(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036633
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】情報送信端末及び情報送信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20240308BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240308BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240308BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20240308BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20240308BHJP
H04M 1/72412 20210101ALI20240308BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W84/20
H04M1/72448
H04M1/72412
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017705
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2020048111の分割
【原出願日】2020-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】床井 晶勅
(57)【要約】
【課題】位置特定システムにおいて情報送信端末が複数台集合している場合においても適切に情報を送信する情報送信端末を提供する。
【解決手段】本発明の情報送信端末は、他の端末に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の情報送信部と、前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線通信方式で受信する情報受信部と、前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式でブロードキャストする第2の送信部と、を含み、前記第2の送信部は、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線通信方式での前記データフレームに前記他個別IDを加えてブロードキャストすることを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の端末に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の情報送信部と、
前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線通信方式で受信する情報受信部と、
前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式でブロードキャストする第2の送信部と、
を含み、
前記第2の送信部は、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線通信方式での前記データフレームに前記他個別IDを加えてブロードキャストすることを特徴とする情報送信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保有者の情報を送信する情報送信端末とその情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、児童や高齢者等を保護するために、当該児童や高齢者に小型端末を保有させ、自身のGPS(Global Positioning System)の位置等を携帯電話ネットワーク通信を介して発信する居場所特定サービスが普及している。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、LPWA(Low Power Wide Area)通信機能を有する携帯端末の周囲に固定されたBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)又はWi-Fi(Wireless Fidelity:IEEE802.11規格通信)のアクセスポイントから発信されるビーコンを受信する携帯端末が開示されている。当該携帯端末が受信したWi-Fi固有番号又はBLE固有番号をLPWA中継機器を介してサーバに転送することにより、消費電力の多いGPS機能を有しない携帯端末の位置情報を管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムのように、Wi-Fi等のビーコンを受信する携帯端末を用いたシステムにおいては、例えば、携帯端末が複数台集合している場合において、複数の携帯端末の各々が同一の通信規格の通信電波を発信すると、当該通信電波が干渉し合う場合がある。これにより、当該通信電波が適切に中継機器に届かず、居場所を特定するための通信が阻害される可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、位置特定システムにおいて情報送信端末が複数台集合している場合においても適切に情報を送信する情報送信端末及び情報送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、他の端末に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の情報送信部と、前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線方式で受信する情報受信部と、前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線方式でブロードキャストする第2の送信部と、を含み、前記第2の送信部は、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線方式での前記データフレームに前記他個別IDを加えてブロードキャストすることを特徴としている。
【0008】
請求項9に記載の発明は、他の端末に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の情報送信部と、前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線方式で受信する情報受信部と、前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式よりも電力消費量が多い第2の無線方式でブロードキャストする第2の送信部と、を含み、前記第2の送信部は、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線方式でのデータフレームのブロードキャストを開始又は停止することを特徴としている。
【0009】
請求項10に記載の発明は、情報送信端末が自身の保持者を特定する自個別ID及び他の端末の保持者を特定する他個別IDを含む情報を送信する情報送信方法であって、前記他の端末に前記自身の保持者を特定する前記自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の送信ステップと、前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する前記他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線方式で受信する受信ステップと、前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式よりも電力消費量が多い第2の無線方式でブロードキャストする第2の送信ステップと、を含み、前記第2の送信ステップは、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線方式での前記データフレームに前記他個別IDを加えてブロードキャストすることを特徴としている。
【0010】
請求項11に記載の発明は、コンピュータによって実行される情報送信プログラムであって、前記コンピュータに、前記他の端末に前記自身の保持者を特定する前記自個別ID及び自身の稼働状態を含む情報を第1の無線通信方式で送信する第1の送信ステップと、前記他の端末から前記他の端末の保持者を特定する前記他個別ID及び前記他の端末の稼働状態を前記第1の無線通信方式で受信する受信ステップと、前記自個別ID及び自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを前記第1の無線通信方式よりも電力消費量が多い第2の無線通信方式でブロードキャストする第2の送信ステップと、を実行させ、前記第2の送信ステップは、前記自身の稼働状態と前記他の端末の稼働状態とに基づいて、前記第2の無線通信方式での前記データフレームに前記他個別IDを加えてブロードキャストすることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の実施例に係る位置特定システム10の構成を示す図である。
【
図2】本願の実施例に係る小型端末20の構成を示す図である。
【
図3】本願の実施例に係る小型端末20のデータ共有部24に記録される小型端末20の共有データSDの例を示す図である。
【
図4】本願の実施例に係る小型端末20が生成するデータフレームに含まれるSSIDの例を示す図である。
【
図5】本願の実施例に係る小型端末20がデータフレームをブロードキャストする情報送信フローRT1である。
【
図6】本願の実施例に係る周囲端末30の構成を示す図である。
【
図7】本願の実施例に係る周囲端末30が生成する端末位置関連情報PDの例を示す図である。
【
図8】本願の実施例に係る周囲端末30が端末位置関連情報PDを送信する位置関連情報送信フローRT2である。
【
図9】本願の実施例に係るサーバ40の構成を示す図である。
【
図10】本願の実施例に係るサーバ40の位置特定部43が小型端末20の位置を特定する様子を例示した図である。
【
図11】本願の実施例に係る情報判定部47が端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【
図12】本願の実施例に係る情報判定部47が複数の端末種から送信された端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【
図13】本願の実施例に係るサーバ40が位置特定情報を生成して保存する位置特定情報生成フローRT3である。
【0012】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1は、本願の実施例に係る位置特定システム10の構成を示す図である。
【0014】
位置特定システム10は、例えば、局所的に集合した複数の保有者H1~H4の各々が所持する複数の小型端末20A~20Dと、複数の小型端末20A~20Dの端末情報を受信して位置に関する情報を送信する周囲端末30と、周囲端末30から送信された位置に関する情報に基づいて小型端末20の位置を特定するサーバ40と、サーバ40が特定した小型端末20の位置を取得する保護者端末50と、を有する。周囲端末30及び保護者端末50は、ネットワークNWを介してサーバ40を通信可能に構成される。
【0015】
情報送信端末としての小型端末20は、例えば、2種の無線通信方式の通信機能を有する端末装置である。
【0016】
第1の無線通信方式として、小型端末20は、例えば、BLE機能を有する。小型端末20は、複数の小型端末20A~20Dの間において、各々の保有者H1~H4のそれぞれを特定する個別IDの情報と各々の稼働状態の情報をアドバタイジングパケット(以下、BLEデータとして称する場合もある)の態様で送受信して当該情報を共有する。
【0017】
第2の無線通信方式として、小型端末20は、例えば、IEEE802.11規格通信に準拠した無線LAN(Local Area Network)機能を有する。また、小型端末20は、第2の無線通信方式においては、自身が無線通信のアクセスポイントであるアクセスポイントモードとして動作する。小型端末20は、IEEE802.11規格通信に準拠したデータフレームを生成し、当該データフレームを周囲にブロードキャストする。
【0018】
尚、BLEにより小型端末20A~20Dで共有される情報は、例えば、小型端末20A~20Dの各々の保有者H1~H4を特定する個別IDデータと、小型端末20A~20Dの稼働状態として緊急フラグ、各々の小型端末の電池残量及びブロードキャスト通信を行っているか否か等の情報を共有情報として共有し合う。
【0019】
また、小型端末20は、複数の小型端末20A~20Dの間においてBLEで共有された各々の稼働状態の情報に基づいて、複数の小型端末20A~20Dのうち1の小型端末が共有された保有者H1~H4を特定する個別IDを含むデータフレームを生成し、当該データフレームを周囲にブロードキャストする。これにより、複数のブロードキャスト通信が行われて搬送波が干渉し合うことを防止することが可能となる。
【0020】
尚、
図1においては、複数の小型端末20A~20Dのうち小型端末20Aがデータフレームを周囲にブロードキャストする例について説明する。
【0021】
また、本実施例においては、小型端末20の端末間で通信を行う第1の通信方式をBLEとし、データフレームをブロードキャストする第2の通信方式をIEEE802.11規格通信に準拠した無線通信として説明する。しかし第1及び第2の通信方式の各々の通信方式はこれに限定されない。具体的には、例えば、第1及び第2の通信方式の各々は、IEEE802.11通信規格に準拠した無線通信、Bluetooth(登録商標)4.0規格に準拠したBLE又はLoRaWAN(Long Range Wide Area Network)やSigfox等のLPWA等のいずれでもよい。第1の通信方式は第2の通信方式よりも通信範囲が狭く且つ、消費電力が少ない通信方式であり、小型端末間で情報を送受信するD2D(Device To Device)通信の態様であればよい。また、第2の通信方式は、第1の通信方式と比べて通信における消費電力が大きくとも、第1の通信方式よりも広範囲にデータフレームをブロードキャスト可能であればよい。
【0022】
換言すれば、第1の通信方式の通信可能範囲は、第2の通信方式の通信可能範囲よりも狭い。
【0023】
また、小型端末20がブロードキャストするIEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームには、位置特定システム10を利用するためのサービスID、自身を含む保有者H1~H4を特定する個別ID及び保有者H1~H4のいずれかが緊急事態であることを知らせる緊急フラグを含むSSID(Service Set IDentifier)と、ブロードキャストをしている小型端末20AのMACアドレス(Media Access Control address)等の情報が含まれる。
【0024】
情報送受信装置としての周囲端末30は、例えば、小型端末20Aの近隣の住居NH、店舗NS又は歩行者Pが有するPC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末装置である。周囲端末30は、IEEE802.11通信規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)機能を搭載して当該通信規格のアクセスポイントを認識可能であり且つ、自身がインターネットに接続可能なように構成されている。
【0025】
尚、個別IDは個人の特定には直結しないが、安全性のために小型端末20Aがブロードキャストするデータフレームは特定の周囲端末30のみが取得又は認識できることが好ましい。例えば、位置特定システム10を利用可能にするアプリケーションソフトウェアがインストールされている周囲端末30のみが小型端末20Aがブロードキャストするデータフレームを認識できるようなシステムとすることが好ましい。
【0026】
周囲端末30は、小型端末20Aからブロードキャストされるデータフレームを取得すると、当該データフレームに含まれる小型端末20AのSSID及びMACアドレスに加え、当該データフレームを取得した日時、場所及びデータフレームの受信電界レベルの情報を付与した端末位置関連情報を生成する。また、周囲端末30は、当該端末位置関連情報をネットワークNW経由で送信する。
【0027】
ネットワークNWは、例えば、周囲端末30が有線回線及び無線回線を含む専用回線や公衆通信回線網等の通信回線を介して接続するインターネット接続網である。周囲端末30とネットワークNWの接続は、例えば、ISP(Internet Service Provider)が提供するネットワーク相互接続サービス、ISPによって接続されるPCを介したLAN又は電気通信事業者が提供するWAN(Wide Area Network)等が挙げられる。尚、周囲端末30がネットワークNWに接続する手段は上記に限定されず、周囲端末30がインターネット接続網に接続されていればよい。
【0028】
サーバ装置であるサーバ40は、周囲端末30が送信した端末位置関連情報をネットワークNWを介して受信し、当該端末位置関連情報に基づいて複数の小型端末20A~20Dの位置を特定して時系列順に複数の小型端末20A~20Dの各々の位置を保存するデータサーバである。
【0029】
サーバ40は、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて周囲端末30が送信する端末位置関連情報の受信が可能になっている。また、受信した端末位置関連情報に含まれる周囲端末30の各々が小型端末20Aからデータフレームを受信した時の受信時刻、受信位置、受信電界レベルに基づいて複数の小型端末20A~20Dの位置を特定する。また、特定した複数の小型端末20A~20Dの各々の位置を時系列順に保存する。また、端末位置関連情報に含まれる小型端末20AのSSIDに含まれる緊急フラグが緊急事態を示している場合、サーバ40は、例えば、複数の小型端末20A~20Dの各々の保有者H1~H4がそれぞれ在席する学校SC又は特定した位置の近隣の警察署PS等の関係機関に緊急連絡を実施する。
【0030】
取得端末としての保護者端末50は、例えば、自宅HMに設置され、複数の小型端末20A~20Dの各々の保有者H1~H4のいずれかの家族等が所持する端末である。保護者端末50は、ネットワークNWを介してサーバ40にアクセスし、サーバ40が特定した小型端末20A~20Dのいずれかの位置を取得可能に構成されている。尚、保護者端末50は、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種に限定されず、インターネット接続網であるネットワークNWに接続可能であり、サーバ40にアクセス可能であればよい。
【0031】
図2は、本願の実施例に係る小型端末20の構成を示す図である。
【0032】
小型端末20は、他の小型端末20に向けて自身の端末情報をBLEで発信する端末間通信発信部21と、他の小型端末20からのBLEで他の小型端末20の端末情報を取得する端末間通信取得部23と、自身の端末情報及び端末間通信取得部23が取得した端末情報を記憶するデータ共有部24と、データフレームの生成を行うデータフレーム生成部25と、当該生成したデータフレームをブロードキャストするデータフレーム発信部27と、保有者Hが緊急事態であることを知らせる緊急認識部29と、を有する。
【0033】
第1の情報送信部としての端末間通信発信部21は、自身の小型端末20の保有者を特定する自個別ID、当該自身の小型端末20の稼働状態としての電池残量、当該自身の小型端末20がブロードキャストを行っているかの情報を含むBLEデータを生成して当該BLEデータを他の小型端末20に向けて発信する。尚、BLEデータを発信する時間間隔は任意に設定可能である。例えば、端末間通信発信部21は、連続的、断続的又は間欠的にBLEデータを発信する。具体的には、例えば、BLEデータの発信は随時行われもよいし、5分おき等に固定間隔で行われてもよい。また、端末間通信発信部21は、小型端末20の電池残量に応じてBLEデータを発信する時間間隔を自動で変更してもよい。
【0034】
情報受信部としての端末間通信取得部23は、BLEの通信範囲で他の小型端末20が発信しているBLEデータを取得し、当該BLEデータに含まれる他の小型端末20の保有者を特定する他個別ID、当該他の小型端末20の稼働状態としての電池残量、当該他の小型端末20がブロードキャストを行っているかの情報を取得する。端末間通信取得部23は、当該取得した情報をデータ共有部24に供給する。尚、端末間通信取得部23のBLEデータの取得間隔は任意に設定可能である。例えば、端末間通信取得部23は、連続的、断続的又は間欠的にBLEデータの取得を行う。具体的には、例えば、BLEデータの取得は随時行われもよいし、5分おき等に固定間隔で行われてもよい。また、端末間通信取得部23は、小型端末20の電池残量に応じてBLEデータを取得する時間間隔を自動で変更してもよい。
【0035】
データ共有部24は、自身の小型端末20の端末情報である自個別ID、電池残量及び自身がブロードキャストを行っているかの情報と、端末間通信取得部23が取得したBLEデータに含まれる他の小型端末20の小型端末20の他個別ID、電池残量及び当該他の小型端末20がブロードキャストを行っているかの情報が記録される。
【0036】
データフレーム生成部25は、データ共有部24に記録された自身及び他の小型端末20の電池残量において、自身の小型端末20の電池残量が最も多いと判断した場合、ブロードキャストするデータフレームを生成する。具体的には、位置特定システム10を利用することを示すサービスID、自個別ID、他個別ID及び自身又はBLEで取得した他の小型端末20の保有者のいずれかが緊急事態であることを知らせる緊急フラグを含むようなSSIDを生成し、当該SSIDを含むデータフレームを生成してデータフレーム発信部27に供給する。すなわち、データフレーム生成部25が生成するデータフレームは、小型端末20がアクセスポイントとして動作することを示す態様で生成される。なお、電池残量が同じ場合には、個別IDを数値化して比較し、数値が高い方がアクセスポイントとなるようにしてもよい。
【0037】
また、データフレーム生成部25は、データ共有部24に記録された自身及び他の小型端末20の電池残量において、自身の小型端末20の電池残量が最も多いと判断されない場合、データフレーム生成部25及びデータフレーム発信部27の処理を停止し、データフレームのブロードキャストを停止する。
【0038】
第2の送信部としてのデータフレーム発信部27は、データフレーム生成部25が生成したデータフレームを周囲にブロードキャストする。尚、ブロードキャストする時間間隔は任意に設定可能である。例えば、データフレーム発信部27は、連続的、断続的又は間欠的にデータフレームをブロードキャストする。具体的には、例えば、ブロードキャストは随時行われもよいし、5分おき等に固定間隔で行われてもよい。また、データフレーム発信部27は、小型端末20の電池残量に応じてブロードキャストする時間間隔を自動で変更してもよい。
【0039】
緊急認識部29は、例えば、BLEで情報を共有する小型端末20の保有者のいずれかが緊急事態に陥った際又は危険を察知した際に小型端末20に備えられたボタンを押す又は紐を引っ張る等の動作がなされたことをして、当該保有者に緊急事態が発生したことを認識する。緊急認識部29は、緊急事態を認識すると自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末20である場合、データフレーム生成部25に緊急フラグが緊急事態を示すようにデータフレームを生成するように指令する。また、自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末20ではない場合、BLEデータに含まれる緊急フラグが緊急事態を示すようにBLEデータを生成して当該BLEデータを発信する。
【0040】
また、この時、緊急事態が発生した小型端末20又は緊急事態を示す緊急フラグを含むBLEデータを取得した小型端末20は、データフレーム発信部27に当該データフレームを常時発信させ続けるように指令してもよい。また、データフレームの発信に併せて、図示しないスピーカを介して大音量でアラームを鳴らして危険を周囲に通知するようにしてもよい。
【0041】
換言すれば、他の小型端末20に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の電池残量を含む情報をBLEで送信する端末間通信発信部21と、他の小型端末20から他の小型端末20の保持者を特定する他個別ID及び他の小型端末20の電池残量をBLEで受信する端末間通信取得部23と、自個別ID及びSSIDを含むデータフレームをBLEよりも電力消費量が多い無線LANでブロードキャストするデータフレーム発信部27と、を含み、データフレーム発信部27は、自身の電池残量と他の端末の電池残量とに基づいて、無線LANでのデータフレームに他個別IDを加えてブロードキャストする。
【0042】
また、他の端末に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の電池残量を含む情報をBLEで送信する端末間通信発信部21と、他の小型端末20から他の小型端末20の保持者を特定する他個別ID及び他の小型端末20の電池残量をBLEで受信する端末間通信取得部23と、自個別ID及びSSIDを含むデータフレームをBLEよりも電力消費量が多い無線LANでブロードキャストするデータフレーム発信部27と、を含み、データフレーム発信部27は、自身の電池残量と他の小型端末20の電池残量とに基づいて、無線LANでのデータフレームのブロードキャストを開始又は停止する。
【0043】
図3は、本願の実施例に係る小型端末20の共有データSDの例を示す図である。
【0044】
共有データSDには、例えば、BLEデータを通信している小型端末20の各々の個別ID、電池残量及び小型端末20の各々がデータフレームをブロードキャスト状況の情報が含まれる。
【0045】
個別IDは、小型端末20の各々に付与された固有のIDである。個人IDは、位置特定システム10に登録することにより保有者Hの個人情報と紐付けされて個別IDから保有者Hを特定することが可能となる。尚、個別IDにおいては、BLE及びSSIDに使用可能な文字種81種で5文字使用している故、約30億人分を定義可能である。
【0046】
電池残量は、BLEデータを通信している小型端末20の各々のバッテリー残量を示している。小型端末20は、共有データSDに記録された電池残量に基づいてデータフレームをブロードキャストするか否かを判定する。具体的には、共有データSDに記録された電池残量において自身の電池残量が最も多いと判定された場合に、自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末20であると判定する。
【0047】
ブロードキャスト状況は、BLEデータを通信している小型端末20の各々がデータフレームをブロードキャストしているかを示す。いずれの小型端末20もデータフレームをブロードキャストしていない又は複数の小型端末20がデータフレームをブロードキャストしている場合は、電池残量に基づいて自身がデータフレームをブロードキャストするかを判定する。
【0048】
図4は、本願の実施例に係る小型端末20が生成するデータフレームに含まれるSSIDのデータ構造の例を示す図である。当該SSIDは、データフレーム生成部25が共有データSDにおいて自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末20であると判定した場合にデータフレームを生成する。
【0049】
データフレームは、例えば、IEEE802.11通信規格に準拠したビーコンフレームとして生成される場合、最大32文字のSSIDと小型端末20のMACアドレスを含む態様で構成される。本実施例においては、データフレームに含まれるSSIDは、例えば、位置特定システム10を利用していることを示すサービスIDヘッダHE、BLEデータを通信している小型端末20の各々の保有者を特定する個別IDデータ列ID、保有者のいずれかが緊急事態であることを知らせる緊急フラグSF、予備フラグRF及び各要素を区分けするアンダーバーEで構成される。
【0050】
図4に示す例においては、サービスIDヘッダHEに3文字、自身の個別IDデータIDAに5文字、緊急フラグSFに1文字、アンダーバーEに計3文字及び予備フラグRFに20文字となる。
【0051】
個別IDデータ列IDは、共有データSDの自身を含む個別IDが連続して記載されるように生成される。具体的には、まず自身の個別IDデータIDAが生成され、それに連続して2台目の個別IDデータIDB、3台目の個別IDデータIDCとなるように生成される。尚、SSIDの文字数は最大32文字である故、2台目の個別IDデータIDB以降の他の小型端末20の個別IDは予備フラグRFの文字数を減らして生成される。また、本実施例においては、データフレームとしてブロードキャスト可能な小型端末20の数は自身も含めて最大5台となる。6台以上の小型端末20がBLEデータで共有されていた場合、時分割して自身及び2~5台目の小型端末20の個別IDを含むSSIDを生成してブロードキャストした後、自身及び6台目以降の小型端末20の個別IDを含むSSIDを生成してブロードキャストしてもよい。
【0052】
尚、本実施例においては、データフレームをブロードキャストする第2の通信方式にIEEE802.11通信規格を採用し、当該通信規格に準拠した最大32文字のSSIDを有するデータフレームについて説明するが、データフレームの通信規格はこれに限定されない。例えば、データフレームをブロードキャストする第2の通信方式にBLEを採用する際は、Bluetooth(登録商標)デバイス名に上記の情報を含ませたデータフレームを生成すればよい。また、他の通信規格のデータフレームを用いた場合においても、小型端末20のデバイス名等に上記の情報を含ませたデータフレームを生成すればよい。
【0053】
換言すれば、データフレームには、小型端末20のアクセスポイントとしての識別子を示すSSIDを有し、SSIDに自個別ID及び他個別IDが含まれている。
【0054】
また、データフレームには、SSIDに自身の保持者又は他の小型端末20の保持者のいずれかが緊急事態にあるか否かを示す緊急フラグの情報が含まれている。
【0055】
また、データフレームには、ブロードキャストする小型端末20のMACアドレスが含まれている。
【0056】
図5は、本願の実施例に係る小型端末20がデータフレームをブロードキャストする情報送信フローRT1である。情報送信フローRT1は、小型端末20が起動している間において繰り返し実行される。また、情報送信フローRT1の繰り返しは、随時繰り返し実行されてもよい。また、繰り返し間隔が5分おき等に固定に設定されてもよいし、小型端末20の電池残量に応じて自動で設定されてもよい。
【0057】
まず、第1の送信ステップとして、端末間通信発信部21は、自身の小型端末20の個別ID、電池残量及び自身がデータフレームをブロードキャストしているかのBLEデータをBLEで周囲に発信する(ステップS101)。
【0058】
次に、受信ステップとして、端末間通信取得部23は、他の小型端末20からBLEで当該他の小型端末20の個別ID、電池残量及び自身がデータフレームをブロードキャストしているかのBLEデータを受信可能なような待機状態となる(ステップS102)。
【0059】
次に、端末間通信取得部23は、他の小型端末20からBLEデータを受信したかを判定する(ステップS103)。
【0060】
ステップS103において、他の小型端末20からBLEデータを受信したと判定されない場合(ステップS103:No)、データフレーム生成部25は、周囲に他の小型端末20がないと判断し、自身の個別IDのみを含んだデータフレームを生成する(ステップS104)。尚、この処理は所定時間他の小型端末20からのBLEデータの受信がなかったことをして判定されてもよい。
【0061】
次に、第2の送信ステップとして、データフレーム発信部27は、データフレーム生成部25が生成したデータフレームを周囲にブロードキャストする(ステップS105)。
【0062】
また、ステップS103において、他の小型端末20からBLEデータを受信したと判定された場合(ステップS103:Yes)、端末間通信取得部23は、取得したBLEデータをデータ共有部24に記録する(ステップS106)。
【0063】
次に、データフレーム生成部25は、データ共有部の共有データSDを読み出して自身及びBLEデータで取得した他の小型端末20のうち、自身の電池残量が最も多いかを判定する(ステップS107)。
【0064】
ステップS107において、自身の電池残量が最も多いと判定されない場合(ステップS107:No)、データフレーム生成部25は、自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末でないと判断し、ステップS101の処理に戻る。
【0065】
また、ステップS107において、自身の電池残量が最も多いと判定された場合(ステップS107:Yes)、データフレーム生成部25は、自身がデータフレームをブロードキャストする小型端末であると判断し、自身及び共有データSDに記録された他の小型端末20の個別IDを含むデータフレームを生成する(ステップS108)。
【0066】
次に、第2の送信ステップとして、データフレーム発信部27は、データフレーム生成部25が生成したデータフレームを周囲にブロードキャストする(ステップS109)。
【0067】
次に、データフレーム生成部25は、共有データSDに記録された全ての個別IDがデータフレームでブロードキャストされたかを判定する(ステップS110)。
【0068】
ステップS110において、共有データSDに記録された全ての個別IDがデータフレームでブロードキャストされたと判定された場合(ステップS110:Yes)、データフレーム生成部25は、情報送信フローRT1を終了する。
【0069】
また、ステップS110において、共有データSDに記録された全ての個別IDがデータフレームでブロードキャストされたと判定されない場合(ステップS110:No)、データフレーム生成部25は、ステップS108の処理に戻り、自身及びデータフレームでブロードキャストされていない個別IDを再度生成する。
【0070】
上記処理を実行することで、小型端末20がBLEで他の小型端末20の端末情報の共有をし、データフレームをブロードキャストすることが可能となる。
【0071】
換言すれば、小型端末20が自身の保持者を特定する自個別ID及び他の小型端末20の保持者を特定する他個別IDを含む情報を送信する情報送信方法であって、他の小型端末20に自身の保持者を特定する自個別ID及び自身の電池残量を含む情報をBLEで送信する第1の送信ステップと、他の小型端末20から他の小型端末20の保持者を特定する他個別ID及び他の小型端末20の電池残量をBLEで受信する受信ステップと、自個別ID及びSSIDを含むデータフレームをBLEよりも電力消費量が多い無線LANでブロードキャストする第2の送信ステップと、を含み、第2の送信ステップは、自身の電池残量と他の小型端末20の電池残量とに基づいて、無線LANでのデータフレームに他個別IDを加えてブロードキャストする。
【0072】
図6は、本願の実施例に係る周囲端末30の構成を示す図である。
【0073】
周囲端末30は、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを取得するデータフレーム取得部31と、当該データフレームから必要な情報を抽出し且つ周囲端末30のデータフレーム受信状態の情報を付加して端末位置関連情報を生成する位置関連情報生成部33と、当該端末位置関連情報をネットワークNWを介してサーバ40に送信する位置関連情報送信部35と、を有する。
【0074】
データフレーム取得部31は、周囲端末30の周囲にアクセスポイントがあるかを確認する。小型端末20がブロードキャストするアクセスポイントを示すデータフレームを認識すると当該データフレームを取得して位置関連情報生成部33に供給する。また、当該データフレームを取得した際の受信時刻及び受信電界レベルを位置関連情報生成部33に供給する。尚、周囲端末30が周囲にアクセスポイントがあるかの確認は任意に設定可能である。周囲端末30が随時データフレームの受信状況を確認するように設定されていてもよい。また、確認する時間間隔を周囲端末30の所持者が設定してもよいし、5分おき等に固定に設定されてもよいし、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種によって自動で設定されてもよい。
【0075】
位置関連情報生成部33は、データフレーム取得部31が取得したデータフレームから小型端末20のSSIDを含む必要な情報を抽出する。また、抽出した情報に対して、データフレーム取得部31から供給されたデータフレームを受信した時の受信時刻、受信電界レベル及び周囲端末30の受信位置の情報を付与し、端末位置関連情報を生成して位置関連情報送信部35に供給する。
【0076】
位置関連情報送信部35は、位置関連情報生成部33が生成した端末位置関連情報を自身が接続しているネットワークNWを介してサーバ40に送信する。
【0077】
図7は、本願の実施例に係る周囲端末30が生成する端末位置関連情報PDの例を示す図である。
【0078】
端末位置関連情報PDには、端末位置関連情報PDを生成及び送信した周囲端末30の情報であるデータフレームの取得時間AT、取得位置AP、周囲端末30の端末種を示すTTが含まれる。
【0079】
取得位置APは、端末からデータフレームを受信した際の周囲端末30の位置であり、例えば、GPS等による緯度経度情報である。尚、位置情報は緯度経度に限定されない。例えば、取得位置APは、周囲端末30が設置されている住居又は店舗の住所、マンション名又は店舗名等の住所を特定できる施設名称でもよい。また、取得位置APは、PCの場合は、予め周囲端末30の所持者が設定してもよいし、インターネットに接続している時のIPアドレス、周囲端末30と接続している異なる機器から自動で取得されていてもよい。また、GPS機能を搭載したラップトップ型PC、スマートフォン又はタブレット端末の場合は、GPS機能と連動して自動で緯度経度が取得されてもよい。
【0080】
端末種別TTは、例えば、周囲端末30の端末の種別を示す。具体的には、デスクトップ型PC、ラップトップ型PC、スマートフォン又はタブレット端末等を示していてもよい。また、周囲端末30がGPS機能を有するか否か又は取得位置APがGPS機能と連動して得られた位置かあるいは所持者によって手入力されたものかを判別できるような態様でもよい。また、単に移動端末か固定端末かの情報であってもよい。
【0081】
尚、本実施例においては、周囲端末30が個別IDとしてaaaaa、bbbbb、ccccc、ddddd、eeeee、fffff及びgggggの7台の小型端末20を含む第1のグループと、個別IDとして11111、22222、及び33333の3台の小型端末20を含む第2のグループとのデータフレームを同時刻又は所定の時間幅内に取得した場合について説明する。また、データフレームをブロードキャストする小型端末20は、第1のグループにおいては個別IDにaaaaaを有する小型端末20であり、第2のグループにおいては個別IDに11111を有する小型端末20である場合について説明する。
【0082】
端末位置関連情報PDは、周囲端末30が取得した複数の小型端末20の情報が含まれる。例えば、周囲端末30が取得した第1のグループの小型端末20の第1のデータフレームに含まれる第1のSSIDデータSI1、第1のデータフレームの受信電界レベルRL1及び第1のMACアドレスMA1の第1の小型端末情報を第1のデータフレームから抽出して上記の周囲端末30の情報の後に付与する。
【0083】
また、第1のグループにおいては時分割で2回のデータフレームがブロードキャストされる。従って、第1のデータフレームに含まれる第1のSSIDデータSI1の個別IDデータ列IDには、データフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDを含むaaaaa~eeeeeの5台の小型端末20の個別IDが含まれる。
【0084】
また、周囲端末30は、第1のグループの2回目のデータフレームである第2のデータフレームを取得し、上記に続けて第2のデータフレームに含まれる第2のSSIDデータSI2、第2のデータフレームの受信電界レベルRL2及び第2のMACアドレスMA2の情報を第2のデータフレームから抽出して第1の小型端末情報の後に付与する。第2のデータフレームに含まれる第2のSSIDデータSI2の個別IDデータ列IDには、データフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDを含むaaaaa、fffff及びgggggの3台の小型端末20の個別IDが含まれる。また、この時、2回目のデータフレームの受信電界レベルRL2及び第2のMACアドレスMA2は1回目のデータフレームの受信電界レベルRL1及び第1のMACアドレスMA1と同一である。
【0085】
また、同時刻に取得した第2のグループの複数の小型端末20がブロードキャストしたデータフレームに含まれる第3のSSIDデータSI3、第3のデータフレームの受信電界レベルRL3及び第3のMACアドレスMA3の情報を第3のデータフレームから抽出して上記の第2のMACアドレスMA2の後に付与する。尚、周囲端末30が第1、第2及び第3のデータフレームの各々を同時に取得したとみなす上記の所定の時間幅は、任意に設定可能である。例えば、第1のデータフレームを受信してから10秒間の間等の固定の時間幅でもよいし、周囲端末30がデータフレームの受信状況を確認する時間間隔の間でもよい。
【0086】
周囲端末30が取得した全ての小型端末20の情報を生成した後、データ終端を示すEOF(End Of File)データを終端に付与して端末位置関連情報PDを生成する。
【0087】
図8は、本願の実施例に係る周囲端末30が端末位置関連情報PDを送信する位置関連情報送信フローRT2である。位置関連情報送信フローRT2は、周囲端末30が起動している間又は位置特定システム10を利用可能にするアプリケーションソフトウェアがインストールされている間において繰り返し実行される。また、位置関連情報送信フローRT2の繰り返しは、上述の通り随時繰り返し実行されてもよい。また、繰り返し間隔を周囲端末30の所持者が設定してもよいし、5分おき等に固定に設定されてもよいし、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種によって自動で設定されてもよい。
【0088】
まず、データフレーム取得部31は、小型端末20からデータフレームを受信可能なような待機状態となる(ステップS201)。
【0089】
次に、データフレーム取得部31は、小型端末20からデータフレームを受信したかを判定する(ステップS202)。
【0090】
ステップS202において、小型端末20からデータフレームを受信したと判定されない場合(ステップS202:No)、データフレーム取得部31は、ステップS201の処理に戻り、ステップS201及びステップS202が繰り返し実行される。
【0091】
また、ステップS202において、小型端末20からデータフレームを受信したと判定された場合(ステップS202:Yes)、データフレーム取得部31は、受信した当該データフレームと、当該データフレームを受信した時の取得時間AT及び受信電界レベルRLとを位置関連情報生成部33に供給する(ステップS203)。
【0092】
次いで、位置関連情報生成部33は、供給された取得時間AT、自身に設定されている又はGPS携帯から自動取得された取得位置AP、自身の端末種別TT、受信したデータフレームから抽出した小型端末20のSSID及び小型端末20のMACアドレスの情報を有する端末位置関連情報PDを生成する(ステップS204)。
【0093】
次いで、位置関連情報生成部33は、データフレーム取得部31が同時刻又は所定の時間幅内において取得した全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれているかを判定する(ステップS205)。
【0094】
ステップS205において、全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれていると判定されない場合(ステップS205:No)、位置関連情報生成部33は、ステップS204の処理を再度実行し、生成した端末位置関連情報PDの後に次の小型端末20の情報を付与する。
【0095】
ステップS205において、全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれていると判定された場合(ステップS205:Yes)、位置関連情報生成部33は、端末位置関連情報PDにデータ終端を示すEOFデータを終端に付与し、当該端末位置関連情報PDを位置関連情報送信部35に供給する。その後、端末位置関連情報送信ステップとして、位置関連情報送信部35は、供給された端末位置関連情報PDをネットワークNWを介してサーバ40に送信する(ステップS206)。
【0096】
上記処理により、周囲端末30は、小型端末20が発信するデータフレームを受信して端末位置関連情報PDを生成し、当該端末位置関連情報PDをサーバ40に送信する。
【0097】
図9は、本願の実施例に係るサーバ40の構成を示す図である。
【0098】
サーバ40は、周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得する位置関連情報取得部41と、端末位置関連情報PDに基づいて複数の小型端末20の各々の位置を特定する位置特定部43と、端末位置関連情報PDと位置特定部43が特定した複数の小型端末20の各々の位置を時系列順に保存する記憶部45と、端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正な情報であるかを判定する情報判定部47と、端末位置関連情報PDに含まれる複数の小型端末20のいずれかの緊急フラグSFが緊急事態を示す場合に関係機関に緊急連絡を行う緊急連絡部49と、を有する。
【0099】
位置関連情報取得部41は、ネットワークNWを介して周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得して位置特定部43、記憶部45、情報判定部47及び緊急連絡部49に供給する。
【0100】
位置特定部43は、位置関連情報取得部41から供給された端末位置関連情報PDに基づいて複数の小型端末20の各々の位置を特定する。具体的には、1のグループの小型端末20に対して1の周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得した場合、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20のSSIDの個別IDデータ列IDから複数の小型端末20の各々の保有者を特定し且つ、端末位置関連情報PDに含まれる1の周囲端末30のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、周囲端末30のデータフレームの取得位置APからデータフレームの受信電界レベルRLに対応した半径距離に複数の小型端末20があると特定する。また、1のグループの小型端末20に対して所定の時間幅内で複数の周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得した場合、複数の端末位置関連情報PDに含まれる複数の周囲端末のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、複数の周囲端末30のデータフレームの取得位置APの各々から複数のデータフレームの受信電界レベルRLの各々に対応した半径距離の範囲が重なり合う地点に複数の小型端末20があると特定した位置特定情報を生成する。位置特定部43は、1のグループの小型端末20の各々の個別IDに対して当該位置特定情報を記憶部45に供給する。
【0101】
記憶部45は、位置関連情報取得部41から供給された端末位置関連情報PD及び位置特定部が特定した1のグループの小型端末20の各々の個別IDに対する位置特定情報を時系列順に保存する。
【0102】
情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正な情報であるかを判定する。具体的には、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDとMACアドレスに対して、予め記憶部45に記憶されている位置特定システム10に利用登録されている小型端末20の個別IDとMACアドレスが紐付けされている登録情報とを比較する。具体的には、端末位置関連情報PDに含まれるSSIDの個別IDデータ列IDの先頭5文字の個別IDとMACアドレスと記憶部45に記録されている登録情報とを比較する。
【0103】
情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDとMACアドレス及び登録情報の登録個別IDと登録MACアドレスに食い違いがあった場合、特に、端末位置関連情報PDに含まれる情報が登録個別IDに対して登録MACアドレスとは異なるMACアドレスを有していると検出された場合に、当該登録情報と異なるMACアドレスを含むデータフレームをブロードキャストした小型端末20をなりすまし端末として判定する。情報判定部47は、当該なりすまし端末をブラックリストとして記憶部45に登録して記憶部45から当該なりすまし端末の端末位置関連情報PD及び位置特定部43が特定した位置特定情報を削除する。また、情報判定部47は、位置特定部43に対して、以降に取得する端末位置関連情報PDに当該なりすまし端末のMACアドレスが含まれていた場合、当該なりすまし端末の位置の特定を無視するように指令してもよい。
【0104】
また、サーバ40は、予め記録された登録個別IDと登録MACアドレスを含む登録情報を取得する情報判定部47を有し、端末位置関連情報PDは、小型端末20の端末MACアドレスを含み、端末位置関連情報PDが登録個別IDと同一の個別IDを含む端末位置関連情報PDを受信した場合、情報判定部47は、適正判定において、当該端末位置関連情報PDに含まれる端末MACアドレスが登録MACアドレスと異なる場合に端末位置関連情報PDが適正な情報でないと判定する。
【0105】
また、情報判定部47は、所定の時間幅内で取得した複数の端末位置関連情報PDに基づいてそれぞれ特定した位置特定情報に対して、小型端末20のデータフレームをブロードキャストする通信範囲外の位置が検出された場合には、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30に対して登録された住所の確認を促す。
【0106】
緊急連絡部49は、端末位置関連情報PDに含まれる1のグループの小型端末20の緊急フラグSFのデータから、1のグループの小型端末20が緊急事態であるかを判定する。情報判定部47は、1のグループの小型端末20が緊急事態であると判定した場合、1のグループの小型端末20の各々の保有者が在席している学校SC、特定された位置の最寄りの警察署PS及び各々の保有者の保護者端末並びに保護者緊急連絡先等に緊急連絡を行う。
【0107】
図10は、本願の実施例に係るサーバ40の位置特定部43が小型端末20の位置を特定する様子を例示した図である。
【0108】
本実施例においては、
図7で示した個別IDとしてaaaaa、bbbbb、ccccc、ddddd、eeeee、fffff及びgggggの7台の小型端末20を含む第1のグループの小型端末20の位置を特定する場合について説明する。
【0109】
周囲端末30Aは、第1のグループの小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル65%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Aのある住居NHから受信電界レベル65%に対応する半径DAの範囲RA内に小型端末20があると判定する。
【0110】
また、周囲端末30Bは、第1のグループの小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル85%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Bのある店舗NSから受信電界レベル85%に対応する半径DBの範囲RB内に小型端末20があると判定する。
【0111】
また、周囲端末30Cは、第1のグループの小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル40%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Cを所持する歩行者Pから受信電界レベル40%に対応する半径DCの範囲RC内に小型端末20があると判定する。
【0112】
位置特定部43は、上記の3の位置が特定された範囲RA、RB及びRCから、それぞれの範囲が重なり合う図中斜線の範囲OPに第1のグループの小型端末20及びその各々の保有者が位置すると判定し、各々の個別IDに対して範囲OPを位置特定情報として生成する。
【0113】
図11は、本願の実施例に係る情報判定部47が端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【0114】
本実施例においては、第1のグループの小型端末20がブロードキャストしたデータフレームを住居NH1及びNH2に設置されている周囲端末30D及び30Eが受信した場合について説明する。また、この時、周囲端末30D及び30Eにおいてはデスクトップ型のPCであり所持者自身が取得位置APを設定する場合について説明する。
【0115】
まず、住居NH2に設置される周囲端末30Eが設定している住所が番地違い等の比較的近距離である周囲端末30E1の位置に誤入力されていた場合について説明する。
【0116】
第1のグループの小型端末20がデータフレームをブロードキャストして周囲端末30D及び30Eがそれを受信し、それぞれが端末位置関連情報PDをネットワークNWを介してサーバ40に送信した。周囲端末30Dが送信する端末位置関連情報PDには正しい住所を示す取得位置APDが含まれる。しかし、周囲端末30Eが送信する端末位置関連情報PDには誤った住所である周囲端末30E1を示す取得位置APE1が含まれる。
【0117】
情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eの各々から送信された端末位置関連情報PDに含まれる受信位置から周囲端末がそれぞれ30D及び30E1の位置にあると判定する。情報判定部47は、周囲端末30Dと30E1との2点間の距離を算出し、当該距離が所定の距離、例えば、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離以下であれば第1のグループの小型端末20の位置に大きな変化がないと判定し、取得位置APD及びAPE1を含む端末位置関連情報PDの各々と、当該端末位置関連情報PDに基づいて生成した位置特定情報をそのまま記憶部45に記録させる。
【0118】
次に、住居NH2に設置されている周囲端末30Eが設定している住所が大きくかけ離れた遠距離である周囲端末30E2の位置に誤入力されていた場合について説明する。
【0119】
情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eの各々から送信された端末位置関連情報PDに含まれる受信位置から周囲端末がそれぞれ30D及び30E2の位置にあると判定する。情報判定部47は、周囲端末30Dと30E2との2点間の距離を算出し、当該距離が所定の距離、例えば、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離以上であれば周囲端末30D及び30Eの取得位置APD又はAPE2のいずれかに誤りがあると判定する。この場合、情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行う。
【0120】
尚、周囲端末30に登録されている住所に誤りがあると判定する所定の距離は、任意に設定可能である。本実施例においては、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離を判定閾値としたが、複数の周囲端末30から取得したデータフレームの受信電界レベルから予測される小型端末20の位置に重なりがあるか否かを検出して判定してもよい。
【0121】
図12は、本願の実施例に係る情報判定部47が複数の端末種から送信された端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【0122】
図11と同様に、第1のグループの小型端末20がブロードキャストしたデータフレームを住居NH1及びNH2に設置されている周囲端末30D及び30Eが受信し且つ、周囲端末30Eが設定している住所が大きくかけ離れた遠距離である周囲端末30E2の位置に誤入力されていた場合について説明する。加えて、歩行者PがGPS機能を有するスマートフォンである周囲端末30Fを所持しており且つ、周囲端末30FがGPS機能から自動で取得した取得位置APF含む端末位置関連情報PDを送信している場合について説明する。
【0123】
サーバ40は、ネットワークNWを介して正しい住所を示す取得位置APD、誤った住所を示す取得位置APE2及びGPS機能で自動取得された取得位置APFを含む3の端末位置関連情報PDを取得する。
【0124】
図9の説明と同様に、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2又は30Fの取得位置APD、APE2又はAPFのいずれかに誤りがあると判定する。
【0125】
この時、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2及び30Fの3の取得位置APD、APE2又はAPFから唯一遠距離に位置している取得位置APE2の位置に誤りがあると判定し、周囲端末30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行う。
【0126】
また、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2又は30Fが送信した端末位置関連情報PDの各々に含まれる端末種別TTを参照し、GPS機能と連動して自動で位置情報を取得した周囲端末30Fの取得位置APFの情報が最も信頼度が高いと判定して周囲端末30D及び30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行ってもよい。
【0127】
また、情報判定部47は、GPS機能と連動して自動で位置情報を取得した周囲端末30Fの取得位置APFの情報が最も信頼度が高いと判定し、GPS機能を有さない周囲端末30D及び30Eの端末位置関連情報PDを除外してもよい。
【0128】
図13は、本願の実施例に係るサーバ40が位置特定情報を生成して保存する位置特定情報生成フローRT3である。位置特定情報生成フローRT3は、サーバ40が稼働している間は繰り返し実行される。
【0129】
まず、位置関連情報取得部41は、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信可能なような待機状態となる(ステップS301)。
【0130】
次に、位置関連情報取得部41は、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したかを判定する(ステップS302)。
【0131】
ステップS302において、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したと判定されない場合(ステップS302:No)、位置関連情報取得部41は、ステップS301の処理に戻り、ステップS301及びステップS302が繰り返し実行される。
【0132】
また、ステップS302において、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したと判定された場合(ステップS302:Yes)、位置関連情報取得部41は、受信した端末位置関連情報PDを位置特定部43、記憶部45、情報判定部47及び緊急連絡部49に供給する。また、位置特定部43は、供給された端末位置関連情報PDに含まれる個別IDデータ列IDから複数の小型端末20の各々の保有者を特定し且つ、端末位置関連情報PDに含まれる周囲端末30のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、データフレームをブロードキャストした小型端末20の位置を特定して複数の小型端末20の各々の個別IDに対して位置特定情報を生成する(ステップS303)。
【0133】
次いで、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDデータとMACアドレスを抽出し、記憶部45に記録されている登録データから当該個別IDに対応するMACアドレスを読み出し、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDデータとMACアドレスの対応が登録データと合致しているかを判定する(ステップS304)。
【0134】
ステップS304において、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDデータとMACアドレスの対応が登録データと合致していると判定されない場合(ステップS204:No)、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれるMACアドレスの小型端末20をなりすまし端末と判定し、当該MACアドレスの端末位置関連情報PD及びステップS303で生成した位置特定情報を記憶部45から削除する(ステップS305)。
【0135】
次いで、情報判定部47は、当該MACアドレスをブラックリストとして記憶部45に記録する(ステップS306)。また、情報判定部47は、位置特定部43に対して、以降に取得する端末位置関連情報PDに当該なりすまし端末のMACアドレスが含まれていた場合、当該なりすまし端末の位置の特定を無視するように指令してもよい。
【0136】
また、ステップS304において、端末位置関連情報PDに含まれるデータフレームをブロードキャストした小型端末20の個別IDデータとMACアドレスの対応が登録データと合致していると判定された場合(ステップS304:Yes)、情報判定部47は、所定の時間幅内で取得した複数の端末位置関連情報PDに基づいてそれぞれ特定した位置特定情報に対して、当該複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいかを判定する(ステップS307)。
【0137】
ステップS307において、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいと判定された場合(ステップS307:Yes)、情報判定部47は、受信した端末位置関連情報PD及びステップS303で生成した複数の小型端末20の各々の個別IDに対する位置特定情報を記憶部45に記録する(ステップS308)。
【0138】
また、ステップS307において、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいと判定されない場合(ステップS307:No)、情報判定部47は、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれているかを判定する(ステップS309)。
【0139】
ステップS309において、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれていると判定されない場合(ステップS309:No)、情報判定部47は、受信した複数の端末位置関連情報PD及びステップS303で生成した位置特定情報を破棄する(ステップS310)。
【0140】
次いで、情報判定部47は、当該複数の端末位置関連情報PDを送信した各々の周囲端末30に対して、周囲端末30の各々に設定されている取得位置APの情報が誤っている場合補正をするよう要求する連絡を行う(ステップS311)。
【0141】
また、ステップS309において、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれていると判定された場合(ステップS309:Yes)、情報判定部47は、GPS機能によって取得された取得位置APの情報が最も信頼度が高いと判断し、GPS機能によって取得された端末位置関連情報PD及びステップS303で生成した位置特定情報以外の当該情報を破棄する(ステップS312)。
【0142】
次いで、情報判定部47は、複数の端末位置関連情報PDを送信した各々の周囲端末30のうちGPS機能を有さない周囲端末に対して、周囲端末30の各々に設定されている取得位置APの情報が誤っている場合補正をするよう要求する連絡を行う(ステップS313)。
【0143】
次いで、情報判定部47は、ステップS312で破棄しなかった端末位置関連情報PD及びステップS303で生成した複数の小型端末20の各々の個別IDに対する位置特定情報を記憶部45に記録する(ステップS308)。
【0144】
上記処理により、サーバ40は、周囲端末30から受信した端末位置関連情報PDから適正な情報のみを選定し正確な位置特定情報のみを生成及び保存することが可能となる。
【0145】
本実施例によれば、複数台集合している小型端末20の間で第1の通信方式により端末情報を共有し、複数の小型端末20のうち1台が代表して第2の通信方式でデータフレームをブロードキャストすることにより、第2の通信方式の電波が干渉し合うことなく適切に情報を周囲端末30に送信することが可能となる。
【0146】
本実施例においては、小型端末20が第1の通信方式としてBLEにより複数の小型端末20の間で端末情報を共有する場合について説明したが、複数の小型端末20が端末情報を共有する通信方式はこれに限定されない。第1の通信方式は、小型端末間で情報を送受信するD2D(Device To Device)通信の態様であればよい。
【0147】
また、本実施例においては、小型端末20が第2の通信方式としてIEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームをブロードキャストする場合について説明したが、小型端末20がブロードキャストする通信規格はこれに限定されない。位置特定システムを利用することを示すサービスID、小型端末の保有者を特定する個別ID及び緊急事態を示す緊急フラグを含む情報を内包したデータフレームが周囲端末に受信可能な態様の通信規格であればよい。
【0148】
また、本実施例においては、1のグループの小型端末20の位置を特定する場合について説明した。しかし、サーバ40の位置特定部43が1のグループの小型端末20の各々の位置をさらに特定してもよい。具体的には、例えば、小型端末20がブロードキャストするデータフレームにBLEの受信電界レベルの情報を付与し、位置特定部43が当該BLEの受信電界レベルに基づいて、データフレームをブロードキャストする小型端末20からさらに位置を特定するようにしてもよい。
【0149】
また、本実施例においては、周囲端末30及びサーバ40がインターネット接続網に接続されている場合を例に説明をしたが、局地的な位置特定サービスを提供する場合、周囲端末30及びサーバ40はWANやLAN等の閉じたネットワークのみに接続されていてもよい。
【0150】
また、本実施例においては、上述した機能を有する小型端末20による実施形態について説明したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態は、当該機能実行するプログラム又はアプリケーションがインストールされたスマートフォン等のモバイル端末であってもよい。
【0151】
本実施例の変形例として、小型端末20は、例えば、IEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームをブロードキャストするだけでなく、当該通信規格に準拠した無線通信の受信機能を備えていてもよい。
【0152】
これにより、小型端末20の通信ソフトウェアの更新等のデータを受信することが可能となる。また、ネットワークNWを介してサーバ40から小型端末20のMACアドレスと関連づいた登録個別IDの更新データを受信し、小型端末20が生成するSSIDの更新を行うことが可能となる。
【0153】
具体的には、サーバ40は、登録情報に含まれる小型端末20のMACアドレスと関連づいた個別IDを定期的に更新する。登録個別IDが更新されたことを示す更新フラグを、例えば、登録情報に登録されている自宅HMの保護者端末50に送信する。
【0154】
小型端末20が自宅HMに戻り、保護者端末50が小型端末20のデータフレームを受信したことを確認すると、保護者端末50は更新フラグを小型端末20に送信する。
【0155】
小型端末20は、保護者端末50からの更新フラグを受信したことをトリガとしてサーバ40に接続し、更新された登録個別IDをダウンロードすることで自身の個別ID情報を更新し、生成するSSIDの更新を行う。
【0156】
これにより、小型端末20及びサーバ40に登録されている個別IDが定期的に更新されることで、保有者Hの個人の特定をより確実に避けることが可能となる。
【0157】
また、個別IDを更新するさらに別に態様としては、小型端末20が自宅HMの無線通信中継機器に接続した又はネットワークNWと有線通信で接続されたこと等をトリガとして、小型端末20からサーバ40に向けて個別IDの更新を要求する更新リクエストを送信するようにしてもよい。