(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003656
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】医療用処理装置、医療用観察システム、及び医療用装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240105BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B1/00 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102945
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹ノ内 祐介
(72)【発明者】
【氏名】水上 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳祐
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF02
4C161JJ11
4C161LL01
4C161QQ07
4C161SS00
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させること。
【解決手段】医療用処理装置9は、被検体を撮像した撮像画像を処理し、表示用画像を生成する内部モジュール91と、内部モジュール91の動作を制御するプロセッサ93とを備える。内部モジュール91は、プロセッサ93に異常が生じた後、撮像画像に対して、プロセッサ93に異常が生じる前にプロセッサ93にて指定された表示モードに応じた処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮像した撮像画像を処理し、表示用画像を生成する内部モジュールと、
前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、
前記内部モジュールは、
前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う医療用処理装置。
【請求項2】
前記内部モジュールは、
前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた画像処理パラメータを記憶する画像処理パラメータ記憶部と、
前記画像処理パラメータ記憶部に記憶された前記画像処理パラメータを用いて前記撮像画像に対して画像処理を施す画像処理部を備え、
前記画像処理部は、
前記プロセッサに異常が生じた後、前記プロセッサに異常が生じる前に前記画像処理パラメータ記憶部に記憶されていた前記画像処理パラメータを用いて前記撮像画像に対して画像処理を施す請求項1に記載の医療用処理装置。
【請求項3】
前記表示モードは、
特定の波長帯域の特殊光を前記被検体に照射し、前記特殊光が照射された前記被検体を撮像した前記撮像画像に応じた前記表示用画像を表示装置に表示させる特殊光観察モードを含み、
前記内部モジュールは、
前記特殊光観察モード時に前記プロセッサに異常が生じた場合には、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記特殊光観察モードに応じた処理を行う請求項1に記載の医療用処理装置。
【請求項4】
前記表示モードは、
前記表示用画像を静止画像で表示装置に表示させる静止画表示モードと、
前記表示用画像を動画像で表示装置に表示させる動画表示モードとを含み、
前記内部モジュールは、
前記静止画表示モード時に前記プロセッサに異常が生じた場合には、前記動画表示モードに切り替える請求項1に記載の医療用処理装置。
【請求項5】
前記内部モジュールは、
ハードウェア処理を行い、
前記プロセッサは、
ソフトウェア処理を行う請求項1に記載の医療用処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサに異常が生じたか否かを監視する異常監視部をさらに備える請求項1に記載の医療用処理装置。
【請求項7】
被検体を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、
前記撮像画像を処理し、表示用画像を生成する医療用処理装置と、
前記表示用画像を表示する表示装置とを備え、
前記医療用処理装置は、
前記撮像画像を処理し、前記表示用画像を生成する内部モジュールと、
前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、
前記内部モジュールは、
前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う医療用観察システム。
【請求項8】
プロセッサによって設定された動作パラメータを用いて動作する医療用装置であって、
前記プロセッサに異常が生じた後、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて設定された前記動作パラメータを用いて動作する医療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用処理装置、医療用観察システム、及び医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、被検体を撮像した撮像画像を表示装置に表示して当該被検体を観察する医療用観察システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の医療用観察システム(内視鏡システム)は、撮像画像に対して画像処理を実行するデジタル画像処理回路と、当該デジタル画像処理回路の代替となる代替デジタル画像処理回路とを備える。そして、当該医療用観察システムでは、デジタル画像処理回路に異常が生じた場合には、代替デジタル画像処理回路を動作させ、当該代替デジタル画像処理回路にて撮像画像に対して画像処理を実行する。また、当該医療用観察システムでは、デジタル画像処理回路が初期化されて正常動作に復帰した場合には、当該デジタル画像処理回路にて撮像画像に対して画像処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の医療用観察システムでは、手術や手技を行っている際に、デジタル画像処理回路に異常が生じた場合には、当該デジタル画像処理回路が初期化される。すなわち、デジタル画像処理回路が初期化されるため、当該初期化後、手術や手技を継続することができる所望の表示モードで撮像画像を表示装置に表示することができていない場合がある。このような場合には、術者等のユーザは、改めて所望の表示モードに設定し直す操作を行う必要がある。
そこで、術者等のユーザに余計な操作を行わせずに手術や手技を継続させることができ、利便性を向上させることができる技術が要望されている。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、利便性を向上させることができる医療用処理装置、医療用観察システム、及び医療用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る医療用処理装置は、被検体を撮像した撮像画像を処理し、表示用画像を生成する内部モジュールと、前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、前記内部モジュールは、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う。
【0007】
本開示に係る医療用観察システムは、被検体を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、前記撮像画像を処理し、表示用画像を生成する医療用処理装置と、前記表示用画像を表示する表示装置とを備え、前記医療用処理装置は、前記撮像画像を処理し、前記表示用画像を生成する内部モジュールと、前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、前記内部モジュールは、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う。
【0008】
本開示に係る医療用装置は、プロセッサによって設定された動作パラメータを用いて動作する医療用装置であって、前記プロセッサに異常が生じた後、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて設定された前記動作パラメータを用いて動作する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る医療用処理装置、医療用観察システム、及び医療用装置によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システムを示す図である。
【
図2】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0012】
(実施の形態1)
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システム1を示す図である。
医療用観察システム1は、医療分野において用いられ、被検体内(生体内)を観察するシステムである。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、挿入部2と、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5と、第1の伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2の伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3の伝送ケーブル10とを備える。
【0013】
本実施の形態1では、挿入部2は、硬性鏡で構成されている。すなわち、挿入部2は、全体が硬質、または一部が軟質で他の部分が硬質である細長形状を有し、生体内に挿入される。この挿入部2内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系(図示略)が設けられている。
【0014】
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続され、制御装置9による制御の下、当該ライトガイド4の一端に当該制御装置9にて指定された照明光を当該制御装置9にて指定された光量で供給する。この光源装置3は、第1~第3の光源部31~33と、光源制御部34とを備える(
図2参照)。
第1の光源部31は、光源制御部34による制御の下、可視光である白色光(通常光)を発光することによってライトガイド4に当該光源制御部34にて指定された光量の当該白色光を照明光として供給する。この第1の光源部31は、コリメートレンズ、白色LED(Light Emitting Diode)及び駆動ドライバ等を用いて構成される。
なお、第1の光源部31としては、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを用いて同時に発光することによって可視光の白色光を供給しても構わない。また、第1の光源部31としては、ハロゲンランプやキセノンランプ等によって構成しても構わない。
【0015】
第2の光源部32は、光源制御部34による制御の下、第1の狭帯域光を発光することによってライトガイド4に当該光源制御部34にて指定された光量の当該第1の狭帯域光を照明光として供給する。ここで、第1の狭帯域光は、波長帯域が530nm~550nm(中心波長が540nm)の光である。この第2の光源部32は、コリメートレンズ、緑色LED、530nm~550nmの光を透過させる透過フィルタ、及び駆動ドライバ等を用いて構成される。
【0016】
第3の光源部33は、光源制御部34による制御の下、第1の狭帯域光とは異なる波長帯域の第2の狭帯域光を発光することによってライトガイド4に当該光源制御部34にて指定された光量の当該第2の狭帯域光を照明光として供給する。ここで、第2の狭帯域光は、波長帯域が400nm~430nm(中心波長が415nm)の光である。この第3の光源部33は、コリメートレンズ、紫色LD(Laser Diode)等の半導体レーザ、及び駆動ドライバ等を用いて構成される。
【0017】
光源制御部34は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によって構成される。そして、光源制御部34は、制御装置9にて指定された光源駆動パラメータを記憶するレジスタ341を有し、当該光源駆動パラメータを用いて第1~第3の光源部31~33の動作を制御する。
ここで、光源駆動パラメータは、特殊光観察フラグと、光量(明るさ評価値)とを含む。なお、光量(明るさ評価値)の詳細については後述する。
【0018】
特殊光観察フラグは、医療用観察システム1の表示モードが特殊光観察モードである場合にONに設定され、通常光観察モードである場合にOFFに設定される。
ここで、通常光観察モードは、白色光(通常光)を生体組織に照射するとともに、当該白色光が照射された生体組織を観察する観察手法である。
特殊光観察モード(NBI(Narrow Band Imaging))は、血液中のヘモグロビンが波長415nm近傍の光を強く吸収することを利用し、生体組織の粘膜表層の毛細血管及び粘膜表面構造を強調する観察手法である。すなわち、特殊光観察モードでは、血液中のヘモグロビンに吸収され易い狭帯域化された2つの第1の狭帯域光(波長帯域:530nm~550nm)及び第2の狭帯域光(波長帯域:400nm~430nm)を生体組織に照射する。これにより、特殊光観察モードでは、白色光(通常光)で視認が難しい粘膜深部の血管及び血流情報の強調表示を行うことができる。
【0019】
なお、本実施の形態1では、光源装置3は、制御装置9とは別体で構成されているが、これに限らず、当該制御装置9内に設けられた構成を採用しても構わない。
【0020】
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続されるとともに、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド4は、光源装置3から供給された光を一端から他端に伝達し、挿入部2に供給する。挿入部2に供給された光は、当該挿入部2の先端から出射され、生体内に照射される。生体内に照射され、当該生体からの戻り光(被写体像)は、挿入部2内の光学系により集光される。
【0021】
カメラヘッド5は、本開示に係る医療用観察装置に相当する。このカメラヘッド5は、挿入部2における接眼部21に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド5は、制御装置9による制御の下、挿入部2にて集光された被写体像を撮像して画像信号(以下、撮像画像と記載する)を生成する撮像部51(
図2参照)と、操作部52(
図2参照)等を備える。
【0022】
撮像部51は、
図2に示すように、撮像素子511と、信号処理部512とを備える。
撮像素子511は、挿入部2にて集光された被写体像を受光して電気信号(アナログ信号)に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子である。
信号処理部512は、撮像素子511にて生成されたアナログ信号の撮像画像に対して信号処理を行ってデジタル信号の撮像画像を出力する。この信号処理部512は、制御装置9にて指定されたアナログゲインを記憶するレジスタ5121を有する。そして、信号処理部512は、撮像素子511にて生成された撮像画像(アナログ信号)に対して、リセットノイズを除去する処理、レジスタ5121に記憶されたアナログゲインを当該アナログ信号に乗算する処理、及びA/D変換等の信号処理を行う。
【0023】
操作部52は、ボタンやスイッチ等によって構成され、術者等のユーザによるユーザ操作を受け付ける。そして、操作部52は、第1の伝送ケーブル6を介して、当該ユーザ操作に応じた操作信号を制御装置9に出力する。当該ユーザ操作としては、医療用観察システム1の表示モードを通常光観察モード及び特殊光観察モードのいずれかの表示モード、静止画表示モード及び動画表示モードのいずれかの表示モードに切り替える操作を例示することができる。
【0024】
ここで、静止画表示モードは、術者等のユーザによる静止画表示モードに切り替える操作がなされた時点で表示装置7に表示させていた1フレームの表示用画像を当該表示装置7に表示し続ける表示モードである。
動画表示モードは、撮像部51にて撮像された撮像画像(表示用画像)を1フレーム毎に順次、切り替え、動画像として表示装置7に表示させる表示モードである。
【0025】
第1の伝送ケーブル6は、一端が制御装置9に着脱自在に接続され、他端がカメラヘッド5に着脱自在に接続される。そして、第1の伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される撮像画像等を制御装置9に伝送するとともに、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド5にそれぞれ伝送する。
なお、第1の伝送ケーブル6を介したカメラヘッド5から制御装置9への撮像画像等の伝送は、当該撮像画像等を光信号で伝送してもよく、あるいは、電気信号で伝送しても構わない。第1の伝送ケーブル6を介した制御装置9からカメラヘッド5への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様である。
【0026】
表示装置7は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイで構成され、制御装置9による制御の下、当該制御装置9からの映像信号に基づく画像を表示する。
第2の伝送ケーブル8は、一端が表示装置7に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第2の伝送ケーブル8は、制御装置9にて処理された映像信号を表示装置7に伝送する。
【0027】
制御装置9は、本開示に係る医療用処理装置に相当する。この制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成され、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を統括的に制御する。
なお、制御装置9の詳細な構成については、後述する「制御装置の構成」において説明する。
第3の伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第3の伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0028】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9の構成について説明する。
図2は、制御装置9の構成を示すブロック図である。
制御装置9は、
図2に示すように、内部モジュール91と、メモリ92と、制御部93と、入力部94と、出力部95と、記憶部96とを備える。
【0029】
内部モジュール91は、FPGAによって構成され、ハードウェア処理を実行する。この内部モジュール91は、
図2に示すように、画像処理部911と、フリーズ制御部912と、異常監視部913と、インターフェース部914とを備える。
画像処理部911は、画像処理パラメータを記憶するレジスタ9111を有し、当該レジスタ9111に記憶された画像処理パラメータを用いて、カメラヘッド5から出力された撮像画像(デジタル画像)に対して画像処理を実行するとともに、当該撮像画像を表示するための表示用画像(表示用の映像信号)を生成する。そして、画像処理部911は、当該表示用画像を表示装置7に出力する。これにより、表示装置7には、当該表示用画像が表示される。ここで、レジスタ9111は、本開示に係る画像処理パラメータ記憶部に相当する。
【0030】
具体的に、当該画像処理としては、オプティカルブラック減算処理、デモザイク処理、ホワイトバランス調整処理、デジタルゲイン処理(デジタル信号に対して当該デジタル信号を増幅するデジタルゲインを乗算する処理)、ノイズ低減処理、色補正処理、色強調処理、輪郭強調処理、拡大処理、色調変更処理、RGB信号(撮像画像)を輝度色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理等を例示することができる。
【0031】
なお、画像処理部911が実行する画像処理は、医療用観察システム1の表示モードが通常光観察モードである場合と、特殊光観察モードである場合とで異なる。すなわち、通常光観察モードである場合には、レジスタ9111には、制御部93による制御の下、当該通常光観察モードに応じた画像処理パラメータが記憶される。また、特殊光観察モードである場合には、レジスタ9111には、制御部93による制御の下、当該特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータが記憶される。
【0032】
フリーズ制御部912は、静止画表示フラグを記憶するレジスタ9121を有する。当該静止画表示フラグは、医療用観察システム1の表示モードが静止画表示モードである場合にONに設定され、動画表示モードである場合にOFFに設定される。
【0033】
そして、フリーズ制御部912は、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグを確認し、当該静止画表示フラグがOFFである場合(医療用観察システム1の表示モードが動画表示モードである場合)には、画像処理部911にて画像処理が実行された後の1フレームの表示用画像をメモリ92に書き込むとともに、当該メモリ92から当該1フレームの表示用画像を読み出して表示装置7に出力する。これにより、表示用画像は、1フレーム毎に順次、切り替わり、動画像として表示装置7に表示される。
【0034】
一方、フリーズ制御部912は、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグを確認し、当該静止画表示フラグがONである場合(医療用観察システム1の表示モードが静止画表示モードである場合)には、画像処理部911にて画像処理が実行された後の1フレームの表示用画像をメモリ92に書き込むことを停止し、既に書き込まれていた1フレームの表示用画像をメモリ92から読み出して表示装置7に出力する。これにより、静止画表示モードに切り替える操作がなされたタイミングと略同一のタイミングで表示装置7に表示されていた1フレームの表示用画像が静止画像として表示され続ける。
【0035】
異常監視部913は、例えばウォッチドックタイマ等にて構成され、制御部93に異常が生じたか否かを監視する。また、異常監視部913は、制御部93に異常が生じていると判断した場合には、後述するインターフェース部914を介さない経路P1(
図2)を通じて、当該制御部93にリブート信号を出力し、当該制御部93に再起動を促す。ここで、異常監視部913は、リブートフラグを記憶するレジスタ9131を有する。そして、異常監視部913は、リブート信号を出力した場合には、当該リブートフラグをONに設定する。さらに、異常監視部913は、制御部93に異常が生じていると判断した場合には、内部モジュール91と制御部93との間での通信を停止する。
なお、本実施の形態1では、異常監視部913は、内部モジュール91内に設けられているが、これに限らず、当該内部モジュール91外に設けられていても構わない。
【0036】
インターフェース部914は、内部モジュール91と制御部93との間での通信を行うためのインターフェースであるとともに、当該内部モジュール91と光源装置3及びカメラヘッド5との間での通信を行うためのインターフェースである。すなわち、制御部93によるレジスタ341,5121,9111,9121,9131の制御は、インターフェース部914を介して実行される。
【0037】
メモリ92は、フリーズ制御部912にて用いられるメモリであり、少なくとも1フレーム分の表示用画像を記憶する。
【0038】
制御部93は、本開示に係るプロセッサに相当する。この制御部93は、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のコントローラによって、記憶部96に記憶された各種のプログラムが実行されることにより実現され、ソフトウェア処理を実行する。そして、制御部93は、光源装置3及びカメラヘッド5の動作を制御するとともに、制御装置9全体の動作を制御する。
【0039】
例えば、制御部93は、以下に示す明るさ制御を実行する。
具体的に、制御部93は、画像処理部911にてYC処理が施された後の撮像画像である輝度色差信号(Y,Cb/Cr信号)のうち、当該撮像画像の全画像領域の少なくとも一部の領域である検波領域内の輝度信号(Y信号)に基づいて、当該検波領域内の輝度レベル(輝度平均値)を算出する。そして、制御部93は、検波領域内の輝度レベル(輝度平均値)に基づいて、撮像画像の全画像領域のうち検波領域内の画像の明るさを基準となる明るさに変更する(算出した輝度平均値を基準となる輝度平均値に変更する)ための明るさ評価値を算出する。
【0040】
ここで、明るさ評価値としては、信号処理部512にて用いられるアナログゲイン、画像処理部911による画像処理(デジタルゲイン処理)において用いられるデジタルゲイン、光源装置3が供給する照明光の光量を例示することができる。そして、レジスタ5121に記憶されたアナログゲインは、インターフェース部914を介して、制御部93にて算出されたアナログゲイン(明るさ評価値)に順次、更新される。また、レジスタ9111に記憶された画像処理パラメータのうちのデジタルゲインは、インターフェース部914を介して、制御部93にて算出されたデジタルゲイン(明るさ評価値)に順次、更新される。さらに、レジスタ341に記憶された光源駆動パラメータのうちの光量は、インターフェース部914を介して、制御部93にて算出された光量(明るさ評価値)に順次、更新される。
そして、信号処理部512が更新されたアナログゲインを用いた処理を実行し、画像処理部911が更新されたデジタルゲインを用いたデジタルゲイン処理を実行し、光源装置3が更新された光量の照明光を供給することにより、撮像画像の明るさは、所望の明るさに制御される。
【0041】
入力部94は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の操作デバイスを用いて構成され、術者等のユーザによるユーザ操作を受け付ける。そして、入力部94は、当該ユーザ操作に応じた操作信号を制御部93に出力する。
出力部95は、スピーカやプリンタ等を用いて構成され、各種情報を出力する。
記憶部96は、制御部93が実行するプログラムや、制御部93の処理に必要な情報等を記憶する。
【0042】
〔制御装置の動作〕
次に、制御装置9の動作について説明する。
図3は、制御装置9の動作を示すフローチャートである。
以下では、制御装置9の動作として、医療用観察システム1の表示モードが特殊光観察モードである時に、制御部93に異常が生じた場合について説明する。なお、
図3では、説明の便宜上、制御部93が実行する明るさ制御については記載を省略しているが、当該制御部93に異常が生じる前、及び再起動後に、常時、実行されているものである。
【0043】
先ず、制御部93は、術者等のユーザによる操作部52への「医療用観察システム1の表示モードを特殊光観察モードに切り替える」操作に応じて、医療用観察システム1の表示モードを特殊光観察モードに切り替える(ステップS1)。具体的に、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ341に記憶された光源駆動パラメータに含まれる特殊光観察フラグをONに設定する。これにより、光源制御部34は、当該レジスタ341に記憶された光源駆動パラメータに含まれる特殊光観察フラグがONであることを確認し、第1~第3の光源部31~33のうち、第2,第3の光源部32,33から第1,第2の狭帯域光を照明光として供給させる。また、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ9111に記憶された画像処理パラメータを特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータに更新する。これにより、画像処理部911は、第1,第2の狭帯域光が照射された生体組織を撮像した撮像画像(デジタル画像)に対して、特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータを用いて画像処理を実行し、表示用画像を生成する。
【0044】
ステップS1の後、異常監視部913は、制御部93に異常が生じたか否かを常時、監視する(ステップS2)。
制御部93に異常が生じていないと判断した場合には、異常監視部913は、ステップS2の処理を継続する。
一方、制御部93に異常が生じたと判断した場合には、異常監視部913は、インターフェース部914を介さない経路P1を通じて、制御部93にリブート信号を出力し、当該制御部93に再起動を促す(ステップS3)。そして、異常監視部913は、レジスタ9131に記憶されたリブートフラグをONに設定する。なお、インターフェース部914を介さない経路P1には、内部モジュール91と制御部93との間にICチップを設けてもよい。この場合には、内部モジュール91(異常監視部913)は、当該ICチップを介して、制御部93にリブート信号を出力する構成となる。
【0045】
ステップS3の後、異常監視部913は、インターフェース部914を介した内部モジュール91と制御部93との間での通信を停止する(ステップS4)。すなわち、制御部93は、インターフェース部914を介したレジスタ341,5121,9111,9121,9131の制御を実行不能となる。これにより、レジスタ341,5121,9111,9121に記憶された光源駆動パラメータ(特殊光観察フラグ及び光量(明るさ評価値))、アナログゲイン(明るさ評価値)、画像処理パラメータ(特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータ(デジタルゲイン(明るさ評価値)を含む))、及び静止画表示フラグは、制御部93に異常が生じる前の設定値に保持される。そして、光源装置3、カメラヘッド5、及び内部モジュール91は、レジスタ341,5121,9111,9121に記憶された光源駆動パラメータ(特殊光観察フラグ及び光量(明るさ評価値))、アナログゲイン(明るさ評価値)、画像処理パラメータ(特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータ(デジタルゲイン(明るさ評価値)を含む))、及び静止画表示フラグを用いて処理を継続する。そして、光源駆動パラメータ(特殊光観察フラグ及び光量(明るさ評価値))、アナログゲイン(明るさ評価値)、画像処理パラメータ(特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータ(デジタルゲイン(明るさ評価値)を含む))、及び静止画表示フラグは、本開示に係る動作パラメータに相当する。すなわち、光源装置3、カメラヘッド5、及び内部モジュール91は、本開示に係る医療用装置に相当する。
【0046】
ステップS4の後、制御部93は、再起動を実行する(ステップS5)。
ステップS5の後、異常監視部913は、インターフェース部914を介して内部モジュール91と制御部93との間でリンクアップがなされた場合に、当該インターフェース部914を介した内部モジュール91と制御部93との間での通信を開始する(ステップS6)。
【0047】
ステップS6の後、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ9131に記憶されたリブートフラグを確認する(ステップS7)。
リブートフラグがONに設定されている場合(ステップS8:Yes)には、制御部93は、医療用観察システム1の表示モードを特殊光観察モードに保持する(ステップS9)。すなわち、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ341に記憶された特殊光観察フラグの設定、及びレジスタ9111に記憶された画像処理パラメータの設定を変更しない。
【0048】
一方、リブートフラグがOFFに設定されている場合(ステップS8:No)、すなわち、異常監視部913がリブート信号によって再起動を促していない場合(例えば、電源起動時等の場合)には、制御部93は、医療用観察システム1の表示モードを通常光観察モードに切り替える(ステップS10)。すなわち、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ341に記憶された光源駆動パラメータに含まれる特殊光観察フラグをOFFに設定する。これにより、光源制御部34は、当該レジスタ341に記憶された光源駆動パラメータに含まれる特殊光観察フラグがOFFであることを確認し、第1~第3の光源部31~33のうち、第1の光源部31から白色光(通常光)を照明光として供給させる。また、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ9111に記憶された画像処理パラメータを通常光観察モードに応じた画像処理パラメータに更新する。これにより、画像処理部911は、白色光(通常光)が照射された生体組織を撮像した撮像画像(デジタル画像)に対して、通常光観察モードに応じた画像処理パラメータを用いて画像処理を実行し、表示用画像を生成する。
【0049】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る制御装置9では、内部モジュール91は、制御部93に異常が生じた場合には、撮像画像に対して、当該制御部93に異常が生じる前に当該制御部93にて指定された表示モードに応じた処理を行う。具体的に、内部モジュール91は、特殊光観察モード時に制御部93に異常が生じた場合には、当該制御部93の再起動中、及び再起動後において、撮像画像に対して、当該特殊光観察モードに応じた処理を行う。
このため、特殊光観察モードで手術や手技を行っている際に、制御部93に異常が生じた場合であっても、当該制御部93の再起動中及び再起動後において、当該制御部93に異常が生じる前と同等の表示状態(特殊光観察モード)を維持することができる。
したがって、本実施の形態1に係る制御装置9によれば、術者等のユーザに余計な操作を行わせずに手術や手技を継続させることができ、利便性を向上させることができる。
【0050】
特に、制御部93に異常が生じた場合には、内部モジュール91と制御部93との間の通信が停止される。これにより、レジスタ341,5121,9111,9121に記憶された光源駆動パラメータ(特殊光観察フラグ及び光量(明るさ評価値))、アナログゲイン(明るさ評価値)、画像処理パラメータ(特殊光観察モードに応じた画像処理パラメータ(デジタルゲイン(明るさ評価値)を含む))、及び静止画表示フラグは、制御部93に異常が生じる前の設定値に保持される。すなわち、画像処理パラメータや明るさ評価値が制御部93の異常が生じる前の状態で保持されるため、当該制御部93の再起動中及び再起動後においても、高精細で明るい画像表示を維持することができる。
【0051】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2について説明する。
以下では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態2では、上述した実施の形態1に対して、制御装置9の動作が異なる。
【0052】
以下、本実施の形態2に係る制御装置9の動作について説明する。
図4は、実施の形態2に係る制御装置9の動作を示すフローチャートである。
以下では、制御装置9の動作として、医療用観察システム1の表示モードが静止画表示モードである時に、制御部93に異常が生じた場合について説明する。なお、
図4では、説明の便宜上、制御部93が実行する明るさ制御については記載を省略しているが、当該制御部93に異常が生じる前、及び再起動後に、常時、実行されているものである。
【0053】
本実施の形態2に係る制御装置9の動作では、
図4に示すように、上述した実施の形態1で説明した制御装置9の動作に対して、ステップS1の代わりにステップS1Aが採用されている。また、本実施の形態2に係る制御装置9の動作では、ステップS9,S10が省略され、ステップS11~S13が追加されている。このため、以下では、ステップS1A,S11~S13について主に説明する。
【0054】
先ず、制御部93は、ステップS1Aにおいて、術者等のユーザによる操作部52への「医療用観察システム1の表示モードを静止表示モードに切り替える」操作に応じて、医療用観察システム1の表示モードを静止画表示モードに切り替える。具体的に、制御部93は、インターフェース部914を介して、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグをONに設定する。これにより、フリーズ制御部912は、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグがONであることを確認し、画像処理部911にて画像処理が実行された後の1フレームの表示用画像をメモリ92に書き込むことを停止し、既に書き込まれていた1フレームの表示用画像をメモリ92から読み出して表示装置7に出力する。そして、表示装置7には、静止画表示モードに切り替える操作がなされたタイミングと略同一のタイミングで当該表示装置7に表示されていた1フレームの表示用画像が静止画像として表示され続ける。
【0055】
ステップS11は、ステップS4の後に実行される。
具体的に、フリーズ制御部912は、ステップS11において、例えばレジスタ9121内の別のアドレス領域に静止画表示フラグOFFの値を記憶し、異常監視部913から制御部93に異常が生じたことを通知されることで、レジスタ9121内の別のアドレス領域に記憶された静止画表示フラグを取り込む。これにより、フリーズ制御部912は、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグがOFFであることを確認し(医療用観察システム1の表示モードが動画表示モードに切り替えられたことを確認し)、画像処理部911にて画像処理が実行された後の1フレームの表示用画像をメモリ92に書き込むとともに、当該メモリ92から当該1フレームの表示用画像を読み出して表示装置7に出力する。そして、表示装置7には、表示用画像の表示が1フレーム毎に順次、切り替わり、動画像として表示される。また、別の構成として、ステップS11において、異常監視部913がレジスタ9121に記憶された静止画表示フラグをOFFに設定する構成でも、同様のことを実現することができる。これにより、フリーズ制御部912内で、正常時と異常時とで処理を分岐する必要がなくなる。
この後、制御装置9は、ステップS5に移行する。
【0056】
ステップS12は、リブートフラグがONに設定されている場合(ステップS8:Yes)に実行される。
具体的に、制御部93は、ステップS12において、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグの設定を保持する。すなわち、ステップS11において、静止画表示フラグは、OFFに設定されている。このため、ステップS12では、静止画表示フラグの設定がOFFの状態で保持される。言い換えれば、医療用観察システム1の表示モードは、動画表示モードに維持される。
【0057】
ステップS13は、リブートフラグがOFFに設定されている場合(ステップS8:No)に実行される。
具体的に、制御部93は、ステップS13において、インターフェース部914を介して、レジスタ9121に記憶された静止画表示フラグの設定を初期化する。言い換えれば、医療用観察システム1の表示モードは、静止画表示モード及び動画表示モードのうち、デフォルトで設定された表示モードに切り替えられる。
【0058】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態2に係る制御装置9では、内部モジュール91は、静止画表示モード時に制御部93に異常が生じた場合には、静止画表示フラグをOFFに設定する(動画表示モードに切り替える)。
すなわち、静止画表示モード時に制御部93に異常が生じた場合であっても、動画表示モードに切り替わるため、術者等のユーザに余計な操作を行わせずに手術や手技を継続させることができ、利便性を向上させることができる。
【0059】
(その他の実施の形態)
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、本開示に係る医療用処理装置及び医療用装置を、挿入部2を硬性鏡で構成した医療用観察システム1に搭載していたが、これに限らない。例えば、本開示に係る医療用処理装置及び医療用装置を、挿入部2を軟性鏡で構成した医療用観察システムに搭載しても構わない。また、本開示に係る医療用処理装置及び医療用装置を、生体内や生体表面の所定の視野領域を拡大して観察する手術用顕微鏡(例えば、特開2016-42981号公報参照)等の医療用観察システムに搭載しても構わない。
【0060】
上述した実施の形態1,2では、内部モジュール91は、FPGAにて構成され、ハードウェア処理を実行するように構成されていたが、これに限らず、CPUやMPU等のコントローラにて構成され、ソフトウェア処理を実行するように構成しても構わない。また、制御部93は、CPUやMPU等のコントローラにて構成され、ソフトウェア処理を実行するように構成されていたが、これに限らず、FPGA等にて構成され、ハードウェア処理を実行するように構成しても構わない。
【0061】
上述した実施の形態1,2では、医療用観察システム1の表示モードとして、特殊光観察モードを採用していたが、これに限らず、当該特殊光観察モードの代わりに、蛍光観察モードを採用しても構わない。
ここで、蛍光観察モードは、被検体内の蛍光物質を励起させる励起光を当該被検体に照射し、当該蛍光物質から発生した蛍光を撮像することにより当該被検体内を観察する観察手法である。
【0062】
上述した実施の形態1,2では、光源装置3の構成として、第1~第3の光源部31~33の3つの光源を採用していたが、これに限らない。例えば、光源を1つだけ設け、特定の波長帯域の光を透過し、その他の光を遮断する透過フィルタを当該光源から出射された光の光路内外に移動することにより、白色光(通常光観察モード)と、第1,第2の狭帯域光(特殊光観察モード)とを切り替える構成を採用しても構わない。
【0063】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)被検体を撮像した撮像画像を処理し、表示用画像を生成する内部モジュールと、前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、前記内部モジュールは、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う医療用処理装置。
(2)前記内部モジュールは、前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた画像処理パラメータを記憶する画像処理パラメータ記憶部と、前記画像処理パラメータ記憶部に記憶された前記画像処理パラメータを用いて前記撮像画像に対して画像処理を施す画像処理部を備え、前記画像処理部は、前記プロセッサに異常が生じた後、前記プロセッサに異常が生じる前に前記画像処理パラメータ記憶部に記憶されていた前記画像処理パラメータを用いて前記撮像画像に対して画像処理を施す上記(1)に記載の医療用処理装置。
(3)前記表示モードは、特定の波長帯域の特殊光を前記被検体に照射し、前記特殊光が照射された前記被検体を撮像した前記撮像画像に応じた前記表示用画像を表示装置に表示させる特殊光観察モードを含み、前記内部モジュールは、前記特殊光観察モード時に前記プロセッサに異常が生じた場合には、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記特殊光観察モードに応じた処理を行う上記(1)または(2)に記載の医療用処理装置。
(4)前記表示モードは、前記表示用画像を静止画像で表示装置に表示させる静止画表示モードと、前記表示用画像を動画像で表示装置に表示させる動画表示モードとを含み、前記内部モジュールは、前記静止画表示モード時に前記プロセッサに異常が生じた場合には、前記動画表示モードに切り替える上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療用処理装置。
(5)前記内部モジュールは、ハードウェア処理を行い、前記制御部は、ソフトウェア処理を行う上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の医療用処理装置。
(6)前記プロセッサに異常が生じたか否かを監視する異常監視部をさらに備える上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の医療用処理装置。
(7)被検体を撮像して撮像画像を生成する医療用観察装置と、前記撮像画像を処理し、表示用画像を生成する医療用処理装置と、前記表示用画像を表示する表示装置とを備え、前記医療用処理装置は、前記撮像画像を処理し、前記表示用画像を生成する内部モジュールと、前記内部モジュールの動作を制御するプロセッサとを備え、前記内部モジュールは、前記プロセッサに異常が生じた後、前記撮像画像に対して、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて指定された表示モードに応じた処理を行う医療用観察システム。
(8)プロセッサによって設定された動作パラメータを用いて動作する医療用装置であって、前記プロセッサに異常が生じた後、前記プロセッサに異常が生じる前に前記プロセッサにて設定された前記動作パラメータを用いて動作する医療用装置。
【符号の説明】
【0064】
1 医療用観察システム
2 挿入部
3 光源装置
4 ライトガイド
5 カメラヘッド
6 第1の伝送ケーブル
7 表示装置
8 第2の伝送ケーブル
9 制御装置
10 第3の伝送ケーブル
21 接眼部
31 第1の光源部
32 第2の光源部
33 第3の光源部
34 光源制御部
51 撮像部
52 操作部
91 内部モジュール
92 メモリ
93 制御部
94 入力部
95 出力部
96 記憶部
341 レジスタ
511 撮像素子
512 信号処理部
5121 レジスタ
911 画像処理部
912 フリーズ制御部
913 異常監視部
914 インターフェース部
9111,9121,9131 レジスタ