(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036748
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ガス供給装置、射出成形機および射出成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20240311BHJP
B29C 45/76 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141187
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 俊彦
【テーマコード(参考)】
4F206
4F214
【Fターム(参考)】
4F206AA11
4F206AB02
4F206AG20
4F206AP06
4F206AP07
4F206AP12
4F206AR02
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4F206JA07
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4F206JP11
4F206JP14
4F206JQ88
4F206JQ90
4F214AA11
4F214AB02
4F214AG20
4F214AP06
4F214AP07
4F214AP11
4F214AR02
4F214AR14
4F214UA08
4F214UB01
4F214UL03
4F214UL27
(57)【要約】
【課題】樹脂材料の発泡成形品におけるガス密度の均一性を向上すること。
【解決手段】本発明のガス供給装置(60)は、スクリュ(23)を備える樹脂の射出装置(20)に発泡用ガス(IG)を供給する。ガス供給装置(60)は、ガス供給源(61)と、ガス供給源(61)からの発泡用ガス(IG)を射出装置(20)に向けて流すガス供給路(63)と、ガス供給路(63)を介する射出装置(20)への発泡用ガス(IG)の供給量を調整する調整弁(65)と、調整弁(65)の供給量を制御する制御部(80)と、を備える。制御部(80)は、スクリュ(23)の位置情報に基づいて調整弁(65)の供給量を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュを備える樹脂の射出装置に発泡用ガスを供給する装置であって、
ガス供給源と、
前記ガス供給源からの前記発泡用ガスを前記射出装置に向けて流すガス供給路と、
前記ガス供給路を介する前記射出装置への前記発泡用ガスの供給量を調整する調整弁と、
前記調整弁の前記供給量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スクリュの位置情報に基づいて前記調整弁による前記供給量を制御する、ガス供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記射出装置が可塑化・計量工程を行っている際中に、前記スクリュの前記位置情報に基づいて前記調整弁による前記供給量を低下させるように制御する、
請求項1に記載のガス供給装置。
【請求項3】
前記制御部による前記供給量の制御は、
前記ガス供給路を流れる前記発泡用ガスの圧力、
前記ガス供給路を流れる前記発泡用ガスの流量、
前記ガス供給路を流れる前記発泡用ガスの流量変動率および、
前記調整弁の開度の少なくとも一つが、予め定められるそれぞれの設定情報と比較して行われる、
請求項2に記載のガス供給装置。
【請求項4】
前記可塑化・計量工程を行っている際中の前記スクリュの前記位置情報は、
前記スクリュの前記射出装置おける位置、
前記スクリュの後退速度、
前記スクリュの後退加速度、および、
前記スクリュの後退量の少なくとも一つである、
請求項2または請求項3に記載のガス供給装置。
【請求項5】
ガス通路が設けられる加熱シリンダと、前記加熱シリンダの内部で正逆回転および進退移動が可能に設けられる前記スクリュと、を有する成形部と、
前記ガス通路に発泡用ガスを供給するガス供給部と、を備え、
前記ガス供給部は、
ガス供給源と、
前記ガス供給源からの前記発泡用ガスを前記ガス通路に向けて流すガス供給路と、
前記ガス供給路を介する前記ガス通路への前記発泡用ガスの供給量を調整する調整弁と、
前記調整弁の前記供給量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スクリュの位置情報に基づいて前記調整弁の前記供給量を制御する、
射出成形機。
【請求項6】
可塑化状態の樹脂材料を金型の内部のキャビティに射出して充填する射出工程と、
前記射出工程の後に行われる、前記キャビティに充填される前記樹脂材料の圧力を保持する保圧工程と、
前記保圧工程の後に行われる、スクリュを用いて前記樹脂材料を可塑化状態にするとともに、可塑化された前記樹脂材料を計量する可塑化・計量工程と、を順に繰り返すことで、樹脂材料による発泡成形品を得る射出成形方法であって、
前記可塑化・計量工程の一部または全部において、
前記スクリュの位置情報に基づいて発泡用ガスの前記樹脂材料への供給量を制御する、
射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂に発泡剤としての不活性ガスを注入して射出成形して発泡成形品を得る射出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の微細な気泡を含む発泡成形品は、軽量であるにも関わらず強度にも優れているため、需要が多い。射出成形により発泡成形品を得るために用いられる発泡剤は、化学発泡剤と物理発泡剤がある。物理発泡剤としての例えば不活性ガスを用いる発泡成形について、特許文献1は、十分な量のガスを効率よく樹脂に溶解させることを目的として、ガス供給源からのガスをガス注入口に注入するとき、ガス圧力を調整して供給するガス圧力調整部を設けることを提案する。このガス圧力調整部は、成形サイクルにおいて、ガス圧力を昇圧する昇圧期間の少なくともその一部が計量工程と重複するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、十分な量のガスを樹脂に溶解させることができるために、気泡が緻密で微細な品質の高い発泡成形品が得られる、とされている。一般に品質の高い発泡成形品を得るためには、十分な量のガスを樹脂に溶解させることの他に、発泡成形品におけるガスの密度が均一になることが望まれる。ところが、特許文献1には、ガスの密度を均一にすることについて開示、示唆するところがない。
【0005】
以上より、本発明は、樹脂材料の発泡成形品におけるガス密度の均一性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリュを備える樹脂の射出装置に発泡用ガスを供給するガス供給装置は、ガス供給源と、ガス供給源からの発泡用ガスを射出装置に向けて流すガス供給路と、ガス供給路を介する射出装置への発泡用ガスの供給量を調整する調整弁と、調整弁による供給量を制御する制御部と、を備える。制御部は、スクリュの位置情報に基づいて調整弁による供給量を制御する。
【0007】
好ましい制御部は、射出装置が可塑化・計量工程を行っている際中に、スクリュの位置情報に基づいて調整弁による供給量を低下させるように制御する。
【0008】
制御部による好ましい供給量の制御は、
ガス供給路を流れる発泡用ガスの圧力、
ガス供給路を流れる発泡用ガスの流量、
ガス供給路を流れる発泡用ガスの流量変動率、および、
調整弁の開度の少なくとも一つが、予め定められるそれぞれの設定情報と比較して行われる。
【0009】
可塑化・計量工程を行っている際のスクリュの位置情報は、好ましくは、スクリュの射出装置おける位置を特定する情報、
スクリュの後退速度、
スクリュの後退加速度、および、
スクリュの後退量の少なくとも一つである。
【0010】
本発明に係る射出成形機は、ガス通路が設けられる加熱シリンダと、加熱シリンダの内部で正逆回転および進退移動が可能に設けられるスクリュと、を有する成形部と、ガス通路に発泡用ガスを供給するガス供給部と、を備える。
ガス供給部は、ガス供給源と、ガス供給源からの発泡用ガスをガス通路に向けて流すガス供給路と、ガス供給路を介するガス通路への発泡用ガスによる供給量を調整する調整弁と、調整弁による供給量を制御する制御部と、を備える。
制御部は、スクリュの位置情報に基づいて調整弁による供給量を制御する。
【0011】
本発明の射出成形方法は、可塑化状態の樹脂材料を金型の内部のキャビティに射出して充填する射出工程と、射出工程の後に行われる、キャビティに充填される樹脂材料の圧力を保持する保圧工程と、保圧工程の後に行われる、スクリュを用いて樹脂材料を可塑化状態にするとともに、可塑化された樹脂材料を計量する可塑化・計量工程と、を順に繰り返すことで、樹脂材料による発泡成形品を得る。
可塑化・計量工程の一部または全部において、スクリュの位置情報に基づいて発泡用ガスの樹脂材料への供給量が制御される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリュの位置情報に基づいて調整弁による供給量を制御することができるので、樹脂材料の発泡成形品におけるガス密度の均一性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る射出成形機を示す一部の断面を含む側面図である。
【
図2】実施形態に係る射出成形機の制御部に記憶される設定情報を例示する表である。
【
図3】実施形態に係る射出成形機の動作を示すフロー図である。
【
図4】実施形態に係る射出部の可塑化・計量工程における動作を示す図である。
【
図5】可塑化・計量工程におけるスクリュの位置および発泡用ガスIGの圧力の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、発泡成形品を得る際に、樹脂材料の可塑化・計量工程におけるスクリュの位置情報に基づいて、発泡用ガスの供給量を制御することにより、発泡成形品におけるガス密度の均一性の向上を図る。
【0015】
[射出成形機の全体構成:
図1参照]
本実施形態に係るインラインスクリュ式の射出成形機1は、発泡成形品を得る成形部10と、成形部10の射出装置20に発泡用のガスを供給するガス供給部60と、成形部10の動作を制御するとともにガス供給部60からの発泡用ガスの供給を制御する制御部80と、を備える。
【0016】
[成形部10:
図1参照]
成形部10は、射出装置20と型締め装置50を備える。射出装置20は、固体の樹脂原料を溶融して型締め装置50に向けて射出する。型締め装置50は、射出装置20から射出される溶融樹脂をキャビティで受けて発泡成形品を得る。
【0017】
射出装置20は、内部が中空な処理領域22とされる加熱シリンダ21と、加熱シリンダ21の処理領域22において正逆回転および軸方向への進退移動が可能に設けられているスクリュ23とを備えている。また、射出装置20は、スクリュ23を正転または逆転させる駆動源とスクリュ23を進退させる駆動源とを有するスクリュ駆動源24と、スクリュ23の位置情報を検出する位置情報検出器45と、を備える。
なお、射出装置20において、
図1に示されるように溶融樹脂Mが搬送される向きに対応して、下流側F、上流側Rが特定される。下流側Fおよび上流側Rは相対的な意味を含んでいる。また、下流側Fおよび上流側Rは、射出成形機1についていえば、それぞれ前側(F)および後側(R)に対応する。
【0018】
加熱シリンダ21には、その上流側Rに原料ホッパ25が設けられる。原料ホッパ25には射出成形の原料である固体状の樹脂ペレットPPが蓄えられており、樹脂ペレットPPは原料ホッパ25から加熱シリンダ21の内外を貫通する原料通路26を通って処理領域22に供給される。
加熱シリンダ21には、原料ホッパ25が設けられる位置よりも下流側Fに、ガス通路27が設けられる。ガス通路27は加熱シリンダ21の内外を貫通しており、ガス供給部60を構成するガス供給路63から供給される例えば不活性ガスからなる発泡用ガスIGは、ガス通路27を通って処理領域22に至る。
加熱シリンダ21の最も下流側Fには、射出ノズル28が設けられる。加熱シリンダ21の内部で可塑化された溶融樹脂は、この射出ノズル28を通って、固定金型53と可動金型57の間に形成されるキャビティに充填される。
加熱シリンダ21の外周には、樹脂ペレットPPの溶融のための複数のヒータ29が設けられている。
【0019】
[スクリュ23:
図1を参照]
次に、スクリュ23について図を参照して説明する。
スクリュ23は、上流側Rに設けられる第1ステージ23Aと第1ステージ23Aに連なり下流側Fに設けられる第2ステージ23Bとを有している。第1ステージ23Aは、樹脂ペレットPPを可塑化を通じて溶融樹脂Mを生成するのに加えて、生成された溶融樹脂Mを第2ステージ23Bに向けて搬送する。第2ステージ23Bは、第1ステージ23Aから供給される溶融樹脂Mに発泡用ガスIGを注入するとともに分散させる。
【0020】
第1ステージ23Aは、一例として、上流側から順に第1領域23A1、第2領域(圧縮部)23A2および第3領域23A3の3つの領域に区分される。樹脂ペレットPPは、加熱シリンダ21の内部において第1領域23A1、第2領域23A2および第3領域23A3を順に通過することで、溶融樹脂Mとされる。
【0021】
第1領域23A1は、一例として、溝深さが一定のスクリュ溝が形成される一条のフライト31が形成され、原料ホッパ25から供給される樹脂ペレットPPを第2領域23A2に向けて搬送する。
次に、第2領域23A2は、一例として、第1領域23A1のフライト31に連なる主フライト33と、主フライト33よりも外径が小さく設定されている副フライト35とを備えている。第1ステージ23Aの第2領域23A2に副フライト35を設けることにより、固体樹脂と溶融樹脂を分離するとともに、比較的に弱い力で緩やかに圧縮することを想定している。第2領域23A2は、圧縮部と称される部分である。
次に、第3領域23A3は、一例として、第2領域23A2の主フライト33に連なる一条のフライト37が形成される。第3領域23A3は、第2領域23A2から搬送される溶融樹脂Mの密度を一定にすることを想定している。第3領域23A3は、計量部と称される部分である。
【0022】
第2ステージ23Bは、一例として、上流側Rから順に第1領域23B1、第2領域23B2および第3領域23B3の3つの領域に区分される。加熱シリンダ21の内部において第1領域23B1、第2領域23B2および第3領域23B3を順に通過することで、溶融樹脂Mに発泡用ガスIGが注入されるともに分散される。
【0023】
第1領域23B1は、加熱シリンダ21の内部の処理領域22に発泡用ガスIGが供給されるガス通路27に対応して設けられる。第1領域23B1は、一例として、複数条のフライト41からなるミキシングが示されているが、第1領域23B1は多条フライトあるいは一条フライトであってもよい。
第2領域23B2は、一例として、一条のフライト43が。第2領域23B2は、第1ステージ23Aの第2領域23A2と同様に、圧縮部と称される部分である。
第3領域23B3は、一例として、第2領域23B2のフライト43に連なるフライト43が形成される。第3領域23B3は、第3領域23A3と同様に、計量部と称される部分である。
【0024】
なお、第2領域23B2および第3領域23B3は、その一部または全部に第2領域23A2の副フライト35と同様の副フライトを備えてもよい。このとき第2領域23B2および第3領域23B3に備えられる第2領域23A2の副フライト35と同様の副フライトは、第2領域23B2および第3領域23B3にそれぞれ個別に備えらえた副フライトでもよいし、第2領域23B2から第3領域23B3にわたった連続して備えられた副フライトでもよい。
また同様に、第2領域23B2および第3領域23B3は、一部または全部に第1領域23B1と同様のミキシングを備えてもよい。このときミキシングは第1領域23B1と同じ形状のミキシングでもよいし異なる形状のミキシングでもよい。またこのミキシングは第2領域23B2および第3領域23B3にそれぞれ個別に備えられたミキシングでもよいし、第2領域23B2から第3領域23B3にわたった連続して備えられたミキシングでもよい。またこのミキシングは、フィン型、ピン型、マドック型など公知のミキシング形状を適用できる。
【0025】
[位置情報検出器45]
射出成形の過程で、スクリュ23は軸線Cの方向の位置が変化する。位置情報検出器45は、スクリュ23の位置を射出成形の過程で継続して検出するとともに、検出される位置情報lは制御部80に送られる。制御部80は、継続して取得する検出位置情報lに基づいて、スクリュ23の軸線Cの方向の位置を制御するとともに、流量調整弁65の開度を調整してガス通路27を介して加熱シリンダ21の処理領域22に供給する発泡用ガスIGの量を制御する。なお、位置情報検出器45において直接的に求められるのは、スクリュ23の例えば位置であるが、スクリュ23の位置を継続的検出することにより、スクリュ23が移動する量、可塑化・計量工程においては後退量を検出できる。さらに、継続的に位置を検出している時間を計測すれば、スクリュ23が移動する速度および加速度、可塑化・計量工程においては後退速度および後退加速度を検出できる。移動(後退)量、移動(後退)速度および加速度は、いずれもスクリュ23の位置に基くものであるから、本発明において、位置、移動量、移動速度および移動加速度は位置情報と総称される。また、スクリュ回転数や可塑化時のスクリュ後退背圧を所定のスクリュ位置で多段に切り替える場合、あるいは所定のスクリュ位置間で連続して増減させる場合は、スクリュ回転数およびスクリュ後退背圧もまたスクリュ23の位置に基づくものであるから、スクリュ回転数およびスクリュ後退背圧も本発明において位置情報に含まれる。なお、移動量、移動速度および移動加速度の検出は、位置情報検出器45において行ってもよいし、位置情報検出器45から取得する継続的な位置に関する情報に基づいて制御部80が算出してもよい。また、スクリュ23が下流Fから上流Rに向けて移動することを後退、その逆を前進という。
【0026】
[型締め装置50:
図1を参照]
型締め装置50は、固定金型53が取り付けられる固定型盤51と、可動金型57が取り付けられる可動型盤55とを備えている。型締め装置50は、射出成形に先立って、可動型盤55を固定型盤51に向けて前進させることで可動金型57を固定金型53に接触させる。そしてさらに、固定金型53と可動金型57の間の圧力を高めて型締めを行った後に、固定金型53と可動金型57の間に形成される図示を省略するキャビティに、射出装置20から発泡ガスを溶解・分散させた溶融樹脂Mを射出して発泡成形品を得る。型締め装置50は、発泡成形品が冷却・固化された後に、可動型盤55を固定型盤51から遠ざかるように後退させる型開きを行って、発泡成形品の取り出しに備える。型締め装置50は、固定型盤51の前進、後退および型締めのための図示が省略される駆動源、トグルリンクなどの図示を省略される倍力機構を備える。可動型盤55また、型締め装置50は、溶融樹脂が硬化した後の発泡成形品をキャビティから突き出すための図示が省略される例えばエジェクタピンを備える。
【0027】
[ガス供給部60:
図1を参照]
ガス供給部60は、発泡用ガスIGが蓄えられるガス供給源61と、ガス供給源61と加熱シリンダ21のガス通路27とを繋ぐガス供給路63と、を備える。また、ガス供給部60は、ガス供給路63の途中に設けられ、ガス通路27に向けた発泡用ガスIGの流量を調整する流量調整弁65と、ガス供給路63を流れる発泡用ガスIGの物理状態量を検出するガス状態検出器67と、を備える。発泡用ガスIGは、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが用いられるが、樹脂に注入するために、ガス供給源61から高圧の状態で供給される。また、ガス供給源61は低圧ガスを高圧に昇圧させる昇圧装置を備えてもよいし、高圧状態のガス供給の応答性が高い図示しないガスの高圧状態を保持できる貯留装置を備えてもよい。
【0028】
流量調整弁65は、制御部80からの指示によりその開度が変えられることで、ガス通路27に向けた発泡用ガスIGの圧力を調整する。圧力を調整することにより発泡用ガスIGの供給量が調整される。この供給量の調整は、供給量がゼロである場合を含む。
ガス状態検出器67は、ガス供給路63を流れる発泡用ガスIGの物理状態量として例えば圧力および流量の一方または双方を検出する。この検出情報(検出圧力情報pおよび検出流量情報qの一方または双方)は、制御部80に継続して送られる。制御部80は、継続して取得する状態量(p,q)に基づいて、流量調整弁65の開度を調整してガス通路27を介して加熱シリンダ21の処理領域22に供給する発泡用ガスIGの供給量を制御する。制御部80は、継続して取得する状態量(p,q)の変動を算出できるので、この状態量(p,q)の変動率、つまり圧力変動率よび流量変動率を検出圧力情報の一つとして用いることもできる。
【0029】
[制御部80:
図1および
図2を参照]
制御部80は、射出成形機1から送られる種々の検出情報を用い、あるいは、制御部80が予め備える情報を用いて、射出成形における各工程に必要な動作を射出成形機1が行えるように、動作指令情報を生成する。制御部80は、射出成形機1の各駆動部に向けて生成した動作指令情報を送る。射出成形機1の各駆動部は、受信した動作指令情報に基づいて射出成形を行うのに必要な動作を実行する。
【0030】
特に、制御部80は、可塑化・計量工程において、スクリュ23に関する位置情報(LI)に基づいて、発泡用ガスIGの供給量を制御する。制御部80は、この制御の基準となる設定情報を備える。設定情報は、一例として、テーブル形式で与えられる。その一例が
図2(a)~(d)に示されている。
図2(a)は、スクリュ23の後退速度(V)に対応して発泡用ガスIGの圧力(P)が特定される。この設定情報は、可塑化・計量工程において、設定後退速度情報(V)がV0からV2の範囲までは設定ガス圧力情報(P)がP0で一定に設定されるが、設定後退速度情報(V)がV3,V4,V5においては設定ガス圧力情報(P)がP1,P2,P3と変動するように設定される。なお、V0,V1,V2,V3,V5は以下の関係を有し、かつ、P0,P1,P2,P3は以下の関係を有するものとする。この設定情報において、設定ガス圧力情報(P)は可塑化・計量工程における途中までは一定に設定されるが、その後は連続的に低くなるように設定される。つまり、この設定情報は、可塑化・計量工程が進むのに追従してスクリュ23の後退が進むと、溶融樹脂Mに注入される発泡用ガスIGの量が少なくなるように設定される。
V0>V1>V2>V3>V5 , P0>P1>P2>P3
【0031】
また、ガス圧は設定後退速度情報(V)がV3,V4,V5に到達したときに対応する設定ガス圧力情報(P)のP1,P2,P3にそれぞれ多段階に変動させてもよいが、設定後退速度情報(V)であるV3,V4,V5の各速度情報間と、それらに対応する設定ガス圧力情報(P)のP1,P2,P3の各圧力情報間を、それぞれ算定式によって補間して対応した連続的な値を算出して、設定後退速度情報(V)に設定ガス圧力情報(P)を連続的に対応させて発泡用ガスIGの量を制御してもよい。
【0032】
制御部80は、ガス状態検出器67から発泡用ガスIGの検出圧力情報pを取得するとともに、位置情報検出器45からスクリュ23の検出後退速度情報vを取得すると、
図2(a)に示される設定情報に照合する。具体的には、制御部80は、検出後退速度情報vがガス圧力P0と一致すると、検出圧力情報pと設定ガス圧力P0とを比較して差分Δ(P0-p)を求める。制御部80は、差分Δ(P0-p)がゼロになるように流量調整弁65の開度を調整する。流量調整弁65の開度の調整は、溶融樹脂Mに注入される発泡用ガスIGの量の制御に相当する。
【0033】
制御部80は、以後も検出圧力情報pおよび検出後退速度情報vを取得し、かつ、設定情報と照合して、照合の結果に基づいて差分Δ(Pn-p)がゼロになるように流量調整弁65の開度を調整する手順を繰り返す。
【0034】
また、少なくともスクリュ23の後退速度と設定ガス圧力の関係を示す算定式を予め定めておき、例えば検出後退速度情報vから、常時あるいは所定のタイミングで算出した設定ガス圧力にて、発泡用ガスIGの量を連続的にあるいは所定のタイミングで変動させて制御してもよい。またこのとき、設定ガス圧力を算出する算定式は、スクリュ23の後退速度と設定ガス圧力に、溶融樹脂Mへの所望のガス溶解量あるいは所望のガス溶解量に一意的に定まる係数を加えた、スクリュ23の後退速度と溶融樹脂Mへの所望のガス溶解量と設定ガス圧力の関係を示す算定式であることが更に好ましい。
【0035】
設定情報としては、
図2(a)のスクリュ23の後退速度に対応する設定後退速度情報(V)と設定ガス圧力情報(P)とが対応するものの他に、
図2(b)~
図2(d)に示されるものを採用できる。
図2(b)は、設定後退速度情報(V)と発泡用ガスIGの流量に関する設定流量情報(Q)とが対応付けられる設定情報である。この設定情報を採用する場合には、制御部80は検出流量情報qと検出後退速度情報vとを用いて流量調整弁65の開度を調整する。
V0,V1,V2,V3,V5は以下の関係を有し、かつ、Q0,Q1,Q2,Q3は以下の関係を有するものとする。つまり、この設定情報において、設定流量情報(Q)は可塑化・計量工程における途中までは一定に設定されるが、その後は連続的に少なくなるように設定される。
V0>V1>V2>V3>V5 ,Q0>Q1>Q2>Q3
【0036】
図2(c)は、設定後退速度情報(V)と流量調整弁65の開度に関する設定開度情報(D)とが対応付けられる設定情報である。この設定情報を採用する場合には、制御部80は検出弁開度情報dと検出後退速度情報vとを用いて流量調整弁65の開度を調整する。
V0,V1,V2,V3,V5は以下の関係を有し、かつ、D0,D1,D2,D3は以下の関係を有するものとする。つまり、この設定情報において、設定開度情報(D)は可塑化・計量工程における途中までは一定に設定されるが、その後は連続的に少なくなるように設定される。
V0>V1>V2>V3>V5 ,D0>D1>D2>D3
【0037】
図2(d)は、スクリュ23に対応する設定後退量情報(A)と設定ガス圧力情報(P)とが対応付けられる設定情報である。この設定情報を採用する場合には、制御部80は検出圧力情報pと検出後退量情報aとを用いて流量調整弁65の開度を調整する。
A0,A1,A2,A3,A5は以下の関係を有し、かつ、P0,P1,P2,P3は以下の関係を有するものとする。つまり、この設定情報において、設定ガス圧力情報(P)は可塑化・計量工程における途中までは一定に設定されるが、その後は連続的に少なくなるように設定される。なお、ここでは設定ガス圧力情報(P)を制御対象とするが、設定ガス圧力情報(P)に替えて設定流量情報(Q)または設定開度情報(D)を制御対象としてもよい。
A0>A1>A2>A3>A5 ,P0>P1>P2>P3
【0038】
図2(e)は、スクリュ位置(L)と設定ガス圧力情報(P)とが対応する設定情報である。この設定情報を採用する場合には、制御部80は検出圧力情報pと検出位置情報lとを用いて流量調整弁65の開度を調整する。
【0039】
L0,L1,L2,L3,L5は以下の関係を有し、かつ、P0,P1,P2,P3は以下の関係を有するものとする。つまり、この設定情報においても、設定ガス圧力情報(P)は可塑化・計量工程における途中までは一定に設定されるが、その後は連続的に少なくなるように設定される。なお、ここでは設定ガス圧力情報(P)を制御対象とするが、設定ガス圧力情報(P)に替えて設定流量情報(Q)または設定開度情報(D)を制御対象としてもよい。
L0>L1>L2>L3>L5 ,P0>P1>P2>P3
【0040】
[射出成形の手順:
図3および
図4を参照]
以上の要素を備える射出成形機1は、
図3に示される手順で射出成形が行なわれる。この手順は、射出装置20の手順と型締め装置50の手順が連動して行われる。
射出装置20においては、射出工程(S101)、保圧工程(S103)および可塑化・計量工程(S105)が順番に繰り返される。つまり、ここでは射出工程(S101)から手順が始まこととしているが、ここで射出される溶融樹脂Mは先行する可塑化・計量工程において生成されるものである。
また、型締め装置50においては、冷却工程(S201)、型開き工程(S203)、取出し工程(S205)および型締め工程(S207)が順番に繰り返される。射出装置20の手順の関係に言及すると、射出装置20において射出工程から保圧工程に移行すると、型締め装置50において冷却工程が始まる。そして、射出装置20において可塑化・計量工程から射出工程に移行するまでの間に、型開き工程、取出し工程、形締め工程が終えて、射出工程を終える。
以下、各工程について説明する。
【0041】
[射出工程:
図3,
図4(a)~(b)]
射出工程においては、すでに可塑化・計量工程を終えて、加熱シリンダ21の内部に溶融樹脂Mが溜まった
図4(a)の状態から
図4(b)に示すように、スクリュ23を前進させる。そうすると、スクリュ23の先端部に備えられている図示しない逆流防止弁が閉鎖することで、スクリュ23の下流に溜まった溶融樹脂Mの圧力(樹脂圧力)が上昇し、溶融樹脂Mが射出ノズル28から固定金型53と可動金型57の間に設けられるキャビティに向けて吐出され、キャビティに溶融樹脂Mが充填される。
【0042】
[保圧工程,冷却工程~型締め工程:
図3]
金型キャビティに充填された溶融樹脂が冷却固化するまでスクリュ23から溶融樹脂Mに背圧を加える保圧工程が行われる。保圧工程が行われている間、型締め装置50においては冷却工程が進行する。所定時間の保圧工程、冷却工程を経た後に、型締め装置50においては、可動型盤55を移動させて可動金型57を固定金型53から離す型開き工程、発泡成形品の取出工程が順に行われる。さらに、型締め装置50においては、次の射出工程に備えて型締め工程が行われる。
【0043】
[可塑化・計量工程:
図3,
図4(b)~
図4(c)を参照]
保圧工程が終了すると、射出装置20においては可塑化・計量工程が行われる。
可塑化・計量工程では、樹脂ペレットPPを加熱シリンダ21の上流側の原料ホッパ25から供給する。可塑化開始当初のスクリュ23は、加熱シリンダ21の下流側Fに位置しており、その初期位置からスクリュ23を回転させながら上流側Rに後退させて可塑化・計量工程を開始する(
図4(c))。スクリュ23を回転させることで、スクリュ23と加熱シリンダ21の間に供給された樹脂ペレットPPは、せん断力を受けて加熱されながら徐々に溶融して、下流側Fに向けて搬送される。なお、可塑化・計量工程において溶融樹脂Mを加熱シリンダ21の下流側Fに搬送するスクリュ23の回転(向き)を正転とする。樹脂ペレットPPの供給を継続するとともに、スクリュ23を回転し続けると、溶融樹脂Mが加熱シリンダ21の下流側Fに搬送され、かつ、スクリュ23から吐出されるとともにスクリュ23よりも下流側Fに溜まる。スクリュ23の下流に溜まった溶融樹脂Mの樹脂圧力とスクリュ23の後退を抑制する背圧とのバランスによってスクリュ23を後退させる。この後、1ショットに必要な量の溶融樹脂Mが計量され溜まったところで、スクリュ23の回転及び後退を停止して可塑化・計量工程を終了する(
図4(a))。
【0044】
図4には、樹脂(樹脂ペレットPP,溶融樹脂M)と発泡用ガスIGの状態において、樹脂が溶融に至らない状態を「α」、樹脂が溶融した状態を「β」、発泡用ガスIGが溶融樹脂Mの中に分散した状態を「γ」および発泡用ガスIGの分散が完了したことを「γ’」の4段階に概ね区分して表記している。
「未溶融樹脂α」はせん断力を受けるが、溶融不足の樹脂が残存する状態であり全てが溶融するには到っていないことを示し、「樹脂溶融β」は、樹脂ペレットPPがせん断力を受けることで徐々に溶融していることを示す。また、「ガス分散γ」は、スクリュ23の回転に伴い、注入された発泡用ガスIGが溶融樹脂Mに分散され、さらに「ガス分散完了γ’」は、溶融樹脂Mの中に発泡用ガスIGが十分に分散され、射出に供される状態を示している。ただし、「ガス分散完了」の領域には、発泡用ガスIGが偏在することもある。
【0045】
[発泡用ガスIGの供給量制御:
図5]
次に、可塑化・計量工程における発泡用ガスIGの注入を制御する一例を、
図5に示されるグラフを参照して説明する。
図5において、横軸が1サイクルの射出成形の経過時間/工程を示し、縦軸が制御対象の物理量を示す。
図5に示される制御対象は、スクリュ23の位置、ならびに、溶融樹脂Mに注入される発泡用ガスIGの圧力または流量である。なお、
図5において、スクリュ23の位置については、値が大きいほどスクリュ23が後退しており、値が小さいほどスクリュ23が前進している。
【0046】
スクリュ23は、射出工程が始まるまでは
図4(b)に示される最も後退した位置で待機しているが、射出工程が始まると最も前進した位置まで移動する。保圧・冷却工程において、スクリュ23は最も前進した位置に留まっている。保圧・冷却工程を終えて可塑化・計量工程に移行すると、スクリュ23は連続的に後退する。可塑化・計量工程が終わると、スクリュ23は次のサイクルの射出工程が始まるまで、最も後退した位置で待機する。
【0047】
次に、発泡用ガスIGの圧力(p)は以下の通りである。
射出工程、保圧・冷却工程において低圧LPの発泡用ガスIGが供給されるが、可塑化・計量工程においては高圧HPの発泡用ガスIGが供給されることにより、保圧・冷却工程から可塑化・計量工程に移行すると、他の工程に比べて多くの発泡用ガスIGを溶融樹脂Mに効率よく注入することができる。
【0048】
本実施形態においては、高圧HPによる可塑化・計量工程における発泡用ガスIGの供給を一定とするのではなく、可塑化・計量工程の進行の程度、換言すればスクリュ23の後退した位置に基づいて、発泡用ガスIGの圧力(p)を制御する。具体的には、可塑化・計量工程の当初から途中までのスクリュ後退速度が略一定の範囲は圧力(p)を一定に制御するが、スクリュ23の後退が進みスクリュ後退速度が漸減するのに合わせて圧力(p)を一例として連続的に低下させる。このように、可塑化・計量工程において圧力(p)を低下させることによる効果を説明する。
【0049】
以上の説明においては、制御対象として設定ガス圧力情報(P)を選択したが、設定ガス圧力情報(P)の代替として設定流量情報(Q)を制御対象とすることもできる。設定ガス圧力情報(P)を増減させるのは、溶融樹脂Mに注入する発泡用ガスIGの量を増減させるためだからである。また、圧力(p)および設定流量情報(Q)を増減するには、流量調整弁65の開度が調整される。しだって、設定流量情報(Q)の代替として、流量調整弁65の開度を制御対象とすることもできる。
【0050】
[圧力(p)を低下させることによる効果]
インラインスクリュ式の射出成形機1は、可塑化・計量工程においてスクリュ23が後退するが、スクリュ23が後退するにつれて、原料ホッパ25に連なる原料通路26からスクリュ23の先端までの寸法であるスクリュ有効長が短くなる。スクリュ有効長が短くなると、樹脂をスクリュ23の先端側に搬送する力が弱くなる。したがって、可塑化・計量工程が進みスクリュ23の後退量が大きくなるほど樹脂の搬送速度が低下する。
【0051】
ここで、スクリュ23の後退と溶融樹脂Mに注入される発泡用ガスIGとの関係を考察する。仮に、可塑化・計量工程において注入される発泡用ガスIGの圧力が一定だとする。可塑化・計量工程が進むにつれて、つまりスクリュ23が後退するにつれて、スクリュ23の後退速度が低下したとしても、圧力が一定であることになる。スクリュ後退速度が低下することは、すなわち樹脂の搬送速度が低下することを意味する。スクリュ後退速度が低下した状態でも、スクリュ後退が低下する前と同じ圧力で発泡用ガスIGを供給し続けると、単位流量あたりの溶融樹脂Mに発泡用ガスIGが充填される時間が長くなる。これは、スクリュ後退するにつれて溶融樹脂Mに注入される発泡用ガスIGの量が増えることとなるため、可塑化・計量工程の当初に比べて後半にガス通路27を通過した溶融樹脂Mの方が発泡用ガスIGの含侵量が多くなる。そうすると、発泡成形品に含まれる発泡用ガスIGのガス密度にバラツキが生じるおそれがある。そこで、本実施形態においては、可塑化・計量工程において圧力(p)を低下させることによって、発泡成形品に含まれる発泡用ガスIGのガス密度のバラツキを抑えることができる。
【0052】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
図5に関する説明においては、スクリュ23の位置および後退量に基づいて設定ガス圧力情報(P)を制御する例だけに言及したが、
図5に線図を示したように、スクリュ23の位置に替えて、スクリュ23の状態量としてのスクリュ回転速度、スクリュ後退速度を用いることでも設定ガス圧力情報(P)を制御することができる。
また、
図5に関する説明においては、スクリュの位置情報に基づく発泡用ガスの樹脂材料への供給量制御を、可塑化・計量工程の全部において適用する例を示したが、スクリュの位置情報に基づく発泡用ガスの樹脂材料への供給量制御は、可塑化・計量工程の一部のみに適用しても支障ない。
【0053】
また、以上においては、発泡用ガスIGの圧力を途中までは一定に制御し、途中からは低下させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、以下のいずれかのパターンを採用できる。
可塑化・計量工程が始まってから終わるまでの間、連続的に圧力を低下させる。
可塑化・計量工程が始まってから終わるまでの間、複数段階に分けて圧力を低下させる。
【0054】
以上の説明においては、設定情報をテーブル形式としているが、算定式による設定情報とすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 射出成形機
10 成形部
20 射出装置
21 加熱シリンダ
22 処理領域
23 スクリュ
23A 第1ステージ
23A1 第1領域
23A2 第2領域
23A3 第3領域
23B 第2ステージ
23B1 第1領域
23B2 第2領域
23B3 第3領域
24 スクリュ駆動源
25 原料ホッパ
26 原料通路
27 ガス通路
28 射出ノズル
29 ヒータ
31.37,41,43 フライト
33 主フライト
35 副フライト
45 位置情報検出器
50 型締め装置
51 固定型盤
53 固定金型
55 可動型盤
57 可動金型
60 ガス供給部
61 ガス供給源
63 ガス供給路
65 調整弁
67 ガス状態検出器
80 制御部
PP 樹脂ペレット
IG 発泡用ガス
F 下流側
R 上流側
C 軸線
l 検出位置情報
a 検出後退量情報
d 検出弁開度情報
p 検出圧力情報
q 検出流量情報
v 検出後退速度情報
L 設定位置情報
A 設定後退量
V 設定後退速度
HP 高圧
LP 低圧