(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036740
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
B65D5/42 G
B65D5/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141166
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 梨夏
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060DA17
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】包装箱と商品との隙間に手指を挿入しやすい包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、3枚以上の側板4,4,5,5,からなる角筒状の胴部2と、前記胴部2の下側の開放端を閉鎖する底部3と、少なくとも1枚の所定の側板4の上縁に折目線bを介して連設されるフラップ41と、前記フラップ41の先端の幅方向中間部と前記所定の側板4の下端の両隅部とをそれぞれ繋ぐ一対の傾斜折目線7とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚以上の側板からなる角筒状の胴部と、
前記胴部の下側の開放端を閉鎖する底部と、
少なくとも1枚の所定の側板の上縁に折目線を介して連設されるフラップと、
前記フラップの先端の幅方向中間部と前記所定の側板の下端の両隅部とをそれぞれ繋ぐ一対の傾斜折目線とを備える包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装箱において、
前記フラップには、前記一対の傾斜折目線に挟まれる領域の外側に形成され、該外フラップの側縁部から先端部まで延びるフラップ谷折線を有し、
前記フラップ谷折線は、前記フラップを該フラップ谷折線に沿って折り返したときに、該フラップを前記包装箱の内部空間に挿入させる位置に形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2記載の包装箱において、
前記フラップ谷折線は、前記フラップの側縁の基端と前記フラップの先端とを繋ぐことを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の包装箱において、
前記フラップ谷折線は、隣接する前記傾斜折目線に接近する方向に凸状または隣接する前記傾斜折目線から離れる方向に凸状であることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の包装箱において、
前記フラップ谷折線は、
隣接する前記傾斜折目線に接近する方向に凸状に屈曲したV字形状であって、
前記フラップの側縁から隣接する前記傾斜折目線に向かって直線状に延びる第1フラップ谷折線と、前記フラップの先端から前記傾斜折目線に沿って直線状に延びる第2フラップ谷折線と、を有することを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項5記載の包装箱において、
前記フラップ谷折線は、前記第1フラップ谷折線と前記第2フラップ谷折線とを繋ぐように設けられ、前記第1フラップ谷折線の先端から該第1フラップ谷折線の延長線上に沿って前記傾斜折目線まで延びる部分と前記傾斜折目線に沿って第2フラップ谷折線の先端まで延びる部分とを有してV字形状に形成された切目部を有することを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項2記載の包装箱において、
前記フラップ谷折線は、該外フラップの基端縁に対して45°未満の角度で延びるように形成され、
前記フラップは、該フラップの先端側の隅部を切り落としたように形成される面取部を有することを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を収容・運搬できるいわゆるA式の包装箱が知られている。
【0003】
この包装箱は、上下方向に延びる四角筒状の胴部と、胴部の上下の開放端をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部とからなり、胴部は、一対の長側面及び一対の短側面が交互に接続されることで構成され、閉塞部は、各短側面の上下端縁のそれぞれに内フラップ折目線を介して連設される1対の内フラップと、各長側面の上下端縁のそれぞれに外フラップ折目線を介して連設される外フラップとを有する。また、この包装箱は、内フラップを内フラップ折目線に沿って包装箱の内方に折り曲げてから、外フラップを外フラップに沿って内フラップの外表面に重なるように折り曲げたのち、一方の短側面上部から他方の短側面上部まで、外フラップの先端縁に沿って粘着テープを貼付することで封緘されるものである。
【0004】
この包装箱では、商品を梱包した箱体の汚れを防止するため、箱体をその内部に収容して二重梱包に用いることがある。この場合、緩衝材などを別途用いることなく、箱体が包装箱の内部で揺れ動かないように、包装箱の内寸を箱体の外寸とほぼ同じに設計することが多い。
【0005】
しかしながら、この場合、胴部と箱体との間に隙間がほとんどないため、包装箱の上側の閉塞部を開封して胴部から箱体を取り出す際に隙間に手指を挿入しにくいという問題がある。
【0006】
このような観点から、短側面に、その上縁の左右方向中央部と、下端縁の左右方向両端部とを接続する逆V字状の溝が形成されるとともに、内フラップに、溝の頂点から先端縁に亘って延びる折り曲げ容易線が形成されている改良包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
この改良包装箱では、短側面を箱体から離れる方向に押し込むと、まず、短側面が溝に沿って折れ曲げられるとともに、短側面がその下端縁を回転軸として包装箱の外方に向かって傾斜され、その上端縁が平面視V字状に折れ曲げられる。同時に、短側面の上端縁が平面視V字状に折り曲げられることで、内フラップが折り曲げ容易線に沿って平面視V字状に折れ曲げられる。これにより、この改良方向箱によれば、短側面と箱体との隙間を大きくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この改良包装箱では、短側面は、包装箱の外方に向かって傾斜されるため、上方に向かうにつれて隙間を大きくすることができるが、内フラップは、上下方向に平行なまま平面視V字状に折り曲げられるため、折り曲げても隙間は拡大されず、手指の挿入しやすさが十分でないという問題がある。
【0010】
なお、この問題は、包装箱の内部に相似形状の箱体が収容されたときに限られるものではなく、単に包装箱に収容された商品が大きい場合にも同様に生じるものである。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、包装箱と商品との隙間に手指を挿入しやすい包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明の包装箱は、3枚以上の側板からなる角筒状の胴部と、前記胴部の下側の開放端を閉鎖する底部と、少なくとも1枚の所定の側板の上縁に折目線を介して連設されるフラップと、前記フラップの先端の幅方向中間部と前記所定の側板の下端の両隅部とをそれぞれ繋ぐ一対の傾斜折目線とを備える(第1の本発明の包装箱)。
【0013】
本発明の包装箱では、所定の側板及びフラップは、フラップを折目線で伸展させて平坦することができる。そして、所定の側板及びフラップは、幅方向中間部を包装箱から離れる方向に押し込むことで、一対の傾斜折目線に沿って谷折りされ、所定の側板の下端縁を回転軸として、包装箱の外方に向かって傾斜される。
【0014】
これにより、平面視における商品との隙間は、フラップの先端縁において最大で、所定の側板の下端縁に向かうにしたがい徐々に小さくなる。
【0015】
よって、本発明の包装箱によれば、所定の側板及びフラップと商品との隙間をテーパー状にできるため、手指を挿入しやすくすることができる。
【0016】
ところで、商品を箱体と包装箱とで二重梱包している際、箱体を包装箱に入れたまま箱体を開封して商品の検品したのち、箱体を粘着テープで再度封緘するという用い方が要求される場合がある。しかしながら、第1の本発明の包装箱では、押し込んでいる所定の側板から手を離すと、段ボールの復元力により隙間がなくなってしまい、再度封緘する際に、箱体の側板に粘着テープを貼りにくいという問題がある。
【0017】
そこで、本発明の包装箱において、前記フラップには、前記一対の傾斜折目線に挟まれる領域の外側に形成され、該外フラップの側縁部から先端部まで延びるフラップ谷折線を有し、前記フラップ谷折線は、前記フラップを該フラップ谷折線に沿って折り返したときに、該フラップを前記包装箱の内部空間に挿入させる位置に形成されていることが好ましい(第2の本発明の包装箱)。
【0018】
第2の本発明の包装箱では、フラップを該フラップ谷折線に沿って折り返して包装箱の内部空間に挿入させ、フラップの先端側を商品に係止させることができる。このとき、フラップ谷折線で折り返されたフラップを伸展させようとする復元力は、フラップの先端が商品に係止されていることで、フラップ谷折線を挟むフラップの先端の反対側、すなわち、フラップ谷折線より基端側のフラップ及びこれに連設される所定の側板を包装箱から離れる方向に押し込む力に変換される。
【0019】
よって、この構成を備える包装箱によれば、手を放しても隙間が維持されるため、手指を挿入しやすい。二重梱包の場合を例に説明すれば、商品の検品したのち箱体を粘着テープで再度封緘するときに、包装箱から手を放しても隙間が維持されるため、隙間に手指を挿入して箱体の短側面に粘着テープを貼りやすいという効果を奏することになる。
【0020】
第2の本発明の包装箱において、前記フラップ谷折線は、前記フラップの側縁の基端と前記フラップの先端とを繋ぐことが好ましい(第3の本発明の包装箱)。
【0021】
第3の本発明の包装箱では、前記フラップの側縁の基端から先端までフラップ谷折線を設けることで、フラップ谷折線を長くすることができる。よって、この構成を備える包装箱によれば、フラップ谷折線で折り返されたフラップを伸展させようとする復元力を強くすることができる。
【0022】
よって、第3の本発明の包装箱によれば、フラップ谷折線より基端側のフラップ及びこれに連設される所定の側板を包装箱から離れる方向に押し込む力を強くすることができるので、手を放しても隙間を広く維持することができるため、手指を挿入しやすい。
【0023】
第2の本発明の包装箱または第3の本発明の包装箱において、前記フラップ谷折線は、隣接する前記傾斜折目線に接近する方向に凸状または隣接する前記傾斜折目線から離れる方向に凸状であることが好ましい(第4の本発明の包装箱)。
【0024】
第4の本発明の包装箱では、フラップ谷折線は、直線状でないために当然に折れ曲がるものではなく、若干無理曲げする必要がある。よって、フラップ谷折線で折り返されたフラップを伸展させようとする復元力を強くすることができるため、フラップ谷折線より基端側のフラップ及びこれに連設される所定の側板を包装箱から離れる方向に押し込む力を強くすることができる。
【0025】
よって、第4の本発明の包装箱によれば、手を放しても隙間を広く維持することができるため、手指を挿入しやすい。
【0026】
第2の本発明の包装箱または第3の本発明の包装箱において、前記フラップ谷折線は、隣接する前記傾斜折目線に接近する方向に凸状に屈曲したV字形状であって、前記フラップの側縁から隣接する前記傾斜折目線に向かって直線状に延びる第1フラップ谷折線と、前記フラップの先端から前記傾斜折目線に沿って直線状に延びる第2フラップ谷折線と、を有することが好ましい(第5の本発明の包装箱)。
【0027】
第5の本発明の包装箱では、第3の本発明の包装箱と同様に、フラップ谷折線を長くすることで、フラップ谷折線で折り返されたフラップを伸展させようとする復元力を強くすることができる。
【0028】
また、第5の本発明の包装箱では、フラップ谷折線はV字形状なので、当然に折れ曲がるものではなく、若干無理曲げする必要がある。よって、この構成を備える包装箱によれば、フラップ谷折線で折り曲げられたフラップを伸展させようとする復元力を強くすることができる。
【0029】
よって、この構成を備える包装箱によれば、フラップ谷折線を長く、かつ、V字状にすることで、フラップ谷折線で折り曲げられたフラップの復元力を強くすることができるので、手を放しても隙間を広く維持することができるため、手指を挿入しやすい。
【0030】
第5の本発明の包装箱において、前記フラップ谷折線は、前記第1フラップ谷折線と前記第2フラップ谷折線とを繋ぐように設けられ、前記第1フラップ谷折線の先端から該第1フラップ谷折線の延長線上に沿って前記傾斜折目線まで延びる部分と前記傾斜折目線に沿って第2フラップ谷折線の先端まで延びる部分とを有してV字形状に形成された切目部を有することが好ましい(第6の本発明の包装箱)。
【0031】
フラップ谷折線を含めた折目線は、一般的に直線状であり、緩やかな弧状であれば容易に無理曲げ可能であるが、V字形状に屈曲していると、意図したとおりに折り曲げることが困難となりやすい。これに対し、第6の本発明の包装箱では、フラップ谷折線の屈曲する部分に切れ目を設けることで、フラップ谷折線がV字形状であっても意図したとおりに折り返しやすい。
【0032】
よって、第6の本発明の包装箱によれば、フラップ谷折線をV字状にすることで、フラップ谷折線で折り曲げられたフラップの復元力を強くしつつ、意図どおりにフラップをフラップ谷折線で折り曲げることができるため、フラップ谷折線で折り曲げられたフラップにより隙間が維持しやすい。
【0033】
第2の本発明の包装箱において、前記フラップ谷折線は、該外フラップの基端縁に対して45°未満の角度で延びるように形成され、前記フラップは、該フラップの先端側の隅部を切り落としたように形成される面取部を有することが好ましい(第7の本発明の包装箱)。
【0034】
第7の本発明の包装箱では、前記フラップ谷折線は、該外フラップの基端縁に対して45°未満の角度で延びるように形成されているため、フラップの側縁が基端から先端に向かうにしたがい、幅広になって包装箱の内部空間に挿入される。
【0035】
よって、第7の本発明の包装箱によれば、面取り部として該フラップの先端側の隅部を切り落とすことで、包装箱の内部空間に挿入されるフラップの量を調整することができるため、商品と包装箱との間に隙間を作りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本実施形態に係る包装箱の外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る包装箱の組立て前の構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る包装箱の平面図であり、内フラップ及び短側面を包装箱から離れる方向に押し込んだときの内フラップ及び短側面の変形を説明する平面図である。
【
図4】本実施形態に係る包装箱の斜視図であり、折返片を内装箱に係止させた状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[包装箱1の構成]
【0038】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)に係る包装箱1について説明する。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、外観が直方体状に形成された、いわゆるA式段ボール箱タイプのものである。
【0040】
包装箱1では、その内部に箱体(以下、単に「内装箱K」という。)が収納されている。内装箱Kは、内部に商品(図示せず。)を収納するものであり、その内装箱K自体が汚れることを防止するために、包装箱1の内部に収納されている。この結果、商品は、二重梱包されている。
【0041】
包装箱1の内寸は、内装箱Kの外寸とほぼ同じか若干大きく設定されている。これにより、包装箱1では、緩衝材などを用いなくても、その内部で内装箱Kが揺れ動くことが防止されている。
【0042】
包装箱1は、上下方向に延びる四角筒状の胴部2と、胴部2の上下開放端を閉塞する一対の閉塞部3とを有する。
【0043】
胴部2は、一対の短側面4と一対の長側面5とによって構成されている。一対の短側面4は左右方向で対向し、一対の長側面5は前後方向で対向している。なお、短側面4及び長側面5はいずれも本発明における「側板」に相当し、特に短側面4は、「所定の側板」に相当する。
【0044】
閉塞部3は、一対の内フラップ41(42)と一対の外フラップ51(52)とで構成されている。なお、内フラップ41は、本発明における「フラップ」に相当する。
【0045】
包装箱1は、
図2に示す略矩形状の段ボール板紙1xを原紙から打抜いて形成した後、これを折り曲げて組み立てられる。以下、
図2を参照しながら、段ボール板紙1xの構成について説明する。なお、
図2の段ボール板紙1xの各要素の表面は、包装箱1を組み立てた際、包装箱1の内面側となる部位である。
【0046】
まず、段ボール板紙1xの構成の概略を説明する。
【0047】
段ボール板紙1xは、
図2に示すように、左側から長側面5、短側面4、長側面5、短側面4、接着片6の順で、それぞれ胴部折目線aを介して連設されている。短側面4及び長側面5は、いずれも略矩形状に形成され、上下方向の長さは同一であり、左右方向の長さは、長側面5のほうが短側面4より長く設定されている。
【0048】
短側面4の上端には、上内フラップ折目線bを介して上内フラップ41が連設されている。短側面4の下端には、下内フラップ折目線cを介して下内フラップ42が連設されている。上内フラップ41及び下内フラップ42は、いずれも同一の矩形状である。一対の上内フラップ41(下内フラップ42)の基端から先端までの長さを合算した長さは、長側面5の左右方向の長さよりも小に設定されている。
【0049】
長側面5の上端には、上外フラップ折目線dを介して上外フラップ51が連設されている。長側面5の下端には、下外フラップ折目線eを介して下外フラップ52が連設されている。上外フラップ51及び下外フラップ52は、いずれも同一の矩形状である。一対の上外フラップ51(下外フラップ52)の基端から先端までの長さを合算した長さは、短側面4の左右方向の長さとほぼ同一に設定されている。
【0050】
次いで、段ボール板紙1xのうち、短側面4及び上内フラップ41の具体的な構成について説明する。
【0051】
短側面4及び上内フラップ41には、一対の傾斜折目線7が設けられている。一対の傾斜折目線7は、上内フラップ41先端の幅方向(
図2の左右方向)中央部と、短側面4の下端の両隅部とをそれぞれ直線状に繋いで全体として逆V字状に形成されている。
【0052】
上内フラップ41には、一対の傾斜折目線7に挟まれる三角形状の領域の外側のそれぞれに一対のフラップ谷折線8が設けられている。フラップ谷折線8は、隣接する傾斜折目線7に接近する方向に凸状に屈曲したV字形状に形成されており、上内フラップ41の側縁の基端と上内フラップ41先端縁の幅方向(
図2の左右方向)中央部とを繋ぐように延びている。
【0053】
フラップ谷折線8は、第1フラップ谷折線81と、第2フラップ谷折線82と、切目部83とから構成されている。
【0054】
第1フラップ谷折線81は、上内フラップ41の側縁の基端から隣接する傾斜折目線7に達する直前の位置まで傾斜折目線7に向かって直線状に延びるように形成されている。第1フラップ谷折線81は、上内フラップ折目線bとのなす角が約40°になるように設定されている。
【0055】
第2フラップ折目線82は、上内フラップ41先端縁の幅方向(
図2の左右方向)中央部から傾斜折目線7に沿って直線状に延びるように形成されている。
【0056】
切目部83は、第1フラップ谷折線81と第2フラップ谷折線82とを繋ぐV字形状の切れ込みである。具体的には、切目部83は、第1フラップ谷折線81の先端から第1フラップ谷折線81の延長線上に沿って傾斜折目線7に達するまで延びる部分と、この達した位置から傾斜折目線7に沿って第2フラップ谷折線82の先端まで延びる部分とが屈曲して接続されることでV字形状に形成されている。
【0057】
上内フラップ41には、一対の面取部9が設けられている。面取部9は、上内フラップ41の先端側の隅部を略三角形状に切り落とすことで形成されている。
【0058】
上内フラップ41は、上述したフラップ谷折線8、上内フラップ41の側縁、上内フラップ41の先端縁及び面取部9で囲まれる略台形状の部分を折返片43として有する。
[包装箱1の組立]
【0059】
次に、以上の
図2に示す段ボール板紙1xから、
図1に示す包装箱1を組み立てる手順について説明する。
【0060】
まず、作業者によって、長側面5、短側面4、長側面5、短側面4、接着片6がそれぞれ胴部折目線aに沿って直角に折り曲げられて、接着片6の外表面に長側面5(
図2において左側の長側面5)の内表面が接着剤を介して固定される。
【0061】
次いで、一対の下内フラップ42が、下内フラップ折目線cに沿って、短側面4に対して直角になるように包装箱1の内方に向かってそれぞれ折り曲げられる。そして、一対の下外フラップ52が、下外フラップ折目線eに沿って、下内フラップ42の外表面に重ね合わされるようにそれぞれ折り曲げられる。これにより、一対の下外フラップ52の先端縁同士が互いに突き合わされるので、この両先端縁に沿って粘着テープを貼り付ける。
【0062】
以上により、一対の下内フラップ42及び一対の下外フラップ52により、胴部2の下側の開放端が閉塞され(本発明における「底部」に相当する。)、
図1に示す包装箱1を組み立てられ、その内部に内装箱Kが収納される。
【0063】
さらに、一対の上内フラップ41が、上内フラップ折目線bに沿って、短側面4に対して直角になるように包装箱1の内方に向かってそれぞれ折り曲げられる。そして、上外フラップ51が、上外フラップ折目線dに沿って、上内フラップ41の外表面に重ね合わされるようにそれぞれ折り曲げられる。
【0064】
これにより、一対の上外フラップ51の先端縁同士が互いに突き合わされるので、この両先端縁に沿って粘着テープを貼り付けることで、包装箱1によって内装箱が封緘される。
[内装箱Kの取り出し]
【0065】
次に、
図1及び
図3を参照しながら、本実施形態の包装箱1を開封して内装箱Kを取り出す作業について説明する。
【0066】
まず、
図1に示すように、上外フラップ51に貼り付けられた粘着テープを剥がし、上側の閉塞部3を開いて、さらに、上外フラップ51を包装箱1の外方に折り曲げ、さらに、上内フラップ41を短側面4に沿うように伸展させる。
【0067】
次いで、平坦になった短側面4及び上内フラップ41のうち、幅方向中央部(より具体的には、一対の傾斜折目線7で挟まれている部分)を包装箱1から離れる方向に押し込む。
【0068】
このとき、短側面4及び上内フラップ41のうち幅方向中央部を挟む両側は、その側縁を長側面5によって支持されているため、自由に包装箱1から離れる方向に倒れることができず、この結果、短側面4及び上内フラップ41の幅方向中央部は、その両側に対して傾斜折目線7に沿ってそれぞれ谷折りされる。
【0069】
これにより、短側面4及び上内フラップ41の幅方向中央部は、短側面4の下端縁(下内フラップ折目線c)を回転軸として、包装箱1の外方に向かって傾斜される。
【0070】
この結果、
図1及び
図3に示すように、包装箱1の短側面4と内装箱Kとの間には手指を挿入するための隙間が生じる。
【0071】
そのため、包装箱1では、左右の隙間に両手を挿入して内装箱Kを把持することで、内装箱Kを包装箱1から取り出すことができる。
【0072】
次に、本実施形態に係る包装箱1における作用効果について説明する。
【0073】
上述したように、包装箱1の短側面4と内装箱Kとの間には手指を挿入するための隙間が生じる。この隙間を内装箱K(の短側面を含む平面)と短側面4及び上内フラップ41との距離として考えると、
図3に示すように、この距離は上内フラップ41の先端縁の幅方向中央部において最大となり、短側面4の下端縁において最少となる。
【0074】
つまり、
図1に示した前後方向に沿って見た場合、内装箱Kの短側面と包装箱1の短側面4及び上内フラップ41とは、「レ」の字状に配置されるため、前記隙間は、包装箱1の上側から下側に向かうにしたがって徐々に狭くなるテーパー状になる。
【0075】
次いで、包装箱1では、上内フラップ41の先端側の内表面に沿って手指を下方に滑らせて行くことで、包装箱1の短側面4と内装箱Kと隙間に手指を挿入することができる。要するに、包装箱1では、短側面4及び上内フラップ41を滑り台のようにして手指を滑らせることで、隙間の奥のほうまで手指を挿入することができる。
[内装箱Kの再封緘]
【0076】
次に、
図1、
図3及び
図4を参照しながら、本実施形態の包装箱1を開封したのち、内装箱Kは取り出さずに内部の商品を検品し、再封緘する作業について説明する。なお、上側の閉塞部3を開いて、短側面4及び上内フラップ41の幅方向中央部(より具体的には、一対の傾斜折目線7で挟まれている部分)を包装箱1から離れる方向に押し込んで隙間を空けるところまでは、上述した内装箱Kの取り出しと同じであるため説明を省略する。
【0077】
まず、
図4に示すように、上内フラップ41をフラップ谷折線8に沿って谷折りする。そして、上内フラップ41の折返片43を包装箱1の内部空間に挿入させる。すると、フラップ谷折線8で折り返された上内フラップ41には、伸展させようとする復元力が発生するため、折返片43の内表面を上内フラップ41の基端側内表面から遠ざけようとする。これにより、折返片43は、内装箱Kの短側面に押し付けられて係止される。
【0078】
そして、この復元力は、折返片43側が内装箱Kによって係止されることで、上内フラップ41の基端側、ひいてはこれに連設されている短側面4を包装箱1から離れる方向に押し込む力に変換される。この結果、包装箱1では、短側面4及び上内フラップ41を包装箱1から離れる方向に押し込んだ手を放しても、包装箱1の短側面4と内装箱Kとの間の隙間が維持される。
【0079】
次いで、包装箱1では、包装箱1の短側面4と内装箱Kと隙間に手指を挿入して、内装箱Kの一方短側面から一対の外フラップの突き合わされた両先端部を通って他方端側面まで貼付された粘着テープを剥がして、内装箱Kの外フラップ及び内フラップを伸展させて上側の閉塞部を開封し、内部の商品を検品する。
【0080】
次いで、内フラップ・外フラップを折り曲げ、再度、包装箱1の短側面4と内装箱Kと隙間に手指を挿入して、内装箱Kの一方短側面から一対の外フラップの突き合わされた両先端部を通って他方端側面まで粘着テープを貼付する。
【0081】
次に、本実施形態に係る包装箱1における作用効果について説明する。
【0082】
以上説明した包装箱1によれば、短側面4及び上内フラップ41を包装箱1から離れる方向に押し込んだ手を放しても、包装箱1の短側面4と内装箱Kとの間の隙間が維持されるため、商品を内装箱Kと包装箱1とで二重梱包している場合において、内装箱Kを包装箱1の内部に入れたまま内装箱Kを開封して商品の検品したのち、内装箱Kを粘着テープで再度封緘するときに、内装箱Kの短側面から粘着テープを剥がし、あるいは、再度貼り付けるという作業を容易に行うことができる。
【0083】
包装箱1において、フラップ谷折線8は、上内フラップ41の側縁の基端から先端縁に亘って長く設定されているため、折り曲げられた際の復元力を強くすることができるため、手を放しても隙間を広く維持しやすい。
【0084】
ところで、包装箱1において、第1フラップ谷折線81は、上内フラップ折目線bとのなす角が約40°になるように設定されている。つまり、なす角が45°未満であるため、フラップ谷折線8で上内フラップ41を谷折りすると、(フラップ谷折線8がV字形状であることに基づく三次元的な変形を無視すれば、)上内フラップ41の側縁は、その全領域が包装箱1の内部空間に入り込むことになる。より具体的には、上内フラップ41の側縁が包装箱1の内部空間に入り込む量は、上内フラップ41が仮に矩形状ならば基端から先端に向かうにしたがって大きく(幅広)なる。
【0085】
しかしながら、この場合、本来、一番幅広となる折返片43の先端が内装箱Kに係止されることになるため、直角に尖った折返片43の先端が内装箱Kに刺さって内装箱Kの短側面を傷つけてしまうおそれある。
【0086】
これに対し、包装箱1の上内フラップ41には、その先端側の隅部を切り落とすことで面取部9が形成されているため、折返片43は、内装箱Kに線接触するので、内装箱Kを傷つけにくい。
【0087】
また、包装箱1では、復元力を高めるために、フラップ谷折線8を角度45°弱で延設して長く設定しても、包装箱1の内部空間に挿入される(内装箱Kに衝突する)上内フラップ41の折返片43の大きさ(フラップ谷折線8からの距離)を調整することができる。
【0088】
要するに、包装箱1では、折返片43を、回動させたときに内装箱Kにギリギリ衝突しない大きさに調整することができるため、折り返して内装箱Kに係止させて隙間を作ることが容易である。
【0089】
また、包装箱1において、
図4に示すように、フラップ谷折線8は、V字形状なので、直線形状と異なり当然に折れ曲がるものではなく、若干無理曲げされるものであるため、折り曲げられた際の復元力を強くすることができる。よって、包装箱1によれば、フラップ谷折線8で生じる復元力を強く発生させることができるため、手を放しても隙間を広く維持しやすい。
【0090】
もっとも、折目線というものは一般的に直線状に形成するものであり、緩やかな弧状であればいざ知らず、V字形状に屈曲している場合、無理曲げしたときに意図したとおり折り曲げることは困難となりやすい。しかしながら、包装箱1において、フラップ谷折線8は、フラップ谷折線8がV字状に屈曲する部分に切目部83を有するため、V字形状のフラップ谷折線8を無理曲げする際に、特に屈曲する部分に生じるひずみを逃がしやすい。
【0091】
よって、包装箱1のフラップ谷折線8によれば、V字形状であっても意図通りに折り曲げることができる。
【0092】
[変形例]
上記本実施形態では、材質として段ボールを例に説明したが、材質は、折り曲げて組み立て可能であるとともに破断可能線に沿って破断可能なものであれば、ボール紙や薄い合成樹脂板であってもよい。
【0093】
上記本実施形態では、包装箱1では、その内部に内装箱Kが収納された例を説明したが、収容された商品に対して折返片43が係止可能であれば、商品が直接包装箱1に収容されていてもよい。
【0094】
上記本実施形態では、胴部2として四角筒状のものを例に説明したが、胴部は側板が3枚以上であれば足りるため、三角筒状、五角筒状、六角筒状等であってもよい。
【0095】
上記本実施形態では、胴部2が一対の短側面4と一対の長側面5とによって構成されているものを例に説明したが、側板の幅方向の長さが一致して短側面・長側面の区別がないものであってもよい。
【0096】
本実施形態では、胴部2の上側の開放端が一対の上内フラップ41及び一対の上外フラップ51で閉塞されたものを例に説明したが、本発明においては、短側面4に相当する所定の側板に連設されたフラップが一枚あれば足りるため、本発明の包装箱は、このフラップ1枚で胴部2の上側の開放端を閉塞するB式の包装箱であってもよい。
【0097】
本実施形態では、胴部2の下側の開放端が一対の下内フラップ42及び一対の下外フラップ52で閉塞されたものを例に説明したが、胴部2の下側の開放端を閉塞する構成は、何でもよく、例えば、ボトムロックやアメリカンロックであってもよい。
【0098】
本実施形態では、傾斜折目線7として上内フラップ41先端の幅方向(
図2の左右方向)中央部から延びているものを例に説明したが、傾斜折目線7は、上内フラップ41先端の幅方向中間部から延びていれば、中央部でなくてもよい。
【0099】
本実施形態では、傾斜折目線7として直線状のものを例に説明したが、傾斜折目線7は、若干湾曲・屈曲しているものでもよい。
【0100】
本実施形態では、一対の傾斜折目線7として上内フラップ41先端の幅方向中央の一箇所から2本延びて逆V字状に形成されているものを例に説明したが、一対の傾斜折目線7は、上内フラップ41先端の幅方向中間部の間隔を有する二箇所から2本がそれぞれ延びてハの字状に形成されてもよい。
【0101】
本実施形態では、上内フラップ41に一対のフラップ谷折線8が設けられているものを例に説明したが、フラップ谷折線8は上内フラップ41に対して1つだけ設けてもよい。
【0102】
本実施形態では、フラップ谷折線8として、隣接する傾斜折目線7に接近する方向に凸状に屈曲したV字形状に形成されたものを例に説明したが、フラップ谷折線8は、隣接する傾斜折目線7から離れる方向に凸状に屈曲してもよく、屈曲ではなく湾曲してもよく、さらには、直線状でもよい。
【0103】
本実施形態では、フラップ谷折線8として、上内フラップ41の側縁の基端と上内フラップ41先端縁とを繋ぐものを例に説明したが、フラップ谷折線8は、上内フラップ41の側縁の中間部から延びてもよく、さらには、谷折りできれば、上内フラップ41の側縁及び先端縁から若干離れた側縁部及び先端部から延びていてもよい。
【0104】
本実施形態では、フラップ谷折線8は、中間部に切目部83を有するものを例に説明したが、切目部は省略してもよく、追加して設けてもよい。
【0105】
本実施形態では、フラップ谷折線8は、上内フラップ折目線bとのなす角が約40°のものを例に説明したが、45°以下であればよい。さらには、内フラップ41の側縁に側縁から離れる方向に突出する突起部などがあれば、45°以上であってもよい。
【0106】
本実施形態では、上内フラップ41に、上内フラップ41の先端側の隅部を略三角形状に切り落としたような面取部9が設けられたものを例に説明したが、面取部9の稜線は該隅部に向かって凸状な弧状や、波状などであってもよく、面取部9を省略してもよい。
【0107】
上記本実施形態では、フラップを固定する手段として粘着テープを例に説明したが、固定する手段は、接着剤やステープルでもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 包装箱
2 胴部
3 閉塞部(底部)
4 短側面(側板)
41 上内フラップ(フラップ)
5 長側面(側板)
7 傾斜折目線
8 フラップ谷折線
81 第1フラップ谷折線
82 第2フラップ谷折線
83 切目部
9 面取部
b 上内フラップ折目線(折目線)