(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036620
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】認知機能改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 35/644 20150101AFI20240308BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20240308BHJP
A61K 36/16 20060101ALI20240308BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240308BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240308BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240308BHJP
【FI】
A61K35/644
A61K36/9066
A61K36/16
A61P25/28
A61P43/00 121
A23L33/10
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017364
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021553664の分割
【原出願日】2020-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2019200066
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020122874
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100206944
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 絵美
(72)【発明者】
【氏名】石川 朋美
(72)【発明者】
【氏名】奥村 暢章
(72)【発明者】
【氏名】西森 ちか
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
(72)【発明者】
【氏名】永井 寛子
(72)【発明者】
【氏名】浅間 孝志
(57)【要約】
【課題】認知機能改善に有効な新規な剤を提供すること。
【解決手段】プロポリス、クルクミン及びイチョウ葉抽出物を有効成分として含む、認知機能改善剤が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリス、クルクミン及びイチョウ葉抽出物を有効成分として含む、認知機能改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤及び認知機能改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、認知症患者は増加しており、社会問題となっている。また、認知症患者でなくとも、物忘れ又は認知機能の低下に悩む人も多い。認知症には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症(FTLD)等の病型が知られている。認知症患者の多数はアルツハイマー型認知症である。認知症には、脳内でのアミロイドβタンパク質の蓄積が関与している。例えば特許文献1には、特定のペプチドを有効成分として含有する、アミロイドβに起因する脳機能障害を改善するための経口組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに多くの認知症に対する治療法が検討されているものの、それらは進行を一時的に遅らせる治療薬のみであり、根本的な治療効果が期待できるものは確立されていない。特に、アミロイドβを除去する方法としても、根本的な治療法は確立されていない。認知機能の低下は、症状が軽度で可逆的相にある段階での予防が重要である。
【0005】
本発明は、認知機能改善に有効な新規な剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、プロポリス及びイチョウ葉抽出物を有効成分として含む、抗酸化剤又は抗糖化剤に関する。
【0007】
本発明はまた、プロポリス及びイチョウ葉抽出物を有効成分として含む、神経突起伸長促進剤に関する。
【0008】
本発明はまた、プロポリス及びイチョウ葉抽出物を有効成分として含む、認知機能改善剤に関する。
【0009】
上記剤は、DHA及びEPAの少なくとも一方を含まないことが好ましい。
【0010】
本発明の別の一側面は、プロポリスと、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物及びゴツコラ抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、抗酸化剤に関する。
【0011】
本発明はまた、プロポリスと、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、及びクルクミンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、抗糖化剤に関する。
【0012】
本発明はまた、プロポリスと、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、認知機能改善剤に関する。
【0013】
本発明はまた、プロポリス及びクルクミンを含む抗炎症剤に関する。
【0014】
本発明の更に別の一側面は、プロポリスと、ホスファチジルセリン及びコーヒー果実抽出物の少なくとも一方とを含む組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、プロポリスとゴツコラ抽出物とを含む、食品又は医薬品に関する。
【0016】
本発明の更に別の一側面は、プロポリス、イチョウ葉抽出物、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物、クルクミン及びホスファチジルセリンを含む組成物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、認知機能改善に有効な新規な剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】試験例1における神経突起形成率を示すグラフである。
【
図2】試験例1におけるPC12細胞の位相差顕微鏡写真である。
【
図3】試験例2における酸化ストレスレベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の一側面は、プロポリスと、イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物に関する。該組成物は、食品、医薬部外品又は医薬品であってよい。
【0021】
プロポリスと、イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物は、抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤、及び認知機能改善剤として用いることができる。イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンは、プロポリスと組み合わせて摂取することによって、それぞれの成分を単独で使用するよりも、抗酸化、抗糖化及び神経突起伸長促進からなる群から選ばれる少なくとも1つの作用において高い効果を奏し、これらの作用に基づく高い認知機能改善作用を有する。
【0022】
プロポリスとクルクミンとを組み合わせて摂取することによって、それぞれの成分を単独で使用するよりも、Nrf2経路活性化作用において相乗効果を奏する。Nrf2経路活性化により、抗炎症、抗酸化、及び認知機能改善作用がもたらされることが知られている、したがって、プロポリスとクルクミンとを含む組成物は、抗酸化剤又は認知機能改善剤としてのほかに、抗炎症剤としても用いることができる。さらに、プロポリスとクルクミンとを含む組成物は、抗炎症作用に基づき、肝機能改善、睡眠の質改善、及び認知機能改善作用も有する。したがってプロポリス及びクルクミンを含む組成物は、肝機能改善剤、又は睡眠の質改善剤としても用いることができる。
【0023】
本実施形態の別の一側面は、プロポリス、イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンを含む組成物である。該組成物は、これらの成分を全て含むことによって、高い抗酸化作用、抗糖化作用、抗炎症作用、及び神経突起伸長促進作用を有し、これらの作用に基づき高い睡眠の質改善作用、肝機能改善作用、及び認知機能改善作用を有する。以下、各成分について説明する。
【0024】
(プロポリス)
プロポリスは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。プロポリスは、それ自体に抗酸化、抗炎症、認知機能低下抑制等の作用がある。プロポリスは、アレクリン由来、ユーカリ由来、ポプラ由来、クルシア属植物由来等、いずれの植物由来であってもよい。生理活性の高さの観点から、アレクリン由来のプロポリスが好ましい。アレクリンはキク科バッカリス属のバッカリス・ドゥラクンクリフォリア(Baccharis dracunculifolia)である。
【0025】
プロポリスは、例えば、日本産、ブラジル産、中国産、ヨーロッパ諸国産、オセアニア産、アメリカ産等であってよい。ブラジル産プロポリスは、主にアレクリンを由来とする。ブラジル産プロポリスは桂皮酸誘導体含有量が高いという特徴を有する。本実施形態に係る抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤、認知機能改善剤、抗炎症剤、肝機能改善剤、及び睡眠の質改善剤(以下、総称して「本実施形態に係る剤」ともいう。)は、ブラジル産プロポリスを有効成分として含むことが好ましい。
【0026】
プロポリスは、ブラウン、レッド、イエロー、グリーン、スーパーグリーン、ウルトラグリーン等のいずれのランクであってもよく、これらのなかでもグリーン、スーパーグリーン又はウルトラグリーンランクのプロポリスが好ましい。これらのランクはプロポリス中のアルテピリンC含有量によって定められる。アルテピリンCが3質量%以上であるものがグリーンプロポリスと称されている。プロポリス中のアルテピリンC含有量は5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。
【0027】
プロポリスは、ミツバチ科ミツバチ属に属する蜂由来のものであることが好ましく、ミツバチ属のなかでもセイヨウミツバチ由来のものであることが好ましい。セイヨウミツバチには、24~28の亜種があるとされており、いずれの亜種由来のプロポリスを用いてもよい。特に、セイヨウミツバチの亜種の1つであるアフリカミツバチ(A.mellifera scutellata)と他のセイヨウミツバチのヨーロッパ産亜種との交雑種であるアフリカ蜂化ミツバチ由来のプロポリスを用いることが好ましい。
【0028】
プロポリスは、例えば、プロポリス原塊であってもよく、プロポリス原塊に何らかの処理を施したプロポリス処理物であってもよい。プロポリス処理物は、例えば、プロポリス原塊に、粉砕、抽出、抽出物の濃縮又は粉末化、粉末の造粒等の処理が施されたものであってよく、抽出後に残る抽出残渣であってもよい。すなわちプロポリス処理物は、例えば、プロポリスの粉砕物、抽出物、濃縮抽出物、抽出物粉末、抽出物顆粒、抽出残渣等であってよい。抽出は、例えば、水抽出、親水性有機溶媒抽出、超臨界抽出等であってよい。親水性有機溶媒としては、例えばエタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。プロポリス抽出物は、プロポリス原塊から抽出して得られたものであってもよく、抽出後の残渣から更に抽出して得られたものであってもよい。処理方法は1つであってよく、2つ以上を組み合わせてもよい。プロポリス処理物のなかでも、プロポリス親水性有機溶媒抽出物が、短時間で効率的にバランスよくプロポリスの有効成分が抽出されたものであるため好ましい。プロポリス処理物はプロポリスエタノール抽出物であることが好ましい。
【0029】
プロポリスとしては、市販品を用いてもよい。プロポリスを含む市販品は、例えば、山田養蜂場社のプロポリス300、プロポリス液30(ブラジル産)、プロポリス粒、プロポリス顆粒APC、プロポリスマイルド、プロポリスドリンク、森川健康堂社のネオプロポリス粒、プロポリス粒、プロポリス液、プロポリスマイルド液、ユーカリポリス、ラベイユ社のラベイユプロポリス(液タイプ)、ラベイユプロポリス(カプセルタイプ)、ラベイユプロポリスはちみつ等が挙げられる。
【0030】
上記剤又は組成物は、プロポリスの固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、20~200mgの用量で用いることがより好ましい。
【0031】
また、上記剤又は組成物中のプロポリスの含有量は、固形分量として、剤又は組成物の全量に対して、例えば、1質量%以上、3質量%以上、4質量%以上又は5質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下又は8質量%以下であってよい。
【0032】
(イチョウ葉抽出物)
イチョウ葉抽出物は、イチョウ(Ginkgo bilobaL.)の葉から得られる抽出物である。イチョウ葉抽出物はそれ自体に、脳血流改善、抗炎症等の作用がある。抽出溶媒は、例えば、エタノール等のアルコール、アセトンなどの有機溶媒、水、又はこれらの混合液であってよい。抽出溶媒は水であることが好ましい。抽出原料であるイチョウ葉は、新鮮なものでも乾燥したものでもよく、粉末であってもよい。イチョウ葉抽出物は、イチョウ葉から得られた抽出物に更に精製、濃縮、乾燥等の処理をしたものであってもよい。イチョウ葉抽出物は、樹脂カラム精製等によってギンコール酸が除去されたものであってもよい。
【0033】
本実施形態に係る剤又は組成物において、プロポリスとイチョウ葉抽出物との配合比は、固形分として、例えば、1:0.2~5、1:0.3~2、1:0.5~2、1:1~2、又は1:1.3~1.9であってよい。
【0034】
上記剤又は組成物は、イチョウ葉抽出物の固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、20~200mgの用量で用いることがより好ましい。
【0035】
また、上記剤又は組成物中のイチョウ葉抽出物の含有量は、固形分量として、剤又は組成物全量に対して、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上又は7質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下又は12質量%以下であってよい。
【0036】
(ホスファチジルセリン)
ホスファチジルセリンは、合成品であってよく、植物又は動物由来のものであってもよい。ホスファチジルセリンは例えば大豆レシチン等の植物由来レシチンを原料として酵素反応により得ることができる。ホスファチジルセリンはそれ自体に、記憶力改善、認知機能改善等の作用がある。
【0037】
本実施形態に係る剤又は組成物において、プロポリスとホスファチジルセリンとの比は、例えば1:1~5であってよく、1:1~3であることが好ましく、1:1.5~2.5であることが好ましい。
【0038】
上記剤又は組成物は、ホスファチジルセリンの固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、50~300mgの用量で用いることがより好ましい。
【0039】
上記剤中のホスファチジルセリンの含有量は、固形分量として、剤又は組成物全量に対して、例えば、1質量%以上、5質量%以上、7質量%以上又は10質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、17質量%以下又は15質量%以下であってよい。
【0040】
(コーヒー果実抽出物)
コーヒー果実抽出物は、コーヒー果実から抽出して得られるものである。コーヒー果実とは、コーヒーの木の果実であり、外果皮、果肉、粘質物、殻、茎及び種子を含んでいてよい。コーヒーはアラビカ種を用いることが好ましい。抽出溶媒は、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトンなどの有機溶媒、水であってよく、これらの混合液であってよい。コーヒー果実抽出物としては、コーヒー果実から得られた抽出物を更に精製、濃縮、乾燥等の処理を施したものであってもよい。
【0041】
コーヒー果実抽出物はそれ自体に神経保護等の作用がある。コーヒー果実抽出物を摂取することにより、BDNFというタンパク質の血中濃度が高まる。BDNFは、神経細胞の生成、成長及び再生を促進するために必要な成分であり、脳の栄養とも呼ばれている。
【0042】
本実施形態に係る剤又は組成物において、プロポリスとコーヒー果実抽出物との比は、例えば1:0.5~3であってよく、1:0.8~2であることが好ましく、1:1~1.7であることがより好ましい。
【0043】
上記剤又は組成物は、コーヒー果実抽出物の固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、20~200mgの用量で用いることがより好ましい。
【0044】
上記剤又は組成物中のコーヒー果実抽出物の含有量は、固形分量として、剤全量に対して、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上又は7質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下又は10質量%以下であってよい。
【0045】
(クルクミン)
クルクミンは、ウコン(Curcuma longa)等の植物に含まれる色素成分である。クルクミンはそれ自体に、抗酸化、抗炎症、アミロイドβ抑制、腸管バリア等の作用がある。クルクミンは、例えばウコン根茎から公知の方法によって抽出することができる。ウコン抽出物としては、例えばウコン根茎から水、熱水、エタノール等の有機溶媒、又はこれらの混合液を抽出溶媒として用いて抽出して得たものであってよい。本実施形態に係る剤又は組成物は、クルクミン源として、例えば、ウコンの根又はその抽出物を含んでいてもよい。上記剤又は組成物は、クルクミン以外のウコン由来成分を含んでいてもよい。クルクミンは、微粒子化等の公知の方法により吸収性が高められたものであってもよい。
【0046】
本実施形態に係る剤又は組成物において、プロポリスとクルクミンとの比は、例えば、1:2~5であってよく、1:2.5~4であることが好ましく、1:2.7~3.7であることがより好ましい。
【0047】
上記剤又は組成物は、クルクミンの固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、100~350mgの用量で用いることがより好ましい。
【0048】
上記剤又は組成物中のクルクミンの含有量は、固形分量として、剤又は組成物全量に対して、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上又は17質量%以上であってよく、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下又は23質量%以下であってよい。
【0049】
(ゴツコラ抽出物)
ゴツコラ抽出物は、ゴツコラ(Centella asiatica Umbelliferae)から抽出して得ることができる。ゴツコラ抽出物はそれ自体に、認知機能改善、神経障害改善等の作用がある。ゴツコラはツボクサとも呼ばれる。ゴツコラの抽出部位は、花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子又は全草であってよい。ゴツコラの抽出部位は葉、茎又は全草であることが好ましい。抽出溶媒は例えば水、エタノール等のアルコールであってよい。ゴツコラ抽出物としては、植物体から得られた抽出物を更に精製、乾燥等の処理を施したものであってもよい。
【0050】
本実施形態に係る剤又は組成物において、プロポリスとゴツコラ抽出物との比は、例えば、1:1~6であってよく、1:2~5であることが好ましく、1:2.5~4であることがより好ましい。
【0051】
上記剤又は組成物は、ゴツコラ抽出物の固形分量として、例えば体重60kgの成人に一日当たり1mg~1000mgの用量で用いることができ、10~500mgの用量で用いることが好ましく、100~350mgの用量で用いることがより好ましい。
【0052】
上記剤又は組成物中のゴツコラ抽出物の含有量は、固形分量として、剤又は組成物全量に対して、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上又は18質量%以上であってよく、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下又は23質量%以下であってよい。
【0053】
上記剤又は組成物は、特にプロポリスとイチョウ葉抽出物とを少なくとも組み合わせて含むことが好ましい。
【0054】
上記剤又は組成物は、DHA及びEPAの少なくとも一方を含んでいなくてもよく、DHA及びEPAの両方を含んでいなくてもよい。特に、上記剤がプロポリスとイチョウ葉抽出物とを含む場合、これらの成分を有効成分として含むため、DHA及びEPAを含まなくても十分高い効果が得られる。上記剤又は組成物はまた、GABAを含んでもよく、含んでいなくてもよい。
【0055】
上記剤又は組成物は、医薬品、医薬部外品又は食品そのものとして使用することができ、医薬品、医薬部外品又は食品中の成分として使用することもできる。
【0056】
アルツハイマー型認知症の原因は、アミロイドβの蓄積であると考えられてきた。しかし近年、アミロイドβは、脳内における、炎症、栄養不足、毒素の存在等の複数の脅威に対する防御反応として産生されるものであることが明らかとなっている。したがって、認知機能改善のためには、アミロイドβ自体を取り除こうとするよりも、その産生の原因を解消することがより有効であると考えられる。
【0057】
脳内の炎症は、例えば、トランス脂肪酸、グルテン又はカゼインの過剰摂取、及び糖質の過剰摂取等によって生じるとされており、肥満、口腔内環境の悪化、又は病原体の侵入も原因とされている。脳の栄養不足としては、脳神経細胞に必要なホルモン、ビタミン、ミネラル等の栄養素の不足、及び運動不足などが原因となると考えられている。脳神経の栄養が不足すると脳が萎縮するとされている。毒素は、有毒金属、カビ由来の毒素等に起因するものである。さらに、アルツハイマー等の認知症は、炎症性と萎縮性との混合型として、高血糖による糖毒性も原因とされている。また、動脈硬化等を原因とする脳内の出血によりダメージを受けることが認知症の原因となる場合もある。すなわち、アルツハイマー等の認知症には、炎症性、糖毒性、萎縮性、毒物性及び血管性の5タイプがある。
【0058】
本実施形態に係る剤又は組成物は、成分としてそれぞれ単独で、抗炎症、抗酸化、抗糖化、血糖値改善、インスリン抵抗性改善、脳神経保護、脳神経再生促進、肝臓保護、内毒素からの脳細胞保護、脳血流改善等の種々の効果を奏するものを含んでいるだけでなく、プロポリスと組み合わせて成分を含むことによって、少なくとも抗酸化、抗糖化、抗炎症、神経突起伸長促進作用等の効果が、含まれる各成分の単独での効果の合計(相加効果)よりも高く発揮される。そのため、本実施形態に係る剤又は組成物は、全体として認知機能改善により高い効果を奏する。また、本実施形態に係る剤又は組成物は、抗炎症作用に基づき、肝機能改善、及び睡眠の質改善の作用も有する。また、上述のとおり、本実施形態に係る剤又は組成物は、アミロイドβの産生及び蓄積の防止につながるため、認知機能の低下予防剤として用いることができる。
【0059】
本実施形態に係る剤は、上記の炎症性、糖毒性、萎縮性、毒物性及び血管性の5タイプの全てに対して高い効果をもたらす観点から、プロポリス、イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、ゴツコラ抽出物及びクルクミンを全て含むことが特に好ましい。本実施形態に係る剤又は組成物に含まれる上記成分は、いずれも食品として利用することができるものであるため、日常的に摂取しやすいという利点も有する。
【0060】
本実施形態に係る剤は、アルツハイマー型認知症等の認知症の改善又は予防剤、軽度認知障害の改善又は予防剤としても用いることができる。
【0061】
本実施形態に係る、抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤及び認知機能改善剤の投与対象者は、健常者であってよく、アルツハイマー型認知症患者等の認知症患者、認知症の前段階である軽度認知障害を有する者、認知機能が低下するリスクがある者、物忘れの自覚を有する者、物忘れを他人に指摘されたことがある者、睡眠障害を有する者、肝機能を改善する必要がある者であってもよい。対象者は例えば45歳以上であってよく、また、例えば60歳以上、65歳以上、70歳以上又は75歳以上の高齢者であってもよい。
【0062】
本実施形態に係る、抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤及び認知機能改善剤は、血漿中BDNF(脳由来神経栄養因子)濃度及び/又は脳内BDNF濃度が低い者において特に効果を奏すると考えられる。血漿中BDNF濃度と脳内BDNF濃度とは相関するとされている。本実施形態に係る、抗酸化剤、抗糖化剤、神経突起伸長促進剤及び認知機能改善剤の投与対象者は、血漿中BDNF濃度が例えば120ng/ml以下、110ng/ml以下、100ng/ml以下、90ng/ml以下、85ng/ml以下、79ng/ml以下、又は78ng/ml以下の者であってよい。投与対象者の血漿中BDNF濃度は、10ng/ml以上、30ng/ml以上、又は50ng/ml以上であってもよい。また、投与対象者は、血漿BDNF濃度が、複数の対象者における血漿BDNF濃度の中間値以下、平均値以下、又は第一四分位未満である者であってもよい。
【0063】
本実施形態に係る剤又は組成物は、他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、薬学的に許容される成分(例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
【0064】
本実施形態に係る剤又は組成物は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液若しくは電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)等の剤形であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、上述の方法により得られた剤又は組成物と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0065】
食品組成物として又は食品組成物の一成分として用いる場合、該食品組成物は、食品の3次機能、すなわち体調調節機能が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された製品としては、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品を挙げることができる。
【0066】
本実施形態に係る剤又は組成物は、体内に摂取されることが好ましい。投与態様は、経口投与であってもよく、非経口投与であってもよい。本実施形態に係る剤又は組成物は、一日一回投与されてもよく、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。
【実施例0067】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
[試験例1:神経突起伸長活性評価]
神経増殖因子(NGF、Nerve Growth Factor)をコリン作動性ニューロンへ標的輸送することで細胞死を防ぎ、NGFがシナプスのコリン作動性受容体を刺激することで、認知改善を促進する報告がなされている。未成熟な細胞は球状に近い形態をとることが多く、分化して機能性を持つ過程でそれぞれ特徴的な構造を持つ傾向にある。神経細胞の場合は、最終分化の際に無数の突起を形成し、ニューロンとなる。本試験においては、あらかじめNGFを低濃度(10ng/ml)で作用させることで、PC12を神経分化方向へプライミングし、ここに、試料を加えることで、試料の神経分化誘導能に与える影響について解析を行った。
【0069】
評価する試料として以下のものを用いた。
プロポリス(プロポリスエタノール抽出物、APIプロポリス、EEP-B55A):分子生物学用エタノールに10mg/mLの濃度で溶解し、0.2μmのフィルターに通したのち-80℃で保管したものを用いた。
イチョウ葉抽出物(水抽出物、常磐植物化学):ジメチルスルホキシド(DMSO)に100mg/mLで溶解し、0.2μmのフィルターに通したのち、-80℃で保管したものを用いた。
神経成長因子-β(ラット由来)
【0070】
細胞及び培地は以下のものを用いた。
細胞:PC12(JCRB0733,06082017)
培地:CCM(Completely Culture Medium)
RPMI 1640
10%ウマ血清
5%ウシ胎児血清
1%ペニシリン-ストレプトマイシン(ナカライテスク)
DM(Differentiation Medium):
RPMI 1640
2%ウマ血清
1%ウシ胎児血清
1%ペニシリン-ストレプトマイシン
10ng/mL NGF-β
培養条件:37℃、5%CO2
【0071】
PC12細胞の継代の培地にはCCMを用いた。継胞密度が70%confluencyに達したところで継代を行なった。試験に用いる前には3回以上の細胞継代を行い、細胞が安定する期間を設けた。神経分化の誘導の際には、6ウェルプレートに2mLのCCMに希釈した0.8×104個ずつの細胞を播種し、オーバーナイトで培養を行った。培地をDMに交換し、その後48時間培養を行った。DMに交換し48時間後に、ウェル毎に付加条件を変えたDM培地に交換し、蛍光顕微鏡(キーエンス社、BZ-X800)を用いてタイムラプス観察を行った。付加条件としては、プロポリス単独添加(25μg/mL)、イチョウ葉抽出物単独添加(10μg/mL)、及びプロポリス(25μg/mL)とイチョウ葉抽出物(10μg/mL)との共添加をそれぞれ行った。
【0072】
17時間の培養の間、各ウェルにつき3枚ずつ、15分に1回写真撮影を行った。視野内の全細胞数、及び神経突起が細胞体よりも長い細胞の数についてカウントを行った。細胞毎の突起の数については考慮せず、細胞体よりも長い突起を一つでも持つ細胞を突起が伸長した細胞と定義した。各ウェルの細胞数を足した後に、各条件の数値の比較及び解析を行った。17時間後に観察した、全細胞数に対する突起が伸長した細胞の数を、神経突起形成率(%)として評価した。結果を
図1及び
図2に示す。
【0073】
図1は17時間培養後のPC12細胞の位相差顕微鏡写真であり、左から順に、コントロール(DMSO)、プロポリス単独添加、イチョウ葉抽出物単独添加、プロポリス及びイチョウ葉抽出物の共添加の細胞を示す。
図2は、各条件における神経突起形成率を示すグラフである。エラーバーは平均値±SD(n=3)を示す。コントロール、プロポリス単独添加、及びイチョウ葉抽出物単独添加と比べて、プロポリス及びイチョウ葉抽出物の併用処理において、神経細胞突起の伸長が促進されることが示された。
【0074】
[試験例2:抗酸化評価]
酸化ストレス誘導剤としてメナジオンを用いた抗酸化評価試験を行った。メナジオンの培養細胞への処理は、細胞内に活性酸素(ROS)を生じ、酸化ストレスによる細胞死を誘導することが報告されている。そのためメナジオンは細胞に対する酸化ストレス保護作用のある素材の評価に用いられている。
【0075】
500μlのケラチノサイト増殖培地をあらかじめ添加してある24ウェルプレートに、正常ヒトケラチノサイトを3×104cells/cm2となるように播種した。24時間培養後、培地を、酸化ストレス誘導剤であるメナジオンを0又は100μMとなるように添加した培地に交換した。またメナジオン100μMを添加した培地には、同時にプロポリスを10若しくは50μg/ml、イチョウ葉抽出物を17若しくは86μg/ml、又はイチョウ葉抽出物とプロポリスとの組合せで濃度比が1:1.7となるようにそれぞれ10若しくは50μg/ml、及び17若しくは86μg/mlとなるように添加した。
【0076】
被験物質を投与してから1時間後の細胞の酸化ストレスレベルを、酸化ストレス検出試薬であるCellROX greenを用いて評価した。また細胞数をHoechest 33342染色による核数で評価した。酸化ストレスレベルはCellROXgreenの蛍光強度を核数で除した、細胞当たりの蛍光強度とし、メナジオン単独での酸化ストレスレベルを100%として算出した。結果を
図3に示す。
【0077】
図3は、プロポリス単独添加、イチョウ葉抽出物単独添加、及びイチョウ葉抽出物とプロポリスとの共添加の場合の、各濃度における酸化ストレスレベルを示すグラフである。エラーバーは平均値±SDを示す。プロポリス単独添加、及びイチョウ葉抽出物単独添加では、それぞれ濃度依存的に酸化ストレスレベルを低下させた。プロポリスとイチョウ葉抽出物との共添加では、単独よりも高い抗酸化活性を示した。以上の結果から、プロポリスとイチョウ葉抽出物とを組み合わせることで、酸化ストレス保護効果が増加することが示された。
【0078】
[試験例3:ORAC試験]
プロポリスと各試料との組合せによる抗酸化能をORAC(酸素ラジカル吸収能力)試験によって検証した。試料としては以下のものを用いた。
プロポリス:エタノール抽出物粉末(ブラジル産グリーンプロポリス、賦形剤としてアルギニンを含む。)
ホスファチジルセリン:合成品
コーヒー果実抽出物:水/エタノール抽出物粉末
ゴツコラ抽出物:水抽出物粉末(賦形剤としてマルトデキストリン10%未満を含む。)
【0079】
各試料を50%エタノール水溶液に溶解させた。下記のとおり、エタノール水溶液に溶解しないサンプルは懸濁させ、100rpm・10分間の振とう抽出及び10分間の超音波抽出、又は10分間の超音波抽出のみを行った後、3000rpm・10分間遠心分離を行い、上清を得た。
ホスファチジルセリン:振とう抽出及び超音波抽出の後、遠心分離
プロポリス+ホスファチジルセリン:超音波抽出のみ(遠心分離無し)
ゴツコラ抽出物、プロポリス+ゴツコラ抽出物:超音波抽出の後、遠心分離
上記以外のサンプル:溶解のみ(抽出工程・遠心分離無し)
【0080】
得られた試験液を75mMリン酸緩衝液で希釈して96ウェルプレートに入れ、フルオロセイン溶液を添加した。96ウェルプレートを37℃で加温した状態で、AAPH(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)を添加し、蛍光強度の減衰時間をマイクロプレートリーダーで5分毎に1.5時間測定した。標準試薬としてトロロックス(Trolox)を用いて標準曲線を作成し、各試料の抗酸化力をトロロックス当量(μmolTE/g)として算出した。結果を表1に示す。
【0081】
【0082】
表1中、期待値とは、それぞれの組合せにおける各成分単独でのORAC値の合計である。増加率は、実測値を期待値で除したものに100を乗じた値である。ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、及びゴツコラ抽出物は、プロポリスと組み合わせることによって、抗酸化能が相乗的に増加することが示された。
【0083】
[試験例4:AGEs測定]
プロポリスと各試料との組合せによる抗糖化能を、AGEs(advanced glycation end products)測定試験によって検証した。試料としては、プロポリス、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、クルクミン及びイチョウ葉抽出物を用いた。プロポリス、ホスファチジルセリン及びコーヒー果実抽出物については試験例3と同様のものを用いた。イチョウ葉抽出物としては、イチョウ葉エタノール・水抽出物粉末を用いた。クルクミン源としては、ウコン抽出物(酢酸エチル抽出物粉末、クルクミン含有量95質量%)を用いた。
【0084】
各試料を100%ジメチルスルホキシドに溶解させた。得られた溶液又は超純水12μL、20mg/mLヒト血清アルブミン溶液40μL、及び0.4mol/Lグルコース溶液又は超純水50μLを合わせて1.5mLチューブに入れた。ボルテックスを用いてチューブ内の液をよく混ぜたのち、60℃で40時間インキュベートした。反応後の溶液を384ウェルプレートに分注し、370nmの励起光を照射し、440nmの蛍光を測定して、AGEs産生量を算出した。AGEs産生阻害率は次の式により算出した。結果を表2に示す。
AGEs産生阻害率(%)={1-(A-B)/(C-D)}×100
A:試料溶液・アルブミン溶液・グルコース溶液の混合液における産生量
B:試料溶液・アルブミン溶液の混合液における産生量
C:アルブミン溶液・グルコース溶液の混合液における産生量
D:アルブミン溶液における産生量
【0085】
【0086】
表2において、各組合せにおけるAGEs産生阻害率の期待値とは、組合せに使用された各成分単独で示した産生阻害率の合計値である。増加量は、実測値から期待値を減じた値である。プロポリスに、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、クルクミン又はイチョウ葉抽出物を組み合わせた場合、それぞれ単独による場合よりも、AGEs産生阻害率が大きく上回った。プロポリスを、ホスファチジルセリン、コーヒー果実抽出物、クルクミン又はイチョウ葉抽出物と組み合わせることによって、成分単独よりも高い抗糖化効果が得られることが確認された。
【0087】
[試験例5:Nrf2経路活性化評価]
Nrf2は酸化ストレスにより活性化される転写因子で、その下流には抗酸化、解毒代謝に関わる遺伝子が存在する。Nrf2経路が認知症に影響することが動物レベルで報告されており、Nrf2の活性化による認知機能改善が期待される。本試験では、Nrf2の下流の転写応答配列であるAREをレポーターベクターに組み込んだ、PC12/AREレポーター細胞を用い試験し、Nrf2経路活性化の相乗作用を調べた。
【0088】
<細胞培養>
神戸薬科大学より分与されたPC12/AREレポーター細胞(以下PC12/ARE)を用いた。該細胞は、PC12細胞に、Nrf2の下流遺伝子である、ラット由来NADPH:quinone oxidoreductase 1(NQO1)遺伝子のARE配列を含むプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、安定発現させたものである。
【0089】
基本培地:RPMI-1640培地(Nacali,Code:30264-85)に、10%牛胎児血清(FBS,BioWest)、5%馬血清(HS,Gibco)、1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Nacali,Code:09367-34),200μML-Glutamine(Nacali,Code:16948-04)となるように各因子を添加し調製した。
維持培地:上記基本培地に、レポーター細胞株選択のため300μg/mLの濃度となるようにHygromycin B(Wako,Cat:085-06153)を添加し調製した。
PC12/AREはPC12/ARE培養プロトコルに従い維持及び継代した。培地は2~3日に1回交換した。
【0090】
<レポーターアッセイ>
PC12/AREを1×104cells/20μL/wellとなるように、384well plate(White plate)に播種した。培養には基本培地を用いた。一晩培養後、5μlサンプルを添加し、さらに、24時間後にONE-Glo(登録商標)Luciferase Assay Reagent(Promega,Cat:E6120)を25μL加え、3分間インキュベーション後、レポーター活性をEnvision(PerkinElmer)によって測定した。
【0091】
<サンプル調製>
プロポリス、クルクミン及びイチョウ葉抽出物を、50mg/mlとなるようにDMSOにそれぞれ懸濁し、1時間撹拌した後、遠心分離し上清を得た。プロポリス、クルクミン及びイチョウ葉抽出物としては、試験例3又は4で用いたものと同様のものを用いた。上清は0.22μmのフィルターでろ過後、分注し、-30℃で保存した。各サンプルは試験時に溶解し、DMSO及び基本培地で希釈した。
【0092】
<AREレポーター活性>
PC12/ARE細胞に、プロポリス4.5μg/ml、クルクミン13.8μg/ml、イチョウ葉抽出物6.6μg/mlの濃度で、それぞれ単独で、又は表3に示す組み合わせで添加し、24時間後のレポ―ター活性を測定した。その結果、プロポリス及びクルクミンとの組合せ、並びにプロポリス、クルクミン及びイチョウ葉抽出物の組合せでは、それぞれの成分を単独で添加した場合に対して相乗効果が認められた。
【0093】
【0094】
[試験例6:ヒト生体試験]
プロポリス抽出物、イチョウ葉抽出物、ホスファチジルセリン、クルクミン、コーヒー果実抽出物、及びゴツコラ抽出物を含む複合サプリメントをヒトに投与し効果を検証した。
【0095】
<対象者>
以下の選択基準を全て満たし、かつ以下の除外基準のいずれにも該当しない90名を試験の対象者とした。
1)選択基準
・同意取得時の年齢が40歳以上80歳未満の男女
・Mini-Mental State Examination(MMSE)が24点以上29点以下の者
・物忘れの自覚を有する者、あるいは物忘れを他人に指摘されたことがある者
2)除外基準
・認知症であると医師に判定されたことがある者、または認知機能に影響を及ぼす可能性がある疾患に罹患している者
・認知症治療薬を服用している者、あるいは服用していたことがある者
・認知に影響を与える可能性がある薬剤(第一世代抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン、鎮静剤、オピエート、安定剤、抗うつ剤、コリン作動薬、抗コリン薬、処方抗炎症薬)を定期的に服用している者
・精神障害(うつ症状を含む)、または脳血管疾患の現病歴、既往歴がある者
・認知機能に影響を及ぼす可能性があるサプリメント・健康食品(機能性表示食品を含む)を常用している者
・被験者背景アンケートの結果、食事、睡眠等の生活習慣が極度に不規則であった者
・老年期うつ尺度(Geriatric Depression Scale-Short Version-Japanese:GDS-S-J)が6点以上の者
・アルコール依存の既往歴あるいは現病歴がある者
・日常的にアルコールを多量摂取する者(ビール350mL、ワイン180mL弱を週に14本以上飲む者)
・糖尿病、肝疾患、腎疾患、心疾患等の重篤な疾患現病歴・既往歴を有する者
・薬物依存又は食物アレルギーの既往歴・現病歴がある者
・色覚障害者、近距離でも人の話が聞こえにくい者
・怪我、手術等で両手の機能に問題がある者
【0096】
<試験食品>
複合サプリメントの投与量は、1日当たり3球(ハードカプセル)とした。複合サプリメントは、3球中に、プロポリス(アルテピリンCとして4.25mg)、クルクミン175mg、大豆由来ホスファチジルセリン100mg、イチョウ葉抽出物(イチョウ葉由来フラボノイド配糖体として28.8mg、イチョウ葉由来テルペンラクトンとして7.2mg)、ゴツコラ抽出物(225mg)、及びコーヒー果実抽出物(100mg)を含有する。それぞれの成分は試験例3又は4で用いたものと同様である。複合サプリメントは添加物として更に微粒二酸化ケイ素等を含む。プラセボは上記成分を澱粉で置き換えたものとし、複合サプリメント及びプラセボには互いに外観に類似性をもたせ、食品間で識別がつかないようにした。複合サプリメント及びプラセボの成分組成(1日摂取量、3球当たり)は表4のとおりである。
【0097】
【0098】
<試験方法及びスケジュール>
本試験は日本橋循環器科クリニック試験審査委員会の審議及び承認を得た上で、ヘルシンキ宣言(2013年VMAフォルタレザ総会で修正)、及び人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守した。試験プロトコルは大学病院医療ネットワーク臨床試験システムに登録した。
【0099】
試験デザインはプラセボ対照無作為化並行群間二重盲検比較ヒト臨床試験とし、対象者に対して本試験の目的及び方法等を十分に説明した上で、自由意思による同意を書面にて得た。被験者は、年齢、性別、Body-Mass Index(BMI)、及びMMSEが均等になるように2群に割り付けた。
【0100】
摂取前検査(身長、体重、血圧、脈拍、臨床心理士によるMMSE、GDS-S-J、Mild Cognitive Impairment(MCI)スクリーン、コグニトラックス、血液検査、各種Visual Analog Scale(VAS)、MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36))は2019年10-11月に実施した。2019年11月中旬より2020年2月下旬にかけて12週間プラセボ又は複合サプリメントを常温の水とともに1日3球摂取させた。また、摂取12週間後に、身長、体重、血圧、脈拍、MCIスクリーン、コグニトラックス、血液検査、各種VAS、及びSF-36を実施した。また、試験期間中は日誌に試験食品摂取有無、体調変化の有無、生活状況変化の有無、運動状況、医薬品及び健康食品の摂取状況、対人交流状況、並びに睡眠状況を毎日記録させた。
【0101】
<検査項目>
(MCIスクリーン)
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)という用語は、認知症の前駆状態という意味で用いられている。新たな治療法開発に伴って認知症の早期判断が重要になったため、MCIの診断が注目されている。MCIスクリーンはShankleらにより開発された記憶力及び注意力を総合的に評価する認知機能検査である。MCIスクリーンのうち、MPIスコア及び即時記憶課題得点について測定した。MPIスコアは主に即時記憶課題及び遅延記憶課題の得点を総合的に評価するものである。
【0102】
(コグニトラックス)
コグニトラックスはCNS Vital Signを基盤とした一般的な認知検査である。本試験では言語記憶テスト(VBM)、視覚記憶テスト(VIM)、指たたきテスト(FTT)、SDCテスト(SDC)、ストループテスト(ST)、注意シフトテスト(SAT)、持続処理テスト(CPT)、4パート持続処理テスト(FPCPT)を実施し、同年代との比較による換算値である標準化スコア(平均100)にて評価した。これらのテストを基に、ST誤反応について評価した。
【0103】
(血液検査)
被験者の血液を採取し、腫瘍壊死因子(TNF-α、血清)、BDNF(血漿)、及び肝機能指標としてASTの量を測定した。TNF-αは、炎症を通した生体防御機構に深く関わるサイトカインとして知られている。ASTは、肝細胞が損傷を受けると血液中に放出され、その原因の1つとして炎症が考えられている。TNF-α及びASTは株式会社LSIメディエンスにて、BDNFは日研ザイル株式会社日本老化制御研究所にて評価した。
【0104】
(自覚症状(VAS))
VASは、自覚症状を検出するための試験である。睡眠の質について、「睡眠の質はどうですか?」という問いにより評価した。画面上に直線を示し、直線の左端(0)を「非常に悪い」、直線の右端(100)を「非常に良い」とし、被験者のそのときの状態を直線上にマークさせた。
【0105】
(SF-36)
QOL(quality of life)の評価尺度であるSF-36のうち、社会生活機能(過去1カ月間に、身体的あるいは心理的な理由で人つきあいが妨げられた度合い)について評価した。得点は国民標準値に基づいてスコアリング(norm-based scoring:NBS)し、標準スコア(平均50)として算出した。
【0106】
<統計処理>
測定値は平均値±標準偏差で示した。摂取前に対する飲用12週後の群内比較をpaired t-test、プラセボ群に対する複合サプリメント群の群間比較をStudent’s t-testにて実施した。また、摂取前を基準とする摂取12週間後の変化量(Δ)についても同様に群間比較を実施した。検定はいずれも両側検定とした。統計解析ソフトはSPSS Ver.25(アイ・ビー・エム株式会社)を用いた。
【0107】
(解析対象者)
合計90名(各群45名)が対象者として試験に参加した。このうち、認知機能との関連が報告されている肝機能指標のAST、ALT及びγ-GTPが異常値(摂取前)から半値以下(摂取12週後)に減少した2名(プラセボ群1名、複合サプリメント群1名)、認知機能との関連が報告されている血圧の摂取前後の変動が外れ値(<平均-3SD)となった1名(複合サプリメント群)、試験食摂取開始時に飲用していた血圧の治療薬を試験期間中に停止した1名(プラセボ群)、認知機能との関連が報告されている炎症マーカーの一つであるhsCRPの摂取前後の変動が外れ値(>平均+3SD)となった2名(プラセボ群1名、複合サプリメント群1名)、摂取前後の体重変動が外れ値(<平均-3SD)となった1名の計7名に関しては、生活習慣を一定に保つことができていない可能性が高く、認知機能に対する影響検証の精度に悪影響がある可能性があると判断し、解析対象から除外した。
【0108】
摂取後のMCIスクリーンの検査時間が摂取前と比べ非常に短く、外れ値(<平均-3SD)となった1名は、摂取12週後の認知機能検査にて明らかに適正に評価できていない可能性が高いと判断し、解析対象から除外した。したがって、解析対象症例数は82名となった。また、摂取後のコグニトラックスの4パート持続処理テストを検査途中で放棄した1名(複合サプリメント群)について、摂取後の4パート持続処理テストの結果が関与する項目を欠損値とした。解析対象者背景を表5に示す。年齢、性別、BMI及びMMSEにおいて群間有意差は認められなかった。
【0109】
【0110】
<結果>
(認知機能検査)
MCIスクリーンの結果を表6に示す。摂取前を基準とする摂取12週後のMPIスコア及び即時記憶課題得点の変化量(Δ)において、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた(それぞれP=0.047、P=0.010)。
【0111】
【0112】
コグニトラックスの結果を表7に示す。総合注意力及び認知柔軟性の構成要素であるST誤反応の変化量(Δ)において、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた(P=0.023)。
【0113】
【0114】
血液検査の結果を表8に示す。摂取前を基準とする摂取12週後のAST及びTNF-αの変化量(Δ)において、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた(それぞれ、P=0.014、P=0.026)。
【0115】
【0116】
自覚症状(VAS)の結果を表9に示す。摂取前を基準とする摂取12週間後の睡眠の質の自覚症状の変化量(Δ)において、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた(P=0.016)。
【0117】
【0118】
SF-36の結果を表10に示す。摂取前を基準とする摂取12週間後の社会生活機能(過去1カ月間に、身体的又は心理的な理由で人つきあいが妨げられた度合い)の変化量(Δ)において、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して有意な改善が認められた(P=0.030)。
【0119】
【0120】
本試験にて複合サプリメント摂取による認知機能への影響を検証した結果、複合サプリメント群はプラセボ群と比較して、ST誤反応(コグニトラックス)、MPIスコア(MCIスクリーン)、即時記憶課題得点(MCIスクリーン)、TNF-α、AST、睡眠の質の自覚症状、及び社会生活機能(SF-36)において有意な改善が認められた。
【0121】
STテストは画面に従い文字の意味と色の対応について回答するテストであり、言語情報と色覚情報という二つの異なる情報が干渉するなかで、目的とする情報に意識を向ける注意力及び集中力や情報を処理し正確に判断する判断力等を評価できる検査として知られている。また、ST誤応答(STテストの回答ミス)は総合注意力及び認知柔軟性(指示の変化に対応して処理する力=判断力)の構成項目になっていることから、ST誤反応の改善は、集中力(集中を維持する力)、注意力(注意を維持し正確に対処する力)、及び判断力(情報を処理し正確に判断する力)の改善を意味していると考えられる。加えて、MCIスクリーンはShankleらにより開発された言語記憶力や注意力を必要とする認知機能検査であることから、その総合スコアであるMPIスコアの改善は言語記憶力及び注意力の改善を意味していると考えられ、注意力の改善に関しては、コグニトラックスの結果と一致している。注意力の改善における日常生活の具体例としては、「車を長時間安全に運転する」、「赤信号を見落とさない」等が挙げられる。
【0122】
<部分集団解析>
脳内BDNFは健常人と比較して認知症患者では低下すること、血中と脳内のBDNF濃度は相関していることが知られている。そこで、BDNF濃度が第一四分位未満の集団を認知機能が低下するリスクが高い集団として分類し、コグニトラックス検査結果について部分集団解析を実施した。なお、背景の年齢、性別、BMI及びMMSEにおいて群間有意差は認められなかった(表11)。
【0123】
解析結果を表12に示す。複合サプリメント群はプラセボ群と比較して、摂取前を基準とする摂取12週間後の変化量(Δ)において、神経認知インデックス(P=0.001)、認知柔軟性(P=0.022)、実行機能(P=0.026)及び認知柔軟性の構成要素であるSAT正解応答(P=0.012)で有意な改善が認められた。
【0124】
【0125】
【0126】
BDNF濃度が第一四分位未満である集団で、コグニトラックに関して部分集団解析を行った結果、神経認知インデックス、認知柔軟性、実行機能(規則や概念を理解し意思決定する力)、及び認知柔軟性の構成要素であるSAT正解応答において有意な改善が認められた。認知柔軟性は「SAT正解反応-SAT誤答-ST誤反応」で算出され、実行機能は「SAT正解反応-SAT誤答」で算出されること、SATテストは画面に従い図形の形状と色の対応について回答するテストであり、STテストと非常に酷似していることから、認知柔軟性及び実行機能の改善はいずれも注意力、集中力、及び判断力の改善を意味していると考えられる。
【0127】
本試験では認知機能の改善に加え、TNF-αの改善が認められた。急性又は慢性の全身性炎症を有する者は全身性炎症を有さない者と比較して認知機能の低下率は2~4倍に及ぶとの報告があることから、複合サプリメントは抗炎症作用を介して睡眠の質向上に寄与している可能性がある。また、睡眠の質と炎症は関連すると報告されており、抗TNF-α療法が睡眠の質改善に寄与する報告があることから、複合サプリメントは抗炎症作用を介して睡眠の質向上に寄与していると考えられる。また、メタ解析により不眠では認知症発症リスクが1.51倍になることが報告されていることから、睡眠の質の自覚症状の改善も認知機能改善に寄与するものと考えられる。
【0128】
加えて、本試験にて改善が認められたASTは肝細胞が損傷を受けると血液中に放出され、その原因の一つとして炎症が考えられる。このことから、肝機能マーカーの改善メカニズムの一つは抗炎症作用である可能性が考えられる。また、本試験にて改善が認められたSF-36の構成項目の一つである社会生活機能は、身体的あるいは心理的な理由で人つきあいが妨げられた度合いを表す指標である。「言いたいことがすぐに言葉にならない」、「話したことを覚えていない」、「さっきのことが思い出せない」、「すでに冷蔵庫にたくさん入っている食品を繰り返して買う」等の現象のように、認知機能低下は、人付き合い等の社会生活に影響すると考えられる。したがって、今回認められた認知機能に対する有効性が、社会生活機能の改善につながっていると考えられる。
【0129】
上記のとおり、プロポリスとクルクミンの組み合わせにより、相乗的にNrf2活性を上昇させることが確認された。また、試験例1に示すように、プロポリスとイチョウ葉の組み合わせにて、相乗的に神経突起伸長を促進させることが確認された。Nrf2は酸化ストレスに応答して活性化される転写因子であり、Nrf2活性化により認知機能を改善させることが報告されており、神経突起伸長は脳の発達に寄与していると考えられている。したがって、プロポリスを含む各成分が相乗的に抗酸化、抗炎症、及び神経突起伸長促進作用を発揮することで、認知機能の維持・改善に効果を発揮していると考えられる。複合サプリメントは、抗酸化、抗糖化、抗炎症作用等を通して、言語記憶力、注意力、集中力、判断力等の認知機能のみならず、睡眠の質及び肝機能の状態を改善することが確認された。