(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036606
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】劣化促進試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017104
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2023550376の分割
【原出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021157989
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雪憲
(72)【発明者】
【氏名】北村 顕一
(57)【要約】
【課題】複数の劣化因子によって試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化の促進を容易に行うことが可能な劣化促進試験装置を提供する。
【解決手段】この劣化促進試験装置(100)は、複数の劣化因子によって、試料(200)の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化促進試験の対象となる試料(200)を密閉状態で収容可能な密閉容器(10)と、密閉容器(10)を保持する容器保持部(20)とを備える。そして、劣化促進試験装置(100)は、試料(200)が密閉容器(10)内において劣化因子のひとつとしての液体(300)とともに収容された状態で、密閉容器(10)内に密閉状態で収容される試料(200)の劣化促進試験を行うように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象となる試料を劣化させる複数の劣化因子によって、前記試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、前記劣化促進試験の対象となる前記試料を密閉状態で収容可能な、蓋部を介して内容物を抽出して分析を行う分析装置におけるサンプリング用の容器として用いられる密閉容器と、
前記密閉容器を保持する容器保持部とを備え、
前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、劣化促進試験装置。
【請求項2】
前記密閉容器は、前記試料が収容される瓶状の容器本体部と、前記試料を前記容器本体部内に収容した状態で前記容器本体部を密閉するための密閉部とを含む、請求項1に記載の劣化促進試験装置。
【請求項3】
前記劣化因子のひとつとしての温度を調整する温度調整部と、
温度を含む前記密閉容器内の環境を測定するための容器内環境測定部とをさらに備え、
前記試料が前記密閉容器内に収容された状態で、前記温度調整部による温度調整を行うことによって、前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、請求項2に記載の劣化促進試験装置。
【請求項4】
前記密閉容器は、複数設けられており、
前記容器内環境測定部は、前記密閉容器内に密閉状態で収容される温度センサを含み、
前記容器保持部は、前記試料が密閉状態で収容された前記密閉容器とともに、前記試料の代わりに前記温度センサが密閉状態で収容された前記密閉容器を保持するように構成されている、請求項3に記載の劣化促進試験装置。
【請求項5】
前記容器保持部は、前記密閉容器を収容する収容部を含み、前記試料が密閉状態で収容された複数の前記密閉容器を前記収容部内に収容するとともに、前記試料の代わりに前記温度センサが密閉状態で収容された前記密閉容器を前記収容部内に収容するように構成されている、請求項4に記載の劣化促進試験装置。
【請求項6】
前記劣化因子のひとつとしての光を照射する照射部をさらに備え、
前記容器本体部は、透光性の部材であり、
前記試料が前記密閉容器内に収容された状態で、前記照射部から照射される光が、前記容器本体部を介して、前記試料に照射されることによって、前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【請求項7】
前記劣化因子としての光を発する光源をさらに備え、
前記照射部は、前記光源から出射された光を分岐させるとともに、前記容器保持部に保持される複数の前記密閉容器の前記試料毎に光を照射するように構成されている、請求項6に記載の劣化促進試験装置。
【請求項8】
前記照射部は、前記密閉容器内における前記試料の配置箇所に対応するように、光の照射領域を絞る絞り部を含む、請求項7に記載の劣化促進試験装置。
【請求項9】
前記密閉容器内の前記試料の表面が、前記照射部によって照射される光の照射方向に沿った方向に対して垂直になるように、前記試料の表面の前記照射方向に対する傾きを調整する試料表面調整部をさらに備える、請求項6~8のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【請求項10】
強磁性を有する部材を含むとともに、前記密閉容器内において前記試料を支持する試料支持部をさらに備え、
前記試料表面調整部は、前記密閉容器に対して前記照射部が配置される側とは反対側に設けられる磁石を含み、
前記強磁性を有する部材を含む前記試料支持部が、前記磁石に引き付けられることによって、前記密閉容器内の前記試料の表面が、前記照射方向に沿った方向に対して垂直になるように構成されている、請求項9に記載の劣化促進試験装置。
【請求項11】
前記試料支持部は、前記密閉容器内において、前記試料を支持するとともに、前記密閉容器内から取り出し可能に構成されている、請求項10に記載の劣化促進試験装置。
【請求項12】
前記密閉容器は、ガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いられる、サンプリング用の容器である、請求項1~11のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劣化促進試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種の試験条件(環境試験)を組み合わせた試験を行うことによって、各種材料の耐食性を評価する複合サイクル試験機が知られている。たとえば、このような複合サイクル試験機は、特開2018-132385号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2018-132385号公報の複合サイクル試験機では、試験槽内において、温度および湿度などの劣化因子(劣化負荷)を変動させながら、各種材料の劣化を促進させる試験を行っている。また、上記特開2018-132385号公報に記載のような従来の複合サイクル試験機では、塩水などの液体(腐食液)を試料に対して噴霧する(吹き付ける)ことによって、各種材料の液体に起因する劣化を促進させる試験を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2018-132385号公報に記載のような従来の複合サイクル試験機では、温度および湿度などの劣化因子(劣化負荷)を変動させながら、塩水などの液体(腐食液)を試料に対して噴霧する場合には、試験槽内の温度および湿度の調整に加えて、空気の循環の制御など、試験環境(試験槽内の環境)の調整が必要になる。そのため、複数の劣化因子によって試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化の促進(加速)を容易に行うことができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の劣化因子によって試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化の促進を容易に行うことが可能な劣化促進試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面における劣化促進試験装置は、試験対象となる試料を劣化させる複数の劣化因子によって、試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化促進試験の対象となる試料を密閉状態で収容可能な、蓋部を介して内容物を抽出して分析を行う分析装置におけるサンプリング用の容器として用いられる密閉容器と、密閉容器を保持する容器保持部とを備え、密閉容器内に密閉状態で収容される試料の劣化促進試験を行うように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一の局面における劣化促進試験装置では、密閉容器内に密閉状態で収容される試料の劣化促進試験を行うように構成されている。これにより、複数の劣化因子によって、試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、密閉容器に、試料とともに劣化因子のひとつとしての液体を収容する場合に、密閉容器内において、試料が液体に触れた状態で試験を行うことができる。その結果、液体を試料に対して噴霧する場合と異なり、液体による劣化の促進のために試験環境を調整する必要がないので、劣化の促進を容易に行うことができる。これにより、複数の劣化因子によって試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、劣化の促進を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による劣化促進試験装置の全体構成を示した模式図である。
【
図2】劣化促進試験装置の外観を示した斜視図である。
【
図3】扉を開いた状態の劣化促進試験装置を示した斜視図である。
【
図4】容器保持部を引き出した状態の劣化促進試験装置を示した斜視図である。
【
図5】
図2の500―500線に沿った断面図である。
【
図7】
図6の600―600線に沿った密閉容器の断面図である。
【
図8】
図6の600―600線に沿った密閉容器の斜視断面図である。
【
図9】
図6の700―700線に沿った密閉容器の断面図である。
【
図10】
図5の容器保持部周辺を拡大した部分拡大図である。
【
図13】
図11の900―900線に沿った斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1~
図13を参照して、本実施形態による劣化促進試験装置100の構成について説明する。
【0012】
(劣化促進試験装置の構成)
劣化促進試験装置100は、試料200の劣化を促進(加速)させる劣化促進試験(劣化加速)を行うための装置である。劣化促進試験装置100は、主に材料開発における材料の探索および試作段階において用いられる装置である。劣化促進試験装置100による試験対象となる試料200は、素材(樹脂、繊維、金属および木材など)、塗料、輸送機用の部材、食品用油、食品用包装、および、食品などである。また、劣化促進試験装置100は、実験室内に設置可能な比較的小型な装置である。
【0013】
劣化促進試験装置100は、
図1に示すように、劣化促進試験の対象となる試料200が収容可能な密閉容器10と、密閉容器10を保持する容器保持部20とを備える。
【0014】
また、劣化促進試験装置100は、劣化因子のひとつとしての温度を調整する温度調整部30と、温度を含む密閉容器10内の環境を測定するための測定部40とを備える。なお、測定部40は、特許請求の範囲の「容器内環境測定部」の一例である。
【0015】
また、劣化促進試験装置100は、劣化因子としての光を発する光源50と、劣化因子のひとつとして光源50から発せられる(出射される)光を照射する照射部60とを備える。本実施形態では、光源50は、紫外線(UV光)を含む光を照射するように構成されている。光源50は、たとえば、紫外線(UV光)を照射するUV光源を含む。なお、光源50は、キセノンランプを含むキセノン光源を含んでもよい。すなわち、光源50は、紫外線(UV光)以外の波長域を含む光を発する光源であってもよい。また、光源50は、赤外線を発する光源であってもよい。
【0016】
本実施形態における劣化促進試験装置100は、試料200が密閉容器10内において劣化因子のひとつとしての液体300とともに収容された状態で、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。
【0017】
具体的には、劣化促進試験装置100は、密閉容器10内において劣化因子のひとつとしての液体300とともに試料200が収容された状態で、温度、および、光の照射が調整されることによって、試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。すなわち、劣化促進試験装置100は、同時に複数の劣化因子を調整しながら(複数の劣化負荷をかけながら)、劣化促進試験を行うことが可能な複合劣化促進試験装置である。これにより、より実際の曝露環境下(実曝露環境下)に近い状態の劣化促進試験(劣化加速試験)を行うことができる。
【0018】
また、試料200とともに、密閉容器10内に収容される液体300は、たとえば、酸性の液体、塩水、および、水などである。液体300として酸性の液体を用いる場合には、試料200の酸性雨および酸性の薬品などの酸に対する試験(劣化促進試験)を行うことができる。液体300として塩水を用いる場合には、試料200の海水および潮風などに対する試験(劣化促進試験)を行うことができる。また、液体300として、水を用いる場合には、耐水性に関する試験(劣化促進試験)を行うことができる。また、密閉容器10内の湿度は、密閉容器10内に収容される水によって調整することが可能である。密閉容器10内の湿度は、飽和水蒸気量に基づいて変化させることが可能である。
【0019】
すなわち、密閉容器10は、試験対象となる試料200を劣化させる複数の劣化因子(温度、光、液体300および湿度)によって、試料200の劣化を促進させる劣化促進試験の対象となる試料200を、密閉状態で収容可能に構成されている。なお、劣化促進試験装置100では、密閉容器10内に液体300を収容せずに、温度および光の少なくとも一方を、劣化因子(劣化負荷)とする劣化促進試験を行うことも可能である。
【0020】
また、劣化促進試験装置100は、
図2および
図3に示すように、本体部71と、本体部71に取り付けられ、開閉可能な扉部72とを含む筐体70を備える。容器保持部20、温度調整部30、光源50、および、照射部60は、本体部71の内部に配置されている。そして、劣化促進試験装置100は、扉部72を開けた状態で、容器保持部20および温度調整部30が、前方向(Y2方向)に移動可能(取り出し可能)に構成(
図4参照)されている。そして、劣化促進試験を行う際には、容器保持部20は、試料200が収容された密閉容器10を保持した状態で、本体部71内に配置される。
【0021】
また、本体部71の内部では、
図5に示すように、温度調整部30および照射部60が、上下方向(Z方向)において、容器保持部20を挟むように配置されている。具体的には、容器保持部20の上側(Z1方向側)には光源50および照射部60が配置され、容器保持部20の下側(Z2方向側)には温度調整部30が配置されている。劣化促進試験装置100では、容器保持部20が温度調整部30の上面に載置されるように構成されている。そして、温度調整部30は、密閉容器10の周囲の空気を昇温するように構成されている。温度調整部30は、たとえば、ホットプレートを含む。
【0022】
温度調整部30は、図示しない操作部をユーザが操作することによって、設定温度の変更などが行えるように構成されている。また、光源50は、図示しない操作部をユーザが操作することによって、出射する光の強度の変更などが行えるように構成されている。すなわち、劣化促進試験装置100では、温度調整部30による温度の調整、および、光源50から出射される光(照射部60から照射される光)の調整をユーザが各々行う。なお、筐体70内に、温度調整部30による温度の調整、および、光源50から出射される光の調整を行うための制御基板を設けて、制御基板が一括して制御を行うように構成されてもよい。また、装置外部のPC(Personal Computer)に、劣化促進試験装置100を通信可能に接続し、装置外部のPCによって、温度調整部30による温度の調整、および、光源50から出射される光の調整が行われてもよい。
【0023】
また、
図5に示すように、密閉容器10は、複数(3つ)設けられている。そして、照射部60は、光源50から出射された光を分岐させるとともに、容器保持部20に保持される複数の密閉容器10の試料200毎に光を照射するように構成されている。
【0024】
照射部60は、レンズ61および62を含む。レンズ61および62の各々は、容器保持部20が保持可能な密閉容器10の数と同数設けられる。本実施形態は、容器保持部20は、3つの密閉容器10を保持可能であり、レンズ61および62は、3つずつ設けられている。また、照射部60は、ライトガイド63を含む。ライトガイド63は、光ファイバを含み、光源50から出射される光を導光するように構成されている。また、ライトガイド63は、一方側が光源50に接続されており、他方側が3つに分岐している。そして、光源50から出射される光は、ライトガイド63によって3つに分岐し、分岐したそれぞれの光は、複数(3つ)のレンズ61の各々を介してレンズ62に入射する。なお、レンズ62は、特許請求の範囲の「絞り部」の一例である。
【0025】
(密閉容器の構成)
図6~
図9に示すように、密閉容器10は、試料200が収容される瓶状の容器本体部11と、試料200を容器本体部11内に収容した状態で容器本体部11を密閉するための蓋部12とを含む。なお、容器本体部11は、透光性の部材である。なお、蓋部12は、特許請求の範囲の「密閉部」の一例である。なお、密閉容器10は、ガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いられる、サンプリング用の容器(バイアル瓶)である。これにより、密閉容器10を、ガスクロマトグラフ分析装置による分析にそのまま用いることができるので、劣化促進試験後および劣化促進試験中(劣化途中)の試料200に対して、ガスクロマトグラフ分析装置による分析を容易に行うことができる。
【0026】
容器本体部11は、たとえば、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスにより形成されている。また、蓋部12は、オートサンプラに用いることが可能なセプタム12a付きのキャップである。具体的には、蓋部12は、
図7および
図8に示すように、セプタム12aおよびアルミキャップ12bを含み、容器本体部11を密閉(密封)するように構成されている。セプタム12aは、容器本体部11の口部分11a(容器本体部11のX2方向側の端面)をシールするように構成されている。セプタム12aは、たとえば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)、ゴム、シリコンゴム、または、ポリエチレンなどを含む。そして、アルミキャップ12bは、容器本体部11および容器本体部11の口部分11aをシールするセプタム12aに被せられ、セプタム12aおよび容器本体部11を締め付けるように構成されている。すなわち、アルミキャップ12bは、アルミ製のカシメとして用いられる。また、アルミキャップ12bは、
図7および
図8に示すように、セプタム12aの中央部分を露出させるように構成されている。そのため、本実施形態による密閉容器10(蓋部12)では、セプタム12aが露出した部分に、オートサンプラのシリンジ針(ニードル)を貫通させることによって、アルミキャップ12bを外すことなく、オートサンプラによるサンプリングを行うことができる。また、密閉容器10は、容器本体部11にネジ山を設けて、ツイストキャップ式またはスクリューキャップ式の蓋部12によって、容器本体部11を密閉するように構成してもよい。
【0027】
密閉容器10内には、密閉容器10内において試料200を支持する試料支持部13が設けられる(収容される)。試料支持部13は、試料200を支持する支持板13aと、磁性体棒13bとを含む。なお、磁性体棒13bは、特許請求の範囲の「強磁性を有する部材」の一例である。磁性体棒13bは、強磁性を有する棒状の金属部材である。磁性体棒13bは、たとえば、SUS430などのクロム(Cr)を含むステンレス合金鋼である。また、密閉容器10内に収容される液体300、および、試料200の劣化(反応)によって発生する物質に応じて、磁性体棒13bにメッキ処理が施されてもよい。
【0028】
また、支持板13aは、
図9に示すように、X1方向側から見て、Z1方向側(照射部60)側に凸のU字形状を有している。そして、支持板13aは、磁性体棒13bの3方向(Z1方向側、Y1方向側およびY2方向側)を囲うように配置され、磁性体棒13bを保持するように構成されている。
【0029】
また、本実施形態では、試料支持部13は、密閉容器10内において、試料200を支持するとともに、密閉容器10内から取り出し可能に構成されている。具体的には、試料支持部13は、蓋部12を取り外すことによって、密閉容器10の容器本体部11からX2方向側に取り出すことができる。
【0030】
(容器保持部の構成)
容器保持部20は、
図10に示すように、密閉容器10を収容する収容部21を含む。また、容器保持部20は、収容部21を上方(Z1方向側)から覆うカバー部22を含む。収容部21は、温度調整部30に上面に載置されるアルミブロック21aを含む。また、アルミブロック21aの外周には、収容部21と、カバー部22とによって形成される内部空間Sを断熱するための断熱材21bおよび21cが設けられている。また、収容部21は、アルミブロック21aの上方に配置され、複数(3つ)の密閉容器10に対応して、複数(3つ)のスリットが設けられたスリット板21dを含む。また、カバー部22には、照射部60から照射させる光(UV光)を収容部21内に透過させるために、板状の透光性を有する部材である石英板(石英ガラス)22aが設けられている。これにより、収容部21と、カバー部22とによって形成される内部空間Sに、照射部60から照射される光(UV光)を照射することができる。また、カバー部22には、内部空間Sを断熱するための断熱材22bおよび22cが設けられている。
【0031】
そして、照射部60のレンズ62は、密閉容器10内における試料200の配置箇所に対応するように、光の照射領域を絞るように構成されている。具体的には、試料200が支持される支持板13aの形状に合わせて、X方向に長い略矩形状の照射領域になるように、光源50から導光された光の照射領域を絞る。支持板13aには、たとえば、Y方向における長さが十数mm程度、X方向における長さが数十mm程度の試料200が載置可能である。
【0032】
本実施形態では、劣化促進試験装置100は、試料200が密閉容器10内に収容された状態で、照射部60から照射される光が、透光性の部材である容器本体部11を介して、試料200に照射されることによって、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。具体的には、光源50から導光され、照射部60から照射された光が、石英板22aおよび容器本体部11を介して、試料200に照射されることによって、光(UV光)に起因する試料200の劣化が促進(加速)させられる。
【0033】
また、本実施形態では、劣化促進試験装置100は、試料200が密閉容器10内に収容された状態で、温度調整部30による温度調整を行うことによって、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。具体的には、温度調整部30によって、収容部21のアルミブロック21aを介して、収容部21と、カバー部22とによって形成される内部空間Sの空気が加熱されることによって、密閉容器10内の温度を上昇させる。そして、密閉容器10内の温度が上昇することによって、温度(熱)に起因する試料200の劣化が促進(加速)させられる。
【0034】
図10および
図11に示すように、容器保持部20には、試料200が密閉状態で収容された密閉容器10とともに、試料200の代わりに測定部40が密閉状態で収容された密閉容器10が保持される。
【0035】
測定部40は、密閉容器10内に密閉状態で収容される温度センサ41(
図11参照)を含む。また、測定部40は、湿度センサ42(
図11参照)を含む。すなわち、測定部40は、温度および湿度を測定可能である。なお、温度センサ41および湿度センサ42は、一体的に構成されてもよい。また、測定部40は、照度センサなど、密閉容器10内の環境を測定するための各種センサを含んでもよい。
【0036】
また、容器保持部20は、
図11に示すように、試料200が密閉状態で収容された密閉容器10とともに、試料200の代わりに測定部40(温度センサ41)が密閉状態で収容された密閉容器10を保持するように構成されている。すなわち、容器保持部20は、測定部40が収容されるリファレンス用の密閉容器10を保持するように構成されている。
【0037】
また、容器保持部20(収容部21)は、
図11に示すように、試料200が密閉状態で収容された複数(2つ)の密閉容器10を収容部21内に収容するとともに、試料200の代わりに測定部40(温度センサ41)が密閉状態で収容された密閉容器10を収容部21内に収容するように構成されている。測定部40が収容される密閉容器10は、Y方向(前後方向)において、試料200が収容される2つの密閉容器10の間の位置に収容されている。そして、測定部40が収容される密閉容器10は、収容部21内のX方向(左右方向)およびY方向(前後方向)における中央部分に収容されている。なお、測定部40が収容される密閉容器10は、収容部21内のX方向(左右方向)およびY方向(前後方向)における中央部分以外に収容(保持)されてもよい。
【0038】
容器保持部20(収容部21)は、密閉容器10を取り外し可能に保持する容器抑え部81、82および83を備える。容器抑え部81、82および83は、密閉容器10をそれぞれY1方向側、Y2方向側およびX1方向側から抑えるとともに、弾性変形可能に構成されている。容器抑え部81、82および83は、たとえば、板バネを含む。
【0039】
また、測定部40が収容される密閉容器10の蓋部12は、測定部40(温度センサ41および湿度センサ42)の検出信号を外部に送信するための通信用ケーブル43が貫通するように構成されている。通信用ケーブル43は、温度調整部30や密閉容器10内の温度を表示するための図示しない表示部などに接続される。
【0040】
また、
図12および
図13に示すように、容器保持部20は、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射部60によって照射される光の照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように、試料200の表面200aの照射方向に対する傾きを調整する試料表面調整部90を備える。なお、試料表面調整部90は、密閉容器10毎に設けられる。
【0041】
試料表面調整部90は、密閉容器10に対して照射部60が配置される側とは反対側(Z2方向側)に設けられる磁石91を含む。また、試料表面調整部90は、磁石91をアルミブロック21a(収容部21)に取り付けるためのネジ92と、磁石91の高さ位置(Z方向における位置)を調整するためのスペーサ93とを備える。
【0042】
そして、強磁性を有する部材である磁性体棒13bを含む試料支持部13が、磁石91に引き付けられることによって、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように構成されている。具体的には、磁性体棒13bを保持するとともに、X1方向側から見てU字形状を有する支持板13a(
図9参照)が、磁性体棒13bが磁石91に引き付けられることによって、密閉容器10内において、X1方向側から見てZ1方向側に(照射部60に向かって)凸になるように調整される。
【0043】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態では、試料200が密閉容器10内において劣化因子のひとつとしての液体300とともに収容された状態で、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。これにより、複数の劣化因子によって、試料200の劣化を促進させる劣化促進試験において、密閉容器10に、試料200とともに劣化因子のひとつとしての液体300を収容することによって、密閉容器10内において、試料200が液体300に触れた状態で試験を行うことができる。その結果、試料200に対して液体300を噴霧する場合と異なり、液体300による劣化の促進のために試験環境を調整する必要がないので、液体300に起因する劣化の促進を容易に行うことができる。これにより、複数の劣化因子によって試料200の劣化を促進させる劣化促進試験において、液体300に起因する(溶液環境下における)劣化の促進を容易に行うことができる。
【0045】
また、上記実施形態による劣化促進試験装置100では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0046】
また、本実施形態では、密閉容器10は、試料200が収容される瓶状の容器本体部11と、試料200を容器本体部11内に収容した状態で容器本体部11を密閉するための蓋部12(密閉部)とを含む。これにより、蓋部12によって、密閉容器10の容器本体部11を確実に密閉した状態で、液体300とともに容器本体部11(密閉容器10)内に収容される試料200の劣化促進試験を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、劣化促進試験装置100は、劣化因子のひとつとしての温度を調整する温度調整部30と、温度を含む密閉容器10内の環境を測定するための測定部40(容器内環境測定部)とを備える。そして、試料200が密閉容器10内に収容された状態で、温度調整部30による温度調整を行うことによって、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。これにより、温度調整部30による温度調整を行うことによって、試料200の温度(熱)に起因する劣化を促進させることができる。また、測定部40が、温度を含む密閉容器10内の環境を測定するので、温度調整部30の温度調整を精度よく行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、密閉容器10は、複数設けられている。また、測定部40(容器内環境測定部)は、密閉容器10内に密閉状態で収容される温度センサ41を含む。そして、容器保持部20は、試料200が密閉状態で収容された密閉容器10とともに、試料200の代わりに温度センサ41が密閉状態で収容された密閉容器10を保持するように構成されている。これにより、温度センサ41が、試料200と同様に密閉容器10内に密閉状態で収容されるので、密閉容器10内における試料200周辺の温度変化を正確に測定することができる。
【0049】
また、本実施形態では、試料200が密閉状態で収容された複数の密閉容器10を収容部21内に収容するとともに、試料200の代わりに温度センサ41が密閉状態で収容された密閉容器10を収容部21内に収容するように構成されている。これにより、複数の密閉容器10の各々に、異なる試料200を収容した状態で劣化促進試験を行うことができるので、異なる試料200の劣化促進試験を同時に行うことができる。また、同一の試料200が収容される複数の密閉容器10の各々に、異なる液体300を収容した状態で劣化促進試験を行うことができるので、劣化因子(液体300)が異なる劣化促進試験を同一の試料200に対して同時に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、劣化促進試験装置100は、劣化因子のひとつとしての光を照射する照射部60をさらに備える。さらに、容器本体部11は、透光性の部材である。そして、試料200が密閉容器10内に収容された状態で、照射部60から照射される光が、容器本体部11を介して、試料200に照射されることによって、密閉容器10内に密閉状態で収容される試料200の劣化促進試験を行うように構成されている。これにより、透光性の容器本体部11を介して、照射部60から照射される光によって、光に起因する試料200の劣化を促進させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、劣化促進試験装置100は、劣化因子としての光を発する光源50を備える。そして、照射部60は、光源50から出射された光を分岐させるとともに、容器保持部20に保持される複数の密閉容器10の試料200毎に光を照射するように構成されている。ここで、光源50が発する光の強度が低い場合には、照射領域の中心から離れた位置の試料200には、劣化に必要な強度の光を照射することができずに、容器保持部20内における密閉容器10の位置に起因して、光による劣化の促進(加速)がばらつくことがある。しかしながら、本実施形態では、上記のように、容器保持部20に保持される複数の密閉容器10の試料200毎に光を照射するように構成されているので、複数の密閉容器10に対してまとめて光を照射する場合と異なり、複数の密閉容器10の試料200の各々に対して同様に光を照射することができる。その結果、光源50が発する光の強度が低い場合でも、容器保持部20内における密閉容器10の位置に関わらず、複数の密閉容器10に収容される各々の試料200に照射される光の強度を確保することができる。これにより、容器保持部20内における密閉容器10の位置に起因して、光による劣化の促進(加速)がばらつくことを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、照射部60は、密閉容器10内における試料200の配置箇所に対応するように、光の照射領域を絞るレンズ62(絞り部)を含む。これにより、試料200の配置箇所に合わせて、光の照射領域が絞られるので、試料200に効率よく光を当てることができる。
【0053】
また、本実施形態では、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射部60によって照射される光の照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように、試料200の表面200aの照射方向に対する傾きを調整する試料表面調整部90を備える。これにより、密閉容器10内の試料200の表面200aに対して、垂直に光を当てることができるので、試料200の光による劣化の促進を精度よく行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、劣化促進試験装置100は、磁性体棒13b(強磁性を有する部材を含む)とともに、密閉容器10内において試料200を支持する試料支持部13を備える。さらに、試料表面調整部90は、密閉容器10に対して照射部60が配置される側とは反対側に設けられる磁石91を含む。そして、磁性体棒13bを含む試料支持部13が、磁石91に引き付けられることによって、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように構成されている。これにより、試料支持部13に密閉容器10を保持させた際に、試料200の表面200aの照射方向に対する傾きが、照射部60によって照射される光の照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直でない場合でも、磁力によって、密閉容器10内の試料200の表面200aが照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように、磁性体棒13bを含む試料支持部13が動かされる。その結果、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるので、密閉容器10内の試料200の表面200aに対して、精度よく光を当てることができる。
【0055】
また、本実施形態では、試料支持部13は、密閉容器10内において、試料200を支持するとともに、密閉容器10内から取り出し可能に構成されている。これにより、ユーザは、密閉容器10内から取り出した試料支持部13に、試料200を支持させる(載せる)ことができるので、容易に試料200を試料支持部13に支持させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、密閉容器10は、ガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いられる、サンプリング用の容器である。これにより、容器保持部20から取り外した密閉容器10を、そのままガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いることができるので、劣化促進試験が行われた試料200を、容易にガスクロマトグラフ分析装置によって分析することができる。
【0057】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0058】
たとえば、上記実施形態では、劣化促進試験装置100は、温度調整部30による温度調整によって行われる温度(熱)に起因する試料200の劣化の促進と、照射部60から照射される光に起因する試料200の劣化の促進とを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、劣化促進試験装置は、温度調整部による温度調整によって行われる温度(熱)に起因する試料の劣化の促進、および、照射部から照射される光に起因する試料の劣化の促進のうち、いずれか一方のみを行うように構成されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、密閉容器10は、温度調整部30は、ホットプレートを含み、密閉容器10の周囲の空気を昇温する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、温度調整部は、密閉容器の周囲の空気を冷却するように構成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、密閉容器10は、3つ設けられている構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、密閉容器は、2つ以下設けられてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、温度センサ41が密閉容器10内に密閉状態で収容される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、劣化促進試験装置は、温度センサを密閉容器内に収容せずに、密閉容器の周囲の温度を測定するようにしてもよい。たとえば、劣化促進試験装置は、試料から放射される赤外線を密閉容器の外部から取得して、密閉容器内の試料の温度を測定してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、試料200が密閉状態で収容された複数の密閉容器10を収容部21内に収容するとともに、試料200の代わりに温度センサ41が密閉状態で収容された密閉容器10を収容部21内に収容する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、試料が密閉状態で収容された密閉容器と、試料の代わりに温度センサ(測定部)が密閉状態で収容された密閉容器とが1つずつ収容部(容器保持部)内に収容されてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、照射部60は、光源50から出射された光を分岐させるとともに、容器保持部20に保持される複数の密閉容器10の試料200毎に光を照射するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照射部は、光源から出射された光を複数の密閉容器にまとめて照射してもよい。また、劣化促進試験装置は、照射部または容器保持部にシャッタ(遮光部)を設けて、密閉容器ごとに光の照射の有無を切り替えられるように構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、照射部60は、密閉容器10内における試料200の配置箇所に対応するように、光の照射領域を絞るレンズ62(絞り部)を含む構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照射部は、光の照射領域を絞らずに試料に光を照射してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、試料200の表面200aの照射方向に対する傾きを調整する試料表面調整部90を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、試料表面調整部を備えずに、光の照射方向に対する試料の表面の傾きをユーザ自身が調整するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、磁性体棒13b(強磁性を有する部材)を含む試料支持部13が、磁石91に引き付けられることによって、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、密閉容器10の外部に強磁性を有する部材を配置し、試料支持部が磁石を含んでもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、密閉容器10の内部に収容される磁性体棒13b(強磁性を有する部材)を含む試料支持部13が、磁石91に引き付けられることによって、密閉容器10内の試料200の表面200aが、照射方向に沿った方向(Z方向)に対して垂直になるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、密閉容器(容器本体部)の外壁面に強磁性を有する部材が設けられてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、試料支持部13は、密閉容器10内において、試料200を支持するとともに、密閉容器10内から取り出し可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、試料支持部は、密閉容器内に固定されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、密閉容器10は、ガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いられる、サンプリング用の容器である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、密閉容器は、劣化促進試験装置専用の容器であってもよい。
【0070】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0071】
(項目1)
試験対象となる試料を劣化させる複数の劣化因子によって、前記試料の劣化を促進させる劣化促進試験において、前記劣化促進試験の対象となる前記試料を密閉状態で収容可能な、蓋部を介して内容物を抽出して分析を行う分析装置におけるサンプリング用の容器として用いられる密閉容器と、
前記密閉容器を保持する容器保持部とを備え、
前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、劣化促進試験装置。
【0072】
(項目2)
前記密閉容器は、前記試料が収容される瓶状の容器本体部と、前記試料を前記容器本体部内に収容した状態で前記容器本体部を密閉するための密閉部とを含む、項目1に記載の劣化促進試験装置。
【0073】
(項目3)
前記劣化因子のひとつとしての温度を調整する温度調整部と、
温度を含む前記密閉容器内の環境を測定するための容器内環境測定部とをさらに備え、
前記試料が前記密閉容器内に収容された状態で、前記温度調整部による温度調整を行うことによって、前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、項目2に記載の劣化促進試験装置。
【0074】
(項目4)
前記密閉容器は、複数設けられており、
前記容器内環境測定部は、前記密閉容器内に密閉状態で収容される温度センサを含み、
前記容器保持部は、前記試料が密閉状態で収容された前記密閉容器とともに、前記試料の代わりに前記温度センサが密閉状態で収容された前記密閉容器を保持するように構成されている、項目3に記載の劣化促進試験装置。
【0075】
(項目5)
前記容器保持部は、前記密閉容器を収容する収容部を含み、前記試料が密閉状態で収容された複数の前記密閉容器を前記収容部内に収容するとともに、前記試料の代わりに前記温度センサが密閉状態で収容された前記密閉容器を前記収容部内に収容するように構成されている、項目4に記載の劣化促進試験装置。
【0076】
(項目6)
前記劣化因子のひとつとしての光を照射する照射部をさらに備え、
前記容器本体部は、透光性の部材であり、
前記試料が前記密閉容器内に収容された状態で、前記照射部から照射される光が、前記容器本体部を介して、前記試料に照射されることによって、前記密閉容器内に密閉状態で収容される前記試料の前記劣化促進試験を行うように構成されている、項目2~5のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【0077】
(項目7)
前記劣化因子としての光を発する光源をさらに備え、
前記照射部は、前記光源から出射された光を分岐させるとともに、前記容器保持部に保持される複数の前記密閉容器の前記試料毎に光を照射するように構成されている、項目6に記載の劣化促進試験装置。
【0078】
(項目8)
前記照射部は、前記密閉容器内における前記試料の配置箇所に対応するように、光の照射領域を絞る絞り部を含む、項目7に記載の劣化促進試験装置。
【0079】
(項目9)
前記密閉容器内の前記試料の表面が、前記照射部によって照射される光の照射方向に沿った方向に対して垂直になるように、前記試料の表面の前記照射方向に対する傾きを調整する試料表面調整部をさらに備える、項目6~8のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【0080】
(項目10)
強磁性を有する部材を含むとともに、前記密閉容器内において前記試料を支持する試料支持部13をさらに備え、
前記試料表面調整部は、前記密閉容器に対して前記照射部が配置される側とは反対側に設けられる磁石を含み、
前記強磁性を有する部材を含む前記試料支持部が、前記磁石に引き付けられることによって、前記密閉容器内の前記試料の表面が、前記照射方向に沿った方向に対して垂直になるように構成されている、項目9に記載の劣化促進試験装置。
【0081】
(項目11)
前記試料支持部は、前記密閉容器内において、前記試料を支持するとともに、前記密閉容器内から取り出し可能に構成されている、項目10に記載の劣化促進試験装置。
【0082】
(項目12)
前記密閉容器は、ガスクロマトグラフ分析装置による分析に用いられる、サンプリング用の容器である、項目1~11のいずれか1項に記載の劣化促進試験装置。
【符号の説明】
【0083】
10 密閉容器
11 容器本体部
12 蓋部(密閉部)
13 試料支持部
13b 磁性体棒(強磁性を有する部材)
20 容器保持部
21 収容部
30 温度調整部
40 測定部(容器内環境測定部)
41 温度センサ
50 光源
60 照射部
62 レンズ(絞り部)
90 試料表面調整部
91 磁石
100 劣化促進試験装置
200 試料
200a (試料の)表面
300 液体