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特開2024-36713情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036713
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20240311BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H04B10/27
H04J14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141115
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳町 成行
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA34
5K102AD01
5K102AD15
5K102AH27
5K102AL02
5K102AL10
5K102MH04
5K102MH13
5K102MH14
5K102NA02
5K102NA04
5K102NA08
5K102PB11
5K102PD01
5K102PH02
5K102PH11
5K102PH22
5K102PH31
5K102RC04
5K102RD05
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】経路中の中継ノードにて光信号の波長を変換する光通信システムにおいて、経路の到達性を向上させる情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び光通信システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、第1ノードから第2ノードを介して第3ノードへ到達する、第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する経路を特定する特定部11と、第2ノードで光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、経路での到達可否を判定する判定部12と、判定部により、経路での到達が可能であると判定された場合、経路での光信号による通信を行うよう第1ノード、第2ノード及び第3ノードを制御する制御部13と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、
前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第2ノードでの波長変換器でのSN比の劣化特性、及び前記第2波長に対する前記第3ノードの光増幅器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、
受信した経路設定要求で要求された通信速度、及び当該経路設定要求で指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該経路設定要求の優先度を特定し、
第1優先度の経路設定要求に対して、前記第1優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長のまま転送する第1経路を特定し、
前記第1優先度よりも低い第2優先度の経路設定要求に対して、前記第2優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換して転送する経路を特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、
受信した経路設定要求で要求された通信速度、及び当該経路設定要求で指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該経路設定要求の優先度を特定し、
第3優先度の経路設定要求に対して、前記第3優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換して転送する経路を特定し、
前記第3優先度よりも低い第4優先度の経路設定要求に対して、前記第4優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長よりも短い第3波長へ変換して転送する経路を特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記波長変換器は、前記第1波長の光信号を電気信号へ変換し、前記電気信号に対してアナログ信号処理を行った後、前記第2波長の光信号に変換する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定されない場合、経路設定不可を示す応答を送信する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、
前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、
情報処理方法。
【請求項8】
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、
前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードと、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、
前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、を有する、
光通信システム。
【請求項10】
前記波長変換器は、前記第1波長の光信号を電気信号へ変換し、前記電気信号に対してアナログ信号処理を行った後、前記第2波長の光信号に変換する、
請求項9に記載の光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯端末の急速な普及と、端末の高度化による高精細画像等の大容量データ通信により、ネットワークに流れるトラフィックは急速な伸びを続けている。ある調査によると、国内の2020年度のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは約19Tbpsで年率約57%の割合で増大を続けており、今後もトラフィックの増大が見込まれている。これに対し、大容量通信を支えるコアネットワークでは、複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバに多重して伝送する波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing:WDM)、DP-QPSK(Dual Polarization Differential Quadra-ture Phasa Shift Keying)、16-QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)等の高度変調方式など、大容量化のニーズにこたえる技術の開発が進められてきた。
【0003】
無線通信における5G(5th Generation)サービスの進展に伴い、大容量化だけでなく、ネットワークの低遅延化のニーズも高まっている。これらのニーズに対して、近年ではIWON(Innovative Optical and Wireless Network)構想等において、大容量かつ低遅延のNWを実現するオールフォトニクス・ネットワークが提唱されている。オールフォトニクス・ネットワークは、経路中で電気信号への変換を極力行わずに極力光のまま伝送する。このため、電気信号への変換を行うスイッチ(中継装置)の通信容量に束縛されることなく大容量で通信が可能なだけでなく、電気変換に伴う遅延が低減されるため低遅延化も図ることができる。
【0004】
光通信システムにおいて、光ファイバ内においては、同一の波長が使えないため、中継ノードに到来した同一波長で経路が異なる光信号を同一の光ファイバに収容できない。そのため、中継ノードは、ある経路での光信号の波長を変換し、当該経路での光信号と他の経路での光信号とを同一の光ファイバに収容できるようにする。これに関連する技術として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、コヒーレント方式を用いた受信端と送信端とにより光信号の波長を変換する波長変換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2017-511036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、関連技術では、例えば、経路中の中継ノードにて光信号の波長を変換する場合、当該経路での到達保証が困難な場合がある。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、経路中の中継ノードにて光信号の波長を変換する光通信システムにおいて、経路の到達性を向上できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る第1の態様では、光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0009】
また、本開示に係る第2の態様では、光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、情報処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示に係る第3の態様では、光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0011】
また、本開示に係る第4の態様では、光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードと、情報処理装置とを有し、前記情報処理装置は、前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、を有する、光通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
一側面によれば、経路中の中継ノードにて光信号の波長を変換する光通信システムにおいて、経路の到達性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る光通信システムの構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るノードの構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る波長変換器の構成の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る波長変換器の構成のより詳細な一例を示す図である。
図6】実施形態に係るコヒーレント受信フロントエンド部の構成の一例を示す図である。
図7】実施形態に係るコヒーレント送信フロントエンド部の構成の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係るノードDB(データベース)に記録される情報の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る劣化特性DBに記録される情報の一例を示す図である。
図11】実施形態に係るノードの光アンプのNF(Noise Figure)の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0015】
(実施の形態1)
<構成>
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の構成について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。なお、情報処理装置10は、例えば、NMS(Network Managiment System)等と称することもできる。情報処理装置10は、特定部11、判定部12、及び制御部13を有する。
【0016】
特定部11は、光信号による通信を行う第1ノード(始点ノード)、第2ノード(1以上の中継ノード)、及び第3ノード(終点ノード)のそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、第1ノードから第2ノードを介して第3ノードへ到達する経路であって第2ノードにて光信号の波長を変換して転送する経路を特定する。なお、光通信システムにおいて、データ送信の始点となるノードを始点ノード、データを中継するノードを中継ノード、データ送信の終点となるノードを終点ノードとも称する。
【0017】
判定部12は、第2ノードでの波長変換器でのSN比(signal-to-noise ratio)の劣化特性に基づいて、経路での到達可否を判定する。制御部13は、判定部12により、経路での到達が可能であると判定された場合、経路での光信号による通信を行うよう第1ノード、第2ノード、及び第3ノードを制御する。
【0018】
(実施の形態2)
<システム構成>
次に、図2を参照し、実施形態に係る光通信システム1の構成について説明する。光通信システム1は、例えば、デジタル信号処理を行わずにアナログ信号処理により光信号の波長を変換するO-A-O(Optical to Analog to Optical)波長変換を用いたオールフォトニクス・ネットワークでもよい。図2は、実施形態に係る光通信システム1の構成の一例を示す図である。図2の例では、光通信システム1は、情報処理装置10を有する。また、光通信システム1は、ノード20A、ノード20B、ノード20C、ノード20D、ノード20E、ノード20F、及びノード20G(以下で、区別する必要が無い場合は、単に、「ノード20」とも称する。)を有する。なお、情報処理装置10、及びノード20の数は図2の例に限定されない。
【0019】
情報処理装置10は、1以上のノード20と光伝送路(例えば、光ファイバ)を介して接続されている。また、各ノード20は、2以上の他のノード20と光伝送路を介して接続されている。情報処理装置10、及びノード20の接続形態(ネットワークトポロジー)は、例えば、メッシュ形状でもよいし、リング形状等でもよい。
【0020】
経路P1は、ノード20Aを始点ノードとし、ノード20B~Dの順で各ノード20を中継ノードとし、ノード20Eを終点ノード20とする経路の例を示す。なお、始点ノード20は、電気信号を光信号に変換して送信する回路を有する、サーバ等のコンピュータまたはスイッチ装置でもよい。また、終点ノードは、受信した光信号を電気信号に変換する回路を有する、サーバ等のコンピュータまたはスイッチ装置でもよい。
【0021】
<ノード20の構成>
次に、図3を参照し、実施形態に係るノード20の構成について説明する。図3は、実施形態に係るノード20の構成の一例を示す図である。図3の例では、中継ノードであるノード20は、1以上の光ファイバ201、光アンプ(光増幅器、光AMP)202A、光アンプ202B、光スイッチ(WSS、Wavelength Selective Switch)203、光アンプ204A、光アンプ204B、光スイッチ205A、光スイッチ205B、1以上の波長変換器206、1以上の光ファイバ207、及びコントローラ208を有する。
【0022】
光アンプ202は、ノード20は、光ファイバ201から入力された光信号の伝送損失をファイバ単位で補償する。光スイッチ203は、光アンプ202からの光信号の波長単位のスイッチングし、例えば、光アンプ204Aへ出力する。
【0023】
光アンプ204は、光スイッチ203の波長変換ポートからの光信号の損失を補償して光スイッチ205Aへ出力する。光スイッチ205Aは、光アンプ204Aからのファイバ単位の光信号を波長単位に分離して波長変換器206へ出力する。
【0024】
波長変換器206は、光スイッチ205Aからの第1波長の光信号を電気信号へ変換し、当該電気信号に対してアナログ補償等のアナログ信号処理を行った後、第2波長の光信号に変換して光スイッチ205Bへ出力する。波長変換器206は、光信号を一旦電気信号には変換するものの、アナログ信号処理のみを施し、再度別波長の光信号に変換して中継する。物理的には電気回路のアナログ遅延が生じるが、最大でも数nsec以下であり無視できるほど小さい。したがって、デジタル信号処理で波長の変換を行う場合と比較して、チャネル単位で低レイテンシな波長変換機能が実現可能となる。
【0025】
ここで、波長変換器206は、アナログ補償として、例えば、帯域補償、PDL補償(偏波依存性損失補償)、分散補償等を行ってもよい。なお、光ファイバ内においては、同一の波長が使えないため、ノード20に到来した同一波長で経路が異なる光信号を同一の光ファイバに収容できない。そのため、ノード20は、波長変換器206を用いてある経路での光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換し、第2波長へ変換した当該経路での光信号と他の経路での第1波長の光信号とを同一の光ファイバに収容できるようにする。
【0026】
光スイッチ205Bは、波長変換器206からの波長単位の光信号をファイバ単位に束ねて光アンプ204Bへ出力する。
【0027】
光アンプ204Bは、光スイッチ205Bからの光信号の損失を補償して光スイッチ203へ出力する。光スイッチ203は、光アンプ204Bからのファイバ単位の光信号を受け、波長単位のスイッチングを行い光アンプ202Bへ出力する。光アンプ202Bは、光スイッチ203からの光信号の伝送損失をファイバ単位で補償し、光ファイバ207へ出力する。光ファイバ207は、光アンプ202Bからのファイバ単位の光信号を他のノード20に出力する。コントローラ208は、ノード20内の各デバイス(例えば、光スイッチ203)を制御する。
【0028】
<<波長変換器206の構成>>
次に、図4から図7を参照し、実施形態に係る波長変換器206の構成について説明する。図4は、実施形態に係る波長変換器206の構成の一例を示す図である。図5は、実施形態に係る波長変換器206の構成のより詳細な一例を示す図である。図6は、実施形態に係るコヒーレント受信フロントエンド部110の構成の一例を示す図である。図7は、実施形態に係るコヒーレント送信フロントエンド部120の構成の一例を示す図である。
【0029】
図4の例では、波長変換器206は、コヒーレント受信フロントエンド部110、コヒーレント送信フロントエンド部120、アナログ補償部130を備えている。
【0030】
コヒーレント受信フロントエンド部110は、光信号を電気信号に変換し、コヒーレント検波を行う。コヒーレント受信フロントエンド部110は、入力される入力光信号SO1を局発光r1に基づいてコヒーレント検波し、生成されたアナログ電気信号SA1を出力する。
【0031】
コヒーレント送信フロントエンド部120は、電気信号を光信号に変換し、コヒーレント変調を行う。コヒーレント送信フロントエンド部120は、アナログ電気信号SA1を折り返したアナログ電気信号SA2を送信光r2に基づいてコヒーレント変調し、生成された出力光信号SO2を出力する。
【0032】
入力光信号SO1及び出力光信号SO2は、位相変調及び偏波多重された光信号である。アナログ電気信号SA1及びSA2は、X偏波のI成分(同相成分)のXI信号、X偏波のQ成分(直交成分)のXQ信号、Y偏波のI成分のYI信号、Y偏波のQ成分のYQ信号を含む4レーン(4ch)の信号である。
【0033】
局発光r1の周波数は、受信する入力光信号SO1の周波数(キャリア周波数)であり、送信光r2の周波数は、送信する出力光信号SO2の周波数である。例えば、局発光r1と送信光r2とは、異なる周波数であるが、同じ周波数としてもよい。局発光r1と送信光r2の周波数を変えることで、折り返す光信号の波長を切り替えることができる。すなわち、入力光信号SO1を異なる波長の出力光信号SO2に変換できる。
【0034】
アナログ補償部130は、コヒーレント受信フロントエンド部110とコヒーレント送信フロントエンド部120の間で、アナログ電気信号SA1に対し所定のアナログ信号処理を行い、アナログ電気信号SA2を生成する回路である。アナログ補償部130は、コヒーレント受信フロントエンド部110の入力からコヒーレント送信フロントエンド部120の出力までの間における信号特性に応じて、その信号品質を補償するようアナログ電気信号SA1に対しアナログ信号処理を行い、アナログ電気信号SA2を生成する。
【0035】
なお、光信号及びアナログ電気信号のいずれか、または両方を単に「信号」と呼ぶ場合がある。本開示における信号品質の補償には、ノード20を通過するたびに生じる光信号の劣化の補償、及び、ノード20内で生じるアナログ電気信号の劣化の補償が含まれる。例えば、補償する光信号の劣化は、各ノード20の光合分波器や光フィルタなどを経由する際に生じる帯域劣化(PBN:Pass Band Narrowing)、O/EまたはE/O変換効率のばらつきによる4レーンの振幅ばらつき、光周波数オフセット等を含む。補償するアナログ電気信号の劣化は、各4レーンのアナログ電気回路の特性劣化および特性ばらつきによる帯域劣化、4レーンの振幅ばらつき、4レーンのスキュー等を含む。言い換えると、信号品質の補償は、信号の帯域劣化を補償する帯域補償、局発光の周波数のずれを補償する周波数オフセット補償、信号に含まれる各信号成分のタイミングのばらつきを補償するスキュー補償、信号に含まれる各信号成分の振幅のばらつきを補償する振幅補償等を含む。
【0036】
図5に示すように、アナログ補償部130は、アナログ信号処理部131、制御部132、モニタ部133を備えていてもよい。また、波長変換器206は、局発光r1を生成する参照光源140、送信光r2を生成する送信光源150を備えてもよい。参照光源140は、コヒーレント受信フロントエンド部110の内部にあってもよいし、送信光源150は、コヒーレント送信フロントエンド部120の内部にあってもよい。
【0037】
アナログ信号処理部131は、信号品質を補償するための所定のアナログ信号処理を行うアナログ回路である。アナログ信号処理部131は、アナログ信号のままアナログ電気信号SA1を処理し、アナログ電気信号SA2を出力する。アナログ信号処理部131は、アナログ信号処理のみを行い、大きな遅延が発生するデジタル信号処理を行わない。これにより、物理的な遅延を例えば数nsec以下に抑えることができる。
【0038】
モニタ部133は、コヒーレント受信フロントエンド部110の入力からコヒーレント送信フロントエンド部120の出力までの間における、入力光信号SO1、アナログ電気信号SA1、アナログ電気信号SA2、出力光信号SO2のいずれかの信号特性をモニタする。モニタする信号特性は、例えば、光信号に含まれる偏波信号(偏波多重されたX偏波及びY偏波)の特性やアナログ電気信号に含まれる複素信号(位相変調されたI成分及びQ成分)の特性等である。
【0039】
制御部132は、モニタ部133のモニタ結果に基づいて、アナログ信号処理部131のアナログ信号処理の動作を制御する。モニタした信号特性に応じてアナログ信号処理を最適化することで、帯域補償やスキュー補償等を行い、信号品質の劣化を抑える。制御部132及びモニタ部133の信号処理速度は主信号のレイテンシには影響しないため、制御部132及びモニタ部133の時定数は低くてもよい。制御部132及びモニタ部133は、アナログ回路でもよいし、デジタル回路でもよい。
【0040】
図6に示すように、コヒーレント受信フロントエンド部110は、偏波分離部111、90度ハイブリッド回路112-1~112-2、O/E変換部113-1~113-4、増幅器114-1~114-4を備えている。
【0041】
偏波分離部111は、入力された偏波合成信号である入力光信号SO1をX偏波及びY偏波に偏波分離する。90度ハイブリッド回路(コヒーレント光検波器)112-1~112-2は、偏波分離部111により偏波分離された光信号と参照光源140の局発光r1とを干渉させてコヒーレント検波を行い、Photo Diodeなどで構成されるO/E変換部113-1~113-4が検波された信号を4レーンのアナログの電気信号に変換する。90度ハイブリッド回路112-1は、入力光信号SO1のX偏波をI成分及びQ成分に分離した後、O/E変換部113-1~113-2によって光電変換し、XI信号、XQ信号を生成する。90度ハイブリッド回路112-2は、入力光信号SO1のY偏波をI成分及びQ成分に分離した後、O/E変換部113-3~113-4によって光電変換し、YI信号、YQ信号を生成する。増幅器114-1~114-4は、生成されたXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号をそれぞれ増幅し、4レーンのアナログ電気信号SA1としてアナログ補償部130へ出力する。アナログ補償部130は、XI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号の全てまたは一部(X偏波またはY偏波)に対しアナログ信号処理を行う。
【0042】
図7に示すように、コヒーレント送信フロントエンド部120は、増幅器121-1~121-4、MZ変調器(MZM:Mach-Zehnder Modulator)122-1~122-4、偏波合成部123を備えている。
【0043】
増幅器121-1~121-4は、アナログ補償部130から出力されたアナログ電気信号SA2のXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号をそれぞれ増幅し、MZ変調器122-1~122-4を駆動する。MZ変調器(IQ光変調器)122-1~122-4は、それぞれ印加されるXI信号、XQ信号、YI信号、YQ信号に応じて、送信光源150の送信光r2に対しIQ変調をかける。MZ変調器122-1~2は、増幅器121-1~121-2を介したXI信号及びXQ信号に基づいて、X偏波のIQ変調光信号を生成する。MZ変調器122-3~4は、増幅器121-3~121-4を介したYI信号及びYQ信号に基づいて、Y偏波のIQ変調光信号を生成する。偏波合成部123は、生成されたX偏波のIQ変調光信号とY偏波のIQ変調光信号を偏波合成し、合成した光信号を出力光信号SO2として出力する。
【0044】
<処理>
次に、図8から図11を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の処理の一例について説明する。図8は、実施形態に係る情報処理装置10の処理の一例を示すフローチャートである。図9は、実施形態に係るノードDB(データベース)901に記録される情報の一例を示す図である。図10は、実施形態に係る劣化特性DB1001に記録される情報の一例を示す図である。図11は実施形態に係るノード20の光アンプのNF(Noise Figure)の一例を示す図である。
【0045】
情報処理装置10は、例えば、経路の設定要求(経路設定要求、パスリクエスト)を受信した際に、図8の処理を実行してもよい。パスリクエストには、始点ノード20の識別情報及び終点ノード20の識別情報が含まれてもよい。なお、パスリクエストは、例えば、始点ノード20から送信されてもよい。また、パスリクエストは、例えば、ノード20を用いたデータ通信を開始する通信装置から発行(送信)されてもよい。この場合、当該通信装置は、受信した電気信号を光信号に変換して中継する光メディアコンバーター等でもよい。
【0046】
ステップS101において、特定部11は、パスリクエストと、ノードDB901に記録されている情報と、に基づいて、経路中のいずれの中継ノード20でも波長変換を行わずに通信が可能な、条件に合致する波長及び経路(以下で、適宜「第1経路」とも称する。)があるか否かを判定する。
【0047】
ここで、特定部11は、第1経路として、例えば、1以上の各ノード20を経由する始点ノード20から終点ノード20までの伝送遅延が最小となる最短経路等を特定してもよい。この場合、特定部11は、例えば、1以上の各ノード20を経由する始点ノード20から終点ノード20までの各経路のうち、中継ノード20で波長が利用中でなく(波長衝突せず)、ホップ数(例えば、経路中の中継ノード20の数)が最小である経路を特定してもよい。なお、特定部11は、例えば、ホップ数が閾値以上である経路は特定しないようにしてもよい。また、特定部11は、例えば、経路中の通信速度が閾値以下である経路は特定しないようにしてもよい。
【0048】
図9の例では、ノードDB901には、送信元ノードIDと送信先ノードIDと波長IDの組み合わせに対応付けて、利用状況、及び通信速度が記録されている。送信元ノードIDは、送信元のノード20の識別情報である。送信先ノードIDは、あるノード20(送信元のノード20)が光信号を送信可能な他のノード20(送信先のノード20)のノードIDである。利用状況は、ノード20から送信先のノード20への通信において各波長での通信が現在の利用(使用)されているか否かを示す情報でもよい。通信速度は、送信元のノード20から送信先のノード20への各波長での通信速度(通信帯域)を示す情報でもよい。
【0049】
ノードID、送信先ノードID、波長ID、及び通信速度は、情報処理装置10の管理者等により予め設定されていてもよい。利用状況は、情報処理装置10により設定(更新)されてもよい。なお、ノードDB901は、情報処理装置10の内部の記憶装置に記録されてもよいし、情報処理装置10の外部の記憶装置に記録されてもよい。
【0050】
第1経路がある場合(ステップS101でYES)、制御部13は、第1経路上の各ノード20へ、ノード20毎の第1設定コマンドを送信する(ステップS102)。ここで、ノード20毎の第1設定コマンドには、第1設定コマンドを受信したノード20が転送する光信号の波長を示す情報と、送信先のノード20のノードIDとが含まれてもよい。そして、第1設定コマンドを受信したノード20は、第1設定コマンドにて指定された波長の光信号を、指定された送信先のノード20へ転送(中継)するように光スイッチ203等を設定する。これにより、例えば、光通信システム1において、始点ノード20から終点ノード20までのデータの転送が可能となる。
【0051】
一方、第1経路がない場合(ステップS101でNO)、特定部11及び判定部12は、パスリクエストと、ノードDB901に記録されている情報と、に基づいて、経路中の1以上の中継ノード20にて波長変換を行うことにより到達が可能な、条件に合致する経路(以下で、適宜「第2経路」とも称する。)があるか否かを判定する(ステップS103)。
【0052】
ここで、特定部11は、第2経路の候補となる経路を特定し、判定部12は、特定部11により特定された1以上の各経路について、到達が可能か否かを判定してもよい。そして、特定部11は、第2経路の候補のうち、判定部12により到達が可能と判定された経路を、第2経路として特定してもよい。
【0053】
この場合、まず、特定部11は、例えば、1以上の各ノード20を経由する始点ノード20から終点ノード20までの各経路のうち、ある中継ノード20にて送信先のノード20(次の中継ノード20または終点ノード20)へ第1波長にて送信を行っている(第1波長を利用中である)場合は当該中継ノード20にて波長を第2波長へ変換する経路を特定してもよい。なお、特定部11は、例えば、ホップ数が閾値以上である経路は第2経路の候補として特定しないようにしてもよい。また、特定部11は、例えば、経路中の通信速度が閾値以下である経路は第2経路の候補として特定しないようにしてもよい。
【0054】
そして、判定部12は、第2経路の候補に含まれる各径路について、当該経路中で波長変換を行う1以上のノード20の波長変換器206でのSN比の劣化特性、当該経路中の各ノード20の光アンプでのSN比の劣化特性、及び当該経路のリンク長によるSN比の劣化特性(劣化度)の少なくとも一つに基づいて、当該経路での終点ノード20への到達が可能であるか否かを判定してもよい。
【0055】
この場合、判定部12は、図10に示す劣化特性DB1001を参照し、経路中で波長変換を行う1以上のノード20の波長変換器206でのSN比の劣化特性と、経路中の各ノード20の各光アンプでのSN比の劣化特性を取得してもよい。図10の例では、劣化特性DB1001には、ノードID、入力波長ID、出力波長IDの組み合わせに対応付けて、波長変換器206でのSN比の劣化特性、及び光アンプでのSN比の劣化特性が記録されている。なお、入力波長IDと出力波長IDとが同一である場合は、波長変換されない場合であることを示している。
【0056】
入力波長IDは、経路においてノード20に入力される光信号の波長の波長IDである。出力波長IDは、経路においてノード20から出力される光信号の波長の波長IDである。波長変換器206でのSN比の劣化特性は、波長変換器206が入力波長を出力波長へ変換する場合に、波長変換器206による光信号のSN比が劣化する程度を示す指標である。光アンプでのSN比の劣化特性は、ノード20の各光アンプにより光信号のSN比が劣化する程度を示す指標である。
【0057】
劣化特性DB1001の情報は、情報処理装置10の管理者等により予め設定されていてもよい。この場合、波長変換器206でのSN比の劣化特性、及び光アンプでのSN比の劣化特性の値は、実測値または設計値等に基づいて管理者等により決定された値でもよい。なお、劣化特性DB1001は、情報処理装置10の内部の記憶装置に記録されてもよいし、情報処理装置10の外部の記憶装置に記録されてもよい。
【0058】
また、判定部12は、例えば、経路のホップ数、及び経路の光ファイバケーブルの長さの合計値の少なくとの一方に基づいて経路のリンク長を決定してもよい。そして、判定部12は、経路のリンク長によるSN比の劣化特性を推定してもよい。この場合、判定部12は、例えば、実測値または設計値等に基づいて管理者等により決定された係数の値を、経路のリンク長の値に乗算することにより、経路のリンク長によるSN比の劣化特性の値(推定値)を算出してもよい。
【0059】
そして、判定部12は、経路中で波長変換を行う1以上のノード20の波長変換器206でのSN比の劣化特性の値と、経路中の各ノード20の各光アンプでのSN比の劣化特性の値と、経路のリンク長によるSN比の劣化特性の値とを乗算した値が閾値以下である場合、当該経路での終点ノード20への到達が可能ではないと判定してもよい。これにより、例えば、波長変換器206を用いた波長変換により伝送信号のSN比等が劣化するシステムであっても、経路での到達をより保証することが可能となる。
【0060】
第2経路がない場合(ステップS103でNO)、制御部13は、パスリクエストに対して経路設定不可を示す応答を送信(返信)し(ステップS104)、処理を終了する。一方、第2経路がある場合(ステップS103でYES)、制御部13は、第2経路中の各ノード20のうち、波長変換を行わない各ノードに対して、ノード20毎の第1設定コマンドを送信する(ステップS105)。なお、ステップS105の処理は、ステップS102の処理と同様でもよい。
【0061】
続いて、制御部13は、第2経路中の各ノード20のうち、波長変換を行うノードに対して、ノード20毎の第2設定コマンドを送信する(ステップS106)。ここで、ノード20毎の第2設定コマンドには、第2設定コマンドを受信したノード20が受信光信号の波長を示す情報と、当該ノード20で変換して転送する光信号の波長を示す情報と、送信先のノード20のノードIDとが含まれてもよい。そして、第2設定コマンドを受信したノード20は、第2設定コマンドにて指定された第1波長の光信号を、指定された第2波長の光信号に変換し、指定された送信先のノード20へ転送(中継)するように光スイッチ203、光スイッチ205A、及び波長変換器206等を設定する。これにより、例えば、光通信システム1において、始点ノード20から終点ノード20までのデータの転送が可能となる。
【0062】
(通信の優先度に応じて経路上での波長変換の有無を決定する例)
特定部11は、通信の優先度に応じて経路上での波長変換の有無を決定してもよい。これにより、例えば、優先度が比較的高い通信に対して、経路上での波長の変換によるSN比の劣化が比較的少ない経路を設定する(割り当てる)ことができる。
【0063】
この場合、特定部11は、特定期間(例えば、1分間)以内に受信した複数のパスリクエストのそれぞれに対する優先度を決定してもよい。また、特定部11は、既に各経路が設定され現在利用されている各経路に対する各パスリクエスト、及び特定期間内に受信して経路が未設定の各パスリクエストのそれぞれに対する優先度を決定してもよい。
【0064】
この場合、特定部11は、まず、受信したパスリクエストで要求された通信速度、及び当該パスリクエストで指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該パスリクエストの優先度を特定してもよい。ここで、特定部11は、例えば、ユーザまたは通信を行うアプリケーション等により要求された通信速度が高いほど、優先度を高く決定してもよい。また、特定部11は、例えば、ユーザまたは通信を行うアプリケーション等により指定された重要度が高いほど、優先度を高く決定してもよい。
【0065】
そして、特定部11は、第1優先度のパスリクエストに対して、第1優先度に基づいて第2ノードにて光信号の波長を第1波長のまま転送する第1経路を特定してもよい。また、特定部11は、第1優先度よりも低い第2優先度のパスリクエストに対して、第2優先度に基づいて第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する経路を特定してもよい。この場合、特定部11は、例えば、各パスリクエストに対して、優先度が高い順に図8の処理をそれぞれ実行してもよい。これにより、比較的優先度が高いパスリクエストに対して、経路中のいずれの中継ノード20でも波長変換を行わない第1経路を優先的に割り当てることができる。
【0066】
(通信の優先度に応じて経路上での変換後の波長を決定する例)
特定部11は、通信の優先度に応じて経路上での変換後の波長を決定してもよい。これにより、例えば、優先度が比較的高い通信に対して、経路上での波長の変換によるSN比の劣化が比較的少ない波長での経路を設定する(割り当てる)ことができる。
【0067】
図11に示されるように、ノード20の光アンプ等のNFは、波長が短いほど劣化特性が悪化する。このため、例えば、比較的短い波長に変換する場合は、比較的長い波長に変換する場合と比較して劣化特性が悪化する。
【0068】
この場合、特定部11は、まず、上述した例と同様に、受信したパスリクエストで要求された通信速度、及び当該パスリクエストで指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該パスリクエストの優先度を特定してもよい。
【0069】
そして、特定部11は、第3優先度のパスリクエストに対して、第3優先度に基づいて第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する経路を特定してもよい。また、第3優先度よりも低い第4優先度のパスリクエストに対して、第4優先度に基づいて第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長よりも短い第3波長へ変換して転送する経路を特定してもよい。この場合、特定部11は、例えば、各パスリクエストに対して、優先度が高い順に図8の処理をそれぞれ実行してもよい。そして、特定部11は、図8のステップS103の処理で、経路上で波長を変換するノード20の波長帯を特定数(例えば、図11に示すように10個)に分割し、優先度が高い順に、利用可能な波長帯のうち比較的長い波長の波長帯での経路を設定(割り当て)してもよい。これにより、比較的優先度が高いパスリクエストに対して、経路中の中継ノード20において比較的SN比の劣化が低減される波長へ変換される第2経路を優先的に割り当てることができる。
【0070】
<ハードウェア構成>
図12は、実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図12の例では、情報処理装置10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0071】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0072】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0073】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0074】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0075】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
<変形例>
【0076】
情報処理装置10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示の情報処理装置10はこれに限定されない。情報処理装置10は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、情報処理装置10とノード20とを一体の装置として構成してもよい。また、情報処理装置10の各機能部の少なくとも一部の処理を、ノード20が実行するようにしてもよい。これらのような情報処理装置10についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0078】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、
前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記判定部は、前記第2ノードでの波長変換器でのSN比の劣化特性、及び前記第2波長に対する前記第3ノードの光増幅器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記特定部は、
受信した経路設定要求で要求された通信速度、及び当該経路設定要求で指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該経路設定要求の優先度を特定し、
第1優先度の経路設定要求に対して、前記第1優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長のまま転送する第1経路を特定し、
前記第1優先度よりも低い第2優先度の経路設定要求に対して、前記第2優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換して転送する経路を特定する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記特定部は、
受信した経路設定要求で要求された通信速度、及び当該経路設定要求で指定された重要度の少なくとも一方に基づいて、当該経路設定要求の優先度を特定し、
第3優先度の経路設定要求に対して、前記第3優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換して転送する経路を特定し、
前記第3優先度よりも低い第4優先度の経路設定要求に対して、前記第4優先度に基づいて前記第2ノードにて光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長よりも短い第3波長へ変換して転送する経路を特定する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記波長変換器は、前記第1波長の光信号を電気信号へ変換し、前記電気信号に対してアナログ信号処理を行った後、前記第2波長の光信号に変換する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記制御部は、前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定されない場合、経路設定不可を示す応答を送信する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記7)
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、
前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、
情報処理方法。
(付記8)
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定し、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定し、
前記経路での到達が可能であると判定した場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記9)
光信号による通信を行う第1ノード、第2ノード、及び第3ノードと、情報処理装置とを有し、
前記情報処理装置は、
前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードのそれぞれでの波長の利用状況に基づいて、前記第1ノードから前記第2ノードを介して前記第3ノードへ到達する経路であって前記第2ノードにて光信号の波長を第1波長から第2波長へ変換して転送する前記経路を特定する特定部と、
前記第2ノードで光信号の波長を前記第1波長から前記第2波長へ変換する波長変換器でのSN比の劣化特性に基づいて、前記経路での到達可否を判定する判定部と、
前記判定部により、前記経路での到達が可能であると判定された場合、前記経路での光信号による通信を行うよう前記第1ノード、前記第2ノード、及び前記第3ノードを制御する制御部と、を有する、
光通信システム。
(付記10)
前記波長変換器は、前記第1波長の光信号を電気信号へ変換し、前記電気信号に対してアナログ信号処理を行った後、前記第2波長の光信号に変換する、
付記9に記載の光通信システム。
【符号の説明】
【0079】
1 光通信システム
10 情報処理装置
11 特定部
12 判定部
13 制御部
20 ノード
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