(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036496
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015517
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2022001477の分割
【原出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小針 佑貴
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 哲也
(57)【要約】
【課題】制振性に優れるロボットを提供すること。
【解決手段】基台と、第1軸まわりに回動する第1アームと、第1軸と平行な第2軸まわりに回動する第2アームと、第2軸と平行な第3軸の軸方向に移動するとともに、第3軸まわりに回動する第1シャフトと、第2アームに設けられ、第1シャフトを第3軸の軸方向に移動させるよう駆動する第1モーターと、第2アームに設けられ、第1シャフトを第3軸まわりに回動するよう駆動する第2モーターと、第3軸とは異なり、かつ、第3軸と平行な第4軸に沿って配置され、第1モーターの駆動力を、連結部材を介して第1シャフトに伝達する第2シャフトと、回転中心が第2シャフトの中心軸と重なるように配置され、第2モーターからの駆動力を第1シャフトに伝達するプーリーと、を備え、第2シャフトは、第4軸の軸方向から見たとき、第2軸と第3軸とを結ぶ直線と重なっていることを特徴とするロボット。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に接続され、第1軸まわりに回動する第1アームと、
前記第1アームに接続され、前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動する第2アームと、
前記第2アームに接続され、前記第2軸と平行な第3軸の軸方向に移動するとともに、前記第3軸まわりに回動する第1シャフトと、
前記第2アームに設けられ、前記第1シャフトを前記第3軸の軸方向に移動させるよう駆動する第1モーターと、
前記第2アームに設けられ、前記第1シャフトを前記第3軸まわりに回動するよう駆動する第2モーターと、
前記第3軸とは異なり、かつ、前記第3軸と平行な第4軸に沿って配置され、前記第1モーターの駆動力を、連結部材を介して前記第1シャフトに伝達する第2シャフトと、
回転中心が前記第2シャフトの中心軸と重なるように配置され、前記第2モーターからの駆動力を前記第1シャフトに伝達するプーリーと、を備え、
前記第2シャフトは、前記第4軸の軸方向から見たとき、前記第2軸と前記第3軸とを結ぶ直線と重なっていることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第1モーターおよび前記第2モーターは、前記第2軸と前記第3軸とを結ぶ直線を対称の軸とした場合、線対称に配置されている請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1モーターおよび前記第2モーターは、前記第2軸と前記第4軸との間に配置されている請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記第1モーターおよび前記第2モーターは、前記第2軸に対し、前記第3軸と反対側に配置されている請求項2に記載のロボット。
【請求項5】
前記第1モーターおよび前記第2モーターは、前記第2軸と前記第3軸とを結ぶ直線と重なっている請求項1に記載のロボット。
【請求項6】
前記第1モーターの回転中心と第2軸との距離は、前記第1モーターの回転中心と第4軸との距離よりも短く、前記第2モーターの回転中心と第2軸との距離は、前記第2モーターの回転中心と第4軸との距離よりも短い請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項7】
前記プーリーは、前記第2シャフトを挿通する挿通孔が設けられており、
前記第2シャフトおよび前記プーリーは、それぞれ独立して回転する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、工場では人件費の高騰や人材不足により、各種ロボットやそのロボット周辺機器によって、人手で行われてきた作業の自動化が加速している。その各種ロボットとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなスカラロボットが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載されているスカラロボットは、基台と、基台に接続された第1アームと、第1アームに接続された第2アームと、第2アームに接続され、昇降および回動する作業軸と、作業軸を昇降させる作業軸昇降機構と、を備える。
【0004】
また、作業軸昇降機構は、作業軸昇降用モーターの駆動力をドライブプーリーおよびドリブンプーリーを介して伝達する昇降用ベルトと、昇降用ベルトに固定された状態で作業軸を回転可能に保持し、昇降用ベルトの搬送に伴って作業軸と一体で昇降移動する上下動ブラケットと、上下動ブラケットの昇降移動を案内するガイド軸と、を有する。そして、作業軸とガイド軸とが、第2アームの長手方向の中心からずれて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているスカラロボットでは、前記中心軸を介した両側において、重量のバランスが取れず、ロボットアームが駆動する際に、過剰な振動が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下により実現することが可能である。
【0008】
本発明のロボットは、基台と、
前記基台に接続され、第1軸まわりに回動する第1アームと、
前記第1アームに接続され、前記第1軸と平行な第2軸まわりに回動する第2アームと、
前記第2アームに接続され、前記第2軸と平行な第3軸の軸方向に移動するとともに、前記第3軸まわりに回動する第1シャフトと、
前記第2アームに設けられ、前記第1シャフトを前記第3軸の軸方向に移動させるよう駆動する第1モーターと、
前記第2アームに設けられ、前記第1シャフトを前記第3軸まわりに回動するよう駆動する第2モーターと、
前記第3軸とは異なり、かつ、前記第3軸と平行な第4軸に沿って配置され、前記第1モーターの駆動力を、連結部材を介して前記第1シャフトに伝達する第2シャフトと、
回転中心が前記第2シャフトの中心軸と重なるように配置され、前記第2モーターからの駆動力を前記第1シャフトに伝達するプーリーと、を備え、
前記第2シャフトは、前記第4軸の軸方向から見たとき、前記第2軸と前記第3軸とを結ぶ直線と重なっていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のロボットの第1実施形態を示す側面図である。
【
図2】
図1に示すロボットシステムのブロック図である。
【
図3】
図1に示すロボットアームが備える第2アームの内部を示す部分断面図である。
【
図4】
図1に示すロボットアームが備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【
図5】本発明のロボットの第2実施形態が備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【
図6】本発明のロボットの第3実施形態が備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【
図7】本発明のロボットの第4実施形態が備える第2アームの内部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のロボットの第1実施形態を示す側面図である。
図2は、
図1に示すロボットシステムのブロック図である。
図3は、
図1に示すロボットアームが備える第2アームの内部を示す部分断面図である。
図4は、
図1に示すロボットアームが備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【0011】
また、
図1、
図3、
図4(
図5および
図6についても同様)では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸およびz軸を図示している。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」とも言い、y軸に平行な方向を「y軸方向」とも言い、z軸に平行な方向を「z軸方向」とも言う。また、以下では、図示された各矢印の先端側を「+(プラス)」、基端側を「-(マイナス)」と言い、+x軸方向に平行な方向を「+x軸方向」とも言い、-x軸方向に平行な方向を「-x軸方向」とも言い、+y軸方向に平行な方向を「+y軸方向」とも言い、-y軸方向に平行な方向を「-y軸方向」とも言い、+z軸方向に平行な方向を「+z軸方向」とも言い、-z軸方向に平行な方向を「-z軸方向」とも言う。また、z軸回りの方向およびz軸に平行な軸回りの方向を「u軸方向」とも言う。
【0012】
また、以下では、説明の便宜上、
図1中の+z軸方向、すなわち、上側を「上」または「上方」、-z軸方向、すなわち、下側を「下」または「下方」とも言う。また、ロボットアーム20については、
図1中の基台21側を「基端」、その反対側、すなわち、エンドエフェクター7側を「先端」と言う。また、
図1中のz軸方向、すなわち、上下方向を「鉛直方向」とし、x軸方向およびy軸方向、すなわち、左右方向を「水平方向」とする。
【0013】
図1および
図2に示すロボットシステム100は、例えば、電子部品および電子機器等のワークの保持、搬送、組立ておよび検査等の作業で用いられる装置である。ロボットシステム100は、制御装置1と、ロボット2と、エンドエフェクター7とを備えている。
【0014】
また、制御装置1は、ロボット2とは異なる位置、すなわち、ロボット2の外側に配置されている。また、図示の構成では、ロボット2と制御装置1とは、ケーブル200で電気的に接続(以下、単に「接続」とも言う)されているが、これに限定されずケーブル200を省略し、無線方式で通信を行うようになっていてもよい。すなわち、ロボット2と制御装置1とは、有線通信で接続されていてもよく、また、無線通信で接続されていてもよい。
【0015】
ロボット2は、図示の構成では、水平多関節ロボット、すなわち、スカラロボットである。
【0016】
図1に示すように、ロボット2は、基台21と、第1アーム22と、第2アーム23と、作業ヘッドである第3アーム24と、力検出部5と、を備えている。第1アーム22、第2アーム23および第3アーム24によりロボットアーム20が構成される。
【0017】
また、ロボット2は、第1アーム22を基台21に対して回転させる駆動ユニット25と、第2アーム23を第1アーム22に対して回転させる駆動ユニット26と、第3アーム24の先端シャフト(第1シャフト)241を第2アーム23に対して回転させるu駆動ユニット27と、先端シャフト241を第2アーム23に対してz軸方向に移動させるz駆動ユニット28と、を備えている。
【0018】
図1および
図2に示すように、駆動ユニット25は、基台21内に内蔵されており、駆動力を発生するモーター251と、モーター251の回転速度を減速する、すなわち、駆動力を減速する減速機252と、モーター251または減速機252の回転軸の回転角度を検出する位置センサー253とを有している。
【0019】
駆動ユニット26は、第2アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター261と、モーター261の駆動力を減速する減速機262と、モーター261または減速機262の回転軸の回転角度を検出する位置センサー263とを有している。
【0020】
u駆動ユニット27は、第2アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター271と、モーター271の回転軸の回転角度を検出する位置センサー273とを有している。
【0021】
z駆動ユニット28は、第2アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター281と、モーター281の回転軸の回転角度を検出する位置センサー283とを有している。
【0022】
モーター251、モーター261、モーター271およびモーター281としては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターを用いることができる。
【0023】
また、減速機252および減速機262としては、例えば、遊星ギア型の減速機、波動歯車装置等を用いることができる。また、位置センサー253、位置センサー263、位置センサー273および位置センサー283は、例えば、角度センサーとすることができる。
【0024】
駆動ユニット25、駆動ユニット26、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28は、それぞれ、対応する図示しないモータードライバーに接続されており、モータードライバーを介して制御装置1のロボット制御部11により制御される。
【0025】
基台21は、例えば、図示しない床面にボルト等によって固定されている。基台21の上端部には第1アーム22が連結されている。第1アーム22は、基台21に対して鉛直方向に沿う第1軸O1回りに回転可能となっている。第1アーム22を回転させる駆動ユニット25が駆動すると、第1アーム22が基台21に対して第1軸O1回りに水平面内で回転する。また、位置センサー253により、基台21に対する第1アーム22の回転量が検出できるようになっている。
【0026】
また、第1アーム22の先端部には、第2アーム23が連結されている。第2アーム23は、第1アーム22に対して鉛直方向に沿う第2軸O2回りに回転可能となっている。
第1軸O1の軸方向と第2軸O2の軸方向とは同一である。すなわち、第2軸O2は、第1軸O1と平行である。第2アーム23を回転させる駆動ユニット26が駆動すると、第2アーム23が第1アーム22に対して第2軸O2回りに水平面内で回転する。また、位置センサー263により、第1アーム22に対する第2アーム23の駆動、具体的には、回転量が検出できるようになっている。すなわち、第2軸O2は、減速機262の出力回転軸の中心である。
【0027】
また、第2アーム23は、複数の壁部であるベース部231、天板232およびこれらを連結している4つの側壁233を有する筐体230を有している。この筐体230の内部、すなわち、ベース部231上には、駆動ユニット26、u駆動ユニット27、z駆動ユニット28が+y軸側からこの順で並んで配置されている。
【0028】
また、
図3に示すように、ベース部231は、第2アーム23の底部である。また、ベース部231は、図示はしないが、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28が配置される凹部を有している。
【0029】
また、第2アーム23の先端部には、第3アーム24が設置されている。第3アーム24は、先端シャフト241を有する。
【0030】
先端シャフト241は、第2アーム23に対して、鉛直方向に沿う第3軸O3回りに回転可能であり、かつ、上下方向に移動(昇降)可能となっている。本実施形態において、先端シャフト241は、ボールスプライン軸であり、ロボットアーム20の最も先端のアームである。
【0031】
また、先端シャフト241の先端部には、各種のエンドエフェクターが着脱可能に連結される。エンドエフェクターとしては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの、検査に使用するもの等が挙げられる。本実施形態では、エンドエフェクター7が着脱可能に連結される。
【0032】
なお、エンドエフェクター7は、本実施形態では、ロボット2の構成要素になっていないが、エンドエフェクター7の一部または全部がロボット2の構成要素になっていてもよい。また、エンドエフェクター7は、本実施形態では、ロボットアーム20の構成要素になっていないが、エンドエフェクター7の一部または全部がロボットアーム20の構成要素になっていてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、エンドエフェクター7は、ロボットアーム20に対して着脱可能であるが、これに限定されず、例えば、エンドエフェクター7は、ロボットアーム20から離脱不能になっていてもよい。
【0034】
図2に示すように、制御装置1は、ロボット制御部11と、モーター制御部12(エンドエフェクター制御部)と、表示制御部13と、記憶部14と、受付部15と、を備えており、ロボット2、エンドエフェクター7のモーター72等、ロボットシステム100の各部の駆動をそれぞれ制御する。
【0035】
また、制御装置1は、ロボット制御部11と、モーター制御部12と、表示制御部13と、記憶部14と、受付部15との間で、それぞれ、通信可能に構成されている。すなわち、ロボット制御部11と、モーター制御部12と、表示制御部13と、記憶部14と、受付部15とは、互いに、有線または無線通信で接続されている。
【0036】
また、制御装置1には、ロボット2と、エンドエフェクター7とが、それぞれ、有線または無線通信で接続されている。
【0037】
ロボット制御部11は、ロボット2の駆動、すなわち、ロボットアーム20等の駆動を制御する。ロボット制御部11は、OS等のプログラムがインストールされたコンピューターである。このロボット制御部11は、例えば、プロセッサとしてのCPUと、RAMと、プログラムが記憶されたROMとを有する。また、ロボット制御部11の機能は、例えば、CPUにより各種プログラムを実行することにより実現することができる。
【0038】
モーター制御部12は、モーター72の駆動を制御する。モーター制御部12は、OS等のプログラムがインストールされたコンピューターである。このモーター制御部12は、例えば、プロセッサとしてのCPUと、RAMと、プログラムが記憶されたROMとを有する。また、モーター制御部12の機能は、例えば、CPUにより各種プログラムを実行することにより実現することができる。
【0039】
表示制御部13は、図示しない表示装置にウィンドウ等の各種の画面や文字等を表示させる機能を有している。
【0040】
記憶部14は、各種の情報(データやプログラム等を含む)を記憶する機能を有する。
この記憶部14は、制御プログラム等を記憶する。記憶部14の機能は、ROM等のいわゆる外部記憶装置(図示せず)によって実現することができる。
受付部15は、図示しない入力装置からの入力を受け付ける機能を有している。
【0041】
次に、第2アーム23の内部について説明する。
図3に示すように、第2アーム23の筐体230内には、第3アーム24を第3軸O3回りに回転させるu駆動ユニット27と、第3アーム24をz軸方向に移動させるz駆動ユニット28と、伝達シャフト(第2シャフト)29と、が設けられている。
【0042】
図3に示すように、u駆動ユニット27は、前述したモーター271および位置センサー273を有する。u駆動ユニット27は、図示はしないが、ベース部231の底部に固定されている。
【0043】
また、z駆動ユニット28は、前述したモーター281および位置センサー283を有する。z駆動ユニット28は、図示はしないが、ベース部231の底部に固定されている。
【0044】
また、先端シャフト241の-z軸側の端部は、べース部231に回転可能に支持されている。また、先端シャフト241の-z軸側の端部には、スプラインナット245およびプーリー242が設けられている。プーリー242には、ベルト243が掛け回されている。ベルト243は、プーリー242と、中継部材であるプーリー291と、に掛け回されている。
【0045】
また、先端シャフト241の+z軸側の端部には、ベアリング247を介して連結部材244が固定されている。連結部材244は、先端シャフト241と伝達シャフト29とを連結する部材である。連結部材244は、ボールねじナット246を介して伝達シャフト29に固定されている。また、ボールねじナット246は、伝達シャフト29の+z軸側の端部に設けられており、上述した連結部材244に回転できない状態で取り付けられている。
【0046】
伝達シャフト29は、先端シャフト241よりも+y軸側に配置され、第3軸O3と平行な第4軸O4に沿って延在している。伝達シャフト29は、ベース部231に回転可能に支持されている。
【0047】
伝達シャフト29の-z軸側の端部には、中継部材であるプーリー291が設けられている。プーリー291は、挿通孔290を有し、大径部292と小径部293とを有している。大径部292には、ベルト274が掛け回されており、小径部293には、ベルト243が掛け回されている。ベルト274は、u駆動ユニット27の出力軸に掛け回されている。
【0048】
プーリー291は、ベース部231に回転可能に固定され、回転中心が伝達シャフト29の中心軸と重なるように配置されている。伝達シャフト29は、プーリー291の挿通孔290内で干渉することなく回転することができる。すなわち、伝達シャフト29とプーリー291とは、互いに独立して第4軸O4回りに回転することができる。
【0049】
また、伝達シャフト29の-z軸側の端部で、かつ、プーリー291の+z軸側には、ベルト284が掛け回されている。ベルト284は、z駆動ユニット28の出力軸に掛け回されている。
【0050】
モーター271の駆動力は、ベルト274、プーリー291、ベルト243およびプーリー242を介して先端シャフト241に伝達される。これにより、先端シャフト241は、z軸回りに正逆回転、すなわち、回転する。また、位置センサー273により、第2アーム23に対する先端シャフト241の回転量が検出できるようになっている。
【0051】
モーター281の駆動力は、ベルト284、伝達シャフト29、ボールねじナット246、連結部材244およびベアリング247を介して、先端シャフト241に伝達される。これにより、ボールねじナット246、連結部材244、ベアリング247および先端シャフト241が一体としてz軸方向に上下動する。また、位置センサー283により、第2アーム23に対する先端シャフト241のz軸方向の移動量が検出できるようになっている。
【0052】
次に、伝達シャフト29、第2軸O2および第3軸O3の位置関係について説明する。
従来では、伝達シャフト29に相当する部材は、z軸の軸方向に見て、第2軸O2に相当する軸と、第3軸O3に相当する軸と、を結ぶ直線からずれた位置に配置されていた。このため、第2軸O2に相当する軸と、第3軸O3に相当する軸と、を結ぶ直線を介した両側において、重量のバランスが取れず、ロボットアームが駆動する際に、過剰な振動が生じるおそれがある。
【0053】
これに対し、本発明では、以下のような構成とすることにより、上記課題を解決することができる。
図4に示すように、ロボット2では、伝達シャフト29は、第4軸O4の軸方向から見た平面視で、第2軸O2と第3軸O3とを結ぶ直線Lと重なっている。すなわち、第2軸O2、第3軸O3および第4軸O4は、y軸方向における位置が、略同じである。なお、本実施形態では、直線Lは、第2アーム23の長手方向の中心線と一致している。このような構成によれば、直線Lを介した両側において、重量のバランスが取れ、ロボットアーム20が駆動する際に、過剰な振動が生じるのを防止または抑制することができる。その結果、ロボット2は、制振性に優れる。
【0054】
このように、ロボット2は、基台21と、基台21に接続され、第1軸O1まわりに回動する第1アーム22と、第1アーム22に接続され、第1軸O1と平行な第2軸O2の軸まわりに回動する第2アーム23と、第2アーム23に接続され、第2軸O2と平行な第3軸O3の軸方向に移動するとともに、第3軸O3の軸まわりに回動する第1シャフトである先端シャフト241と、第2アーム23に設けられ、先端シャフト241を第3軸O3の軸方向に移動させるよう駆動する第1モーターであるモーター281と、第2アーム23に設けられ、先端シャフト241を第3軸O3まわりに回動するよう駆動する第2モーターであるモーター271と、第3軸O3とは異なり、かつ、第3軸O3と平行な第4軸O4に沿って配置され、モーター281の駆動力を、連結部材244を介して先端シャフト241に伝達する第2シャフトである伝達シャフト29と、回転中心が伝達シャフト29の中心軸と重なるように配置され、モーター271からの駆動力を先端シャフト241に伝達するプーリー291と、を備え、伝達シャフト29は、第4軸O4の軸方向から見たとき、第2軸O2と第3軸O3とを結ぶ直線Lと重なっている。これにより、直線Lを介した両側において、重量のバランスが取れ、ロボットアーム20が駆動する際に、過剰な振動が生じるのを防止または抑制することができる。その結果、ロボット2は、制振性に優れる。
【0055】
また、モーター271およびモーター281は、それぞれ、回転中心が直線L上に位置している。換言すれば、モーター271およびモーター281も、先端シャフト241および伝達シャフト29と同一直線上に位置している。このような構成によれば、直線Lを介した両側において、重量のバランスがさらに良好になり、ロボットアーム20が駆動する際に、過剰な振動が生じるのをより効果的に防止または抑制することができる。特に、このような構成であると、モーター271およびモーター281の重量が違っていた場合、ひいては、u駆動ユニット27とz駆動ユニットの重量が違っていた場合に有利である。
【0056】
このように、第1モーターであるモーター281の回転中心および第2モーターであるモーター271の回転中心は、第2軸O2と第3軸O3とを結ぶ直線Lと重なっている。
これにより、直線Lを介した両側において、重量のバランスがさらに良好になり、ロボットアーム20が駆動する際に、過剰な振動が生じるのをより効果的に防止または抑制することができる。
【0057】
また、第1モーターであるモーター281の回転中心と第2軸O2との距離は、モーター281の回転中心と第4軸O4との距離よりも短く、第2モーターであるモーター271の回転中心と第2軸O2との距離は、モーター271の回転中心と第4軸O4との距離よりも短い。これにより、第2アーム23における重心を基端側に位置させることができる。よって、ロボットアーム20を駆動する際のイナーシャが大きくなりすぎるのを抑制することができる。その結果、消費電力の増大を抑制し、回生抵抗等の部品の過剰な発熱を抑制することができる。
【0058】
また、前述したように、プーリー291には、第2シャフトである伝達シャフト29を挿通する挿通孔290が設けられており、伝達シャフト29およびプーリー291は、それぞれ独立して回転する。これにより、プーリー291に関しても回転中心を直線L上に位置させることができる。よって、プーリー291が、直線Lを介したいずれか一方側に配置されている場合に比べて、直線Lを介した両側において、重量のバランスがさらに良好になる。よって、ロボットアーム20が駆動する際に、過剰な振動が生じるのをより効果的に防止または抑制することができる。
【0059】
同様に、本実施形態では、u駆動ユニット27は、モーター271および位置センサー273が、同軸的に固定されたユニットであるが、本発明ではこれに限定されず、モーター271および位置センサー273が、互いに異なる位置に配置されていてもよい。
【0060】
同様に、本実施形態では、z駆動ユニット28は、モーター281および位置センサー283が、同軸的に固定されたユニットであるが、本発明ではこれに限定されず、モーター281および位置センサー283が、互いに異なる位置に配置されていてもよい。
【0061】
<第2実施形態>
図5は、本発明のロボットの第2実施形態が備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【0062】
以下、この図を参照しつつ本発明のロボットの第2実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を説明する。
【0063】
図5に示すように、本実施形態では、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28は、直線Lを介して互いに反対側に配置されている。図示の構成では、モーター271およびモーター281は、それぞれ、回転中心が直線Lに対し、線対称に配置されている。これにより、直線Lを介した両側の重量のバランスを良好に保つことができるとともに、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28をy軸方向における位置が同じ位置に配置することができる。よって、第2アーム23のy軸方向の長さを第1実施形態に比べて短く設計することができる。その結果、制振性に優れるとともに、ロボット2の小型化を図ることができる。
【0064】
なお、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28の重量が異なる場合、それらのバランスを考慮して直線Lからの距離を異ならせることが好ましい。
【0065】
このように、第1モーターであるモーター281および第2モーターであるモーター271は、第2軸O2と第3軸O3とを結ぶ直線を対称の軸とした場合、線対称に配置されている。これにより、制振性に優れるとともに、ロボット2の小型化を図ることができる。
【0066】
また、第1モーターであるモーター281および第2モーターであるモーター271は、第2軸O2と第4軸O4との間に配置されている。これにより、より効果的にロボット2の小型化を図ることができる。
【0067】
<第3実施形態>
図6は、本発明のロボットの第3実施形態が備える第2アームの内部を示す概略平面図である。
【0068】
以下、この図を参照しつつ本発明のロボットの第3実施形態について説明するが、以下では、第2実施形態との相違点を説明する。
【0069】
図6に示すように、本実施形態では、u駆動ユニット27およびz駆動ユニット28は、第2軸O2よりも+y軸側に位置している。すなわち、第1モーターであるモーター281および第2モーターであるモーター271は、2軸O2に対し、第3軸と反対側に位置している。これにより、第2アーム23における重心を、より基端側に移動させることができる。よって、ロボットアーム20を駆動する際のイナーシャが大きくなりすぎるのを抑制することができる。その結果、消費電力の増大を抑制し、回生抵抗等の部品の過剰な発熱を抑制することができる。
【0070】
<第4実施形態>
図7は、本発明のロボットの第4実施形態が備える第2アーム23の内部を示す部分断面図である。
【0071】
以下、この図を参照しつつ本発明の第4実施形態について説明するが、以下では、第3実施形態との相違点を説明する。
【0072】
図7に示すように、本実施形態では、駆動ユニット26が、第2アーム23の-z軸側に突出するように設けられている。すなわち、駆動ユニット26は、u駆動ユニット27、ベルト274、z駆動ユニット28およびベルト284とz軸の軸方向において重ならない位置に設けられている。これにより、第2アーム23のサイズを大きくすることなく、駆動ユニット26とベルト274およびベルト284との干渉を低減することができる。
【0073】
以上、本発明のロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、ロボットアームの回転軸の数は、3つであるが、本発明では、これに限定されず、ロボットアームの回転軸の数は、例えば、2つ、または、4つ以上でもよい。すなわち、前記実施形態では、アームの数は、3つであるが、本発明では、これに限定されず、アームの数は、例えば、2つ、または、4つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…制御装置、2…ロボット、7…エンドエフェクター、11…ロボット制御部、12…モーター制御部、13…表示制御部、14…記憶部、15…受付部、20…ロボットアーム、21…基台、22…第1アーム、23…第2アーム、24…第3アーム、25…駆動ユニット、26…駆動ユニット、27…u駆動ユニット、28…z駆動ユニット、29…伝達シャフト(第2シャフト)、31…把持部、32…側ゲージ、33…止まり側ゲージ、41…表示装置、42…入力装置、71…取り付け部、72…モーター、100…ロボットシステム、200…ケーブル、230…筐体、231…ベース部、232…天板、233…側壁、241…先端シャフト(第1シャフト)、242…プーリー、243…ベルト、244…連結部材、245…スプラインナット、246…ボールねじナット、247…ベアリング、251…モーター、252…減速機、253…位置センサー、261…モーター、262…減速機、263…位置センサー、271…モーター、273…位置センサー、274…ベルト、281…モーター、283…位置センサー、284…ベルト、290…挿通孔、291…プーリー(中継部材)、292…大径部、293…小径部、L…直線、O1…第1軸、O2…第2軸、O3…第3軸、O4…第4軸