(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036404
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】配車サーバー、配車システム、配車方法、及び配車プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240308BHJP
G06Q 50/47 20240101ALI20240308BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/47
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009539
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2020096438の分割
【原出願日】2020-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】華井 玲奈
(57)【要約】
【課題】ドライバーの都合や配車された車両の状態異常に応じた配車のキャンセル時にユーザーの負担を軽減しながら再配車を行うことが可能な配車サーバーを提供する。
【解決手段】ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けてユーザーに車両5を割り当てる配車を行う配車実行部25と、ユーザーに配車された車両5のドライバーの所定行為に基づいて配車のキャンセルを受け付けるキャンセル受付部27とを備え、配車実行部25は、配車のキャンセルの受付けに応じ、配車依頼に基づいてユーザーに他の車両5を割り当てる再配車を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車対象の車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいてユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出部と、
前記配車可能な車両に配車伺いを送信する配車伺い送信部と、
前記ユーザーに配車された車両のドライバーの所定行為又は該車両の状態異常に基づいて前記配車のキャンセルを受け付けるキャンセル受付部とを備え、
前記配車伺い送信部は、前記配車のキャンセルに応じた配車伺いを、前記ユーザーに最も近い配車可能な車両にのみ送信する、
配車サーバー。
【請求項2】
配車対象の車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいてユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出部と、
前記配車可能な車両に配車伺いを送信する配車伺い送信部と、
前記ユーザーに配車された車両のドライバーの所定行為又は該車両の状態異常に基づいて前記配車のキャンセルを受け付けるキャンセル受付部とを備え、
前記配車伺い送信部は、前記配車のキャンセルに応じた配車伺いを、前記ユーザーに対して相対的に近いグループの車両に一斉に送信する、
配車サーバー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の配車サーバーであって、
前記ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けて前記ユーザーに車両を割り当てる配車を行う配車実行部を備え、
前記配車実行部は、前記配車のキャンセルの受付けに応じ、前記配車依頼に基づいて前記ユーザーに他の車両を割り当てる再配車を行う、
配車サーバー。
【請求項4】
請求項3記載の配車サーバーであって、
前記配車実行部は、前記送信された配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに割り当てる、
配車サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両の配車を行う配車サーバー、配車システム、配車方法、及び配車プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザーが携帯端末から配車依頼を行い、この配車依頼に応じて配車サーバーがユーザーに車両を割り当てる配車を行う配車システムが知られている。
【0003】
このような配車システムとしては、例えば特許文献1のように再配車が可能なものがある。すなわち、特許文献1の配車システムでは、ユーザーが配車された車両に乗車した後、ユーザーの要求に応じて別の車両を再配車することができるようになっている。
【0004】
しかし、かかる配車システムでは、ユーザーの都合に応じて再配車ができるが、有人車両のドライバーの都合や配車された車両の事故や故障等の状態異常に基づいて配車がキャンセルされた場合に再配車を行うことはできなかった。
【0005】
従って、ドライバーの都合や配車された車両の状態異常に基づく配車のキャンセル時には、ユーザーが配車依頼を改めて行う必要があり、ユーザーにとって負担となっていた。
【0006】
このような問題は、人の輸送のための車両だけではなく物の輸送のための車両においても発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、ドライバーの都合や配車された車両の状態異常に基づく配車のキャンセル時にユーザーの負担を軽減しながら再配車を行うことができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、配車対象の車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部と、前記車両の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいてユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出部と、前記配車可能な車両に配車伺いを送信する配車伺い送信部と、前記ユーザーに配車された車両のドライバーの所定行為又は該車両の状態異常に基づいて前記配車のキャンセルを受け付けるキャンセル受付部とを備え、前記配車伺い送信部は、前記配車のキャンセルに応じた配車伺いを、前記ユーザーに最も近い配車可能な車両にのみ送信する配車サーバーを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドライバーの都合や配車された車両の状態異常に基づく配車のキャンセル時に、ユーザーの負担を軽減しながら配車のキャンセルに応じて再配車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係る配車システムを示す概略図である。
【
図2】
図1の配車システムに用いられる配車サーバーを示すブロック図である。
【
図3】
図1の配車システムに用いられる車両の車載端末装置を示すブロック図である。
【
図4】実施例1の配車システムによる配車処理を示すフローチャートである。
【
図5】実施例1の配車システムによる再配車処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例2に係る配車システムに用いられる配車サーバーのブロック図である。
【
図7】本発明の実施例3の配車処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ドライバーの都合や配車された車両の状態異常に基づく配車のキャンセル時にユーザーの負担を軽減しながら再配車を行うことを可能にするという目的を、ユーザーに配車された車両のドライバーの所定行為又は車両の状態異常に基づく配車のキャンセルに応じ、元の配車依頼に基づいてユーザーに他の車両を割り当てる再配車を行うことにより実現した。
【0013】
具体的には、配車サーバー3が、配車実行部25と、キャンセル受付部27とを備える。配車実行部25は、ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けて、ユーザーに車両5を割り当てる配車を行う。キャンセル受付部27は、ユーザーに配車された車両5のドライバーの所定行為又はその車両5の状態異常に基づいて、配車のキャンセルを受け付ける。なお、配車のキャンセルは、ユーザー側からも行うことができるが、特に説明がない限り、以下において車両5のドライバーの所定行為又はその車両5の状態異常に基づく配車のキャンセルを意味する。配車実行部25は、配車のキャンセルの受付けに応じ、配車依頼に基づいてユーザーに他の車両5を割り当てる再配車を行う。
【0014】
配車サーバー3は、配車伺い送信部23を備えてもよい。配車伺い送信部23は、ユーザーからの配車依頼又は配車のキャンセルに応じ、配車可能な車両5に対して配車伺いを送信する。この場合、配車実行部25は、送信された配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる。
【0015】
また、配車サーバー3は、実行指示受付部29を備えてもよい。実行指示受付部29は、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合に、配車のキャンセルをユーザーに通知して配車依頼に基づく再配車の実行指示を受け付ける。
【0016】
この場合において、配車伺い送信部23は、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間以内の場合に配車のキャンセルの受付けに応じて配車伺いを送信し、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合に再配車の実行指示を待って配車伺いを送信する。
【0017】
一方、実行指示受付部29は、所定時間を超えるか否かに拘わらず、配車のキャンセルに応じて、その配車のキャンセルをユーザーに通知し、配車依頼に基づく再配車の実行指示を受け付ける構成としてもよい。
【0018】
また、配車サーバー3は、車両情報取得部19と、車両抽出部21とを備えてもよい。車両情報取得部19は、配車対象の車両5から位置情報及び稼働情報を取得する。車両抽出部21は、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する。
【0019】
配車伺い送信部23は、配車のキャンセルに応じた配車伺いを、ユーザーに最も近い配車可能な車両にのみ送信してもよい。最も近い配車可能な車両は、距離的又は時間的に最も近い配車可能な車両であればよい。
【0020】
配車サーバー3は、配車のキャンセル及び再配車中である旨をユーザーに通知する経過通知部47を備えてもよい。
【0021】
また、配車サーバー3は、再配車が完了又は失敗して終了したときに、その再配車の完了又は失敗をユーザーに通知する終了時通知部31を備えてもよい。この場合、配車サーバー3は、経過通知部47を省略し、再配車が完了又は失敗時にのみ終了時通知部31によってユーザーへの通知を行う構成としてもよい。
【0022】
上記配車サーバー3を備える配車システム1は、配車対象の車両5にそれぞれ搭載された車載端末装置33を備える。車載端末装置33は、少なくともキャンセル送信部45を備える。キャンセル送信部45は、車両5のドライバーの所定行為又はその車両5の状態異常を検出すると、この車両5のドライバーの所定行為又はその車両5の状態異常に基づく配車のキャンセルを配車サーバー3に送信可能とする。
【0023】
配車サーバー3を用いた配車方法は、配車サーバー3が各部の機能を発揮することで実現され、ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けてユーザーに車両5を割り当てる配車を行い、ユーザーに配車された車両5のドライバーの所定行為又は該車両の状態異常に基づいて配車のキャンセルを受け付け、配車のキャンセルの受付けに応じ、配車依頼に基づいてユーザーに他の車両5を割り当てる再配車を行う。
【0024】
配車サーバー3に適用される配車プログラムは、配車実行部25に対応する配車実行機能と、キャンセル受付部27に対応するキャンセル受付機能とを配車サーバー3に実現させる。
【実施例0025】
[配車システム]
図1は、本発明の実施例1に係る配車システムの概略構成を示す概略図である。
【0026】
本実施例の配車システム1は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を、配車サーバー3が受け付けてユーザーに配車を行うものである。この配車システム1は、配車サーバー3と車両5とをネットワーク7により通信可能に接続して構成されている。
【0027】
なお、
図1では、理解容易のためにユーザーのユーザー端末装置9及び車両5をそれぞれ1台のみ示しているが、実際は、複数台のユーザー端末装置9及び車両5が配車システム1内に存在している。また、本実施例の車両5は、乗客を輸送するタクシーである。
【0028】
配車は、ユーザーに配車可能な車両5を割り当て、割り当てた車両5を配車依頼で指定された位置情報に応じた場所に向かわせることをいう。本実施例において、配車依頼は、ユーザーが所持するユーザー端末装置9上でユーザーズアプリケーションプログラム(以下、「アプリケーションプログラム」は「アプリ」と称する。)を実行することによって行われる。
【0029】
なお、配車可能な車両5は、乗客を乗せていない空車状態のものをいう。空車状態には、所定時間以内、例えば数分以内に空車状態になる見込みの車両5も含むようにすることも可能である。
【0030】
ユーザー端末装置9は、多機能携帯電話やタブレットコンピュータ等のネットワーク7を介して通信可能な情報処理装置(コンピューター)によって構成されている。配車依頼を行うときは、ユーザー端末装置9のユーザーインターフェース11上で少なくともユーザーの位置情報を入力させる。なお、ユーザーインターフェース11は、例えばタッチパネル式のディスプレイである。
【0031】
配車依頼の位置情報の入力は、GPS(Global Positioning System)等の測位技術や地図データ等を利用して行えばよい。ただし、位置情報の入力は、住所や座標をテキストによって指定することで行うことも可能である。
【0032】
入力される位置情報は、ユーザーが乗車を希望する場所の位置情報である。こうして入力された位置情報を含めた配車依頼を、配車依頼データとしてユーザー端末装置9から配車サーバー3に送信する。本実施例において、送信される配車依頼には、位置情報に加え、配車依頼の識別情報である配車依頼ID、ユーザーの氏名、及び電話番号等のユーザー識別情報が含まれる。
【0033】
なお、配車依頼は、電話等によって行うことも可能である。この場合、ユーザーが電話等により配車サーバー3の管理会社にユーザーの位置情報やユーザー識別情報等を連絡し、管理会社の作業者が配車サーバー3に対して連絡を受けた情報に基づいて配車依頼として入力すればよい。
【0034】
【0035】
配車サーバー3は、情報処理装置(コンピューター)によって構成されており、通信インターフェース13と、制御部15と、記憶部17とを備えている。
【0036】
通信インターフェース13は、ユーザー端末装置9や車両5を含む外部装置に対するデータの送受信を行うための通信デバイスである。
【0037】
制御部15は、配車サーバー3の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーであり、記憶部17は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリーデバイスである。
【0038】
本実施例の制御部15は、記憶部17内の配車プログラムを実行することにより、車両情報取得部19と、車両抽出部21と、配車伺い送信部23と、配車実行部25と、キャンセル受付部27と、実行指示受付部29と、終了時通知部31として動作する。
【0039】
これにより、配車サーバー3は、車両情報取得部19と、車両抽出部21と、配車伺い送信部23と、配車実行部25と、キャンセル受付部27と、実行指示受付部29と、終了時通知部31とを備える構成となっている。なお、これら制御部15の動作による各部は、単一のプロセッサーだけでなく、それぞれ或いはいくつかをまとめて異なるプロセッサーによって構成してもよい。
【0040】
車両情報取得部19は、車両情報取得機能を実現し、配車対象の車両5から位置情報及び稼働情報を取得する。具体的には、配車対象の車両5から随時送信される位置情報及び稼働情報を車両情報取得部19が受信により取得する。配車対象の車両5とは、位置情報及び稼働情報を配車サーバー3に送信し、配車の対象となり得る車両5をいう。取得した位置情報及び稼働情報は、記憶部17内に保持される。
【0041】
車両抽出部21は、車両抽出機能を実現し、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する。
【0042】
具体的には、車両抽出部21は、車両5からユーザーまでの移動時間を予測し、その予測した移動時間が所定範囲内である車両5を配車可能な車両5として抽出する。移動時間の予測は公知の手法で行うことが可能である。所定範囲は、任意に設定することが可能である。ただし、配車依頼時にユーザーが指定した時間としてもよい。
【0043】
配車伺い送信部23は、配車伺い送信機能を実現し、ユーザーからの配車依頼又は後述する配車のキャンセルに応じ、配車可能な複数の車両5に対して配車伺いを一斉に送信する。ただし、配車伺いは、ユーザーに近い車両5から順に一台ずつ送信してもよい。また、配車伺いは、配車可能な車両5をユーザーからの距離に応じて相対的に近いグループと遠いグループとに分類し、相対的に近いグループの車両5から順に一斉送信してもよい。
【0044】
配車伺いは、ユーザーから受け付けた配車依頼に対応した内容を示すデータである。この配車伺いは、配車依頼IDやユーザーの位置情報等を含み、配車依頼に応じて作成したもの、又は配車依頼に必要な情報を付加して作成したものの何れであってもよい。また、配車伺いとしては、配車依頼をそのまま送信してもよい。
【0045】
配車のキャンセル後(再配車の際)には、ユーザーから最も近い車両5にのみ配車のキャンセルに応じた配車伺いを送信する。ただし、この配車依頼は、ユーザーに対して相対的に近いグループの車両5に一斉に送信してもよい。
【0046】
かかるキャンセル後の配車伺いの送信において、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間以内の場合には、ユーザーからの入力は待たずに、配車のキャンセルの受付けに応じて直ちに配車伺いを送信する。配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合には、後述する再配車の実行指示を待って配車伺いを送信する。なお、配車から配車のキャンセルまでの経過時間は、配車時にタイマーを起動して計測すればよい。
【0047】
配車から配車のキャンセルまでの経過時間に対する所定時間は、任意に設定することができる。ただし、所定時間は、再配車を行ってもユーザーに長時間の待ち時間を与えない程度に設定されるのが好ましい。また、所定時間は、ユーザーが配車依頼時に配車可能な車両5の所定範囲として時間(待ち時間)を指定した場合、その時間との関係所定時間を変動させてもよい。
【0048】
配車実行部25は、配車実行機能を実現し、ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けて、ユーザーに車両5を割り当てる配車を行う。本実施例の配車実行部25は、配車伺い送信部23で送信された配車伺いに対する受諾を車両5から受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる。受諾は、車両5から送信される受諾したか否かの情報により受け付けらえる。
【0049】
また、配車実行部25は、後述する配車のキャンセルの受付けに応じ、配車依頼に基づいてユーザーに他の車両5を割り当てる再配車を行う。本実施例の再配車は、配車と同様、配車のキャンセルに応じて送信された配車伺いに対する受諾を車両5から受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる。
【0050】
なお、配車実行部25は、配車伺い送信部23を省略し、車両5からの受諾を待たずに配車可能な車両5をユーザーに配車してもよい。
【0051】
キャンセル受付部27は、キャンセル受付機能を実現し、配車された車両5のドライバーの所定行為に基づいて配車のキャンセルを受け付ける。具体的には、配車のキャンセルは、車両5から送信された所定行為に基づくキャンセル情報をキャンセル受付部27が受信することで受け付けられる。
【0052】
本実施例の所定行為は、車両5においてドライバーが行うキャンセル操作をいう。ただし、所定行為には、ドライバーの体調変化の兆候等のようにドライバーの意図しない行為を含めることも可能である。
【0053】
実行指示受付部29は、実行指示受付機能を実現し、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合に、配車のキャンセルをユーザーに通知して配車依頼に基づく再配車の実行指示を受け付ける。所定時間は、上述したとおりである。
【0054】
ユーザーに実行指示を入力させる際は、既に行った配車依頼と同一内容の再配車依頼を行うか否かのみを入力させるのが好ましい。これにより、ユーザーの入力負担を軽減できる。
【0055】
終了時通知部31は、終了時通知機能を実現し、配車又は再配車が完了又は失敗して終了したときに、この配車又は再配車の完了又は失敗をユーザーに通知する。配車及び再配車の完了は、それぞれ配車及び再配車によってユーザーに車両5が割り当てられたことを意味し、配車及び再配車の失敗は、ユーザーに車両5を割り当てることができなかったことを意味する。配車及び再配車の失敗は、配車伺いに対して受諾を送信した車両5が存在しない場合やユーザーの所定範囲内に車両5が存在しない場合等に生じる。
【0056】
図3は、車両5の車載端末装置33を示すブロック図である。
【0057】
車載端末装置33は、各車両5に搭載されており、ドライバーやユーザーに対する情報の入出力等を可能とする。本実施例の車載端末装置33は、通信インターフェース35と、ユーザーインターフェース37と、制御部39と、記憶部41とを備えている。
【0058】
通信インターフェース35は、ユーザー端末装置9や配車サーバー3を含む外部装置に対するデータの送受信を行うための通信デバイスである。
【0059】
ユーザーインターフェース37は、車両5のドライバーが操作する入出力デバイスである。本実施例のユーザーインターフェース37は、例えばタッチパネル式のディスプレイからなる。
【0060】
制御部39は、車載端末装置33の各部を制御するCPU等のプロセッサーであり、記憶部41は、RAM、ROM、HDD、SSD等のメモリーデバイスである。
【0061】
本実施例の制御部39は、記憶部41内のドライバーズアプリを実行することにより、受諾送信部43と、キャンセル送信部45として動作する。これにより、車載端末装置33は、受諾送信部43と、キャンセル送信部45とを備える構成となっている。ただし、受諾送信部43と、キャンセル送信部45とは、単一のプロセッサーだけでなく、それぞれ異なるプロセッサーによって構成することも可能である。
【0062】
受諾送信部43は、受諾送信機能を実現し、配車伺いに対する受諾を受け付けて配車サーバー3に送信可能とする。具体的には、受諾送信部43は、配車サーバー3から配車伺いを受信すると、ユーザーインターフェース37上で配車伺いに対する受諾を行うか否かを受け付ける。受付けられた受諾を行うか否かの情報は、配車サーバー3に送信される。
【0063】
キャンセル送信部45は、キャンセル送信機能を実現し、配車のキャンセルが入力されると、入力された配車のキャンセルを配車サーバー3に送信可能とする。具体的には、キャンセル送信部45は、ドライバーが所定行為としてキャンセル操作を行ったか否かを監視する。ドライバーが所定行為を行った場合には、その所定行為が検出され、該所定行為に基づくキャンセル情報をキャンセル送信部45が配車サーバー3に送信する。
【0064】
上述のように所定行為は、キャンセル操作である。このキャンセル操作は、ユーザーインターフェース37上での配車のキャンセルを選択することによって行われる。ただし、キャンセル操作は、機械的スイッチ等によって行うことも可能である。また、所定行為がドライバーの意図しない行為である場合は、センサー等によって検出すればよい。
【0065】
[配車処理]
図4は、本実施例の配車システム1による配車処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、ユーザーからの配車依頼を配車サーバー3が受信することによって開始される。
【0066】
ステップS1では、配車サーバー3の車両抽出部21がユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5の抽出を行う。すなわち、車両抽出部21は、ユーザーの位置情報を中心とした所定範囲内において、車両情報取得部19が取得した車両5の位置情報及び稼働情報を参照して配車可能な車両5を抽出する。配車可能な車両5が抽出できた場合は、ステップS2へ移行し、そうでない場合は、終了時通知部31がユーザーに配車の失敗を通知して処理が終了する。
【0067】
次いで、ステップS2では、配車サーバー3の配車伺い送信部23が配車可能な車両5に配車伺いを一斉に送信する。車両5側では、配車伺いを受領すると、車載端末装置33の受諾送信部43がユーザーインターフェース37上に配車伺いに対する受諾を行うか否かの選択画面を表示する。この選択画面において、ドライバーが受諾か否かの選択をした場合は、受諾送信部43が選択に応じた受諾を行うか否かの情報を配車サーバー3に送信する。
【0068】
ステップS3では、配車サーバー3の配車実行部25が、送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断する。すなわち、配車実行部25は、配車伺いに対して車両5から受信した情報に基づき、受諾した車両5の有無を判断する。
【0069】
なお、受諾の受け付けは、配車伺いから設定時間内とする。また、受諾した車両5が複数ある場合は、最先の受諾を受け付ければよい。受諾を受け付けた場合は、ステップS4へ移行し、受諾を受け付けない場合は、終了時通知部31がユーザーに配車の失敗を通知して処理が終了する。
【0070】
ステップS4では、配車実行部25が受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる配車を実行する。送信元の特定は、受諾情報に車両5を識別する車両識別情報、ドライバーを識別するドライバー識別情報、及び配車依頼IDを含めることで行うことができる。配車の完了後は、終了時通知部31がユーザーに配車の完了を通知する。
【0071】
ステップS5では、配車サーバー3のキャンセル受付部27が、配車のキャンセルを受け付けたか否かを判断する。これは、ユーザーに配車された車両5が当該ユーザーを乗車させる前において、キャンセル受付部27が車両5からの配車のキャンセル情報を受信したか否かによって判断すればよい。ユーザーに配車された車両5が当該ユーザーを乗車させる前とは、車両5が迎車しているとき、車両5が前ユーザーを乗車させているとき等である。
【0072】
キャンセルを受け付けた場合は、再配車処理へ移行し、そうでない場合は、配車車両5に対するユーザーの乗車が確認されるまでステップS5の処理が繰り返される。乗車の確認は、車載端末装置33で入力された乗車情報を配車サーバー3が受信すること等で行うことができる。
【0073】
[再配車処理]
図5は、本実施例の配車システム1による再配車処理を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS11では、配車サーバー3の配車伺い送信部23及び実行指示受付部29がそれぞれ配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間以内か否かを判断する。この判断は、配車をトリガーとするタイマーに基づいて行えばよい。経過時間が所定時間以内の場合は、ステップS12へ移行し、そうでない場合は、ステップS13へ移行する。
【0075】
ステップS12では、配車伺い送信部23がユーザーに最も近い配車可能な車両5にのみ配車伺いを送信する。このとき、配車可能な車両5は、ステップS1と同様にして再抽出するか、或いはステップS1で抽出したものを利用する。
【0076】
一方、ステップS13では、実行指示受付部29が配車のキャンセルをユーザーに通知するキャンセル情報を送信して、配車依頼に基づく再配車の実行指示を受け付ける。このとき、ユーザー端末装置9側では、キャンセル情報を受領すると、ユーザーインターフェース11上に再配車を行うか否かの選択画面を表示する。この選択画面において、ユーザーが再配車の選択を行った場合は、再配車の実行指示情報が配車サーバー3に送信される。ユーザーが再配車をしない選択を行った場合は、再配車の非実行指示情報が配車サーバーに送信される。
【0077】
実行指示受付部29が実行指示情報の受信により再配車の実行指示を受け付けると、ステップS12へ移行し、そうでない場合は、再配車処理が終了する。なお、再配車の実行指示を通知から設定時間内に受け付けない場合も再配車処理が終了する。かかる再配車処理の終了は、通知をトリガーとするタイマーに基づいて行えばよい。
【0078】
ステップS13からステップS12へ移行した場合は、配車伺い送信部23が実行指示の受付けに応じて配車伺いの送信を行う。
【0079】
ステップS14では、ステップS3と同様、配車サーバー3の配車実行部25が送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断する。
【0080】
受諾を受け付けた場合は、ステップS15へ移行し、受諾を受け付けない場合は、終了時通知部31がユーザーに再配車の失敗を通知して再配車処理が終了する。
【0081】
ステップS15では、ステップS4と同様にして、配車実行部25が受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる再配車を実行する。再配車の完了後は、終了時通知部31がユーザーに配車のキャンセルと再配車の完了を通知する。こうして再配車が完了すると、再配車処理が終了する。
【0082】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例の配車サーバー3は、ユーザーから位置情報を含む配車依頼を受け付けてユーザーに車両5を割り当てる配車を行う配車実行部25と、ユーザーに配車された車両5のドライバーの所定行為に基づいて配車のキャンセルを受け付けるキャンセル受付部27とを備える。配車実行部25は、配車のキャンセルの受付けに応じ、配車依頼に基づいてユーザーに他の車両5を割り当てる再配車を行う。
【0083】
従って、ドライバーの都合による配車のキャンセル時に、ユーザーの負担を軽減しながらドライバーの都合に基づく配車のキャンセルに応じて自動的に再配車を行うことができる。結果として、配車サーバー3は、システムの利便性を向上させ、ユーザーによるサービスの利用機会を喪失させるようなことを抑制できる。
【0084】
また、本実施例の配車サーバー3は、ユーザーからの配車依頼又は配車のキャンセルに応じ配車可能な車両5に対して配車伺いを送信する配車伺い送信部23を備え、配車実行部25は、送信された配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに割り当てる。
【0085】
従って、配車伺いに対してドライバーが受諾を行うことで配車が行われる場合において、配車のキャンセルに応じた再配車を容易且つ確実に実現することができる。
【0086】
また、本実施例の配車サーバー3は、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合に、配車のキャンセルをユーザーに通知して配車依頼に基づく再配車の実行指示を受け付ける実行指示受付部29を備える。
【0087】
そして、配車伺い送信部23は、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間以内の場合に配車のキャンセルの受付けに応じて配車伺いを送信し、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超える場合に再配車の実行指示を待って配車伺いを送信する。
【0088】
従って、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間内である限り、ユーザーの入力負担を軽減しつつ円滑に再配車を行うことができる。一方、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間を超えてユーザーの待ち時間が過度に長くなるような場合は、再配車の実行指示によってユーザーの了承を得た上で再配車を行うことができる。この場合でも、ユーザーの操作が実行指示を入力するだけであるため、ユーザーの負担を軽減できる。
【0089】
また、本実施例の配車サーバー3は、配車対象の車両5から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部19と、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する車両抽出部21とを備える。
【0090】
従って、所定範囲内の配車可能な車両5からユーザーに対して適切に配車及び再配車を行うことができる。
【0091】
しかも、配車伺い送信部23は、配車のキャンセルに応じた配車伺いを、ユーザーに最も近い配車可能な車両5にのみ送信する。
【0092】
従って、再配車が成功した場合には、ユーザーの待ち時間の増加を抑制することができると共に、再配車が失敗した場合でも、ユーザーに迅速に通知することが可能となる。
【0093】
また、本実施例の配車サーバー3は、再配車が完了又は失敗して終了したときに、この再配車の完了又は失敗をユーザーに通知する終了時通知部31を備える。
【0094】
従って、配車から配車のキャンセルまでの経過時間が所定時間内である限り、再配車が完了又は失敗時にのみ終了時通知部31によってユーザーへの通知を行うため、配車がキャンセルされて再配車となったことに基づくユーザーによるキャンセルを抑制できる。
【0095】
配車サーバー3を備えた配車システム1は、配車対象の車両5にそれぞれ搭載された車載端末装置33を更に備える。車載端末装置33は、車両5のドライバーの所定行為を検出すると、その車両5のドライバーの所定行為に基づく配車のキャンセルを配車サーバー3に送信可能なキャンセル送信部45を備える。
【0096】
従って、本実施例の配車システム1は、配車サーバー3と車載端末装置33との協働により、ドライバーの所定行為に基づく配車のキャンセルに応じた再配車を確実に行うことができる。
【0097】
本実施例の配車方法は、上述の配車サーバー3の各部の処理により実現され、配車サーバー3と同様の作用効果を奏することができる。
【0098】
本実施例の配車プログラムは、配車サーバー3に上述の各部の機能を実現させることにより、配車サーバー3と同様の作用効果を奏することができる。
このように構成された実施例2では、配車がキャンセルされた時点でユーザーに再配車の有無を早期に判断させることができ、再配車が必要なユーザーはそのまま待機すれば入力負担を軽減しつつ再配車を受けることができ、再配車が不要なユーザーは早期に再配車のキャンセルの機会を得ることが可能となる。