(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036694
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】修飾型のヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸、ならびにそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240308BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240308BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240308BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240308BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/11 Z
A61K31/7088
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K9/08
A61K9/00
A61P37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】72
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018741
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2022014572の分割
【原出願日】2012-10-03
(31)【優先権主張番号】61/542,533
(32)【優先日】2011-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513084469
【氏名又は名称】モデルナティエックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ModernaTX,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ フュージュロー、アントニン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ、アタヌ
(72)【発明者】
【氏名】シュラム、ジェイソン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シディキ、スハイブ
(72)【発明者】
【氏名】ハタラ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】バンセル、ステファヌ
(57)【要約】
【課題】細胞集団に導入された時に先天性免疫応答の低減を示すことができる、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸を提供する。
【解決手段】単離ポリヌクレオチドは、対象とするポリペプチドをコードしており、(a)A、G、UまたはCのヌクレオシドまたはヌクレオチドの化学構造と比較して修飾された少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでなる、n個の連結したヌクレオシドまたはヌクレオチドの配列と、(b)少なくとも1つのコザック配列を含んでなる5’UTRと、(c)3’UTRと、(d)少なくとも1つの5’キャップ構造とを含んでなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とするポリペプチドをコードしている単離ポリヌクレオチドであって、
(a)A、G、UまたはCのヌクレオシドまたはヌクレオチドの化学構造と比較して修飾された少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでなる、n個の連結したヌクレオシドまたはヌクレオチドの配列と、
(b)少なくとも1つのコザック配列を含んでなる5’UTRと、
(c)3’UTRと、
(d)少なくとも1つの5’キャップ構造と
を含んでなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリAテールをさらに含んでなる、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
精製されている、請求項2に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項4】
少なくとも1つの5’キャップ構造は、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1‐メチル‐グアノシン、2’フルオロ‐グアノシン、7‐デアザ‐グアノシン、8‐オキソ‐グアノシン、2‐アミノ‐グアノシン、LNA‐グアノシン、および2‐アジド‐グアノシンで構成されている群から選択される、請求項3に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
ヌクレオシドの修飾は、ヌクレオシドの塩基およびヌクレオシドの糖部分のうち少なくともいずれかに位置する、請求項4に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項6】
修飾はヌクレオチドの塩基に位置し、ヌクレオシドの塩基は次式:
【化1】
を有し、上記式中、
【化2】
は単結合もしくは二重結合を表し、
XはOもしくはSであり、
UおよびWはそれぞれ独立にCもしくはNであり、
VはO、S、CもしくはNであり、
VがCである場合、R
1はH、C
1‐6アルキル、C
1‐6アルケニル、C
1‐6アルキニル、ハロ、もしくは‐OR
cであって、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニルはそれぞれ任意選択で‐OH、‐NR
aR
b、‐SH、‐C(O)R
c、‐C(O)OR
c、‐NHC(O)R
c、もしくは‐NHC(O)OR
cで置換されており、
かつVがO、S、もしくはNである場合、R
1は存在せず、R
2は、H、‐OR
c、‐SR
c、‐NR
aR
b、もしくはハロであり、
または、VがCである場合、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロ、‐OH、‐SH、‐NR
aR
b、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、C
1‐20アルコキシ、もしくはC
1‐20チオアルキルから選択された1~4個の置換基で任意選択で置換された、5員環もしくは6員環を形成してもよく、
R
3はHもしくはC
1‐20アルキルであり、
R
4はHもしくはC
1‐20アルキルであって、
【化3】
が二重結合を表す場合、R
4は存在しないか、またはN‐R
4が一緒になって、C
1‐20アルキルで置換された正電荷のNを形成し、
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、もしくはC
6‐20アリールであり、ならびに、
R
cは、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、もしくはアミノ‐ポリエチレングリコール基である、
請求項5に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
修飾はヌクレオシドの塩基に位置し、ヌクレオシドの塩基は次式:
【化4】
を有し、上記式中、
R
3はC
1‐20アルキルである、請求項6に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
R3はC1‐4アルキルである、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項9】
R3はCH3である、請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項10】
修飾されたヌクレオシドはプソイドウリジン(Ψ)または5‐メチル‐シチジン(m5C)ではない、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項6に記載の単離ポリヌクレオチドと薬学的に許容可能な添加剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項12】
添加剤は、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散物、懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、脂質、リピドイド リポソーム、脂質ナノ粒子、コア・シェル型ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス(lipoplexe) ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、およびこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
哺乳動物の対象者において、対象とするポリペプチドのレベルを上昇させる方法であって、前記対象者に、請求項6に記載の単離ポリヌクレオチドを投与することを含んでなる方法。
【請求項14】
ポリヌクレオチドは調合されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
単離ポリヌクレオチドは、TNF‐αまたはIFN‐αのいずれかについて100より大きいタンパク質:サイトカイン比を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
単離ポリヌクレオチドは1日総用量を1ug~150ugとして投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
投与は注射によって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投与は、皮内投与または皮下投与または筋肉内投与である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
該哺乳動物の血清中における対象とするポリペプチドのレベルは、投与後少なくとも2時間において少なくとも50pg/mlである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
該哺乳動物の血清中における対象とするポリペプチドのレベルは、投与後少なくとも72時間の間は50pg/mlを上回っている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該哺乳動物の血清中における対象とするポリペプチドのレベルは、投与後少なくとも72時間の間は60pg/mlを上回っている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
投与は2以上の均等または不均等な分割用量で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
分割用量のポリヌクレオチドの投与によって対象者により産生されるポリペプチドのレベルは、単回投与としての同じ1日総用量のポリヌクレオチドの投与によって産生されるレベルよりも大きい、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物の対象者は、対象とするポリペプチドのレベルの上昇を必要としているヒト患者である、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
対象とするポリペプチドのレベルの上昇は、前記患者の体液において検出可能である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
体液は、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、関節液、眼房水、羊水、耳垢、乳汁、気管支肺胞(broncheoalveolar)洗浄液、精液、前立腺液、カウパー腺液すなわち尿道球腺液、汗、糞便、体毛、涙、嚢胞液、胸膜液および腹膜液、囲心腔液、リンパ液、び汁、乳び、胆汁、間質液、月経分泌物、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、水様便(stool water)、膵液、副鼻腔由来の洗浄液、気管支肺吸引液、胚盤胞腔(blastocyl cavity)液、ならびに臍帯血から構成されている群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項27】
投与は、数時間、数日間、数週間、数か月間、または数年間にわたって行われる投薬レジメンに従う、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
注射は、マルチニードル式注入システム、カテーテルまたはルーメンシステム、および超音波式、電気式または放射線を用いるシステムから選択された1つ以上のデバイスを使用して行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
いずれの用量において投与されるポリヌクレオチド量もほぼ等しい、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
第1の用量、第2の用量、または複数用量のうちいずれもが、ほぼ同時に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
投与は、約10mg/kg~約500mg/kgの単一単位用量を含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項32】
投与は、約1.0mg/kg~約10mg/kgの単一単位用量を含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項33】
投与は、約0.001mg/kg~約1.0mg/kgの単一単位用量を含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項34】
ヌクレオシドの修飾は、ピリミジン核酸塩基の原子を、アミン、SH、メチルもしくはエチル、またはクロロもしくはフルオロで置き換えるかまたは置換することを含む、請求項4に記載の単離ヌクレオチド。
【請求項35】
n個の連結したヌクレオシドは、式(Ia):
【化5】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
UはO、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり、
【化6】
は単結合または二重結合であり、
【化7】
は単結合であるかまたは存在せず、R
1’、R
2’、R
1”、R
2”、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず、R
3とR
1’、R
1”、R
2’、R
2”、またはR
5のうち1つ以上との組み合わせは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを提供することが可能であり、R
5とR
1’、R
1”、R
2’、またはR
2”のうち1つ以上との組み合わせは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを提供することが可能であり、R
4とR
1’、R
1”、R
2’、R
2”、R
3、またはR
5のうち1つ以上との組み合わせは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを提供することが可能であり、
m’およびm”はそれぞれ独立に0~3の整数であり、
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、前記式中のR
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリールであるか、または存在せず、
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
Y
5はそれぞれ独立に、O、S、Se、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、
nは1~100,000の整数であり、かつ
Bは核酸塩基である、請求項1に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項36】
Bはプソイドウリジン(Ψ)または5‐メチル‐シチジン(m5C)ではない、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項37】
UはOまたはC(RU)nuであって、nuは1~2の整数であり、かつRUはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり、
R1、R1’、R1”、R2、R2’、およびR2”はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり、
R3およびR4はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシであり、
Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NRN1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、前記式中のRN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり、
Y4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
Y5はそれぞれ独立に、Oまたは任意選択で置換されたアルキレンであり、かつ
nは10~10,000の整数である、請求項35または36に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項38】
R1、R1’、およびR1”はそれぞれ、存在する場合はHである、請求項37に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項39】
R2、R2’、およびR2”はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである、請求項38に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項40】
R2、R2’、およびR2”はそれぞれ、存在する場合はHである、請求項39に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項41】
R1、R1’、およびR1”はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである、請求項40に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項42】
n個の連結したヌクレオチドは、式(IIa):
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなる、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項43】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIb)もしくは(IIc):
【化9】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩を含んでなる、請求項42に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項44】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIb‐1)、(IIb‐2)、または(IIc‐1)~(IIc‐4)を含んでなる、請求項43に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項45】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IId):
【化10】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなる、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項46】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIe)もしくは(IIf):
【化11】
またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなる、請求項44に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項47】
前記の連結したヌクレオチドはそれぞれ独立に、式(IIg)~(IIj):
【化12】
のうち1つ、またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有している、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項48】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIk):
【化13】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなる、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項49】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIl):
【化14】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなる、請求項48に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項50】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIm):
【化15】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
R
1’、R
1”、R
2’、およびR
2”はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシであるか、または存在せず、かつ、R
2’およびR
3の組み合わせまたはR
2”およびR
3の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することができる、請求項48に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項51】
UはOまたはC(RU)nuであって、nuは1~2の整数であり、かつRUはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり、
R1およびR2はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり、
R3およびR4はそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NRN1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、前記式中のRN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり、
Y4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
Y5はそれぞれ独立に、Oまたは任意選択で置換されたアルキレンであり、かつ
nは10~10,000の整数である、請求項38~50のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項52】
n個の連結したヌクレオシドは、式(IIn):
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
UはOまたはC(R
U)
nuであって、nuは1~2の整数であり、かつR
Uはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり、
R
1およびR
4はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり、
R
3’はO、S、または‐NR
N1‐であって、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり、
R
3”は、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、前記式中のR
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり、
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
Y
5はそれぞれ独立に、O、S、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、かつ
nは10~10,000の整数である、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項53】
n個の連結したヌクレオシドは式(IIn‐1)または(II‐n2)を含んでなる、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項54】
Bはそれぞれ独立に、式(b1)~(b5):
【化17】
から選択された式またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、
上記式中、
【化18】
は単結合または二重結合であり、
T
1’、T
1”、T
2’、およびT
2”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
1’およびT
1”の組み合わせもしくはT
2’およびT
2”の組み合わせがともに合わさって(例えばT
2となって)、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)を形成し、
V
1およびV
2はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vb)
nv、またはC(R
Vb)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vbはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアシルアミノアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、または任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシであり、
R
10は、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、
R
11はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、
R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、かつ、
R
12cは、H、ハロ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルである、請求項35~53のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項55】
Bは、式(b6)~(b9):
【化19】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
【化20】
は単結合または二重結合であり、
T
1’、T
1”、T
2’、およびT
2”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
1’およびT
1”の組み合わせがともに合わさって、もしくはT
2’およびT
2”の組み合わせがともに合わさって、O(オキソ)、S(チオ)、もしくはSe(セレノ)を形成するか、またはT
1およびT
2はそれぞれ独立に、O(オキソ)、S(チオ)、もしくはSe(セレノ)であり、
W
1およびW
2はそれぞれ独立に、N(R
Wa)
nwまたはC(R
Wa)
nwであって、nwは0~2の整数であり、R
Waはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、
V
3はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Va)
nv、またはC(R
Va)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vaはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、または任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアシルアミノアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、かつ、R
VaおよびR
12cは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり、
R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであるか、または存在せず、
R
12bは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルカリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、
R
12bおよびT
1’の組み合わせまたはR
12bおよびR
12cの組み合わせはともに合わさって任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり、かつ、
R
12cは、H、ハロ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルである、請求項35~54のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項56】
R12a、R12b、R12c、またはRVaは、‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、式中のs1は1~10の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10の整数であり、かつR’はHもしくはC1‐20アルキルであるもの、または、‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1であって、式中のs1は1~10の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの、によって置換されている、請求項55に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項57】
Bは式(b28)~(b31)を含んでなる、請求項55に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項58】
Bは、式(b10)~(b14):
【化21】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
T
3’およびT
3”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
3’およびT
3”の組み合わせがともに合わさってO(オキソ)、S(チオ)、もしくはSe(セレノ)を形成し、
V
4はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vc)
nv、またはC(R
Vc)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vcはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、または任意選択で置換されたアルキニルオキシであって、R
13bおよびR
Vcの組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり、
V
5はそれぞれ独立に、N(R
Vd)
nv、またはC(R
Vd)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vdはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、または任意選択で置換されたアルキニルオキシであり、
R
13aおよびR
13bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであって、R
13bおよびR
14の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり、
R
14はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり、かつ、
R
15およびR
16はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである、請求項35~57のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項59】
Bは式(b32)~(b36)を含んでなる、請求項5858に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項60】
Bは、式(b15)~(b17):
【化22】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
T
4’、T
4”、T
5’、T
5”、T
6’、およびT
6”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、T
4’およびT
4”の組み合わせまたはT
5’およびT
5”の組み合わせまたはT
6’およびT
6”の組み合わせは、ともに合わさって、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)を形成し、
V
5およびV
6はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vd)
nv、またはC(R
Vd)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vdはそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアミノ酸、シアノ、アミジン、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
R
17、R
18、R
19a、R
19b、R
21、R
22、R
23、およびR
24はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアミノ酸である、請求項35~59のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項61】
Bは式(b37)~(b40)を含んでなる、請求項60に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項62】
Bは、式(b18)~(b20):
【化23】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、
V
7はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Ve)
nv、またはC(R
Ve)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Veはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、または任意選択で置換されたアルキニルオキシであり、
R
25はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
R
26aおよびR
26bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたカルバモイルアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、またはポリエチレングリコール基、もしくはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり、
R
27はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり、
R
28はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり、
R
29はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたカルバモイルアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノである、請求項35~59のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項63】
Bは式(b41)~(b43)を含んでなる、請求項62に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項64】
R26a、R26b、またはR29は、‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、式中のs1は1~10の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10の整数であり、かつR’はHもしくはC1‐20アルキルであるもの、または、‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1であって、式中のs1は1~10の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの、によって置換されている、請求項62に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項65】
Bは式(b21):
【化24】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、X
12は、独立に、O、S、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、xaは0~3の整数であり、R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず、かつ、T
2はO、S、またはSeである、請求項35~64のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項66】
Bは式(b22):
【化25】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を含んでなり、
上記式中、R
10’は、独立に、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、R
11はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず、かつ、T
1およびT
2はそれぞれ独立に、O、S、またはSeである、請求項35~65のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項67】
Bは式(b23):
【化26】
を含んでなり、上記式中、R
10は任意選択で置換されたヘテロシクリルまたは任意選択で置換されたアリールであり、R
11はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず、かつ、T
1およびT
2はそれぞれ独立に、O、S、またはSeである、請求項35~66のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項68】
Bは、式(b24)または(b25):
【化27】
を含んでなり、上記式中、
T
3はO、S、またはSeであり、
R
13aおよびR
13bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであって、R
13bおよびR
14の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり、
R
14’は、独立に、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルカリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル(aminoalkynynyl)、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、かつ
R
15はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである、請求項35~67のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項69】
Bは、式(b26)または(b27):
【化28】
を含んでなる、請求項35~68のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項70】
Bは式(b28)~(b43)を含んでなる、請求項35~69のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項71】
前記単離ポリヌクレオチドは、BB‐1~BB‐274、またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体から選択された1つ以上の構成単位から調製される、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項72】
前記単離ポリヌクレオチドは、化合物1~50、またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体から選択された1つ以上の構成単位から調製される、請求項35に記載の単離ポリヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞機能を変調するための修飾型の核酸を使用する組成物および方法を提供する。本発明の修飾型の核酸は、ペプチド、ポリペプチドまたは複数のタンパク質をコードすることができる。コードされた分子は、治療薬および診断用薬のうち少なくともいずれかとして使用されうる。
【背景技術】
【0002】
天然に存在するRNAは4つの基本的なリボヌクレオチドすなわちATP、CTP、UTPおよびGTPから合成されるが、転写後に修飾されたヌクレオチドを含む場合もある。さらに、およそ100個の異なるヌクレオシド修飾物がRNAにおいて同定されている(非特許文献1)。しかしながら、RNAの免疫刺激能および翻訳効率に対するヌクレオシド修飾物の役割は明らかではない。
【0003】
従来のタンパク質発現達成の方法論には数多くの問題がある。例えば、細胞内へ導入された異種DNAは、娘細胞(該異種DNAが染色体に組込まれているかどうかに関わらない)または子孫によって受け継がれる可能性がある。導入されたDNAはある頻度で宿主細胞ゲノムDNAに組込まれ、結果として宿主細胞ゲノムDNAへの変質作用および損傷のうち少なくともいずれかをもたらす可能性がある。加えて、タンパク質が作られる前には複数のステップを経なければならない。細胞内部に入ると、DNAは、RNAへと転写される場所である核の中へ輸送されなければならない。その後、DNAから転写されたRNAは、タンパク質へと翻訳される場所である細胞質に入らなければならない。このように複数の処理ステップを必要とすることから、対象とするタンパク質が生成される前に遅延時間が生じる。さらに、細胞内でDNA発現を達成するのは難しく;多くの場合、DNAは細胞に入るが発現されないかまたは妥当な速度もしくは濃度では発現されない。これは、DNAが初代細胞または改変細胞株のような細胞に導入される場合は特に問題となりうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ロゼンスキー(Rozenski)、J、クレイン(Crain)、Pおよびマックロスキー(McCloskey)、J.、「RNA修飾データベース:1999年版(The RNA Modification Database: 1999 update.)」、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucl Acids Res)、1999年、第27巻、p.196-197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
核酸の細胞内翻訳の変調に取り組むための生物学的手法が当分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本開示はとりわけ、in vivoおよびex vivoのいずれにおいても細胞集団に導入された時に先天性免疫応答の低減を示すことができる、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸を提供する。
【0007】
本発明はポリヌクレオチドを提供し、該ポリヌクレオチドは単離ポリヌクレオチドであってもよいし精製ポリヌクレオチドであってもよい。これらのポリヌクレオチドは、1以上の対象とするポリペプチドをコードし、かつ、A、G、UまたはCのヌクレオシドまたはヌクレオチドの化学構造と比較して修飾がなされた少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオチドを含んでなる、n個の連結したヌクレオシドまたはヌクレオチドの配列を含んでなることができる。該ポリヌクレオチドはさらに、少なくとも1つのコザック配列を含んでなる5’UTR、3’UTR、および少なくとも1つの5’キャップ構造も含みうる。該単離ポリヌクレオチドはポリAテールをさらに含んでもよく、精製されてもよい。
【0008】
本発明の単離ポリヌクレオチドはさらに、Cap0、Cap1、ARCA、イノシン、N1‐メチル‐グアノシン、2’フルオロ‐グアノシン、7‐デアザ‐グアノシン、8‐オキソ‐グアノシン、2‐アミノ‐グアノシン、LNA‐グアノシン、および2‐アジド‐グアノシンで構成されている群から選択された少なくとも1つの5’キャップ構造も含んでなる。
【0009】
本発明のポリヌクレオチドの修飾は、該ポリヌクレオチドを構成しているヌクレオシドの塩基に対するもの、およびヌクレオシドの糖部分に対するもののうち少なくともいずれかであってよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、修飾は核酸塩基に対するものであり、プソイドウリジンまたはN1‐メチルプソイドウリジンで構成されている群から選択される。
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドはプソイドウリジン(Ψ)でも5‐メチル‐シチジン(m5C)でもない。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の修飾が、修飾核酸中に、または1つ以上の個々のヌクレオシドもしくはヌクレオチド中に、含まれる。例えば、ヌクレオシドに対する修飾は、核酸塩基および糖に対する1つ以上の修飾を含みうる。
【0012】
いくつかの実施形態では、修飾ポリヌクレオチドの調製のための新規な構成単位、例えばヌクレオシドおよびヌクレオチド、ならびにそれらの合成および製造の方法が提供される。
【0013】
本発明はさらに、本明細書中に記載された修飾ポリヌクレオチドを含んでなる医薬組成物も提供する。これらはまた、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散物、懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、脂質、リピドイド リポソーム、脂質ナノ粒子、コア・シェル型ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス(lipoplexe) ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、およびこれらの混合物から選択された1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤を含む。
【0014】
本発明のポリヌクレオチドおよび修飾核酸を使用する方法も提供される。この事例では、ポリヌクレオチド(poynucleotides)は、当分野で周知の任意の手段によって調合可能であり、皮内、皮下、または筋肉内の手段による注射を含むいくつかの経路のうち任意の経路を介して投与されうる。
【0015】
本発明(inventin)の修飾核酸の投与は2以上の均等または不均等な分割用量によってなされることもできる。いくつかの実施形態では、分割用量のポリヌクレオチドの投与によって対象者により産生されるポリペプチドのレベルは、単回投与としての同じ1日総用量のポリヌクレオチドの投与によって産生されるレベルよりも大きい。
【0016】
修飾核酸またはコードされたポリペプチドの検出は、対象者または患者の体液中で実施されてもよく、体液は、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、関節液、眼房水、羊水、耳垢、乳汁、気管支肺胞(broncheoalveolar)洗浄液、精液、前立腺液、カウパー腺液すなわち尿道球腺液、汗、糞便、体毛、涙、嚢胞液、胸膜液および腹膜液、囲心腔液、リンパ液、び汁、乳び、胆汁、間質液、月経分泌物、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、水様便(stool water)、膵液、副鼻腔由来の洗浄液、気管支肺吸引液、胚盤胞腔(blastocyl cavity)液、ならびに臍帯血から構成されている群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与は、数時間、数日間、数週間、数か月間、または数年間にわたって行われる投薬レジメンに従い、マルチニードル式注入システム、カテーテルまたはルーメンシステム、および超音波式、電気式または放射線を用いるシステムから選択された1つ以上のデバイスを使用して行われうる。
【0018】
別途定義のないかぎり、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。方法および材料は、本開示内容における使用について本明細書中に記載されているが;当分野において周知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法、および実施例は単なる例証であり、限定を意図するものではない。本明細書において言及された出版刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、およびその他の参照文献は全て、参照によってその全体が本願に組み込まれる。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。
【0019】
本開示内容のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から、また特許請求の範囲から明白となろう。
前記およびその他の目的、特徴および利点は、添付図面に例証されるように、本発明の特定の実施形態についての以降の説明から明白となるが、添付図面においては同様の参照符号は様々な図の全体を通じて同一の部分を指している。図面は必ずしも原寸に比例せず、むしろ本発明の様々な実施形態の原則を例証することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】N4‐Me‐CTP(化合物1のNTP)についての解析結果のスペクトルおよびグラフであって、DMSO中における核磁気共鳴(NMR)スペクトルを提示する図。
【
図1B】N4‐Me‐CTP(化合物1のNTP)についての解析結果のスペクトルおよびグラフであって、D
2O中におけるNMRスペクトルを提示する図。
【
図1C】N4‐Me‐CTP(化合物1のNTP)についての解析結果のスペクトルおよびグラフであって、質量分析(MS)結果を提示する図。
【
図1D】N4‐Me‐CTP(化合物1のNTP)についての解析結果のスペクトルおよびグラフであって、N4‐メチルシチジン(N4‐Me‐シチジン、化合物1)についての高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の結果を示す図。
【
図2】N4‐Me‐CTP(化合物1のNTP)についてのHPLCの結果を示す図。
【
図3A】2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTP(化合物2のNTP)についての解析結果を示す図であって、NMRスペクトルを提供する図。
【
図3B】2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTP(化合物2のNTP)についての解析結果を示す図であって、MSの結果を提供する図。
【
図3C】2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTP(化合物2のNTP)についての解析結果を示す図であって、2’‐O‐メチル‐N4,N4‐ジメチルシチジン(2’‐OMeN,N‐ジ‐Me‐シチジン、化合物2)についてのHPLC結果を提供する図。
【
図4】2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTP(化合物2のNTP)についてのHPLC結果を示す図。
【
図5】5‐メトキシカルボニルメトキシ‐UTP(化合物3のNTP)についてのHPLC結果を示す図。
【
図6A】3‐メチルプソイドウリジン(化合物4)の解析結果を示す図であって、3‐メチルプソイドウリジン(化合物4)のNMRスペクトルを提供する図。
【
図6B】3‐メチルプソイドウリジン(化合物4)の解析結果を示す図であって、3‐メチルプソイドウリジン(化合物4)についてのHPLC結果を提供する図。
【
図7A】5‐TBDMS‐OCH
2‐シチジン(化合物6)の解析結果を示す図であって、NMRスペクトルを提供する図。
【
図7B】5‐TBDMS‐OCH
2‐シチジン(化合物6)の解析結果を示す図であって、MSの結果を提供する図。
【
図7C】5‐TBDMS‐OCH
2‐シチジン(化合物6)の解析結果を示す図であって、5‐TBDMS‐OCH
2‐シチジン(化合物6)についてのHPLC結果を提供する図。
【
図8A】5‐トリフルオロメチルウリジン(化合物8)の解析結果を示す図であって、NMRスペクトルを提供する図。
【
図8B】5‐トリフルオロメチルウリジン(化合物8)の解析結果を示す図であって、MSの結果を提供する図。
【
図8C】5‐トリフルオロメチルウリジン(化合物8)の解析結果を示す図であって、5‐トリフルオロメチルウリジン(化合物8)についてのHPLC結果を提供する図。
【
図9】5‐(メトキシカルボニル)メチルウリジン(化合物9)のNMRスペクトル結果を示す図。
【
図10】タンパク質(GCSF;線B)ならびにサイトカイン(インターフェロン‐α(IFNa);線Aおよび腫瘍壊死因子‐α(TNFa);線C)の発現の変動を修飾率(%)の関数として示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本開示は、とりわけ、治療的特性、例えば、限定されるものではないが細胞集団に導入された時に先天性免疫応答の低減を示す、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸を提供する。
【0022】
当分野では、ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸の細胞内翻訳およびプロセシングの効果的な変調を取り巻く無数の障壁に取り組むための治療的手段が必要とされ続けており、そのため本発明者らは、ある種の修飾mRNA配列が、免疫応答を単に回避し(evading)、免れ(avoiding)、または縮小することを超える有益性を備えた治療薬としての潜在性を有することを示した。
【0023】
本発明は、上記の必要性に対して、核酸ベースの化合物またはポリヌクレオチドであって、対象とするポリペプチドをコードし(例えば、修飾mRNA)、かつ、当分野における問題のうち1つ以上を免れる構造的特徴および化学的特徴のうち少なくともいずれか、例えば、構造的かつ機能的統合性を保持しながら核酸ベースの治療薬を最適化し、発現の閾を乗り越え、発現速度、半減期およびタンパク質濃度のうち少なくともいずれかを改善し、タンパク質局在化を最適化し、免疫応答および分解経路のうち少なくともいずれかのような有害な生体応答を免れるのに有用な特徴を有する、化合物またはポリヌクレオチドを提供することにより、取り組むものである。
【0024】
本明細書中に提示されるのは、一部には、対象とするポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、組織中における安定性およびクリアランスのうち少なくともいずれか、レセプターの取り込みおよび動態のうち少なくともいずれか、組成物の細胞へのアクセス、翻訳機構とのかみ合い、mRNA半減期、翻訳効率、免疫回避、タンパク質産生能、分泌効率(適用可能な場合)、循環系への入り易さ、タンパク質半減期、ならびに、細胞の状態、機能および活性のうち少なくともいずれかの変調、のうち1つ以上を改善するために化学修飾されている、ポリヌクレオチドである。
【0025】
本発明の修飾型のヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸、例えば本明細書中に教示された修飾の組み合わせを含むものは、該ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸を治療手段としてより適切なものとする優れた特性を有する。
【0026】
当分野における「全か無か」のモデルは、修飾mRNAの治療的有用性に関連した生物学的現象について説明するには極めて不十分であることが明らかとなっている。本発明者らは、タンパク質産生を改善するために、修飾または修飾の組み合わせの性質、修飾率(%)について検討し、かつ特定の修飾mRNAの有効性およびリスクのプロファイルを判定するために2以上のサイトカインまたは測定基準について調査すればよいことを明らかにした。
【0027】
本発明の1つの態様では、修飾mRNAの有効性を非修飾物と比較して判定する方法は、本発明の外来核酸の投与によって発現が誘発される1以上のサイトカインの測定および解析を伴う。これらの値は、非修飾型の核酸の投与との比較、またはサイトカイン反応、PolyIC、R‐848もしくは当分野で既知の他の標準物のような標準的測定基準との比較がなされる。
【0028】
本明細書中で開発された標準的測定基準の一例は、該修飾核酸の投与または該修飾核酸との接触の結果として細胞、組織または生物内で産生された、コードされたポリペプチド(タンパク質)のレベルまたは量と、細胞、組織または生物内で発現が誘発された1つ以上(または一団)のサイトカインのレベルまたは量との比、という尺度である。そのような比は本明細書中ではタンパク質:サイトカイン比または「PC」比と呼ばれる。PC比がより高いほど、該修飾核酸(測定されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド)はより有効(efficacioius)である。本発明の好ましいPC比(サイトカインによる)は、1より大きい値、10より大きい値、100より大きい値、1000より大きい値、10,000より大きい値となりうる。異なる構築物または未修飾構築物の修飾核酸より高いPC比を有する修飾核酸が好ましい。
【0029】
PC比は、ポリヌクレオチド中に存在する修飾率(%)によってさらに表現されてもよい。例えば、100%修飾された核酸に対して標準化されて、サイトカイン(もしくはリスク)またはサイトカインプロファイルの関数としてのタンパク質産生が判定されうる。
【0030】
1つの実施形態では、本発明は、修飾核酸(ポリヌクレオチド)のPC比を比較することにより、任意の特定の修飾ポリヌクレオチドの相対的効力を、化学構造、サイトカインまたは修飾率(%)すべてにわたって判定する方法を提供する。
【0031】
別の実施形態では、化学修飾されたmRNAはほぼ無毒かつ非突然変異誘発性である。
1つの実施形態では、該修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は、主溝面が化学修飾されることにより、先天性免疫応答を引き起こす可能性のある主溝結合パートナーの相互作用を妨害することができる。さらに、これらの修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は、生物学的標的に対してペイロード(例えば検出可能な作用薬または治療薬)を送達するために使用することができる。例えば、核酸は、ペイロード(例えば検出可能な作用薬または治療薬)に、核酸塩基または糖部分に取り付けられたリンカーによって共有結合されうる。本明細書中に記載された組成物および方法は、in vivoおよびin vitroにおいて、細胞外(extracellarly)または細胞内のいずれにおいても、また無細胞アッセイのようなアッセイにおいても、使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本開示は、主溝と相互作用(例えば結合)するパートナーが核酸と結合するのを妨害するヌクレオチドであって、主溝と相互作用するパートナーに対して低い結合親和性を有するヌクレオチドを含んでなる化合物を提供する。
【0033】
別の態様では、本開示は、化学修飾を含むヌクレオチドであって、主溝と相互作用するパートナーへの結合が変化したヌクレオチドを提供する。
いくつかの実施形態では、化学修飾は核酸塩基の主溝面上に位置し、該化学修飾は、ピリミジン核酸塩基の原子を、アミン、SH、アルキル(例えばメチルまたはエチル)、またはハロ(例えばクロロまたはフルオロ)に置き換えまたは置換をなすことを含みうる。
【0034】
別の態様では、本開示は、ヌクレオチドの糖部分に位置する化学修飾を提供する。
別の態様では、本開示は、核酸のリン酸バックボーンに位置する化学修飾を提供する。
いくつかの実施形態では、化学修飾は、核酸の主溝面上の電気化学的性質を変化させる。
【0035】
別の態様では、本開示は、化学修飾を含むヌクレオチドであって、細胞の先天性免疫応答を、対応する非修飾核酸によって誘導される細胞の先天性免疫と比較して低減するヌクレオチドを提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、少なくとも2つのヌクレオチドを含んでなる核酸配列であって、該核酸配列は主溝と相互作用するパートナーが該核酸配列と結合するのを妨害するヌクレオチドを含んでなり、該ヌクレオチドは主溝結合パートナーへの結合親和性が低下している、核酸配列を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、本明細書中に記載されるような化合物を含んでなる組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は反応混合物である。いくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は細胞培養物である。いくつかの実施形態では、組成物はRNAポリメラーゼおよびcDNA鋳型をさらに含んでなる。いくつかの実施形態では、組成物は、アデノシン、シトシン、グアノシンおよびウラシルで構成されている群から選択されたヌクレオチドをさらに含んでなる。
【0038】
さらなる態様では、本開示は、生理活性分泌タンパク質を含んでなる医薬調合物を作製する方法であって、本明細書中に記載された方法によって作製された製薬用核酸を用いて第1集団のヒト細胞をトランスフェクションするステップを含んでなり、該分泌タンパク質は第2集団のヒト細胞に対する活性を有する、方法を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は、第2集団に存在する少なくとも1個の細胞の表面上のレセプターと相互作用する能力を有する。
いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2集団はG‐CSFレセプターを発現する骨髄芽細胞を含む。
ある種の実施形態では、本明細書中に提供されるのは、哺乳動物の対象者の免疫をブーストする1または複数のタンパク質に加えて抗体依存性の細胞毒性(cellular toxitity)を誘導するタンパク質をコードする翻訳可能な領域を含んでいる1つ以上の修飾核酸を含有する、組み合わせ治療薬である。例えば、提供されるのは、トラスツズマブおよび顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)をコードする1つ以上の核酸を含有する治療薬である。特に、そのような組み合わせ治療薬はトラスツズマブに対する誘導抵抗性を獲得したHer2+乳がん患者において有用である。(例えば、アルブレヒト(Albrecht)、イムノセラピー(Immunotherapy)、2010年、第2巻、第6号、p.795-8を参照されたい)。
【0041】
1つの実施形態では、本開示の化合物は安定であることが意図される。さらに当然のことであるが、明確にするために別個の実施形態に関して記載されている、本開示のある種の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることも可能である。反対に、簡潔にするために単一の実施形態に関して記載されている本開示の様々な特徴が、別々に、または任意の適切な部分的組み合わせで提供されることも可能である。
【0042】
[本発明の修飾型のヌクレオチド、ヌクレオシドおよびポリヌクレオチド]
本明細書中では、ヌクレオチド、ヌクレオシドまたはポリヌクレオチド(本発明の核酸、例えばmRNA分子など)において、「修飾」、または必要に応じて「修飾された、修飾型の」という用語は、A、G、UまたはCリボヌクレオチドに関する修飾を指す。一般に、本明細書中では、これらの用語は、天然に存在する5’末端のmRNAキャップ部分におけるリボヌクレオチド修飾を指すようには意図されない。ポリペプチドでは、「修飾」という用語は、正統的な20アミノ酸のセット、構成部分(moiety))と比較した場合の修飾を指す。
【0043】
修飾は様々な別個の修飾であってよい。核酸がmRNAであるいくつかの実施形態では、コード領域、フランキング領域および末端領域のうち少なくともいずれかが、1個、2個またはそれ以上の(任意選択で異なる)ヌクレオシド修飾またはヌクレオチド修飾を含みうる。いくつかの実施形態では、細胞に導入された修飾ポリヌクレオチドは、未修飾のポリヌクレオチドと比較して、細胞内での分解の低減を示すことができる。
【0044】
ポリヌクレオチドは、任意の有用な修飾、例えば糖、核酸塩基、またはヌクレオシド間結合に対する修飾(例えば、結合しているリン酸に対するもの/ホスホジエステル結合に対するもの/リン酸ジエステルバックボーンに対するもの)を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドの主溝、または核酸塩基の主溝面は、1つ以上の修飾を含んでなることができる。ピリミジン核酸塩基の(例えば主溝面上の)1つ以上の原子は、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたチオール、任意選択で置換されたアルキル(例えばメチルもしくはエチル)、またはハロ(例えばクロロまたはフルオロ)で置き換えまたは置換されてもよい。ある実施形態では、修飾(例えば1つ以上の修飾)は糖およびヌクレオシド間結合の各々に存在する。本発明による修飾は、リボ核酸(RNA)の、デオキシリボ核酸(DNA)への修飾、例えばリボフラノシル(ribofuranysyl)環の2’OHの2’Hへの置換)、トレオース核酸(TNA)への修飾、グリコール核酸(GNA)への修飾、ペプチド核酸(PNA)への修飾、ロックド核酸(LNA)への修飾またはこれらの混成体への修飾であってよい。さらなる修飾は本明細書中に記載されている。
【0045】
本明細書中に記載されるように、本発明のポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチド(例えばmRNA)が導入される細胞の先天性免疫応答をほとんど誘導しない。誘導される先天性免疫応答の特徴には、1)炎症誘発性サイトカインの発現増大、2)細胞内PRR(RIG‐I、MDA5など)の活性化、および3)タンパク質翻訳における停止もしくは低減、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0046】
ある実施形態では、細胞内に導入された修飾核酸分子は細胞内で(intracellulary)分解されることが望ましい。例えば、タンパク質産生の正確な時期選択が望まれる場合には、修飾核酸分子の分解は望ましい場合もある。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、細胞内で指定の方法で作用せしめることが可能な分解ドメインを含有する修飾核酸分子を提供する。別の態様では、本開示は、主溝と相互作用(例えば結合)するパートナーがポリヌクレオチドと結合するのを妨害することができるヌクレオシドまたはヌクレオチド(例えば、修飾ヌクレオチドが未修飾のヌクレオチドと比較して主溝と相互作用するパートナーに対して低い結合親和性を有する場合)を含んでなるポリヌクレオチドを提供する。
【0047】
ポリヌクレオチドには、任意選択で、他の作用薬(例えばRNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクターなど)が含まれうる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾型のヌクレオシドまたはヌクレオチドを有する1つ以上のメッセンジャーRNA(mRNA)(すなわち修飾mRNA分子)を含みうる。これらのポリヌクレオチドの詳細については後述する。
【0048】
ポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、対象とするポリペプチドをコードする連結したヌクレオシドの第1の領域、第1の領域の5’末端に位置する第1のフランキング領域、および第1の領域の3’末端に位置する第2のフランキング領域を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(Ia)もしくは式(Ia‐1):
【0050】
【化1】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、UはO、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立にH、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり;
【0051】
【化2】
は単結合であるかまたは存在せず;
R
1’、R
2’、R
1”、R
2”、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド(azido)、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず;R
3とR
1’、R
1”、R
2’、R
2”、またはR
5のうち1つ以上との組み合わせ(例えばR
1’およびR
3の組み合わせ、R
1”およびR
3の組み合わせ、R
2’およびR
3の組み合わせ、R
2”およびR
3の組み合わせ、またはR
5およびR
3の組み合わせ)は、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、もしくは四環のヘテロシクリル)を提供することが可能であり;R
5とR
1’、R
1”、R
2’、またはR
2”のうち1つ以上との組み合わせ(例えばR
1’およびR
5の組み合わせ、R
1”およびR
5の組み合わせ、R
2’およびR
5の組み合わせ、またはR
2”およびR
5の組み合わせ)は、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、もしくは四環のヘテロシクリル)を提供することが可能であり;R
4とR
1’、R
1”、R
2’、R
2”、R
3、またはR
5のうち1つ以上との組み合わせは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することが可能であり、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、もしくは四環のヘテロシクリル)を提供することが可能であり;
m’およびm”はそれぞれ独立に0~3(例えば0~2、0~1、1~3、または1~2)の整数であり;
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、前記式中のR
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリールであるか、または存在せず;
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
Y
5はそれぞれ独立に、O、S、Se、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Bは核酸塩基(例えばプリン、ピリミジン、またはこれらの誘導体)であり、BおよびR
1’の組み合わせ、BおよびR
2’の組み合わせ、BおよびR
1”の組み合わせ、もしくはBおよびR
2”の組み合わせは、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で二環基(例えば二環のヘテロシクリル)を形成しうるか、または、B、R
1”、およびR
3の組み合わせもしくはB、R
2”、およびR
3の組み合わせは、任意選択で三環基もしくは四環基(例えば、本明細書中の式(IIo)‐(IIp)のような三環もしくは四環のヘテロシクリル)を形成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは修飾されたリボースを含んでいる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、n個の連結したヌクレオシドであって式(Ia‐2)~式(Ia‐5)またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するヌクレオシドを含む。
【0053】
【化3】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(Ib)もしくは式(Ib‐1):
【0054】
【化4】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、
UはO、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立にH、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり;
【0055】
【化5】
は単結合であるかまたは存在せず;
R
1、R
3’、R
3”、およびR
4はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず;R
1およびR
3’の組み合わせまたはR
1およびR
3”の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成する(例えばロックド核酸を生じる)ことが可能であり;
R
5はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシであるか、または存在せず;
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり;
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Bは核酸塩基である。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(Ic):
【0057】
【化6】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、
UはO、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立にH、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり;
【0058】
【化7】
は単結合であるかまたは存在せず;
B
1、B
2およびB
3はそれぞれ独立に、核酸塩基(例えば本明細書中に記載されるようなプリン、ピリミジン、またはこれらの誘導体)、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであって、B
1、B
2およびB
3のうち1つだけが核酸塩基であり;
R
b1、R
b2、R
b3、R
3、およびR
5はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;
Y
1、Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであって、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり;
Y
4はそれぞれ、独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
Y
5はそれぞれ、独立に、O、S、Se、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Uを含む環は1つ以上の二重結合を含むことができる。
【0059】
特定の実施形態では、Uを含む環は、U‐CB3Rb3間またはCB3Rb3-CB2Rb2間には二重結合を持たない。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(Id):
【0060】
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、UはO、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであり、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立にH、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり;
R
3はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり;
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
Y
5はそれぞれ独立に、O、S、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Bは核酸塩基(例えばプリン、ピリミジン、またはこれらの誘導体)である。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(Ie):
【0062】
【化9】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、
上記式中、U’およびU”はそれぞれ独立に、O、S、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立にH、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり;
R
6はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;
Y
5’はそれぞれ独立に、O、S、任意選択で置換されたアルキレン(例えば、メチレンもしくはエチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Bは核酸塩基(例えばプリン、ピリミジン、またはこれらの誘導体)である。
【0063】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(If)もしくは式(If‐1):
【0064】
【化10】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、
上記式中、U’およびU”はそれぞれ独立に、O、S、N、N(R
U)
nu、またはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、R
Uはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルであり(例えばU’はOでありかつU”はNであり);
【0065】
【化11】
は単結合であるかまたは存在せず;
R
1’、R
2’、R
1”、R
2”、R
3、およびR
4はそれぞれ、独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず;R
1’およびR
3の組み合わせ、R
1”およびR
3の組み合わせ、R
2’およびR
3の組み合わせ、またはR
2”およびR
3の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成する(例えばロックド核酸を生じる)ことが可能であり;m’およびm”はそれぞれ独立に0~3(例えば0~2、0~1、1~3、または1~2)の整数であり;
Y
1、Y
2、およびY
3はそれぞれ独立に、O、S、Se、‐NR
N1‐、任意選択で置換されたアルキレン、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリールであるか、または存在せず;
Y
4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
Y
5はそれぞれ独立に、O、S、Se、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり;
nは1~100,000の整数であり;かつ
Bは核酸塩基(例えばプリン、ピリミジン、またはこれらの誘導体)である。
【0066】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Uを含む環は1つまたは2つの二重結合を有する。
【0067】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr)では、R1、R1’、およびR1”はそれぞれ、存在する場合はHである。さらなる実施形態では、R2、R2’、およびR2”はそれぞれ、存在する場合、独立にH、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである。特定の実施形態では、アルコキシアルコキシは‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、前記式中、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルである。いくつかの実施形態では、s2は0であり、s1は1または2であり、s3は0または1であり、R’はC1‐6アルキルである。
【0068】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R2、R2’、およびR2”はそれぞれ、存在する場合はHである。さらなる実施形態では、R1、R1’、およびR1”はそれぞれ、存在する場合、独立に、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである。特定の実施形態では、アルコキシアルコキシは‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、前記式中、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルである。いくつかの実施形態では、s2は0であり、s1は1または2であり、s3は0または1であり、R’はC1‐6アルキルである。
【0069】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立に、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである。特定の実施形態では、R3はHであり、R4はHであり、R5はHである、すなわちR3、R4およびR5はすべてHである。特定の実施形態では、R3はC1‐6アルキルであり、R4はC1‐6アルキルであり、R5はC1‐6アルキルである、すなわちR3、R4、およびR5はすべてC1‐6アルキルである。特定の実施形態では、R3およびR4はいずれもHであり、R5はC1‐6アルキルである。
【0070】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R3およびR5は、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成し、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、または四環のヘテロシクリル)、例えばトランス‐3’,4’アナログ体であって、R3およびR5がともに合わさってヘテロアルキレン(例えば‐(CH2)b1O(CH2)b2O(CH2)b3‐、式中のb1、b2およびb3はそれぞれ独立に0~3の整数)を形成するものを提供する。
【0071】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R3と、R1’、R1”、R2’、R2”、またはR5のうち1つ以上とは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成し、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、または四環のヘテロシクリル)を形成し、R3と、R1’、R1”、R2’、R2”、またはR5のうち1つ以上とは、ともに合わさってヘテロアルキレン(例えば‐(CH2)b1O(CH2)b2O(CH2)b3‐、式中のb1、b2およびb3はそれぞれ独立に0~3の整数である)を提供する。
【0072】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R5と、R1’、R1”、R2’、またはR2”のうち1つ以上とは、ともに合わさって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成し、かつ、それらが結合している炭素と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば二環、三環、または四環のヘテロシクリル)を形成し、R5と、R1’、R1”、R2’、またはR2”のうち1つ以上とは、ともに合わさってヘテロアルキレン(例えば‐(CH2)b1O(CH2)b2O(CH2)b3‐、式中のb1、b2およびb3はそれぞれ独立に0~3の整数である)を提供する。
【0073】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Y2はそれぞれ独立に、O、S、または‐NRN1‐であって、RN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールである。特定の実施形態では、Y2はNRN1‐であって、RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピルまたはn‐プロピルのようなC1-6アルキル)である。
【0074】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Y3はそれぞれ独立に、OまたはSである。
【0075】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R1はHであり;R2はそれぞれ独立に、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ(例えば‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’は、HまたはC1‐20アルキルであって、例えば、s2は0、s1は1または2、s3は0または1、およびR’はC1‐6アルキルであり);Y2はそれぞれ独立に、Oまたは‐NRN1‐であって、RN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり(例えば、RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキル(例えばメチル、エチル、イソプロピル、またはn‐プロピルのようなC1-6アルキル)であり);かつ、Y3はそれぞれ独立に、OまたはS(例えばS)である。さらなる実施形態では、R3は、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ(例えばメトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである。さらに別の実施形態では、Y1はそれぞれ独立に、Oまたは‐NRN1‐であって、RN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり(例えば、RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはn‐プロピルのようなC1-6アルキル)であり);かつ、Y4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノである。
【0076】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、R1はそれぞれ独立に、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ(例えば‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’は、HまたはC1‐20アルキルであって、例えば、s2は0、s1は1または2、s3は0または1、およびR’はC1‐6アルキルであり);R2はHであり;Y2はそれぞれ独立に、Oまたは‐NRN1‐であって、RN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり(例えば、RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはn‐プロピルのようなC1-6アルキル)であり);かつ、Y3はそれぞれ独立に、OまたはS(例えばS)である。さらなる実施形態では、R3は、H、ハロ(例えばフルオロ)、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ(例えばメトキシまたはエトキシ)、または任意選択で置換されたアルコキシアルコキシである。さらに別の実施形態では、Y1はそれぞれ独立に、Oまたは‐NRN1‐であって、RN1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり(例えば、RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはn‐プロピルのようなC1-6アルキル)であり);かつ、Y4はそれぞれ独立に、H、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノである。
【0077】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Uを含む環は、β‐D(例えばβ‐D‐リボ)構造である。
【0078】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Uを含む環は、α‐L(例えばα‐L‐リボ)構造である。
【0079】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、1つ以上のBはプソイドウリジン(Ψ)または5‐メチル‐シチジン(m5C)ではない。
【0080】
いくつかの実施形態では、n個のBの核酸塩基のうち約10%~約100%はΨまたはm5Cではない(例えば、n個のBのうち10%~20%、10%~35%、10%~50%、10%~60%、10%~75%、10%~90%、10%~95%、10%~98%、10%~99%、20%~35%、20%~50%、20%~60%、20%~75%、20%~90%、20%~95%、20%~98%、20%~99%、20%~100%、50%~60%、50%~75%、50%~90%、50%~95%、50%~98%、50%~99%、50%~100%、75%~90%、75%~95%、75%~98%、75%~99%、および75%~100%はΨまたはm5Cではない)。いくつかの実施形態では、BはΨまたはm5Cではない。
【0081】
ポリヌクレオチドのいくつかの実施形態(例えば、式(Ia)‐(Ia‐5)、(Ib)‐(If‐1)、(IIa)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr))では、Bがシトシン、グアニン、ウラシルおよびアデニンから選択された未修飾の核酸塩基である場合、Y1、Y2、またはY3のうち少なくとも1つはOではない。
【0082】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは修飾型のリボースを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIa)‐(IIc):
【0083】
【化12】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、UはOまたはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、かつR
Uはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルである(例えば、Uは‐CH
2‐または‐CH‐である)。他の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在せず(例えば、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり;R
3およびR
4はそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルであり;R
5はHまたはヒドロキシであり)、かつ
【0084】
【0085】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIb‐1)‐(IIb‐2):
【0086】
【化14】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、UはOまたはC(R
U)
nuであって、nuは0~2の整数であり、かつR
Uはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルである(例えば、Uは‐CH
2‐または‐CH‐である)。他の実施形態では、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在しない(例えば、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシ、例えばH、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシである)。特定の実施形態では、R
2はヒドロキシまたは任意選択で置換されたアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、または本明細書中に記載された任意のもの)である。
【0087】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIc‐1)‐(IIc‐4):
【0088】
【化15】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、UはOまたはC(RU)nuであって、nuは0~2の整数であり、かつRUはそれぞれ独立に、H、ハロ、または任意選択で置換されたアルキルである(例えば、Uは‐CH2‐または‐CH‐である)。いくつかの実施形態では、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニルであるか、または存在しない(例えば、R1およびR2はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、例えばH、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、またはアルコキシであり;かつR3はそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルである)。特定の実施形態では、R2は任意選択で置換されたアルコキシ(例えばメトキシもしくはエトキシ、または本明細書中に記載された任意のもの)である。特定の実施形態では、R1は任意選択で置換されたアルキルであり、R2はヒドロキシである。他の実施形態では、R1はヒドロキシであり、R2は任意選択で置換されたアルキルである。さらなる実施形態では、R3は任意選択で置換されたアルキルである。
【0090】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは非環式の修飾型リボースを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IId)‐(IIf):
【0091】
【化16】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは非環式の修飾型ヘキシトールを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIg)‐(IIj):
【0093】
【化17】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、縮小または拡大されたリボース環を有する糖部分を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIk)‐(IIm):
【0095】
【化18】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、R
1’、R
1”、R
2’、およびR
2”はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシであるか、または存在せず;R
2’およびR
3の組み合わせまたはR
2”およびR
3の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたアルキレンまたは任意選択で置換されたヘテロアルキレンを形成することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドはロックされた(locked)修飾型リボースを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIn):
【0097】
【化19】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、R
3’はO、S、または‐NR
N1‐であって、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり、R
3”は、任意選択で置換されたアルキレン(例えば、‐CH
2‐、‐CH
2CH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2CH
2‐)または任意選択で置換されたヘテロアルキレン(例えば、‐CH
2NH‐、‐CH
2CH
2NH‐、‐CH
2OCH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2OCH
2‐)である(例えば、R
3’はOであり、R
3”は任意選択で置換されたアルキレン(例えば、‐CH
2‐、‐CH
2CH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2CH
2‐)である)。
【0098】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIn‐1)‐(IIn‐2):
【0099】
【化20】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、R
3’はO、S、または‐NR
N1‐であって、R
N1は、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたアリールであり、R
3”は、任意選択で置換されたアルキレン(例えば、‐CH
2‐、‐CH
2CH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2CH
2‐)または任意選択で置換されたヘテロアルキレン(例えば、‐CH
2NH‐、‐CH
2CH
2NH‐、‐CH
2OCH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2OCH
2‐)である(例えば、R
3’はOであり、R
3”は任意選択で置換されたアルキレン(例えば、‐CH
2‐、‐CH
2CH
2‐、もしくは‐CH
2CH
2CH
2‐)である)。
【0100】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、四環式ヘテロシクリルを形成するロックされた修飾型リボースを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)は、式(IIo):
【0101】
【化21】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有するn個の連結したヌクレオシドを含み、上記式中、R
12a、R
12c、T
1’、T
1”、T
2’、T
2”、V
1およびV
3は本明細書中に記載されたとおりである。
【0102】
該ポリヌクレオチドの式はいずれも、本明細書中に記載された1つ以上の核酸塩基(例えば式(b1)‐(b43))を含むことができる。
1つの実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と相互作用するパートナーが該核酸と結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを、調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、本明細書中に定義されるような式(Ia):
【0103】
【化22】
を有するn個のヌクレオシドを含んでなり、該方法は、本明細書中に定義されるような式(IIIa):
【0104】
【化23】
の化合物を、
RNAポリメラーゼ、およびcDNA鋳型と反応させることを含んでなる、方法を提供する。
【0105】
さらなる実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と結合するパートナーが該ポリヌクレオチド配列と結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを、増幅する方法であって、本明細書中に定義されるような式(IIIa)の化合物を、プライマー、cDNA鋳型、およびRNAポリメラーゼと共に反応させることを含んでなる方法を提供する。
【0106】
1つの実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と相互作用するパートナーが該核酸と結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを、調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、本明細書中に定義されるような式(Ia‐1):
【0107】
【化24】
を有するn個のヌクレオシドを含んでなり、該方法は、本明細書中に定義されるような式(IIIa‐1):
【0108】
【化25】
の化合物を、RNAポリメラーゼ、およびcDNA鋳型と反応させることを含んでなる、方法を提供する。
【0109】
さらなる実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と結合するパートナーが該ポリヌクレオチド配列と結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(例えば、修飾mRNA分子)を、増幅する方法であって、本明細書中に定義されるような式(IIIa‐1)の化合物を、プライマー、cDNA鋳型、およびRNAポリメラーゼと共に反応させることを含んでなる方法を提供する。
【0110】
1つの実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と相互作用するパートナーが該核酸配列と結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを、調製する方法であって、該ポリヌクレオチドは、本明細書中に定義されるような式(Ia‐2):
【0111】
【化26】
を有するn個のヌクレオシドを含んでなり、該方法は、本明細書中に定義されるような式(IIIa‐2):
【0112】
【化27】
の化合物を、RNAポリメラーゼ、およびcDNA鋳型と反応させることを含んでなる、方法を提供する。
【0113】
さらなる実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドであって主溝と結合するパートナーが該ポリヌクレオチドと結合するのを妨害する少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド(例えば、修飾mRNA分子)を、増幅する方法であって、本明細書中に定義されるような式(IIIa‐2)の化合物を、プライマー、cDNA鋳型、およびRNAポリメラーゼと共に反応させることを含んでなる方法を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態では、反応は1回~約7,000回反復されうる。本明細書中の実施形態のいずれにおいても、Bは式(b1)‐(b43)の核酸塩基であってよい。
ポリヌクレオチドは、任意選択で、本明細書中に記載されている、5’フランキング領域および3’フランキング領域のうち少なくともいずれかを含むことができる。
【0115】
修飾型のヌクレオチドおよびヌクレオシド
本発明はさらに、該ポリヌクレオチド(例えば修飾RNA(またはmRNA)分子)の構成単位、例えば修飾リボヌクレオシド、修飾リボヌクレオチドも含む。例えば、これらの構成単位は本発明のポリヌクレオチドを調製するために有用となりうる。
【0116】
いくつかの実施形態では、該構成単位分子は、式(IIIa)もしくは(IIIa‐1):
【0117】
【化28】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、置換基は本明細書中に(例えば、式(Ia)および(Ia‐1について))記載されたとおりであり、Bがシトシン、グアニン、ウラシルおよびアデニンから選択された未修飾の核酸塩基である場合、Y
1、Y
2、またはY
3のうち少なくとも1つはOではない。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IVa)‐(IVb):
【0119】
【化29】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0120】
特定の実施形態では、式(IVa)または(IVb)は、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IVa)または(IVb)は、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IVa)または(IVb)は、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IVa)または(IVb)は、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IVc)‐(IVk):
【0122】
【化30】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0123】
特定の実施形態では、式(IVc)‐(IVk)のうちの1つは、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。
【0124】
特定の実施形態では、式(IVc)‐(IVk)のうちの1つは、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。
【0125】
特定の実施形態では、式(IVc)‐(IVk)のうちの1つは、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0126】
特定の実施形態では、式(IVc)‐(IVk)のうちの1つは、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0127】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(Va)または(Vb):
【0128】
【化31】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0129】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IXa)‐(IXd):
【0130】
【化32】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0131】
特定の実施形態では、式(IXa)‐(IXd)のうちの1つは、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IXa)‐(IXd)のうちの1つは、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。
【0132】
特定の実施形態では、式(IXa)‐(IXd)のうちの1つは、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0133】
特定の実施形態では、式(IXa)‐(IXd)のうちの1つは、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0134】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IXe)‐(IXg):
【0135】
【化33】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0136】
特定の実施形態では、式(IXe)‐(IXg)のうちの1つは、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。
【0137】
特定の実施形態では、式(IXe)‐(IXg)のうちの1つは、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。
【0138】
特定の実施形態では、式(IXe)‐(IXg)のうちの1つは、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0139】
特定の実施形態では、式(IXe)‐(IXg)のうちの1つは、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0140】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IXh)‐(IXk):
【0141】
【化34】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。特定の実施形態では、式(IXh)‐(IXk)のうちの1つは、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IXh)‐(IXk)のうちの1つは、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。
【0142】
特定の実施形態では、式(IXh)‐(IXk)のうちの1つは、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IXh)‐(IXk)のうちの1つは、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0143】
他の実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、式(IXl)‐(IXr):
【0144】
【化35】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有し、上記式中、r1およびr2はそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数であり、Bは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、(b1)‐(b43)のうちいずれかである)。
【0145】
特定の実施形態では、式(IXl)‐(IXr)のうちの1つは、修飾ウラシル(例えば、式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、および(b28)‐(b31)のうちいずれか1つ、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))と組み合わされる。
【0146】
特定の実施形態では、式(IXl)‐(IXr)のうちの1つは、修飾シトシン(例えば、式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、および(b32)‐(b36)のうちのいずれか1つ、例えば式(b10)または(b32))と組み合わされる。
【0147】
特定の実施形態では、式(IXl)‐(IXr)のうちの1つは、修飾グアニン(例えば、式(b15)‐(b17)および(b37)‐(b40)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。特定の実施形態では、式(IXl)‐(IXr)のうちの1つは、修飾アデニン(例えば、式(b18)‐(b20)および(b41)‐(b43)のうちのいずれか1つ)と組み合わされる。
【0148】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、以下すなわち:
【0149】
【化36】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択可能であり、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数である。
【0150】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、
【0151】
【化37】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択可能であり、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数であり、s1は本明細書中に記載されたとおりである。
【0152】
いくつかの実施形態では、核酸(例えばRNA、mRNA、ポリヌクレオチド)に組み入れ可能な構成単位分子は、修飾ウリジンである(例えば、
【0153】
【化38】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択され、上記式中、Y
1、Y
3、Y
4、Y
6およびrは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、rはそれぞれ独立に、0~5、例えば0~3、1~3、または1~5の整数である))。
【0154】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、修飾シチジンである(例えば、
【0155】
【化39】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択され、上記式中、Y
1、Y
3、Y
4、Y
6およびrは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、rはそれぞれ独立に、0~5、例えば0~3、1~3、または1~5の整数である))。例えば、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、
【0156】
【化40】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体であってよく、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数である。
【0157】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、修飾アデノシンである(例えば、
【0158】
【化41】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択され、上記式中、Y
1、Y
3、Y
4、Y
6およびrは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、rはそれぞれ独立に、0~5、例えば0~3、1~3、または1~5の整数である))。
【0159】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、修飾グアノシンである(例えば、
【0160】
【化42】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体で構成されている群から選択され、上記式中、Y
1、Y
3、Y
4、Y
6およびrは本明細書中に記載されたとおりである(例えば、rはそれぞれ独立に、0~5、例えば0~3、1~3、または1~5の整数である))。
【0161】
いくつかの実施形態では、主溝の化学修飾は、(例えばシトシンまたはウラシルのようなピリミジンヌクレオシドについての)環のC‐5におけるC基の、Nを用いた置換(例えば、C‐5における>CH基の、>NRN1基(RN1はHまたは任意選択で置換されたアルキルである)を用いた置換)を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、
【0162】
【化43】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体であってよく、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数である。
【0163】
別の実施形態では、主溝の化学修飾は、シトシンのC‐5における水素の、ハロ(例えばBr、Cl、F、もしくはI)または任意選択で置換されたアルキル(例えば、メチル)を用いた置換を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、
【0164】
【化44】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体であってよく、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数である。
【0165】
さらに別の実施形態では、主溝の化学修飾は、C‐4位のNH2およびC‐5位の炭素原子によって形成される縮合環を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドに組み入れ可能な構成単位分子は、
【0166】
【化45】
またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体であってよく、上記式中、rはそれぞれ独立に、0~5(例えば0~3、1~3、または1~5)の整数である。
【0167】
糖の修飾
ポリヌクレオチド(例えば本明細書中に記載されるようなRNAまたはmRNA)に組み入れ可能な修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチド(例えば構成単位分子)は、リボ核酸の糖に対して修飾がなされてもよい。例えば、2’水酸基(OH)は、いくつかの異なる置換基を用いて修飾または置き換えがなされうる。2’位における典型的な置換には、限定するものではないが、H、ハロ、任意選択で置換されたC1‐6アルキル、任意選択で置換されたC1‐6アルコキシ、任意選択で置換されたC6‐10アリールオキシ;任意選択で置換されたC3‐8シクロアルキル;任意選択で置換されたC3‐8シクロアルコキシ;任意選択で置換されたC6‐10アリールオキシ;任意選択で置換されたC6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ、任意選択で置換されたC1‐12(ヘテロシクリル)オキシ;糖(例えばリボース、ペントース、または本明細書中に記載された任意のもの);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CH2CH2O)nCH2CH2ORであって式中のRはHまたは任意選択で置換されたアルキルであり、nは0~20(例えば0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、および4~20)の整数であるもの;「施錠型(ロックド:locked)」核酸(LNA)であって2’‐水酸基が同じリボース糖の4’‐炭素へのC1‐6アルキレンまたはC1‐6ヘテロアルキレン架橋によって接続されているもの(例示の架橋にはメチレン架橋、プロピレン架橋、エーテル架橋、またはアミノ架橋が挙げられる);本明細書中に定義されるようなアミノアルキル;本明細書中に定義されるようなアミノアルコキシ;本明細書中に定義されるようなアミノ;ならびに、本明細書中に定義されるようなアミノ酸、が挙げられる。
【0168】
一般に、RNAは酸素を有する5員環である糖基リボースを含んでいる。典型的な非限定的修飾ヌクレオチドは、リボースの酸素の(例えばS、Se、または、メチレンもしくはエチレンのようなアルキレンを用いた)置き換え;二重結合の付加(例えばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルを用いたリボースの置き換え);リボースの環縮小(例えばシクロブタンまたはオキセタンの4員環を形成);リボースの環拡大(例えば追加の炭素またはヘテロ原子を有する6員環または7員環、例えばアンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニルおよびモルホリノであってホスホロアミダートバックボーンも有するものを形成);多環式の形態(例えば、三環式の形態;ならびに「解錠型(アンロックド:unlocked)」の形態、例えばグリコール核酸(GNA)(例えばリボースがホスホジエステル結合に取り付けられたグリコールユニットによって置き換えられているR‐GNAまたはS‐GNA)、トレオース核酸(TNA、リボースがα‐L‐トレオフラノシル‐(3’→2’)で置き換えられている)、およびペプチド核酸(PNA、2‐アミノ‐エチル‐グリシン結合がリボースおよびホスホジエステルのバックボーンに置き換わっている)、を含む。糖基はさらに、リボース中の対応する炭素とは反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素を含むこともできる。したがって、ポリヌクレオチド分子には、糖として例えばアラビノースを含んでいるヌクレオチドが含まれうる。
【0169】
核酸塩基の修飾
本開示は修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドを提供する。本明細書中に記載されるように、「ヌクレオシド」とは、糖分子(例えばペントースもしくはリボース)またはその誘導体を有機塩基(例えばプリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書中では「核酸塩基」とも呼ばれる)とともに組み合わせて含んでいる化合物として定義される。本明細書中に記載されるように、「ヌクレオチド」とは、リン酸基を含んでいるヌクレオシドとして定義される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるヌクレオシドおよびヌクレオチドは、一般に主溝面において化学修飾されている。典型的な非限定的修飾には、アミノ基、チオール基、アルキル基、ハロ基、または本明細書中に記載された任意のものが含まれる。修飾ヌクレオチドは、本明細書中に記載されるように、任意の有用な方法によって(例えば、1つ以上の修飾型または非天然型のヌクレオシドを含めるために、化学的に、酵素的に、または組換えにより)合成されうる(may by synthesized)。
【0170】
修飾ヌクレオチドの塩基対合は、標準的なアデノシン‐チミン、アデノシン‐ウラシル、またはグアノシン‐シトシンの塩基対だけでなく、ヌクレオチドおよび非標準的すなわち修飾型の塩基を含んでなる修飾ヌクレオチドのうち少なくともいずれかの間で形成された塩基対も包含し、該塩基対においては、水素結合供与体および水素結合受容体の配置構成により、非標準的な塩基と標準的な塩基との間、または2つの相補的な非標準的な塩基構造の間の水素結合が可能となる。そのような非標準的な塩基対合の一例は、修飾ヌクレオチドであるイノシンと、アデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対合である。
【0171】
修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドは修飾型の核酸塩基を含むことができる。RNAに見出される核酸塩基の例は、限定するものではないがアデニン、グアニン、シトシン、およびウラシルである。DNAに見出される核酸塩基の例は、限定するものではないがアデニン、グアニン、シトシン、およびチミンである。これらの核酸塩基は、強化された特性、例えばヌクレアーゼに対する抵抗、安定性を有するポリヌクレオチド分子を提供するために、修飾または完全な置き換えがなされてもよく、またこれらの特性は、主溝と結合するパートナーによる結合の妨害を通じて現れてもよい。例えば、記載されたヌクレオシドおよびヌクレオチドは、主溝面において化学的に修飾されうる。いくつかの実施形態では、主溝の化学修飾には、アミノ基、チオール基、アルキル基、またはハロ基が含まれうる。
【0172】
以下の表1は、個々の正統的なヌクレオチドの化学的側面を同定する。円は、それぞれの化学領域を構成している原子を特定している。
【0173】
【表1】
いくつかの実施形態では、Bは修飾ウラシルである。典型的な修飾ウラシルには、式(b1)‐(b5):
【0174】
【化46】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有する修飾ウラシルが含まれ、上記式中、
【0175】
【化47】
は単結合または二重結合であり;
T
1’、T
1”、T
2’、およびT
2”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
1’およびT
1”の組み合わせもしくはT
2’およびT
2”の組み合わせがともに合わさって(例えばT
2となって)、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)を形成し;
V
1およびV
2はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vb)
nv、またはC(R
Vb)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vbはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアシルアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、または任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについて(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)であり;
R
10は、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり;
R
11はHまたは任意選択で置換されたアルキルであり;
R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、ヒドロキシを用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり;
かつ
R
12cは、H、ハロ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルである。
【0176】
他の例示の修飾ウラシルには、式(b6)‐(b9):
【0177】
【化48】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有する修飾ウラシルが含まれ、上記式中、
【0178】
【化49】
は単結合または二重結合であり;
T
1’、T
1”、T
2’、およびT
2”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
1’およびT
1”の組み合わせがともに合わさって(例えばT
1となって)、もしくはT
2’およびT
2”の組み合わせがともに合わさって(例えばT
2となって)、O(オキソ)、S(チオ)、もしくはSe(セレノ)を形成するか、またはT
1およびT
2はそれぞれ独立に、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)であり;
W
1およびW
2はそれぞれ独立に、N(R
Wa)
nwまたはC(R
Wa)
nwであって、nwは0~2の整数であり、R
Waはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり;
V
3はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Va)
nv、またはC(R
Va)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vaはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、または任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアシルアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、ヒドロキシおよびO‐保護基のうち少なくともいずれかを用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキル(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)であり、かつ、R
VaおよびR
12cは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば5員環または6員環)を形成することが可能であり;
R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、ヒドロキシおよびO‐保護基のうち少なくともいずれかを用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであるか、または存在せず;
R
12bは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルカリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、
任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、ヒドロキシおよびO‐保護基のうち少なくともいずれかを用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、
R
12bおよびT
1’の組み合わせまたはR
12bおよびR
12cの組み合わせはともに合わさって任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり;かつ
R
12cは、H、ハロ、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルである。
【0179】
さらなる例示の修飾ウラシルには、式(b28)‐(b31):
【0180】
【化50】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有する修飾ウラシルが含まれ、上記式中、
T
1およびT
2はそれぞれ独立に、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)であり;
R
Vb’およびR
Vb”はそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアシルアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、ヒドロキシおよびO‐保護基のうち少なくともいずれかを用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキル(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)であり(例えば、R
Vb’は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキル、例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたものであり);
R
12aは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;かつ、
R
12bは、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル(例えば、例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアシル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルである。
【0181】
特定の実施形態では、T1はO(オキソ)であり、T2はS(チオ)またはSe(セレノ)である。他の実施形態では、T1はS(チオ)であり、T2はO(オキソ)またはSe(セレノ)である。いくつかの実施形態では、RVb’は、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシである。
【0182】
他の実施形態では、R12aおよびR12bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、または任意選択で置換されたヒドロキシアルキルである。特定の実施形態では、R12aはHである。他の実施形態では、R12aおよびR12bはいずれもHである。
【0183】
いくつかの実施形態では、R12bのRVb’(RVb’ of R12b)はそれぞれ独立に、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチル、もしくはスルホアルキルで置換されたもの)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、または任意選択で置換されたアシルアミノアルキル(例えば、本明細書中に記載されたいずれかのようなN‐保護基、例えばトリフルオロアセチルで置換されたもの)である。いくつかの実施形態では、任意選択で置換されたアミノアルキルのアミノおよびアルキルのうち少なくともいずれかは、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたスルホアルキル、任意選択で置換されたカルボキシ(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたヒドロキシ(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたカルボキシアルキル(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、またはN‐保護基のうち1つ以上で置換されている。いくつかの実施形態では、任意選択で置換されたアミノアルキルは、任意選択で置換されたスルホアルキルまたは任意選択で置換されたアルケニルで置換されている。特定の実施形態では、R12aおよびRVb”はいずれもHである。特定の実施形態では、T1はO(オキソ)であり、T2はS(チオ)またはSe(セレノ)である。
【0184】
いくつかの実施形態では、RVb’は任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキルまたは任意選択で置換されたカルバモイルアルキルである。
特定の実施形態では、R12a、R12b、R12c、またはRVaのための任意選択の置換基は、ポリエチレングリコール基(例えば、‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつR’はHもしくはC1‐20アルキルであるもの);
または、アミノ‐ポリエチレングリコール基(例えば、‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1であって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの)である。
【0185】
いくつかの実施形態では、Bは修飾シトシンである。典型的な修飾シトシンは、式(b10)‐(b14):
【0186】
【化51】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体の化合物を含み、上記式中、
T
3’およびT
3”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、もしくは任意選択で置換されたチオアルコキシであるか、またはT
3’およびT
3”の組み合わせがともに合わさって(例えばT
3となって)、O(オキソ)、S(チオ)、もしくはSe(セレノ)を形成し;
V
4はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vc)
nv、またはC(R
Vc)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vcはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、または任意選択で置換されたアルキニルオキシ(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)であって、R
13bおよびR
Vcの組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり;
V
5はそれぞれ独立に、N(R
Vd)
nv、またはC(R
Vd)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vdはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、または任意選択で置換されたアルキニルオキシ(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)(例えば、V
5は‐CHまたはN)であり;
R
13aおよびR
13bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであって、R
13bおよびR
14の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり;
R
14はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアミノ(例えば、‐NHRであってRがH、アルキル、アリール、もしくはホスホリルであるもの)、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;かつ
R
15およびR
16はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0187】
さらなる例示の修飾シトシンには、式(b32)‐(b35):
【0188】
【化52】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体を有する修飾シトシンが含まれ、上記式中、
T
1およびT
3はそれぞれ独立に、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)であり;
R
13aおよびR
13bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、R
13bおよびR
14の組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり;
R
14はそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアミノ(例えば、‐NHRであってRがH、アルキル、アリール、もしくはホスホリルであるもの)、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル(例えば、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルケニル、またはアルキニル)、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;かつ
R
15およびR
16はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである(例えば、R
15はHであり、R
16はHまたは任意選択で置換されたアルキルである)。
【0189】
いくつかの実施形態では、R15はHであり、R16はHまたは任意選択で置換されたアルキルである。特定の実施形態では、R14はH、アシル、またはヒドロキシアルキルである。いくつかの実施形態では、R14はハロである。いくつかの実施形態では、R14およびR15はいずれもHである。いくつかの実施形態では、R15およびR16はいずれもHである。いくつかの実施形態では、R14およびR15およびR16はそれぞれHである。さらなる実施形態では、R13aおよびR13bはそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルである。
【0190】
修飾シトシンのさらなる非限定的な例には、式(b36):
【0191】
【化53】
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が含まれ、上記式中、
R
13bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、R
13bおよびR
14bの組み合わせは、一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクリルを形成することが可能であり;
R
14aおよびR
14bはそれぞれ独立に、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたハロアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル(例えば、O‐保護基で置換されたもの)、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ、任意選択で置換されたアミノアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシアルコキシ、任意選択で置換されたアシルオキシアルキル、任意選択で置換されたアミノ(例えば、‐NHRであってRがH、アルキル、アリール、ホスホリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、もしくは任意選択で置換されたカルボキシアミノアルキルであるもの)、アジド、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、または任意選択で置換されたアミノアルキニルであり;かつ
R
15はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルである。
【0192】
特定の実施形態では、R14bは任意選択で置換されたアミノ酸(例えば任意選択で置換されたリジン)である。いくつかの実施形態では、R14aはHである。
いくつかの実施形態では、Bは修飾グアニンである。典型的な修飾グアニンには、式(b15)‐(b17):
【0193】
【化54】
の化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が含まれ、上記式中、
T
4’、T
4”、T
5’、T
5”、T
6’、およびT
6”はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、T
4’およびT
4”の組み合わせ(例えばT
4として)またはT
5’およびT
5”の組み合わせ(例えばT
5として)またはT
6’およびT
6”の組み合わせ(例えばT
6として)は、ともに合わさってO(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)を形成し;
V
5およびV
6はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Vd)
nv、またはC(R
Vd)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Vdはそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアミノ酸、シアノ、アミジン、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、任意選択で置換されたアルキニルオキシ(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;かつ
R
17、R
18、R
19a、R
19b、R
21、R
22、R
23、およびR
24はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアミノ酸である。
【0194】
典型的な修飾グアノシンには、式(b37)‐(b40):
【0195】
【化55】
の化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が含まれ、上記式中、
T
4’はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、または任意選択で置換されたアルコキシであり、T
4はそれぞれ独立に、O(オキソ)、S(チオ)、またはSe(セレノ)であり;
R
18、R
19a、R
19b、およびR
21はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、任意選択で置換されたアミノ、または任意選択で置換されたアミノ酸である。
【0196】
いくつかの実施形態では、R18はHまたは任意選択で置換されたアルキルである。さらなる実施形態では、T4はオキソである。いくつかの実施形態では、R19aおよびR19bはそれぞれ独立に、Hまたは任意選択で置換されたアルキルである。
【0197】
いくつかの実施形態では、Bは修飾アデニンである。典型的な修飾アデニンには、式(b18)‐(b20):
【0198】
【化56】
の化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が含まれ、上記式中、
V
7はそれぞれ独立に、O、S、N(R
Ve)
nv、またはC(R
Ve)
nvであって、nvは0~2の整数であり、R
Veはそれぞれ独立に、H、ハロ、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルケニルオキシ、または任意選択で置換されたアルキニルオキシ(例えば、本明細書中に記載された任意の置換基、例えばアルキルについての(1)‐(21)から選択された置換基を用いて任意選択で置換されたもの)であり;
R
25はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
R
26aおよびR
26bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたカルバモイルアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、またはポリエチレングリコール基(例えば、‐(CH
2)
s2(OCH
2CH
2)
s1(CH
2)
s3OR’であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC
1‐20アルキルであるもの);またはアミノ-ポリエチレングリコール基(例えば、‐NR
N1(CH
2)
s2(CH
2CH
2O)
s1(CH
2)
s3NR
N1であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R
N1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC
1‐6アルキルであるもの)であり;
R
27はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
R
28はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、または任意選択で置換されたアルキニルであり;かつ
R
29はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたカルバモイルアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノである。
【0199】
典型的な修飾アデニンには、式(b41)‐(b43):
【0200】
【化57】
の化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは立体異性体が含まれ、上記式中、
R
25はそれぞれ独立に、H、ハロ、チオール、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノであり;
R
26aおよびR
26bはそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアシル、任意選択で置換されたアミノ酸、任意選択で置換されたカルバモイルアルキル、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキル、任意選択で置換されたヒドロキシアルケニル、任意選択で置換されたヒドロキシアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、
またはポリエチレングリコール基(例えば、‐(CH
2)
s2(OCH
2CH
2)
s1(CH
2)
s3OR’であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC
1‐20アルキルであるもの);またはアミノ-ポリエチレングリコール基(例えば、‐NR
N1(CH
2)
s2(CH
2CH
2O)
s1(CH
2)
s3NR
N1であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R
N1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC
1‐6アルキルであるもの)であり;かつ
R
27はそれぞれ独立に、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたチオアルコキシ、または任意選択で置換されたアミノである。
【0201】
いくつかの実施形態では、R26aはHであり、R26bは任意選択で置換されたアルキルである。いくつかの実施形態では、R26aおよびR26bはそれぞれ独立に、任意選択で置換されたアルキルである。特定の実施形態では、R27は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたチオアルコキシである。他の実施形態では、R25は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、または任意選択で置換されたチオアルコキシである。
【0202】
特定の実施形態では、R26a、R26b、またはR29のための任意選択の置換基は、ポリエチレングリコール基(例えば、‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの);またはアミノ‐ポリエチレングリコール基(例えば、‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1であって、s1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの)である。
【0203】
いくつかの実施形態では、Bは式(b21):
【0204】
【化58】
を有してもよく、上記式中、X
12は、独立に、O、S、任意選択で置換されたアルキレン(例えばメチレン)、または任意選択で置換されたヘテロアルキレンであり、xaは0~3の整数であり、R
12aおよびT
2は本明細書中に記載されたとおりである。
【0205】
いくつかの実施形態では、Bは式(b22):
【0206】
【化59】
を有してもよく、上記式中、R
10’は、独立に、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、R
11、R
12a、T
1、およびT
2は本明細書中に記載されたとおりである。
【0207】
いくつかの実施形態では、Bは式(b23):
【0208】
【化60】
を有してもよく、上記式中、R
10は、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば任意選択で置換されたフリル、任意選択で置換されたチエニル、もしくは任意選択で置換されたピロリル)、任意選択で置換されたアリール(例えば任意選択で置換されたフェニルもしくは任意選択で置換されたナフチル)、または本明細書中に(例えばR
10について)記載された任意の置換基であり;R
11(例えば、Hまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、R
12a(例えば、Hまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、T
1(例えば、オキソまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、およびT
2(例えば、オキソまたは本明細書中に記載された任意の置換基)は、本明細書中に記載されたとおりである。
【0209】
いくつかの実施形態では、Bは式(b24):
【0210】
【化61】
を有してもよく、上記式中、R
14’は、独立に、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたアルカリール、任意選択で置換されたアルクヘテロシクリル、任意選択で置換されたアミノアルキル、任意選択で置換されたアミノアルケニル、任意選択で置換されたアミノアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルケニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルキニル、任意選択で置換されたアルコキシカルボニルアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルコキシ、任意選択で置換されたカルボキシアルキル、または任意選択で置換されたカルバモイルアルキルであり、R
13a、R
13b、R
15、およびT
3は本明細書中に記載されたとおりである。
【0211】
いくつかの実施形態では、Bは式(b25):
【0212】
【化62】
を有してもよく、上記式中、R
14’は、任意選択で置換されたヘテロシクリル(例えば、任意選択で置換されたフリル、任意選択で置換されたチエニル、または任意選択で置換されたピロリル)、任意選択で置換されたアリール(例えば、任意選択で置換されたフェニルまたは任意選択で置換されたナフチル)、または本明細書中に(例えばR
14またはR
14’について)記載された任意の置換基であり;R
13a(例えば、Hまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、R
13b(例えば、Hまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、R
15(例えば、Hまたは本明細書中に記載された任意の置換基)、およびT
3(例えば、オキソまたは本明細書中に記載された任意の置換基)は、本明細書中に記載されたとおりである。
【0213】
いくつかの実施形態では、Bは、シトシン、グアニン、アデニン、およびウラシルで構成されている群から選択された核酸塩基である。いくつかの実施形態では、Bは:
【0214】
【0215】
いくつかの実施形態では、修飾型の核酸塩基は修飾ウラシルである。修飾ウラシルを有する典型的な核酸塩基およびヌクレオシドには、プソイドウリジン(Ψ)、ピリジン‐4‐オン‐リボヌクレオシド、5‐アザ‐ウリジン、6‐アザ‐ウリジン、2‐チオ‐5‐アザ‐ウリジン、2‐チオ‐ウリジン(s2U)、4‐チオ‐ウリジン(s4U)、4‐チオ‐プソイドウリジン、2‐チオ‐プソイドウリジン、5‐ヒドロキシ‐ウリジン(ho5U)、5‐アミノアリル‐ウリジン、5‐ハロ‐ウリジン(例えば5‐ヨード‐ウリジンまたは5‐ブロモ‐ウリジン)、3‐メチル‐ウリジン(m3U)、5‐メトキシ‐ウリジン(mo5U)、ウリジン5‐オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5‐オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5‐カルボキシメチル‐ウリジン(cm5U)、1‐カルボキシメチル‐プソイドウリジン、5‐カルボキシヒドロキシメチル‐ウリジン(chm5U)、5‐カルボキシヒドロキシメチル‐ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5‐メトキシカルボニルメチル‐ウリジン(mcm5U)、5‐メトキシカルボニルメチル‐2‐チオ‐ウリジン(mcm5s2U)、5‐アミノメチル‐2‐チオ‐ウリジン(nm5s2U)、5‐メチルアミノメチル‐ウリジン(mnm5U)、5‐メチルアミノメチル‐2‐チオ‐ウリジン(mnm5s2U)、5‐メチルアミノメチル‐2‐セレノ‐ウリジン(mnm5se2U)、5‐カルバモイルメチル‐ウリジン(ncm5U)、5‐カルボキシメチルアミノメチル‐ウリジン(cmnm5U)、5‐カルボキシメチルアミノメチル‐2‐チオ-ウリジン(cmnm5s2U)、5‐プロピニル‐ウリジン、1‐プロピニル‐プソイドウリジン、5‐タウリノメチル‐ウリジン(τm5U)、1‐タウリノメチル‐プソイドウリジン、5‐タウリノメチル‐2‐チオ‐ウリジン(τm5s2U)、1‐タウリノメチル‐4‐チオ‐プソイドウリジン、5‐メチル‐ウリジン(m5U、すなわち、核酸塩基デオキシチミンを有している)、1‐メチル‐プソイドウリジン(m1Ψ)、5‐メチル‐2‐チオ‐ウリジン(m5s2U)、1‐メチル‐4‐チオ‐プソイドウリジン(m1s4Ψ)、4‐チオ‐1‐メチル‐プソイドウリジン、3‐メチル‐プソイドウリジン(m3Ψ)、2‐チオ‐1‐メチル‐プソイドウリジン、1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドウリジン、2‐チオ‐1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロプソイドウリジン、5,6‐ジヒドロウリジン、5‐メチル‐ジヒドロウリジン(m5D)、2‐チオ‐ジヒドロウリジン、2‐チオ‐ジヒドロプソイドウリジン、2‐メトキシ‐ウリジン、2‐メトキシ‐4‐チオ‐ウリジン、4‐メトキシ‐プソイドウリジン、4‐メトキシ‐2‐チオ‐プソイドウリジン、N1‐メチル‐プソイドウリジン、3‐(3‐アミノ‐3‐カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1‐メチル‐3‐(3‐アミノ‐3‐カルボキシプロピル)プソイドウリジン(acp3Ψ)、5‐(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5‐(イソペンテニルアミノメチル)‐2‐チオ‐ウリジン(inm5s2U)、α‐チオ‐ウリジン、2’‐O‐メチル‐ウリジン(Um)、5,2’‐O‐ジメチル‐ウリジン(m5Um)、2’‐O‐メチル‐プソイドウリジン(Ψm)、2‐チオ‐2’‐O‐メチル‐ウリジン(s2Um)、5‐メトキシカルボニルメチル‐2’‐O‐メチル‐ウリジン(mcm5Um)、5‐カルバモイルメチル‐2’‐O‐メチル‐ウリジン(ncm5Um)、5‐カルボキシメチルアミノメチル‐2’‐O‐メチル‐ウリジン(cmnm5Um)、3,2’‐O‐ジメチル‐ウリジン(m3Um)、および5‐(イソペンテニルアミノメチル)‐2’‐O‐メチル‐ウリジン(inm5Um)、1‐チオ‐ウリジン、デオキシチミジン、2’‐F‐アラ‐ウリジン、2’‐F‐ウリジン、2’‐OH‐アラ‐ウリジン、5‐(2‐カルボメトキシビニル)ウリジン、および5‐[3‐(1‐E‐プロペニルアミノ)ウリジンが含まれる。
【0216】
いくつかの実施形態では、修飾型の核酸塩基は修飾シトシンである。修飾シトシンを有する典型的な核酸塩基およびヌクレオシドには、5‐アザ‐シチジン、6‐アザ‐シチジン、プソイドイソシチジン、3‐メチル‐シチジン(m3C)、N4‐アセチル‐シチジン(ac4C)、5‐ホルミル‐シチジン(f5C)、N4‐メチル‐シチジン(m4C)、5‐メチル‐シチジン(m5C)、5‐ハロ‐シチジン(例えば5‐ヨード‐シチジン)、5‐ヒドロキシメチル‐シチジン(hm5C)、1-メチル-プソイドイソシチジン、ピロロ‐シチジン、ピロロ‐プソイドイソシチジン、2‐チオ‐シチジン(s2C)、2‐チオ‐5‐メチル‐シチジン、4‐チオ‐プソイドイソシチジン、4‐チオ‐1‐メチル‐プソイドイソシチジン、4‐チオ‐1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドイソシチジン、1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドイソシチジン、ゼブラリン、5‐アザ‐ゼブラリン、5‐メチル‐ゼブラリン、5‐アザ‐2‐チオ‐ゼブラリン、2‐チオ‐ゼブラリン、2‐メトキシ‐シチジン、2‐メトキシ‐5‐メチル‐シチジン、4‐メトキシ‐プソイドイソシチジン、4‐メトキシ‐1‐メチル‐プソイドイソシチジン、リシジン(k2C)、α‐チオ‐シチジン、2’‐O‐メチル‐シチジン(Cm)、5,2’‐O‐ジメチル‐シチジン(m5Cm)、N4‐アセチル‐2’‐O‐メチル‐シチジン(ac4Cm)、N4,2’‐O‐ジメチル‐シチジン(m4Cm)、5‐ホルミル‐2’‐O‐メチル‐シチジン(f5Cm)、N4,N4,2’‐O‐トリメチル‐シチジン(m4
2Cm)、1‐チオ‐シチジン、2’‐F‐アラ‐シチジン、2’‐F‐シチジン、および2’‐OH‐アラ‐シチジンが含まれる。
【0217】
いくつかの実施形態では、修飾型の核酸塩基は修飾アデニンである。修飾アデニンを有する典型的な核酸塩基およびヌクレオシドには、2‐アミノ‐プリン、2,6‐ジアミノプリン、2‐アミノ‐6‐ハロ‐プリン(例えば2‐アミノ‐6‐クロロ‐プリン)、6‐ハロ‐プリン(例えば6‐クロロ‐プリン)、2‐アミノ‐6‐メチル‐プリン、8‐アジド‐アデノシン、7‐デアザ‐アデニン、7‐デアザ‐8‐アザ‐アデニン、7‐デアザ‐2‐アミノ‐プリン、7‐デアザ‐8‐アザ‐2‐アミノ‐プリン、7‐デアザ‐2,6‐ジアミノプリン、7‐デアザ‐8‐アザ‐2,6‐ジアミノプリン、1‐メチル‐アデノシン(m1A)、2‐メチル‐アデニン(m2A)、N6‐メチル‐アデノシン(m6A)、2‐メチルチオ‐N6‐メチル‐アデノシン(ms2m6A)、N6‐イソペンテニル‐アデノシン(i6A)、2‐メチルチオ‐N6‐イソペンテニル‐アデノシン(ms2i6A)、N6‐(シス‐ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(io6A)、2‐メチルチオ‐N6‐(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ms2io6A)、N6‐グリシニルカルバモイル‐アデノシン(g6A)、N6‐トレオニルカルバモイル‐アデノシン(t6A)、N6‐メチル‐N6‐トレオニルカルバモイル‐アデノシン(m6t6A)、2‐メチルチオ‐N6‐トレオニルカルバモイル‐アデノシン(ms2g6A)、N6,N6‐ジメチル‐アデノシン(m6
2A)、N6‐ヒドロキシノルバリルカルバモイル‐アデノシン(hn6A)、2‐メチルチオ‐N6‐ヒドロキシノルバリルカルバモイル‐アデノシン(ms2hn6A)、N6‐アセチル‐アデノシン(ac6A)、7‐メチル‐アデニン、2‐メチルチオ‐アデニン、2‐メトキシ‐アデニン、α‐チオ‐アデノシン、2’‐O‐メチル‐アデノシン(Am)、N6,2’‐O‐ジメチル‐アデノシン(m6Am)、N6,N6,2’‐O‐トリメチル‐アデノシン(m6
2Am)、1,2’‐O‐ジメチル‐アデノシン(m1Am)、2’‐O‐リボシルアデノシン(リン酸塩)(Ar(p))、2‐アミノ‐N6‐メチル‐プリン、1‐チオ‐アデノシン、8‐アジド‐アデノシン、2’‐F‐アラ‐アデノシン、2’‐F‐アデノシン、2’‐OH‐アラ‐アデノシン、およびN6‐(19‐アミノ‐ペンタオキサノナデシル)‐アデノシンが含まれる。
【0218】
いくつかの実施形態では、修飾型の核酸塩基は修飾グアニンである。修飾グアニンを有する典型的な核酸塩基およびヌクレオシドには、イノシン(I)、1‐メチル‐イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4‐デメチル‐ワイオシン(imG‐14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OHyW)、不完全修飾型(undermodified)ヒドロキシワイブトシン(OHyW*)、7‐デアザ‐グアノシン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル‐キューオシン(galQ)、マンノシル‐キューオシン(manQ)、7‐シアノ‐7‐デアザ‐グアノシン(preQ0)、7‐アミノメチル‐7‐デアザ‐グアノシン(preQ1)、アルカエオシン(G+)、7‐デアザ‐8‐アザ‐グアノシン、6‐チオ‐グアノシン、6‐チオ‐7‐デアザ‐グアノシン、6‐チオ‐7‐デアザ‐8‐アザ‐グアノシン、7‐メチル‐グアノシン(m7G)、6‐チオ‐7‐メチル‐グアノシン、7‐メチル‐イノシン、6‐メトキシ‐グアノシン、1‐メチル‐グアノシン(m1G)、N2‐メチル‐グアノシン(m2G)、N2,N2‐ジメチル‐グアノシン(m2
2G)、N2,7‐ジメチル‐グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7‐ジメチル‐グアノシン(m2,2,7G)、8‐オキソ‐グアノシン、7‐メチル‐8‐オキソ‐グアノシン、1‐メチル‐6‐チオ‐グアノシン、N2‐メチル‐6‐チオ‐グアノシン、N2,N2‐ジメチル‐6‐チオ‐グアノシン、α‐チオ‐グアノシン、2’‐O‐メチル‐グアノシン(Gm)、N2‐メチル‐2’‐O‐メチル‐グアノシン(m2Gm)、N2,N2‐ジメチル‐2’‐O‐メチル‐グアノシン(m2
2Gm)、1‐メチル‐2’‐O‐メチル‐グアノシン(m1Gm)、N2,7‐ジメチル‐2’‐O‐メチル‐グアノシン(m2,7Gm)、2’‐O‐メチル‐イノシン(Im)、1,2’‐O‐ジメチル‐イノシン(m1Im)、2’‐O‐リボシルグアノシン(リン酸塩)(Gr(p))、1‐チオ‐グアノシン、O6‐メチル‐グアノシン、2’‐F‐アラ‐グアノシン、および2’‐F‐グアノシンが含まれる。
【0219】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは主溝面上において修飾されうる。例えば、そのような修飾には、ウラシルまたはシトシンのC‐5上の水素をアルキル(例えばメチル)またはハロに置き換えることが挙げられる。
【0220】
ヌクレオチドの核酸塩基は、独立に、プリン、ピリミジン、プリンアナログまたはピリミジンアナログから選択されうる。例えば、核酸塩基はそれぞれ独立に、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、またはヒポキサンチンから選択されうる。別の実施形態では、核酸塩基はさらに、例えば、天然に存在する塩基誘導体および合成の塩基誘導体、例えば
ピラゾロ[3,4‐d]ピリミジン、5‐メチルシトシン(5‐me‐C)、5‐ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2‐アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6‐メチルおよびその他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2‐プロピルおよびその他のアルキル誘導体、2‐チオウラシル、2‐チオチミンおよび2‐チオシトシン、5‐プロピニルウラシルおよび5‐プロピニルシトシン、6‐アゾウラシル、6‐アゾシトシンおよび6‐アゾチミン、5‐ウラシル(プソイドウラシル)、4‐チオウラシル、8‐ハロ(例えば8‐ブロモ)、8‐アミノ、8‐チオール、8‐チオアルキル、8‐ヒドロキシルおよびその他の8‐置換型アデニンおよびグアニン、5‐ハロ、特に5‐ブロモ、5‐トリフルオロメチルおよびその他の5‐置換型ウラシルおよびシトシン、7‐メチルグアニンおよび7‐メチルアデニン、8‐アザグアニンおよび8‐アザアデニン、デアザグアニン、7‐デアザグアニン、3‐デアザグアニン、デアザアデニン、7‐デアザアデニン、3‐デアザアデニン、ピラゾロ[3,4‐d]ピリミジン、イミダゾ[1,5‐a]1,3,5トリアジノン、9‐デアザプリン、イミダゾ[4,5‐d]ピラジン、チアゾロ[4,5‐d]ピリミジン、ピラジン‐2‐オン、1,2,4‐トリアジン、ピリダジン、および1,3,5トリアジンが含まれる。ヌクレオチドが簡略表記A、G、C、TまたはUを使用して示される場合、各文字は代表的な塩基およびその誘導体のうち少なくともいずれかを指し、例えばAには、アデニンまたはアデニンアナログ、例えば7‐デアザ‐アデニンが含まれる。
【0221】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは式XI:
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【化67】
が単結合であるとき、UはO、S、‐NR
a‐、もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または、
【0226】
【化68】
が二重結合であるとき、Uは‐CR
a‐であり;
Zは、H、C
1-12アルキル、もしくはC
6-20アリールであるか、または
【0227】
【化69】
が二重結合であるときZは存在せず;かつ、
Zは‐CR
aR
b‐であってAとともに結合を形成してもよく;
Aは、H、OH、NHR(R=アルキルもしくはアリールもしくはホスホリル)、スルファート、‐NH
2、N
3、アジド、‐SH、N アミノ酸、もしくは1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
Dは、H、OH、NHR(R=アルキルもしくはアリールもしくはホスホリル)、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチド、もしくは式XII:
【0228】
【化70】
の基であるか、
または、AおよびDはそれらが結合している炭素原子と一緒になって5員環を形成し;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SもしくはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
nは0、1、2、もしくは3であり;
mは0、1、2、もしくは3であり;
Bは核酸塩基であり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、もしくはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hもしくはカウンターイオンであり;かつ
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的pHにおいてO
-であり;
ただし、可変部A、B、D、U、Z、Y
2およびY
3を包含する環はリボースにはなりえないものとする。
【0229】
いくつかの実施形態では、Bは、シトシン、グアニン、アデニン、およびウラシルで構成されている群から選択された核酸塩基である。
いくつかの実施形態では、核酸塩基はピリミジンまたはその誘導体である。
【0230】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは式XI‐a:
【0231】
【0232】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは式XI‐b:
【0233】
【0234】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、式XI‐c1、XI‐c2、またはXI‐c3:
【0235】
【0236】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは式XI:
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【化77】
が単結合を表すとき、UはO、S、‐NR
a‐、もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または
【0241】
【化78】
が二重結合を表すとき、Uは‐CR
a‐であり;
Zは、H、C
1-12アルキル、もしくはC
6-20アリールであるか、または
【0242】
【化79】
が二重結合であるとき、Zは存在せず;かつ
Zは‐CR
aR
b‐であってAとともに結合を形成してもよく;
Aは、H、OH、スルファート、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、または1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
Dは、H、OH、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチド、もしくは式XII:
【0243】
【化80】
の基であるか、
または、AおよびDはそれらが結合している炭素原子と一緒になって5員環を形成し;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SもしくはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
nは0、1、2、または3であり;
mは0、1、2、または3であり;
Bは式XIII:
【0244】
【化81】
の核酸塩基であって、上記式中、
VはNまたは正に荷電したNR
cであり;
R
3はNR
cR
d、‐OR
a、または‐SR
aであり;
R
4はHであるか、または任意選択でY
3とともに結合を形成してもよく;
R
5はH、‐NR
cR
d、または‐OR
aであり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hまたはカウンターイオンであり;かつ
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的pHにおいてO
-である。
【0245】
いくつかの実施形態では、Bは:
【0246】
【化82】
であって、
上記式中、R
3は‐OH、‐SH、または
【0247】
【0248】
いくつかの実施形態では、Bは:
【0249】
【0250】
いくつかの実施形態では、Bは:
【0251】
【0252】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは式I‐d:
【0253】
【0254】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、
【0255】
【化87】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩で構成されている群から選択された化合物である。
【0256】
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、
【0257】
【化88】
またはこれらの薬学的に許容可能な塩で構成されている群から選択された化合物である。
【0258】
ヌクレオシド間結合の修飾
ポリヌクレオチド分子に組み入れ可能な修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合(例えばリン酸バックボーン)について修飾されてもよい。本明細書中、ポリヌクレオチドのバックボーンに関して、「リン酸(ホスファート)」および「ホスホジエステル」という語は互換的に使用される。バックボーンのリン酸基は酸素原子のうち1つ以上を異なる置換基に置き換えることにより修飾されうる。さらに、修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドは、非修飾型のリン酸部分を本明細書中に記載されるような別のヌクレオシド間結合で大規模に置き換えることを含みうる。修飾リン酸基の例には、限定するものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレナート、ボラノホスファート、ボラノホスファートエステル、水素ホスホナート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキルホスホナートまたはアリールホスホナート、およびホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは結合に関与していない酸素がいずれも硫黄によって置き換えられている。リン酸リンカーは、結合に関与している酸素を、窒素(架橋ホスホロアミダート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、および炭素(架橋メチレン‐ホスホナート)で置き換えることによっても修飾されうる。
【0259】
α‐チオで置換されたリン酸部分は非天然のホスホロチオエートバックボーン結合によってRNAおよびDNAのポリマーに安定性を付与するために提供される。ホスホロチオエートのDNAおよびRNAは高いヌクレアーゼ抵抗性を有し、ひいては細胞環境においてより長い半減期を有する。理論に束縛されることは望まないが、ホスホロチオエート結合型のポリヌクレオチド分子は、細胞の先天性免疫分子の結合/活性化が弱まることによる先天性免疫応答の低減もなすと予想される。
【0260】
特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドには、α‐チオ‐ヌクレオシド(例えば5’‐O‐(1‐チオホスファート)‐アデノシン、5’‐O‐(1‐チオホスファート)‐シチジン(α‐チオ‐シチジン)、5’‐O‐(1‐チオホスファート)‐グアノシン、5’‐O‐(1‐チオホスファート)‐ウリジン、または5’‐O‐(1‐チオホスファート)‐プソイドウリジン)が挙げられる。
【0261】
本発明によって使用されうるその他のヌクレオシド間結合、例えばリン原子を含まないヌクレオシド間結合は、本明細書中に後述されている。
[修飾型の糖、核酸塩基、およびヌクレオシド間結合の組み合わせ]
本発明のポリヌクレオチドは、糖、核酸塩基、およびヌクレオシド間結合に対する修飾の組み合わせを含むことができる。これらの組み合わせは、本明細書中に記載された任意の1つ以上の修飾を含むことができる。例を挙げると、本明細書中で式(Ia)、(Ia‐1)‐(Ia‐3)、(Ib)‐(If)、(Ila)‐(IIp)、(IIb‐1)、(IIb‐2)、(IIc‐1)‐(IIc‐2)、(IIn‐1)、(IIn‐2)、(IVa)‐(IVl)、および(IXa)‐(IXr)に記載されたヌクレオチドのうち任意のものは、本明細書中に記載された核酸塩基(例えば式(b1)‐(b43)、または本明細書中に記載された任意のその他のもの)のうちいずれとも組み合わせることができる。
【0262】
[ポリヌクレオチド分子の合成]
本発明に従って使用するためのポリヌクレオチド分子は、本明細書中に記載されるように、任意の有用な技法によって調製されうる。本明細書中に開示されたポリヌクレオチド分子の合成において使用される修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、以下の一般的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製可能である。典型的または好ましい工程条件(例えば反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が提供されれば、当業者はさらなる工程条件を最適化かつ開発することができるであろう。最適な反応条件は使用される特定の反応物または溶媒に応じて様々となり得るが、そのような条件は当業者によって日常的な最適化手順により決定可能である。
【0263】
本明細書中に記載された工程は、当分野で既知の任意の適切な方法によってモニタリング可能である。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴法(例えば1Hもしくは13C)赤外分光法、分光測光法(例えば、UV‐可視)、もしくは質量分析法によって、または高速液体クロマトグラフィ(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィのようなクロマトグラフ法によって、モニタリング可能である。
【0264】
本発明のポリヌクレオチド分子の調製には、様々な化学基の保護および脱保護を伴う可能性がある。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者には容易に判断可能である。保護基の化学的性質については、例えば、グリーン(Greene)ら、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第2版、ワイリー・アンド・サンズ(Wiley and Sons)、1991年、に見出すことが可能であり、前記文献はその全体が参照により本願に組込まれる。
【0265】
本明細書中に記載された工程の反応は、適切な溶媒中で実行可能であり、該溶媒は有機合成分野の当業者によって容易に選択可能である。適切な溶媒は、反応が行なわれる温度、すなわち該溶媒の凍結温度から該溶媒の沸騰温度まで及びうる温度において、出発物質(反応物)、中間物、または生成物とほぼ無反応性となりうる。所与の反応は、1つの溶媒中で行われてもよいし、2以上の溶媒の混合物中で行なわれてもよい。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに適した溶媒が選択されうる。
【0266】
修飾型のポリヌクレオチドまたは核酸(例えばポリヌクレオチドまたは修飾mRNA分子)のラセミ混合物の分割は、当分野で既知の多数の方法のうち任意のものによって実行可能である。実例の方法には、光学活性な、塩を形成する有機酸である「キラル分割用の酸(chiral resolving acid)」を使用する、分別再結晶化が含まれる。分別再結晶化法に適した分割剤は、例えば、光学活性な酸、例えばD型およびL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、または様々な光学活性なカンファースルホン酸である。ラセミ混合物の分割は、光学活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を用いて充填されたカラムでの溶離によっても実行可能である。適切な溶離溶媒の組成は当業者により決定されうる。
【0267】
修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチド(例えば構成単位分子)は、オガタ(Ogata)ら、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、2009年、第74巻、p.2585-2588;パーマル(Purmal)ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucl. Acids Res.)、1994年、第22巻、第1号、p.72-78;フクハラ(Fukuhara)ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、1962年、第1巻、第4号、p.563-568;およびシュー(Xu)ら、テトラヘドロン(Tetrahedron)、1992年、第48巻、第9号、p.1729-1740、に記載された合成法によって調製可能であり、前記文献はそれぞれその全体が参照により援用される。
【0268】
本発明のポリヌクレオチドは、分子の全長に沿って一様に修飾されてもよいし、一様には修飾されなくてもよい。例えば、1つ以上または全種類のヌクレオチド(例えばプリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのうち任意の1つ以上もしくはすべて)が、本発明のポリヌクレオチドにおいて、またはその所与の予め決められた配列領域において、一様に修飾されてもよいし、一様には修飾されなくてもよい。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチド中の(またはその所与の配列領域中の)全てのヌクレオチドXが修飾され、ここでXは、ヌクレオチドA、G、U、Cのうちいずれか、または組み合わせのA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cのうちいずれかであってよい。
【0269】
様々な糖修飾、ヌクレオチド修飾、およびヌクレオシド間結合(例えばバックボーン構造)のうち少なくともいずれかが、ポリヌクレオチド中の様々な部位に存在することができる。ヌクレオチドのアナログ体またはその他の修飾物は、ポリヌクレオチドの機能がほとんど低下しないように該ポリヌクレオチドの任意の部位に配置されうることが、当業者には理解されるであろう。修飾はさらに、5’末端または3’末端の修飾であってもよい。ポリヌクレオチドは、約1%~約100%の修飾ヌクレオチド(全ヌクレオチド含量に関して、または1種類以上のヌクレオチドすなわちA、G、UもしくはCのうちいずれか1つ以上に関して)を、またはその間の割合(%)(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%)を含むことができる。
【0270】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾ピリミジン(例えば修飾型のウラシル/ウリジン/Uまたは修飾型のシトシン/シチジン/C)を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド分子中のウラシルまたはウリジン(一般に:U)は、約1%~約100%の修飾ウラシルまたは修飾ウリジン(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%の修飾ウラシルまたは修飾ウリジン)で置き換えられてもよい。修飾型のウラシルまたはウリジンは、単一の特異構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば本明細書中に記載されるような、2、3、4種類またはそれ以上の特異構造)を有する複数の化合物によって置き換え可能である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド分子中のシトシンまたはシチジン(一般に:C)は、約1%~約100%の修飾シトシンまたは修飾シチジン(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%の修飾シトシンまたは修飾シチジン)で置き換え可能である。修飾型のシトシンまたはシチジンは、単一の特異構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば本明細書中に記載されるような、2、3、4種類またはそれ以上の特異構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。
【0271】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(Ia‐1)
【0272】
【化89】
を有するn個の連結したヌクレオシドを含むポリヌクレオチド(例えば第1の領域、第1のフランキング領域、または第2のフランキング領域)を合成する方法であって、
a)式(IV‐1)
【0273】
【0274】
【化91】
のホスホアミダイト化合物と反応させて(上記式中、
Y
9は、H、ヒドロキシ、ホスホリル、ピロホスファート、スルファート、アミノ、チオール、任意選択で置換されたアミノ酸、またはペプチド(例えば、2~12個のアミノ酸を含んでいるペプチド)であり;P
1、P
2、およびP
3はそれぞれ独立に適切な保護基であり;
【0275】
【0276】
【化93】
のポリヌクレオチドを提供するステップと:
b)式(V)のポリヌクレオチドを酸化または硫化して式(VII‐1)
【0277】
【化94】
のポリヌクレオチドを得るステップと:
c)保護基を除去して式(Ia)のポリヌクレオチドを得るステップと、を含んでなる方法を提供する。
【0278】
いくつかの実施形態では、ステップa)およびb)は1~約10,000回反復される。いくつかの実施形態では、該方法は、A、C、GおよびU アデノシン、シトシン、グアノシンおよびウラシルで構成されている群から選択されたヌクレオチドをさらに含んでなる。いくつかの実施形態では、核酸塩基はピリミジンまたはその誘導体であってよい。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは翻訳可能である。
【0279】
ポリヌクレオチドの他の構成成分は任意選択であり、いくつかの実施形態においては有益である。例えば、5’非翻訳領域(UTR)および3’UTRのうち少なくともいずれかが提供され、一方または両方が独立に1つ以上の異なるヌクレオチド修飾を含有してもよい。そのような実施形態では、ヌクレオチドの修飾は、翻訳可能な領域中にも存在することができる。さらに、コザック配列を含んでいるポリヌクレオチドも提供される。
【0280】
[ヌクレオチドの組み合わせ]
修飾ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドの組み合わせのさらなる実施例は以下の表2に提示されている。これら修飾ヌクレオチドの組み合わせは本発明のポリヌクレオチドを形成するために使用されうる。特に注記のないかぎり、修飾ヌクレオチドは本発明のポリヌクレオチドの天然型ヌクレオチドと完全に置き換わっていてもよい。非限定的な実施例として、天然型ヌクレオチドのウリジンが本明細書中に記載された修飾ヌクレオシドで置換されてもよい。別の非限定的な実施例では、天然型ヌクレオチドのウリジンは、本明細書中に開示された修飾ヌクレオシドのうち少なくとも1つを用いて部分的に(例えば約0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99.9%)置換されてもよい。
【0281】
【表2】
ある種の修飾型のヌクレオチドおよびヌクレオチドの組み合わせについて、本発明者らによる調査が行われた。これらの知見は、「人為設計された核酸およびその使用方法(Engineered Nucleic Acids and Methods of Use Thereof)」という表題の2010年10月1日に出願された米国仮特許出願第61/404,413号明細書、「修飾されたヌクレオチド、および核酸、ならびにこれらの使用(Modified Nucleotides, and Nucleic
Acids, and Uses Thereof)」という表題の2011年10月3日に出願された米国特許出願第13/251,840号明細書(現在は放棄されている)、「修飾されたヌクレオチド、および核酸、ならびにこれらの使用(Modified
Nucleotides, and Nucleic Acids, and Uses Thereof)」という表題の2012年5月25日に出願された米国特許出願第13/481,127号明細書、「修飾されたヌクレオシド、ヌクレオチド、および核酸、ならびにこれらの使用(Modified Nucleosides, Nucleotides, And Nucleic Acids, and Uses Thereof)」という表題の2011年10月3日に出願された国際公開第2012045075号、「人為設計された核酸およびその使用方法(Engineered Nucleic Acids and Method of Use Thereof)」という表題の2011年10月3日に出願された米国特許出願公開第20120237975号明細書、および国際公開第2012045082号(これらは参照により全体が援用される)に記載されている。
【0282】
修飾ヌクレオチドの組み合わせのさらなる実施例は以下の表3に提示されている。修飾ヌクレオチドのこれらの組み合わせは本発明のポリヌクレオチドを形成するために使用されうる。
【0283】
【表3】
いくつかの実施形態では、シトシンのうち少なくとも25%は式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、または(b32)‐(b35)の化合物によって置き換えられる(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%の、例えば式(b10)または(b32)の化合物)。
【0284】
いくつかの実施形態では、ウラシルのうち少なくとも25%は式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、または(b28)‐(b31)の化合物によって置き換えられる(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%の、例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30)の化合物)。
【0285】
いくつかの実施形態では、シトシンのうち少なくとも25%は式(b10)‐(b14)、(b24)、(b25)、または(b32)‐(b35)(例えば式(b10)または(b32))の化合物によって置き換えられ、かつ、ウラシルのうち少なくとも25%は式(b1)‐(b9)、(b21)‐(b23)、または(b28)‐(b31)(例えば式(b1)、(b8)、(b28)、(b29)、または(b30))の化合物によって置き換えられる(例えば少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
【0286】
[リンカーおよびペイロードを含んでいる修飾物]
ヌクレオチドの核酸塩基は、任意の化学的に適切な部位において、ペイロード、例えば検出可能な作用薬または治療薬に、共有結合により連結されうる。例えば、核酸塩基はデアザ‐アデノシンまたはデアザ‐グアノシンであってよく、リンカーは該デアザ‐アデノシンまたはデアザ‐グアノシンのC‐7位またはC‐8位に取り付け可能である。他の実施形態では、核酸塩基はシトシンまたはウラシルであってよく、リンカーは該シトシンまたはウラシルのN‐3位またはC‐5位に取り付け可能である。下記のスキーム1は、核酸塩基(アデニン)が7‐デアザ‐アデニンのC‐7の炭素においてリンカーに取り付けられている実例の修飾ヌクレオチドを示している。加えて、スキーム1は、mRNAの3’末端に組込まれたリンカーおよびペイロード(例えば検出可能な作用薬)を備えた修飾ヌクレオチドを示している。ジスルフィドの切断およびプロパルギルエステル上へのチオール基の1,2付加により検出可能な作用薬が放出される。残りの構造物(例えばスキーム1ではpApC5Pargとして示されている)は阻害剤である。該修飾ヌクレオチドの構造の原理は、係留された阻害剤により、ポリメラーゼが第2の塩基を組込む能力が立体的に妨害されるということである。したがって、該係留部はこの機能に影響を及ぼす(affect)のに十分な長さであること、および、阻害剤は伸長しているポリヌクレオチド鎖の中への第2かつ後続のヌクレオチドを阻害または禁止する立体化学的配向をとっていること、が重要である。
【0287】
【化95】
[リンカー]
本明細書中で使用されるような用語「リンカー」は、原子団、例えば原子10~1,000個の原子団を指し、原子または基、例えば、限定するものではないが、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、およびイミンなどで構成されうる。リンカーは、第1端において修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドの核酸塩基部分または糖部分に、また第2端においてペイロード、例えば検出可能な作用薬または治療薬に、結合せしめることが可能である。リンカーは、核酸配列中への組み入れを妨げない程度に十分な長さである。
【0288】
リンカーに組み入れ可能な化学基の例には、限定するものではないが、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、またはエステル基が挙げられる。リンカー鎖はさらに、飽和環、不飽和環、または芳香環の部分を含んでなることも可能であり、該部分は例えば多環芳香族複素環であって該芳香族複素環が1~4個のヘテロ原子N、OまたはSを含有しているアリール基である多環芳香族複素環である。リンカーの具体例には、限定するものではないが、不飽和アルカン、ポリエチレングリコール、およびデキストランポリマーが挙げられる。
【0289】
例えば、リンカーは、エチレンまたはプロピレングリコールのモノマー単位、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコールを含むことができる。いくつかの実施形態では、リンカーは二価のアルキル部分、アルケニル部分、およびアルキニル部分のうち少なくともいずれかを含むことができる。リンカーは、エステル部分、アミド部分、またはエーテル部分を含むことができる。
【0290】
他の実施例は、リンカー内に、例えばジスルフィド結合(‐S‐S‐)またはアゾ結合(‐N=N‐)などのような、還元剤または光分解を使用して開裂されうる開裂可能な部分を含んでいる。リンカーに組みいれられ、かつ修飾ヌクレオチドに結合せしめられた開裂可能な結合は、開裂されると、ヌクレオチド上に例えば短い「傷跡(scar)」または化学修飾をもたらす。例えば、開裂後には、修飾ヌクレオチドの一部を成し、かつポリヌクレオチド鎖に組み入れられている、ヌクレオチド塩基上に生じた傷跡は、非反応性であり、化学的に中和される必要はない。これは、核酸ポリマーテンプレートの配列決定の際に後続のヌクレオチドの組み入れ易さを増大させる。例えば、条件には、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ジチオトレイトール(DTT)およびジスルフィド結合の開裂用の他の還元剤の使用が挙げられる。アミド結合を含んでいる選択的に切断可能な結合は、例えばTCEPまたはその他の還元剤の使用および光分解のうち少なくともいずれかによって、開裂可能である。エステル結合を含んでいる選択的に切断可能な結合は、例えば酸性または塩基性加水分解によって開裂可能である。
【0291】
[ペイロード]
本明細書中に記載された方法および組成物は、生物学的標的にペイロードを送達するのに有用である。ペイロードは、例えば、標識を付与するために(例えば発蛍光団のような検出可能な作用薬)、または治療目的で(例えば細胞毒素またはその他の治療薬)、使用されうる。
【0292】
ペイロード:治療薬
いくつかの実施形態では、ペイロードは、細胞毒素、放射性イオン、化学療法薬、またはその他の治療薬のような治療薬である。細胞毒素すなわち細胞毒性作用薬には、細胞に有害な任意の作用薬が含まれる。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1‐デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、メイタンシノイド類、例えばメイタンシノール(米国特許第5,208,020号明細書を参照)、CC‐1065(米国特許第5,475,092号、同第5,585,499号、同第5,846,545号明細書を参照)、およびこれらのアナログ体またはホモログが挙げられる。放射性イオンには、限定するものではないが、ヨウ素(例えばヨウ素125またはヨウ素131)、ストロンチウム89、リン、パラジウム、セシウム、イリジウム、ホスファート、コバルト、イットリウム90、サマリウム153およびプラセオジミウムが挙げられる。その他の治療薬には、限定するものではないが、代謝拮抗物質(例えばメトトレキセート、6‐メルカプトプリン、6‐チオグアニン、シタラビン、5‐フルオロウラシル デカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa) クロラムブシル、CC‐1065、メルファラン、カルマスティン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス‐ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン類(例えばダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソールおよびメイタンシノイド類)が挙げられる。
【0293】
ペイロード:検出可能な作用薬
検出可能な物質の例には、様々な有機小分子、無機化合物、ナノ粒子、酵素または酵素基質、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、化学発光材料、放射性物質、および造影剤が挙げられる。そのような光学的に検出可能な標識には、例えば、限定するものではないが、4‐アセトアミド‐4’‐イソチオシアナトスチルベン‐2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体:アクリジン、アクリジンイソチオシアナート;5‐(2’‐アミノエチル)アミノナフタレン‐1‐スルホン酸(EDANS);4‐アミノ‐N‐[3‐ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド‐3,5ジスルホナート;N‐(4‐アニリノ‐1‐ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;ブリリアントイエロー;クマリンおよび誘導体;クマリン、7‐アミノ‐4‐メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7‐アミノ‐4‐トリフルオロメチルクルアリン(trifluoromethylcouluarin)(クマラン(Coumaran)151);シアニン色素;シアノシン;4’,6‐ジアミニジノ(diaminidino)‐2‐フェニルインドール(DAPI);5’5”‐ジブロモピロガロール‐スルホナフタレイン(sulfonaphthalein)(ブロモピロガロールレッド);7‐ジエチルアミノ‐3‐(4’‐イソチオシアナトフェニル)‐4‐メチルクマリン;ジエチレントリアミン五酢酸;4,4’‐ジイソチオシアナトジヒドロ‐スチルベン‐2,2’‐ジスルホン酸;4,4’‐ジイソチオシアナトスチルベン‐2,2’‐ジスルホン酸;5‐[ジメチルアミノ]‐ナフタレン‐1‐スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル);4‐ジメチルアミノフェニルアゾフェニル‐4’‐イソチオシアナート(DABITC);エオシンおよび誘導体;エオシン、エオシンイソチオシアナート、エリトロシンおよび誘導体;エリトロシンB、エリトロシン、イソチオシアナート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体;5‐カルボキシフルオレセイン(FAM)、5‐(4,6‐ジクロロトリアジン‐2‐イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’‐ジメトキシ‐4’5’‐ジクロロ‐6‐カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、QFITC、(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアナート;4‐メチルウンベリフェロンオルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローズアニリン;フェノールレッド;B‐フィコエリトリン;o‐フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、ピレンブチラート、スクシンイミジル1‐ピレン;ブチラート量子ドット;リアクティブレッド4(Cibacron(商標)ブリリアントレッド3B‐A)ローダミンおよび誘導体:6‐カルボキシ‐X‐ローダミン(ROX)、6‐カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアナート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド);N,N,N’,N’テトラメチル‐6‐カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート誘導体;シアニン‐3(Cy3);シアニン‐5(Cy5);シアニン‐5.5(Cy5.5)、シアニン‐7(Cy7);IRD700;IRD800;アレクサ(Alexa)647;ラジョルタブルー(La Jolta Blue);フタロシアニン;ならびにナフタロシアニン、が挙げられる。いくつかの実施形態では、検出可能な標識はCy5およびCy3のような蛍光色素である。
【0294】
実施例の発光材料にはルミノールが含まれ;生物発光材料の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられる。
適切な放射性物質の例には、18F、67Ga、81mKr、82Rb、111In、123I、133Xe、201Tl、125I、35S、14C、もしくは3H、直接間接を問わず99mTc(例えば、過テクネチウム酸塩(テクネタート(VII)、TcO4
-として)、または、放射線放射(radioemission)の直接計数またはシンチレーション計数によって検出可能な他の放射性同位体、が挙げられる。
【0295】
加えて、造影剤、例えばMRIまたはNMR用の造影剤、X線CT、ラマンイメージング、光コヒーレンストモグラフィ、吸収イメージング、超音波イメージング、または熱感知イメージング用の造影剤が使用されうる。典型的な造影剤には、金(例えば金ナノ粒子)、ガドリニウム(例えばキレート化Gd)、酸化鉄(例えば超常磁性酸化鉄(SPIO)、単結晶酸化鉄ナノ粒子(MION)、および超微小超常磁性酸化鉄(USPIO))が含まれ、さらにマンガンキレート化合物(例えばMn‐DPDP)、硫酸バリウム、ヨード造影剤(イオヘキソール)、マイクロバブル、またはペルフルオロカーボンも使用されうる。
【0296】
いくつかの実施形態では、検出可能な作用薬は、検出不可能な前駆体であって活性化されると検出可能となるものである。例としては、蛍光性のテトラジン‐発蛍光団構築物(例えば、テトラジン‐BODIPY FL、テトラジン‐オレゴングリーン488、もしくはテトラジン‐BODIPY TMR‐X)または酵素活性化型の蛍光性作用薬(例えばPROSENSE(ビゼン・メディカル(VisEn Medical)))が挙げられる。
【0297】
化合物が例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはルシフェラーゼを用いて酵素標識される場合、該酵素標識は適切な基質の生成物への変換を測定することにより検出される。
【0298】
これらの組成物が使用されうるin vitroアッセイには、酸素免疫測定法(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光法、酵素免疫検定法(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、およびウエスタンブロット解析が挙げられる。
【0299】
本明細書中に記載されたもの以外の標識、例えば他の光学的に検出可能な標識は、本開示によって検討されている。標識は、開裂可能なリンカーが開裂すると組み入れられた塩基から該標識が取り除かれうるように、標準的な化学構造物を使用して本開示の修飾ヌクレオチドの任意の部位に取り付けることができる。
【0300】
ペイロード:細胞膜透過性のペイロード
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は、組成物の細胞内送達を増強する細胞膜透過性の構成部分(moiety)または作用薬となりうるペイロードを備えることもできる。例えば、組成物は、細胞内空間への送達を促進する細胞膜透過性ペプチド配列、例えばHlV由来TATペプチド、ペネトラチン、トランスポータン、またはhCT由来細胞透過性ペプチドを含むことが可能であり、例えば、キャロン(Caron)ら、モレキュラー・セラピー(Mol Ther.)、2001年、第3巻、第3号、p.310-8;
ランゲル(Langel)、「細胞膜透過性ペプチド:プロセスと応用(Cell-Penetrating Peptides: Processes and Applications)」、米国フロリダ州ボカラトン、CRCプレス、2002年;エル‐アンダロッシ(El-Andaloussi)ら、カレント・ファーマシューティカル・デザイン(Curr Pharm Des.)、2005年、第11巻、第28号、p.3597-611;およびデエー(Deshayes)ら、セルラー・アンド・モレキュラー・ライフ・サイエンシズ(Cell Mol Life Sci.)、2005年、第62巻、第16号、p.1839-49を参照されたい。組成物は、細胞内空間への組成物の送達を増強する細胞膜透過剤、例えばリポソームを含むように調合されることも可能である。
【0301】
ペイロード:生物学的標的
本明細書中に記載された修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は、任意の生物学的標的であって該標的に対する特異的リガンドが存在するかまたは特異的リガンドを生成せしめることが可能な生物学的標的に、ペイロードを送達するために使用されうる。該リガンドは該生物学的標的に共有結合または非共有結合のいずれかにより結合することができる。
【0302】
典型的な生物学的標的には、生体高分子、例えば抗体、RNAおよびDNAのような核酸、タンパク質、酵素が含まれ;典型的なタンパク質には酵素、レセプター、およびイオンチャネルが含まれる。いくつかの実施形態では、該標的は、組織または細胞の種類に特異的なマーカー、例えば選択された組織または細胞の種類において特異的に発現されるタンパク質である。いくつかの実施形態では、該標的はレセプター、例えば、限定するものではないが、原形質膜レセプターおよび核内受容体;より具体的な例には、Gタンパク質共役レセプター、細胞ポアタンパク質、輸送体タンパク質、表面に発現された抗体、HLAタンパク質、MHCタンパク質および成長因子レセプターが挙げられる。
【0303】
[修飾ヌクレオチドの合成]
本明細書中に開示された修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、次の一般的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。当然ながら、典型的または好ましい工程条件(すなわち反応温度、回数、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合でも;特に断りのない限りその他の工程条件も使用されうる。最適の反応条件は使用される特定の反応物または溶媒に応じて変化しうるが、そのような条件は、日常作業的な最適化手順により当業者が決定可能である。
【0304】
本明細書中に記載された工程は、当分野で既知の任意の適切な方法によってモニタリングされうる。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴法(例えば1Hもしくは13C)赤外分光法、分光測光法(例えば、UV‐可視)、もしくは質量分析法によって、または、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィのようなクロマトグラフィ法によって、モニタリングされうる。
【0305】
修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドの調製には、様々な化学基の保護および脱保護を伴う可能性がある。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に判断されうる。保護基の化学構造は、例えば、グリーン(Greene)ら、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第2版、ワイリー・アンド・サンズ(Wiley
and Sons)、1991年に見出すことが可能であり、前記文献は参照により全体が本明細書中に組込まれる。
【0306】
本明細書中に記載された工程の反応は適切な溶媒中で行なうことが可能であり、該溶媒は有機合成分野の当業者によって容易に選択されうる。適切な溶媒は、反応が行なわれる温度、すなわち該溶媒の凍結温度から該溶媒の沸騰温度まで及びうる温度において、出発物質(反応物)、中間物、または生成物とほぼ無反応性であってよい。所与の反応は、1つの溶媒中で行われてもよいし、2以上の溶媒の混合物中で行なわれてもよい。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに適した溶媒が選択されうる。
【0307】
修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドのラセミ混合物の分割は、当分野で既知の数多くの方法のうち任意の方法によって実行されうる。実例の方法には、光学活性な、塩を形成する有機酸である「キラル分割用の酸(chiral resolving acid)」を使用する、分別再結晶化が含まれる。分別再結晶化法に適した分割剤は、例えば、光学活性な酸、例えばD型およびL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、または様々な光学活性なカンファースルホン酸である。ラセミ混合物の分割は、光学活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を用いて充填されたカラムでの溶離によっても実行可能である。適切な溶離溶媒の組成は当業者により決定されうる。
【0308】
ポリヌクレオチド(例えばRNA、mRNA)に組込まれる修飾ヌクレオチドの典型的な合成は、スキーム2~スキーム12によって以下に提供される。スキーム2は修飾ヌクレオシドを含むヌクレオシドのリン酸化のための一般的な方法を提供する。
【0309】
【化96】
反応を制御するために様々な保護基が使用されうる。例えば、スキーム3は、2’および3’ヒドロキシル基ではなく糖の5’位におけるリン酸化を促進するための複数の保護および脱保護ステップの使用を提供する。
【0310】
【化97】
修飾ヌクレオチドは任意の有用な方法で合成されうる。スキーム4、5および8は、修飾型のプリン核酸塩基を有する修飾ヌクレオチドを合成するための典型的な方法を提供し;スキーム6および7は、それぞれ修飾型のプソイドウリジンまたはプソイドイソシチジンを有する修飾ヌクレオチドを合成するための典型的な方法を提供している。
【0311】
【化98】
スキーム9および10は修飾ヌクレオチドの典型的な合成を提供する。スキーム11は、ヌクレオチドを生産するための非限定的な生体触媒による方法を提供する。
【0312】
【化99】
スキーム12は、主溝面上のN1位が他所で提示されるようにR
12bで修飾され、かつリボースの5’位がリン酸化される、修飾ウラシルの典型的な合成を提供している。T
1、T
2、R
12a、R
12b、およびrは本明細書中に提供される通りである。この合成、およびこれを最適化したものは、他のピリミジン核酸塩基およびプリン核酸塩基(例えば、式(b1)‐(b43)を参照)の主溝面の修飾、および1つ以上のリン酸基の(例えば糖の5’位への)取り付け、のうち少なくともいずれかのために使用されうる。このアルキル化反応は、本明細書中に記載された任意の核酸塩基の任意の反応性基(例えばアミノ基)(例えばシトシン、ウラシル、アデニンおよびグアニンのワトソン‐クリック型塩基対の面におけるアミノ基)に1つ以上の任意選択で置換されたアルキル基を含めるためにも使用されうる。
【0313】
【化100】
修飾型のヌクレオシドおよびヌクレオチドは、オガタ(Ogata)ら、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、2009年、第74巻、p.2585-2588;パーマル(Purmal)ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)、1994年、第22巻、第1号、p.72-78;フクハラ(Fukuhara)ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、1962年、第1巻、第4号、p.563-568;およびシュー(Xu)ら、テトラヘドロン(Tetrahedron)、1992年、第48巻、第9号、p.1729-1740、に記載された合成法によって調製可能であり、前記文献はそれぞれその全体が参照により援用される。
【0314】
[修飾核酸]
本開示は、本明細書中に記載されるような1つ以上の修飾ヌクレオシド(「修飾核酸」と呼ばれる)またはヌクレオチドを含有するmRNAのようなRNAを含む核酸(またはポリヌクレオチド)であって、該mRNAが導入される細胞の先天性免疫応答の実質的な誘導の欠如を含む有用な特性を有する、核酸を提供する。これらの修飾核酸は、タンパク質産生の効率、核酸の細胞内保持、および接触を受けた細胞の生存度を高めるうえに、低い免疫原性を有するので、これらの特性を有する上記核酸は本明細書中では「増強核酸」とも呼ばれる。
【0315】
加えて、本開示は、主溝と相互作用(例えば結合)するパートナーに対して低い結合親和性を有する核酸を提供する。例えば、該核酸は、本明細書中に記載されるような主溝面上において化学修飾された少なくとも1つのヌクレオチドで構成されている。
【0316】
用語「核酸」には、その最も広い意味において、オリゴヌクレオチド鎖に組み入れられているかまたは組み入れ可能な任意の化合物および物質のうち少なくともいずれかが含まれる。この意味においては、核酸という用語はポリヌクレオチドと同義的に使用される。本開示に従って使用するための典型的な核酸には、限定するものではないが、1以上のDNA、メッセンジャーmRNA(mRNA)などのRNA、これらのハイブリッド、RNAi誘発剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクターなどが含まれ、本明細書中に詳細に記載される。
【0317】
提供されるのは、翻訳可能な領域と、1個、2個、または3個以上の異なるヌクレオシド修飾とを含んでいる修飾核酸である。いくつかの実施形態では、修飾核酸は、該核酸が導入されている細胞内において、対応する未修飾の核酸に比べて低減された分解を示す。典型的な核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、またはこれらのハイブリッドが含まれる。好ましい実施形態では、修飾核酸はメッセンジャーRNA(mRNA)を含む。本明細書中に記載されるように、本開示の核酸は該mRNAが導入されている細胞の先天性免疫応答をほとんど誘発しない。
【0318】
ある実施形態では、例えばタンパク質産生の正確な時期選択が望まれる場合、細胞内に導入された修飾核酸を例えば細胞内で分解することが望ましい。したがって、本開示は、細胞内で指定の方法で作用せしめることが可能な分解ドメインを含有する修飾核酸分子を提供する。
【0319】
核酸の他の構成成分は任意選択であり、いくつかの実施形態において有益である。例えば、5’非翻訳領域(UTR)および3’UTRのうち少なくともいずれかであって、一方または両方が独立に1つ以上の異なるヌクレオシド修飾を含みうるUTRが提供される。そのような実施形態では、ヌクレオシドの修飾は翻訳可能な領域中にも存在することができる。さらに、コザック配列を含んでいる核酸も提供される。
【0320】
さらに提供されるのは、核酸であって該核酸から除去されうる1つ以上のイントロン性ヌクレオチド配列を含んでいる核酸である。
さらに、提供されるのは、内部リボソーム導入部位(IRES)を含んでいる核酸である。IRESは唯一のリボソーム結合部位として作用してもよいし、mRNAの複数のリボソーム結合部位のうちの1つとしての役割を果たしてもよい。2以上の機能的なリボソーム結合部位を含むmRNAは、リボソームによって独立に翻訳される数個のペプチドまたはポリペプチドをコードすることができる(「マルチシストロン性mRNA」)。核酸がIRESとともに提供される場合、さらに任意選択で提供されるのは第2の翻訳可能な領域である。本開示に従って使用されうるIRES配列の例には、限定するものではないが、ピコルナウイルス(例えばFMDV)、ペストウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス、豚コレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)またはコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)由来のものが挙げられる。
【0321】
別の態様では、本開示は、少なくとも2つのヌクレオチドを含んでなる核酸配列であって、該核酸配列は主溝と結合するパートナーが該核酸配列と結合するのを妨害するヌクレオチドを含んでなり、該ヌクレオチドは、主溝と結合するパートナーに対して低い結合親和性を有する、核酸配列を提供する。
【0322】
いくつかの実施形態では、核酸は式XI‐a:
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【化104】
が単結合を表すとき、UはO、S、‐NR
a‐もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または
【0327】
【化105】
が二重結合を表すとき、Uは‐CR
a‐であり;
AはH、OH、ホスホリル、ピロホスファート、スルファート、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、2~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SまたはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hまたはカウンターイオンであり;
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的なpHにおいてO
-であり;かつ
Bは核酸塩基であり;
ただし、可変部A、B、D、U、Z、Y
2およびY
3を包含する環はリボースにはなりえないものとする。
【0328】
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a、XII‐b、またはXII‐c:
【0329】
【0330】
【化107】
は単結合または二重結合を表し;
XはOまたはSであり;
UおよびWはそれぞれ独立にCまたはNであり;
VはO、S、CまたはNであり;
VがCである場合、R
1は、H、C
1‐6アルキル、C
1‐6アルケニル、C
1‐6アルキニル、ハロ、または‐OR
cであって、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニルはそれぞれ任意選択で‐OH、‐NR
aR
b、‐SH、‐C(O)R
c、‐C(O)ORc、‐NHC(O)R
c、または‐NHC(O)OR
cで置換されており;
かつ、VがO、S、またはNである場合、R
1は存在せず;
R
2は、H、‐OR
c、‐SR
c、‐NR
aR
b、もしくはハロであるか;
または、VがCである場合、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロ、‐OH、‐SH、‐NR
aR
b、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、C
1‐20アルコキシ、もしくはC
1‐20チオアルキルから選択された1~4個の置換基で任意選択で置換された、5員環または6員環を形成してもよく;
R
3はHまたはC
1‐20アルキルであり;
R
4はHまたはC
1‐20アルキルであって;
【0331】
【化108】
が二重結合を表す場合、R
4は存在しないか、またはN‐R
4が一緒になって、C
1‐20アルキルで置換された正電荷のNを形成し;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;かつ
R
cは、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基である。
【0332】
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a1、XII‐a2、XII‐a3、XII‐a4、またはXII‐a5:
【0333】
【0334】
いくつかの実施形態では、核酸塩基はピリミジンまたはその誘導体である。
いくつかの実施形態では、核酸は、複数の構造的に特有な式XI‐aの化合物を含んでいる。
【0335】
いくつかの実施形態では、シトシンの少なくとも25%が式XI‐aの化合物によって置き換えられる(例えば少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
【0336】
いくつかの実施形態では、ウラシルの少なくとも25%が式XI‐aの化合物によって置き換えられる(例えば少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
【0337】
いくつかの実施形態では、少なくともシトシンの25%およびウラシルの25%が、式XI‐aの化合物によって置き換えられる(例えば少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
【0338】
いくつかの実施形態では、核酸は翻訳可能である。
いくつかの実施形態では、核酸が、例えば本明細書中に記載されるようにして、リンカーおよびペイロードで修飾されたヌクレオチドを備える場合、リンカーおよびペイロードで修飾されたヌクレオチドは該核酸の3’末端上にある。
【0339】
[主溝と相互作用するパートナー]
本明細書中に記載されるように、「主溝と相互作用するパートナー」という言葉は、ヌクレオチドまたは核酸の主溝面との相互作用(例えば結合)を通じてRNAリガンドを検出し、かつ該RNAリガンドに応答するRNA認識受容体を指す。そのため、本明細書中に記載されるような修飾ヌクレオチドまたは核酸を含んでなるRNAリガンドは、主溝と結合するパートナーとの相互作用を低下せしめ、したがって、先天性免疫応答、もしくは炎症誘発性サイトカインの発現および分泌、または両方を低下せしめる。
【0340】
主溝と相互作用(例えば結合)するパートナーの例には、限定するものではないが、次のヌクレアーゼおよびヘリカーゼが挙げられる。膜内では、TLR(トール様受容体:Toll-like Receptor)3、7および8は一本鎖および二本鎖RNAに応答することができる。細胞質内では、DEX(D/H)ヘリカーゼのスーパーファミリー2に属するメンバーおよびATPアーゼは、RNAを感知して抗ウイルス性の応答を開始することができる。これらのヘリカーゼには、RIG‐I(retinoic acid-inducible gene I)およびMDA5(melanoma differentiation-associated gene 5)が含まれる。他の例は、LGP2(laboratory of genetics and physiology 2)、タンパク質を含んでいるHIN‐200ドメインを含有するタンパク質、またはヘリカーゼドメイン含有するタンパク質が挙げられる。
【0341】
[先天性細胞性免疫応答の予防または低減]
用語「先天性免疫応答」には、一般にはウイルスまたは細菌を起源とする外因性の一本鎖核酸に対する細胞の応答であってサイトカインの発現および放出(特にインターフェロン)ならびに細胞死の誘導を伴う応答が含まれる。タンパク質合成も先天性細胞性免疫応答の間に低減される。外因性の核酸の導入が引き金となって起きる細胞内の先天性免疫応答を排除することは好都合であるが、本開示は、そのような応答を完全に排除することなくインターフェロンシグナル伝達を含む免疫応答を十分に低減する、mRNAのような修飾核酸を提供する。いくつかの実施形態では、免疫応答は、対応する未修飾核酸によって誘発される免疫応答と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%、または99.9%を越えて低減される。そのような低減は、1型インターフェロンの発現もしくは活性のレベル、またはトール様受容体(例えばTLR7およびTLR8)のようなインターフェロン調節を受ける遺伝子の発現によって、測定されうる。先天性免疫応答の誘導の低減または欠如は、細胞集団に修飾RNAを1回以上投与した後の細胞死の減少によっても測定可能であり;例えば、細胞死は、対応する未修飾核酸を用いて観察される細胞死の頻度よりも、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%、または95%以上少ない。さらに、細胞死は、修飾核酸と接触せしめられた細胞の50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%または0.01%未満に生じうる。
【0342】
いくつかの実施形態では、修飾核酸、例えばポリヌクレオチドおよびmRNA分子のうち少なくともいずれかは、受容側の細胞または生物体による免疫応答を誘発しないか、または最小限にのみ誘発するような方法で、修飾される。免疫応答の誘因または活性化をそのように回避すなわち免れることは、本発明の修飾ポリヌクレオチドの新規な特徴である。
【0343】
本開示は、例えば、in vitro、ex vivo、またはin vivoにおける、標的細胞集団への修飾核酸の反復的導入(例えばトランスフェクション)を提供する。細胞集団と接触せしめるステップは、1回以上(例えば2、3、4、5回または6回以上)反復されうる。いくつかの実施形態では、細胞集団を修飾核酸と接触せしめるステップは、該細胞集団におけるタンパク質翻訳の所定の効率が達成されるのに十分な回数だけ反復される。核酸の修飾によって提供される標的細胞集団の細胞毒性が低いことを前提とすれば、そのような反復的なトランスフェクションは、多種多様な種類の細胞においてin vitroおよびin vivoのうち少なくともいずれかにおいて達成可能である。
【0344】
[ポリペプチドのバリアント]
基準のポリペプチド配列との一定の同一性を有するバリアントのポリペプチドをコードする核酸が提供される。用語「同一性」は、当分野で知られているように、配列の比較により判定されるような2以上のペプチドの配列間の関係を指す。当分野では、「同一性」はさらに、2以上のアミノ酸残基の連なりの間の一致の数によって決定されるような、ペプチド間の配列関連性の程度をも意味する。「同一性」は、特定の数理モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によってアドレス指定されたギャップアラインメント(もしあれば)を備えた2以上の配列の小さなほうの完全一致の比率(%)を尺度とする。関連するペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算されうる。そのような方法には、限定するものではないが、レスク(Lesk)、A.M.編、「分子計算生物学(Computational Molecular Biology)」、米国ニューヨーク、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、1988年;スミス(Smith)、D.W.編、「バイオコンピューティング:インフォマティクスおよびゲノムプロジェクト(Biocomputing: Informatics and Genome Projects)」、米国ニューヨーク、アカデミックプレス(Academic Press)、1993年;グリフィン(Griffin)、A.M.およびグリフィン(Griffin)、H.G.編、「配列データのコンピュータ解析、パート1(Computer Analysis of Sequence Data, Part 1)」、米国ニュージャージー州、ヒューマナプレス(Humana Press)、1994年;フォン・ハイネ(von Heinje)、G.、「分子生物学における配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」、アカデミックプレス(Academic Press)、1987年;グリプスコウ(Gribskov)、M.およびデヴェルー(Devereux)、J.編、「配列解析プライマー(Sequence
Analysis Primer)」、米国ニューヨーク、M.ストックトンプレス(M. Stockton Press)、1991年;ならびにカリージョ(Carillo)ら、SIAMジャーナル・オン・アプライド・マスマティックス(SIAM J.
Applied Math.)、1988年、第48巻、p.1073、に記載されているものが挙げられる。
【0345】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのバリアントは基準のポリペプチドと同一または同様の活性を有している。別例として、バリアントは基準ポリペプチドと比較して変化した活性(例えば増大または低下した活性)を有する。一般に、本開示の特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのバリアントは、本明細書中に記載されかつ当業者に既知の配列アラインメントのプログラムおよびパラメータによって決定されるように、特定の基準ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有することになろう。
【0346】
当業者には認識されているように、タンパク質フラグメント、機能タンパク質ドメイン、および相同タンパク質も、本開示の範囲内にあると考えられる。例えば、本明細書中に提供されるのは、長さが10、20、30、40、50、60、70、80、90、100アミノ酸または100個を超えるアミノ酸長の、基準タンパク質の任意のタンパク質フラグメント(基準ポリペプチド配列より少なくとも1アミノ酸残基短いが、それ以外は同一であるポリペプチド配列を意味する)である。別の例において、本明細書中に記載された配列のうち任意の配列と約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%同一である、一続きの約20、約30、約40、約50、または約100アミノ酸を含む任意のタンパク質が、本開示に従って利用されてもよい。ある実施形態では、本開示に従って利用されるタンパク質配列は、本明細書中において提供または言及された配列のうちいずれかに示されるように、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の突然変異を備えている。
【0347】
[ポリペプチドライブラリ]
さらに提供されるのは、ヌクレオシド修飾を含んでいるポリヌクレオチドライブラリであって、該ポリヌクレオチドは、抗体、タンパク質結合パートナー、スカフォールドタンパク質、および当分野で既知の他のポリペプチドのようなポリペプチドをコードする第1の核酸配列を個々に含んでいる。好ましくは、該ポリヌクレオチドは、標的細胞宿主の中に直接導入するのに適した形態のmRNAであって、該宿主は次にコードされたポリペプチドを合成する。
【0348】
ある実施形態では、各々が異なるアミノ酸修飾を備えた複数のタンパク質バリアントが産生されて、薬物動態、安定性、生体適合性、および生物学的活性のうち少なくともいずれか、または発現レベルのような生物物理学的特性の点で、最良のバリアントを決定するために試験される。そのようなライブラリは、10、102、103、104、105、106、107、108、109個、または109個を上回る可能なバリアント(1以上の残基の置換、欠失、および1以上の残基の挿入を備えたバリアント)を包含している。
【0349】
[ポリペプチド‐核酸複合体]
適切なタンパク質翻訳には、そのmRNAに関連したいくつかのポリペプチドおよび核酸の物理的な凝集を伴う。本開示によって提供されるのは、1以上のヌクレオシド修飾(例えば少なくとも2個の異なるヌクレオシド修飾)を有する翻訳可能なmRNAと、該mRNAに結合した1以上のポリペプチドとを包含しているタンパク質‐核酸複合体である。一般に、タンパク質は、該複合体が導入される細胞の先天性免疫応答を予防または低減するのに有効な量で提供される。
【0350】
[翻訳不可能な修飾核酸]
本明細書中に記載されるように、ほぼ翻訳不可能な配列を有するmRNAが提供される。そのようなmRNAは、哺乳動物の対象者に投与された時にワクチンとして効果的である。
【0351】
さらに、1以上の非コード領域を含んでいる修飾核酸も提供される。そのような修飾核酸は一般に翻訳されないが、リボソームタンパク質または転移RNA(tRNA)のような1つ以上の翻訳機構構成成分に結合かつ捕捉することが可能であることによって、細胞内におけるタンパク質発現を有効に低減する。該修飾核酸は、核小体低分子RNA(sno‐RNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)またはPiwi結合RNA(piRNA)を含みうる。
【0352】
[修飾核酸の合成]
本開示に従って使用される核酸は、任意の利用可能な技法、例えば、限定するものではないが、化学合成、一般にはin vitro転写と呼ばれる酵素的合成、より長い先駆物質の酵素的開裂または化学的開裂などによって調製されうる。RNAを合成する方法は当分野において既知である(例えば、ゲイト(Gait)、MJ編、「オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide synthesis: a practical approach)」、オックスフォード[オックスフォードシャー州]、米国ワシントンDC:IRLプレス(IRL Press)、1984年;およびヘルデワイン(Herdewijn)、P.編、「オリゴヌクレオチド合成:方法および応用(Oligonucleotide synthesis: methods
and applications)」、メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Methods in Molecular Biology)、第288巻、(米国ニュージャージー州クリフトン)米国ニュージャージー州トトワ、ヒューマナプレス(Humana Press)、2005年を参照されたい。これらの文献はいずれも参照により本願に組込まれる)。
【0353】
修飾核酸は、該分子の全長に沿って一様に修飾される必要はない。様々なヌクレオチド修飾およびバックボーン構造のうち少なくともいずれかが該核酸中の様々な部位に存在することができる。当業者には当然のことであろうが、ヌクレオチドのアナログ体またはその他の修飾物は、核酸の機能がほとんど低下しないように該核酸の任意の部位に位置することができる。修飾はさらに、5’末端修飾であっても3’末端修飾であってもよい。核酸は、最小で1個および最大で100%の修飾ヌクレオチド、または任意のその間の割合(%)、例えば少なくとも5%の修飾ヌクレオチド、少なくとも10%の修飾ヌクレオチド、少なくとも25%の修飾ヌクレオチド、少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、もしくは少なくとも90%の修飾ヌクレオチドを含むことができる。例えば、核酸は、ウラシルまたはシトシンのような修飾ピリミジンを含むことができる。いくつかの実施形態では、核酸中のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が修飾ウラシルに置き換えられる。修飾ウラシルは、単一の特異構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば2、3、4種類またはそれ以上の特異構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。いくつかの実施形態では、核酸中のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%は修飾シトシンに置き換えられる。修飾シトシンは、単一の特異構造を有する化合物によって置き換えられてもよいし、異なる構造(例えば本明細書中に記載されるような、2、3、4種類またはそれ以上の特異構造)を有する複数の化合物によって置き換えられてもよい。
【0354】
一般に、最も短い長さの本開示の修飾mRNAは、ジペプチドをコードするのに十分な長さのmRNA配列となりうる。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはトリペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはテトラペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはペンタペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはヘキサペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはヘプタペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはオクタペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはノナペプチドをコードするのに十分である。別の実施形態では、mRNAの配列の長さはデカペプチドをコードするのに十分である。
【0355】
修飾核酸配列がコードすることができるジペプチドの例には、限定するものではないが、カルノシンおよびアンセリンが挙げられる。
さらなる実施形態では、mRNAは長さが30ヌクレオチドより長い。別の実施形態では、RNA分子は長さが35ヌクレオチドより長い。別の実施形態では、長さは少なくとも40ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも45ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも55ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも80ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも90ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも100ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも120ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも140ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも160ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも180ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも200ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも250ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも300ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも350ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも400ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも450ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも500ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも600ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも700ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも800ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも900ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1000ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1100ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1200ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1300ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1400ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1500ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1600ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも1800ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも2000ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも2500ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも3000ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも4000ヌクレオチドである。別の実施形態では、長さは少なくとも5000ヌクレオチド、または5000を越えるヌクレオチドである。
【0356】
例えば、本明細書中に記載された修飾核酸は、核酸合成の当業者に既知の方法を使用して調製されうる。
いくつかの実施形態では、本開示は、核酸配列であって主溝と結合するパートナーが該核酸配列と結合するのを妨害するヌクレオチドを含んでなる核酸配列を調製する方法、例えば酵素的方法を提供し、該核酸配列は、式XI‐a:
【0357】
【化110】
の化合物を含んでなり、
上記式中、
該ヌクレオチドは、主溝と結合するパートナーに対して低い結合親和性を有し;
【0358】
【0359】
【0360】
【化113】
が単結合を表すとき、UはO、S、‐NR
a‐、もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または、
【0361】
【化114】
が二重結合を表すとき、Uは‐CR
a‐であり、
AはH、OH、ホスホリル、ピロホスファート、スルファート、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、2~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SまたはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hまたはカウンターイオンであり;
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的なpHにおいてO
-であり;かつ
Bは核酸塩基であり;
ただし可変部A、B、D、U、Z、Y
2およびY
3を包含する環はリボースになりえないという条件であって該方法は、式XIII:
【0362】
【化115】
の化合物を、RNAポリメラーゼ、およびcDNA鋳型と、反応させるステップを含んでなる。
【0363】
いくつかの実施形態では、反応は1回~約7,000回反復される。
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a、XII‐b、またはXII‐c:
【0364】
【0365】
【化117】
は単結合または二重結合を表し;
XはOまたはSであり;
UおよびWはそれぞれ独立にCまたはNであり;
VはO、S、CまたはNであり;
VがCである場合、R
1は、H、C
1‐6アルキル、C
1‐6アルケニル、C
1‐6アルキニル、ハロ、もしくは‐OR
cであって、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニルはそれぞれ任意選択で‐OH、‐NR
aR
b、‐SH、‐C(O)R
c、‐C(O)OR
c、‐NHC(O)R
c、または‐NHC(O)OR
cで置換されており;
VがO、S、もしくはNである場合、R
1は存在せず;
R
2は、H、‐OR
c、‐SR
c、‐NR
aR
b、もしくはハロであり;
または、VがCである場合、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロ、‐OH、‐SH、‐NR
aR
b、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、C
1‐20アルコキシ、もしくはC
1‐20チオアルキルから選択された1~4個の置換基で任意選択で置換された、5員環または6員環を形成してもよく;
R
3はHまたはC
1‐20アルキルであり;
R
4はHまたはC
1‐20アルキルであって;
【0366】
【化118】
が二重結合を表すとき、R
4は存在しないか、またはN‐R
4が一緒になって、C
1‐20アルキルで置換された正電荷のNを形成し;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;かつ
R
cは、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基である。
【0367】
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a1、XII‐a2、XII‐a3、XII‐a4、またはXII‐a5:
【0368】
【0369】
いくつかの実施形態では、該方法は、アデノシン、シトシン、グアノシン、およびウラシルから構成されている群から選択されたヌクレオチドをさらに含んでなる。
いくつかの実施形態では、核酸塩基はピリミジンまたはその誘導体である。
【0370】
別の態様では、本開示は、核酸配列であって主溝と結合するパートナーが該核酸配列と結合するのを妨害するヌクレオチドを含んでなる核酸配列を増幅する方法を提供し、該方法は:
式XI‐d:
【0371】
【化120】
の化合物であって、上記式中、
該ヌクレオチドは、主溝と結合するパートナーに対して低い結合親和性を有し;
【0372】
【0373】
【0374】
【化123】
が単結合を表すとき、UはO、S、‐NR
a‐、もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または
【0375】
【化124】
が二重結合を表すとき、Uは‐CR
a‐であり、;
ZはH、C
1‐12アルキル、もしくはC
6‐20アリールであるか、または
【0376】
【化125】
が二重結合を表すとき、Zは存在せず;かつ
Zは‐CR
aR
b‐であってAとともに結合を形成してもよく;
Aは、H、OH、ホスホリル、ピロホスファート、スルファート、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、または1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SまたはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
nは0、1、2、または3であり;
mは0、1、2、または3であり;
Bは核酸塩基であり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hまたはカウンターイオンであり;かつ
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的なpHにおいてO
-であり;
ただし可変部A、B、D、U、Z、Y
2およびY
3を包含する環はリボースになりえないという条件である、化合物を、プライマー、cDNAテンプレート、およびRNAポリメラーゼと反応させるステップを含んでなる。
【0377】
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a、XII‐b、またはXII‐c:
【0378】
【0379】
【化127】
は単結合または二重結合を表し;
XはOまたはSであり;
UおよびWはそれぞれ独立にCまたはNであり;
VはO、S、CまたはNであり;
VがCである場合、R
1は、H、C
1‐6アルキル、C
1‐6アルケニル、C
1‐6アルキニル、ハロ、もしくは‐OR
cであって、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニルはそれぞれ任意選択で‐OH、‐NR
aR
b、‐SH、‐C(O)R
c、‐C(O)OR
c、‐NHC(O)R
c、もしくは‐NHC(O)OR
cで置換されており;
VがO、S、もしくはNである場合、R
1は存在せず;
R
2は、H、‐OR
c、‐SR
c、‐NR
aR
b、またはハロであり;
または、VがCである場合、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロ、‐OH、‐SH、‐NR
aR
b、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、C
1‐20アルコキシ、もしくはC
1‐20チオアルキルから選択された1~4個の置換基で任意選択で置換された、5員環または6員環を形成してもよく;
R
3はHまたはC
1‐20アルキルであり;
R
4はHまたはC
1‐20アルキルであって;
【0380】
【化128】
が二重結合を表すとき、R
4は存在しないか、またはN‐R
4が一緒になって、C
1‐20アルキルで置換された正電荷のNを形成し;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、C
2‐20アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
かつ
R
cは、H、C
1‐20アルキル、C
2‐20アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基である。
【0381】
いくつかの実施形態では、Bは、式XII‐a1、XII‐a2、XII‐a3、XII‐a4、またはXII‐a5:
【0382】
【0383】
いくつかの実施形態では、該方法は、アデノシン、シトシン、グアノシン、およびウラシルで構成されている群から選択されたヌクレオチドをさらに含んでなる。
いくつかの実施形態では、核酸塩基はピリミジンまたはその誘導体である。
【0384】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬用の核酸を合成する方法であって:
a)対象とする医薬用タンパク質をコードする相補的デオキシリボ核酸(cDNA)を提供するステップと;
b)主溝と結合するパートナーが核酸と結合するのを妨害することが知られているヌクレオチドを選択するステップであって、該ヌクレオチドは、主溝と結合するパートナーに対して低い結合親和性を有する、ステップと;
c)提供されたcDNAおよび選択されたヌクレオチドを、医薬用の核酸が合成される条件下で、RNAポリメラーゼと接触させるステップと、を含んでなる方法を提供する。
【0385】
さらなる実施形態では、医薬用の核酸はリボ核酸(RNA)である。
本開示のさらに別の態様では、修飾核酸は固相合成方法を使用して調製されうる。
いくつかの実施形態では、本開示は、式XI‐a:
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
【化133】
が単結合を表すとき、UはO、S、‐NR
a‐、もしくは‐CR
aR
b‐であるか、または
【0390】
【化134】
が二重結合を表すとき、Uは‐CR
a‐であり;
Aは、H、OH、ホスホリル、ピロホスファート、スルファート、‐NH
2、‐SH、アミノ酸、または1~12個のアミノ酸を含んでなるペプチドであり;
XはOまたはSであり;
Y
1はそれぞれ独立に、‐OR
a1、‐NR
a1R
b1、および‐SR
a1から選択され;
Y
2およびY
3はそれぞれ独立に、O、‐CR
aR
b‐、NR
c、SまたはリンカーであってC、O、NおよびSで構成されている群から選択された1つ以上の原子を含んでなるリンカーであり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり;
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基であり;
R
a1およびR
b1はそれぞれ独立に、Hまたはカウンターイオンであり;
‐OR
c1は約1のpHにおいてOHであるか、または‐OR
c1は生理的なpHにおいてO
-であり;かつ
Bは核酸塩基であり;
ただし、A、B、U、Z、Y
2およびY
3を包含する環はリボースにはなりえないことを条件とする化合物、を含んでなる核酸を合成する方法であって、
a)式XIII‐a:
【0391】
【化135】
のヌクレオチドを、
式XIII‐b:
【0392】
【化136】
のホスホロアミダイト化合物であって、
上記式中、
【0393】
【化137】
は固体担体を表し;かつ
P
1、P
2およびP
3はそれぞれ独立に適切な保護基である、化合物と反応させて、
式XIV‐a:
【0394】
【化138】
の核酸を提供するステップと;
b)式XIV‐aの核酸を酸化または硫化して、式XIVb:
【0395】
【化139】
の核酸を生成させるステップと、
c)保護基を除去して式XI‐aの核酸を生成させるステップと、を含んでなる方法を提供する。
【0396】
いくつかの実施形態では、該方法は、アデノシン、シトシン、グアノシン、およびウラシルで構成されている群から選択されたヌクレオチドをさらに含んでなる。
いくつかの実施形態では、Bは式XIII:
【0397】
【化140】
の核酸塩基であって、
上記式中、
VはNまたは正電荷のNR
cであり;
R
3は、NR
cR
d、‐OR
a、または‐SR
aであり;
R
4はHであるか、または任意選択でY
3とともに結合を形成することが可能であり;
R
5は、H、‐NR
cR
d、または‐OR
aであり;
R
aおよびR
bはそれぞれ独立に、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、C
2‐12アルキニル、またはC
6‐20アリールであり、かつ、
R
cは、H、C
1‐12アルキル、C
2‐12アルケニル、フェニル、ベンジル、ポリエチレングリコール基、またはアミノ‐ポリエチレングリコール基である。
【0398】
いくつかの実施形態では、ステップa)およびb)は1回~約10,000回反復される。
[修飾核酸の使用]
治療薬
本明細書中に記載された修飾核酸は、治療薬として使用することができる。例えば、本明細書中に記載された修飾核酸は動物または対象者に投与されうるが、その場合該修飾核酸はin vivoで翻訳されて該動物または対象者において治療用ペプチドが産生される。従って、本明細書において提供されるのは、ヒトおよびその他の哺乳動物における疾患または病的状態の治療または予防のための、組成物、方法、キットおよび試薬である。本開示の活性治療薬には、修飾核酸、修飾核酸または該修飾核酸から翻訳されたポリペプチドを含んでいる細胞、修飾核酸から翻訳されたポリペプチド、修飾核酸または該修飾核酸から翻訳されたポリペプチドを含んでいる細胞と接触せしめられた細胞、修飾核酸を含んでいる細胞を含んでいる組織、および修飾核酸を含んでいる細胞を含んでいる組織を含んでいる臓器が挙げられる。
【0399】
本明細書中に記載された修飾核酸を使用して細胞集団においてポリペプチドを産生するために合成または組換えポリヌクレオチドの翻訳を誘導する方法が提供される。そのような翻訳は、in vivo、ex vivo、培養物中、またはin vitroの翻訳であってよい。細胞集団は、少なくとも1つのヌクレオシド修飾物と、該ポリペプチドをコードする翻訳可能な領域とを有する核酸を含んでいる有効な量の組成物と接触せしめられる。該集団は、該核酸が細胞集団のうち1個以上の細胞の中に局在化し、かつ該細胞内で組換えポリペプチドが該核酸から翻訳されるような条件の下で、接触せしめられる。
【0400】
有効な量の組成物は、少なくとも部分的には、標的組織、標的細胞の種類、投与手段、核酸の物理的特性(例えば大きさおよび修飾ヌクレオシドの程度)、およびその他の決定要素に基づいて提供される。一般に、有効な量の組成物は、細胞内における効率的なタンパク質産生、好ましくは対応する未修飾核酸を含んでいる組成物よりも効率的なタンパク質産生を提供する。効率の上昇は、細胞トランスフェクション(すなわち核酸でトランスフェクションされる細胞の割合(%))の増大、核酸からのタンパク質翻訳の増大、核酸分解の減少(例えば修飾核酸からのタンパク質翻訳の持続期間の延長によって実証される)、または宿主細胞の先天性免疫応答の低下もしくは治療的有用性の改善(improve therapeutic utility)によって実証されうる。
【0401】
本開示の態様は、組換えポリペプチドのin vivoにおける翻訳を必要とする哺乳動物の対象者において、組換えポリペプチドのin vivoにおける翻訳を誘導する方法に関する。該方法においては、少なくとも1つのヌクレオシド修飾とポリペプチドをコードする翻訳可能な領域とを有する核酸を含んでいる有効な量の組成物が、本明細書中に記載された送達方法を使用して対象者に投与される。該核酸は、該核酸が対象者の1または複数の細胞内に局在化し、かつ組換えポリペプチドが該細胞内で核酸から翻訳されるような、量および条件下で提供される。核酸が局在化する細胞、または該細胞が存在する組織は、1回または2回以上の核酸投与を用いた標的とされうる。
【0402】
本開示の他の態様は、哺乳動物の対象者への修飾核酸を含んでいる細胞の移植に関する。哺乳動物の対象者への細胞の投与は当業者に周知であり、例えば、薬学的に許容可能な担体中の細胞の調合物と同じように、局所移植(例えば局所投与もしくは皮下投与)、臓器送達または全身注射(例えば静脈内注射もしくは吸入)である。修飾核酸を含んでいる組成物は、筋肉内、経動脈的、腹腔内、静脈内、鼻腔内、皮下、内視鏡的、経皮的、または鞘内の投与のために調合される。いくつかの実施形態では、組成物は持続放出用に調合される。
【0403】
治療薬が投与される対象者は、疾患、障害、もしくは有害な健康状態に罹患しているか、または該疾患、障害、もしくは有害な健康状態を発症するリスクを有している。これらを基にして対象者を同定、診断、分類する方法が提供され、該方法には臨床診断、バイオマーカーのレベル、ゲノムワイド関連研究(GWAS)、および当分野で既知の他の方法が挙げられる。
【0404】
ある実施形態では、投与される修飾核酸は、1つ以上の組換えポリペプチドであって、該組換えポリペプチドが翻訳される細胞の中に実質的に存在しない機能的活性を提供する組換えポリペプチドを産生せしめる。例えば、その欠けている機能的活性は、酵素活性であってもよいし、構造的活性であってもよいし、事実上の遺伝子調節活性であってもよい。
【0405】
他の実施形態では、投与される修飾核酸は、1つ以上の組換えポリペプチドであって、該組換えポリペプチドが翻訳される細胞内に実質的に不在であるポリペプチド(または複数のポリペプチド)を補充する組換えポリペプチドを産生せしめる。そのような不在はコード遺伝子またはその調節経路の遺伝子突然変異に起因するものであってよい。他の実施形態では、投与される修飾核酸は、1つ以上の組換えポリペプチドであって、該組換えポリペプチドが翻訳される細胞の中に存在するポリペプチド(または複数のポリペプチド)の量を補足するために組換えポリペプチドを産生せしめる。別例として、組換えポリペプチドは、細胞内に存在するか、細胞の表面上にあるか、または細胞から分泌される内因性タンパク質の活性に拮抗するように機能する。通常、該内因性タンパク質の活性は、例えば該内因性タンパク質の突然変異であって活性または局在化の変化をもたらす突然変異が原因で、対象者にとって有害である。加えて、組換えポリペプチドは、細胞内に存在するか、細胞の表面上にあるか、または細胞から分泌される生物学的構成部分の活性に、直接または間接的に拮抗する。拮抗せしめられる生物学的構成部分の例には、脂質(例えばコレステロール)、リポタンパク質(例えば低密度リポタンパク質)、核酸、炭水化物、または低分子の毒素が挙げられる。
【0406】
本明細書中に記載される組換えタンパク質は、細胞内での局在化、可能性としては核のような特定のコンパートメント内での局在化のために人為操作されるか、または細胞からの分泌もしくは細胞の原形質膜への移動のために人為操作される。
【0407】
本明細書中に記載されるように、本開示の修飾核酸の有用な特徴は、外因性の核酸に対する細胞の先天性免疫応答を低減し、回避し、免れ、または排除する能力である。細胞または細胞集団において免疫応答の量的調整(titration)、低減または排除を実施する方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、翻訳可能な領域および少なくとも1つのヌクレオシド修飾を備えた第1の用量の第1の外因性核酸を含む、第1の組成物と接触せしめられ、第1の外因性核酸に対する細胞の先天性免疫応答のレベルが決定される。続いて、細胞は、第1の用量と比較して少ない量の第1の外因性核酸を含んでいる、第2の用量の第1の外因性核酸を含む第2の組成物と接触せしめられる。別例として、細胞は第1の用量の第2の外因性核酸と接触せしめられる。第2の外因性核酸は1つ以上の修飾ヌクレオシドを含むことができるが、該修飾ヌクレオシドは第1の外因性核酸と同じであっても異なっていてもよく、または別例として、第2の外因性核酸は修飾ヌクレオシドを含んでいなくてもよい。細胞を第1の組成物および第2の組成物のうち少なくともいずれかと接触させるステップは、1回以上反復されうる。加えて、細胞内におけるタンパク質産生(例えばタンパク質翻訳)の効率が任意選択で決定されて、細胞は、目標とするタンパク質産生効率が達成されるまで第1の組成物および第2の組成物のうち少なくともいずれかを用いて繰り返し再トランスフェクションされてもよい。
【0408】
疾患および病的状態のための治療薬
タンパク質活性が欠けているかまたは異常であることを特徴とする疾患の症候を、その欠けているタンパク質活性の補充または異常なタンパク質活性の克服によって、治療または予防するための方法が提供される。修飾mRNAの導入に続くタンパク質産生の開始がウイルスDNAベクターと比較して迅速であることから、本開示の化合物は、敗血症、卒中、および心筋梗塞のような急性疾患の治療において特に有利である。さらに、本開示の修飾mRNAについて転写調節が無いということは、タンパク質産生の正確な量的調整(titration)が達成可能であるという点において有利である。多数の疾患は、タンパク質活性の欠落(または適切なタンパク質機能が生じないような実質的減弱)を特徴とする。そのようなタンパク質は、存在しない可能性もあり、非常に低量で存在するか、または根本的に機能しない。本開示は、対象者のそのような病的状態または疾患を、本明細書中に提供された修飾核酸を含んでいる核酸または細胞系治療薬を導入することにより治療する方法であって、該修飾核酸は対象者の標的細胞から失われているタンパク質活性を補充するタンパク質をコードする、方法を提供する。
【0409】
機能不全または異常なタンパク質活性を特徴とする疾患には、限定するものではないが、がんおよび増殖性疾患、遺伝子疾患(例えば嚢胞性線維症)、自己免疫疾患、糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、ならびに代謝疾患が挙げられる。本開示は、対象者のそのような病的状態または疾患を、本明細書中に提供された修飾核酸を含んでいる核酸または細胞系治療薬を導入することにより治療する方法であって、該修飾核酸は対象者の細胞内に存在する異常なタンパク質活性に拮抗するかまたは他の方法で該活性を克服するタンパク質をコードする、方法を提供する。
【0410】
機能不全のタンパク質の具体例は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator:CFTR)遺伝子のミスセンス型またはナンセンス型の突然変異バリアントであり、それぞれ、嚢胞性線維症の原因となるCFTRタンパク質の機能不全または非機能性のタンパク質バリアントを産生する。
【0411】
したがって、哺乳動物の対象者の嚢胞性線維症を、有効な量のCTFRポリペプチドが細胞内に存在するような条件の下で、該対象者の細胞を機能的なCFTRポリペプチドをコードする翻訳可能領域を有している修飾核酸と接触させることにより、治療する方法が提供される。好ましい標的細胞は肺のような上皮細胞であり、投与の方法は標的組織を考慮して決定される;すなわち、肺への送達用には、RNA分子は吸入による投与用に調合される。
【0412】
別の実施形態では、本開示は、ゲノム研究によって近年特徴解析されたタンパク質であるソルチリン(Sortilin)をコードする修飾mRNA分子を対象者の細胞集団へ導入することにより、該対象者の高脂血症を改善して、対象者の高脂血症を治療する方法を提供する。SORT1遺伝子は、ソルチリンと呼ばれるトランスゴルジ網(TGN)膜貫通型タンパク質をコードする。遺伝学的研究から、5人に1人が、SORT1遺伝子の1p13座に、低レベルの低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)を有しやすくなる一塩基変異多型(rs12740374)を有することが示されている。集団の約30%に存在するこのマイナー対立遺伝子の各コピーは、LDLコレステロールを8mg/dL変化させる一方、集団の約5%に存在する2コピーの該マイナー対立遺伝子は、LDLコレステロールを16mg/dL低下させる。該マイナー対立遺伝子の保有者は心筋梗塞のリスクが40%低いことも示された。マウスにおけるin vivoの機能研究は、マウス肝臓組織におけるSORT1の過剰発現が、顕著に低い(80%も低い)LDLコレステロールレベルをもたらすこと、および、SORT1のサイレンシングはLDLコレステロールをおよそ200%増加させることを説明している(ムスヌル(Musunuru)Kら、「1p13コレステロール遺伝子座のSORT1を介して非コード型バリアントから表現型へ(From noncoding variant to phenotype via SORT1 at the lp13 cholesterol locus.)」、ネイチャー(Nature)、2010年、第466巻、p.714-721)。
【0413】
細胞内核酸送達の方法
本開示の方法は、in vivo、ex vivo、または培養物中での細胞集団への核酸送達を増強する。例えば、複数の宿主細胞(例えば酵母または哺乳動物細胞のような真核細胞)を含んでいる細胞培養物は、少なくとも1つのヌクレオシド修飾、および任意選択で翻訳可能領域を有している増強核酸を含有する組成物と接触せしめられる。該組成物は一般に、トランスフェクション試薬、または宿主細胞の中への増強核酸の取込み効率を高めるその他の化合物も含んでいる。増強核酸は、対応する未修飾核酸に比べ、細胞集団において増強された保持率を示す。増強核酸の保持率は、未修飾核酸の保持率より大きい。いくつかの実施形態では、該保持率は、未修飾核酸の保持率より少なくとも約50%、75%、90%、95%、100%、150%、200%、または200%を越えて大きい。そのような保持率の利点は、増強核酸を用いた1回のトランスフェクションによって達成される場合もあれば、度重なるトランスフェクションの後に得られる場合もある。
【0414】
いくつかの実施形態では、増強核酸は、1以上の追加の核酸とともに標的細胞集団に送達される。そのような送達は同時であってもよいし、または増強核酸が1以上の追加の核酸の送達に先立って送達される。追加の1以上の核酸は修飾核酸であっても未修飾核酸であってもよい。当然ながら、増強核酸が最初に存在しても細胞集団の先天性免疫応答を実質的に誘発することはなく、さらに、先天性免疫応答はその後の未修飾核酸の存在によって活性化されることもないであろう。この点では、標的細胞集団に存在することが望まれるタンパク質が未修飾核酸から翻訳される場合、増強核酸はそれ自体が翻訳可能領域を含んでいなくてもよい。
【0415】
標的化をなす構成部分
本開示の実施形態では、修飾核酸は、タンパク質結合パートナーまたは細胞表面上のレセプターであって、in vivoまたはin vitroにおいて、該細胞を特定の組織空間に対して標的化するか、または特異的な構成部分と相互作用する機能を果たすものを発現するために提供される。適切なタンパク質結合パートナーには、抗体およびその機能性フラグメント、スカフォールドタンパク質、またはペプチドが含まれる。加えて、修飾核酸は、脂質、炭水化物、またはその他の生物学的構成部分の合成および細胞外局在化を導くためにも使用されうる。
【0416】
恒久的な遺伝子発現サイレンシング
哺乳動物の対象者において遺伝子発現をエピジェネティックにサイレンシングする方法であって、核酸を含んでなり、該核酸において翻訳可能領域は、配列特異的なヒストンH3のメチル化を導いてヘテロクロマチン形成を開始させ、かつ特定の遺伝子のサイレンシングを目的として該遺伝子周辺の遺伝子転写を低減することができる、1または複数のポリペプチドをコードする、方法。例えば、ヤーヌスキナーゼ2遺伝子における機能獲得型突然変異は、骨髄増殖性疾患群の原因である。
【0417】
生物学的標的への検出可能な作用薬または治療薬の送達
本明細書中に記載された修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸は、生物学的標的への物質(「ペイロード」)の送達、例えば、該標的の検出用の検出可能な物質の送達、または治療薬の送達が望まれる、いくつかの異なる状況において使用されうる。検出方法には、in vitroでの画像化およびin vivoの画像化法の両方、例えば免疫組織化学法、バイオルミネセンスイメージング(BLI)、磁気共鳴撮像法(MRI)、陽電子放射形断層撮影法(PET)、電子顕微鏡法、X線断層撮影法、ラマンイメージング、光干渉断層撮影法、吸収イメージング、熱感知イメージング、蛍光反射率イメージング、蛍光顕微鏡法、蛍光分子断層撮影法、核磁気共鳴撮像法、X線イメージング、超音波イメージング、光音響イメージング、実験室でのアッセイ、またはタグ付け/染色/画像化が必要な任意の状況におけるものが挙げられる。
【0418】
例えば、本明細書中に記載された修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の再プログラミングに使用可能であり、該iPS細胞はその後、トランスフェクションされた細胞を集団内の全細胞と比較して直接追跡するために使用されうる。別の例では、リンカーを介して修飾核酸に取り付けられ、かつ蛍光標識された薬物は、該薬物をin vivoで、例えば細胞内で追跡するために使用されうる。他の例には、細胞内への可逆的薬物送達における修飾核酸の使用が含まれる。
【0419】
本明細書中に記載された修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸は、ペイロード、例えば検出可能な作用薬または治療薬の、特定の細胞小器官へ向けた細胞内標的化において使用されうる。典型的な細胞内標的には、高度mRNAプロセシングのための核局在化、または阻害剤を含んでいるmRNAに連結された核局在配列(NLS)が挙げられる。
【0420】
加えて、本明細書中に記載された修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸は、細胞または組織に(例えば生きている動物において)治療薬を送達するために使用されうる。例えば、本明細書中に記載された修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチド、および修飾核酸は、がん細胞を殺すための非常に極性の強い化学療法作用薬を送達するために使用されうる。リンカーによって治療薬に取り付けられた修飾核酸は、該治療薬が細胞内標的に到達するために細胞内に移行することを可能にする部分浸透(member permeation)を促進することができる。
【0421】
別の例において、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は開裂可能なリンカーによってウイルス性阻害ペプチド(viral inhibitory peptide:VIP)に取り付けられてもよい。該開裂可能なリンカーはVIPおよび色素を細胞内に放出する。別の例において、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオチドおよび修飾核酸は、リンカーによって、コレラ毒素、ジフテリア毒素および百日咳毒素のようないくつかの細菌毒素の作用に関与しているADP‐リボシラートに取り付けられてもよい。これらの毒素タンパク質はヒト細胞の標的タンパク質を修飾するADPリボース転移酵素である。例えば、コレラ毒素はGタンパク質をADPリボシル化して、小腸内膜からの大量の流体分泌を引き起こし、その結果生命に関わる下痢をもたらす。
【0422】
[医薬組成物]
本開示は、修飾mRNAから生成されたタンパク質を提供する。医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の追加の治療的活性を有する物質を含んでなることができる。いくつかの実施形態によれば、1以上のタンパク質であって該タンパク質を必要とする対象者に送達されるべきタンパク質をコードする修飾核酸を含んでなる医薬組成物を投与する方法が提供される。いくつかの実施形態では、組成物はヒトに投与される。本開示の目的に関しては、「活性成分」という言葉は一般に、本明細書中に記載されるようなタンパク質、タンパク質をコードするかまたはタンパク質を含んでいる複合体を指す。
【0423】
本明細書中に提供される医薬組成物の説明は主にヒトへの投与に適した医薬組成物に関しているが、そのような組成物が一般にすべての種類の動物への投与に適していることは当業者には了解されるであろう。ヒトへの投与に適した医薬組成物を様々な動物への投与に適するようにするための該組成物の改良についてはよく理解されており、通常の熟練した獣医学薬理学者は、そのような改良の設計および実施のうち少なくともいずれかを、あるとしても単に通常の実験作業のみで行うことができる。医薬組成物の投与が企図される対象者には、限定するものではないが、ヒトおよび他の霊長類のうち少なくともいずれか;哺乳動物、例えば商業的に重要な哺乳動物であってウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、およびラットのうち少なくともいずれかなど;ならびに鳥類、例えば商業的に重要な鳥類であってニワトリ、ダック、ガチョウ、および七面鳥のうち少なくともいずれかなどが挙げられる。
【0424】
本明細書中に記載された医薬組成物の調合物は、薬理学分野において既知または今後開発される任意の方法によって調製されうる。一般に、そのような調製方法は、活性成分を添加剤および1つ以上の他の副成分のうち少なくともいずれかと併せるステップと、その後、必要かつ/または望ましい場合には、該生成物の成形および包装のうち少なくともいずれかを行って所望の単回用量単位または複数回用量単位とするステップと、を含む。
【0425】
本開示による医薬組成物は、大量に、単一単位用量として、および/または複数の単一単位用量として、調製、包装、および販売のうち少なくともいずれかが行われうる。本明細書中で使用されるように、「単位用量」とは、所定量の活性成分を含んでなる個別の量の医薬組成物である。活性成分の量は、一般に、対象者に投与されることになる活性成分の用量、および/またはそのような用量の適当な分割量、例えばそのような用量の2分の1もしくは3分の1と等しい。
【0426】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容可能な添加剤、および任意の追加成分のうち少なくともいずれかの相対量は、治療を受ける対象者が誰であるか、該対象者の大きさ、および該対象者の病状に応じて、さらには組成物が投与されることになる経路に応じて、変化することになろう。例を挙げると、組成物は、0.1%~100%(w/w)の活性成分を含んでなることができる。
【0427】
医薬調合物はさらに、薬学的に許容可能な添加剤を含んでなることが可能であり、該添加剤には、本明細書中で使用されるように、所望の特定の剤形に適するような、ありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。A.R.ジェンナーロ(Gennaro)編、「レミングトンの薬学の科学と実践(Remington’s The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版(米国メリーランド州ボルティモア、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Lippincott, Williams and Wilkins)、2006年;参照により本願に援用)は、医薬組成物の調合に使用される様々な添加剤およびその調製のための既知技法を開示している。任意の従来の添加剤媒体が、何らかの望ましからぬ生物学的作用を生じるかまたは他の点で医薬組成物の他の成分とともに有害なかたちで相互作用することにより、物質またはその誘導体と両立困難である場合を除き、その使用はこの本開示の範囲内にあるものと企図される。
【0428】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な添加剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の純度である。いくつかの実施形態では、添加剤はヒトでの使用および獣医学的使用について承認されている。いくつかの実施形態では、添加剤は米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、添加剤は製薬等級である。いくつかの実施形態では、添加剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および国際薬局方のうち少なくともいずれかの基準を満たしている。
【0429】
医薬組成物の製造において使用される薬学的に許容可能な添加剤には、限定するものではないが、不活性な希釈剤、分散化剤および造粒剤のうち少なくともいずれか、界面活性剤および乳化剤のうち少なくともいずれか、崩壊剤、結着剤、保存剤、緩衝剤、平滑剤、ならびにオイルのうち少なくともいずれかが挙げられる。そのような添加剤は、任意選択で医薬調合物中に含められうる。ココアバターおよび坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料、ならびに着香剤のような添加剤は、調合者の判断に従って、組成物中に存在することができる。
【0430】
典型的な希釈剤には、限定するものではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース(sodium phosphate lactose)、スクロース、セルロース、結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖など、およびこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0431】
典型的な造粒剤および分散化剤のうち少なくともいずれかとしては、限定するものではないが、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クレー、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材生成物、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、シリカート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニルピロリドン(クロスポビドン)、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(デンプン1500)、微晶質デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシルメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第四アンモニウム化合物など、およびこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0432】
典型的な界面活性剤および乳化剤のうち少なくともいずれかとしては、限定するものではないが、天然の乳化剤(例えばアラビアガム、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイドクレー(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびVeegum(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアラート、エチレングリコールジステアラート、モノステアリン酸グリセリン、およびプロピレングリコールモノステアラート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えばカルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート[Tween(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミタート[Span(登録商標)40]、ソルビタンモノステアラート[Span(登録商標)60]、ソルビタントリステアラート[Span(登録商標)65]、グリセリルモノオレアート、ソルビタンモノオレアート[Span(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えばポリオキシエチレンモノステアラート[Myrj(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアラート、およびSolutol(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばCremophor(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij(登録商標)30])、ポリ(ビニルピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、エチルラウレート、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic(登録商標)F68、Poloxamer(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、およびこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0433】
典型的な結着剤には、限定するものではないが、デンプン(例えばコーンスターチおよびデンプン糊);ゼラチン;糖(例えばスクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然ガムおよび合成ガム(例えばアラビアガム、アルギン酸ナトリウム、アイルランドゴケの抽出物、パンワール(panwar)ガム、ガティガム、イサポール(isapol)外皮の粘質物、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、およびカラマツのアラボガラクタン(arabogalactan);アルギナート;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリラート;ワックス;水;アルコールなど、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0434】
典型的な保存剤には、限定するものではないが、酸化防止剤、キレート剤、抗菌性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール性保存剤、酸性保存剤、およびその他の保存剤のうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的な酸化防止剤には、限定するものではないが、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル(acorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムのうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、およびエデト酸三ナトリウムのうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的な抗菌性保存剤には、限定するものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、およびチメロサールのうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的な抗真菌性保存剤には、限定するものではないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、およびソルビン酸のうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的なアルコール性保存剤には、限定するものではないが、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾアート、およびフェニルエチルアルコールのうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的な酸性保存剤には、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β‐カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、およびフィチン酸のうち少なくともいずれかが挙げられる。他の保存剤には、限定するものではないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシラート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluened:BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus(登録商標)、Phenonip(登録商標)、メチルパラベン、Germall(登録商標)115、Germaben(登録商標)II、Neolone(商標)、Kathon(商標)、およびEuxyl(登録商標)のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0435】
典型的な緩衝剤には、限定するものではないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d‐グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、カルシウムヒドロキシドホスファート、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、およびこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0436】
典型的な平滑剤には、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、グリセリルベハナート(glyceryl behanate)、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0437】
典型的なオイルには、限定するものではないが、アーモンド、杏仁、アボカド、ババスーヤシ、ベルガモット、ブラックカレント(black current)種子、ルリヂサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェー、ブラジルロウヤシ、トウゴマ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、たら肝臓、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、マツヨイグサ、魚、アマニ、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウ種子、ハシバミの実、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、クークーエーナッツ、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リトシー・キュービバ、マカデミア(macademia)ナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ニクズク、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシの実、パンプキンシード、菜種、米糠、ローズマリー、紅花、ビャクダン、サスカナ(sasquana)、サボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、チャノキ、アザミ、ツバキ、ベチベルソウ、クルミ、および麦芽のオイルが挙げられる。典型的なオイルには、限定するものではないが、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル、およびこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0438】
経口投与および非経口投与のための液体剤形には、限定するものではないが、薬学的に許容可能な乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤のうち少なくともいずれかが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当分野で一般に使用される不活性の希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実、落花生類、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、トウゴマ、およびゴマのオイル)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにこれらの混合物を含んでなることができる。不活性の希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味料、ならびに着香剤のうち少なくともいずれかを含むことができる。非経口投与のためのある実施形態では、組成物は、可溶化剤、例えばCremophor(登録商標)、アルコール、オイル、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、およびこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかと混合せしめられる。
【0439】
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液は、適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤のうち少なくともいずれかを使用して、既知の技術によって調合されうる。無菌の注射可能な調製物は、例えば1,3‐ブタンジオール中の溶液のような、無毒で非経口的に許容可能な希釈剤および溶媒のうち少なくともいずれかを用いた、無菌の注射可能な溶液、懸濁液、および乳剤のうち少なくともいずれかであってよい。使用されうる許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、U.S.P.リンゲル液、および等張食塩水がある。無菌の不揮発性油は溶媒または懸濁媒として従来通りに使用される。この目的に関しては、任意の無菌性(bland)の不揮発性油、例えば合成モノグリセリドまたはジグリセリドなども使用されうる。オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の調製に使用可能である。
【0440】
注射用調合物は、例えば、細菌を保持するフィルタを通す濾過によって、および/または、使用に先立って滅菌水もしくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解もしくは分散可能な無菌の固形組成物の形で滅菌剤を組み入れることによって、滅菌されうる。
【0441】
活性成分の作用を延長するために、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を遅延させることが望ましいことが多い。これは、水溶性に乏しい結晶性または無定形の物質の液体懸濁液を使用することによって遂行される場合がある。その場合、薬物の吸収速度は該薬物の溶解速度に依存し、ひいては結晶の大きさおよび結晶形態に依存しうる。別例として、非経口的に投与される薬物形態の遅延吸収は、オイルビヒクル中に薬物を溶解または懸濁することにより遂行される。注射可能なデポー剤形態は、ポリラクチド‐ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中で薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。薬物とポリマーとの比および使用される特定のポリマーの性質によって、薬物放出の速度は制御可能である。他の生分解性ポリマーの例にはポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポー剤は、体内組織との適合性を有するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を封入することにより調製される。
【0442】
直腸投与または膣内投与のための組成物は、典型的には、組成物を、適切な非刺激性の添加剤、例えばココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスであって周囲温度では固体だが体温では液体であり、したがって、直腸腔または膣腔の中で融解して活性成分を放出する添加剤と混合することにより調製可能な坐剤である。
【0443】
経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、ピル、散剤、および粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性成分は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容可能な添加剤、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸カルシウム、ならびに、充填剤または増量剤(例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアガム)、保湿剤(例えばグリセリン)、崩壊剤(例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第四アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えばカオリンおよびベントナイトクレー)、および滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物、のうち少なくともいずれかとともに混合せしめられる。カプセル剤、錠剤およびピルの場合には、該剤形は緩衝剤を含んでなることもある。
【0444】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような添加剤のほかに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟ゼラチンカプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用されうる。錠剤、ドラジェ、カプセル剤、ピル、および粒剤の固体剤形は、医薬調合分野において良く知られた腸溶コーティングおよびその他のコーティングのような、コーティングおよびシェルを備えて調製可能である。該コーティングおよびシェルは任意選択で乳白剤を含んでなることが可能であり、かつ、該コーティングおよびシェルが腸管の一定の部分においてのみ、または該部分において優先的に、任意選択で遅延方式にて、活性成分を放出する組成のものであってよい。使用可能な包埋組成物の例にはポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような添加剤のほかに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟ゼラチンカプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用されうる。
【0445】
組成物の局所投与および経皮投与のうち少なくともいずれかのための剤形には、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液、スプレー、吸入薬および貼付剤のうち少なくともいずれかが挙げられる。一般に、活性成分は、薬学的に許容可能な添加剤、任意の必要とされる保存剤、および必要に応じて緩衝剤、のうち少なくともいずれかと共に無菌条件下で混合される。加えて、本開示は、身体への化合物の制御送達を提供するという追加の長所を有する場合の多い、経皮貼付剤の使用を企図している。そのような剤形は、例えば、適切な媒体中で化合物の溶解および調合のうち少なくともいずれかを行うことにより、調製されうる。別例として、または追加として、速度は、律速メンブレンの提供、ならびに、ポリマーマトリクスおよびゲルのうち少なくともいずれかの中での化合物の分散、のうち少なくともいずれかによって制御されうる。
【0446】
本明細書中に記載された皮内用医薬組成物の送達に使用される適切なデバイスとしては、短針デバイスであって例えば米国特許第4,886,499号;同第5,190,521号;同第5,328,483号;同第5,527,288号;同第4,270,537号;同第5,015,235号;同第5,141,496号;および同第5,417,662号明細書に記載されているものが挙げられる。皮内用組成物は、例えば国際公開第99/34850号に記載されたもののような皮膚内への針の有効な貫入長さを制限するデバイス、およびその機能的等価物によって投与されうる。液体ジェット式注射器、および、角質層を貫通し、かつ真皮に達する噴流を生じる針、のうち少なくともいずれかを介して真皮に液体組成物を送達するジェット式注射デバイスは適切である。ジェット式注射デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号;同第5,599,302号;同第5,334,144号;同第5,993,412号;同第5,649,912号;同第5,569,189号;同第5,704,911号;同第5,383,851号;同第5,893,397号;同第5,466,220号;同第5,339,163号;同第5,312,335号;同第5,503,627号;同第5,064,413号;同第5,520,639号;同第4,596,556号;同第4,790,824号;同第4,941,880号;同第4,940,460号明細書;ならびに国際公開第97/37705号および同第97/13537号に記載されている。皮膚の外側層を通して真皮へと粉末形態のワクチンを加速させるために圧縮ガスを使用する衝撃式(ballistic)粉末/粒子送達デバイスが適切である。別例として、または追加として、従来のシリンジが皮内投与の古典的なマントー法において使用されてもよい。
【0447】
局所投与に適した製剤には、限定するものではないが、液体および/または半液体の調製物であって例えばリニメント剤、ローション剤、水中油型および/または油中水型の乳剤であって例えばクリーム剤、軟膏剤および/またはパスタ剤、ならびに溶液および/または懸濁液、のうち少なくともいずれかが挙げられる。局所投与可能な調合物は、例えば、約1%~約10%(w/w)の活性成分を含んでなることができるが、活性成分の濃度は溶媒中の活性成分の溶解限度と同じくらい高くてもよい。局所投与のための製剤は、本明細書中に記載された追加の成分のうち1つ以上をさらに含んでなることもできる。
【0448】
医薬組成物は、頬腔を介した肺内投与に適した調合物として調製、包装、かつ/または販売されうる。そのような調合物は、活性成分を含んでなり、かつ約0.5nm~約7nmまたは約1nm~約6nmの範囲の直径を有する、乾燥粒子を含んでなることができる。そのような組成物は、好都合には、乾燥粉末リザーバであって推進剤の流れが粉末を分散させるべく該リザーバへ向かって方向付けられうるリザーバを含んでなるデバイスを使用して、かつ/または、自己推進式の溶媒/粉末分配容器であって例えば密封容器内で低沸点推進剤に溶解および/もしくは懸濁された活性成分を含んでなるデバイスなどを使用して、投与するための乾燥粉末の形態である。そのような粉末は、粒子であって重量比で該粒子の少なくとも98%が0.5nmを超える直径を有し、かつ数量比で該粒子の少なくとも95%が7nm未満の直径を有する、粒子を含んでなる。別例として、重量比で該粒子の少なくとも95%が1nmを超える直径を有し、かつ数量比で該粒子の少なくとも90%が6nm未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、糖のような固形微細粉末の希釈剤を含んでもよいし、好都合には単位用量形態で提供される。
【0449】
低沸点推進剤には一般に、大気圧において18.3℃(華氏65度)未満の沸点を有する液体推進剤が挙げられる。一般に、推進剤は組成物の50%~99.9%(w/w)を構成してもよく、活性成分は組成物の0.1%~20%(w/w)を構成してもよい。推進剤は、液体の非イオン性および固体の陰イオン性のうち少なくともいずれかの界面活性剤、ならびに固体の希釈剤(活性成分を含んでなる粒子と同程度の粒径を有しうるもの)のうち少なくともいずれかのような、追加の成分をさらに含んでなることができる。
【0450】
肺送達のために調合された医薬組成物は、溶液および懸濁液のうち少なくともいずれかの小滴の形をした活性成分を提供することができる。そのような調合物は、活性成分を含んでなる、任意選択で無菌の、水性および/または薄いアルコールの溶液および/または懸濁液として、調製、包装、および/または販売されることが可能であり、かつ好都合には任意の噴霧化および/または微粒化デバイスを使用して投与されうる。そのような調合物は、1つ以上の追加の成分であって例えば、限定されるものではないが、サッカリンナトリウムのような着香剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、およびオキシ安息香酸メチルのような保存剤、のうち少なくともいずれかをさらに含んでなることができる。この投与経路によって提供される小滴は、約0.1nm~約200nmの範囲の平均直径を有しうる。
【0451】
肺送達に有用であるとして本明細書中に記載された調合物は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に適した別の調合物は、活性成分を含んでなりかつ約0.2μm~500μmの平均粒子を有する粗粉末である。そのような調合物は、鼻から吸い込む方式で、すなわち、鼻の近くに保持された粉末のコンテナから鼻通路を通して急速に吸入することによって、投与される。
【0452】
経鼻投与に適した製剤は、例えば、わずか約0.1%(w/w)から100%(w/w)もの活性成分を含んでなることが可能であり、本明細書中に記載された追加の成分のうち1つ以上を含んでなることもできる。医薬組成物は、口腔投与に適した調合物として調製、包装、および/または販売されてもよい。そのような調合物は、例えば、従来の方法を使用して作製された錠剤および/またはロゼンジの形態であってよく、かつ例えば、活性成分が0.1%~20%(w/w)であって、これは経口的に溶解可能および/または分解可能な組成物と、任意選択で、本明細書中に記載された追加の成分のうち1つ以上とを含んでなるバランスである。別例として、口腔投与に適した調合物は、活性成分を含んでなる、粉末、ならびにエアロゾル化および/または霧化された溶液および/または懸濁液、のうち少なくともいずれかを含んでなることができる。そのような、粉末状、エアロゾル状、および/またはエアロゾル状の調合物は、分散せしめられると、大きさが平均約0.1nm~約200nmの範囲の粒子および/または液滴を有することが可能であり、かつ、本明細書中に記載された任意の追加の成分のうち1つ以上をさらに含んでなることができる。
【0453】
医薬組成物は、眼部投与に適した調合物として調製、包装、および/または販売されてもよい。そのような調合物は、例えば、水性または油性の液体添加剤中に、例えば活性成分の0.1/1.0%(w/w)溶液および/または懸濁液を含む、点眼剤の形態であってよい。そのような点眼剤は、緩衝剤、塩、および本明細書中に記載された1つ以上の他の任意の追加の成分をさらに含んでなることができる。有用なその他の眼部投与可能な調合物には、微晶質形態およびリポソーム調製物のうち少なくともいずれかである活性成分を含んでなるものが含まれる。点耳剤および点眼剤のうち少なくともいずれかは本開示の範囲内にあるものとして意図されている。
【0454】
医薬品の調合および製造のうち少なくともいずれかにおける全般的な考察は、例えば、「レミングトン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Lippincott, Williams and Wilkins)、2005年(参照により本願に援用される)に見出すことができる。
【0455】
投与
本開示は、本開示によるタンパク質または複合体を、該タンパク質または複合体を必要とする対象者に投与することを含んでなる方法を提供する。タンパク質もしくは複合体、またはその医薬組成物、造影用組成物、診断用組成物、もしくは予防用組成物は、疾患、障害、および病的状態のうち少なくともいずれか(例えば作業記憶障害に関する疾患、障害、および病的状態のうち少なくともいずれか)の予防、治療、診断、画像化に有効な任意の量および任意の投与経路を使用して対象者に投与されうる。正確な必要量は、対象者の生物種、年齢、および全体的な病状、その疾患の重症度、特定の組成物、該組成物の投与様式、該組成物の活性様式などに応じて、対象者ごとに変わることになろう。本開示による組成物は、投与が容易でありかつ用量を均一とするために、典型的には投薬単位形態に調合される。しかしながら、当然であるが、本開示の組成物の1日あたりの総使用量は、主治医によって正しい医学的判断の範囲内において決定されることになる。任意の特定の患者のための、治療的に有効、予防的に有効、または適切な画像化用の、具体的な用量レベルは、様々な要因、例えば治療される障害および該障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路、および排出速度;治療の期間;使用される具体的な化合物とともに併用または同時使用される薬物;ならびに、医学分野において良く知られた同様の要因に応じて変化することになろう
送達されるタンパク質、および該タンパク質の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、もしくは造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、動物、例えば哺乳動物(例えばヒト、家畜、ネコ、イヌ、マウス、ラットなど)に投与されうる。いくつかの実施形態では、その医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物は、ヒトに投与される。
【0456】
送達されるタンパク質、および本開示による該タンパク質の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、もしくは造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、任意の経路によって投与可能である。いくつかの実施形態では、タンパク質、および該タンパク質の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、様々な経路のうち1つ以上、例えば、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、皮下、脳室内、経皮、皮膚間(interdermal)、直腸、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、および滴剤のうち少なくともいずれかによる)、経粘膜、経鼻、口腔、経腸、硝子体、腫瘍内、舌下によって;気管内点滴注入、気管支点滴注入、および吸入のうち少なくともいずれかによって;経口スプレー、鼻内スプレー、およびエアロゾルのうち少なくともいずれかとして、ならびに/または門脈カテーテルを通じて、投与される。いくつかの実施形態では、タンパク質または複合体、および該タンパク質または複合体の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、全身性の静脈内注射によって投与される。特定の実施形態では、タンパク質または複合体、および該タンパク質または複合体の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、静脈内投与および経口投与のうち少なくともいずれかが可能であってよい。特定の実施形態では、タンパク質または複合体、および該タンパク質または複合体の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物、のうち少なくともいずれかは、該タンパク質または複合体が血液脳関門、血管障壁、またはその他の上皮性関門を横断することを可能にする方法で投与されうる。
【0457】
しかしながら、本開示は、薬物送達の科学において見込まれる進歩を考慮に入れた任意の適切な経路による、タンパク質または複合体、および該タンパク質または複合体の医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物、のうち少なくともいずれかの送達を包含する。
【0458】
一般に、最適な投与経路は、様々な要因、例えばタンパク質または送達されるべき少なくとも1つの作用薬に関連付けられたタンパク質を含んでなる複合体の性質(例えば、胃腸管、血流などの環境におけるその安定性)、患者の病状(例えば、患者が特定の投与経路に耐えられるかどうか)、などに応じて変化することになろう。本開示は、薬物送達の科学において見込まれる進歩を考慮に入れた任意の適切な経路による医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物の送達を包含する。
【0459】
ある実施形態では、本開示による組成物は、所望の治療効果、診断的効果、予防的効果、または造影効果を得るために、1日につき1回以上、1日当たり対象者の体重に対して約0.0001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約1mg/kg~約25mg/kgを送達するのに十分な投与量レベルで投与されうる。所望の投与量は、1日に3回、1日に2回、1日に1回、1日おき、3日に1回、毎週、2週ごと、3週ごと、または4週ごとに送達されうる。ある実施形態では、所望の投与量は、複数回投与(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回またはより多数回の投与)を使用して送達されてもよい。
【0460】
タンパク質または複合体は、1つ以上の他の治療剤、予防剤、診断剤、または造影剤と組み合わせて使用されうる。「組み合わせて」という語によって、該作用薬が同時に投与されなければならないこと、および/または、一緒に送達するために調合されなければならないことを示唆するようには意図されていないが、これらの送達方法は本開示の範囲内にある。組成物は、1つ以上の他の所望の治療薬または医学的処置に対して、同時に、先行して、または後続して、投与されうる。一般に、作用薬はそれぞれ、その作用薬について決定された用量および日程で投与されることになろう。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬組成物、予防用組成物、診断用組成物、または造影用組成物についての、該組成物の生物学的利用能を改善し、該組成物の代謝を低減および/もしくは改変し、該組成物の排出を抑制し、ならびに/または該組成物の身体内における分布を改変する作用薬と組み合わせた送達を包含する。
【0461】
さらに当然のことであるが、組み合わせて利用される治療的に、予防的に、診断上、または造影上活性な作用薬は、単一の組成物中で一緒に投与されてもよいし、異なる組成物中で別々に投与されてもよい。一般に、組み合わせて利用される作用薬は、該作用薬が個別に利用される際のレベルを超過しないレベルで利用されることになる(with be
utilized)と予想される。いくつかの実施形態では、組み合わせて利用されるレベルは個別に利用されるレベルより低くなる。
【0462】
組み合わせレジメンにおいて利用すべき特定の組み合わせの治療(治療薬または治療処置)は、所望の治療薬および治療処置のうち少なくともいずれか一方の併用可能性、ならびに達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れることになる。さらに当然のことであるが、使用されるこれらの治療は同じ障害について所望の効果を達成してもよいし(例えば、本開示によるがん治療に有用な組成物は化学療法剤と同時に投与されてもよい)、異なる効果(例えば何らかの副作用の制御)を達成してもよい。
【0463】
[キット]
本開示は、本開示の方法を好都合かつ/または有効に実行するための様々なキットを提供する。典型的には、キットは、ユーザが対象者の複数回の治療を実施すること、および複数回の実験を実施することのうち少なくともいずれかを可能にするために十分な量および/または数の構成要素を含んでなることになる。
【0464】
1つの態様では、本開示は、翻訳可能な領域および核酸修飾を含んでなる第1の単離核酸であって、第1の単離核酸が導入される細胞の先天性免疫応答の誘導を回避すなわち免れることが可能である、単離核酸と、包装および説明書と、を含んでなるタンパク質産生のためのキットを提供する。
【0465】
1つの態様では、本開示は、タンパク質産生のためのキットであって:翻訳可能な領域を含んでなる第1の単離された修飾核酸であって、標的細胞に導入された時に該翻訳可能な領域によってコードされたタンパク質を所望の量だけ産生するのに有効な量で提供された、第1の単離修飾核酸と、抑制性の核酸を含んでなる第2の核酸であって、細胞の先天性免疫応答をほぼ抑制するのに有効な量で提供された、第2の核酸と、包装および説明書と、を含んでなるキットを提供する
1つの態様では、本開示は、翻訳可能な領域およびヌクレオシド修飾を含んでなる第1の単離核酸であって、細胞内ヌクレアーゼによる分解の低下を示す、単離核酸と、包装および説明書と、を含んでなるタンパク質産生のためのキットを提供する。
【0466】
1つの態様では、本開示は、翻訳可能な領域および少なくとも2つの異なるヌクレオシド修飾を含んでなる第1の単離核酸であって、細胞内ヌクレアーゼによる分解の低下を示す、単離核酸と、包装および説明書と、を含んでなるタンパク質産生のためのキットを提供する。
【0467】
1つの態様では、本開示は、翻訳可能な領域および少なくとも1つのヌクレオシド修飾を含んでなる第1の単離核酸であって、細胞内ヌクレアーゼによる分解の低下を示す、第1の単離核酸と、抑制性の核酸を含んでなる第2の核酸と、包装および説明書と、を含んでなるタンパク質産生のためのキットを提供する。
【0468】
いくつかの実施形態では、第1の単離核酸はメッセンジャーRNA(mRNA)を含んでなる。いくつかの実施形態では、mRNAは、ピリジン‐4‐オンリボヌクレオシド、5‐アザ‐ウリジン、2‐チオ‐5‐アザ‐ウリジン、2‐チオウリジン、4‐チオ‐プソイドウリジン、2‐チオ‐プソイドウリジン、5‐ヒドロキシウリジン、3‐メチルウリジン、5‐カルボキシメチル‐ウリジン、1‐カルボキシメチル‐プソイドウリジン、5‐プロピニル‐ウリジン、1‐プロピニル‐プソイドウリジン、5‐タウリノメチルウリジン、1‐タウリノメチル‐プソイドウリジン、5‐タウリノメチル‐2‐チオ‐ウリジン、1‐タウリノメチル‐4‐チオ‐ウリジン、5‐メチル‐ウリジン、1‐メチル‐プソイドウリジン、4‐チオ‐1‐メチル‐プソイドウリジン、2‐チオ‐1‐メチル‐プソイドウリジン、1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドウリジン、2‐チオ‐1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、2‐チオ‐ジヒドロウリジン、2‐チオ‐ジヒドロプソイドウリジン、2‐メトキシウリジン、2‐メトキシ‐4‐チオ‐ウリジン、4‐メトキシ‐プソイドウリジン、4‐メトキシ‐2‐チオ-プソイドウリジンまたは本明細書中に開示された任意のもので構成されている群から選択された、少なくとも1つのヌクレオシドを含んでなる。
【0469】
いくつかの実施形態では、該mRNAは、5‐アザ‐シチジン、プソイドイソシチジン、3‐メチル‐シチジン、N4‐アセチルシチジン、5‐ホルミルシチジン、N4‐メチルシチジン、5‐ヒドロキシメチルシチジン、1‐メチル‐プソイドイソシチジン、ピロロ‐シチジン、ピロロ‐プソイドイソシチジン、2‐チオ‐シチジン、2‐チオ‐5‐メチル‐シチジン、4‐チオ‐プソイドイソシチジン、4‐チオ‐1‐メチル‐プソイドイソシチジン、4‐チオ‐1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドイソシチジン、1‐メチル‐1‐デアザ‐プソイドイソシチジン、ゼブラリン、5‐アザ‐ゼブラリン、5‐メチル‐ゼブラリン、5‐アザ‐2‐チオ‐ゼブラリン、2‐チオ‐ゼブラリン、2‐メトキシ‐シチジン、2‐メトキシ‐5‐メチル‐シチジン、4‐メトキシ‐プソイドイソシチジン、4‐メトキシ‐1‐メチル‐プソイドイソシチジンまたは本明細書中に開示された任意のもので構成されている群から選択された、少なくとも1つのヌクレオシドを含んでなる。
【0470】
いくつかの実施形態では、該mRNAは、2‐アミノプリン、2,6‐ジアミノプリン、7‐デアザ‐アデニン、7‐デアザ‐8‐アザ‐アデニン、7‐デアザ‐2‐アミノプリン、7‐デアザ‐8‐アザ‐2‐アミノプリン、7‐デアザ‐2,6‐ジアミノプリン、7‐デアザ‐8‐アザ‐2,6‐ジアミノプリン、1‐メチルアデノシン、N6‐メチルアデノシン、N6‐イソペンテニルアデノシン、N6‐(シス‐ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2‐メチルチオ‐N6‐(シス‐ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6‐グリシニルカルバモイルアデノシン、N6‐トレオニルカルバモイルアデノシン、2‐メチルチオ‐N6‐トレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6‐ジメチルアデノシン、7‐メチルアデニン、2‐メチルチオ‐アデニン、2‐メトキシ‐アデニンまたは本明細書中に開示された任意のもので構成されている群から選択された、少なくとも1つのヌクレオシドを含んでなる。
【0471】
いくつかの実施形態では、該mRNAは、イノシン、1‐メチル‐イノシン、ワイオシン、ワイブトシン、7‐デアザ‐グアノシン、7‐デアザ‐8‐アザ‐グアノシン、6‐チオ‐グアノシン、6‐チオ‐7‐デアザ‐グアノシン、6‐チオ‐7‐デアザ‐8‐アザ‐グアノシン、7‐メチル‐グアノシン、6‐チオ‐7‐メチル‐グアノシン、7‐メチルイノシン、6‐メトキシ‐グアノシン、1‐メチルグアノシン、N2‐メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8‐オキソ‐グアノシン、7‐メチル‐8‐オキソ‐グアノシン、1‐メチル‐6‐チオ‐グアノシン、N2‐メチル‐6‐チオ‐グアノシン、N2,N2‐ジメチル‐6‐チオ‐グアノシンまたは本明細書中に開示された任意のもので構成されている群から選択された、少なくとも1つのヌクレオシドを含んでなる。
【0472】
別の態様では、本開示は、翻訳可能な領域およびヌクレオシド修飾を含んでなる第1の単離核酸であって、細胞内ヌクレアーゼによる分解の低下を示す、単離核酸と、第1の核酸の翻訳可能な領域の翻訳に適した哺乳動物細胞と、を含んでなるタンパク質産生のための組成物を提供する。
【0473】
[定義]
本明細書中の随所に、本開示の化合物の置換基が、群として、または範囲として開示されている。明確に意図されるのは、本開示がそのような群および範囲に属する構成要因のありとあらゆる個々の部分的組み合わせを含むことである。例えば、「C1‐6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキルおよびC6アルキルを個々に開示するように明確に意図されている。
【0474】
「約」:本明細書中で使用されるように、「約」という用語は列挙された値の±10%を意味する。
「組み合わせて投与された(administered in combination)」:本明細書中で使用されるように、「組み合わせて投与された」または「併用投与」という用語は、2つ以上の作用薬が、同時に、または患者に対して各作用薬の効果の重なり合いがありうるような間隔以内で、対象者に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、該作用薬は互いに約60、30、15、10、5、または1分以内に投与される。いくつかの実施形態では、作用薬の投与は、組み合わせの(例えば、相乗的な)効果が達成されるように、互いに十分に接近した間隔でなされる。
【0475】
「動物」:本明細書中で使用されるように、「動物」という用語は動物界に属する任意の構成要員を指す。いくつかの実施形態では、「動物」は任意の発達段階のヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は任意の発達段階のヒト以外の動物を指す。ある実施形態では、ヒト以外の動物は、哺乳動物(例えばげっ歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物には、限定するものではないが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、および蠕虫(worm)が挙げられる。いくつかの実施形態では、動物はトランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、またはクローンである。
【0476】
「対象とする抗原または所望の抗原」:本明細書中で使用されるように、「対象とする抗原」または「所望の抗原」という用語は、本明細書中に記載された抗体および該抗体のフラグメント、突然変異体、バリアント、および変形物によって免疫特異的に結合される、本明細書中に提供されるタンパク質および他の生体分子を含む。対象とする抗原の例には、限定するものではないが、インスリン、インスリン様成長因子、hGH、tPA、サイトカイン、例えばインターロイキン類(IL)、例えばIL‐1、IL‐2、IL‐3、IL‐4、IL‐5、IL‐6、IL‐7、IL‐8、IL‐9、IL‐10、IL‐11、IL‐12、IL‐13、IL‐14、IL‐15、IL‐16、IL‐17、IL‐18、インターフェロン(IFN)α、IFNβ、IFNγ、IFNωもしくはIFNτ、腫瘍壊死因子(TNF)、例えばTNFαおよびTNFβ、TNFγ、TRAIL;G‐CSF、GM‐CSF、M‐CSF、MCP‐1およびVEGFが挙げられる。
【0477】
「およそ(approximately)」:本明細書中で使用されるように、「およそ」または「約」という用語は、1つ以上の対象とする値に適用されるように、明示された基準値に類似の値を指す。ある実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に断りのない限り、または文脈から明白でない限り、明示された基準値の両方向に(基準値より大きく、または基準値より小さく)、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または1%未満の範囲内にある値域を指す(そのような数値が可能な値の100%を超過する場合を除く)。
【0478】
「~と関連付けられた(associated with)」:本明細書中で使用されるように、「~と関連付けられた」、「コンジュゲートされた」、「連結された」、「取り付けられた」、および「係留された」という用語は、2以上の構成部分に関して使用される場合、該構成部分が直接、または連結剤としての役割を果たす1つ以上の追加の構成部分を介して、互いに物理的に関連付けられるかまたは接続されて構造物を形成し、該構造物は、該構造物が使用される条件(例えば生理学的条件)の下で構成部分が物理的に関連付けられ続けるのに十分に安定であることを意味する。「関連、会合(association)」は、厳密に直接の共有結合による化学結合によるものである必要はない。該用語はさらに、「関連付けられた」物が物理的に関連付けられ続けるのに十分に安定した、イオン結合もしくは水素結合またはハイブリダイゼーションに基づいた接続性をも示唆しうる。
【0479】
「生体適合性(の)(biocompatible)」:本明細書中で使用されるように、「生体適合性(の)」という用語は、生きている細胞、組織、臓器または器官系と適合性であって、損傷、毒性または免疫系による拒絶のリスクをほとんど~全く引き起こさないことを意味する。
【0480】
「生物分解性(の)(biodegradable)」:本明細書中で使用されるように、「生物分解性(の)」という用語は、生物の活動によって無害の生成物に分解されることが可能であることを意味する。
【0481】
「生物学的に活性である(biologically active)」:本明細書中で使用されるように、「生物学的に活性である」という言葉は、生物系および生物体のうち少なくともいずれかにおいて活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生物体に投与された時にその生物体に生物学的作用を有する物質は、生物学的に活性であると考えられる。特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドの一部分でも生物学的に活性であるかまたは生物学的に関連性があると考えられる活性を模倣する場合、生物学的に活性であると考えることができる。
【0482】
「化学用語」:下記は「アシル」から「チオール」まで様々な化学用語の定義を提供する。
「アシル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなカルボニル基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるような水素またはアルキル基(例えばハロアルキル基)を表わし、ホルミル(すなわちカルボキシアルデヒド基)、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイルなどにより例証される。典型的な非置換のアシル基は、1~7個、1~11個、または1~21個の炭素を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
【0483】
「アシルアミノ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中で定義されるようなアミノ基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアシル基を表わす(すなわち、‐N(RN1)‐C(O)‐Rであって、式中のRはHまたは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、もしくはC1‐20アルキル基(例えばハロアルキル)であり、RN1は本明細書中に定義された通りである)。典型的な非置換のアシルアミノ基は、1~41個の炭素(例えば、1~7、1~13、1~21、2~7、2~13、2~21、または2~41個の炭素)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、もしくは4個の置換基でさらに置換され、および/または、該アミノ基は‐NH2もしくは‐NHRN1であり、式中のRN1は独立に、OH、NO2、NH2、NRN2
2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、アリール、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、もしくは本明細書中に記載された他のもの)、もしくはアルコキシカルボニルアルキルであり、RN2はそれぞれH、アルキル、もしくはアリールであってよい。
【0484】
「アシルアミノアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中で定義されるようなアルキル基によって親分子群に取り付けられたアミノ基に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアシル基を表わす(すなわち、‐アルキル‐N(RN1)‐C(O)‐Rであって、式中のRはHまたは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、もしくはC1‐20アルキル基(例えばハロアルキル)であり、RN1は本明細書中に定義された通りである)。典型的な非置換のアシルアミノ基は、1~41個の炭素(例えば、1~7、1~13、1~21、2~7、2~13、2~21、または2~41個の炭素)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、もしくは4個の置換基でさらに置換され、および/または、該アミノ基は‐NH2もしくは‐NHRN1であり、式中のRN1は独立に、OH、NO2、NH2、NRN2
2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、アリール、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、もしくは本明細書中に記載された他のもの)、もしくはアルコキシカルボニルアルキルであり、RN2はそれぞれH、アルキル、もしくはアリールであってよい。
【0485】
「アシルオキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、酸素原子によって親分子群に取り付けられた、本明細書中で定義されるようなアシル基を表わす(すなわち‐O‐C(O)‐Rであって、式中のRはHまたは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、もしくはC1‐20アルキル基である)。典型的な非置換のアシルオキシ基は、1~21個の炭素(例えば1~7個または1~11個の炭素)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
【0486】
「アシルオキシアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、アルキル基によって親分子群に取り付けられた酸素原子に取り付けられた、本明細書中で定義されるようなアシル基を表わす(すなわち、‐アルキル‐O‐C(O)‐Rであって、式中のRはHまたは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、もしくはC1‐20アルキル基である)。典型的な非置換のアシルオキシアルキル基は、1~21個の炭素(例えば1~7個または1~11個の炭素)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、独立に、本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
【0487】
「アルカリール(アルクアリール)」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルキレン基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアリール基を表わす。典型的な非置換のアルカリール基は、7~30個の炭素(例えば、7~16または7~20個の炭素、例えばC1‐6アルク‐C6‐10アリール、C1‐10アルク‐C6‐10アリール、またはC1‐20アルク‐C6‐10アリール)である。いくつかの実施形態では、アルキレンおよびアリールは各々、それぞれの基について1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。接頭辞「アルク(alk-)」が前に付されるその他の基も同じ方式で定義され、その場合「アルク」は、特に記載のないかぎりC1‐6アルキレンを指し、かつ、付される化学構造は本明細書中に定義された通りである。
【0488】
「アルクシクロアルキル」という用語は、本明細書中に定義されるようなアルキレン基(例えば、炭素数1~4、1~6、1~10、または1~20(form 1 to 20)のアルキレン基)によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなシクロアルキル基を表わす。いくつかの実施形態では、アルキレンおよびシクロアルキルは各々、それぞれの基について1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0489】
「アルケニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、1つ以上の炭素‐炭素二重結合を含んでいる、別段の定めがない限り炭素数2~20の(例えば炭素数2~6または2~10の)一価の直鎖または分岐鎖の基を表し、エテニル、1‐プロペニル、2‐プロペニル、2‐メチル‐1‐プロペニル、1‐ブテニル、2‐ブテニルなどにより例証される。アルケニルにはシス異性体およびトランス異性体の両方が含まれる。アルケニル基は、任意選択で、本明細書中に定義されるようなアミノ、アリール、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)から独立に選択される1、2、3、もしくは4個の置換基、または本明細書中に記載された典型的なアルキル置換基のうち任意のものを用いて置換されうる。
【0490】
「アルケニルオキシ」という用語は、式‐ORの化学置換基であって、式中のRは別段の定めがない限りC2‐20アルケニル基(例えばC2‐6またはC2‐10アルケニル)である、置換基を表わす。典型的なアルケニルオキシ基には、エテニルオキシ、プロペニルオキシなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、本明細書中に定義されるような1、2、3、または4個の置換基(例えば水酸基)でさらに置換されうる。
【0491】
「アルクヘテロアリール」という用語は、本明細書中に定義されるようなアルキレン基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなヘテロアリール基を指す。典型的な非置換のアルクヘテロアリール基は、2~32個の炭素(例えば、2~22、2~18、2~17、2~16、3~15、2~14、2~13、または2~12個の炭素、例えばC1‐6アルク‐C1‐12ヘテロアリール、C1‐10アルク‐C1‐12ヘテロアリール、またはC1‐20アルク‐C1‐12ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態では、アルキレンおよびヘテロアリールは各々、それぞれの基について1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。アルクヘテロアリール基はアルクヘテロシクリル基のサブセットである。
【0492】
「アルクヘテロシクリル」という用語は、本明細書中に定義されるようなアルキレン基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなヘテロシクリル基を表わす。典型的な非置換のアルクヘテロシクリル基は、2~32個の炭素(例えば、2~22、2~18、2~17、2~16、3~15、2~14、2~13、または2~12個の炭素、例えばC1‐6アルク‐C1‐12ヘテロシクリル、C1‐10アルク‐C1‐12ヘテロシクリル、またはC1‐20アルク‐C1‐12ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、アルキレンおよびヘテロシクリルは各々、それぞれの基について1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0493】
「アルコキシ」という用語は、式‐ORの化学置換基であって、式中のRは別段の定めがない限りC1-20アルキル基(例えばC1‐6またはC1‐10アルキル)である、置換基を表わす。典型的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn‐プロポキシおよびイソプロポキシ)、t‐ブトキシなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基(例えばヒドロキシまたはアルコキシ)でさらに置換されうる。
【0494】
「アルコキシアルコキシ」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルコキシ基を表わす。典型的な非置換のアルコキシアルコキシ基は、2~40個の炭素(例えば、2~12または2~20個の炭素、例えばC1‐6アルコキシ‐C1‐6アルコキシ、C1‐10アルコキシ‐C1‐10アルコキシ、またはC1‐20アルコキシ‐C1‐20アルコキシ)を含んでいる。いくつかの実施形態では、各アルコキシ基は、本明細書中に定期されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換されうる。
【0495】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を表わす。典型的な非置換のアルコキシアルキル基は、2~40個の炭素(例えば、2~12または2~20個の炭素、例えばC1‐6アルコキシ‐C1‐6アルキル、C1‐10アルコキシ‐C1‐10アルキル、またはC1‐20アルコキシ‐C1‐20アルキル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルキルおよびアルコキシは各々、それぞれの基について1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0496】
「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、カルボニル原子によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアルコキシを表す(例えば、‐C(O)‐ORであって、式中のRはHまたは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、またはC1‐20アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルは、1~21個の炭素(例えば1~11個または1~7個の炭素)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アルコキシ基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
【0497】
「アルコキシカルボニルアシル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシカルボニル基で置換された、本明細書中に定義されるようなアシル基を表わす(例えば‐C(O)‐アルキル‐C(O)‐ORであって、式中のRは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、またはC1‐20アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルアシルは、3~41個の炭素(例えば3~10、3~13、3~17、3~21、または3~31個の炭素、例えばC1‐6アルコキシカルボニル‐C1‐6アシル、C1‐10アルコキシカルボニル‐C1‐10アシル、またはC1‐20アルコキシカルボニル‐C1‐20アシル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、アルコキシおよびアルキル基はそれぞれ、1、2、3、または4個の、各基について本明細書中に記載されるような置換基(例えば水酸基)でさらに独立に置換される。
【0498】
「アルコキシカルボニルアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシカルボニル基で置換された、本明細書中に定義されるようなアルコキシ基を表わす(例えば‐O‐アルキル‐C(O)‐ORであって、式中のRは任意選択で置換されたC1‐6、C1‐10、またはC1‐20アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルアルコキシは、3~41個の炭素(例えば3~10、3~13、3~17、3~21、または3~31個の炭素、例えばC1‐6アルコキシカルボニル‐C1‐6アルコキシ、C1‐10アルコキシカルボニル‐C1‐10アルコキシ、またはC1‐20アルコキシカルボニル‐C1‐20アルコキシ)を含んでいる。いくつかの実施形態では、各アルコキシ基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基(例えば水酸基)でさらに独立に置換される。
【0499】
「アルコキシカルボニルアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシカルボニル基で置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす(例えば‐アルキル‐C(O)‐ORであって、式中のRは任意選択で置換されたC1‐20、C1‐10、またはC1‐6アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルアルキルは、3~41個の炭素(例えば3~10、3~13、3~17、3~21、または3~31個の炭素、例えばC1‐6アルコキシカルボニル‐C1‐6アルキル、C1‐10アルコキシカルボニル‐C1‐10アルキル、またはC1‐20アルコキシカルボニル‐C1‐20アルキル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、アルキルおよびアルコキシ基はそれぞれ、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基(例えば水酸基)でさらに独立に置換される。
【0500】
「アルコキシカルボニルアルケニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシカルボニル基で置換された、本明細書中に定義されるようなアルケニル基を表わす(例えば‐アルケニル‐C(O)‐ORであって、式中のRは任意選択で置換されたC1‐20、C1‐10、またはC1‐6アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルアルケニルは、4~41個の炭素(例えば4~10、4~13、4~17、4~21、または4~31個の炭素、例えばC1‐6アルコキシカルボニル‐C2‐6アルケニル、C1‐10アルコキシカルボニル‐C2‐10アルケニル、またはC1‐20アルコキシカルボニル‐C2‐20アルケニル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、アルキル、アルケニル、およびアルコキシ基はそれぞれ、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基(例えば水酸基)でさらに独立に置換される。
【0501】
「アルコキシカルボニルアルキニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシカルボニル基で置換された、本明細書中に定義されるようなアルキニル基を表わす(例えば、‐アルキニル‐C(O)‐ORであって、式中のRは任意選択で置換されたC1‐20、C1‐10、またはC1‐6アルキル基である)。典型的な非置換のアルコキシカルボニルアルキニルは、4~41個の炭素(例えば4~10、4~13、4~17、4~21、または4~31個の炭素、例えばC1‐6アルコキシカルボニル‐C2‐6アルキニル、C1‐10アルコキシカルボニル‐C2‐10アルキニル、またはC1‐20アルコキシカルボニル‐C2‐20アルキニル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、アルキル、アルキニル、およびアルコキシ基はそれぞれ、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基(例えば水酸基)でさらに独立に置換される。
【0502】
「アルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、別段の定めがない限り炭素数1~20の(例えば1~10または1~6の)直鎖および分岐鎖の両方の飽和基を含んでいる。アルキル基は、メチル、エチル、n‐プロピルおよびイソプロピル、n‐、sec‐、イソ‐およびtert‐ブチル、ネオペンチルなどにより例証され、かつ任意選択で、1、2、3個、または炭素が2個以上のアルキル基の場合には4個の、下記すなわち:(1)C1‐6アルコキシ;(2)C1‐6アルキルスルフィニル;(3)本明細書中に定義されるようなアミノ(例えば、非置換のアミノ(すなわち‐NH2)または置換されたアミノ(すなわち、-N(RN1)2であって式中のRN1はアミノについて定義された通りである);(4)C6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2‐9ヘテロシクリル)オキシ;(8)任意選択でO‐保護基で置換されたヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えばカルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1‐7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)任意選択でO‐保護基で置換された‐CO2RA’であって、式中のRA’は以下すなわち(a)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c)C6‐10アリール、(d)水素、(e)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f)アミノ‐C1‐20アルキル、(g)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;で構成されている群から選択されるもの;(15)‐C(O)NRB’RC’であって、式中のRB’およびRC’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(16)‐SO2RD’であって、式中のRD’は、(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、および(d)ヒドロキシ、で構成されている群から選択されるもの;(17)‐SO2NRE’RF’であって、式中のRE’およびRF’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(18)‐C(O)RG’であって、式中のRG’は、(a)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c)C6‐10アリール、(d)水素、(e)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f)アミノ‐C1‐20アルキル、(g)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;で構成されている群から選択されるもの;(19)‐NRH’C(O)RI’であって、式中のRH’は、(a1)水素および(b1)C1‐6アルキルで構成されている群から選択され、RI’は、(a2)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b2)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c2)C6‐10アリール、(d2)水素、(e2)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f2)アミノ‐C1‐20アルキル、(g2)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h2)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;で構成されている群から選択されるもの;(20)‐NRJ’C(O)ORK’であって、式中のRJ’は、(a1)水素および(b1)C1‐6アルキルで構成されている群から選択され、RK’は、(a2)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b2)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c2)C6‐10アリール、(d2)水素、(e2)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f2)アミノ‐C1‐20アルキル、(g2)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h2)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;で構成されている群から選択されるもの;ならびに、(21)アミジン;で構成されている群から独立に選択された置換基で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書中に記載されるようにさらに置換されてもよい。例えば、C1‐アルカリールのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されてそれぞれのアリーロイル(aryloyl)置換基を提供することができる。
【0503】
用語「アルキレン」および接頭辞「アルク」は、本明細書中で使用されるように、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素から2個の水素原子の除去により生じた2価の飽和炭化水素基を表わし、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどにより例証される。用語「Cx‐yアルキレン」および接頭辞「Cx‐yアルク」は、x~y個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの典型的な値は1、2、3、4、5および6であり、yの典型的な値は2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、または20である(例えば、C1‐6、C1‐10、C2‐20、C2‐6、C2‐10、またはC2‐20アルキレン)。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1、2、3、または4個の、アルキル基について本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0504】
「アルキルスルフィニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐S(O)‐基によって親分子群に取り付けられたアルキル基を表わす。典型的な非置換のアルキルスルフィニル基は、炭素数が1~6、1~10、または1~20個である。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0505】
「アルキルスルフィニルアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、アルキルスルフィニル基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。典型的な非置換のアルキルスルフィニルアルキル基は、炭素数が2~12、2~20、または2~40個である。いくつかの実施形態では、アルキル基はそれぞれ、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0506】
「アルキニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、炭素‐炭素間三重結合を含んでいる炭素原子2~20個の(例えば炭素数2~4、2~6、または2~10の)一価の直鎖または分岐鎖の基を表わし、エチニル、1‐プロピニルなどにより例証される。アルキニル基は、1、2、3、または4個の、本明細書中に定義されるような、アリール、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)、または本明細書中に記載された典型的なアルキル置換基のうちいずれかから独立に選択された置換基で、任意選択で置換されてもよい。
【0507】
「アルキニルオキシ」という用語は、式‐ORの化学置換基であって、式中のRは別段の定めがない限りC2‐20アルキニル基(例えばC2‐6またはC2‐10アルキニル)である、置換基を表わす。典型的なアルキニルオキシ基には、エチニルオキシ、プロピニルオキシなどが含まれる。いくつかの実施形態では、該アルキニル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基(例えば水酸基)でさらに置換されうる。
【0508】
「アミジン」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐C(=NH)NH2基を表わす。
「アミノ」という用語は、本明細書中で使用されるように、-N(RN1)2を表し、式中のRN1はそれぞれ独立に、H、OH、NO2、N(RN2)2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、N‐保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリール、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、カルボキシアルキル(例えば、任意選択で、O‐保護基、例えば任意選択で置換されたアリールアルコキシカルボニル基または本明細書中に記載された任意のもの、で置換されたもの)、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、または本明細書中に記載されたその他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、任意選択で、O‐保護基、例えば任意選択で置換されたアリールアルコキシカルボニル基または本明細書中に記載された任意のもの、で置換されたもの)、ヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えばアルクヘテロアリール)であり、上記の列挙されたRN1基はそれぞれ、各基について本明細書中に定義されるように、任意選択で置換されうるか;または2つのRN1が組み合わさってヘテロシクリルもしくはN‐保護基を形成し、かつRN2はそれぞれ独立に、H、アルキル、またはアリールである。本発明のアミノ基は、非置換のアミノ(すなわち‐NH2)であってもよいし、置換されたアミノ(すなわち‐N(RN1)2)であってもよい。好ましい実施形態では、アミノは‐NH2または‐NHRN1であって、式中のRN1は、独立に、OH、NO2、NH2、NRN2
2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、もしくは本明細書中に記載されたその他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、t‐ブトキシカルボニルアルキル)もしくはアリールであり、RN2はそれぞれ、H、C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、またはC6‐10アリールであってよい。
【0509】
「アミノ酸」という用語は、本明細書中に記載されるように、側鎖、アミノ基、および酸性基(例えば‐CO2Hのカルボキシ基または‐SO3Hのスルホ基)を有する分子を指し、該アミノ酸は、側鎖、アミノ基、または酸性基(例えば側鎖)によって親分子群に取り付けられる。いくつかの実施形態では、アミノ酸はカルボニル基によって親分子群に取り付けられ、側鎖またはアミノ基は該カルボニル基に取り付けられる。典型的な側鎖には、任意選択で置換されたアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アミノアルキル、カルバモイルアルキル、およびカルボキシアルキルが挙げられる。典型的なアミノ酸には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシノルバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンが挙げられる。アミノ酸基は、任意選択で、1、2、3個、または炭素が2個以上のアミノ酸基の場合には4個の、下記すなわち:(1)C1‐6アルコキシ;(2)C1‐6アルキルスルフィニル;(3)本明細書中に定義されるようなアミノ(例えば、非置換のアミノ(すなわち‐NH2)または置換されたアミノ(すなわち、-N(RN1)2であって式中のRN1はアミノについて定義された通りである);(4)C6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2‐9ヘテロシクリル)オキシ;(8)ヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えばカルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1‐7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)‐CO2RA’であって、式中のRA’は以下すなわち(a)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c)C6‐10アリール、(d)水素、(e)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f)アミノ‐C1‐20アルキル、(g)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;(15)‐C(O)NRB’RC’であって、式中のRB’およびRC’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(16)‐SO2RD’であって、式中のRD’は、(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、および(d)ヒドロキシ、で構成されている群から選択されるもの;(17)‐SO2NRE’RF’であって、式中のRE’およびRF’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(18)‐C(O)RG’であって、式中のRG’は、(a)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c)C6‐10アリール、(d)水素、(e)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f)アミノ‐C1‐20アルキル、(g)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;(19)‐NRH’C(O)RI’であって、式中のRH’は、(a1)水素および(b1)C1‐6アルキルで構成されている群から選択され、RI’は、(a2)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b2)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c2)C6‐10アリール、(d2)水素、(e2)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f2)アミノ‐C1‐20アルキル、(g2)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h2)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;(20)‐NRJ’C(O)ORK’であって、式中のRJ’は、(a1)水素および(b1)C1‐6アルキルで構成されている群から選択され、RK’は、(a2)C1‐20アルキル(例えばC1‐6アルキル)、(b2)C2‐20アルケニル(例えばC2‐6アルケニル)、(c2)C6‐10アリール、(d2)水素、(e2)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、(f2)アミノ‐C1‐20アルキル、
(g2)‐(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、R’はHまたはC1‐20アルキルであるもの、ならびに、(h2)‐NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノポリエチレングリコールであって、式中のs1は1~10(例えば1~6または1~4)の整数であり、s2およびs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)の整数であり、かつRN1はそれぞれ独立に水素または任意選択で置換されたC1‐6アルキルであるもの;ならびに、(21)アミジン;で構成されている群から独立に選択された置換基で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書中に記載されるようにさらに置換されてもよい。
【0510】
「アミノアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアミノ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルコキシ基を表わす。該アルキルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基(例えばCO2RA’であって式中のRA’は(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、例えばカルボキシ、で構成されている群から選択されるもの)でさらに置換されうる。
【0511】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアミノ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。該アルキルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基(例えばCO2RA’であって式中のRA’は(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、ならびに(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、例えばカルボキシおよびN‐保護基のうち少なくともいずれか、で構成されている群から選択されるもの)でさらに置換されうる。
【0512】
「アミノアルケニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアミノ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルケニル基を表わす。該アルケニルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基(例えばCO2RA’であって式中のRA’は(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、ならびに(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、例えばカルボキシおよびN‐保護基のうち少なくともいずれか、で構成されている群から選択されるもの)でさらに置換されうる。
【0513】
「アミノアルキニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアミノ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキニル基を表わす。該アルキニルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基(例えばCO2RA’であって式中のRA’は(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、ならびに(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、例えばカルボキシおよびN‐保護基のうち少なくともいずれか、で構成されている群から選択されるもの)でさらに置換されうる。
【0514】
「アリール」という用語は、本明細書中で使用されるように、1個または2個の芳香環を有する単環式、二環式、または多環式の炭素環構造を表し、フェニル、ナフチル、1,2‐ジヒドロナフチル、1,2,3,4‐テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどにより例証され、かつ、任意選択で、1、2、3、4、または5個の置換基であって以下すなわち:(1)C1‐7アシル(例えばカルボキシアルデヒド);(2)C1‐20アルキル(例えば、C1‐6アルキル、C1‐6アルコキシ‐C1‐6アルキル、C1‐6アルキルスルフィニル‐C1‐6アルキル、アミノ‐C1‐6アルキル、アジド‐C1‐6アルキル、(カルボキシアルデヒド)‐C1‐6アルキル、ハロ‐C1‐6アルキル(例えばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ‐C1‐6アルキル、ニトロ‐C1‐6アルキル、またはC1‐6チオアルコキシ‐C1‐6アルキル);(3)C1‐20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシのようなC1‐6アルコキシ);(4)C1‐6アルキルスルフィニル;(5)C6‐10アリール;(6)アミノ;(7)C1‐6アルク‐C6‐10アリール;(8)アジド;(9)C3‐8シクロアルキル;(10)C1‐6アルク‐C3‐8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1‐12ヘテロシクリル(例えばC1‐12ヘテロアリール);(13)(C1‐12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1‐20チオアルコキシ(例えばC1‐6チオアルコキシ);(17)‐(CH2)qCO2RA’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RA’は、(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(18)‐(CH2)qCONRB’RC’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RB’およびRC’は独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(19)‐(CH2)qSO2RD’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RD’は、(a)アルキル、(b)C6‐10アリール、および(c)アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(20)‐(CH2)qSO2NRE’RF’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RE’およびRF’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1‐6アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(21)チオール;(22)C6‐10アリールオキシ;(23)C3‐8シクロアルコキシ;(24)C6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ;(25)C1‐6アルク‐C1‐12ヘテロシクリル(例えばC1‐6アルク‐C1‐12ヘテロアリール);(26)C2‐20アルケニル;ならびに(27)C2‐20アルキニル、で構成されている群から独立に選択された置換基で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書中に記載されるようにさらに置換されてもよい。例えば、C1‐アルカリールまたはC1‐アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されてそれぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を生じることができる。
【0515】
「アリールアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、酸素原子によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアルカリール基を表わす。典型的な非置換のアリールアルコキシ基は、7~30個の炭素(例えば、7~16または7~20個の炭素、例えばC6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ、C6‐10アリール‐C1‐10アルコキシ、またはC6‐10アリール‐C1‐20アルコキシ)を含んでいる。いくつかの実施形態では、該アリールアルコキシ基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基で置換されうる。
【0516】
「アリールアルコキシカルボニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、カルボニルによって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアリールアルコキシ基を表わす(例えば‐C(O)‐O‐アルキル‐アリール)。典型的な非置換のアリールアルコキシ基は、8~31個の炭素(例えば、8~17または8~21個の炭素、例えばC6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ‐カルボニル、C6‐10アリール‐C1‐10アルコキシ‐カルボニル、またはC6‐10アリール‐C1‐20アルコキシ‐カルボニル)を含んでいる。いくつかの実施形態では、アリールアルコキシカルボニル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基で置換されうる。
【0517】
「アリールオキシ」という用語は、式‐OR’の化学置換基であって、式中のR’は別段の定めがない限り炭素数6~18個のアリール基である、置換基を表わす。いくつかの実施形態では、該アリール基は1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基で置換されうる。
【0518】
「アリーロイル(aryloyl)」という用語は、本明細書中で使用されるように、カルボニル基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアリール基を表わす。典型的な非置換のアリーロイル基は炭素7~11個のものである。いくつかの実施形態では、該アリール基は1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基で置換されうる。
【0519】
「アジド」という用語は、‐N=N=Nとして表わすこともできる‐N3基を表わす。
「二環式」という用語は、本明細書中で使用されるように、2つの環を有する構造を指し、該環は芳香族であっても芳香族でなくてもよい。二環式構造は、本明細書中に定義されるようなスピロシクリル基と、1つ以上の架橋部を共有する2つの環とを備え、そのような架橋部は、1個の原子、または2、3個もしくはそれ以上の原子を含む鎖を含みうる。典型的な二環式基には、本明細書中に定義されるような、第1および第2の環がカルボシクリル基である二環式カルボシクリル基;本明細書中に定義されるような、第1および第2の環がアリール基である二環式アリール基;第1の環はヘテロシクリル基であり、第2の環はカルボシクリル(例えばアリール)またはヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)基である二環式ヘテロシクリル基;ならびに、第1の環はヘテロアリール基であり、第2の環はカルボシクリル(例えばアリール)またはヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)基である二環式ヘテロアリール基、が挙げられる。いくつかの実施形態では、二環式基は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、およびアリール基について本明細書中に定義されるような1、2、3、または4個の置換基で置換されうる。
【0520】
「ボラニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐B(RB1)3であって、RB1はそれぞれ独立に、Hおよび任意選択で置換されたアルキルで構成されている群から選択されるもの、を表わす。いくつかの実施形態では、該ボラニル基は、1、2、3、または4個の、アルキル基について本明細書中に定義されるような置換基で置換されうる。
【0521】
「炭素環式(の)」および「カルボシクリル」という用語は、本明細書中で使用されるように、任意選択で置換されたC3‐12の単環式、二環式、または三環式の構造物であって、環は芳香族であっても芳香族でなくてもよいが炭素原子によって形成されるものを指す。炭素環式の構造物には、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびアリール基が含まれる。
【0522】
「カルバモイル」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐C(O)‐N(RN1)2であって、各RN1の意味は本明細書中に提供される「アミノ」の定義において見られる。
【0523】
「カルバモイルアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなカルバモイル基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。該アルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0524】
「カルバミル」という用語は、本明細書中で使用されるように、構造‐NRN1C(=O)ORまたは‐OC(=O)N(RN1)2を有するカルバメート基を指し、各RN1の意味は、本明細書中に提供された「アミノ」の定義において見られ、かつRは、本明細書中に定義されるようなアルキル、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、アリール、アルカリール、ヘテロシクリル(例えばヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えばアルクヘテロアリール)である。
【0525】
「カルボニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、C=Oとして表わすこともできるC(O)基を表わす。
「カルボキシアルデヒド」という用語は、構造‐CHOを有するアシル基を表わす。
【0526】
「カルボキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐CO2Hを意味する。
「カルボキシアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなカルボキシ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルコキシ基を表わす。該アルコキシ基は、1、2、3、または4個の、アルキル基について本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換可能であり、かつカルボキシ基は、任意選択で、1つ以上のO‐保護基で置換されうる。
【0527】
「カルボキシアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなカルボキシ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。該アルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換可能であり、かつカルボキシ基は、任意選択で、1つ以上のO‐保護基で置換されうる。
【0528】
「カルボキシアミノアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなカルボキシによって置換された、本明細書中に定義されるようなアミノアルキル基を表わす。該カルボキシ、アルキル、およびアミノは各々、それぞれの基について本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基(例えばCO2RA’であって式中のRA’は(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、ならびに(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、例えばカルボキシ、N‐保護基、およびO‐保護基のうち少なくともいずれか、で構成されている群から選択されるもの)でさらに置換されうる。
【0529】
「シアノ」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐CN基を表わす。
「シクロアルコキシ」という用語は、式‐ORの化学置換基であって、式中のRは、別段の定めがない限り本明細書中に定義されるようなC3‐8シクロアルキル基である、置換基を表わす。該シクロアルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。典型的な非置換のシクロアルコキシ基は炭素数3~8個である。いくつかの実施形態では、該シクロアルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0530】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、別段の定めがない限り炭素数3~8個の一価の飽和または不飽和の非芳香族環式炭化水素基を表わし、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクルヘプチル(bicycle heptyl)などにより例証される。シクロアルキル基が1つの炭素‐炭素二重結合を含んでいる場合、該シクロアルキル基は「シクロアルケニル」基と呼ぶことができる。典型的なシクロアルケニル基には、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが含まれる。本発明のシクロアルキル基は、任意選択で、(1)C1‐7アシル(例えばカルボキシアルデヒド);(2)C1‐20アルキル(例えば、C1‐6アルキル、C1‐6アルコキシ‐C1‐6アルキル、C1‐6アルキルスルフィニル‐C1‐6アルキル、アミノ‐C1‐6アルキル、アジド‐C1‐6アルキル、(カルボキシアルデヒド)‐C1‐6アルキル、ハロ‐C1‐6アルキル(例えばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ‐C1‐6アルキル、ニトロ‐C1‐6アルキル、またはC1‐6チオアルコキシ‐C1‐6アルキル);(3)C1‐20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシのようなC1‐6アルコキシ);(4)C1‐6アルキルスルフィニル;(5)C6‐10アリール;(6)アミノ;(7)C1‐6アルク‐C6‐10アリール;(8)アジド;(9)C3‐8シクロアルキル;(10)C1‐6アルク‐C3‐8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1‐12ヘテロシクリル(例えばC1‐12ヘテロアリール);(13)(C1‐12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1‐20チオアルコキシ(例えばC1‐6チオアルコキシ);(17)‐(CH2)qCO2RA’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RA’は、(a)C1‐6アルキル、(b)C6‐10アリール、(c)水素、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(18)‐(CH2)qCONRB’RC’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RB’およびRC’は独立に、(a)水素、(b)C6‐10アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(19)‐(CH2)qSO2RD’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RD’は、(a)C6‐10アルキル、(b)C6‐10アリール、および(c)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(20)‐(CH2)qSO2NRE’RF’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、RE’およびRF’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C6‐10アルキル、(c)C6‐10アリール、および(d)C1‐6アルク‐C6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(21)チオール;(22)C6‐10アリールオキシ;(23)C3‐8シクロアルコキシ;(24)C6‐10アリール‐C1‐6アルコキシ;(25)C1‐6アルク‐C1‐12ヘテロシクリル(例えばC1‐6アルク‐C1‐12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)C2‐20アルケニル;ならびに(28)C2‐20アルキニル、を用いて置換されうる。いくつかの実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書中に記載されるようにさらに置換されてもよい。例えば、C1‐アルカリールまたはC1‐アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されてそれぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を生じることができる。
【0531】
「ジアステレオマー」という用語は、本明細書中で使用されるように、互いの鏡像ではなく、かつ互いに重ね合わせることのできない立体異性体を意味する。
作用薬の「有効な量」という用語は、本明細書中で使用されるように、有益な結果または所望の結果、例えば臨床結果を達成するのに十分な量であり、それゆえ「有効な量」とは、該用語が適用されている状況に応じて変化する。例えば、がんを治療する作用薬を投与する状況においては、有効な量の作用薬は、例えば、該作用薬の投与を伴わずに得られた応答と比較して、がんの、本明細書中に定義されるような治療を達成するのに十分な量である。
【0532】
「エナンチオマー」という用語は、本明細書中で使用されるように、光学純度すなわちエナンチオマー過剰率(当分野において標準的な方法によって決定されたもの)が少なくとも80%(すなわち、あるエナンチオマーが少なくとも90%であり別のエナンチオマーが多くとも10%)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%である、本発明の化合物の個々の光学活性形態それぞれを意味する。
【0533】
「ハロ」という用語は、本明細書中で使用されるように、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素から選択されたハロゲンを表わす。
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、ハロゲン基(すなわちF、Cl、Br、またはI)によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルコキシ基を表わす。ハロアルコキシは、1、2、3個、または炭素数2以上のアルキル基の場合には4個のハロゲンで、置換されうる。ハロアルコキシ基には、ペルフルオロアルコキシ(例えば‐OCF3)、‐OCHF2、‐OCH2F、‐OCCl3、‐OCH2CH2Br、‐OCH2CH(CH2CH2Br)CH3、および‐OCHICH3が含まれる。いくつかの実施形態では、該ハロアルコキシ基は、1、2、3、または4個の、アルキル基について本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0534】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、ハロゲン基(すなわちF、Cl、Br、またはI)によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。ハロアルキルは、1、2、3個、または炭素数2以上のアルキル基の場合には4個のハロゲンで、置換されうる。ハロアルキル基には、ペルフルオロアルキル(例えば‐CF3)、‐CHF2、‐CH2F、‐CCl3、‐CH2CH2Br、‐CH2CH(CH2CH2Br)CH3、および‐CHICH3が含まれる。いくつかの実施形態では、該ハロアルキル基は、1、2、3、または4個の、アルキル基について本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0535】
「ヘテロアルキレン」という用語は、本明細書中で使用されるように、構成要素である炭素原子のうち1つまたは2つがそれぞれ窒素、酸素、または硫黄に置き換えられている、本明細書中に定義されるようなアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、該ヘテロアルキレン基は、1、2、3、または4個の、アルキレン基について本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0536】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなヘテロシクリルの部分集合であって、芳香族である、すなわち単環式または多環式の環構造内に4n+2π電子を含んでいるものを表わす。典型的な非置換のヘテロアリール基は、炭素数1~12(例えば1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、または2~9)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1、2、3、または4個の、ヘテロシクリル基について定義されるような置換基で置換される。
【0537】
「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用されるように、別段の定めがない限り、窒素、酸素、および硫黄で構成されている群から独立に選択された1、2、3、または4個のヘテロ原子を含んでいる、5員環、6員環または7員環を表わす。5員環はゼロ~2個の二重結合を有し、6員環および7員環はゼロ~3個の二重結合を有している。典型的な非置換のヘテロシクリル基は、炭素数1~12(例えば1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、または2~9)である。「ヘテロシクリル」という用語はさらに、架橋型の多環式構造であって、1つ以上の炭素およびヘテロ原子のうち少なくともいずれかが、1つの環の2つの隣接していない構成要員を架橋している構造(例えばキヌクリジニル基)を有する複素環式化合物も表わす。「ヘテロシクリル」という用語は、二環式、三環式および四環式の基であって、上記の複素環のうち任意のものが、1、2、または3個の炭素環、例えば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、または別の単環式複素環であって例えばインドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどに縮合せしめられているもの、を含んでいる。縮合ヘテロシクリルの例には、トロパン類および1,2,3,5,8,8a‐ヘキサヒドロインドリジンが挙げられる。複素環には、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル(例えば1,2,3‐オキサジアゾリル)、プリニル、チアジアゾリル(例えば1,2,3‐チアジアゾリル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが含まれ、これらのジヒドロ形態およびテトラヒドロ形態であって1つ以上の二重結合が低減されて水素に置き換えられているものを含んでいる。さらに別の典型的なヘテロシクリルには:2,3,4,5‐テトラヒドロ‐2‐オキソ‐オキサゾリル;2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐イミダゾリル;2,3,4,5‐テトラヒドロ‐5‐オキソ‐1H‐ピラゾリル(例えば2,3,4,5‐テトラヒドロ‐2‐フェニル‐5‐オキソ‐1H‐ピラゾリル);2,3,4,5‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐1H‐イミダゾリル(例えば2,3,4,5‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐5‐メチル‐5‐フェニル‐1H‐イミダゾリル);2,3‐ジヒドロ‐2‐チオキソ‐1,3,4‐オキサジアゾリル(例えば2,3‐ジヒドロ‐2‐チオキソ‐5‐フェニル‐1,3,4‐オキサジアゾリル);4,5‐ジヒドロ‐5‐オキソ‐1H‐トリアゾリル(例えば4,5‐ジヒドロ‐3‐メチル‐4‐アミノ5‐オキソ‐1H‐トリアゾリル);1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソピリジニル(例えば1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐3,3‐ジエチルピリジニル);2,6‐ジオキソ‐ピペリジニル(例えば2,6‐ジオキソ‐3‐エチル‐3‐フェニルピペリジニル);1,6‐ジヒドロ‐6‐オキソピリジミニル(oxopyridiminyl);1,6‐ジヒドロ‐4‐オキソピリミジニル(例えば2‐(メチルチオ)‐1,6‐ジヒドロ‐4‐オキソ‐5‐メチルピリミジン‐1‐イル);1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソピリミジニル(例えば1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐3‐エチルピリミジニル);1,6‐ジヒドロ‐6‐オキソ‐ピリダジニル(例えば1,6‐ジヒドロ‐6‐オキソ‐3‐エチルピリダジニル);1,6‐ジヒドロ‐6‐オキソ‐1,2,4‐トリアジニル(例えば1,6‐ジヒドロ‐5‐イソプロピル‐6‐オキソ‐1,2,4‐トリアジニル;2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐インドリル(例えば3,3‐ジメチル‐2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐インドリルおよび2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐3,3’‐スピロプロパン‐1H‐インドール‐1‐イル);1,3‐ジヒドロ‐1‐オキソ‐2H‐イソ‐インドリル;1,3‐ジヒドロ‐1,3‐ジオキソ‐2H‐イソ‐インドリル;1H‐ベンゾピラゾリル(例えば1‐(エトキシカルボニル)‐1H‐ベンゾピラゾリル);2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンズイミダゾリル(例えば3‐エチル‐2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンズイミダゾリル);2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐ベンゾオキサゾリル(例えば5‐クロロ‐2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐ベンゾオキサゾリル);2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐ベンゾオキサゾリル;2‐オキソ‐2H‐ベンゾピラニル;1,4‐ベンゾジオキサニル;1,3‐ベンゾジオキサニル;2,3‐ジヒドロ‐3‐オキソ,4H‐1,3‐ベンゾチアジニル;3,4‐ジヒドロ‐4‐オキソ‐3H‐キナゾリニル(例えば2‐メチル‐3,4‐ジヒドロ‐4‐オキソ‐3H‐キナゾリニル);1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐3H‐キナゾリル(例えば1‐エチル‐1,2,3,4‐テトラヒドロ‐2,4‐ジオキソ‐3H‐キナゾリル);1,2,3,6‐テトラヒドロ‐2,6‐ジオキソ‐7H‐プリニル(例えば1,2,3,6‐テトラヒドロ‐1,3‐ジメチル‐2,6‐ジオキソ‐7H‐プリニル);1,2,3,6‐テトラヒドロ‐2,6‐ジオキソ‐1H‐プリニル(例えば1,2,3,6‐テトラヒドロ‐3,7‐ジメチル‐2,6‐ジオキソ‐1H‐プリニル);2‐オキソベンズ[c,d]インドリル;1,1‐ジオキソ‐2H‐ナフト[1,8‐c,d]イソチアゾリル;ならびに1,8‐ナフチレンジカルボキサミド、が挙げられる。さらなる複素環には、3,3a,4,5,6,6a‐ヘキサヒドロ‐ピロロ[3,4‐b]ピロール‐(2H)‐イル、および2,5‐ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタノ‐2‐イル、ホモピペラジニル(またはジアゼパニル)、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルが含まれる。複素環基にはさらに、式
【0538】
【化141】
の基であって、上記式中、
E’は‐N‐および‐CH‐で構成されている群から選択され;F’は、‐N=CH‐、‐NH‐CH
2‐、‐NH‐C(O)‐、‐NH‐、‐CH=N‐、‐CH
2‐NH‐、‐C(O)‐NH‐、‐CH=CH‐、‐CH
2‐、‐CH
2CH
2‐、‐CH
2O‐、‐OCH
2‐、‐O‐、および‐S‐で構成されている群から選択され;G’は‐CH‐および‐N‐で構成されている群から選択される基も含まれる。本明細書中で言及されるヘテロシクリル基はいずれも、任意選択で、1、2、3、4個または5個の、以下すなわち:(1)C
1‐7アシル(例えばカルボキシアルデヒド);(2)C
1‐20アルキル(例えば、C
1‐6アルキル、C
1‐6アルコキシ‐C
1‐6アルキル、C
1‐6アルキルスルフィニル‐C
1‐6アルキル、アミノ‐C
1‐6アルキル、アジド‐C
1‐6アルキル、(カルボキシアルデヒド)‐C
1‐6アルキル、ハロ‐C
1‐6アルキル(例えばペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ‐C
1‐6アルキル、ニトロ‐C
1‐6アルキル、またはC
1‐6チオアルコキシ‐C
1‐6アルキル);(3)C
1‐20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシのようなC
1‐6アルコキシ);(4)C
1‐6アルキルスルフィニル;(5)C
6‐10アリール;(6)アミノ;(7)C
1‐6アルク‐C
6‐10アリール;(8)アジド;(9)C
3‐8シクロアルキル;(10)C
1‐6アルク‐C
3‐8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C
1‐12ヘテロシクリル(例えばC
2‐12ヘテロアリール);(13)(C
1‐12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C
1‐20チオアルコキシ(例えばC
1‐6チオアルコキシ);(17)‐(CH
2)
qCO
2R
A’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、R
A’は、(a)C
1‐6アルキル、(b)C
6‐10アリール、(c)水素、および(d)C
1‐6アルク‐C
6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(18)‐(CH
2)
qCONR
B’R
C’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、R
B’およびR
C’は独立に、(a)水素、(b)C
1‐6アルキル、(c)C
6‐10アリール、および(d)C
1‐6アルク‐C
6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(19)‐(CH
2)
qSO
2R
D’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、R
D’は、(a)C
1‐6アルキル、(b)C
6‐10アリール、および(c)C
1‐6アルク‐C
6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(20)‐(CH
2)
qSO
2NR
E’R
F’であって、式中のqはゼロ~4の整数であり、R
E’およびR
F’はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C
1‐6アルキル、(c)C
6‐10アリール、および(d)C
1‐6アルク‐C
6‐10アリール、で構成されている群から選択されるもの;(21)チオール;(22)C
6‐10アリールオキシ;(23)C
3‐8シクロアルコキシ;(24)アリールアルコキシ;(25)C
1‐6アルク‐C
1‐12ヘテロシクリル(例えばC
1‐6アルク‐C
1‐12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)(C
1‐12ヘテロシクリル)イミノ;(28)C
2‐20アルケニル;ならびに(29)C
2‐20アルキニル、で構成されている群から独立に選択された置換基で置換されうる。いくつかの実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書中に記載されるようにさらに置換されてもよい。例えば、C
1‐アルカリールまたはC
1‐アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されてそれぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を生じることができる。
【0539】
「(ヘテロシクリル)イミノ」という用語は、本明細書中で使用されるように、イミノ基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなヘテロシクリル基を表わす。いくつかの実施形態では、該ヘテロシクリル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0540】
「(ヘテロシクリル)オキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、酸素原子によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなヘテロシクリル基を表わす。いくつかの実施形態では、該ヘテロシクリル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0541】
「(ヘテロシクリル)オイル」という用語は、本明細書中で使用されるように、カルボニル基によって親分子群に取り付けられた、本明細書中に定義されるようなヘテロシクリル基を表わす。いくつかの実施形態では、該ヘテロシクリル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に定義されるような置換基でさらに置換されうる。
【0542】
「炭化水素」という用語は、本明細書中で使用されるように、炭素および水素原子のみで構成されている基を表わす。
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐OH基を表わす。いくつかの実施形態では、ヒドロキシ基(水酸基)は、1、2、3、または4個の、アルキルについて本明細書中に定義されるような置換基(例えばO‐保護基)で置換されうる。
【0543】
「ヒドロキシアルケニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、1~3個の水酸基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルケニル基であって、アルキル基の1個の炭素原子に水酸基は1個しか取り付けられないことを条件とするものを表わし、ジヒドロキシプロペニル、ヒドロキシイソペンテニルなどにより例証される。いくつかの実施形態では、該ヒドロキシアルケニル基は、1、2、3、または4個の、アルキルについて本明細書中に定義されるような置換基(例えばO‐保護基)で置換されうる。
【0544】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、1~3個の水酸基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基であって、アルキル基の1個の炭素原子に水酸基は1個しか取り付けられないことを条件とするものを表わし、ヒドロキシメチル、ジヒドロキシプロピルなどにより例証される。いくつかの実施形態では、該ヒドロキシアルキル基は、1、2、3、または4個の、アルキルについて本明細書中に定義されるような置換基(例えばO‐保護基)で置換されうる。
【0545】
「ヒドロキシアルキニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、1~3個の水酸基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキニル基であって、アルキル基の1個の炭素原子に水酸基は1個しか取り付けられないことを条件とするものを表わす。いくつかの実施形態では、該ヒドロキシアルキニル基は、1、2、3、または4個の、アルキルについて本明細書中に定義されるような置換基(例えばO‐保護基)で置換されうる。
【0546】
「異性体」という用語は、本明細書中で使用されるように、本発明の任意の化合物の任意の互変異性体、立体異性体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心および二重結合のうち少なくともいずれかを有することが可能であり、したがって、立体異性体、例えば二重結合異性体(すなわち幾何学的なE/Z異性体)またはジアステレオマー(例えばエナンチオマー(すなわち(+)もしくは(-))またはシス/トランス異性体)として存在しうることが認識されている。本発明によれば、本明細書中に示された化学構造およびしたがって本発明の化合物は、対応する立体異性体の全て、すなわち立体異性体に関して(stereomerically)純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、エナンチオマーに関して(enantiomerically)純粋、またはジアステレオマーに関して(diastereomerically)純粋)ならびにエナンチオマーおよび立体異性体の混合物(例えばラセミ化合物)をいずれも包含する。本発明の化合物のエナンチオマーおよび立体異性体の混合物は、典型的には、良く知られた方法、例えばキラルガスクロマトグラフィ、キラル高速液体クロマトグラフィ、キラル塩錯体としての化合物の結晶化、またはキラル溶媒中における化合物の結晶化によって、該混合物の構成要素のエナンチオマーまたは立体異性体へと分割されうる。エナンチオマーおよび立体異性体は、良く知られた不斉合成法によって、立体異性体に関して純粋またはエナンチオマーに関してに純粋な中間体、試薬、および触媒から得ることもできる。
【0547】
「N‐保護アミノ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるような1個または2個のN‐保護基が取り付けられた、本明細書中に定義されるようなアミノ基を指す。
【0548】
「N‐保護基」という用語は、本明細書中で使用されるように、合成手順の際に望ましからぬ反応からアミノ基を保護するように意図された基を表わす。一般に用いられるN‐保護基は、グリーン(Greene)、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版、米国ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、1999年に開示されており、前記文献は参照により本願に組込まれる。N‐保護基には、アシル、アリールオイル、またはカルバミル基であって例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t‐ブチルアセチル、2‐クロロアセチル、2‐ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o‐ニトロフェノキシアセチル、α‐クロロブチリル、ベンゾイル、4‐クロロベンゾイル、4‐ブロモベンゾイル、4‐ニトロベンゾイル、およびキラル補助基、例えば保護または非保護のD、LまたはD,Lアミノ酸であって例えばアラニン、ロイシン、フェニルアラニンなど;スルホニル含有基、例えばベンゼンスルホニル、p‐トルエンスルホニルなど;カルバマートを形成する基、例えばベンジルオキシカルボニル、p‐クロロベンジルオキシカルボニル、p‐メトキシベンジルオキシカルボニル、p‐ニトロベンジルオキシカルボニル、2‐ニトロベンジルオキシカルボニル、p‐ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4‐ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5‐ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4‐ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4‐メトキシベンジルオキシカルボニル、2‐ニトロ‐4,5‐ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5‐トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1‐(p‐ビフェニリル)‐1‐メチルエトキシカルボニル、α,α‐ジメチル‐3,5‐ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t‐ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,‐トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4‐ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル‐9‐メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど、アルカリール基、例えばベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど、ならびにシリル基、例えばトリメチルシリルなど、が挙げられる。好ましいN‐保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t‐ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t‐ブチルオキシカルボニル(Boc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0549】
「ニトロ」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐NO2基を表わす。
「O‐保護基」という用語は、本明細書中で使用されるように、酸素を含有する(例えばフェノール、ヒドロキシル、またはカルボニル)基を合成手順の際に望ましからぬ反応から保護するように意図された基を表わす。一般に用いられるO‐保護基は、グリーン(Greene)、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版、米国ニューヨーク、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、1999年に開示されており、前記文献は参照により本願に組込まれる。典型的なO‐保護基には、アシル、アリールオイル、またはカルバミル基であって例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t‐ブチルアセチル、2‐クロロアセチル、2‐ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o‐ニトロフェノキシアセチル、α‐クロロブチリル、ベンゾイル、4‐クロロベンゾイル、4‐ブロモベンゾイル、t‐ブチルジメチルシリル、トリ‐イソ‐プロピルシリルオキシメチル、4,4’‐ジメトキシトリチル、イソブチリル、フェノキシアセチル、4‐イソプロピルペヘノキシアセチル(4-isopropylpehenoxyacetyl)、ジメチルホルムアミジノ、および4‐ニトロベンゾイル;アルキルカルボニル基、例えばアシル、アセチル、プロピオニル、ピバロイルなど;任意選択で置換されたアリールカルボニル基、例えばベンゾイル;シリル基、例えばトリメチルシリル(TMS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ‐イソ‐プロピルシリルオキシメチル(TOM)、トリイソプロピルシリル(TIPS)など;ヒドロキシルとともにエーテルを形成する基、そのような(such)メチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、p‐メトキシベンジル、トリチルなど;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n‐イソプロポキシカルボニル、n‐ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec‐ブチルオキシカルボニル、t‐ブチルオキシカルボニル、2‐エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなど;アルコキシアルコキシカルボニル基、例えばメトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2‐メトキシエトキシカルボニル、2‐エトキシエトキシカルボニル、2‐ブトキシエトキシカルボニル、2‐メトキシエトキシメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、2‐ブテンオキシカルボニル、3‐メチル‐2‐ブテンオキシカルボニルなど;ハロアルコキシカルボニル、例えば2‐クロロエトキシカルボニル、2‐クロロエトキシカルボニル、2,2,2‐トリクロロエトキシカルボニルなど;任意選択で置換されたアリールアルコキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、p‐メチルベンジルオキシカルボニル、p‐メトキシベンジルオキシカルボニル、p‐ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4‐ジニトロベンジルオキシカルボニル、3,5‐ジメチルベンジルオキシカルボニル、p‐クロロベンジルオキシカルボニル、p‐ブロモベンジルオキシ‐カルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニルなど;ならびに任意選択で置換されたアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、p‐ニトロフェノキシカルボニル、o‐ニトロフェノキシカルボニル、2,4‐ジニトロフェノキシカルボニル、p‐メチル‐フェノキシカルボニル、m‐メチルフェノキシカルボニル、o‐ブロモフェノキシカルボニル、3,5‐ジメチルフェノキシカルボニル、p‐クロロフェノキシカルボニル、2‐クロロ‐4‐ニトロフェノキシ‐カルボニルなど;置換されたアルキル、アリール、およびアルカリールのエーテル(例えばトリチル;メチルチオメチル;メトキシメチル;ベンジルオキシメチル;シロキシメチル;2,2,2,‐トリクロロエトキシメチル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;エトキシエチル;1‐[2‐(トリメチルシリル)エトキシ]エチル;2‐トリメチルシリルエチル;t‐ブチルエーテル;p‐クロロフェニル、p‐メトキシフェニル、p‐ニトロフェニル、ベンジル、p‐メトキシベンジル、およびニトロベンジル);シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;t‐ブチルジメチルシリル;t‐ブチルジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリフェニルシリル;およびジフェニメチルシリル(diphenymethylsilyl));カルボナート(例えば、メチル、メトキシメチル、9‐フルオレニルメチル;エチル;2,2,2‐トリクロロエチル;2‐(トリメチルシリル)エチル;ビニル、アリル、ニトロフェニル;ベンジル;メトキシベンジル;3,4‐ジメトキシベンジル;およびニトロベンジル);カルボニル保護基(例えば、アセタール基およびケタール基であって例えばジメチルアセタール、1,3‐ジオキソランなど;アシラール基;およびジチアン基、例えば1,3‐ジチアン、1,3‐ジチオランなど);カルボン酸保護基(例えばエステル基、例えばメチルエステル、ベンジルエステル、t‐ブチルエステル、オルトエステルなど;ならびにオキサゾリン基、が挙げられる。
【0550】
「オキソ」という用語は、本明細書中で使用されるように、=Oを表わす。
「ペルフルオロアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルキル基であって該アルキル基に結合した各水素ラジカルがフルオリドラジカルによって置き換えられているものを表わす。ペルフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどにより例証される。
「ペルフルオロアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に定義されるようなアルコキシ基であって該アルコキシ基に結合した各水素ラジカルがフルオリドラジカルによって置き換えられているものを表わす。ペルフルオロアルコキシ基は、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシなどにより例証される。
【0551】
「スピロシクリル」という用語は、本明細書中で使用されるように、C2‐7アルキレンジラジカルであってその両端が親基の同じ炭素原子に結合されてスピロシクリル基を形成するもの、および同様にC1‐6ヘテロアルキレンジラジカルであってその両端が同じ原子に結合されるものを表わす。スピロシクリル基を形成しているヘテロアルキレンラジカルは、窒素、酸素、および硫黄で構成されている群から独立に選択された1、2、3、または4個のヘテロ原子を包含することができる。いくつかの実施形態では、スピロシクリル基は、ジラジカルが取り付けられている炭素原子以外に、1~7個の炭素を含む。本発明のスピロシクリル基は、任意選択で、シクロアルキル基およびヘテロシクリル基のうち少なくともいずれかについての任意選択の置換基として本明細書中に提供される1、2、3、または4個の置換基で置換されうる。
【0552】
「立体異性体」という用語は、本明細書中で使用されるように、化合物(例えば本明細書中に記載された任意の式の化合物)が有することができるあらゆる可能な異なる異性体および立体配座の形態、特に、基本の分子構造の、全ての可能な立体化学的かつ立体配座的な異性体、全てのジアステレオマー、エナンチオマーおよび配座異性体のうち少なくともいずれかを指す。本発明のいくつかの化合物は種々の互変異性体として存在することが可能であり、該異性体は全て本発明の範囲内に含まれている。
【0553】
「スルホアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐SO3Hのスルホ基によって置換された、本明細書中に定義されるようなアルキル基を表わす。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、本明細書中に記載されるような1、2、3、または4個の置換基でさらに置換可能であり、スルホ基は1つ以上のO‐保護基(例えば本明細書中に記載されるようなもの)でさらに置換されうる。
【0554】
「スルホニル」という用語は、本明細書中で使用されるように、‐S(O)2‐基を表わす。
「チオアルカリール」という用語は、本明細書中で使用されるように、式‐SRの化学置換基であって式中のRはアルカリール基であるものを表わす。いくつかの実施形態では、該アルカリール基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0555】
「チオアルクヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用されるように、式‐SRの化学置換基であって式中のRはアルクヘテロシクリル基であるものを表わす。いくつかの実施形態では、該アルクヘテロシクリル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0556】
「チオアルコキシ」という用語は、本明細書中で使用されるように、式‐SRの化学置換基であって式中のRは本明細書中に定義されるようなアルキル基であるものを表わす。いくつかの実施形態では、該アルキル基は、1、2、3、または4個の本明細書中に記載されるような置換基でさらに置換されうる。
【0557】
「化合物」:本明細書中で使用されるように、「化合物」という用語は、示された構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことを意味する。
本明細書中に記載された化合物は(例えば、1つ以上の立体中心を有して)非対称となりうる。別段の指定のない限り、エナンチオマーおよびジアステレオマーのような全ての立体異性体が意図される。非対称的に置換された炭素原子を含有する本開示の化合物は、光学活性体またはラセミ体の形で単離されうる。光学活性な出発物質からいかにして光学活性体を調製するかについての方法は、ラセミ混合物の分割によるか、または立体選択的合成によるなど、当分野で周知である。オレフィン、C=N二重結合など数多くの幾何異性体も本明細書中に記載された化合物中に存在しうるが、そのような安定な異性体はすべて本開示において企図されている。本開示の化合物のシスおよびトランス幾何異性体について説明されており、かつ該異性体は、異性体の混合物として単離されてもよいし、分離された異性体として単離されてもよい。
【0558】
本開示の化合物には互変異性体も含まれる。互変異性体は、単結合が隣接する二重結合と相互交換すると同時にプロトンが移動することから生じる。互変異性体には、同じ実験式および総電荷を有するプロトン化異性状態であるプロトトロピック互変異性体が挙げられる。例示のプロトトロピック互変異性体には、ケトン‐エノール対、アミド‐イミド酸対、ラクタム‐ラクチム対、アミド‐イミド酸対、エナミン‐イミン対、およびプロトンが複素環構造の2以上の部位を占めることができる環状の形態、例えば1H‐および3H‐イミダゾール、1H‐、2H‐および4H‐1,2,4‐トリアゾール、1H‐および2H‐イソインドール、ならびに1H‐および2H‐ピラゾールなどが挙げられる。互変異性体は平衡状態にあってもよいし、適切な置換により1つの形態に立体的に固定されてもよい。
【0559】
本開示の化合物はさらに、中間体または最終化合物中に生じる原子の全ての同位体をも含む。「同位体」とは、同じ原子番号を有するが核内の中性子の数が異なることから異なる質量数を有する原子を指す。例えば、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が含まれる。
【0560】
本開示の化合物および塩は、日常作業的な方法により、溶媒和物および水和物を形成するために溶媒または水の分子と組み合わせて調製されうる。
「保存された」:本明細書中で使用されるように、「保存された」という用語は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の、それぞれヌクレオチドまたはアミノ酸残基であって、比較されている2以上の配列の同じ部位において変更なく存在するヌクレオチドまたはアミノ酸残基であるものを指す。相対的に保存されたヌクレオチドまたはアミノ酸とは、配列中の他所に出現するヌクレオチドまたはアミノ酸よりも、より多くの関連配列において保存されているものである。
【0561】
いくつかの実施形態では、2以上の配列は、該配列が互いに100%同一である場合に「完全に保存された」と言われる。いくつかの実施形態では、2以上の配列は、該配列が互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合に「高度に保存された」と言われる。いくつかの実施形態では、2以上の配列は、該配列が互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%、または約99%同一である場合に「高度に保存された」と言われる。いくつかの実施形態では、2以上の配列は、該配列が互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合に「保存された」と言われる。いくつかの実施形態では、2以上の配列は、該配列が互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合に「保存された」と言われる。配列の保存は、オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用される場合もあれば、それらの一部、領域または主要部に適用される場合もある。
【0562】
「環式または環化された」:本明細書中で使用されるように、「環式」という用語は一続きの輪状構造の存在を指す。環式分子は円形である必要はないが、ただし結合して切れ目のないサブユニットの鎖を形成する。本発明のmRNAのような環式分子は、単一構成単位でも多量体であってもよく、複雑な構造または高次構造の構成要素を1つ以上含んでなることができる。
【0563】
「細胞増殖抑制性」:本明細書中で使用されるように、「細胞増殖抑制性(の)」とは、細胞(例えば哺乳動物細胞(例えばヒト細胞))、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生生物、プリオン、またはこれらの組み合わせの成長、分裂、または増殖を、阻害、低減、抑制することを指す。
【0564】
「細胞毒性」:本明細書中で使用されるように、「細胞毒性(の)」とは、細胞(例えば哺乳動物細胞(例えばヒト細胞))、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、寄生生物、プリオン、またはこれらの組み合わせを死滅させるか、または前記の細胞その他に対して有害、有毒、もしくは致命的な影響を引き起こすことを指す。
【0565】
「送達」:本明細書中で使用されるように、「送達」とは、化合物、物質、実体(もの)、構成部分、積荷またはペイロードを送達する行為または方法を指す。
「送達作用薬」:本明細書中で使用されるように、「送達作用薬」とは、標的細胞へのポリヌクレオチドのin vivoにおける送達を少なくとも部分的に促進する任意の物質を指す。
【0566】
「不安定化」:本明細書中で使用されるように、「不安定な(destable)」、「不安定化する」、または「不安定化領域」という用語は、その同じ領域または分子の当初の野生型すなわち天然の形態よりも、安定性の低い領域または分子を意味する。
【0567】
「検出可能な標識」:本明細書中で使用されるように、「検出可能な標識」とは、別の実体に取り付け、組み入れ、または関連付けがなされる1つ以上のマーカー、シグナル、または構成部分であって、X線検査、蛍光発光、化学発光、酵素活性、吸光度などを含む当分野で既知の方法によって容易に検出されるものを指す。検出可能な標識には、放射性同位体、発蛍光団、発色団、酵素、色素、金属イオン、リガンド、例えばビオチン、アビジン、ストレプトアビジンおよびハプテン、量子ドットなどが挙げられる。検出可能な標識は本明細書中に開示されたペプチドまたはタンパク質中の任意の部位に位置することができる。該標識は、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質の内部にあってもよいし、N末端またはC末端に位置してもよい。
【0568】
「消化(する)」:本明細書中で使用されるように、「消化(する)」という用語は、より小さな断片または構成成分へと分解することを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質に関する場合、消化はペプチドの産生をもたらす。
【0569】
「遠位(側)」:本明細書中で使用されるように、「遠位(側)」という用語は、中心から離れて位置するかまたは対象とする地点もしくは領域から離れて位置することを意味する。
【0570】
「コードされたタンパク質開裂シグナル」:本明細書中で使用されるように、「コードされたタンパク質開裂シグナル」とはタンパク質開裂シグナルをコードするヌクレオチド配列を指す。
【0571】
「人為操作された(engineered)」:本明細書中で使用されるように、本発明の実施形態は、該実施形態が構造的であれ化学的であれ出発点の野生型または天然の分子とは異なる特徴または特性を有するように設計される場合、「人為操作され」ている。
【0572】
「発現」:本明細書中で使用されるように、核酸配列の「発現」とは、以下の事象すなわち:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば転写による);(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ形成、または3’末端プロセシングのうち少なくともいずれかによる);(3)ポリペプチドまたはタンパク質へのRNAの翻訳;ならびに、(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾、のうち1つ以上を指す。
【0573】
「特徴」:本明細書中で使用されるように、「特徴」とは特質(characteristic)、特性(property)、または特有な要素を指す。
「調合物」:本明細書中で使用されるように、「調合物」は、少なくともポリヌクレオチドおよび送達作用薬を含む。
【0574】
「フラグメント」:「フラグメント」とは、本明細書中で使用されるように、一部分を指す。例えば、タンパク質のフラグメントは、培養細胞から単離された完全長タンパク質の消化により得られたポリペプチドを含んでなることができる。
【0575】
「機能的(機能性)」:本明細書中で使用されるように、「機能的」生体分子とは、該分子が、該分子を特徴付ける特性および活性のうち少なくともいずれかを示す形態である、生体分子である。
【0576】
「相同性(ホモロジー)」:本明細書中で使用されるように、「相同性」という用語は、ポリマー状分子の間、例えば、核酸分子(例えばDNA分子およびRNA分子のうち少なくともいずれか)間、およびポリペプチド分子間のうち少なくともいずれかにおける、全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー状分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一であるかまたは類似している場合、互いに「相同」であるとみなされる。「相同である」という用語は、必然的に少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列)の間の比較を指す。本発明によれば、2つのポリヌクレオチド配列は、該ポリヌクレオチド配列がコードするポリペプチドが、少なくとも約20アミノ酸の少なくとも1つの区間について少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または実に99%である場合、相同であるとみなされる。いくつかの実施形態では、相同なポリヌクレオチド配列は、少なくとも4~5個の独自に指定されたアミノ酸の区間をコードする能力によって特徴付けられる。長さ60ヌクレオチド未満のポリヌクレオチド配列については、相同性は、少なくとも4~5個の独自に指定されたアミノ酸の区間をコードする能力によって判定される。本発明によれば、2つのタンパク質配列は、該タンパク質が、少なくとも約20アミノ酸の少なくとも1つの区間について少なくとも約50%、60%、70%、80%、または90%同一である場合、相同であるとみなされる。
【0577】
「同一性」:本明細書中で使用されるように、「同一性」という用語は、ポリマー状分子の間、例えばオリゴヌクレオチド分子間(例えばDNA分子およびRNA分子のうち少なくともいずれか)、およびポリペプチド分子間のうち少なくともいずれかにおける、全体的な関連性を指す。2つのポリヌクレオチド配列の同一性(%)の計算は、例えば、最適な比較のためにその2つの配列をアラインメントすることにより実施されうる(例えば、最適なアラインメントのために第1および第2の核酸配列のうち一方または両方にギャップが導入されてもよく、また、比較の目的のために同一でない配列は無視されてもよい)。ある実施形態では、比較を目的としてアラインメントされる配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。その後、対応するヌクレオチド部位のヌクレオチドが比較される。第1の配列のある部位に第2の配列の対応する部位と同じヌクレオチドがある場合、これらの分子はその部位について同一である。2つの配列の間の同一性(%)は、その2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要のあるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、該配列によって共有される同一な部位の数の関数である。配列の比較、および2つの配列間の同一性(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して遂行することができる。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性(%)は、レスク(Lesk)、A.M.編、「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)、米国ニューヨーク、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、1988年;スミス(Smith)、D.W.編、「バイオコンピューティング:インフォマティクスおよびゲノムプロジェクト(Biocomputing: Informatics and Genome Projects)」、米国ニューヨーク、アカデミックプレス(Academic Press)、1993年;フォン・ハインイェ(von Heinje)、G.、「分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」、アカデミックプレス、1987年;グリフィン(Griffin)、A.M.およびグリフィン(Griffin)、H.G.編、「配列データのコンピュータ分析(Computer Analysis of Sequence Data)」、第I部、米国ニュージャージー、ヒューマナプレス(Humana Press)、1994年;ならびに、グリブスコフ(Gribskov)、M.およびデヴェルー(Devereux)、J.編、「配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer)、米国ニューヨーク、Mストックトンプレス(M Stockton Press)、1991年;に記載されているもののような方法を使用して決定可能であり、前記文献はそれぞれ参照により本願に組み込まれる。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性(%)は、マイヤーズ(Meyers)およびミラー(Miller)のアルゴリズム(コンピュータ・アプリケーション・イン・バイオサイエンス(CABIOS)、1989年、第4巻、p.11-17)を使用して決定することができるが、該アルゴリズムは、PAM120の重み付け残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用するALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。2つのヌクレオチド配列間の同一性(%)は、別例として、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用するGCGソフトウェアパッケージにおいてGAPプログラムを使用して決定することもできる。配列間の同一性(%)を決定するために一般に使用される方法には、限定するものではないが、カリロ(Carillo)、H.およびリプマン(Lipman)、D.、SIAMジャーナル・オン・アプライド・マスマティックス(SIAM J Applied Math.)、1988年、第48巻、p.1073に開示されたもの(参照により本願に組み込まれる)が挙げられる。同一性を決定するための技法は公的に利用可能なコンピュータプログラムに成文化されている。2つの配列間の相同性を決定するための典型的なコンピュータソフトウェアには、限定するものではないが、GCGプログラムパッケージ、デヴェルー(Devereux)、J.ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)、1984年、第12巻、第1号、p.387)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA アルトシュル(Altschul)、S.F.ら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Molec. Biol.)、1990年、第215巻、p.403)が挙げられる。
【0578】
「遺伝子の発現を阻害する」:本明細書中で使用されるように、「遺伝子の発現を阻害する」という言葉は、遺伝子の発現産物の量の低減を引き起こすことを意味する。該発現産物は、遺伝子から転写されたRNA(例えばmRNA)であってもよいし、遺伝子から転写されたmRNAから翻訳されたポリペプチドであってもよい。典型的には、mRNAのレベルの低減は、該mRNAから翻訳されるポリペプチドのレベルの低減をもたらす。発現のレベルは、mRNAまたはタンパク質を測定するための標準的な技法を使用して決定されうる。
【0579】
「in vitro」:本明細書中で使用されるように、「in vitro」という用語は、生物体(例えば動物、植物、または微生物)の中ではなく、人工的環境、例えば試験管内または反応槽内、細胞培養物中、ペトリ皿内などにおいて生じる事象を指す。
【0580】
「in vivo」:本明細書中で使用されるように、「in vivo」という用語は、生物体(例えば動物、植物、もしくは微生物、またはこれらの細胞もしくは組織)の中で生じる事象を指す。
【0581】
「単離(された)」:本明細書中で使用されるように、「単離(された)」という用語は、物質または実体であって該物質または実体が(自然界であるか実験的設定であるかに関わらず)関連付けられていた構成要素のうち少なくとも一部から分離されているものを指す。単離された物質は、該物質が関連付けられていた物質に関して様々なレベルの純度を有しうる。単離された物質および/または実体は、これらが当初関連付けられていた他の構成要素のうち少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離されうる。いくつかの実施形態では、単離された作用薬は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%を越えて純粋である。本明細書中で使用されるように、物質は、該物質が他の構成要素をほとんど含まない場合に「純粋」である。「ほぼ単離された」:「ほぼ単離された」とは、化合物が、該化合物が形成または検出された環境からほぼ(実質的に)分離されていることを意味する。部分的な分離には、例えば、本開示の化合物が強化された組成物が挙げられる。実質的な分離には、本開示の化合物またはその塩を重量比で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%含んでいる組成物が挙げられる。化合物およびその塩を単離する方法は当分野では日常的な作業である。
【0582】
「リンカー」:本明細書中で使用されるように、リンカーとは、原子団(例えば10~1,000個の原子)を指し、例えば、限定するものではないが、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、およびイミンなどの原子または基で構成されうる。リンカーは、第一端において核酸塩基または糖部分の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドに、かつ第二端においてペイロード(例えば検出可能な作用薬または治療薬)に、取り付けることができる。リンカーは、核酸配列中への組み入れを妨害しないために十分な長さのものであるとよい。リンカーは、任意の有用な目的に、例えば多量体を(例えば2つ以上のポリヌクレオチドの連結により)形成するかまたはコンジュゲートを形成するため、および本明細書中に記載されるようなペイロードを投与するために、使用されうる。リンカーに組み入れることができる化学基の例には、限定するものではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、エーテル、チオエーテル、エステル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、またはヘテロシクリルであり、これらはそれぞれ本明細書中に記載されるようにして任意選択で置換されうる。リンカーの例には、限定するものではないが、不飽和のアルカン、ポリエチレングリコール(例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノマー単位、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコール)、およびデキストランポリマーが挙げられる。他の例には、限定するものではないが、還元剤または光分解を使用して開裂されうるリンカー内の開裂部分、例えばジスルフィド結合(‐S‐S‐)またはアゾ結合(‐N=N‐)などが挙げられる。選択的に開裂可能な結合の非限定的な例には、例えばトリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、または他の還元剤の使用、および光分解のうち少なくともいずれかによって開裂可能なアミド結合、ならびに、例えば酸性加水分解または塩基性加水分解によって開裂可能なエステル結合が挙げられる。
【0583】
「修飾(された)」:本明細書中で使用されるように、「修飾(された)」とは、本発明の分子の変化した状態または構造を指す。分子は、化学的、構造的、かつ機能的など数多くの方法で修飾されうる。1つの実施形態では、本発明のmRNA分子は、非天然のヌクレオシドおよびヌクレオチドのうち少なくともいずれかを、例えば、天然型のリボヌクレオチドであるA、U、G、およびCに関するようにして導入することにより、修飾される。キャップ構造のような正統的でないヌクレオチドは、A、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造とは異なるが「修飾された」とはみなされない。
【0584】
「天然に存在する」:本明細書中で使用されるように、「天然に存在する」とは人為的な助力を伴わずに自然界に存在することを意味する。
「ヒト以外の脊椎動物」:本明細書中で使用されるように、「ヒト以外の脊椎動物」には、野生生物種および家畜生物種など、ホモ・サピエンスを除く全ての脊椎動物が含まれる。ヒト以外の脊椎動物の例には、限定するものではないが、哺乳動物、例えばアルパカ、バンテン、バイソン、ラクダ、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ロバ、ガヤール、ヤギ、モルモット、ウマ、ラマ、ミュール、ブタ、ウサギ、トナカイ、ヒツジ 水牛、およびヤクなどが挙げられる。
【0585】
「オフターゲット」:本明細書中で使用されるように、「オフターゲット」とは、任意の1つ以上の標的(ターゲット)、遺伝子、または細胞内転写物に対する任意の意図せぬ作用を指す。
【0586】
「オープンリーディングフレーム」:本明細書中で使用されるように、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」とは、所与のリーディングフレームにおいて終止コドンを含んでいない配列を指す。
【0587】
「作動可能なように連結された」:本明細書中で使用されるように、「作動可能なように連結された」という言葉は、2つ以上の分子、構築物、転写物、実体、構成部分などの間の機能的接続を指す。
【0588】
「パラトープ」:本明細書中で使用されるように、「パラトープ」とは抗体の抗原結合部位を指す。
「患者」:本明細書中で使用されるように、「患者」とは、治療を求めているかもしくは治療の必要がある可能性があるか、治療を必要としているか、治療を受けているか、治療を受ける予定である対象者、または、特定の疾患もしくは病状について熟練した専門家によるケアを受けている対象者を指す。
【0589】
「任意選択で置換(された)」:本明細書中、「任意選択で置換されたX」(例えば任意選択で置換されたアルキル)という形の表現は、「Xであって、Xは任意選択で置換されている」(例えば「アルキルであって、前記アルキルは任意選択で置換されている」)と等しいことが意図される。主体である「X」(例えばアルキル)それ自身が任意選択であることを意味するようには意図されていない。
【0590】
「ペプチド」:本明細書中で使用されるように、「ペプチド」は、50アミノ酸以下の長さ、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸の長さである。
【0591】
「薬学的に許容可能な」:「薬学的に許容可能な」という言葉は、本明細書中では、正しい医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく人間および動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的なベネフィット・リスク比に見合っている、化合物、材料、組成物、および剤形のうち少なくともいずれかを指すために使用される。
【0592】
「薬学的に許容可能な添加剤」:「薬学的に許容可能な添加剤」という言葉は、本明細書中で使用されるように、本明細書中に記載された化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することができるビヒクル)であって患者にほとんど無毒かつ非炎症性である特性を有する成分を指す。添加剤としては、例えば:接着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング、圧縮助剤、崩壊剤、色素(着色料)、皮膚軟化薬、乳化剤、充填剤(希釈剤)、塗膜形成物またはコーティング剤、香味料、芳香剤、流動促進剤(流動増強剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁化剤または分散剤、甘味料、および水和水が挙げられる。典型的な添加剤には、限定するものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、α化デンプン、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、セラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールが挙げられる。
【0593】
「薬学的に許容可能な塩」:本開示はさらに、本明細書中に記載された化合物の薬学的に許容可能な塩も含む。本明細書中に使用されるように、「薬学的に許容可能な塩」とは、開示された化合物の誘導体であって、親化合物が、既存の酸または塩基部分をその塩の形態に変換することにより(例えば遊離塩基の基を適切な有機酸と反応させることにより)修飾されているものを指す。薬学的に許容可能な塩の例には、限定するものではないが、塩基性残基の無機塩または有機酸塩、例えばアミン;酸性残基のアルカリ塩または有機塩、例えばカルボン酸;などが挙げられる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、硫酸ドデシル、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭素酸塩、塩酸塩、ヒドロヨージド、2‐ヒドロキシ‐エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2‐ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3‐フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどに加えて、無毒なアンモニウム、第四アンモニウム、およびアミンのカチオン類、例えば、限定するものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、などが挙げられる。本開示の薬学的に許容可能な塩には、例えば無毒の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の通常の無毒な塩が挙げられる。本開示の薬学的に許容可能な塩は、従来の化学的手法によって塩基性部分または酸性部分を含んでいる親化合物から合成されうる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離の酸または塩基の形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中、またはこれら2つの混合物中で、反応させることにより調製可能であり;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性の媒体が好ましい。適切な塩のリストは、「レミングトンの薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第17版、米国ペンシルバニア州イーストン、マック・パブリシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、1985年、p.1418、P.H.シュタール(Stahl)およびC.G.ワームース(Wermuth)編、「薬剤の塩:特性、選択、および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection,
and Use)」、ワイリー‐VCH(Wiley-VCH)、2008年、ならびにベルゲ(Berge)ら、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス(Journal of Pharmaceutical Science)、1977年、第66巻、p.1-19に見られ、前記文献はそれぞれ全体が参照により本願に組込まれる。
【0594】
「薬物動態」:本明細書中で使用されるように、「薬物動態(の)」とは、生体に投与された物質の運命の決定に関係するような、分子または化合物の任意の1つ以上の特性を指す。薬物動態は、吸収、分布、代謝および排泄の程度および速度を含むいくつかの分野に分割される。これは一般にADMEと呼ばれ:(A)吸収(Absorption)は、物質が血液循環系に入るプロセスであり;(D)分布(Distribution)は、身体の体液および組織の全体にわたる物質の分散または散在であり;(M)代謝(Metabolism)(または生体内変化)は、親化合物の娘代謝産物への不可逆的変換であり;(E)排泄(Excretion)(または排除)は、身体からの物質の排除を指す。まれな事例では、いくつかの医薬品は身体組織内に不可逆的に蓄積する。
【0595】
「薬学的に許容可能な溶媒和物」:「薬学的に許容可能な溶媒和物」という用語は、本明細書中で使用されるように、適切な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれている本発明の化合物を意味する。適切な溶媒は、投与用量で生理学的に忍容性である。例えば、溶媒和物は、有機溶媒、水、またはこれらの混合物を含んでいる溶液からの結晶化、再結晶化、または沈降反応によって調製されうる。適切な溶媒の例は、エタノール、水(例えば一水和物、二水和物、および三水和物)、N‐メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’‐ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’‐ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン(DMEU)、1,3‐ジメチル‐3,4,5,6‐テトラヒドロ‐2‐(1H)‐ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2‐ピロリドン、安息香酸ベンジルなどである。水が溶媒である場合、溶媒和物は「水和物」と呼ばれる。
【0596】
「物理化学的」:本明細書中で使用されるように、「物理化学的」とは、物理的特性および化学的特性のうち少なくともいずれかを意味するか、または該特性に関係することを意味する。
【0597】
「防止する(こと)」:本明細書中で使用されるように、「防止する(こと)」という用語は、感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの開始を部分的または完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの1つ以上の症状、特徴、または臨床徴候の開始を部分的または完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの1つ以上の症状、特徴、または徴候の開始を部分的または完全に遅延させること;感染、特定の疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの進行を部分的または完全に遅延させること;ならびに、該感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかに関連した病理を発症するリスクを減少させること、のうち少なくともいずれかを指す。
【0598】
「プロドラッグ」:本開示はさらに、本明細書中に記載された化合物のプロドラッグも含む。本明細書中で使用されるように、「プロドラッグ」とは、任意の物質、分子または実体であって、化学的または物理的に変化すると、その物質、分子または実体が治療薬として作用するための合法的に市販されている(predicate)形態になるものを指す。プロドラッグは共有結合によって結合されてもよいし何らかの方法で抑制されてもよく、哺乳動物の対象者に投与される前、投与され次第、または投与後に、活性薬物部分を放出するかまたは活性薬物部分へと変換される。プロドラッグは、化合物中に存在する官能基の修飾であって、該修飾が日常作業的操作またはin vivoのいずれかにおいて開裂されて親化合物となるような方法での修飾を行うことにより、調製されうる。プロドラッグには、任意の基にヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基が結合されている化合物であって、哺乳動物の対象者に投与された時に該任意の基が開裂して遊離のヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基をそれぞれ形成するものが挙げられる。プロドラッグの調製および使用については、T.ヒグチ(Higuchi)およびV.ステラ(Stella)、「新規な送達システムとしてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」、A.C.S.シンポジウムシリーズ(A.C.S. Symposium Series)、第14巻、ならびにエドワードB.ロッシュ(Edward B. Roche)編、「医薬分子設計における生体可逆的担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)」、米薬学会(American Pharmaceutical Association)およびペルガモンプレス(Pergamon Press)、1987年、において議論されており、前記文献はいずれも参照により全体が本願に組み込まれる)。
【0599】
「増殖する」:本明細書中で使用されるように、「増殖する」という用語は、成長、拡大もしくは増大すること、または急速な成長、拡大もしくは増大を引き起こすことを意味する。「増殖性」とは増殖する能力を有していることを意味する。「抗増殖性」とは、増殖特性に反するかまたは不適当である特性を有していることを意味する。
【0600】
「タンパク質開裂部位」:本明細書中で使用されるように、「タンパク質開裂部位」とはアミノ酸鎖の制御された開裂が化学的、酵素的または光化学的手段によって遂行することができる部位を指す。
【0601】
「タンパク質開裂シグナル」:本明細書中で使用されるように、「タンパク質開裂シグナル」とは、開裂のためにポリペプチドに目印またはマークを付与する少なくとも1つのアミノ酸を指す。
【0602】
「対象とするタンパク質」:本明細書中で使用されるように、「対象とするタンパク質」または「所望のタンパク質」という用語には、本明細書中に提供されるものならびにそのフラグメント、突然変異体、バリアントおよび改変物が含まれる。
【0603】
「近位(側)」:本明細書中で使用されるように、「近位(側)」という用語は、中心部または対象とする地点もしくは領域により近い位置にあることを意味する。
「精製された」:本明細書中で使用されるように、「精製する」、「精製された」、「精製」とは、不要成分、材料汚染、混成物または不完全体から、ほぼ純粋または清澄にすることを意味する。
【0604】
「試料」:本明細書中で使用されるように、「試料」または「生物学的試料」という用語は、その組織、細胞または構成要素部分のサブセット(例えば体液、例えば限定するものではないが血液、粘液、リンパ液、関節液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊膜帯血(amniotic cord blood)、尿、膣液および精液)を指す。試料にはさらに、生物全体またはその組織、細胞、もしくは構成要素部分のサブセットから調製されたホモジネート、溶解産物もしくは抽出物、またはこれらの画分もしくは一部分、例えば、限定するものではないが、例を挙げると血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚の外側部分、気道、腸管、および尿生殖器管、涙液、唾液、乳汁、血球、腫瘍、臓器が含まれうる。試料はさらに、タンパク質または核酸分子のような細胞成分を含んでいる可能性のある培地、例えば栄養ブイヨンまたはゲルを指す。
【0605】
「シグナル配列」:本明細書中で使用されるように、「シグナル配列」という言葉は、タンパク質の輸送または局在化を導くことができる配列を指す。
「顕著な、顕著に」:本明細書中で使用されるように、「顕著な」または「顕著に」という用語は、「ほぼ、ほとんど」という用語と同義的に使用される。
【0606】
「単一単位用量(single unit dose)」:本明細書中で使用されるように、「単一単位用量」とは、1回用量で/一度に/単一経路で/単一接点で(すなわち単回の投与事象で)投与される任意の治療薬の用量である。
【0607】
「類似性」:本明細書中で使用されるように、用語「類似性」とは、ポリマー状分子の間、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えばDNA分子およびRNA分子のうち少なくともいずれか)間、およびポリペプチド分子間のうち少なくともいずれかにおける、全体的な関連性を指す。ポリマー状分子相互の類似性(%)の計算は、類似性(%)の計算については当分野で理解されるような保存的置換を考慮に入れることを除いて、同一性(%)の計算と同じ方法で実施されうる。
【0608】
「分割用量」:本明細書中で使用されるように、「分割用量」とは、単一単位用量または一日合計用量を2回以上の用量に配分することである。
「安定な」:本明細書中で使用されるように、「安定な」とは、反応混合物から有用な程度の純度とする単離に耐えるのに十分に強健であり、かつ好ましくは効果的な治療薬への調合が可能な化合物を指す。
【0609】
「安定化された」:本明細書中で使用されるように、「安定化する」、「安定化された」、「安定化領域」という用語は、安定にすることまたは安定になることを意味する。
「対象者」:本明細書中で使用されるように、「対象者」または「患者」という用語は、本発明による組成物が、例えば、実験、診断、予防、および治療のうち少なくともいずれかの目的で投与される可能性のある任意の生物体を指す。典型的な対象者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類およびヒトのような哺乳動物)および植物のうち少なくともいずれかが挙げられる。
【0610】
「ほぼ(substantially)」:本明細書中で使用されるように、「ほぼ」という用語は、対象とする特質または特性の、全体またはほとんど全体の範囲または程度を示す質的状態を指す。生物学分野における当業者には理解されるであろうが、生物学的および化学的現象は、あるとしても、完了に至り、かつ/または、完全状態まで進むかもしくは絶対的な結果を達成する、もしくは免れる、ということはない場合が多い。したがって、「ほぼ」という用語は、多くの生物学的および化学的現象において本来的な完全状態の潜在的欠如を捕らえるために、本明細書中において使用される。
【0611】
「ほぼ等しい」:本明細書中で使用されるように、投薬間の時間差に関するとき、該用語はプラス/マイナス2%を意味する。
「ほぼ同時に」:本明細書中で使用されるように、かつ複数回の投薬に関するとき、該用語は2秒以内を意味する。
【0612】
「~に罹患している」:疾患、障害、および病状のうち少なくともいずれかに「罹患している」個体は、疾患、障害、および病状のうち少なくともいずれかの1つ以上の症状を有すると診断されているか、または該症状を示す。
【0613】
「~を被りやすい(~に罹患しやすい)」:疾患、障害、および病状のうち少なくともいずれかを「被りやすい(罹患しやすい)」個体は、疾患、障害、および病状のうち少なくともいずれかの症状を有するとは診断されていないか、かつ/または、該症状を示していないかもしれないが、疾患もしくはその症状を発症する傾向を有している。いくつかの実施形態では、疾患、障害、および病状のうち少なくともいずれか(例えば、がん)に罹患しやすい個体は、下記すなわち:(1)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの発症に関連する遺伝子突然変異;(2)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの発症に関連する遺伝的多型;(3)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかに関連するタンパク質および核酸のうち少なくともいずれかの、発現および活性のうち少なくともいずれかの増大および減少のうち少なくともいずれか;(4)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの発症に関連する、習慣およびライフスタイルのうち少なくともいずれか;(5)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの家族歴;ならびに(6)疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの発症に関連する微生物への曝露および該微生物による感染のうち少なくともいずれか、のうち1つ以上により特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかを被りやすい個体は、おそらく該疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかを発症することになろう。いくつかの実施形態では、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかを被りやすい個体は、該疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかを発症しないであろう。
【0614】
「合成(の)」:「合成(の)」という用語は、人の手によって生産、調製、および製造のうち少なくともいずれかがなされることを意味する。ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたは本発明の他の分子の合成は、化学合成であってもよいし、酵素合成であってもよい。
【0615】
「標的細胞」:本明細書中で使用されるように、「標的細胞」とは、対象とする任意の1以上の細胞を指す。該細胞は、in vitro、in vivo、in situまたは生物体の組織内もしくは臓器内において見出されうる。該生物体は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、最も好ましくは患者であってよい。
【0616】
「治療薬」:「治療薬」という用語は、対象者に投与された時に、治療的効果、診断的効果、および予防的効果のうち少なくともいずれかを有し、かつ/または、所望の生物学的効果および薬理効果のうち少なくともいずれかを誘発する、任意の作用薬を指す。
【0617】
「治療上有効な量」:本明細書中で使用されるように、「治療上有効な量」という用語は、感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかに罹患しているかまたは被りやすい対象者に投与された時に、該感染、疾病、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかについて治療、症状の改善、診断、予防、および開始の遅延のうち少なくともいずれかをなすのに十分な、送達されるべき作用薬(例えば核酸、薬物、治療薬、診断用薬、予防薬など)の量を意味する。
【0618】
「治療上有効な成果」:本明細書中で使用されるように、「治療上有効な成果」という用語は、感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかに罹患しているかまたは被りやすい対象者において、該感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかについて治療、症状の改善、診断、予防、および開始の遅延のうち少なくともいずれかをなすのに十分な成果を意味する。
【0619】
「一日合計用量」:本明細書中で使用されるように、「一日合計用量」とは24時間の間に与えられるかまたは処方される量である。それは単一単位用量として投与されてもよい。
【0620】
「転写因子」:本明細書中で使用されるように、「転写因子」という用語は、例えば転写の活性化または抑制によって、DNAのRNAへの転写を調節するDNA結合タンパク質を指す。いくつかの転写因子は単独で転写の調節を行う一方、他の転写因子は他のタンパク質と協力して作用する。転写因子のなかには、ある一定の条件下で転写の活性化および抑制の両方を行うことができるものもある。一般に、転写因子は標的遺伝子の調節領域内の特異的な共通配列に極めて類似している特異的な1または複数の標的配列に結合する。転写因子は、標的遺伝子の転写を単独で調節してもよいし、他の分子との複合体の状態で調節してもよい。
【0621】
「治療(すること)」:本明細書中で使用されるように、「治療(すること)」という用語は、特定の感染、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの1つ以上の症状または特徴の、部分的または完全な緩和、好転、改善、軽減、開始の遅延、進行の阻害、重症度の低減、および発生率の低減のうち少なくともいずれかを指す。例えば、がんを「治療すること」は、腫瘍の生存、成長、および転移のうち少なくともいずれかを阻害することを指すことができる。治療は、疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの徴候を示さない対象者、ならびに疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかの初期徴候のみを示す対象者のうち少なくともいずれかに、該疾患、障害および病状のうち少なくともいずれかに関連する病理を発症するリスクを減少させる目的で、投与されてもよい。
【0622】
「未修飾(の)」:本明細書中で使用されるように、「未修飾(の)」とは、何らかの形で変化せしめられる前の、任意の物質、化合物または分子を指す。未修飾とは、常にではないが、生体分子の野生型または天然型を指す場合もある。分子は一連の修飾を受けることが可能であり、これによりそれぞれの修飾分子は、その後の修飾のための「未修飾の」出発分子としての役割を果たすことができる。
【0623】
[等価物および範囲]
当業者は、型通りの実験作業しか使用せずとも、本明細書中に記載された本発明による特定の実施形態の数多くの等価物を認識するであろうし、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されるようには意図されておらず、添付の特許請求の範囲に述べられた通りである。
【0624】
特許請求の範囲において、冠詞、例えば「1つの(a, an)」および「その(the)」は、反することが示されるかまたは文脈からそうでないことが明白でない限りは、1または2以上を意味することができる。群の1つ以上の構成要員の間に「または、もしくは(or)」を含む請求項または記載は、反することが示されるかまたは文脈からそうでないことが明白でない限り、その群の構成要員のうち1つ、2以上、または全部が、所与の生成物もしくはプロセスの中に存在するか、該生成物もしくはプロセスにおいて使用されるか、またはその他の方法で該生成物もしくはプロセスに関係していれば条件が満たされるとみなされる。本発明は、その群のまさに1つの構成要因が、所与の生成物もしくはプロセスの中に存在するか、該生成物もしくはプロセスにおいて使用されるか、またはその他の方法で該生成物もしくはプロセスに関係している、実施形態を含んでいる。本発明は、その群の構成要員のうち2以上、または全部が、所与の生成物もしくはプロセスの中に存在するか、該生成物もしくはプロセスにおいて使用されるか、またはその他の方法で該生成物もしくはプロセスに関係している、実施形態を含んでいる。
【0625】
さらに、「~を含んでなる(comprising)」という用語は、オープンであることが意図され、かつ追加の要素またはステップを含めることを許容するが必須ではない、ということも留意される。「~を含んでなる」という用語が本明細書中で使用される場合、「~で構成される(consisting of)」という用語も包含かつ開示される。
【0626】
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。更に、当然のことであるが、別段の記載がないかまたは文脈および当業者の理解からそうでないことが明白でないかぎり、範囲として表現される値は、本発明の様々な実施形態において指定された範囲内のあらゆる具体値または部分範囲を、文脈がそうでないことを明白に記していないかぎり該範囲の下限値の単位の10分の1までとることが可能である。
【0627】
加えて、当然のことながら、先行技術の範囲内にある本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲の任意の1つ以上の請求項から明確に除外されうる。そのような実施形態は当業者に周知であると考えられるので、該実施形態は、本明細書中で除外について明確に述べられなくとも除外されうる。本発明の組成物のいかなる特定の実施形態(例えば任意の核酸または該核酸によりコードされるタンパク質;任意の生産方法;任意の使用方法など)も、先行技術の存在に関連づけられるか否かにかかわらず、任意の理由で、特許請求の範囲の任意の1つ以上の請求項から除外されうる。
【0628】
全ての引用された出典、例えば本明細書中で引用された参照文献、出版物、データベース、データベースエントリ、および技術は、その引用において明らかに記されなくとも参照により本願に組み込まれる。引用された出典および本願が矛盾する状況においては、本願における記述が優先されるものとする。
【0629】
[実施例]
本開示は以降の実施例においてさらに説明されるが、該実施例は特許請求の範囲に記載された開示内容の範囲を限定するものではない。
【0630】
実施例1. 修飾mRNAのin vitro転写
A. 材料および方法
本発明の修飾mRNAは、ヌクレオチド混合物が修飾ヌクレオチドを含んでいるということを除いて、in vitro転写のための標準的な実験室的方法および材料を使用して作製される。対象とする遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、強力なコザック翻訳開始シグナルを含んでいる5’非翻訳領域(UTR)と、アデノシンアナログ体を組み入れていないmRNAのための鋳型に基づいた(templated)polyAテールの付加を行うためのオリゴ(dT)配列を終端とするα‐グロビンの3’UTRとによって、両端が隣接せしめられる。アデノシンを含んでいるmRNAは、転写後のポリ(A)ポリメラーゼによるポリ(A)テーリングを可能にするためにオリゴ(dT)配列なしで合成される。
【0631】
修飾mRNAは細胞の先天性免疫応答を低減するために修飾されうる。該細胞応答を低減する修飾物には、プソイドウリジン(Ψ)および5‐メチル‐シチジン(5meC、5mcまたはm5C)が挙げられる。(カリコ(Kariko) Kら、イミュニティ(Immunity)、2005年、第23巻、p.165-75、(Kariko) Kら、モレキュラー・セラピー(Mol Ther)、2008年、第16巻、p.1833-40、アンダーソン(Anderson) BRら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(NAR)、2010年(参照により本願に組込まれる)を参照のこと)。
【0632】
該ORFはさらに、様々な上流または下流の付加物(例えば、限定するものではないが、β‐グロビン、タグなど)を含んでもよく、例えば、限定するものではないがDNA2.0社(米国カリフォルニア州メンローパーク)のような最適化サービスに注文可能であり、かつXbaI認識を有しうる多重クローニング部位を包含してもよい。該構築物は受領後すぐに再構成され、化学的にコンピテントな大腸菌に形質転換されうる。
【0633】
本発明については、NEBのDH5αコンピテント大腸菌が使用される。形質転換は、100ngのプラスミドを使用してNEBの指示書に従って実施される。プロトコールは以下のとおりである:
NEBの5αコンピテント大腸菌細胞のチューブを氷中で10分間融解させる。
【0634】
該細胞混合物に、1pg~100ngのプラスミドDNAを含有している1~5μlを加える。該チューブを4~5回注意深くはじいて細胞とDNAとを混合する。渦流混合は行わないこと。
【0635】
該混合物を氷中に30分間置く。混合しないこと。
42℃で正確に30秒間の熱ショックを加える。混合しないこと。
氷中に5分間置く。混合しないこと。
【0636】
該混合物中に室温のSOCを950μl、ピペット操作で加える。
37℃に60分間置く。激しく(250rpm)震とうまたは回転させる。
選択用プレートを37℃に温める。
【0637】
チューブをはじき、かつ反転させることにより細胞を徹底的に混合する。
選択用プレート上に各希釈物50~100μlを広げ、37℃で一晩インキュベートする。別例として、30℃で24~36時間または25℃で48時間インキュベートする。
【0638】
その後、適切な抗生物質を使用して単一コロニーが5mlのLB増殖用培地に接種され、次いで5時間成長せしめられる(250RPM、37℃)。次いでこれは200mlの培地に接種するために使用され、同じ条件下で一晩成長せしめられる。
【0639】
プラスミド(最大850μg)を単離するために、インビトロジェン(Invitrogen)のPURELINK(商標)HiPure Maxiprepキット(米国カリフォルニア州カールスバード)を使用し、製造業者の指示書に従ってマキシプレップ(大量調製)が実施される。
【0640】
in vitro転写(IVT)用のcDNAを生成するために、プラスミド(その一例は
図3に示されている)は最初にXbaIのような制限酵素を使用して線状化される。XbaIを用いた典型的な制限酵素消化は下記を含んでなることになる:プラスミドを1.0μg;10×バッファーを1.0μl;XbaIを1.5μl;dH
2Oで10μlとし;37℃で1時間インキュベートする。実験室規模(<5μg)で実施する場合、反応物は、インビトロジェンのPURELINK(商標)PCR Microキット(米国カリフォルニア州カールスバード)を使用して製造業者の指示書により精製される。より大規模な精製には、インビトロジェンの標準的なPURELINK(商標)PCRキット(米国カリフォルニア州カールスバード)のような、より大きな装荷能力を有する製品を用いて行われる必要があるかもしれない。精製に続いて、線状化されたベクターの量はNanoDrop(商標)を使用して定量され、線状化を確認するためにアガロースゲル電気泳動法を使用して解析される。
【0641】
B. 修飾mRNAのアガロースゲル電気泳動
個々の修飾mRNA(20μl体積中に200~400ng)は、1.2%の非変性アガロースE‐Gel(登録商標)(インビトロジェン、米国カリフォルニア州カールスバード)のウェルに装荷され、製造業者のプロトコールに従って12~15分間泳動せしめられる。
【0642】
C. RT‐PCR生成物のアガロースゲル電気泳動
個々の逆転写PCR生成物(200~400ng)は1.2%の非変性アガロースE‐Gel(インビトロジェン、米国カリフォルニア州カールスバード)のウェルに装荷され、製造業者のプロトコールに従って12~15分間泳動せしめられる。
【0643】
D. Nanodropによる修飾mRNAの定量およびUVスペクトルデータ
TEバッファー(1μl)中の修飾mRNAが、in vitro転写反応からの各修飾mRNAの収量を定量するためにNanodropのUV吸光度の読み取りに使用される(UV吸光度のトレースは示されない)。
【0644】
実施例2. 修飾mRNAのトランスフェクション
A. リバーストランスフェクション
24ウェルのコラーゲンコーティングされた組織培養プレートで行なわれる実験については、ケラチノサイトは1×105の細胞密度で播種される。96ウェルのコラーゲンコーティングされた組織培養プレートで行なわれる実験については、ケラチノサイトは0.5×105の細胞密度で播種される。トランスフェクションされるべき各修飾mRNAについて、修飾mRNA:RNAIMAX(商標)は記載のように調製され、細胞が組織培養プレートに付着してしまう前の細胞の播種から6時間以内にマルチウェルプレート中の細胞と混合せしめられる。
【0645】
B. フォワードトランスフェクション
24ウェルのコラーゲンコーティングされた組織培養プレートでは、ケラチノサイトは0.7×105の細胞密度で播種される。96ウェルのコラーゲンコーティングされた組織培養プレートで行なわれる実験については、ケラチノサイトは0.3×105の細胞密度で播種される。その後、ケラチノサイトは>70%コンフルエントになるまで24時間以上成長せしめられる。トランスフェクションされるべき各修飾mRNAについて、修飾mRNA:RNAIMAX(商標)は記載のように調製され、細胞の播種および組織培養プレートへの付着から24時間以上経た後のマルチウェルプレート中の細胞についてトランスフェクションされる。
【0646】
C. 修飾mRNAの翻訳スクリーニング:G‐CSF ELISA
ケラチノサイトは、インビトロジェン製のサプリメントS7(Supplement S7)を含んだEpiLife培地で>70%コンフルエントに成長せしめられる。ケラチノサイトは、インビトロジェンのRNAIMAX(商標)と複合体化された表示の化学修飾mRNAを300ng用いてリバーストランスフェクションされる。別例として、ケラチノサイトは、インビトロジェンのRNAIMAX(商標)と複合体化された修飾mRNAを300ng用いてフォワードトランスフェクションされる。RNA:RNAIMAX(商標)複合体は、最初に、サプリメントを含まないEPILIFE(登録商標)培地とともにRNAを容積で5×希釈として室温で10分間インキュベートすることにより、形成される。
【0647】
別のバイアルにおいて、RNAIMAX(商標)試薬は、サプリメントを含まないEPILIFE(登録商標)培地とともに容積で10×希釈として室温で10分間インキュベートされる。その後、RNAのバイアルはRNAIMAX(商標)のバイアルと混合せしめられ、室温で20~30インキュベートされてから細胞に一滴ずつ添加される。培地中の分泌huG‐CSF濃度は、トランスフェクション後18時間においてそれぞれの化学修飾mRNAについて3連として測定される。トランスフェクションされたヒトのケラチノサイトからのヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の分泌は、インビトロジェンまたはアール・アンド・ディー・システムズ(R and D Systems、米国ミネソタ州ミネアポリス)のELISAキットを使用して、製造業者の推奨する指示書に従って定量される。
【0648】
D. 修飾mRNAの用量および持続期間:G‐CSF ELISA
ケラチノサイトは、インビトロジェン製のサプリメントS7を含んだEPILIFE(登録商標)培地で>70%コンフルエントに成長せしめられる。ケラチノサイトは、0ng、46.875ng、93.75ng、187.5ng、375ng、750ng、または1500ngの、インビトロジェンのRNAIMAX(商標)と複合体化された修飾mRNAを用いて、リバーストランスフェクションされる。修飾mRNA:RNAIMAX(商標)複合体は記載されたようにして形成される。培地中の分泌huG‐CSF濃度は、トランスフェクション後0、6、12、24および48時間においてそれぞれの修飾mRNAの各濃度について3連として測定される。トランスフェクションされたヒトのケラチノサイトからのヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の分泌は、インビトロジェンまたはアール・アンド・ディー・システムズのELISAキットを使用して、製造業者の推奨する指示書に従って定量される。
【0649】
実施例3. 修飾核酸に対する細胞の先天性免疫応答:IFN‐β ELISAおよびTNF‐α ELISA
in vitroでトランスフェクションされたヒトケラチノサイト細胞から分泌されるヒト腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)、ヒトインターフェロン‐β(IFN‐β)およびヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)についての酸素結合免疫吸着検査法(ELISA)は、細胞の先天性免疫応答の検出に関して試験される。
【0650】
ケラチノサイトは、ヒトケラチノサイト成長サプリメントを含んだEPILIFE(登録商標)培地において、インビトロジェンのヒドロコルチゾンが存在しない状態で>70%コンフルエントに成長せしめられる。ケラチノサイトは、0ng、93.75ng、187.5ng、375ng、750ng、1500ngまたは3000ngの、記載されるようにしてインビトロジェンのRNAEIMAX(商標)と複合体化された表示の化学修飾mRNAを用いて、3連でリバーストランスフェクションされる。培地中の分泌されたTNF‐αは、トランスフェクション後24時間において、インビトロジェンのELISAキットを使用して製造業者のプロトコールに従って、それぞれの化学修飾mRNAについて測定される。
【0651】
分泌されたIFN‐βは、トランスフェクション後24時間において、インビトロジェンのELISAキットを使用して製造業者のプロトコールに従って、それぞれの化学修飾mRNAについて測定される。分泌されたhu‐G‐CSF濃度は、トランスフェクション後24時間において、それぞれの化学修飾mRNAについて測定される。トランスフェクションされたヒトのケラチノサイトからのヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の分泌は、インビトロジェンまたはアール・アンド・ディー・システムズ(米国ミネソタ州ミネアポリス)のELISAキットを使用して、製造業者の推奨する指示書に従って定量される。これらのデータは、典型的な1型サイトカインであるTNF‐αおよびIFN‐βの測定により、どの修飾mRNAが、天然ポリヌクレオチドおよび他の化学修飾ポリヌクレオチドまたは標準化合物と比較して細胞の先天性免疫応答の低減を導き出すことができるかを示す。
【0652】
実施例4. ヒト顆粒球コロニー刺激因子の修飾mRNAで誘導された細胞増殖反応の測定
ヒトケラチノサイトは、24ウェルのコラーゲンコーティングされたTRANSWELL(登録商標)(コーニング(Corning)、米国マサチューセッツ州ローウェル)共培養組織培養プレートで、インビトロジェンのサプリメントS7を備えたEPILIFE(登録商標)培地において、>70%コンフルエントに成長せしめられる。ケラチノサイトは、750ngの、記載されるようにしてインビトロジェンのRNAIMAX(商標)と複合体化された表示の化学修飾mRNAを用いて、3連でリバーストランスフェクションされる。修飾mRNA:RNAIMAX(商標)の複合体は記載されたようにして形成される。ケラチノサイト培地はトランスフェクション後6~8時間で交換される。トランスフェクション後42時間に、孔径0.4μmの半浸透性ポリエステルメンブレンを備えた24ウェルTRANSWELL(R)プレートインサートが、hu‐G‐CSFの修飾mRNAでトランスフェクションされたケラチノサイトを含んでいる培養プレート内に設置された。
【0653】
ヒト骨髄芽球細胞であるKasumi‐1細胞またはKG‐1(細胞数0.2×105個)が該インサートウェル内に播種され、細胞増殖は、共培養開始後42時間で、96ウェルプレートにおいて体積100~120μlで、CyQuant(登録商標)直接細胞増殖アッセイ(Direct Cell Proliferation Assay)(インビトロジェン)を使用して定量化された。hu‐G‐CSFをコードする修飾mRNAで誘導された骨髄芽球細胞の増殖は、トランスフェクションされていないケラチノサイト/骨髄芽球の共培養対照ウェルに対して標準化された細胞増殖率(%)として表される。ケラチノサイトおよび骨髄芽球両方のインサート共培養ウェルにおける分泌hu‐G‐CSF濃度は、共培養開始後42時間で、2連で各修飾mRNAについて測定される。ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の分泌は、インビトロジェンのELISAキットを使用して、製造業者の推奨する指示書に従って定量される。
【0654】
ヒトのケラチノサイトのフィーダー細胞およびトランスフェクションされていないヒト骨髄芽球細胞における、トランスフェクションされたhu‐G‐CSF修飾mRNAがRT‐PCRによって検出される。試料細胞からの全RNAは、RNAEASY(登録商標)キット(キアゲン(Qiagen)、米国カリフォルニア州バレンシア)を使用して製造業者の指示書に従って抽出および溶解される。抽出された全RNAは、PROTOSCRIPT(登録商標)M‐MuLV Taq RT‐PCRキット(ニュー・イングランド・バイオラボ(New England BioLabs)米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)を使用して、製造業者の指示書に従い、hu‐G‐CSF特異的プライマーを用いて、修飾mRNA‐G‐CSFの特異的増幅についてのRT‐PCRに供される。RT‐PCR生成物は1.2%アガロースゲル電気泳動によって視覚化される。
【0655】
実施例5. 細胞毒性およびアポトーシス
この実験は、異なる修飾mRNAでin vitroトランスフェクションされたヒトケラチノサイト細胞についての、細胞生存率、細胞毒性(cytotoxity)およびアポトーシスを実証する。ケラチノサイトは、ヒトケラチノサイト増殖サプリメントを含んだEPILIFE(登録商標)培地において、インビトロジェンのヒドロコルチゾンの非存在下で>70%コンフルエントに成長せしめられる。ケラチノサイトは、0ng、46.875ng、93.75ng、187.5ng、375ng、750ng、1500ng、3000ng、または6000ngの、インビトロジェンのRNAIMAX(商標)と複合体化された修飾mRNAを用いてリバーストランスフェクションされる。修飾mRNA:RNAIMAX(商標)の複合体が形成される。培地中の分泌huG‐CSF濃度は、トランスフェクション後0、6、12、24および48時間においてそれぞれの修飾mRNAの各濃度について3連として測定される。トランスフェクションされたヒトのケラチノサイトからのヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)の分泌は、インビトロジェンまたはアール・アンド・ディー・システムズのELISAキットを使用して、製造業者の推奨する指示書に従って定量される。細胞生存率、細胞毒性およびアポトーシスは、トランスフェクション後0、12、48、96、および192時間において、プロメガ(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)のAPOTOX‐GLO(商標)キットを使用して製造業者の指示書に従って測定される。
【0656】
実施例6. 共培養環境
ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)をコードする化学的に異なる修飾ヌクレオチドで構成された修飾mRNAは、共培養環境においてトランスフェクション能力のない細胞の細胞増殖を刺激する可能性がある。該共培養物は、ヒトケラチノサイトのようなトランスフェクション能力の高い種類の細胞と、白血球(WBC)のようなトランスフェクション能力のない種類の細胞とを含む。G‐CSFをコードする修飾mRNAは、トランスフェクション能力の高い細胞にトランスフェクションされて細胞外環境へのG‐CSFタンパク質の産生および分泌を可能とし、該細胞外環境においてG‐CSFはパラクリン様の方式で作用してG‐CSFレセプターを発現する白血球が増殖するように刺激する。増殖したWBC集団は、免疫力が低下した患者を治療するために、または、免疫抑制患者のWBC集団を部分的に再構成し、その結果日和見感染のリスクを低減するために、使用されうる。
【0657】
別の例では、繊維芽細胞のようなトランスフェクション能力の高い細胞が、トランスフェクション能力に乏しい胚性幹細胞または人工多能性幹細胞の成長、維持、または分化を支援かつシミュレート(simulate)するある種の成長因子でトランスフェクションされる。
【0658】
実施例7. 修飾核酸(修飾mRNA)への5’‐グアノシンキャッピング
A. 材料および方法
クローニング、遺伝子合成およびベクターの塩基配列決定は、DNA2.0社(DNA2.0 Inc.、米国カリフォルニア州メンローパーク)によって実施された。ORFは、XbaIを使用して制限酵素消化され、テール付き(tailed)またはテール無し(tail-less)PCRを用いるcDNA合成に使用された。テール付きPCRのcDNA生成物は、それぞれ25mMの修飾ヌクレオチド混合物(修飾ヌクレオチドはすべて米国カリフォルニア州サンディエゴのトリリンク・バイオテク(TriLink Biotech)からカスタム合成または購入され、ただし例外としてピロロ‐C三リン酸は米国バージニア州スターリングのグレン・リサーチ(Glen Research)から購入され;非修飾ヌクレオチドは米国ウィスコンシン州マディソンのエピセンター・バイオテクノロジー(Epicenter Biotechnologies)から購入された)およびCellScript(商標)MEGASCRIPT(商標)(エピセンター・バイオテクノロジー、米国ウィスコンシン州マディソン)完全mRNA合成キットを使用する修飾mRNAの合成反応のための、テンプレートとして使用された。in vitroの転写反応は37℃で4時間実行された。アデノシンアナログ体を組み入れている修飾mRNAは、酵母ポリ(A)ポリメラーゼ(アフィメトリックス(Affymetrix)、米国カリフォルニア州サンタクララ)を使用してポリ(A)テールが付された。PCR反応には、HiFi PCR 2×MASTER MIX(商標)(カパ・バイオシステムズ(Kapa Biosystems)、米国マサチューセッツ州ウォーバーン)が使用された。修飾mRNAは、組換えワクシニアウイルスキャッピング酵素(ニュー・イングランド・バイオラボ(New England BioLabs)、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)および組換え2’‐o‐メチルトランスフェラーゼ(エピセンター・バイオテクノロジー、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して転写後にキャッピングされ、5’‐グアノシンCap1構造が生成された。1または複数のキャップ2構造が、さらなる2’‐o‐メチルトランスフェラーゼを使用して生成されてもよい。in vitro転写された該mRNA生成物は、アガロースゲルで泳動かつ視覚化された。修飾mRNAは、アンビオン/アプライド・バイオシステムズ(Ambion/Applied Biosystems、米国テキサス州オースティン)のMEGAClear RNA(商標)精製キットで精製された。PCRにはPURELINK(商標)PCR精製キット(インビトロジェン、米国カリフォルニア州カールスバード)が使用された。生成物はNANODROP(商標)UV吸光度計(UV Absorbance)(サーモフィッシャー(ThermoFisher)、米国マサチューセッツ州ウォルサム)で定量された。生成物の品質、UV吸光度品質(UV absorbance quality)および視覚化は1.2%アガロースゲル上で実施された。生成物はTEバッファー中に再懸濁された。
【0659】
B. 5’キャッピング修飾核酸(mRNA)の構造
修飾mRNAの5’キャッピングは、5’‐グアノシンキャップ構造を生成するための以下の化学的RNAキャップアナログ:3’‐O‐Me‐m7G(5’)ppp(5’)G(ARCAキャップ);G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)G(ニュー・イングランド・バイオラボ、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)を使用して、製造業者のプロトコールに従ってin vitro転写反応の際に付随的に完成されてもよい。修飾mRNAの5’キャッピングは、「キャップ0」構造すなわち:m7G(5’)ppp(5’)G(ニュー・イングランド・バイオラボ、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)を生成するためのワクシニアウイルスキャッピング酵素を使用して転写後に完成されてもよい。キャップ1構造は、m7G(5’)ppp(5’)G‐2’‐O‐メチルを生成するためにワクシニアウイルスキャッピング酵素および2’‐Oメチルトランスフェラーゼの両方を使用して生成されうる。キャップ2構造は、キャップ1構造から、その後の2’‐Oメチルトランスフェラーゼを使用した5’‐末端から3番目のヌクレオチドの2’‐o‐メチル化により生成されうる。キャップ3構造は、キャップ2構造から、その後の2’-Oメチルトランスフェラーゼを使用した5’‐末端から4番目のヌクレオチドの2’‐o‐メチル化により生成されうる。酵素は、組換え体供給源に由来することが好ましい。
【0660】
哺乳動物細胞にトランスフェクションされた時、該修飾mRNAは、12~18時間または18時間を超える、例えば24、36、48、60、72、もしくは72時間を超える、安定性を有する。
【0661】
実施例8. N4‐メチルシチジン(化合物1)およびN4‐メチルCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0662】
【化142】
ウリジンはシリル化されてトリシリル化化合物が提供され、該化合物はカラムにより精製され、無水条件下にて再蒸留POCl
3/トリアゾールで活性化され、次いで40%メチルアミン水溶液を用いた求核置換が行われた。このようにN4‐メチル‐2’,3’,5’‐トリ‐O‐TBDMS‐シチジンがクロマトグラフィ精製の後に得られた。該生成物はTBAFで脱保護され、次いでエタノール‐酢酸エチル(3:1)溶剤系で精製されて化合物1が得られた。最終生産物の特徴解析が行われ、NMR(DMSO中);MS:258(M+H)
+、280(M+Na)
+、および296(M+K)
+;ならびにHPLC:純度、99.35%であった(
図1A~1D)。HPLC、純度98%(
図2)。
【0663】
実施例9. 2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐シチジン(化合物2)および2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTP(前記化合物のNTP)の合成
【0664】
【化143】
2’‐O‐メチルウリジンはシリル化されてジシリル化化合物が得られた。精製された2’‐O‐メチル‐3’,5’‐ジ‐O‐TBDMSウリジンは無水条件下にて再蒸留POCl
3およびイミダゾールを用いて活性化され、その後、HClを捕捉するためのトリエチルアミン環境下にてジメチルアミン塩酸塩を用いた求核置換が行われた。中間化合物N4,N4,2’‐トリ‐O‐メチル‐3’,5’‐ビス‐O‐TBDMSウリジンはフラッシュクロマトグラフィによって精製され、白色の泡状物として得られた。得られた化合物はTBAFで脱保護され、次いで精製されて、~400mgの最終生成物である化合物2が白色の泡状物として提供された。ES MS:m/z 308(M+Na)
+、386(M+H)
+;HPLC:純度、99.49%(
図3A~3C)。
【0665】
対応するNTPを合成するために、70mgのヌクレオシド化合物2から、イオン交換カラムおよび逆相カラムによる精製の後に23mgの2’‐OMe‐N,N‐ジ‐Me‐CTPが提供された。HPLC:純度、95%(
図4)。
【0666】
実施例10. 5‐メトキシカルボニルメトキシウリジン(化合物3)および5‐メトキシカルボニルメトキシ‐UTP(前記化合物のNTP)の合成
【0667】
【化144】
ウリジン3‐aの水溶液は過剰量の臭素で処理され、次いで臭素を除去するために空気で洗い流された。該反応混合物は制御された速度および温度にてピリジンで処理された。該反応中、不安定な臭素中間物3‐bは徐々にジヒドロキシル中間物3‐cへと変換し、3‐cは恐らく脱水されて安定な5‐ヒドロキシウリジン3‐dとなった。その後、その5‐ヒドロキシウリジンは2’,3’‐イソプロピリデン基で保護されて化合物3gが提供された。化合物3‐fとの反応により化合物3が提供された。
【0668】
60~70mgの該ヌクレオシドから、2回のHPLCカラム精製および2回の凍結乾燥ステップを経て、>21mgの所望の三リン酸塩が得られた。HPLC:純度、98%(
図5)。
【0669】
実施例11. 3‐メチルプソイドウリジン(化合物4)および3‐メチルプソイド‐UTP(前記化合物のNTP)の合成
【0670】
【化145】
プソイドウリジン4‐aはAc
2Oと反応せしめられ、アセチルで保護されたプソイドウリジン4‐bが得られた。次いで、N1がPOMで選択的に防護されて化合物4‐cが得られた。N3のメチル化、その後の脱保護から、化合物4(~400mg)が得られた。分子式:C10H14N2O6、分子量:258.23g/mol;外観:白色固形物;保存条件:25℃で保存;HPLC:純度、98.51%;
1H NMR(DMSO‐d
6):δ11.17(d、1H、J=3.0Hz)、7.56(d、1H、J=3.6Hz)、4.91(d、1H、J=3.6Hz)、4.79(t、1H、J=4.2Hz)、4.70(d、1H、J=4.2Hz)、4.49(d、1H、J=3.0Hz)、3.82‐3.88(m、2H)、3.66‐3.67(m、1H)、3.57‐3.61(m、1H)、3.40‐3.47(m、1H)、3.09(s、3H);MS:281(M+Na)
+)(
図6Aおよび6B)。
【0671】
化合物4を得るために代替経路を適用することも考えられる。例えば、プソイドウリジンはO‐保護基(例えば、TMSのような本明細書中に記載されたもの)と反応せしめられ、かつN‐保護基(例えば、N1のアセチルのような本明細書中に記載されたもの)と反応せしめられることも考えられる。その後、核酸塩基のN3がアルキル化剤(例えば、ジメチルアミン/ジメトキシメチル)と反応せしめられて、N‐保護基およびO‐保護基を有する化合物4が提供されてもよい。最後に、得られた化合物は脱保護されて(例えば、NH3/MeOHのような塩基性条件下)、化合物4が得られることになろう。
【0672】
実施例12. N‐Ac,5‐Ac‐OCH2シチジン(化合物5)の合成
【0673】
【化146】
ウリジン5‐aは保護されてイソプロピリデン化合物5‐bが得られ、化合物5‐bは(CHCO)
nと反応せしめられた。酢酸が触媒量のTFAとともに使用されて、所望の選択的にアシル化された化合物5‐fが得られた(収率30%)。5’‐OH基のさらなるトリチル化により、所望の直交保護された化合物5‐gが得られた。
【0674】
化合物5‐gはPOCl3およびトリアゾールで処理されて、脱アシル化化合物5‐iとともに化合物5‐hが得られた。これらの2つの化合物のアセチル化により、完全に保護されたジアシル化化合物5‐jが得られた。加熱条件下での酢酸を用いた化合物5‐jの脱保護から3つの生成物が得られ、そのうちの1つは化合物5であった。
【0675】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応(triphosphate reaction)を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex(登録商標)DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0676】
出発物質としてシチジンから始めるなど、化合物5を得るために代替経路を適用することも考えられる。そのような方法では、5位は、ハロゲンまたはハロゲン化剤(例えば、I2/メタクロロペルオキシ安息香酸などの本明細書中に記載された任意のもの)と反応せしめられることも考えられ、該ハロゲンまたはハロゲン化剤はアルキル化剤に置き換えることも可能である。さらに、そのような方法は、シチジンのアミノ基および糖部分のヒドロキシル基のうち少なくともいずれかを保護するために、1つ以上のN‐保護基またはO‐保護基(例えば、シリル化またはアセチル化のような、本明細書中に記載された任意のもの)を使用することを含むことも考えられる。
【0677】
実施例13. 5‐TBDMS‐OCH2‐シチジン(化合物6)の合成
【0678】
【化147】
5‐ヒドロキシウラシル化合物’‐bはグリコシル化されて化合物6’‐dが得られ(収率28%)、化合物6’‐dはシリル化されて化合物6’‐eが得られた。保護されたウリジンの活性化により、さらなるアミノ化および脱保護の後に所望の化合物6が得られた(800mgの最終化合物)。分子式:C16H29N3O6Si;分子量:387.50g/mol;外観:白色固形物;保存条件:25℃で保存;HPLC:純度、97.57%;
1H NMR(CDCl
3):d 7.81(s、1H)、7.40(bs、1H)、6.49(bs、1H)、5.79(d、1H、J=2.4Hz)、5.3-5.32(m、1H)、5.00-5.07(m、2H)、4.30-4.45(m、2H)、3.90-3.94(m、2H)、3.80-3.83(m、1H)、3.50-3.70(m、2H)、0.87(s、9H)、0.05(S、6H);MS:388(M+H)
+、410(M+Na)
+)(
図7A~7C)。
【0679】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0680】
実施例14. 5‐トリフルオロメチルシチジン(化合物7)の合成
【0681】
【化148】
化合物7‐Aはグリコシル化されて化合物7‐Bが得られ、化合物7‐Bは2,4,6‐トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(TPSCl)で処理されて、カルボニル基が活性化され、かつ還元的アミノ化が促進された。脱保護により化合物7が得られた。TPSClの代わりに、2,4,6‐トリメチルベンゼンスルホニルクロリドのような代替活性化剤を使用することも考えられる。
【0682】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0683】
実施例15. 5‐トリフルオロメチルウリジン(化合物8)の合成
【0684】
【化149】
5‐トリフルオロメチルウラシル8‐Aはテトラ‐O‐アセチルリボースを用いてグリコシル化され、所望の三官能基保護型の5‐トリフルオロメチルウリジン8‐Bが好収率で得られた。さらなる脱保護により所望の化合物8が得られ、NMR、MSおよびHPLCの結果で特徴解析がなされた。MS:313(M+H)
+、335(M+Na)
+;
HPLC:純度、98.87%、(
図8A~8C)。
【0685】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0686】
実施例16. 5‐(メトキシカルボニル)メチルウリジン(化合物9)の合成
【0687】
【化150】
ウリジン9‐aは保護されて化合物9‐bが得られた(収率98%)。この化合物は、無水酢酸および酢酸の存在下で過剰量の臭素を用いて臭素化された。5‐ブロモアナログ体9‐cが得られ(収率60%)、さらにベンゾイル化されて所望の化合物9‐dが得られた(収率64%)。5‐ブロモ化合物9‐dは塩基性条件下でマロン酸ジメチルとともに縮合され、アリール化されたマロナートおよび完全に保護されたジエステル9‐eが得られた(収率50%)。脱カルボキシル化および脱保護の後、化合物9が得られてNMRにより確認された(
図9)。
【0688】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0689】
実施例17. 5‐(メトキシカルボニル)メチル‐2’‐O‐メチルウリジン(2‐OMe‐MCM5U)(化合物10)の合成
【0690】
【化151】
上記の化合物9の合成と同様の方策で、2’‐O‐メチルウリジン10‐aはアシル化および臭素化されて化合物10‐cが得られた。さらなるベンゾイル化により5‐ブロモアナログ体10‐dが得られ、これはマロン酸ジメチルとともに縮合されて所望の生成物10‐eが得られた(収率45%)。脱カルボキシル化および脱保護により化合物10が得られた。
【0691】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0692】
実施例18. 5‐トリフルオロアセチル‐アミノメチル‐2‐チオウリジン(化合物11)の合成
【0693】
【化152】
2‐チオウラシル11‐aのグリコシル化によって化合物11‐cが得られ、化合物11‐cは任意の有用な脱保護試薬で脱保護されうる。具体的には、LiOHによって所望の生成物11‐dが得られた(収率80~90%)。イソプロピリデン保護により化合物11‐eが得られた(収率90%)。さらなる5‐ヒドロキシメチル化により化合物11‐fが得られた。塩素化、アジ化、およびさらなる還元によってメチルアミン化合物11‐iが得られ、該化合物はアセチル化されて提示の化合物11となされた。
【0694】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0695】
実施例19. 5‐メチルアミノメチル‐2‐ウリジン(化合物12)の合成
【0696】
【化153】
化合物12は任意の有用な方法によって得ることができる(例えば、上記スキーム(i)および(ii)を参照)。例えば、化合物12を提供するために、保護されたウラシルがグリコシル化され、続いてアミノ化されてもよい。追加の保護、脱保護、および活性化ステップが必要に応じて行われてもよい。対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0697】
実施例20. 5‐TFA‐メチルアミノメチル‐2‐ウリジン(化合物13)の合成
【0698】
【化154】
ウリジン13‐aはイソプロピリデンで保護されて化合物13‐bが得られ、次いで5‐ヒドロキシメチル化されて化合物13‐cが得られた。塩素化およびその後のアミノ化により化合物13‐eが得られ、化合物13‐eの保護により13‐fを得ることができる。その後の脱保護により化合物13が得られた。
【0699】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0700】
実施例21. 5‐カルボキシメチルアミノメチルウリジン(化合物14)の合成
【0701】
【化155】
ウリジン14‐aはイソプロピリデンで保護されて化合物14‐bが得られ、次いでマンニッヒ反応を用いた5‐アミノアルキル化により化合物14‐cが得られた。メチル化により第四級アミン14‐dが得られた。その後のアミノ化および脱保護のステップは化合物14を提供するために使用することができる。対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0702】
実施例22. 5‐メチルアミノメチル‐2‐ウリジン(化合物12)および5‐カルボキシメチルアミノメチル‐2‐ウリジン(化合物14)の代替例による合成
【0703】
【化156】
化合物12および14について上記に提供された方策に加えて、次の方策も実践されうる。5‐メチルウリジンAはシリル化されて化合物Bが提供されうる。ラジカルモノ臭素化の後、得られた中間臭化物Cは、化合物12および化合物14のアナログ体の調製に使用されうる。臭化化合物Cを続いてアルキルアミノ化して、脱保護によりそれぞれ化合物14および12を提供しうる化合物DおよびEを得ることも考えられる。対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0704】
実施例23. ジメチル‐プソイドウリジン(化合物15)およびジメチル‐プソイド‐UTP(前記化合物のNTP)の合成
【0705】
【化157】
ヌクレオシドは任意の有用な方法によってリン酸化されうる。例えば、上記に示されるように、ヌクレオシドをオキシ塩化リンと反応させ、続いてモノリン酸中間物を用いてビス(トリブチルアンモニウム)ピロリン酸(TBAPP)で処理することにより三リン酸塩が得られる。
【0706】
実施例24. 2’‐C‐メチルアデノシン(化合物16)および2’‐C‐メチルATP(前記化合物のNTP)の合成
【0707】
【化158】
約5gの化合物16‐2は、5gの化合物16‐1からデス・マーチン・ペルヨーダン(Dess-Martin periodane)反応によって調製された。化合物16‐2はMeMgI/TiCl4/-78℃と反応せしめられて化合物16‐3が得られ、粗製化合物16‐3(6g)は塩化ベンジルと直接反応せしめられて化合物16‐4が調製された。核酸塩基との反応および脱保護により化合物16(0.56g)が得られた。
【0708】
実施例25. 2’‐C‐メチル‐シチジン異性体(化合物17および化合物18)ならびに2’‐C‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0709】
【化159】
約17.4gの化合物17‐3は20gの化合物17‐1から調製された。次いで、2’‐酸化およびMeMgIを用いたアルキル化により300mgの化合物17‐5aおよび80mgの化合物17‐5bが得られた。約9gの化合物17‐5a(純度約90%)および2.1gの化合物17‐5b(純粋)が、17.4gの化合物17‐3から2バッチで調製された。N‐脱保護およびO‐脱保護により化合物17および18が得られた。
【0710】
実施例26. 2’‐C‐メチルグアノシン(化合物19)および2’‐C‐メチルGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0711】
【化160】
保護されたリボース19‐1の2’‐酸化およびその後のMeMgClを用いたアルキル化により、化合物19‐3が得られた。得られた化合物はさらに保護されて化合物19‐4が得られ、3.1gの化合物19‐4から1.56gの化合物19‐5aが調製された。その後のオイデーション(oidation)および脱保護から化合物19(純度約90%、50mg)が得られた。
【0712】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0713】
実施例27. 2’‐C‐メチルウリジン(化合物20)および2’‐C‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0714】
【化161】
保護されたリボース20‐1の2’‐酸化およびその後のMeMgClを用いたアルキル化により、化合物20‐3が得られた。生じた化合物はさらに保護されて化合物20‐4が得られた。ウラシルとの反応および脱保護から純粋な化合物20(50mg)が得られた。
【0715】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0716】
実施例28. (S)‐2’‐C‐メチルアデノシン(化合物21)および(S)‐2’‐C‐メチルATP(前記化合物のNTP)の合成
【0717】
【化162】
化合物21‐1(5g)は保護されて化合物21‐2aが形成され、クロム酸化により化合物21‐3aが得られた。経路[i]を介したアルキル化(エーテル中の5等量(eq.)のMeMgI、-50℃)により化合物21‐4が得られた。任意選択で、アミノ基を保護して化合物21‐3bを得て、次いで2’‐C位のアルキル化により化合物21‐4aを得ることにより、経路[ii]を介して収率を改善することも考えられる。化合物21‐3aはアルキル化されて粗製化合物21‐4(3g、この粗製生成物中で化合物3aの20%)が得られ、該生成物は任意選択で精製されてもよい。化合物21‐4の脱保護から化合物21が得られた(収率50%)。
【0718】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0719】
実施例29. (S)‐2’‐C‐メチルグアノシン(化合物22)および(S)‐2’‐メチルGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0720】
【化163】
約30gの化合物22‐1はシリル化されて3ステップで化合物22‐2が得られた。さらなる保護により化合物22‐3が得られ、デス・マーチン・ペルヨーダン(Dess-Martin periodane)酸化により2バッチの化合物22‐4(1.6g)が得られた。2’‐Cアルキル化(エーテル中の5等量のMeMgI、-50℃~RT)により化合物22‐5が得られ、さらなる脱保護ステップにより化合物22が得られた。
【0721】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0722】
実施例30. (S)‐2’‐C‐メチルウリジン(化合物23)および(S)‐2’‐C‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0723】
【化164】
ウリジン23‐1(2.0g)はTIPDSCl
2(1,3‐ジクロロ‐1,1,3,3‐テトライソプロピルジシロキサン)を用いて保護され、化合物23‐2が得られた。酸化により化合物23‐3が得られ、2’‐Cアルキル化により化合物23‐4が得られたが、該化合物は、任意選択で次のステップに先立って分取HPLCで精製されてもよい。その後、脱保護により所望の化合物23が得られた。
【0724】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0725】
実施例31. 4’‐C‐メチルアデノシン(化合物24)および4’‐C‐メチルATP(前記化合物のNTP)の合成
【0726】
【化165】
1,2:5,6‐ジ‐O‐イソプロピリデン‐α‐D‐グルコフラノース24‐1は、連続的な酸化、還元および保護のステップを介して変換され、化合物24‐4が得られた。化合物24‐2を提供する第1の酸化ステップは、任意の有用な試薬、例えば0.75等量の二クロム酸ピリジニウム(PDC)を1等量のAc
2Oまたは1.2等量のデス・マーチン・ペルヨーダン(Dess-Martin periodane)とともに用いて実践されうる。その後の脱保護、ホルミル化、および還元により化合物24‐7が得られ、該化合物は続いて保護および脱酸素のステップが行われて化合物24‐10が得られた。約0.4gの化合物24‐14が、1gの化合物24‐10から連続する保護および脱保護のステップによって調製された。N6‐ベンゾイルアデニンの付加およびその後の脱保護により化合物24が得られた。
【0727】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0728】
実施例32. 4’‐C‐メチルシチジン(化合物25)および4’‐C‐メチルCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0729】
【化166】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物25‐14が化合物25‐1を用いて生成された。シチジンの付加およびその後の脱保護により化合物25が得られた。
【0730】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0731】
実施例33. 4’‐C‐メチルグアノシン(化合物26)および4’‐C‐メチルGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0732】
【化167】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物26‐14が化合物26‐1を用いて生成された。2‐アミノ‐6‐クロロプリンの付加、続いて酸化、およびその後の脱保護により化合物26が得られた。
【0733】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0734】
実施例34. 4’‐C‐メチルウリジン(化合物27)および4’‐C‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0735】
【化168】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物27‐14が化合物27‐1を用いて生成された。ウラシルの付加およびその後の脱保護により化合物27が得られた。
【0736】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0737】
実施例35. 2’‐O,4’‐C‐メチレンアデノシン(化合物28)および2’‐O,4’‐C‐メチレンATP(前記化合物のNTP)の合成
【0738】
【化169】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物28‐7が化合物28‐1を用いて生成された。続くメシル化、脱保護、およびアセチル化により化合物28‐10が得られ、該化合物は続いてN6‐ベンゾイルアデニンの付加およびその後に分子内環化が行われた。様々な保護および脱保護のステップにより化合物28が得られた。
【0739】
実施例36. 5‐メチル‐2’‐O,4’‐C‐メチレンシチジン(化合物29)および5‐メチル‐2’‐O,4’‐C‐メチレンCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0740】
【化170】
アルドフラノース化合物29‐1は様々な保護ステップを介して反応せしめられ、次いで5‐メチルウラシルが付加されて化合物29‐5が得られた。続く分子内環化、脱保護、保護、およびアミノ化のステップにより化合物29が得られた。
【0741】
実施例37. 2’‐O,4’‐C‐メチレングアノシン(化合物30)および2’‐O,4’‐C‐メチレンGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0742】
【化171】
化合物29について上記に提示された方策と同様に、アルドフラノース化合物30‐1は様々な保護ステップを介して反応せしめられ、次いで2‐アミノ‐6‐クロロプリンが付加されて化合物30‐5が得られた。続く分子内環化、アミノ化、および脱保護のステップにより化合物30が得られた。
【0743】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0744】
実施例38. 2’‐O,4’‐C‐メチレンウリジン(化合物31)および2’‐O,4’‐C‐メチレンUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0745】
【化172】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物31‐7が化合物31‐1を用いて生成された。続くメシル化、脱保護、およびアセチル化により化合物30‐10が得られた。ウラシルの付加およびその後の分子内環化により化合物31‐12が得られ、様々な保護および脱保護のステップにより化合物31が得られた。その後の三リン酸反応(例えば本明細書中に記載されたようなもの)により、化合物31のNTPが得られ、これは任意選択で精製されてもよい(例えばHPLCを用いる)。
【0746】
実施例39. 2’‐クロロアデノシン(化合物32)および2’‐クロロATP(前記化合物のNTP)の合成
【0747】
【化173】
アラビノアデノシン32‐1はステップ1および2によって保護され、次いで塩素化されて化合物32‐4が得られた。続く脱保護により化合物32が得られ、三リン酸反応により化合物32のNTPが得られた。
【0748】
実施例40. 2’‐ヨードアデノシン(化合物33)および2’‐ヨードATP(前記化合物のNTP)の合成
【0749】
【化174】
アラビノアデノシン33‐1はステップ1および2によって保護され、次いでヨウ素化されて化合物33‐4が得られた。続く脱保護により化合物33が得られ、DMF中の三リン酸反応により化合物33のNTPが得られた。
【0750】
実施例41. 2’‐ブロモシチジン(化合物34)および2’‐ブロモCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0751】
【化175】
アラビノシチジン34‐1は様々な条件下で保護され、次いで臭素化されて化合物34‐4が得られた。任意選択で、該反応は、化合物34‐3aを介して任意の有用な保護反応の下、例えば(i)1.5等量のEt
3N、1等量のDMAP、1.2等量のTfCl、DCM中(10mL);(ii)3等量のDMAP、1.2等量のTfCl、DCM中(15mL);または(iii)15等量のDMAP、1.5等量のTf
2O、DCM中(15mL)、-10℃~0℃で2時間の反応で化合物34‐4を提供することもできる。具体的には、55mgの化合物34‐3aが反応条件(iii)から得られた。続く脱保護により化合物34が得られ、DMF中の三リン酸反応により化合物34のNTPが得られた。粗製生成物34が任意選択でリン酸化の前に精製されることも考えられる。
【0752】
実施例42. 2’‐クロログアノシン(化合物35)および2’‐クロロGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0753】
【化176】
グアノシン35‐1は様々な条件下で保護され、次いでアセチル化されて化合物35‐4が得られた。化合物35‐2から化合物35‐3への反応は、2等量のDMAP、2等量のEt
3N、3等量のTf
2Oを用いて1,2‐ジクロロエタン(10mL)中にて40℃で4時間行われた。約55mgの化合物35‐3が精製後に得られた。
【0754】
所望の化合物35は任意の有用な方法によって得ることができる。例えば、上記に示されるように、化合物35‐4が連続した保護、塩素化、および脱保護のステップで処理されて化合物35が得られてもよい。対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0755】
実施例43. 2’‐ヨードウリジン(化合物36)および2’‐ヨードUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0756】
【化177】
O
2,2’‐シクロウリジン36‐1は保護されて化合物36‐2が得られた。続くヨウ素化(任意選択で、セレンで仲介される)により、化合物36が得られた。三リン酸反応が行われて化合物36のNTPが得られた。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0757】
実施例44. 2’‐O,4’‐C‐メチレンアデノシン(化合物37)および2’‐O,4’‐C‐メチレンATP(前記化合物のNTP)の合成
【0758】
【化178】
化合物24について上記に提示された方策と同様に、化合物37‐7が化合物37‐1を用いて生成された。続くメシル化、脱保護、およびアセチル化により化合物37‐10が得られた。ウラシルの付加および続く分子内環化により化合物37‐12が得られた。様々な保護および脱保護のステップにより化合物37が得られた。
【0759】
対応するNTPを得るために、三リン酸反応を行なうことができる(例えば本明細書中に記載される任意のもの)。任意選択で、該NTPは精製され(例えば、Sephadex DEAE‐A25カラムを使用)、凍結乾燥され、または蒸発乾固(例えばEtOHから)されてもよい。
【0760】
実施例45. シクロペンテンジオールシチジン(化合物38)およびシクロペンテンジオールCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0761】
【化179】
D‐リボースは保護された後にアリル化されて化合物38‐4が得られ、該化合物は次に環化および還元されて化合物38‐7が得られた。オレフィンメタセシスおよびその後の酸化により化合物38‐9が得られ、さらなる還元反応およびN‐ベンゾイルウラシルの付加により化合物38‐14が得られた。さらなる脱保護反応および保護反応により化合物38が得られ、三リン酸反応(例えば、本明細書中、または参照により本願に組込まれる米国特許第7,893,227号明細書中に記載されたもののような、任意の有用な反応条件を用いる)により、化合物38のNTPが得られた。
【0762】
実施例46. 2’‐メチルウリジン(化合物39)および2’‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0763】
【化180】
ウリジン39‐1は保護され、次いで2等量のデス・マーチン・ペルヨーダン(Dess-Martin periodane)を用いて酸化されて化合物39‐3が得られた。続くウィッティヒ反応、水素化、および脱保護のステップにより化合物39が得られた。
【0764】
実施例47. 2’‐メチルシチジン(化合物40)および2’‐メチルCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0765】
【化181】
シチジン40‐1は保護され、次いで酸化されて化合物40‐3が得られた。続くウィッティヒ反応、水素化、および脱保護のステップにより化合物40が得られた。
【0766】
実施例48. N‐アセチルシチジン(化合物41)およびN‐アセチルCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0767】
【化182】
N‐アセチル‐シチジン(化合物41)(103.0mg、0.36mmol)の溶液は、1.0mLのリン酸トリメチル(TMP)および1.0mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に含めたプロトンスポンジ(115.72mg、0.54mmol、1.50等量)に添加された。該溶液は0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(67.2ul、0.72mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、2.5mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(1.28g、2.34mmol、6.5等量)およびトリブチルアミン(350.0ul、1.45mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は24.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクス(Phenomenex)C18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:16.81~17.80分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物41のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0768】
実施例49. 5‐メトキシウリジン(化合物42)および5‐メトキシUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0769】
【化183】
5‐メトキシウリジン(化合物42)(69.0mg、0.25mmol、+可溶化するための熱)の溶液は、0.7mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(80.36mg、0.375mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(46.7ul、0.50mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、2.0mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(894.60mg、1.63mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(243.0ul、1.00mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は17.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:16.57~17.51分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物42のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0770】
実施例50. 5‐ホルミルシチジン(化合物43)および5‐ホルミルCTP(前記化合物のNTP)の合成
【0771】
【化184】
5‐ホルミルシチジン(化合物43)(48.4mg、0.18mmol、+可溶化するための熱)の溶液は、0.7mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(57.86mg、0.27mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(33.6ul、0.36mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.7mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(642.0mg、1.17mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(175.0ul、0.72mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は12.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:17.04~17.87分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物43のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0772】
実施例51. 3‐メチルウリジン(化合物44)および3‐メチルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0773】
【化185】
3‐メチルウリジン(化合物44)(45.80mg、0.18mmol)の溶液は、0.5mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(57.86mg、0.27mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(33.6ul、0.36mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.3mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(652.0mg、1.19mmol、6.60等量)およびトリブチルアミン(175.0ul、0.72mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は12.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:18.52~19.57分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物44のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0774】
実施例52. N1‐メチルプソイドウリジン(化合物45)およびN1‐メチルプソイドUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0775】
【化186】
N1‐メチルプソイドウリジン(化合物45)(96.6mg、0.374mmol、+可溶化するための熱)の溶液は、0.8mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(120.0mg、0.56mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(70.0ul、0.75mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、2.5mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(1.36g、2.47mmol、6.60等量)およびトリブチルアミン(362.0ul、1.5mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は17.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:15.91~17.01分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされて凍結乾燥され、三リン酸化反応に供されて化合物45のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0776】
実施例53. 5‐メトキシカルボニルエテニルウリジン(化合物46)および5‐メトキシカルボニルエテニルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0777】
【化187】
5‐メトキシカルボニルエテニルウリジン(化合物46)(102.0mg、0.31mmol)の溶液は、0.8mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(99.65mg、0.46mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(57.8ul、0.62mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、2.5mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(1.12g、2.05mmol、6.60等量)およびトリブチルアミン(300.0ul、1.24mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は20.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:21.56~23.21分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物46のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0778】
実施例54. 5‐アミノプロペニルウリジン(化合物47)および5‐アミノプロペニルUTP(前記化合物のNTP)の合成
【0779】
【化188】
5‐アミノプロペニルウリジン47は保護され、保護された化合物47(86.0mg、0.22mmol)の溶液は、0.7mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(70.7mg、0.33mmol、1.50等量)に添加されて0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(41.4ul、0.44mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.6mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(784.6mg、1.43mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(213.0ul、0.88mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は15.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。18.0mlの濃縮水酸化アンモニウムが反応混合物に添加されてトリフルオロアセチル基が除去された。次いで撹拌しながら終夜保存された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:16.14~17.02分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物47のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0780】
実施例55. N‐PEGアデノシン(化合物48)およびN‐PEG ATP(前記化合物のNTP)の合成
【0781】
【化189】
N‐PEGアデノシン48は保護され、保護された化合物48(100.0mg、0.15mmol)の溶液は、0.65mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(49.3mg、0.23mmol、1.50等量)に添加されて0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(28.0ul、0.3mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.2mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(537.7mg、0.98mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(146.0ul、0.6mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は10.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。18.0mlの濃縮水酸化アンモニウムが反応混合物に添加されてトリフルオロアセチル基が除去された。次いで撹拌しながら終夜保存された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:24.5~25.5分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物48のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0782】
実施例56. N‐メチルアデノシン(化合物49)およびN‐メチルATP(前記化合物のNTP)の合成
【0783】
【化190】
N‐メチルアデノシン(化合物49)(70.0mg、0.25mmol)の溶液は、0.7mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(79.29mg、0.37mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(46.66ul、0.50mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.3mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(888.85mg、1.62mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(241.0ul、1.0mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は16.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:19.62~20.14分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物49のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0784】
実施例57. N,N‐ジメチルグアノシン(化合物50)およびN,N‐ジメチルGTP(前記化合物のNTP)の合成
【0785】
【化191】
N,N‐ジメチルグアノシン(化合物50)(65.8mg、0.21mmol)の溶液は、0.7mLのリン酸トリメチル(TMP)に含めたプロトンスポンジ(68.58mg、0.32mmol、1.50等量)に添加され、0℃で10分間撹拌された。オキシ塩化リン(POCl
3)(39.20ul、0.42mmol、2.0等量)が該溶液に滴下された後、N
2雰囲気下で2時間撹拌され続けた。2時間後、該溶液は、1.5mlのジメチルホルムアミド中のビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n-Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)(751.67mg、1.37mmol、6.50等量)およびトリブチルアミン(204.0ul、0.84mmol、4.0等量)の混合物と反応せしめられた。およそ15分後、反応は14.0mlの0.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で停止され、透明な該溶液は室温で1時間撹拌された。反応混合物は一晩凍結乾燥され、該粗製反応混合物はHPLC(日本国京都の島津製作所、フェノメネクスC18分取用カラム、250×21.20mm、10.0μm(ミクロン);グラジエント:100%のAで3.0分、その後1%B/分、A=100mM TEABバッファー、B=ACN;流量:10.0mL/分;保持時間:19.27~19.95分)によって精製された。所望の化合物を含んでいる画分が集め合わされ、凍結乾燥されて化合物50のNTPが得られた。三リン酸化反応は、フレームドライ処理された二つ口フラスコ中でN
2雰囲気下にて行なわれた。ヌクレオシドおよびプロテインスポンジ(protein sponge)は、使用前に真空下にて一晩、P
2O
5で脱水された。一リン酸塩の形成はLCMSによってモニタリングされた。
【0786】
実施例58. NTPSの三リン酸塩合成のための一般法
【0787】
【化192】
ヌクレオシドiは、三リン酸塩である化合物iiを提供するために任意の有用な方法でリン酸化されうる。例えば、ヌクレオシドはプロトンスポンジおよびリン酸トリメチル(TMP)に添加されて冷却されうる(例えば-40℃に)。オキシ塩化リン(POCl
3)が滴下された後、ビストリブチルアンモニウムピロリン酸(TBAPPまたは(n‐Bu
3NH)
2H
2P
2O
7)およびトリブチルアミンと反応させることができる。該反応はその後、重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)で急速に停止させることができる。典型的な条件は、米国特許第7,893,227号明細書に提示されており、前記文献は参照により本願に組込まれる。
【0788】
リン酸化反応の後、反応混合物は、任意選択で、凍結乾燥、精製(例えばイオン交換クロマトグラフィおよびHPLCのうち少なくともいずれかによる)、またはナトリウム塩への変換(例えばMeOHに溶解してアセトン中の過塩素酸ナトリウムを加えることによる)が行われてもよい。
【0789】
実施例59:cDNA生産のためのPCR
cDNAの調製のためのPCR手法は、カパ・バイオシステムズ(Kapa Biosystems、米国マサチューセッツ州ウォーバーン)の2×KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して行なわれる。このシステムは、2×KAPA ReadyMix12.5μl;順方向プライマー(10uM)0.75μl;逆方向プライマー(10uM)0.75μl;テンプレートcDNA 100ng;およびdH2Oを含んで25.0μlとなっている。反応条件は、95℃で5分、および25サイクルの、98℃で20秒、次に58℃で15秒、次に72℃で45秒、次に72℃で5分、その後4℃で停止、である。
【0790】
本発明の逆方向プライマーは、mRNA中のポリ‐A120のためのポリ‐T120を組み入れている。より長いかまたはより短いポリ‐T区間を備えた他の逆方向プライマーが、mRNA中のポリAテールの長さを調節するために使用されうる。
【0791】
該反応物は、インビトロジェンのPURELINK(商標)PCR Microキット(米国カリフォルニア州カールスバード)を使用して製造業者の指示書に従って精製される(最大5μg)。より大規模な反応にはより大きな処理能力を備えた製品を使用する精製が必要となろう。精製に続いて、cDNAはNanoDropを使用して定量され、かつアガロースゲル電気泳動法により解析されて該cDNAが予定通りの大きさであることが確認される。その後、cDNAは配列分析に供された後にin vitro転写反応へと進められる。
【0792】
実施例60. in vitro転写(IVT)
in vitro転写反応により、修飾ヌクレオチドを含んでいるmRNAすなわち修飾RNAが生成される。投入されるヌクレオチド三リン酸(NTP)混合物は、天然および非天然のNTPを使用して自家作製される。
【0793】
典型的なin vitro転写反応には下記が含まれる:
【0794】
【表4】
37℃で3時間~5時間インキュベーション。
【0795】
粗製IVT混合物は、翌日の精製のために4℃で一晩保存されうる。その後、RNアーゼを含まないDNアーゼ1Uを使用して元のテンプレートが消化される。37℃で15分間のインキュベーションの後、mRNAは、アンビオン(Ambion)のMEGACLEAR(商標)キット(米国テキサス州オースティン)を使用して製造業者の指示書に従って精製される。このキットは500μgのRNAを精製することができる。精製に続いて、RNAはNanoDropを使用して定量され、かつアガロースゲル電気泳動法によって解析されて、該RNAが適正な大きさであること、および該RNAの分解が生じていないことが確認される。
【0796】
T7 RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼおよび突然変異体ポリメラーゼから選択可能であり、突然変異体ポリメラーゼは例えば、限定されるものではないが、修飾NTPを組み入れることができる新規なポリメラーゼ、ならびにリウ(Liu)(エスヴェルト(Esvelt)ら(ネイチャー(Nature)、2011年、第472巻、第7344号、p.499-503および米国特許出願公開第20110177495号明細書)により報告されたポリメラーゼであって、代替プロモータを認識するもの、エリントン(Ellington)(シェリセリカッティル(Chelliserrykattil)およびエリントン(Ellington)、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)、2004年、第22巻、第9号、p.1155-1160)が述べている2’‐O‐メチルRNAを転写するT7 RNAポリメラーゼバリアント、ならびにスーザ(Sousa)(パディリャ(Padilla)およびスーザ(Sousa)、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)、2002年、第30巻、第24号、e128)が述べているT7 RNAポリメラーゼ二重突然変異体であり;前記文献は参照により全体が本願に組み込まれる。
【0797】
実施例61. mRNAの酵素的キャッピング
mRNAのキャッピングは以下のようにして実施されるが、該キャッピングにおいて混合物は:IVT RNA 60μg~180μgを含み、dH2Oで72μlとされている。該混合物は、RNAを変性されるために65℃で5分間インキュベーションされ、次いで直ちに氷中に移される。
【0798】
その後該プロトコールは、10×キャッピングバッファー(0.5Mトリス‐HCl(pH8.0)、60mM KCl、12.5mM MgCl2)(10.0μl);20mM GTP(5.0μl);20mM S‐アデノシルメチオニン(2.5μl);RNアーゼ阻害剤(100U);2’‐O‐メチルトランスフェラーゼ(400U);ワクシニアのキャッピング酵素(グアニリルトランスフェラーゼ)(40U);dH2O(28μlとなるまで);を混合すること、および、60μgのRNAについては30分間、180μgのRNAについては最大で2時間の、37℃でのインキュベーションを伴う。
【0799】
次いでmRNAは、アンビオン(Ambion)のMEGACLEAR(商標)キット(米国テキサス州オースティン)を使用して製造業者の指示書に従って精製される。精製に続いて、RNAはNANODROP(商標)(サーモフィッシャー(ThermoFisher)、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して定量され、かつアガロースゲル電気泳動法によって解析されて、該RNAが適正な大きさであること、および該RNAの分解が生じていないことが確認される。RNA生成物は、配列決定用のcDNAを生成するための逆転写PCRを実行することにより配列決定されることも可能である。
【0800】
実施例62. ポリAテーリング反応
cDNA中にポリTがなければ、最終生産物の精製前にポリAテーリング反応が実施されなければならない。これは、キャップ付きIVT RNA(100μl);RNアーゼ阻害剤(20U);10×テーリングバッファー(0.5Mトリス‐HCl(pH8.0)、2.5M NaCl、100mM MgCl2)(12.0μl);20mM ATP(6.0μl);ポリAポリメラーゼ(20U);dH2O(123.5μlとなるまで);を混合することと、37℃で30分間のインキュベーションとにより行われる。ポリAテールが既に転写物中にある場合、テーリング反応はスキップされ、アンビオン(Ambion)のMEGACLEAR(商標)キット(米国テキサス州オースティン)(最大500μgまで)を使用した精製へと直接進めることができる。ポリAポリメラーゼは好ましくは酵母で発現された組換え酵素である。
【0801】
本明細書中で実施および説明される研究については、ポリAテールは長さ160ヌクレオチドを含んでなるようにIVTテンプレート中にコードされる。しかしながら、当然のことであるがポリAテーリング反応の処理能力または完全性が必ずしも正確に160ヌクレオチドを生じるとは限らない場合がある。従って、およそ160ヌクレオチドのポリAテール、例えば、約150~165、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164または165ヌクレオチドが本発明の範囲内にある。
【0802】
実施例63. タンパク質発現に関するスクリーニング方法
A. エレクトロスプレーイオン化
対象者に投与された修飾RNAによってコードされたタンパク質を含有する可能性のある生物学的試料が調製されて、1、2、3または4台の質量分析装置を使用したエレクトロスプレーイオン化(ESI)のための製造業者のプロトコールに従って解析される。生物学的試料はタンデム型ESI質量分析システムを使用して解析されてもよい。
【0803】
タンパク質フラグメントのパターン、またはタンパク質全体が、所与のタンパク質に関する既知対照と比較され、同一性は比較によって判定される。
B. マトリックス支援レーザー脱離イオン化法
対象者に投与された修飾RNAによってコードされたタンパク質を含有する可能性のある生物学的試料が調製されて、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法(MALDI)のための製造業者のプロトコールに従って解析される。
【0804】
タンパク質フラグメントのパターン、またはタンパク質全体が、所与のタンパク質に関する既知対照と比較され、同一性は比較によって判定される。
C. 液体クロマトグラフィ‐タンデム型質量分析法
修飾RNAによってコードされたタンパク質を含んでいる可能性のある生物学的試料は、その中に含まれたタンパク質を消化するためにトリプシン酵素で処理されうる。得られたペプチドは、液体クロマトグラフィ‐タンデム型質量分析法(LC/MS/MS)によって解析される。該ペプチドは質量分析計においてフラグメント化されて診断用パターンを生じ、該パターンはコンピュータアルゴリズムによってタンパク質配列データベースにマッチングさせることが可能である。消化された試料は、所与のタンパク質について1ng以下の出発物質とするために希釈されうる。単純なバッファーのバックグラウンド(例えば水または揮発性の塩)を含有している生物学的試料は、直接的な溶液中での消化に適しており;より複雑なバックグラウンド(例えば洗浄剤、不揮発性の塩、グリセリン)は、試料の解析を促進するための付加的な精製ステップを必要とする。
【0805】
タンパク質フラグメントのパターン、またはタンパク質全体が、所与のタンパク質に関する既知対照と比較され、同一性は比較によって判定される。
実施例64. サイトカイン研究:PBMC
A. PBMCの単離および培養
2名のドナー由来のヒト血液50mLは、ヘパリンナトリウム・チューブに入ってリサーチ・ブラッド・コンポーネンツ(Research Blood Components)から受け取られた(ロットKP30928およびKP30931)。各ドナーについて、血液が集め合わされてDPBS(SAFCバイオサイエンシズ(SAFC Bioscience)の59331C、ロット番号071M8408)で70mLに希釈され、2本の50mLコニカルチューブに均等に分けられた。10mLのFicoll‐Paque(登録商標)(GEヘルスケア(GE Healthcare)の17‐5442‐03、ロット番号10074400)が血液層の下に穏やかに入れられた。該チューブは、加速および制動を低くして2000rpmで30分間遠心分離処理された。チューブが取り出され、軟膜状のPBMC層が新しい50mL容コニカルチューブに穏やかに移されてDPBSで洗浄された。該チューブは1450rpmで10分間遠心分離処理された。
【0806】
上清が吸引除去され、PBMCペレットは再懸濁されて50mLのDPBS中で洗浄された。該チューブは1250rpmで10分間遠心分離処理された。この洗浄ステップが繰り返され、PBMCペレットは19mLのOptimem(登録商標)I(ギブコ(Gibco)の11058、ロット番号1072088)に再懸濁されて計数された。この細胞懸濁液は、生細胞数3.0×106個/mLの濃度に調整された。
【0807】
次いでこれらの細胞は、ドナーごとに5枚の96ウェル組織培養用表面処理済丸底プレート(Costar(登録商標)3799)に、1ウェルあたり50uLずつ播種された。30分以内に、トランスフェクション混合物が1ウェルあたり体積50uLとして各ウェルに添加された。トランスフェクションの4時間後、培地に10uLのウシ胎児血清(ギブコ(Gibco)の10082、ロット番号1012368)が補足された。
【0808】
B. トランスフェクション調製物
ヒトのG‐CSFをコードしている修飾mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;
配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)((1)天然のNTP、(2)5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンでの100%置換、または(3)5‐メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンでの100%置換、のうちいずれかを含有している);ルシフェラーゼをコードしているmRNA(配列番号2に示されるIVTのcDNA配列;配列番号3に示されるmRNA配列、配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール、5’キャップ、キャップ1であって、各シトシンにおいて5‐メチルシトシンで、かつ各ウリジン部位においてプソイドウリジン置換で完全に修飾されているもの)((1)天然のNTP、または(2)5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンでの100%置換のうちいずれかを含有している)、ならびにTLRアゴニストR848(インビトロジェン tlrl‐r848)は、最終体積2500uLのOptimem Iの中に38.4ng/uLとなるように希釈された。
【0809】
別途、110uLのLipofectamine(登録商標)2000(インビトロジェン 11668‐027、ロット番号1070962))が6.76mLのOptimem Iで希釈された。96ウェルプレート内で、135uLの各mRNA、陽性対照(R‐848)または陰性対照(Optimem I)の9アリコートが、135uLの希釈済みLipofectamine 2000に加えられた。トランスフェクションされるべき材料が入っている該プレートは20分間インキュベーションされた。その後、トランスフェクション混合物は1ウェル当たり50uLとして各々のヒトPBMCプレートに移された。その後、プレートは37℃でインキュベーションされた。2、4、8、20および44時間において、各プレートがインキュベータから取り出されて上清が冷凍された。
【0810】
最後のプレートが取り出された後、上清はヒトG‐CSF ELISAキット(インビトロジェンのKHC2032)およびヒトIFN‐α ELISAキット(サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)の41105‐2)を使用してアッセイされた。各条件は2連で行われた。
【0811】
C. タンパク質および先天性免疫応答の解析
未修飾mRNAおよび修飾mRNAがコードされたタンパク質を産生する能力(G‐CSF産生)は、該mRNAの先天性免疫認識を誘発する能力をインターフェロンα産生によって測定しながら、経時的に評価された。in vitroのPBMC培養物の使用は、オリゴヌクレオチドの免疫刺激能を測定するために容認された方法である(ロビンズ(Robbins)ら、オリゴヌクレオチド(Oligonucleotides)、2009年、第19巻、p.89-102)。
【0812】
結果は、4パラメータロジスティック曲線へのあてはめを使用して各ELISAプレートの標準曲線に対して内挿された。表4および5に示されているのは、特異的ELISAによって測定された経時的なG‐CSF、インターフェロンα(IFN‐α)および腫瘍壊死因子α(TNF‐α)産生についての、3名の別個のPBMCドナーの平均である。
【0813】
G‐CSFのELISAでは、Lipofectamine 2000(LF2000)未処理の条件のバックグラウンドシグナルが各時点において差し引かれた。該データは、天然のNTP、5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンによる100%置換、または5‐メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンによる100%置換、を含有しているG‐CSF mRNAを用いて、ヒト末梢血単核によるヒトG‐CSFタンパク質の特異的産生が見られることを実証した。G‐CSFの産生は、5‐メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたmRNAの使用により、5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンで修飾されたmRNAと比較して顕著に増大された。
【0814】
先天性免疫認識に関しては、いずれの修飾mRNAの化学構造物もIFN‐αおよびTNF‐αの産生を陽性対照(R848、p(I)p(C))と比較して大きく防止したが、該化学構造物間において有意差が存在した。5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンで修飾されたmRNAは低いが検出可能なレベルのIFN‐αおよびTNF‐α産生をもたらした一方、5‐メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたmRNAは検出可能なIFN‐αおよびTNF‐α産生をもたらさなかった。
【0815】
従って、先天性免疫応答の活性化の2以上のサイトカインマーカーを調査する必要に加えて、意外にも修飾の組み合わせにより様々なレベルの細胞応答(タンパク質産生および免疫活性化)が得られることが見出されることが分かった。本研究における該修飾、N1‐メチルプソイドウリジンは、他者の調査による5‐メチルシチジン/プソイドウリジンという標準的組み合わせを上回る付加的保護をもたらして、2倍分のタンパク質と、免疫活性化(TNF‐α)のほぼ150倍の低減とをもたらすことが示された。
【0816】
PBMCが、極めて多様な先天性免疫のRNA認識センサを包含しており、かつタンパク質翻訳も可能であるとすれば、これら2つの経路の相互依存性を試験する有用な系を提供している。mRNAの翻訳はそのような先天性免疫経路の活性化によって負の影響を受ける可能性があることが知られている(カリコ(Kariko)ら、イミュニティ(Immunity)、2005年、第23巻、p.165-175;ウォレン(Warren)ら、セル・ステム・セル(Cell Stem Cell)、2010年、第7巻、p.618-630)。in vitroのアッセイ系としてPBMCを使用して、翻訳(この場合はG‐CSFタンパク質産生)とサイトカイン産生(この場合はIFN‐αおよびTNF‐αタンパク質産生によって例証される)との間の相関を確立することが可能である。より高いタンパク質産生は、先天性の免疫活性化経路のより低い誘導と相関しており、新しい化学構造物はこの比に基づいて良好に判断されうる(表6)。
【0817】
本研究では、2つの化学修飾すなわちプソイドウリジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンについてのPC比は、いずれも5‐メチル(5-methy)シトシンを伴って、サイトカインIFN‐αについて、4742/141=34と、対して9944/1=9944であった。サイトカインTNF‐αについては、この2つの化学構造物はそれぞれ153および1243というPC比を有し、いずれのサイトカインについてもN1‐メチルプソイドウリジンが優れた修飾であることが示唆された。表4および5において、「NT」は、試験が行われていないことを意味する。
【0818】
【表5】
実施例65. 修飾mRNAの化学修飾範囲
修飾ヌクレオシド、例えば、限定するものではないが、化学修飾物5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンは、哺乳動物細胞において先天性免疫応答を低下させ、かつRNAの発現を増大させることが示された。驚くべきことに、かつこれまで知られていなかったが、これらの化学修飾によって明らかとなった影響は、特定のヌクレオチドの化学修飾の量が100%未満であるときに量的調整がなされうる。かつて、化学修飾の有益性は、完全には置き換えることなく修飾ヌクレオシドを使用して引き出されうるものと考えられており、かつ、公開された報告は、修飾ヌクレオシドによる置換のレベルが50%未満までは有益性の損失がないことを示唆している(カリコ(Kariko)ら、イミュニティ(Immunity)、2005年、第23巻、p.165-175)。
【0819】
しかしながら、化学修飾の有益性は、化学修飾の程度と直接的に相関しており、かつ免疫応答について単一の尺度にとどまらずに考慮に入れて検討されなければならないことが、ここで示された。そのような有益性には、タンパク質産生またはmRNA翻訳の増強、ならびに、サイトカインプロファイルおよび免疫応答トリガーの計量によって測定されるような先天性免疫応答の刺激を低減するかまたは免れることが含まれる。
【0820】
mRNA翻訳の増強および先天性免疫刺激の低減または欠如は、修飾ヌクレオシドを用いた100%置換で見られる。置換の比率(%)がより少ないほどmRNA翻訳の低減および先天性免疫刺激の増大がもたらされ、未修飾mRNAは最も低い翻訳および最も高い先天性免疫刺激を示す。
【0821】
in vitroのPBMC研究:修飾率(%)
480ngの、5‐メチルシトシン(5mC)およびプソイドウリジン(プソイドU)で修飾されたG‐CSF mRNAまたは未修飾のG‐CSF mRNAは、0.4uLのLipofectamine2000を用いて、3名の健康な血液ドナー(D1、D2およびD3)からの末梢血単核細胞(PBMC)にトランスフェクションされた。G‐CSF mRNA(配列番号1;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、5mCおよびプソイドで完全に修飾されるか(100%修飾)、5mCおよびプソイドで修飾されていないか(0%修飾)、または5mCおよびプソイドUで部分的に修飾されて該mRNAが75%修飾、50%修飾もしくは25%修飾を含有するようになされた。対照試料のルシフェラーゼ(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;完全に修飾された5meCおよびプソイドU)も、G‐CSF発現について解析された。TNF‐αおよびIFN‐αについて、Lipofectamine2000、LPS、R‐848、ルシフェラーゼ(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;完全に修飾された5mCおよびプソイド)、ならびにP(I)P(C)の対照試料も解析された。上清が採取され、タンパク質発現を判定するためにトランスフェクションの22時間後にELISAが実行された。G‐CSFの発現は表7に示され、IFN‐αおよびTNF‐αの発現は表8に示されている。IFN‐αおよびTNF‐αの発現は、G‐CSF mRNAのトランスフェクションからの二次的影響である可能性がある。表7、8および
図10は、G‐CSF、インターフェロンα(IFN‐α)および腫瘍壊死因子α(TNF‐α)の化学修飾の量はmRNAが完全には修飾されていない場合は量的調整が可能であることを示し、その量的調整が可能な傾向は各標的について同じであることを示している。
【0822】
上記に言及されたように、in vitroのアッセイ系としてPBMCを使用して、翻訳(この場合はG‐CSFタンパク質の産生)とサイトカイン産生(この場合はIFN‐αタンパク質の産生によって例証される)との間の相関を確立することが可能である。より良好なタンパク質産生は先天性免疫活性化経路のより低い誘導と相関し、化学構造の修飾率(%)はこの比に基づいて良好に判断されうる(表9)。表7および8から計算され、かつ表9に示されるように、5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンを用いた完全な修飾は、修飾を伴わないもの(天然のG‐CSF mRNA)よりもはるかに良好なタンパク質/サイトカイン産生の比を示している(IFN‐αについては100倍、およびTNF‐αについては27倍)。部分的修飾は、修飾が次第に減少するにつれてより低いタンパク質/サイトカイン比をもたらすという直線的関係を示す。
【0823】
【表6】
実施例66. PBMCにトランスフェクションされた修飾RNA
5‐メチルシトシン(5mC)およびプソイドウリジン(プソイドU)で修飾された500ngのG‐CSF mRNAまたは未修飾のG‐CSF mRNAは、0.4uLのLipofectamine2000を用いて、3名の健康な血液ドナー(D1、D2およびD3)由来の末梢血単核細胞(PBMC)にトランスフェクションされた。G‐CSF mRNA(配列番号1;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、5mCおよびプソイドで完全に修飾されるか(100%修飾)、5mCおよびプソイドで修飾されていないか(0%修飾)、または5mCおよびプソイドUで部分的に修飾されて該mRNAが50%修飾、25%修飾、10%修飾、5%修飾、1%修飾もしくは0.1%修飾を含有するようになされた。対照試料のmCherry(配列番号6に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;完全に修飾された5meCおよびプソイドウリジン)、ならびに5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF(対照G‐CSF)も、G‐CSF発現について解析された。腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)およびインターフェロン‐α(IFN‐α)について、Lipofectamine2000、LPS、R‐848、ルシフェラーゼ(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;完全に修飾された5mCおよびプソイド)、ならびにP(I)P(C)の対照試料も解析された。上清はトランスフェクション後6時間および18時間に採取され、タンパク質発現を決定するためにELISAが実行された。ドナー1についてのG‐CSF、IFN‐αおよびTNF‐αの発現は表10に示され、ドナー2については表11に示され、ドナー3については表12に示されている。
【0824】
5‐メチルシチジンおよびプソイドウリジンを用いた完全な100%修飾は、3名のヒトPBMCドナー全員にわたって最も高いタンパク質翻訳(G‐CSF)および最も少ない産生サイトカイン量をもたらした。修飾の量を減少させると、より多くのサイトカイン産生(IFN‐αおよびTNF‐α)がもたらされ、よってサイトカインを低減しかつタンパク質翻訳を改善する(ここではG‐CSF産生によって証明される)ための完全な修飾の重要性が一層明らかとなっている。
【0825】
【表7】
実施例67. 修飾物のマイクロエイムス復帰突然変異スクリーニング
背景および方法
マイクロエイムススクリーニングは正式なエイムス・プレインキュベーション・アッセイの変法である。該方法は、4つのサルモネラ試験株(TA97a、TA98、TA100およびTA1535)および1つの大腸菌株(WP2 uvrA pKM101)を使用して、フレームシフト変異および塩基対置換変異の両方を検出する。菌株TA97aおよびTA98はフレームシフト突然変異を検出し、TA100、TA1535およびWP2 uvrA pKM101は塩基対置換変異を検出する。このスケールダウンされたエイムス試験法は、最小限の化合物を使用し、代謝活性化(S9分画)の有り無し両方で行なわれ、マルチウェルプレートを使用する。この試験(teste)は、試験化合物の変異原性潜在力を検出する微生物学的アッセイである。
【0826】
5‐メチルシチジン、プソイドウリジンまたはN’‐メチルプソイドウリジン被験物質についてのマイクロエイムススクリーニングは、0.25、2.5、12.5、25、75および250ug/ウェルで、代謝活性化システム(AROCLOR(商標)1254誘導ラット肝S9ミクロソーム分画)の存在下および非存在下で菌株TA97a、TA98、TA100、TA1535およびWP2 uvrA pKM101を用いて2連で試験された。陽性対照化合物は、該アッセイ系が既知の変異原性化合物に対して感受性であることを保証するために、4つの異なる濃度で使用された。DMSOはビヒクル対照として使用された。陽性対照およびビヒクル対照は予想どおりの結果を生じ、このマイクロエイムススクリーニングが突然変異原を検出するのに十分な感度を有することを実証した。
【0827】
結果
5‐メチルシトシンについては、沈殿は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの試験株でも観察されなかった。細胞毒性(バックグラウンドローンおよび復帰突然変異体の数のうち少なくともいずれかの低減)は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの菌株でも観察されなかった。復帰突然変異体のコロニーの数は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの菌株においてもビヒクル対照と比較して増加はなかった。したがって、5‐メチルシチジンは、マイクロエイムススクリーニングの条件下において、代謝活性化の有無にかかわらず、菌株TA97a、TA98、TA100、TA1535およびWP2 uvrA pKM101において最大250ug/ウェルまで変異原性ではなかった。
【0828】
沈殿は、プソイドウリジンについて、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの試験株でも観察されなかった。細胞毒性(復帰突然変異体の数の低減)は、代謝活性化を伴わない菌株TA100において観察された。細胞毒性(バックグラウンドローンおよび復帰突然変異体の数のうち少なくともいずれかの低減)は、代謝活性化の有無にかかわらず他のいずれの菌株でも観察されなかった。復帰突然変異体のコロニーの数は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの菌株においてもビヒクル対照と比較して増加はなかった。したがって、プソイドウリジンは、このマイクロエイムススクリーニングの条件下において、代謝活性化を伴わない菌株TA100において最大75ug/ウェルまで、ならびに、代謝活性化の有無にかかわらず菌株TA97a、TA98、TA1535およびWP2 uvrA pKM101と、代謝活性化を伴う菌株TA100とでは最大250μg/ウェルまで、変異原性ではなかった。
【0829】
修飾物については、N1‐メチルプソイドウリジンの沈殿は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの試験株でも観察されなかった。細胞毒性(バックグラウンドローンおよび復帰突然変異体の数のうち少なくともいずれかの低減)は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの菌株でも観察されなかった。復帰突然変異体のコロニーの数は、代謝活性化の有無にかかわらずいずれの菌株においてもビヒクル対照と比較して増加はなかった。N1‐メチルプソイドウリジンは、このマイクロエイムススクリーニングの条件下において、代謝活性化の有無にかかわらず、菌株TA97a、TA98、TA100、TA1535およびWP2 uvrA pKM101において最大250μg/ウェルまで変異原性ではなかった。N1‐メチルプソイドウリジンはプソイドウリジンよりも変異原性が低いことが見出された。
【0830】
このマイクロエイムス試験における5メチルシチジン、プソイドウリジン、およびN1‐メチルプソイドウリジンの比較は、これらが概ね変異原性ではないことを明らかにしている。しかしながら特に注目すべきなのは、N1‐メチルプソイドウリジンが細胞傷害反応を示さなかった1菌株においてプソイドウリジンが細胞傷害反応を示したという、プソイドウリジンとN1‐メチルプソイドウリジンの間の差であった。これらのマイクロエイムス試験は、化合物の安全性についての前臨床評価の一部として定常的に使用されており、N1‐メチルプソイドウリジンとプソイドウリジンとの間の重要な差異を明らかにしている。
【0831】
実施例68. ヌクレオシド三リン酸(NTP)の毒性
天然型および修飾型のヌクレオシド三リン酸(NTP)単独の、または他の塩基と組み合わせての細胞毒性は、ヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞においてトランスフェクション試薬の非存在下で解析された。HEK293細胞は、1ウェルあたり0.75ulのRNAiMAX(商標)(インビトロジェン、米国カリフォルニア州カールスバード)が入っている96ウェルプレートに、細胞密度を1ウェルあたり30,000個として、ウェル内の合計体積が100ulとなるように播種された。10ulの、表12に略記されたNTPは、10ulの脂質希釈物と組み合わされて30分間インキュベーションされて複合体を形成し、その後80ulのHEK293細胞懸濁液が該NTP複合体に添加された。
【0832】
天然型および修飾型のNTPは、2.1nM、21nM、210nM、2.1um、21uM、210umまたは2.1mMの濃度でトランスフェクションされた。組み合わせのNTPは、8.4nM、84nM、840nM、8.4uM、84uM、840uMおよび8.4mMのNTP合計濃度でトランスフェクションされた。対照の修飾G‐CSF
mRNA(配列番号1;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;完全に修飾された5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジン)は、8.4nMの濃度でHEK293細胞にトランスフェクションされた。NTPおよび修飾G‐CSF mRNAの細胞毒性は、プロメガ(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)のCYTO TOX-GLO(商標)アッセイを使用して、細胞の溶解のためにプレートを振とうする代わりにピペッティングが使用された以外は製造業者のプロトコールに従って、HEK293細胞への添加後4、24、48および72時間においてアッセイされた。
【0833】
表13および14は、試験されたNTP、NTPの組み合わせおよび対照それぞれについての生細胞の比率(%)を示している。未処理の細胞と比較して、個々のNTPでは毒性は見られなかった。これらのデータは、5‐メチルシチジン、プソイドウリジン、およびN1‐メチルプソイドウリジンを含む個々のNTPの哺乳動物細胞への導入が、修飾mRNAとして導入される場合の有効量の1,000,000倍の用量において有毒ではないことを実証している。
【0834】
【表8】
実施例69. BJ繊維芽細胞における先天性免疫応答の研究
ヒトの初代包皮線維芽細胞(BJ繊維芽細胞)はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手され(カタログ番号CRL‐2522)、10%ウシ胎児血清が補足されたイーグルの最少必須培地(ATCC、カタログ番号30‐2003)にて37℃、5%CO
2で成長せしめられた。BJ繊維芽細胞は、24ウェルプレートに細胞密度を0.5mlの培地中で1ウェルあたり300,000個として播種された。250ngの修飾G‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)であって、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen1)または5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen2)であり、Cap0もしくはCap1を有するかまたはキャップを持たないものが、Lipofectamine2000(インビトロジェン、カタログ番号11668‐019)を使用して製造業者のプロトコールに従ってトランスフェクションされた。対照試料の、ポリI:C(PIC)、Lipofectamine2000(Lipo)、天然のルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)および天然のG‐CSF mRNAも、トランスフェクションされた。細胞は18時間後に採取され、全RNAが単離されて、RNeasy(登録商標)マイクロキット(カタログ番号74004)を使用して製造業者のプロトコールに従ってDNASE(登録商標)による処理が行われた。100ngの全RNAは、高容量cDNA逆転写キット(カタログ番号4368814)を使用して製造業者のプロトコールに従うcDNA合成に使用された。次いで該cDNAは、バイオラッド(Biorad)のCFX384(商標)機器で製造業者のプロトコールに従ってサイバーグリーンを使用する定量的リアルタイムPCRによって、先天性免疫応答遺伝子の発現について解析された。表15は、先天性免疫応答転写物の発現レベルをハウスキーピング遺伝子HPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthine phosphoribosytransferase))と比較して示しており、HPRTに対しての誘導倍率として表現されている。同表では、一連の標準的な指標物には以下が含まれる、すなわち:RIG‐Iはレチノイン酸誘導性遺伝子1であり、IL6はインターロイキン6であり、OAS‐1はオリゴアデニル酸シンセターゼ1であり、IFNbはインターフェロンβであり、AIM2はアブセント・イン・メラノーマ‐2(absent in melanoma-2)であり、IFIT‐1はインターフェロン‐インデュースト・プロテイン・ウィズ・テトラトリコペプチドリピーツ1(interferon-induced protein with tetratricopeptide repeats 1)であり、PKRはプロテインキナーゼRであり、TNFaは腫瘍壊死因子αであり、IFNaはインターフェロンαである。
【0835】
【表9】
実施例70. 先天性免疫応答のin vivoにおける検出
in vivoでのタンパク質産生およびin vivoでのサイトカイン応答に対するmRNAの様々な化学修飾の重要性を識別するための取り組みにおいて、メスのBALB/Cマウス(n=5)に、表16に記載されているような、G‐CSF mRNA(GCSF mRNA unmod)(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;)キャップ1の5’キャップを備えたもの、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF
mRNA(GCSF mRNA 5mc/pU)、5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNAであって5’キャップを備えたもの(GCSF mRNA 5mc/N1pU)もしくは5’キャップを備えていないもの(GCSF mRNA 5mc/N1pU キャップなし)、またはR848もしくは5%スクロースのいずれかの対照が、筋肉内注射される。
【0836】
【表10】
血液は投薬後8時間に収集される。ELISAを使用して、G‐CSF、TNF‐αおよびIFN‐αのタンパク質レベルがELISAによって決定される。投薬の8時間後、注射部位から筋肉が収集されて、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QPCR)を使用して該筋肉中のRIG‐I、PKR、AIM‐2、IFIT‐1、OAS‐2、MDA‐5、IFN‐β、TNF‐α、IL‐6、G‐CSF、CD45のmRNAレベルが決定される。
【0837】
実施例71. 先天性免疫応答研究のin vivoにおける検出
メスのBALB/Cマウス(n=5)に、表17に記載されているような、G‐CSF
mRNA(GCSF mRNA unmod)(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;)キャップ1の5’キャップを備えたもの、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNA(GCSF mRNA 5mc/pU)、5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNAであって5’キャップを備えたもの(GCSF mRNA 5mc/N1pU)もしくは5’キャップを備えていないもの(GCSF mRNA 5mc/N1pU キャップなし)、またはR848もしくは5%スクロースのいずれかの対照が、筋肉内注射された。血液は投薬の8時間後に収集され、ELISAを使用してG‐CSFおよびインターフェロン‐α(IFN‐α)のタンパク質レベルがELISAによって決定されて表17に示されている
表17に示されるように、未修飾、5mc/pU修飾型、および5mc/N1pU修飾型のG‐CSF mRNAは、マウス血清中においてヒトG‐CSFの発現をもたらした。キャップを備えていない5mC/N1pU修飾型G‐CSF mRNAは血清中でヒトG‐CSFの発現を示さず、タンパク質翻訳のために5’キャップ構造を有することの重要性が明らかとなった。
【0838】
予想される通り、ヒトG‐CSFタンパク質は、R848、5%スクロースのみ、および未処理の群では発現されなかった。重要なのは、血清中のマウスIFN‐αによって測定されたようにサイトカイン産生に有意差が見られたことである。予想通り、未修飾のG‐CSF mRNAはin vivoにおいて強いサイトカイン応答を実証した(R848の陽性対照より大きい)。5mc/pU修飾型のG‐CSF mRNAはin vivoにおいて低いが検出可能なサイトカイン応答を示したが、5mc/N1pU修飾型のmRNAは、血清中に検出可能なIFN‐αを示さなかった(そしてビヒクルまたは未処理の動物と同じであった)。
【0839】
さらに、5mc/N1pU修飾型mRNAの応答は、キャップの有無にかかわらず同じであった。これらのin vivoにおける結果は、1)未修飾mRNAは強い先天性免疫応答を生じる、2)これは5mc/pU修飾を100%組み入れることにより低減されるが排除はされない、3)5mc/N1pU修飾を組み入れると検出可能なサイトカイン応答は生じない、という結論を補強するものである。
【0840】
最後に、これらの注射剤が5%スクロース(それ単独では影響はない)に含められていることを考えれば、これらの結果は、上記修飾の免疫刺激能を正確に反映しているはずである。
【0841】
データから、N1pU修飾型の分子はより多くのタンパク質を産生する一方でIFN‐αの発現にはほとんどまたは全く影響を伴わないことが明らかである。さらに、この化学修飾についてはタンパク質産生にキャッピングが必要であることも明らかである。748というタンパク質:サイトカイン比は、未修飾mRNAの該PC比(PC=9)と比較すると、この化学修飾が、IFN‐αに関連した影響または生物学的意義に関係づけられるとおり、はるかに優れていることを意味している。
【0842】
【表11】
実施例72:リポプレックスを使用するin vivo送達
A. ヒトG‐CSFの修飾RNA
2種類の修飾型ヒトG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)(5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF(G‐CSF)または5‐メチルシトシンおよびN1‐メチル‐プソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF(G‐CSF‐N1))のうちの1つを100μg含有している調合物は、体積比30%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化され、C57/BL6マウスに150uLとして筋肉内(I.M.)送達および225uLとして静脈内(I.V.)送達された。
【0843】
3つの対照群が投与を受け、該対照群は、100μgの修飾ルシフェラーゼmRNA(配列番号2に示されるIVT cDNA配列;配列番号3に示されるmRNA配列、配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール、5’キャップ、キャップ1、各シトシン部位は5‐メチルシトシンで、各ウリジン部位はプソイドウリジンでの置き換えで完全に修飾されている)の筋肉内投与(Luc‐unsp I.M.)もしくは150μgの修飾ルシフェラーゼmRNAの静脈内投与(Luc‐unsp I.V.)、または150uLの調合用バッファーの筋肉内投与(バッファー I.M.)であった。調合物の投与の6時間後、血清が収集されてヒトG‐CSF ELISAによって該マウス血清中のヒトG‐CSFタンパク質の量が測定された。結果は表18に示されている。
【0844】
これらの結果は、5‐メチルシトシン/プソイドウリジン修飾型および5‐メチルシトシン/N1‐メチルプソイドウリジン修飾型のいずれのヒトG‐CSF mRNAも、リポプレックス調合物としてI.V.またはI.M.投与経路で送達された場合に血清中に特異的なヒトG‐CSFタンパク質の発現をもたらすことができることを実証している。
【0845】
【表12】
B. ヒトG‐CSF修飾RNAの比較
100μgの修飾RNAを含有している調合物であって、修飾RNAは、5‐メチルシトシン(5mc)およびプソイドウリジン(Ψ)修飾を有する体積比30%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化された修飾ヒトG‐CSF mRNA(G‐CSF‐Gen1‐リポプレックス)、5mcおよびΨ修飾を有する生理食塩水中の修飾ヒトG‐CSF mRNA(G‐CSF‐Gen1‐生理食塩水)、N1‐5‐メチルシトシン(N1‐5mc)およびΨ修飾を有する体積比30%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化された修飾ヒトG‐CSF mRNA(G‐CSF‐Gen2‐リポプレックス)、N1‐5mcおよびΨ修飾を有する生理食塩水中の修飾ヒトG‐CSF mRNA(G‐CSF‐Gen2‐生理食塩水)、5mcおよびΨ修飾を有する体積比30%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化された修飾ルシフェラーゼ(Luc‐リポプレックス)、または5mcおよびΨ修飾で完全に修飾された生理食塩水中のルシフェラーゼmRNA(Luc‐生理食塩水)、のいずれかである調合物が、筋肉内(I.M.)送達または皮下(S.C.)送達され、また各投与方法の対照群には、C57/BL6マウスに調合用バッファー(F.バッファー)80uLの用量が与えられた。
【0846】
注射後13時間において血清および注射部位からの組織が各マウスから収集され、ヒトG‐CSFタンパク質のレベルを比較するためにG‐CSF ELISAによって解析された。筋肉内投与および皮下投与の結果からのマウス血清中のヒトG‐CSFタンパク質の結果は、表19に示されている。
【0847】
これらの結果は、5‐メチルシトシン/プソイドウリジンおよび5‐メチルシトシン/N1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたヒトG‐CSF mRNAが、生理食塩水調合物でもリポプレックス調合物でも、I.M.またはS.C.投与経路で送達された時に血清中に特異的なヒトG‐CSFタンパク質の発現を生じうることを実証している。表19に示されるように、5‐メチルシトシン/N1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたヒトG‐CSF mRNAは、一般に、5‐メチルシトシン/プソイドウリジンで修飾されたヒトG‐CSF mRNAと比較して高いG‐CSFタンパク質産生を示している。
【0848】
【表13】
実施例73. 複数部位投与:筋肉内および皮下
Gen1またはGen2(5‐メチルシトシン(5mc)およびプソイドウリジン(Ψ)修飾、G‐CSF‐Gen1;またはN1‐5‐メチルシトシン(N1‐5mc)およびΨ修飾、G‐CSF‐Gen2)のいずれかとして修飾されて生理食塩水中に調合されたヒトG‐CSFの修飾mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、筋肉内(IM)注射または皮下(SC)注射によってマウスに送達された。4回分用量または1日あたり2×50ug(2部位)で3日間(24時間間隔)の注射が実施された。4回目の用量は血液採取およびCBC解析の6時間前に投与された。対照には、ルシフェラーゼ(配列番号2に示されるIVT用のcDNA配列;配列番号3に示されるmRNA配列、配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール、5’キャップ、キャップ1、各シトシン部位について5‐メチルシトシンおよび各ウリジン部位についてプソイドウリジンの置き換えで完全に修飾されたもの)または調合用バッファー(F.バッファー)が含められた。マウスは、mRNAにコードされたヒトG‐CSFの好中球数に対する作用を判定するため、最初のmRNA注射の72時間後(最後のmRNA投薬の6時間後)に採血された。投薬レジメンは、結果の好中球数(千個/uL)とともに表20に示されている。表20では、アステリスク(
*)は、p<0.05における統計的有意差を示している。
【0849】
筋肉内投与については、該データから、Gen1 G‐CSF mRNAでは第3日において対照に対して好中球数の4倍の増大が、またGen2 G‐CSF mRNAでは2倍の増大が、明らかとなっている。皮下投与については、該データから、Gen2 G‐CSF mRNAでは第3日において対照に対して好中球数の2倍の増大が明らかとなっている。
【0850】
これらのデータは、5‐メチルシチジン/プソイドウリジン修飾型および5‐メチルシチジン/N1‐メチルプソイドウリジン修飾型のいずれのmRNAも、血中好中球数の特異的増大によって証拠づけられるように、生物学的に活性となりうることを実証している。
【0851】
【表14】
実施例74. 静脈内投与
5‐メチルシトシン(5mc)およびプソイドウリジン(Ψ)修飾で修飾されている(Gen1)か;または修飾されていない、10%リポプレックス(RNAIMAX(商標))中で調合されたヒトG‐CSFの修飾mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、50ugのRNAおよび体積100ulの用量として第0日、第2日および第4日に静脈内(IV)注射によりマウスに送達された。好中球は第1日、第5日および第8日に測定された。対照には、非特異的な哺乳類RNAまたは調合用バッファーのみ(F.バッファー)を含めた。マウスは、mRNAにコードされたヒトG‐CSFが好中球数を増大させる作用を判定するために、第1、5および8日に採血された。投薬レジメンは、結果の好中球数(千個/uL;K/uL)とともに表21に示されている。
【0852】
静脈内投与について、該データから、G‐CSF修飾mRNAでは第5日において対照に対して好中球数が4~5倍増大したが、未修飾のG‐CSF mRNAまたは非特異的な対照物では増大しなかったことが明らかとなっている。血球数は最後の注射の4日後にベースラインに戻った。白血球集団におけるその他の変化は観察されなかった。
【0853】
表21では、アステリスク(*)はバッファーとの比較でp<0.001における統計的有意差を示している。
これらのデータは、リポプレックスで調合された5‐メチルシチジン/プソイドウリジン修飾型mRNAが、I.V.投与経路で送達された時、血中好中球数の特異的増大によって証拠づけられるように、生物学的に活性となりうることを実証している。他の細胞サブセットに有意な変化はなかった。同様に投与された未修飾のG‐CSF mRNAは、好中球数に対する薬理作用を示さなかった。
【0854】
【表15】
実施例75:投与経路
様々な投与経路を使用する分割投薬(split dosing)について調査するための研究が実施された。修飾mRNA薬物の曝露を増大させ、かつタンパク質産生を改善する方法を調べるために、複数の皮下または筋肉内注射部位を一度に利用する研究が設計かつ実施された。発現されるタンパク質生成物の検出に加えて、タンパク質の生理機能の評価も、被験動物由来の試料を解析することによって判定された。
【0855】
意外にも、修飾mRNAの分割投薬は、単回の単位用量投薬または複数回投薬により生じるよりも大きなタンパク質産生および表現型応答を生じることが分かった。
分割投薬実験の設計には、ヒトエリスロポエチン(EPO)の修飾mRNA(配列番号5に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)またはルシフェラーゼ修飾mRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)が、単独でバッファーに含めて投与されるかまたは30%リポプレックス(RNAIMAX(商標))を用いて調合されて使用することを伴った。投薬ビヒクル(バッファー)は、150mM NaCl、2mM CaCl2、2mM Na+‐リン酸塩(1.4mMリン酸一ナトリウム;0.6mM第二リン酸ナトリウム)、および0.5mM EDTA、pH6.5、で構成された。pHは水酸化ナトリウムを使用して調整され、最終溶液はフィルタ濾過滅菌された。mRNAは、各シトシンを5メチルC(5meC)で、また各ウリジン部位をプソイドウリジンで置き換えることにより修飾された。
【0856】
1群当たり4匹のマウスに、表22に略述された投薬チャートにより筋肉内(I.M.)、静脈内(I.V.)、または皮下(S.C.)投与が行われた。血清は注射の13時間後にすべてのマウスから収集され、組織は、筋肉内および皮下の群について注射部位から収集され、またひ臓、肝臓および腎臓は静脈内の群から収集された。筋肉内の群からの結果および皮下の群の結果は表23に示されている。
【0857】
【表16】
実施例76:様々な脂質比率を使用するin vivo送達
修飾mRNAは、様々な脂質比率およびその結果生じるタンパク質発現を評価するために、C57/BL6マウスに送達された。100μgの修飾ヒトEPO mRNA(配列番号5に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されている)が10%、30%もしくは50%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化された調合物、100μgの修飾ルシフェラーゼmRNA(配列番号2に示されるIVT cDNA配列;配列番号3に示されるmRNA配列、配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール、5’キャップ、キャップ1、各シトシンについて5‐メチルシトシンおよび各ウリジン部位についてプソイドウリジンへの置き換えで完全に修飾されている)が10%、30%もしくは50%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化された調合物、または調合用バッファーは、単回の70μl用量としてマウスに筋肉内投与された。注射の13時間後に血清が収集され、各マウスにおけるヒトEPOタンパク質レベルを決定するためにヒトEPO ELISAが行われた。ヒトEPO ELISAの結果は、表24に示されるように、筋肉で発現された修飾ヒトEPOが、様々な比率(%)のRNAIMAX(商標)それぞれについて血清中へ分泌されることを示している。
【0858】
【表17】
実施例77:ラットにおける修飾RNAのin vivo送達
修飾mRNAのタンパク質産生は、メスのスプラーグ・ドーリー(Sprague Dawley)ラット(n=6)に修飾G‐CSF mRNAまたは修飾第IX因子mRNAを送達することにより評価された。ラットは、100ul中に400ugの、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)(G‐CSF Gen1)、5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNA(G‐CSF Gen2)、または5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾された第IX因子mRNA(配列番号6に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)(第IX因子 Gen1)であって、凍結乾燥形態から5%スクロース中に再構成されたものを注射された。血液は注射の8時間後に収集されて、血清中のG‐CSFタンパク質レベルはELISAによって測定された。表25は8時間後の血清中のG‐CSFタンパク質レベルを示している。
【0859】
これらの結果は、G‐CSF Gen1およびG‐CSF Gen2の修飾mRNAがいずれも単回の筋肉内注射後にラットにおいてヒトG‐CSFタンパク質を産生することができること、ならびにヒトG‐CSFタンパク質の産生はGen2の化学構造を使用するとGen1の化学構造よりも向上することを実証している。
【0860】
【表18】
実施例78. 化学修飾:in vitroでの研究
A. PBMCにおけるin vitroスクリーニング
表26および27に略述された化学修飾で完全に修飾された500ngのG‐CSF(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)mRNAは、0.4uLのLipofectamine2000を用いて3名の健康な血液ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)にトランスフェクションされた。LPS、R848、P(I)P(C)、およびmCherry(配列番号4に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されている)の対照試料も解析された。上清が採取され、G‐CSFタンパク質の発現、ならびにサイトカインのインターフェロン‐α(IFN‐α)および腫瘍壊死因子α(TNF‐α)の誘導を判定するためにELISAによって解析されるまで、凍結保存された。G‐CSFのタンパク質発現は表26に示され、IFN‐αおよびTNF‐αの発現は表27に示されている。
【0861】
表26のデータは、全てではないが多数の化学修飾が、PBMCにおいてヒトG‐CSFを生産的に産生させるために使用されうることを実証している。注目すべきは、100%のN1‐メチルプソイドウリジン置換は最高レベルのヒトG‐CSF産生を示すことである(プソイドウリジン自体よりほぼ10倍高い)。N1‐メチルプソイドウリジンが5‐メチルシチジンと組み合わせて使用される場合も、高レベルのヒトG‐CSFタンパク質が産生される(これもプソイドウリジンが5‐メチルシチジンと組み合わせて使用される場合よりも高い)。
【0862】
PBMC中におけるタンパク質産生とサイトカイン産生との間の逆相関を考えると、表27においても同様の傾向が見られ、同表ではN1‐メチルプソイドウリジンを用いた100%置換によりサイトカイン誘導がもたらされず(トランスフェクションのみの対照と同様である)かつプソイドウリジンはバックグラウンドより高い検出可能なサイトカイン誘導を示している。
【0863】
N6‐メチルアデノシンおよびα‐チオシチジンのような他の修飾はサイトカイン刺激を増大させるようである。
【0864】
【表19】
B. HeLa細胞におけるin vitroスクリーニング
トランスフェクションの前日、20,000個のHeLa細胞(ATCC番号CCL‐2;米国バージニア州マナッサス)がトリプシン‐EDTA溶液(ライフテクノロジーズ(LifeTechnologies)、米国ニューヨーク州グランドアイランド)を用いた処理によって採取され、96ウェル細胞培養プレート(コーニング(Corning)、米国バージニア州マナッサス)に1ウェルあたりの総体積100ulのEMEM培地(10%FCSおよび1×Glutamax(商標)を補足)に含めて播種された。該細胞は、5%CO
2雰囲気中37oGで一晩成長せしめられた。翌日、表28に記載された化学修飾を備えた83ngのルシフェラーゼ修飾RNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、最終体積10ulのOPTI‐MEM(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)中で希釈された。Lipofectamine2000(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)がトランスフェクション試薬として使用されて、0.2ulが最終体積10ulのOPTI‐MEMに希釈された。室温で5分間のインキュベーションの後、両溶液は組み合わされて室温でさらに15分インキュベーションされた。その後、組み合わされた20ulの該溶液は、HeLa細胞を含有する100ulの細胞培養培地に添加されて室温でインキュベーションされた。
【0865】
18~22時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼを発現している細胞は100ulのパッシブライシスバッファー(Passive Lysis Buffer)(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて製造業者の指示書に従って溶解された。溶解産物のアリコートは白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの完全ルシフェラーゼアッセイ溶液(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)と組み合わされた。溶解産物の体積は、最も強いシグナルを生じる試料について1ウェルあたり200万(2 mio)以下の相対発光量(RLU)が検出されるまで調整または希釈され、試験された各化学構造物のRLUは表28に示されている。プレートリーダはバイオテク(BioTek)のSynergy(商標)H1(バイオテク(BioTek)、米国バーモント州ウィヌースキー)であった。試薬の入っていないプレートのバックグラウンドシグナルは1ウェル当たり約200相対発光量であった。
【0866】
これらの結果は、全てではないが多数の化学修飾が、HeLa細胞においてヒトG‐CSFを生産的に産生させるために使用されうることを実証している。注目すべきは、100%のN1‐メチルプソイドウリジン置換は最高レベルのヒトG‐CSF産生を示すことである。
【0867】
【表20】
C. ウサギ網状赤血球抽出液におけるin vitroスクリーニング
ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、表29に列挙された化学修飾で修飾され、ヌクレアーゼを含まない滅菌水中で10ul中に最終量250ngまで希釈された。該希釈ルシフェラーゼは新たに調製されたばかりのウサギ網状赤血球抽出液40ulに添加され、in vitro翻訳反応は、標準的な1.5mLポリプロピレン製反応チューブ(サーモフィッシャー、米国マサチューセッツ州ウォルサム)の中で、ドライヒートブロックにて30℃で行われた。該翻訳アッセイは、ウサギ網状赤血球抽出液(ヌクレアーゼ処理済)キット(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて製造業者の指示書に従って行われた。反応バッファーに、ロイシンまたはメチオニンのいずれかを欠く添付のアミノ酸ストック溶液の1対1混成物が加えられて、有効なin vitro翻訳を可能にするのに十分な量の両アミノ酸を含有する反応混合物が得られた。
【0868】
60分間のインキュベーションの後、該反応は反応チューブを氷上に置くことにより停止された。ルシフェラーゼの修飾RNAを含有するin vitro翻訳反応物のアリコートは白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの完全ルシフェラーゼアッセイ溶液(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソンと組み合わされた。in vitro翻訳反応物の体積は、最も強いシグナルを生じる試料について1ウェルあたり200万(2 mio)以下の相対発光量(RLU)が検出されるまで調整または希釈され、試験された各化学構造物のRLUは表29に示されている。プレートリーダはバイオテクのSynergy(商標)H1(バイオテク、米国バーモント州ウィヌースキー)であった。試薬の入っていないプレートのバックグラウンドシグナルは1ウェル当たり約200相対発光量であった。
【0869】
これらの無細胞での翻訳の結果はHeLaにおけるタンパク質産生の結果と非常によく相関し、同じ修飾は概して、両方の系においてうまく機能するかまたはうまく機能しない。注目すべき1つの例外は、無細胞翻訳系でうまく機能したがHeLa細胞のトランスフェクション系では機能しなかった、5‐ホルミルシチジンで修飾されたルシフェラーゼmRNAである。2つのアッセイ間における同様の差異は5‐ホルミルシチジンで修飾されたG‐CSF mRNAでも見出された。
【0870】
【表21】
実施例79. 化学修飾:in vivoでの研究
A. G‐CSF修飾mRNAのin vivoスクリーニング
Balb‐Cマウス(n=4)は、表30に略述された化学修飾で完全に修飾され、1×PBS中で調合された修飾G‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)を、それぞれの脚に筋肉内注射される。対照のルシフェラーゼ修飾mRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1;プソイドウリジンおよび5‐メチルシトシンで完全に修飾されている)ならびに対照のPBSについても試験が行われる。8時間後、ELISAによってG‐CSFタンパク質レベル サイトカインレベルを判定するために血清が収集される。
【0871】
【表22】
B. ルシフェラーゼ修飾mRNAのin vivoスクリーニング
Balb‐Cマウス(n=4)は、表31に略述された化学修飾で完全に修飾され、1×PBS中で調合された修飾ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)を42~103ug含んでいる200ulを、皮下注射された。対照のPBSについても試験が行われた。修飾ルシフェラーゼmRNAの用量は表31にも略述されている。投薬の8時間後、マウスはルシフェラーゼ発現を判定するために撮像された。撮像の20分前に、マウスはD‐ルシフェリン溶液を150mg/kgとして腹腔内注射された。その後、動物は麻酔され、画像はIVIS(登録商標)Lumina II画像化システム(パーキン・エルマー(Perkin Elmer))を用いて得られた。生物発光はマウス全体の全光束(光子/秒)として測定された。
【0872】
表31に実証されるように、2’‐フルオロウリジンを例外として、全てのルシフェラーゼmRNA修飾化学構造物がin vivoでの活性を示した。さらに、1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたmRNAはルシフェラーゼの極めて高い発現(プソイドウリジンを含有するmRNAより5倍高い発現)を示した。
【0873】
【表23】
実施例80. 組み合わせルシフェラーゼ修飾mRNAのin vivoスクリーニング
Balb‐Cマウス(n=4)は、表32に略述された化学修飾で完全に修飾され、1×PBS中で調合された修飾ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)を100ug含んでいる200ulを、皮下注射された。対照のPBSについても試験が行われた。修飾ルシフェラーゼmRNAの用量は表29にも略述されている。投薬の8時間後、マウスはルシフェラーゼ発現を判定するために撮像された。撮像の20分前に、マウスはD‐ルシフェリン溶液を150mg/kgとして腹腔内注射された。その後、動物は麻酔され、画像はIVIS Lumina II画像化システム(パーキン・エルマー(Perkin Elmer))を用いて得られた。生物発光はマウス全体の全光束(光子/秒)として測定された。
【0874】
表32に実証されるように、全てのルシフェラーゼmRNA修飾化学構造物(組み合わせとして)がin vivoでの活性を示した。さらに、修飾mRNAの中にN1‐メチルプソイドウリジンが(N4‐アセチルシチジンまたは5 メチルシチジンとともに)存在すると、プソイドウリジンを使用して同じ組み合わせが試験される場合よりも高い発現を示した。総合すると、これらのデータは、N1‐メチルプソイドウリジンを含んでいるルシフェラーゼmRNAが、単独で使用された場合(表31)であろうと他の修飾ヌクレオチドと組み合わせて使用された場合(表32)であろうとin vivoにおいて高いタンパク質発現をもたらすことを示している。
【0875】
【表24】
実施例81. 修飾RNAの安定性
A. 修飾RNAの保存
修飾RNAの完全性を保持する保存条件についてのよりよい理解を得るために、安定性実験が行なわれた。未修飾のG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNA、ならびに5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF mRNAであって体積比0.75%のRNAIMAX(商標)を用いてリポプレックス化されたものが、50℃、40℃、37℃、25℃、4℃または-20℃で保存された。該mRNAが0時間、2時間、6時間、24時間、48時間、5日間および14日間保存された後、該mRNAはバイオ‐ラッド(Bio-Rad)のEXPERION(商標)システムを使用してゲル電気泳動により解析された。上記の修飾、未修飾およびリポプレックス化されたG‐CSF mRNAはさらに、40℃のRNASTABLE(登録商標)(バイオマトリカ社(Biomatrica, Inc.)、米国カリフォルニア州サンディエゴ)の中または水中で-80℃もしくは40℃にて35日間保存されてからゲル電気泳動によって解析された。
【0876】
安定化剤を伴わない全てのmRNA試料が4℃または-20℃での保存後の2週間後に安定であった。修飾されたG‐CSF mRNAは、リポプレックスの有無にかかわらず、未修飾のG‐CSFよりも、25℃(完全に安定なのが5日までに対して48時間)、37℃(完全に安定なのが24時間に対して6時間)および50℃(完全に安定なのが6時間に対して2時間)で保存された時に安定していた。未修飾のG‐CSF mRNA、修飾されたG‐CSF mRNAであってリポプレックス伴うもの、または伴わないものは、12回の凍結/融解サイクルに耐えた。
【0877】
40℃の安定化剤の中で保存されたmRNA試料は35日後に-80℃の水中で保存されたmRNA試料と同様の安定性を示したが、40℃の水中で保存されたmRNAは18日後に激しい分解を示した。
【0878】
実施例82. BJ繊維芽細胞における細胞生存率
ヒトの初代包皮線維芽細胞(BJ繊維芽細胞)はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手され(カタログ番号CRL‐2522)、10%ウシ胎児血清が補足されたイーグルの最少必須培地(ATCC、カタログ番号30‐2003)にて37℃、5%CO2で成長せしめられた。BJ繊維芽細胞は、24ウェルプレートに細胞密度を0.5mlの培地中で1ウェルあたり130,000個として播種された。250ngの修飾G‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)であって、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen1)、または5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen2)が、Lipofectamine2000(インビトロジェン、カタログ番号11668‐019)を使用して製造業者のプロトコールに従ってトランスフェクションされた。対照試料のLipofectamine2000(LF2000)および未修飾G‐CSF mRNAもトランスフェクションされた。修飾mRNAまたは対照試料は4日間毎日トランスフェクションされた。トランスフェクション後の細胞の生存率は、最初のトランスフェクションの6時間後および24時間後(T1、6時間またはT1、24時間)、ならびに2回目のトランスフェクションの24時間後(T2、24時間)および4回目のトランスフェクションの24時間後(T4、24時間)に評価された。
【0879】
細胞生存率を決定するために、培地は完全に削除され、細胞は、緩く付着している細胞を洗い流すために600ulのCa2+/Mg2+を含まない滅菌PBS(ギブコ/ライフテクノロジーズ(Gibco/Life Technologies)、米国バージニア州マナッサス)で1回洗浄された。PBSは除去および廃棄された。各ウェル中の清浄化された繊維芽細胞は、220ulの希釈されたCELL TITER GLO(登録商標)(プロメガ、カタログ番号G7570)ストック溶液で処理された(CELL TITER GLO(登録商標)ストック溶液は等量の滅菌PBSで1:1にさらに希釈された)。プレートから細胞を剥がして溶解過程を速めるために滅菌ピペットチップが使用された。
【0880】
2つの時間間隔すなわちT1、24時間およびT2、24時間については、代替プロトコールが適用された。細胞は上述のようにしてPBSで洗浄され、続いて、トリプシン/EDTA溶液(ギブコ/ライフテクノロジーズ、米国バージニア州マナッサス)でトリプシン処理された。細胞は、トリプシンインヒビターを含有する培地500ulの中で分離および収集された。細胞は1200rcfで5分間の遠心分離処理により採取された。細胞ペレットは500ulのPBSに再懸濁された。この細胞懸濁液は氷中に保たれ、そのうち100ulが希釈されていないCell Titer Glo溶液100ulと合わされた。
【0881】
その後、CELL TITER GLO(登録商標)溶解産物はすべて室温で20分間インキュベーションされた。20ulの溶解産物は、白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの希釈されたCELL TITER GLO(登録商標)溶液と合わされた。使用されたプレートリーダはバイオテクのSynergy(商標)H1(バイオテク、米国バーモント州ウィヌースキー)であり、絶対値は、100%細胞生存率としての未処理のBJ繊維芽細胞のシグナルに対して標準化された。BJ繊維芽細胞についての生存率(%)は表33に示されている。
【0882】
重要なのは、これらの実験はすべて、インターフェロンまたはその他のサイトカインの阻害剤が存在しない状態で行なわれ、よって様々なmRNAの細胞毒性の正確な尺度を表わしているということである。
【0883】
これらの結果は、未修飾mRNAを用いたBJ繊維芽細胞の反復トランスフェクションが細胞生存率の低下をもたらすことを実証しており、これは早くも最初のトランスフェクションの24時間後(T1、24時間)に明らかであり、その後の時点でも継続して明らかかつ一層顕著である。
【0884】
5メチルシチジンおよびプソイドウリジンで修飾されたmRNAの反復トランスフェクションに伴う生存率の低下もあり、これは、毎日のトランスフェクションの4回目の24時間後(T4、24時間)において明らかである。この実験全体を通じて、5メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで修飾されたmRNAを使用すると細胞の生存率の低下は見られない。これらの結果は、反復トランスフェクションの下で解析された場合、5メチルシチジンおよびN1‐メチルプソイドウリジンを含有しているmRNAは細胞の生存率を改善したことを実証している。修飾mRNAを反復して投与することができるということはほとんどの治療的適用において重要であり、また細胞毒性を伴わずにそうすることができること自体も重要である。理論に束縛されるものではないが、1回のトランスフェクションに伴う応答遺伝子が、タンパク質産生の減少、サイトカイン誘導、および最終的には細胞生存率の低下をもたらしている可能性があると考えられる。これらの結果は、N1‐メチルプソイドウリジンを含有するmRNAがこの点に関して未修飾mRNAおよびプソイドウリジンで修飾されたmRNAのいずれと比べても改善されたプロファイルを示していることと一致する。
【0885】
【表25】
実施例83. BJ繊維芽細胞における先天性免疫応答
ヒトの初代包皮線維芽細胞(BJ繊維芽細胞)はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手され(カタログ番号CRL‐2522)、10%ウシ胎児血清が補足されたイーグルの最少必須培地(ATCC、カタログ番号30‐2003)にて37℃、5%CO
2で成長せしめられる。BJ繊維芽細胞は、24ウェルプレートに細胞密度を0.5mlの培地中で1ウェルあたり130,000個として播種された。250ngの修飾G‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)であって、5‐メチルシトシンおよびプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen1)、または5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたもの(Gen2)は、Lipofectamine2000(インビトロジェン、カタログ番号11668‐019)を使用して製造業者のプロトコールに従ってトランスフェクションされる。対照試料のLipofectamine2000および未修飾G‐CSF mRNA(天然のG‐CSF)もトランスフェクションされる。細胞は5日間連続してトランスフェクションされる。トランスフェクション複合体は各回のトランスフェクションの4時間後に除去される。
【0886】
培養上清は、毎日トランスフェクション後に、分泌されたGCSF(アール・アンド・ディー・システムズ(R and D Systems)、カタログ番号DCS50)、腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)およびインターフェロンα(IFN‐α)について、ELISAにより製造業者のプロトコールに従ってアッセイされる。細胞は、CELL TITER GLO(登録商標)(プロメガ、カタログ番号G7570)を使用して、初回のトランスフェクションの6時間後および18時間後ならびにその後1日おきに生存率について解析される。同時に、採取された細胞から、RNAEASYマイクロキット(カタログ番号74004)を使用して製造業者のプロトコールに従って全RNAが単離されかつDNASE(登録商標)で処理される。100ngの全RNAは、高容量cDNA逆転写キット(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)、カタログ番号4368814)を使用して製造業者のプロトコールに従ってcDNA合成に使用される。次いで該cDNAは、バイオラッドのCFX384機器で製造業者のプロトコールに従ってサイバーグリーンを使用する定量的リアルタイムPCRによって、先天性免疫応答遺伝子の発現について解析される。
【0887】
実施例84. 野生型T7ポリメラーゼを用いたin vitro転写
ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)、およびG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、これまでに記載されたような野生型T7ポリメラーゼを使用して、表34~37に列挙された様々な化学構造物および化学構造物の組み合わせを用いて完全に修飾された。
【0888】
該翻訳反応の収量は分光光度測定(spectrophometric measurement)(OD260)によって決定され、ルシフェラーゼについての収量は表34に、G‐CSFについては表36に示されている。
【0889】
ルシフェラーゼおよびG‐CSFの修飾mRNAはさらに酵素的キャッピング反応に供され、各修飾mRNAキャッピング反応は分光光度測定(spectrophometic measurement)(OD260)によって収量について、またバイオアナライザを使用して正確な大きさについて、評価された。キャッピング反応からの収量はルシフェラーゼについては表35に示されており、G‐CSFについては表37に示されている。
【0890】
【表26】
実施例85. 突然変異体T7ポリメラーゼを用いたin vitro転写
ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)およびG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して表38~41に列挙された様々な化学構造物および化学構造物の組み合わせを用いて完全に修飾された。
【0891】
該翻訳反応の収量は分光光度測定(spectrophometric measurement)(OD260)によって決定され、ルシフェラーゼについての収量は表38に、G‐CSFについては表40に示されている。
【0892】
ルシフェラーゼおよびG‐CSFの修飾mRNAはさらに酵素的キャッピング反応に供され、各修飾mRNAキャッピング反応は分光光度測定(spectrophometic measurement)(OD260)によって収量について、またバイオアナライザを使用して正確な大きさについて、評価された。キャッピング反応からの収量はルシフェラーゼについては表39に示されており、G‐CSFについては表41に示されている。
【0893】
【表27】
実施例86. 2’O‐メチルおよび2’フルオロ化合物
ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、表42の化学構造物を用いて完全に修飾されたものとして生産され、かつ突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して転写された。2’フルオロを含有するmRNAはDurascribe T7を使用して作製されたが、2’Oメチルを含有するmRNAはDurascribe T7を使用して転写することができなかった。
【0894】
2’Oメチル修飾mRNAの組み入れは、恐らくは他の突然変異体T7ポリメラーゼを使用すれば遂行される可能性もありうる(ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat Biotechnol.)、2004年、第22巻、p.1155-1160;ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、2002年、第30巻、e138)。別例として、2’OMe修飾は、酵素的手段を使用して転写後に導入されることも考えられる。
【0895】
糖の2’基への修飾の導入には数多くの潜在的長所がある。2’OMe置換は、2’フルオロ置換のように、ヌクレアーゼに対する保護となることが知られており、かつさらにsiRNAおよびアンチセンスのような他の核酸に組み入れられた時に先天性免疫認識を防止することも示されている(全体が組み入れられる、クルック(Crooke)編、「アンチセンス医薬のテクノロジー(Antisense Drug Technology)、第2版、ボカラトン、CRCプレス(CRC press))。
【0896】
2’フルオロ修飾mRNAはその後、細胞内という状況におけるタンパク質産生を評価するためにHeLa細胞にトランスフェクションされ、その同じmRNAは無細胞のウサギ網状赤血球の系においても評価された。対照の未修飾ルシフェラーゼ(天然のルシフェラーゼ)がいずれの転写実験にも使用され、未処理およびモックトランスフェクション(Lipofectamine2000のみ)が行われた対照もHeLaのトランスフェクションについて解析され、また、RNAを用いない対照がウサギ網状赤血球抽出液(rabbit reticulysate)について解析された。
【0897】
HeLaのトランスフェクション実験については、トランスフェクションの前日に、20,000個のHeLa細胞(ATCC番号CCL‐2;米国バージニア州マナッサス)が、トリプシン‐EDTA溶液(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)を用いた処理によって採取され、96ウェル細胞培養プレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に1ウェルあたりの総体積100ulのEMEM培地(10%FCSおよび1×Glutamaxを補足)に含めて播種された。細胞は、5%CO2雰囲気中37oGで一晩成長せしめられた。翌日、表42に記載された化学修飾を備えた83ngの2’フルオロを含有するルシフェラーゼ修飾RNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、最終体積10ulのOPTI‐MEM(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)中に希釈された。Lipofectamine2000(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)がトランスフェクション試薬として使用されて、0.2ulが最終体積10ulのOPTI‐MEMに希釈された。室温で5分間のインキュベーションの後、両溶液は組み合わされて室温でさらに15分インキュベーションされた。その後、組み合わされた20ulの該溶液は、HeLa細胞を含有する100ulの細胞培養培地に添加されて室温でインキュベーションされた。18~22時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼを発現している細胞は100ulのパッシブライシスバッファー(Passive Lysis Buffer)(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて製造業者の指示書に従って溶解された。溶解産物のアリコートは白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの完全ルシフェラーゼアッセイ溶液(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)と組み合わされた。溶解産物の体積は、最も強いシグナルを生じる試料について1ウェルあたり200万(2 mio)以下の相対発光量(RLU)が検出されるまで調整または希釈され、試験された各化学構造物のRLUは表42に示されている。プレートリーダはバイオテク(BioTek)のSynergy(商標)H1(バイオテク(BioTek)、米国バーモント州ウィヌースキー)であった。試薬の入っていないプレートのバックグラウンドシグナルは1ウェル当たり約200相対発光量であった。
【0898】
ウサギ網状赤血球抽出液アッセイについては、2’‐フルオロを含有するルシフェラーゼmRNAはヌクレアーゼを含まない滅菌水中で最終量が10ul中に250ngとなるように希釈され、新たに調製されたばかりのウサギ網状赤血球抽出液40ulに添加され、in vitro翻訳反応は、標準的な1.5mL容ポリプロピレン製反応チューブ(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)、米国マサチューセッツ州ウォルサム)の中で、ドライヒートブロックにて30℃で行われた。該翻訳アッセイは、ウサギ網状赤血球抽出液(ヌクレアーゼ処理済)キット(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて製造業者の指示書に従って行われた。反応バッファーは、ロイシンまたはメチオニンのいずれかを欠く添付のアミノ酸ストック溶液の1対1混成物が加えられて、有効なin vitro翻訳を可能にするのに十分な量の両アミノ酸を含有する反応混合物を生じた。60分間のインキュベーションの後、反応は反応チューブを氷上に置くことにより停止せしめられた。
【0899】
ルシフェラーゼ修飾mRNAを含有しているin vitro翻訳反応物のアリコートは白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの完全ルシフェラーゼアッセイ溶液(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)と組み合わされた。in vitro翻訳反応物の体積は、最も強いシグナルを生じる試料について1ウェルあたり200万(2 mio)以下の相対発光量(RLU)が検出されるまで調整または希釈され、試験された各化学構造物のRLUは表43に示されている。プレートリーダはバイオテクのSynergy(商標)H1(バイオテク、米国バーモント州ウィヌースキー)であった。試薬の入っていないプレートのバックグラウンドシグナルは1ウェル当たり約160相対発光量であった。
【0900】
表42および43に見られるように、多数の2’フルオロ含有化合物がin vitroにおいて活性を有し、ルシフェラーゼタンパク質を産生する。
【0901】
【表28】
実施例87. 修飾の組み合わせを使用したHeLa細胞におけるルシフェラーゼ
2’フルオロで修飾されたmRNAを他の修飾と組み合わせて使用することについて評価するために、一連のmRNAが、野生型T7ポリメラーゼ(フルオロを含有しない化合物)または実施例86に記載されたような突然変異体T7ポリメラーゼ(フルヨロ(fluyoro)を含有する化合物)のいずれかを使用して転写された。すべての修飾mRNAはHeLa細胞におけるin vitroトランスフェクションによって試験された。
【0902】
トランスフェクションの前日、20,000個のHeLa細胞(ATCC番号CCL‐2;米国バージニア州マナッサス)が、トリプシン‐EDTA溶液(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)を用いた処理によって採取され、96ウェル細胞培養プレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に1ウェルあたりの総体積100ulのEMEM培地(10%FCSおよび1×Glutamaxを補足)に含めて播種された。細胞は、5%CO2雰囲気中37oGで一晩成長せしめられた。翌日、表44に記載された化学修飾を備えた83ngのルシフェラーゼ修飾RNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、最終体積10ulのOPTI‐MEM(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)中に希釈された。Lipofectamine2000(ライフテクノロジーズ、米国ニューヨーク州グランドアイランド)がトランスフェクション試薬として使用されて、0.2ulが最終体積10ulのOPTI‐MEM中に希釈された。室温で5分間のインキュベーションの後、両溶液は組み合わされて室温でさらに15分インキュベーションされた。その後、組み合わされた20ulの該溶液は、HeLa細胞を含有する100ulの細胞培養培地に添加されて室温でインキュベーションされた。
【0903】
18~22時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼを発現している細胞は100ulのパッシブライシスバッファー(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて製造業者の指示書に従って溶解された。溶解産物のアリコートは白色の不透明なポリスチレン製96ウェルプレート(コーニング、米国バージニア州マナッサス)に移され、100ulの完全ルシフェラーゼアッセイ溶液(プロメガ、米国ウィスコンシン州マディソン)と組み合わされた。溶解産物の体積は、最も強いシグナルを生じる試料について1ウェルあたり200万(2 mio)以下の相対発光量(RLU)が検出されるまで調整または希釈され、試験された各化学構造物についてのRLUは表44に示されている。プレートリーダはバイオテクのSynergy(商標)H1(バイオテク、米国バーモント州ウィヌースキー)であった。試薬の入っていないプレートのバックグラウンド信号は1ウェル当たり約200相対発光量であった。
【0904】
表44に明示されるように、すべてのフルオロを含有しない化合物、および2’フルオロ修飾を含有する組み合わせの多くを含む、ほとんどの組み合わせの修飾は、機能的なルシフェラーゼタンパク質を産生するmRNAを生じた。
【0905】
【表29】
実施例88. G‐CSFのin vitro転写
別のオープンリーディングフレームに関して本発明者らのすべての様々な化学修飾の活性を評価するために、本発明者らは、ルシフェラーゼmRNAをヒトG‐CSF mRNAとともに使用して、先に行なわれた実験を繰り返した。G‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、野生型T7ポリメラーゼ(フルオロを含有しないすべての化合物用)または突然変異体T7ポリメラーゼ(フルオロを含有するすべての化合物用)を使用して表45および46の化学構造物で完全に修飾された。突然変異体T7ポリメラーゼは市販のものを入手した(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)。
【0906】
表45および46の修飾RNAは、表示のように、HeLa細胞にin vitroでトランスフェクションされるか、またはウサギ網状赤血球抽出液(rabbit reticulysate)に添加(250ngの修飾mRNA)された。対照の未処理群、モックトランスフェクション(トランスフェクション試薬のみ)群、5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたG‐CSF、または、5‐メチルシトシンおよびN1‐メチルプソイドウリジンで完全に修飾されたルシフェラーゼ対照(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)も解析された。G‐CSFタンパク質の発現はELISAによって決定され、その値は表45および46に示されている。表45において、「NT」は試験されていないことを意味する。
【0907】
表45に示されるように、すべてではないが多数の化学修飾がヒトG‐CSFタンパク質の産生をもたらした。細胞翻訳系および無細胞翻訳系からのこれらの結果は非常によく相関しており、同じ修飾はいずれの系においても概ね機能しているかまたは機能していない。1つの顕著な例外は、無細胞翻訳系では機能したがHeLa細胞を用いるトランスフェクション系では機能しなかった5‐ホルミルシチジン修飾G‐CSF mRNAである。2つのアッセイ間の同様の差異は、5‐ホルミルシチジン修飾ルシフェラーゼmRNAを用いたときにも見られた。
【0908】
表46に示されるように、全てではないが多数の、(組み合わせて使用された場合の)化学構造物で修飾されたG‐CSF mRNAは、in vivoでの活性を実証した。さらに、(N4‐アセチルシチジンまたは5メチルシチジンを用いた)修飾mRNAにN1‐メチルプソイドウリジンが存在すると、同じ組み合わせがプソイドウリジンと共に用いて試験された場合よりも高い発現を示した。まとめると、これらのデータは、N1‐メチルプソイドウリジンを含有するG‐CSF mRNAがin vitroにおいて改善されたタンパク質発現をもたらすことを実証している。
【0909】
【表30】
実施例89. 化学構造物のスクリーニング
以下に挙げた表(表47~49)は、先の実施例において示された様々な化合物を用いたin vitroおよびin vitroスクリーニングデータの大半を概括している。細胞を用いる翻訳アッセイと無細胞翻訳アッセイとの間には良好な相関が存在する。同じ化学構造物の置換は一般にルシフェラーゼまたはG‐CSFのmRNAのいずれに関して試験されても良好な一致を示す。最後に、N1‐メチルプソイドウリジンを含有するmRNAは、in vitroおよびin vivoにおいて検出可能なサイトカイン刺激をほとんどまたは全く伴わずに極めて高レベルのタンパク質発現を示し、かつin vitroおよびin vivoのいずれにおいてもプソイドウリジンを含有するmRNAより優れている。
【0910】
ルシフェラーゼmRNA(配列番号3に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)、およびG‐CSF mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)は、表47および48に記載された天然に存在する化学構造物および天然に存在しない化学構造物、ならびに表48に記載された化学構造物の組み合わせを用いて修飾され、かつ本明細書中に記載された方法を用いて試験された。
【0911】
表47および48では、「*」は、突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用したin vitro転写反応を指し;「**」は、突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用したin vitro転写反応の2回目の結果を指し;「***」は、無細胞翻訳(ウサギ網状赤血球抽出液)における産生を指し;HeLaのタンパク質産生は「+」、「+/-」および「-」で判断され;G‐CSF PBMCを参照すると、「++++」は6,000pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+++」は3,000pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「++」は1,500pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+」は300pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+/-」は150~300pg/mlのG‐CSFを意味し、バックグラウンドは約110pg/mlであり;サイトカイン PBMCを参照すると、「++++」は1,000pg/mlを超えるインターフェロン‐α(IFN‐α)を意味し、「+++」は600pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「++」は300pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「+」は100pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「-」は100pg/ml未満を意味し、バックグラウンドは約70pg/mlであり;また、「NT」は試験されていないことを意味する。表48では、タンパク質産生は、突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して評価された。
【0912】
【表31】
表49では、HeLaのタンパク質産生は「+」、「+/-」および「-」で判断され;G‐CSF PBMCを参照すると、「++++」は6,000pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+++」は3,000pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「++」は1,500pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+」は300pg/mlを超えるG‐CSFを意味し、「+/-」は150~300pg/mlのG‐CSFを意味し、バックグラウンドは約110pg/mlであり;サイトカイン PBMCを参照すると、「++++」は1,000pg/mlを超えるインターフェロン‐α(IFN‐α)を意味し、「+++」は600pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「++」は300pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「+」は100pg/mlを超えるIFN‐αを意味し、「-」は100pg/ml未満を意味し、バックグラウンドは約70pg/mlであり;「WT」は野生型T7ポリメラーゼを指し、「MT」は突然変異体T7ポリメラーゼ(Durascribe(登録商標)T7転写キット(カタログ番号DS010925)(Epicentre(登録商標)、米国ウィスコンシン州マディソン)を指し、「NT」は試験されていないことを意味する。
【0913】
【表32】
実施例90. PBMCにおける2’フルオロ化学構造物
G‐CSF修飾mRNA(配列番号1に示されるmRNA配列;配列中に示されていないおよそ160ヌクレオチドのpolyAテール;5’キャップ、キャップ1)が先天性免疫応答を誘発する能力は、インターフェロン‐α(IFN‐α)および腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)産生を測定することにより判定された。in vitroのPBMC培養物の使用は、オリゴヌクレオチドの免疫刺激能を測定するための一般的な方法であり(ロビンズ(Robbins)ら、オリゴヌクレオチド(Oligonucleotides)、2009年、第19巻、p.89-102)、トランスフェクションの方法は本明細書中に記載されている。表50に示すのは、特異的ELISAによって測定された経時的なインターフェロン‐α(IFN‐α)および腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)産生についての2名または3名の別個のPBMCドナーの平均である。対照のR848、P(I)P(C)、LPSおよびLipofectamine2000(L2000)についても解析された。
【0914】
先天性の免疫認識に関し、いずれの(both)修飾型mRNA化学構造物も主として、陽性対照(R848、P(I)P(C))と比較してIFN‐αおよびTNF‐αの産生を防いだが、2’フルオロ化合物は他の組み合わせよりさらに低くIFN‐αおよびTNF‐α産生を低減し、N4‐アセチルシチジンの組み合わせはサイトカインプロファイルを上昇させた。
【0915】
【表33】
その他の実施形態
当然のことであるが、本開示はその詳細な説明と共に記載されてきたが前述の説明は本開示を例証することを意図したものであって本開示の範囲を限定するようには意図されておらず、本開示は添付の特許請求の範囲に述べた範囲によって定義される。その他の態様、利点および改変形態は添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【配列表】