(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003675
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】支柱取付用金具
(51)【国際特許分類】
A01G 33/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A01G33/02 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102985
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000210975
【氏名又は名称】中央発条工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊彦
【テーマコード(参考)】
2B026
【Fターム(参考)】
2B026AA01
2B026BB04
2B026CA05
(57)【要約】
【課題】支柱に取付けられたときに、支柱が延びた方向へ動き難く、かつ、支柱から外れ難く取付位置の調整が容易な支柱取付用金具を提供する。
【解決手段】支柱取付用金具10は、本体部20と、突出片部30を備える。本体部20は第1の湾曲部材20Aと第2の湾曲部材20Bを有する。第1の湾曲部材20Aの一端側と第2の湾曲部材20Bの一端側とが回動自在に連結され、第1の湾曲部材20Aの他端側と第2の湾曲部材20Bの他端側とが着脱可能に連結され、貫通穴21を形成する。突出片部30は、本体部20の貫通穴21の中心を通る仮想中心軸線11へ向けて、本体部20の周辺領域22から貫通穴21の半径よりも短い長さほど突出している。第2の突出片部32は、第1の突出片部31よりも貫通穴21の径方向と同じ方向における長さが長く、第1の突出片部31よりも、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さが短い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴が形成されており、同貫通穴の周囲に位置する周囲領域を有する本体部と、
該本体部の前記貫通穴の中心を同貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ通る仮想中心軸線へ向けて、同本体部の前記周囲領域から所定の長さほど突出しており、同貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ弾性変形可能な突出片部とを備える
支柱取付用金具。
【請求項2】
前記本体部は、少なくとも2つの湾曲した湾曲部材を有し、同湾曲部材は互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結されて前記貫通穴を形成可能である
請求項1に記載の支柱取付用金具。
【請求項3】
前記突出片部は、
第1の突出片部と、
該第1の突出片部よりも前記貫通穴の径方向と同じ方向における長さが長いと共に、同第1の突出片部の同貫通穴の周方向と同じ方向における長さよりも、同貫通穴の周方向と同じ方向における長さが短い第2の突出片部とで構成された
請求項1に記載の支柱取付用金具。
【請求項4】
前記第2の突出片部の、前記貫通穴の周方向と同じ方向における長さが、同第2の突出片部の先端へ向かって徐々に短くなった
請求項3に記載の支柱取付用金具。
【請求項5】
前記第1の突出片部の先端は、前記貫通穴を通る前記仮想中心軸線へ向いて凹状に湾曲した
請求項3に記載の支柱取付用金具。
【請求項6】
前記第2の突出片部の先端は、前記貫通穴を通る前記仮想中心軸線へ向けて凸状に湾曲した
請求項3に記載の支柱取付用金具。
【請求項7】
前記本体部の前記周囲領域に、前記貫通穴の周方向へ並べて複数の周囲貫通穴が形成された
請求項1に記載の支柱取付用金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は支柱取付用金具に関する。詳しくは、例えば農業分野、漁業分野において使用される支柱に取付けるための支柱取付用金具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
支柱は様々な分野において使用されており、例えば農業分野においては、大きな実がなる、またはツルが伸びる野菜を支えるために支柱が使用されていたり、農作物を害獣から守るための電気柵に支柱が使用されていたりしている。
【0003】
また、例えば畜産業分野においては、家畜を放牧管理するための牧柵に支柱が使用されている。
さらに、例えば漁業分野においては、海苔の養殖において支柱が使用されている。
【0004】
例えば海苔の養殖には、海底に支柱を建て海面付近に海苔網を張る「支柱式海苔養殖」と、ブイなどに海苔網を繋いで海面に浮かべる「浮流し海苔養殖」の2種類がある。
【0005】
日本の有明海の干満差は最大6mもあり、また有明海には広大な干潟も存在することから、有明海沿岸では支柱式海苔養殖が盛んに行われている。
なぜなら、干潟は水深が浅いため支柱を建て易く、また、最大6mの干満差を利用して、満潮時に海苔を海水に浸して海水の栄養を海苔に吸収させ、干潮時に海面から海苔を上げて日光を浴びさせ、旨味を海苔に蓄えさせると共に病気にかかり難くすることができるからである。
【0006】
また、支柱式海苔養殖においては、例えば特許文献1に記載されているように、綱を支柱に結び付けて、海苔養殖網を支柱に取付けることが行われている。
【0007】
すなわち、
図6に示すように、従来の支柱式海苔養殖においては、支柱100に、海苔網102を吊るすための吊り綱103の一端が取付けられている。
また、吊り綱103の他端は、海苔網102を構成するロープ102Aに取付けられている。
また、
図6は、干潮時に海苔網102が海面から上がって、ロープ102Aに付着した海苔104が空気中に晒されている状態を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載のように、綱を支柱に結び付けて海苔養殖網を支柱に取付ける方法では、海苔養殖網を支柱から外したり、海苔養殖網の取付位置の高さを調整したりする場合、綱の結びを解いて取付位置の高さを調整後、再度、支柱に手で綱を結び付けなければならない。
【0010】
また、綱を支柱に結び付けるときには、波の力で容易に支柱から綱が外れたり、ずれたりしないよう、頑丈に結び付けなければならない。
【0011】
また、海苔の養殖など漁業分野に限らず、例えば農業分野における電気柵の支柱に器具を取付け、この器具に導線を取付けることが行われているが、このような器具が支柱から外れてしまうと導線も一緒に外れてしまい、電気柵の機能に支障を来していた。
【0012】
そこで、支柱への取付け取外しが簡単であり、ロープなどを簡単に接続でき、しかも一旦、支柱に取付けられると、ロープなどの外力で容易に支柱が延びた方向へずれたり、支柱から外れたりし難い、支柱に取付けるための器具が求められていた。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、支柱に取付けられたときに、支柱が延びた方向へ動き難く、かつ、支柱から外れ難く取付位置の調整が容易な支柱取付用金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の支柱取付用金具は、貫通穴が形成されており、同貫通穴の周囲に位置する周囲領域を有する本体部と、該本体部の前記貫通穴の中心を同貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ通る仮想中心軸線へ向けて、同本体部の前記周囲領域から所定の長さほど突出しており、同貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ弾性変形可能な突出片部とを備える。
【0015】
ここで、貫通穴が形成されており、貫通穴の周囲に位置する周囲領域を有する本体部によって、貫通穴に支柱を配置するだけで本発明の支柱取付用金具を支柱に取付けることができ、支柱に対する取付位置を自由に決定できる。
また、貫通穴に支柱を配置したとき、本体部が支柱を囲んでいるので、支柱が延びた方向に対して略直交する方向への、本発明の支柱取付用金具の移動を抑制できる。
【0016】
また、貫通穴が形成されており、貫通穴の周囲に位置する周囲領域を有する本体部と、本体部の貫通穴の中心を貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ通る仮想中心軸線へ向けて、本体部の周囲領域から所定の長さほど突出した突出片部とによって、本体部の貫通穴に配置された支柱に突出片部の先端が当接して本体部を支柱に取付けることができ、さらに、本体部の貫通穴を囲んだ周囲領域と突出片部の分だけ、本発明の支柱取付用金具は、支柱の表面から突出したフランジとしての強度アップの機能を発揮できる。
【0017】
ここで、「所定の長さ」とは、貫通穴の半径よりも短い長さを意味する。
【0018】
また、貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ弾性変形可能な突出片部によって、本発明の支柱取付用金具が支柱に取付けられたときに、支柱の表面に突出片部の先端が当接し、支柱が延びた方向へ本体部が動こうとしても突出片部の弾性力が発生して本体部が動き難い。
【0019】
また、本発明の支柱取付用金具において、本体部は、少なくとも2つの湾曲した湾曲部材を有し、湾曲部材は互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結されて貫通穴を形成可能である構成とすることができる。
【0020】
この場合、貫通穴の直径を変更できるので、様々な外径を有する支柱に適応できる。
【0021】
さらに、本発明の支柱取付用金具において、突出片部は、第1の突出片部と、第1の突出片部よりも貫通穴の径方向と同じ方向における長さが長いと共に、第1の突出片部の貫通穴の周方向と同じ方向における長さよりも、貫通穴の周方向と同じ方向における長さが短い第2の突出片部とで構成されたものとすることができる。
【0022】
この場合、第2の突出片部が弾性力を発揮し易くなり、一方、第1の突出片部は支柱を保持する力を発揮し易くなる。
また、第1の突出片部を貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ屈曲させて、様々な外径を有する支柱に適応できる。
また、第2の突出片部を貫通穴の径方向に対して略直交する方向へ屈曲させて、貫通穴の径方向に対する第2の突出片部の傾斜角を調整し、第2の突出片部が発揮する弾性力を調整できる。
【0023】
また、本発明の支柱取付用金具において、第2の突出片部の、貫通穴の周方向と同じ方向における長さが、第2の突出片部の先端へ向かって徐々に短くなった構成とすることができる。
【0024】
この場合、第2の突出片部の、ばね作用が有効かつ効率的になる。
【0025】
また、本発明の支柱取付用金具において、第1の突出片部の先端は、貫通穴を通る仮想中心軸線へ向いて凹状に湾曲した構成とすることができる。
【0026】
この場合、支柱の湾曲した表面に第1の突出片部の先端が安定的に当接し易くなる。
【0027】
また、本発明の支柱取付用金具において、第2の突出片部の先端は、貫通穴を通る仮想中心軸線へ向けて凸状に湾曲した構成とすることができる
【0028】
この場合、第2の突出片部の先端が貫通穴を通る仮想中心軸線へ向けて凹状に湾曲した場合よりも、第2の突出片部の先端の、貫通穴の周方向と同じ方向における長さを短くできるので、第2の突出片部を弾性変形させ易い。
【0029】
また、本発明の支柱取付用金具において、本体部の周囲領域に、貫通穴の周方向へ並べて複数の周囲貫通穴が形成された構成とすることができる。
【0030】
この場合、周囲貫通穴に例えばロープやその他の部材を取付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る支柱取付用金具は、支柱に取付けられたときに、支柱が延びた方向へ動き難く、かつ、支柱から外れ難く取付位置の調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】屈曲された突出片部を備える、本発明を適用した支柱取付用金具の一例を示す概略平面図(a)と、
図1(a)のA-A線に沿った概略断面図(b)である。
【
図2】
図1の本発明を適用した支柱取付用金具が開いた状態の一例を示す一部の概略図である。
【
図3】本発明を適用した支柱取付用金具の一例を示す概略斜視図である。
【
図4】本発明を適用した支柱取付用金具の使用状態の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明を適用した支柱取付用金具の第1の突出片部と第2の突出片部の、支柱との接触の様子の一例を示す概略部分断面拡大図である。
【
図6】従来の支柱式海苔養殖の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1(a)は、屈曲された突出片部を備える、本発明を適用した支柱取付用金具の一例を示す概略平面図である。また、
図1(b)は、
図1(a)のA-A線に沿った概略断面図である。
【0034】
図1(a)に示す本発明の支柱取付用金具10は、本体部20を備える。
ここで、本体部20には貫通穴21が形成されている。
また、貫通穴21の中心を、貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ仮想中心軸線11が通っている。
また、仮想中心軸線11は、実体の無い直線である。
【0035】
また、本体部20は、周囲領域22を有し、周囲領域22は、貫通穴21の周囲に位置する領域である。
【0036】
また、本体部20は、湾曲した第1の湾曲部材20Aと、湾曲した第2の湾曲部材20Bとを有する。
ここで、第1の湾曲部材20Aの一端側と、第2の湾曲部材20Bの一端側とが、リベット40によって互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結されている。
【0037】
また、第1の湾曲部材20Aの一端側とは反対側である他端側に、第1の湾曲部材20Aの表面から突出した連結用フック23が設けられている。
ここで、連結用フック23は、第1の湾曲部材20Aの表面に対して略直交する方向へ延びた部分と、この部分から、第1の湾曲部材20Aの表面に対して略平行に、第1の湾曲部材20Aの一端側へ向けて延びた部分とで構成されている。
すなわち、連結用フック23は、
図1(b)に示すように、逆L字形状を有する。
【0038】
また、第2の湾曲部材20Bの一端側とは反対側である他端側に、連結用穴24が貫通して形成されている。
ここで、連結用穴24の大きさは、連結用フック23が挿通できる大きさである。
【0039】
従って、第1の湾曲部材20Aの他端側と第2の湾曲部材20Bの他端側とを重ねて連結用穴24に連結用フック23を挿通し、
図1(b)に示すように連結用フック23が連結用穴24の縁部に嵌合することで、第1の湾曲部材20Aの他端側と第2の湾曲部材20Bの他端側とを着脱可能に連結できる。
【0040】
そして、
図1(a)に示すように、第1の湾曲部材20Aの他端側と第2の湾曲部材20Bの他端側とが着脱可能に連結されることで、貫通穴21を形成できる。
従って、第1の湾曲部材20Aの湾曲方向及び第2の湾曲部材20Bの湾曲方向が、貫通穴21の周方向に相当する。
【0041】
また、本体部20の周囲領域22、すなわち第1の湾曲部材20A及び第2の湾曲部材20Bには、湾曲方向へ並べて複数の周囲貫通穴25が形成されている。
また、本発明の支柱取付用金具10を支柱に取付けたときに、周囲貫通穴25に例えばロープを通し、本発明の支柱取付用金具10と、支柱や他の部材とを繋ぐことができる。
【0042】
また、本体部20は、さらに多くの湾曲部材、例えば4~6つの湾曲部材を有することもでき、各湾曲部材は互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結されて貫通穴を形成できる。
【0043】
また、本体部20の周囲領域22には、貫通穴21の径方向と同じ方向へ延びた複数の切欠き部26が形成されている。
【0044】
また、本発明の支柱取付用金具10は、突出片部30を備える。
ここで、突出片部30は、本体部20の貫通穴21の中心を通る仮想中心軸線11へ向けて、本体部20の周辺領域22から所定の長さ、すなわち貫通穴21の半径よりも短い長さほど突出している。
また、突出片部30は、貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ弾性変形可能である。
【0045】
また、突出片部30は、第1の突出片部31と、第2の突出片部32とで構成されている。
また、第2の突出片部32は、第1の突出片部31よりも貫通穴21の径方向と同じ方向における長さが長い。
また、第2の突出片部32は、第1の突出片部31の貫通穴21の周方向と同じ方向における長さよりも、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さが短い。
【0046】
また、第2の突出片部32の、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さが、第2の突出片部32の先端へ向かって徐々に短くなっている。
【0047】
また、
図1(a)に示すように、第1の突出片部31の先端は、貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向いて凹状に湾曲している。
また、
図1(a)に示すように、第2の突出片部32の先端は、貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向けて凸状に湾曲している。
【0048】
また、第1の突出片部31と第2の突出片部32はそれぞれ、本体部20の周囲領域22から複数突出している。
また、第1の突出片部31と第2の突出片部32はそれぞれ、切欠き部26と切欠き部26の間に位置する。
【0049】
次に、本発明の支柱取付用金具10が支柱に取付けられたときの、第1の突出片部31及び第2の突出片部32の役割を説明する。
【0050】
本発明の支柱取付用金具10が支柱に取付けられたとき、第1の突出片部31は、支柱の表面に当接して、主として外力による本発明の支柱取付用金具10の、径方向の動きを剛体(剛性)的に規制する。
また、
図1(a)に示すように、第1の突出片部31の先端同士を結んで形成される実体の無い第1の仮想円12の直径は、支柱の直径と同じか支柱の直径より若干大きい。
【0051】
また、本発明の支柱取付用金具10が支柱に取付けられたとき、第2の突出片部32は、支柱の表面に所定のたわみによる弾性力を発生して当接する。そして、第2の突出片部32は、主として外力による本発明の支柱取付用金具10の、支柱が延びた方向(軸方向)の動きを弾性的に規制する。
また、
図1(a)に示すように、第2の突出片部32の先端同士を結んで形成される実体の無い第2の仮想円13の直径は、所定のたわみに相当する量だけ支柱の直径より小さい。
【0052】
本発明の支柱取付用金具10において、本体部20は必ずしも、湾曲した第1の湾曲部材20Aと、湾曲した第2の湾曲部材20Bとを有していなくてもよく、また、第1の湾曲部材20Aと第2の湾曲部材20Bは必ずしも互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結されなくてもよい。
例えば、本体部は、開閉できない一体的な構成とすることができる。すなわち、例えば一枚の金属製の円形板の中央領域に貫通穴が形成されたものとすることができる。
【0053】
しかし、本体部20が、このように複数の湾曲部材を有していれば、貫通穴21の直径を変更できるので、様々な外径を有する支柱に適応でき、好ましい。
【0054】
また、複数の湾曲部材を互いに連結する方法としては、必ずしもリベット40による連結でなくてもよい。
例えば、湾曲部材の一端側同士を、リベットではなくバーリングかしめによって連結し、他端側同士を連結用フックと連結用穴の組み合わせによって連結することで、湾曲部材は互いに回動自在に、かつ、着脱可能に連結される。
【0055】
また、本発明の支柱取付用金具10において、突出片部30は必ずしも、第1の突出片部31と、第2の突出片部32とで構成されていなくてもよい。
【0056】
しかし、突出片部30が、第1の突出片部31と第2の突出片部32とで構成されていれば、以下のような点で好ましい。
すなわち、第2の突出片部32が弾性力を発揮し易くなり、一方、第1の突出片部31は支柱を保持する力を発揮し易くなるので好ましい。
また、第1の突出片部31を貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ屈曲させて、様々な外径を有する支柱に適応できるので好ましい。
また、第2の突出片部32を貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ屈曲させて、貫通穴21の径方向に対する第2の突出片部32の傾斜角を調整し、第2の突出片部32が発揮する弾性力を調整できるので好ましい。
【0057】
また、本発明の支柱取付用金具10において、第2の突出片部32の、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さは、必ずしも第2の突出片部32の先端へ向かって徐々に短くなっていなくてもよい。
【0058】
しかし、第2の突出片部32の、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さが、第2の突出片部32の先端へ向かって徐々に短くなっていれば、第2の突出片部32の、ばね作用が有効かつ効率的になるので好ましい。
【0059】
また、本発明の支柱取付用金具10において、第1の突出片部31の先端は、必ずしも貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向いて凹状に湾曲していなくてもよい。
【0060】
しかし、第1の突出片部31の先端が、貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向いて凹状に湾曲していれば、支柱の湾曲した表面に第1の突出片部31の先端が安定的に当接し易くなるので好ましい。
【0061】
また、本発明の支柱取付用金具10において、第2の突出片部32の先端は、必ずしも貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向けて凸状に湾曲していなくてもよい。
【0062】
しかし、第2の突出片部32の先端が、貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向けて凸状に湾曲していれば、第2の突出片部32の先端が貫通穴21を通る仮想中心軸線11へ向いて凹状に湾曲した場合よりも、第2の突出片部32の先端の、貫通穴21の周方向と同じ方向における長さを短くできるので、第2の突出片部32を弾性変形させ易く、好ましい。
【0063】
また、本発明の支柱取付用金具10において、本体部20の周囲領域22には、必ずしも周囲貫通穴25が形成されていなくてもよい。
【0064】
しかし、本体部20の周囲領域22に周囲貫通穴25が形成されていれば、周囲貫通穴25にロープなどを通し、本発明の支柱取付用金具10と、支柱や他の部材とを繋ぐことができたり、本発明の支柱取付用金具10を介して、支柱と支柱の間に簡単にロープを架け渡したりすることができるので好ましい。
【0065】
また、図示された本体部20の外周縁の形状は曲線形状であるが、必ずしもこのような形状でなくてもよく、例えば角部と直線とで構成された多角形状とすることでもできる。
【0066】
図2は、
図1の本発明を適用した支柱取付用金具が開いた状態の一例を示す一部の概略図である。
例えば、第1の湾曲部材20Aの他端側と第2の湾曲部材20Bの他端側とが重なった部分の面積を大きくする方向へ、第1の湾曲部材20Aまたは第2の湾曲部材20Bの少なくとも一方を動かすと、連結用フック23と連結用穴24の縁部との嵌合が解除される。
【0067】
そして、嵌合が解除された状態で、連結用フック23を連結用穴24から抜き出し、リベット40によって連結された第1の湾曲部材20Aの一端側と第2の湾曲部材20Bの一端側とを中心に、第1の湾曲部材20Aと第2の湾曲部材20Bとを回動させると、
図2に示すように、本発明の支柱取付用金具10は開いた状態となる。
本発明の支柱取付用金具10を支柱に取付けるときには、本発明の支柱取付用金具10をさらに大きく開いた状態として取付ける。
【0068】
図3は、本発明を適用した支柱取付用金具の一例を示す概略斜視図である。
【0069】
図3に示されているように、本発明の支柱取付用金具10が備える複数の第2の突出片部32は貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ屈曲されて、貫通穴21の径方向に対して斜めの方向へ突出した状態であって互いに反対方向へ突出した状態にされている。
【0070】
すなわち、一の第2の突出片部32が屈曲されて、貫通穴21の径方向に対して斜め上の方向へ突出した状態にされており、第1の湾曲部材20Aの湾曲方向や第2の湾曲部材20Bの湾曲方向において第1の突出片部31を挟んで一の第2の突出片部32の隣に位置する他の第2の突出片部32が屈曲されて、貫通穴21の径方向に対して斜め下の方向へ突出した状態にされている。
【0071】
また、
図3に示されているように、本発明の支柱取付用金具10の第1の突出片部31も、支柱の外径が大きい場合、貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ屈曲されて、貫通穴21の径方向に対して斜めの方向へ突出した状態にされて、貫通穴21に支柱を配置し易くできる。
【0072】
また、複数の第2の突出片部32は、貫通穴21の径方向に対して略直交する方向へ突出した状態にされることも可能である。
【0073】
次に、本発明の支柱取付用金具の使用態様を説明する。
図4は、本発明を適用した支柱取付用金具の使用状態の一例を示す概略図である。
また、
図5は、本発明を適用した支柱取付用金具の第1の突出片部と第2の突出片部の、支柱との接触の様子の一例を示す概略部分断面拡大図である。
【0074】
図4は、本発明の支柱取付用金具10が、グラスファイバー製の支柱60に取付けられた状態を示す。
ここで、支柱60は、支柱式海苔養殖において使用されているものである。
【0075】
図4に示すように、支柱60の上端近くに本発明の支柱取付用金具10を取付ける。
【0076】
また、本発明の支柱取付用金具10が備える本体部20の周囲貫通穴25に、海苔網62を吊るすための吊り綱63の一端が通されている。
また、吊り綱63の一端には玉結びが設けられており、一端が周囲貫通穴25から抜け落ちないようになっている。
また、吊り綱63の他端は、海苔網62を構成するロープ62Aに取付けられている。
【0077】
また、支柱60に取付けられた本発明の支柱取付用金具10は、
図3に示すように、第1の突出片部31と第2の突出片部32が屈曲されて、貫通穴21の径方向に対して斜めの方向へ突出した状態にされたものである。
【0078】
ここで、海苔網62は吊り綱63で吊るされているので、吊り綱63の長さの分だけ海苔網62の位置は上下に移動できる。
【0079】
図4は、干潮時に海苔網62が海面から上がって、ロープ62Aに付着した海苔64が空気中に晒されている状態を示しているが、干潮から満潮へ移行するにつれて海面が上昇し、海苔網62が海面に接した後は海面の上昇と共に海苔網62も上昇する。
また、吊り綱63の一端が取付けられた本発明の支柱取付用金具10の支柱60に対する取付位置は、満潮時に海苔網62が海面に接するように適宜調整する。
【0080】
また、
図5に示すように、支柱60に取付けられた本発明の支柱取付用金具10において、複数の第2の突出片部32は、貫通穴21の径方向に対して略直交する方向、すなわち支柱60が延びた方向へ屈曲されて、支柱60が延びた方向に対して斜めの方向であって互いに反対方向へ突出した状態にされている。
従って、支柱60の表面に第2の突出片部32の先端が当接し、支柱60が延びた方向へ本体部20が動こうとしても、第2の突出片部32の弾性力が発生して本体部20が動き難い。
【0081】
以上のように、本発明の支柱取付用金具10は本体部20を備え、本体部20には貫通穴21が形成されており、本体部20は貫通穴21の周囲に位置する周囲領域22を有するので、貫通穴21に支柱60を配置するだけで本発明の支柱取付用金具10を支柱60に取付けることができ、支柱60に対する取付位置を自由に決定できる。
また、貫通穴21に支柱60を配置したとき、本体部20が支柱60を囲んでいるので、支柱60が延びた方向に対して略直交する方向への、本発明の支柱取付用金具10の移動を抑制できる。
【0082】
また、本発明の支柱取付用金具10は第2の突出片部32を備えるので、本発明の支柱取付用金具10が支柱60に取付けられたときに、支柱60の表面に第2の突出片部32の先端が当接し、支柱60が延びた方向へ本体部20が動こうとしても、第2の突出片部32の弾性力が発生して本体部20が動き難い。
【0083】
従って、本発明の支柱取付用金具10は、支柱に60に取付けられたときに、支柱60が延びた方向へ動き難く、かつ、支柱60から外れ難く取付位置の調整が容易である。
【0084】
また、海苔の養殖における支柱に、本発明の支柱取付用金具を取付けた例を挙げて説明したが、本発明の支柱取付用金具を使用できる分野は、海苔の養殖など漁業分野に限定されないことは勿論である。
例えば、農業分野において、農作地を囲む柵に使用される支柱に、本発明の支柱取付用金具を取付けることもできる。
【符号の説明】
【0085】
10 支柱取付用金具
11 仮想中心軸線
12 第1の仮想円
13 第2の仮想円
20 本体部
20A 第1の湾曲部材
20B 第2の湾曲部材
21 貫通穴
22 周囲領域
23 連結用フック
24 連結用穴
25 周囲貫通穴
26 切欠き部
30 突出片部
31 第1の突出片部
32 第2の突出片部
40 リベット
60 支柱
62 海苔網
62A ロープ
63 吊り綱
64 海苔