラジエータ51、貯留タンク71およびシュラウド62を含む冷却装置40をコンパクトに構成することができる。
【0104】
また、貯留タンク71は、第3タンク側面77をさらに有する。第3タンク側面77は、ファン63の回転軸101の軸方向においてラジエータ51と隙間を挟んで対向する。シュラウド62は、対向面69を有する。対向面69は、上下方向において第3タンク側面77と並んで設けられる。対向面69は、ファン63の回転軸101の軸方向においてラジエータ51と隙間を挟んで対向する。第3タンク側面77は、ファン63の回転軸101の軸方向において対向面69と揃う位置、または、ファン63の回転軸101の軸方向において対向面69よりもラジエータ51から離れた位置に配置される。
【0105】
このような構成によれば、ラジエータ51と、貯留タンク71およびシュラウド62との間の隙間からラジエータ51をメンテナンスする際に、貯留タンク71が邪魔になり難くなる。このため、ラジエータ51のメンテナンス性を向上させることができる。
【0106】
また、ラジエータ51は、コア部52と、アッパタンク部53とを含む。コア部52では、冷却水が外気と熱交換しながら流通する。アッパタンク部53は、コア部52の上方に設けられる。アッパタンク部53は、冷却水が集合する集合空間59を形成する。アッパタンク部53は、ラジエータ上面55と、集合空間59を挟んでラジエータ上面55と対向するアッパタンク下面56とを有する。
【0107】
タンク下面74は、アッパタンク下面56よりも高い位置に配置される。このような構成によれば、ファン63の回転に伴ってコア部52に向かう空気流れが、コア部52の隅々まで行き渡り易くなる。このため、ラジエータ51における冷却水の冷却効率を向上ささせることができる。
【0108】
もしくは、タンク下面74は、アッパタンク下面56と同じ高さ、または、アッパタンク下面56よりも低い位置に配置される。このような構成によれば、貯留タンク71の貯留空間79の容量を大きくすることができる。
【0109】
本開示は、エンジンの冷却水を冷却するための冷却装置を備える各種の作業機械に適用される。本開示における作業機械は、たとえば、ブルドーザ、ホイールローダ、モータグレーダ、クレーンまたは林業機械であってもよい。
【0110】
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2における油圧ショベルの冷却装置を示す斜視図である。本実施の形態における油圧ショベルは、実施の形態1における油圧ショベルと比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0111】
図16を参照して、本実施の形態では、貯留タンク71が、ファン63の回転軸101の軸方向において、オイルクーラ41およびラジエータ51を挟んでシュラウド62の反対側に配置されている。貯留タンク71は、ラジエータ51よりも、ファン63の回転に伴って形成される空気の流れ方向の上流側に設けられている。
【0112】
油圧ショベルは、ステー96を有する。ステー96は、支持部材81に固定されている。貯留タンク71は、ステー96に載置されている。貯留タンク71は、ステー96に締結されている。貯留タンク71は、ステー96を介して支持部材81により支持されている。
【0113】
このように構成された、実施の形態2における油圧ショベルによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0114】
(実施の形態3)
図17は、実施の形態3における油圧ショベルの冷却装置およびファンを示す上面図である。本実施の形態における油圧ショベルは、実施の形態1における油圧ショベルと比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0115】
図17を参照して、本実施の形態では、貯留タンク71が、ファン63の回転軸101と直交する水平方向においてラジエータ51と並んで設けられている。貯留タンク71は、
図16中の支持部材81により支持されてもよいし、支持部材81とは別部材により支持されてもよい。
【0116】
このように構成された、実施の形態3における油圧ショベルによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0117】
(実施の形態4)
図18は、実施の形態4における油圧ショベルの冷却装置を示す斜視図である。
図19は、
図18中の冷却装置が適用された場合のエンジンの冷却システムを示す回路図である。
図20は、
図18中のXX-XX線上の矢視方向に見た冷却装置を示す断面図である。
【0118】
本実施の形態における油圧ショベルは、実施の形態1における油圧ショベルと比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0119】
図18から
図20に示されるように、油圧ショベルは、給水用キャップ161と、タンクキャップ72と、取り付けブロック167と、配管151とを有する。
【0120】
給水用キャップ161は、貯留タンク71に設けられた注水口を塞ぐように設けられている。給水用キャップ161は、
図4および
図5中に示されたタンクキャップ72に替わって、タンク上面73の凹部80に設けられている。冷却装置40の組み立て時、貯留タンク71から給水用キャップ161を取り外し、開口した貯留タンク71の注水口を通じてラジエータ51の内部に冷却水が導入される。
【0121】
タンクキャップ72は、圧力開放機能を有する。タンクキャップ72は、貯留タンク71の内圧が、予め設定された上限値を超えた場合に開動作して、貯留タンク71内の加圧空気を開放する。タンクキャップ72は、貯留タンク71の内圧が変化する通常の範囲内では、開動作しない。
【0122】
タンクキャップ72は、貯留タンク71から離れた位置に設けられている。タンクキャップ72は、上面視において、タンク上面73からずれた位置に設けられている。タンクキャップ72は、取り付けブロック167に取り付けられている。取り付けブロック167は、ラジエータ上面55から上方に離れた位置に設けられている。取り付けブロック167は、ラジエータ51を支持部材81(
図4を参照のこと)の内側に保持する保持ブラケット166に締結されている。
【0123】
タンクキャップ72は、ラジエータ上面55の上方に設けられている。タンクキャップ72は、水平方向において、貯留タンク71の第3タンク側面77と対向する位置に設けられている。タンクキャップ72は、ラジエータ上面55と、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置されるタンク上面73との段差部分に設けられている。
【0124】
配管151は、貯留タンク71およびタンクキャップ72の間を接続している。配管151の一方端は、給水用キャップ161を介して、貯留タンク71に接続されている。配管151の他方端は、取り付けブロック167を介して、タンクキャップ72に接続されている。貯留タンク71内部の貯留空間79は、配管151を通じてタンクキャップ72に繋がっている。タンクキャップ72には、ドレン用配管153がさらに接続されている。
【0125】
配管151は、流体の流通路を形成する管部材であればよく、たとえば、ゴム製のホースから構成されている。
【0126】
タンクキャップ72は、左右方向において、給水用キャップ161から右方にずれた位置に設けられている。タンクキャップ72は、前後方向において、給水用キャップ161から後方にずれた位置に設けられている。タンクキャップ72および給水用キャップ161は、互いに左右方向および前後方向にずれた位置に設けられている。
【0127】
図20に示されるように、タンクキャップ72は、キャップ上面168を有する。キャップ上面168は、タンク上面73よりも高い位置に配置されている。キャップ上面168は、タンク上面73と同じ高さに配置されてもよいし、タンク上面73よりも低い位置に配置されてもよい。
【0128】
図21は、
図18中のタンクキャップを示す断面図である。
図20および
図21に示されるように、タンクキャップ72は、キャップ本体174と、弁体171と、コイルバネ173とを有する。
【0129】
キャップ本体174は、上下方向に延び、その上端において閉塞され、その下端において開放された筒形状を有する。キャップ本体174は、全体として、中心軸170を中心とする円筒形状を有する。キャップ本体174の下端部は、取り付けブロック167に接続されている。
【0130】
弁体171は、キャップ本体174内に収容されている。弁体171は、キャップ本体174の内部において、中心軸170に沿って上下方向にスライド可能なように設けられている。コイルバネ173は、キャップ本体174内に収容されている。コイルバネ173は、弁体171と上下方向に並んで設けられている。弁体171には、コイルバネ173により下方に向けた弾性力が作用されている。
【0131】
図18から
図21に示されるように、弁体171は、弁座172を有する。弁座172は、弾性体からなる。弁座172よりも下方には、配管151を通じて、貯留タンク71内部の貯留空間79に繋がる第1空間176が形成され、弁座172よりも上方には、ドレン用配管153に繋がる第2空間177が形成されている。
【0132】
キャップ本体174は、当接部175を有する。当接部175は、上下方向において弁座172と対向しながら、中心軸170を中心に環状に延びている。弁座172は、コイルバネ173からの弾性力を受けることによって、当接部175に当接している。これにより、第1空間176および第2空間177の間が遮断された閉弁状態が得られる。
【0133】
貯留タンク71の内圧が予め設定された上限値を超えると、第1空間176から第2空間177に向けた圧力がコイルバネ173の弾性力に勝ることによって、弁体171が、上方に向けてスライド移動する。この弁体171の開動作により、弁座172が当接部175から離間する。貯留タンク71内の加圧空気は、配管151を通って、タンクキャップ72から開放される。
【0134】
タンクキャップ72が貯留タンク71に直接、取り付けられている場合(
図4および
図5に示される形態)、油圧ショベルの車体が傾いた時に、弁体171(弁座172)が、第1空間176の側で貯留タンク71内の冷却水に浸る可能性がある。弁体171(弁座172)が冷却水に浸った状態で、振動によって冷却水の液面が揺れると、微量の冷却水が第1空間176から第2空間177に漏れる現象が起こり得る。このような現象は、エンジンの冷却システムを循環する冷却水の減少を招く。
【0135】
図18および
図19に示されるように、本実施の形態における油圧ショベルは、弁体171を有するタンクキャップ72と、貯留タンク71およびタンクキャップ72の間を接続する配管151とを備える。このような構成によれば、貯留タンク71およびタンクキャップ72の間を接続する配管151内にエア溜まりを設けることができる。このため、油圧ショベルの車体が傾いた場合であっても、配管151内のエア溜まりによって、貯留タンク71からタンクキャップ72に向けての冷却水の進入を防ぐことができる。これにより、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる上記現象を防ぐことができる。
【0136】
また、タンクキャップ72は、ラジエータ上面55の上方に設けられている。このような構成によれば、ラジエータ上面55と、ラジエータ上面55よりも高い位置に配置されたタンク上面73との間に生じた高さ方向の段差部分に、タンクキャップ72が配置される。これにより、タンクキャップ72の設置に起因して冷却装置40の高さが高くなることを抑制できる。
【0137】
図22および
図23は、
図18中の貯留タンクおよびタンクキャップと、貯留タンクおよびタンクキャップ間で配索される配管とを示す上面図である。
【0138】
図22および
図23に示されるように、配管151は、貯留タンク71(給水用キャップ161)およびタンクキャップ72の間において、湾曲して配索されている。配管151は、貯留タンク71(給水用キャップ161)およびタンクキャップ72の間において、S字状に湾曲して配索されている。
【0139】
配管151は、貯留タンク71(給水用キャップ161)およびタンクキャップ72の間の経路上に、曲がり部180を有する。曲がり部180は、タンク上面73における少なくとも一方向に向かって凸形状をなすように曲がっている。曲がり部180は、タンク上面73の面内に含まれる少なくとも一方向に向かって凸形状をなすように曲がっている。曲がり部180は、水平面に含まれる少なくとも一方向に向かって凸形状をなすように曲がっている。
【0140】
図22に示されるように、配管151は、上記の曲がり部180として、第1曲がり部181,183を有する。第1曲がり部181は、配管151の管路上において、貯留タンク71および第1曲がり部183の間に位置している。第1曲がり部183は、配管151の管路上において、第1曲がり部181およびタンクキャップ72の間に位置している。
【0141】
第1曲がり部181は、右方に向かって凸形状をなすように曲がっている。第1曲がり部181は、右方に向かって凸形状をなすように湾曲している。第1曲がり部181は、突出端182を有する。突出端182は、第1曲がり部181のうちで最も右方に位置している。第1曲がり部181は、突出端182から貯留タンク71に向かって、左斜め前方向に湾曲しながら延びている。第1曲がり部181は、突出端182からタンクキャップ72に向かって、左斜め後ろ方向に湾曲しながら延びている。
【0142】
第1曲がり部183は、左方に向かって凸形状をなすように曲がっている。第1曲がり部183は、左方に向かって凸形状をなすように湾曲している。第1曲がり部183は、突出端184を有する。突出端184は、第1曲がり部183のうちで最も左方に位置している。第1曲がり部183は、突出端184から貯留タンク71に向かって、右斜め前方向に湾曲しながら延びている。第1曲がり部183は、突出端184からタンクキャップ72に向かって、右斜め後ろ方向に湾曲しながら延びている。
【0143】
このような構成によれば、油圧ショベルの車体が左右に傾いた場合であっても、配管151内により確実にエア溜まりを設けて、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象を防ぐことができる。
【0144】
より具体的には、配管151の管路上に、右方に向かって凸形状をなすように曲がる第1曲がり部181と、左方に向かって凸形状をなすように曲がる第1曲がり部183とが設けられている。配管151内のエアは、高い位置から低い位置に向かって進行することができない。
【0145】
油圧ショベルの車体が右下がりに傾いた場合、第1曲がり部181において、突出端182が最も低い位置に配置され、第1曲がり部183において、突出端184が最も高い位置に配置される。この場合に、突出端182よりもタンクキャップ72寄りの第1曲がり部181の区間にあるエアは、突出端182を越えて貯留タンク71に向けて進行することができず、突出端184よりも貯留タンク71寄りの第1曲がり部183の区間にあるエアは、貯留タンク71に向けて進行することができない。
【0146】
油圧ショベルの車体が左下がりに傾いた場合、第1曲がり部181において、突出端182が最も高い位置に配置され、第1曲がり部183において、突出端184が最も低い位置に配置される。この場合に、突出端182よりも貯留タンク71寄りの第1曲がり部181の区間にあるエアは、貯留タンク71に向けて進行することができず、突出端184よりもタンクキャップ72寄りの第1曲がり部183の区間にあるエアは、突出端184を越えて貯留タンク71に向けて進行することができない。
【0147】
図23に示されるように、配管151は、上記の曲がり部180として、第2曲がり部185をさらに有する。第2曲がり部185は、配管151の管路上において、
図22中の第1曲がり部181と部分的に重なり合っている。
【0148】
第2曲がり部185は、前方に向かって凸形状をなすように曲がっている。第2曲がり部185は、前方に向かって凸形状をなすように湾曲している。第2曲がり部185は、突出端186を有する。突出端186は、第2曲がり部185のうちで最も前方に位置している。第2曲がり部185は、突出端186から貯留タンク71に向かって、左斜め後ろ方向に湾曲しながら延びている。第2曲がり部185は、突出端186からタンクキャップ72に向かって、右斜め後ろ方向に湾曲しながら延びている。
【0149】
このような構成によれば、油圧ショベルの車体が前後に傾いた場合であっても、配管151内により確実にエア溜まりを設けて、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象を防ぐことができる。
【0150】
より具体的には、配管151の管路上に、前方に向かって凸形状をなすように曲がる第2曲がり部185が設けられている。油圧ショベルの車体が前下がりに傾いた場合、第2曲がり部185において、突出端186が最も低い位置に配置される。この場合に、突出端186よりもタンクキャップ72寄りの第2曲がり部185の区間にあるエアは、突出端186を越えて貯留タンク71に向けて進行することができない。油圧ショベルの車体が後ろ下がりに傾いた場合、第2曲がり部185において、突出端186が最も高い位置に配置される。この場合に、突出端186よりも貯留タンク71寄りの第2曲がり部185の区間にあるエアは、貯留タンク71に向けて進行することができない。
【0151】
なお、配管151は、貯留タンク71およびタンクキャップ72の間の経路上に、後方に向かって凸形状をなすように曲がる第2曲がり部を有してもよい。
【0152】
図24は、
図22中の第1曲がり部の変形例を示す上面図である。
図24中には、給水用キャップ161およびタンクキャップ72の間に配索される配管151(151A,151B)の経路が示されている。
【0153】
図24に示されるように、配管151は、給水用キャップ161およびタンクキャップ72の間の経路上に、1つの第1曲がり部181だけを有してもよい。この場合に、第1曲がり部181は、右方に向かって凸形状をなすように曲がる構成であってもよいし(配管151A)、左方に向かって凸形状をなすように曲がる構成であってもよい(配管151B)。
【0154】
一方、
図22に示される配管151は、給水用キャップ161およびタンクキャップ72の間の経路上に、複数の第1曲がり部181,183を有する。この場合、配管151内のエアが貯留タンク71により抜け難くなるため、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象をより確実に防ぐことができる。
【0155】
図25は、
図18中の油圧ショベルの冷却装置の変形例を示す斜視図である。
図25中では、貯留タンク71の内部が透視して描かれている。
図26は、
図25中のXXVI-XXVI線上の矢視方向に見た貯留タンクおよびタンクキャップを示す断面図である。
【0156】
図25および
図26に示されるように、本変形例では、タンクキャップ72が貯留タンク71のタンク上面73に接続されている。タンク上面73には、接続口191が設けられている。接続口191は、タンク上面73を貫通する貫通孔からなる。接続口191には、タンクキャップ72が接続されている。
【0157】
貯留タンク71は、壁部193をさらに有する。壁部193は、貯留タンク71内に設けられている。壁部193は、貯留タンク71内において、接続口191を取り囲む空間192を区画形成するように設けられている。接続口191は、貯留タンク71内において、空間192に開口している。タンクキャップ72における第1空間176は、貯留タンク71内の空間192に連通している。
【0158】
空間192は、タンク上面73と、壁部193と、第4タンク側面78とに囲まれて形成されている。空間192は、タンク下面74から上方に離れた位置に設けられている。
【0159】
壁部193には、貫通孔194が設けられている。貫通孔194は、空間192の内外を連通させるように設けられている。貫通孔194は、空間192と、空間192の外側の貯留空間79との間を連通させるように設けられている。貯留タンク71内の冷却水は、貫通孔194を通じて貯留空間79から空間192に向けて進入しようとする。しかしながら、空間192には空気が充満しているため、貯留タンク71の内圧が変化する通常の範囲内では、貫通孔194の位置までしか空間192に冷却水が進入しない。
【0160】
本変形例においては、貫通孔194の位置まで進入した空間192内の冷却水と、タンクキャップ72との間の空間192にエア溜まりを設けることができる。このため、油圧ショベルの車体が傾いた場合であっても、空間192のエア溜まりによって、貯留タンク71からタンクキャップ72に向かう冷却水の進入を防ぐことができる。これにより、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象を防ぐことができる。
【0161】
以上に説明した、実施の形態4における油圧ショベルの構成および効果についてまとめて説明する。
【0162】
油圧ショベルは、タンクキャップ72と、配管151とをさらに備える。タンクキャップ72は、弁体171を有する。配管151は、貯留タンク71およびタンクキャップ72の間を接続する。
【0163】
このような構成によれば、油圧ショベルの車体が傾いた場合であっても、配管151内にエア溜まりを設けることによって、貯留タンク71からタンクキャップ72に向けての冷却水の進入を防ぐことができる。これにより、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象を防ぐことができる。
【0164】
また、タンクキャップ72は、ラジエータ上面55の上方に設けられる。このような構成によれば、タンクキャップ72の設置に起因して冷却装置40の高さが高くなることを抑制できる。
【0165】
また、配管151は、貯留タンク71およびタンクキャップ72間の経路上に、曲がり部180を有する。曲がり部180は、タンク上面73における少なくとも一方向に向かって凸形状をなすように曲がる。このような構成によれば、油圧ショベルの車体が傾いた場合であっても、配管151内により確実にエア溜まりを設けることができる。
【0166】
油圧ショベルは、タンクキャップ72をさらに備える。タンクキャップ72は、弁体171を有する。タンク上面73には、接続口191が設けられる。接続口191には、タンクキャップ72が接続される。貯留タンク71は、壁部193をさらに有する。壁部193は、貯留タンク71内において、接続口191を取り囲む空間192を区画形成する。壁部193には、貫通孔194が設けられる。貫通孔194は、空間192の内外を連通させる。
【0167】
このような構成によれば、油圧ショベルの車体が傾いた場合であっても、空間192にエア溜まりを設けることによって、貯留タンク71からタンクキャップ72に向けての冷却水の進入を防ぐことができる。これにより、タンクキャップ72において微量の冷却水が漏れる現象を防ぐことができる。
【0168】
また、弁体171は、貯留タンク71の内圧が予め定められた上限値を超えた場合に開動作する。このような構成によれば、弁体171が開動作することによって、貯留タンク71内の圧力を開放させることができる。
【0169】
このように構成された、実施の形態4における油圧ショベルによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0170】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、エンジンの冷却水を冷却するための冷却装置を備える各種の作業機械に利用される。
【符号の説明】
【0172】
10 油圧ショベル、12 作業機、14 ブーム、15,17,19 油圧シリンダ、16 アーム、18 バケット、21 本体、22 走行装置、23 履帯、24 走行モータ、25 旋回体、26 運転室、28 カウンターウェイト、29 外装カバー、30 通気孔、31 エンジンルーム、33 エンジン、34 クランク軸、35 フライホイールハウジング、36 油圧ポンプ、38 通気空間、40 冷却装置、41 オイルクーラ、42,43,44,45,47 管部材、46 ポンプ、50 循環路、51 ラジエータ、52 コア部、53 アッパタンク部、54 ロアタンク部、55 ラジエータ上面、56 アッパタンク下面、57 チューブ、58 フィン、59,60 集合空間、62 シュラウド、63 ファン、64 円筒部、65 基部、66 シャフト部、67 羽根部、68 天板部、69 対向面、71 貯留タンク、72 タンクキャップ、73 タンク上面、74 タンク下面、75 第1タンク側面、76 第2タンク側面、77 第3タンク側面、78 第4タンク側面、79 貯留空間、80,91 凹部、81 支持部材、82 ステップ、86 延出部、87 切り欠き部、92 ガイド部、93 筒部、94 テーパ部、96 ステー、101 回転軸、110,120 領域、121,122 空気層、151,151A,151B 配管、153 ドレン用配管、161 給水用キャップ、166 保持ブラケット、167 取り付けブロック、168 キャップ上面、170 中心軸、171 弁体、172 弁座、173 コイルバネ、174 キャップ本体、175 当接部、176 第1空間、177 第2空間、180 曲がり部、181,183 第1曲がり部、182,184,186 突出端、185 第2曲がり部、191 接続口、192 空間、193 壁部、194 貫通孔。