(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036681
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】防獣柵
(51)【国際特許分類】
A01M 29/30 20110101AFI20240308BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20240308BHJP
【FI】
A01M29/30
A01M29/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018381
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2020035867の分割
【原出願日】2020-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593033980
【氏名又は名称】トワロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌克
(72)【発明者】
【氏名】浦井 清次
(57)【要約】
【課題】侵入不可帯への動物の侵入を防止すると共に、通過可能帯へ動物を誘導して安全に侵入不可帯への動物の侵入を防止することができる防獣柵を提供する。
【解決手段】侵入不可帯への動物の侵入を防止する防獣柵であって、前記侵入不可帯の縁部と略並行に配置された防獣柵本体と、前記動物の侵入を許容する通過可能帯へ前記動物を誘導する誘導柵とを備え、前記誘導柵は、前記通過可能帯に近づくにしたがって漸次地表からの高さが低くなるように構成され、前記防獣柵本体の表面には、前記動物が接触した場合に、前記動物が忌避する忌避剤が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵入不可帯への動物の侵入を防止する防獣柵であって、
前記侵入不可帯の縁部と略並行に配置された防獣柵本体と、
前記動物の侵入を許容する通過可能帯へ前記動物を誘導する誘導柵とを備え、
前記誘導柵は、前記通過可能帯に近づくにしたがって漸次地表からの高さが低くなるように構成され、
前記防獣柵本体の表面には、前記動物が接触した場合に、前記動物が忌避する忌避剤が含まれることを特徴とする防獣柵。
【請求項2】
請求項1に記載の防獣柵において、
前記忌避剤は、少なくともカプサイシンが封入されたマイクロカプセルが含有されていることを特徴とする防獣柵。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防獣柵において、
前記誘導柵は、前記防獣柵本体の延設方向に対して傾斜して配置されることを特徴とする防獣柵。
【請求項4】
請求項3に記載の防獣柵において、
前記誘導柵の表面には、前記忌避剤が含まれることを特徴とする防獣柵。
【請求項5】
請求項4に記載の防獣柵において、
前記誘導柵に含まれる忌避剤の濃度は、前記防獣柵本体に含まれる忌避剤の濃度よりも低いことを特徴とする防獣柵。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の防獣柵において、
前記誘導柵に含まれる忌避剤の濃度は、前記誘導柵の延設方向に沿って変化することを特徴とする防獣柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの侵入不可帯への動物の侵入を防止する防獣柵に関し、特に、通過可能帯へ該動物を誘導して侵入不可帯への動物の侵入を防止することができる防獣柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野生の動物などが高速道路などの侵入不可帯へ侵入すると、交通事故などの原因となることから、このような侵入不可帯の近傍には、侵入不可帯に沿って防獣柵が設けられている。
【0003】
このような防獣柵は、動物の衝突による破損や跳躍又は防獣柵の設置された地面を掘り起こして潜り抜けることによって動物が侵入することを防止するために所望の強度や高さなどが必要となる。
【0004】
また、特許文献1に記載されているように、防獣柵を構成するネットに動物が忌避するカプサイシン入りの糸などを用い、動物が防獣柵に触れることで、動物が忌避することで防獣柵から退避し、侵入不可帯への侵入を防止している。
【0005】
このような動物の忌避性を持った物質としては、特許文献2に記載されているように、動物忌避性を有するハーブの植物精油エキスを単独又は複数種類ブレンドした芯物質を水溶性の皮膜を有するマイクロカプセル内に封入して構成されることが知られており、芯物質としてカプサイシンを含むことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-262765号公報
【特許文献2】特開2006-306796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の防獣柵によると、防獣柵に動物の顔が触れる、噛む、舐めるなど、動物が防獣柵に直接触れることで忌避性を発揮するところ、例えば、防獣柵を飛び越えるなどした場合には、侵入不可帯への侵入が可能となってしまうという問題があった。
【0008】
また、一般に侵入不可帯の近傍には、動物の侵入を許容する通過可能帯が設けられている。この通過可能帯は、例えば、高速道路を横切る橋やトンネルであり、動物が高速道路に侵入することなく、高速道路の反対側へ移動することができる。しかしながら、このような通過可能帯は、所定の位置に設けられていることから、動物が通過可能であることを認識しない場合には、有効に活用することが出来ないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてされた発明であり、侵入不可帯への動物の侵入を防止すると共に、通過可能帯へ動物を誘導して安全に侵入不可帯への動物の侵入を防止することができる防獣柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る防獣柵は、侵入不可帯への動物の侵入を防止する防獣柵であって、前記侵入不可帯の縁部と略並行に配置された防獣柵本体と、前記動物の侵入を許容する通過可能帯へ前記動物を誘導する誘導柵とを備え、前記誘導柵は、前記通過可能帯に近づくにしたがって漸次地表からの高さが低くなるように構成され、前記防獣柵本体の表面には、前記動物が接触した場合に、前記動物が忌避する忌避剤が含まれることを特徴とする。また、一実施形態に係る防獣柵は、侵入不可帯への動物の侵入を防止する防獣柵であって、前記侵入不可帯の縁部と略並行に配置された防獣柵本体と、前記動物の侵入を許容する通過可能帯へ前記動物を誘導する誘導柵とを備え、前記誘導柵は、前記通過可能帯に近づくにしたがって漸次地表からの高さが変化するように構成され、前記防獣柵本体の表面には、前記動物が接触した場合に、前記動物が忌避する忌避剤が含まれることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る防獣柵において、前記忌避剤は、少なくともカプサイシンが封入されたマイクロカプセルが含有されていると好適である。
【0012】
また、本発明に係る防獣柵において、前記誘導柵は、前記防獣柵本体に対して傾斜して配置されると好適である。
【0013】
また、本発明に係る防獣柵において、前記誘導柵の表面には、前記忌避剤が含まれると好適である。
【0014】
また、本発明に係る防獣柵において、前記誘導柵に含まれる忌避剤の濃度は、前記防獣柵本体に含まれる忌避剤の濃度よりも低いと好適である。
【0015】
また、本発明に係る防獣柵において、前記誘導柵に含まれる忌避剤の濃度は、前記誘導柵の延設方向に沿って変化すると好適である。
【0016】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る防獣柵は、侵入不可帯の縁部と略並行に配置された防獣柵本体と、動物の侵入を許容する通過可能帯へ動物を誘導する誘導柵とを備え、誘導柵は、通過可能帯に近づくにしたがって漸次高さが変化するように構成され、防獣柵本体の表面には、前記動物が接触した場合に、前記動物が忌避する忌避剤が含まれるので、防獣柵に近づいた動物を誘導柵によって通過可能帯へ誘導することに加え、防獣柵本体の表面に忌避剤が含まれているので、動物が防獣柵本体に触れた場合に防獣柵本体から退避させることで侵入不可帯への動物の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る防獣柵を説明するための概略平面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る防獣柵本体を示す概略正面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る防獣柵を構成する被覆線の内部構成を説明するための概略図。
【
図4】本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の構成を説明するための概略正面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の変形例の構成を説明するための概略正面図。
【
図6】本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の変形例の構成を説明するための断面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の他の変形例の構成を説明するための概略正面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の他の変形例の構成を説明するための概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る防獣柵を説明するための概略平面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る防獣柵本体を示す概略正面図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る防獣柵を構成する被覆線の内部構成を説明するための概略図であり、
図4は、本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の構成を説明するための概略正面図であり、
図5は、本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の変形例の構成を説明するための概略正面図であり、
図6は、本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の変形例の構成を説明するための断面図であり、
図7は、本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の他の変形例の構成を説明するための概略正面図であり、
図8は、本発明の実施形態に係る防獣柵の誘導柵の他の変形例の構成を説明するための概略正面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る防獣柵10は、高速道路など動物の侵入を許容しない侵入不可帯1に沿って略並行に配置された防獣柵本体11と、当該防獣柵本体11から所定の間隔を有して配置された誘導柵12を備えている。
【0022】
図2に示すように、例えば、防獣柵本体11は、地面Gに対して所定の間隔で配置された支柱15と、該支柱15の間に面状に取り付けられた金網部13と金網部13の上方に水平に張られたワイヤ部14を備えている。また、金網部13の下部は、地面Gに埋め込まれた忍び金網16を備えていても構わない。この忍び金網16は、金網部13と一体に構成しても構わないし、金網部13と別体に構成して防獣柵本体11の設置後に後付け可能に構成しても構わない。このように、忍び金網16を設けることで、地面を掘り下げて防獣柵本体11を潜り抜ける小動物などの侵入を防止することができる。さらに、地面Gに埋め込まれた忍び金網16以外に、防獣柵本体11と地面Gの間の隙間の地際に金網を設置しても構わない。
【0023】
金網部13は、心線を合成樹脂などで被覆した被覆線20を動物が通過できない程度の目合いで編み合わせたひし形金網、亀甲金網又はメッシュ(格子状)などに形成されている。
図3に示すように、被覆線20は、鉄線24に亜鉛めっき23によって表面処理した亜鉛めっき鉄線に接着剤22を塗布し、押し出し成型機で心線である鉄線24の同心円状に被覆材21を押し出して構成されている。被覆線20は、このような接着被覆で構成されているため、耐久性が高められており、傷がついた場合でも鉄線24の腐食が広がることを防止することが出来る。
【0024】
また、被覆材21は、ポリエチレンなどの合成樹脂に忌避剤が混合されている。忌避剤は、例えばカプサイシンなどの辛味成分などが封入されたマイクロカプセルであると好適であり、マイクロカプセルは、15~25μmに形成すると好適である。
【0025】
このように、被覆材21に忌避剤を混合することで、動物が金網部13に鼻で触れる、噛む、舐めるなど直接接することでマイクロカプセルが破壊されて辛味成分等が動物に付着することで忌避効果を奏し、防獣柵本体11から動物を退避させて侵入不可帯1への侵入を防止することができる。なお、忍び金網16も金網部13と同様に心線を被覆線で被覆した構造とすると好適であり、網目形状は金網部13と同様でも構わないし、地面Gを掘り下げる小動物に応じて適宜変更しても構わない。
【0026】
なお、ワイヤ部14は、上述した被覆材21と同様の被覆が施されたワイヤを支柱15間に張っても構わないし、忌避剤が混入していないワイヤを用いても構わない。
【0027】
誘導柵12は、侵入不可帯1の近傍又は侵入不可帯1と交差するように配置された通過可能帯2へ動物を誘導するように構成されている。通過可能帯2は、例えば、侵入不可帯1の下を通過するトンネル又はアンダーパスや侵入不可帯1の上方にかけ渡された橋などである。
【0028】
図1に示すように、誘導柵12は、防獣柵本体11に対して所定の角度を有して傾斜して配置されており、通過可能帯2に向けて略ハの字状に配置されている。
【0029】
また、
図4に示すように誘導柵12は、通過可能帯2に近づくに従って、漸次高さが高くなるように構成されており、具体的には、通過可能帯2から遠い位置(
図4における左側)は、金網部13のみの第1の誘導柵12a、通過可能帯2に最も近い位置(
図4における右側)は、金網部13を高くし、さらにワイヤ部14を配置した第3の誘導柵12cを有しており、第1の誘導柵12aと第3の誘導柵12cの間は、防獣柵本体11と同様に金網部13の上にワイヤ部14を配置した第2の誘導柵12bを有している。
【0030】
誘導柵12は、防獣柵本体11と同様に忌避剤が混入された被覆材21を用いると好適である。ここで、誘導柵12に混入された忌避剤の濃度は、防獣柵本体11に混入した忌避剤の濃度よりも低くすると好適である。
【0031】
このように忌避剤の濃度が誘導柵12よりも防獣柵本体11のほうが高く設定されているので、動物が防獣柵本体11に近寄ることを防止することができ、その結果、侵入不可帯1への侵入を防止することができる。また、動物が防獣柵本体11と誘導柵12の間に迷い込んだ場合であっても、忌避剤の濃度が低い誘導柵12に沿って移動することを促すことができる。
【0032】
また、防獣柵本体11及び誘導柵12に混入した忌避剤の濃度は、防獣柵本体11及び誘導柵12の延設方向に沿って変化すると好適である。このように構成することで、防獣柵本体11及び誘導柵12の通過可能帯2から遠い場所と近い場所とで忌避効果を異ならせて防獣柵本体11及び誘導柵12に近づいた動物を効果的に退避又は通過可能帯2へ誘導することが可能となる。
【0033】
このように忌避剤の濃度を変化させることで、防獣柵本体11及び誘導柵12に近づいた動物を通過可能帯2の方向へ移動させることを促すことができ、例えば、忌避剤の濃度が通過可能帯2へ向かって低くなるように構成した場合には、忌避剤の濃度が低くなる方向へ動物を誘導し、忌避剤の濃度が高くなる方向へ移動した場合には、防獣柵本体11及び誘導柵12から離れることを促して侵入不可帯1への侵入を防止することが可能となる。
【0034】
なお、忌避剤の濃度を変化させる具体的な手法としては、防獣柵本体11及び誘導柵12の金網部全体に忌避剤が混入された被覆材21を用い、忌避剤の濃度が任意の方向に向かって変化するように混入しても構わないし、金網部の一部の被覆線21に忌避剤を混入して金網部全体の忌避剤の濃度を変化させても構わない。
【0035】
このように、本実施形態に係る防獣柵10によれば、防獣柵本体11に忌避剤が含まれることによる忌避効果による動物の退避によって侵入不可帯1への動物の侵入を防止すると共に、誘導柵12によって通過可能帯2へ動物を誘導することで侵入不可帯1への動物の侵入を防止することが出来るので、これらの相乗効果により動物が侵入不可帯1へ侵入することを防止することが可能となる。
【0036】
また、
図5に示すように、誘導柵35を通過可能帯2に向けて高さが漸次高くなるように構成すると共に、もっとも通過可能帯2近傍に配置されると共に地面Gの地表からの高さが最も高く構成された第3の誘導柵12c´に動物が通過可能な通過手段30を備えている好適である。
【0037】
通過手段30は、防獣柵本体11と誘導柵35の間に迷い込んだ動物が誘導柵35の防獣柵本体11との反対側へ移動可能できるように、誘導柵35を通過することができるように構成されており、例えば、第3の誘導柵12c´の下方に形成された蓋つき開口31やトンネル32などで構成されると好適である。
【0038】
図6に示すように、蓋付き開口31は、第3の誘導柵12c´の下方に形成された開口17を防獣柵本体11とは反対側から閉塞する蓋18によって構成されており、蓋18は、ヒンジ19を介して開口17に対して開閉自在に回動することができる。このように構成することで、蓋付き開口31は、防獣柵本体11と誘導柵35の間に動物が迷い込んだ場合に、第3の誘導柵12c´近傍に迷い込んだ動物は、蓋付き開口31の蓋18を防獣柵本体11側から押し開けることで、誘導柵35の防獣柵本体11とは反対側へ移動することができ、侵入不可帯1から退避させることができる。
【0039】
なお、蓋付き開口31は、蓋18によって開口17を防獣柵本体11と反対側から閉塞しているので、誘導柵35の防獣柵本体11と反対側から誘導柵35と防獣柵本体11の間への侵入ができないように構成されている。
【0040】
また、
図7に示すように、誘導柵40を通過可能帯2に向かって地面Gの地表からの高さが漸次低くなるように構成しても構わない。このように誘導柵40を設置することで、防獣柵本体11と誘導柵40の間に迷い込んだ動物が誘導柵40を容易に飛び越えることができ、侵入不可帯1から退避させることが可能となる。この場合、誘導柵40に含まれる忌避剤の濃度は、通行可能帯2に向けて漸次低くなるように構成すると、誘導柵40に沿って動物を誘導させることができて好適である。
【0041】
さらに、
図8に示すように、誘導柵50のように誘導柵50自体の高さは一定であるものの、通過可能帯2に向かって徐々に地表が高くなるように盛土33を形成し、該盛土33の下方に通過手段としてのトンネル32を設けても構わない。このように構成することで、盛土33上から誘導柵50を容易に飛び越えることができると共に、跳躍を行わない動物については、トンネル32を通過することで侵入不可帯1から退避させることができる。
【0042】
このように、誘導柵の地表からの高さの設定は、設置場所の動物形態によって適宜変更することが可能である。例えば、跳躍する性質の動物が多い環境では、誘導柵をより飛び越えやすい構造とし、地面に潜る性質の動物が多い環境では、忍び金網16によって地下からの侵入を防止すると共に、トンネル32を用いて誘導柵から退避させるように促す構造とすると好適である。
【0043】
なお、以上の実施の形態では、防獣柵本体11及び誘導柵12を、金網部13とワイヤ部14とで構成した場合について説明を行ったが、ワイヤ部14を設けずに金網部13のみで防獣柵本体11及び誘導柵12を構成しても構わない。また、誘導柵12の高さを段階的に設定した場合について説明を行ったが、誘導柵12の高さが連続的に高くなるように形成しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1 侵入不可帯, 2 通過可能帯, 10 防獣柵, 11 防獣柵本体,
12 誘導柵, 13 金網部, 14 ワイヤ部, 20 被覆線, 30
通過手段, 31 蓋付き開口, 32 トンネル, 33盛土, G 地面
。