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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003646
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240105BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240105BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240105BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
H02M7/48 Z
H02G3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102932
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 成
(72)【発明者】
【氏名】久保木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5G361
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AB01
5E322AB06
5E322AB08
5E322DA01
5E322EA10
5E322FA01
5E322FA04
5F136BB13
5F136CB11
5F136CB27
5F136DA50
5F136EA03
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA51
5G361BA03
5G361BC01
5H770DA37
5H770PA12
5H770QA12
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】筐体内において熱伝導部材で占められる搭載面積を小さくできて、通電用バスバーを用いた発熱部品の放熱効率の向上を図ることができる、回路構成体を開示する。
【解決手段】回路構成体10が、発熱部品22と通電用バスバー26とを備え、通電用バスバー26は、通電用バスバー26を貫通して延びて通電用バスバー26の一方の端部に開口する第1開口28および他方の端部に開口する第2開口30とを含む中空管路32を有し、通電用バスバー26は、通電用バスバー26の一方の端部に流体密に連結され、第1開口28を囲って第1開口28と連通する第1接続管体60と、通電用バスバー26の他方の端部に流体密に連結され、第2開口30を囲って第2開口30と連通する第2接続管体62と、を有し、第1接続管体60は冷媒源34に接続可能な第1管路連結口68を有し、第2接続管体62は冷媒源34に接続可能な第2管路連結口70を有している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品と、
前記発熱部品の接続部に接続される通電用バスバーと、を備え、
前記通電用バスバーは、ボルト挿通孔を有するボルト締結部と、前記通電用バスバーの内部を貫通して延びて前記通電用バスバーの長手方向の一方の端部に開口する第1開口および他方の端部に開口する第2開口とを含む中空管路と、を有し、
前記通電用バスバーは、前記通電用バスバーの前記一方の端部に流体密に連結され、前記第1開口を囲って前記第1開口と連通する第1接続管体と、前記通電用バスバーの前記他方の端部に流体密に連結され、前記第2開口を囲って前記第2開口と連通する第2接続管体と、をさらに有し、
前記第1接続管体は、外部の冷媒源に接続可能な第1管路連結口を有し、
前記第2接続管体は、前記冷媒源に接続可能な第2管路連結口を有している、回路構成体。
【請求項2】
前記第1接続管体の前記第1管路連結口は、前記通電用バスバーの側方に突出して開口し、前記冷媒源からの冷媒を供給する冷媒供給管路が接続され、
前記第2接続管体の前記第2管路連結口は、前記通電用バスバーの側方に突出して開口し、前記冷媒を前記冷媒源に戻す冷媒返還管路が接続されている、請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記通電用バスバーは、幅方向の中央部分を所定幅で広がる中央領域と、前記中央領域の幅方向両側に所定幅で広がる一対の側方領域と、を含み、
前記中央領域は、前記ボルト挿通孔以外の部位が前記長手方向の全長にわたって中実に形成されており、
少なくとも一方の前記側方領域には、前記長手方向で貫通する前記中空管路が設けられている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記通電用バスバーの前記ボルト締結部が、前記発熱部品の前記接続部に直接ボルト締結されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記通電用バスバーの前記ボルト締結部が、前記一方の端部側に設けられた第1ボルト締結部と、前記他方の端部側に設けられた第2ボルト締結部と、を含み、
隣接配置された一対の前記発熱部品のそれぞれの前記接続部に対して、前記第1ボルト締結部と前記第2ボルト締結部が直接ボルト締結されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記隣接配置された一対の前記発熱部品のそれぞれの前記接続部が、各前記発熱部品の天面に開口して設けられており、
前記通電用バスバーが一対の前記発熱部品の前記天面に載置されている、請求項5に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記発熱部品の前記接続部の開口方向と、前記通電用バスバーの前記ボルト締結部の開口方向が直交しており、前記接続部と前記ボルト締結部に対してL字に屈曲された接続金具の両端部がボルト締結されることにより、前記接続部と前記ボルト締結部が接続されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱部品を含む回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には、リレー等の発熱部品を含む回路構成体が搭載されている。例えば、特許文献1には、バッテリの出力端子に接続される第1バスバーと負荷の入力端子に接続される第2バスバーと、第1/第2バスバー間に接続されるリレーがケースに収容されてなる回路構成体が開示されている。このような回路構成体では、発熱部品であるリレーで発生する熱を外部に放熱するため、リレーに接続されたバスバーをシート状の熱伝導部材と絶縁部材を介して放熱対象であるバッテリの筐体に圧接し、リレーの熱を筐体に伝熱する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-93711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構造では、熱伝導部材を介してバスバーを放熱対象に接触させる必要がある。さらに、バスバーと放熱対象の間には、公差を吸収する目的でも熱伝導部材を介在させる必要がある。それゆえ、放熱効率が低減することが避けられなかった。
【0005】
そこで、筐体内において熱伝導部材で占められる搭載面積を小さくできて、通電用バスバーを用いた発熱部品の放熱効率の向上を図ることができる、回路構成体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の回路構成体は、発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続される通電用バスバーと、を備え、前記通電用バスバーは、ボルト挿通孔を有するボルト締結部と、前記通電用バスバーの内部を貫通して延びて前記通電用バスバーの長手方向の一方の端部に開口する第1開口および他方の端部に開口する第2開口とを含む中空管路と、を有し、前記通電用バスバーは、前記通電用バスバーの前記一方の端部に流体密に連結され、前記第1開口を囲って前記第1開口と連通する第1接続管体と、前記通電用バスバーの前記他方の端部に流体密に連結され、前記第2開口を囲って前記第2開口と連通する第2接続管体と、をさらに有し、前記第1接続管体は、外部の冷媒源に接続可能な第1管路連結口を有し、前記第2接続管体は、前記冷媒源に接続可能な第2管路連結口を有している、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体内において熱伝導部材で占められる搭載面積を小さくすることができて、通電用バスバーを用いた発熱部品の放熱効率の向上を図ることができる、回路構成体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る回路構成体を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された回路構成体における電気的構成の具体的な一例を概略的に説明するための説明図である。
図3図3は、図1に示された回路構成体における分解斜視図である。
図4図4は、図1に示された回路構成体を構成するロア側組立体を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示されたロア側組立体における平面図である。
図6図6は、図5におけるVI-VI断面図である。
図7図7は、図5におけるVII-VII断面図である。
図8図8は、実施形態2に係る回路構成体においてアッパケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の回路構成体は、
発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続される通電用バスバーと、を備え、前記通電用バスバーは、ボルト挿通孔を有するボルト締結部と、前記通電用バスバーの内部を貫通して延びて前記通電用バスバーの長手方向の一方の端部に開口する第1開口および他方の端部に開口する第2開口とを含む中空管路と、を有し、前記通電用バスバーは、前記通電用バスバーの前記一方の端部に流体密に連結され、前記第1開口を囲って前記第1開口と連通する第1接続管体と、前記通電用バスバーの前記他方の端部に流体密に連結され、前記第2開口を囲って前記第2開口と連通する第2接続管体と、をさらに有し、前記第1接続管体は、外部の冷媒源に接続可能な第1管路連結口を有し、前記第2接続管体は、前記冷媒源に接続可能な第2管路連結口を有している、ものである。
【0010】
本開示の回路構成体によれば、発熱部品の接続部に接続される通電用バスバーが、ボルト締結部と中空管路を有している。また、通電用バスバーの両端部に第1開口と第2開口がそれぞれ連通する第1接続管体と第2接続管体を流体密に連結し、それらの接続管体において外部の冷媒源に接続可能な、第1管路連結口と第2管路連結口がそれぞれ設けられている。これにより、発熱部品の接続部に接続された通電用バスバーが、内部の中空管路に流通させられる冷媒減からの冷媒により冷却された状態を保持できる。その結果、発熱部品の接続部に接続された通電用バスバーにより、直接発熱部品で発生した熱を速やかに放熱することができる。それゆえ、従来構造に比べて筐体内において熱伝導部材で占められる搭載面積を小さくすることができて、通電用バスバーを用いた発熱部品の放熱効率の向上を有利に図ることができる。
【0011】
しかも、通電用バスバーの内部を利用して、冷媒が流通する中空管路を設けていることから、省スペースの要求に対応しつつ発熱部品の冷却の促進を図ることができる。加えて、通電用バスバーには、ボルト挿通孔を有するボルト締結部が設けられていることから、発熱部品の接続部や他の介在バスバーとの締結作業も容易に行うことができ、一般的な通電用バスバーと同様の作業性も担保されている。
【0012】
なお、冷媒は車載されている冷媒源から取り入れることが可能であり、利用可能な任意の冷媒が採用可能であるが、好ましくは、絶縁体であるフロリナート等の冷媒が採用され得る。
【0013】
前記第1接続管体の前記第1管路連結口は、前記通電用バスバーの側方に突出して開口し、前記冷媒源からの冷媒を供給する冷媒供給管路が接続され、前記第2接続管体の前記第2管路連結口は、前記通電用バスバーの側方に突出して開口し、前記冷媒を前記冷媒源に戻す冷媒返還管路が接続されている、ことが好ましい。
【0014】
第1接続管体の第1管路連結口および第2接続管体の第2管路連結口は、それぞれ通電用バスバーの側方に突出して開口している。これにより、通電用バスバーの中空管路の第1開口および第2開口への冷媒供給管路と冷媒返還管路の接続を容易に行うことができ、組立作業性の向上を図ることができる。そして、この結果、冷媒源からの冷媒が冷媒供給管路から、通電用バスバーの中空管路の第1開口を通じて供給され、中空管路の内部を流通した冷媒は、中空管路の第2開口から排出されて冷媒返還管路を介して冷媒源に還流されるようになっている。さらに、第1/第2管路連結口が、それぞれ通電用バスバーの側方に突出して設けられていることから、通電用バスバーの配索領域を外れた部位で冷媒供給管路と冷媒返還管路の組付スペースを確保することができ、さらなる組立作業性の向上を図ることができる。しかも、第1/第2管路連結口が、それぞれ通電用バスバーの側方に突出して設けられていることにより、冷媒供給管路と冷媒返還管路を組み付けた際においても、回路構成体の低背化を図ることができ、省スペースへの要求にも有利に対応することができる。
【0015】
前記通電用バスバーは、幅方向の中央部分を所定幅で広がる中央領域と、前記中央領域の幅方向両側に所定幅で広がる一対の側方領域と、を含み、前記中央領域は、前記ボルト挿通孔以外の部位が前記長手方向の全長にわたって中実に形成されており、少なくとも一方の前記側方領域には、前記長手方向で貫通する前記中空管路が設けられている、ことが好ましい。幅方向の中央部分に設けられた中央領域にボルト挿通孔が設けられていることから、ボルト締結部を通電用バスバーの幅方向中央部分に設けることができ、安定したボルト締結が可能となる。さらに、中央領域のボルト挿通孔以外の部位は、長手方向の全長にわたって中実であり、側方領域に長手方向で貫通する中空管路が設けられている構成であるため、本開示の如き特殊構造の通電用バスバーにおける中央領域および一対の側方領域を、押出成形により容易に製造することができる。
【0016】
前記通電用バスバーの前記ボルト締結部が、前記発熱部品の前記接続部に直接ボルト締結されている、ことが好ましい。通電用バスバーのボルト締結部を発熱部品の接続部に直接ボルト締結することにより、発熱部品の接続部から発熱部品の発熱をダイレクトに通電用バスバーに伝熱して、冷媒が還流する通電用バスバーにより、速やかに放熱することができる。その結果、従来構造のようにバスバーを放熱対象まで引き回す必要があった構造に比べ、一層の発熱部品の放熱効率の向上を図ることができる。
【0017】
前記通電用バスバーの前記ボルト締結部が、前記一方の端部側に設けられた第1ボルト締結部と、前記他方の端部側に設けられた第2ボルト締結部と、を含み、隣接配置された一対の前記発熱部品のそれぞれの前記接続部に対して、前記第1ボルト締結部と前記第2ボルト締結部が直接ボルト締結されている、ことが好ましい。隣接配置された発熱部品の接続部のそれぞれを通電用バスバーの第1ボルト締結部と第2ボルト締結部とに接続することで、本開示の通電用バスバーを直接一対の発熱部品に締結することができ、放熱効率良く、発熱部品の熱引きを通電用バスバーを介して行うことができる。しかも、本開示の特殊構造の通電用バスバーの配設距離を短くしつつ、放熱効率の優位性を保持できることから、発熱部品の放熱効率の向上をコンパクト且つ低コストで実現することができる。
【0018】
前記隣接配置された一対の前記発熱部品のそれぞれの前記接続部が、各前記発熱部品の天面に開口して設けられており、前記通電用バスバーが一対の前記発熱部品の前記天面に載置されている、ことが好ましい。一対の発熱部品の天面に設けられた接続部に通電用バスバーの第1/第2ボルト締結部を接続することで、通電用バスバーを発熱部品の天面に載置して配置することができる。その結果、通電用バスバーの両端部から引き回される冷媒供給管路と冷媒返還管路について、公差吸収のための余長を確保した場合でも、発熱部品の高さ寸法により余長吸収スペースを確保でき、回路構成体の更なる組立性の向上を図ることができる。
【0019】
前記発熱部品の前記接続部の開口方向と、前記通電用バスバーの前記ボルト締結部の開口方向が直交しており、前記接続部と前記ボルト締結部に対してL字に屈曲された接続金具の両端部がボルト締結されることにより、前記接続部と前記ボルト締結部が接続されている、ことが好ましい。接続部とボルト締結部に対してL字に屈曲された接続金具の両端部がボルト締結されることにより、接続部とボルト締結部が接続されるようになっている。それゆえ、例えば、発熱部品の配置状態により、通電用バスバーのボルト締結部を発熱部品の接続部に直接接続することが困難な場合であっても、別体のL字形状の接続金具を介して、接続部とボルト締結部を短い接続距離で接続することができる。その結果、通電用バスバーのボルト締結部を発熱部品の接続部に直接接続することが困難な場合であっても、発熱部品の放熱効率の低減を有利に抑制できる。
【0020】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の回路構成体10について、図1から図7を用いて説明する。回路構成体10は、図2においてその回路図の具体的な一例が示されるように、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリ等の電源12からモータ等の負荷14への電力の供給、制御を行う。なお、図2に示されるように、回路構成体10の内部には、電源12から負荷14へ至る回路中に設けられるヒューズ16やプリチャージリレー18、プリチャージ抵抗20等も搭載されてもよいが、図1および図3から図7では、本開示の要部である図2中のAおよびA’の部分を回路構成体10として説明する。また、図2に示されるように、回路構成体10の内部には要部であるAおよびA’の部分が設けられているが、これらは相互に同様の形状であることから、一方の部分Aについて説明するとともに他方の部分A’の説明を省略する。
【0022】
回路構成体10は、任意の向きで配置することができるが、以下の説明では、上方とは図6中の上方、下方とは図6中の下方、前方とは図5中の右方、後方とは図5中の左方、左方とは図5中の下方、右方とは図5中の上方をいう。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
<回路構成体10>
回路構成体10は、発熱部品としてのリレー22と、リレー22の接続部24に接続される通電用バスバー26と、を備えている。通電用バスバー26は、第1開口28と第2開口30とを含む中空管路32を有している。そして、中空管路32の第1開口28に冷媒源34(図1中に二点鎖線で図示)からの冷媒を供給する冷媒供給管路36が接続されているとともに、中空管路32の第2開口30に冷媒を冷媒源34に戻す冷媒返還管路38が接続されている。
【0024】
<発熱部品(リレー22)>
実施形態1では、一対のリレー22,22が左右方向で相互に離隔して配置されており、左側の第1リレー22aと右側の第2リレー22bとが設けられている。これら第1および第2リレー22a,22bは比較的接近して配置されており、第1および第2リレー22a,22bが隣接配置されている。第1および第2リレー22a,22bは、それぞれ略直方体形状とされたリレー本体40,40を備えている。これら第1および第2リレー22a,22bは何れも上向きに配置されており、第1および第2リレー22a,22bにおける各天面41において、それぞれ一対の接続部24,24が前後方向で相互に離隔して設けられている。
【0025】
すなわち、第1リレー22aには正極側第1接続部24aと負極側第1接続部24bが設けられているとともに、第2リレー22bには正極側第2接続部24cと負極側第2接続部24dが設けられている。要するに、隣接配置された一対の発熱部品(第1および第2リレー22a,22b)のそれぞれの接続部(正極側および負極側第1接続部24a,24b、正極側および負極側第2接続部24c,24d)が、各発熱部品(第1および第2リレー22a,22b)の各天面41に開口して設けられている。
【0026】
なお、実施形態1では、第1および第2リレー22a,22bがそれぞれ後述する脚部46を含めて上下方向に延びる中心軸回りで回転対称な形状とされており、第1リレー22aに対して第2リレー22bは、上下方向に延びる中心軸回りで180度回転した状態で配置されている。これにより、実施形態1では、負極側第1接続部24bと正極側第2接続部24cとが左右方向で相互に離隔して配置されているとともに、正極側第1接続部24aと負極側第2接続部24dとが左右方向で相互に離隔して配置されている。そして、これら負極側第1接続部24bと正極側第2接続部24cとが通電用バスバー26により接続されることで、図2にも示されるように、第1リレー22aと第2リレー22bとが電気的に直列に接続されている。
【0027】
具体的には、通電用バスバー26には後述する一対のボルト挿通孔52,52が設けられており、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと一対のボルト挿通孔52,52とが相互に連通される。そして、一対のボルト挿通孔52,52のそれぞれにボルト42が挿通されて、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに各ボルト42が締結される。これにより、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに対して通電用バスバー26における後述する各ボルト締結部54(第1ボルト締結部54aおよび第2ボルト締結部54b)が直接ボルト締結されるようになっている。
【0028】
また、図2中の要部Aについて、正極側第1接続部24aにはバスバー等の導通部材が接続されて、実施形態1では、当該導通部材がヒューズ16を介して回路構成体10の後述するケース78の外部へ延び出し、電源12の正極側の端子に電気的に接続されている。同様に、負極側第2接続部24dにはバスバー等の導通部材が接続されて、当該導通部材が回路構成体10の後述するケース78の外部へ延び出し、負荷14の負極側の端子に電気的に接続されている。なお、正極側第1接続部24aに接続される導通部材と通電用バスバー26との間には、第1リレー22aを迂回するようにプリチャージリレー18とプリチャージ抵抗20とを含むプリチャージ回路43が設けられている。
【0029】
さらに、図2中の要部A’については、第1リレー22aにおける負極側第1接続部24bに対してバスバー等の導通部材が接続されて、当該導通部材が回路構成体10の後述するケース78の外部へ延び出し、電源12の負極側の端子に電気的に接続されている。同様に、第2リレー22bにおける正極側第2接続部24cに対してバスバー等の導通部材が接続されて、当該導通部材が回路構成体10の後述するケース78の外部へ延び出し、負荷14の正極側の端子に電気的に接続されている。そして、図2中の要部A’については、正極側第1接続部24aと負極側第2接続部24dとが通電用バスバー26により電気的に接続されている。すなわち、図2中の要部A’では、図4等に示される後述するロア側組立体97において後方に位置する2つの接続部(正極側第1接続部24aおよび負極側第2接続部24d)が通電用バスバー26により接続されるようになっている。
【0030】
また、第1リレー22aにおける正極側第1接続部24aと負極側第1接続部24bの間、および第2リレー22bにおける正極側第2接続部24cと負極側第2接続部24dの間には、それぞれを仕切る仕切板44が上方に突出して設けられている。さらに、各リレー本体40の下端部には、前後方向両側において外方に突出する脚部46が設けられている。これらの脚部46には、上下方向で貫通するボルト挿通孔48が設けられており、各ボルト挿通孔48に挿通されるボルト50により、第1および第2リレー22a,22bが後述するケース78を構成するロアケース82に固定されるようになっている。
【0031】
<通電用バスバー26>
通電用バスバー26は、全体として左右方向に延びる略矩形板状のバスバー本体51を
備えている。バスバー本体51は、銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の導電性の良い金属により形成されている。バスバー本体51は、ボルト挿通孔52を有するボルト締結部54と、通電用バスバー26の内部を貫通して延びて通電用バスバー26の長手方向の一方の端部(左端部)に開口する第1開口28および他方の端部(右端部)に開口する第2開口30とを含む中空管路32と、を有している。すなわち、バスバー本体51において円形のボルト挿通孔52の周囲の部分がボルト締結部54である。
【0032】
実施形態1では、一対のボルト挿通孔52,52(ボルト締結部54,54)が、バスバー本体51の幅方向(前後方向)の中央部分において、長手方向(左右方向)で相互に離隔して設けられている。すなわち、バスバー本体51において一方の端部(左端部)側には第1ボルト締結部54aが設けられているとともに他方の端部(右端部)側には第2ボルト締結部54bが設けられており、ボルト締結部54,54が第1ボルト締結部54aと第2ボルト締結部54bとを含んでいる。そして、これら第1および第2ボルト締結部54a,54bのそれぞれにおいて各ボルト挿通孔52が設けられている。なお、このようなバスバー本体51の形成方法は限定されるものではないが、実施形態1では、押出成形により形成されている。
【0033】
具体的には、バスバー本体51は、図6にも示されるように、幅方向(前後方向)の中央部分を所定幅で広がる中央領域56と、中央領域56の幅方向両側において所定幅で広がる一対の側方領域58,58と、を含んでいる。なお、バスバー本体51の押出成形時には、中央領域56が長手方向(左右方向)の全長にわたって中実に形成されており、バスバー本体51の成形後に一対のボルト挿通孔52,52を形成している。これにより、中央領域56は、各ボルト挿通孔52以外の部位が長手方向(左右方向)の全長にわたって中実に形成されている。
【0034】
また、図6,7に示されるように、一対の側方領域58,58のそれぞれにおいて、長手方向の全長にわたって延びる中空管路32が設けられている。中空管路32の大きさや断面形状、個数等は限定されるものではないが、実施形態1では、各側方領域58においてそれぞれ略矩形断面とされた5つの中空管路32が、前後方向で相互に離隔して設けられている。そして、合計10個の中空管路32のそれぞれが、左右両端部における各第1開口28および各第2開口30において開口している。
【0035】
さらに、通電用バスバー26は、バスバー本体51の一方の端部(左端部)に流体密に連結され、各第1開口28を囲って各第1開口28と連通する第1接続管体60と、バスバー本体51の他方の端部(右端部)に流体密に連結され、各第2開口30を囲って各第2開口30と連通する第2接続管体62と、を有している。これら第1および第2接続管体60,62はそれぞれ前後方向に延びる中空の管体であり、略円筒形状の周壁64と、周壁64の内部を前後方向に延びる内孔66とを備えている。
【0036】
なお、第1および第2接続管体60,62はそれぞれ後方の開口部が閉塞されており、第1および第2接続管体60,62はそれぞれ前方に開口している。そして、これら第1および第2接続管体60,62の各前方開口部がそれぞれ、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が接続される第1管路連結口68および第2管路連結口70とされている。これら第1および第2接続管体60,62はそれぞれ金属製とされることが好適であるが、バスバー本体51と同様の材質である必要はなく、良好な導電性を発揮しなくてもよい。すなわち、第1および第2接続管体60,62は導電性を発揮しなくてもよく、例えば絶縁性を有する合成樹脂製とされてもよい。
【0037】
また、第1および第2接続管体60,62の各周壁64には、それぞれバスバー本体51の両端部と連結するための貫通孔72が形成されている。すなわち、各貫通孔72は、バスバー本体51における両端部と略対応する矩形状を有しており、各周壁64の対向方向(左右方向)内方の部分において径方向(左右方向)で貫通して形成されている。そして、バスバー本体51の一方の端部(左端部)が第1接続管体60における貫通孔72に挿入されて、周壁64における外周面と貫通孔72における内周面とが相互に溶接や接着等により固着されることによって、バスバー本体51の一方の端部と第1接続管体60とが流体密に連結されている。
【0038】
同様に、バスバー本体51の他方の端部(右端部)が第2接続管体62における貫通孔72に挿入されて、周壁64における外周面と貫通孔72における内周面とが相互に溶接や接着等により固着されることによって、バスバー本体51の他方の端部と第2接続管体62とが流体密に連結されている。実施形態1では、第1および第2接続管体60,62が、バスバー本体51の側方となる前方に向かって突出して、当該突出方向となる前方に第1および第2接続管体60,62の開口部(第1および第2管路連結口68,70)が設けられている。
【0039】
この結果、バスバー本体51の左端部に設けられた各中空管路32における第1開口28が、第1接続管体60における周壁64内に開口しており、各中空管路32と第1接続管体60における内孔66とが相互に連通している。同様に、バスバー本体51の右端部に設けられた各中空管路32における第2開口30が、第2接続管体62における周壁64内に開口しており、各中空管路32と第2接続管体62における内孔66とが相互に連通している。
【0040】
<冷媒供給管路36および冷媒返還管路38>
実施形態1では、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38は、それぞれゴム(エラストマを含む)からなるゴム管により構成されており、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38がそれぞれ柔軟に弾性変形可能とされている。すなわち、冷媒供給管路36の後方開口部に対して第1接続管体60における第1管路連結口68が略圧入状態で挿入されることで、第1接続管体60と冷媒供給管路36とが流体密に連結されている。同様に、冷媒返還管路38の後方開口部に対して第2接続管体62における第2管路連結口70が略圧入状態で挿入されることで、第2接続管体62と冷媒返還管路38とが流体密に連結されている。これにより、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38における各内孔74が、それぞれ第1および第2接続管体60,62における各内孔66と連通した状態で、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が、それぞれ第1および第2接続管体60,62から前方に延び出している。
【0041】
なお、これら冷媒供給管路36および冷媒返還管路38は、それぞれ所定の形状を有していてもよく、例えば図3等に示されるように、第1管路連結口68および第2管路連結口70から前方に延び出した後、下方に屈曲して、その下端において再度前方に延び出すような形状であってもよい。あるいは、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38は特定の形状を有していなくてもよく、回路構成体10の組立てに際して、後述するアッパケース80とロアケース82との間で挟まれて支持されることで、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が、第1および第2管路連結口68,70に対して下方へ折れ曲がるように配設されるようになっていてもよい。
【0042】
そして、これら冷媒供給管路36および冷媒返還管路38において、第1および第2接続管体60,62と接続される側と反対側の端部が、冷媒源34に接続されるようになっている。このように冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が冷媒源34に接続されることで、冷媒源34から冷媒供給管路36、第1接続管体60、バスバー本体51(各中空管路32)、第2接続管体62、冷媒返還管路38を経由して冷媒源34に戻る冷媒流通経路76が構成されている。
【0043】
冷媒流通経路76を流動する冷媒は限定されるものではないが、絶縁性を有していることが好ましく、例えばスリーエム社製「フロリナート(登録商標)」や「ノベック(登録商標)」等が採用され得る。また、冷媒源34としては、例えば図示しないポンプ等を含むチラー(冷却水循環システム)を別途設けてもよいし、既に車両に搭載されているチラーを利用してもよい。冷媒源34としてポンプを含むチラーを採用することにより、冷媒流通経路76内において冷媒を流動させることができる。なお、ポンプの配設箇所は、冷媒源34(すなわち、冷媒供給管路36と冷媒返還管路38との間)に限定されるものではなく、冷媒流通経路76上の適切な箇所に配設され得る。
【0044】
<ケース78>
実施形態1では、第1および第2リレー22a,22bや通電用バスバー26等が、合成樹脂や金属等から構成されるケース78に収容されている。特に、実施形態1では、ケース78が、上側のアッパケース80と下側のロアケース82とから構成されており、これらアッパケース80とロアケース82とが上下方向で相互に組付けおよび分離可能とされている。なお、図1および図3から図7では、ケース78に対して図2中の要部Aを構成する第1および第2リレー22a,22bや通電用バスバー26等が収容されているが、ケース78にはこれらに加えて、前述のように、図2中の要部A’を構成する第1および第2リレー22a,22bや通電用バスバー26、ヒューズ16、プリチャージリレー18、プリチャージ抵抗20等が収容されてもよい。
【0045】
アッパケース80は全体として下方に開口する略箱形状であり、アッパケース80は、平面視において略矩形状とされた上底壁部84と、上底壁部84の外周縁部から下方に突出する上周壁部86とを備えている。上周壁部86における前方部分には、前方に突出する冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が挿通される管路挿通部88が、下方に開口するとともに前後方向で貫通して設けられている。
【0046】
ロアケース82は全体として上方に開口する略箱形状であり、ロアケース82は、平面視において略矩形状とされた底壁部90と、底壁部90の外周縁部から上方に突出する下周壁部92とを備えている。底壁部90には上方に突出する一対のリレー載置部94,94が設けられており、各リレー載置部94上にそれぞれ第1および第2リレー22a,22bが載置されるようになっている。また、下周壁部92における前方部分には、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が支持される管路支持部96が、上方に突出して設けられている。
【0047】
<回路構成体10の組付工程>
続いて、回路構成体10の組付工程の具体的な一例について説明する。なお、回路構成体10の組付工程は、以下の記載に限定されない。
【0048】
先ず、ロアケース82における各リレー載置部94上に第1および第2リレー22a,22bを上向きに載置して、各ボルト50によりボルト固定する。その後、第1および第2リレー22a,22bにおける各仕切板44よりも前方の部分の各天面41に対して通電用バスバー26における第1および第2ボルト締結部54a,54bを重ね合わせて載置して、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと各ボルト挿通孔52とを連通させる。そして、各ボルト挿通孔52に各ボルト42を挿通して負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに締結することで、第1および第2リレー22a,22bに対して通電用バスバー26をボルト固定する。
【0049】
続いて、第1および第2接続管体60,62における第1および第2管路連結口68,70に対してそれぞれ冷媒供給管路36および冷媒返還管路38を連結する。これにより、図4から図7に示されるようなロア側組立体97が完成する。なお、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38は、通電用バスバー26を第1および第2リレー22a,22bに対して固定する前に、第1および第2管路連結口68,70に固定されていてもよい。
【0050】
その後、第1および第2管路連結口68,70から前方に延び出す冷媒供給管路36および冷媒返還管路38を、ロアケース82における各管路支持部96上に載置した状態で、ロアケース82に対してアッパケース80を上方から組み付けて、図示しないロック機構等によりロアケース82とアッパケース80とを固定する。これにより、ケース78が完成して、それとともに回路構成体10が完成する。回路構成体10では、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が、管路挿通部88と管路支持部96との上下方向間で挟持されるとともに、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38がケース78よりも前方に突出している。
【0051】
以上のように組み付けられた回路構成体10は、例えばハイブリッド車や電気自動車等の電池パックの筐体内に収容配置される。そして、回路構成体10における冷媒供給管路36および冷媒返還管路38において、第1および第2管路連結口68,70に連結される側と反対側の端部が冷媒源34に連結される。また、前述の図2にも示されるように、要部Aにおける正極側第1接続部24aが電源12の正極側端子に電気的に接続されるとともに、負極側第2接続部24dが負荷14の負極側端子に電気的に接続される。さらに、要部A’における負極側第1接続部24bが電源12の負極側端子に電気的に接続されるとともに、正極側第2接続部24cが負荷14の正極側端子に電気的に接続される。
【0052】
そして、実施形態1では、図2に示されるように、要部AおよびA’における各通電用バスバー26の中間部分に対してバスバー等の導通部材が電気的に接続されており、それぞれに対してキャパシタ98とインバータ100とが並列的に接続されている。すなわち、電源12から要部Aにおける回路構成体10、負荷14、要部A’における回路構成体10を経由して電源12に戻る電気回路において、要部Aにおける第1リレー22aの下流(第2リレー22bの上流)および要部A’における第1リレー22aの上流(第2リレー22bの下流)に対して、キャパシタ98およびインバータ100が分岐して接続されている。なお、このインバータ100は、例えば家庭用のコンセント等に対してケーブル等を介して接続することができるようになっており、家庭用の電源から得られた電力を直流に変換してキャパシタ98に蓄電することができるようになっている。
【0053】
以上のように電気回路に接続された回路構成体10においては、要部Aにおける第1および第2リレー22a,22bと要部A’における第1および第2リレー22a,22bが何れもONの状態であるとき、電源12から負荷14に電力が供給されて、例えば負荷14の具体的な一例であるモータが駆動する。なお、異常電流が検出される等して要部Aにおける第1リレー22aが遮断される場合にも、第1リレー22aを迂回してプリチャージ回路43を通じて電気が流れて、電源12から負荷14に電力が供給されて、例えばモータが駆動する。また、異常電流が検出される等してヒューズ16や要部A,A’における各第1リレー22aがOFF状態とされる場合(電源失陥時)には、要部A,A’における各第2リレー22bがON状態とされることでキャパシタ98から負荷14に至る電力経路が構成される。これにより、キャパシタ98に蓄えられた電力が負荷14に供給されて、例えばモータを駆動させることができる。
【0054】
あるいは、要部A,A’における各第1リレー22aをON状態としつつ、各第2リレー22bをOFF状態とすることで、電源12からインバータ100に至る電力経路が構成される。これにより、電源12の電力を交流に変換して、インバータ100に接続されるケーブル等を介して家庭用の電力として取り出すこともできる。
【0055】
以上のような回路構成体10によれば、要部A,A’における第1および第2リレー22a,22bに通電されることで各第1および第2リレー22a,22bが発熱するが、各第1および第2リレー22a,22b間を接続する通電用バスバー26には各中空管路32が設けられており、各中空管路32を含んで冷媒が流動する冷媒流通経路76が構成されている。このように通電用バスバー26内を冷媒が流動することで通電用バスバー26の温度上昇を回避することができて、各第1および第2リレー22a,22bにおいて発生する熱も解消することができる。
【0056】
また、冷媒流通経路76が通電用バスバー26の内部に設けられる各中空管路32を含んで構成されることから、通電用バスバー26の外部に冷媒流通経路が設けられる場合に比べて、通電用バスバー26、ひいては回路構成体10の大型化が回避される。特に、通電用バスバー26を用いて冷却構造を実現できることから、別途放熱用などの構造を設ける必要がなく、構造の簡略化や作業効率の向上等の効果が発揮される。
【0057】
通電用バスバー26は第1および第2接続管体60,62を有しており、各中空管路32の一方の開口である第1開口28が第1接続管体60を介して冷媒供給管路36に接続されているとともに、各中空管路32の他方の開口である第2開口30が第2接続管体62を介して冷媒返還管路38に接続されている。すなわち、ゴム管により構成される冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が、直接通電用バスバー26に接続されるのではなく、管形状である第1および第2接続管体60,62に接続されることから、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38の各中空管路32への接続を容易に行うことができるとともに、冷媒流通経路76における液密性も安定して確保され得る。
【0058】
また、第1および第2接続管体60,62はバスバー本体51から前方に突出しており、第1および第2接続管体60,62における前方開口部によりそれぞれ第1および第2管路連結口68,70が構成されている。すなわち、各中空管路32から第1および第2接続管体60,62の各内孔66内に流動した冷媒が各中空管路32よりも後方に流動することが回避されており、第1および第2接続管体60,62の各内孔66内における各中空管路32よりも後方の部分で冷媒が滞留するおそれが低減され得る。
【0059】
通電用バスバー26におけるバスバー本体51は、幅方向中央部分の中央領域56と幅方向両側の一対の側方領域58,58とを有している。中央領域56は、各ボルト挿通孔52以外の部分が中実形状とされて、一定の断面形状をもってバスバー本体51の長さ方向(左右方向)の全長にわたって形成されているとともに、各側方領域58にはバスバー本体51の長さ方向の全長にわたって延びる複数の中空管路32が設けられている。これにより、バスバー本体51は、各ボルト挿通孔52以外の部分が略一定の断面形状をもって左右方向に延びており、押出成形後に各ボルト挿通孔52を形成することでバスバー本体51を容易に製造することができる。
【0060】
通電用バスバー26の各ボルト締結部54(第1および第2ボルト締結部54a,54b)が、第1および第2リレー22a,22bにおける負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに直接ボルト締結されている。これにより、冷却を実現する通電用バスバー26と発熱部品である第1および第2リレー22a,22bを直接接触させることができて、冷却効率の向上が図られる。また、通電用バスバー26と第1および第2リレー22a,22bとの連結に際して他部材を介することがなく、部品点数の増大等も回避され得る。
【0061】
特に、第1および第2リレー22a,22bは隣接配置されており、これら第1および第2リレー22a,22bにおける負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに対して、通電用バスバー26の第1および第2ボルト締結部54a,54bが直接ボルト締結されている。これにより、通電用バスバー26の長さ寸法を小さく抑えることができて、第1および第2リレー22a,22bを短い距離で接続することができることから、通電効率の向上も図られる。
【0062】
第1および第2リレー22a,22bは上向きに配置されており、第1および第2リレー22a,22bにおける各接続部24が、第1および第2リレー22a,22bの各天面41に開口しており、通電用バスバー26が第1および第2リレー22a,22bの各天面41に載置されている。これにより、第1および第2リレー22a,22bにおける上下方向寸法を確保することができるとともに、この上下方向寸法を利用して、冷媒供給管路36や冷媒返還管路38を、例えば下方に屈曲して配設することができる。そして、冷媒供給管路36や冷媒返還管路38をゴム等の弾性変形可能な材質により形成することで、通電用バスバー26と冷媒源34との間の公差を冷媒供給管路36や冷媒返還管路38の弾性変形により吸収することができる。特に、冷媒供給管路36や冷媒返還管路38に予め屈曲部分を設けておくことで、当該屈曲部分が優先的に弾性変形することから、弾性変形による公差吸収効果がより安定して発揮され得る。
【0063】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2の回路構成体110について、図8を用いて説明する。実施形態2の回路構成体110は、実施形態1の回路構成体10と基本的な構造は同様であるが、実施形態1の回路構成体10では、第1および第2リレー22a,22bを上向きに配置していたのに対して、実施形態2の回路構成体110は、第1および第2リレー112a,112bを前向きに配置しているという点で異なる。以下の説明では、実施形態1との相違点について説明して、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0064】
なお、図8に示される回路構成体110においても、図2中に示される本開示の要部A,A’を示すものであり、回路構成体110のケース78の内部には、要部Aを構成する第1および第2リレー112a,112bや通電用バスバー26の他、要部A’を構成する第1および第2リレー112a,112bや通電用バスバー26、ヒューズ16、プリチャージリレー18、プリチャージ抵抗20等が収容され得る。
【0065】
<第1および第2リレー112a,112b>
上述のように、実施形態2では、第1および第2リレー112a,112bが前向きに配置されている。すなわち、第1リレー112aにおける正負の第1接続部24a,24bおよび第2リレー112bにおける正負の第2接続部24c,24dが、何れも第1および第2リレー112a,112bにおける前面114に開口している。そして、左右方向で相互に離隔する負極側第1接続部24bと正極側第2接続部24cとが通電用バスバー26により電気的に直列に接続されている。
【0066】
なお、実施形態2において、通電用バスバー26の構造は実施形態1と同様であり、バスバー本体51の左右方向両側に一対のボルト挿通孔52,52(すなわち、第1および第2ボルト締結部54a,54b)が設けられているとともに、バスバー本体51の左右両端部にそれぞれ第1および第2接続管体60,62が連結されている。要するに、実施形態2では、負極側第1接続部24bと正極側第2接続部24cとが何れも前方に開口しているとともに、第1および第2ボルト締結部54a,54bにおける各ボルト挿通孔52が上下方向に開口している。これにより、負極側第1接続部24bと正極側第2接続部24cにおける開口方向と、第1および第2ボルト締結部54a,54bにおける各ボルト挿通孔52における開口方向とが相互に直交している。
【0067】
<接続金具118>
これら負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと第1および第2ボルト締結部54bとがそれぞれ、L字に屈曲された接続金具118により接続されている。すなわち、各接続金具118は、それぞれ略矩形板状とされた上側金具120と下側金具122とを備えており、これら上側金具120と下側金具122とが屈曲部分124により接続されている。また、これら各上側金具120と各下側金具122には、それぞれ板厚方向で貫通する図示しないボルト挿通孔が形成されており、要するに、各接続金具118における長さ方向の両端部にボルト挿通孔が形成されている。
【0068】
そして、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに対して、各接続金具118における上側金具120が前方から重ね合わされて、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと各上側金具120におけるボルト挿通孔とが相互に位置合わせされる。これらのボルト挿通孔にボルト126が挿通されて、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cに締結されることで、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと各上側金具120とがボルト締結されるようになっている。
【0069】
また、実施形態2では、ロアケース82の前方部分において、底壁部90から上方に突出する一対のナット収容部128,128が左右方向で離隔して設けられており、各ナット収容部128の上端部に図示しないナットが収容されている。そして、これら各ナット収容部128に対して上方から通電用バスバー26が載置されるとともに、通電用バスバー26における第1および第2ボルト締結部54a,54bに対して、各接続金具118における下側金具122が上方から重ね合わされる。
【0070】
これにより、各下側金具122におけるボルト挿通孔と、第1および第2ボルト締結部54a,54bにおける各ボルト挿通孔52と、各ナット収容部128におけるナットとが相互に位置合わせされる。これら各下側金具122におけるボルト挿通孔と第1および第2ボルト締結部54a,54bにおける各ボルト挿通孔52にボルト130が挿通されて、各ナット収容部128におけるナットに締結されることで、第1および第2ボルト締結部54a,54bと各下側金具122とがボルト締結されるようになっている。この結果、負極側第1接続部24bおよび正極側第2接続部24cと第1および第2ボルト締結部54a,54bとが、各接続金具118を介してボルト締結により接続されている。
【0071】
上記のような構造とされた実施形態2の回路構成体110においては、第1および第2リレー112a,112bへの通電に伴って発生する熱が各接続金具118を介して通電用バスバー26に伝達されるが、通電用バスバー26に設けられる各中空管路32を含んで構成される冷媒流通経路76内を冷媒が流動することによる冷却効果により、第1および第2リレー112a,112bにおいて発生する熱が解消される。したがって、実施形態2における回路構成体110においても、実施形態1における回路構成体10と同様の効果が発揮され得る。
【0072】
特に、実施形態2では、第1および第2リレー112a,112bが前向きに配置されていることから、第1および第2リレー112a,112b、ひいては回路構成体110の上下方向寸法を小さく抑えることができる。また、実施形態1では、第1および第2リレー22a,22bの各天面41上に通電用バスバー26が載置されて、通電用バスバー26に接続される冷媒供給管路36および冷媒返還管路38が下方に屈曲していたが、実施形態2では、通電用バスバー26は、ロアケース82における各ナット収容部128上に載置されており、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38は上下方向で屈曲することなく、真っ直ぐ前方に延び出している。これにより、冷媒が冷媒流通経路76内を上下方向で流動することが抑制されて、冷媒の流動効率を向上させることができる。
【0073】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0074】
(1)前述のように、図1および図3から図8に示される回路構成体10,110は、図2中の要部Aにおける第1リレー22a,112aおよび第2リレー22b,112bと通電用バスバー26とがケース78に収容された状態を説明するものであって、ケース78には、これらの他、要部A’における第1リレー22a,112aおよび第2リレー22b,112bや通電用バスバー26、ヒューズ16、プリチャージリレー18、プリチャージ抵抗20等が収容され得る。
【0075】
なお、図2に示される電気回路図は、本開示の回路構成体が適用される電気回路の具体的な一例に過ぎず、回路構成体を構成するケースには、従来公知の電気部品等が適切な接続態様をもって収容され得る。したがって、前記実施形態では、通電用バスバー26における何れのボルト締結部54(第1ボルト締結部54aおよび第2ボルト締結部54b)に対しても発熱部品の接続部(第1リレー22a,112aにおける負極側第1接続部24bまたは第2リレー22b,112bにおける正極側第2接続部24c)が直接的にまたは間接的に接続されていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、通電用バスバーにおける少なくとも一方の端部側に設けられたボルト締結部に対して発熱部品の接続部が接続されればよく、通電用バスバーにおける他方の端部側には、例えば別の通電用バスバー等が接続されてもよい。そして、本開示に係る回路構成体を構成するケースの形状は、内部に収容される電気部品等に合わせて適宜に変更され得る。
【0076】
(2)前記実施形態では、冷媒流通経路76内を流動する冷媒として絶縁性を有する「フロリナート(登録商標)」や「ノベック(登録商標)」を例示したが、例えば通電用バスバーに設けられる中空管路の内周面に絶縁性の被覆や被膜を設けることで導電性を有する冷媒を採用することも可能であり、冷媒として、例えば水が採用されてもよい。
【0077】
(3)前記実施形態では、バスバー本体51における各側方領域58において、それぞれ略矩形状の中空管路32が5つ設けられていたが、この態様に限定されるものではない。中空管路の断面形状は円形(長円、楕円、半円等を含む)であってもよいし、三角形や五角形以上の多角形状であってもよい。また、各側方領域における中空管路の数も限定されるものではなく、1つ~4つであってもよいし、6つ以上であってもよい。なお、中空管路はバスバー本体における前後両側の側方領域に設けられる必要はなく、前後方向の一方の側方領域に設けられるだけでもよい。
【0078】
(4)前記実施形態では、冷媒供給管路36および冷媒返還管路38がそれぞれゴム管により構成されて弾性変形可能とされていたが、例えば硬質の部材により形成されてもよい。
【0079】
(5)前記実施形態では、発熱部品として第1リレー22a,112aおよび第2リレー22b,112bが例示されていたが、この態様に限定されるものではない。発熱部品としてはヒューズ等、従来公知の発熱部品が採用され得る。
【符号の説明】
【0080】
10 回路構成体(実施形態1)
12 電源
14 負荷
16 ヒューズ
18 プリチャージリレー
20 プリチャージ抵抗
22 リレー(発熱部品)
22a 第1リレー
22b 第2リレー
24 接続部
24a 正極側第1接続部
24b 負極側第1接続部
24c 正極側第2接続部
24d 負極側第2接続部
26 通電用バスバー
28 第1開口
30 第2開口
32 中空管路
34 冷媒源
36 冷媒供給管路
38 冷媒返還管路
40 リレー本体
41 天面
42 ボルト
43 プリチャージ回路
44 仕切板
46 脚部
48 ボルト挿通孔
50 ボルト
51 バスバー本体
52 ボルト挿通孔
54 ボルト締結部
54a 第1ボルト締結部
54b 第2ボルト締結部
56 中央領域
58 側方領域
60 第1接続管体
62 第2接続管体
64 周壁
66 内孔
68 第1管路連結口
70 第2管路連結口
72 貫通孔
74 内孔
76 冷媒流通経路
78 ケース
80 アッパケース
82 ロアケース
84 上底壁部
86 上周壁部
88 管路挿通部
90 底壁部
92 下周壁部
94 リレー載置部
96 管路支持部
97 ロア側組立体
98 キャパシタ
100 インバータ
110 回路構成体(実施形態2)
112a 第1リレー
112b 第2リレー
114 前面
118 接続金具
120 上側金具
122 下側金具
124 屈曲部分
126 ボルト
128 ナット収容部
130 ボルト
A,A’ 要部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8