IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ケミコン株式会社の特許一覧 ▶ 有限会社ケー・アンド・ダブルの特許一覧

特開2024-36723太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置
<>
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図1
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図2
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図3
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図4
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図5
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図6
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図7
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図8
  • 特開-太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036723
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】太陽光発電システム、その制御方法、プログラムおよび蓄電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240311BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240311BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141133
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504358517
【氏名又は名称】有限会社ケー・アンド・ダブル
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】玉光 賢次
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩規
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃司
(72)【発明者】
【氏名】直井 和子
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA10
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電パネルなどの発電装置から得られる閾値以下の発電電力の回収率ないし利用率を高め、電力変換効率を高める。
【解決手段】発電装置(発電パネル4)と、蓄電装置(蓄電デバイス8)と、発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で蓄電装置を充電する充電回路(回路部14-2)と、蓄電装置の充電電圧が所定値に到達すれば、蓄電装置を放電させる放電回路(14-3)とを含み、発電電力が閾値以上であれば、発電装置から第一電力変換部(パワーコンディショナ6-1)に発電電力を供給する第一出力モード、発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で蓄電装置を充電する充電モード、充電電圧が所定値に到達したとき、放電電力と発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部(パワーコンディショナ6-2)に供給させる第二出力モードを含んでいる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射量に応じて発電する発電装置と、
蓄電装置と、
前記発電装置の発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で前記蓄電装置を充電する充電回路と、
前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達すれば、前記蓄電装置を放電させる放電回路と、
を含み、
前記発電電力が閾値以上であれば、前記発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モード、
前記発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で前記蓄電装置を充電する充電モード、
前記充電電圧が所定値に到達したとき、前記放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを含む、太陽光発電システム。
【請求項2】
前記閾値は、前記第一出力モードで前記第一電力変換部の変換効率が顕著に低下する電力値または該電力値以上の電力値である、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記第二出力モードにおいて、前記第二電力変換部へ供給する電力は、前記第二出力モードで用いられる前記第二電力変換部の変換効率が十分高い電力である、請求項1または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記蓄電装置が、少なくともダイオードを介して前記発電装置に接続され、かつ、前記ダイオードを介して前記第一電力変換部と分離されている、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する第一のスイッチと、
前記充電回路を開閉する第二のスイッチと、
前記放電回路を開閉する第三のスイッチと、
前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて閾値未満の発電電力で前記蓄電装置を充電し、この充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させる制御部と、
を含む、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記第三のスイッチの機能が前記第二電力変換部に含まれるDC-DCコンバータで実現される請求項5に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
発電装置が、日射量に応じて発電する工程と、
発電電力が閾値以上であれば、前記発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行する工程と、
前記発電電力が閾値未満であれば、前記発電電力で蓄電装置を充電する充電モードを実行する工程と、
前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記蓄電装置の放電電力を前記発電装置の閾値未満の発電電力に加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行する工程と、
を含む、太陽光発電システムの制御方法。
【請求項8】
第一のスイッチが、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する工程と、
第二のスイッチが、充電回路を開閉する工程と、
第三のスイッチが、放電回路を開閉する工程と、
制御部が、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させる工程と、
を含む、請求項7に記載の太陽光発電システムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
発電電力が閾値以上であれば、発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行させる機能と、
前記発電電力が閾値未満であれば、前記発電電力で蓄電装置を充電する充電モードを実行させる機能と、
前記充電電圧が所定値に到達したとき、前記蓄電装置の放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
第一のスイッチに、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉させる機能と、
第二のスイッチに、充電回路を開閉させる機能と、
第三のスイッチに、放電回路を開閉させる機能と、
前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるための請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
日射量に応じて発電する発電装置と、蓄電装置と、発電電力が閾値未満であれば、前記蓄電装置に前記発電装置の発電電力を充電させる充電回路と、前記蓄電装置を放電させる放電回路とを備えた太陽光発電システムの蓄電制御装置であって、
前記発電電力が閾値以上であるか閾値未満であるかを監視する発電電力監視部と、
前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したかを監視する蓄電電力監視部と、
前記発電電力が閾値以上であれば、第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行し、前記発電電力が閾値未満であれば、閾値未満の前記発電電力で前記蓄電装置を充電する充電モードを実行し、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、該蓄電装置の放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行する制御部と、
を含む、蓄電制御装置。
【請求項12】
前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する第一のスイッチと、
前記充電回路を開閉する第二のスイッチと、
前記放電回路を開閉する第三のスイッチと、
を含み、
前記制御部が、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させるスイッチ制御部を含む、請求項11に記載の蓄電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電システムの発電電力の蓄電および出力制御に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽光を受けて発電する太陽光発電パネルを発電装置に用いている。斯かる発電装置には日射量に応じて発電し、日射量に応じた発電電力が得られる。つまり、発電電力が日射量の影響を受け、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量の低下や変動が発電電力に影響する。微弱電力域で得られる発電電力をパワーコンディショナに供給しても、パワーコンディショナの内部回路での消費電力により実用に耐える給電出力を得ることができない。
【0003】
このような太陽光発電システムに関し、太陽光発電パネルの発電電力定値以下の場合には、発電電力をキャパシタに回収し、この回収電力を変換して負荷や系統に出力するシステムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-129980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽光発電パネルが受ける日射量が低下して発電電力が低下すると、パワーコンディショナの電力変換動作が不安定になり、このような動作状態を継続させることはシステムの動作上、好ましくない。このため、発電電力が閾値以下の場合、その発電電力をキャパシタに蓄電し、この蓄電電力を適時に使用することが合理的である。しかしながら、この充電回路はスイッチを備えており、このスイッチをキャパシタの充電時に閉じ、放電時には開く構成である。このため、キャパシタの放電時には太陽光発電パネルに発電電力が得られていても、この発電電力をキャパシタに充電することができないし、キャパシタに充電できなければその発電電力を利用することができず、このため発電電力の変換効率を低下させてしまうという課題がある。
【0006】
しかも、キャパシタの放電時、システムを通常回路に切り換えて発電電力の電力変換を行う場合、切り換えに伴うタイムラグを生じ、発電電力=0の時間が頻発するという課題がある。
【0007】
太陽光発電パネルの発電電力をパワーコンディショナに供給する出力モードと、発電電力をキャパシタに蓄電する蓄電モードとを切り換える場合には、両者を切り換えるための閾値の設定が不可欠である。この閾値を高レベル化すれば、蓄電電力量が増大するものの、パワーコンディショナに向ける発電電力量は減少するし、蓄電装置に用いられるキャパシタの充放電サイクル回数が多くなり、キャパシタの負担が増大する。
【0008】
閾値を低レベル化すれば、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量が不安定になる微弱電力域でモード切換えが頻発し、このモード切換えによる消費電力が増大するという課題もある。
【0009】
本件発明者らは、太陽光発電パネルに併設した閾値以下の発電出力を回収する蓄電装置の制御によって閾値以下の発電電力の回収効率を高め、その蓄電電力の利用効率を高めることが太陽光発電システム効率を高める上で有益であるとの知見を得た。
【0010】
そこで、本開示の目的は、太陽光発電パネルなどの発電装置から得られる閾値以下の発電電力の回収率ないし利用率を高め、電力変換効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの一側面によれば、日射量に応じて発電する発電装置と、蓄電装置と、前記発電装置の発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で前記蓄電装置を充電する充電回路と、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達すれば、前記蓄電装置を放電させる放電回路とを含み、前記発電電力が閾値以上であれば、前記発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モード、前記発電電力が閾値未満であれば、この発電電力で前記蓄電装置を充電する充電モード、前記充電電圧が所定値に到達したとき、前記放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを含む。
【0012】
この太陽光発電システムにおいて、前記閾値は、前記第一出力モードで前記第一電力変換部の変換効率が顕著に低下する電力値または該電力値以上の電力値であってもよい。
【0013】
この太陽光発電システムの前記第二出力モードにおいて、前記第二電力変換部へ供給する電力は、前記第二出力モードで用いられる前記第二電力変換部の変換効率が十分高い電力であってもよい。
【0014】
この太陽光発電システムにおいて、前記蓄電装置が、少なくともダイオードを介して前記発電装置に接続され、かつ、前記ダイオードを介して前記第一電力変換部と分離されていてもよい。
【0015】
この太陽光発電システムにおいて、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する第一のスイッチと、前記充電回路を開閉する第二のスイッチと、前記放電回路を開閉する第三のスイッチと、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて閾値未満の発電電力で前記蓄電装置を充電し、この充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させる制御部とを含んでもよい。
【0016】
この太陽光発電システムにおいて、前記第三のスイッチの機能が前記第二電力変換部に含まれるDC-DCコンバータで実現してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の太陽光発電システムの制御方法の一側面によれば、発電装置が、日射量に応じて発電する工程と、発電電力が閾値以上であれば、前記発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行する工程と、前記発電電力が閾値未満であれば、前記発電電力で蓄電装置を充電する充電モードを実行する工程と、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記蓄電装置の放電電力を前記発電装置の閾値未満の発電電力に加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行する工程とを含む。
【0018】
この太陽光発電システムの制御方法において、第一のスイッチが、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する工程と、第二のスイッチが、充電回路を開閉する工程と、第三のスイッチが、放電回路を開閉する工程と、制御部が、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させる工程とを含む。
【0019】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、発電電力が閾値以上であれば、発電装置から第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行させる機能と、前記発電電力が閾値未満であれば、前記発電電力で蓄電装置を充電する充電モードを実行させる機能と、前記充電電圧が所定値に到達したとき、前記蓄電装置の放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0020】
このプログラムにおいて、第一のスイッチに、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉させる機能と、第二のスイッチに、充電回路を開閉させる機能と、第三のスイッチに、放電回路を開閉させる機能と、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを閉じ、前記蓄電装置を放電させる機能とを前記コンピュータに実行させてもよい。
【0021】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電制御装置の一側面によれば、日射量に応じて発電する発電装置と、蓄電装置と、発電電力が閾値未満であれば、前記蓄電装置に前記発電装置の発電電力を充電させる充電回路と、前記蓄電装置を放電させる放電回路とを備えた太陽光発電システムの蓄電制御装置であって、前記発電電力が閾値以上であるか閾値未満であるかを監視する発電電力監視部と、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したかを監視する蓄電電力監視部と、前記発電電力が閾値以上であれば、第一電力変換部に前記発電電力を供給する第一出力モードを実行し、前記発電電力が閾値未満であれば、閾値未満の前記発電電力で前記蓄電装置を充電する充電モードを実行し、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、該蓄電装置の放電電力と前記発電装置の閾値未満の発電電力を加算して第二電力変換部に供給させる第二出力モードを実行する制御部とを含む。
【0022】
この蓄電制御装置において、前記発電装置と前記第一電力変換部の間を開閉する第一のスイッチと、前記充電回路を開閉する第二のスイッチと、前記放電回路を開閉する第三のスイッチとを含み、前記制御部が、前記発電電力が閾値以上であれば、前記第一のスイッチを閉じ、前記発電電力が閾値未満であれば、前記第一のスイッチを開き、かつ前記第二のスイッチを閉じて前記蓄電装置を閾値未満の発電電力で充電させ、前記蓄電装置の充電電圧が所定値に到達したとき、前記第三のスイッチを開き、前記蓄電装置を放電させるスイッチ制御部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 発電装置から閾値以上の発電電力が得られる場合には高効率で第一電力変換部から交流出力を取り出すことができるとともに、発電電力が閾値未満の場合であっても、閾値未満の発電電力で蓄電装置の充放電機能を利用することにより、閾値未満の発電電力を第二電力変換部で効率よく交流出力に変換して取り出すことができ、太陽光発電システムの高効率化を実現できる。
【0024】
(2) 発電電力が閾値未満の場合、この発電電力で蓄電装置を充電し、この充電電圧が所定値に到達したとき蓄電装置を放電させ、この放電電力と閾値未満の発電電力を合算し、この合算電力を第二電力変換部に供給することができるので、閾値未満の発電電力をロスすることなく、効率よく交流出力に変換して取り出すことができる。
【0025】
(3) 発電電力が閾値未満の場合にも第二電力変換部の停止を防止でき、または仮に第二電力変換部の停止が生じても、その停止期間を短くできるので、交流出力を増加させることができる。
【0026】
(4) 発電電力が閾値未満の場合、蓄電装置の放電電力と閾値未満の発電電力を合算した合算電力を一定電力に調整して第二電力変換部に供給できるので、合算電力を用いない場合に比較し、蓄電装置の放電速度を遅延させることができ、この遅延により蓄電装置の充放電サイクル数を低減でき、結果として蓄電装置の耐久性を高めることができる。
【0027】
(5) 曇天や雨天など、日射量レベルが変動しても、この変動に対応した閾値を設定できるので、気象条件に応じた太陽光発電システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第一の実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
図2図2は、蓄電デバイスの端子間電圧Vcの推移とSW16-3のON、OFFの関係を示す図である。
図3図3は、太陽光発電システムの制御シーケンスを示すフローチャートである。
図4図4は、太陽光発電システムの制御シーケンスの一例を示す図である。
図5図5は、太陽光発電システムの動作テーブルを示す図である。
図6図6のAは、蓄電デバイス8の放電時(SW16-2=OFFの場合)の蓄電デバイス8の充放電プロファイルを示す図であり、図6のBは、SW16-2=ONの場合の蓄電デバイス8の充放電プロファイルを示す図である。
図7図7のAは、閾値未満の発電電力の推移を示す図であり、図7のBは、閾値未満の発電電力の回収を表す図である。
図8図8は、第二の実施の形態に係る太陽光発電システムを示す図である。
図9図9のAは、日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「蓄電素子一本当たりの電力損失」を示すテーブル(日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号、第3章リチウムイオン電池を安全に使う―その1 充放電評価と内部抵抗評価 ティ・アンド・シー・テクニカル 下田 洋道)であり、図9のBは日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「内部抵抗の測定結果」を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第一の実施の形態〕
図1は、第一の実施の形態に係る太陽光発電システム2(以下単に「発電システム2」と称する)を示している。図1に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されるものではない。
【0030】
<発電システム2>
この発電システム2は、太陽光発電パネル4(以下単に「発電パネル4」と称する)、パワーコンディショナ6-1、6-2、蓄電デバイス8、コントローラ10などを備えている。
【0031】
発電パネル4は本開示の発電装置の一例である。この発電パネル4は、少なくとも日射量に応じて発電し、日射量に応じた発電電力Sが発電パネル4から得られる。この発電電力Sは発電装置から得られる発電量の一例である。この発電パネル4には、発電電力の監視手段として電力計12が接続されている。電力計12は、常時、発電パネル4の発電電力Sを計測し、計測した発電電力情報をコントローラ10に提供する。コントローラ10は、電力計12からの発電電力情報を取得し、発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth以上か閾値Sth未満かを判断し、制御出力を生成する。
【0032】
パワーコンディショナ6-1は本開示の第一電力変換部の一例であり、閾値Sth以上の発電電力が得られる場合(後述の第一出力モード)に対応する電力変換手段である。このパワーコンディショナ6-1と発電パネル4は第一の回路部14-1で接続されている。この回路部14-1には第一のスイッチ16-1(以下、「SW16-1」と称する)が含まれている。このSW16-1の開閉はコントローラ10によって制御される。このSW16-1は半導体スイッチ、リレーなどの開閉手段で構成される。このSW16-1の開閉条件として、発電電力Sに対して閾値Sthが設定される。この閾値Sthはたとえば、パワーコンディショナ6-1が発電パネル4からの発電電力Sを以て安定した十分高い効率で電力変換が可能な発電電力Sに相当する下限電力値である。
【0033】
発電電力Sが閾値Sth以上であれば(たとえば、日射量が高い、晴天時などの場合)、SW16-1が閉じられ、第一出力モードとなる。この第一出力モードは、発電パネル4から発電電力Sをパワーコンディショナ6-1に供給する動作モードである。このとき、パワーコンディショナ6-1は、回路部14-1から受けた発電電力Sを変換し、たとえば、交流出力(電圧200V)を生成して負荷18-1、18-2、・・・に供給し、または図示しない系統に出力する。
【0034】
パワーコンディショナ6-2は本開示の電力変換部の一例であり、閾値Sth未満の発電電力が得られる場合(後述の第二出力モード)に対応する電力変換手段である。このパワーコンディショナ6-2と発電パネル4は第二の回路部14-2および第三の回路部14-3を介して接続されている。回路部14-2には第二のスイッチ16-2(以下、「SW16-2」と称する)が含まれている。回路部14-3には第三のスイッチ16-3(以下、「SW16-3」と称する)が含まれている。SW16-2、16-3の開閉はコントローラ10によって制御される。このSW16-2、16-2は半導体スイッチ、リレーなどの開閉手段で構成される。
【0035】
蓄電デバイス8は本開示の蓄電装置の一例である。蓄電デバイス8は閾値Sth未満の発電電力Sを蓄電させる。この蓄電デバイス8には発電パネル4の発電電圧に対応させて直列接続された複数の蓄電デバイスセルが設置されている。この蓄電デバイスセルにはたとえば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの各種電気化学キャパシタやリチウムイオン電池などの二次電池が利用可能であるが、好適には蓄電量が電圧に正確に比例する電気化学キャパシタ、さらには、充放電サイクル寿命が優れる電気二重層キャパシタが好適である。
【0036】
蓄電デバイス8と発電パネル4は回路部14-2により接続され、蓄電デバイス8とパワーコンディショナ6-2は回路部14-3により接続されている。回路部14-1、14-2は発電パネル4の出力端で共通化され、回路部14-2、14-3は蓄電デバイス8の入力端(陽極端)で共通化されている。
【0037】
回路部14-2は本開示の充電回路の一例である。この回路部14-2にはSW16-2が含まれている。このSW16-2の開閉はコントローラ10によって制御される。この実施の形態では、SW16-2の開閉はSW16-1の開閉と連動し、SW16-1=ONのとき、SW16-2=OFF、SW16-1=OFFのとき、SW16-2=ONの関係にある。
【0038】
発電電力Sが閾値Sth未満であれば(たとえば、日射量が低い、曇天などの場合)、SW16-2が閉じられ(SW16-2=ON)、発電パネル4の発電電力が回路部14-2を通して蓄電デバイス8に供給される充電モードとなる。この充電モードは、発電パネル4からの発電電力Sが回路部14-2を通して蓄電デバイス8に供給され、閾値Sth未満の発電電力Sを蓄電デバイス8に充電させる動作モードである。この充電モードにおいて、閾値Sth未満の発電電力が蓄電デバイス8に充電される。
【0039】
回路部14-3は本開示の放電回路の一例である。この回路部14-3にはSW16-3が含まれている。このSW16-3の開閉はコントローラ10によって制御される。SW16-3はSW16-1と同様に半導体スイッチ、リレーなどの開閉手段で構成される。
【0040】
SW16-3の開閉条件として、蓄電デバイス8のデバイス端子間電圧Vc(以下単に「端子間電圧Vc」と称する)、この端子間電圧Vcに対し、上限電圧VcHと下限電圧VcL(<VcH)が設定されている。端子間電圧Vcは本開示の充電電圧の一例である。また、上限電圧VcHは、蓄電デバイス8の蓄電電力に応じて開閉するSW16-3の開閉条件として本開示の所定値の一例であり、端子間電圧Vcに対する所定電圧値を表す。また、下限電圧VcLは、蓄電デバイス8の蓄電電力に応じて開閉するSW16-3の開閉条件として本開示の所定値の一例であり、端子間電圧Vcに対する所定電圧値を表す。
【0041】
発電電力Sが閾値Sth未満で、SW16-2=ON、SW16-3=ONの場合、第二出力モードとなる。この第二出力モードは、回路部14-2、14-3の双方を導通させ、蓄電デバイス8の充電モードと放電モードの双方を維持し、蓄電デバイス8の放電電力、発電パネル4からの閾値Sth未満の発電電力Sをパワーコンディショナ6-2に供給する動作モードである。
【0042】
第二出力モードでは、SW16-2=ONで、回路部14-2を通して発電パネル4と蓄電デバイス8が接続され、SW16-3=ONで、蓄電デバイス8とパワーコンディショナ6-2が回路部14-3を通して接続され、このとき、回路部14-2、14-3を通して発電パネル4とパワーコンディショナ6-2が直結される。すなわち、蓄電デバイス8が放電状態に維持されながら、発電パネル4からの発電電力Sも合流してパワーコンディショナ6-2に供給される。このとき、パワーコンディショナ6-2の制御により一定の電力値Scでパワーコンディショナ6-2に供給される。電力値Scはパワーコンディショナ6-2の変換効率が十分高い電力値であり、かつ、少なくとも閾値Sthよりも十分高い電力値に設定する。このように、電力値Scを設定すれば、パワーコンディショナ6-2の変換効率が低い電力値に設定した場合の不都合、つまり蓄電デバイス8による高効率回収の意義を損なうことがないし、電力値Scを閾値Sthより低い値に設定した場合の蓄電デバイス8の放電機能を損なうこともないし、または、蓄電デバイス8を満充電状態からさらに過充電状態にするなどの不都合も回避できる。
【0043】
したがって、第二出力モードにおいて、パワーコンディショナ6-2には回路部14-2、14-3から受けた発電電力および蓄電デバイス8の放電電力を受け、これらの電力を変換し、閾値Sth未満の発電電力にある発電パネル4の発電電力Sであってもたとえば、高効率で交流電圧200Vを生成して負荷18-1、18-2、・・・に供給し、または図示しない系統に出力することができる。
【0044】
<パワーコンディショナ6-1、6-2>
第一出力モードに対応するパワーコンディショナ6-1には、最大電力点追従制御部(MPPT:Maximum Power Point Tracking )20(以下、「MPPT20」と称する)、第一のDC-DCコンバータ22-1、第一のインバータ24-1などが含まれる。
【0045】
MPPT20は、発電パネル4の発電出力が最大になる最適な電圧Vと電流Iの積(最大電力点または最適動作点)を自動的に求める制御を行い、この最大電力点追従制御により自動的に最大の発電出力を得る。
【0046】
DC-DCコンバータ22-1は、第一出力モードにおいて、MPPT20で得られた直流電力、回路部14-1側で得られる直流電力を既定直流電圧の直流電力に変換する。
【0047】
インバータ24-1は、本開示の直交変換手段の一例である。このインバータ24-1は、DC-DCコンバータ22-1から直流電力を受け、これらを系統に適合する既定の交流電力、既述のたとえば、定格200Vの交流電力に変換する。
【0048】
第二出力モードに対応するパワーコンディショナ6-2には第二のDC-DCコンバータ22-2、第二のインバータ24-2などが含まれる。
【0049】
DC-DCコンバータ22-2は、第二出力モードにおいて、定電力制御により得られる回路部14-3側から直流電力を受け、この直流電力を既定直流電圧の直流電力に変換する。
【0050】
インバータ24-2は、同様に直交変換手段の一例である。このインバータ24-2は、DC-DCコンバータ22-2から直流電力を受け、これらを系統に適合する既定の交流電力、既述のたとえば、定格200Vの交流電力に変換し、この交流電力を系統に合流させる。
【0051】
<コントローラ10>
このコントローラ10は本開示の蓄電制御装置の一例である。このコントローラ10はコンピュータを備え、発電パネル4の発電電力情報、蓄電デバイス8の蓄電量情報などを用いて少なくともSW16-1、16-2、16-3の開閉制御を行う。
【0052】
このコントローラ10は、制御部26、SW駆動部28-1、28-2、28-3、情報提示部30、操作入力部32などを備えている。制御部26は本開示の制御部の一例であるとともに、本開示のスイッチ制御部の一例である。また、この制御部26は本開示の発電電力監視部、蓄電電力監視部、スイッチなどの制御手段の一例である。この制御部26は図示しないプロセッサ、記憶部、入出力部などを備え、発電電力情報や蓄電デバイス8の端子間電圧情報を取得して情報処理を実行し、SW駆動部28-1、28-2、28-3などを制御する。プロセッサは、記憶部にあるOS(Operating System)、蓄電制御プログラム、データベースなどを用いて、情報の格納、読出しまたは演算などの情報処理や制御を実行する。記憶部はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、蓄電制御プログラムやデータベースを格納してプロセッサによる演算処理などに用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。
【0053】
SW駆動部28-1は制御部26の制御によりSW16-1を開閉し、SW駆動部28-2は制御部26の制御によりSW16-2を開閉し、SW駆動部28-3は制御部26の制御によりSW16-3を開閉する。
【0054】
情報提示部30は制御部26の制御によりたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示素子に制御情報などの情報提示を行う。
【0055】
操作入力部32は制御部26の制御によりタッチパネルなどの入力機器を用いて制御情報などの操作によって入力が可能である。
【0056】
<蓄電デバイス8の充放電とSW16-3のON、OFF>
図2は、蓄電デバイス8の充電および放電による端子間電圧Vcの推移とSW16-3のON、OFFの関係を示している。図2において、端子間電圧Vcは蓄電デバイス8の充電および放電の推移、VcHは端子間電圧Vcの上限電圧、VcLは端子間電圧Vcの下限電圧を示している。
【0057】
端子間電圧Vcが充電によって上昇している場合、Vc≧VcHで、SW16-3=ONとなり、端子間電圧Vcが放電によって下降している場合には、Vc≦VcLで、SW16-3=OFFになる。この場合、充電時定数と放電時定数が異なる。端子間電圧Vcの推移は充電と放電の推移が異なるとともに、SW16-3のONとOFFには電圧差が設定される。つまり、端子間電圧Vcが放電によって下降する場合には、Vc≦VcHからVc=VcLの範囲でSW16-3=ONを維持する。このようなSW16-3の開閉にヒステリシスが設定されており、蓄電デバイス8の充放電による端子間電圧Vcの変動でSW16-3のチャタリングを防止できる。
【0058】
<制御部26による制御機能>
制御部26は、蓄電制御プログラムの実行により、a)発電電力情報取得部、b)発電電力監視部、c)発電電力の閾値判定部、d)蓄電デバイス8の端子間電圧情報取得部、e)端子間電圧監視部、f)端子間電圧Vcの閾値判定部、g)SW制御部などの制御機能を実現する。
【0059】
a)発電電力情報取得部
発電電力情報取得部は、制御部26の制御により常時(少なくとも発電システム2の動作中)、電力計12から発電パネル4の発電電力情報を取得する。この発電電力情報は、制御部26の記憶部にあるデータベースに格納する。
【0060】
b)発電電力監視部
発電電力監視部は、制御部26の制御により常時、電力計12から取得した発電電力情報を監視する。
【0061】
c)発電電力の閾値判定部
制御部26には発電パネル4の発電電力Sに対する閾値Sthが設定されている。発電電力の閾値判定部は、制御部26の制御により、既述の電力計12から取得した発電電力情報が表す発電電力Sと閾値Sthとを対比し、発電電力Sが閾値Sth以上か未満かを判定し、その判定結果としてSW16-1、16-2を開閉するための制御情報を出力する。
【0062】
d)端子間電圧情報取得部
蓄電デバイス8の端子間電圧情報取得部は、制御部26の制御により、常時(少なくとも発電システム2の動作中)、蓄電デバイス8から端子間電圧情報を取得する。この端子間電圧情報は、蓄電デバイス8の端子間の電圧であり、充電電圧または放電後の残留電荷による電圧を表す。この端子間電圧情報は、制御部26の記憶部にあるデータベースに格納する。
【0063】
e)端子間電圧監視部
端子間電圧監視部は、端子間電圧情報から端子間電圧Vcの推移、つまり、蓄電デバイス8の充電状態を監視する。
【0064】
f)端子間電圧Vcの閾値判定部
制御部26には端子間電圧Vcに対する閾値として上限電圧VcH(V)および下限電圧VcL(V)が設定されている。上限電圧VcHはたとえば、蓄電デバイス8の満充電電圧であり、下限電圧VcLはたとえば、放電管理電圧である。
【0065】
端子間電圧Vcの閾値判定部は制御部26の制御により、端子間電圧Vcと上限電圧VcHまたは下限電圧VcLとを対比し、端子間電圧Vcが上限電圧VcH以上か下限電圧VcL(V)以下かを判定し、その判定結果としてSW16-3を開閉するための制御情報を出力する。
【0066】
g)SW制御部
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth以上であれば、SW制御部は、制御部26の制御によりSW16-1を導通させるための制御出力を出力する。このとき、SW駆動部28-1の駆動出力によりSW16-1が、SW16-1=ONに制御される。
【0067】
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth未満であれば、SW制御部は、制御部26の制御によりSW16-1を遮断し、SW16-2を導通させるための制御出力を出力する。このとき、SW駆動部28-1の駆動出力が解除されてSW16-1が、SW16-1=OFFに制御されるとともに、SW駆動部28-2の駆動出力によりSW16-2が、SW16-2=ONに制御される。
【0068】
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth(kW)未満で、蓄電デバイス8の端子間電圧Vcが下限電圧VcL以下であれば、SW制御部は、制御部26の制御によりSW16-3を遮断する。つまり、蓄電デバイス8が充電状態となる。
【0069】
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth未満で、蓄電デバイス8の端子間電圧Vcが上限電圧VcH以上になれば、SW制御部は、制御部26の制御によりSW16-3を導通する。このとき、蓄電デバイス8は放電状態となる。同時に、SW16-2=ONが維持されているので、発電パネル4の発電電力Sが回路部14-2、14-3を通してパワーコンディショナ6-2のDC-DCコンバータ22-2に供給される。
【0070】
<SW16-1、16-2、16-3の開閉と発電システム2の出力関係>
1)SW16-1=ON、SW16-2=OFF(第一出力モード)
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth以上の場合であり、第一出力モードである。発電パネル4の発電電力Sが回路部14-1を通してパワーコンディショナ6-1に供給される。
【0071】
2)SW16-1=OFF、SW16-2=ON、SW16-3=OFF(充電モード)
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth未満の場合であり、発電パネル4とパワーコンディショナ6-1から回路部14-1で遮断される。
【0072】
発電パネル4の発電電力Sが閾値Sth未満であって、Vc≦VcLの場合、蓄電デバイス8の充電モードである。閾値Sth未満の発電電力が回路部14-2を通して蓄電デバイス8に供給され、蓄電デバイス8が充電される。
【0073】
3)SW16-1=OFF,SW16-2=ON、SW16-3=ON(第二出力モード)、Vc≧VcHとなり、蓄電デバイス8の放電モードに切り換わり、第二出力モードとなる。蓄電デバイス8の放電電力はパワーコンディショナ6-2に供給される。同時に、閾値Sth未満の発電電力Sが回路部14-2、14-3を通してパワーコンディショナ6-2に供給される。
【0074】
<発電システム2の制御シーケンス>
発電システム2の制御シーケンスには発電電力Sの閾値判定に基づく回路部14-1、14-2の開閉制御(主回路切換え制御)と、蓄電デバイス8の端子間電圧閾値判定に基づく回路部14-3の開閉制御(蓄電デバイス8の充放電制御)が含まれ、これらは並行処理である。
【0075】
図3は、発電システム2の制御シーケンスを示している。この制御シーケンスは本開示の制御方法、プログラムまたは蓄電制御の動作手順の一例である。この制御シーケンスにおいて、Fは工程、Fに付した番号は工程順の一例である。
【0076】
この制御シーケンスには、発電電力情報の取得(F101)、発電電力Sの監視(F102)、蓄電デバイス8の端子間電圧情報の取得(F103)、端子間電圧Vcの監視(F104)が含まれる。主回路切換え制御(F105)には、発電電力Sの閾値判定(F107)、SW16-1、SW16-2の切換え(F108)、第一出力モード(F109)、負荷または系統への出力(F110)、SW16-1、SW16-2の切換え(F111)、充電モード(F112)が含まれる。蓄電デバイス8の充放電制御(F106)には、SW16-3の状態判定(F113)、端子間電圧Vcの判定(F114)、SW16-3の切換え(F115)、充電待機モード(F116)、端子間電圧Vcの判定(F117)、SW16-3の切換え(F118)、第二出力モード(F119)、負荷または系統への出力(F120)、充電モード(F121)が含まれる。
【0077】
発電システム2を動作させると、制御部26は、動作中、電力計12から発電パネル4の発電電力情報を取得し(F101)、発電電力Sを監視する(F102)とともに、蓄電デバイス8の端子間電圧Vcを取得し(F103)、充電状態を監視する(F104)。この端子間電圧Vcの監視(F104)に続いて主回路切換え制御(F105)、蓄電デバイス8の充放電制御(F106)に遷移する。
【0078】
主回路切換え制御(F105)では、制御部26が発電電力Sの閾値判定を行う(F107)。S≧Sthであれば(F107のYES)、制御部26はSW16-1=ON、SW16-2=OFFに制御し(F108)、第一出力モードを実行する(F109)。この第一出力モードでは、閾値Sth以上の発電電力Sを発電パネル4から回路部14-1を通してパワーコンディショナ6-1に供給する。パワーコンディショナ6-1は、発電パネル4からの発電電力Sを交流電力に変換し、この交流電力を負荷18-1、18-2、・・・や系統に供給する(F110)。
【0079】
F107の判定において、S≧Sthでない場合(F107のNO)、制御部26はSW16-1=OFF、SW16-2=ONに制御し(F111)、充電モードを実行する(F112)。この充電モードでは、閾値Sth未満の発電電力Sを発電パネル4から回路部14-2を通して蓄電デバイス8に供給し、充電する。
【0080】
蓄電デバイス8の充放電制御(F106)では、蓄電デバイス8が充電中か放電中かの判定として、制御部26は、SW16-3=ONであるかを判定する(F113)。
【0081】
SW16-3=ONであれば(F113のYES)、蓄電デバイス8が放電中であるので、制御部26は蓄電デバイス8の放電完了の判定として、端子間電圧Vcの閾値判定を行う(F114)。Vc≦VcLであれば(F114のYES)、蓄電デバイス8は放電を完了しているので、制御部26はSW16-3=OFFに制御し(F115)、充電待機モードにする(F116)。この充電待機モードはVc≦VcLで、充電モード再開まで待機状態を維持する。
【0082】
F113において、SW16-3=ONでなければ(F113のNO)、蓄電デバイス8が充電または放電待機中であるので、充電完了の判定として制御部26は端子間電圧Vcの閾値判定を行う(F117)。Vc≧VcHであれば(F117のYES)、蓄電デバイス8が充電を完了しているので、制御部26はSW16-3=ONに制御し(F118)、蓄電デバイス8の放電を開始するとともに第二出力モードを実行する(F119)。この第二出力モードでは、蓄電デバイス8の放電電力と共に、同時刻の閾値Sth以下の発電電力Sを発電パネル4から回路部14-2、14-3を通して、パワーコンディショナ6-2に供給する。パワーコンディショナ6-2は、回路部14-3からのこれらの入力電力を交流電力に変換し、この交流電力を負荷18-1、18-2、・・・や系統に供給する(F120)。
【0083】
F114において、Vc≦VcLでなければ(F114のNO)、蓄電デバイス8の放電を継続し、制御部26は第二出力モードを実行する(F119)。
【0084】
F117において、Vc≧VcHでなければ(F117のNO)、蓄電デバイス8の充電を継続するため、制御部26は充電モードを実行する(F121)。この充電モードでは、閾値Sth以下の発電電力Sが回路部14-2を通して蓄電デバイス8に充電される。
【0085】
<制御シーケンス実行時の発電システム2の状態>
図4は、発電電力Sの推移(A)で発電システム2の制御シーケンスを実行した場合の蓄電デバイス8の端子間電圧Vc(B)、SW16の開閉状態(C)、パワーコンディショナ6-2の出力(D)、動作モード(E)の推移の一例を示している。この制御シーケンスは本開示の制御方法、プログラムまたは蓄電制御の一例である。
【0086】
図4のAは、発電電力Sの推移を示している。この例では閾値Sth以上を維持していた発電電力Sが時点t1で閾値Sth未満に低下し、閾値Sth未満を継続した後、時点t12で閾値Sth以上に推移している。
【0087】
図4のBは、蓄電デバイス8の端子間電圧Vc(充放電状態)の推移を示している。この蓄電デバイス8の充放電は発電電力Sに依存し、この例では閾値Sth以上を維持していた発電電力Sが閾値Sth未満になった時点t1で充電を開始し、時点t2で上限電圧VcHに到達し、放電を開始する。時点t3で下限電圧VcLに達し、再び充電を開始し、時点t4で上限電圧VcHに到達している。
【0088】
図4のCは、区間C1~区間C13のSW16-1、16-2、16-3の開閉状態を示している。区間C1~区間C13の開閉条件とSW16-1、16-2、16-3の開閉状態は以下の通りである。
【0089】
区間C1(~t1: S≧Sth): SW16-1=ON、SW16-2=OFF
区間C2(t1~t2: S<Sth、Vc<VcH): SW16-1=OFF、SW16-2=ON、SW16-3=OFF
区間C3(t2~t3: Vc≧VcL): SW16-3=ON
区間C4(t3~t4: Vc<VcH): SW16-3=OFF
区間C5(t4~t5: Vc≧VcL): SW16-3=ON
区間C6(t6~t7: Vc<VcH): SW16-3=OFF
区間C7(t7~t8: Vc≧VcL): SW16-3=ON
区間C8(t8~t9: Vc<VcH): SW16-3=OFF
区間C9(t9~t10: Vc≧VcL): SW16-3=ON
区間C10(t10~t11: Vc<VcH): SW16-3=OFF
区間C11(t11~t12: Vc≧VcL): SW16-3=ON
区間C12(t12~t13: S≧Sth,Vc≧VcL): SW16-1=ON、SW16-2=OFF
区間C13(t13~: Vc<VcL、S≧Sth): SW16-3=OFF、SW16-1=ON
【0090】
図4のDは、区間C1~C12の交流出力を示している。
区間C1は閾値Sth以上の発電電力Sが得られる電力領域である。この領域では、発電パネル4の発電電力Sが回路部14-1からパワーコンディショナ6-1に供給され、このパワーコンディショナ6-1から交流出力が得られる。
【0091】
区間C2からC11は閾値Sth未満の電力領域である。この領域では、SW16-3=ONのとき、蓄電デバイス8の放電電力で底上げされた閾値Sth未満の発電電力Sが蓄電デバイス8の放電電力で底上げされた回路部14-2、14-3を通してパワーコンディショナ6-2に供給され、このパワーコンディショナ6-2から交流出力が得られる。
【0092】
区間C13は区間C12から移行した閾値Sth以上の電力領域であり、この領域では、発電パネル4の発電電力Sが回路部14-1からパワーコンディショナ6-1に供給され、このパワーコンディショナ6-1から交流出力が得られる。
【0093】
図4のEは、動作モードのステータスを示している。
区間C1:第一出力モードE1
区間C2、C4、C6、C8、C10:充電モードEc
区間C3、C5、C7、C9、C11:第二出力モードE2(放電領域)
区間C12:第一出力モードE1および第二出力モードE2
区間C13:第一出力モードE1
【0094】
なお、発電システム2の制御において、充電モードから第一出力モードに切り換えられても、蓄電デバイス8の放電は下限電圧VcLに到達するまで継続させる。
【0095】
この発電システム2におけるパワーコンディショナ6-2には、パワーコンディショナ6-2の制御により、発電パネル4からの閾値Sthよりも充分大きい一定電力が流れ込む制御をするものとする。これは蓄電デバイス8が過充電状態になることを防止するためである。また、この一定電力値はパワーコンディショナ6-2の効率が充分高くなる電力値に設定する。
【0096】
図5は、図4に示す動作状態を整理した発電システム2の動作テーブルを示している。この動作テーブルでは、項目欄に発電電力S、端子間電圧Vc、SW16-1、16-2、16-3を取り、区間C1~C13のステータスを示している。
【0097】
<蓄電デバイス8の充放電プロファイル>
この充放電プロファイルは、SW16-2=ONまたはSW16-2=OFFの場合において、蓄電デバイス8の放電電力の大小、放電時間の長短、充放電サイクル数(単位時間あたりの放電回数)を比較している。
【0098】
図6のAは、蓄電デバイス8の放電時にSW16-2=OFFの場合の放電プロファイルを示している。蓄電デバイス8は、2kWで充電し、5kWで放電の後、1kWで充電し、5kWで放電の後、0.5kWで充電し、5kWで放電する状態を示している。時間軸tに示す、tlossは、発電パネル4の発電電力Sが蓄電デバイス8への充電やパワーコンディショナ6-2への供給に寄与しないロスタイムである。つまり、発電電力Sが活用されない期間を表している。
【0099】
これに対し、図6のBは、本開示に係る、蓄電デバイス8の放電時にSW16-2=ON時の充放電プロファイルを示している。蓄電デバイス8は、2kWで充電の後、放電し、1kWで充電した後、放電し、0.5kWで充電し、5kWで放電する状態を示している。
【0100】
この場合、蓄電デバイス8の放電電力と発電パネル4の発電電力Sの和がたとえば、5kWになるように制御するので、蓄電デバイス8の放電電力は小さくなり、放電時間が長くなる。したがって、既述のロスタイムはなく、既述の充放電サイクル数が減少する。
【0101】
<第一の実施の形態の効果>
この第一の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0102】
(1) 第一出力モードでは、パワーコンディショナ6-1の変換効率が十分高い閾値Sth以上の発電電力Sを通常の電力変換により高効率で交流出力を取り出すことができる。
【0103】
(2) 閾値Sth未満の発電電力Sは、この発電電力Sを蓄電デバイス8に蓄電し、端子間電圧Vcが上限電圧VcHに到達したとき、蓄電デバイス8を放電させ、この放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを加算して、パワーコンディショナ6-2に供給して電力変換を行うことができ、変換効率が低い閾値Sth未満の発電電力Sを効率よく交流出力に変換して取り出すことができる。
【0104】
(3) 閾値Sth未満の発電電力Sが得られているとき、この発電電力Sを回路部14-2により蓄電デバイス8に充電し、端子間電圧Vcが上限電圧VcHに到達することを監視し、端子間電圧Vcが上限電圧VcHに到達したとき、回路部14-3を通して放電させる。このとき、SW16-2=ONであれば、充電電力が放電するとき、この放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを加算し、回路部14-3を通してパワーコンディショナ6-2に供給する。この結果、パワーコンディショナ6-2の電力変換機能の一時停止を防止でき、その結果、第二出力モードにおいても発電パネル4からの微弱発電電力のロスを低減でき、交流出力総量を増加させることができる。
【0105】
(4) 蓄電デバイス8の放電電力と閾値Sth未満の発電電力Sを合算した合算電力がパワーコンディショナ6-2に供給されるので、このような合算電力を用いない場合と比較して、蓄電デバイス8の放電速度を遅くでき、このため蓄電デバイス8の充放電サイクル数を減少させ、その結果、蓄電デバイス8の劣化を抑制でき、耐久性を高めることができる。
【0106】
(5) SW16-1、SW16-2の頻繁な切り換えを低減でき、SW16-1、SW16-2に切換え手段としてリレーを用いた場合、その損耗を抑制でき、部品寿命を延ばすことができる。
【0107】
(6) 発電パネル4の発電電力Sに閾値Sthを設定し、閾値Sth以上の発電電力SではSW16-1=ONに制御し、閾値Sth以上の発電電力Sをパワーコンディショナ6-1に供給し、第一出力モードの実行により、通常の電力変換によって交流出力を取り出すことができる。
【0108】
(7) 閾値Sth未満の発電電力Sについては、SW16-1=OFF、SW16-2=ONに制御し、充電モードの実行により、微弱電力である閾値Sth未満の発電電力Sを蓄電デバイス8に効率よく回収して蓄電することができる。
【0109】
(8) 発電電力Sが閾値Sth未満で、端子間電圧Vcが上限電圧VcH以上であれば蓄電デバイス8の蓄電電力を放電させ、この放電電力をパワーコンディショナ6-2に供給し、第二出力モードの実行により、電力変換によって交流出力を取り出すことができる。
【0110】
(9) 第二出力モードでは、蓄電デバイス8からの放電電力に加え、閾値Sth未満の微弱な発電電力Sも回路部14-2、14-3を通してパワーコンディショナ6-2に供給され、第一出力モードと同様にパワーコンディショナ6-2の電力変換によって交流出力を取り出すことができ、発電パネル4の閾値Sth未満の発電電力Sの回収率ないし利用率を高め、発電システム2の総合的な電力変換効率を高めることができる。
【0111】
(10) 曇天や雨天など、日射量レベルが変動しても、この変動に対応した閾値Sthを設定できるので、気象条件に適合して高効率の変換出力が得られる発電システム2を実現できる。
【0112】
(11) 図7のAは、発電パネル4から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの推移を示している(従前モード)。このような閾値Sth未満の微弱な発電電力Sをパワーコンディショナ6-1に供給すると、頻繁に出力電力が電力=0に低下するため、正常な電力変換を得ることができない。
【0113】
図7のBは、閾値Sth未満の発電電力Sが発電システム2の第二出力モードで処理された場合を示している(本開示モード)。この発電システム2の第二出力モードでは、閾値Sth未満の発電電力Sが回路部14-2を通して蓄電デバイス8に充電され、この端子間電圧Vcが上限電圧VcH以上に到達したとき、この蓄電デバイス8を放電させ、この放電電力を閾値Sth未満の発電電力Sに加算して電力変換を行う。この結果、パワーコンディショナ6-2の出力が電力=0に低下することを回避でき、閾値Sth未満の発電電力Sを連続して交流出力に変換し、取り出すことができる。
【0114】
〔第二の実施の形態〕
第二の実施の形態では、回路部14-2に方向性素子を設置し、閾値Sth未満の発電電力Sに方向性を付与するとともに、回路部14-2、14-3と回路部14-1とを分離した構成である。
【0115】
図8は、第二の実施の形態に係る発電システム2を示している。図8示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示が限定されるものではない。図8において、図1と共通部分には同一符号を付してある。
【0116】
この実施の形態では、回路部14-2にSW16-2と直列にダイオード34が設置されている。このダイオード34は発電パネル4から蓄電デバイス8またはパワーコンディショナ6-2に対して順方向である。これに対し、回路部14-2は回路部14-1に対し、ダイオード34は逆方向であり、回路部14-2と回路部14-1を分離している。
【0117】
<第二の実施の形態の効果>
この第二の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) ダイオード34が設置されているので、SW16-2が導通したとき、ダイオード34の順方向降下電圧Vfだけ低下した電圧を蓄電デバイス8に加えることができる。
【0118】
(2) 回路部14-2を回路部14-1からダイオード34によって分離でき、回路部14-1との干渉を回避することができる。
【実施例0119】
実施例1は蓄電デバイス8に電気二重層キャパシタを用いた発電システム2である。電気二重層キャパシタはリチウムイオン電池に比較し、内部抵抗が小さく、この抵抗による1(A)での電力損失が小さく、リチウムイオン電池の電力損失を基準にした電力損失の割合が異常に小さいことが確認された。
【0120】
この実施例1について、図9のAに機械設計2015年11月号より引用した「蓄電素子一本当たりの電力損失」を示すテーブル(日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号、第3章リチウムイオン電池を安全に使う―その1 充放電評価と内部抵抗評価 ティ・アンド・シー・テクニカル 下田 洋道)、図9のBに日刊工業新聞社発行の機械設計2015年11月号より引用した「内部抵抗の測定結果」を示すグラフを引用する。
【0121】
図9のAによれば、リチウムイオン電池では抵抗が246[mΩ]と高いのに対し、電気二重層キャパシタでは11~0.3[mΩ]と極めて低く、電力損失が大幅に低いことがわかる。また、図9のBによれば、リチウムイオン電池では放電により電池容量が低下すると内部抵抗が増加する傾向があり、この影響を受けることになるが、電気二重層キャパシタには斯かる現象は報告されていない。
【0122】
したがって、蓄電デバイス8に電気二重層キャパシタを用いた発電システム2によれば、電力損失が大幅に改善されたシステムを提供でき、微弱電力の回収率を高めることができる。
【0123】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス8によれば、発電パネル4から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの充放電を迅速化できるとともに、電力損失を抑制することができ、電力の変換効率を高めることができる。
【0124】
(2) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス8によれば、発電パネル4から得られる閾値Sth未満の発電電力Sの回収効率を高めることができる。
【0125】
(3) この電気二重層キャパシタを用いた蓄電デバイス8によれば、従前の発電システム2に比較し、閾値Sth未満の発電電力Sの回収効率を10%以上高めることができた。
【実施例0126】
この実施例2は、SW16-1の開閉条件として発電電力Sに対する閾値Sth1と、SW16-2の開閉条件として発電電力Sに対する閾値Sth2を設定し、Sth2>Sth1とすれば、SW16-1の開閉前にSW16-2をON状態に制御する。
【0127】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 蓄電デバイス8を発電電力Sが閾値Sth1に到達前に充電することができ、第一出力モードで蓄電デバイス8を充電でき、発電パネル4から得られる閾値Sth1未満の発電電力Sの交流出力への変換を迅速化できる。
【0128】
(2) 図4のCの区間C2で充電モードEcを第一出力モードに吸収でき、発電パネル4の発電電力の高効率化を図ることができる。
【実施例0129】
この実施例3は、第三の実施の形態に係る発電システム2において、SW16-3の開閉機能はDC-DCコンバータ22-2の入力電圧制御機能で代用した構成である。
【0130】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) DC-DCコンバータ22-2から独立したSW16-3を除くことができ、その制御を省略できるなど、発電システム2の簡略化を図ることができる。
【0131】
(2) SW16-3の開閉による遅延や電力損失を削減できる。
【0132】
〔他の実施の形態〕
(1) 発電システム2において、コントローラ10はパワーコンディショナ6-1またはパワーコンディショナ6-2に一体化してもよいし、機能的にSW16-1、16-2、16-3に判定機能などを付加してもよいし、コントローラ10がパワーコンディショナ6-1、6-2と独立した構成でなくてもよい。
【0133】
(2) 発電システム2において、複数の発電パネル4を設置し、上記実施の形態と同様の処理を行ってもよい。
【0134】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態について説明した。本開示は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または本開示を実施するための形態に開示された本開示の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0135】
一般的な太陽光発電システムでは、晴天時のように高い発電量が得られるとき、電力の変換効率が高くなる定格出力のパワーコンディショナが用いられる。このようなパワーコンディショナを備えた太陽光発電システムでは、雨天、曇天、朝夕のような微弱電力時の発電電力の変換効率の低下が著しい。
【0136】
これに対し、本開示によれば、パワーコンディショナの変換効率が低下する閾値以下の発電電力は蓄電デバイスに蓄電し、端子間電圧が上限電圧に到達したとき、この放電電力で閾値以下の発電電力を底上げして変換効率の高い電力としてパワーコンディショナに供給するので、変換効率が低いと言われていた微弱電力域の発電電力を効率よく交流出力に変換できる。蓄電デバイスを放電させるとき、この放電電力を閾値未満の発電電力に加算してパワーコンディショナに供給するので、結果的に蓄電デバイスの放電電力の緩和と蓄電デバイスの充放電サイクル数の低減を図ることができ、蓄電デバイスの期待寿命を延長することができるなど、優れた効果が得られる。
【符号の説明】
【0137】
2 太陽光発電システム
4、4-1、4-2、4-3 太陽光発電パネル
6、6-1,6-2 パワーコンディショナ
8 蓄電デバイス
10 コントローラ
12 電力計
14 回路
14-1 第一の回路部
14-2 第二の回路部
14-3 第三の回路部
16-1 第一のスイッチ
16-2 第二のスイッチ
16-3 第三のスイッチ
18-1、18-2 負荷
20 最大電力点追従制御部(MPPT)
22-1 第一のDC-DCコンバータ
22-2 第二のDC-DCコンバータ
24 インバータ
26 制御部
28-1、28-2、28-3 SW駆動部
30 情報提示部
32 操作入力部
34 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9