IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特開2024-36466パーフルオロアルキン化合物の製造方法
<>
  • 特開-パーフルオロアルキン化合物の製造方法 図1
  • 特開-パーフルオロアルキン化合物の製造方法 図2
  • 特開-パーフルオロアルキン化合物の製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036466
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】パーフルオロアルキン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/358 20060101AFI20240308BHJP
   C07C 21/22 20060101ALI20240308BHJP
   C07C 23/06 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 35/63 20240101ALI20240308BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20240308BHJP
   B01J 27/132 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 27/135 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 23/26 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 21/06 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 21/12 20060101ALI20240308BHJP
   B01J 21/04 20060101ALI20240308BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
C07C17/358
C07C21/22
C07C23/06
B01J35/63
B01J35/60 G
B01J27/132 Z
B01J27/135 Z
B01J23/26 Z
B01J21/06 Z
B01J21/12 Z
B01J21/04 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014527
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021131386の分割
【原出願日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2018191002
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018199158
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018215731
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江藤 友亮
(72)【発明者】
【氏名】中村 新吾
(57)【要約】
【課題】反応の転化率が高く、パーフルオロアルキン化合物を高選択率に得ることができるとともに、フルオロアルケン化合物が副生しにくい方法を提供する。また、触媒の劣化を低減することができるパーフルオロアルキン化合物の製造方法を提供することも目的とする。
【解決手段】(a)所定の元素を含む触媒、(b)所定の元素の少なくとも2種を含む触媒、(c)細孔容積が所定範囲にあるフッ素化された所定の金属酸化物、(d)所定の化合物でフッ素
化された金属酸化物、(e)細孔容積が所定範囲にある所定の金属酸化物をフッ素化した触
媒、のいずれかの触媒を含むか、所定の元素を含む触媒を用いて触媒と前記パーフルオロアルカジエン化合物との接触時間を30秒以下とするか、反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、反応系中の水分量を所定範囲とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、以下の(A)~(G):
(A)前記触媒は、遷移金属元素を含む触媒、及び周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(B)前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒を含有
し、
前記触媒と前記一般式(2)で表されるパーフルオロアルカジエン化合物との接触時間が30秒以下である、
(C)前記触媒は、細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシ
リカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(D)前記触媒は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
(E)前記触媒は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びク
ロロフルオロカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物と
を反応させることでフッ素化された金属酸化物を含有する、
(F)前記触媒は、細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のア
ルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物をフッ素化した触媒を含有する、
(G)反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン
化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下の条件で、
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う、
のいずれかを満たす、製造方法。
【請求項2】
前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記パーフルオロアルカジエン化合物が、
一般式(2):
CR1 2=CR2-CR3=CR4 2 (2)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルカジエン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(A)又は(B)を満たし、且つ、前記触媒が、周期表第4族~第6族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む触媒、並びに周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属す
る元素の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(A)又は(B)を満たし、且つ、前記触媒が、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒、フッ素化されていてもよいジルコニア触媒、及びフッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の
製造方法。
【請求項7】
前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物の細孔容積が0.45mL/g以
上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物を構成する金属が、周期
表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項1、2、3又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記(G)を満たし、且つ、前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を気相で行う、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応が、170℃以上で行われる、請求項1~10
のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応により、前記パーフルオロアルキン化合物の他、パーフルオロシクロアルケン化合物も製造する、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記パーフルオロシクロアルケン化合物が、
式(3):
【化1】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
請求項12又は13に記載の製造方法により副生されたパーフルオロシクロアルケン化合物を基質として用いて、前記パーフルオロアルカジエン化合物を得る工程を備える、製造方法。
【請求項15】
前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物である、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物と、
一般式(3):
【化2】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物とを含有する組成物であって、
組成物全量を100モル%として、前記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキン化合物
の含有量が40~99.999モル%である、組成物。
【請求項17】
エッチングガス又は有機合成用ビルディングブロックとして用いられる、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒であって、以下の(C)~(D):
(C)細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上の
フッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、
(D)細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
のいずれかを満たす、触媒。
【請求項19】
前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項18に記載の触媒。
【請求項20】
パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒の製造方法であって、以下の(E)~(F):
(E)ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びクロロフルオロ
カーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物とを反応させる
ことで前記金属酸化物をフッ素化する工程、
(F)細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のアルミナ、及び
細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
酸化物をフッ素化する工程
のいずれかを備える、製造方法。
【請求項21】
前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物の細孔容積が0.45mL/g以
上である、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物を構成する金属が、周期
表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項20又は21に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パーフルオロアルキン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキン化合物は、半導体用ドライエッチングガスの他、各種冷媒、発泡剤、熱移動媒体等として期待される化合物であり、炭素-炭素三重結合を1つ有する化合
物である。
【0003】
このパーフルオロアルキン化合物の製造方法としては、ヘキサフルオロブタジエンの異性化反応が知られている。例えば、特許文献1では、ハロゲン化アルミナを使用したヘキサフルオロブタジエンの異性化によりヘキサフルオロブチンを得ている。また、特許文献2では、異性化反応触媒としてフッ化ナトリウム、又はフッ化ナトリウムを含む混合物を用いて、ヘキサフルオロシクロブテンからヘキサフルオロブチンを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-001448号公報
【特許文献2】特開2014-058488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、反応の転化率が高く、パーフルオロアルキン化合物を高選択率に得ることができるとともに、フルオロアルケン化合物が副生しにくい方法を提供することを目的とする。また、本開示は、触媒の劣化を低減することができるパーフルオロアルキン化合物の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の構成を包含する。
【0007】
項1.パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、以下の(A)~(G):
(A)前記触媒は、遷移金属元素を含む触媒、及び周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(B)前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒を含有
し、
前記触媒と前記パーフルオロアルカジエン化合物との接触時間が30秒以下である、
(C)前記触媒は、細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシ
リカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(D)前記触媒は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
(E)前記触媒は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びク
ロロフルオロカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物と
を反応させることでフッ素化された金属酸化物を含有する、
(F)前記触媒は、細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のア
ルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくと
も1種の金属酸化物をフッ素化した触媒を含有する、
(G)反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン
化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下の条件で、
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う、
のいずれかを満たす、製造方法。
【0008】
項2.前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物である、項1に記載の製造方法。
【0009】
項3.前記パーフルオロアルカジエン化合物が、
一般式(2):
CR1 2=CR2-CR3=CR4 2 (2)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルカジエン化合物である、項1又は2に記載の製造方法。
【0010】
項4.前記(A)又は(B)を満たし、且つ、前記触媒が、周期表第4族~第6族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む触媒、並びに周期表第4族~第6族及び第13族~第14
族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である、項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【0011】
項5.前記(A)又は(B)を満たし、且つ、前記触媒が、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒、フッ素化されていてもよいジルコニア触媒、及びフッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である、項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【0012】
項6.前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、
周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【0013】
項7.前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物の細孔容積が0.45mL/g以上である、項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【0014】
項8.前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物を構成する金属
が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、項1、2、3又は7に記載の製造方法。
【0015】
項9.前記(G)を満たし、且つ、前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒である、項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【0016】
項10.前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を気相で行う、項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【0017】
項11.前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応が、170℃以上で行われる、項1
~10のいずれか1項に記載の製造方法。
【0018】
項12.前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応により、前記パーフルオロアルキン化合物の他、パーフルオロシクロアルケン化合物も製造する、項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【0019】
項13.前記パーフルオロシクロアルケン化合物が、
式(3):
【0020】
【化1】
【0021】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物である、項12に記載の製造方法。
【0022】
項14.パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
項12又は13に記載の製造方法により副生されたパーフルオロシクロアルケン化合物を基質として用いて、前記パーフルオロアルカジエン化合物を得る工程を備える、製造方法。
【0023】
項15.前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物である、項14に記載の製造方法。
【0024】
項16.一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキン化合物と、
一般式(3):
【0025】
【化2】
【0026】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物とを含有する組成物であって、
組成物全量を100モル%として、前記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキン化合物
の含有量が40~99.999モル%である、組成物。
【0027】
項17.エッチングガス又は有機合成用ビルディングブロックとして用いられる、項16に記載の組成物。
【0028】
項18.パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒であって、以下の(C)~(D):
(C)細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上の
フッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、
(D)細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
のいずれかを満たす、触媒。
【0029】
項19.前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が
、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、項18に記載の触媒。
【0030】
項20.パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒の製造方法であって、以下の(E)~(F):
(E)ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びクロロフルオロ
カーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物とを反応させる
ことで前記金属酸化物をフッ素化する工程、
(F)細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のアルミナ、及び
細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
酸化物をフッ素化する工程
のいずれかを備える、製造方法。
【0031】
項21.前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物の細孔容積が0.45mL/g以上である、項20に記載の製造方法。
【0032】
項22.前記(E)を満たし、且つ、前記フッ素化される前の金属酸化物を構成する金
属が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、項20又は21に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、フルオロアルケン化合物が副生しにくく、反応の転化率が高く、パーフルオロアルキン化合物を高選択率に得ることができる製造方法を提供することができる。また、本開示によれば、触媒の劣化を低減することができるパーフルオロアルキン化合物の製造方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】フッ素化されたアルミナ触媒を用いた場合の反応時間と転化率との関係を示す。
図2】フッ素化されたアルミナ触媒を用いた場合のフッ素化前の細孔容積と劣化速度との関係を示す。
図3】フッ素化されたアルミナ触媒を用いた場合のフッ素化後の細孔容積と劣化速度との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0036】
1.触媒及びその製造方法
本開示の触媒は、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒であって、以下の(C)~(D):
(C)細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上の
フッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、
(D)細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
のいずれかを満たす。
【0037】
[1-1]触媒及びその製造方法(その1)
本開示において、パーフルオロアルカジエン化合物を反応(異性化反応)させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒1(以下、「異性化反応の触媒1」と言うこともある)は、細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。この触媒は、上記した
要件(C)を満たす。従来から使用されている異性化反応の触媒としては、細孔容積は最
適化されておらず、どのような細孔容積のものが使用されているかが不明である。本開示においては、それぞれ特定の細孔容積を有するフッ素化金属酸化物を使用することで、反応の転化率を大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制することができる。このため、本開示の触媒を採用した場合にはその交換頻度を長くすることができ、経済的である。
【0038】
酸化クロム触媒については、特に制限されないが、酸化クロムをCrOmで表記した場合に、1<m<3が好ましく、1.2<m<2がより好ましく、1.3<m<1.8がさらに好ましい。また、酸化
クロムをCrOm・nH2Oで表記した場合に、nの値が3以下、特に1~1.5となるように水和していてもよい。
【0039】
以下、酸化クロム触媒の合成方法の一例を示す。
【0040】
まず、クロム塩の水溶液(硝酸クロム、塩化クロム、クロムみょうばん、硫酸クロム等)とアンモニア水とを混合することよって水酸化クロムの沈殿を得ることができる。この時の沈澱反応の反応速度により水酸化クロムの物性を制御することができる。反応速度は、速いことが好ましい。反応速度は反応溶液温度、アンモニア水混合方法(混合速度)、撹拌状態等により左右される。
【0041】
この沈澱を濾過洗浄後、乾燥することができる。乾燥は、例えば、空気中、70~200℃
で、1~100時間行うことができる。この段階の触媒を水酸化クロムの状態と呼ぶことがある。次いで、この触媒を解砕することができる。ペレットの強度、触媒の活性等の観点から、解砕された粉末(例えば、粒径は1000μm以下、特に46~1000μmの粒径品が95%)の
粉体密度が0.6~1.1g/ml、好ましくは0.6~1.0g/mlになるように沈澱反応速度を調整することが好ましい。粉体の比表面積(BET法による比表面積)は例えば200℃、80分の脱気条件で、100m2/g以上が好ましく、120m2/g以上がより好ましい。なお、比表面積の上限は、例えば、220m2/g程度である。
【0042】
この水酸化クロムの粉体に、要すればグラファイトを3重量%以下混合し、打錠機によりペレットを形成することができる。ペレットのサイズ及び強度は適宜調整することができる。
【0043】
成形された触媒を不活性雰囲気中、例えば窒素気流中焼成し、非晶質の酸化クロムとすることができる。この焼成温度は360℃以上が好ましく、結晶化抑制の観点からは、380~460℃が好ましい。また、焼成時間は、例えば1~5時間とすることができる。
【0044】
焼成された触媒の比表面積は、触媒の活性の観点から、例えば170m2/g以上が好ましく
、180m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がさらに好ましい。なお、比表面積の上限は、通常、240m2/g程度が好ましく、220m2/g程度がより好ましい。
【0045】
アルミナ触媒としては、例えば、α-アルミナ、活性アルミナ等が挙げられる。活性ア
ルミナとしては、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、κ-アルミナ、η-アルミナ、擬γ-アルミ
ナ、γ-アルミナ、σ-アルミナ、θ-アルミナ等が挙げられる。
【0046】
また、複合酸化物としてシリカアルミナ触媒も用いることができる。シリカアルミナ触媒は、シリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)を含む複合酸化物触媒であり、シリカ及び
アルミナの総量を100質量%として、例えば、シリカの含有量が20~90質量%、特に50~80
質量%の触媒を使用することができる。
【0047】
本開示では、上記したような金属酸化物触媒をフッ素化することで、フッ素化された金属酸化物触媒を得る。フッ素化することにより、強い活性を示すようになるとともに、触媒の劣化を低減しやすく、細孔容積を調整することで長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、フッ素化金属酸化物触媒として用いる。金属酸化物触媒のフッ素化方法については後述する。
【0048】
このような本開示の触媒は、触媒の劣化を低減し、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、細孔容積を大きくしている。具体的には、各金属酸化物触媒各々の細孔容積として、フッ素化された酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、フッ素化されたアルミナは0.35mL/g以上(特に0.40~2.0mL/g)、フッ
素化されたシリカアルミナは0.50ml/g以上(特に0.55~2.0mL/g)である。細孔容積がこ
の範囲から小さくなると、触媒の活性点が存在する細孔が、反応の副生成物であるカーボンにより活性点が被覆されるため、または付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が悪くなり、触媒の活性が低下する、すなわち触媒の劣化を招きやすい。また、細孔容積が大きすぎると、触媒の製造方法が煩雑になり製造コストが上がる。
【0049】
このような本開示の触媒は、上記のとおり細孔容積を大きくしている。触媒のフッ素化の程度、つまり、フッ素原子の含有量によって細孔容積を調整することができる。このため、本開示の触媒の総量を100原子%として、フッ素原子の含有量は、5.0~50原子%が好ましく、10~25原子%がより好ましい。
【0050】
金属酸化物触媒をフッ素化する方法としては、例えば、金属酸化物とフッ素化剤とを反応させることが挙げられる。具体的には、例えば、金属酸化物に対してフッ素化剤を流通させてフッ素化することができる。この際の金属酸化物としては、上記したフッ素化された金属酸化物を構成する金属酸化物とすることができる。
【0051】
フッ素化前の金属酸化物触媒は、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積をより大きくすることができ、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすいため、細孔容積が大きいことが好ましい。具体的には、フッ素化前の各金属酸化物触媒各々の好適な細孔容積として、例えば、酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、アルミナは0.45mL/g以上(特に0.50~2.5mL/g)、シリカアルミナは0.40mL/g以上(特に0.50~2.0mL/g)等が挙げられる。細孔容積をこの範囲とすることで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0052】
この際のフッ素化剤としては、例えば、ハイドロフルオロカーボン(R23: トリフルオ
ロメタンR32: ジフルオロメタン R41: モノフルオロメタン)、ハイドロクロロフルオロカーボン(R22: クロロジフルオロメタン、R21: ジクロロモノフルオロメタン)、クロロフルオロカーボン(R13: クロロトリフルオロメタン、R11: トリクロロモノフルオロメタン)等が挙げられる。これらは、フッ化水素と比較すると、フッ素化金属酸化物触媒の細孔容積が大きくなりやすく、触媒の劣化を低減しやすく、長時間上記の異性化反応をさせた場合の触媒の劣化を抑制しやすい。これらのフッ素化剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0053】
フッ素化の条件は、特に制限はないが、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点からは、温度は50~600℃(
特に100~500℃)が好ましく、圧力は0~1000kPa(特に0.1~500kPa)が好ましく、時間
は0.1~24時間(特に1~12時間)が好ましい。これにより、フッ素原子の含有量が上記範囲となるように調整することが好ましい。
【0054】
なお、製造しようとするパーフルオロアルキン化合物は、例えば、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルキンが好ましい。
【0055】
一般式(1)において、R1~R4で示されるパーフルオロアルキル基としては、特に制限
されず、炭素数1~6(特に1~4)のパーフルオロアルキル基が挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0056】
一般式(1)において、R1~R4としては、反応の転化率、得られるパーフルオロアルキ
ン化合物の収率及び選択率等の観点から、いずれもフッ素原子であることが好ましい。なお、R1~R4は同一でも異なっていてもよい。
【0057】
以上から、製造しようとする一般式(1)で表されるパーフルオロアルキン化合物は、
例えば、CF3C≡CCF3、CF3C≡CCF2CF3、CF3C≡CCF(CF3)2、CF3C≡CC(CF3)3、CF3CF2C≡CCF2CF3、CF3CF2C≡CCF(CF3)2、CF3CF2C≡CC(CF3)3、(CF3)2CFC≡CCF(CF3)2、(CF3)2CFC≡CC(CF3)3、(CF3)3CC≡CC(CF3)3等が挙げられる。
【0058】
また、基質としてのパーフルオロアルカジエン化合物は、例えば、一般式(2):
CR1 2=CR2-CR3=CR4 2 (2)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]で表されるパーフルオロアルカジエンが好ましい。
【0059】
一般式(2)において、R1~R4で示されるパーフルオロアルキル基としては、特に制限
されず、炭素数1~6(特に1~4)のパーフルオロアルキル基が挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(2)において、R1~R4としては、反応の転化率、得られるパーフルオロアルキ
ン化合物の収率及び選択率等の観点から、いずれもフッ素原子であることが好ましい。なお、R1~R4は同一でも異なっていてもよい。
【0061】
以上のような条件を満たす一般式(2)で表されるパーフルオロアルカジエンとしては
、例えば、CF2=CFCF=CF2、CF2=CFCF=CFCF3、CF3CF=CFCF=CFCF3、CF(CF3)=CFCF=CF2、C(CF3)2=CFCF=CF2、CF(CF3)=CFCF=CF(CF3)、C(CF3)2=CFCF=CF(CF3)、C(CF3)2=CFCF=C(CF3)2
CF2=C(CF3)C(CF3)=CF2等が挙げられる。これらの一般式(2)で表されるパーフルオロア
ルカジエンは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0062】
以上のようなパーフルオロアルカジエン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。また、特開2001-192345号公報等の常法にしたがって合成することも可能である。
【0063】
[1-2]触媒及びその製造方法(その2)
本開示において、パーフルオロアルカジエン化合物を反応(異性化反応)させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒2(以下、「異性化反応の触媒2」と言うこともある)は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する。この触媒は、上記した要件(D)を満たす。従来から使用されている異性化反応の触媒とし
ては、細孔容積は最適化されておらず、どのような細孔容積のものが使用されているかが不明である。本開示においては、フッ素化された金属酸化物を使用しつつ、その細孔容積を0.35mL/g以上と大きくすることで、反応の転化率を大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制することができる。このため、本開示の触媒を採用した場合にはその交換頻度を長くすることができ、経済的である。
【0064】
本開示の触媒としては、特に制限されないが、フッ素化された金属酸化物を構成する金属としては、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、例えば、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種が好ましく、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少なくとも1種がより好ましく、クロム、チタン、ケイ素
、アルミニウム、ジルコニウム等の少なくとも1種がさらに好ましい。触媒には、上記し
た金属元素が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0065】
このような本開示の触媒としては、パーフルオロアルカジエン化合物からパーフルオロアルキン化合物への異性化反応の活性が高く、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、フッ素化された酸化チタン触媒、フッ素化されたアルミナ触媒、フッ素化されたシリカアルミナ触媒、フッ素化されたジルコニア触媒等が特に好ましい。
【0066】
酸化チタン触媒は、二酸化チタンを主成分とするものであればよく、他の金属酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫化物等の様な不揮発性物質の一種又は二種以上が含まれていてもよい。酸化チタン触媒中、二酸化チタンは、70質量%以上含まれること
が好ましい。
【0067】
二酸化チタンとしては、特に、アナターゼ型二酸化チタンが好ましく、比表面積が5~100m2/g、細孔容積が0.2~0.4ml/gのものが好ましい。また、触媒の形状は球状に成形加工されていることが好ましい。具体的にはCS-200、CS-300、CS-950等の商標名(堺化学(株)製)で市販されているものを好適に使用できる。
【0068】
アルミナ触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0069】
また、ジルコニア触媒としても特に制限はなく、酸化ジルコニウムを主成分とするものであればよく、他の金属酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫化物等の様な不揮発性物質の一種又は二種以上が含まれていてもよい。ジルコニア触媒中、ジルコニアは、70質量%以上含まれることが好ましい。
【0070】
本開示では、上記したような金属酸化物触媒をフッ素化することで、フッ素化された金属酸化物触媒を得る。フッ素化することにより、強い活性を示すようになるとともに、触媒の劣化を低減しやすく、細孔容積を調整することで長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、フッ素化金属酸化物触媒として用いる。金属酸化物触媒のフッ素化方法については後述する。
【0071】
このような本開示の触媒は、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても、触媒の劣化を抑制しやすいため、細孔容積を大きくすることが好ましい。具体的には、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積は、0.35mL/g以上、好ましくは0.40~2.0mL/gである。なお、各金属酸化物触媒各々の好適な細孔容積は、例えば、フッ
素化されたアルミナは0.35mL/g以上(特に0.40~2.0mL/g)、フッ素化されたシリカアル
ミナは0.50ml/g以上(特に0.55~2.0mL/g)等が挙げられる。細孔容積をこの範囲とする
ことで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0072】
このような本開示の触媒のフッ素化の程度(つまり、フッ素原子の含有量)やフッ素化の方法、フッ素化剤、フッ素化の条件等は、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0073】
フッ素化前の金属酸化物触媒は、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積をより大きくすることができ、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても、触媒の劣化を抑制しやすいため、細孔容積が大きいことが好ましい。具体的には、フッ素化前の金属酸化物触媒の細孔容積は、0.45mL/g以上が好ましく、0.50~2.5mL/gがより好ましい。なお、各金属酸化物触媒各々の
好適な細孔容積は、例えば、アルミナは0.45mL/g以上(特に0.50~2.5mL/g)、シリカア
ルミナは0.40mL/g以上(特に0.50~2.0mL/g)等が挙げられる。細孔容積をこの範囲とす
ることで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0074】
なお、製造しようとするパーフルオロアルキン化合物及び基質としてのパーフルオロアルカジエン化合物は、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0075】
2.触媒の製造方法
本開示の触媒の製造方法は、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒の製造方法であって、以下の(E)~(F):
(E)ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びクロロフルオロ
カーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物とを反応させる
ことで前記金属酸化物をフッ素化する工程、
(F)細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のアルミナ、及び
細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
酸化物をフッ素化する工程
のいずれかを備える。
【0076】
[2-1]触媒の製造方法(その3)
本開示において、パーフルオロアルカジエン化合物を反応(異性化反応)させてパーフ
ルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒の製造方法3(以下、「異性化反応の
触媒の製造方法3」と言うこともある)は、ハイドロフルオロカーボン及びハイドロクロ
ロフルオロカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物とを
反応させることで前記金属酸化物をフッ素化する工程を備える。この触媒は、上記した要件(E)を満たす。従来から使用されている異性化反応の触媒としては、細孔容積は最適
化されておらず、どのような細孔容積のものが使用されているかが不明である。本開示においては、上記の特定の化合物によるフッ素化を行うことにより細孔容積を所定の範囲に調整し、反応の転化率を大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制することができる。このため、本開示の触媒を採用した場合にはその交換頻度を長くすることができ、経済的である。
【0077】
金属酸化物としては、特に制限されないが、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、構成する金属が、例えば、周期表第3族~第14族に属する元素の
少なくとも1種が好ましく、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少な
くとも1種がより好ましく、クロム、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の
少なくとも1種がさらに好ましい。金属酸化物には、上記した金属元素が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0078】
このような金属酸化物としては、上記のようにフッ素化することでパーフルオロアルカジエン化合物からパーフルオロアルキン化合物への異性化反応の活性が高く、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、酸化クロム触媒、酸化チタン触媒、アルミナ触媒、シリカアルミナ触媒、ジルコニア触媒等が特に好ましい。
【0079】
酸化クロム触媒、アルミナ触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用でき、酸化チタン触媒及びジルコニア触媒としては、上記[1-2]触媒及びその製造方法(その2)において説明したものを採用できる。
【0080】
上記したようなフッ素化前の金属酸化物触媒は、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積をより大きくすることができ、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすいため、細孔容積が大きいことが好ましい。具体的には、フッ素化前の金属酸化物触媒の細孔容積は、0.45mL/g以上が好ましく、0.50~2.5mL/gがより好ましい。なお、フッ素化前
の各金属酸化物触媒各々の好適な細孔容積は、例えば、酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、アルミナは0.45mL/g以上(特に0.50~2.5mL/g)、シリカアルミナは0.40mL/g以上(特に0.50~2.0mL/g)等が挙げられる。細孔容積をこの範囲とすることで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0081】
本開示では、上記したような金属酸化物触媒を特定の化合物でフッ素化することで、フッ素化された金属酸化物触媒を得る。フッ素化することにより、強い活性を示すようになるとともに、触媒の劣化を低減しやすく、細孔容積を調整することで長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、フッ素化金属酸化物触媒として用いる。
【0082】
本開示において金属酸化物触媒をフッ素化する方法として、金属酸化物とフッ素化剤とを反応させる。具体的には、例えば、金属酸化物に対してフッ素化剤を流通させてフッ素
化することができる。
【0083】
この際のフッ素化剤として、本開示では、ハイドロフルオロカーボン(R23: トリフル
オロメタンR32: ジフルオロメタン R41: モノフルオロメタン)、ハイドロクロロフルオロカーボン(R22: クロロジフルオロメタン、R21: ジクロロモノフルオロメタン)、及びクロロフルオロカーボン(R13: クロロトリフルオロメタン、R11: トリクロロモノフルオロメタン)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用する。これらは、フッ
化水素と比較すると、フッ素化金属酸化物触媒の細孔容積が大きくなり、触媒の劣化を低減でき、長時間上記の異性化反応をさせた場合の触媒の劣化を抑制できる。これらのフッ素化剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0084】
フッ素化の条件は、特に制限はないが、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点からは、温度は50~600℃(
特に100~500℃)が好ましく、圧力は0~1000kPa(特に0.1~500kPa)が好ましく、時間
は0.1~24時間(特に1~12時間)が好ましい。
【0085】
このようにして得られる触媒は、細孔容積が大きいために触媒の劣化を低減し、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できる。具体的には、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積は、0.35mL/g以上が好ましく、0.40~2.0mL/gがより好ま
しい。なお、各金属酸化物触媒各々の細孔容積は、例えば、フッ素化された酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、フッ素化されたアルミナは0.35mL/g以上(特に0.40~2.0mL/g)、フッ素化されたシリカアルミナは0.50ml/g以上(特に0.55~2.0mL/g)が好ましい。細孔容積をこの範囲とすることで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0086】
このようにして得られる触媒は、細孔容積が大きいものであるが、触媒のフッ素化の程度、つまり、フッ素原子の含有量によって細孔容積を調整することもできる。このため、得られるフッ素化後の触媒の総量を100原子%として、フッ素原子の含有量は、5.0~50原
子%が好ましく、10~25原子%がより好ましい。
【0087】
なお、製造しようとするパーフルオロアルキン化合物及び基質としてのパーフルオロアルカジエン化合物は、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0088】
[2-2]触媒の製造方法(その4)
本開示において、パーフルオロアルカジエン化合物を反応(異性化反応)させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒の製造方法4(以下、「異性化反応の
触媒の製造方法4」と言うこともある)は、フッ素化される前の金属酸化物が、細孔容積
が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のアルミナ、及び細孔容積が0.5mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物をフッ素化する工程を備える。この触媒は、上記した要件(F)を満たす。従来から使用されている
異性化反応の触媒としては、細孔容積は最適化されておらず、どのような細孔容積のものが使用されているかが不明である。本開示においては、それぞれ特定の細孔容積を有する金属酸化物をフッ素化することにより、反応の転化率を大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制することができる。このため、本開示の触媒を採用した場合にはその交換頻度を長くすることができ、経済的である。
【0089】
酸化クロム触媒、アルミナ触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0090】
上記したようなフッ素化前の金属酸化物触媒は、フッ素化後の金属酸化物触媒の細孔容積をより大きくすることができ、反応の転化率をより大きくするとともに、触媒の劣化を低減でき、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、細孔容積が大きいものを使用する。具体的には、フッ素化前の各金属酸化物触媒各々の好適な細孔容積として、酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、アルミナは0.45mL/g以上(特に0.50~2.5mL/g)、シリカアルミナは0.40mL/g以上(特に0.50~2.0mL/g)である。細孔容積がこの範囲から小さくなると、触媒の活性点が存在する細孔が、反応の副生成物であるカーボンにより活性点が被覆されるため、または付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が悪くなり、触媒の活性が低下する、すなわち触媒の劣化を招きやすい。また、細孔容積が大きすぎると、触媒の製造方法が煩雑になり製造コストが上がる。
【0091】
本開示では、上記したような金属酸化物触媒をフッ素化することで、フッ素化された金属酸化物触媒を得る。フッ素化することにより、強い活性を示すようになるとともに、触媒の劣化を低減しやすく、細孔容積を調整することで長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できるため、フッ素化金属酸化物触媒として用いる。
【0092】
フッ素化する方法、フッ素化剤及びフッ素化の条件については、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0093】
このようにして得られる触媒は、細孔容積が大きいために触媒の劣化を低減し、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制できる。具体的には、各金属酸化物触媒各々の細孔容積として、例えば、フッ素化された酸化クロムは0.05mL/g以上(特に0.075~1.5mL/g)、フッ素化されたアルミナは0.35mL/g以上(特に0.40~2.0mL/g)、
フッ素化されたシリカアルミナは0.50ml/g以上(特に0.55~2.0mL/g)が好ましい。細孔
容積をこの範囲とすることで、反応の副生成物であるカーボンにより触媒の活性点が被覆されにくく、付着したカーボンにより細孔内の気体拡散性が阻害されにくく、触媒の活性を維持し、すなわち触媒の劣化を抑制しやすいうえに、触媒の製造方法も簡便である。
【0094】
このようにして得られる触媒は、細孔容積が大きいものであるが、触媒のフッ素化の程度、つまり、フッ素原子の含有量によって細孔容積を調整することもできる。このため、得られるフッ素化後の触媒の総量を100原子%として、フッ素原子の含有量は、5.0~50原
子%が好ましく、10~25原子%がより好ましい。
【0095】
なお、製造しようとするパーフルオロアルキン化合物及び基質としてのパーフルオロアルカジエン化合物は、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0096】
3.パーフルオロアルキン化合物の製造方法
本開示のパーフルオロアルキン化合物の製造方法は、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、以下の(A)~(G):
(A)前記触媒は、遷移金属元素を含む触媒、及び周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(B)前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒を含有
し、
前記触媒と前記一般式(2)で表されるパーフルオロアルカジエン化合物との接触時間が30秒以下である、
(C)前記触媒は、細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシ
リカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(D)前記触媒は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
(E)前記触媒は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びク
ロロフルオロカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物と
を反応させることでフッ素化された金属酸化物を含有する、
(F)前記触媒は、細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のア
ルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物をフッ素化した触媒を含有する、
(G)反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン
化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下の条件で、
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う、
のいずれかを満たす。
【0097】
なお、パーフルオロアルキン化合物及びパーフルオロアルカジエン化合物としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0098】
[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)
本開示のパーフルオロアルキン化合物の第1の製造方法は、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、前記触媒は、遷移金属元素を含む触媒、及び周期表第3族~第14族に属する元素
の少なくとも2種を含む触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である。この製造方法は、上記した要件(A)を満たす。
【0099】
従来から、パーフルオロアルキン化合物の製造方法としては、触媒としてハロゲン化アルミナやフッ化ナトリウム等のように、遷移金属を含まず第13族元素を1種のみ含む触媒
や、アルカリ金属を含む触媒を用いた例しか存在しない。本開示によれば、従来にはない遷移金属元素を含む触媒や、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒等を用いて、反応の転化率が高く、パーフルオロアルキン化合物を高収率及び高選択率に得ることができ、パーフルオロアルキン化合物を合成する際の選択の幅を広げることができる。このように、触媒として、活性の高い遷移金属元素を含む触媒や、複合酸化物とすることにより活性が高くなる周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒等を用いることで、反応の転化率が高く、パーフルオロシクロアルケン化合物を高選択率に得ることができる。しかも、本開示によれば、従来の方法とは異なり、後述のように、フルオロアルケン化合物が副生しにくい。
【0100】
本開示においては、異性化反応の触媒として遷移金属元素を含む触媒や、周期表第3族
~第14族に属する元素の少なくとも2種を含む触媒を使用する。このような触媒としては
、特に制限されないが、反応の転化率が特に高く、パーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、周期表第4族~第6族に属する遷移金属元素の少なくとも1種を含む触媒や、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素
の少なくとも2種を含む触媒等が好ましく、クロム、チタン、ジルコニウム等を含む触媒
や、ケイ素及びアルミニウムを含む触媒等がより好ましい。
【0101】
このような異性化反応の触媒としては、パーフルオロアルカジエン化合物からパーフルオロアルキン化合物への異性化反応の活性が高く、反応条件によってはパーフルオロアル
キン化合物と同様に半導体用ドライエッチングガスの他、各種冷媒、発泡剤、熱移動媒体等として期待されるパーフルオロシクロアルケン化合物の生成反応にも高い活性を有することから、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒(酸化クロム触媒又はフッ素化された酸化クロム触媒)、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒(酸化チタン触媒又はフッ素化された酸化チタン触媒)、フッ素化されていてもよいジルコニア触媒(ジルコニア触媒又はフッ素化されたジルコニア触媒)、フッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒(シリカアルミナ触媒又はフッ素化されたシリカアルミナ触媒)等が好ましい。
【0102】
酸化クロム触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用でき、酸化チタン触媒及びジルコニア触媒としては、上記[1-2]触媒及びその製造方法(その2)において説明したものを採用できる。
【0103】
また、触媒をフッ素化する場合のフッ素化の程度(フッ素原子の含有量)、フッ素化する方法、フッ素化剤及びフッ素化の条件については、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0104】
これらの異性化反応の触媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いること
もできる。
【0105】
以上のような異性化反応の触媒の使用量は触媒量とすることができ、特に制限されないが、反応の転化率が特に高く、パーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、例えば、時間あたりのパーフルオロアルカジエン化合物供給速度に対する触媒重量比(W/F)は0.1~200g・sec./ccが好ましく、0.5~150 g・sec./ccがより好ましい。なお、異性化反応の触媒を複数使用する場合は、その合計量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。上記のW/Fは特に気相反応の場合の触媒量を特
定したものであるが、液相反応を採用する場合も、フッ化物の使用量は触媒量とすることができ、適宜調整することができる。
【0106】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う際には、基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、異性化反応の触媒以外にも、伝熱や触媒濃度を薄める目的で、金属ニッケル(特に金属ニッケルビーズ)や活性炭等を、W/Fが0.1~200g・sec./cc、特に0.5~150 g・sec./ccになるように使用することも可能である。
【0107】
本開示の製造方法(特にパーフルオロアルカジエン化合物の反応)は、液相中で行うことも可能であるが、気相中、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。これにより、液相中で行う場合と比較してもさらに装置、操作等を簡略化できるとともに、バッチ式で行う場合と比較してもパーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる。
【0108】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応は加熱して行われることが好ましい。具体的には、系中に基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、異性化反応の触媒とを投入した後に加熱することが好ましい。この際の加熱温度は、反応の転化率が特に高く、パーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、170℃以上(特に170~400℃)が好ましく、180~280℃がより好まし
い。
【0109】
本開示の製造方法において、触媒とパーフルオロアルカジエン化合物との接触時間(反応時間)は特に制限はなく、反応の転化率が特に高く、パーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、1~100秒が好ましく、2~30秒がよ
り好ましい。
【0110】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応における雰囲気は特に制限はなく、例えば、反応雰囲気は不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等)が好ましい。
【0111】
本開示の製造方法においては、パーフルオロシクロアルケン化合物のみならず、パーフルオロシクロアルケン化合物も製造され得る。このパーフルオロシクロアルケン化合物としては、一般式(3):
【0112】
【化3】
【0113】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物が挙げられる。なお、パーフルオロシクロアルケン化合物の詳細については後述する。
【0114】
このため、反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、パーフルオロアルキン化合物を得ることができる。
【0115】
また、本開示の製造方法により副生されたパーフルオロシクロアルケン化合物については、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行った後に、当該パーフルオロシクロアルケン化合物を基質として用いて、パーフルオロアルキン化合物を得ることも可能である。この際の方法や条件等については、特許文献2(特開2014-058488号公報)に記載のものを採用することができる。好ましい具体例も採用することができる。
【0116】
具体的には、パーフルオロシクロアルケン化合物を基質として用いて、異性化触媒を用いた異性化によりパーフルオロアルキン化合物を得ることができる。この工程は、気相中、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことができるが、バッチ式反応により行うことも可能である。
【0117】
異性化反応における触媒として、低吸湿性であるため大気中で扱いやすく、高活性、高選択率の得られるフッ化ナトリウムを使用することが好ましい。フッ化ナトリウムそのものを触媒とする場合は、粉末状でもよいが、ペレット状の方が気相連続流通式反応に好ましい。また、フッ化ナトリウムをアルミナ、多孔性フッ化アルミニウム、活性炭、シリカ、ゼオライト等の担体に担持させたものを使用することも可能である。また、フッ化ナトリウムに他の成分を混合して使用することも可能である。
【0118】
異性化反応の温度は、通常200~800℃が好ましく、400~600℃がより好ましい。
【0119】
上記のようにして得られるパーフルオロアルキン化合物のみならず、パーフルオロシクロアルケン化合物も、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。なお、有機合
成用ビルディングブロックの詳細については後述する。
【0120】
[3-2]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その2)
本開示のパーフルオロアルキン化合物の第2の製造方法は、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒であり、前記触媒と前記パーフルオロアルカジエン化合物との接触時間が30秒以下である。この製造方法は、上記した要件(B)を満たす。
【0121】
従来から、パーフルオロアルキン化合物の製造方法としては、触媒としてハロゲン化アルミナやフッ化ナトリウム等のように、遷移金属を含まず第13族元素を1種のみ含む触媒
や、アルカリ金属を含む触媒を用いた例が存在するが、例えば遷移金属を含まず第13族元素を1種のみ含む触媒を例に取ると、32秒以上と反応時間を長時間とした例しか存在しな
い。本開示によれば、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒を用いて、反応時間を30秒以下とすることで、反応の転化率が高く、パーフルオロアルキン化合物を高収率及び高選択率に得ることができ、パーフルオロアルキン化合物を合成する際の選択の幅を広げることができる。この方法によれば反応時間も短いため経済的に反応を進行させることができる。しかも、本開示によれば、従来の方法とは異なり、後述のように、フルオロアルケン化合物が副生しにくい。
【0122】
本開示においては、異性化反応の触媒として周期表第3族~第14族に属する元素の少な
くとも1種を含む触媒を使用する。このような触媒としては、特に制限されないが、反応
の転化率が特に高く、パーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、遷移金属元素を含む触媒や、周期表第3族~第14族に属する元素の少
なくとも2種を含む触媒が好ましく、周期表第4族~第6族に属する遷移金属元素の少なく
とも1種を含む触媒や、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少なくと
も2種を含む触媒等がより好ましく、クロム、チタン、ジルコニウム等を含む触媒や、ケ
イ素及びアルミニウムを含む触媒等がさらに好ましい。
【0123】
このような異性化反応の触媒としては、パーフルオロアルカジエン化合物からパーフルオロアルキン化合物への異性化反応の活性が高く、反応条件によってはパーフルオロアルキン化合物と同様に半導体用ドライエッチングガスの他、各種冷媒、発泡剤、熱移動媒体等として期待されるパーフルオロシクロアルケン化合物の生成反応にも高い活性を有することから、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒(酸化クロム触媒又はフッ素化された酸化クロム触媒)、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒(酸化チタン触媒又はフッ素化された酸化チタン触媒)、フッ素化されていてもよいジルコニア触媒(ジルコニア触媒又はフッ素化されたジルコニア触媒)、フッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒(シリカアルミナ触媒又はフッ素化されたシリカアルミナ触媒)等が好ましい。なお、この態様においては、周期表第13族に属する元素を1種含む触媒として、フッ素化されて
いてもよいアルミナ触媒を使用することもできる。
【0124】
酸化クロム触媒、アルミナ触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用でき、酸化チタン触媒及びジルコニア触媒としては、上記[1-2]触媒及びその製造方法(その2)において説明したものを採用できる。
【0125】
これらの異性化反応の触媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いること
もできる。
【0126】
また、触媒をフッ素化する場合のフッ素化の程度(フッ素原子の含有量)、フッ素化する方法、フッ素化剤及びフッ素化の条件については、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0127】
以上のような異性化反応の触媒の使用量については、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0128】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う際には、基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、異性化反応の触媒以外にも、伝熱や触媒濃度を薄める目的で、金属ニッケル(特に金属ニッケルビーズ)や活性炭等を、W/Fが0.1~200g・sec./cc、特に0.5~150 g・sec./ccになるように使用することも可能である。
【0129】
本開示の製造方法(特にパーフルオロアルカジエン化合物の反応)は、液相中で行うことも可能であるが、気相中、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。これにより、液相中で行う場合と比較してもさらに装置、操作等を簡略化できるとともに、バッチ式で行う場合と比較してもパーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる。
【0130】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応における反応温度及び反応雰囲気については、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0131】
本開示の製造方法において、触媒とパーフルオロアルカジエン化合物との接触時間(反応時間)は、30秒以下、好ましくは25秒以下である。接触時間(反応時間)が30秒をこえると、パーフルオロアルキン化合物の収率が低下する。なお、接触時間(反応時間)の下限値は特に制限はないが、通常1秒である。
【0132】
本開示の製造方法においては、パーフルオロシクロアルケン化合物のみならず、パーフルオロシクロアルケン化合物も製造され得る。このパーフルオロシクロアルケン化合物としては、一般式(3):
【0133】
【化4】
【0134】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物が挙げられる。なお、パーフルオロシクロアルケン化合物の詳細については後述する。
【0135】
このため、反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、パーフルオロアルキン化合物を得ることができる。
【0136】
また、本開示の製造方法により副生されたパーフルオロシクロアルケン化合物については、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行った後に、当該パーフルオロシクロアル
ケン化合物を基質として用いて、パーフルオロアルキン化合物を得ることも可能である。この際の方法や条件等については、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0137】
上記のようにして得られるパーフルオロアルキン化合物のみならず、パーフルオロシクロアルケン化合物も、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。なお、有機合成用ビルディングブロックの詳細については後述する。
【0138】
[3-3]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その3)
本開示のパーフルオロアルキン化合物の第3の製造方法は、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、以下の(C)~(F):
(C)前記触媒は、細孔容積が0.08mL/g以上のフッ素化された酸化クロム、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化されたアルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のフッ素化されたシ
リカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する、
(D)前記触媒は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する、
(E)前記触媒は、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン及びク
ロロフルオロカーボンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属酸化物と
を反応させることでフッ素化された金属酸化物を含有する、
(F)前記触媒は、細孔容積が0.10mL/g以上の酸化クロム、細孔容積が0.45mL/g以上のア
ルミナ、及び細孔容積が0.50mL/g以上のシリカアルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物をフッ素化した触媒を含有する、
のいずれかを満たす。
【0139】
要件(C)は、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明した本開
示の異性化反応の触媒1を使用することを意味しており、要件(D)は、上記[1-2]触媒及びその製造方法(その2)において説明した本開示の異性化反応の触媒2を使用する
ことを意味しており、要件(E)は、上記[2-1]触媒の製造方法(その3)において
説明した本開示の異性化反応の触媒の製造方法3により得られた触媒を使用することを意
味しており、要件(F)は、上記[2-2]触媒の製造方法(その4)において説明した
本開示の異性化反応の触媒の製造方法4により得られた触媒を使用することを意味してい
る。なお、本開示の触媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもで
きる。
【0140】
本開示においては、上記したような本開示の触媒を使用することで、反応の転化率を大きくするとともに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制することができる。このため、本開示の触媒の交換頻度を長くすることができ、経済的な方法である。
【0141】
以上のような本開示の触媒の使用量は触媒量とすることができ、特に制限されないが、反応の転化率が特に高く、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、例えば、時間あたりのパーフルオロアルカジエン化合物供給速度に対する触媒重量比(W/F)は0.1~200g・sec./ccが好ましく
、0.5~150 g・sec./ccがより好ましい。なお、本開示の触媒を複数種使用する場合は、
その合計量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。上記のW/Fは特に気相反
応の場合の触媒量を特定したものであるが、液相反応を採用する場合も、触媒の使用量は触媒量とすることができ、適宜調整することができる。
【0142】
本開示の製造方法において、異性化反応は、基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、本開示の触媒以外にも、伝熱や触媒濃度を薄める目的で、金属ニッケル(特に金属ニッケルビーズ)や活性炭等を、W/Fが0.1~200g・sec./cc、特に0.5~150 g・sec./ccになるように使用することも可能である。
【0143】
本開示の製造方法において、異性化反応は液相中で行うことも可能であるが、気相中、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。これにより、液相中で行う場合と比較してもさらに装置、操作等を簡略化できるとともに、バッチ式で行う場合と比較してもパーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができ、さらに、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい。
【0144】
本開示の製造方法において、異性化反応は加熱して行われることが好ましい。具体的には、系中に基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、本開示の触媒とを投入した後に加熱することが好ましい。この際の加熱温度は、反応の転化率が特に高く、触媒の劣化を低減しやすく、長時間にわたって上記の異性化反応を行っても触媒の劣化を抑制しやすい観点から、170℃以上(特に170~400℃)が好ましく、180~280℃がより好ましい。
【0145】
本開示の製造方法において、異性化反応における反応時間は特に制限はないが、本開示は触媒の劣化を低減しやすく長時間にわたって上記の異性化反応を行っても劣化を抑制するものであるから長時間の反応に適しており、10~200時間が好ましく、20~100時間がより好ましい。
【0146】
本開示の製造方法において、異性化反応における雰囲気は特に制限はなく、例えば、反応雰囲気は不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等)が好ましい。
【0147】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、パーフルオロアルキン化合物を得ることができる。
【0148】
上記のようにして得られるパーフルオロアルキン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。なお、有機合成用ビルディングブロックの詳細については後述する。
【0149】
[3-4]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その4)
本開示のパーフルオロアルキン化合物の第4の製造方法は、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下の条件で
、前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う。
【0150】
パーフルオロアルキン化合物の製造方法としては、触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させて異性化させる方法が知られているが、触媒の劣化を低減できる方法は知られていない。本開示によれば、反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量を30質量ppm以下とすることで、触媒の劣化を低減し、反応の転化率を維持する
ことができる。この際、上記の異性化反応を長時間行っても触媒の劣化を抑制することも可能である。この際、触媒の劣化速度は時間あたりのパーフルオロアルカジエン化合物供給速度に対する触媒重量比(W/F)によっても異なり、W/Fを大きくする、つまり、パーフ
ルオロアルカジエン化合物供給速度を遅くすると、さらに触媒の劣化を抑制することも可能である。このため、本開示の製造方法を採用した場合には触媒の交換頻度を長くすることができ、経済的な方法である。
【0151】
詳しくは後述するが、本開示によれば、反応系中に存在する水分量を低く抑えている。このため、触媒の活性点が水によって潰されて劣化することを効果的に抑制することができる。つまり、どのような触媒を使用した場合においても、触媒の活性点が水によって潰されることを抑制することができ、触媒の劣化を効果的に低減することができる。異性化反応の触媒としては、特に制限されないが、反応系中の水分量を少なくすることで触媒の劣化を低減しやすく長時間にわたって上記の異性化反応を行っても劣化を抑制しやすい観点から、例えば、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒が好ましく、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒が
より好ましく、クロム、チタン、ケイ素、アルミニウム等の少なくとも1種を含む触媒が
さらに好ましい。触媒には、上記した金属元素が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0152】
このような異性化反応の触媒としては、パーフルオロアルカジエン化合物からパーフルオロアルキン化合物への異性化反応の活性が高く、反応系中の水分量を少なくすることで触媒の劣化を低減しやすく長時間にわたって上記の異性化反応を行っても劣化を抑制しやすい観点から、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒(酸化クロム触媒又はフッ素化された酸化クロム触媒)、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒(酸化チタン触媒又はフッ素化された酸化チタン触媒)、フッ素化されていてもよいアルミナ触媒(アルミナ触媒又はフッ素化されたアルミナ触媒)、フッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒(シリカアルミナ触媒又はフッ素化されたシリカアルミナ触媒)等が特に好ましい。
【0153】
酸化クロム触媒、アルミナ触媒及びシリカアルミナ触媒としては、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用でき、酸化チタン触媒及びジルコニア触媒としては、上記[1-2]触媒及びその製造方法(その2)において説明したものを採用できる。
【0154】
これらの異性化反応の触媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いること
もできる。
【0155】
また、触媒をフッ素化する場合のフッ素化の程度(フッ素原子の含有量)、フッ素化する方法、フッ素化剤及びフッ素化の条件については、上記[1-1]触媒及びその製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0156】
以上のような異性化反応の触媒の使用量については、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0157】
本開示の製造方法において、異性化反応(パーフルオロアルカジエン化合物の反応)は、基質であるパーフルオロアルカジエン化合物と、異性化反応の触媒以外にも、伝熱や触媒濃度を薄める目的で、金属ニッケル(特に金属ニッケルビーズ)や活性炭等を、W/Fが0.1~200g・sec./cc、特に0.5~150 g・sec./ccになるように使用することも可能である。
【0158】
本開示の製造方法では、異性化反応(パーフルオロアルカジエン化合物の反応)は、反応開始から反応終了までの少なくとも一部において、パーフルオロアルカジエン化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下の条件で行われる。なお、水分量の下限値は1質量ppbとすることができる。なお、本開示において、反応系中の水分量は、例えば、後述のように、反応雰囲気を不活性ガス
雰囲気としつつ、特定の水分量を有するパーフルオロアルカジエン化合物を供給することにより調整することができる。
【0159】
なお、本開示において、反応系中の水分量は、上記のとおり、30質量ppm以下であるが
、反応開始時において反応系中の水分量が30質量ppm以下であってもよいし、反応途中で
反応系中の水分量が30質量ppm以下であってもよいし、反応終了時に反応系中の水分量が30質量ppm以下であってもよい。つまり、反応開始時から反応終了時までの少なくとも一部(少なくともいずれかのタイミング)において、反応系中の水分量が30質量ppm以下であ
ればよい。なかでも、触媒劣化をより抑制する観点からは、少なくとも反応開始時に反応系中の水分量が30質量ppm以下(特に20質量ppm以下)であることが好ましく、反応開始時から反応終了時までの全てにおいて反応系中の水分量が30質量ppm以下(特に20質量ppm以下)であることが特に好ましい。
【0160】
本開示の製造方法において、異性化反応(パーフルオロアルカジエン化合物の反応)における反応雰囲気は、反応系中の水分量が上記した範囲を充足していれば特に制限はなく、例えば、不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等)が好ましい。なお、反応雰囲気が不活性ガス雰囲気である場合は、反応系中の水分量が30質量ppm以下で
あることは、実質的には、基質であるパーフルオロアルカジエン化合物の水分量が30質量ppm以下であると言い換えることができる。つまり、反応雰囲気が不活性ガス雰囲気であ
る場合は、本開示の製造方法は、触媒の存在下に、水分量が30質量ppm以下のパーフルオ
ロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る方法であると言い換えることができる。この場合も、反応開示、つまり、触媒と接触直前のパーフルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であってもよいし、、反応途中で反応系中のパー
フルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であってもよいし、反応終了時にパー
フルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であってもよい。つまり、反応開始時
から反応終了時までの少なくとも一部(少なくともいずれかのタイミング)において、パーフルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であればよく、少なくとも反応開始
時にパーフルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であることが好ましく、反応
開始時から反応終了時までの全てにおいてパーフルオロアルキン化合物の水分量が30質量ppm以下であることが特に好ましい。
【0161】
本開示の製造方法において、異性化反応(パーフルオロアルカジエン化合物の反応)は液相中で行うことも可能であるが、気相中、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。これにより、液相中で行う場合と比較してもさらに装置、操作等を簡略化できるとともに、バッチ式で行う場合と比較してもパーフルオロアルキン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができ、さらに、反応系中の水分量を少なくすることで触媒の劣化を低減しやすく長時間にわたって上記の異性化反応を行っても劣化を抑制しやすい。
【0162】
本開示の製造方法において、パーフルオロアルカジエン化合物の反応における反応温度については、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)において説明したものを採用できる。
【0163】
本開示の製造方法において、異性化反応(パーフルオロアルカジエン化合物の反応)における反応時間は特に制限はないが、本開示は反応系中の水分量を少なくすることで触媒の劣化を低減しやすく長時間にわたって上記の異性化反応を行っても劣化を抑制するものであるから長時間の反応に適しており、10~200時間が好ましく、20~100時間がより好ましい。
【0164】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、パーフルオロアルキン
化合物を得ることができる。
【0165】
上記のようにして得られるパーフルオロアルキン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。なお、有機合成用ビルディングブロックの詳細については後述する。
【0166】
4.パーフルオロシクロアルケン組成物
以上のようにして、パーフルオロアルキン化合物を得ることができるが、上記[3-1]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その1)又は[3-2]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その2)で説明した製造方法を採用する場合、上記のように、パーフルオロアルキン化合物と、パーフルオロシクロアルケン化合物とを含有する、パーフルオロアルキン組成物の形で得られることもある。なお、上記[3-3]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その3)又は[3-4]パーフルオロアルキン化合物の製造方法(その4)で説明した製造方法を採用する場合、得られるパーフルオロアルキン化合物の選択率は極めて高く、生成物中のその他の追加的化合物の含有量を極端に低減することが可能である。
【0167】
パーフルオロアルキン化合物を、パーフルオロアルキン組成物の形で得られる場合、パーフルオロアルキン化合物は、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロアルキンが好ましく、パーフルオロシクロアルケン化合物は、一般式(3):
【0168】
【化5】
【0169】
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物が好ましい。この本開示のパーフルオロアルキン組成物において、パーフルオロアルキン化合物は単独で用いることもでき、2種以
上を組合せて用いることもできる。
【0170】
パーフルオロシクロアルケン化合物としては、例えば、
【0171】
【化6】
【0172】
等が挙げられる。パーフルオロシクロアルケン化合物は単独で用いることもでき、2種以
上を組合せて用いることもできる。
【0173】
この本開示のパーフルオロアルキン組成物において、本開示のパーフルオロアルキン組成物の総量を100モル%として、パーフルオロアルキン化合物の含有量は40~99.999モル%
が好ましく、50~99.998モル%がより好ましく、60~99.997モル%がさらに好ましい。また、パーフルオロシクロアルケン化合物の含有量は、同様に本開示のパーフルオロアルキン組成物の総量を100モル%として、0.001~60モル%が好ましく、0.002~50モル%がより好ましく、0.003~40モル%がさらに好ましい。
【0174】
また、本開示の製造方法によれば、上記パーフルオロアルキン化合物及びパーフルオロシクロアルケン化合物以外にも、
一般式(4A):
CR1 2=CR2-CFR3-CFR4 2 (4A)
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるパーフルオロアルケン化合物や、
一般式(4B):
CFR1 2-CR2=CH-CFR4 2 (4B)
[式中、R1~R4は前記に同じである。]
で表されるフルオロアルケン化合物
等も製造され得る。なお、本開示の製造方法によれば、一般式(4B)で表されるフルオロアルケン化合物は副生されにくい。
【0175】
このため、本開示のパーフルオロアルキン組成物には、一般式(4A)で表されるパーフルオロアルケン化合物や、一般式(4B)で表されるフルオロアルケン化合物も含まれ得る。本開示のパーフルオロアルキン組成物中に一般式(4A)で表されるパーフルオロアルケン化合物が含まれる場合、その含有量は、本開示のパーフルオロアルキン組成物の総量を100モル%として、0.0005~0.5モル%が好ましく、0.001~0.3モル%がより好ましい。また
、本開示のパーフルオロアルキン組成物中に一般式(4B)で表されるフルオロアルケン化合物が含まれる場合、本開示の製造方法によれば、一般式(4B)で表されるフルオロアルケン化合物は副生されにくいため、その含有量は、本開示のパーフルオロアルキン組成物の総量を100モル%として、0~0.3モル%が好ましく、0.01~0.28モル%がより好ましい。
【0176】
なお、本開示の製造方法によれば、パーフルオロアルキン組成物として得られた場合であっても、上記のようにパーフルオロアルキン化合物を特に高収率且つ高選択率で得ることができるため、パーフルオロアルキン組成物中のパーフルオロアルキン化合物以外の成
分を少なくすることが可能であるため、パーフルオロアルキン化合物を得るための精製の労力を削減することができる。
【0177】
このような本開示のパーフルオロアルキン組成物は、上記したパーフルオロアルキン化合物単独の場合と同様に、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。なお、有機合成用ビルディングブロックとは、反応性が高い骨格を有する化合物の前駆体となり得る物質を意味する。例えば、本開示の本開示のパーフルオロシクロアルケン組成物とCF3Si(CH3)3等の含フッ素有機ケイ素化合物とを反応させると、CF3基等のフルオロアルキル基を導入して洗浄剤や含フッ素医薬中間体となり得る物質に変換することが可能である。
【0178】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
【実施例0179】
以下に実施例を示し、本開示の特徴を明確にする。本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
【0180】
[実施例1:要件(A)又は(B)]
以下の実施例1において、触媒としては以下のものを使用した。
クロミア触媒:Cr2O3
フッ素化クロミア触媒(1):大気圧下、100~460℃で3~4時間フッ化水素を流通させることでCr2O3をフッ素化した。
チタニア触媒:TiO2
フッ素化チタニア触媒:大気圧下、室温~300℃で3~4時間フッ化水素を流通させること
でTiO2をフッ素化した。
フッ素化ジルコニア触媒:大気圧下、室温~400℃で3~4時間フッ化水素を流通させるこ
とでZrO2をフッ素化した。
シリカアルミナ触媒:SiO2/Al2O3=80/10~60/20(質量比)。
【0181】
実施例1-1:フッ素化クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;200℃;23.1秒
触媒として、フッ素化クロミア触媒(1)(フッ化水素でフッ素化したクロミア)を金属製管状反応器に充填した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが30.0g・sec./ccとなるようにヘキサフルオロブタジエン(CF2CF=CFCF2)を反応管に供給することで、気相連続流
通式で反応を23.1秒間行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガ
スクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.7モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.162モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0356モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプ
タフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0947モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副
生成物が合計0.0182モル%であった。
【0182】
実施例1-2:フッ素化クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;250℃;23.1秒
加熱温度を250℃として反応を23.1秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を
行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィ
ーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が97.2モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロ
ブテン(c-C4F6)が2.47モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0871モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.262モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0194モル%
であった。
【0183】
実施例1-3:フッ素化クロミア触媒;W/F= 90.0g・sec./cc;200℃;69.3秒
W/Fを90.0g・sec./ccとして反応を69.3秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反
応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラ
フィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.7モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シ
クロブテン(c-C4F6)が0.118モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0254モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブ
テン(CF3CF=CHCF3)が0.0911モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0162モル%であった。
【0184】
実施例1-4:フッ素化チタニア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;200℃;32.5秒
触媒としてフッ素化チタニア触媒(フッ化水素でフッ素化したチタニア)を用いて反応を32秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経
過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は99.0モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.3モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.354モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0595モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0341モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.213モル%であった。
【0185】
実施例1-5:フッ素化チタニア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;250℃;32.5秒
触媒としてフッ素化チタニア触媒(フッ化水素でフッ素化したチタニア)を用いて、加熱温度を250℃として反応を32.5秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行っ
た。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで
分析したところ、転化率は99.9モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフ
ルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が23.7モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブ
テン(c-C4F6)が76.0モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.00110モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.00421モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.295モル%であった。
【0186】
実施例1-6:フッ素化チタニア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;300℃;32.5秒
触媒としてフッ素化チタニア触媒(フッ化水素でフッ素化したチタニア)を用いて、加熱温度を300℃として反応を32.5秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行っ
た。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで
分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が44.5 モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が55.1モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.00601モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.00200モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.392モル%であった。
【0187】
実施例1-7:フッ素化ジルコニア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;250℃;14.9秒
触媒としてフッ素化ジルコニア触媒(フッ化水素でフッ素化したジルコニア)を用いて、加熱温度を250℃として反応を14.9秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を
行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィ
ーで分析したところ、転化率は70.1モル%であり、各成分の選択率は、1,2,3,3,4,4-ヘキ
サフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)は4.18モル%、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブ
チン(CF3C≡CCF3)が94.1 モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.00100モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.198モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0760
モル%であった。
【0188】
実施例1-8:フッ素化ジルコニア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;350℃;14.9秒
触媒としてフッ素化ジルコニア触媒(フッ化水素でフッ素化したジルコニア)を用いて、加熱温度を350℃として反応を14.9秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を
行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィ
ーで分析したところ、転化率は99.5モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキ
サフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が2.68 モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が96.3モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0127モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.118モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.274モル%であった。
【0189】
実施例1-9:フッ素化ジルコニア触媒;W/F= 15.0g・sec./cc;350℃;7.5秒
触媒としてフッ素化ジルコニア触媒(フッ化水素でフッ素化したジルコニア)を用いて、加熱温度を350℃とし、W/Fを15.0g・sec./ccとして反応を7.5秒間行ったこと以外は実
施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガス
をガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は99.1モル%であり、各成分の選
択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が3.71 モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が95.3モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフ
ルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0163モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0851モル%(E体及びZ体の合計量)、そ
の他副生成物が合計0.246モル%であった。
【0190】
実施例1-1~1-9の結果を表1に示す。
【0191】
【表1】
【0192】
実施例1-10:フッ素化クロミア触媒;W/F= 15.0g・sec./cc;200℃;16.2秒
W/Fを15.0g・sec./ccとして反応を16.2秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反
応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラ
フィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.8 モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.0991モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0850モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合
計0.0159モル%であった。
【0193】
実施例1-11:クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;20℃;25.1秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、加熱温度を20℃として反応を25.1秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流
出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.8モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0257モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0511モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0832モル%であった。
【0194】
実施例1-12:クロミア触媒;W/F=14.0g・sec./cc;20℃;11.7秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、W/Fを14.0g・sec./cc、加熱温度を20℃として反応
を11.7秒間行ったこと以外は実施例1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モ
ル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.8モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0187モル%(E体及
びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0544モ
ル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0969モル%であった。
【0195】
実施例1-13:クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;50℃;25.1秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、加熱温度を50℃として反応を25.1秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流
出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.9モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0201モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0387モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0012モル%であった。
【0196】
実施例1-14:クロミア触媒;W/F= 6.0g・sec./cc;150℃;5.0秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、W/Fを6.0g・sec./cc、加熱温度を150℃として反応
を5.0秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3
)が99.8モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.00311モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0274モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0477モル%
(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0818モル%であった。
【0197】
実施例1-15:クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;150℃;25.1秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、加熱温度を150℃として反応を25.1秒間行ったこと
以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの
流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.8モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.00154モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-
オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0272モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0364モル%(E体及びZ体の合計
量)、その他副生成物が合計0.125モル%であった。
【0198】
実施例1-16:クロミア触媒;W/F= 8.0g・sec./cc;200℃;6.7秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、W/Fを8.0g・sec./ccとして反応を6.7秒間行ったこ
と以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管から
の流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は99.9モル%であり、
各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.6モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.00311モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.00111モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.416モル%であった。
【0199】
実施例1-17:クロミア触媒;W/F= 16.0g・sec./cc;200℃;13.3秒
触媒としてクロミア触媒を用いて、W/Fを16.0g・sec./ccとして反応を13.3秒間行った
こと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管か
らの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.9モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.00311モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.00101モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0959モル%であった。
【0200】
実施例1-18:チタニア触媒;W/F= 10.0g・sec./cc;200℃;11.1秒
触媒としてチタニア触媒を用いて、W/Fを10.0g・sec./ccとして反応を11.1秒間行った
こと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管か
らの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は99.0モル%であり
、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.4モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.254モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.059モル%(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0341モル%(E体及びZ体
の合計量)、その他副生成物が合計0.213モル%であった。
【0201】
実施例1-19:チタニア触媒;W/F= 14.0g・sec./cc;200℃;15.5秒
触媒としてチタニア触媒を用いて、W/Fを14.0g・sec./ccとして反応を15.5秒間行った
こと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管か
らの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は99.0モル%であり
、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.3モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.362モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0587モル%(ND; E体及びZ体の合計量
)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0321モル%(E体及びZ
体の合計量)、その他副生成物が合計0.247モル%であった。
【0202】
実施例1-20:シリカアルミナ触媒;W/F= 7.5g・sec./cc;20℃;14.9秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、W/Fを7.5g・sec./cc、加熱温度を20℃として反応を14.9秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1
時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C
≡CCF3)が99.4モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界
未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0909モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.504モル%であった
【0203】
実施例1-21:シリカアルミナ触媒;W/F= 15.0g・sec./cc;20℃;29.9秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、W/Fを15.0g・sec./cc、加熱温度を20℃とし
て反応を29.9秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転
化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.9モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出
限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.00688モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3
)が0.0555モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0374モル%であった。
【0204】
実施例1-22:シリカアルミナ触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;20℃;59.8秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、加熱温度を20℃として反応を59.8秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応管か
らの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.8モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が検出限界未満(ND)、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0804モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.161モル%であった。
【0205】
実施例1-23:シリカアルミナ触媒;W/F= 4.0g・sec./cc;100℃;8.0秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、W/Fを4.0g・sec./cc、加熱温度を100℃とし
て反応を8.0秒間行ったこと以外は実施例1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間
経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.4モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.00121モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E
体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0909モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.503モル%であった。
【0206】
実施例1-24:シリカアルミナ触媒;W/F= 4.0g・sec./cc;200℃;8.0秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、W/Fを4.0g・sec./ccとして反応を8.0秒間行
ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を行った。反応終了後から1時間経過後、反応
管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.5モ
ル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.0670モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0101モル%(E体及
びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.467モル%であった。
【0207】
実施例1-25:シリカアルミナ触媒;W/F= 8.0g・sec./cc;200℃;16.0秒
触媒としてシリカアルミナ触媒を用いて、W/Fを8.0g・sec./ccとして反応を16.0秒間行ったこと以外は実施例1-1と同様に反応を進行させた。反応終了後から1時間経過後、
反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.5モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.0611モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が検出限界未満(ND; E体及びZ体
の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.00921モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.480モル%であった。
【0208】
実施例1-1及び1-10~1-17の結果を表2に、実施例1-18~1-25の結果を表3に示す。
【0209】
【表2】
【0210】
【表3】
【0211】
[実施例2:要件(C)~(F)]
以下の実施例2において、触媒としては以下のものを使用した。
フッ素化クロミア触媒(1):フッ化水素でフッ素化したクロミア;細孔容積0.10mL/g;クロミア(Cr2O3;細孔容積0.15mL/g)に対して、大気圧下、100~400℃で6時間フッ化水素を流通させることでフッ素化した。
フッ素化クロミア触媒(2):クロロジフルオロメタン(R22)でフッ素化したクロミア
;細孔容積0.13mL/g;クロミア(Cr2O3;細孔容積0.15mL/g)に対して、大気圧下、100~500℃で6時間クロロジフルオロメタン(R22)を流通させることでフッ素化した。
フッ素化シリカアルミナ触媒(1):フッ化水素でフッ素化したシリカアルミナ;細孔容積0.55mL/g;シリカアルミナ(細孔容積0.70mL/g)に対して、大気圧下、100~400℃で6
時間フッ化水素を流通させることでフッ素化した。
フッ素化シリカアルミナ触媒(2):クロロジフルオロメタン(R22)でフッ素化したシ
リカアルミナ;細孔容積0.69mL/g;シリカアルミナ(細孔容積0.70mL/g)に対して、大気圧下、100~500℃で6時間クロロジフルオロメタン(R22)を流通させることでフッ素化した。
【0212】
また、フッ素化アルミナ触媒としては、いずれも、所定のアルミナに対して、大気圧下、100~400℃で6時間フッ化水素を流通させることでフッ素化した。フッ素化アルミナ触
媒の詳細は表4に示す。
【0213】
【表4】
【0214】
実施例2-1:R22フッ素化クロミア触媒;細孔容積0.13mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)(クロロジフルオロメタン(R22)でフッ素
化したクロミア)を金属製管状反応器に充填した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが8g・sec./ccとなるようにヘキサフルオロブタジエン(CF2CF=CFCF2)を反応管に供給することで、気相連続流通式で反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.12%/時間であった
。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表5に示す。
【0215】
【表5】
【0216】
実施例2-2:R22フッ素化シリカアルミナ触媒;細孔容積0.69mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化シリカアルミナ触媒(2)(クロロジフルオロメタン(R22)でフッ素化したシリカアルミナ)を用いること以外
は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.0014%/時間であっ
た。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾き
を意味する。結果を表6に示す。
【0217】
【表6】
【0218】
実施例2-3:フッ素化アルミナ触媒;細孔容積1.33mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化アルミナ触媒(1)を用いること以外は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.025%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表7に示す。
【0219】
【表7】
【0220】
実施例2-4:フッ素化アルミナ触媒;細孔容積0.43mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化アルミナ触媒(2)を用いること以外は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.026%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表8に示す。
【0221】
【表8】
【0222】
比較例2-1:フッ素化アルミナ触媒;細孔容積0.22mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化アルミナ触媒(3)を用いること以外は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.65%/
時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表9に示す。
【0223】
【表9】
【0224】
実施例2-5:フッ素化アルミナ触媒;細孔容積0.39mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化アルミナ触媒(4)を用いること以外は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの
流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.29%/
時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表10に示す。
【0225】
【表10】
【0226】
比較例2-2:フッ素化アルミナ触媒;細孔容積0.23mL/g
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)ではなく、フッ素化アルミナ触媒(5)を用いること以外は実施例2-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒劣化速度は-0.67%/時
間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表11に示す。
【0227】
【表11】
【0228】
上記の表7~11の結果のうち、経過時間(接触時間)と転化率との関係を図1に、フッ素化前の細孔容積と劣化速度との関係を図2に、フッ素化後の細孔容積と劣化速度との関係を図3に示す。
【0229】
[実施例3:要件(G)]
以下の実施例3において、触媒としては、クロミア触媒(Cr2O3)又はアルミナ触媒(Al2O3)を使用した。
【0230】
また、ヘキサフルオロブタジエンの水分量については、所定の水分量になるように、水分を添加、又はモレキュラーシーブにより脱水することにより調整し、水分量はカールフィッシャー法により測定した。
【0231】
実施例3-1:クロミア触媒;水分量20ppm
金属製管状反応器に窒素ガスを充填して窒素ガス雰囲気とし、その後、触媒としてクロミア触媒を投入した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが8g・sec./ccとなるようにヘ
キサフルオロブタジエン(CF2CF=CFCF2)を反応管に供給することで、気相連続流通式で反
応を進行させた。反応開始時におけるヘキサフルオロブタジエンの水分量は20質量ppmと
し、反応開始時から反応終了時までの反応系中の水分量を20ppmに調整した。所定時間経
過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.12%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転
化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表12に示す。
【0232】
【表12】
【0233】
実施例3-2:クロミア触媒;水分量2ppm
反応開始時におけるヘキサフルオロブタジエンの水分量が20質量ppmであるヘキサフル
オロブタジエンではなく、反応開始時におけるヘキサフルオロブタジエンの水分量が2質
量ppmであるヘキサフルオロブタジエンを用いて反応開始時から反応終了時までの反応系
中の水分量を2ppmに調整したこと以外は実施例3-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触
媒の劣化速度は-0.12%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸
に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表13に示す。
【0234】
【表13】
【0235】
実施例3-3:アルミナ触媒;水分量20ppm
クロミア触媒ではなくアルミナ触媒を用いたこと以外は実施例3-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析し
た。この結果、触媒の劣化速度は-0.0302%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横
軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表14に示す。
【0236】
【表14】
【0237】
実施例3-4:アルミナ触媒;水分量2ppm
クロミア触媒ではなくアルミナ触媒を用い、反応開始時におけるヘキサフルオロブタジエンの水分量が20質量ppmであるヘキサフルオロブタジエンではなく、反応開始時におけ
るヘキサフルオロブタジエンの水分量が2質量ppmであるヘキサフルオロブタジエンを用いて反応開始時から反応終了時までの反応系中の水分量を2ppmに調整したこと以外は実施例3-1と同様に反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.08%/時間であった。なお、
触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表15に示す。
【0238】
【表15】
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
触媒の存在下に、パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得る工程
を備え、以下の(G)及び(D):
G)反応開始から反応終了までの全てにおいて、パーフルオロアルカジエン化合物の質量を基準(100質量%)として、反応系中の水分量が30質量ppm以下の条件で、前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を行う
D)前記触媒は、細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する
のいずれかを満たす、製造方法。
【請求項2】
前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるパーフルオロアルキン化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記パーフルオロアルカジエン化合物が、
一般式(2):
CR1 2=CR2-CR3=CR4 2 (2)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるパーフルオロアルカジエン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(D)を満たし、且つ、前記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、クロム、チタン、ケイ素、アルミニウム及びジルコニウムの少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(G)を満たし、且つ、前記触媒は、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記(G)を満たし、且つ、前記触媒が、周期表第4族~第6族及び第13族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む触媒である、請求項1~3及び7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記(G)を満たし、且つ、前記触媒が、クロム、チタン、ケイ素、アルミニウム及びジルコニウムの少なくとも1種を含む触媒である、請求項1~3及び7~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記(G)を満たし、且つ、前記触媒が、フッ素化されていてもよい酸化クロム触媒、フッ素化されていてもよい酸化チタン触媒、フッ素化されていてもよいアルミナ触媒、及びフッ素化されていてもよいシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒である、請求項1~3及び7~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応を気相で行う、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応が、170℃以上で行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応により、前記パーフルオロアルキン化合物の他、パーフルオロシクロアルケン化合物も製造する、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記パーフルオロシクロアルケン化合物が、
式(3):
【化1】
[式中、R1~R4同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるパーフルオロシクロアルケン化合物である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
パーフルオロアルキン化合物の製造方法であって、
請求項13又は14に記載の製造方法において、前記パーフルオロアルカジエン化合物の反応により、前記パーフルオロアルキン化合物の他にパーフルオロシクロアルケン化合物も製造した後、得られたパーフルオロシクロアルケン化合物を基質として用いて、前記パーフルオロアルキン化合物を得る工程を備える、製造方法。
【請求項16】
前記パーフルオロアルキン化合物が、一般式(1):
CR1 2R2-C≡C-CR3R4 2 (1)
[式中、R1~R4は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるパーフルオロアルキン化合物である、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
パーフルオロアルカジエン化合物を反応させてパーフルオロアルキン化合物を得るために使用される触媒であって、以下の(D)
D)細孔容積が0.35mL/g以上のフッ素化された金属酸化物を含有する
満たす、触媒。
【請求項18】
記フッ素化された金属酸化物を構成する金属が、周期表第3族~第14族に属する元素の少なくとも1種を含む、請求項17に記載の触媒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0181
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0181】
実施例1-1:フッ素化クロミア触媒;W/F= 30.0g・sec./cc;200℃;23.1秒
触媒として、フッ素化クロミア触媒(1)(フッ化水素でフッ素化したクロミア)を金属製管状反応器に充填した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが30.0g・sec./ccとなるようにヘキサフルオロブタジエン(CF 2 =CFCF=CF 2 )を反応管に供給することで、気相連続流通式で反応を23.1秒間行った。反応終了後から1時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析したところ、転化率は100モル%であり、各成分の選択率は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CF3C≡CCF3)が99.7モル%、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-シクロブテン(c-C4F6)が0.162モル%、1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CF2=CFCF2CF3)が0.0356モル%(E体及びZ体の合計量)、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CF3CF=CHCF3)が0.0947モル%(E体及びZ体の合計量)、その他副生成物が合計0.0182モル%であった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0214
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0214】
触媒として、フッ素化クロミア触媒(2)(クロロジフルオロメタン(R22)でフッ素化したクロミア)を金属製管状反応器に充填した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが8g・sec./ccとなるようにヘキサフルオロブタジエン(CF 2 =CFCF=CF 2 )を反応管に供給することで、気相連続流通式で反応を進行させた。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.12%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表5に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0231
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0231】
実施例3-1:クロミア触媒;水分量20ppm
金属製管状反応器に窒素ガスを充填して窒素ガス雰囲気とし、その後、触媒としてクロミア触媒を投入した。この反応管を200℃まで加熱してW/Fが8g・sec./ccとなるようにヘキサフルオロブタジエン(CF 2 =CFCF=CF 2 )を反応管に供給することで、気相連続流通式で反応を進行させた。反応開始時におけるヘキサフルオロブタジエンの水分量は20質量ppmとし、反応開始時から反応終了時までの反応系中の水分量を20ppmに調整した。所定時間経過後、反応管からの流出ガスをガスクロトマトグラフィーで分析した。この結果、触媒の劣化速度は-0.12%/時間であった。なお、触媒の劣化速度は、横軸に反応時間、縦軸に転化率をプロットした場合の傾きを意味する。結果を表12に示す。