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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003649
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】フレーム構造体及び折り畳み椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/48 20060101AFI20240105BHJP
   A47C 4/28 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A47C4/48
A47C4/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102937
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】野中 研二
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 肇
(57)【要約】
【課題】展開及び折り畳み可能であり、組み立ての操作性に優れるフレーム構造体3及び折り畳み椅子1を提供する。
【解決手段】展開及び折り畳み可能なフレーム構造体3であって、第1脚部16と、第1脚部16に対し交差して配置された第2脚部18と、第1脚部16に第2脚部18を回転可能に支持する第1軸部20と、第1脚部16と第2脚部18との間に架け渡されたストッパー22と、を有する、第1フレーム10を備え、ストッパー22は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開及び折り畳み可能なフレーム構造体であって、
第1脚部と、
前記第1脚部に対し交差して配置された第2脚部と、
前記第1脚部に前記第2脚部を回転可能に支持する第1軸部と、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に架け渡されたストッパーと、を有する、第1フレームを備え、
前記ストッパーは、前記展開した時の前記第1脚部と前記第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成されている、フレーム構造体。
【請求項2】
前記ストッパーは、長手方向と短手方向とを有する板状部材であって、前記長手方向に沿った長穴を有し、
前記第1脚部は、
前記ストッパーの先端が接触可能な上接触部と、
前記ストッパーを前記第1脚部に回転自在に接続する上軸部と、を有し、
前記第2脚部は、
前記ストッパーの基端が接触可能な下接触部と、
前記ストッパーの前記長穴に挿入される下軸部と、を有する、
請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項3】
前記ストッパーの先端及び基端は、それぞれ、前記長手方向の外側へ向かって凸となる湾曲状であり、
前記上接触部及び前記下接触部は、それぞれ、前記ストッパーの先端及び基端に対し相補的な形状である、請求項2に記載のフレーム構造体。
【請求項4】
前記第1脚部は、前記第1軸部と、前記第1脚部の端部との間に、前記展開する時に前記第1脚部が回転する方向へ凸となる第1屈曲部を有し、
前記第2脚部は、前記第1軸部と、前記第2脚部の端部との間に、前記展開する時に前記第2脚部が回転する方向へ凸となる第2屈曲部を有し、
前記第1屈曲部に前記上接触部が設けられ、
前記第2屈曲部より下方に前記下接触部が設けられている、請求項2に記載のフレーム構造体。
【請求項5】
前記第2脚部は、前記第1軸部の回転軸に交差する方向の外側へ延びる延設部を有する、請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項6】
前記第1脚部は、長尺の1つの板状部材であり、
前記第2脚部は、長尺の板状部材である2つのフランジと、前記2つのフランジの間に固定された複数のウェブとを有し、
前記第1脚部は、前記2つのフランジの間に配置されて前記第1軸部によって、前記第2脚部に連結されており、
前記第1フレームに対し直交する方向に配置された第2フレームを備え、
前記第2フレームは、それぞれ、
第1接続部と、
前記第1接続部に対し交差して配置された第2接続部と、
前記第1接続部に前記第2接続部を回転可能に支持する第2軸部と、を有し、
前記第1接続部は、長尺の1つの板状部材であり、
前記第2接続部は、長尺の板状部材である2つのフランジと、前記2つのフランジの間に固定された複数のウェブとを有し、
前記第1接続部は、前記2つのフランジの間に配置されて第2軸部によって、前記第2接続部に連結されており、
前記フレーム構造体は、前記第1フレームと前記第2フレームの端部同士を回転自在に連結する複数の連結部を備え、
前記複数の連結部は、それぞれ
前記第1フレームの端部を回転自在に連結する第1連結軸部と、
前記第2フレームの端部を回転自在に連結する第2連結軸部と、を有する、
請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項7】
前記第1脚部と前記第2脚部とは、
それぞれ板状部材で形成され、
前記第1軸部で連結された部分の幅より、端部の幅の方が狭い、請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項8】
互いに直交する第1方向と第2方向とを有し、
前記第1フレームが前記第1方向に間隔を開けて2個配置されており、
前記第2方向に間隔を開けて2個配置され、2個の前記第1フレームを互いに接続する、第2フレームを備え、
2個の前記第2フレームは、それぞれ、
第1接続部と、
前記第1接続部に対し交差して配置された第2接続部と、
前記第1接続部に前記第2接続部を回転可能に支持する第2軸部と、を有する、請求項1に記載のフレーム構造体。
【請求項9】
請求項8に記載のフレーム構造体と、前記フレーム構造体に対し着脱自在に設けられた座面部材と、を備える、折り畳み椅子。
【請求項10】
2個の前記第2フレームの一方は、前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれの、前記第2軸部より上方に配置された上半部が、前記第2方向からみてU字状である、請求項9に記載の折り畳み椅子。
【請求項11】
展開及び折り畳み可能なフレーム構造体であって、
第1脚部と、
前記第1脚部に対し交差して配置された第2脚部と、
前記第1脚部に前記第2脚部を回転可能に支持する第1軸部と、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に架け渡されたストッパーと、を有する、第1フレームを備え、
前記ストッパーは、前記第1脚部と前記第2脚部の間に架け渡され、前記折り畳み時の前記第1脚部と前記第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止する、フレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム構造体及び折り畳み椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
フレーム構造体は、例えば折り畳み椅子に用いられている。折り畳み椅子は、例えば、金具の両端にそれぞれ平行枠を固定すると共に、金具の中心に交叉枠の中心を軸支するX状の支持枠の前後の二組を形成し、金具の一端に支枠を固定すると共に他端に斜交枠を軸支したX状の側枠の二組を構成し、前後の支持枠の各先端と側枠の各先端とを連結金具で連結し、さらに座面部材としてのカバーを備えた、折り畳み椅子が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-112951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の折り畳み椅子は、枠を折り畳んだ状態から着座可能な形態に開き、さらにカバーを装着することで着座可能な状態となる。各枠は、それぞれが軸支された金具を中心に展開し、各部材同士が干渉するまで開き切ってしまうので、カバーを装着しないと、形状が崩れてしまい着座可能な形態を保持できない。したがって、上記特許文献1の折り畳み椅子は、枠を着座可能な形態に開いた状態で保持することが困難であるため、当該枠にカバーを装着した状態に組み立てる作業が、煩雑である、という問題があった。
【0005】
本発明は、展開及び折り畳み可能であり、組み立ての操作性に優れるフレーム構造体及び折り畳み椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、展開及び折り畳み可能なフレーム構造体であって、第1脚部と、前記第1脚部に対し交差して配置された第2脚部と、前記第1脚部に前記第2脚部を回転可能に支持する第1軸部と、前記第1脚部と前記第2脚部との間に架け渡されたストッパーと、を有する、第1フレームを備え、前記ストッパーは、前記展開した時の前記第1脚部と前記第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成されている、フレーム構造体である。
【0007】
本発明は、上記フレーム構造体と、前記フレーム構造体に対し着脱自在に設けられた座面部材と、を備える、折り畳み椅子である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるフレーム構造体及び折り畳み椅子は、展開及び折り畳み可能であり、組み立ての操作性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る折り畳み椅子を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係るフレーム構造体を示す後側から見た斜視図である。
図3】本実施形態に係るフレーム構造体の第1軸部を中心とする部分拡大図である。
図4】本実施形態に係る第1フレームの部分縦断面図である。
図5】本実施形態に係るフレーム構造体の連結部を示す部分拡大図である。
図6】本実施形態に係る折り畳んだ状態のフレーム構造体を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係るフレーム構造体の作用の説明に供する部分拡大図(1)である。
図8】本実施形態に係るフレーム構造体の作用の説明に供する部分拡大図(2)である。
図9】本実施形態に係る折り畳み椅子の作用の説明に供する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[態様1]
展開及び折り畳み可能なフレーム構造体であって、
第1脚部と、
前記第1脚部に対し交差して配置された第2脚部と、
前記第1脚部に前記第2脚部を回転可能に支持する第1軸部と、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に架け渡されたストッパーと、を有する、第1フレームを備え、
前記ストッパーは、前記展開した時の前記第1脚部と前記第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成されている、フレーム構造体。
フレーム構造体は、第1脚部と第2脚部を閉じる方向へ第1軸部を中心に回転させることによって、折り畳まれる。一方、フレーム構造体は、第1軸部を中心に第1脚部と第2脚部を開く方向へ回転させることによって、展開する。
ストッパーは、展開した時の第1脚部と第2脚部との間の角度が所定の角度未満になることを阻止する。ここで、展開した時の第1脚部と第2脚部との間の角度とは、第1脚部と第2脚部とで形成され、展開した時に大きくなる角度と小さくなる角度のうち、小さくなる方の角度をいう。すなわち、フレーム構造体は、第1フレームが開き切らずに、所定の形態を保持することができる。フレーム構造体は、例えば、折り畳み椅子のフレームに適用された場合、着座可能な形態に保持されるので、座面部材を容易に装着することができる。したがって、フレーム構造体は、組み立ての操作性に優れる。
第1脚部と第2脚部は、展開した時の第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満になることを阻止するので、第1脚部と第2脚部の間に手指が挟まれにくい。したがって、フレーム構造体は、折り畳んだ形態から展開した形態に変化させる際の、手指の挟み込み防止の観点において優れる。
【0011】
[態様2]
前記ストッパーは、長手方向と短手方向とを有する板状部材であって、前記長手方向に沿った長穴を有し、
前記第1脚部は、
前記ストッパーの先端が接触可能な上接触部と、
前記ストッパーを前記第1脚部に回転自在に接続する上軸部と、を有し、
前記第2脚部は、
前記ストッパーの基端が接触可能な下接触部と、
前記ストッパーの前記長穴に挿入される下軸部と、を有する、
態様1に記載のフレーム構造体。
ストッパーは、展開した形態において、先端が第1脚部の上接触部に、基端が第2脚部の下接触部に接触することによって、展開した時の第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満になることを阻止する。ストッパーは、上軸部によって第1脚部に、下軸部によって第2脚部にそれぞれ接続されているので、フレーム構造体を展開する際及び折り畳む際に、ストッパーを着脱する作業を省略できる。しかも、下軸部は、ストッパーの長穴に挿入されており、当該長穴をストッパーの長手方向に自在に移動可能である。したがって、フレーム構造体は、ストッパーの位置をユーザーが調整する必要がないので、操作性に優れる。
ストッパーが第1脚部及び第2脚部から受ける荷重は、先端及び基端に作用する圧縮荷重であり、ストッパーを第1脚部に接続する上軸部及び第2脚部に接続する下軸部に対し、第1脚部及び第2脚部から荷重は作用しない。したがって上軸部及び下軸部は簡略化され得る。
【0012】
[態様3]
前記ストッパーの先端及び基端は、それぞれ、前記長手方向の外側へ向かって凸となる湾曲状であり、
前記上接触部及び前記下接触部は、それぞれ、前記ストッパーの先端及び基端に対し相補的な形状である、態様2に記載のフレーム構造体。
ストッパーの先端及び基端は、湾曲状であって、上接触部及び下接触部がそれぞれ相補的な形状を有するので、上接触部及び下接触部と接触可能な範囲がより広い。ストッパーは、フレーム構造体にずれが生じていたとしても、上接触部及び下接触部と接触し得る。したがって、フレーム構造体は、展開した時の第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満になることをより確実に阻止することができる。
【0013】
[態様4]
前記第1脚部は、前記第1軸部と、前記第1脚部の端部との間に、前記展開する時に前記第1脚部が回転する方向へ凸となる第1屈曲部を有し、
前記第2脚部は、前記第1軸部と、前記第2脚部の端部との間に、前記展開する時に前記第2脚部が回転する方向へ凸となる第2屈曲部を有し、
前記第1屈曲部に前記上接触部が設けられ、
前記第2屈曲部より下方に前記下接触部が設けられている、態様2又は3に記載のフレーム構造体。
第1屈曲部に上接触部を設けたことにより、上接触部を下接触部により近づけることによってストッパーを小さくすることができる。また第2脚部にも第2屈曲部を設け、第2屈曲部より下方に下接触部を設けたことにより、第2脚部に沿ってストッパーを配置しやすい。したがって、ストッパーは、フレーム構造体に、目立ちにくい状態で、かつ容易に取り付けることができる。
【0014】
[態様5]
前記第2脚部は、前記第1軸部の回転軸に交差する方向の外側へ延びる延設部を有する、態様1~4のいずれか1つに記載のフレーム構造体。
第1脚部及び第2脚部は、互いに向かい合った辺が交差する位置において、最も隙間が狭く、手指が挟まれやすい。
延設部は、第1脚部及び第2脚部の互いに向かい合った辺が交差する位置の隙間と重なる。すなわち、第1フレームは、延設部が上記隙間と重なることによって、上記隙間に手指が入り込むことを抑制する。しかも、フレーム構造体は、展開した形態で第1脚部と第2脚部をストッパーが保持する。したがって、フレーム構造体は、第1フレームを折り畳んだ状態から展開した形態に変化させる際の、手指の挟み込み防止性に優れる。
【0015】
[態様6]
前記第1脚部は、長尺の1つの板状部材であり、
前記第2脚部は、長尺の板状部材である2つのフランジと、前記2つのフランジの間に固定された複数のウェブとを有し、
前記第1脚部は、前記2つのフランジの間に配置されて前記第1軸部によって、前記第2脚部に連結されており、
前記第1フレームに対し直交する方向に配置された第2フレームを備え、
前記第2フレームは、それぞれ、
第1接続部と、
前記第1接続部に対し交差して配置された第2接続部と、
前記第1接続部に前記第2接続部を回転可能に支持する第2軸部と、を有し、
前記第1接続部は、長尺の1つの板状部材であり、
前記第2接続部は、長尺の板状部材である2つのフランジと、前記2つのフランジの間に固定された複数のウェブとを有し、
前記第1接続部は、前記2つのフランジの間に配置されて第2軸部によって、前記第2接続部に連結されており、
前記フレーム構造体は、前記第1フレームと前記第2フレームの端部同士を回転自在に連結する複数の連結部を備え、
前記複数の連結部は、それぞれ
前記第1フレームの端部を回転自在に連結する第1連結軸部と、
前記第2フレームの端部を回転自在に連結する第2連結軸部と、を有する、
態様1~5のいずれか1つに記載のフレーム構造体。
第1フレームと第2フレームとは、それぞれ、長尺の1つの板状部材と、2つのフランジと2つのフランジの間に固定された複数のウェブとの組合せである。そうすると、連結部の第1連結軸部と連結される第1フレームの第1脚部及び第2脚部の端部は、同一の平面状に配置され得る。同様に、連結部の第2連結軸部と連結される第2フレームの第1接続部及び第2接続部の端部は、同一の平面状に配置され得る。すなわち、全ての連結部は、第1連結軸部と第2連結軸部とを有し、同じ形状とすることができる。したがって、フレーム構造体は、部品の共通化を図れるので、部品管理の負担を低減することができる。
【0016】
[態様7]
前記第1脚部と前記第2脚部とは、
それぞれ板状部材で形成され、
前記第1軸部で連結された部分の幅より、端部の幅の方が狭い、態様1~6のいずれか1つに記載のフレーム構造体。
フレーム構造体は、第1軸部で連結された部分の幅より、端部の幅の方が狭い第1脚部と第2脚部を備える。すなわち、第1脚部と第2脚部は、応力に応じた幅を適宜選択することができるので、材料を省略することができ、軽量化が可能である。
【0017】
[態様8]
互いに直交する第1方向と第2方向とを有し、
前記第1フレームが前記第1方向に間隔を開けて2個配置されており、
前記第2方向に間隔を開けて2個配置され、2個の前記第1フレームを互いに接続する、第2フレームを備え、
2個の前記第2フレームは、それぞれ、
第1接続部と、
前記第1接続部に対し交差して配置された第2接続部と、
前記第1接続部に前記第2接続部を回転可能に支持する第2軸部と、を有する、態様1~7のいずれか1つに記載のフレーム構造体。
フレーム構造体は、互いに直交する第1方向と第2方向に、それぞれ2個の第1フレームと2個の第2フレームとを備える。第1フレームは、第1軸部を中心に第1脚部と第2脚部を閉じる方向及び開く方向へ回転可能である。同様に、第2フレームは、第2軸部を中心に第1接続部と第2接続部を閉じる方向及び開く方向へ回転可能である。したがって、フレーム構造体は、第1フレーム及び第2フレームを同時に、閉じることによって折り畳むことができ、開くことによって展開することができるので、中央に収束する構造体とすることができる。
【0018】
[態様9]
態様8に記載のフレーム構造体と、前記フレーム構造体に対し着脱自在に設けられた座面部材と、を備える、折り畳み椅子。
座面部材は、2個の側脚部及び2個の接続部に対し着脱自在であるため、適宜交換が可能である。したがって、折り畳み椅子は、利便性に優れる。
[態様10]
2個の前記第2フレームの一方は、前記第1接続部及び前記第2接続部のそれぞれの、前記第2軸部より上方に配置された上半部が、前記第2方向からみてU字状である、態様9に記載の折り畳み椅子。
2個のフレームの一方の上半部が、第2方向からみてU字状であるため、広い座面を形成することができる。したがって、ユーザーが座面部材に着座した場合、第1接続部及び第2接続部の上半部に、大腿部の裏側が接触することを防ぐことができる。
【0019】
[態様11]
展開及び折り畳み可能なフレーム構造体であって、
第1脚部と、
前記第1脚部に対し交差して配置された第2脚部と、
前記第1脚部に前記第2脚部を回転可能に支持する第1軸部と、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に架け渡されたストッパーと、を有する、第1フレームを備え、
前記ストッパーは、前記第1脚部と前記第2脚部の間に架け渡され、前記折り畳み時の前記第1脚部と前記第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止する、フレーム構造体。
フレーム構造体は、第1脚部と第2脚部を閉じる方向へ第1軸部を中心に回転させることによって、折り畳まれる。一方、フレーム構造体は、第1軸部を中心に第1脚部と第2脚部を開く方向へ回転させることによって、展開する。
ストッパーは、折り畳み時における第1脚部と第2脚部との間の角度が所定の角度未満になることを阻止する。ここで、折り畳み時における第1脚部と第2脚部との間の角度とは、第1脚部と第2脚部とで形成され、折り畳み時に大きくなる角度と小さくなる角度のうち、小さくなる方の角度をいう。すなわち、第1脚部と第2脚部は、折り畳み時における第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満になることを阻止するので、第1脚部と第2脚部の間に手指が挟まれにくい。したがって、フレーム構造体は、展開した形態から折り畳んだ状態に変化させる際の、手指の挟み込み防止の観点において優れる。
【0020】
1.折り畳み椅子
以下、本実施形態に係る折り畳み椅子について図面を参照して説明する。図1は、着座可能な状態の折り畳み椅子を示す斜視図、図2は展開した形態のフレーム構造体を後側から見た斜視図である。本明細書では、互いに直交する第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zからなる直交座標を用いて説明する。第1方向Xを左右方向、第2方向Yを前後方向、第3方向Zを上下方向と、呼ぶ場合がある。折り畳み椅子に着座したユーザーからみて、右へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向の右向き及び右側とし、左側へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向の左向き及び左側とし、前へ向かう向き及び側をそれぞれ前後方向の前向き及び前側とし、後ろへ向かう向き及び側をそれぞれ前後方向の後ろ向き及び後側とする。フレーム構造体の中心に向かう側を内側、フレーム構造体の中心から外へ向かう側を外側とする。
【0021】
図1に示す折り畳み椅子1は、座面部材2と、フレーム構造体3とを備える。座面部材2は、合成樹脂繊維、天然繊維、これらの組合せからなる布地で形成されている。座面部材2は、矩形状の座部4と、座部4の四隅にそれぞれ設けられた係合部5とを有する。係合部5は、座部4の四隅を折り返し、袋状に縫合することによって形成されている。座面部材2は、係合部5を、フレーム構造体3の上方に配置された後述する4個の連結部にそれぞれ被せることによって、フレーム構造体3に装着される。
【0022】
2.フレーム構造体
フレーム構造体3は、金属製、例えば、アルミニウム製、アルミニウム合金製、ステンレス鋼製、又はこれらの組合せからなる複数の部材を備え、展開及び折り畳み可能な構造を有する。図1及び図2に示すように、フレーム構造体3は、一対の第1フレーム10と、一対の第2フレーム12と、各フレーム同士を連結する複数、本図の場合8個、の連結部14とを備える。
【0023】
一対の第1フレーム10は、それぞれ、第1方向X、すなわち左右方向に所定の間隔を開けて配置されている。一対の第1フレーム10は、それぞれ、第1脚部16と、第2脚部18と、第1軸部20と、ストッパー22とを有する。第2脚部18は、第1脚部16に対し交差して配置されている。第1軸部20は、第1脚部16と第2脚部18が交差した位置、すなわち互いに重なった位置に設けられ、第1脚部16と第2脚部18を回転可能に連結する。一対の第1フレーム10は、左右対称であるため、適宜、右側又は左側の第1フレーム10を図で参照して説明することとする。
【0024】
第1脚部16は、第1方向Xを厚み方向とする長尺の1つの板状部材である。第1脚部16は、第1軸部20から前側斜め下に延びる前脚部24と、第1軸部20から後側斜め上に延びる背もたれ部26とを有する。背もたれ部26は、第1軸部20と背もたれ部26の端部との間に、展開する時に第1脚部16が回転する方向、すなわち後側へ凸となる第1屈曲部28を有する。背もたれ部26は、第1軸部20から第1屈曲部28に向かって後側へ延び、第1屈曲部28を介して斜め上へ直線的に延びている。第1脚部16は、厚みが一定であると共に、第1軸部20からそれぞれの端部に向かって幅が徐々に狭くなる、先細りの形状を有する。
【0025】
図3は、第1軸部20を中心とする後側から見た部分拡大斜視図である。図3に示すように、背もたれ部26は、第1屈曲部28に上接触部30が設けられている。上接触部30は、背もたれ部26の表面、本実施形態の場合、第1方向Xの外側の面から厚さ方向に窪んだ溝である。上接触部30は、下側が開放されており、上側に第3方向Zに交差する上凹面31を有する。上凹面31は、第3方向Zの上側に向かって凸となる湾曲状の面である。上接触部30は、第1方向Xに平行な回転軸を有する上軸部32が設けられている。
【0026】
第2脚部18は、第1方向Xを厚み方向とし、第2方向Yに延びる長尺の板状部材である2つのフランジ34と、当該フランジ34の間に固定された複数のウェブ36とを有する(図2)。第2脚部18は、第1軸部20から後側斜め下に延びる後脚部38と、第1軸部20から前側斜め上に延びる前脇部40とを有する。第2脚部18は、後脚部38と前脇部40との間で、2つのフランジ34で第1脚部16を挟み、第1軸部20によって第1脚部16と回転可能に連結されている。後脚部38は、第1軸部20と後脚部38の端部との間に、展開する時に第2脚部18が回転する方向、すなわち後側へ凸となる第2屈曲部42を有する。後脚部38は、第1軸部20から第2屈曲部42に向かって後側へ伸び、第2屈曲部42を介して斜め下へ直線的に延びている。第2脚部18は、厚みが一定であると共に、第1軸部20からそれぞれの端部に向かって幅が狭くなる、先細りの形状を有する。
【0027】
図4は、第2方向Yの外側のフランジ34を取り外した第2フレーム12を第1方向Xの外側から見た部分断面図である。図4に示すように、複数のウェブ36は、2つのフランジ34の間に配置され、2つのフランジ34にそれぞれ、ピンなどの締結具や、溶接などによって固定されている。複数のウェブ36は、2つのフランジ34と一体であってもよい。複数のウェブ36の形状は特に限定されないが、例えば、T字状でもよい。
【0028】
複数のウェブ36は、それぞれ、第1ウェブ44及び第2ウェブ46を有する。第1ウェブ44及び第2ウェブ46は、それぞれ長手方向、短手方向、及び厚み方向を有する。第1ウェブ44及び第2ウェブ46は、厚み及び短手長さが共通の部材である。第2ウェブ46は、第1ウェブ44より長手方向長さが長い。第2ウェブ46は、第1ウェブ44の長手方向の中央に基端が接続され、第1ウェブ44から垂直に延びている。ウェブ36は、第1ウェブ44及び第2ウェブ46の短手方向を第1方向Xに平行、第1ウェブ44の長手方向をフランジ34の幅方向に平行、第2ウェブ46の長手方向をフランジ34の長手方向に平行、となるように配置し、2つのフランジ34にそれぞれ固定されている。ウェブ36は、後脚部38と前脇部40にそれぞれ2個ずつ設けられている。2個のウェブ36は、第2ウェブ46同士が向き合うように配置されている。
【0029】
後脚部38は、第2屈曲部42より下方に下接触部48が設けられている。下接触部48は、2つのフランジ34の間に設けられており、フランジ34の長手方向に交差する下凹面33を有する。下凹面33は、フランジ34の長手方向の下側に向かって凸となる湾曲状の面である。後脚部38は、第2方向Yに平行な回転軸を有する下軸部50を、第2屈曲部42に有する。下軸部50は、第2屈曲部42において、2つのフランジ34間に架け渡されている。
【0030】
第2脚部18は、延設部52を有する(図3)。延設部52は、2つのフランジ34にそれぞれ設けられており、第1軸部20の回転軸に交差する方向、すなわち第2方向Y及び第3方向Zの外側へ延びている。延設部52は、フランジ34と一体でもよい。本実施形態に係る延設部52は、フランジ34の後脚部38と前脇部40を繋ぐ部分に設けられており、第2方向Y及び第3方向Zを含む面方向へ突出している。延設部52は、第1軸部20を中心とする円弧状の外縁を有してもよい。延設部52は、フレーム構造体3を折り畳んだ形態から、展開した形態までの範囲で、第1脚部16と第2脚部18の互いに向かい合った辺が交差する位置より外側に突出するように形成されている。図3に示す延設部52は、後脚部38の上辺と背もたれ部26の下辺、及び前脚部24の上辺と前脇部40の下辺が交差する位置より外側に突出するように形成されている。
【0031】
第1脚部16と第2脚部18の互いに向かい合った辺とは、第1上辺54、第1下辺56、第2上辺58、及び第2下辺60である。第1上辺54は、前脚部24の上辺と、背もたれ部26の上辺と、各上辺をつなぐ第1上仮想線L1とを含む。第1下辺56は、前脚部24の下辺と、背もたれ部26の下辺と、各下辺をつなぐ第1下仮想線L2とを含む。第2上辺58は、後脚部38の上辺と、前脇部40の上辺と、各上辺をつなぐ第2上仮想線L3とを含む。第2下辺60は、後脚部38の下辺と、前脇部40の下辺と、各下辺をつなぐ第2下仮想線L4とを含む。
【0032】
延設部52は、第1軸部20の近傍において、第2上辺58及び第2下辺60から、それぞれ第2脚部18の幅方向の外側に突出している。すなわち第2脚部18の2つのフランジ34は、第1軸部20の近傍において幅方向の外側に突出した延設部52を有する。延設部52は、第1脚部16にも設けてもよい。図4に示すように、第1脚部16は、第1上辺54及び第1下辺56に位置する板状部材からそれぞれ幅方向の外側に突出した延設部52を有してもよい。
【0033】
ストッパー22(図4)は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18との間の角度が所定の角度未満になることを阻止する。ここで、展開した時の第1脚部16と第2脚部18との間の角度とは、第1脚部16と第2脚部18とで形成され、展開した時に大きくなる角度と小さくなる角度のうち、小さくなる方の角度をいう。本実施形態の場合、展開した時の第1脚部16と第2脚部18との間の角度は、第1下辺56と第2上辺58との間の角度αをいう。
【0034】
ストッパー22は、長手方向と短手方向とを有する板状部材である。ストッパー22は、先端64から下方へ直線状に延び、長手方向の略中央から後側へゆるやかに傾斜した形状を有する。ストッパー22は、長手方向に沿った長穴62を有する。長穴62は、下軸部50より大きい幅を有する。ストッパー22の先端64及び基端66は、それぞれ長手方向の外側へ向かって凸となる湾曲状である。ストッパー22の先端部23は、第2方向Y長さが上接触部30の溝深さ以下であって、上軸部32が挿入される第2方向Yに貫通した穴25を有する。穴25の内径は、ストッパー22が上軸部32に対し上下方向に移動可能な程度に、上軸部32の外径より大きい。
【0035】
ストッパー22の先端部23は、穴25に上軸部32が挿入されることによって、背もたれ部26に回転可能に連結され、上接触部30に挿入されている。ストッパー22は、穴25が上軸部32より大きいことによって、上軸部32に対し、上下方向に移動可能である。ストッパー22は、長穴62に下軸部50が挿入されることによって後脚部38に回転可能に連結される。このようにしてストッパー22は、背もたれ部26と後脚部38の間に架け渡される。ストッパー22は、フレーム構造体3を展開した形態において、先端64が上接触部30の上凹面31に接触し、基端66が下接触部48の下凹面33に接触するように配置されている。ストッパー22の長穴62は、フレーム構造体3を展開した時に長穴62の上端が下軸部50より上方となる位置から、フレーム構造体3を折り畳んだ時に長穴62の下端が下軸部50より下方となる位置までの長さを有しているのが好ましい。この場合、下軸部50は、フレーム構造体3が展開した形態及び折り畳んだ形態において、長穴62の上端及び下端に接触しない。
【0036】
一対の第2フレーム12(図1図2)は、一対の第1フレーム10に対し直交する方向、すなわち第2方向Y(前後方向)に所定の間隔を開けて配置されている。一対の第2フレーム12は、前側に配置される第2前フレーム68と、後側に配置される第2後フレーム70とを有する。本実施形態の場合、第2後フレーム70は、第2前フレーム68より、第3方向Zの長さが長い。
【0037】
第2前フレーム68は、第1接続部としての第1前接続部72と、第2接続部としての第2前接続部74と、第2軸部としての第2前軸部76とを有する。第2前接続部74は、第1前接続部72に対し交差して配置されている。第2前軸部76は、第1前接続部72と第2前接続部74が交差した位置、すなわち、互いに重なった位置に設けられ、第1前接続部72と第2前接続部74を回転可能に連結する。
【0038】
第1前接続部72は、第2方向Yを厚み方向とし、第1方向Xに延びる長尺の1つの板状部材である。第1前接続部72は、第2前軸部76から右斜め下に延びる右下接続部78と、第2前軸部76から左斜め上に延びる左上接続部80とを有する。左上接続部80は、第2前軸部76と端部の間が、第1方向Xの外側、すなわち左側へ凸となる形状を有する。第2前接続部74は、第2方向Yを厚み方向とし、第1方向Xに延びる長尺の板状部材である2つのフランジ35と、当該フランジ35の間に固定された複数のウェブ36とを有する。第2前接続部74は、第2前軸部76から左斜め下に延びる左下接続部82と、第2前軸部76から右斜め上に延びる右上接続部84とを有する。右上接続部84は、第2前軸部76と端部の間が、第1方向Xの外側、すなわち右側へ凸となる形状を有する。第2前接続部74は、左下接続部82と右上接続部84の間で、2つのフランジ35で第1前接続部72を挟んで、第2前軸部76によって第1前接続部72と回転可能に連結されている。左上接続部80と右上接続部84からなる上半部は、第2前軸部76とそれぞれの端部の間が第1方向Xの外側へ凸となっていることによって、第2方向Yからみて略U字状である。
【0039】
第2後フレーム70は、第1接続部としての第1後接続部86と、第2接続部としての第2後接続部88と、第2軸部としての第2後軸部90とを有する。第2後接続部88は、第1後接続部86に対し交差して配置されている。第2後軸部90は、第1後接続部86と第2後接続部88が交差した位置、すなわち、互いに重なった位置に設けられ、第1後接続部86と第2後接続部88を回転可能に連結する。
【0040】
第1後接続部86は、第2方向Yを厚み方向とし、第1方向Xに延びる長尺の1つの板状部材である。第2後接続部88は、第2方向Yを厚み方向とし、第1方向Xに延びる長尺の板状部材である2つのフランジ37と、当該フランジ37の間に固定された複数のウェブ36とを有する。第2後接続部88は、2つのフランジ37の間に第1後接続部86を挟んで、第2後軸部90によって第1後接続部86と回転可能に連結されている。
【0041】
フレーム構造体3に適用される8個の連結部14は、全て同じ形状とすることができる。代表して、前脚部24の端部と、右下接続部78の端部同士を連結する連結部14について説明する。図5は、前脚部24の端部と、右下接続部78の端部同士を連結する連結部14を示す拡大斜視図である。図6に示すように、連結部14は、基部92と、第1連結軸部94と、第2連結軸部96とを有する。基部92は、板状であって、一方の表面が平坦であって、他方の表面に第1連結軸部94と第2連結軸部96とが設けられている。第1連結軸部94は、第1方向Xに平行な第1回転軸98と、第1回転軸98を基部92に固定する第1支持部100とを有する。第1支持部100は、第1方向Xに所定の間隔を開けて基部92の表面から第3方向Zに延びる、一対の板状部材を有し、当該一対の板状部材間に第1回転軸98が架け渡されている。第1回転軸98は、第1フレーム10の端部が回転可能に連結される。第2連結軸部96は、第2方向Yに平行な第2回転軸102と、第2回転軸102を基部92に固定する第2支持部104とを有する。第2支持部104は、第2方向Yに所定の間隔を開けて基部92の表面から第3方向Zに延びる、一対の板状部材を有し、当該一対の板状部材間に第2回転軸102が架け渡されている。第2回転軸102は、第2フレーム12の端部が回転可能に連結される。
【0042】
連結部14の第1連結軸部94と連結される第1フレーム10の第1脚部16及び第2脚部18の端部は、同一の平面状に配置され得る(図1)。同様に、連結部14の第2連結軸部96と連結される第2フレーム12の第1前接続部72と第1後接続部86、及び第2前接続部74と第2後接続部88の端部は、同一の平面状に配置され得る。このため、全ての連結部14は、フレーム構造体3において配置される位置によって、第1連結軸部94と第2連結軸部96の位置関係が異ならず、同じである。したがって、連結部14は、第1連結軸部94と第2連結軸部96とを基部92に対し同じ位置に配置することができるので、全て同じ形状とすることができる。
【0043】
3.作用及び効果
フレーム構造体3は、第1フレーム10及び第2フレーム12を閉じることによって、図6に示すように、折り畳まれる。すなわち、第1脚部16及び第2脚部18が第1軸部20を中心にそれぞれ閉じる方向へ回転し、第1フレーム10を収束する。第1前接続部72及び第2前接続部74が第2前軸部76を中心に、第1後接続部86及び第2後接続部88が第2後軸部90を中心に、それぞれ閉じる方向へ回転し、第2フレーム12を収束する。閉じる方向とは、フレーム構造体3の上部に配置された連結部14同士、及びフレーム構造体3の下側に配置された連結部14同士が、それぞれ近づく方向をいう。上記のように、フレーム構造体3は、第1フレーム10及び第2フレーム12がそれぞれ収束することによって、第1フレーム10及び第2フレーム12の端部を接続する連結部14がフレーム構造体3の内側に向かって収束し、折り畳まれた形態になる。
【0044】
連結部14は、第1フレーム10の端部及び第2フレーム12の端部がそれぞれ回転可能に連結されているので、基部92の平坦な一方の表面が水平方向になり得る。したがって、折り畳んだ形態において、フレーム構造体3は、下側に配置された4つの連結部14が地面に接し、当該4つの連結部14の基部92の表面がそれぞれ水平になり得るので、自立する。図6は、座面部材2を取り外した状態のフレーム構造体3が示されているが、座面部材2を取り付けた状態のフレーム構造体3、すなわち折り畳み椅子1は、座面部材2を取り付けたまま折り畳むことができる。
【0045】
図7に示すように、折り畳んだ状態において、ストッパー22は、先端部23が上軸部32に吊下げられ、長穴62内を下軸部50が下方へ移動することによって、背もたれ部26と後脚部38の間に架け渡された状態で保持されている。フレーム構造体3を折り畳んだ形態において、ストッパー22の先端64は上接触部30の上凹面31から第3方向Zに離れている。
【0046】
フレーム構造体3は、第1フレーム10及び第2フレーム12を開くことによって、図1及び図2に示すように、展開される。すなわち、第1脚部16及び第2脚部18が第1軸部20を中心にそれぞれ開く方向へ回転し、第1フレーム10を広げる。第1前接続部72及び第2前接続部74が第2前軸部76を中心に、第1後接続部86及び第2後接続部88が第2後軸部90を中心に、それぞれ開く方向へ回転し、第2フレーム12を広げる。開く方向とは、フレーム構造体3の上部に配置された連結部14同士、及びフレーム構造体3の下側に配置された連結部14同士が、それぞれ離れる方向をいう。上記のように、フレーム構造体3は、第1フレーム10及び第2フレーム12がそれぞれ広がる方向に回転することによって、第1フレーム10及び第2フレーム12の端部を接続する連結部14がフレーム構造体3の4隅に広がり、展開した形態になる。
【0047】
図8に示すように、ストッパー22は、第1フレーム10が展開することに伴い、下軸部50が長穴62の下端近傍から上方へ移動する。フレーム構造体3は、ストッパー22の先端64が上接触部30の上凹面31に接触し、ストッパー22の基端66が下接触部48の下凹面33に接触するまで、第1脚部16及び第2脚部18が第1軸部20を中心に開く方向へ回転する。すなわち、フレーム構造体3は、展開した形態において、ストッパー22の先端64が上接触部30の上凹面31に接触し、ストッパー22の基端66が下接触部48の下凹面33に接触している。
【0048】
図7に示すように、第1脚部16と第2脚部18の間の隙間は、第1上辺54と第2下辺60、及び第1下辺56と第2上辺58がそれぞれ交差する位置において、最も狭くなる。本明細書において、第1上辺54と第2下辺60、及び第1下辺56と第2上辺58がそれぞれ交差する位置に形成される隙間を最小隙間と呼ぶ。また、第1上仮想線L1と第2下仮想線L4、及び第1下仮想線L2と第2上仮想線L3がそれぞれ交差する位置に形成され得る仮想の隙間を仮想最小隙間VGと呼ぶ。第1フレーム10の延設部52は、仮想最小隙間VGと重なる。したがって、フレーム構造体3は、折り畳んだ状態から展開する動作を開始する際において、仮想最小隙間VGが表れない。
【0049】
図8に示すように、第1フレーム10が開く方向に回転していくにしたがって、背もたれ部26の下辺と後脚部38の上辺、前脇部40の下辺と前脚部24の上辺とが、それぞれ近づき、重なり得る。延設部52は、フレーム構造体3を折り畳んだ形態から、展開した形態までの範囲で、最小隙間と重なるように形成されている。背もたれ部26の下辺と後脚部38の上辺、前脇部40の下辺と前脚部24の上辺とが、それぞれ近づき、重なる直前で、ストッパー22は、第1脚部16及び第2脚部18の開く方向の回転を停止させる。したがって、背もたれ部26の下辺と後脚部38の上辺、前脇部40の下辺と前脚部24の上辺との間にそれぞれ形成される隙間Gは、それ以上小さくならない。
【0050】
背もたれ部26の下辺と後脚部38の上辺、前脇部40の下辺と前脚部24の上辺とが重なると、最小隙間が形成され得る。しかしながら、本実施形態のフレーム構造体3は、仮想最小隙間VGを消失させる延設部52を有するので、組み立ての操作中において背もたれ部26と後脚部38の間の仮想最小隙間VGが生じない。
【0051】
第2脚部18、第2前脚部74、第2後脚部88は、それぞれ2つのフランジ34,35,37内にウェブ36を配置しているので、外部からウェブ36が目立たない。したがって、フレーム構造体3は、全体としてすっきりしたデザインを実現できる。
【0052】
第1フレーム10及び第2フレーム12は、生じる応力、例えば連結部14を中心とする回転モーメントの大きさに合わせて、各脚部の幅長さを変えている。すなわち、各脚部は先細の形状とすることができるので、全体としてスリムなデザインを実現できる。
【0053】
フレーム構造体3は、展開及び折り畳み可能な第1フレーム10を備える。第1フレーム10は、第1脚部16と、第1脚部16に対し交差して配置された第2脚部18と、第1脚部16に第2脚部18を回転可能に支持する第1軸部20と、第1脚部16と第2脚部18との間に架け渡されたストッパー22と、を有する。ストッパー22は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18の間の角度αが所定の角度未満となることを阻止するように構成されている。
【0054】
ストッパー22は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18との間の角度αが所定の角度未満になることを阻止する。すなわち、フレーム構造体3は、第1フレーム10が開き切らずに、所定の形態を保持することができる。フレーム構造体3は、折り畳み椅子1のフレームに適用された場合、着座可能な形態に保持されるので、座面部材2を容易に装着することができる。したがって、フレーム構造体3は、組み立ての操作性に優れる。
【0055】
第1脚部16と第2脚部18は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18の間の角度αが所定の角度未満になることを阻止するので、第1脚部16と第2脚部18の間に手指が挟まれにくい。
【0056】
ストッパー22は、展開した形態において、先端64が第1脚部16の上接触部30に、基端66が第2脚部18の下接触部48に接触することによって、展開した時の第1脚部16と第2脚部18の間の角度αが所定の角度未満になることを阻止する。ストッパー22は、上軸部32によって第1脚部16に、下軸部50によって第2脚部18にそれぞれ接続されているので、フレーム構造体3を展開する際及び折り畳む際に、ストッパー22を着脱する作業を省略できる。しかも、下軸部50は、ストッパー22の長穴62に挿入されており、当該長穴62をストッパー22の長手方向に自在に移動可能である。したがって、フレーム構造体3は、ストッパー22の位置をユーザーが調整する必要がないので、操作性に優れる。
【0057】
ストッパー22が第1脚部16及び第2脚部18から受ける荷重は、先端64及び基端66に作用する圧縮荷重であり、ストッパー22を第1脚部16に接続する上軸部32及び第2脚部18に接続する下軸部50に対し、第1脚部16及び第2脚部18から荷重は作用しない。したがって上軸部32及び下軸部50は簡略化され得る。
【0058】
ストッパー22の先端64及び基端66は、湾曲状であって、上接触部30及び下接触部48がそれぞれ相補的な形状(凹面)を有するので、上接触部30及び下接触部48と接触可能な範囲がより広い。ストッパー22は、フレーム構造体3にずれが生じていたとしても、上接触部30及び下接触部48と接触し得る。したがって、フレーム構造体3は、展開した時の第1脚部16と第2脚部18の間の角度αが所定の角度未満になることをより確実に阻止することができる。
【0059】
第1屈曲部28に上接触部30を設けたことにより、上接触部30を下接触部48により近づけることによってストッパー22を小さくすることができる。また第2脚部18にも第2屈曲部42を設け、第2屈曲部42より下方に下接触部48を設けたことにより、第2脚部18に沿ってストッパー22を配置しやすい。したがって、ストッパー22は、フレーム構造体3に、目立ちにくい状態で、かつ容易に取り付けることができる。
【0060】
第2脚部18は、第1軸部20の回転軸に交差する方向の外側へ延びる延設部52を有する。第1脚部16及び第2脚部18は、互いに向かい合った辺が交差する位置において、最も隙間が狭い。延設部52は、第1脚部16及び第2脚部18の互いに向かい合った辺が交差する位置の隙間と重なる。すなわち、第1フレーム10は、延設部52が上記隙間と重なることによって、上記隙間に手指が入り込むことを抑制する。しかも、フレーム構造体3は、展開した形態で第1脚部16と第2脚部18をストッパー22が保持する。したがって、フレーム構造体3は、第1フレーム10を折り畳んだ状態から展開した形態に変化させる際の、手指の挟み込み防止性に優れる。
【0061】
第1フレーム10と第2フレーム12とは、それぞれ、長尺の1つの板状部材と、2つのフランジ34,35,37と2つのフランジ34,35,37の間に固定された複数のウェブ36との組合せである。そうすると、連結部14の第1連結軸部94と連結される第1フレーム10の第1脚部16及び第2脚部18の端部は、同一の平面状に配置され得る。同様に、連結部14の第2連結軸部96と連結される第2フレーム12の第1前接続部72と第2前接続部74の端部、及び第1後接続部86と第2後接続部88の端部は、それぞれ同一の平面状に配置され得る。すなわち、全ての連結部14は、第1連結軸部94と第2連結軸部96とを有し、同じ形状とすることができる。したがって、フレーム構造体3は、部品の共通化を図れるので、部品管理の負担を低減することができる。
【0062】
フレーム構造体3は、第1軸部20で連結された部分の幅より、端部の幅の方が狭い第1脚部16と第2脚部18を備える。すなわち、第1脚部16と第2脚部18は、応力に応じた幅を適宜選択することができるので、材料を省略することができ、軽量化が可能である。
【0063】
フレーム構造体3は、互いに直交する第1方向Xと第2方向Yに、それぞれ2個の第1フレーム10と2個の第2フレーム12とを備える。第1フレーム10は、第1軸部20を中心に第1脚部16と第2脚部18を閉じる方向及び開く方向へ回転可能である。同様に、第2フレーム12は、第2前軸部76及び第2後軸部90を中心に、第1前接続部72と第1後接続部86、及び第2前接続部74と第2後接続部88を、それぞれ閉じる方向及び開く方向へ回転可能である。したがって、フレーム構造体3は、第1フレーム10及び第2フレーム12を同時に、閉じることによって折り畳むことができ、開くことによって展開することができるので、中央に収束する構造体とすることができる。
【0064】
折り畳み椅子1は、フレーム構造体3と、フレーム構造体3に対し着脱自在に設けられた座面部材2と、を備える。すなわち、折り畳み椅子1は、フレーム構造体3に座面部材2を装着することによって、着座可能な状態になる。
座面部材2は、2個の側脚部及び2個の接続部に対し着脱自在であるため、適宜交換が可能である。したがって、折り畳み椅子1は、利便性に優れる。
【0065】
図9に示すように、第2前フレーム68の上半部が、第2方向YからみてU字状であるため、広い座面を形成することができる。したがって、ユーザーが座面部材2に着座した場合、座面部材2と、左上接続部80と右上接続部84の間に隙間が形成されるので、大腿部の裏側が左上接続部80と右上接続部84に接触することを防ぐことができる。
【0066】
4.変形例
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することができる。本実施形態の座面部材の係合部は、座部の四隅を折り返し、袋状に縫合して形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。係合部は、例えば、座面部材の四隅にそれぞれ設けられた貫通穴でもよい。貫通穴は、座面部材を厚み方向に貫通し、連結部の基部92を挿入し得る内径を有する。貫通穴で形成された係合部に連結部を挿入することによって座面部材がフレーム構造体に装着される。
【0067】
本実施形態のフレーム構造体は、折り畳み椅子に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、折り畳みテーブルに適用してもよい。折り畳みテーブルに適用する場合、一対の第2フレームは、第2前フレームと第2後フレームの第3方向長さが同じである。
【0068】
本実施形態のストッパーは、背もたれ部と後脚部の間に架け渡されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、前脚部と前脇部の間に架け渡されていてもよい。また、ストッパーは、第1フレームに設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第2フレームに設けられていてもよい。
【0069】
本実施形態のストッパーは、展開した時の第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ストッパーは、背もたれ部と前脇部の間に架け渡され、折り畳んだ時の第1脚部と第2脚部の間の角度が所定の角度未満となることを阻止するように構成してもよい。
【0070】
本実施形態の延設部は、第1フレームに設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第2フレームに設けてもよい。
【0071】
本実施形態の延設部は、後脚部の上辺と背もたれ部の下辺、及び前脚部の上辺と前脇部の下辺が交差する位置より外側に突出するように形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、フレーム構造体を展開した形態から、折り畳んだ形態までの範囲で、延設部は、背もたれ部の上辺と前脇部の上辺、及び後脚部の下辺と前脚部の下辺が交差する位置より外側に突出するように形成されていてもよい。
【0072】
本実施形態のフレーム構造体は、収束及び展開可能な第2フレームを備え、第1方向及び第2方向に収束、すなわち中央に収束可能な構造である場合について説明したが、本発明はこれに限らない。フレーム構造体は、収束及び展開しない第2フレームを備え、第1方向にのみ収束及び展開可能であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 折り畳み椅子
2 座面部材
3 フレーム構造体
10 第1フレーム
12 第2フレーム
14 連結部
16 第1脚部
18 第2脚部
20 第1軸部
22 ストッパー
24 前脚部
26 背もたれ部
28 第1屈曲部
30 上接触部
32 上軸部
34、35、37 フランジ
36 ウェブ
38 後脚部
42 第2屈曲部
48 下接触部
50 下軸部
52 延設部
62 長穴
64 先端
66 基端
72 第1前接続部(第1接続部)
74 第2前接続部(第2接続部)
76 第2前軸部(第2軸部)
86 第1後接続部(第1接続部)
88 第2後接続部(第2接続部)
90 第2後軸部(第2軸部)
94 第1連結軸部
96 第2連結軸部
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9