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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036389
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ガス分離のための電気化学的プロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/32 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B01D53/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006791
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2022016333の分割
【原出願日】2016-10-26
(31)【優先権主張番号】62/246,640
(32)【優先日】2015-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】サハグ ボスキアン
(72)【発明者】
【氏名】トレバー アラン ハットン
(57)【要約】
【課題】 ガス分離のための電気化学的プロセスを提供すること
【解決手段】 本開示は一般に、電気化学的プロセスによってガス混合物(例えば、ガスストリーム)から標的種(例えば、CO)を分離するための装置、システム、および方法に関する。ガス分離システムは、ガス入口およびガス出口と流体連通している複数の電気化学セルを含み得、複数の電気化学セルの各々は、各々が第1の電気活性種を含む第1の多孔性負極および第2の多孔性負極と、第2の電気活性種を含む正極と、第1の多孔性負極と正極との間に位置する第1のセパレーターと、第2の多孔性負極と正極との間に位置する第2のセパレーターとを含み得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年10月27日に出願された“ELECTROCHEMICAL SWING PSEUDOCAPACITIVE PROCESS FOR GAS SEPARATION”と題する米国仮特許出願番号第62/246,640号に基づく優先権を主張しており、この仮特許出願は、すべての目的のためにその全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、電気化学的プロセスによってガスストリームから標的種を分離するための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ガス混合物から標的種を除去するための努力がなされてきた。例えば、最近の20年間にわたって人為的二酸化炭素(CO)排出量を抑制することにより地球温暖化を軽減するための継続的な努力がなされてきた。二酸化炭素回収貯留(carbon capture and storage)(CCS)はこの目的に向けてこれまでに提案された最も研究された解決策の1
つであり、二酸化炭素をその生成の様々な段階で捕えるために、発電所において燃焼後に捕捉する、または大気から二酸化炭素を濃縮し、その後地層中で加圧および貯留する、または商業的に有用な化合物へ転化させるといった、いくつかの方法が追及されてきた。このようにして、いくつかの二酸化炭素捕捉法が考案されており、成功の度合いは様々である。しかし、現在の方法/システムは、高いエネルギー要件および廃棄物を含めた多くの欠点を有する。さらに、二酸化炭素を捕捉するための従来の熱的方法は、規制機関によって定められるますます厳しくなる効率および能力の基準を満たすことができない。したがって、改善された装置、方法、および/またはシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
本開示は一般に、電気化学的プロセスによってガス混合物(例えば、ガスストリーム)から標的種(例えば、CO)を分離するための装置、システム、および方法に関する。
【0005】
一部の実施形態では、電気化学セルが提供される。電気化学セルは、各々がガス透過層および主要電気活性複合材層を含む、第1の負極および第2の負極と;第1の負極と第2の負極との間に位置し、第1の負極に面する第1の補助的電気活性複合材層および第2の負極に面する第2の補助的電気活性複合材層を含む、正極と;第1の負極と正極との間に位置する第1のセパレーターと;第2の負極と正極との間に位置する第2のセパレーターとを含んでいてもよく、第1および第2のセパレーターの各々はイオン性液体で飽和されることが可能である。
【0006】
一部の実施形態では、ガス分離システムが提供される。ガス分離システムは、ガス入口およびガス出口と流体連通している複数の電気化学セルを含んでいてもよい。複数の電気化学セルの各々は、各々が第1の電気活性種を含む、第1の多孔性負極および第2の多孔性負極と;第2の電気活性種を含む正極と;第1の多孔性負極と正極との間に位置する第1のセパレーターと;第2の多孔性負極と正極との間に位置する第2のセパレーターとを含んでいてもよく、第1および第2のセパレーターの各々はイオン性液体で飽和されるこ
とが可能である。
【0007】
一部の実施形態では、ガスストリームを処理する方法が提供される。この方法は、電気化学セルを横切って第1の電位差を加えるステップを含んでいてもよい。電気化学セルは、第1の電気活性種を含む少なくとも1つの多孔性負極と;第2の電気活性種を含む正極と;導電性液体で飽和され、少なくとも1つの多孔性負極と正極との間に位置するセパレーターとを含んでいてもよい。この方法は、電気化学セルに標的種を含むガスストリームを導入して、標的種を第1の電気活性種に結合させ、処理されたガスストリームを生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0008】
一部の実施形態では、ガス分離システムを作動させる方法が提供される。ガス分離システムは、電気化学セルの第1のセットおよび電気化学セルの第2のセットを含んでいてもよい。この方法は、ガス分離システムに標的種を含むガスストリームを導入するステップをさらに含んでいてもよい。この方法は、電気化学セルの第1のセットを充電モードで作動させて、標的種を電気化学セルの第1のセットの第1の電気活性種に結合させ、処理されたガスストリームを生成するステップをさらに含んでいてもよい。この方法は、同時に電気化学セルの第2のセットを放電モードで作動させて、標的種を電気化学セルの第2のセットの第1の電気活性種から放出させ、標的種を多く含むガスストリームを生成するステップをさらに含んでいてもよい。電気化学セルの第1および第2のセットの各電気化学セルは、第1の電気活性種を含む少なくとも1つの多孔性負極と;第2の電気活性種を含む正極と;イオン性液体で飽和され、少なくとも1つの多孔性負極および正極の間に位置するセパレーターとを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、1つまたは複数の実施形態による、例示的な電気化学セルの分解立体図である。
図2A図2Aは、1つまたは複数の実施形態による、充電モードで作動している例示的な電気化学セルの分解立体図である。
図2B図2Bは、1つまたは複数の実施形態による、放電モードで作動している例示的な電気化学セルの分解立体図である。
図3図3は、1つまたは複数の実施形態による、例示的な電気化学セルの概略図である。
図4図4は、1つまたは複数の実施形態による、例示的なガス分離システムの概略図である。
図5図5は、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスを行う例示的なシステムの概略図である。
図6図6は、1つまたは複数の実施形態による、例示的なガス分離システムの概略図である。
図7A図7Aは、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスを行う例示的なシステムの概略図である。
図7B図7Bは、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスを行う例示的なシステムの概略図である。
図8A図8A~8Cは、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスによるCO捕捉および放出の実験結果をグラフで表示した図である。
図8B図8A~8Cは、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスによるCO捕捉および放出の実験結果をグラフで表示した図である。
図8C図8A~8Cは、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスによるCO捕捉および放出の実験結果をグラフで表示した図である。
図9図9は、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスによるCO捕捉および放出の実験結果をグラフで表示した図である。
図10図10は、1つまたは複数の実施形態による、ガス分離プロセスによるCO捕捉および放出の実験結果をグラフで表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図面と併せて考えれば以下の詳細な説明から明らかとなる。添付の図は概略であり、正確な縮尺で描くことを意図していない。明確にするために、すべての図においてすべての構成要素にラベルが付けられているとは限らず、当業者に本発明を理解させるのに図が必要ではない場合は本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されるとは限らない。参照により本明細書に組み込まれているすべての特許出願および特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含めた本発明の明細書が優先される。
【0011】
詳細な説明
本開示は一般に、電気化学的プロセスによってガス混合物(例えば、ガスストリーム)から標的種(例えば、CO)を分離するための装置、システム、および方法に関する。
【0012】
一部の実施形態によれば、電気化学的スイング(electrochemical swing)プロセスがガス分離を提供するのに使用される。電気化学的スイングプロセスは、ある電位で一方向に駆動させ、異なる電位で逆方向に駆動させることができるプロセスである。これは、ある電位で活性化させることができ異なる電位で不活性化させることができるレドックス活性種を使用して行ってもよい。電気化学的スイング分離において、レドックス活性種は不活性化状態よりも活性化状態において、標的種などの溶出物(または吸着物質)に対してより高い親和性を有することがある。そのような実施形態によれば、標的種(例えば、CO)の捕捉をもたらす電気化学的反応に作用するように、エネルギーが効率的に送達される。一部の実施形態では、適用される電気化学的スイングプロセスは、電極で半レドックス反応が生じる電気化学セルを横切って電位差を加えることによって、電気活性種の酸化状態を調節することに基づく。電極における電解種の酸化状態のこの変化およびその後の電解質中でのそれらの移動は、外部回路における電子の移動を引き起こすか、または外部回路における電子の移動の結果である。
【0013】
一部の実施形態では、分離プロセスを行うために電気化学セルが提供される。電気化学セルは、還元型においてCOまたは別の標的種に選択的に結合する電気活性材料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、電気化学セルの構成要素はガスにさらされる電気活性な表面積を最大化するように配置されてもよい。
【0014】
1つまたは複数の実施形態によれば、電気化学セルを使用して、標的種(例えば、二酸化炭素)をガス混合物またはガスストリームから分離するための方法が記載される。標的化学種に対する負極の電気活性種の親和性は、その酸化状態を変動させることによって変化させることができる。このように、標的化学種を捕捉および放出するために電気活性種を利用してもよい。正極におけるレドックス種、または電気活性種は、負極の電気活性材料の還元および酸化の電子源および電子の受け手(sink)としてそれぞれ機能し得る。
【0015】
1つまたは複数の実施形態によれば、そのようなプロセスで使用するための電気化学セルが一般に記載される。一部の実施形態では、電気化学セルは負極および正極を含んでいてもよい。一部の実施形態では、電気化学セルは第1の負極および第2の負極を含んでいてもよく、正極は負極の間に位置する。
【0016】
一部の実施形態によれば、1つまたは複数の負極は、ガス透過層(基材層とも呼ばれる)および電気活性複合材層(本明細書において主要電気活性複合材層とも呼ばれる)を含んでいてもよい。2つの負極を組み込む電気化学セルにおいて、電極の各々の材料および
成分は同じまたは異なっていてもよい。
【0017】
次に、正極は、第1の負極に面する電気活性複合材層および第2の負極に面する第2の電気活性複合材層を含んでいてもよい。正極の電気活性複合材層は、その内部の電気活性種が負極の電気活性材料の電子の受け手または電子源として機能するので、補助的電気活性複合材層とも呼ばれる。
【0018】
電気化学セルは、負極および正極の各々の間に位置するセパレーターをさらに含んでいてもよい。第1および第2のセパレーターの各々は、導電性液体(例えば、イオン性液体)で飽和されることが可能であり、その結果デバイスを作動されている際に導電性液体(例えば、イオン性液体)がセパレーター内に存在し得る。
【0019】
主要電気活性複合材層は、第1の電気活性種が還元された状態にある場合に標的種ガス(例えばCO)と結合することが可能であり、第1の電気活性種が酸化された状態にある場合に標的種ガスを放出することが可能である、第1の電気活性種を含む。電気活性種は、還元された状態で意図する特定の用途に向けた意図する標的種への強い親和性を有するように選択してもよい。例えば、COが標的種である、一部の実施形態では、選択される電気活性種は10~10-1の二酸化炭素との結合定数を有していてもよい。一部の実施形態では、選択される電気活性種は、10~10-1の様々な標的種との結合定数を有していてもよい。例えばポリアントラキノンとして重合した形態のアントラキノンは、ここでさらに説明されるように、使用することができる電気活性種である。一部の実施形態では、COの存在下で、アントラキノンは1ステップでそのジアニオンに還元され、次いでCOに結合して錯体を形成する。還元されるとCOと共有結合を形成してカルボキシレート部分を形成する他の電気活性種も使用してもよい。そのような電気活性種のさらなる例としては、チオレートおよびビピリジンが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するポリアントラキノンという用語は一般に、ポリアントラキノンの任意の異性体を指す。電気活性種として利用してもよいポリアントラキノンの異性体の例としては、式(I):
【化1】
によって表されるポリ(1,4-アントラキノン(antrhaquinone))(P14AQ)が
挙げられる。
【0021】
他の考えられる異性体としては、ポリ(1,5-アントラキノン)(P15AQ)、ポリ(1,8-アントラキノン)(P18AQ)、およびポリ(2,6-アントラキノン)(P26AQ)が挙げられる。他の異性体も可能である。
【0022】
電気活性種に加えて、負極の電気活性複合材層は炭素質材料も含んでいてもよい。適切な材料の例としては、カーボンナノチューブ(例えば、単壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ)、カーボンブラック、KetjenBlack、カーボンブラックSuper P、またはグラフェンが挙げられる。
【0023】
一部の実施形態によれば、異性体P14AQは、クロロホルム、または他の溶媒中に溶解性があり、それにより溶液中の炭素質材料のより良好な分散が可能になるので、複合材層へ組み込むために選択される。
【0024】
一部の実施形態では、電気活性な化学種は負極上に固定化されてもよい。そのような実施形態は、電気活性な化学種が1つの電極から別の電極へ移流によって輸送される、他のシステムの実施形態とは区別することができる。一部の実施形態では、電気活性複合材層は、電気活性で炭素質材料の固定化ポリマー複合材を含む。例えば、一部の実施形態では、電気活性複合材層はポリアントラキノン(pAQ)-カーボンナノチューブ(CNT)複合材を含む。
【0025】
1つまたは複数の実施形態によれば、負極の電気活性複合材層は、電気活性材料対炭素質材料の特定の重量比を有していてもよい。重量比は、電気活性材料の質量当たりの高い電流を容易にするように選択されてもよい。一部の実施形態では、電気活性材料の質量対炭素質材料の質量の重量比は、約1対1~約1対10の間であってもよい。一部の実施形態では、これは約1対3であってもよい。他の比も可能である。
【0026】
負極はガス透過層をさらに含んでいてもよい。ガス透過層(基材層と呼んでもよい)は、電気活性複合材層に近接して位置し、電気化学セルから外側に向いていてもよい。ガスストリームはガス透過層を通って拡散し、電気活性複合材層と接触することができる。ガス透過層は導電性材料を含んでいてもよく、セル内の集電体として作用する。
【0027】
ガス透過層は多孔性材料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、この層は例えば約70%~90%の間の多孔度を有していてもよい。他の空隙率も可能である。ガス透過層に適した材料の例としては、限定はされないが、カーボン紙(処理された、TEFLON(登録商標)処理された、または未処理)、炭素布、および不織炭素マットが挙げられる。他の材料も使用してもよい。
【0028】
正極に目を向けると、一部の実施形態では、正極は電気活性層(補助的電気活性層と呼ばれる場合がある)を含んでいてもよい。補助的電気活性層は第2の電気活性種を含んでいてもよい。作動の際には、この第2の電気活性種は負極中に存在する第1の電気活性種の還元の電子源として機能することができる。同様に、第2の電気活性種は第1の電気活性種の酸化の際の電子の受け手として機能することができる。このように、正極の電気活性層は「補助的」と記載されてもよい。第2の電気活性種は、例えばポリビニルフェロセンを含んでいてもよい。第2の電気活性種は、例えば、ポリ(3-(4-フルオロフェニル)チオフェン)、または第1の電気活性種(例えば、アントラキノン)の第1の還元電位よりも還元電位が少なくとも0.5ボルトプラス側である他のファラデーレドックス種を含んでいてもよい。
【0029】
負極の主要電気活性複合材層と同様に、正極の補助的電気活性複合材層は、電気活性種および炭素質材料の固定化ポリマー複合材を含んでいてもよい。炭素質材料の例としては、カーボンナノチューブ(例えば、単壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ)、カーボンブラック、KetjenBlack、カーボンブラックSuper P、またはグラフェンが挙げられる。他の材料も可能である。
【0030】
1つまたは複数の実施形態によれば、正極の電気活性複合材層は、電気活性材料対炭素質材料の特定の重量比を有していてもよい。重量比は、電気活性材料の質量当たりの高い電流を容易にするように選択されてもよい。一部の実施形態では、補助的電気活性複合材層における電気活性材料の質量対炭素質材料の質量の重量比は、約1対2~約2対1の間であってもよい。一部の実施形態では、これは約1対1であってもよい。他の比も可能である。
【0031】
正極が両側に負極を有する電気化学セルの実施形態において、正極は各々が負極の1つ
に面する2つの電気活性複合材層を含んでいてもよい。
【0032】
正極は、電気活性複合材層(1つまたは複数)に近接してまたはそれらの間に位置する基材層をさらに含んでいてもよい。正極の基材層は、負極の基材層の材料と同じまたは異なる材料を含んでいてもよい。例えば、基材層は、カーボン紙(処理された、TEFLON(登録商標)処理された、または未処理)、炭素布、または不織炭素マットなどの材料を含んでいてもよい。他の材料も可能である。正極の基材層は導電性材料を含んでいてもよく、セル内で集電体として機能することができる。
【0033】
セパレーターは正極と各負極との間に位置してもよい。セパレーターは、異なる電極を互いにおよび/または電気化学セル内の他の構成要素から単離するための保護層として機能することができる。セパレーターは多孔性構造を含んでいてもよい。セパレーターの材料は例えば、セルロース膜、ポリマー材料、またはポリマー-セラミック複合材料を含んでいてもよい。セパレーターのさらなる例としては、PVDFセパレーター、PVDF-アルミナセパレーター、またはCelgardが挙げられる。
【0034】
一部の実施形態では、電気化学セルは、導電性液体(例えば、イオン性液体)で飽和された1つまたは複数のセパレーターを備えていてもよい。一部の実施形態では、電気化学セルは、セパレーター中に存在する導電性液体を備えていなくてもよいが、ガス分離プロセスを行うために作動させると導電性液体で飽和されることが可能であるセパレーターを備えていてもよい。一部の実施形態では、導電性液体は、イオン性液体、例えば室温イオン性液体(「RTIL」)を含んでいてもよい。RTIL電解質は揮発性が低い場合があり(すなわち、10-5Pa未満、例えば10-10~10-5Paの室温蒸気圧)、それにより電極の乾燥のリスクを低減し、蒸発または巻き込み(entrainment)への大幅な
損失を伴わずにガスが電極を通って流れるのを可能にする。室温イオン性液体は、例えば、以下の式(II):
【化2】
によって表される1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(「BmimBF」)を含んでいてもよい。
【0035】
イオン性液体は、アニオン成分およびカチオン成分を含んでいてもよい。イオン性液体のアニオンとしては、限定はされないが、ハロゲン化物、硫酸、スルホン酸、炭酸、重炭酸、リン酸、硝酸、硝酸、酢酸、PF6-、BF4-、トリフレート、ノナフレート、ビス(トリフリル)アミド、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロブタン酸(heptaflurorobutanoate)、ハロアルミネート、トリアゾリド、およびアミノ酸誘導体(例えば窒素上の
プロトンが除去されているプロリン)を挙げることができる。イオン性液体のカチオンは、限定はされないが、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、チアゾリウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、トリアゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、グアナジニウム、およびジアルキルモルホリニウムを含んでいてもよい。一部の実施形態では、導電性液体は、低揮発性電解質溶液を含んでいてもよい。
【0036】
1つまたは複数の実施形態による、上記の構成要素の1つまたは複数を有する電気化学セルの例を、図1に図示する。電気化学セル100は、2つの負極110の間に位置する正極120を含む。セパレーター130は正極および負極である120および110を隔
てる。負極110の各々は、セル100の中心から離れて位置するガス透過層112と、正極120に面している主要電気活性複合材層114とを含む。正極120は、基材層122とその上に付着させた2つの補助的電気活性複合材層124とを含む。電気化学セル100の様々な構成要素は、例えば上記の電極材料を含む、この開示の全体にわたって記載される特定の特性を有する。例えば図1に示すような2つの外側に向いた負極110の構成は、ガスにさらされるガス吸着面積を倍増させるという利点をもたらすことができる。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によれば、本明細書に一般に記載される電気化学セルは、ガス分離プロセスを行うように作動させることができる。このプロセスは、電気化学セルを横切って電位差を加えるステップと、標的種を第1の電気活性種に結合させて処理されたガスストリームを生成するように、標的種(例えばCO)を含むガスストリームを電気化学セルに導入するステップとを含んでいてもよい。
【0038】
1つまたは複数の実施形態によれば、標的種は求核分子を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、標的種は非プロトン性酸性ガスを含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、標的種は、pAQと、または負極の他の電気活性材料と錯体を形成することが可能であるガスを含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、標的種は二酸化炭素(CO)を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、標的種は二酸化硫黄(SO)を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、標的種はボラン(BR)を含んでいてもよく、ここで、各Rは同じまたは異なっていてもよく、適切な置換基である(例えば、水素、それぞれ任意選択で置換されている、アルキル、アリールなど)。一部の実施形態では、標的種は1つの種を含んでいてもよい。一部の実施形態では、標的種は2つ以上の種を含んでいてもよい。捕捉および放出が起きる電位窓は、その実施形態の特定の標的種に依存し得、したがって標的種の濃縮および除去は、電気化学セルを横切って加えられる適切な電位差を加えることによって制御してもよい。
【0039】
一部の実施形態によれば、充電モードの間に正電圧を電気化学セルに印加すると、負極でのレドックス半反応が生じ、ここで電気活性種が還元される。本明細書において記載されるように、負極の電気活性種は、還元された状態にあるときに標的種(例えば、CO)に対して改善された親和性を有するという特性に関して選択される。電気活性種を還元させ、そしてガスストリームを負極の面を横切って通すことによって、標的種(例えば、CO)が電気活性種に結合することができる。そのようにして、標的種をガスストリームから除去して処理されたガスストリームを得ることができる。
【0040】
負極の電気活性種がアントラキノンである、一部の実施形態によれば、電気活性種は以下の反応(1):
【化3】
に従って還元させることができる。
【0041】
二酸化炭素を含む標的種の存在下で電気活性種が還元される、一部の実施形態によれば、以下の反応(2):
【化4】
が生じ得る。
【0042】
一部の実施形態によれば、第1の電気活性種(例えば、ポリアントラキノン)が負極で還元されている間、第2の電気活性種(例えば、ポリビニルフェロセン)は正極で酸化されている。充電モードの間、第2の電気活性種の酸化は第1の電気活性種の還元を駆動させるための電子源を供給する。
【0043】
正極の電気活性種がポリビニルフェロセンを含む一部の実施形態によれば、この第2の電気活性種は以下の反応(3):
【化5】
に従って酸化され得る。
【0044】
一方向に起きている反応(1)~(3)の各々が示されているが、ある程度の可逆性が示されることがある。当業者であれば理解しているように、異なる種を使用することにより類似の反応が起きることがある。
【0045】
1つまたは複数の実施形態によれば、正極および負極を横切って電位差を加えることにより電気化学セルを充電すると、電子が、正極上のpVF-CNT複合材中のフェロセン(Fc)単位から、従って、フェロセンがフェロセニウム(Fc)に酸化され(反応(3)により示されるように)、外部回路を介して負極に流れる。負極では、COの存在下でpAQ-CNT複合材中のアントラキノン単位がジアニオン型p(AQ2-)へ還元され、これが負極中へ拡散する。式(2)に表されるように、ジアニオンは共有結合によりCOへ容易に結合し、錯体p(AQ.[CO2-)を形成する。
【0046】
充電モードの間、電気化学セルを横切る電位差は、特定の電圧を有していてもよい。例えば、一部の実施形態では、電位差は少なくとも0V、少なくとも0.5V、少なくとも1.0V、または少なくとも1.5Vであってもよい。一部の実施形態では、電位差は2.0Vもしくはそれ未満、1.5Vもしくはそれ未満、1.0Vもしくはそれ未満、または0.5Vもしくはそれ未満であってもよい。これらの電圧の組合せ、例えば少なくとも0.5Vおよび2.0Vまたはそれ未満も可能である。他の値も可能である。
【0047】
図2Aは、1つまたは複数の実施形態による、充電モードで作動している例示的な電気化学セル100aの分解立体図を示す。電気化学セル100aの構成要素は、図1に関して本明細書に記載される、電気化学セル100に関して記載されるものと同様であってもよい。図2aに示すように、電源140aおよび配線150aは、電気化学セル100aを横切って電位差を加えるために使用される。これは、外部回路150aにおける電子流160aが電子を負極110aの各々の主要電気活性複合材層114aへ向かわせることを引き起こす。電気活性複合材層114aでレドックス半セル反応が生じて層114aに固定化された電気活性種を還元させる。その還元された状態において、電気活性種はガスストリーム(図示せず)中の標的種に対する増大した親和性を示す。ガスストリームの標的種は負極のガス透過層112Aを透過して複合材層114Aの還元された物質へ結合することができる。
【0048】
その間に、正極120aは充電モードでの作動中に電子の供給源として機能する。正極120aの補助的電気活性複合材層124aにおいて対応するレドックス半セル反応が生じてその電気活性種を酸化させる。酸化反応は補助的電気活性種から電子を放出させる。これらの電子反応生成物は次いで基材層122aおよび/または外部配線150aを通って移動して回路を完結することができる。セパレーター130aは正極および負極である120aおよび110aを隔てる。
【0049】
1つまたは複数の実施形態によれば、電気化学セルの作動は、電気化学セルを横切って第2の電位差を加えて、標的種を第1の電気活性種から放出させ、標的種を多く含むガスストリームを生成することをさらに含んでいてもよい。一部の実施形態によれば、電気化学セルを充電モードで一定時間作動させ、その間に標的種は負極の電気活性材料に結合し、作動を放電モードに切り換えることができる。放電モードでの作動中、印加される電圧は、充電モード中の電子流とは反対方向の電子流を提供するように切り替えられる。放電モードでの作動中、負電圧を電気化学セルを横切って印加してもよい。放電モードでは、レドックス半反応が負極で生じ、ここでは負極の電気活性種が酸化される。放電モードでの作動中、負極で標的種が結合していた物質から標的種を放出させることができる。
【0050】
負極の電気活性種がアントラキノンである一部の実施形態によれば、電気活性種は放電モード中に以下の反応(4):
【化6】
に従って酸化させることができる。
【0051】
二酸化炭素を含む標的種へ結合した後に電気活性種が酸化される、一部の実施形態によれば、以下の反応(5):
【化7】
が生じ得る。
【0052】
一部の実施形態によれば、第1の電気活性種(例えば、ポリアントラキノン)が負極で酸化されている間、第2の電気活性種(例えば、ポリビニルフェロセン)は正極で還元されている。放電モード中、第2の電気活性種の還元は電子の受け手として機能する。
【0053】
正極の電気活性種がポリビニルフェロセンを含む、一部の実施形態によれば、この第2の電気活性種は以下の反応(6):
【化8】
に従って還元させることができる。
【0054】
一方向に起きている反応(4)~(6)の各々が示されるが、ある程度の可逆性が示されることがある。当業者であれば理解しているように、異なる種を使用することにより類似の反応が起きることがある。
【0055】
そのような実施形態によれば、逆方向の電子流を可能にするように外部回路の分極状態を変更すると、電気化学セルの放電により負極の電気活性材料が酸化される。pAQとCO分子との間に形成された共有結合が壊れ(反応(5)に示すように)、COガスを放出して負極から拡散させ、正極へ流れる電子はFc単位を還元してFcとする(反応(6)に示すように)。そのような実施形態によれば、pVFはp(AQ)の還元の電子源またはp(AQ.[CO )の酸化の電子の受け手として機能することができる。
【0056】
放電モードの間の電気化学セルを横切る電位差は、特定の電圧を有していてもよい。例えば、一部の実施形態では、電位差は0V未満、-0.5Vもしくはそれ未満、-1.0Vもしくはそれ未満、または1.5Vもしくはそれ未満であってもよい。一部の実施形態では、電位差は少なくとも-2.0V、少なくとも-1.5V、少なくとも-1.0V、または少なくとも-0.5Vであってもよい。これらの電圧の組合せ、例えば少なくとも-2.0Vおよび-0.5Vまたはそれ未満も可能である。他の値も可能である。
【0057】
図2Bは、1つまたは複数の実施形態による、放電モードで作動している例示的な電気化学セル100bの分解立体図を示す。電気化学セル100bの構成要素は、図2aのセ
ル100aの構成要素と同じである。しかし、電源140bによって印加される電圧は、外部配線150bを介した電子流160bの方向を逆転させる電位差を作り出すように変更されている。放電モードでは、負極110bの電気活性複合材層114bでレドックス半セル反応が生じて層114bに固定化された電気活性種を酸化させる。その酸化された状態において、電気活性種は標的種に対する低下した親和性を示し、標的種が電気活性材料から放出されることを引き起こす。放出された標的種はガス透過層112bを通って出て、さらなる処理、封鎖、または他の所望の目的に向けられてもよい。
【0058】
一方その間に、正極120bは放電モードでの作動中に電子の受け手として機能する。正極120bの補助的電気活性複合材層124bにおいて半セル反応が生じてその電気活性種を還元する。還元反応の間、配線150bおよび基材層122bを通って移動した電子は、補助的電気活性種と結合して完結した回路を可能にする。セパレーター130bは正極および負極である120bおよび110bを隔てる。
【0059】
図3は、1つまたは複数の実施形態による、例示的な電気化学セル300の概略図を示す。電気化学セル300は、負極310、正極330、およびそれらの間に位置するセパレーター320を含む。図3はまた、任意のものとして、第1の負極310と向かい合って位置する第2の負極310、および第2のセパレーター320も示す。負極310は、還元された状態で標的種(例えばCO)に対して比較的増大した親和性を示し、酸化された状態で標的種(例えば、CO)に対して比較的低下した親和性を示す、第1の電気活性種を含む。正極320は、異なる電気活性種を含む。充電モードまたは放電モードのいずれかで作動中に、本明細書の他の部分で記載されるように、電極310および320の各々で補助的レドックス反応を生じさせるように電位差を電気化学セル300横切って加えてもよい。
【0060】
1つまたは複数の実施形態によれば、本明細書に記載の1つまたは複数の電気化学セルはガス分離システムに組み込まれてもよい。ガス分離システムは、ガス入口およびガス出口と流体連通している、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる複数の電気化学セルを含んでいてもよい。
【0061】
ガス分離システムは、各電気化学セルの第1および第2の負極ならびに正極を横切って電位差を加えるように構成された電源に、各電気化学セルの第1および第2の多孔性負極ならびに正極を接続する、外部回路を含んでいてもよい。
【0062】
図4は、1つまたは複数の実施形態による例示的なガス分離システム400の概略図を示す。システム400は、入口470および出口480を有する筐体460を含む。電気化学セル405は筐体内に位置する。明確にするために1つのセル405のみが図4に示されているが、当業者は、複数のセル405を筐体460の中に位置し得ることを容易に理解することになる。筐体460の内側または外側に位置してもよい、電源440は、セル405に接続されている。負極410は、配線450aを介して電源440へ接続されているが、一方正極は配線450bを介して接続されている。本明細書の別の部分に記載されるように、充電モードで電圧が印加されてセル(単数または複数)を作動させる間、処理しようとするガスストリームは入口470を通って送達される。ガスストリームは、システム400によって少なくとも部分的に除去されるように指定された標的種を含む。次いでガスストリームはセル405に近接して、特に、負極410(単数または複数)に近接して通過する。負極410中の還元された電気陰性物質は標的種に結合し標的種を標的ストリームから除去する。必要に応じた第2の負極410、第2のセパレーター420、および対応する配線450aは破線で示される。図4に示される実施形態および他の図は必要に応じた筐体を含むが、電気化学セルは様々な環境中、例えば導管中でインラインで、またはそうでなければ筐体なしで位置し得ることを理解するべきである。
【0063】
図5は、1つまたは複数の実施形態による、充電モード中のガス分離プロセスを行う例示的なシステムの概略図を示す。図5において、電位差が電気化学セルの各々を横切って加えられ、その結果各々が充電モードで作動する。充電モードでは、負極510における電気活性種のレドックス反応(例えば、還元)が電気活性種と標的種590との間の親和性を増大させる。標的種590を含むガスストリーム575がシステムへ導入され、負極510に近接して通過する。増大した親和性によって標的種(例えば、CO)が電気活性材料へ結合する。このようにして標的種の少なくとも一部をガスストリーム575から分離して処理されたガスストリーム585を生成する。
【0064】
図4に示されるシステム400は、電源440からの印加される電圧を変更して充電モードでの流れの方向とは反対の電子流を生じさせることにより、放電モードで作動させることもできる。この変更は、異なるレドックス反応、例えば負極の電気活性材料が酸化される、レドックス反応が負極410で起こることを引き起こす。そのような電気活性の酸化状態の変化は、標的種が電気活性材料から放出されることを引き起こして標的種を多く含むガスストリームを生成する。標的種を多く含むガスストリームは出口480または代替的な出口(図示せず)を通って出てもよい。
【0065】
放電モードで作動させると標的種物質が放出されるので、処理しようとするガスストリームを入口470を介して同時に導入することは逆効果となる。したがって、放電モードで作動させる間、入口470を閉じるかまたは異なるストリーム(例えば、廃棄物ストリーム)を再び入口に向ける。
【0066】
1つまたは複数の実施形態によれば、ガス分離システムは電気化学セルの第1のセットおよび電気化学セルの第2のセットを含んでいてもよい。第1のセットおよび第2のセットの各々は、この開示の全体にわたって記載されるような1つまたは複数の電気化学セルを含んでいてもよい。セルの1つのセットが充電モードで作動し標的種(例えば、CO)をガス混合物から捕捉し、一方、セルの別のセットが放電モードで作動し標的種(例えば、CO)を放出するように、第1および第2のセットは並列で交互に稼働させてもよい。システムは、電気化学セルのセットの各々のために別々の筐体を含んでいてもよい。システムは、所望の方法で流れを誘導するように配置された導管およびバルブをさらに含んでいてもよい。ガス分離システムはガスストリームの連続または半連続分離を可能にすることができ、所定の時点で、ガスストリームが充電/捕捉モードで作動するセルのセットへ向けられ、一方、放電/放出モードで作動するセルの他のセットによって、標的種を多く含むストリームが生成される。さらに、用途の必要性に応じて、電気化学セルの追加のセットを並列でまたは直列で加えてもよい。
【0067】
図6は、そのようなガス分離システムの実施形態の例を示す。ガス分離システム600において、電気化学セルの第1のセット605aは第1の筐体660aの中に位置し、電気化学セルの第2のセット605bは第2の筐体660bの中に位置する。導管はガス入口670を筐体入口672aおよび672bへ接続する。バルブ684は、どちらが充電モードで現在作動しているかに応じて、セット605aおよび605bのいずれかに流れを向けるように配置されていてもよい。
【0068】
作動の際、標的種(例えば、CO)を含むガスストリームは入口670を通ってガス分離システム600へ導入されてもよい。セルの第1のセット605aが充電/捕捉モードで作動している場合、バルブ684は、ストリームを誘導してセルの第1のセット605aに近接させるように配置されていてもよく、セルの第1のセット605aでは、標的種がセル605aの電気活性材料に結合して処理されたガスストリーム(標的種の濃度が低下したガスストリーム)を生成することができ、これは次いで出口673aを通って筐
体660aを出る。筐体出口673aの下流にあるさらなるバルブ686aは、処理されたガスストリームを処理されたガス出口680に通すように配置されていてもよい。
【0069】
セルの第1のセット605aが充電モードで作動する間、セルの第2のセット605bは放電モードで作動させてもよく、ここではあらかじめ蓄積された標的種がセルの第2のセット605bの電気活性材料から放出される。示される実施形態において、バルブ684は、放電モードで作動しているセルのセット605bからガス処理ストリームを単離するように配置されている。標的種をセルのセット605bから放出させると標的種を多く含むガスストリームが生成され、次いでこれは出口673bを通って筐体660bを出る。バルブ686bは、標的を多く含むストリームを処理ストリーム出口680から単離し、標的を多く含むストリームを廃棄物出口682bへ向けるように配置されていてもよく、代わりに、ここでは標的を多く含むストリームにさらなる処理、貯蔵などが行われてもよい。
【0070】
上記の様式で一定時間作動させた後、セル605aおよび605bのモードを逆転させてもよい。セルの第1のセット605bを次いで放電モードで作動させて蓄積された標的種をそれらの電極から放出させる。この期間の間、バルブ684はセルの第1のセット605aから処理ストリームを単離するように配置し直される。この期間の間、バルブ686aは標的を多く含むストリームを廃棄物出口682aへ向けるように配置し直される。
【0071】
その間、セルの第2のセット605bの作動を逆転させ、その結果それらを充電モードで作動させて標的種を捕捉し、処理されたストリームを生成する。入口バルブ684は、処理ストリームが導管を通ってシステム入口670から、第2の筐体入口672bを介してセルの第2のセット605bへ向けられるように配置されている。出口バルブ686bは、処理されたストリームを出口680へ向けるように配置し直される。
【0072】
そのようにして、セルの異なるセット605aおよび605bは、標的種を含むガスストリームの連続または半連続処理を一緒に実現しながら、モードを繰り返してもよい。図6に示される特定の実施形態はシステム構成要素(例えば、バルブ、導管、入口、および出口)のある特定の配置を示すが、処理されたストリームおよび標的種を多く含むストリームが分離される連続作動を実現するという目的をなお達成するための異なる構成を提供できることを、当業者であれば理解することになる。
【0073】
図7Aは、1つまたは複数の実施形態に従い、セルの第1のセット705aが充電モードで作動しており一方セルの第2のセット705bが放電モードで作動しているガス分離プロセスを行う、図6と同様の、例示的なシステムの概略図を示す。充電モードでは、印可電圧は負極710aにおける電気活性種のレドックス反応(例えば、還元)を誘発させ、これは電気活性種と標的種790との間の親和性を増大させる。標的種590を含むガスストリーム575がセルのセット705aへ導入され、負極510aに近接して通過する。増大した親和性は標的種(例えば、CO)790が電気活性材料に結合することを引き起こす。このようにして標的種の少なくとも一部がガスストリーム775から分離されて処理されたガスストリーム785が生成される。
【0074】
放電モードでは、充電モード中の電子流とは反対方向に電子流を生じさせる、第2の印可電圧は、負極710bにおける電気活性種の第2のレドックス反応(例えば、酸化)を誘発させ、これは電気活性種と標的種790との間の親和性を低下させる。放出された標的種790は標的種を多く含むガスストリーム787へ入る。
【0075】
図7Bは、図7Aについて示され説明される作動モードが逆転されているガス分離プロセスを行う、図6と同様の、例示的なシステムの概略図を示す。図7Bでは、セルの第1
のセット705aを横切って印加される電圧が変更されており、貯蔵された標的種790を負極710aから放出させて標的種を多く含むガスストリームを生成するように、セル705aを放電モードで作動させる。その間、セルの第2のセット705bに印加される電圧も変更されており、それによりセルの第2のセットは充電モードで作動する。処理ストリーム775の標的種790は負極710bに結合して処理されたストリーム785を生成する。
【0076】
本明細書に記載の電気化学セル、システム、および方法は、様々な用途で実施されてもよい。セルまたはセルのセットの数は、必要に応じて特定の用途の要件まで増減してもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、産業排煙から、ならびに気密建物、自動車室内などの密閉空間(通気のための流入する空気の暖房コストを減少させる)から、ならびにCOレベルの増加が大惨事となることがある潜水艦および宇宙カプセルから、COを除去するためのものであってもよい。電力産業に向けられた実施形態では、それらは様々な濃度の燃焼後二酸化炭素を捕捉するために使用されてもよい。また、それらは排煙からの二酸化硫黄および他のガスを捕捉するために使用されてもよい。石油およびガス産業に向けられた実施形態では、開示されるシステムおよび方法は、様々なプロセスから二酸化炭素および他のガスを捕捉しそれらを下流の圧縮および/または加工に転用するために使用されてもよい。開示されるシステムおよび方法は、温暖気候および寒冷気候において温室を加熱するのに使用される燃焼する天然ガスから二酸化炭素を捕捉し、次いで植物が光合成で使用するため、すなわち植物に供給するために、捕捉した二酸化炭素を温室に転用するために適用されてもよい。
【0077】
1つまたは複数の実施形態によれば、ガスストリーム、または処理ストリームは、特定の流量でガス分離システムへ導入されてもよい。一部の実施形態では、流量は1ml/分~100ml/分の間である。一部の実施形態では、流量は1ml/分~20ml/分の間である。システムの拡張性を考えれば、他の流量も可能である。
【0078】
1つまたは複数の実施形態によれば、導入されたガスストリーム中の標的種(例えば、CO)は特定の濃度を有していてもよい。一部の実施形態では、標的種濃度は10ppm~500ppmの間であってもよい。一部の実施形態では、濃度は0.5体積%~15体積%の間であってもよい。より高い濃度も可能である。
【0079】
一部の実施形態では、電気化学セルは、1回の充電モードおよび1回の放電モードの実行の時間である、特定のサイクル時間を有していてもよい。サイクル時間は60~3600秒の間、または300~1800秒の間であってもよい。他のサイクル時間も可能である。
【0080】
一部の実施形態では、負極の電気活性複合材層は標的種(例えば、CO)を吸収するための特定の能力を有していてもよい。例えば、一部の実施形態では、電気活性複合材層の吸収能は0.01~0.1mol毎mの間であってもよい。一部の実施形態では、電気活性複合材層の吸収能は0.01~0.03mol毎mの間であってもよい。他の吸収能も可能である。
【0081】
一部の実施形態では、電気化学セルは作動してもよく、負極の電気活性複合材層は標的種(例えば、CO)を特定の速度で吸収することができる。例えば、一部の実施形態では、電気活性複合材層の吸収能速度(absorption capacity rate)は0.0001~0.001mol毎m毎秒の間であってもよい。一部の実施形態では、電気活性複合材層の吸収能速度は0.0001~0.0005mol毎m毎秒の間であってもよい。他の吸収能速度も可能である。
【0082】
一部の実施形態では、負極の電気活性複合材層の、ガスストリームにさらされる特定の表面積は、例えば5~20cmの間であってもよい。他の値も可能である。
【0083】
一部の実施形態では、負極のガス透過層または正極の基材層は特定の多孔度を有していてもよく、例えば多孔度は60%~90%の間であってもよい。他の値も可能である。
【0084】
一部の実施形態によれば、電気化学セルおよびその構成要素は特定の厚さを有していてもよい。一部の実施形態では、電気化学セルの厚さは200μm~750μmの間であってもよい。一部の実施形態では、負極または正極の電気活性複合材層の厚さは10μm~200μmの間であってもよい。一部の実施形態では、負極または正極の厚さは50μm~200μmの間であってもよい。他の値も可能である。
【0085】
本明細書で使用する、「電気化学セル」という用語は、レドックス半反応が負極および正極で起きる装置を指す。セルの挙動がほぼ間違いなくファラデーよりも疑似容量性(pseudocapacitive)であると特徴づけることができ、そのため別の言い方で一種のコンデンサと呼ばれることがある場合であっても、「電気化学セル」という用語はこれらの基準を満たす装置を含むことを意図している。
【0086】
本明細書で使用する、電気活性種は一般に、電気化学セルにおいて電位にさらされると酸化または還元を受ける物質(例えば、化学成分)を指す。
【0087】
一部の実施形態では、多孔性材料を含む電極が利用される。多孔性電極は任意の適切な材料でできていてもよく、そして/または任意の適切な形状もしくはサイズを含んでいてもよい。非限定的な実施形態では、電極は多孔性炭素質材料を含む。炭素質材料という用語は当技術分野におけるその通常の意味において示され、導電性である炭素またはグラファイトを含む材料を指す。炭素質材料の非限定的な例としては、カーボンナノチューブ、炭素繊維(例えば、炭素ナノ繊維)、および/またはグラファイトが挙げられる。そのような実施形態では、電極が炭素質材料から部分的に作製されていてもよく、または炭素質材料が下層の材料の上に付着されていてもよい。下層の材料は一般に導電性材料、例えば、金属を含む。導電性材料の他の非限定的な例は本明細書に記載されている。
【0088】
一部の実施形態では、電極は多孔性である。電極の多孔度は、電極中の空隙空間の百分率または割合として測定することができる。電極のパーセント多孔度は、当業者に公知の技術を使用して、例えば体積/密度法、水飽和法、水分蒸発法、水銀圧入ポロシメトリー法、および窒素ガス吸着法を使用して測定してもよい。一部の実施形態では、電極は少なくとも約10%の多孔性、少なくとも約20%の多孔性、少なくとも約30%の多孔性、少なくとも約40%の多孔性、少なくとも約50%の多孔性、少なくとも約60%の多孔性、少なくとも約70%の多孔性、またはそれを超える多孔性であってもよい。細孔は開放気孔であってもよい(例えば、細孔の少なくとも一部が電極の外表面および/または別の細孔に対して開いている)。一部の事例では、電極の一部のみが実質的に多孔性であってもよい。例えば、一部の事例では、電極の1つの表面のみが実質的に多孔性であってもよい。別の例として、一部の事例では、電極の外表面は実質的に多孔性であってもよく、電極の内側コアは実質的に非多孔性であってもよい。特定の実施形態において、電極の全体が実質的に多孔性である。
【0089】
システムの様々な構成要素、例えば電極、電源、電解質、セパレーター、容器、電気回路、絶縁材料などは、様々な構成要素のいずれか、ならびに本明細書に記載される特許出願のいずれかに記載されるものから、当業者が作製することができる。構成要素はグリーン体または焼成体の状態で、成型、機械加工、押出し成形、プレス加工、アイソプレス加工(isopress)、浸透、被覆されてもよく、または任意の他の適切な技術によって形成さ
れてもよい。当業者は本明細書におけるシステムの構成要素を形成するための技術を容易に認識している。
【0090】
電極は任意のサイズまたは形状であってもよい。形状の非限定的な例としては、シート、立方体、円柱、中空管、球などが挙げられる。電極は任意のサイズであってもよい。さらに、電極は、電極を別の電極、電源、および/または別の電気デバイスへ接続するための手段を含んでいてもよい。
【0091】
システムの様々な電気構成要素は、接続の手段によって少なくとも1つの他の電気構成要素と電気的に連通していてもよい。接続の手段は、第1の構成要素と第2の構成要素との間に電気の流れが生じることを可能にする任意の材料であってもよい。2つの電気構成要素を接続する手段の非限定的な例は、導電性材料(例えば、銅、銀など)を含む配線である。一部の事例では、システムは2つまたはそれより多い構成要素(例えば、配線および電極)の間の電気コネクターも含んでいてもよい。一部の事例では、配線、電気コネクター、または接続のための他の手段は、材料の抵抗が低くなるように選択することができる。一部の事例では、抵抗は電極、電解質、および/またはシステムの他の構成要素の抵抗よりも実質的に低い場合がある。
【0092】
一部の実施形態では、電源はDC電圧をシステムに供給できる。非限定的な例としては、バッテリー、電力網、再生電力供給装置(regenerative power supply)(例えば、
風力発電機、太陽電池、潮力発電機)、発電機などが挙げられる。電源は、1つまたは複数のそのような電力供給装置(例えば、バッテリーおよび太陽電池)を含んでいてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、システムはセパレーターを含んでいてもよく、別の言い方では分離膜と呼ばれる。分離膜は適切な材料、例えばプラスチックフィルムでできていてもよい。含まれるプラスチックフィルムの非限定的な例としては、ポリアミド、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、またはアクリル樹脂が挙げられ、炭酸リチウム、または水酸化カリウム、または過酸化ナトリウム-カリウムが内部に分散して含有されている。
【0094】
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を例証することを意図しているが、本発明の範囲の全体の例となるわけではない。
【実施例0095】
(実施例1)
この実施例は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、電気化学セルの負極において電気活性材料として機能することができるポリ(1,4-アントラキノン(anthraquione))(P14AQ)を合成するための非限定的な手順を記載している。20mlジメチルホルムアミド(DMF)中の1.510g(5.45mmol)のジクロロ-1,4-アントラキノンの溶液を、50ml DMF中の2.000g(7.27mmol)のビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)、1.134g(7.27mmol)の2,2’-ビピリジル、および0.7ml(5.45mmol)の1,5-シクロオクタジエンの溶液へ、窒素下で65℃で撹拌しながら、滴下添加した。混合物を65℃で72時間反応させた。室温まで冷却した後、100mlの1M塩酸(HCl)を反応混合物へ加え、室温で1時間撹拌した。次いで混合物をろ過し、200mlの1M HCl、200mlの脱イオン水で2回、100mlのDMFで2回、続いて100mlの水および100mlのメタノールで洗浄した。残渣を24時間真空乾燥させた。この手順により1.084gのポリマーを得た(収率96%)。
【0096】
(実施例2)
この実施例は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、電気化学セルの主要電気活性複合材層として機能することができる、ポリ(1,4-アントラキノン)(P14AQ)を含むポリマー-多層カーボンナノチューブ(MWCNT)複合材を合成するための非限定的な手順を記載している。複合材は、40mlのクロロホルム中の40mgのP14AQ(実施例1に記載されるプロセスに従って作られる)および120mgのMWCNTの懸濁液を15℃で40分超音波処理し、十分に分散したインクを得ることにより、作製された。P14AQのCNTに対する比を最適化し、重量比で1対3のP14AQ対CNTにおいて、活性材料(ポリマー)の質量当たりで最も高い電流を得た。電解質にさらされるポリマーの表面積がより高く、CNTがπ-π相互作用による導電性の大部分をもたらし、電解質が浸透するためのポリマー鎖によって装飾された多孔性マトリックスを作り出すことに起因して、得られた複合材は、純粋なP14AQと比較して30倍を超える電流の改善を示した。N下のP14AQの2つの還元電位はAg|AgNO参照電極を基準として
【数1】
および
【数2】
であり、これは第1の還元電位
【数3】
においてCO下で1つの準可逆レドックス対となる。
【0097】
(実施例3)
この実施例は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、電気化学セルの補助的電気活性複合材層として機能することができる、ポリビニルフェロセン(PVF)を含むポリマー-多層カーボンナノチューブ(MWCNT)複合材を合成するための非限定的な手順を記載している。PVF-CNT複合材は、40mlのクロロホルム中の160mgのPVF(Polysciencens,Inc.より購入)および160mgのMWCNTの懸濁液を15℃で60分超音波処理し、十分に分散したインクを得ることにより、作製された。これにより、CO下で約1.2Vの電気化学窓、すなわちPVFの還元電位(Ag|AgNOに対して0.05V)およびP14AQの第1の還元電位(Ag|AgNOに対して-1.15V)が得られた。複合材の最適な比はPVF対CNTが重量で1対1であることが分かった。負極および正極で使用するための電気活性層複合材料の容量は、重量電荷キャリブレーション(gravimetric charge calibration)によってバランスがとられ、manode=1.12mcathodeであることが分かった。
【0098】
(実施例4)
この実施例は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、電気化学セルの電極を合成するための非限定的な手順を記載している。
【0099】
電極を形成するために、負極のガス透過層または正極の基材層として機能することができる、テフロン(登録商標)処理されたTorayカーボン紙、未処理カーボン紙、炭素布(ElectroChem Inc.より購入)、不織炭素マット(Marktek,Inc.より購入)などの基材材料を、ポリマー-CNTインク(実施例2または実施例
3に記載されるプロセスに従って作製された)中で複数回ディップコートして一定の質量の複合材を付着させた。あるいは、インクを電極基材(Teflon(登録商標)処理されたの基材)上に滴下流延させた。
【0100】
(実施例5)
この実施形態は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、電気化学セルを作製するための非限定的な手順を記載している。電気化学セルは、P14AQ-CNTで被覆された電極基材、電解質セパレーター、PVF-CNTで被覆された電極基材、電解質セパレーター、P14AQ-CNTで被覆された電極基材を積み重ねることにより組み立てられた。電解質セパレーターは、イオン性液体電解質1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(BmimBF)で飽和されたWhatmanセルロースろ紙、またはイオン性液体電解質で飽和されたCelgard 3501のいずれかとした。銅配線および導電性銅テープを集電体として使用した。
【0101】
(実施例6)
この実施例は、上記の実施例で記載される方法に従って形成された電気化学セルの作動の成功を実証している。電気化学セルは、大気圧のCOで飽和された密閉チャンバーにおけるクロノアンペロメトリー(chronoamperometric)(一定の電位差)実験によって試験を行い、COの捕捉および放出に起因する圧力変化をモニタリングした。P14AQ-CNTの還元は、PVFアノードを基準として、セルを横切って
【数4】
の電位差を加えることおよび
【数5】
での酸化により実現され、これは、COのアントラキノン単位への還元的付加の準可逆性を考えると、反応を逆に進ませる高い過電圧であった。
【0102】
セルを充電すると(負電荷)、還元されたキノンがCOと反応しセル中の全体の圧力を低下させ、一方放電すると(正電荷)、アントラキノン-CO錯体はカルボネート部分の共有結合が壊れることにより解離し、CO分子、ならびにアントラキノン単位が再生成され、チャンバー中の元の圧力に戻る。ファラデー効率(faradaic efficiency)を捕捉されたCOのモル数および加えられた電荷から計算した:
【数6】
密閉チャンバーの内部体積が60cmであることを前提とすると、これは72%(最高値)であることが分かった。また、捕捉されたモル当たりのエネルギーを電荷および電位差から計算した:
E=QV
一部の実施形態によれば、最適な作動条件下で、エネルギーは捕捉されたCOのモル当たり30~70kJの間である。
【0103】
電気化学セルに接続された電力フィードスルー(power feed-through)に電位差を加
え、捕捉および放出の際のチャンバー内の圧力の増減をそれぞれ、圧力変換器を使用してモニタリングした。捕捉および放出の際のチャンバー内の圧力の増減をそれぞれ、圧力変換器を使用してモニタリングした。図8Aは、異なる濃度のCOの閉鎖システムにおけ
る、電気化学セルの3回の充電および放電のサイクルを示す。図8Bは、セルの充電および放電から生じる異なる濃度のCOの捕捉および放出に起因する、得られた圧力の変動を示す。図8Cは、100%CO閉鎖システムにおける圧力変動に重ね合わせた、電気化学的充電および放電を示す。閉鎖システムにおける圧力の変化によって示されるCOの吸収および放出は、電気化学セルがその意図した使用のために作動することを実証している。
【0104】
(実施例7)
この実施例は、フロースルーシステムにおける作動の成功を実証する。密閉システム(実施例6)で行われたクロノアンペロメトリー実験がフローシステムで繰り返され、ここでは組み立てた電気化学セルのスタックがフローチャンバー中に置かれ、COが様々な濃度であるNおよびCOのガス混合物がスタックを通過して流れた。
【0105】
2つの負極(PAQ-CNT)および1つの正極(PVF-CNT)を使用して電気化学セルを組み立てた。ガスにさらされる各電気化学セルの表面積は45cmであり、ガスにさらされるすべてのスタックの総面積は450cmであった。PAQ-CNT電極は活性材料の全装填量が500mgであった(375mgのCNTおよび125mgのPAQ)。PVF-CNT電極の全装填量は600mgであった(300mgのPVFおよび300mgのCNT)。2mmの間隔で隔てられたこれらのセルのスタックをガス流チャンバー(実験装置)中に置き、ガスをそれらに通して流した。10ml/分および3種類のCOの入口濃度において、窒素および二酸化炭素の混合物を調べた。システムの床容量(bed volume)は270cmであった。
【0106】
PAQ-CNT電極の還元の際、すなわち充電モードでのセルの作動の際、COは入口ストリーム(すなわち、ガス処理ストリーム)から除去(捕捉)され、COの濃度の減少が出口流で検出された。約30床容量のガス混合物を処理し床を飽和させ、その後COを放出させた。酸化の際、すなわち放電モードでのセルの作動の際、COが同じストリームの中に放出され、図9に示される、COの濃度の増加が出口ストリームで検出された。捕捉の間の濃度の総減少量の和は、放出の間の濃度の総増加量の和と等しく、これは24mlのCOであった。図10図9の曲線の捕捉部分の破過(breakthrough)プロファイルを示し、入口濃度が増加すると、より少ない数の床容量で破過に到達する。用途に基づいて、しきい値出口濃度を設定することができ、これに到達すると、酸化電位を印可することによりセルのスタックが再生される。実際には、いくつかのこれらのスタックが並行して作動し、ここでは1つまたは複数のスタックがCOを多く含むストリームからCOを捕捉してCOの少ないストリームを生成させており、他のスタックはCOをパージまたはスイープストリーム中に放出することにより再生されている。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書において説明および例証されているが、当業者は、機能を実行するためおよび/または本明細書に記載の結果および/または利点の1つもしくは複数を得るための、様々な他の手段、ならびに/または構造を容易に想定することになり、そのような変形物および/または修正物の各々は本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメーター、寸法、材料、および構成が例示的であることを意図していること、ならびに実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の用途(1つまたは複数)に応じて決まることを、容易に認識することになる。当業者は、単なるルーチンの実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識する、または確認することが可能となる。したがって、前述の実施形態が単に例として示されること、および、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明が具体的に説明および記載される以外の方法で実施されてもよいことを、理解するべきである。本発明は、本明細書に記載の各々の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/
または方法に向けられている。さらに、2つまたはそれより多いそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0108】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用される、不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に別段の記載がされない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解するべきである。
【0109】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用される、「および/または」という表現は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、一部の事例では接続的に存在し他の事例では離接的に存在する要素を意味すると理解するべきである。明確に別段の記載がされない限り、具体的に特定される要素と関連するか無関係であるかにはかかわらず、「および/または」の項目によって具体的に特定される要素以外の、他の要素が必要に応じて存在していてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という言及は、「含む(comprising)」などの制約のない言語と併用される場合に、一実施形態ではBを含まずにAを指すことがあり(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態ではAを含まずにBを指すことがあり(必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態ではAおよびBの両方を指すことがある(必要に応じて他の要素を含む)などである。
【0110】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用される、「または」は、上記で定義される「および/または」と同じ意味を有すると理解するべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的であるとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、いくつかの要素または要素のリストのうち1つを超える要素も含み、必要に応じてさらなる記載されない項目を含むとして解釈されることになる。明確に別段の記載がされる用語のみ、例えば「1つのみの」もしくは「ちょうど1つの」などは、または、特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」は、いくつかの要素または要素のリストのうちのちょうど1つを含むことを指すことになる。一般に、本明細書において使用される「または」という用語は、排他性の用語、例えば「いずれか」「1つの」「1つのみの」、または「ちょうど1つの」などが先行する場合、排他的な選択肢を示すもの(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)としてのみ解釈されることになる。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有することになる。
【0111】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用される、1つまたは複数の要素のリストに関連した「少なくとも1つの」という表現は、要素のリスト中の要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に記載される各々のおよびすべての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリスト中の要素の任意の組合せを除外しないことを理解するべきである。この定義は、具体的に特定される要素と関連するか無関連であるかにはかかわらず、「少なくとも1つの」という表現が指す、要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が必要に応じて存在してもよいことも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同様に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同様に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)とは、一実施形態では、必要に応じて1つを超えるAを含めた、少なくとも1つのAを指し、Bは存在しない(および必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態では、必要に応じて1つを超えるBを含めた、少なくとも1つのBを指し、Aは存在しない(および必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、必要に応じて1つを超えるAを含めた、少なくとも1つのA、必要に応じて1つを超えるBを含めた、少なくとも1つのBを指す(および必要に応じて他の要
素を含む);などである。
【0112】
特許請求の範囲において、ならびに上記の本明細書において、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carring)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」などは、制約がない、すなわち、含むが限定はされないと理解するべきである。「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、2111.03章にそれぞれ示されるように、限定的
または半限定的となる。
【0113】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
各々がガス透過層および主要電気活性複合材層を含む、第1の負極および第2の負極と;
前記第1の負極と第2の負極との間に位置し、前記第1の負極に面する第1の補助的電気活性複合材層および前記第2の負極に面する第2の補助的電気活性複合材層を含む、正極と;
前記第1の負極と前記正極との間に位置する第1のセパレーターと;
前記第2の負極と前記正極との間に位置する第2のセパレーターと
を含む、電気化学セルであって、前記第1および第2のセパレーターの各々がイオン性液体で飽和されることが可能である、電気化学セル。
(項目2)
前記主要電気活性複合材層が、第1の電気活性種が還元された状態にある場合に二酸化炭素ガスと結合しそして第1の電気活性種が酸化された状態にある場合に二酸化炭素ガスを放出することが可能である、第1の電気活性種を含む、項目1に記載の電気化学セル。(項目3)
前記主要電気活性複合材層が、還元された状態で10~10-1の二酸化炭素との結合定数を有する第1の電気活性種を含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目4)
前記主要電気活性複合材層が、ポリアントラキノンを含む第1の電気活性種を含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目5)
前記補助的電気活性複合材層が、ポリビニルフェロセンを含む第2の電気活性種を含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目6)
前記主要電気活性複合材層が、第1の電気活性種のおよび第1の炭素質材料の第1の固定化ポリマー複合材を含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目7)
前記第1の炭素質材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびカーボンブラックからなる群から選択される、項目6に記載の電気化学セル。
(項目8)
前記補助的電気活性複合材層が、第2の電気活性種のおよび第2の炭素質材料の第2の固定化ポリマー複合材を含む、項目6に記載の電気化学セル。
(項目9)
前記第2の炭素質材料が、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびカーボンブラックからなる群から選択される、項目8に記載の電気化学セル。
(項目10)
前記正極が、前記第1の補助的電気活性複合材層と第2の補助的電気活性複合材層との間に位置する基材層をさらに含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目11)
前記基材層が、カーボン紙、炭素布、および不織炭素マットからなる群から選択される材料を含む、項目10に記載の電気化学セル。
(項目12)
前記第1および第2のセパレーターの各々が、セルロース膜、ポリマー材料、またはポリマー-セラミック複合材料のうちの1つを含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目13)
前記第1および第2のセパレーターの各々が、室温イオン性液体で飽和されている、項目1に記載の電気化学セル。
(項目14)
室温イオン性液体がBmim BFを含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目15)
前記ガス透過層が、カーボン紙、炭素布、および不織炭素マットからなる群から選択される材料を含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目16)
前記ガス透過層が70%~90%の多孔度を有する、項目1に記載の電気化学セル。
(項目17)
前記第1および第2の負極ならびに前記正極に電位差を加えるように構成された電源に、前記第1および第2の負極ならびに前記正極を接続する外部回路をさらに含む、項目1に記載の電気化学セル。
(項目18)
ガス入口およびガス出口と流体連通している複数の電気化学セルを含む、ガス分離システムであって、前記複数の電気化学セルの各々が、
各々が第1の電気活性種を含む、第1の多孔性負極および第2の多孔性負極と;
第2の電気活性種を含む正極と;
前記第1の多孔性負極と前記正極との間に位置する第1のセパレーターと;
前記第2の多孔性負極と前記正極との間に位置する第2のセパレーターと
を含み、前記第1および第2のセパレーターの各々がイオン性液体で飽和されることが可能である、ガス分離システム。
(項目19)
前記第1の電気活性種が第1のポリマー複合材中に固定化されている、項目18に記載のガス分離システム。
(項目20)
前記第2の電気活性種が第2のポリマー複合材中に固定化されている、項目19に記載のガス分離システム。
(項目21)
前記第1の電気活性種がポリアントラキノンを含む、項目18に記載のガス分離システム。
(項目22)
前記第2の電気活性種がポリビニルフェロセンを含む、項目21に記載のガス分離システム。
(項目23)
前記第1および第2のセパレーターの各々が室温イオン性液体で飽和されている、項目18に記載のガス分離システム。
(項目24)
前記室温イオン性液体がBmim BFを含む、項目23に記載のガス分離システム。
(項目25)
前記第1および第2の多孔性負極の各々が70%~90%の間の多孔度を有する、項目18に記載のガス分離システム。
(項目26)
各電気化学セルの前記第1および第2の負極および前記正極を横切る電位差を加えるように構成された電源に、各電気化学セルの前記第1および第2の多孔性負極ならびに前記正極を接続する外部回路をさらに含む、項目18に記載のガス分離システム。
(項目27)
電気化学セルを横切って第1の電位差を加えるステップであって、前記電気化学セルが、
第1の電気活性種を含む少なくとも1つの多孔性負極と;
第2の電気活性種を含む正極と;
導電性液体で飽和され、前記少なくとも1つの多孔性負極と前記正極との間に位置するセパレーターと;
を含む、ステップと、
前記電気化学セルに標的種を含むガスストリームを導入して、前記標的種を前記第1の電気活性種に結合させ、処理されたガスストリームを生成するステップと
を含む、ガスストリームを処理する方法。
(項目28)
前記標的種がCOを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記第1の電位差が0.5V~2.0Vの間である、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記電気化学セルを横切って第2の電位差を加えて、前記標的種を前記第1の電気活性種から放出させ、標的種を多く含むガスストリームを生成するステップをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記第2の電位差が-0.5V~-2.0Vの間である、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記第1の電気活性種がポリアントラキノンを含む、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記第2の電気活性種がポリビニルフェロセンを含む、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記導電性液体が室温イオン性液体を含む、項目27に記載の方法。
(項目35)
前記室温イオン性液体がBmim BFを含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
電気化学セルの第1のセットおよび電気化学セルの第2のセットを含むガス分離システムを作動させる方法であって、
前記ガス分離システムに標的種を含むガスストリームを導入するステップと;
電気化学セルの前記第1のセットを充電モードで作動させて、前記標的種を電気化学セルの前記第1のセットの第1の電気活性種に結合させ、処理されたガスストリームを生成するステップと;
同時に電気化学セルの前記第2のセットを放電モードで作動させて、前記標的種を電気化学セルの前記第2のセットの前記第1の電気活性種から放出させ、標的種を多く含むガスストリームを生成するステップと;
を含み、電気化学セルの前記第1および第2のセットの各電気化学セルが、
第1の電気活性種を含む少なくとも1つの多孔性負極と;
第2の電気活性種を含む正極と;
イオン性液体で飽和され、前記少なくとも1つの多孔性負極と前記正極との間に位置するセパレーターと;
を含む、方法。
(項目37)
前記標的種がCOを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
電気化学セルの前記第1のセットを充電モードで作動させるステップが、前記第1のセットの各電気化学セルを横切って0.0V~2.0Vの第1の電位差を加えることを含む、項目36に記載の方法。
(項目39)
電気化学セルの前記第2のセットを放電モードで作動させるステップが、第2のセットの各電気化学セルを横切って0.0V~-2.0Vの第2の電位差を加えることを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記第1の電位差を逆転させて、電気化学セルの前記第1のセットを放電モードで作動させるステップをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記第2の電位差を逆転させて、電気化学セルの前記第2のセットを充電モードで作動させるステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記第1の電気活性種がポリアントラキノンを含む、項目36に記載の方法。
(項目43)
前記第2の電気活性種がポリビニルフェロセンを含む、項目36に記載の方法。
(項目44)
前記導電性液体が室温イオン性液体を含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
前記室温イオン性液体がBmim BFを含む、項目44に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10