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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036741
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240311BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240311BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240311BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240311BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B65H7/14
H04N1/12 Z
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141168
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】金原 紘平
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB27
2C056EB35
2C056EC06
2C056EC28
2C056EC37
2C056HA46
2C061AP07
2C061AQ05
2C061HK10
2C061HK19
2C061KK26
2C061KK28
3F048AB01
3F048BA26
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB10
3F048DB16
3F048DC15
3F048EB22
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB05
5C062AB22
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC04
5C062AC11
5C062AC61
5C062AE15
5C062BA01
5C062BA07
5C072AA05
5C072BA01
5C072BA02
5C072BA12
5C072CA05
5C072DA03
5C072DA12
5C072DA23
5C072DA25
5C072EA07
5C072FB12
5C072FB16
5C072FB19
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072SA03
5C072UA03
5C072UA05
5C072UA13
5C072VA07
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】光学的ラインセンサにおける暗電流の変動による読取画像の劣化を抑制する。
【解決手段】被記録媒体を搬送向き6へ搬送する搬送部200と、上記搬送部200により搬送される上記被記録媒体に液体を吐出するヘッド140と、上記ヘッド140より上記搬送向き6の下流に位置しており、上記液体、上記被記録媒体、または両方を加熱するヒータ160と、上記ヒータ160より上記搬送向き6の下流に位置しており、上記被記録媒体に対して光源333から照射された光の反射を受光して電気的に検知する光学的ラインセンサ230と、コントローラ10と、を備える。上記コントローラ10は、上記光源333を非点灯とする非点灯期間を特定し、上記非点灯期間において上記光学的ラインセンサを駆動して、上記光学的ラインセンサが出力する暗電流を取得し、取得した上記暗電流の大きさに基づいて、上記光学的ラインセンサ230の動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送向きへ搬送する搬送部と、
上記搬送部により搬送される上記被記録媒体に液体を吐出するヘッドと、
上記ヘッドより上記搬送向きの下流に位置しており、上記液体、上記被記録媒体、または両方を加熱するヒータと、
上記ヒータより上記搬送向きの下流に位置しており、上記被記録媒体に対して光源から照射された光の反射を受光して電気的に検知する光学的ラインセンサと、
コントローラと、を備え、
上記コントローラは、
上記光源を非点灯とする非点灯期間を特定し、
上記非点灯期間において上記光学的ラインセンサを駆動して、上記光学的ラインセンサが出力する暗電流を取得し、
取得した上記暗電流の大きさに基づいて、上記光学的ラインセンサの動作を制御する画像記録装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
取得した上記暗電流が第1閾値以上であることを条件として、上記光学的ラインセンサの出力から上記暗電流を除いて読取画像を生成する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記コントローラは、
上記光学的ラインセンサの単位読取ライン当たりの上記光源による第1露光時間を取得し、
取得した上記暗電流が第1閾値よりも大きい第2閾値以上であることを条件として、取得した上記第1露光時間より短い第2露光時間を設定する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
上記光源の第1発光強度を取得し、
取得した上記暗電流が第1閾値よりも大きい第2閾値以上であることを条件として、取得した上記第1発光強度より小さい第2発光強度を設定する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記コントローラは、
取得した上記暗電流が第2閾値よりも大きい第3閾値以上であることを条件として、上記光学的ラインセンサの駆動を中止する請求項3または4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記被記録媒体の所定位置を検出する位置センサを更に備え、
上記コントローラは、
上記搬送部による上記被記録媒体の搬送速度を取得し、
上記搬送部を上記搬送速度で駆動し、
上記位置センサから出力される信号および上記搬送速度に基づいて、上記非点灯期間を決定する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記非点灯期間は、搬送方向に連続して搬送される上記被記録媒体に、上記光学的ラインセンサの上下方向が重ならない期間である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記光学的ラインセンサは、一列に並んだ複数の受光セルを有しており、
上記コントローラは、
上記受光セルごとの上記暗電流を取得する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記コントローラは、
上記搬送部が駆動されている間の所定のタイミング毎に上記暗電流を取得する請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記コントローラは、
停止状態の上記ヘッドおよび上記ヒータを駆動して所定時間まで第1タイミング毎に上記暗電流を取得し、
上記所定時間が経過した後、上記第1タイミングより間隔が長い第2タイミング毎に上記暗電流を取得する請求項9に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、用紙にインクを吐出するヘッドの下流に光学的ラインセンサを配置した装置が開示されている。特許文献1から3では、光学的ラインセンサを用いてヘッドで記録した画像を検知することにより、記録画像の良否を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-28140号公報
【特許文献2】国際公開第2020/040205号公報
【特許文献3】国際公開第2020/040285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドから吐出されるインクの種類により、被記録媒体へ吐出されたインクをヒータにより加熱して定着させることがある。ヒータの熱が光学的ラインセンサに伝わると、光学的ラインセンサの暗電流が増大して読取画像の品質に影響を与えるおそれがある。装置の小型化やコストダウンの要請を考慮すると、光学的ラインセンサとヒータとの間隔を空けることや、ファン等の冷却装置を設けることは、装置の大型化やコストアップに繋がる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学的ラインセンサにおける暗電流の変動による読取画像の劣化を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像記録装置は、 被記録媒体を搬送向きへ搬送する搬送部と、上記搬送部により搬送される上記被記録媒体に液体を吐出するヘッドと、上記ヘッドより上記搬送向きの下流に位置しており、上記液体、上記被記録媒体、または両方を加熱するヒータと、上記ヒータより上記搬送向きの下流に位置しており、上記被記録媒体に対して光源から照射された光の反射を受光して電気的に検知する光学的ラインセンサと、コントローラと、を備え、上記コントローラは、上記光源を非点灯とする非点灯期間を特定し、上記非点灯期間において上記光学的ラインセンサを駆動して、上記光学的ラインセンサが出力する暗電流を取得し、取得した上記暗電流の大きさに基づいて、上記光学的ラインセンサの動作を制御する。
【0007】
光源を非点灯とする期間に光学的ラインセンサを駆動することにより、熱に起因して出力される暗電流の大きさを取得することができる。取得された暗電流の大きさに基づいて光源及び光学的ラインセンサの駆動を制御することにより、画像記録装置を大型化せずに、画像の読取を継続することができる。
【0008】
(2)上記コントローラは、取得した上記暗電流が第1閾値以上であることを条件として、上記光学的ラインセンサの出力から上記暗電流を除いて読取画像を生成する。
【0009】
光学的ラインセンサの出力から暗電流の影響を除去するので、読取画像の画質を向上することができる。
【0010】
(3)上記コントローラは、上記光学的ラインセンサの単位読取ライン当たりの上記光源による第1露光時間を取得し、取得した上記暗電流が第1閾値よりも大きい第2閾値以上であることを条件として、取得した上記第1露光時間より短い第2露光時間を設定する。
【0011】
第1露光時間よりも短い第2露光時間を採用することにより、光学的ラインセンサの出力に含まれる暗電流を小さくすることができる。これにより、第1露光時間を採用する場合に比べ、光学的ラインセンサのダイナミックレンジを広げることができる。光学的ラインセンサの出力値が所謂白飛び状態を示すまで余裕をもたせることができるので、画像の読取を継続できる。
【0012】
(4)上記コントローラは、上記光源の第1発光強度を取得し、取得した上記暗電流が第1閾値よりも大きい第2閾値以上であることを条件として、取得した上記第1発光強度より小さい第2発光強度を設定する。
【0013】
第1発光強度よりも小さい第2発光強度を採用することにより、光学的ラインセンサの出力が所謂白飛び状態を示すまで時間的余裕をもたせることができる。これにより、画像の読取を継続できる。
【0014】
(5)上記コントローラは、取得した上記暗電流が第2閾値よりも大きい第3閾値以上であることを条件として、上記光学的ラインセンサの駆動を中止する。
【0015】
暗電流が第3閾値を超えることにより、光学的ラインセンサの駆動が中止されるので、画像の読み取りが難しい状態で、画像記録装置が駆動されるのを抑制できる。
【0016】
(6)画像記録装置は、上記被記録媒体の所定位置を検出する位置センサを更に備える。上記コントローラは、上記搬送部による上記被記録媒体の搬送速度を取得し、上記搬送部を上記搬送速度で駆動し、上記位置センサから出力される信号および上記搬送速度に基づいて、上記非点灯期間を決定するのが好ましい。
【0017】
位置センサにより検出された被記録媒体の位置と、被記録媒体の搬送速度とから、非点灯期間を精度良く決定することができる。
【0018】
(7)上記非点灯期間は、搬送方向に連続して搬送される上記被記録媒体に、上記光学的ラインセンサの上下方向が重ならない期間である。
【0019】
被記録媒体に上下方向で重ならない期間に光学的ラインセンサの暗電流を測定するので、測定が光学的ラインセンサの検知に影響を与えることを抑制できる。
【0020】
(8)上記光学的ラインセンサは、一列に並んだ複数の受光セルを有しており、上記コントローラは、上記受光セルごとの上記暗電流を取得する。
【0021】
受光セルごとの異なる特性を加味して暗電流を取得することができる。
【0022】
(9)上記コントローラは、上記搬送部が駆動されている間の所定のタイミング毎に上記暗電流を取得する。
【0023】
所定のタイミング毎に暗電流を取得することにより、暗電流取得回数を限定して画像記録装置の動作効率を向上できる。
【0024】
(10)好ましくは、上記コントローラは、停止状態の上記ヘッドおよび上記ヒータを駆動して所定時間まで第1タイミング毎に上記暗電流を取得し、上記所定時間が経過した後、上記第1タイミングより間隔が長い第2タイミング毎に上記暗電流を取得する。
【0025】
光学的ラインセンサの温度変化が急峻であるヒータ駆動直後において暗電流の取得頻度を多くすることにより、意図しない読取画像の劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光学的ラインセンサにおける暗電流の変動による読取画像の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、画像記録装置の内部を示す概略構成図である。
図2図2は、コントローラの概略構成図である。
図3図3は、被記録媒体と非点灯期間との関係を示すタイミング図である。
図4図4は、光学的ラインセンサの出力値における暗電流に起因する電圧値と、反射光に起因する電圧値との関係を示す模式図である。
図5図5は、光学的ラインセンサの露光時間と明度との関係を示すグラフである。
図6図6は、画像記録装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、画像記録装置の画像読み取り処理の動作の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、光源の発光強度と明度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像記録装置100が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現される。矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が規定される。画像記録装置100に対して、排出口118が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義される。画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0029】
[画像記録装置100の外観構成]
図1において、画像記録装置100は、例えば、ラベルプリンタである。画像記録装置100は、ロール体211をなすシート213に画像をインクジェット記録方式を用いて画像を記録する。画像記録装置100は、卓上、床面、またはラックに載置した状態で使用される。なお、シート213は、被記録媒体の一例である。
【0030】
[筐体30]
画像記録装置100は、直方体形状の筐体30を備える。筐体30は、底壁111、前壁112、後壁113、左壁114、右壁115、および上壁116を有する。複数の壁は、筐体30の内部空間117を外部から区画する。
【0031】
筐体30の前壁112には、操作パネル(不図示)が位置する。操作パネルは、排出口118の上方に位置する。操作パネルは、操作ボタン(不図示)およびディスプレイ(不図示)を有する。操作ボタンは、画像記録装置100への各種入力および動作させるためのトリガ入力等をユーザから受け付ける。ディスプレイは、コントローラ10に制御されて各種情報を表示する。
【0032】
[画像記録装置100の内部構成、搬送部200の構成]
画像記録装置100は、筐体30の内部空間117に、搬送部200と、タンク121と、搬送・支持機構130と、ヘッド140と、ヒータ160と、ジャムカバーと、光学的ラインセンサ230と、を備える。搬送部200は、支持部材201と、搬送ローラ対231と、排出ローラ対250と、テンショナ204と、を備える。図2に示されるように、搬送部200は、位置センサ210と、モータ120と、ロータリエンコーダ235と、コントローラ10と、を備える。搬送部200は、被記録媒体(シート213)を搬送する。
【0033】
[支持部材201]
図1に示されるように、筐体30の内部空間117には、ロール体211が収容される。ロール体211は、円筒状の芯管214と、長尺のシート213とを有する。シート213は、芯管214に巻回されている。図3に示されるように、シート213は、セパレータ310および複数のラベル300から構成される。セパレータ310には、セパレータ310の先端から間隔をあけて、ラベル300が1枚ずつ貼り付けられている。
【0034】
図1において、内部空間117の後側且つ下側には、左右方向9に延びる支持部材201が位置する。支持部材201の左右方向9における一方端は、サイドフレーム(不図示)に支持される。支持部材201は、左右方向9に平行な軸線周りに回転する。支持部材201には、モータ120(図2参照)の動力が伝達される。支持部材201は、例えば、図1において、反時計回りの向きに回転する。支持部材201には、ロール体211が装着される。支持部材201がロール体211の芯管214に挿通されることにより、ロール体211が支持部材201に装着される。支持部材201がロール体211とともに回転すると、ロール体211に巻かれたシート213が上方へ送り出される。
【0035】
[搬送ローラ対231]
搬送ローラ対231は、支持部材201から上方且つ後壁113の前方に位置する。搬送ローラ対231は、駆動ローラ221および従動ローラ222を有する。駆動ローラ221は、左右方向9に沿った軸線周りに回転可能に一対のサイドフレームに支持される。従動ローラ222は、例えば、ピンチローラであって、左右方向9に沿った軸線周りに回転可能に一対のサイドフレームに支持される。従動ローラ222は、駆動ローラ221に下方から当接する。以下、駆動ローラ221および従動ローラ222がシート213を挟むことを、ニップともいう。上下方向7におけるニップ位置は、排出口118の位置と概ね同じである。
【0036】
駆動ローラ221に、モータ120の動力が伝達されると、駆動ローラ221が回転する。従動ローラ222は、駆動ローラ221の回転に従って回転する。駆動ローラ221の回転によって、搬送ローラ対231にニップされたシート213が搬送向き6(前向き)へ搬送される。
【0037】
ロータリエンコーダ235は、エンコーダディスク233と、光センサ234と、を有する。エンコーダディスク233は、駆動ローラ221と同軸に設けられた円盤であり、駆動ローラ221と同期して回転する。エンコーダディスク233には、透過率が異なる2種のインデックスが周方向の全周に交互に位置する。光センサ234は、エンコーダディスク233の2種のインデックスを光学的に読み取る。エンコーダディスク233が回転すると、2種のインデックスが光センサ234に読み取られて、光センサ234がパルス信号を出力する。光センサ234が出力する信号は、コントローラ10が受信する。コントローラ10は、光センサ234が出力する信号に基づいて、駆動ローラ221の回転速度を判定する。
【0038】
[排出ローラ対250]
排出ローラ対250は、搬送ローラ対231から前方且つ前壁112の後方に位置する。排出ローラ対250は、駆動ローラ251および従動ローラ252を有する。駆動ローラ251は、左右方向9に沿った軸線周りに回転可能に一対のサイドフレームに支持される。従動ローラ252は、駆動ローラ251に下方から当接する。以下の説明では、駆動ローラ251および従動ローラ252がシート213を挟むことを、ニップともいう。上下方向7におけるニップの位置は、前壁112に配置される排出口118の位置と概ね同じである。
【0039】
駆動ローラ251に、モータ120の動力が伝達されると、駆動ローラ251が回転する。従動ローラ252は、駆動ローラ251に従って回転する。駆動ローラ251の回転によって、排出ローラ対250にニップされたシート213が搬送向き6(前向き)へ搬送される。
【0040】
[テンショナ204]
テンショナ204は、シート収容空間119の上方に位置する。テンショナ204は、前後方向8に移動可能に支持されている。テンショナ204は、バネ240によって後ろ向きへ付勢されている。テンショナ204の上面は、上向き且つ後向きの湾曲面である。テンショナ204の湾曲面は、シート213と当接して、シート213を後向きに付勢する。テンショナ204により、ロール体211と搬送ローラ対231との間において、シート213に張力が付与される。
【0041】
[位置センサ210]
位置センサ210は、搬送ローラ対231の前方に位置する。位置センサ210は、シート213に対して下方から光を照射して、シート213からの反射光を検出する。シート213には、例えばラベル300が位置する面と反対の面において、ラベル300間にマークが記録されている。位置センサ210は、シート213のマークを光学的に検知して、検知信号をコントローラ10へ出力する。コントローラ10は、位置センサ210の出力に基づいて、シート213の位置を判定する。
【0042】
[タンク121]
タンク121は、内部空間117の前側且つ下側に位置する。タンク121は、インクを貯留する。タンク121内のインクは、不図示のチューブを通じてヘッド140へと供給される。
【0043】
[ヘッド140]
ヘッド140は、前後方向8において、位置センサ210と排出ローラ対250との間に位置する。ヘッド140は、コントローラ10の制御に基づいて内部のインクを外部に吐出する。ヘッド140は、上下方向7において、搬送ローラ対231および排出ローラ対250のニップの位置よりも僅かに上方に位置する。
【0044】
ヘッド140の下面には、複数のノズル142の開口が左右方向9に沿って配列されている。複数のノズル142からは、搬送されるシート213に向けて、インク滴が下方へ吐出される。ヘッド140は、シート213とに向けてインク滴を吐出することにより、シート213に画像を記録する。
【0045】
[搬送・支持機構130]
搬送・支持機構130は、前後方向8において、位置センサ210と排出ローラ対250との間に位置する。搬送・支持機構130は、駆動ローラ132、従動ローラ131、および無端ベルト133を備える。駆動ローラ132は、前後方向8において、搬送ローラ対231および複数のノズル142の間に位置する。従動ローラ131は、前後方向8において、複数のノズル142および排出ローラ対250の間に位置する。駆動ローラ132および従動ローラ131の各上端の上下位置は、ヘッド140の上下位置より僅かに下方である。なお、駆動ローラ132および従動ローラ131の前後位置の関係は逆であってもよい。駆動ローラ132および従動ローラ131には、無端ベルト133が張架される。無端ベルト133の上端面は、搬送面134として用いられる。搬送面134は、上下方向7において複数のノズル142と対向している。
【0046】
駆動ローラ132は、モータ120で発生する動力により回転する。駆動ローラ132は、無端ベルト133を回転させる。無端ベルト133の回転に伴って、従動ローラ131が回転する。画像記録の実行中には、搬送面が搬送向き6へと移動するように、駆動ローラ132は、回転する。また、搬送面134は、搬送向き6に向けて通過するシート213を下方から支持しつつ、搬送向き6の力をシート213に与える。
【0047】
[ヒータ160]
図1において、ヒータ160は、ヘッド140より搬送向き6の下流に位置する。ヒータ160は、前後方向8において、ヘッド140と排出ローラ対250との間に配置される。ヒータ160は、サイドフレームに固定されている。ヒータ160は、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状の金属製プレート161と、金属製プレート161の下面に固定されたポリイミドヒータ162と、を有する。金属製プレート161は、無端ベルト133によって搬送向き6に搬送されるシート213の下面を支持する。したがって、金属製プレート161の左右方向9の寸法は、画像記録装置100において画像記録が可能な最大のシート213の幅よりも大きい。ポリイミドヒータ162は、金属製プレート161の下面を加熱する。これにより、シート213が金属製プレート161上を通過する間に、金属製プレート161の熱によってインクに含まれる熱可塑性微粒子が溶融する。金属製プレート161を通過した後の大気による冷却によって溶融した樹脂が硬化する。これにより、顔料がシート213の上面に定着する。なお、ポリイミドヒータ162に代えて、赤外線ヒータ等のヒータによって金属製プレート161が加熱されてもよい。
【0048】
[ジャムカバー170]
ジャムカバー170は、ヒータ160の上方を覆うように配置されている。ジャムカバー170は、サイドフレームに取り付けられている。ジャムカバー170は、前後方向8、上下方向7、および左右方向9に拡がる内部空間を有する箱型に形成されている。ジャムカバー170の上面および下面は、前後方向よりも左右方向に長い矩形状である。ジャムカバー170は、樹脂製の材料によって形成されている。ジャムカバー170の材質は、一定以上の強度および耐熱性を確保できるものであれば、特に限定されることはない。例えば、ジャムカバー170は、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フェノール樹脂によって形成される。ジャムカバー170は、下面から下向きに突出する複数の拍車171を内部空間に有する。複数の拍車171は、無端ベルト133によって搬送向き6に搬送されるシート213の上面(記録面)に当接する。
【0049】
[基準板253]
基準板253は、前後方向8においてヒータ160と排出ローラ対250との間に位置する。基準板253は、一対のサイドフレームに支持される。基準板253は、支持面253Aを有する。支持面253Aは、従動ローラ222および従動ローラ252の上端と上下方向7において概ね同じ位置である。支持面253Aは、前後方向8および左右方向9に拡がっている。支持面253Aは、上向きであり、白色に着色されている。
【0050】
[光学的ラインセンサ230]
光学的ラインセンサ230は、前後方向8においてヒータ160と排出ローラ対250との間に位置する。光学的ラインセンサ230は、ヘッド140により被記録媒体(シート213)に記録された画像に対して光源333から照射した光の反射を受光して電気的に検知する。光学的ラインセンサ230は、例えば、光源333を内蔵するCIS(コンタクトイメージセンサ)である。光学的ラインセンサ230は、筐体331と、基板332と、光源333と、レンズ334と、受光セル335と、を有する。
【0051】
筐体331は、左右方向9に長い直方体形状の箱である。筐体331は、下向きに開口する開口336を有する。開口336は、基準板253と上下方向7において対向する。開口336は、前後方向8および左右方向9に拡がる。開口336は、前後方向8よりも左右方向9に長い。開口336は、例えば、ガラス板によって閉塞される。
【0052】
基板332は、筐体331の内部空間において、上下方向7における上側に位置する。基板332には、後述する光源333および受光セル335が搭載されている。基板332は、前後方向8および左右方向9に拡がる平板形状である。
【0053】
光源333は、例えば、左右方向9に沿って複数のLEDを並べたLEDアレイである。光源333は、筐体331の内部空間において、前後方向8における前側に位置する。光源333は、LEDから照射される光を基準板253に向けて出射する。
【0054】
レンズ334は、例えば、左右方向9に沿って複数のロッドレンズを並べたロッドレンズアレイである。レンズ334は、筐体331の内部空間において、前後方向8における後側に位置する。レンズ334は、基準板253での反射光を後述する受光セル335に結像させる。
【0055】
受光セル335は、例えば、左右方向9に沿って配列された複数のフォトダイオードを有する。受光セル335は、筐体331の内部空間において、前後方向8における後側に位置する。受光セル335は、各フォトダイオードへの入射光量に応じたレベルを有する信号を出力する。受光セル335が並ぶ左右方向9に沿ったラインが読取りラインである。
【0056】
[コントローラ10]
筐体30の内部空間117には、コントローラ10が配置されている。図2に示されるように、コントローラ10は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、ASIC15等がバスによってデータ通信可能に接続されたものである。CPU11がROM12に記憶されたプログラムを実行し、ASIC15が設定された特定の機能を果たすことによって、画像記録装置100の動作が制御される。コントローラ10は、モータ120、ヘッド140、ヒータ160、位置センサ210、ロータリエンコーダ235、および光学的ラインセンサ230に接続される。
【0057】
[暗電流の閾値]
EEPROM14等には、光学的ラインセンサ230から出力される暗電流の電流値の大きさに関する閾値が格納されている。EEPROM14等には、暗電流の電流値の大きさに関する閾値として、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および第3閾値Th3が格納されている。閾値は、第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3の順で大きい(高い)。
【0058】
ここで、暗電流とは、逆バイアスをかけることで光伝導デバイスとして機能するフォトダイオードにおいて、空乏層に流れる漏れ電流のことをいう。暗電流の電流値(以下、単に暗電流ともいう)は、例えば、オペアンプ(不図示)によって電圧値に変換されて、光学的ラインセンサ230から出力される。図4に示されるように、光学的ラインセンサ230から出力される出力値(以下、電圧値ともいう)は、反射光に起因する電圧値と、暗電流に起因する電圧値とを合算した値となる。光学的ラインセンサ230から出力される電圧値は、例えば、以下の式(1)によって求められる。式(1)において、Vは、光学的ラインセンサ230からの出力値(電圧値)である。Idは、受光セル335(フォトダイオード)の露光(反射光の受光)によって流れる電流値である。tは、受光セル335の露光時間である。Ioは、暗電流の電流値である。式(1)は、EEPROM14等に格納されている。
V=Id×t+Io×t ・・・式(1)
【0059】
暗電流の電流値は、光学的ラインセンサ230の熱的要因により増加する。例えば、光学的ラインセンサ230がヒータ160により加熱されることにより、暗電流の電流値は増加する。暗電流の電流値の増加により、光学的ラインセンサ230の出力値のうち、暗電流に起因する電圧値の割合は大きくなる。すなわち、光学的ラインセンサ230の温度上昇に従って、上記式(1)のIoの値が増加する。暗電流の電流値の閾値は、上記式(1)のIoの大きさに応じて予め決められた値である。
【0060】
EEPROM14等には、暗電流の電流値と各閾値との関係に応じた設定が動作内容として格納される。EEPROM14等には、第1閾値Th1以下の暗電流の電流値に応じて、暗電流に起因する動作をしない設定が動作内容として格納される。EEPROM14等には、第1閾値Th1を超えて、第2閾値Th2以下の暗電流の電流値に応じて、光学的ラインセンサ230の出力値から暗電流に起因する電圧値を除去する設定が動作内容として格納される。EEPROM14等には、第2閾値Th2を超えて、第3閾値Th3以下の暗電流の電流値に応じて、ラベル300を読み取る際の光学的ラインセンサ230の露光時間を減少させる設定が動作内容として格納される。EEPROM14等には、減少された露光時間(例えば、第2露光時間Te2)と、減少された露光時間に合わせて、ラベル300を読み取る際の光源の減少された点灯時間とが併せて格納される。なお、減少された点灯時間は、減少された露光時間と同じ時間である。
【0061】
ここで、露光時間と暗電流との関係を説明する。図5では、減少前の第1露光時間がTe1、減少後の第2露光時間がTe2として示される。第1露光時間Te1において、光学的ラインセンサ230の出力値に含まれる、暗電流に起因する出力値は、上記式(1)からIo×Te1となる。第2露光時間Te2において、光学的ラインセンサ230に含まれる、暗電流に起因する出力値は、Io×Te2となる。したがって、露光時間を第2露光時間Te2に変更することにより、第1露光時間Te1で露光する場合に比べ、暗電流に起因して出力される電圧値をIo×(Te1-Te2)だけ減少させることができる。暗電流に起因する出力値が減少するので、光学的ラインセンサ230の出力値によって表現可能な明度の最小値はIo×(Te1-Te2)だけ減少する。第1露光時間Te1における光学的ラインセンサ230のダイナミックレンジDR1に比べ、第2露光時間Te2における光学的ラインセンサ230のダイナミックレンジDR2は広くなる。ダイナミックレンジを広げることにより、暗電流の増加にかかわらず白飛びを抑制することができ、画像記録装置100による記録動作および読取動作を続行することができる。
【0062】
EEPROM14等には、第3閾値Th3を超える暗電流の電流値に応じて、光学的ラインセンサの動作を停止する信号を送出する設定が動作内容として格納される。
【0063】
EEPROM14等には、暗電流を測定するタイミングを示す第1タイミングおよび第2タイミングが格納されている。第1タイミングおよび第2タイミングは、暗電流を測定する間隔を規定する。第2タイミングは、第1タイミングよりも間隔が長い。第1タイミングおよび第2タイミングのそれぞれは、例えば、所定数のラベルの搬送後のタイミング(所定数のラベルの搬送距離を経過したタイミング)を暗電流の測定タイミングとして示す。EEPROM14等には、第1タイミングおよび第2タイミングのいずれを採用するかの基準となる、コントローラ10からヘッド140を駆動する信号を送出してからの時間(以下、基準時間ともいう)が格納されている。EEPROM14等には、暗電流を測定する際の光学的ラインセンサ230の露光時間が測定時間として格納されている。測定時間は、ラベル300間の区間(以下、非点灯区間ともいう、図3参照)が光学的ラインセンサ230の直下を通過する時間(以下、非点灯期間ともいう)よりも短い時間に設定されている。
【0064】
EEPROM14等には、シート213の搬送速度(搬送速度に応じたモータ120の回転速度)、光源333の点灯時間、光学的ラインセンサ230の露光時間(例えば、第1露光時間Te1)および読出時間、並びにシート213の規格等が駆動条件として格納されている。光源333の点灯時間と、光学的ラインセンサ230の露光時間(第1露光時間Te1)とは同じ時間である。また、光学的ラインセンサ230の露光時間は、1ラベル分の搬送時間よりも短く、1ラベルの搬送において複数回繰り返し露光が可能な長さに設定される。EPROM14等には、バーコードのデコードプログラムが格納されている。
【0065】
なお、コントローラ10は、CPU11のみが各種処理を行うものであってもよい。コントローラ10は、ASIC15のみが各種処理を行うものであってもよい。コントローラ10は、CPU11とASIC15とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、コントローラ10は、1つのCPU11が単独で処理を行うものであってもい。コントローラ10は、複数のCPU11が処理を分担して行うものであってもよい。また、コントローラ10は、1つのASIC15が単独で処理を行うものであってもよい。コントローラ10は、複数のASIC15が処理を分担して行うものであってもよい。
【0066】
[画像記録装置100の動作]
以下、画像記録装置100による画像記録動作および画像読取動作が説明される。
図6に示されるように、コントローラ10は、外部の情報処理端末(不図示)からシート213に記録する記録データを受信する(ステップS11)。記録データには、例えば、記録すべき画像を示す画像情報、解像度等の情報を含む。コントローラ10は、記録データを受信しない場合(ステップS11:NO)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0067】
コントローラ10は、記録データを受信したことに応じて(ステップS11:YES)、搬送部200によるシート213の搬送速度、光源333の点灯時間、光学的ラインセンサ230の露光時間、およびシート213の規格等を駆動条件としてEEPROM14等から読み出す(ステップS12)。コントローラ10は、例えば、読み出した駆動条件について、画像記録装置100に適用される駆動内容としてRAM13等に格納してもよ
い。
【0068】
コントローラ10は、モータ120を駆動することにより搬送ローラ対231および排出ローラ対250を動作させて、読み出した搬送速度でシート213の搬送を開始する(ステップS13)。例えば、EEPROM14等には、搬送速度に応じたモータ120の回転速度が格納されており、コントローラ10は、搬送速度に応じた回転速度でモータ120が回転するようにモータ120を駆動する。コントローラ10は、モータ120の駆動と共に、ヒータ160を駆動する。
【0069】
シート213が搬送されると、位置センサ210がシート213にプリントされたマークを検出する(ステップS14)。
【0070】
コントローラ10は、位置センサ210からマークの検出信号を受信してからシート213の搬送距離をロータリエンコーダ235の出力信号に応じて判定する。コントローラ10は、マークがヘッド140直下へ到達したと判定すると、ヘッド140を駆動する。コントローラ10は、例えば、記録データに基づいてヘッド140からのインクの吐出を制御することにより、シート213へのデータの記録を実行する(ステップS15)。コントローラ10は、シート213の搬送に従って搬送される各ラベル300にデータを記録する。ヒータ160は、搬送されるシート213またはインクを加熱することにより、インクをシート213に定着させる。
【0071】
コントローラ10は、シート213の搬送が続けられて、画像記録済みのシート213が光学的ラインセンサ230の直下へ到達したと判定すると、シート213に対する画像読取動作を実施する(ステップS16)。画像記録動作および画像読取動作が終了すると、本フローによる処理は、終了する。
【0072】
次に、画像読取動作の詳細を説明する。
図7に示されるように、コントローラ10は、予め光学的ラインセンサ230の光源333のキャリブレーションを実施する(ステップS21)。キャリブレーションは、例えば、「白」「黒」を示すキャリブレーション用のプレート(例えば、基準板253の位置に配置されるプレート)に光源333から所定の光量で照射した光の反射光を受光セル335(受光素子)で受光することにより行われる。コントローラ10は、受光セル335から出力される信号のレベルについて、「白」「黒」を示す信号レベルを基準値に合わせるべく、光源333の光量(発光強度)を決定する。コントローラ10は、「白」「黒」を示す光量となった光源の設定値を第1発光強度L1としてRAM13等に格納する。なお、発光強度とは、単位面積、単位時間当たりに光源333から照射される光度エネルギーである。
【0073】
コントローラ10は、光学的ラインセンサ230の露光時間および光源333の発光強度(第1発光強度L1)をRAM13等から読み出す。コントローラ10は、光源の点灯時間をEEPROM14等から読み出す。コントローラ10は、暗電流の測定時間をEEPROM14等から読み出す。
【0074】
コントローラ10は、インク定着後のシート213のラベルが光学的ラインセンサ230の読取位置へ到達するのに先立って、EEPROM14等から読み出した測定時間で光学的ラインセンサ230を駆動する。この際、コントローラ10は、光源333を駆動しない。光学的ラインセンサ230は、光源333を駆動せずに露光した結果を示す出力値(以下、測定値ともいう)をRAM13等に格納する。コントローラ10は、EEPROM14等から式(1)を読み出すとともに、測定値をRAM13等から読み出す。コントローラ10は、式(1)に対して、V=測定値、Id=0(受光により流れる電流が0であるため)、t=測定時間を代入して、暗電流Ioを算出する。これにより、ラベル読取前の状態における光学的ラインセンサ230の暗電流が測定されることになる(ステップS22)。コントローラ10は、算出した暗電流の値をRAM13等に格納する。
【0075】
コントローラ10は、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および第3閾値Th3をEEPROM14等から読み出す。コントローラ10は、閾値に応じて予め設定されている動作内容をEEPROM14等から読み出す。コントローラ10は、算出した暗電流の値をRAM13等から読み出して、算出した暗電流の値と各閾値とを比較する。コントローラ10は、比較結果に応じて、画像記録装置100に設定する動作内容を選択する。
【0076】
暗電流の大きさが第1閾値Th1以下である場合(ステップS23:YES)、コントローラ10は、暗電流に起因する動作をしない設定を動作内容として選択する(ステップS24)。コントローラ10は、選択した動作内容をRAM13等に格納する。
【0077】
暗電流の大きさが第1閾値Th1を超え、第2閾値Th2以下である場合(ステップS25:YES)、コントローラ10は、光学的ラインセンサ230の出力値から暗電流に起因する電圧値を除去する設定を動作内容として選択する(ステップS26)。コントローラ10は、例えば、式(1)に基づいて、ラベル300を読み取った光学的ラインセンサ230の出力値から、測定された暗電流とラベル300を読み取った光学的ラインセンサ230の露光時間との積(暗電流に起因する電圧値)を減算した値を算出する動作内容を選択する。コントローラ10は、選択した動作内容をRAM13等に格納する。
【0078】
暗電流の大きさが第2閾値Th2を超え、第3閾値Th3以下である場合(ステップS27:YES)、コントローラ10は、ラベル300を読み取る際の光学的ラインセンサ230の露光時間を減少させる設定の動作内容を選択する(ステップS28)。コントローラ10は、減少させた露光時間に合わせて点灯時間を減少させた設定の動作内容を選択する。コントローラ10は、選択した動作内容をRAM13等に格納する。
【0079】
暗電流の値が第3閾値Th3を超える場合(ステップS27:NO)、コントローラ10は、光学的ラインセンサ230の動作を停止する設定の動作内容を選択する(ステップS29)。コントローラ10は、例えば、光学的ラインセンサ230、ヘッド140、モータ120、およびヒータ160の駆動を停止する信号を送出することにより画像記録装置100の動作を停止する。コントローラ10は、ディスプレイ等に、光学的ラインセンサ230の加熱により動作が停止したことを示す表示を出力させる。これにより、本フローによる動作は終了する。
【0080】
コントローラ10は、RAM13等に格納されている動作内容を読み出す。コントローラ10は、EEPROM14等から光学的ラインセンサ230の露光時間と、光源の点灯時間とを読み出す。コントローラ10は、動作内容として露光時間の減少が選択されている場合(ステップS31:YES)、EEPROM14等に格納されている露光時間および点灯時間に代えて、減少された露光時間(例えば、第2露光時間Te2)と、減少された点灯時間(第2露光時間Te2と同じ時間)とを読み出す(ステップS32)。
【0081】
コントローラ10は、インク定着後のシート213のラベル300が光学的ラインセンサ230の読取位置へ到達したと判定すると、読み出した露光時間で光学的ラインセンサ230を駆動する(ステップS33)。コントローラ10は、光学的ラインセンサ230の露光に合わせて、読み出した点灯時間で光源333を駆動する。コントローラ10は、光学的ラインセンサ230および光源333を駆動することにより、シート213の画像読取を実行する。コントローラ10は、図3に示されるように、1ラベルの読み取りに際し、光学的ラインセンサ230を複数回駆動して、露光を繰り返す。
【0082】
光学的ラインセンサ230は、例えば、1回の駆動ごとに、光源333からシート213に照射した光の反射光を複数の受光セル335によって受光する。光学的ラインセンサ230は、受光した光を光電変換することにより、受光した光の強度に応じた出力値(電圧値)を出力する。光学的ラインセンサ230は、受光セル335ごとに出力値を出力する。光学的ラインセンサ230から出力された出力値は、1回の駆動ごとにRAM13等に格納される。
【0083】
コントローラ10は、RAM13等から選択された動作内容を読み出す。動作内容として、光学的ラインセンサ230の出力値から暗電流に起因する電圧値を除去する設定の動作内容が選択されている場合(ステップS32:YES)、コントローラ10は、RAM13等に格納されている受光セル335ごとの出力値を読み出す。コントローラ10は、RAM13等に格納されている測定された暗電流の電流値を読み出す。コントローラ10は、読み出した暗電流の電流値と、読み出した露光時間との積(暗電流に起因する電圧値)を算出する。コントローラ10は、読み出した受光セル335ごとの出力値から、暗電流に起因する電圧値を減算する(ステップS33)。これにより、受光セル335ごとの出力値から、暗電流による影響を除去した電圧値を得ることができる。コントローラ10は、減算した電圧値を補正後の出力値としてRAM13等に格納する。
【0084】
コントローラ10は、光学的ラインセンサ230の読取開始位置からロータリエンコーダ235の出力の積算値が1ラベル分(ラベル300)の長さに到達したか否かを判定する。(ステップS36)。1ラベル分の長さに到達したと判定すると、コントローラ10は、RAM13等に記憶されている光学的ラインセンサ230の1ラベル分の出力値(または補正後の出力値)を読み出して、読取画像を構成する。コントローラ10は、構成された読取画像に含まれる画素のうち、複数の黒の棒体(バー)の記録が含まれる(画素)領域を特定する。これにより、コントローラ10は、例えば、バーコードの記録位置を特定する。コントローラ10は、EEPROM14等に記録されているバーコードのデコードプログラムを読み出す。コントローラ10は、記録位置に含まれる一次元バーコードのバーをデコードプログラムで変換する(ステップS37)。バーをデコード(変換)できない場合(ステップS38:NO)、コントローラ10は、例えば、モータ120を逆に駆動する。コントローラ10は、ロータリエンコーダ235の出力値を参照して、ヘッド140直下の位置にデコードできないバーコードの記録を含むラベル300の位置を戻す。コントローラ10は、ヘッド140を駆動するとともに、ラベル300に「void」の文字を記録させて次の処理に移る(ステップS39)。これにより、特定されている領域に含まれるバーの太さ、形状、濃淡(コントラスト)等の影響で読み取ることができないバーコードを含むラベル300であることを示すことができる。デコードできる場合、コントローラ10は、そのまま次の処理に移る(ステップS38:YES)。
【0085】
光学的ラインセンサの読取開始位置からロータリエンコーダ235の積算値が1ラベル分の長さに到達していない場合(ステップS36:NO)、コントローラは、1ラベル分の長さに到達するまで待機する。
【0086】
コントローラ10は、ロータリエンコーダ235の出力に基づいて、最後に記録されたラベル300の終端位置が光学的ラインセンサ230の直下まで搬送されたか否かを判定する。これにより、読取を実行すべきラベル300が残っているか否かが判定される(ステップS40)。読み取るべきラベル300の全てが光学的ラインセンサ230の直下に到達していない場合(読み取る他のラベル300が残っている場合)、暗電流を測定するタイミングを決定する処理に進む。
【0087】
読み取るべきラベル300の全てが光学的ラインセンサ230の直下に到達している場合、コントローラ10は、ロータリエンコーダ235の出力から、最後に記録されたラベル300が排出口118まで搬送されたか判定する(ステップS41)。排出口118まで最後に記録されたラベル300が搬送されると、コントローラ10は、ヘッド140、ヒータ160、光学的ラインセンサ230、光源333、およびモータ120の動作を停止させる信号を送出する。これにより、コントローラ10は、画像記録装置100の動作を停止させる(ステップS42)。これにより、画像読取処理は終了する。
【0088】
コントローラ10は、最初にヘッド140を駆動する信号を出力してからの時間(以下、駆動経過時間ともいう)を計時している。コントローラ10は、EEPROM14等に格納されている、駆動経過時間に対して第1タイミングまたは第2タイミングを採用する基準となる基準時間を読み出す。コントローラは、EEPROM14等に格納されている第1タイミングおよび第2タイミングを読み出す。コントローラ10は、駆動経過時間が基準時間内であるか否かを判断する(ステップS43)。これにより、コントローラ10は、駆動経過時間に基づいて、光学的ラインセンサ230を駆動して暗電流を測定するタイミング(インターバル)を決定する。
【0089】
駆動経過時間が基準時間内である場合、コントローラ10は、暗電流を測定するタイミングについて、第2タイミングよりも短い第1タイミングを選択する(ステップS44)。コントローラ10は、選択した第1タイミングをタイミング情報としてRAM13等に格納する。これにより、光学的ラインセンサ230の駆動開始から温度変化の激しい期間(駆動開始後の所定期間)において、暗電流の測定頻度を高める設定になる。したがって、激しい温度変化に合わせて、画像記録装置100の動作を最適化することができる。
【0090】
駆動経過時間が基準時間を経過している場合、コントローラ10は、第1タイミングよりも間隔の長い第2タイミングを選択する(ステップS45)。コントローラは、選択した第2タイミングをタイミング情報としてRAM等に格納する。
【0091】
コントローラ10は、ロータリエンコーダ235の出力と、選択されたタイミング情報とに基づいて、光学的ラインセンサ230の直下にタイミング情報に示される非点灯区間が位置するか否かを判定する(ステップS46)。当該非点灯区間が位置する(非点灯期間である)と判定されると、処理はステップS22に戻り、暗電流の測定処理に移る。当該非点灯区間が位置しないと判定されると、処理は、ステップS31に戻り、次のラベル300の読取処理に移る。
【0092】
[本実施形態の作用効果]
光源333を非点灯とする期間に光学的ラインセンサ230が駆動されることにより、熱に起因して出力される暗電流の大きさが取得される。取得された暗電流の大きさに基づいて、コントローラ10が光源333及び光学的ラインセンサ230の駆動を制御することにより、画像記録装置100を大型化せずに、読取品質を向上させることができる。
【0093】
コントローラ10が、選択された動作内容に基づいて、光学的ラインセンサ230の出力から暗電流の影響を除去するので、読取画像の画質を向上することができる。
【0094】
コントローラ10は、暗電流の大きさに応じて、第1露光時間Te1よりも短い第2露光時間Te2を採用することにより、光学的ラインセンサ230の出力に含まれる暗電流を小さくすることができる。これにより、第1露光時間Te1を採用する場合に比べ、光学的ラインセンサ230のダイナミックレンジを広げることができる。光学的ラインセンサ230の出力値が所謂白飛び状態を示すまで余裕をもたせることができるので、画像の読取を継続できる。
【0095】
コントローラ10は、暗電流が第3閾値Th3を超えたと判定したことにより、光学的ラインセンサ230の駆動を中止するので、画像の読み取りが難しい状態で、画像記録装置100が駆動されるのを抑制できる。
【0096】
コントローラ10は、位置センサ210により検出されたシート213の位置と、シート213の搬送速度とから、非点灯期間(非点灯区間)を決定するので、非点灯期間が精度よく決定される。
【0097】
コントローラ10は、ラベル300間において光学的ラインセンサ230の暗電流を測定するので、暗電流が安定して測定される。
【0098】
コントローラ10は、受光セル335ごとに暗電流を取得するので、受光セル335ごとの異なる特性を加味して暗電流が取得される。
【0099】
コントローラ10は、駆動経過時間が基準時間をすぎているときには第2タイミングを選択するので、暗電流取得回数が限定されて画像記録装置100の動作効率が向上される。
【0100】
コントローラ10は、駆動経過時間が基準時間内であるときには第1タイミングを選択するので、光学的ラインセンサ230の温度変化が急峻であるヒータ160駆動直後において暗電流の取得頻度が多くなり、意図しない読取画像の劣化を抑制できる。
【0101】
[変形例]
実施形態において、コントローラ10は、暗電流の値が第2閾値Th2を超えて第3閾値Th3以下である場合に、光学的ラインセンサ230の単位読取ライン当たりの露光時間を減少させるとしたが、これに制限されない。コントローラ10は、EEPROM14等から読み出される、単位読取ライン当たりの光源333の発光強度(第1発光強度L1)を減少させてもよい。図8に示されるように、コントローラ10は、光源333の第1発光強度L1に対して、第1発光強度L1よりも小さい第2発光強度L2をEEPROM14等から読み出して動作内容としてRAM13等に格納してもよい。コントローラ10は、単位読取ラインにおいて、RAM13等から読み出した第2発光強度L2を用いて光源333を駆動してもよい。
【0102】
図8に示されるように、光学的ラインセンサ230の温度tempに対して、第1発光強度L1で光源333を駆動した場合、光学的ラインセンサ230の出力値に含まれる暗電流に起因する電圧値の大きさ(暗電流Ioと露光時間tとの積の値)はDA3となる。そのため、光学的ラインセンサ230の出力において、受光セル335による受光により出力される電圧値で表現可能な範囲は、明度の最大値maxからDA1を減算した値DR3となる。一方、第2発光強度L2で光源333を駆動した場合、光学的ラインセンサ230の出力値に含まれる暗電流成分はDA2となる。そのため、光学的ラインセンサ230の出力において、受光セル335による受光により出力される電圧値で表現可能な範囲は、明度の最大値maxからDA2を減算した値DR4となる。DR4をDR3よりも広くすることができるので、暗電流が大きくなった場合であっても、光学的ラインセンサ230の受光セル335による出力値の明度表現の幅(ダイナミックレンジ)を広げることができる。第1発光強度L1よりも小さい第2発光強度L2を採用することにより、光学的ラインセンサ230の出力が所謂白飛び状態を示すまで時間的余裕をもたせることができる。これにより、画像の読取を継続できる。
【0103】
また、実施形態において、被記録媒体としてロール状に巻回されたシート213を説明したが、これに制限されない。被記録媒体は、カット紙、光学ディスクのラベル、または板状体等であってもよい。
【0104】
また、実施形態では、暗電流の閾値を3つで説明したが、これに制限されない。暗電流の閾値を4つ以上としてもよい。コントローラ10は、例えば、閾値に応じて段階的に減少される複数の露光時間または発光強度のそれぞれを動作内容としてEEPROM14等から読み出して、動作内容としてRAM13等に格納してもよい。
【0105】
また、実施形態では、暗電流の大きさが第1閾値Th1以下である場合に、暗電流に応じた画像記録装置100の動作を変更しない動作内容とするとしたが、これに制限されない。コントローラ10は、暗電流が第1閾値Th1を超え、第2閾値Th2以下の場合と同様に、光学的ラインセンサ230の出力から暗電流に起因する電圧値を減算する設定を動作内容として選択してもよい。
【符号の説明】
【0106】
6 搬送向き
10 コントローラ
100 画像記録装置
140 ヘッド
160 ヒータ
200 搬送部
210 位置センサ
213 シート
230 光学的ラインセンサ
231 搬送ローラ対
250 排出ローラ対
333 光源
335 受光セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8