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特開2024-36509誘導結合システムにおける動的周波数同調
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  • 特開-誘導結合システムにおける動的周波数同調 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036509
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】誘導結合システムにおける動的周波数同調
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240308BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20240308BHJP
   H04B 5/45 20240101ALI20240308BHJP
   H04B 5/24 20240101ALI20240308BHJP
   H04B 5/77 20240101ALI20240308BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20240308BHJP
【FI】
G06K7/10 164
G06K7/10 156
G06K7/10 176
H04B1/59
H04B5/45
H04B5/24
H04B5/77
H04B5/48
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015807
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2022533501の分割
【原出願日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】16/705,574
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501427157
【氏名又は名称】アッサ アブロイ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ASSA ABLOY AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カブル、ポール
(72)【発明者】
【氏名】エドモンズ、ピーター
(57)【要約】
【課題】誘導結合リーダーの全体的な電力効率および範囲を改善すること。
【解決手段】本開示は、誘導結合リーダーを動作させるための技術を記載する。本技術は、誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用すること、誘導結合リーダーの共振回路の共振周波数の変化を検出すること、および誘導結合リーダーの共振周波数の変化を検出することに応答して、共振回路に適用されている励起周波数を調整することを備える動作を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合リーダーを動作させるための方法であって、
前記誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用すること、
前記誘導結合リーダーの前記共振回路の共振周波数の変化を検出すること、
前記誘導結合リーダーの前記共振周波数の変化を検出したことに応答して、前記共振回路に適用されている前記励起周波数を調整すること、
を備え、
前記共振周波数の変化は前記誘導結合リーダーに近接した外部干渉誘発源によってもたらされ、
前記変化を検出することは、前記誘導結合リーダーの不揮発性メモリから前記外部干渉誘発源の存在の有無を示す構成ビットを取得することを含む、方法。
【請求項2】
前記共振回路が、125kHzまたは134kHzの初期設定共振周波数を生成するように構成された同調発振回路を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘導結合リーダーの前記共振回路に第1の励起周波数を適用すること、
前記第1の励起周波数を適用することによって前記誘導結合リーダーの前記共振回路の両端間に生じる第1の電圧の第1の振幅を測定すること、
前記第1の電圧の前記第1の振幅が所定の電圧レベルを満たしていないと判定すること、
をさらに備える請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記誘導結合リーダーの動作時に前記構成ビットがアサートされているのかデアサートされているのかを判定すること、
前記構成ビットがアサートされていると判定した場合、前記共振周波数の変化を検出すること、
前記構成ビットがデアサートされていると判定した場合、前記外部干渉誘発源が存在しないと判定すること、
をさらに備える請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記誘導結合リーダーの前記共振回路に第2の励起周波数を適用すること、
前記第2の励起周波数を適用することによって前記誘導結合リーダーの前記共振回路の両端間に生じる第2の電圧の第2の振幅を測定すること、
前記第1の電圧の前記第1の振幅が前記第2の電圧の前記第2の振幅よりも小さいと判定すること、
をさらに備える請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記共振回路に適用されている前記第1の励起周波数を調整することは、前記第1の励起周波数を前記第2の励起周波数に設定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の励起周波数は、前記第1の励起周波数よりも所定値だけ高いかまたは低い、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記誘導結合リーダーに誘導結合された誘導結合装置を前記調整された励起周波数で動作させることをさらに備え、前記誘導結合装置は、前記誘導結合装置と前記誘導結合リーダーとの間のデータ転送が前記調整された励起周波数と同期するように前記調整された励起周波数からクロック周波数を導出する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記誘導結合装置は、無線周波数識別(RFID)認証装置を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記誘導結合リーダーは、無線周波数識別(RFID)リーダーを含む、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記共振回路に対して或る範囲の周波数を適用すること、
前記誘導結合リーダーの出力で最大電圧振幅が生じる周波数を特定すること、
によって前記励起周波数の調整値を決定することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数のプロセッサを含む誘導結合リーダーを備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用すること、
前記誘導結合リーダーの前記共振回路の共振周波数の変化を検出すること、
前記誘導結合リーダーの前記共振周波数の変化を検出したことに応答して、前記共振回路に適用されている前記励起周波数を調整すること、
を含む動作を実行するように構成されており、
前記共振周波数の変化は前記誘導結合リーダーに近接した外部干渉誘発源によってもたらされ、
前記変化を検出することは、前記誘導結合リーダーの不揮発性メモリから前記外部干渉誘発源の存在の有無を示す構成ビットを取得することを含む、システム。
【請求項13】
1つまたは複数のプロセッサにより実装される、マイクロコントローラ、アンテナ電圧検出回路、および調整可能周波数タイマを含む誘導結合リーダーを備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記マイクロコントローラによって前記誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用すること、
前記共振回路により消費される電圧の値を前記アンテナ電圧検出回路によって測定すること、
前記測定された電圧値が閾値を満たさないかまたは特定の閾値を下回る場合に、前記マイクロコントローラによって前記共振回路の共振周波数の変化を検出すること、
前記共振周波数の変化を検出したことに応答して、前記マイクロコントローラによって、前記共振回路に適用されている前記励起周波数を調整すること、
を含む動作を実行するように構成されており、
前記励起周波数を調整することは、前記調整可能周波数タイマを用いて前記共振周波数の変化を相殺することを含む、システム。
【請求項14】
前記励起周波数を適用することは、前記共振回路に第1の励起周波数を適用することを含み、
前記励起周波数を調整することは、前記第1の励起周波数よりも高い第2の励起周波数を前記共振回路に適用することを含み、
前記1つまたは複数のプロセッサはさらに、
前記共振回路に前記第1の励起周波数を適用したときに測定された第1の電圧測定値を前記アンテナ電圧検出回路から受信すること、
前記共振回路に前記第2の励起周波数を適用したときに測定された第2の電圧測定値を前記アンテナ電圧検出回路から受信すること、
前記第1の電圧測定値と前記第2の電圧測定値とを前記マイクロコントローラによって比較すること、
前記第1の電圧測定値と前記第2の電圧測定値との比較結果に基づいて、前記第1および第2の励起周波数とは異なる第3の励起周波数を前記マイクロコントローラによって前記共振回路に適用すること、
を含む動作を実行するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第3の励起周波数を前記共振回路に適用することは、
前記第2の電圧測定値が前記第1の電圧測定値よりも大きい場合に、前記第2の励起周波数よりも高い前記第3の励起周波数を前記共振回路に適用することを含み、
前記第2の電圧測定値が前記第1の電圧測定値よりも小さい場合に、前記第1の励起周波数よりも低い励起周波数を前記共振回路に適用することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記共振回路が、125kHzまたは134kHzの初期設定共振周波数を生成するように構成された同調発振回路を含む、請求項13~15のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、これに限定されないが、概して、無線周波数識別(RFID)システムに関し、具体的には、RFIDシステムにおける有害な干渉効果を低減する技術に関する。本出願は、2019年12月6日に出願された米国仮出願番号第16/705,574号の優先権を主張するものであり、参照によってその開示全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、無線周波数トランスポンダ(例えば、タグ)を使用して関心アイテムを識別するシステムである。各無線周波数トランスポンダは、対応するアイテムまたはその近くに取り付けられておりそのアイテムを識別する情報を含む。識別が必要な場合、アイテム上のトランスポンダを励起(例えば、問い合わせ)するために無線周波数リーダーユニット(例えば、インテロゲータ)が使用され、そのリーダーユニットに識別信号(アイテムの識別情報を含む)が返信される。リーダーユニットは、トランスポンダから受信した識別情報を使用して種々のRFIDアプリケーションのうちの任意のいずれかを実行する。例えば、識別情報は、資産管理、在庫追跡、アクセス制御などの機能を実行するために使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの特定の実施形態において、誘導結合リーダーを動作させるためのシステムおよび方法が提供される。本開示のシステムおよび方法は、誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用すること、前記誘導結合リーダーの前記共振回路の共振周波数の変化を検出すること、および前記誘導結合リーダーの前記共振周波数の変化を検出することに応答して、前記共振回路に適用されている前記励起周波数を調整すること、を含む動作を実行する。
【0004】
いくつかの実施形態において、前記共振周波数の変化は前記誘導結合リーダーに近接した外部金属材料によってもたらされ、前記共振周波数の変化を受けて前記誘導結合リーダーの範囲が減少する。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記変化を検出することは、前記誘導結合リーダーが外部金属材料に近接していることを示す前記誘導結合リーダーの構成情報にアクセスすることを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記共振回路は、125kHzまたは134kHzの一定共振周波数を生成するように構成された同調振動回路を含む。
いくつかの実施形態において、前記動作は、前記誘導結合リーダーの前記共振回路に第1の励起周波数を適用すること、前記第1の励起周波数を適用することによって前記誘導結合リーダーの前記共振回路の両端間に生じる第1の電圧の第1の振幅を測定すること、および前記第1の電圧の前記第1の振幅が基準を満たしていないと判定すること、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記基準は所定の電圧レベルを含む。
いくつかの実施形態において、前記基準は第2の励起周波数の適用によって生じる電圧レベルを超えることを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記動作は、前記誘導結合リーダーの前記共振回路に第2の励起周波数を適用すること、前記第2の励起周波数を適用することによって前記誘導結合リーダーの前記共振回路の両端間に生じる第2の電圧の第2の振幅を測定すること、および前記第1の電圧の前記第1の振幅が前記第2の電圧の前記第2の振幅よりも小さいと判定すること、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記共振回路に適用されている前記励起周波数を調整することは、前記励起周波数を前記第2の励起周波数に設定することを含む。
いくつかの実施形態において、前記第2の励起周波数は、前記第1の励起周波数よりも所定値だけ高いかまたは低い。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記動作は、前記誘導結合リーダーに誘導結合された誘導結合装置を前記調整された励起周波数で動作させることを含み、前記誘導結合装置は、前記誘導結合装置と前記誘導結合リーダーとの間のデータ転送が前記調整された励起周波数に同期するように前記調整された励起周波数からクロック周波数を導出する。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記誘導結合装置は、無線周波数識別(RFID)認証装置を含む。
いくつかの実施形態において、前記誘導結合リーダーは、無線周波数識別(RFID)リーダーを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記励起周波数の調整値は、前記共振回路に対して或る範囲の周波数を適用すること、および前記誘導結合リーダーの出力で最大電圧振幅が生じる周波数を特定することによって決定される。
【0013】
従来のRFIDリーダーに金属材料が近接すると、その金属材料によってRFIDリーダーの共振回路の共振周波数が変化するため、通常、従来のRFIDリーダーの範囲はその金属材料によって減少する。開示された実施形態は、金属材料によって引き起こされるような干渉を検出し、それに応答して、共振回路に適用されている励起(駆動)周波数を調整する。これにより、開示されたRFIDリーダーの全体的な電力効率および範囲が従来のRFIDリーダーよりも改善される。
【0014】
本概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的としている。本発明の主題の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含められている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、種々の実施形態によるRFIDシステムを示すブロック図である。
図2A図2Aは、種々の実施形態によるRFIDシステムで使用されるリーダーユニットを示すブロック図である。
図2B図2Bは、種々の実施形態による例示的なRFIDシステムの駆動周波数対共振周波数の波形を示す図である。
図3図3は、種々の実施形態による誘導結合リーダーを動作させるための例示的な処理を示すフロー図である。
図4図4は、1つまたは複数の実施形態を実施可能なマシンの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面において同様な符号は異なる観点での同様の構成要素を表し得る。異なる接尾辞を持つ同様の符号は、同様の構成要素の異なる例を表し得る。図面は、限定ではなく例として、本明細書で説明されている種々の実施形態を一般的に示している。
【0017】
本開示は、特に誘導結合リーダーを動作させるための技術を記載する。具体的には、本開示の技術は、誘導結合リーダーの共振回路の干渉および離調(detuning)を検出し、それに応じて、共振回路に適用されている励起(駆動)周波数を調整する。これにより、RFIDリーダーなどの誘導結合リーダーの全体的な電力効率および範囲が改善され、それによってコンピュータの全体的な効率および機能が向上する。
【0018】
RFIDシステムでは、問い合わせ動作中にシステムの周波数帯域内に1つまたは複数の外部干渉信号が存在すると問題が発生する。このような干渉は、RFIDシステムにおいて関心アイテムの誤識別および誤報告を招く原因となり得る。このような干渉は、関心システムの近くに位置する金属材料に起因してより引き起こされるようになる。このような金属材料は、特にRFIDインテロゲータの共振回路の共振周波数を変更することからRFIDインテロゲータの範囲を大幅に減少させる。例えば、誘導結合リーダー(例えば、13.56MHzのRFIDリーダー)が金属表面に取り付けられている場合、アンテナの見かけのインダクタンスが変化する。アンテナはRFIDトランスポンダ(例えば、RFIDタグなどの証明書)との通信に使用される並列共振回路の一部であるため、この回路の離調により、特に駆動周波数がアンテナの共振周波数と一致しないために、実際の性能(例えば、読み取り範囲)が低下する。これにより、RFIDリーダーは所与のRFIDタグを読み取るためにより多くの電力を消費し、その結果、システムリソースを浪費する。
【0019】
このような典型的状況の課題に対処するため、本開示の技術は、誘導結合リーダーの共振回路が離調している状況を検出して、共振回路に適用されている励起(駆動)周波数を変更することによりそのような離調を補償する。これにより、誘導結合リーダーの性能を回復および改善することができるため、誘導結合リーダーの電力効率および範囲が向上する。その結果、コンピュータの全体的な効率および機能が向上する。
【0020】
図1は、いくつかの実施形態によるRFIDシステムを示すブロック図である。図示されるように、RFIDシステム8は、RFリーダーユニット12(誘導結合リーダー)および複数のRF識別タグ16,18,20,22,24,26を含み、RF識別タグ16,18,20,22,24,26は各々、対応する関心アイテム34,36,38,40,42,44に取り付けられてその関心アイテムを識別するために使用される。関心アイテム34,36,38,40,42,44は、例えば、在庫の断片、人、資本資産、動物、または特定の領域内で追跡または監視することが望まれ得る任意の他の物体を含み得る。特定のリーダーが追跡可能なアイテムの数は、通常、設計上の選択の問題である。
【0021】
RFリーダーユニット12は、例えば、壁に取り付けられた近接リーダーなどの固定ユニット、または容易に再配置することができる携帯ユニットであり得る。一般に、RFリーダーユニットによってサービスされるカバレッジ領域は、そのリーダーの送信電力レベル、リーダー送信アンテナのアンテナパターン、および任意の特定の時間におけるそのリーダーの位置および向きに依存し得る。
【0022】
図1の例示的なシステムの通常の動作中、RFリーダーユニット12は、そのカバレッジ領域52に定期的に問い合わせを行って、その内部に現在位置している関心アイテムを識別する。すなわち、リーダーユニット12は、カバレッジ領域52内でRF問い合わせ信号を定期的に送信し、この問い合わせ信号は、領域52内のRF識別タグ16~26の各々に対して「リクエスト」として機能することで、関連する関心アイテムを識別する識別信号を送信させる。RF問い合わせ信号は、共振回路の共振周波数と一致する特定の周波数で共振回路を駆動する。RFタグは、RF問い合わせ信号を受信すると、RF問い合わせ信号に基づいてローカルクロック周波数を導出する。RFタグは、ローカルクロック周波数、ひいてはRF問い合わせ信号の駆動周波数に従ってリーダーユニット12とのデータの送受信を同期させる。カバレッジ領域52内の各RFタグは、問い合わせ信号を受信すると、問い合わせを行っているリーダーにその識別信号を返信することによって応答を行う。カバレッジ領域52内のすべてのRFタグから識別情報を受信した後、RFリーダーユニットは、収集した情報を適切なエンティティに報告する。
【0023】
図1を参照すると、RFリーダーユニット12と金属材料との間で干渉が生じやすいことが理解できる。例えば、RFリーダーユニット12は、金属材料を含む壁に取り付けられ得る。このような金属材料は、RFリーダーユニット12の共振回路に影響を及ぼし、共振回路の共振周波数を変化させ得る。これにより、RFリーダーユニット12の範囲が減少し、RFリーダーユニット12が、RFリーダーユニット12からより遠くに離れた領域52内のアイテムを誤識別したり、識別に失敗したりすることが生じ得る。特に、共振回路の共振周波数は変化する一方、問い合わせ信号の駆動周波数は、干渉が存在しない条件下で予想された共振周波数に対応し得る。駆動周波数と共振周波数とが不一致であるため、システムによって消費される全体的な電力が増加してRFリーダーユニット12の範囲が減少する。すなわち、領域52のサイズは、RFリーダーユニット12の近くに金属材料が存在する場合に減少し得る。また、RFリーダーユニット12の共振周波数が変化するために、RFリーダーユニット12が適切に動作するために必要となる電力の量が増加し得る。
【0024】
本開示によれば、金属材料がRFリーダーユニット12の共振周波数の変化を引き起こすと判定された際に補償するべく、共振回路に適用されている励起(駆動)周波数を変更することによってRFIDシステム内の干渉の悪影響を低減するための方法および装置が提供される。
【0025】
図2Aは、本開示の一実施形態によるRFリーダーユニット200を示すブロック図である。RFリーダーユニット200は、RFリーダーユニット12(図1)の一例であり得る。図示されるように、リーダーユニット200は、同調回路210、ドライバ回路230、レシーバ回路240、アンテナ電圧検出回路250、およびマイクロコントローラ220を含み得る。いくつかの実装形態において、アンテナ電圧検出回路250は、RFリーダーユニット200から除外または非アクティブ化され得る。
【0026】
マイクロコントローラ220は、RFリーダーユニット200のカバレッジ領域52内の関心アイテムについて問い合わせを行い、追跡し、報告を行うべくRFリーダーユニット200の動作を制御するように動作可能である。マイクロコントローラ220は、汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、縮小命令セットコンピュータ、複合命令セットコンピュータ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイなどのデジタル処理デバイスを使用して実装される。さらに、図2Aに示される他の機能ブロックのうちの1つ以上も、マイクロコントローラ220と同じ(または異なる)デジタルプロセッサ内にデジタル的に実装され得る。マイクロコントローラ220は、調整可能周波数タイマと、揮発性および不揮発性メモリとを含み得る。
【0027】
同調回路210は、誘導性ループアンテナおよび同調容量を含む。同調回路210は、問い合わせ動作中に誘導性ループアンテナを介してカバレッジ領域52内に送信するための問い合わせ信号を(マイクロコントローラ220およびドライバ回路230の制御下で)生成および送信するために使用される。レシーバ回路240は、とりわけ、カバレッジ領域52内に位置するRFタグから識別信号を受信し、受信した識別信号を復調および復号して、その結果得られた識別情報をマイクロコントローラ220に供給するように動作する。
【0028】
いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ220は、RFリーダーユニット200の共振周波数の変化を検出する。具体的には、マイクロコントローラ220は、同調回路210の共振周波数の変化を検出する。いくつかの実装において、マイクロコントローラ220は、マイクロコントローラ220の不揮発性メモリに記憶されたマイクロコントローラ220の予め設定された設定値に基づいて共振周波数の変化を検出する。例えば、RFリーダーユニット200の動作時または製造時に、マイクロコントローラ220の不揮発性メモリに記憶された構成ビットは、金属材料などの干渉源の存在の有無を示し得る。マイクロコントローラ220は、動作時にその構成ビットにアクセスすることで、構成ビットがアサートされているのかデアサートされているのか判定し得る。構成ビットがアサートされている場合、マイクロコントローラ220は、金属材料などの干渉源が存在しているかまたはRFリーダーユニット200のすぐ近くにあると判定する。このような場合に、マイクロコントローラ220は、RFリーダーユニット200の共振周波数の変化を検出する。構成ビットがデアサートされている場合、マイクロコントローラ220は、干渉源が存在していないと判定する。
【0029】
いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ220は、アンテナ電圧検出回路250と通信して、RFリーダーユニット200の共振周波数の変化を決定および検出する。具体的には、マイクロコントローラ220は、所与の励起周波数を有する問い合わせ信号が同調回路210に適用されたとき、アンテナ電圧検出回路250を使用して、同調回路210によって消費される電圧の値を測定し得る。適用されたその所与の励起周波数は、同調回路210の予想される共振周波数(例えば、干渉源が存在しないときに同調回路210が通常動作する共振周波数)と一致する周波数である。例えば、同調回路210は、125kHzまたは134kHzの共振周波数または任意の他の適切な値で動作するように構成され得る。このような場合、問い合わせ信号の励起周波数も、共振周波数に一致するように125kHzまたは134kHzに設定される。電圧値が閾値を満たさないかまたは特定の閾値を下回る場合(例えば、共振周波数が励起周波数と一致しないため)、マイクロコントローラ220は共振周波数の変化を検出する。
【0030】
同調回路210の共振周波数が変化したと判定すると、マイクロコントローラ220は、調整可能周波数タイマを使用して問い合わせ信号の励起周波数を調整することで共振周波数の変化を相殺する。例えば、共振周波数が予想される共振周波数よりも10%高い場合、マイクロコントローラ220は、励起周波数を10%増加させる。
【0031】
アンテナ電圧検出回路250により測定された電圧が比較される予め設定された閾値は、RFリーダーユニット200に金属材料が近接していない場合に同調回路210によって消費される電圧の値よりも10%(または任意の他の適切な割合もしくは値)高い値かまたは10%(または任意の他の適切な割合もしくは値)低い値に設定され得る。予め設定された閾値は、RFリーダーユニット200の製造時にルックアップテーブルまたはメモリにプログラムされ得る、および/または異なる動作条件に基づいて動的に更新され得る。いくつかの場合において、予め設定された閾値は、特定の値であってもよいし、または値の範囲であってもよい。測定された電圧が値の範囲外にある場合、マイクロコントローラ220は、共振周波数の変化を検出して、問い合わせ回路の励起周波数を特定の値で調整する。
【0032】
いくつかの場合において、マイクロコントローラ220は、第1の周波数または第2の周波数で動作するようにドライバ回路230に指示する。第1の周波数は、干渉源が存在しない通常の条件下での同調回路210の共振周波数に対応し得る。共振周波数の変化を(例えば、構成ビット値または測定された電圧に基づいて)検出することに応答して、マイクロコントローラ220は、第1の周波数よりも高いまたは低い第2の周波数で動作するようにドライバ回路230に指示する。
【0033】
いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ220は、アンテナ電圧検出回路250によって測定された電圧値に基づいて問い合わせ信号の最適励起周波数を検索する。例えば、マイクロコントローラ220は、干渉源が存在しない通常の条件下での同調回路210の共振周波数に対応する第1の周波数で同調回路210を最初に駆動し得る。マイクロコントローラ220は、アンテナ電圧検出回路250から第1の電圧測定値を受信する。マイクロコントローラ220は、この第1の電圧測定値をマイクロコントローラ220の揮発性メモリに記憶する。次いで、マイクロコントローラ220は、励起周波数を増加させて、第1の周波数よりも高い第2の周波数で同調回路210を駆動する。マイクロコントローラ220は、アンテナ電圧検出回路250から第2の電圧測定値を受信する。マイクロコントローラ220は、第2の電圧測定値を第1の電圧測定値と比較する。第2の電圧測定値が第1の電圧測定値よりも大きいと判定したことに応答して、マイクロコントローラ220は、励起周波数を増加させて第2の周波数よりも高い第3の周波数で同調回路210を駆動し得る。あるいは、第2の電圧測定値が第1の電圧測定値よりも大きいと判定したことに応答して、マイクロコントローラ220は、同調回路210を第2の周波数で駆動するように励起周波数を設定し得る。第2の電圧測定値が第1の電圧測定値よりも小さいと判定したことに応答して、マイクロコントローラ220は、励起周波数を減少させて第1の周波数よりも低い第3の周波数で同調回路210を駆動し得る。あるいは、第2の電圧測定値が第1の電圧測定値よりも小さいと判定したことに応答して、マイクロコントローラ220は、同調回路210を第1の周波数で駆動するように励起周波数を設定し得る。
【0034】
マイクロコントローラ220は、第3の周波数で同調回路210を駆動したときにアンテナ電圧検出回路250によって測定された結果として得られた電圧を、以前の周波数で同調回路210を駆動したときに得られた電圧と再度比較する。第3の周波数が以前に適用された周波数よりも高い周波数に対応する場合、マイクロコントローラ220は、結果として得られた電圧が以前に測定された電圧よりも低くなるまで駆動周波数を特定の値で徐々に増加させ続け得る。第3の周波数が以前に適用された周波数よりも低い周波数に対応する場合、マイクロコントローラ220は、結果として得られた電圧が以前に測定された電圧よりも低くなるまで駆動周波数を特定の値で徐々に減少させ続け得る。その時点で、マイクロコントローラ220は、駆動周波数を以前に測定された電圧をもたらした周波数に設定する。すなわち、マイクロコントローラ220は、アンテナ電圧検出回路250によって出力された最大電圧測定値をもたらす周波数を(駆動周波数を徐々に増加または減少させることによって)検索する。
【0035】
図2Bは、種々の実施形態による例示的なRFIDシステムの駆動周波数対共振周波数の波形である。図2Bに示されるように、共振回路に適用された問い合わせ信号の駆動周波数が共振回路の共振周波数と一致しないとき、アンテナ電圧(およびそれによるRFIDシステムの範囲)が減少する。図2Bに示されるように、アンテナ電圧は、駆動周波数が共振回路の共振または共鳴周波数と一致するときに最大値となる。具体的には、金属材料などの干渉源が存在しないまたは干渉源がRFリーダーユニット200に近接していない通常の動作条件下において、共振回路の共振周波数は125kHzまたは134kHzのプリセット値である。共振回路に適用される問い合わせ信号の励起周波数も125kHzまたは134kHzであり、励起周波数は共振周波数の値と等しくなるようにまたは一致するように設定される。アンテナ電圧検出回路250によって測定された結果として得られた電圧は、最大値に近いかまたは最大値である。その後の時点で、RFリーダーユニット200が金属材料などの干渉源のすぐ近くに配置されると、共振回路の共振周波数が(例えば、125kHzから135kHzに)変化する。現在設定されている励起周波数(例えば、125kHz)で共振回路を駆動すると、以前に測定された最大電圧値と比較してアンテナ電圧検出回路250によって提供される電圧測定値が低下する。これに応答して、共振回路の変更後の共振周波数と一致し得る特定の値で励起周波数が増加または減少される。その結果、調整された励起周波数(例えば、135kHz)で共振回路を駆動すると、アンテナ電圧検出回路250によって提供される電圧測定値が最大値に近いかまたは最大値に等しい値となる。
【0036】
この場合、誘導結合装置(例えば、RFタグ)は、調整された励起周波数でRF問い合わせ信号を受信し、そのRF問い合わせ信号(例えば、135kHz)に基づいてローカルクロック周波数を導出する。誘導結合装置は、ローカルクロック周波数、ひいてはRF問い合わせ信号の調整された励起(駆動)周波数に従って、リーダーユニット12とのデータの送受信を同期させる。
【0037】
図3は、種々の実施形態による誘導結合リーダーを動作させるための例示的な処理300を示すフロー図である。
動作310において、誘導結合リーダーは、誘導結合リーダーの共振回路に励起周波数を適用する。
【0038】
動作320において、誘導結合リーダーは、誘導結合リーダーの共振回路の共振周波数の変化を検出する。
動作330において、誘導結合リーダーは、誘導結合リーダーの共振周波数の変化を検出することに応答して、共振回路に適用されている励起周波数を調整する。
【0039】
図4は、本明細書に記載された技術(例えば、方法)のうちの任意の1つ以上が実行され得るおよび/または誘導結合リーダーの一部として含まれ得る例示的なマシン400のブロック図である。代替実施形態において、マシン400は、スタンドアロンデバイスとして動作し得るか、または他のマシンと接続(例えば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク展開において、マシン400は、サーバクライアントネットワーク環境において、サーバマシン、クライアントマシン、またはその両方の機能で動作し得る。一例において、マシン400は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境においてピアマシンとして機能し得る。マシン400は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、IoTデバイス、自動車システム、航空宇宙システム、またはそのマシンによって実施される動作を指定する命令(シーケンシャルまたはその他)を実行可能な任意のマシンであってよい。さらには、単一のマシンのみが図示されているが、「マシン」という用語は、例えば、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、またはその他のコンピュータクラスタ構成などを介して、本明細書に記載される方法のいずれか1つ以上を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するマシンの任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0040】
本明細書に記載される例は、ロジック、コンポーネント、デバイス、パッケージ、または機構を含み得るか、またはそれらによって動作し得る。回路構成は、ハードウェア(例えば、単純回路、ゲート、ロジックなど)を含む有形のエンティティに実装された回路の群(例えば、セット)である。回路構成要素は、時間の経過および基礎となるハードウェアの変動に柔軟に対応し得る。回路は、動作時に単独でまたは協働して特定のタスクを実行し得る要素を含む。一例において、回路構成のハードウェアは、特定の動作(例えば、ハードウェアに組み込まれたもの)を実行するように不変に設計され得る。一例において、回路構成のハードウェアは、特定の動作の命令をエンコードするために物理的に(例えば、磁気的に、電気的に、または不変質量粒子の可動配置によって)変更されたコンピュータ可読媒体を含む可変的に接続された物理的コンポーネント(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路など)を含み得る。物理コンポーネントを接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性が(例えば、絶縁体から導体に、またはその逆に)変更される。命令は、構成しているハードウェア(例えば、実行ユニットやローディング機構)が可変接続部を介してハードウェア内に回路構成の要素を形成して動作時に特定のタスクの一部を実行可能とする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに、回路構成の他のコンポーネントに通信可能に結合される。一例において、物理的コンポーネントのいずれかが、複数の回路構成の複数の要素で使用され得る。例えば、動作時において、実行ユニットは、ある時点で第1の回路構成における第1の回路で使用され得るとともに、別の時点で第1の回路構成における第2の回路によって再使用され得るかまたは第2の回路構成における第3の回路によって再使用され得る。
【0041】
マシン(例えば、コンピュータシステム)400は、ハードウェアプロセッサ402(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせであって、例えば、メモリコントローラなど)、メインメモリ404、およびスタティックメモリ406を含み得る。これらのうちのいくつかまたはすべては、相互リンク(例えば、バス)408を介して互いに通信可能である。マシン400はさらに、ディスプレイ装置410、英数字入力装置412(例えば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーション装置414(例えば、マウス)を含み得る。一例において、ディスプレイ装置410、英数字入力装置412、およびUIナビゲーション装置414は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。マシン400はさらに、ストレージ装置422(例えば、駆動ユニット)、信号生成装置418(例えば、スピーカー)、ネットワークインタフェース装置420、および、1つまたは複数のセンサ416(例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)センサ、翼センサ、機械式デバイスセンサ、温度センサ、ICPセンサ、ブリッジセンサ、オーディオセンサ、産業用センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなど)を含み得る。マシン400は、1つまたは複数の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信するためのまたはそれを制御するための出力コントローラ428(例えば、シリアル接続部(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル接続部、または他の有線または無線(例えば、赤外線(IR))接続部、近距離無線通信(NFC)接続部など)を含み得る。
【0042】
ストレージ装置422は、本明細書に記載される技術または機能のうちのいずれか1つ以上を具現化または利用するデータ構造または命令424(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットを記憶した機械可読媒体を含み得る。また、命令424は、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ404内、スタティックメモリ406内、またはマシン400による命令424の実行中にはハードウェアプロセッサ402内に存在し得る。一例において、ハードウェアプロセッサ402、メインメモリ404、スタティックメモリ406、およびストレージ装置421のうちの1つまたはそれらのうちの任意の組み合わせによって機械可読媒体が構成され得る。
【0043】
機械可読媒体は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令424を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、あるいは関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0044】
「機械可読媒体」という用語は、マシン400による実行のための一時的または非一時的命令を記憶、符号化、または搬送することが可能な一時的または非一時的媒体であって、本開示の技術のうちのいずれか一つ以上をマシン400に実行させるかまたはそのような命令によって使用されるもしくはそのような命令に関連付けられたデータ構造を記憶、符号化、または搬送することが可能な一時的または非一時的媒体を含み得る。非限定的な機械可読媒体の例は、固体メモリ、光学媒体、および磁気媒体を含む。一例において、有質量機械可読媒体は、不変の(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含む。したがって、有質量機械可読媒体は過渡伝播信号ではない。有質量機械可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能かつプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM))やフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROMディスク、およびDVD-ROMディスクを含み得る。
【0045】
ストレージ装置421に記憶されている命令424(例えば、ソフトウェア、プログラム、オペレーティングシステム(OS)など)または他のデータは、ハードウェアプロセッサ402による使用のためにメインメモリ404によってアクセスされ得る。メインメモリ404(例えば、DRAM)は、通常、高速であるが揮発性であり、したがって、「オフ」状態の期間を含む長期記憶に適したストレージ装置421(例えば、SSD)とは異なるタイプのストレージである。ユーザまたはマシン400による使用時に命令424またはデータは、通常、ハードウェアプロセッサ402による使用のためにメインメモリ404内にロードされる。メインメモリ404がフルになると、メインメモリ404を補うためにストレージデバイス421からの仮想空間を割り当てることができるが、ストレージ装置421は通常メインメモリ404よりも遅く、書き込み速度は通常読み取り速度の少なくとも2倍遅いため、仮想メモリの使用は(メインメモリ404、例えばDRAMと対比すると)ストレージ装置のレイテンシのためにユーザエクスペリエンスを大幅に減少させ得るものとなる。さらに、仮想メモリのためのストレージ装置421の使用は、ストレージ装置421の使用可能な寿命を大幅に減少させ得るものとなる。
【0046】
命令424はさらに、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちの任意の1つを利用するネットワークインタフェース装置420を介した伝送媒体を用いて通信ネットワーク426経由で送信または受信され得る。通信ネットワークの例は、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、プレーンオールドテレフォンサービス(POTS)、およびワイヤレスデータネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られる米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格ファミリ、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリ、ピアツーピア(P2P)ネットワークのIEEE802.15.4規格ファミリなど)を含み得る。一例において、ネットワークインタフェース装置420は、通信ネットワーク426に接続するための1つまたは複数の物理的ジャック(例えば、イーサネット(登録商標)、同軸ケーブル、または電話ジャック)または1つまたは複数のアンテナを含み得る。一例において、ネットワークインタフェース装置420は、単入力多出力(SIMO)、多入力多出力(MIMO)、または多入力単出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを用いて無線通信を行うための複数のアンテナを含み得る。「伝送媒体」という用語は、マシン400により実行される命令を記憶、符号化、または搬送可能な任意の有形または無形の媒体であって、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルまたはアナログ通信信号あるいはその他の有形または無形の媒体を含むものと解釈される。
【0047】
本明細書に記載される非限定的な態様または実施例の各々はそれ自体で成り立ち得るか、または他の実施例のうちの1つ以上と種々の置換もしくは組み合わせで実施され得る。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明の主題が実施され得る特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明されたものに加えて他の要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提供される例も想定している。さらに、本発明者らは、特定の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、あるいは図示または説明された他の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、図示または説明されたこれらの要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは置換を用いる例も想定している。
【0048】
本明細書と参照によって組み込まれる文献との間に一貫性のない使用法がある場合は本明細書における使用が優先される。
本明細書において、「1つ」という用語は、特許文献で一般的であるように、他の例や「少なくとも1つ」または「1つ以上」の使用とは独立して、1つまたは複数を含むものとして用いられている。本明細書において、「または」という用語は、特に明記されていない限り、非排他的性を指すものであり、「AまたはB」は、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、「AおよびB」を含むものとする。本明細書において、「含む」という用語は、「備える」という用語と同義の用語として使用される。また、以下の請求項において、「含む」および「備える」という用語は開放的、すなわちそのような用語に続いて列挙された要素に加えて他の要素を含むシステム、装置、物品、組成、製法、または処理が依然としてその請求項の範囲に含まれるものと見なされる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして使用されているに過ぎず、それらの対象物に数値的要件を課すことを意図していない。
【0049】
本明細書に記載される方法の例は、少なくとも部分的にマシンまたはコンピュータで実施することができる。いくつかの例は、上記の例に記載された方法を実行するべく電子デバイスを構成するように動作可能な一時的または非一時的命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。このような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含み得る。このようなコードは、種々の方法を実行するための一時的または非一時的なコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成し得る。さらに、一例において、コードは、実行中または他の時間中などに、1つまたは複数の揮発性の、非一時的な、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、これらに限定されるものではないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含み得る。
【0050】
上記の説明は、例示を目的としたものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討することで、当業者等により他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的開示内容の性質を迅速に確認できるようにするために提供されている。したがって、請求項の範囲または意味を解釈または制限する目的で使用されるものではない。また、上記の詳細な説明において、種々の特徴は開示内容を簡素化するためにまとめられている場合がある。これは、請求項に記載されていない開示特徴がいずれかの請求項に必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴であり得る。したがって、以下の請求項は例または実施形態として詳細な説明に組み込まれており、各請求項は別個の実施形態として独立しており、そのような実施形態は、種々の組み合わせまたは置換で互いに実施することができる。本発明の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような請求項が効力を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4