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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036473
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/10 20060101AFI20240308BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20240308BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B41J13/10
B41J13/00
B65H11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014726
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2019235892の分割
【原出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】金丸 真二
(57)【要約】
【課題】複数の搬送経路を有する媒体搬送装置において、媒体が載置される載置部を各搬送経路に合わせて装置本体に一体で設けてしまうと、媒体搬送装置が大型化する虞がある。
【解決手段】媒体搬送部30は、本体部12と、トレイユニット50と、サポートガイド部材72とを有する。本体部12は、第1手差経路K3及び第2手差経路K4を有する。
トレイユニット50は、非使用状態で本体部12に収納可能とされ、使用状態で媒体が載置される。サポートガイド部材72は、Z方向に移動可能とされ、トレイユニット50が第1手差経路K3に位置する第1位置と、第2手差経路K4に位置する第2位置と、本体部12に収納される第3位置とが切り替わるように、トレイユニット50を支持する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される媒体の姿勢が異なる第1搬送経路及び第2搬送経路を有する装置本体と、
非使用状態で前記装置本体に収納可能とされ、使用状態で媒体が載置される載置部と、 前記装置本体において前記装置本体の高さ方向に移動可能に設けられ、前記載置部が前記第1搬送経路に位置する第1位置と、前記第2搬送経路に位置する第2位置と、前記装置本体に収納される第3位置とが切り替わるように、前記載置部を支持する支持部と、
を有する媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記装置本体に着脱可能とされ、前記装置本体への装着状態で、媒体を反転させる反転経路を形成し、前記第2搬送経路を覆い且つ前記載置部の旋回の経路上に配置される反転部が設けられた、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の媒体搬送装置において、
前記第1搬送経路は、前記高さ方向において前記第2搬送経路よりも上側に位置し、
前記装置本体には、前記第1搬送経路を開閉可能とされ、閉状態で前記第1搬送経路を覆い、開状態で前記載置部よりも前記高さ方向の下側に位置するカバー部材が設けられ、 前記載置部は、前記カバー部材の前記閉状態で旋回が可能とされ、前記カバー部材の開状態で前記カバー部材との接触により旋回が規制される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部には、媒体の左右両端部を媒体幅に合わせて搬送方向に案内する案内部が設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部には、媒体を搬送方向の下流側へ向けて付勢する付勢部が設けられている、ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記装置本体には、前記支持部を前記高さ方向に案内し且つ前記支持部の離脱を許容する許容部が形成されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部は、前記支持部によって支持される基部と、該基部に対して媒体の搬送方向に伸縮される1つ以上の伸縮部とを有する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置と、
前記第1搬送経路及び第2搬送経路のいずれか一方において搬送されている前記媒体に処理を行う処理部と、
を有することを特徴とする処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、及び搬送される媒体に処理を行う処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の記録装置では、装着部に対して用紙反転ユニット又はレンズシート給送ユニットが着脱可能とされており、レンズシートを直線搬送する場合に、装着部に対してレンズシート給送ユニットが装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-120319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記録装置のように複数の搬送経路を有する媒体搬送装置において、媒体が載置される載置部を各搬送経路に合わせて装置本体に一体で設けてしまうと、媒体搬送装置が大型化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る媒体搬送装置は、搬送される媒体の姿勢が異なる第1搬送経路及び第2搬送経路を有する装置本体と、非使用状態で前記装置本体に収納可能とされ、使用状態で媒体が載置される載置部と、前記装置本体において前記装置本体の高さ方向に移動可能に設けられ、前記載置部が前記第1搬送経路に位置する第1位置と、前記第2搬送経路に位置する第2位置と、前記装置本体に収納される第3位置とが切り替わるように、前記載置部を支持する支持部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係るプリンターの全体構成を表す側断面図。
図2】実施形態1に係るプリンターを背面側から見た斜視図。
図3】実施形態1に係るプリンターの反転ユニットの斜視図。
図4】実施形態1に係るプリンターの装置本体から反転ユニットを取り外す状態を表す斜視図。
図5】実施形態1に係るプリンターの反転ユニットとトレイユニットの配置を表す横断面図。
図6】実施形態1に係るプリンターのフレーム部材及びトレイユニットを表す斜視図。
図7】実施形態1に係るプリンターのフレーム部材とトレイユニットとの係合部分を表す部分拡大斜視図。
図8】実施形態1に係るプリンターのフレーム部材とトレイユニットとの係合部分を表す部分拡大斜視図。
図9】実施形態1に係るプリンターのトレイユニットの斜視図。
図10】実施形態1に係るプリンターのトレイユニットの部分拡大斜視図。
図11】実施形態1に係るプリンターの反転ユニットの露出状態を背面側から見た斜視図。
図12】実施形態1に係るプリンターの第2手差経路の露出状態を背面側から見た斜視図。
図13】実施形態1に係るプリンターのリアカバーの閉状態においてトレイユニットが旋回される状態を表す側断面図。
図14】実施形態1に係るプリンターの第2手差経路にトレイユニットが装着された状態を背面側から見た斜視図。
図15A】実施形態1に係るプリンターのリアカバーの閉状態においてトレイユニットが旋回される状態を表す部分側断面図。
図15B】実施形態1に係るプリンターのリアカバーの開状態においてトレイユニットがリアカバーと干渉する状態を表す部分側断面図。
図16】実施形態1に係るプリンターの第2手差経路が通紙可能となった状態を表す側断面図。
図17】実施形態2に係るプリンターの側断面図。
図18】実施形態2に係るプリンターの後端ガイド部材によって用紙に搬送力が付与される状態を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、搬送される媒体の姿勢が異なる第1搬送経路及び第2搬送経路を有する装置本体と、非使用状態で前記装置本体に収納可能とされ、使用状態で媒体が載置される載置部と、前記装置本体において前記装置本体の高さ方向に移動可能に設けられ、前記載置部が前記第1搬送経路に位置する第1位置と、前記第2搬送経路に位置する第2位置と、前記装置本体に収納される第3位置とが切り替わるように、前記載置部を支持する支持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記支持部を前記高さ方向に移動させることで、前記載置部が非使用状態である収納状態から使用状態である展開状態とされ、且つ前記載置部の前記高さ方向の位置が変わる。また、前記支持部に対する前記載置部の旋回等により、前記載置部の姿勢を変更することが可能になる。これにより、前記支持部及び前記載置部の前記第1位置、前記第2位置及び前記第3位置を切り替えられる。これにより、前記載置部が前記第2位置で前記装置本体に固定された構成に比べて、媒体搬送装置を小型化することができる。
【0009】
第2の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様において、前記装置本体に着脱可能とされ、前記装置本体への装着状態で、媒体を反転させる反転経路を形成し、前記第2搬送経路を覆い且つ前記載置部の旋回の経路上に配置される反転部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記反転部が前記装置本体から離脱された場合には、前記載置部の旋回の経路上に障害物が無くなるので、前記載置部を前記第2搬送経路に設けることができる。また、前記反転部が前記装置本体に装着された場合には、前記載置部の旋回が前記反転部との接触によって規制されるので、前記載置部を前記第2搬送経路に設けることができなくなる。
つまり、前記第2搬送経路及び前記反転経路の一方が使用可能な場合には、他方が使用不可となるので、前記第2搬送経路及び前記反転経路のどちらが使用可能であるかを使用者に認識させることができる。
【0011】
第3の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記第1搬送経路は、前記高さ方向において前記第2搬送経路よりも上側に位置し、前記装置本体には、前記第1搬送経路を開閉可能とされ、閉状態で前記第1搬送経路を覆い、開状態で前記載置部よりも前記高さ方向の下側に位置するカバー部材が設けられ、前記載置部は、前記カバー部材の前記閉状態で旋回が可能とされ、前記カバー部材の開状態で前記カバー部材との接触により旋回が規制されることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記カバー部材が開状態の場合には、前記第1搬送経路が開放されて使用可能となり、且つ前記載置部の旋回が、前記載置部よりも下側に配置される前記カバー部材との接触によって規制されることで、前記第2搬送経路が使用不可となる。
一方、前記カバー部材が閉状態の場合には、前記第1搬送経路が覆われて使用不可となり、且つ前記載置部の旋回が許容されることで、前記第2搬送経路が使用可能となる。 つまり、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路の一方が使用可能な場合には、他方が使用不可となるので、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路のどちらが使用可能であるかを使用者に認識させることができる。
【0013】
第4の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記載置部には、媒体の左右両端部を媒体幅に合わせて搬送方向に案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記案内部によって媒体の左右両端部が前記搬送方向に案内されるので、前記案内部が無い構成に比べて、媒体が搬送される方向を安定させることができる。
【0015】
第5の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、前記載置部には、媒体を搬送方向の下流側へ向けて付勢する付勢部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記付勢部から受ける付勢力によって、媒体が搬送方向の下流側へ送り込まれるので、媒体が搬送経路の途中で止まる搬送不良を防ぐことができる。
【0017】
第6の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記装置本体には、前記支持部を前記高さ方向に案内し且つ前記支持部の離脱を許容する許容部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記支持部が前記許容部から離脱されることで、前記装置本体から前記載置部を取り出して、前記載置部に媒体を載せることができる。媒体が載せられた載置部は、前記支持部が前記許容部に挿入されることで、使用する搬送経路に設けられる。このように、前記載置部が前記装置本体に着脱可能となるので、使用者が前記載置部に媒体を載置する作業を行い易くすることができる。
【0019】
第7の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記載置部は、前記支持部によって支持される基部と、該基部に対して媒体の搬送方向に伸縮される1つ以上の伸縮部とを有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記基部に対して前記伸縮部を伸ばすことで、前記載置部における媒体を載置可能な領域が拡がるので、サイズの大きい媒体を使用することができる。
【0021】
第8の態様に係る処理装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の媒体搬送装置と、前記第1搬送経路及び第2搬送経路のいずれか一方において搬送されている前記媒体に処理を行う処理部と、を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の媒体搬送装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
[実施形態1]
以下に、本発明に係る媒体搬送装置及び処理装置の一実施形態としての実施形態1について、添付図面を参照して詳細に説明する。各図において表すX-Y-Z座標系では、後述するプリンター10について、X軸方向が装置幅方向であり、Y軸方向が装置奥行き方向であり、Z軸方向が装置高さ方向である。
装置幅方向において、正面から見た場合の左側と右側とを区別する場合には、右側を+X側と称し、左側を-X側と称する。装置奥行き方向において、手前側と背面側とを区別する場合には、手前側を+Y側と称し、背面側を-Y側と称する。装置高さ方向において、上側と下側とを区別する場合には、上側を+Z側と称し、下側を-Z側と称する。
【0024】
図1には、処理装置及び記録装置の一例としてのプリンター10が表されている。プリンター10は、媒体の一例としての用紙P又はシートS(図16)に各種の情報を記録する。用紙Pに記録される各種の情報には、文字情報、画像情報がある。
用紙Pは、一例として、普通紙である。シートSは、一例として、用紙Pよりも厚く、樹脂製の板材として構成されており、図示を省略する窪み部が形成されている。この窪み部には、一例として、情報が記録されるDVD(Digital Versatile Disc)が載せられるようになっている。
また、プリンター10は、装置本体の一例としての本体部12と、スキャナー部18と、処理部の一例としての情報記録部20と、媒体搬送装置の一例としての媒体搬送部30とを有する。媒体搬送部30の一部は、本体部12の中央よりも-Y側の部位を構成している。プリンター10では、後述する媒体搬送部30と同様の作用効果が得られる。
【0025】
本体部12は、プリンター10を構成する各部が収容される筐体13と、用紙Pを収容する収容部14と、図示を省略する操作パネルと、後述する本体フレーム32とを含んで構成されている。
筐体13は、プリンター10の外周面を構成する側壁15(図2)を含んで構成され、中空の箱状に形成されている。筐体13の内部には、用紙P又はシートSが搬送される後述する複数の経路が形成されている。また、筐体13の-Y側端部には、後述するトレイユニット50を収納する収納部19が形成されている。収納部19は、+Z側に向けて開口する箱状に形成された部位である。
【0026】
図2に表すように、側壁15の-Y側部分を構成する後壁17は、X軸方向の中央部分が矩形状に除去されて不連続となっている。つまり、後壁17は、+X側を構成する右後壁17Aと、-X側を構成する左後壁17Bとに分かれている。右後壁17A及び左後壁17Bの+Z側端部には、後述するカバー部材82のヒンジ部84(図15A)が取り付けられる被取付部17Cが形成されている。
【0027】
<用紙等が搬送される経路>
図1に表すように、プリンター10には、後述する反転ユニット86の装着状態において、用紙P又はシートSが搬送される各経路が形成されている。具体的には、本体部12は、第1経路K1と、第2経路K2と、第1手差経路K3と、第2手差経路K4と、反転経路K5とを有する。各経路は、図示を省略する複数のローラー及びガイド部材を含んで構成されている。
用紙Pは、上記の全ての経路で搬送可能となっている。シートSは、第2経路K2及び第2手差経路K4のみで搬送可能となっている。
【0028】
第1経路K1は、収容部14の-Y側端部から+Z側へ向かい、後述する反転ローラー88の+Z側の外周面を経由して、後述する搬送ローラー26まで延びている。第1経路K1における反転ローラー88から搬送ローラー26までの部分は、Y軸方向に沿った直線状に形成されている。この直線状の部分において、用紙P又はシートSは、経路下部を構成する下壁35によって支持される。
第2経路K2は、搬送ローラー26から後述するヘッド22に対する-Z側を経由して、Y軸方向に沿って+Y側へ直線状に延びている。
【0029】
第1手差経路K3は、第1搬送経路の一例であり、本体部12の中央に対する-Y側で且つ+Z側となる部位から、搬送ローラー26まで斜め下方へ延びている。また、第1手差経路K3は、後述するカバー部材82を開状態とすることで、使用可能となる。
第2手差経路K4は、第2搬送経路の一例であり、本体部12の中央に対する-Y側の部位から、+Y側に向けて搬送ローラー26まで、Y軸方向に沿って直線状に延びている。また、第2手差経路K4は、後述する反転ユニット86を本体部12から離脱させ、且つ後述するトレイユニット50をY軸方向に沿った姿勢で取り付けることで、使用可能となる経路である。
第1手差経路K3は、Z軸方向において、第2手差経路よりも上側(+Z側)に位置している。
【0030】
反転経路K5は、反転ユニット86が本体部12に装着されることで形成される。また、反転経路K5は、搬送ローラー26から反転ローラー88までの直線部と、該直線部の-Y側端から反転ローラー88の-Z側の外周面を経由して第1経路K1に合流する曲線部とを有する。本実施形態では、反転経路K5の直線部が、第2手差経路K4の一部を兼ねている。
【0031】
〔情報記録部〕
情報記録部20は、スキャナー部18で読み取られた原稿の情報や外部から入力された情報等の受取情報に基づいて、用紙P又はシートSに情報を記録する。また、情報記録部20は、第1手差経路K3及び第2手差経路K4のいずれか一方において搬送されている用紙P又はシートSに情報の記録処理を行う。
具体的には、情報記録部20は、ヘッド22と、制御ユニット24とを含んで構成されている。制御ユニット24は、プリンター10の各部の動作を制御する。
【0032】
ヘッド22は、処理部及び記録部の一例であり、液体の一例としてのインクを用紙P又はシートSに吐出することで、用紙P又はシートSに処理の一例として各種の情報を記録する、所謂インクジェット方式の記録ヘッドとして構成されている。
ヘッド22に対する-Y側且つ-Z側には、ヘッド22に向けて用紙P又はシートSを搬送する搬送ローラー26が設けられている。
【0033】
制御ユニット24は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成されている。また、制御ユニット24は、ヘッド22の動作制御だけでなく、プリンター10における用紙P又はシートSの搬送を制御するように構成されている。また、制御ユニット24は、既述の操作パネルから入力された情報に基づいて、プリンター10における各種動作の制御を行う。
【0034】
〔媒体搬送部〕
媒体搬送部30は、本体フレーム32と、載置部の一例としてのトレイユニット50と、支持部の一例としてのサポートガイド部材72とを有する。また、媒体搬送部30には、カバー部材82と、反転部の一例としての反転ユニット86とが設けられている。本体フレーム32は、装置本体の一例に含まれる。
【0035】
<本体フレーム>
本体フレーム32は、筐体13内に設けられている。具体的には、本体フレーム32は、底壁33と、縦壁34と、下壁35と、一対の側壁36と、ガイドフレーム37とを含んで構成されている。底壁33は、筐体13の底壁を構成しており、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成され、X-Y面に沿って広がっている。また、本体フレーム32は、既述の通り、搬送される用紙P又はシートSの姿勢が異なる第1手差経路K3及び第2手差経路K4を有する。
【0036】
縦壁34は、底壁33の-Y側端部において、Z軸方向に直立している。また、縦壁34は、Y軸方向を厚さ方向とする板状に形成されており、X軸方向に長くZ方向に短い矩形状に形成されている。縦壁34のZ軸方向の高さは、一例として、筐体13のZ軸方向の高さの1/3程度となっている。さらに、縦壁34は、後述するトレイユニット50の-Z側端部に対して+Y側に隣接して位置しており、収納状態のトレイユニット50と接触することで、トレイユニット50の移動及び旋回を規制するようになっている。
【0037】
下壁35は、収容部14に対する+Z側で、ヘッド22の下面に対する-Y側であり、且つ縦壁34に対する+Y側となる位置に配置されている。また、下壁35は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成され、X-Y面に沿って広がっている。
側壁36は、X軸方向を厚さ方向とする板状に形成されており、筐体13内の中央よりも-Y側の部分において、X軸方向の中央に対する+X側と-X側とに間隔をあけて配置され、Z軸方向に直立している。一対の側壁36の間には、後述する反転ユニット86が配置される。
【0038】
図6に表すように、ガイドフレーム37には、一例として、1つの傾斜壁38と、左右一対の側壁39と、左右一対の被係合部42と、左右一対のレールガイド部44とが形成されている。
傾斜壁38は、板状に形成されており、+Y側端部が-Y側端部に対して-Z側に位置するように、前方下側に向けて傾斜されている。また、傾斜壁38は、反転ユニット86(図1)が配置される空間部と、第1手差経路K3(図1)となる空間部とを、Y軸方向に区画する。傾斜壁38のX軸方向の幅は、用紙PのX軸方向の幅よりも広い。
一対の側壁39は、傾斜壁38のX軸方向の両端部に位置しており、Y-Z面に沿った板状に形成されている。なお、一対の側壁39は、一対の側壁36(図1)に対してX軸方向の内側に配置されている。
【0039】
図7に表すように、被係合部42は、傾斜壁38の+Z側端部におけるX軸方向の両端部に形成されている。また、被係合部42は、傾斜壁38の+Z側端よりも+Z側に突出されている。また、被係合部42は、X軸方向から見た場合に、-Y側に向けて開口するU字状の断面形状を有している。
【0040】
図8に表すレールガイド部44は、許容部の一例である。また、レールガイド部44は、被係合部42に対するX軸方向の外側に、被係合部42と連続して形成された部位であり、後述するレール部75をZ軸方向に案内し且つレール部75の離脱を許容する。具体的には、レールガイド部44は、+Z側及びX軸方向の内側に向けて開口する構成とされており、前壁44Aと、側壁44B(図6)と、後壁44Cとを有する。側壁44Bは、レール部75のX軸方向外側への移動を規制する。
【0041】
前壁44A及び後壁44Cは、それぞれX-Z面に沿って配置され、Y軸方向に間隔をあけて対向しており、Z軸方向に延びている。前壁44Aと後壁44CとのY軸方向の間隔は、Z軸方向の中央部及び下部(-Z側部)に比べて、+Z側部で狭くなっている。これにより、レールガイド部44のZ軸方向の中央部及び下部は、前壁44Aと後壁44Cとでレール部75をZ方向に案内している。また、レールガイド部44のZ軸方向の上部(+Z側端部)は、前壁44Aと後壁44Cとでレール部75を挟むことで、レール部75が簡単に離脱しないようになっている。
【0042】
レールガイド部44のZ軸方向の上部では、レール部75に外力が作用され、レール部75が+Z側に引き上げられることで、レール部75がレールガイド部44から離脱されるようになっている。つまり、レール部75の離脱が許容されている。なお、レールガイド部44の+Z側端部においてY軸方向の間隔が狭くなっていることで、+Z側に引き上げられたレール部75の下部に対して、Y軸方向に押圧力が作用するようになっている。
このため、レール部75は、引き上げ状態において、レールガイド部44の上部によって保持されるようになっている。
【0043】
<トレイユニット>
図9に表すトレイユニット50は、基部の一例としての第1サポート部材52と、伸縮部の一例としての第2サポート部材64とを有する。なお、トレイユニット50の各部の配置を説明する場合には、トレイユニット50がX-Z面に沿って直立した状態にあるものとして説明する。
【0044】
第1サポート部材52は、X軸方向に長い矩形板状に形成されている。第1サポート部材52のX軸方向の幅は、用紙PのX軸方向の幅よりも広い。第1サポート部材52には、一例として、切欠部53と、軸部54と、係合部55と、スリット56と、サポート部材支持部58とが形成されている。また、第1サポート部材52には、案内部の一例としてのエッジガイド62が設けられている。これらは、一例として、X軸方向の中央を通りZ軸方向に沿った仮想線に対して、左右対称に配置されているため、左右いずれか一方側のみについて説明し、他方側の説明を省略する。
切欠部53は、第1サポート部材52のX軸方向の両端部におけるZ軸方向の中央よりも-Z側部分に、L字状に形成されている。具体的には、切欠部53は、X軸方向の端面としての側面53Aと、Z軸方向の端面としての側面53Bとを有する。
【0045】
図10に表す軸部54は、側面53Aにおける+Z側端部からX軸方向の外側に向けて突出されている。また、軸部54は、X軸方向を軸方向とする円柱状に形成されており、後述するサポートガイド部材72の環状部76によって、回動可能に支持されている。これにより、第1サポート部材52は、サポートガイド部材72に対して旋回可能とされている。
【0046】
係合部55は、側面53Aにおける-Z側端部からX軸方向の外側に向けて突出されている。また、係合部55は、トレイユニット50の傾倒状態において、X-Y面に沿う平面部55Aと、Y軸方向に突出する曲面部55Bとを有する。そして、係合部55は、トレイユニット50の傾倒状態において、既述の被係合部42(図7)に-Y側から挿入され、被係合部42と係合されるようになっている。
【0047】
図9に表す2つのスリット56は、X軸方向に長く延びており、X軸方向に間隔をあけて且つZ軸方向の位置がずれるように配置されている。
エッジガイド62は、一例として、第1サポート部材52の表面に沿って配置され、スリット56によってX軸方向に案内されるスライド板62Aと、図示を省略するヒンジ部を用いてスライド板62AのX軸方向の端部に連結された可動板62Bとを有する。ヒンジ部は、Z軸方向を軸方向とする。
【0048】
2つのスライド板62Aは、図示を省略するピニオン及びラックからなる移動機構によって、X軸方向の互いの接近又は離間が可能とされている。
可動板62Bは、使用されない場合に、スライド板62AとY軸方向に重なる収納状態とされる。また、可動板62Bは、使用される場合に、スライド板62Aと直交するように直立され、用紙PのX軸方向の端部を、用紙Pの搬送方向に案内する。このように、エッジガイド62は、用紙PのX軸方向の左右両端部を用紙Pの幅(媒体幅)に合わせて搬送方向に案内するようになっている。
【0049】
図5に表すように、サポート部材支持部58は、Z軸方向から見た場合に、X軸方向に開口する断面U字状の溝として形成されている。また、サポート部材支持部58は、Z軸方向に延びている。これにより、サポート部材支持部58は、第2サポート部材64のX軸方向の両端部を、Z軸方向に案内するようになっている。換言すると、第2サポート部材64は、第1サポート部材52に対して用紙Pの搬送方向に伸縮されるようになっている。なお、サポート部材支持部58には、第2サポート部材64を引き出し状態において保持する、図示を省略する被係合部が形成されている。
【0050】
図9に表すように、第2サポート部材64は、一例として、第1サポート部材52に比べてX軸方向の幅が狭い板部65と、板部65の+Z側端部に形成された湾曲部66とを有する。
板部65は、X軸方向に長い矩形状に形成されている。また、板部65のX軸方向の両端部は、サポート部材支持部58に挿入されており、サポート部材支持部58によってZ軸方向に案内されるようになっている。板部65の-Z側端部には、板部65が第1サポート部材52に対して+Z側に引き出された状態で、第1サポート部材52と係合する図示を省略する係合部が形成されている。
湾曲部66は、トレイユニット50が収納部19に収納された状態で、筐体13の上側角部に配置される。また、湾曲部66は、第2サポート部材64を引き出す場合の掴み部として機能する。
【0051】
ここで、図1に表すトレイユニット50は、収納部19にZ軸方向に沿った直立状態で収納可能とされている。そして、トレイユニット50は、収納部19への収納状態において、本体部12の-Y側部分を覆う後壁として機能するようになっている。トレイユニット50の収納状態とは、トレイユニット50が使用されない非使用状態であることを意味する。また、トレイユニット50は、収納部19から+Z側に引き出され且つZ軸方向に対して傾倒された展開状態で、用紙Pが載置されるようになっている。トレイユニット50の展開状態とは、トレイユニット50が使用される使用状態であることを意味する。傾倒されたトレイユニット50に載置された用紙Pは、第1手差経路K3へ送り込まれる。
【0052】
また、トレイユニット50は、後述するカバー部材82の閉状態で、軸部54(図7)の中心軸周りの旋回が可能とされている。また、トレイユニット50は、カバー部材82の開状態で、カバー部材82とZ軸方向に接触することで、軸部54の中心軸周りの旋回が規制されるようになっている。
【0053】
<サポートガイド部材>
図9に表すサポートガイド部材72は、Y軸方向から見た場合に、X軸方向に長い矩形状の縦板部73と、縦板部73のX軸方向の両端部にそれぞれ形成された規制部74、レール部75及び環状部76とを有している。また、サポートガイド部材72は、トレイユニット50と共に収納部19(図1)に収納可能とされている。そして、サポートガイド部材72は、本体部12(図1)において、高さ方向であるZ軸方向に移動可能に設けられている。
なお、サポートガイド部材72を構成する各部の一部分は、X軸方向の中央に対して非対称に形成されているが、ここでは構成を分かり易くするために、左右対称な部位として説明する。サポートガイド部材72の各部は、X軸方向の中央に対して非対称な部位として形成されていてもよい。
【0054】
縦板部73は、Z軸方向に直立した状態で配置されている。縦板部73のX軸方向の長さは、第1サポート部材52の切欠部53を除いたX軸方向の長さよりも長い。また、縦板部73のZ軸方向の長さは、切欠部53のZ軸方向の長さと同程度とされている。
規制部74は、縦板部73のX軸方向の両端部から+Y側へ向けて張り出された部位である。具体的には、規制部74は、Z軸方向に長い四角柱状に形成されている。規制部74の側面のうち、X軸方向の内側の側面74Aは、トレイユニット50をZ軸方向に直立させた状態において、既述の側面53AとX軸方向に対向している。側面74AのY軸方向の幅は、側面53AのY軸方向の幅と同程度とされている。これにより、規制部74は、第1サポート部材52がX軸方向にずれるような状態となった場合に、側面53Aと接触することで、第1サポート部材52のX軸方向のずれを規制するようになっている。
【0055】
図10に表すように、レール部75は、規制部74のX軸方向の外側端部からX軸方向の外側且つ+Y側へ向けて張り出された部位である。また、レール部75は、Z軸方向に長い四角柱状に形成されている。また、レール部75は、一例として、柱部75Aと、柱部75Aの-Z側端部からX軸方向の外側へ突出された突出部75Bとを有する。
【0056】
図8に表すように、レール部75は、レールガイド部44に挿入されており、且つレールガイド部44に沿ってZ軸方向に移動可能とされている。
環状部76は、規制部74及びレール部75の+Z側端部から、+Z側へ向けて突出された部位である。また、環状部76には、Z軸方向を軸方向とする断面円形の貫通孔76Aが形成されている。貫通孔76Aには、既述の軸部54が挿入されている。これにより、サポートガイド部材72は、第1サポート部材52(トレイユニット50)を、軸部54の中心軸周りに旋回可能に支持している。
なお、トレイユニット50の旋回は、換言すると、X軸方向から見た場合に、トレイユニット50がZ軸方向と交差する斜め方向に傾倒することを意味する。
【0057】
ここで、図1に表すサポートガイド部材72は、トレイユニット50が第1手差経路K3に位置する第1位置と、トレイユニット50が第2手差経路K4に位置する第2位置と、トレイユニット50が収納部19に収納される第3位置とが切り替わるように、トレイユニット50を旋回可能に支持している。サポートガイド部材72自体は、第1位置、第2位置、第3位置が切り替わるように、本体フレーム32のレールガイド部44(図8)に案内及び保持される。レールガイド部44は、支持部の一例に含まれる。
なお、トレイユニット50の第1位置、第2位置、第3位置の切り替えについては、後述する。また、本実施形態では、一例として、第2位置と第3位置が、ほぼ同じ位置として設定されている。
【0058】
<カバー部材>
図2に表すように、カバー部材82は、筐体13の-Y側端部における+Z側部分を覆うように配置された部材である。具体的には、カバー部材82は、カバー本体部83と、カバー本体部83の-Y側端部から-Z側へ突出されたヒンジ部84とを有する。
カバー本体部83のX軸方向の長さは、筐体13のX軸方向の長さとほぼ等しい。カバー本体部83の-Y側端部におけるX軸方向の中央部には、+Y側に向けて切り欠かれた切欠部83Aが形成されている。切欠部83Aの大きさは、トレイユニット50をZ軸方向に引き出し及び収納可能となる大きさとされている。
【0059】
ヒンジ部84は、カバー本体部83の切欠部83Aに対する両外側の部位から-Z側へ突出された部位であり、X軸方向を中心軸方向として、円環状に形成されている(図15A)。また、ヒンジ部84は、図示を省略するシャフトを用いて、既述の被取付部17Cに回転可能に取り付けられている。このように、カバー部材82は、ヒンジ部84側を支点側として、筐体13に対して開閉可能に設けられている。
【0060】
図15A及び図15Bに表すように、カバー部材82は、ヒンジ部84を中心として回動されることで、第1手差経路K3を開閉可能とされている。カバー部材82が筐体13の+Z側端部を覆う状態を、カバー部材82の閉状態と称する。カバー部材82は、閉状態において、第1手差経路K3の用紙Pの挿入口側を、+Z側から覆う。つまり、カバー部材82の閉状態では、第1手差経路K3を用いた用紙Pの搬送が不可となる。
【0061】
図15Bに表すように、カバー部材82がヒンジ部84を中心として回動されることで、カバー部材82がZ軸方向に直立する状態となった場合を、カバー部材82の開状態と称する。カバー部材82は、開状態において、第1手差経路K3の用紙Pの挿入口側を開放する。これにより、カバー部材82の開状態では、第1手差経路K3を用いた用紙Pの搬送が可能となる。なお、カバー部材82は、開状態で、+Z側に引き出されたトレイユニット50よりも-Z側に位置する。
【0062】
<反転ユニット>
図3に表す反転ユニット86は、反転部の一例であり、本体フレーム32(図1)に対して着脱可能に設けられている。また、反転ユニット86は、用紙Pの表面と裏面を反転させる機能を有する。
具体的には、反転ユニット86は、本体部材87と、反転ローラー88と、補助円板89と、上ガイド部材91と、台座部材92と、背面カバー93と、可動爪部94とを含んで構成されている。また、反転ユニット86の全体は、X軸方向から見た場合に、-Y側部分がZ軸方向に直立し、且つ+Y側が鋭角となる台形状に形成されている。
反転ユニット86が本体フレーム32(図1)に装着された状態において、反転ユニット86の底部は、第2手差経路K4(図1)の+Z側部分を構成する。
【0063】
反転ローラー88は、本体部材87において、X軸方向を中心軸方向とする軸部周りに回転可能に設けられており、図示を省略するモーターによって回転駆動されることで、用紙Pの表裏を反転させる。
背面カバー93は、Y軸方向を厚さ方向とする板状に形成されており、本体部材87の-Y側部分に取り付けられている。背面カバー93には、2つの窓部93A(図4)が形成されている。また、背面カバー93は、反転ユニット86の装着状態において、トレイユニット50(図1)とY軸方向に対向する。
可動爪部94は、本体部材87において、X軸方向に相対的な移動が可能に付勢されている。また、可動爪部94は、窓部93Aを通してX軸方向に操作されることで、本体フレーム32との係合及び本体フレーム32からの離脱が可能とされている。
【0064】
図4の上図に表すように、反転ユニット86は、使用状態において、本体部12の内側に収容されている。具体的には、反転ユニット86は、本体フレーム32(図1)に装着されることで、Y軸方向において、ガイドフレーム37(図1)とトレイユニット50との間に配置される。また、反転ユニット86は、トレイユニット50が+Z側に引き上げられることにより-Y側部分が露出される。
【0065】
図4の下図に表すように、反転ユニット86は、-Y側からの操作によって、本体フレーム32から-Y側へ離脱される。反転ユニット86の離脱によって、第2手差経路K4が露出される。このように、反転ユニット86は、トレイユニット50が+Z側に引き上げられることで、本体フレーム32に着脱可能となっている。
【0066】
図1に表すように、反転ユニット86は、本体フレーム32への装着状態で、用紙Pを反転させる反転経路K5を形成し、第2手差経路K4を+Z側から覆い、且つトレイユニット50の旋回の経路R(図13の中図)上に配置されている。
「トレイユニット50の旋回の経路R上に配置」とは、トレイユニット50が旋回可能となる状態において、反転ユニット86がトレイユニット50に対する旋回方向の下流側に位置していることを意味する。つまり、反転ユニット86がトレイユニット50の旋回の経路R上に配置されている場合には、旋回したトレイユニット50の一部が反転ユニット86と接触することで、トレイユニット50の旋回が規制されるようになっている。
【0067】
<実施形態1の動作と効果の説明>
図2に表すように、プリンター10において、手差しによる用紙Pの搬送を行わない場合には、サポートガイド部材72が第3位置に位置しており、トレイユニット50がプリンター10の-Y側の壁部を構成する収納状態となる。このとき、カバー部材82は、筐体13の上面に沿って位置しており、第1手差経路K3(図1)を覆っている。このため、第1手差経路K3は、使用不可となっている。
【0068】
(第1手差経路の使用)
図1に表すカバー部材82の自由端側が持ち上げられることで、カバー部材82の基端側が回動され、カバー部材82がZ軸方向に直立する。これにより、第1手差経路K3が開放される。この状態において、サポートガイド部材72が+Z側に引き上げられることにより、トレイユニット50も+Z側に引き上げられる。そして、サポートガイド部材72が筐体13のほぼ上端部に位置する状態において、トレイユニット50が旋回される。
【0069】
図7に表すように、旋回されたトレイユニット50の係合部55は、被係合部42に-Y側から係合される。これにより、図15Bに表すように、トレイユニット50が傾倒された状態で、第1手差経路K3の使用が可能となる。
【0070】
(第2手差経路の使用)
図2に表すサポートガイド部材72が、第3位置から筐体13の+Z側端部まで引き上げられる。これにより、図11に表すように、反転ユニット86が露出され、反転ユニット86へのアクセスが可能となる。この状態において、反転ユニット86が-Y側へ引き出される。
図12に表すように、下壁35が露出された状態において、サポートガイド部材72が-Z側に向けて引き下げられる。このとき、図13に表すように、反転ユニット86(図11)が除かれた下壁35上の空間部において、トレイユニット50の旋回が可能となっている。
【0071】
図15Aに表すトレイユニット50は、旋回されることで、図14に表すように、X-Y面に沿った配置状態となる。この配置状態は、第2サポート部材64の一部がサポートガイド部材72の縦板部73と接触することで保持される。この状態で、サポートガイド部材72を筐体13の-Z側端部まで引き下げることで、下壁35とトレイユニット50とがY軸方向に並ぶ。つまり、サポートガイド部材72が第2位置に位置し、トレイユニット50がX-Y面に沿って配置される。
【0072】
続いて、第2サポート部材64が第1サポート部材52に対して-Y側に伸長された(延ばされた)状態で、可動板62Bが第1サポート部材52上に起立される。これにより、第2手差経路K4の使用が可能となる。なお、上記の手順とは逆の手順が行われることで、サポートガイド部材72が第3位置に戻される。
【0073】
図16に表すように、トレイユニット50上に載置されたシートSは、第2手差経路K4を通ってプリンター10内に送り込まれ、情報記録部20(図1)によって情報が記録される。
【0074】
(1)以上説明した通り、実施形態1によれば、サポートガイド部材72をZ軸方向に移動させることで、トレイユニット50が非使用状態である収納状態から使用状態である展開状態とされ、且つトレイユニット50のZ軸方向の位置が変わる。また、サポートガイド部材72に対するトレイユニット50の旋回の回転角を変えることで、トレイユニット50の姿勢が変わる。このように、サポートガイド部材72の移動とトレイユニット50の旋回(姿勢変更)とを組合わせることで、サポートガイド部材72及びトレイユニット50の第1位置、第2位置及び第3位置を切り替えられる。これにより、トレイユニット50が第2位置で本体部12に固定された構成に比べて、媒体搬送部30を小型化することができる。
【0075】
(2)また、実施形態1によれば、反転ユニット86が本体部12から離脱された場合には、トレイユニット50の旋回の経路上に障害物が無くなるので、トレイユニット50を第2手差経路K4に設けることができる。また、反転ユニット86が本体部12に装着された場合には、トレイユニット50の旋回が反転ユニット86との接触によって規制されるので、トレイユニット50を第2手差経路K4に設けることができなくなる。
つまり、第2手差経路K4及び反転経路K5の一方が使用可能な場合には、他方が使用不可となるので、第2手差経路K4及び反転経路K5のどちらが使用可能であるかを使用者に認識させることができる。
【0076】
(3)また、実施形態1によれば、カバー部材82が開状態の場合には、第1手差経路K3が開放されて使用可能となり、且つトレイユニット50の旋回が、トレイユニット50よりも下側に配置されるカバー部材82との接触によって規制されることで、第2手差経路K4が使用不可となる。
一方、カバー部材82が閉状態の場合には、第1手差経路K3がカバー部材82に覆われて使用不可となり、且つトレイユニット50の旋回が許容されることで、第2手差経路K4が使用可能となる。
つまり、第1手差経路K3及び第2手差経路K4の一方が使用可能な場合には、他方が使用不可となるので、第1手差経路K3及び第2手差経路K4のどちらが使用可能であるかを使用者に認識させることができる。
【0077】
(4)また、実施形態1によれば、エッジガイド62と用紙Pとの接触によって、用紙P又はシートSの左右両端部が搬送方向に案内されるので、エッジガイド62が無い構成に比べて、用紙P又はシートSが搬送される方向を安定させることができる。
【0078】
(5)また、実施形態1によれば、サポートガイド部材72がレールガイド部44から離脱されることで、本体部12からトレイユニット50を取り出して、トレイユニット50に用紙P又はシートSを載せることができる。用紙P又はシートSが載せられたトレイユニット50は、サポートガイド部材72のレール部75がレールガイド部44に挿入されることで、使用するいずれかの搬送経路に設けられる。このように、トレイユニット50が本体部12に着脱可能となるので、使用者がトレイユニット50に用紙P又はシートSを載置する作業を行い易くすることができる。
【0079】
(6)また、実施形態1によれば、第1サポート部材52に対して第2サポート部材64を伸ばすことで、トレイユニット50における用紙P又はシートSを載置可能な領域が拡がるので、サイズの大きい用紙P又はシートSを使用することができる。
【0080】
[実施形態2]
次に、本発明に係る媒体搬送装置及び処理装置の一例としての実施形態2について説明する。なお、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1と同様の作用及び効果についても説明を省略する。
【0081】
図17に表すように、プリンター10において、第2サポート部材64に後端ガイドユニット102を設けてもよい。後端ガイドユニット102は、付勢部の一例であり、トレイユニット用紙P又はシートSを搬送方向の下流側である+Y側に向けて付勢する。
【0082】
図18に表すように、後端ガイドユニット102は、一例として、ホルダー103と、前壁104と、後壁105と、ガイドフレーム106と、圧縮バネ107とを有する。なお、各部材の配置については、第2サポート部材64がY軸方向に沿って配置されているものとして説明する。
【0083】
ホルダー103は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されており、第2サポート部材64に形成された図示を省略するスリットに沿って、Y軸方向(搬送方向)に移動可能とされている。また、ホルダー103は、第2サポート部材64に形成された図示を省略する被係合部との係合によって、第2サポート部材64上の位置が決められるようになっている。
【0084】
前壁104は、ホルダー103のY軸方向の中央に対する+Y側部分において、+Z側へ直立されている。
後壁105は、ホルダー103のY軸方向の中央に対する-Y側部分において、+Z側へ直立されている。また、後壁105のZ軸方向の中央に対する-Z側部分には、前壁104に向けて板状に延びる張出部105Aが形成されている。
【0085】
ガイドフレーム106は、X軸方向に長い角柱状に形成された部材である。また、ガイドフレーム106は、前壁104と張出部105Aとの間で、Y軸方向に移動可能とされている。
圧縮バネ107は、一端部が後壁105に取り付けられており、他端部がガイドフレーム106に取り付けられている。これにより、圧縮バネ107は、ガイドフレーム106を前壁104に向けて付勢している。
このように、後端ガイドユニット102は、第2サポート部材64上を用紙P又はシートSの搬送方向に沿って移動可能とされている。そして、トレイユニット50上に載置された用紙P又はシートSの-Y側端部が、ガイドフレーム106と接触することで、用紙P又はシートSに+Y側に向けた付勢力が付与されるようになっている。付勢力は、換言すると、用紙P又はシートSの搬送力である。
【0086】
<実施形態2の動作と効果の説明>
(1)実施形態2によれば、用紙P又はシートSは、後端ガイドユニット102から受ける付勢力によって、搬送方向の下流側へ送り込まれる。これにより、用紙P又はシートSが第2手差経路K4の途中で止まる搬送不良を防ぐことができる。
【0087】
〔他の実施形態〕
本発明の実施形態に係る媒体搬送部30及びプリンター10は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0088】
プリンター10は、インクジェット方式のものに限らず、電子写真方式のものであってもよい。媒体は、用紙PやシートSに限らず、シート状のフィルムであってもよい。
処理装置は、プリンター10のような記録装置に限らず、一例として、ヘッド22が画像読取部に置き換えられたスキャナー(情報読取装置)であってもよい。
反転経路K5の一部は、第2手差経路K4の一部を兼ねていなくてもよい。
【0089】
プリンター10は、反転ユニット86を有していないものであってもよい。また、プリンター10は、カバー部材82が無く、第1手差経路K3が露出されたままとなるものであってもよい。また、プリンター10のレールガイド部44は、レール部75の離脱を規制するものであってもよい。
【0090】
トレイユニット50には、エッジガイド62が設けられていなくてもよい。例えば、第1サポート部材52にリブが形成され、該リブによって用紙P又はシートSを案内してもよい。また、トレイユニット50には、後端ガイドユニット102が無くてもよい。また、トレイユニット50は、1つの第1サポート部材52に対して、2つ以上の第2サポート部材64を用紙P又はシートSの搬送方向に伸縮可能とした構成であってもよい。
【0091】
後端ガイドユニット102は、トレイユニット50に対して着脱可能とされていてもよい。つまり、後端ガイドユニット102は、用紙P又はシートSのサイズに合わせて設定された規制位置に付け替え可能とされていてもよい。
プリンター10において、本体部12に対するサポートガイド部材72の着脱を検知するセンサーを設けて、該センサーが、サポートガイド部材72の離脱(取り外し)を検知した場合に、自動的に手差しモードに移行してもよい。
プリンター10において、トレイユニット50の収納部19への収納状態が保持されるように、トレイユニット50を本体部12に向けて付勢してもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…プリンター、12…本体部、13…筐体、14…収容部、15…側壁、17…後壁、
17A…右後壁、17B…左後壁、17C…被取付部、18…スキャナー部、
19…収納部、20…情報記録部、22…ヘッド、24…制御ユニット、
26…搬送ローラー、27…下側ガイド部材、30…媒体搬送部、32…本体フレーム、33…底壁、34…縦壁、35…下壁、36…側壁、37…ガイドフレーム、
38…傾斜壁、39…側壁、42…被係合部、44…レールガイド部、44A…前壁、
44B…側壁、44C…後壁、50…トレイユニット、52…第1サポート部材、
53…切欠部、53A…側面、53B…側面、54…軸部、55…係合部、
55A…平面部、55B…曲面部、56…スリット、58…サポート部材支持部、
62…エッジガイド、62A…スライド板、62B…可動板、64…第2サポート部材、65…板部、66…湾曲部、72…サポートガイド部材、73…縦板部、74…規制部、74A…側面、75…レール部、75A…柱部、75B…突出部、76…環状部、
76A…貫通孔、82…カバー部材、83…カバー本体部、83A…切欠部、
84…ヒンジ部、86…反転ユニット、87…本体部材、88…反転ローラー、
89…補助円板、91…上ガイド部材、92…台座部材、93…背面カバー、
93A…窓部、94…可動爪部、102…後端ガイドユニット、103…ホルダー、
104…前壁、105…後壁、105A…張出部、106…ガイドフレーム、
107…圧縮バネ、K1…第1経路、K2…第2経路、K3…第1手差経路、
K4…第2手差経路、K5…反転経路、P…用紙、R…旋回の経路、S…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行うヘッドの下方から給送される媒体を前記ヘッドの上流に設けられた搬
送ローラーに向けて搬送される第1搬送経路と、前記搬送ローラーから前記ヘッドに向け
て搬送する第2搬送経路と、前記搬送ローラーまで斜め下方へ延びる第1手差し経路と、
前記搬送ローラーまで、直線状に延びている第2手差し経路を有する装置本体であって、
前記第1手差し経路と前記第2手差し経路は、媒体を載置するトレイによって切り替え
可能に構成され、
前記トレイは、前記装置本体の高さ方向に移動可能に設けられ、前記載置部が前
記第1搬送経路に位置する第1位置と、前記第2搬送経路に位置する第2位置と、前記装
置本体に収納される第3位置とが切り替わるように、前記載置部を支持する支持部と、
を有する媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記装置本体に着脱可能とされ、前記装置本体への装着状態で、媒体を反転させる反転
経路を形成し、前記第2搬送経路を覆い且つ前記載置部の旋回の経路上に配置される反転
部が設けられた、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の媒体搬送装置において、
前記第1手差し経路は、前記高さ方向において前記第2手差し経路よりも上側に位置し

前記装置本体には、前記第1搬送経路を開閉可能とされ、閉状態で前記第1搬送経路を
覆い、開状態で前記載置部よりも前記高さ方向の下側に位置するカバー部材が設けられ、
前記載置部は、前記カバー部材の前記閉状態で旋回が可能とされ、前記カバー部材の開
状態で前記カバー部材との接触により旋回が規制される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部には、媒体の左右両端部を媒体幅に合わせて搬送方向に案内する案内部が設
けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部には、媒体を搬送方向の下流側へ向けて付勢する付勢部が設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記装置本体には、前記支持部を前記高さ方向に案内し且つ前記支持部の離脱を許容す
る許容部が形成されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記載置部は、前記支持部によって支持される基部と、該基部に対して媒体の搬送方向
に伸縮される1つ以上の伸縮部とを有する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。