(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036759
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】卓上切断機
(51)【国際特許分類】
B27B 5/29 20060101AFI20240311BHJP
B23D 47/02 20060101ALI20240311BHJP
B23D 45/04 20060101ALI20240311BHJP
B23D 45/14 20060101ALI20240311BHJP
B27B 5/20 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B27B5/29 A
B23D47/02
B23D45/04 B
B23D45/14 B
B27B5/20 B
B27B5/29 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141211
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】是川 洋斗
(72)【発明者】
【氏名】可児 利之
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040BB13
3C040HH02
(57)【要約】
【課題】卓上切断機において、ターンテーブル上に載置した被切断材の載置姿勢を安定化するための延長テーブルの軽量化を図るとともに、被切断材の安定化機能をより高める。
【解決手段】ベース2の台座部3に可動載置部50を設ける。可動載置部50は、回転基端部50aから後方に延びる後方姿勢と、側方に延びる側方姿勢の間を移動可能である。回転基端部50aは、位置決めフェンス6から刃具11の面方向の手前側の前端部3fまでの距離Lの半分よりも台座部3の手前側の領域Eに位置する。回転式の可動載置部50により従来のスライド式の延長テーブルに比して軽量化が図られる。後方姿勢で格納されることから可動載置部50の大形化により被切断材の載置姿勢の安定化が図られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上切断機であって、
ベースと、
前記ベースに回転可能に支持されて被切断材が載置されるターンテーブルと、
前記ターンテーブルに上下に揺動可能に支持され、かつ円盤形の刃具を備える切断機本体と、
前記ターンテーブルの側方において前記ベースから上方に突出する台座部と、
前記台座部に回転可能に支持される回転基端部を備え、前記ターンテーブルと協働して前記被切断材を支持する可動載置部を有し、
前記可動載置部は、前記回転基端部から前記刃具の面方向に延びる後方姿勢と、前記回転基端部から前記刃具の面方向に交差する側方に延びる側方姿勢の間を移動可能である卓上切断機。
【請求項2】
請求項1に記載の卓上切断機であって、
前記ターンテーブルから起立して前記被切断材の端面が当接される位置決めフェンスを有し、
前記可動載置部の前記回転基端部は、前記位置決めフェンスから前記台座部の前記刃具の面方向の手前側の端部までの距離の半分よりも前記台座部の前記手前側の領域に位置する卓上切断機。
【請求項3】
請求項2に記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部の前記回転基端部は、前記台座部の前記手前側の端部近傍に位置する卓上切断機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記ターンテーブルから起立して前記被切断材の端面が当接される位置決めフェンスを有し、
前記可動載置部の前記回転基端部は、前記位置決めフェンスよりも前記刃具の面方向の手前側に位置し、
前記可動載置部は、前記後方姿勢において前記位置決めフェンスと交差し、前記側方姿勢において前記位置決め面と交差しない卓上切断機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部の回転先端部に接地用の支持脚が設けられた卓上切断機。
【請求項6】
請求項5に記載の卓上切断機であって、
前記支持脚はねじの締め込み量により高さを調整可能である卓上切断機。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記台座部には、前記後方姿勢の前記可動載置部と係合する突出部が設けられた卓上切断機。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記ターンテーブルに回転可能に支持される回転基端部を備え、前記ターンテーブルと協働して前記被切断材を支持する補助載置部を有し、前記補助載置部の前記回転基端部が前記可動載置部の前記回転基端部よりも前方に位置する卓上切断機。
【請求項9】
請求項8に記載の卓上切断機であって、
前記補助載置部の前記回転基端部は、前記ターンテーブルを最大角度に回転させた状態において、前記可動載置部の前記回転基端部よりも前方に位置する卓上切断機。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部と前記補助載置部は、それぞれ回転させて相互に当接可能な位置関係を有する卓上切断機。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部は、前記回転基端部から直線状に延出する卓上切断機。
【請求項12】
請求項1~10の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部は、前記回転基端部から曲折形状を有して延出する卓上切断機。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部の本体は、軽金属製若しくは合成樹脂製である卓上切断機。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部の前記回転基端部は、鋼製の支軸を介して前記台座部に回転可能に支持された卓上切断機。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部は、相互に回転可能に連結された複数の載置部分を含む関節を備える卓上切断機。
【請求項16】
請求項1~15の何れか1つに記載の卓上切断機であって、
前記可動載置部は、前記台座部に設けた支持孔に挿入された支軸を介して前記台座部に回転可能に支持されており、
前記支軸の先端部が前記支持孔を貫通し、前記先端部には弾性部材から構成された抜け止め用のリング部材が装着されている卓上切断機。
【請求項17】
請求項16に記載の卓上切断機であって、
前記支軸には、弾性部材から構成されかつ前記支持孔内に配置されるガタ抑制用のリング部材が装着されている卓上切断機。
【請求項18】
請求項17に記載の卓上切断機であって、
前記支軸には、前記抜け止め用のリング部材が装着される抜け止め用の環状溝が形成され、
前記抜け止め用の環状溝は、前記ガタ抑制用の前記リング部材に近い軸方向端において前記支軸の軸中心線に対して傾斜するテーパ面を有する卓上切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば木材等の被切断材の切断加工に用いられる卓上切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
卓上切断機は、卓上や床上等に載置されるベースと、被切断材を載置するためのターンテーブルと、ターンテーブルの上方に設けられて刃具を具備する切断機本体を有する。電動モータを駆動源として回転する刃具を、ターンテーブルに載置した被切断材に切り込ませて切断加工がなされる。従来、ターンテーブルからはみ出る大型の被切断材の載置姿勢を安定化するための工夫がなされている。
【0003】
特許文献1には、ベースの前部に延長テーブルを水平方向に回転可能に設けることが記載されている。延長テーブルを前方に延在させて被切断材をターンテーブルからはみ出る位置で受けて載置姿勢を安定化できる。特許文献2には、切断材を面方向に位置決めするフェンスの位置決め面の近傍に設けた回転軸を介して延長テーブルを水平方向に回転可能に設けることが記載されている。また、特許文献2には、ベースの側部から側方へ大きく張り出す延長テーブルを設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-241803号公報
【特許文献2】米国特許第10702933号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された延長テーブルによれば、左右方向への可動域が少ないため左右方向に長い被切断材を載置する場合には、別途ホルダ金具等を用意する必要があり、適用可能な被切断材に限界があった。特許文献2の前者の延長テーブルによれば、側方へ回転させた状態では前方領域で被切断材を受けることが困難になる問題があった。特許文献2の後者の延長テーブルによれば、鋼製部品が多いため重量が嵩む問題があった。本開示では、延長テーブルの軽量化を図るとともに、より広範な大きさの被切断材に適用できる延長テーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によると、卓上切断機は、例えばベースと、ベースに回転可能に支持されて被切断材が載置されるターンテーブルと、ターンテーブルに上下に揺動可能に支持され、かつ円盤形の刃具を備える切断機本体を有する。卓上切断機は、例えばターンテーブルの側方においてベースから上方に突出する台座部と、台座部に回転可能に支持される回転基端部を備え、ターンテーブルと協働して被切断材を支持する可動載置部を有する。可動載置部は、例えば回転基端部から刃具の面方向に延びる後方姿勢と、回転基端部から刃具の面方向に交差する側方に延びる側方姿勢の間を移動可能である。
【0007】
従って、延長テーブルとしての可動載置部が回転式であることでその軽量化が図られるとともに、可動載置部が後方姿勢と側方姿勢に移動することでより広範な大きさの被切断材を支持できる。本開示では、いわゆる直角切り加工の場合における刃具の面方向を基準として後方姿勢と側方姿勢が規定される。従って、直角切り加工の場合における刃具の面方向は、例えば位置決めフェンスの位置決め面に直交する方向に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例に係る卓上切断機の斜視図である。本図は、可動載置部が後方姿勢に位置する状態を示している。
【
図2】第1実施例に係る卓上切断機の斜視図である。本図は、可動載置部が側方姿勢に位置する状態を示している。
【
図3】第1実施例に係る卓上切断機の平面図である。本図はターンテーブルが直角切り位置に位置する状態を示している。
【
図4】第1実施例に係る卓上切断機の平面図である。本図は、ターンテーブルが左側へ45°回転した斜め切り位置に位置する状態を示している。
【
図5】
図3中V-V線断面矢視図であって、可動載置部の縦断面図である。
【
図6】台座部に対する組み付け前の可動載置部の縦断面図である。
【
図7】支軸に対する第1、第2リング部材の組み付け状態を示す側面図である。
【
図8】
図5中VIII-VIII線断面矢視図であって、可動載置部の縦断面図である。
【
図9】第2実施例に係る卓上切断機の斜視図である。本図は、可動載置部が後方姿勢に位置する状態を示している。
【
図10】第2実施例に係る卓上切断機の斜視図である。本図は、可動載置部が側方姿勢に位置する状態を示している。
【
図11】第2実施例に係る卓上切断機の平面図である。本図はターンテーブルが直角切り位置に位置する状態を示している。
【
図12】第3実施例に係る卓上切断機の斜視図である。本図は可動載置部と補助載置部がともに側方姿勢に位置する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば卓上切断機は、ターンテーブルから起立して被切断材の端面が当接される位置決めフェンスを有する。例えば可動載置部の回転基端部は、位置決めフェンスから台座部の刃具の面方向の手前側の端部までの距離の半分よりも台座部の手前側の領域に位置する。
【0010】
従って、位置決めフェンスの手前側において可動載置部が側方姿勢に位置することで被切断材が可動載置部に載置される。これにより刃具の面方向に交差する方向の側方に大きく延在される被切断材の安定化が図られる。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部の回転基端部は、台座部の手前側の端部近傍に位置する。従って、可動載置部により被切断材の載置状態が一層安定化される。
【0012】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば卓上切断機は、ターンテーブルから起立して被切断材の端面が当接される位置決めフェンスを有する。例えば可動載置部の回転基端部は、位置決めフェンスよりも刃具の面方向の手前側に位置し、可動載置部は、後方姿勢において位置決めフェンスと交差し、側方姿勢において位置決め面と交差しない。
【0013】
従って、可動載置部は、後方姿勢で位置決めフェンスに交差してコンパクトに格納される。これにより可動載置部の大形化を図ることができる。大形の可動載置部を側方姿勢に位置させることで被切断材の安定化が一層図られる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部の回転先端部に接地用の支持脚が設けられる。従って、可動載置部の撓みが抑制されることで被切断材の支持がより一層安定化される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば支持脚はねじの締め込み量により高さを調整可能である。従って、例えば設置面に凹凸がある場合にもテーブル上面と載置面の高さを合わせることができる。これにより可動載置部の撓みがより確実に抑制されて被切断材の支持が安定化される。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば台座部には、後方姿勢の可動載置部と係合する突出部が設けられる。従って、突出部により可動載置部が後方姿勢に保持される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えばターンテーブルに回転可能に支持される回転基端部を備え、ターンテーブルと協働して被切断材を支持する補助載置部を有する。例えば補助載置部の回転基端部が可動載置部の回転基端部よりも前方に位置する。従って、被切断材の前方側の支持が補助載置部により安定化される。これにより前後に幅広の被切断材の支持が安定化される。
【0018】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば補助載置部の回転基端部は、ターンテーブルを最大角度に回転させた状態において、可動載置部の回転基端部よりも前方に位置する。従って、ターンテーブルの全回転領域において前後に幅広の被切断材の支持が安定化される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部と補助載置部は、それぞれ回転させて相互に当接可能な位置関係を有する。従って、前後方向に連続した大きな載置面が形成されることで、前後に幅広の被切断材の支持がより確実に安定化される。
【0020】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部は、回転基端部から直線状に延出する。従って、直線形状の可動載置部が例えば側方姿勢に位置されることで左右方向に長い被切断材の支持が安定化される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部は、回転基端部から曲折形状を有して延出する。従って、可動載置部により前後左右に大きな載置面が形成されて被切断材の支持の安定化が図られる。また、可動載置部の後方姿勢のコンパクト化が図られる。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部の本体は、軽金属製若しくは合成樹脂製である。従って、可動載置部の軽量化が図られる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部の回転基端部は、鋼製の支軸を介して台座部に回転可能に支持される。従って、可動載置部の支持精度が向上して、円滑な回転動作と高い支持剛性が得られる。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部は、相互に回転可能に連結された複数の載置部分を含む関節を備える。従って、可動載置部の大きな支持領域とコンパクトな格納性が両立される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば可動載置部は、台座部に設けた支持孔に挿入された支軸を介して台座部に回転可能に支持されている。例えば支軸の先端部が支持孔を貫通し、先端部には弾性部材から構成された抜け止め用のリング部材が装着されている。従って、支持孔に支軸を挿入して台座部に対する可動載置部の組み付け作業がなされる。これにより可動載置部の組み付け性が高められる。支軸はリング部材を弾性変形させて支持孔に挿入される。リング部材により支軸の支持孔からの抜け止めがなされる。
【0026】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば支軸には、弾性部材から構成されかつ支持孔内に配置されるガタ抑制用のリング部材が装着されている。従って、支持孔に対する支軸ががたつきが抑制されて可動載置部の支持剛性が高められる。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施態様において、例えば支軸には、抜け止め用のリング部材が装着される抜け止め用の環状溝が形成される。例えば抜け止め用の環状溝は、ガタ抑制用のリング部材に近い軸方向端において支軸の軸中心線に対して傾斜するテーパ面を有する。従って、抜け止め用の環状溝を通過して装着されるガタ抑制用のリング部材の装着作業の容易化が図られる。
【実施例0028】
図1~4は、第1実施例に係る卓上切断機1を示している。第1実施例ではいわゆるスライドマルノコと称される卓上切断機1を例示する。
図1に示すように卓上切断機1は、卓上や床上等(設置面F)に載置されるベース2と、被切断材を載置するためのターンテーブル4と、切断機本体10を有する。
【0029】
ベース2の上面にターンテーブル4が支持されている。ターンテーブル4はテーブル回転支軸2aを介して左右に一定の範囲で回転可能に支持されている。ターンテーブル4は、平面視で略円形状の円盤部8を有する。円盤部8の上面であるテーブル上面4aは、水平に設けられている。ターンテーブル4は、円盤部8の中心(テーブル回転支軸2a)を回転中心にして水平方向に回転可能である。
【0030】
切断機本体10は、ターンテーブル4の上方に設けられている。切断機本体10には、丸鋸刃の一種であるチップソー(英語名:tipped saw blade)と称される略円盤状の刃具11が回転可能に支持されている。使用者は、卓上切断機1の手前に位置して切断作業を行う。以下の説明において部材及び構成の上下左右方向は使用者を基準にして規定する。部材及び構成の前後方向は、いわゆる直角切りの場合における刃具11の面方向を基準に規定する。使用者から見て手前を前側とする。いわゆる直角切りの場合には、被切断材Wに対して刃具11が後方へ切り込まれていくことで切断加工が進行する。
【0031】
ベース2は、ターンテーブル4の左右両側方に台座部3を有する。台座部3は、テーブル上面4aと同じ上面高さの載置面3bを有する。台座部3は、ベース2に対して固定されている。ベース2は、台座部3の側端面3aを左右方向の端面として有している。
【0032】
ターンテーブル4は、刃具11の側面に沿って円盤部8の前部から延出するテーブル突出部5を有する。テーブル上面4aおよびテーブル突出部5の上面には、前後方向に長尺の2つの刃口板5aが相互に平行に設けられている。左右の刃口板5a間の溝孔5bに刃具11が進入する。刃口板5aの上面は、テーブル上面4a(円盤部8の上面)に一致している。
【0033】
円盤部8と台座部3の上方には、左右方向に延びかつ上方に延びる壁形状の位置決めフェンス6が設けられている。位置決めフェンス6は、左右の台座部3の上面に支持されている。位置決めフェンス6は、前面に垂直に起立する位置決め面6aを有する。位置決め面6aは、ターンテーブル4の回転中心であるテーブル回転支軸2aを通る鉛直面上に位置している。テーブル上面4aに載置される被切断材Wは、位置決め面6aに当接されて前後方向に位置決めされる。
【0034】
ベース2の前部の略半周の領域には、円弧形状のマイタスケールプレート7が設けられている。マイタスケールプレート7は、テーブル上面4aよりも下方において水平に延びるように設けられている。マイタスケールプレート7の上面には、ターンテーブル4のマイタ角度を示す目盛が印刷されている。マイタスケールプレート7は、径方向に延びる溝状の複数の位置決め凹部7bを有する。位置決め凹部7bは、マイタスケールプレート7の周方向に所定の角度間隔で設けられている。位置決め凹部7bには、ターンテーブル4の回転位置をロックするポジティブロック機構の位置決めロッドが進入される。
【0035】
円盤部8の側面には、マイタスケールプレート7の目盛を指す目盛指示部4fが設けられている。円盤部8およびテーブル突出部5のマイタ角度は、目盛指示部4fが指すマイタスケールプレート7の目盛で確認できる。例えば
図1に示すようにマイタ角度が0°の場合は、刃具11の側面と位置決め面6aが直角で交差する。この場合、切断面と被切断材Wの側面が直交するいわゆる直角切りを行うことができる。例えば
図4に示すようにマイタ角度が左方に向けて45°である場合、刃具11の側面と位置決め面6aは45°で交差する。この場合切断面が被切断材Wの端面に対して45°傾斜したいわゆる斜め切り(英語名:miter cut)を行うことができる。
【0036】
ターンテーブル4の後方には、略上方に延びる本体支持アーム40が設けられている。本体支持アーム40を介して切断機本体10がターンテーブル4の上方に支持される。本体支持アーム40は、前後方向に延びる左右傾動支軸40aを中心にして、ターンテーブル4のアーム支持部4bに対して左右方向に傾動可能に支持されている。これにより切断機本体10を左方又は右方へ傾動させて刃具11を被切断材Wの上面に対して一定角度で傾斜させて切り込ませる傾斜切り(英語名:bevel cut)を行うことができる。
【0037】
本体支持アーム40の上部には、2本のスライドバー41の後部が結合されている。2本のスライドバー41は、相互に平行に前方に延在されている。2本のスライドバー41を介してスライドベース42が前後方向にスライド可能に支持されている。スライドベース42を前後方向にスライドさせて刃具11を前後方向に長い距離切り込ませることにより、前後方向に幅広の被切断材Wを切断加工できる。切断機本体10は、左右方向に延在される上下揺動支軸10aを中心にしてスライドベース42に対して上下方向に揺動可能である。
図3,4では、スライドベース42と切断機本体10の図示が省略されている。
【0038】
図1,2に示すように刃具11は、上下揺動支軸10aよりも前方において切断機本体10に回転可能に取付けられている。刃具11は、左右方向に延出する不図示の出力軸に一体に取付けられている。切断機本体10を下方へ揺動させることで、ターンテーブル4に載置した被切断材W(
図3,4参照)に刃具11を切り込ませることができる。
【0039】
図1,2に示すように切断機本体10は、刃具11の周囲を覆う固定カバー12と可動カバー13を有する。固定カバー12は、刃具11の上側半周の範囲を覆っている。固定カバー12の左側部には、刃具11の回転方向を示す白抜きの矢印12aが表示されている。可動カバー13は、刃具11の概ね下側半周の範囲を覆うことが可能である。可動カバー13は、切断機本体10の上下揺動に連動して回転し、刃具11の下側半周を開閉する。切断機本体10を上方に揺動させた場合、可動カバー13が閉じ方向(
図1において時計回り方向)に回転する。これにより刃具11の下側半周の範囲が覆われる。切断機本体10の下方への揺動動作に連動して可動カバー13が開き方向(
図1において反時計回り方向)に回転する。これにより刃具11の下側半周の範囲が露出される。
【0040】
切断機本体10は、固定カバー12と可動カバー13よりも右方かつスライドバー41よりも左方に電動モータ9を備えている。電動モータ9の出力は、減速ギヤ列を介して出力軸に伝達される。そのため電動モータ9の駆動によって刃具11が回転する。
【0041】
図1,2に示すように切断機本体10の後部には、バッテリ取付部25が設けられている。バッテリ取付部25に、スライド取り付け形式のバッテリパック26が着脱可能に取り付けられる。バッテリパック26は、例えば出力電圧が36Vのリチウムイオンバッテリである。バッテリパック26は、バッテリ取付部25から取外して別途用意した充電器を利用して繰り返し充電できる。バッテリパック26は、ねじ締め機や電気ドリル等のその他の充電式電動工具との間で電源として使い回すことができる。
【0042】
切断機本体10の前方上部には、ループ形の操作ハンドル31が設けられる。操作ハンドル31は、固定カバー12と可動カバー13よりも右方に配置される。操作ハンドル31の内周側には、スイッチレバー32が設けられている。スイッチレバー32は、使用者が操作ハンドル31を把持した状態で指を掛けて引くことができる。スイッチレバー32を引くと電動モータ9が起動する。操作ハンドル31の上部にはロックオフボタン33が設けられている。ロックオフボタン33を押すことで、スイッチレバー32を引く操作が可能になる。これにより不用意な電動モータ9の起動が回避される。
【0043】
切断機本体10は、操作ハンドル31の後方に同じくループ形のキャリングハンドル34を有する。キャリングハンドル34は、切断機本体10を下死点でロックした状態で使用者が卓上切断機1を持ち運びする際の把持部として機能する。切断機本体10には、下方に向けて照明光を照射する照明具35が設けられている。照明具35は、刃具11による切断領域の周辺を明るく照らす。固定カバー12の内部には、下方に向けてレーザ光を照射するレーザ照射器36が設けられている。レーザ照射器36のレーザ光を被切断材Wに描かれた墨線と位置を合わせる。これにより刃具11を被切断材Wに描かれた墨線に合わせて切り込ませることができる。
【0044】
テーブル突出部5の下部には、2系統のテーブル固定機構が設けられている。テーブル突出部5の前部には、グリップ46が設けられている。グリップ46は、使用者が把持して回転させやすいように周縁部に凹凸形状を有している。使用者は、グリップ46を把持してターンテーブル4をベース2に対して水平方向に回転させることができる。グリップ46からテーブル突出部5の内部後方に向けて固定ロッド(図では見えていない)が延出している。グリップ46の回転操作により固定ロッドが前後に変位する。固定ロッドが前後に変位されることで、ターンテーブル4の回転位置がロック、アンロックされる。
【0045】
テーブル突出部5の下部には、上記の固定機構とは別系統のポジティブロック機構が設けられている。ポジティブロック機構は、ロック解除レバー47と位置決めロッドを有する。ロック解除レバー47は、テーブル突出部5の前部の左側部に設けられている。位置決めロッドは、テーブル突出部5の内部後方に向けて延出している。位置決めロッドは、マイタスケールプレート7と略同じ高さに設けられている。位置決めロッドの後端は、後方に変位することで位置決め凹部7bに進入可能である。位置決めロッドの後端は、前方に変位することで位置決め凹部7bとの係合を解除可能である。
【0046】
ロック解除レバー47の上下動操作により位置決めロッドが前後に進退する。位置決めロッドが後方へ変位してその後端部がマイタスケールプレート7の位置決め凹部7bに進入されることで、ターンテーブル4が一定の角度位置にロックされる。位置決めロッドが前方へ変位してその後端部が位置決め凹部7bが離脱されることで、ターンテーブル4が左右に回転可能となる。
【0047】
本実施例の卓上切断機1は、前後方向若しくは左右方向に幅広な大形の被切断材Wを安定した姿勢でターンテーブル4上に載置する延長テーブルを備える。本実施例では延長テーブルとして、ベース2の台座部3に設けた可動載置部50と、ターンテーブル4のテーブル突出部5に設けた補助載置部60を例示する。
【0048】
可動載置部50は、左右の台座部3に設けられている。本実施例において左右の可動載置部50は同様若しくは左右対称の構成を有している。以下左側の可動載置部50について説明する。可動載置部50は、長尺の角棒形の本体51を有する。本体51は、真っ直ぐに延びる直線形状を有する。本体51は、例えばアルミニウム合金製やマグネシウム合金製の軽金属製又はポリアミド製やポリカーボネイト製の合成樹脂製である。これにより可動載置部50の軽量化が図られている。支軸52を鋼製とし、本体51を軽金属製又は合成樹脂製として両者を組み合わせることで、可動載置部50の全体を適切な剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0049】
可動載置部50は、台座部3の左側部に設けた段差部3cに支持されている。段差部3cは、載置面3bよりも一段低く設けられている。本体51の回転基端部50a(
図1において前端部)が支軸52を介して段差部3cの前端側に支持されている。本体51は支軸52を介してテーブル上面4aの面方向(水平方向)に回転可能に支持されている。本体51の先端上面には載置面51aが存在する。回転基端部50aの上面には載置面51dが存在する。載置面51aと載置面51dは、平面視で円形をしており、本体51に対して上方に僅かに高くなっている(載置面51dは、さらに中央が凹んだリング形状を有している)。載置面51aと載置面51dは、台座部3の載置面3b及びテーブル上面4aに一致している。
【0050】
可動載置部50(本体51)の回転基端部50a(支軸52)は、位置決めフェンス6の位置決め面6aから台座部3の前端部3f(刃具11の面方向の手前側の端部)までの距離Lの半分よりも手前側の領域Eに位置している。本実施例では本体51の回転基端部50aは、台座部3の手前側の前端部3fの近傍に位置している。回転基端部50aは、左右方向外側端部に位置している。具体的には、左側の回転基端部50aは、左側の台座部3の左側端部に位置しており、右側の回転基端部50aは、右側の台座部3の右側端部に位置している。回転基端部50aは、左右方向端部に設けられることにより、台座部3に干渉することなく後方に回動させることが可能になっている。
【0051】
本体51は、支軸52を中心にして水平方向に回転させることで、
図1,3に示す後方姿勢と
図2,4に示す側方姿勢に移動可能である。後方姿勢では本体51が段差部3cの前端部から後方へ延在される。このため、後方姿勢では本体51が位置決めフェンス6と交差して後方へ延在される。これにより本体51を長くしても後方姿勢(格納時)では使用者側に張り出さないため作業の邪魔にならない。従って、長い本体51を側方姿勢に取り出して被切断材Wの載置状態を安定化させることが容易になる。
【0052】
側方姿勢では本体51が位置決めフェンス6と交差しないで側方へ延在される。本体51が側方姿勢に位置されることで、特に左右方向に長い被切断材Wの載置状態が安定化される。本体51の回転中心(支軸52)が台座部3の前端部3fの近傍に配置されることで前後幅の大きな被切断材Wについても側方姿勢に位置する本体51により安定して受けられる。
【0053】
図5,6に示すように支軸52は本体51の前端部(回動基端部50a)から下方へ突き出す状態に結合されている。支軸52が段差部3cに設けた支持孔3dに上方から挿入されて、本体51が段差部3cに支持されている。
【0054】
支軸52には鋼製の軸部材が用いられる。これにより、本体51の支持精度が向上する。また鋼製の支軸52により本体51の円滑な回転動作と高い支持剛性が得られる。
【0055】
支軸52に第1リング部材53と第2リング部材54が装着されている。第1リング部材53と第2リング部材54には弾性を有する例えばOリングが用いられる。第1リング部材53と第2リング部材54には同じサイズ(径)のOリングが用いられる。支軸52には下端から第1テーパ面52aと、第1環状溝52bと、第2テーパ面52cと、第2環状溝52dが設けられている。第1環状溝52bに第1リング部材53が装着される。第2環状溝52dに第2リング部材54が装着される。
【0056】
図7に示すように第1リング部材53と第2リング部材54は、本体51の前端部(回動基端部)に支軸52が結合された状態で、支軸52の下端部から装着される。先に、第2リング部材54が装着される。第2リング部材54は第1環状溝52bを経て第2環状溝52dに装着される。第1環状溝52bの上部側(第2環状溝52d側)に第2テーパ面52cが設けられている。第2テーパ面52cにより第2リング部材54を第1環状溝52b内から第2環状溝52d内に容易に移動させることができる。先に第2リング部材54を第2環状溝52d内に装着した後に、第1リング部材53が第1環状溝52b内に装着される。第1リング部材53は第1テーパ面52aを経ることにより第1環状溝52b内に容易に装着される。
【0057】
第1リング部材53と第2リング部材54を装着した状態で支軸52が台座部3の支持孔3dに挿入される。第1テーパ面52aにより案内されることで支持孔3dに対する支軸52の挿入が容易になされる。支軸52は第1リング部材53と第2リング部材54をそれぞれ弾性変形させつつ支持孔3d内に挿入される。下側の第1リング部材53は支持孔3dの下開口から出る。これにより第1リング部材53が拡径方向に弾性変形する。支持孔3dの下開口側で拡径した第1リング部材53により支軸52の支持孔3dからの抜け出しが規制される。第1リング部材53は抜け止め用のリング部材として機能する。
【0058】
第2リング部材54は支持孔3d内に配置される。第2リング部材54は支持孔3dの内面に弾性的に押圧される。これにより支軸52のがたつきが抑制される。第2リング部材54はガタ抑制用のリング部材として機能する。
【0059】
本体51の回転先端側(回転基端部50aとは反対側)に円柱体形の突き出し部51bが下方へ突き出す状態に設けられている。突き出し部51bに設置面Fへの接地用の支持脚55が支持されている。支持脚55はねじ軸部55aを有する。突き出し部51bに対するねじ軸部55aの締め込み量を調整することで、支持脚55の高さを調整することができる。突き出し部51bと支持脚55との間に圧縮ばね56が介装されている。圧縮ばね56の付勢力によりねじ軸部55aの緩み止めがなされている。
【0060】
段差部3cには突出部3eが設けられている。
図8に示すように本体51が後方姿勢に移動して段差部3cに位置すると、本体51のリブ51cが突出部3eに係合される。これにより可動載置部50が後方姿勢に保持される。
【0061】
補助載置部60は、可動載置部50と概ね同様の構成を有している。補助載置部60は、テーブル突出部5の左側部に設けた段差部5cに支持されている。補助載置部60は、長尺の角棒形の本体61を有する。本体61は、真っ直ぐに延びる直線形状を有する。本体61は、例えばアルミニウム合金製やマグネシウム合金製の軽金属製又はポリアミド製やポリカーボネイト製の合成樹脂製である。これにより補助載置部60の軽量化が図られている。
【0062】
段差部5cは、刃口板5aの上面より一段低く設けられている。本体61の回転基端部60a(
図1において前端部)が支軸62を介して段差部5cの前端側に支持されている。本体61は支軸62を介してテーブル上面4aの面方向(水平方向)に回転可能に支持されている。補助載置部60は本体61を水平方向に回転させることで、側方に延在される側方姿勢(
図4参照)と後方へ延在される後方姿勢(
図1~3参照)に移動可能である。本体61の上面(載置面61a)は、刃口板5aの上面及びテーブル上面4aに一致している。
【0063】
図では示されていないが可動載置部50の支軸52と同じく支軸62には、抜け止め用のリング部材とガタ抑制用のリング部材が装着されて、段差部5cの前端部付近に設けた支持孔に上方から挿入されて組み付けられる。支軸62は2つのリング部材により支持孔に対して抜け止めがなされ、かつがたつきが抑制される。リング部材が装着される溝部にはリング部材の装着作業の便宜を図るためのテーパ面が設けられている。
【0064】
本体61の回転先端側(回転基端部60aとは反対側)に円柱体形の突き出し部61bが下方へ突き出す状態に設けられている。突き出し部61bに設置面Fへの接地用の支持脚63が支持されている。可動載置部50の支持脚55と同じく、支持脚63は突き出し部61bに対するねじ軸部の締め込み量を調整することで高さを調整することができる。突き出し部61bと支持脚63との間に圧縮ばね64が介装されている。圧縮ばね64の付勢力によりねじ軸部の緩み止めがなされている。
【0065】
図4に示すように段差部5cには突出部5dが設けられている。
図1~3に示すように本体61が後方姿勢に移動して段差部5cに位置すると、本体61のリブが突出部5dに係合される。これにより補助載置部60が後方姿勢に保持される。
【0066】
補助載置部60は可動載置部50に対して手前側に配置される。補助載置部60により被切断材Wの手前側が受けられて被切断材Wの載置姿勢の安定化が一層図られる。補助載置部60は、可動載置部50とは別に側方姿勢に移動させて用いることができる。
図4に示すように補助載置部60は、可動載置部50とともに側方姿勢に移動させて用いることができる。これにより前後方向及び左右方向に大きな被切断材Wの載置姿勢の安定化が図られる。
【0067】
可動載置部50の載置面51aと、補助載置部60の載置面61aは、共にテーブル上面4aに面一に一致している。可動載置部50と補助載置部60は、それぞれ回転させて相互に当接可能な位置関係を有する。このため、可動載置部50の側方姿勢と補助載置部60の側方姿勢を調整することで
図4中二点鎖線で示すように両者を相互に当接させることができる。これにより被切断材Wをより局所的に下方から支持して被切断材Wの載置姿勢の安定化を図ることができる。
【0068】
テーブル突出部5の左側部であって、補助載置部60の前側に固定載置部65が設けられている。固定載置部65は、テーブル突出部5に対して固定されている。固定載置部65は、テーブル突出部5の左端から左方に張り出している。固定載置部65は、平面視で略台形形状を有している。固定載置部65の上面(載置面)は、テーブル上面4aと略同じ高さで水平に設けられている。
【0069】
図3に示すようにターンテーブル4を直角切りの姿勢になるマイタ角度が0°の直角切り位置に回転させる。台座部3の前方左端の角部2dは、ベース2においてテーブル回転支軸2aから最も遠い場所に位置する。支軸62と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aを中心として角部2dを通る円形領域の外方に位置する。補助載置部60は、側方姿勢に移動させることで円形領域の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。
【0070】
図4に示すようにターンテーブル4を斜め切りの姿勢になる左方の最大回転角度(例えば45°)まで回転させる。この場合も支軸62と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aを中心として最遠となる角部2dを通る円形領域の外方に位置する。補助載置部60は、側方姿勢に移動させることで円形領域の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。また、支軸62と固定載置部65は、台座部3の左側端面を含みかつ前後方向に延びる仮想平面よりも左方に位置する。補助載置部60は、側方姿勢に移動させることで仮想平面よりも左方に配置される。側方姿勢に移動した補助載置部60は、台座部3の載置面3bよりも切断機本体10から遠い側(左側)で下方から被切断材Wを支持できる。
【0071】
従って、ターンテーブル4を回転可能な範囲内のいずれの回転角度まで回転させた場合でも、補助載置部60とターンテーブル4が協働して、テーブル突出部5から側方に突出した前後方向に幅広の被切断材Wを安定した姿勢で載置できる。また、補助載置部60の支軸62は、テーブル回転支軸2aを中心として角部2dを通る領域よりも外方に位置することから、補助載置部60とベース2が互いに邪魔しないようにターンテーブル4を最大回転角度まで回転させることができる。
【0072】
左右の台座部3に設けた可動載置部50は、一方の本体51のみを側方姿勢に取り出して利用できるし、必要に応じて左右双方の本体51を側方姿勢に取り出して利用することができる。
【0073】
第1実施例によれば、卓上切断機は、ターンテーブル4に載置する被切断材Wを下方から受けてその載置姿勢の安定化させる可動載置部50を備える。可動載置部50は、回転基端部50a(支軸52)から後方(刃具11の面方向)に延びる後方姿勢と、回転基端部50aから側方(刃具11の面方向に交差する方向)に延びる側方姿勢の間を移動可能である。
【0074】
従って、可動載置部50が本体51を回転可能に支持した回転式の延長テーブルであることで、従来のスライド式の延長テーブルに比して例えばスライドバーを省略できる分だけ軽量化が図られる。また、可動載置部50が後方姿勢と側方姿勢に移動することでより広範な領域で被切断材Wを下方から支持できる。
【0075】
第1実施例によれば、可動載置部50の回転基端部50a(支軸52)は、位置決めフェンス6から台座部3の刃具11の面方向の手前側の前端部3fまでの距離Lの半分よりも台座部3の手前側の領域Eに位置する。
【0076】
従って、位置決めフェンス6の手前側において可動載置部50が側方姿勢に位置することで被切断材Wが可動載置部50に載置される。これにより刃具11の面方向に交差する側方に大きく延在される被切断材Wの載置姿勢の安定化が図られる。
【0077】
第1実施例によれば、可動載置部50の回転基端部50a(支軸52)は、位置決めフェンス6よりも刃具11の面方向の手前側に位置する。このため可動載置部50は、後方姿勢において位置決めフェンス6と交差し、側方姿勢において位置決め面6aと交差しない。
【0078】
従って、可動載置部50は、後方姿勢で位置決めフェンス6に交差してコンパクトに格納される。これにより可動載置部50の大形化(本体51の長尺化)を図ることができる。本体51を十分に長く形成しても後方へ延在する姿勢に格納されることから可動載置部50が使用者の邪魔になることがない。これにより可動載置部50の被切断材Wの姿勢安定化機能がより高められるとともに、良好な作業性が確保される。
【0079】
第1実施例によれば、可動載置部50の回転先端部に接地用の支持脚55が設けられる。従って、可動載置部50の撓みが抑制されることで被切断材Wの支持がより一層安定化される。
【0080】
第1実施例によれば、支持脚55はねじ軸部55aの締め込み量により高さを調整可能である。従って、例えば設置面Fに凹凸がある場合にもテーブル上面4aと載置面51aの高さを合わせることができる。これにより可動載置部50の撓みがより確実に抑制されて被切断材Wの支持が安定化される。
【0081】
第1実施例によれば、台座部3には、後方姿勢の可動載置部50と係合する突出部3eが設けられる。従って、突出部3eにより可動載置部50が後方姿勢に保持される。
【0082】
第1実施例によれば、ターンテーブル4のテーブル突出部5に補助載置部60を備える。補助載置部60は、テーブル突出部5の段差部5cに回転基端部60a(支軸62)を介して回転可能に支持される本体61を備える。補助載置部60によっても被切断材Wが下方から支持される。補助載置部60の回転基端部60aが可動載置部50の回転基端部50aよりも前方に位置する。従って、被切断材Wの前方側の支持が補助載置部60により安定化される。これにより前後に幅広の被切断材Wの支持が安定化される。
【0083】
第1実施例によれば、補助載置部60の回転基端部60aは、ターンテーブル4を最大角度に回転させた45°斜め切り位置において、可動載置部50の回転基端部50aよりも前方に位置する。従って、ターンテーブル4の全回転領域において前後に幅広の被切断材Wの支持が安定化される。
【0084】
第1実施例によれば、可動載置部50と補助載置部60は、それぞれ本体51,61を側方姿勢に回転させて相互に当接可能な位置関係を有する。従って、前後方向に連続した大きな載置面が形成されることで、前後に幅広の被切断材Wの支持がより確実に安定化される。
【0085】
第1実施例によれば、可動載置部50の本体51は、回転基端部50a(支軸52)から直線状に延出する。従って、直線形状の可動載置部50が側方姿勢に位置されることで左右方向に長い被切断材Wの支持が安定化される。
【0086】
第1実施例によれば、可動載置部50の本体51は、軽金属製若しくは合成樹脂製である。従って、可動載置部50の軽量化が図られる。
【0087】
第1実施例によれば、可動載置部50の回転基端部50aは、鋼製の支軸52を介して台座部3に回転可能に支持される。従って、可動載置部50の支持精度が向上して、円滑な回転動作と高い支持剛性が得られる。
【0088】
第1実施例によれば、支軸52には抜け止め用の第1リング部材53とガタ抑制用の第2リング部材54が装着されている。支軸52は両リング部材53,54を装着した状態で段差部3cの支持孔3dに上方から挿入されて本体51が組み付けられる。
【0089】
従って、台座部3に対する可動載置部50の組み付け性が高められる。第1リング部材53により支軸52の支持孔3dからの抜け止めがなされる。また、第2リング部材54により支持孔3dに対する支軸52ががたつきが抑制されて可動載置部50の支持剛性が高められる。
【0090】
第1実施例によれば、支軸52に第2リング部材54を装着する作業の便宜を図るための第2テーパ面52cが設けられている。第2テーパ面52cは、抜け止め用の第1リング部材53が装着される第1環状溝52bの上部(ガタ抑制用の第2リング部材54が装着される第2環状溝52d側)に沿って設けられる。第2テーパ面52cによりガタ抑制用の第2リング部材54の第2環状溝52dへの装着作業の容易化が図られる。
【0091】
図9~11には第2実施例に係る卓上切断機1が示されている。左右の台座部3にそれぞれ可動載置部70が設けられている。左右の可動載置部70は左右対称の構成を有する。第2実施例は、可動載置部70が第1実施例とは異なっている。変更を要しない部材及び構成については同位の符合を用いてその説明を省略する。第2実施例に係る可動載置部70は、基部71aと先端部71bがL字形に連接された曲折形状の本体71を有する。基部71aの先端上面と先端部71bの先端上面に載置面71cが設けられている。本体71は、例えばアルミニウム合金製やマグネシウム合金製の軽金属製又はポリアミド製やポリカーボネイト製の合成樹脂製である。これにより可動載置部70の軽量化が図られている。
【0092】
第2実施例では、曲折形状の本体71を有することで左右方向と前後方向の双方について被切断材Wを下方から受けることができる。これにより第1実施例の直線形の本体51に比して被切断材Wのより広い面積を下方から受けることで載置状態の安定化が一層図られる。
【0093】
第1実施例と同じく可動載置部70は、台座部3の左側部に設けた段差部3cに支持されている。可動載置部70(本体71)の回転基端部70a(支軸72)は、位置決めフェンス6の位置決め面6aから台座部3の前端部3f(刃具11の面方向の手前側の端部)までの距離Lの半分よりも手前側の領域Eに位置している。第2実施例でも本体71の回転基端部70aは、台座部3の前端部3fの近傍に位置している。
【0094】
本体71は、支軸72を中心にして水平方向に回転させることで、
図9に示す後方姿勢と
図10に示す側方姿勢に移動可能である。後方姿勢では本体71の基部71aが段差部3cの前端部から後方に延在される。このため、後方姿勢では本体71が位置決めフェンス6と交差して後方へ延在される。後方姿勢では本体71の先端部71bは台座部3の後部に沿って左右方向に延在される。これにより本体71の基部71aを長くしても後方姿勢(格納時)では使用者側に張り出さないため作業の邪魔にならない。従って、長い本体71を側方姿勢に取り出して被切断材Wの載置状態を安定化させることが容易になる。
【0095】
側方姿勢では本体71が位置決めフェンス6と交差しないで側方へ延在される。本体71が側方姿勢に位置されることで、特に左右方向に長い被切断材Wの載置状態が安定化される。本体71の回転基端部70a(支軸72)が台座部3の前端部3fの近傍に配置されることで前後幅の大きな被切断材Wについても側方姿勢に位置する本体71により安定して受けられる。
【0096】
第2実施例に係る可動載置部70は第1実施例と同様の支軸72を有する。従って、支軸72は抜け止め用のリング部材、ガタ抑制用のリング部材及びリング部材装着用のテーパ面を有する。支軸72が段差部3cの支持孔に上方から挿入されて、本体71が段差部3cに組み付けられる。
【0097】
本体71の回転先端側(先端部71bの先端側)に、第1実施例と同じく高さ調整可能な接地用の支持脚73が設けられている。
【0098】
図10に示すように第1実施例と同じく段差部3cに突出部3eが設けられている。本体71が後方姿勢に移動して段差部3cに位置すると、本体71の基部71aが突出部3eに係合される。これにより可動載置部70が後方姿勢に保持される。
【0099】
第2実施例の可動載置部70と補助載置部60をそれぞれ側方姿勢に移動させて左右方向及び前後方向に大形の被切断材Wの載置姿勢の安定化が一層図られる。
【0100】
第2実施例によれば、可動載置部70の本体71は、回転基端部70a(支軸72)から曲折形状を有して延出する。従って、可動載置部70により前後左右に大きな載置面が形成されて被切断材Wの支持の安定化が図られる。また、本体71の先端部71bがL字形に曲折されていることで可動載置部70の後方姿勢のコンパクト化が図られる。
【0101】
第1、第2実施例において、本体51,71の長さは左側と右側で異なる構成としてもよい。また、本体51,71の回転中心(支軸52,72)は必ずしも左右対称位置である必要はない。可動載置部50,70は左右の台座部3の一方にのみ設ける構成としてもよい。
【0102】
補助載置部60と固定載置部65は、テーブル突出部5の左側部に代えて若しくは加えて右側部に設けることもできる。
【0103】
図12には第3実施例が示されている。第3実施例に係る卓上切断機1は、台座部3に設けた可動載置部80と、ターンテーブル4のテーブル突出部5に設けた補助載置部90を備えている。可動載置部80と補助載置部90はそれぞれ多関節形の本体81,91を有する。可動載置部80の本体81と補助載置部90の本体91は相互に同じ構成の多関節構造を有する。
【0104】
可動載置部80の本体81は、基部81aと先端部81bを有する。基部81aの前側端部(回転基端部80a)が第1支軸82を介して段差部3cの前部に水平方向に回転可能に支持されている。基部81aの回転先端側に第2支軸83を介して先端部81bが水平方向に回転可能に連結されている。第1支軸82の回転軸線と第2支軸83の回転軸線は相互に平行に配置されている。第1支軸82と第2支軸83により基部81aと先端部81bが個別に水平回転可能な多関節構造が構成される。先端部81bの上面に載置面81cが設けられている。載置面81cは、台座部3の載置面3bと面一に一致している。
【0105】
補助載置部90の本体91は、基部91aと先端部91bを有する。基部91aの前側端部(回転基端部90a)が第1支軸92を介して段差部5cの前部に水平方向に回転可能に支持されている。基部91aの回転先端側に第2支軸93を介して先端部91bが水平方向に回転可能に連結されている。第1支軸92の回転軸線と第2支軸93の回転軸線は相互に平行に配置されている。第1支軸92と第2支軸93により基部91aと先端部91bが個別に水平回転可能な多関節構造が構成される。先端部91bの上面に載置面91cが設けられている。載置面91cは、テーブル上面4a及び刃口板5aの上面に面一に一致している。
【0106】
第3実施例によれば、可動載置部80と補助載置部90は、基部81a(91a)と先端部81b(91b)が相互に回転可能に連結された多関節構造を有する。従って、可動載置部80と補助載置部90の大きな支持領域とコンパクトな格納性が両立される。また、多関節構造の可動載置部80と補助載置部90によれば側方姿勢の自由度が高まる。これにより、被切断材Wの載置姿勢の安定化が一層図られる。
【0107】
第1~第3実施例にはさらに変更を加えることができる。左側の台座部3と右側の台座部3とで、第1実施例に係る可動載置部50と、第2実施例に係る可動載置部70と、第3実施例に係る可動載置部80を組み合わせて配置する構成としても良い。
【0108】
第3実施例において、基部81a(91a)と先端部81b(91b)との連結部に支持脚84(94)を設ける構成を例示したが、これに代えて若しくは加えて先端部81b(91b)の先端下面に接地用の支持脚を設ける構成としてもよい。
【0109】
第1~第3実施例では、卓上切断機1として切断機本体10が前後方向にスライド可能に設けられたスライドマルノコを例示したが、切断機本体が前後にスライドしない卓上マルノコについても例示した可動載置部50,70,80を適用可能である。
【0110】
第1~第3実施例の卓上切断機1が本開示の1つの局面における卓上切断機の一例である。第1~第3実施例のベース2が本開示の1つの局面におけるベースの一例である。第1~第3実施例の被切断材Wが本開示の1つの局面における被切断材の一例である。第1~第3実施例のターンテーブル4が本開示の1つの局面におけるターンテーブルの一例である。
【0111】
第1~第3実施例の刃具11が本開示の1つの局面における刃具の一例である。第1~第3実施例の切断機本体10が本開示の1つの局面における切断機本体の一例である。第1~第3実施例の台座部3が本開示の1つの局面における台座部の一例である。
【0112】
第1実施例の可動載置部50、第2実施例の可動載置部70、第3実施例の可動載置部80が本開示の1つの局面における可動載置部の一例である。第1実施例の回転基端部50a、第2実施例の回転基端部70a、第3実施例の回転基端部80aが本開示の1つの局面における回転基端部の一例である。