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特開2024-36634搬送ローラ、コンベヤ装置及び傾斜コンベヤ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036634
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】搬送ローラ、コンベヤ装置及び傾斜コンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/06 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B65G39/06
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017735
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2023505534の分割
【原出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021036689
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】西村 厚
(57)【要約】
【課題】搬送物を傷つけにくい搬送ローラ、コンベヤ装置及び傾斜コンベヤを提供することを課題とする。
【解決手段】搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラ1において、芯部材20と、複数の羽根状片11を有し、当該羽根状片11は弾性変形可能であって、前記芯部材20の周囲に設けられていることを特徴とする搬送ローラ1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、
複数のローラ片によって構成され、
前記ローラ片には、隣接する前記ローラ片と係合して位置合わせする係合部があり、係合部を合致させることにより、隣接する前記ローラ片の位相がずれた状態となることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項2】
前記係合部は、前記ローラ片の両端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送ローラ。
【請求項3】
前記ローラ片の一端と他端に前記係合部が設けられており、一端側係合部が設けられた位置の角度と他端側の係合部が設けられた位置の角度が異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送ローラ。
【請求項4】
前記係合部は、突起と凹部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項5】
前記搬送ローラは、搬送部を有し、当該搬送部は、複数の前記ローラ片が直列に繋ぎ合わされ、前記各ローラ片に、芯が挿通されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項6】
軸方向に、付勢領域と空隙領域が存在し、
前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、
前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項7】
前記ローラ片には、付勢領域と空隙領域が存在し、
前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、
前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項8】
前記ローラ片は、軸部に大径部が設けられたものであり、大径部が設けられた領域の長さは、軸部の全長の30パーセントから45パーセント程度であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項9】
前記ローラ片は、軸部に変形部が設けられたものであり、当該変形部は弾性変形可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項10】
搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、
複数の大径部と、複数の小径部を有し、隣接する大径部の位相がずれていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の前記搬送ローラが、並列状に配されてなることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項12】
前記搬送ローラは、大径部と、小径部を有し、特定の搬送ローラの大径部が隣接する搬送ローラの小径部に対応する位置にあり、特定の搬送ローラの小径部が隣接する搬送ローラの大径部に対応する位置にあり、隣接する前記搬送ローラの軸間距離が前記大径部の直径よりも短いことを特徴とする請求項11に記載のコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置に利用される搬送ローラに関するものである。また本発明は、搬送ローラを使用したコンベヤ装置及び傾斜コンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベヤ装置の一つとしてローラコンベヤ装置がある。ローラコンベヤ装置は、平行に配されたフレームの間に、搬送ローラが並列的に配置されたものである。
ローラコンベヤ装置は、動力によって、搬送ローラを回転させ、搬送ローラ上の搬送物を付勢して移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-135180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の搬送ローラは、金属製の管によって構成されており、当該金属製の管を回転させて搬送部を移動させる。
従来技術の搬送ローラは、金属で作られているので表面が硬い。そのため、搬送物が投入されると、搬送物を傷つけてしまう懸念がある。また搬送物が、搬送ローラと衝突することによって音が発生する場合がある。
【0005】
特に、コンベヤ装置を傾斜姿勢にして使用する際に、音が発生したり、搬送物を傷つけてしまう懸念がある。
例えば、上の階にコンベヤラインがあり、下の階にもコンベヤラインがあり、上階と下の階の間にコンベヤ装置が傾斜姿勢で設置されている場合がある。説明の便宜上、傾斜姿勢で設置されているコンベヤ装置を傾斜コンベヤ装置と称する。
例えば上階から下の階に搬送物を移動させる場合には、上の階にコンベヤラインによって傾斜コンベヤ装置の上階側の端部に搬送物を運ぶ。そして、傾斜コンベヤ装置を駆動して下の階のコンベヤラインに搬送物を降ろす。
【0006】
ここで、傾斜コンベヤ装置の搬送面が傾斜しているのに対し、下の階に設置されたコンベヤラインの搬送面は水平である。そのため、傾斜コンベヤ装置の搬送面と、下の階のコンベヤラインの配送面との間に角度が生じ、搬送部が傾斜コンベヤ装置から下の階のコンベヤ装置に受け渡される際に、搬送物角が下の階のコンベヤラインの配送面に突き当たる。
その結果、音が発生したり、搬送物を傷つけてしまう場合がある。
【0007】
本発明(関連発明)は、従来技術の上記した問題点を解決するものであり、衝突等の衝撃を和らげ、衝突音が発生したり、搬送物を傷つけたりしにくい搬送ローラ、コンベヤ装置及び傾斜コンベヤを提供することを課題とする。
本発明は、搬送物のいずれかの部位を保持する機会を増やすことができる搬送ローラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様(関連発明)は、搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、芯部材と、複数の羽根状片を有し、当該羽根状片は弾性変形可能であって、前記芯部材の周囲に設けられていることを特徴とする搬送ローラである。
【0009】
本態様の搬送ローラは、芯部材に羽根状片が複数設けられており、羽根状片が回転することによって、搬送物を移動させる。
羽根状片は、弾性変形可能であるから、搬送物が衝突したときに容易に変形し、衝突の衝撃を和らげる。そのため、搬送物が衝突しても、音が発生しにくい。また搬送部を傷つけにくい。
【0010】
上記した態様において、前記羽根状片は、薄板状であって、一端側が前記芯部材に接合され、他端側が自由端であることが望ましい。
【0011】
本態様によると、羽根状片の変形能が高く、衝突の衝撃を和らげる作用が強い。
【0012】
上記した態様において、前記羽根状片は、断面形状が曲状であり、前記羽根状片の自由端側が、隣接する羽根状片と重なる位置、及び/又は隣接する羽根片の一部を覆う位置にあることが望ましい。
【0013】
本態様によると、周方向に隙間なく羽根状片が分布する。そのため、搬送物に与える衝撃が小さい。
【0014】
上記した各態様において、前記羽根状片は、前記芯部材の周囲に一定間隔で配置されており、軸方向に、羽根状片の配置の位相がずれた領域があることが望ましい。
【0015】
本態様によると、搬送物のいずれかの部位を、いずれかの羽根状片で保持する機会が増す。
【0016】
上記した各態様において、複数のローラ片によって構成され、当該ローラ片は、軸部に前記羽根状片が設けられたものであることが望ましい。
【0017】
本態様によると、ローラ片の数を変更することにより、搬送ローラの全長を変更することができ、複数の長さの搬送ローラを少ない種類の部品で製作することができる。そのため、本態様の搬送ローラは、部品の互換性が高い。
【0018】
上記した態様において、前記ローラ片には、隣接する前記ローラ片と係合して位置合わせする係合部があり、係合部を合致させることにより、隣接する前記ローラ片の羽根状片の配置の位相がずれた状態となることが望ましい。
【0019】
本態様によると、搬送物のいずれかの部位を、いずれかの羽根状片で保持する機会が増す。
【0020】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、芯部材と、変形部を有し、当該変形部は弾性変形可能であって、前記芯部材の周囲に設けられていることを特徴とする搬送ローラである。
【0021】
本態様の搬送ローラは、芯部材に変形部が設けられており、変形部が回転することによって、搬送物を移動させる。
変形部は、搬送物が衝突したときに容易に変形し、衝突の衝撃を和らげる。そのため、搬送物が衝突しても、搬送部を傷つけにくい。
【0022】
上記した態様において、複数のローラ片によって構成され、当該ローラ片は、軸部に変形部が設けられたものであることが望ましい。
【0023】
本態様によると、ローラ片の数を変更することにより、搬送ローラの全長を変更することができ、複数の長さの搬送ローラを少ない種類の部品で製作することができる。そのため、本態様の搬送ローラは、部品の互換性が高い。
【0024】
上記した各態様において、軸方向に、付勢領域と空隙領域が存在し、前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることが望ましい。
【0025】
本態様によると、搬送ローラを並列的に配置した際に、搬送ローラ間の軸間距離を短くすることができる。
【0026】
上記した各態様において、複数のローラ片によって構成され、当該ローラ片には、付勢領域と空隙領域が存在し、前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることが望ましい。
【0027】
本態様によると、搬送ローラを並列的に配置した際に、搬送ローラ間の軸間距離を短くすることができる。
【0028】
コンベヤ装置の態様は、上記したいずれかに記載の前記搬送ローラが、並列状に配されてなることを特徴とする。
【0029】
本態様によると、搬送物が衝突したときに容易に搬送ローラが変形し、衝突の衝撃を和らげる。そのため、搬送物が衝突しても、搬送部を傷つけにくい。
【0030】
上記した態様において、大径部と、小径部を有し、特定の搬送ローラの大径部が隣接する搬送ローラの小径部に対応する位置にあり、特定の搬送ローラの小径部が隣接する搬送ローラの大径部に対応する位置にあり、隣接する前記搬送ローラの軸間距離が前記大径部の直径よりも短いことが望ましい。
【0031】
本態様によると、搬送ローラを密に配置することができる。そのため、搬送物と搬送ローラとの接触機会が多く、搬送物ががたつきにくい。
【0032】
傾斜コンベヤに関する態様は、傾斜姿勢に設置される傾斜コンベヤ装置であって、中間部領域と上端領域及び/又は下端領域があり、前記上端領域及び/又は前記下端領域に
上記したいずれかに記載のコンベヤ装置が配されていることを特徴とする。
【0033】
本態様によると、搬送物に与える衝撃が小さい。
【0034】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、搬送ローラが、並列状に配されてなるコンベヤ装置において、前記搬送ローラは、大径部と、小径部を有し、特定の搬送ローラの大径部が隣接する搬送ローラの小径部に対応する位置にあり、特定の搬送ローラの小径部が隣接する搬送ローラの大径部に対応する位置にあり、隣接する前記搬送ローラの軸間距離が前記大径部の直径よりも短いことを特徴とするコンベヤ装置である。
【0035】
本態様によると、搬送ローラを密に配置することができる。そのため、搬送物と搬送ローラとの接触機会が多く、搬送物ががたつきにくい。そのため搬送物に与える衝撃が小さい。
上記した課題を解決するための態様は、搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、複数のローラ片によって構成され、前記ローラ片には、隣接する前記ローラ片と係合して位置合わせする係合部があり、係合部を合致させることにより、隣接する前記ローラ片の位相がずれた状態となることを特徴とする搬送ローラである。
上記した態様において、前記係合部は、前記ローラ片の両端に設けられていることが望ましい。
上記した各態様において、前記ローラ片の一端と他端に前記係合部が設けられており、一端側係合部が設けられた位置の角度と他端側の係合部が設けられた位置の角度が異なっていることが望ましい。
上記した各態様において、前記係合部は、突起と凹部であることが望ましい。
上記した各態様において、前記搬送ローラは、搬送部を有し、当該搬送部は、複数の前記ローラ片が直列に繋ぎ合わされ、前記各ローラ片に、芯が挿通されたものであることが望ましい。
上記した各態様において、軸方向に、付勢領域と空隙領域が存在し、前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることが望ましい。
上記した各態様において、前記ローラ片には、付勢領域と空隙領域が存在し、前記付勢領域は、搬送物の搬送に寄与する領域であり、前記空隙領域は、搬送物の搬送に寄与しない領域であることが望ましい。
上記した各態様において、前記ローラ片は、軸部に大径部が設けられたものであり、大径部が設けられた領域の長さは、軸部の全長の30パーセントから45パーセント程度であることが望ましい。
上記した各態様において、前記ローラ片は、軸部に変形部が設けられたものであり、当該変形部は弾性変形可能であることが望ましい。
上記した各態様において、搬送物と接触して当該搬送物を移動させる搬送ローラにおいて、複数の大径部と、複数の小径部を有し、隣接する大径部の位相がずれていることが望ましい。
コンベヤ装置の態様は、上記したいずれかに記載の前記搬送ローラが、並列状に配されてなることを特徴とする。
上記した態様において、前記搬送ローラは、大径部と、小径部を有し、特定の搬送ローラの大径部が隣接する搬送ローラの小径部に対応する位置にあり、特定の搬送ローラの小径部が隣接する搬送ローラの大径部に対応する位置にあり、隣接する前記搬送ローラの軸間距離が前記大径部の直径よりも短いことが望ましい。
【発明の効果】
【0036】
本態様(関連発明)の搬送ローラ、コンベヤ装置及び傾斜コンベヤは、衝撃を和らげ、搬送物を傷つけにくいという効果がある。
本発明によると、搬送物のいずれかの部位保持する機会を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態の搬送ローラの正面図である。
図2図1の搬送ローラの分解斜視図である。
図3】(a)は、ローラ片を正面側から観察した斜視図であり、(b)は、そのA方向矢視図である。
図4】(a)は、ローラ片を裏面側から観察した斜視図であり、(b)は、そのA方向矢視図である。
図5】二つのローラ片を組み合わせて正面側から観察した正面図である。
図6】本発明の実施形態の傾斜コンベヤ装置であり、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図である。
図7図6に示す傾斜コンベヤ装置の下部領域を構成するコンベヤ装置であり、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図である。
図8図6に示す傾斜コンベヤ装置の断面拡大側面図である。
図9】本発明の他の実施形態の傾斜コンベヤ装置であり、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図である。
図10】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の他の実施形態のローラ片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の搬送ローラ1は、図6乃至図8に示す様なコンベヤ装置50、51の搬送面を構成する部材である。
搬送ローラ1は、図1の様に、両端にプーリ2があり、中間部に搬送部3がある。
搬送部3は、図1図2の様に、複数のローラ片5が直列に繋ぎ合わされ、各ローラ片5に、回転芯6が挿通されたものである。
【0039】
ローラ片5は、樹脂で成形されている。ローラ片5は、図3図4の様に、短尺の回転芯構成部(軸部)10を有し、その長手方向の一部の領域の周囲に、変形部が設けられている。本実施形態の変形部は、羽根状片11であり、当該羽根状片11が複数設けられている。
回転芯構成部10(軸部)は、短尺の管であり、貫通孔12が設けられている。本実施形態では、貫通孔12の断面形状は六角形である。貫通孔12の断面形状は六角形に限定されるものではなく、回転芯6と係合する部分があればよい。
【0040】
個々の羽根状片11は、薄板状であり、湾曲しており曲状である。本実施形態で採用する羽根状片11は、断面形状が円弧状である。羽根状片11は、約180度程度の円弧である。羽根状片11の円弧の角度は、90度以上であることが望ましい。また羽根状片11の円弧の角度は、270度以下であることが望ましい。
羽根状片11の円弧の直径は、回転芯構成部10(軸部)の直径の50パーセントから200パーセントであることが推奨される。
本実施形態では、羽根状片11の円弧の直径は、回転芯構成部10の直径と同等である。
【0041】
羽根状片11は、一端側が、回転芯構成部(軸部)10に接続されており、他端側は自由端となっている。したがって羽根状片11は、回転芯構成部10に対して、片持ち状に取り付けられている。そのため、羽根状片11は、外力を受けると容易に弾性変形する。即ち外側から荷重を受けると、弾性変形して自由端側が回転芯構成部10側に撓む。
羽根状片11は、回転芯構成部10に対して放射状に配置されている。また、羽根状片11は回転芯構成部10の周囲に密状態に配置されている。即ち、各羽根状片11の基端部に注目すると、隣接する羽根状片11同士の隙間は極めて小さい。
【0042】
羽根状片11は、回転芯構成部10側が凹となる姿勢で設けられている。
羽根状片11の自由端側は、図3図4の様に、隣接する羽根状片11の基端から中央領域に至るまでの間を覆っている。本実施形態においては、搬送物が一つの羽根状片11の自由端近傍に載ったとき、羽根状片11が撓んで下の羽根状片11に当たり、下の羽根状片11でも搬送物の荷重を負担することができる。そのため、羽根状片11の過度の変形を防止することができる。
本実施形態では、羽根状片11の自由端は、隣接する羽根状片11から離れているが、羽根状片11の自由端が、隣接する羽根状片11と接していてもよい。
【0043】
羽根状片11が設けられた領域は、回転芯構成部(軸部)10の一端寄りの部位である。羽根状片11が設けられた領域の長さlは、回転芯構成部10の全長Lの半分以下である。
羽根状片11が設けられた領域の長さlは、回転芯構成部10の全長Lの30パーセントから45パーセント程度であることが望ましい。
【0044】
回転芯構成部10の両端には、図3図4の様に係合部15、16が設けられている。
正面側(羽根状片11側)の係合部15は、図3の様に突起であり、裏面側(羽根状片11側)の係合部16は、図4の様に凹部である。
回転芯構成部10に対する係合部15、16の角度は、図3図4に示すように異なる。
本実施形態においては、正面側(羽根状片11側)の係合部15は、図3の様に羽根状片11の根本にあるのに対し、裏面側(羽根状片11側)の係合部16は、二つの羽根状片11の根本の間にある。
したがって係合部15、16を合わせて二つのローラ片5を結合すると、図5の様に、羽根状片11の位置がずれる。
即ち、係合部15、16は、位置合わせするものであり、係合部15、16合致させることにより、隣接するローラ片5の羽根状片11の配置の位相の位相がずれたものとなる。
【0045】
搬送ローラ1は、図1図2の様に複数のローラ片5が結合させて、回転芯構成部10を連通させて一連の芯部材20を構成し、貫通孔12に六角形の回転芯6が挿通されたものである。
また回転芯6の両端にプーリ2が取り付けられている。
【0046】
搬送ローラ1の搬送部3を概観すると、芯部材20に羽根状片11が設けられた領域と、羽根状片11が存在しない領域が交互に存在する。
芯部材20に羽根状片11が設けられた領域は、見かけ上の直径が大きい大径部30であり、羽根状片11が存在しない領域は見かけ上の直径が小さい小径部31となっている。
本実施形態の搬送ローラ1では、大径部30と小径部31が軸方向に交互に存在する。
大径部30は、搬送物と接触する部位であり、搬送物の搬送に寄与する付勢領域である。小径部31は、搬送物と接触せず、搬送物の搬送に寄与しない空隙領域である。
【0047】
また搬送ローラ1には、大径部(付勢領域)30が複数あるが、この中には、羽根状片11の位置がずれたものが混在している。
【0048】
図6は、本発明の実施形態の傾斜コンベヤ装置40を示す。
傾斜コンベヤ装置40は、図6の様に、3領域に分かれている。
即ち、傾斜コンベヤ装置40は、上端領域60、傾斜領域61及び下端領域62に分かれている。
本実施形態では、上端領域60、傾斜領域61及び下端領域62がそれぞれ別のコンベヤ装置であり、上端領域60と下端領域62に本実施形態の搬送ローラ1が使用されている。
【0049】
本実施形態の傾斜コンベヤ装置40では、上端領域60を構成する上側コンベヤ装置50及び下端領域62を構成する下側コンベヤ装置51は、共に搬送面が湾曲している。
具体的には、上側コンベヤ装置50は、搬送面が上に凸状になる様に搬送ローラ1が配列されている。下側コンベヤ装置51は搬送面が上に凸状になる様に搬送ローラ1が配列されている。
【0050】
下側コンベヤ装置51を例に説明すると、下側コンベヤ装置51は、平行に配されたフレーム55、56にモータ内蔵ローラ57と、複数の搬送ローラ1が平行に配置されたものである。
フレーム55、56は、図7(b)の様に、下に凸形状に湾曲している。
そして、フレーム55、56の一端に、モータ内蔵ローラ57が取り付けられている。
またその他の領域に、複数の搬送ローラ1が並列状に配されている。具体的には、複数の搬送ローラ1が平行に取り付けられている。
【0051】
ここで本実施形態では、隣接する搬送ローラ1は大径部30の位置と小径部31の位置が食い違いの関係となっている。
即ち、特定の搬送ローラ1に注目すると、当該特定の搬送ローラ1の大径部30の位置に、隣接する搬送ローラ1の小径部31の位置が対応し、特定の搬送ローラ1の小径部31の位置に、隣接する搬送ローラ1の大径部30の位置が対応する。
【0052】
また隣接する搬送ローラ1の軸間距離Wは、大径部30の直径よりも短い。
そのため、隣接する搬送ローラ1は、大径部30と小径部31が入れ合わせ状態となっている。
即ち、特定の搬送ローラ1に注目すると、当該特定の搬送ローラ1の大径部30同士の間に、隣接する搬送ローラ1の大径部30が入り込み、隣接する搬送ローラ1の大径部30の外郭が特定の搬送ローラ1の芯部材20の近傍に迫っている。
そのため、下側コンベヤ装置51は、図7(a)の様に、羽根状片11が密に配置されており、下側コンベヤ装置51の全表面が、搬送面として機能する。言い換えると、下側コンベヤ装置51では、全面が付勢領域となっている。
【0053】
本実施形態では、各搬送ローラ1は、モータ内蔵ローラ57を動力源として駆動する。
即ち、モータ内蔵ローラ57には、駆動プーリ35が設けられており、当該駆動プーリ35と、隣接する第1の搬送ローラ1の一方のプーリ2との間にベルト36が懸架されている。
また当該第1の搬送ローラ1の他方のプーリ2と、隣接する第2の搬送ローラ1のプーリ2との間にベルト36が懸架されている。
このように、隣接する搬送ローラ1の間に順次ベルト36が懸架され、モータ内蔵ローラ57を回転することにより、全ての搬送ローラ1が回転する。
本実施形態では、搬送ローラ1は、羽根状片11の基端側が前、自由端側が後ろとなる方向に回転する。羽根状片11の向き(巻き方向)と、搬送ローラ1の回転方向は限定されるものではなく、逆でもよい。また巻き方向が異なる羽根状片11が混在していてもよい。
【0054】
仮に、搬送物を上部階から下部階に降ろす場合を想定すると、傾斜コンベヤ装置40は、上側コンベヤ装置50の搬送面が上に凸形状に湾曲しており、傾斜領域61への接続部分の搬送面が緩やかな曲面を呈しているので、搬送物が円滑に傾斜領域61に移行する。
また本実施形態で採用する傾斜コンベヤ装置40では、下側コンベヤ装置51の搬送面が下に凸形状に湾曲しており、傾斜領域61からの接続部分の搬送面が緩やかな曲面を呈しているので、搬送物が円滑に傾斜領域61から下側コンベヤ装置51に移行する。
【0055】
また、下側コンベヤ装置51は、下側コンベヤ装置51は、図7(a)の様に、羽根状片11が密に配置されており、下側コンベヤ装置51の全表面が、搬送面として機能する。そのため、搬送物と搬送ローラ1との接触機会が多く、傾斜領域61から下端領域62に搬送物が受け渡される際に、搬送物ががたつきにくい。
特に、本実施形態では、搬送ローラ1は、大径部(付勢領域)30が複数あるが、この中には、羽根状片11の位置がずれたものが混在している。そのため、搬送物が下側コンベヤ装置51に到達し、いずれかの搬送ローラ1と接する状態となったとき、いずれかの羽根状片11によって搬送物が支持される。そのため、傾斜領域61から下端領域62に搬送物が受け渡される際に、搬送物ががたつきにくい。
【0056】
さらに、傾斜領域61から下端領域62に搬送物が受け渡される際に、搬送物の角が下側コンベヤ装置51に衝突した場合、搬送ローラ1の羽根状片11が変形し、衝撃を吸収する。
即ち、羽根状片11は、湾曲していて芯部材の周囲を隙間なく取り巻いているから搬送物の角は、いずれかの羽根状片11に当たる。羽根状片11は、片持ち状に取り付けられているから、撓みやすく、変形能が高い。そのため、搬送物の角が下側コンベヤ装置51に衝突した場合、搬送ローラ1の羽根状片11が変形し、衝撃を吸収する。
そのため搬送物を傷つけにくい。また、音の発生も少ない。
【0057】
以上説明した実施形態では、モータ内蔵ローラ57を動力源として複数の搬送ローラ1を回転させたが、搬送ローラ1の動力源は任意である。例えば、ギヤードモータ等を動力源としてもよい。あるいは、モータ内蔵ローラ57を芯部材とし、モータ内蔵ローラ57のローラ本体に羽根状片を設けて搬送ローラとしてもよい。
【0058】
以上説明した実施形態では、搬送ローラ1の両端にプーリ2を設け、隣接する搬送ローラ1にベルト36を懸架して順次動力を伝えたが、搬送ローラ1の一方にプーリを複数設け、隣接する搬送ローラ1にベルト36を懸架して順次を動力してもよい。
以上説明した実施形態では、ベルト36によって各搬送ローラ1に動力を伝動したが、動力伝動機構はベルトに限定されるものではない。例えば、歯車やチェーンを利用するものであってもよい。
【0059】
以上説明した実施形態では、回転芯構成部10(軸部)の貫通孔12に、当該貫通孔12と係合する回転芯6を挿通し、回転芯6を動力で回転することによって羽根状片11を回転させたが、回転芯構成部10(軸部)を、軸芯に対して自由回転可能とし、回転芯構成部10(軸部)によって構成される芯部材20に回転力を伝動してもよい。
【0060】
以上説明した搬送ローラ1は、複数のローラ片5を直列に繋いで構成されている。本実施形態の構造によると、ローラ片5の数を増減することによって、異なる長さの搬送ローラ1を作ることができ、部品の互換性が高い。
【0061】
ローラ片5の数は、4個以上であることが望ましい。即ち、本実施形態のコンベヤ装置50、51では、隣接するローラ片5は、羽根状片11の位置がずれており、位相が相違する。これに対して、一つ飛ばしの位置にあるローラ片5は、羽根状片11の位置が一致し、同位相である。
そのため、ローラ片5の数が4個以上であれば、搬送物が同時に複数のローラ片5の羽根状片11で支持される。そのため、搬送物が、がたつきにくい。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、全体を一体成型してもよい。
【0062】
上記し搬送ローラ1では、芯部材20に羽根状片11が設けられた領域と、羽根状片11が存在しない領域が交互に存在する。
本構成によると、コンベヤ装置に組み込まれる際に、搬送ローラ1同士の軸間距離を短くすることができ、搬送物の搬送に寄与する付勢領域を密に設けることができる。
即ち、実際に搬送物と接するのは、回転時に、付勢領域の最も上に位置する部位である。そのため隣接する付勢領域の間に谷間ができる。
本実施形態のコンベヤ装置50、51は、隣接する搬送ローラ1の大径部30と小径部31が入れ合わせ状態となり、実際に搬送に寄与する部位が、千鳥状に配列されるので、搬送物との接触機会が多く、搬送物ががたつきにくい。
しかしながら、本発明は、この構成に限定されるものではなく、搬送ローラ1の軸方向の全ての領域に、羽根状片11が設けられていてもよい。
【0063】
以上説明したコンベヤ装置50、51で採用する搬送ローラ1は、いずれも同じ形状のローラ片5をつなげたものであるが、異なる形状のローラ片5を利用した搬送ローラが混在していてもよい。
例えば、図9に示すコンベヤ装置80では、大径部(付勢領域)30の割合が大きい搬送ローラ81と、大径部(付勢領域)30の割合が小さい搬送ローラ82が互い違いに配置されている。
コンベヤ装置80についても、隣接する搬送ローラ81、82の軸間距離Wは、大径部30の直径よりも短い。
【0064】
以上説明した実施形態では、変形部の一例として、羽根状片11を示したが、変形部の形状は、羽根状のものに限定されるものではない。
図10は、変形部の変形例を示すものである。
図10(a)に示すローラ片42で採用する変形部43は、直線状の羽根状片45によって構成されている。ローラ片42の羽根状片45は、回転芯構成部(軸部)10に対して法線方向に設けられている。
図10(b)に示すローラ片65で採用する変形部66は、直線状の羽根状片67によって構成されている。ローラ片65の羽根状片67は、回転芯構成部(軸部)10に対して接線方向の成分を有して設けられている。
図10(c)に示すローラ片70で採用する変形部71は、すべての羽根状片72の自由端側が環状に連結された構造となっている。
図10(d)に示すローラ片75で採用する変形部76は、両端が接続された構造の羽根状片78によって構成されている。
【符号の説明】
【0065】
1、81、82 搬送ローラ
5、45、65、70、75 ローラ片
6 回転芯
10 回転芯構成部(軸部)
11 羽根状片(変形部)
45、67、72、78 羽根状片
15 係合部
16 係合部
20 芯部材
30 大径部(付勢領域)
31 小径部(空隙領域)
40 傾斜コンベヤ装置
50 上側コンベヤ装置
51 下側コンベヤ装置
43、66、71、76 変形部
80 コンベヤ装置
L 全長
W 軸間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10