(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036749
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】ストレーナ装置
(51)【国際特許分類】
E02B 7/20 20060101AFI20240311BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240311BHJP
E03B 3/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
E02B7/20 C
B01D29/04 510A
B01D29/04 530A
E03B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141191
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000109945
【氏名又は名称】トーハツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】菱木 真浩
(72)【発明者】
【氏名】井元 潤一
(72)【発明者】
【氏名】有村 憲昭
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA13
4D116BB01
4D116BC06
4D116BC07
4D116DD02
4D116KK06
4D116QB05
4D116QB12
4D116QB22
4D116VV07
4D116VV12
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】 吸水管を大きな角度で傾斜させても、ストレーナの取水部が水面から出ることを防止して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行う。
【解決手段】 ストレーナ装置10は、吸水管接続部16とポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部18とを備えて取水を行う際に取水部が水中に配置されるストレーナ12と、このストレーナ12に取り付けられてストレーナ12を水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロート14とを備えている。ストレーナ12は、ストレーナ12に設けられた軸部20をフロート14に形成された軸受け部22に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部16に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロート14とは同期せずに独立してフロート14に対して回転する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部と前記ポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に前記取水部が水中に配置されるストレーナと、前記ストレーナに取り付けられて前記ストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、
前記ストレーナは、前記ストレーナに設けられた軸部を前記フロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、前記吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合に前記フロートとは同期せずに独立して前記フロートに対して回転することを特徴とするストレーナ装置。
【請求項2】
ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部と前記ポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に前記取水部が水中に配置されるストレーナと、前記ストレーナに取り付けられて前記ストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、
前記ストレーナは、前記ストレーナに設けられた軸部を前記フロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、前記吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合に前記フロートとは同期せずに独立して前記フロートに対して回転し、
前記フロートに形成された前記軸受け部は、円の相対向する一部を内側に凹ませたバタフライ型の形状を有し、
前記ストレーナの軸部は、前記バタフライ型の形状を有する前記軸受け部に入り込む矩形状の断面を有することを特徴とするストレーナ装置。
【請求項3】
ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部と前記ポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に前記取水部が水中に配置されるストレーナと、前記ストレーナに取り付けられて前記ストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、
前記ストレーナは、前記ストレーナに設けられた軸部を前記フロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、前記吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合に前記フロートとは同期せずに独立して前記フロートに対して回転し、
前記ストレーナ装置全体の重量は、前記ストレーナ装置を前記水源の水底に接しない状態で前記水源の水に浮かべた場合において、前記ストレーナが前記水源の水を吸い込んだ状態で前記ストレーナが設定された最大の傾斜角度で前記フロートに対して傾斜しても前記取水部が前記水源の水面から出ない程度に前記ストレーナ装置が前記水源の水中に沈むように調整されていることを特徴とするストレーナ装置。
【請求項4】
ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部と前記ポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に前記取水部が水中に配置されるストレーナと、前記ストレーナに取り付けられて前記ストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、
前記ストレーナは、前記ストレーナに設けられた軸部を前記フロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、前記吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合に前記フロートとは同期せずに独立して前記フロートに対して回転し、
前記フロートに形成された前記軸受け部は、円の相対向する一部を内側に凹ませたバタフライ型の形状を有し、
前記ストレーナの軸部は、前記バタフライ型の形状を有する前記軸受け部に入り込む矩形状の断面を有し、
前記ストレーナ装置全体の重量は、前記ストレーナ装置を前記水源の水底に接しない状態で前記水源の水に浮かべた場合において、前記ストレーナが前記水源の水を吸い込んだ状態で前記ストレーナが設定された最大の傾斜角度で前記フロートに対して傾斜しても前記取水部が前記水源の水面から出ない程度に前記ストレーナ装置が前記水源の水中に沈むように調整されていることを特徴とするストレーナ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたにストレーナ装置であって、前記フロートの浮力は、前記ストレーナの軸部を境にして均等に設定されていることを特徴とするストレーナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたにストレーナ装置であって、前記フロートの浮力は、前記ストレーナの軸部を境にして前記ストレーナの前記吸水管接続部が位置する方向とは反対側における浮力が、前記ストレーナの軸部を境にして前記吸水管接続部が位置する方向における浮力以下に設定されていることを特徴とするストレーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防ポンプ等の送水ポンプの吸入口に水を供給する吸水管内に水を取り入れるために該吸水管の取水側の端部に取り付けられるストレーナ装置の改良に関し、特に、吸水管を大きな角度で傾斜させて行う吸水にも対応することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防ポンプや排水ポンプ等の送水ポンプにより、池や河川などの水源の水を送水する場合には、ポンプにごみや砂利などの異物が供給されてポンプが故障するのを防ぐために、ポンプの吸入口に水を供給する吸水管の取水側の端部に異物の通過を阻止する手段を備えたストレーナを取り付ける必要がある。
【0003】
ストレーナは、例えば特許文献1に示されているように、中空に形成された本体部分を有していて、該本体部分の下部に異物の通過を阻止する大きさの取水孔が設けられたフィルタ手段を有する取水部を備え、該本体部分に吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部を備えている。
【0004】
取水部に設けるフィルタ手段は、金網や、多数の孔が穿設された金属板などにより構成されるが、細かい異物の通過をも阻止するようにフィルタ手段が構成されていると、取水能力の低下を招くことになるのを避けられない。そのため、ストレーナに設けるフィルタ手段は、細かい異物の通過は許容するように構成せざるを得ない。
【0005】
この種のストレーナを用いて取水を行う際に、ストレーナが水底に着座した状態になると、取水部が水底に近接した状態で配置されることになるため、水底の汚泥などのように粒子が細かい異物がストレーナ内に吸い込まれ、この異物がポンプに達してポンプが故障するおそれがある。
【0006】
そこで、ストレーナを水に浮かせるための浮力を生じさせるフロートをストレーナに取り付けて、ストレーナを水に浮かせた状態に保持して、ストレーナの取水部を水底から十分離れた位置に位置させることにより、ストレーナ内に汚泥などが吸い込まれるのを防ぐようにしたストレーナ装置が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1等参照)。特許文献1に示されたストレーナ装置においては、フロートは膨張収縮が可能な袋状部材により構成され、ストレーナは、このフロートに一体的に取り付けられている。また、非特許文献1に示されたストレーナ装置においては、硬質の合成樹脂により形成された中空部材によりフロートが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】トーハツ株式会社「MINIフローティングストレーナー」(URL:https://www.tohatsu.com/ffdp/jp/p_option/ff_supply/float_straner.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの従来技術のストレーナ装置においては、フロートは略コの字状の形状に形成され、ストレーナの側方のみならずストレーナの吸水管接続部とは反対の側にもフロートが存在する。このため、例えば、特許文献1のストレーナ装置にあっては、ストレーナはフロートに一体的に取り付けられているため、吸水管接続部に接続された吸水管を、仰角側において水源の水面に対して大きな角度で傾けると、ストレーナとともにフロートも仰角側へ傾斜し、取水部が水面上に出てしまい、吸水ができなくなるおそれがあった。このため、この従来技術では、水源が、消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合に、吸水を適切に行うことができなくなる問題があった。
【0010】
また、
図8に示すように、非特許文献1のストレーナ装置10にあっては、吸水管に追随したストレーナ12の仰角側への動き(揺動)が、フロート14に対する抜け止めのためのストッパ26により制限され、また、ストレーナ12の側方のみならずストレーナ12の吸水管接続部16とは反対の側(後端側)にもフロート14が存在し、ストレーナ12よりも後端側の方が浮力が高くなるため、吸水管接続部16に接続された吸水管を、仰角側において水源の水面に対して大きな角度で傾けると、この後端側のフロート14部分が水源の水に対する回転軸となり、ストレーナ12とともにフロート14も仰角側へ傾斜してしまい、取水部が水面上に出て、大きな角度での吸水ができなくなるおそれがあった。具体的には、約15°を超える仰角となると、取水部が水面上に出るおそれがあった。
【0011】
また、この非特許文献1のストレーナ装置10にあっては、フロート14の浮力が高く設定され、水源の水に浮かべた場合に、
図9に示すように、ストレーナ装置10全体の4割程度(ストレーナ12が水を吸い込んだ状態で6割程度)しか水中に沈み込まないため、ストレーナ12がフロート14とは独立して傾斜することが可能だとしても、吸水管接続部16を大きく傾けると、ストレーナ12の取水部の一部が水面上に出てしまい、やはり、大きな仰角での水の吸い込みに対応することが困難となる問題があった。このため、この従来技術でも、同様に、水源が、消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合に、吸水を適切に行うことができなくなる問題があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、吸水管接続部に接続された吸水管を大きな角度で傾斜させても、ストレーナの取水部が水面から出ることがなく、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができるストレーナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1.ストレーナの独立)
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部とポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に取水部が水中に配置されるストレーナと、このストレーナに取り付けられてストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、ストレーナは、ストレーナに設けられた軸部をフロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転することを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【0014】
(2.ストレーナとフロートの係合)
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部とポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に取水部が水中に配置されるストレーナと、このストレーナに取り付けられてストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、ストレーナは、ストレーナに設けられた軸部をフロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転し、フロートに形成された軸受け部は、円の相対向する一部を内側に凹ませたバタフライ型の形状を有し、ストレーナの軸部は、バタフライ型の形状を有する軸受け部に入り込む矩形状の断面を有することを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【0015】
(3-1.ストレーナ装置の浮力)
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部とポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に取水部が水中に配置されるストレーナと、このストレーナに取り付けられてストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、ストレーナは、ストレーナに設けられた軸部をフロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転し、ストレーナ装置全体の重量は、ストレーナ装置を水源の水底に接しない状態で水源の水に浮かべた場合において、ストレーナが水源の水を吸い込んだ状態でストレーナが設定された最大の傾斜角度でフロートに対して傾斜しても取水部が水源の水面から出ない程度にストレーナ装置が水源の水中に沈むように調整されていることを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【0016】
(3-2.フロートの浮力)
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、ポンプに水を供給する吸水管の取水側の端部に接続される吸水管接続部とポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部とを備えて取水を行う際に取水部が水中に配置されるストレーナと、このストレーナに取り付けられてストレーナを水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロートとを備えたストレーナ装置において、ストレーナは、ストレーナに設けられた軸部をフロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転し、フロートに形成された軸受け部は、円の相対向する一部を内側に凹ませたバタフライ型の形状を有し、ストレーナの軸部は、バタフライ型の形状を有する軸受け部に入り込む矩形状の断面を有し、ストレーナ装置全体の重量は、ストレーナ装置を水源の水底に接しない状態で水源の水に浮かべた場合において、ストレーナが水源の水を吸い込んだ状態でストレーナが設定された最大の傾斜角度でフロートに対して傾斜しても取水部が水源の水面から出ない程度にストレーナ装置が水源の水中に沈むように調整されていることを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【0017】
(4-1.浮力のバランス)
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、フロートの浮力は、ストレーナの軸部を境にして均等に設定されていることを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【0018】
(4-2.浮力のバランス)
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、フロートの浮力は、ストレーナの軸部を境にしてストレーナの吸水管接続部が位置する方向とは反対側における浮力が、ストレーナの軸部を境にして吸水管接続部が位置する方向における浮力以下に設定されていることを特徴とするストレーナ装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、ストレーナは、ストレーナに設けられた軸部をフロートに形成された軸受け部に自由状態で係合させることにより、吸水管接続部に接続された吸水管の動きに追随した場合にフロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転するため、フロートがストレーナに追随して傾斜することがなく、フロートと共にストレーナの取水部が水源の水から出ることがないので、ストレーナの吸水管接続部に接続された吸水管を大きな角度で傾けても確実に取水することができ、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる実益がある。
【0020】
また、本発明によれば、上記のように、フロートに形成された軸受け部は、円の相対向する一部を内側に凹ませたバタフライ型の形状を有し、ストレーナの軸部は、このバタフライ型の形状を有する軸受け部に入り込む矩形状の断面を有するため、ストレーナの軸部はフロートの軸受け部に対してストレーナの前後、左右、並びに上下方向に対して変位することができ、ストレーナはフロートに対して平行、仰角側への傾斜及び俯角側への傾斜のいずれの姿勢をも取ることができるので、フロートとは同期せずに独立してフロートに対して回転することができ、ストレーナの吸水管接続部に接続された吸水管を大きな角度で傾けても確実に取水することができる実益がある。
【0021】
この場合、本発明によれば、上記のように、ストレーナ装置全体の重量が、ストレーナ装置を水源の水底に接しない状態で水源の水に浮かべた場合において、ストレーナが水源の水を吸い込んだ状態でストレーナが設定された最大の傾斜角度でフロートに対して傾斜しても取水部が水源の水面から出ない程度にストレーナ装置が水源の水中に沈むように調整されているため、ストレーナがフロートに対して仰角側又は俯角側のいずれに大きく傾斜しても、ストレーナの取水部が水源の水から出ることがなく、ストレーナの吸水管接続部に接続された吸水管を大きな角度で傾けても確実に取水することができる実益がある。
【0022】
更に、本発明によれば、上記のように、フロートの浮力は、ストレーナの軸部を境にして均等に設定されているため、ストレーナを吸水管に追随して傾けた場合に、フロートよりも前方又は後方がストレーナ装置の水源に対する回転軸となることがなく、ストレーナの軸部を中心としてストレーナがフロートに対して回転することができるため、ストレーナの傾斜に伴ってフロートもストレーナと共に大きく傾斜してストレーナの取水部が水面より上方に出ることがなく、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる実益がある。
【0023】
加えて、本発明によれば、上記のように、フロートの浮力は、ストレーナの軸部を境にしてストレーナの吸水管接続部が位置する方向とは反対側における浮力が、ストレーナの軸部を境にして吸水管接続部が位置する方向における浮力以下に設定されているため、少なくとも、ストレーナの吸水管接続部が傾斜した場合でも、フロートの後端側を軸としてストレーナ装置が回転することがなく、ストレーナの軸部を中心としてストレーナがフロートに対して回転することができるため、ストレーナの傾斜に伴ってフロートもストレーナと共に大きく傾斜してストレーナの取水部が水面より上方に出ることがなく、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】本発明のストレーナ装置のストレーナの軸部とフロートの軸受け部における断面図である。
【
図4】本発明のストレーナ装置のストレーナの軸部とフロートの軸受け部の拡大断面図である。
【
図5】本発明のストレーナ装置のストレーナの中心部における断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に用いられるストレーナのフロートに対する回転状態を示し、同図(A)はストレーナがフロートに対して平行な状態を、同図(B)はストレーナがフロートに対して仰角側へ傾斜した状態を、同図(C)はストレーナがフロートに対して俯角側へ傾斜した状態を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明のストレーナ装置が水源に浮かべられた状態における吸水管に接続されたストレーナの水源の水面に対する回転状態を示し、同図(A)はストレーナが水源の水面と平行な状態を、同図(B)はストレーナが水源の水面に対して仰角側へ傾斜状態を、同図(C)はストレーナが水源の水面に対して俯角側へ傾斜した状態を示す図である。
【
図9】従来のストレーナ装置を水源の水に浮かべた状態における概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1.ストレーナ装置)
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、
図1及び
図2は本発明のストレーナ装置10を示し、このストレーナ装置10は、
図1及び
図2に示すように、ストレーナ12と、このストレーナ12に取り付けられてストレーナ12を水源の水に浮かせるために必要な浮力を生じさせるフロート14とを備えている。
【0026】
このストレーナ装置10は、
図7に示すように、吸水管1の取水側の端部に取り付けられて、池や河川などの水源の水に浮かべられ、図示しない消防ポンプ等の送水ポンプの吸入口に水を供給する吸水管1内に水を取り入れるために用いられるものである。
【0027】
(2.ストレーナ)
ストレーナ12は、
図1乃至
図3及び
図5に示すように、図示しないポンプに水を供給する吸水管1の取水側の端部に接続される吸水管接続部16と、ポンプにとって有害な異物の通過を阻止する大きさを有する取水孔が設けられた取水部18とを備えている。ストレーナ12は、
図7に示すように、取水を行う際に取水部18が水中に配置される。
【0028】
ストレーナ12は、特に
図3及び
図5に示すように、天板部及び底板部と、前後の側板部と、左右の側板部とを有する箱形に形成された中空の本体部分12Aを有していて、この本体部分12Aの底板部に取水部18が設けられ、前側の側板部に吸水管接続部16が設けられている。この本体部分12Aは、例えば、高密度ポリエチレン等から形成することができる。
【0029】
取水部18は、特に
図3及び
図5に示すように、本体部分12Aの底板部に形成された長方形状の開口部18aと、この開口部18aを塞ぐ大きさを有する長方形のフィルタ板18bとからなっている。フィルタ板18bは、水は通過させるが、送水ポンプの動作に支障を来す(送水ポンプに供給されることが好ましくない)大きさの異物(木の葉やゴミなど)の通過は阻止するように大きさ及び形状が設定された取水孔を長方形の金属板に多数形成したものからなっていて、本体部分12Aの底板部に形成された長方形の開口部18aを塞ぐように配置されて、ネジ18cにより本体部分の底板部に締結されている。
【0030】
吸水管接続部16は、
図5に示すように、ストレーナ12の本体部分12Aの前側の側板部を貫通させて設けられた孔16aと、この孔16aの開口部の周囲に形成されたフランジに結合されたフランジ16bを一端に有する短管16Aと、この短管16Aの他端に回転自在に支持された環状の吸水管接続具16Bと、吸水管接続具16Bの外周部に固定された操作アーム16Cとを備えている。吸水管接続具16Bの内周には雌ネジ部が形成されていて、送水ポンプに給水を行う吸水管の取水側の端部に取り付けられた継手金具に設けられた雄ネジ部が吸水管接続具16Bの内周の雌ネジ部に螺合されることにより、吸水管接続部16に吸水管1の取水側の端部が接続される。これらの短管16A、吸水管接続具16B、操作アーム16Cは、例えば、アルミニウムから形成することができる。
【0031】
(3.フロート)
フロート14は、
図1乃至
図3に示すように、ストレーナ12を挟むようにしてストレーナ12の両側に配置される1対のフロート本体14A、14Bと、これらの1対のフロート本体14A、14Bを相互に連結するブラケット14Cとから成っている。これらの1対のフロート本体14A、14Bは、例えば、高密度ポリエチレンから、ブラケット14Cは、例えば、ステンレスなどの金属製材料から形成することができる。
【0032】
各フロート本体14A、14Bは、は、
図1乃至
図3に示すように、内部が中空に形成された略直方体の形状を有し、ストレーナ12を両側面から挟み込むようにして配置され、フロート14の上面側及びフロート14の吸水管接続部16とは反対側の後端側の2箇所において直方体の一部を潰すようにして形成された接合部14aを介して、ブラケット14Cで連結される。この場合、ストレーナ12の下面側及び吸水管接続部16がある前端側はブラケットで連結せずに、吸水管接続部16及び取水部18を含むストレーナ12の傾斜を許容する空間を確保する。なお、ブラケット14Cは、ストレーナ装置10を運搬する際のハンドルとしても使用することができる。
【0033】
(4.ストレーナとフロートとの係合)
本発明においては、
図3及び
図4、
図6に示すように、ストレーナ12は、ストレーナ12の左右の側板部に設けられた2つの軸部20を、各フロート本体14A、14Bの各々の内壁に形成された軸受け部22に自由状態で係合させることにより、フロート14に組み付けられる。このため、ストレーナ12は、
図6及び
図7に示すように、吸水管接続部16に接続された吸水管1の動きに追随した場合にフロート14とは同期せずに独立してフロート14に対して回転するため、フロート14がストレーナ12に追随して傾斜することがなく、フロート14と共にストレーナ12の取水部18が水源の水上に出ることがない。従って、
図7に示すように、ストレーナ12の吸水管接続部16に接続された吸水管1を大きな角度で傾けても確実に取水することができ、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる。
【0034】
具体的には、フロート14の内壁に形成された軸受け部22は、
図1に示すように、フロート本体14A、14Bの内壁の一部を凹ませて軸部20が入り込むことができる空間を形成することにより設けられる。また、この軸受け部22は、特に
図4に示すように、円の相対向する一部を内側に凹ませた左右均等のバタフライ型の形状を有する。一方、ストレーナ12の左右の側板部に設けられた2つの軸部20は、
図4及び
図6に示すように、このバタフライ型の形状を有する軸受け部22に入り込むことができる矩形状の断面を有する。従って、ストレーナ12の軸部20を、フロート14の軸受け部22内に挿入することで、ストレーナ装置10として組み立てることができる。
【0035】
この場合、ストレーナ12の軸部20を、フロート14の軸受け22に対して、自由状態で係合させるため、
図4に示すように、軸部20の幅は、軸受け部22の最大幅よりも小さく、一方、最小幅(上下の凹み部22a間の幅)よりは大きく形成され、軸受け部22内に挿入した場合にも、
図3及び
図4に示すように、軸受け部22との間に間隙が形成されるように設定されている。このため、ストレーナ12の軸部20はフロート14の軸受け部22に対してストレーナ12の前後、左右、並びに上下方向のいずれに対しても変位することができ、自由状態で係合することができる。
【0036】
従って、ストレーナ12はフロート14に対して、
図6(A)に示すように、断面矩形状の軸部20がフロート14と平行に位置することにより、フロート14ひいては水源の水面と平行に位置することができ、また、
図6(B)に示すように、軸部20が仰角側へ傾斜することにより、フロート14及び水面に対して仰角側へ傾斜することができ、更に、
図6(C)に示すように、軸部20が俯角側へ傾斜することにより、フロート14及び水面に対して俯角側へ傾斜することができる。これにより、ストレーナ12は、フロート14とは無関係に仰角側への傾斜及び俯角側への傾斜のいずれの姿勢をも取ることができるので、フロート14とは同期せずに独立してフロート14に対して回転することができる。
【0037】
この場合、軸部20の傾斜(回転角度)は、
図6(B)(C)から解るように、軸受け部22の凹み部22aにより規制されるため、いわば、この凹み部22aの傾斜度合いを調整することにより、ストレーナ12の回転角度を設定することができる。具体的には、水源の水面に対して35°程度の傾斜角度にまで設定することができる。
【0038】
なお、ブラケット14Cは、フロート14の接合部14aに螺合により固定され、ブラケット14Cをフロート14から取り外すことにより、フロート14は、ストレーナ12に着脱可能な状態で取り付けることもできる。フロート14をストレーナ12に着脱可能な状態で取り付けるように構成しておくと、必要に応じてフロート14をストレーナ12から外して、ストレーナ12とフロート14とを別々に運搬したり、ストレーナ装置10を保管する際にストレーナ12とフロート14とを別々に格納したりすることができるため、ストレーナ装置10の取り扱いに多様性を持たせることができる。またフロート14をストレーナ12に着脱可能な状態で取り付けるように構成しておくと、フロート14が破損したときにその交換を容易にすることができる。
【0039】
(5.ストレーナ装置の浮力)
また、本発明においては、ストレーナ装置10全体の重量は、
図7に示すように、ストレーナ装置10を水源の水底B(
図7参照)に接しない状態で水源の水に浮かべた場合において、ストレーナ12が水源の水を吸い込んだ状態でストレーナ12が設定された最大の傾斜角度(仰角側及び俯角側のいずれの傾斜も含む)でフロート14に対して傾斜しても取水部18が水源の水面W(
図7)から出ない程度にストレーナ装置10が水源の水中に沈むように調整されている。具体的には、実験の結果、ストレーナ12の最大傾斜角度を35°に設定した場合においては、ストレーナ12が水源の水を吸い込んだ状態でストレーナ装置10の8割以上の高さ部分が水源の水中に沈む浮力に設定すれば、取水部18が水源の水面W(
図7参照)から出ないことが確認された。このストレーナ装置10全体の重量の調整は、具体的には、図示の実施の形態では、
図1及び
図6に示すように、フロート14の吸水管接続部16側に牽引のためのロープ2(
図7参照)のフックとして取り付けられるシャックル24をカウンターウェイトとして設置し、このシャックル24の重量や個数を適宜設定することによりストレーナ装置10全体の重量を調整することにより、フロート14の浮力を設定して行うことができる。
【0040】
この場合、フロート14の後端側には、1対のフロート本体14の連結のためのブラケット14Cが設置されているため、このブラケット14Cの重量との相対的な関係も考慮して、フロート14の浮力が略均等になるように(水源の水に浮かべた場合に、ほぼ水平になるように)各シャックル24の重量や個数を設定する。また、このシャックル24自体の重量にもよるが、図示の実施の形態では、各フロート本体14A、14Bの各々に1つずつシャックル24を取り付けているが、必要に応じて、このシャックル24の取付個数を調整して、フロート14の浮力を調整することもできる。なお、シャックル24による重量調整の他、ストレーナ装置10自体の固有の重量を調整することにより、フロート14の浮力を調整することもできる。
【0041】
これにより、
図7に示すように、ストレーナ12がフロート14に対して仰角側又は俯角側のいずれに大きく傾斜しても、ストレーナ12の取水部18が水源の水から出ることがなく、ストレーナ12の吸水管接続部16に接続された吸水管1を大きな角度で傾けても確実に取水することができる。
【0042】
(6.浮力のバランス)
更に、フロート14の浮力は、ストレーナ12の軸部20を境にしてストレーナ12の吸水管接続部16が位置する方向とは反対側(すなわち、後端側)における浮力が、ストレーナ12の軸部20を境にして吸水管接続部16が位置する方向(すなわち、前端側)における浮力以下になるように設定する。すなわち、ストレーナ12の軸部20を境にした後端側の浮力が、前端側の方と同じか、前端側よりも小さくなるように設定する。
【0043】
これにより、少なくとも、ストレーナ12の吸水管接続部16が傾斜した場合でも、フロート14の後端側を軸としてストレーナ装置10が回転することがなく、ストレーナ12の軸部20を中心としてストレーナ12がフロート14に対して回転することができる。このため、ストレーナ12の傾斜に伴ってフロート14もストレーナ12と共に大きく傾斜してストレーナ12の取水部18が水面より上方に出ることがなく、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる。
【0044】
この場合、基本的には、フロート14の浮力は、ストレーナ12の軸部20を境にして均等に設定することが望ましい。具体的には、
図2及び
図6に示すように、フロート14の前後方向の中央に軸受け部22を形成して、ストレーナ12をフロート14の中央で回転させることにより偏った回転とならないように設定することができる。また、これに伴い、1対のフロート14A、14Bを連結する上面側のブラケット14Cも、
図2及び
図6に示すように、フロート14の前後方向における中央部に取り付けることが望ましい。
【0045】
これにより、ストレーナ12を吸水管1に追随して傾けた場合に、フロート14よりも前方又は後方のいずれかがストレーナ装置10の水源に対する回転軸となることがなく、ストレーナ12の軸部20を中心としてストレーナ12がフロート14に対して回転することができるため、ストレーナ12の傾斜に伴ってフロート14もストレーナ12と共に大きく傾斜してストレーナ12の取水部18が水面より上方に出ることがなく、大きな角度での水の吸い込みにも対応して、水源が消防ポンプ等の送水ポンプよりも下方に位置する場合にも吸水を適切に行うことができる。
【0046】
なお、ここでいうフロート14の浮力の調整は、いずれの場合も、製造時点におけるフロート14自体について軸部20を境にした前後で均等又は後端側の浮力を前端側の浮力以下となるように設定すれば足り、ブラケット14Cや吸水管接続部16を有するストレーナ12を組み付けた状態でのストレーナ装置10全体での浮力は、これらのブラケット14Cやストレーナの重量にも影響を受けるため、浮力に多少の変動が生じても問題はなく、ストレーナ装置10全体としての浮力は、上述したシャックル24の重量や個数により調整することができる。従って、また、フロート14の後端側が吸水管1の揺動に伴うストレーナ12の回転軸とならなければ、ストレーナ装置10全体としては、ストレーナ12の軸部20を境にした後端側の浮力の方が、前端側の方の浮力よりも多少は大きくなっても問題はない。
【0047】
(7.使用状態)
次いで、本発明のストレーナ装置10の使用状態を、
図7を用いて説明すると、図示しないポンプに接続される吸水管1を、吸水管接続部16に接続して、池や河川などの水源の水に投入する。この場合、ストレーナ装置10は、その取水部18を水中に位置させた状態で、水源の水面W(
図7参照)に浮かせた状態とする。
【0048】
なお、吸水管接続部16は、吸水管1の取水側の端部の構造に適合するように構成されていればよく、図示の例に限定されない。例えば、吸水管1の取水側の端部に取り付ける継手金具として、内周に雌ネジ部が形成されたものを用いる場合には、ストレーナ装置10の吸水管接続部16に回転自在に設ける吸水管接続具16Bとして、外周に雄ネジ部を有するものを用いて、この吸水管接続具の雄ネジ部を吸水管の取水側の端部に取り付けられた継手金具の内周の雌ネジ部に螺合させることにより、吸水管接続部16を吸水管1の取水側の端部に接続することもできる。
【0049】
図7に示すように、送水ポンプに吸給水する際に吸水管1の取水側の端部にストレーナ装置10を接続しておくと、水中に存在する異物(汚泥や木の葉などの固形物)のうち、送水ポンプに供給されるとポンプの動作に支障を来すおそれがある大きさを有する異物が吸水管1内に取り込まれるのを防ぐことができるため、送水ポンプによる送水を支障なく行わせることができる。
【0050】
この場合、ストレーナ装置10は、
図7に示すように、取水を行う際にはフロート14によりストレーナ12を水に浮かせて、ストレーナ12の取水部18を水底B(
図7参照)から離れた状態に保持することができるため、ストレーナ12の取水部18から汚泥などが吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0051】
本発明において特筆すべきは、ストレーナ12はフロート14とは同期せずに回転できるため、
図7(A)に示す標準の姿勢時(吸水管接続部16に接続された吸水管が傾斜していないニュートラルな状態)から、
図7(B)に示すように、吸水管1の大きな傾斜に伴いストレーナ12が傾斜してもフロート14はストレーナ12と共に共回りすることはなく、また、ストレーナ装置10の全体の8割以上が水源の水中に存在するため、取水部18が水面W(
図7参照)上に出ることがなく、ポンプが水源よりも上方にあって、大きな仰角での吸い込みが必要な場合であっても対応することができる点である。一方、
図7(C)に示すように、吸水管1が弛んで、ストレーナ12が俯角側へ傾斜しても、同様に、取水部18を水面W(
図7参照)上に出すことなく吸水することができる。
【0052】
なお、水源の水位が低下した際にストレーナ12の取水部18が水底B(
図7参照)に接するのを防ぐため、水源の水位が大きく低下することが予想される場合には、特に、
図3及び
図5に示すように、ストレーナ12の底板部(ストレーナ12の最下面)を、フロート14の最下面よりも高い位置に設定することにより、フロート14が水源の水底B(
図7参照)に対する脚部の役割を果たし、ストレーナ12の取水部18を水源の水底B(
図7参照)から浮かすことができる。
【0053】
これにより、水源の水位が低下したときでも、吸水を継続して行うことができると共に、ストレーナ12の取水部18が水底B(
図7参照)に接して汚泥を取り込むのを防ぐことができ、ストレーナ装置10としての本来の機能を維持して、送水ポンプの保護を更に確実に図ることができる。換言すれば、このフロート14の最下面からストレーナ12の底板部(ストレーナ12の最下面)までの高さが、吸水をすることができる深度の最小限となり、例えば、この高さを2cmなどの数cm程度に設定すれば、かなり浅い水源に適用することもできる点で有益である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ストレーナを池や河川などの水源の水に浮かべて、消防ポンプ等の送水ポンプの吸入口に水を供給する吸水管内に水を取り入れる際に、水中に存在する異物(汚泥や木の葉などの固形物)のうち、送水ポンプに供給されるとポンプの動作に支障を来すおそれがある大きさを有する異物が吸水管内に取り込まれるのを防ぐことに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 吸水管
2 ロープ
10 ストレーナ装置
12 ストレーナ
12A 本体部分
14 フロート
14A、14B 1対のフロート本体
14C ブラケット
14a 接合部
16 吸水管接続部
16A 短管
16B 吸水管接続具
16C 操作アーム
16a 孔
16b フランジ
18 取水部
18a 開口部
18b フィルタ板
18c ネジ
20 軸部
22 軸受け部
22a 凹み部
24 シャックル
26 ストッパ
W 水面
B 水底