(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036615
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】天然高甘味度甘味料を含有する低カロリー飲料組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240308BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20240308BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/60
A23L2/52
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017261
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2022083176の分割
【原出願日】2018-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(72)【発明者】
【氏名】高市 晶久
(72)【発明者】
【氏名】平田 順子
(72)【発明者】
【氏名】畑井 龍一
(57)【要約】
【課題】無機電解質に起因する苦味、塩味、及び渋味を解消した、天然高甘味度甘味料を含有する低カロリー飲料組成物。
【解決手段】本発明は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、レバウディオサイドA、およびモグロシドVを含有する、飲料組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、レバウディオサイドA、モグロシドV、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物であって、
該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが16~23mEqであり;
カリウムイオンが4~6mEqであり;
カルシウムイオンが0.7~1.3mEqであり;
マグネシウムイオンが0.4~0.6mEqであり;
塩化物イオンが8~20mEqであり;
レバウディオサイドAが55~70mgであり;
モグロシドVが2.5~4.0mgであり;
モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:13~30の重量比で含有され;
乳酸イオンおよびクエン酸イオンが、乳酸イオン:クエン酸イオン=1:7~12の重量比で含有される、
飲料組成物。
【請求項2】
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、ステビア抽出物、羅漢果抽出物、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物であって、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、請求項1に記載の飲料組成物。
【請求項3】
該飲料組成物1Lあたりに含まれる、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンの総量が30~53mEqである、請求項1または2に記載の飲料組成物。
【請求項4】
モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:18~25の重量比で含有される、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項5】
該飲料組成物1Lあたりに含まれる、モグロシドVとレバウディオサイドAの総量が58~65mgである、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項6】
該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが17~21mEqであり;
カリウムイオンが5~6mEqであり;
カルシウムイオンが0.7~1.3mEqであり;
マグネシウムイオンが0.4~0.6mEqであり;
塩化物イオンが13~15mEqであり;
レバウディオサイドAが55~70mgであり;
モグロシドVが2.5~3mgである;
請求項1~5のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項7】
白糖をさらに含み、
該飲料組成物100mLあたりのカロリーが15kcal以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項8】
レバウディオサイドAおよびモグロシドVの存在下に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを供給する電解質を混合することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の飲料組成物の製造方法。
【請求項9】
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを供給する電解質、ステビア抽出物、ならびに羅漢果抽出物を混合することを含み、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、請求項8に記載の飲料組成物の製造方法。
【請求項10】
レバウディオサイドAおよびモグロシドVを用いて、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物の味を改善する方法であって、
該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが16~23mEqであり;
カリウムイオンが4~6mEqであり;
カルシウムイオンが0.7~1.3mEqであり;
マグネシウムイオンが0.4~0.6mEqであり;
塩化物イオンが8~20mEqであり;
レバウディオサイドAが55~70mgであり;
モグロシドVが2.5~4.0mgであり;
モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:13~30の重量比で含有され;
乳酸イオンおよびクエン酸イオンが、乳酸イオン:クエン酸イオン=1:7~12の重量比で含有される、
方法。
【請求項11】
該レバウディオサイドAがステビア抽出物に含有され、該モグロシドVが羅漢果抽出物に含有される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然高甘味度甘味料を含有する飲料組成物に関する。より詳細には、本発明は、無機電解質に起因する苦味や渋み等の好ましくない味を、天然高甘味度甘味料であるレバウディオサイドAとモグロシドVとを配合させることによって解消した、低カロリー飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ等により発汗して失われた水分及び電解質を補給する為の飲料組成物としてスポーツドリンクが知られている。これらの飲料組成物は、発汗により失われるNa+、K+、Ca2+、Mg2+等の陽イオン及びCl-やリン酸イオン等の陰イオンを補給する為に、無機電解質を配合している。しかし、失われた陽イオン及び/又は陰イオンを補給するために必要な量の無機電解質を飲料に配合した場合(特に、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、及びCl-を含有する場合)、苦味、塩味、渋味等の好ましくない味を生じ、また飲んだ後の後味が悪いという問題がある。
【0003】
このような好ましくない呈味を緩和するために、甘味料が添加されている。美味しさの観点から甘味料としてショ糖が最も好まれるが、その添加量が多くなると、カロリーの増大が問題となる。天然由来の高甘味度甘味料である羅漢果抽出物と人工甘味料であるスクラロースを含有することで、ショ糖を使用した場合に比べて低カロリーでありつつ、無機電解質による好ましくない呈味も解消した飲料組成物が開発されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、近年の天然物志向から天然甘味料が好まれるようになってきており、スクラロースを使用しない低カロリー飲料組成物の開発が求められている。
【0005】
レバウディオサイドAおよびモグロシドVは共に天然高甘味度甘味料である。特許文献2はレバウディオサイドAとモグロシドVを含有する甘味料に関し、レバウディオサイドAの雑味や後味残存の改善に関して開示するが、飲料組成物における無機電解質に起因する苦味や渋み等の好ましくない味の改善についての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/050510号
【特許文献2】国際公開第2009/063921号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Foods Food Ingredients J.Jpn.,Vol.210,No.3,p.244-254,2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無機電解質に起因する苦味、塩味、及び渋味を解消した、天然高甘味度甘味料を含有する低カロリー飲料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、検討を重ねた結果、苦味、塩味、及び渋みといった好ましくない味を呈する無機電解質イオン含有飲料に、天然高甘味度甘味料であるレバウディオサイドAおよびモグロシドVを組み合わせて配合することによって、呈味が飛躍的に改善されることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、以下の飲料組成物を提供するものである。
【0011】
[1] ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、レバウディオサイドA、およびモグロシドVを含有する、飲料組成物。
【0012】
[2] ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、ステビア抽出物、および羅漢果抽出物を含有する飲料組成物であって、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、[1]に記載の飲料組成物。
【0013】
[3] 該飲料組成物1Lあたりに含まれる、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンの総量が25~53mEqである、[1]または[2]に記載の飲料組成物。
【0014】
[4] モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:10~44の重量比で含有される、[1]~[3]のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【0015】
[5] 該飲料組成物1Lあたりに含まれる、モグロシドVとレバウディオサイドAの総量が20~100mgである、[1]~[4]のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【0016】
[6] 該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが10~25mEq(好ましくは13~25mEq、より好ましくは15~24mEq、さらに好ましくは16~23mEq)であり;
カリウムイオンが2~8mEq(好ましくは3~7mEq、より好ましくは4~6mEq)であり;
カルシウムイオンが0.1~3mEq(好ましくは0.2~2mEq、より好ましくは0.5~1.5mEq、さらに好ましくは0.7~1.3mEq)であり;
マグネシウムイオンが0.1~2mEqであり(好ましくは0.2~1.5mEq、より好ましくは0.3~1mEq、さらに好ましくは0.4~0.6mEq);および
塩化物イオンが8~20mEqである;
[1]~[5]のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【0017】
[7] 有機酸イオンをさらに含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【0018】
[8] レバウディオサイドAおよびモグロシドVの存在下に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンを供給する電解質を混合することを含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の飲料組成物の製造方法。[9] ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンを供給する電解質、ステビア抽出物、ならびに羅漢果抽出物を混合することを含み、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、[8]に記載の飲料組成物の製造方法。
【0019】
[10] レバウディオサイドAおよびモグロシドVを用いて、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンを含有する飲料組成物の味を改善する方法。
【0020】
[11] 該レバウディオサイドAがステビア抽出物に含有され、該モグロシドVが羅漢果抽出物に含有される、[10]に記載の方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、苦味、塩味、及び渋みが改善された、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン含有飲料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンを含有する飲料組成物に関し、該飲料組成物はレバウディオサイドAおよびモグロシドVを含有することを特徴とするものである。
【0023】
レバウディオサイドA(Rebaudioside A)は、ステビア抽出物に含まれる主要甘味成分であるステビオール配糖体である。レバウディオサイドAは、砂糖の150~450倍の甘味度を有することが知られている。
【0024】
本発明において、レバウディオサイドAは、精製物(例えば純度95重量%以上)であっても、他のステビオール配糖体(ステビオサイド、レバウディオサイドC、ズルコサイドA等)等との混合物であってもよい。混合物を用いる場合、混合物におけるレバウディオサイドAの濃度は70重量%以上であることが好ましい。
【0025】
本発明において、レバウディオサイドAは、キク科植物であるStevia rebaudiana Bertoniの葉や茎等から抽出、精製することによって製造してもよく、市販の製品(例えば、レバウディオシリーズ守田化学工業(株)製)、ステビオサイドT100((株)常磐植物化学研究所、αGスイートシリーズ(丸善製薬(株))、EPCevia Pure(EPC Natural Products社(伊比西植物薬物技術有限公司)製)を用いても良い。本発明で用いるレバウディオサイドAには、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いてレバウディオサイドAにグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理レバウディオサイドAも含まれうる。
【0026】
モグロシドVは羅漢果抽出物の甘味主成分として知られるトリテルペン配糖体であり、これはショ糖と比較して約300倍以上の甘味を有する。
【0027】
本発明においてモグロシドVは精製物であっても、他のトリテルペン系配糖体(モグロール、モグロシドIE1、モグロシドIA1、モグロシドIIE、モグロシドIII、モグロシドIVa、モグロシドIVE、シメノシド、11-オキソモゴロシド、5α,6α-エポキシモグロシド等)等との混合物であってもよい。このような混合物の例として羅漢果抽出物が挙げられる。羅漢果抽出物には抗酸化作用、抗動脈硬化作用、発癌抑制作用、抗アレルギー作用、及び抗糖尿病作用があることが報告されており(非特許文献1)、その甘味に加え、上記のような生理的作用の観点からも、羅漢果抽出物は一般に飲料等の食品に含有させるのに好ましい甘味料である。混合物を用いる場合、混合物におけるモグロシドVの濃度は5重量%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明において、モグロシドVは、羅漢果の果実から抽出、精製することによって製造してもよく、市販の製品(例えば、羅漢果濃縮パウダー(モグロシドV 17.5%含有;DAMIN国際グループ 長興実業株式会社;製造元はDAMIN社(中国、アモイ)、ラカントピュアパウダー(横浜油脂工業株式会社)、羅漢果抽出物(モグロシドV30%以上、(株)FAPジャパン、羅漢果エキス(モグロシドV10%以上、(株)アクセスワン)を用いても良い。
【0029】
本発明の飲料組成物において、より良好な呈味を提供するために、モグロシドVとレバウディオサイドAは、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:10~44(より好ましくは1:12~43、さらに好ましくは1:13~30)の重量比で含有されることが好ましい。
さらに、本発明の飲料組成物に含まれるモグロシドVの重量を1としたときのレバウディオサイドAの重量比の範囲の下限値の例として、10、12,13,14、15、18、20、21が挙げられ、上限値の例として、21、25、28、30、35、40、41、42、43、44が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0030】
本発明の飲料組成物に含まれるモグロシドVの濃度、レバウディオサイドAの濃度、およびモグロシドVとレバウディオサイドを合わせた合計の濃度は特に限定されないが、無機電解質が有する渋味、塩味、苦味といった好ましくない味を改善でき、かつ、発汗時に飲みやすい甘さであることも考慮した量であることが好ましい。
【0031】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるモグロシドVとレバウディオサイドAの総量の例として、40~80mg(好ましくは45~70mg、より好ましくは52~65mg、さらに好ましくは53~63mg)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるモグロシドVとレバウディオサイドAの総量の範囲の下限値の例として、40mg、45mg、50mg、55mg、58mgが挙げられ、上限値の例として、62mg、65mg、70mg、73mg、75mg、80mgが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0032】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるモグロシドVの量の例として、1~5mg(好ましくは1~4.5mg、より好ましくは1.2~4.2mg、さらに好ましくは1.2~4.0mg)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるモグロシドVの量の範囲の下限値の例として、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、2mg、2.2mg、2.5mg、2.8mgが挙げられ、上限値の例として、2.8mg、3mg、3.5mg、4mg、5mgが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0033】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるレバウディオサイドAの量の例として、40~70mg(好ましくは45~68mg、より好ましくは50~67mg、さらに好ましくは53~61.8mg)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるレバウディオサイドAの量の範囲の下限値の例として、40mg、45mg、50mg、55mg、58mgが挙げられ、上限値の例として、58mg、60mg、61.6mg、61.7mg、62mg、65mg、70mg、が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0034】
本発明の飲料組成物におけるNa+、K+、Ca2+、Mg2+、およびCl-の濃度は特に限定されないが、発汗によって失われるこれらのイオンを水分と共に補給するのに適する濃度であることが好ましい。
【0035】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれる、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンの総量の例として、25~53mEq(好ましくは30~51mEq、より好ましくは31~50mEq、さらに好ましくは32~48mEq)が挙げられる。
【0036】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるNa+の量の例として、10~25mEq(好ましくは13~25mEq、より好ましくは15~24mEq、さらに好ましくは16~23mEq)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるNa+の量の範囲の下限値の例として、10mEq、13mEq、15mEq、16mEq、17mEqが挙げられ、上限値の例として、21mEq、22mEq、23mEq、24mEq、25mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0037】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるK+の量の例として、2~8mEq(好ましくは3~7mEq、より好ましくは4~6mEq)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるK+の量の範囲の下限値の例として、2mEq、3mEq、4mEq、5mEqが挙げられ、上限値の例として、5mEq、6mEq、7mEq、8mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0038】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるCa2+の量の例として、0.1~3mEq(好ましくは0.2~2mEq、より好ましくは0.5~1.5mEq、さらに好ましくは0.7~1.3mEq)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるCa2+の量の範囲の下限値の例として、0.1mEq、0.2mEq、0.5mEq、0.7mEq、1mEqが挙げられ、上限値の例として、1mEq、1.3mEq、1.5mEq、2mEq、3mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0039】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるMg2+の量の例として、0.1~2mEq(好ましくは0.2~1.5mEq、より好ましくは0.3~1mEq、さらに好ましくは0.4~0.6mEq)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるMg2+の量の範囲の下限値の例として、0.1mEq、0.2mEq、0.3mEq、0.4mEq、0.5mEqが挙げられ、上限値の例として、0.5mEq、0.6mEq、0.7mEq、1mEq、1.5mEq、2mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0040】
本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるCl-の量の例として、8~20mEq(好ましくは10~18mEq、より好ましくは12~17mEq、さらに好ましくは13~15mEq)が挙げられる。
さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれるCl-の量の範囲の下限値の例として、10mEq、11mEq、12mEq、13mEq、13.5mEqが挙げられ、上限値の例として、13.5mEq、15mEq、17mEq、18mEq、20mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0041】
本発明の飲料組成物には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンに加え、リン酸イオン等の他の無機電解質陽イオン/陰イオンが含まれていてもよい。
【0042】
本発明の飲料組成物はさらに有機酸イオンを含有することができる。有機酸イオンの含有量は特に限定されないが、甘味とのバランスを考慮して、後味が良くなるように適当な量が含有されることがこのましい。例えば、該飲料組成物1Lあたりに含まれる有機酸イオンの総量は、5~15mEq(好ましくは7~13mEq、よりこのましくは8~12mEq)である。さらに、本発明の飲料組成物1Lあたりに含まれる有機酸イオンの量の範囲の下限値の例として、5mEq、7mEq、8mEq、9mEq、10mEqが挙げられ、上限値の例として、10mEq、12mEq、13mEq、14mEq、15mEqが挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と該上限値の組合せにより示されうる。
【0043】
本発明の飲料組成物に含有されうる有機酸イオンは、飲料または食品で一般に含有されうる有機酸イオンであれば特に限定されない。有機酸イオンは1種であっても2種以上が組み合わされていてもよい。本発明の飲料組成物に含有されうる有機酸イオンの例として、クエン酸イオン、乳酸イオン、L-グルタミン酸イオン、コハク酸イオン、アスパラギン酸イオン、アルギン酸イオン、リンゴ酸イオン、グルコン酸イオン、フマル酸イオン、およびその混合が挙げられ、特に好ましい例として、クエン酸イオン、乳酸イオンおよびその混合(例えば、乳酸イオン:クエン酸イオン=1:7~12(好ましくは1:8~11、さらに好ましくは1:8~10)の重量比)が挙げられる。有機酸イオンを含有する本発明の飲料組成物は、当該飲料組成物中で有機酸イオンを供給する有機酸(例えばクエン酸、乳酸、L-グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、アルギン酸、リンゴ酸、グルコン酸、およびフマル酸)またはその塩(例えばNa塩、K塩、Ca塩、およびMg塩)を配合することによって得ることができる。
【0044】
本発明の飲料組成物は、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、およびCl-を該飲料組成物中に供給する電解質、レバウディオサイドA、ならびにモグロシドVを水に、任意に他の成分と共に混合することによって製造することができる。レバウディオサイドAおよびモグロシドVは、これらをそれぞれ含有する混合物の形状で該飲料組成物に添加されても良い。
【0045】
本発明においてNa+、K+、Ca2+、Mg2+、およびCl-を該飲料組成物中に供給する電解質は、少なくとも1種の無機電解質を含み、水溶液中に前記のイオンを遊離した状態で存在させることができ、かつ、食品衛生上問題のない物質であれば、特に制限なく使用することができる。本発明においてNa+、K+、Ca2+、Mg2+、およびCl-を該飲料組成物中に供給する電解質は、有機酸の塩を一部に含んでいてもよく、この場合、当該イオンと共に有機酸も含有する組成物を提供することができる。
【0046】
Na+を供給する電解質は1種であっても、2種以上を組み合わせて使用しても良く、好ましい例として、NaCl、Na2SO4、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、L-グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、およびその混合が挙げられる。
【0047】
K+を供給する電解質は1種であっても、2種以上を組み合わせて使用しても良く、好ましい例として、KCl、K3PO4、K2HPO4、KH2PO4、およびその混合が挙げられる。
【0048】
Ca2+を供給する電解質は1種であっても、2種以上を組み合わせて使用しても良く、好ましい例として、CaCl2、CaSO4、CaHPO4、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、およびその混合が挙げられる。
【0049】
Mg2+を供給する電解質は1種であっても、2種以上を組み合わせて使用しても良く、好ましい例として、MgCl2、MgCO3、およびその混合が挙げられる。
【0050】
Cl-を供給する電解質は1種であっても、2種以上を組み合わせて使用しても良く、好ましい例として、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2、およびその混合が挙げられる。
【0051】
本発明の飲料組成物は、天然高甘味度甘味料であるレバウディオサイドAおよびモグロシドVを配合することにより、ショ糖の使用量を少なくすることができるため、そのカロリーは大幅に低減されることができる。本発明の飲料組成物は、100mL当たり、好ましくは15kcal以下であり、より好ましくは12kcal以下である。
【0052】
本発明の飲料組成物は、上記の各成分に加えて、カロリーを低く維持し、かつ、呈味を損なわない限り、飲料組成物に通常添加される各種の成分を添加することができる。追加されうる成分としては、例えば、果汁(グレープフルーツ、リンゴ、オレンジ、レモン、パイナップル、バナナ、ナシ等の果汁)、ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ニコチン酸、ビタミンC等)、香料(バニリン、リナロール、天然香料等)、安定化剤、各種アミノ酸、食物繊維(グアーガム、ポリデキストロース、難消化デキストリン、ペクチン、セルロース等)、糖類(グルコース、フルクトース等の単糖類、蔗糖(白糖を含む)、マルトース、乳糖などの二糖類、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖類等)、糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等)を例示することができる。
【0053】
本発明の飲料組成物は、必要に応じて、脱気、殺菌を行い、冷却して、容器に充填されうる。
【実施例0054】
以下、本発明を以下の試験例および処方例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
試験例1:官能評価
(1)調製
下記の表1に記載の各成分を水1000mLに混合して、飲料を作製した。その他成分として、果汁、果糖ブドウ糖液糖、酸味料、香料、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)を使用し、これらを各処方例および比較例に同量配合した。
各陽イオンおよび陰イオンについては、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、クエン酸Na、および乳酸Caを配合した。
モグロシドVは、羅漢果濃縮パウダー(モグロシドV 17.5%含有;DAMIN国際グループ 長興実業株式会社;製造元はDAMIN社(中国、アモイ);製品番号 FD羅漢果濃縮パウダー )を使用した。表中の値は換算値である。
レバウディオサイドAは(製造元;守田化学工業株式会社)を使用した。
【0056】
(2)官能評価
作成した処方例1~3および比較例1の飲料を3名のパネラーに試飲して貰い、表2に示す評価基準に従って、苦味、渋味、塩味、後味についての評価を得た。結果を表1に示す。
【0057】
【0058】
【0059】
表1に示される結果から明らかなように、処方例1~9の飲料の味は、比較例と比較して改善された。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、レバウディオサイドA、モグロシドV、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物であって、
該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが16~23mEqであり;
カリウムイオンが4~6mEqであり;
カルシウムイオンが0.7~1.3mEqであり;
マグネシウムイオンが0.4~0.6mEqであり;
塩化物イオンが8~20mEqであり;
レバウディオサイドAが55~80mgであり;
モグロシドVが2.5~4.0mgであり;
モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:13~44の重量比で含有される、
飲料組成物。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、ステビア抽出物、羅漢果抽出物、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物であって、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、請求項1に記載の飲料組成物。
該飲料組成物1Lあたりに含まれる、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および塩化物イオンの総量が30~53mEqである、請求項1または2に記載の飲料組成物。
レバウディオサイドAおよびモグロシドVの存在下に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを供給する電解質を混合することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の飲料組成物の製造方法。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを供給する電解質、ステビア抽出物、ならびに羅漢果抽出物を混合することを含み、該ステビア抽出物はレバウディオサイドAを含有し、該羅漢果抽出物はモグロシドVを含有する、請求項6に記載の飲料組成物の製造方法。
レバウディオサイドAおよびモグロシドVを用いて、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、乳酸イオン、およびクエン酸イオンを含有する飲料組成物の味を改善する方法であって、
該飲料組成物1Lあたりに含まれる:
ナトリウムイオンが16~23mEqであり;
カリウムイオンが4~6mEqであり;
カルシウムイオンが0.7~1.3mEqであり;
マグネシウムイオンが0.4~0.6mEqであり;
塩化物イオンが8~20mEqであり;
レバウディオサイドAが55~80mgであり;
モグロシドVが2.5~4.0mgであり;
モグロシドVおよびレバウディオサイドAが、モグロシドV:レバウディオサイドA=1:13~44の重量比で含有される、
方法。