(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036766
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】計画装置、計画方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20240311BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B65G67/60 G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141221
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伍 偉恒
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祐一
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼根 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 栄治
【テーマコード(参考)】
3F077
5L049
【Fターム(参考)】
3F077AA02
3F077EA06
3F077EA07
3F077EA21
3F077EA23
3F077FA03
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】船体の重心バランスや特殊コンテナの積載位置を考慮したコンテナの船積み計画を作成する計画装置を提供する。
【解決手段】計画装置は、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するデータ取得部と、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定する制約条件定義部と、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定する目的関数定義部と、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算する最適化計算部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するデータ取得部と、
前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定する制約条件定義部と、
前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定する目的関数定義部と、
前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算する最適化計算部と、
を備える計画装置。
【請求項2】
前記目的関数定義部は、さらに、前記貨物を前記船舶に積載するために用いられる荷役機器の非効率さの程度を示す、前記貨物を積載する前記空スペースの位置を変数とする関数を、前記目的関数に含める、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項3】
前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、前記荷役機器が第1の前記貨物を前記船舶に積むために、第1の前記貨物の上に積まれた第2の前記貨物を取り除く必要があるような第1の前記貨物を積載する前記空スペースの位置と第2の前記貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である、
請求項2に記載の計画装置。
【請求項4】
前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、第1の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第1の前記荷役機器の位置と第2の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第2の前記荷役機器の位置との差および第1の前記貨物を前記船舶に積む時間と第2の前記貨物を前記船舶に積む時間との差が所定の範囲内となるような第1の前記貨物を積載する前記空スペースの位置と第2の前記貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である、
請求項2又は請求項3に記載の計画装置。
【請求項5】
前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、前記貨物を前記船舶に積むために用いられる1台の前記荷役機器によって連続的に前記船舶に積まれる第1の前記貨物と第2の前記貨物の蔵置位置が所定の距離よりも離れていることになるような第1の前記貨物を積載する前記空スペースの位置と第2の前記貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である、
請求項2又は請求項3に記載の計画装置。
【請求項6】
前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、第1の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第1の前記荷役機器の位置と、第2の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第2の前記荷役機器の位置と、を重ならせるような第1の前記貨物を積載する前記空スペースの位置と第2の前記貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である、
請求項2又は請求項3に記載の計画装置。
【請求項7】
前記貨物種類に関する制約式は、電源設備を必要とする前記貨物については、電源設備を備える前記空スペースに当該貨物を積載することを条件付ける制約式である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項8】
前記貨物種類に関する制約式は、コンテナに入らない前記貨物については、当該貨物を積載可能な前記空スペースに当該貨物を積載することを条件付ける制約式である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項9】
前記貨物種類に関する制約式は、危険品を含む前記貨物については、他の危険品を含む前記貨物との間に一定の間隔を空けることを条件付ける制約式である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項10】
前記貨物種類に関する制約式は、危険品を含む前記貨物については、熱源位置、居住区位置の周りに積載しないことを条件付ける制約式である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項11】
前記貨物種類に関する制約式は、デッキの上又は下に積載することを指定された前記貨物については、前記指定を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける制約式である、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項12】
前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する制約式は、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から前後方向にずれる距離が所定の第1範囲内となることを制約する制約式と、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から左右方向にずれる距離が所定の第2範囲内となることを制約する制約式と、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から上下方向にずれる距離が所定の第3範囲内となることを制約する制約式と、を含み、
前記目的関数は、前記第1範囲と、前記第2範囲と、前記第3範囲とに基づいて前記所定の範囲の大きさを算出する、
請求項1又は請求項2に記載の計画装置。
【請求項13】
船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、
前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、
前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、
前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、
を有する計画方法。
【請求項14】
コンピュータに、
船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、
前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、
前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、
前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計画装置、計画方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
港湾では、ガントリークレーンでコンテナ等の貨物を船舶に積載する作業が行われる。船舶の限られたスペースに効率よく貨物を配置するためには、様々な条件を考慮して、どの貨物を船体のどのエリアに格納するかを定めた船積み計画を作成する必要があり、従来から様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1には、数理計画法によって船積み計画を作成する方法が開示されている。また、特許文献2には、船舶の貨物収納部の構造をノードとアークのグラフ構造によってモデル化し、このモデルを使って、貨物の積み方の初期解を作成し、全ての貨物を積むことができる、必要時に対象貨物を搬出することができるといった観点から初期解の改善を繰り返すことにより、望ましい船積み計画を作成する方法が開示されている。
【0003】
ところで、積載する貨物の分布により船舶の重心位置は変化する。船舶の重心位置を適切に管理しなければ、安全面や効率面に影響が及ぶ。従って、船舶に貨物を積み込んだときの船体の重心バランスを考慮して船積み計画を作成する必要がある。特許文献1、2には、この点についての言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-247219号公報
【特許文献2】特開2003-173366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
船体の重心バランスを考慮した貨物の積載場所を定めた船積み計画を作成する方法が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる計画装置、計画方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の計画装置は、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するデータ取得部と、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定する制約条件定義部と、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定する目的関数定義部と、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算する最適化計算部と、を備える。
【0008】
本開示の計画方法は、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、を有する。
【0009】
また、本開示のプログラムは、コンピュータに、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物を前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の計画装置、計画方法及びプログラムによれば、船体の重心バランスを考慮した貨物の積載場所(ロケーション)を定めた船積み計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る計画装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る船積み作業の概要について説明する図である。
【
図3A】船体における貨物の積載領域について説明する第1の図である。
【
図3B】船体における貨物の積載領域について説明する第2の図である。
【
図4】実施形態に係る計画作成処理の入力情報の一例を示す図である。
【
図5A】実施形態に係る貨物の一例を示す図である。
【
図5B】実施形態に係る貨物に関する入力情報の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る計画作成処理の変数の一例を示す図である。
【
図7A】実施形態に係る計画作成処理の制約条件の一例を示す第1の図である。
【
図7B】実施形態に係る計画作成処理の制約条件の一例を示す第2の図である。
【
図8A】実施形態に係る計画作成処理の目的関数の一例を示す第1の図である。
【
図8B】実施形態に係る計画作成処理の目的関数の一例を示す第2の図である。
【
図9】実施形態に係る計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る計画装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の船積み計画の方法について図面を参照して説明する。
(概要)
図1は、実施形態に係る計画装置の一例を示すブロック図である。
図2は、船積み作業の概要について説明する図である。
計画装置10は、コンピュータによって構成され、コンテナヤードに蔵置されたコンテナを船舶1のどの位置(ロケーション)に積載するかを算出する。
図2に示すように、配送車TR1が荷主のコンテナをコンテナヤードに搬入する。RTG(Rubber Tired Gantry crane)1~2は、搬入されたコンテナをコンテナヤードに蔵置し、GC(Gantry Crane)1~2が、コンテナヤードに蔵置されたコンテナを船舶1へ船積みする。また、GC1~2は、船舶1に積載されたコンテナをコンテナヤードに陸揚げし、RTG1~2が、陸揚げされたコンテナを配送車TR2へ積み、配送車TR2が貨物を搬出する。GC1~2は、船舶1に沿って前後方向(Bay方向)に移動しながらコンテナの陸揚げ・船積みを行う。また、船積みを行う場合、1つのBayにおいては海側のRowから1つずつ陸側のRowに作業対象を移しながら船積み作業を行う。また、各Rowについて、コンテナを船積みするときには、下側の空きスペースから順にコンテナを積んでゆく。
【0013】
計画装置10は、(1)船舶1の重心バランスが偏らないようなコンテナの積載位置を算出する、(2)冷凍冷蔵品などの電源を必要とする貨物、一般的なコンテナに入らない貨物、危険品を含むコンテナ、積載位置の指定があるコンテナなどをそれぞれ適切な位置に積載する、(3)RTG1~2やGC1~2等の荷役機器の作業効率を向上させるコンテナの積載位置とする、といった要件を満たす船積み計画を作成する。船積み計画には、どのコンテナをどの位置に積載するかの情報が含まれる。
【0014】
次に
図3A,
図3Bを参照して、船舶1におけるコンテナの積載位置について説明する。
図3A、
図3Bは、それぞれ、船体におけるコンテナの積載領域について説明する第1の図、第2の図である。
図3Aに船舶1の平面図を示す。
図3Aに示す矩形の各セルは、コンテナを積載するための単位空間である。各セルのことをロケーションと呼ぶ。各ロケーションには、1つのコンテナを積載する。船舶1の前後方向をBayと呼び、船舶1の左右方向をRowと呼ぶ。Bay方向、Row方向をそれぞれセルの大きさ毎に区切り、あるセルを基準とすると、各ロケーションの水平方向の位置は、基準としたセルから何番目に位置するかで表すことができる。例えば、
図2Aの左上端のセルを基準とし、各ロケーションを(Bay番号,Row番号)のように表すと(Bay番号とは、基準のセルからBay方向に何個目のセルかを表す。Rowについても同様であり、後述するTierについても同様とする。)、基準となる左上端のロケーションは(1、1)となり、右上のロケーションは(1、7)と表すことができる。また、左上端のロケーションの1つ下(後ろ)のセルは(2、1)と表すことができる。
【0015】
図3Bに船舶1の断面図を示す。
図3Bに示す矩形の領域は、
図2Aで説明したセルの断面を示す。船舶1の上下方向をTierと呼ぶ。コンテナの積載領域をTier方向にセルの大きさ毎に区切り、あるセルを基準とすると、各ロケーションの上下方向の位置は、基準としたセルから何番目に位置するか(Tier番号)で表すことができる。例えば、
図3BがBay番号=1の断面図であるとし、一番下側のセルをTier方向の基準(Tier番号=1)とすると、
図3Bの左上端のロケーションは(1、1、6)、右上端のロケーションは(1、7、6)と表すことができる。なお、Bay番号、Row番号、Tier番号をそれぞれx座標、y座標、z座標のように記載する場合がある。
【0016】
計画装置10は、船舶1に積載するコンテナごとに、そのコンテナを積むロケーションの座標情報を算出する。その際、計画装置10は、上記したように(1)船舶1の重心バランスが適正な範囲に収まるようにする、(2)特殊な貨物(特殊コンテナと記載する。)は適切なロケーションに積む、(3)荷役機器(RTG1~2、GC1~2)の動作が非効率的にならないようにする、といった制約を考慮して、コンテナを積むロケーションを算出する。
【0017】
(構成)
図1に示すように、計画装置10は、データ取得部11と、入力受付部12と、制御部13と、出力部14と、記憶部15とを備える。
データ取得部11は、船舶1の構造、既に積載済みのコンテナ、コンテナの輸送先、コンテナの重量、コンテナの蔵置場所、特殊コンテナの要求条件、特殊コンテナの積載可能位置など船積み計画作成に必要な情報を取得し、取得した情報を記憶部15に保存するとともに、取得した情報を後述する最適化計算で扱えるように整形する機能を備える。
【0018】
入力受付部12は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置を用いて入力された、処理の実行を指示する指示情報などを受け付ける。入力受付部12は、受け付けた指示情報等を制御部13へ出力する。
【0019】
制御部13は、船舶1へ積載するコンテナの船積み計画を作成する処理の実行制御を行う。制御部13は、制約条件定義部131と、目的関数定義部132と、最適化計算部133と、を備える。
制約条件定義部131は、データ取得部11が取得した情報に基づいて、船舶1の空きロケーション、コンテナ積載可能範囲、ロケーション毎の積載可能重量、特殊コンテナの積載可能ロケーション、など制約条件を定義する機能を備える。
目的関数定義部132は、データ取得部11が取得した情報に基づいて、船舶1の重心バランスの最良化、コンテナを船舶1へ積載するために用いるGC1~2、及びコンテナを港湾に蔵置されているロケーションから取り出すに用いるRTG1~2の作業効率最大化、など目的関数を定義する機能を備える。
最適化計算部133は、制約条件定義部131で定義した制約条件を遵守し、目的関数定義部132で定義した目的関数を最適化する機能を備える。最適化計算部133は、例えば、数理最適化ソルバーである。
【0020】
出力部14は、各種の情報、例えば、作成した船積み計画(コンテナごとの積載ロケーション)等を表示装置や電子ファイルへ出力する。
記憶部15は、データ取得部が取得した情報、処理中のデータなどを記憶する。
【0021】
(船積み計画の作成に必要な入力情報)
図4、
図5Bに実施形態に係る計画作成処理の入力情報の一例を示す。データ取得部11は、
図4、
図5Bに例示する情報を船積み計画の作成に必要な入力情報として取得する。
図4に関し、例えば、データ取得部11は、座標x,y,z(それぞれ、Bay、Row、Tierに相当)のロケーションに既に積載されているコンテナの重量(CWS
xyz)、寄港地dを行先とするコンテナiの重量(CWL
di)、船舶1の入港時前後(Bay方向)重心を表すx座標(CXC)、船舶1の入港時左右(Row方向)重心を表すy座標(CYC)、船舶1の入港時上下(Tier方向)重心を表すz座標(CZC)、座標x,yのBay,Rowに積めるコンテナの重量上限(CWM
xy)、船舶1に寄港地dを行先とするコンテナを積載できる範囲(ロケーションx、y、zの集合)(CD
d)、船舶1の重心を中心よりどれ程前側にずらすかを示す値(CX
bias)、船舶1の重心を中心よりどれ程右側にずらすかを示す値(CY
bias)、船舶1の重心を中心よりどれ程上側にずらすかを示す値(CZ
bias)を取得する。このほかにも、データ取得部11は、積載対象のコンテナについて、寄港地、寄港地別の個数および各コンテナの重量、積載対象のコンテナの蔵置場所、船積みを行う荷役機器の台数、各荷役機器の作業範囲(Bay番号の範囲)などの基本的な情報を取得する。
【0022】
図5Aに船舶1に積載するコンテナ種類の一例を示す。図示するように積載対象のコンテナには、1)電源設備が必要なコンテナ、2)一般的なドライコンテナには入らない貨物(OOG)、3)危険品、4)デッキの上又は下などの積載位置の指定があるコンテナ、5)ドライコンテナ(一般的なコンテナ)などの種類がある。1)電源設備が必要なコンテナは、電源設備が取り付けられるロケーションに積載する必要がある。2)OOGには、例えば、一番上のロケーションに積載する(外置き)、両隣には他のコンテナを置かない(内置き)等の制約がある。3)危険品には、間隔を空ける、熱源から離す、居住区と離す等の制約がある。4)のコンテナについては、デッキの下に置くか(Hold指定)又はデッキの上に置くか(Deck指定)によって指定された場所に積載しなければならず、5)のコンテナについては、空いているロケーションであれば積載することができる。
【0023】
図5Aに例示したコンテナ種類に関し、
図5Bに例示する入力情報が計画装置10へ入力される。例えば、データ取得部11は、電源が付いているロケーションの集合(CRr)、Tier最上階であるロケーションの集合(COo)、内側(両隣が空いている)であるロケーションの集合(COi)、危険物を置けるロケーションの集合(CDg)、危険物種類番号pと危険物種類番号qを含むコンテナ同士の間で開けるべき最小距離(CDgD
pq)、デッキ下のロケーションの集合(CHo)、デッキ上のロケーションの集合(CHe)、シフトコンテナ(コンテナの船積みのために一時的に移動が必要となるコンテナのこと)が入港時に積載されていたロケーションのx座標と座標(それぞれCShX
di、CShY
di)。寄港地dを行先とするコンテナiが冷凍コンテナか否か(CR
rdi)、寄港地dを行先とするコンテナiが外置きOOGコンテナか否か(COo
di)、寄港地dを行先とするコンテナiが内置きOOGコンテナか否か(COi
di)、寄港地dを行先とするコンテナiの危険品コンテナの危険物種類番号(CDg
di)、寄港地dを行先とするコンテナiがHold指定コンテナか否か(CHo
di)、寄港地dを行先とするコンテナiがDeck指定コンテナか否か(CDe
di)、寄港地dを行先とするコンテナiがシフトコンテナか否か(CSh
di)、を取得する。データ取得部11は、
図4、
図5Bに例示した情報を入力データとして記憶部15に保存する。
【0024】
(変数)
図6に、実施形態に係る計画作成処理の変数の一例を示す。最適化計算部133は、後述する船積み計画の最適化計算を行って、
図6に例示する変数VL
dixyzの最適値を算出する。変数VL
dixyzは、座標x,y,zのロケーションに、寄港地dを行先とするコンテナiを積むか否かを示す変数である。
【0025】
また、図示を省略するが、船舶1の重心バランスに関する変数OX、OY、OZを用意する。変数OXは、船舶1の重心と理想的な重心位置との前後方向の距離を表す変数である。変数OYは、船舶1の重心と理想的な重心位置との左右方向の距離を表す変数である。変数OZは、船舶1の重心と理想的な重心位置との上下方向の距離を表す変数である。
【0026】
(制約条件)
図7A、
図7Bに、実施形態に係る計画作成処理の制約条件の一例を示す。制約条件定義部131は、最適化計算部133による船積み計画の最適化計算に先立って、
図7A~7Bに例示する制約条件を設定する。
【0027】
例えば、船舶1の構造に関する制約条件として、以下の(1)の制約条件が設定される。
(1)1つのBayおよびRowで定められる範囲に、重量上限を越えてコンテナを置かない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a1)で表すことができる。
【0028】
例えば、船舶1への船積み要求に関する制約条件として、以下の(2)~(3)の制約条件が設定される。
(2)各寄港地行きのコンテナ1本ずつをロケーション1箇所へ積む。この制約条件は、
図7Aの制約式(a2)で表すことができる。
(3)センタープラン(船会社によって指示されるコンテナの積載位置を指定する計画)で指定された各ロケーション1箇所ずつにコンテナ1本を積む。この制約条件は、
図7Aの制約式(a3)で表すことができる。
【0029】
例えば、船舶1の重心バランスに関して、以下の(4)~(9)の制約条件が設定される。
(4)重心が前後方向の中心から前側へずれる距離がOXを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a4)で表すことができる。
(5)重心が前後方向の中心から後ろ側へずれる距離がOXを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a5)で表すことができる。
(6)重心が左右方向の中心から左側へずれる距離がOYを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a6)で表すことができる。
(7)重心が左右方向の中心から右側へずれる距離がOYを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a7)で表すことができる。
(8)重心が上下方向の中心から上側へずれる距離がOZを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a8)で表すことができる。
(9)重心が上下方向の中心から下側へずれる距離がOZを超えない。この制約条件は、
図7Aの制約式(a9)で表すことができる。
【0030】
例えば、船舶1に船積みする特殊コンテナに関して、以下の(10)~(17)の制約条件が設定される。
(10)電源が必要なコンテナは、電源付きのロケーションに積む。この制約条件は、
図7Bの制約式(a10)で表すことができる。
(11)外置きが指定されたOOGコンテナは、最上階Tierに積む。この制約条件は、
図7Bの制約式(a11)で表すことができる。
(12)内置きが指定されたOOGコンテナは、左右上3方向を他のコンテナで囲む。この制約条件は、
図7Bの制約式(a12)で表すことができる。
(13)危険品は互いに一定な間隔mを空ける。この制約条件は、
図7Bの制約式(a13)で表すことができる。
(14)危険品は主機エンジンや補機ボイラーなど熱源の周りに置かない。この制約条件は、
図7Bの制約式(a14)で表すことができる。
(15)シフトコンテナは、一時的な移動の後、元々積載されていたロケーションと同じBay同じRowに戻す。この制約条件は、
図7Bの制約式(a15)で表すことができる。
(16)Hold指定されたコンテナは、デッキの下のTierにおく。この制約条件は、
図7Bの制約式(a16)で表すことができる。
(17)Deck指定されたコンテナは、デッキの上のTierにおく。この制約条件は、
図7Bの制約式(a17)で表すことができる。
【0031】
(目的関数)
図8A、
図8Bに、実施形態に係る計画作成処理の目的関数の一例を示す。目的関数定義部132は、最適化計算部133による船積み計画の最適化計算に先立って、
図8A,
図8Bに例示する式(b1)~(b8)によって構成される目的関数を設定する。目的関数は、例えば以下の式(c1)によって設定される。
目的関数:式(b1)+式(b2)+式(b3)+W
rtg2×式(b4)+W
rtg3×式(b5)+W
rtg4×式(b6)+W
rtg5×式(b7)+W
rtg6×式(b8)・・・(c1)
【0032】
図8Aの式(b1)~(b3)は、船舶1の重心をなるべく理想の重心位置(例えば、入港時の重心位置)に近づけるための式である。船舶1の重心を適切に調整することで、船舶1のバランスを維持する、視界を確保する、加速を容易にする、船体を安定させる、揺れを低減するなどの効果が期待できる。式(b1)は、船舶1の重心の前後方向の位置を目標に近づけるための式である。重心バランスについて前後方向を重視する場合、重みW
xに大きな値を設定する。同様に、式(b2)は、船舶1の重心の左右方向の位置を目標に近づけるための式であり、式(b3)は、船舶1の重心の上下方向の位置を目標に近づけるための式である。重みW
x、W
y、W
zを適切に設定することにより、重心位置を所望の位置に調整することができる。
【0033】
図8Bの式(b4)~(b8)は、コンテナヤード側の荷役機器(RTG1~2、GC1~2)の作業効率の向上を図るためのものである。
式(b4)は、コンテナヤードにて荷役機器による荷繰りを低減させることを目指した関数である。式(b4)のGC1=GC2は、1台のガントリークレーンでコンテナ1とコンテナ2の船積み作業を行うことを示す。t1>t2はコンテナ1がコンテナ2より上に置かれていることを示す。s1>s2は、コンテナ1をコンテナ2より遅く積むことを示している。式(b4)の全体では、コンテナ1がコンテナ2の上に置かれて、且つコンテナ2を先に積むという条件を満たすような船舶1におけるコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションの組合せがいくつあるかを示している。つまり、船積み予定のコンテナ群の中で、ヤード側にて荷繰りが必要なコンテナのペアが幾つあるかを示す式である。これを目的関数とし、最適化計算で最小化するようなコンテナの積載ロケーションVL
xyzを算出することで、荷繰りの必要が無いコンテナのロケーションが算出される。このような式を目的関数に含めることで、蔵置されたコンテナの位置に応じた、荷繰りの必要が無い船積み後のロケーションを算出することで(間接的に)荷役機器(GC1~2)の作業効率を向上することができる。
【0034】
式(b5)は、コンテナヤードにて荷役機器の干渉を低減させることを目指した関数である。式(b5)のGC1≠GC2は、2台のRTG1~2で作業を行うことを示す。b1≒b2は、作業対象のBayが隣接することを示す。s1≒s2は、コンテナ1とコンテナ2の積載順が近いことを示す。式(b5)の全体では、コンテナ1とコンテナ2の蔵置位置と積載順が近く、コンテナ1はGC1によって船積みされ、コンテナ2はGC2によって船積みされるような条件を満たすような船舶1におけるコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションの組合せがいくつあるかを示している。式(b5)を目的関数に含めて最適化(最小化)計算を行うことで、このような条件を満たす原因となるようなコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションが発生する可能性を低減し、荷役機器(RTG1~2又はGC1~2)の作業効率を向上することができる。
【0035】
式(b6)は、RTGの移動を減らすために作業対象となるコンテナのBayがなるべく同じBayとなるようにするための式である。式(b6)のb1≠b2は、作業対象のコンテナ1とコンテナ2が蔵置されたBayが同じはないことを示す。s1+1=s2は、コンテナ1の次にコンテナ2を積むことを示す。式(b6)の全体では、コンテナ1とコンテナ2のヤードにおける蔵置位置のBay番号が同じではなく、積載順が連続するようなコンテナ1とコンテナ2が1台のGC1によって船積みされるような条件を満たすコンテナ1とコンテナ2のロケーションの組合せがいくつあるかを示している。式(b6)を目的関数に含めて最適化(最小化)計算を行うことで、このような条件を満たす原因となるような船舶1におけるコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションが発生する可能性を低減し、荷役機器の作業効率を向上することができる。
【0036】
式(b7)は、コンテナヤードにて1つのBayに1台の荷役機器を割り当てることを目指した関数である。式(b7)は、2台のGC1、GC2が同じBay(b1=b2)で作業するという条件を満たすコンテナ1とコンテナ2の組合せがいくつあるかを示している。このような条件を満たす原因となるようなコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションが発生する可能性を低減することで、荷役機器の移動機会を低減することができるので、作業効率を向上することができる。
【0037】
式(b8)は、実入りコンテナをなるべくまとめて積むシーケンスを作成することを目指した関数である。式(b8)のf1≠f2はコンテナの形式(実入りコンテナか、空コンテナか)が異なることを示し、式(b8)全体では、形式が異なるコンテナ1とコンテナ2を連続して船積みすることになるようなコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションの組合せの数を示している。このような条件を満たす原因となるようなコンテナ1のロケーションとコンテナ2のロケーションが発生する可能性を低減することで、空コンテナを船積みした後に実入りコンテナを船積みし、またその後、空コンテナを船積みするといった状況を回避することができる。
【0038】
図8A~
図8Bに示すように上記の式(b1)~式(b8)には任意に重み係数を設定することができるので、重視する項目にはより大きな重み付けを行うことで、所望のロケーションを算出することができる。
【0039】
最適化計算部133は、式(c1)で表される目的関数の値を最小化するような変数VLdixyzを算出する。
【0040】
(動作)
次に本実施形態の船積み計画の作成処理の流れを説明する。
図9は、実施形態に係る計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
最初にデータ取得部11が、
図4、
図5Bにて例示した各種データや目的関数の重み係数W
x、W
y、W
z、W
rtg2、W
rtg3、W
rtg4、W
rtg5、W
rtg6の値、寄港地dを行先とするコンテナiの情報(寄港地d別のコンテナiの個数と重量、各コンテナがコンテナヤードのどこに蔵置されているか等)、何台のGC1等を用いて船積み作業を行うか、各GC1等の作業範囲(船舶1をBay方向に分割してできる範囲)、各GC1等の移動方向などの入力データを取得する(ステップS1)。データ取得部11は、取得した各種の入力データを記憶部15に書き込んで保存する。
次にユーザが、計画装置10に対して、船積み計画の作成を指示する操作を行う。入力受付部12は、この指示操作を受け付け、船積み計画作成処理の実行を制御部13に指示する。すると、制御部13が、制約条件定義部131、目的関数定義部132、最適化計算部133を用いて以下の処理を実行する。
まず、制約条件定義部131が、制約条件を設定する(ステップS2)。制約条件定義部131は、
図7A、
図7Bにて例示した制約式を制約条件として設定する。
次に、目的関数定義部132が、目的関数を設定する(ステップS3)。目的関数定義部132は、ステップS1にて記憶部15に保存された重み係数W
x等を記憶部15から読み出して、目的関数(式(c1))を設定する。
次に、最適化計算部133が、船積み計画を最適化する計算を行う(ステップS4)。最適化計算部133は、最適化問題を解くソルバーである。最適化計算部133は、ステップS2で設定された制約条件と、ステップS3で設定された目的関数によって定式化される最適化問題を解いて、ステップS2で設定された制約条件を満たしつつ、ステップS3で設定された目的関数の値を最小化する変数VL
dixyzを算出する。つまり、行先別の1つ1つのコンテナについての積載ロケーションを算出する。
次に出力部14が作成した計画を出力する(ステップS5)。例えば、出力部14は、
図3A、
図3Bに例示した船体イメージの各セルと、各セルに積載される予定のコンテナの識別情報(例えば、寄港地dとコンテナ採番i)とを対応付けた画像を表示してもよい。
【0041】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、(1)船舶1の重心バランスが適正な範囲に収まり、(2)特殊コンテナを適切なロケーションに積むことができ、(3)荷役機器の効率を向上させることができるような船積み計画(各コンテナを積むロケーションの一覧)を算出することができる。また、本実施形態によれば、港湾コンテナターミナルにおけるコンテナの船積み計画の業務を迅速化することができる。
【0042】
なお、本実施形態の船積み計画の算出処理の前に、船積み作業に使用する荷役機器の台数、作業範囲、移動方向を最適化する最適化計算を行っておいてもよい。この結果(Bay方向の作業順)と、本実施形態の船積み計画の結果を合わせ、さらに上述した規則(1つのBayでは海側のRowから順に船積みを行う、1つのBayと1つのRowで定まる範囲については、下側の空きロケーションから順にコンテナを積載する)を適用することにより、各コンテナの積載順を算出することができる。
【0043】
図10は、実施形態に係る計画装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の計画装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0044】
なお、計画装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0045】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0046】
<付記>
各実施形態に記載の計画装置、計画方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0047】
(1)第1の態様に係る計画装置10は、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するデータ取得部と、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに前記貨物を積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定する制約条件定義部と、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定する目的関数定義部と、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算する最適化計算部と、を備える。
これにより、船体の重心バランスや特殊コンテナの積載位置を考慮したコンテナの船積み計画を作成することができる。
【0048】
(2)第2の態様に係る計画装置10は、(1)の計画装置であって、前記目的関数定義部は、さらに、前記貨物を前記船舶に積載するために用いられる荷役機器の非効率さの程度を示す、前記貨物を積載する前記空スペースの位置を変数とする関数を、前記目的関数に含める。
これにより、荷役機器の作業効率を向上させる船積み計画を算出することができる。
【0049】
(3)第3の態様に係る計画装置10は、(2)の計画装置であって、前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、前記荷役機器が第1の前記貨物を前記船舶に積むために、前記第1の貨物の上に積まれた第2の前記貨物を取り除く必要があるような前記第1の貨物を積載する前記空スペースの位置と前記第2の貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である。
これにより、ヤード側での荷繰りの回数を低減し、荷役機器の作業効率を向上させる船積み計画を算出することができる。
【0050】
(4)第4の態様に係る計画装置10は、(1)~(3)の計画装置であって、前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、第1の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第1の前記荷役機器と、第2の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第2の前記荷役機器の位置の差および前記第1の貨物を前記船舶に積む時間と前記第2の貨物を前記船舶に積む時間との差が共に所定の範囲内となるような前記第1の貨物を積載する前記空スペースの位置と前記第2の貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である。
これにより、2台の荷役機器が干渉する可能性を低減し、荷役機器の作業効率を向上させる船積み計画を算出することができる。
【0051】
(5)第5の態様に係る計画装置10は、(1)~(4)の計画装置であって、前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、前記貨物を前記船舶に積むために用いられる1台の前記荷役機器によって連続的に前記船舶に積まれる第1の前記貨物と第2の前記貨物の蔵置位置が所定の距離よりも離れていることになるような前記第1の貨物を積載する前記空スペースの位置と前記第2の貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である。
これにより、荷役機器が連続的に船積みするコンテナが離れた場所に蔵置されている可能性を低減し、荷役機器の作業効率を向上させる船積み計画を算出することができる。
【0052】
(6)第6の態様に係る計画装置10は、(1)~(5)の計画装置であって、前記荷役機器の非効率さの程度を示す前記関数は、第1の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第1の前記荷役機器の位置と、第2の前記貨物を前記船舶に積むために用いられる第2の前記荷役機器の位置と、を重ならせるような前記第1の貨物を積載する前記空スペースの位置と前記第2の貨物を積載する前記空スペースの位置の関係を表す関数である。
これにより、第1の荷役機器と第2の荷役機器の位置が重なる確率を低減し、1つのBayの作業を1つの荷役機器に集中させることができ、移動機会を低減することにより、荷役機器の作業効率を向上させる船積み計画を算出することができる。
【0053】
(7)第7の態様に係る計画装置10は、(1)~(6)の計画装置であって、前記貨物種類に関する制約式は、電源設備を必要とする前記貨物については、電源設備を備える前記空スペースに当該貨物を積載することを条件付ける制約式である。
これにより、冷凍冷蔵品などの電源を必要とする貨物については、電源供給可能な位置に積載する船積み計画を作成することができる。
【0054】
(8)第8の態様に係る計画装置10は、(1)~(7)の計画装置であって、前記貨物種類に関する制約式は、コンテナに入らない前記貨物については、当該貨物を積載可能な前記空スペースに当該貨物を積載することを条件付ける制約式である。
これにより、OOG貨物については、積載可能な位置(外置き、内置き)に積載するような船積み計画を作成することができる。
【0055】
(9)第9の態様に係る計画装置10は、(1)~(8)の計画装置であって、前記貨物種類に関する制約式は、危険品を含む前記貨物については、他の危険品を含む前記貨物との間に一定の間隔を空けることを条件付ける制約式である。
これにより、危険品については間隔を空けて積載するような船積み計画を作成することができる。
【0056】
(10)第10の態様に係る計画装置10は、(1)~(9)の計画装置であって、前記貨物種類に関する制約式は、危険品を含む前記貨物については、熱源位置、居住区位置の周りに積載しないことを条件付ける制約式である。
これにより、危険品を熱源位置、居住区位置から離して積載するような船積み計画を作成することができる。
【0057】
(11)第11の態様に係る計画装置10は、(1)~(10)の計画装置であって、前記貨物種類に関する制約式は、デッキの上又は下に積載することを指定された前記貨物については、前記指定を満たす前記空スペースに積載することを条件付ける制約式である。
これにより、Hold指定、Deck指定があるコンテナについては指示通りのロケーションに積載する船積み計画を作成することができる。
【0058】
(12)第12の態様に係る計画装置10は、(1)~(11)の計画装置であって、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する制約式は、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から前後方向にずれる距離が所定の第1範囲内となることを制約する制約式と、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から左右方向にずれる距離が所定の第2範囲内となることを制約する制約式と、前記船舶の重心位置が前記所望の重心位置から上下方向にずれる距離が所定の第3範囲内となることを制約する制約式と、を含み、前記目的関数は、前記第1範囲と、前記第2範囲と、前記第3範囲とに基づいて前記所定の範囲の大きさを算出する。
これにより、重心バランスの前後方向のずれ、左右方向のずれ、上下方向のずれを調整した船積み計画を作成することができる。
【0059】
(13)第13の態様に係る計画方法は、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに前記貨物を積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、を有する。
【0060】
(14)第14の態様に係るプログラムは、コンピュータ900に、船舶の重心位置と、前記船舶に積載する貨物の輸送先別の数および重量と、前記船舶における貨物を積載可能な空スペースの位置情報と、を取得するステップと、前記船舶の重心位置と所望の重心位置との距離が所定の範囲内となることを制約する重心に関する制約式と、前記貨物の種類別に要求される条件を満たす前記空スペースに前記貨物を積載することを条件付ける貨物種類に関する制約式と、を制約条件として設定するステップと、前記所定の範囲の大きさを目的関数として設定するステップと、前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を最小化するような前記貨物を積載する前記空スペースの位置を計算するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・船舶
10・・・計画装置
11・・・データ取得部
12・・・入力受付部
13・・・制御部
131・・・制約条件定義部
132・・・目的関数定義部
133・・・最適化計算部
14・・・出力部
15・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース