(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036729
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 5/187 20180101AFI20240311BHJP
【FI】
F25C5/187 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141151
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恭一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 直樹
(72)【発明者】
【氏名】蔵所 健一
(57)【要約】
【課題】効率的に製氷や貯氷ができる製氷機を提供する。
【解決手段】氷を生成する製氷部1と、氷を貯める貯氷部2と、制御部50と、を備え、製氷部1で生成された氷を貯氷部2で貯める構成とされ、貯氷部2は、当該貯氷部2に貯められる氷が載ることで歪む歪部11Aと、歪部11Aが歪んだ歪量を検出する検出部20と、を備え、制御部50は、製氷部1において氷を生成する製氷運転を行い、検出部20が検出した歪量が所定値以上となった場合に、製氷運転を停止する、製氷機100。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を生成する製氷部と、
氷を貯める貯氷部と、
制御部と、を備え、前記製氷部で生成された氷を前記貯氷部で貯める構成とされ、
前記貯氷部は、
当該貯氷部に貯められる氷が載ることで歪む歪部と、
前記歪部が歪んだ歪量を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記製氷部において氷を生成する製氷運転を行い、
前記検出部が検出した前記歪量が所定値以上となった場合に、前記製氷運転を停止する、製氷機。
【請求項2】
前記制御部は、使用者によって予め設定される設定値に基づき、前記設定値よりも所定の値分低い値を、前記所定値とする、請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
使用者が認知可能な信号を出力する出力部を備え、
前記制御部は、
1回分の前記製氷運転によって生成する氷により前記歪部が歪む単位歪量を記憶し、
前記検出部が検出した前記歪量の増加量が、前記単位歪量未満となった場合に、前記出力部から前記信号を出力する、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記貯氷部は、
内壁部と、
前記内壁部の外側に位置する外壁部と、を備え、前記内壁部の内側に氷を貯める構成とされ、
前記歪部は、前記内壁部の下側の壁を構成する下壁部とされ、
前記検出部は、前記下壁部における外側の面に取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項5】
前記貯氷部は、下側の壁を構成する下壁部に配されるスノコを備え、
前記歪部は、前記スノコの上側部分を構成しており、
前記検出部は、前記スノコの上側部分の下面に取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項6】
前記貯氷部は、下側の壁を構成する下壁部に配され、前記歪部と前記検出部とを有する歪ユニットを備える、請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1に記載の製氷機(冷凍冷蔵庫)は、製氷装置の下に設けられて、当該製氷装置からの氷を受止めて貯氷する貯氷室と、貯氷室の氷に当接して回転することで、貯氷箱に所定量以上の氷が蓄えられているか否かを検出する検氷レバーと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
氷の使用量は、年間を通じて一定ではない場合があり、例えば、冬季では、夏季に比して氷の使用量が少ないことがある。しかしながら、特許文献1に開示の構成では、検氷レバーに当接するまで氷が貯められない限り、氷が所定量以上であるか否の判定を行うことができない。検氷レバーの代わりに、例えば一定の高さ以上の貯氷量を検出する光学式センサを用いることも考えられるが、その場合も同様である。このような構成では、氷の使用量が比較的少ない時期では、使用しない氷が多量に長期に亘って貯氷される可能性がある。その場合、使用しない氷が徐々に溶けて水として排水されるので、製氷に必要な水や電気代等の無駄遣いとなる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、効率的に製氷や貯氷ができる製氷機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、氷を生成する製氷部と、氷を貯める貯氷部と、制御部と、を備え、前記製氷部で生成された氷を前記貯氷部で貯める構成とされ、前記貯氷部は、当該貯氷部に貯められる氷が載ることで歪む歪部と、前記歪部が歪んだ歪量を検出する検出部と、を備え、前記制御部は、前記製氷部において氷を生成する製氷運転を行い、前記検出部が検出した前記歪量が所定値以上となった場合に、前記製氷運転を停止する、製氷機である。
【0007】
このような製氷機によると、製氷運転が停止する条件である歪量の所定値を、例えば使用者が任意の値に設定することにより、貯氷部で貯めることが可能な氷の量を適宜変更することができる。例えば、氷の使用が少ない時期では、氷の使用が多い時期に比べて、歪量の所定値を小さい値に設定すれば、貯氷部に必要以上に氷が貯まることを防ぐことができる。これにより、効率的な製氷と貯氷を行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記制御部は、使用者によって予め設定される設定値に基づき、前記設定値よりも所定の値分低い値を、前記所定値としてもよい。
【0009】
使用者によって予め設定される設定値を、製氷運転を停止する閾値(所定値)とした場合、この閾値にわずかに達していない貯氷状態で、製氷部において1回分の製氷が行われると、必要としている貯氷量を大幅に超えて氷が生成され、貯氷されてしまう事態が考えられる。しかしながら、上記のような製氷機によると、設定値よりも所定の値部低い値を、所定値とするので、設定値から所定値の間に幅を持たせて、上記事態を緩和することができる。
【0010】
上記製氷機は、使用者が認知可能な信号を出力する出力部を備え、前記制御部は、1回分の前記製氷運転によって生成する氷により前記歪部が歪む単位歪量を記憶し、前記検出部が検出した前記歪量の増加量が、前記単位歪量未満となった場合に、前記出力部から前記信号を出力してもよい。
【0011】
このような製氷機によると、何らかの不具合により1回分の製氷運転による製氷量が減ったとしても、これによる歪量の増加量が単位歪量未満となることで、出力部から出力される信号を使用者が認知することができる。これにより、使用者が製氷機の不具合を認知して修理等を行うことができる。
【0012】
上記構成において、前記貯氷部は、内壁部と、前記内壁部の外側に位置する外壁部と、を備え、前記内壁部の内側に氷を貯める構成とされ、前記歪部は、前記内壁部の下側の壁を構成する下壁部とされ、前記検出部は、前記下壁部における外側の面に取り付けられていてもよい。
【0013】
このような製氷機によると、断熱性の2重構造をなした貯氷部において、貯氷される氷の量を検出部によって好適に検出することができる。
【0014】
上記構成において、前記貯氷部は、下側の壁を構成する下壁部に配されるスノコを備え、前記歪部は、前記スノコの上側部分を構成しており、前記検出部は、前記スノコの上側部分の下面に取り付けられていてもよい。
【0015】
このような製氷機によると、氷の水切りを行うことが可能なスノコを備える貯氷部において、貯氷される氷の量を検出部によって好適に検出することができる。
【0016】
上記構成において、前記貯氷部は、下側の壁を構成する下壁部に配され、前記歪部と前記検出部とを有する歪ユニットを備えていてもよい。
【0017】
このような製氷機によると、例えば貯氷部から歪部と検出部とをまとめて取り外しが可能となる等、メンテナンスが容易となる歪ユニットを備える貯氷部において、貯氷される氷の量を検出部によって好適に検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、効率的に製氷や貯氷ができる製氷機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】制御部が各部を制御する流れを示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図3によって説明する。
図1に示すように、製氷機100は、氷を生成する製氷部1と、製氷部1の下方に配され、氷を貯める貯氷部2と、を備える。貯氷部2は、ABS樹脂等の樹脂材料や、ステンレス又はアルミニウム等の金属材料を用いた板金を箱状にしてなる内壁部11と、ステンレス又はアルミニウム等の金属材料を用いた板金を内壁部11よりも一回り大きい箱状にしてなり、内壁部11の外側に位置して内壁部11を囲む外壁部12と、を備えた断熱箱体をなしている。内壁部11と外壁部12との間には、ポリウレタンフォーム等の断熱材が充填されている。内壁部11及び外壁部12は、貯氷部2の壁部10を構成している。製氷機100は、製氷部1において後述する製氷本体部31で生成された氷が貯氷部2へ落下する構成とされる。貯氷部2は、製氷部1で生成された氷を貯氷部2の内壁部11の内側に貯める構成とされる。尚、製氷機100は、後述する圧縮機41等が設けられた機械室が、貯氷部2の下方に配されている(
図1では省略する)。
【0021】
貯氷部2の内壁部11のうち、下側の壁を構成する下壁部11Aは、貯氷部2に貯められる氷Iが載ることで歪む歪部とされる。貯氷部2は、歪部11Aの下面(下壁部における外側の面)に取り付けられた検出部20を備える。歪部11Aは、水平面に広がる板状をなしており、氷Iが載せられると、例えばその板面の中心となる点Pが下方に変位するように凹状となって伸びることで、歪む。
【0022】
検出部20は、歪部11Aが歪んだ歪量を検出する歪センサとされる。このような歪センサによる歪量の検出方法としては、特に限定されないが、例えば、歪部11Aの伸縮に伴い変化する金属線の電気抵抗に基づいて歪量を検出可能なひずみゲージを採用してもよい。検出部20としてこのようなひずみゲージを用いた場合、歪部11Aに氷が載っていない状態において検出された電気抵抗をR0とし、歪部11Aに氷が載った状態において検出された電気抵抗をR1とすれば、歪量εを、下記式(1)によって算出することができる。
ε=(R0-R1)/R0 ・・・式(1)
【0023】
図2に示すように、製氷機100は、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管(冷却部)44と、を備えるとともに、これらが冷媒管45によって連結された冷凍回路を含んでいる。また、製氷機100は、当該製氷機100の使用者が任意の貯氷量を設定可能な設定部60と、使用者が認知可能な信号を出力する出力部61と、圧縮機41、製氷部1、及び出力部61等を制御する制御部50と、を備える。出力部61は、使用者に対しアラートの発信を行うことが可能な構成であり、例えば、アラーム音を出力可能なスピーカや、エラー表示を表示可能な表示部等とされる。
【0024】
製氷部1は、製氷の際に必要な水(製氷水)を貯める貯水タンク39と、蒸発管44によって冷却されることで製氷水を凍結して氷を生成する製氷本体部31と、貯水タンク39から製氷本体部31に製氷水を送るポンプ38と、を備える。圧縮機41は、冷媒管45に含まれる冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスを凝縮器ファン(不図示)の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化した冷媒を膨張させる。蒸発管44は、膨張弁43によって膨張された冷媒を気化させて、製氷本体部31を冷却する。製氷本体部31における氷の生成方法は特に限定されないが、本実施形態では、板状の製氷本体部31に水を流下させることで製氷本体部31の表面に氷を生成する方法(流下式)を例示する。
【0025】
制御部50は、設定部60が使用者によって操作されることにより、貯氷部2に貯氷される氷の量を2段階以上の水準のうちいずれかに設定できるものとする。具体的には、
図1に示すように、制御部50は、第1貯氷量Aと、第1貯氷量Aよりも多くの氷を貯氷可能な第2貯氷量Bと、第2貯氷量Bよりも多くの氷を貯氷可能な第3貯氷量Cの3段階のうち、いずれかの貯氷量に設定できるものとする。制御部50は、各貯氷量A,B,Cと、その上限値A
H,B
H,C
Hと、その下限値A
L,B
L,C
Lと、のそれぞれに対応する歪量εを算出する(又は記憶する)ことができる。
【0026】
また、制御部50は、製氷機100が正常なときに1回分の製氷運転を行った場合に生成する氷によって歪部11Aが歪む単位歪量を記憶することができる。この単位歪量は、使用者が予め設定部60等に入力した任意の値を、制御部50が単位歪量として記憶してもよく、制御部50が製氷運転を複数回行い、歪部11Aが歪んだ歪量の合計値から、1回分の製氷運転を行った場合の歪量の平均値を算出し、この算出された平均値を、制御部50が単位歪量として記憶してもよい。
【0027】
続いて、制御部50が各部を制御する態様を、主に
図3を用いて説明する。制御部50は、主電源がONされ、使用者によって予め設定される歪量の設定値に基づき、設定値よりも所定の値分低い値を、下限値(所定値)とし、設定値よりも所定の値分高い値を、上限値として決定する(S10)。本実施形態では、使用者が、設定部60において3つの貯氷量A,B,Cのうち第2貯氷量Bを選択したとする。この場合、制御部50は、第2貯氷量Bに対応する歪量ε
Bを設定値とし、歪量ε
Bよりも所定の値分(例えば数%分)低い値の歪量ε
BLを下限値(所定値)とし、歪量ε
Bよりも所定の値分(例えば数%分)高い値の歪量ε
BHを上限値とする。下限値及び上限値に対応する歪量は、設定値に基づいて制御部50が算出してもよく、設定値が決められたときに、予め記憶された下限値及び上限値に対応する歪量を制御部50が読み込むことで決定してもよい。
【0028】
続いて、制御部50は、圧縮機41や製氷部1のポンプ38等を駆動して、製氷部1において氷を生成する製氷運転を開始する(S20)。製氷運転では、製氷本体部31を冷却し、貯水タンク39の製氷水を製氷本体部31の表面に流して氷を生成する。製氷本体部31において氷が所定の大きさまで成長した場合、制御部50は、図示しないホットガス弁を開いて圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給し、製氷本体部31を加熱することで、製氷本体部31の表面に生成した氷を貯氷部2に落下させる。
【0029】
次に、制御部50は、検出部20が検出した歪量の増加量が、単位歪量未満となったか否かを判定する(S30)。この「歪量の増加量」とは、実際に行われた製氷運転により生成した1回分の氷が貯氷部2に落下して歪部11Aに載ることにより、歪部11Aが歪んだ歪量(1回の製氷運転を行うことにより増加した歪量)を指す。単位歪量とは、前述の通り、制御部50が予め記憶した歪量である。制御部50は、検出部20が検出した歪量の増加量が、単位歪量未満となった場合に(S30でYES)、出力部61から使用者が認知可能な信号を出力し(S40)、そうでない場合に(S30でNO)、S50に進む。S40では、例えば、出力部61がスピーカの場合は、アラーム音を出力し、出力部61が表示部の場合は、エラー表示を表示する。尚、S40において、このようなアラートが発信された履歴(回数、時間等)を制御部50が記憶してもよい。これにより、使用者が製氷機100の修理等を行う際に、製氷機100の不具合の原因を究明する手段としてこの履歴を参照することができる。
【0030】
次に、制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が下限値(所定値)以上となったか否かを判定する(S50)。本実施形態では、第2貯氷量Bが選択されているため、制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が、設定値の歪量εBよりも低い下限値の歪量εBL以上となったか否かを判定する。この「歪量の現在値」とは、上記式(1)に示されるように、歪部11Aに氷が載っていない状態を基準として定量的に計測される歪量(貯氷部2に貯められた氷の重量の増加に伴って増加する歪量)であって、「歪量の増加量」とは異なる。両者を区別するために、「歪量の現在値」を表す場合は、文字εnを使用し、「歪量の増加量」を表す場合は、文字Δεを使用してもよい。制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が下限値以上となった場合に(S50でYES)、製氷運転を停止し(S60)、そうでない場合に(S50でNO)、S20に戻って製氷運転を再び開始する。
【0031】
次に、制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が上限値未満となったか否かを判定する(S70)。本実施形態では、第2貯氷量Bが選択されているため、制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が、設定値の歪量εBよりも高い上限値の歪量εBH未満となったか否かを判定する。制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が上限値未満となった場合に(S70でYES)、S80に進み、そうでない場合に(S70でNO)、S70の判定を繰り返す。
【0032】
次に、制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が下限値未満となったか否かを判定する(S80)。制御部50は、検出部20が検出した歪量の現在値が下限値未満となった場合に(S80でYES)、一連の制御を終え、そうでない場合に(S80でNO)、S80の判定を繰り返す。制御部50は、上記一連の制御を終えた後は、再びS10に戻り(又はS10を省略し、S20に戻り)、それ以降の制御を繰り返す。
【0033】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、氷を生成する製氷部1と、氷を貯める貯氷部2と、制御部50と、を備え、製氷部1で生成された氷を貯氷部2で貯める構成とされ、貯氷部2は、当該貯氷部2に貯められる氷が載ることで歪む歪部11Aと、歪部11Aが歪んだ歪量を検出する検出部20と、を備え、制御部50は、製氷部1において氷を生成する製氷運転を行い、検出部20が検出した歪量の現在値が所定値以上となった場合に、製氷運転を停止する、製氷機100を示した。
【0034】
このような製氷機100によると、製氷運転が停止する条件である歪量の所定値が可変となるので、貯氷部2で貯めることが可能な氷の量を適宜変更することができる。例えば、氷の使用が少ない時期では、氷の使用が多い時期に比べて、歪量の所定値が小さくなるように設定すれば、貯氷部2に必要以上に氷が貯まることを防ぐことができる。これにより、効率的な製氷と貯氷を行うことができる。
【0035】
制御部50は、使用者によって予め設定される設定値に基づき、設定値よりも所定の値分低い値を、所定値とする。
【0036】
使用者によって予め設定される設定値を、製氷運転を停止する閾値(所定値)とした場合、この閾値にわずかに達していない貯氷状態で、製氷部1において1回分の製氷が行われると、必要としている貯氷量を大幅に超えて氷が生成され、貯氷されてしまう事態が考えられる。しかしながら、上記のような製氷機100によると、設定値よりも所定の値部低い値を、所定値とするので、設定値から所定値の間に幅を持たせて、上記事態を緩和することができる。
【0037】
製氷機100は、使用者が認知可能な信号を出力する出力部61を備え、制御部50は、1回分の製氷運転によって生成する氷により歪部11Aが歪む単位歪量を記憶し、検出部20が検出した歪量の増加量が、単位歪量未満となった場合に、出力部61から信号を出力する。
【0038】
このような製氷機100によると、何らかの不具合により1回分の製氷運転による製氷量が減ったとしても、これによる歪量の増加量が単位歪量未満となることで、出力部61から出力される信号を使用者が認知することができる。これにより、使用者が製氷機100の不具合を認知して修理等を行うことができる。
【0039】
貯氷部2は、内壁部11と、内壁部11の外側に位置する外壁部12と、を備え、内壁部11の内側に氷を貯める構成とされ、歪部11Aは、内壁部11の下側の壁を構成する下壁部とされ、検出部20は、下壁部における外側の面に取り付けられている。
【0040】
このような製氷機100によると、断熱性の2重構造をなした貯氷部2において、貯氷される氷の量を検出部20によって好適に検出することができる。
【0041】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図4によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0042】
製氷機200において、貯氷部202の壁部210は、内壁部211と、内壁部211の外側に位置する外壁部12と、を備えた2重構造をなしている。貯氷部202は、内壁部211のうち下側の壁を構成する下壁部211A上に載置されるようにして配されるスノコ70を備える。スノコ70は、格子状をなし水平方向に広がる天板部71と、天板部71の下面から下方に延びた脚部72と、を備え、脚部72が下壁部211Aに当接している。天板部71は、スノコ70の上側部分を構成しており、製氷部1において生成され貯氷部202に落下する氷が載ることで歪む歪部とされる。天板部71の下面には、天板部71が歪む歪量を検出可能な検出部220が取り付けられている。このような製氷機200によると、氷の水切りを行うことが可能なスノコ70を備える貯氷部202において、貯氷される氷の量を検出部220によって好適に検出することができる。
【0043】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3を
図5によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0044】
製氷機300において、貯氷部302の壁部310は、内壁部311と、内壁部311の外側に位置する外壁部12と、を備えた2重構造をなしている。貯氷部302は、内壁部311のうち下側の壁を構成する下壁部311A上に載置されるようにして配される歪ユニット323を備える。歪ユニット323は、下壁部311Aに載置される箱状の筐体部321と、筐体部321の上面を構成し、水平方向に広がる板状をなす天板部322と、筐体部321の内部において天板部322の下面に取り付けられた検出部320と、を備える。天板部322は、製氷部1において生成され貯氷部302に落下する氷が載ることで歪む歪部とされる。検出部320は、天板部322が歪む歪量を検出可能とされる。このような製氷機300によると、例えば貯氷部302から歪ユニット323を取り外すことにより、天板部(歪部)322と検出部320とをまとめて取り外しが可能となる等、メンテナンスが容易となる歪ユニット323を備える貯氷部302において、貯氷される氷の量を検出部320によって好適に検出することができる。
【0045】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)上記実施形態以外にも、制御部が製氷運転を停止する基準となる所定値は、適宜変更可能である。上記実施形態では、設定値よりも低い下限値を、所定値としたが、これに限定されない。例えば、設定値そのものを所定値としてもよく、設定値よりも高い上限値を所定値としてもよい。また、制御部が製氷運転を再開する条件は、適宜変更可能である。例えば、制御部は、検出された歪量が上限値未満となった後、所定時間経過後に、製氷運転を再開してもよい。
【0047】
(2)上記実施形態以外にも、製氷部における氷の生成方法は適宜変更可能である。例えば、製氷部における氷の生成方法は、製氷本体部が、複数の製氷小室を備え、冷却された複数の製氷小室に対し下方から製氷水を噴射することにより氷を生成する方法(セル式)や、製氷本体部が、円筒部と円筒部内に配された螺旋状の刃部とを備え、冷却された円筒部の内面で製氷水を凍結させてなる氷を刃部により削り取る方法(オーガ式)であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…製氷部、2,202,302…貯氷部、11A,71,322…歪部、20,220,320…検出部、50…制御部、60…設定部、61…出力部、100,200,300…製氷機