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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036777
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】バレル研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 31/02 20060101AFI20240311BHJP
   B24B 31/10 20060101ALI20240311BHJP
   B24B 31/12 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B24B31/02 B
B24B31/10 Z
B24B31/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141237
(22)【出願日】2022-09-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年9月8日、2021年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集に要約として、バレル研磨装置に関する研究について公開した。 2021年9月21日、2021年度精密工学会秋季大会学術講演会において、バレル研磨装置に関する研究について公開した。 2021年11月25日、The 23rd International Symposium on Advances in Abrasive Technology(ISAAT2021)の予稿集に要約として、バレル研磨装置に関する研究について公開した。 2021年12月2日、The 23rd International Symposium on Advances in Abrasive Technology(ISAAT2021)において、バレル研磨装置に関する研究について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(71)【出願人】
【識別番号】396019631
【氏名又は名称】株式会社チップトン
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】関谷 章仁
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA11
3C158AA16
3C158AB01
3C158AB04
3C158AC04
3C158BA02
3C158BA04
3C158CB03
3C158DA02
(57)【要約】
【課題】研磨効率を向上させる。
【解決手段】バレル研磨装置は、回転可能なバレル槽10と、バレル槽10に収容され、バレル槽10の回転に伴って周方向に移動する研磨材14と、ワーク19を研磨材14中に浸漬した状態で回転可能に支持する支持部材16と、ワーク19に対しバレル槽10の径方向に間隔を空けて並ぶように配置された側方拘束板22,23とを備え、研磨材14の移動方向において、側方拘束板22,23の上流端22A,23Aが、ワーク19の回転中心19R又はワーク19の重心19Gと同じ位置か、回転中心19R又は重心19Gよりも下流側の位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なバレル槽と、
前記バレル槽に収容され、前記バレル槽の回転に伴って周方向に移動する研磨材と、
ワークを前記研磨材中に浸漬した状態で回転可能に支持する支持部材と、
前記ワークに対し前記バレル槽の径方向に間隔を空けて並ぶように配置された側方拘束板とを備え、
前記研磨材の移動方向において、前記側方拘束板の上流端が、前記ワークの回転中心又は前記ワークの重心と同じ位置か、前記回転中心又は前記重心よりも下流側の位置に配置されているバレル研磨装置。
【請求項2】
回転可能なバレル槽と、
前記バレル槽に収容され、前記バレル槽の回転に伴って周方向に移動する研磨材と、
ワークを前記研磨材中に浸漬した状態で支持する支持部材と、
前記ワークに対し前記バレル槽の径方向に間隔を空けて並ぶように配置された側方拘束板とを備え、
前記側方拘束板と前記ワークとの間隔が、前記研磨材の移動方向における前記側方拘束板の上流端において最小であるバレル研磨装置。
【請求項3】
前記ワークが、前記バレル槽の回転軸から外れた領域のみに配置され、
一対の前記側方拘束板が、前記ワークに対して前記回転軸に近い位置と、前記ワークに対して前記回転軸から遠い位置とに配置されている請求項1又は請求項2に記載のバレル研磨装置。
【請求項4】
前記研磨材中に浸漬され、前記ワークを上方から覆う上方拘束板を備えている請求項1又は請求項2に記載のバレル研磨装置。
【請求項5】
前記研磨材の移動方向において、前記上方拘束板の上流端が前記側方拘束板の上流端よりも上流側に位置している請求項4に記載のバレル研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレル研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転する研磨媒体収容槽内に研磨媒体を収容し、研磨媒体収容槽内に一対の補助板とワークとを配置したバレル研磨装置が開示されている。研磨媒体は、研磨媒体収容槽の回転に伴って周方向に移動する。一対の補助板は、研磨媒体収容槽の径方向においてワークを挟むように配置されている。研磨媒体は、一対の補助板の間でワークに対して相対的に移動しながら、一対の補助板によってワークに押圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-71165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研磨媒体の移動方向において、一対の補助板の上流端は、ワークの上流端よりも上流側に位置している。一対の補助板の間に流入した研磨媒体は、一対の補助板の間隔よりも狭いワークと補助板との間に入り込もうと集中するため、渋滞状態となる。そのため、ワークに接触する研磨媒体の移動速度が低下し、研磨効率が低下する。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、研磨効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
回転可能なバレル槽と、
前記バレル槽に収容され、前記バレル槽の回転に伴って周方向に移動する研磨材と、
ワークを前記研磨材中に浸漬した状態で回転可能に支持する支持部材と、
前記ワークに対し前記バレル槽の径方向に間隔を空けて並ぶように配置された側方拘束板とを備え、
前記研磨材の移動方向において、前記側方拘束板の上流端が、前記ワークの回転中心又は前記ワークの重心と同じ位置か、前記回転中心又は前記重心よりも下流側の位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、
回転可能なバレル槽と、
前記バレル槽に収容され、前記バレル槽の回転に伴って周方向に移動する研磨材と、
ワークを前記研磨材中に浸漬した状態で支持する支持部材と、
前記ワークに対し前記バレル槽の径方向に間隔を空けて並ぶように配置された側方拘束板とを備え、
前記側方拘束板と前記ワークとの間隔が、前記研磨材の移動方向における前記側方拘束板の上流端において最小であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1及び第2の発明によれば、側方拘束板とワークとの隙間に向かう研磨材が渋滞状態になり難く、ワークに接触する研磨材の移動速度の低下が抑制されるので、研磨効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のバレル研磨装置の断面図である。
図2】バレル研磨装置の平面図である。
図3】実施形態1の拘束部材と支持部材を、研磨材の通過方向に視た部分拡大図である。
図4】実施形態1の拘束形態をあらわす図3のX-X線平断面図である。
図5】実施形態2の拘束形態をあらわすX-X線相当平断面図である。
図6】比較形態1の拘束形態をあらわすX-X線相当平断面図である。
図7】比較形態2の拘束形態をあらわすX-X線相当平断面図である。
図8】比較形態3の拘束形態をあらわすX-X線相当平断面図である。
図9】比較形態4の拘束形態をあらわすX-X線相当平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明のバレル研磨装置は、研磨材の移動方向において、側方拘束板の上流端が、ワークの回転中心又はワークの重心と同じ位置か、回転中心又は重心よりも下流側の位置に配置されているものであるから、ワークの回転中心又は重心よりも上流側には側方拘束板が存在しない。側方拘束板とワークとの隙間に向かう研磨材のうち、ワークの回転中心又は重心よりも上流側の領域を移動する研磨材の一部は、ワークから遠ざかる方向へ逃げることができる。したがって、側方拘束板とワークとの隙間に向かう研磨材は渋滞状態になり難く、ワークに接触する研磨材の移動速度の低下が抑制されるので、研磨効率が向上する。
【0011】
第2の発明のバレル研磨装置は、側方拘束板とワークとの間隔が、研磨材の移動方向における側方拘束板の上流端において最小であるものだから、側方拘束板とワークとの間隔が最小となる位置よりも上流側には側方拘束板が存在しない。側方拘束板とワークとの隙間に向かう研磨材のうち、側方拘束板とワークとの間隔が最小となる位置よりも上流側の領域を移動する研磨材の一部は、ワークから遠ざかる方向へ逃げることができる。したがって、側方拘束板とワークとの隙間に向かう研磨材は渋滞状態になり難く、ワークに接触する研磨材の移動速度の低下が抑制されるので、研磨効率が向上する。
【0012】
第1及び第2の発明において、前記ワークが、前記バレル槽の回転軸から外れた領域のみに配置され、一対の前記側方拘束板が、前記ワークに対して前記回転軸に近い位置と、前記ワークに対して前記回転軸から遠い位置とに配置されていることが好ましい。この構成によれば、一対の側方拘束板によって、ワークを効率的に研磨することができる。
【0013】
第1及び第2の発明において、前記研磨材中に浸漬され、前記ワークを上方から覆う上方拘束板を備えていることが好ましい。この構成によれば、ワークが研磨材における上層領域に配置されている場合でも、研磨材をワークの上面に対して押圧することができるので、研磨力が増大する。
【0014】
第1及び第2の発明において、前記研磨材の移動方向において、前記上方拘束板の上流端が前記側方拘束板の上流端よりも上流側に位置していることが好ましい。この構成によれば、ワークの上面及び側面に対する研磨を良好に行うことができる。
【0015】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図9を参照して説明する。本実施例1のバレル研磨装置は、図1、2に示すように、バレル槽10と、複数の研磨材14と、支持部材16と、拘束部材20とを備えており、ジャイロ研磨機と称される研磨装置である。尚、以下の説明において、上下の方向については、図1及び図3にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0016】
バレル槽10は、上から見た平面視形状が円形をなし、上面全体が開口した有底円筒形の容器である。バレル槽10は、底壁部11と、底壁部11の外周縁から立ち上がる周壁部12とを有する。バレル槽10の底壁部11は、モータ(図示省略)によって駆動される上下方向の回転軸13に対して、同心状に固着されている。バレル槽10は、平面視において時計回り方向又は反時計周り方向に回転駆動されるようになっている。
【0017】
研磨材14は、バレル槽10内に収容されている。バレル槽10が回転すると、研磨材14がバレル槽10と一体となって周方向へ移動する。バレル槽10内には、研磨材14の他に、水(図示省略)とコンパウンド(図示省略)が収容される。バレル槽10内に投入された研磨材14、水及びコンパウンドは、ワーク19に接触してワーク19を研磨するための研磨層15を構成する。ワーク19は、歯先円が円形をなす平歯車である。
【0018】
支持部材16は、平面視において、バレル槽10の周壁部12よりも内側であり、且つバレル槽10の回転軸13から径方向Rへ偏心した位置に配置されている。支持部材16は、固定した状態で設けられたパイプ状の軸受部材17と、軸受部材17内に回転軸13と平行に挿通された支持軸18とを有する。支持軸18は、平面視において時計回り方向又は反時計回り方向に回転駆動される。支持軸18と軸受部材17の下端部は、研磨層15中(研磨材14中)に浸漬されている。支持軸18の下端部は、軸受部材17の下端よりも下方へ突出している。支持軸18の下端部には、ワーク19が同心状に一体回転し得るように固着されている。本実施例1では、支持軸18の軸心を、「ワーク19の回転中心19R」と定義する。バレル槽10の回転軸13とワーク19の回転中心19Rとを結ぶ方向を「径方向R」と定義する(図4参照)。
【0019】
拘束部材20は、1枚の上方拘束板21と、一対の側方拘束板22、23とを有する。上方拘束板21は、平面視形状が長方形をなす平板状の部材である。上方拘束板21は、回転軸13と直角な水平な向きで軸受部材17の下端部に固着されている。平面視において、上方拘束板21の短辺21Sは径方向Rと平行又は略平行をなし、上方拘束板21の長辺21Lは径方向Rと直角又は略直角をなす。上方拘束板21は、研磨層15中(研磨材14中)に浸漬するように配置されている。
【0020】
上方拘束板21がワーク19の上方に配置されておらず、なお且つワーク19が研磨層15の下層領域に配置されている場合には、ワーク19の上方を移動する研磨材14の総重量が大きいため、研磨材14からワーク19に対して一定程度の押圧力が作用し、比較的大きな研磨力が得られる。これに対し、ワーク19が、研磨層15における上層領域(表層領域)に配置されている場合は、研磨材14がワーク19から逃げるように盛り上がるため、ワーク19に対する研磨材14の押圧力が低下し、高い研磨力を得ることができない。上方拘束板21をワーク19の上方に配置すると、ワーク19と上方拘束板21との隙間を通過するときに、研磨材14からワーク19への下向きの押圧力が高まる。この下向きの押圧力によって、ワーク19の上面に対する研磨力が高くなる。さらに、ワーク19と側方拘束板22,23との間においては、上方拘束板21の存在によって研磨材14が上方へ逃げることができないので、研磨材14からワーク19への押圧力が高まり、ワーク19の側面(外周面)に対する研磨力が高くなる。
【0021】
側方拘束板22、23は、方形の平板状をなす部材である。一対の側方拘束板22、23の上端部は、上方拘束板21の長辺21Lに固着されている。本実施例1では、大きさの異なる2種類の側方拘束板22、23を選択的に用いている。2種類の側方拘束板22、23の相違点は、平面視における周方向(研磨材14がワーク19に対して相対移動する方向)の長さである。一対の側方拘束板22、23は、平面視において、ワーク19を径方向Rに挟む位置に配置されている。即ち、一対の側方拘束板22、23のうち一方の側方拘束板22、23は、ワーク19よりも回転軸13に近い内周側の位置に配置され、他方の側方拘束板22、23は、ワーク19よりも周壁部12に近い外周側の位置に配置されている。一対の側方拘束板22、23は、研磨層15中(研磨材14中)に浸漬された状態で配置されている。
【0022】
バレル槽10の回転に伴って周方向に移動する研磨材14は、内周側の側方拘束板22、23とワーク19との間、及び外周側の側方拘束板22、23とワーク19との間を通過する。研磨材14は、側方拘束板22、23とワーク19との間を通過する前、通過中、及び通過した後に、ワーク19に接触することによって、ワーク19の外面を研磨する。本実施例1では、平面視において、径方向Rに対して直角な方向を「研磨材14の通過方向T」と定義する(図4参照)。側方拘束板22、23は、研磨材14の通過方向Tと平行をなすように配置されている。
【0023】
研磨材14によるワーク19への研磨力は、研磨材14の移動速度が高いほど強く、ワーク19に対する研磨材14の押圧力が大きいほど強い。研磨力が強いほど、研磨効率が高くなり、研磨に要する時間が短縮される。研磨材14がワーク19と側方拘束板22、23との間を通過するときには、その隙間に研磨材14が集中し、ワーク19に対する研磨材14の押圧力が高まるため、研磨力の向上が期待できる。上方拘束板21とワーク19との隙間を研磨材14が通過するときも、側方拘束板22、23と同様に、研磨材14からワーク19への押圧力が高まる。一方、研磨材14の移動経路のうち、ワーク19と側方拘束板22、23が径方向Rに並ぶ通過領域では、移動経路が急に狭まる。そのため、ワーク19と側方拘束板22、23の間では、研磨材14の流れが阻害されて研磨材14の移動速度が低下し、研磨力が低下するおそれがある。
【0024】
<研磨効率の評価>
本実施例1のバレル研磨装置は、研磨材14の移動方向における側方拘束板22、23の大きさや、ワーク19と側方拘束板22、23との位置関係を好適な形態に改善することによって、研磨力(研磨効率)の向上を実現している。本願の発明者は、側方拘束板22~25の大きさや配置の異なる複数の拘束形態を設定し、研磨効率の良否を評価するための実験を行った。実験結果を表した表1において、実施形態1及び実施形態2は、研磨効率の向上を実現した本実施例1の拘束形態である。比較形態1~4は、実施形態1及び実施形態2よりも研磨効率の低い拘束形態である。
【0025】
実験の条件のうち、実施形態1~2及び比較形態1~4において共通の条件は、以下の通りである。バレル槽10の内径は、800mmであり、バレル槽10の深さは、400mmである。バレル槽10の回転数は、30rpmである。研磨材14は、不定形のセラミックメディアである。研磨材14の大きさの分布率については、短径が1.3mmであり、長径が3.4mmであるものが85%を占める。ワーク19に対する研磨層15(研磨材14)の相対移動速度は、バレル槽10の回転数に比例する。バレル槽10には、研磨材14と共に研磨層15を構成するクーラント液として、1%のコンパウンドを含有する希釈水(図示省略)を投入した。クーラント液の供給量は、4L/minである。バレル槽10が回転を停止している状態において、底壁部11から研磨層15の上面までの高さは、200mmである。
【0026】
平面視において、支持軸18の軸心の位置は、回転軸13から径方向Rへ280mm偏心した位置である。ワーク19は、歯先円の直径がφ50mm、歯幅が20mmの平歯車である。ワーク19は、支持軸18の下端部に対し、同軸状に固着されている。平面視において、支持軸18(ワーク19の回転中心19R)の位置と、ワーク19の重心19Gの位置は、同じ位置である。ワーク19の回転数は、5rpmである。バレル槽10が回転を停止している状態において、ワーク19の上面は、研磨層15の上面よりも25mm下方の高さに位置する。
【0027】
研磨中において、バレル槽10を時計回り方向へ回転させるときは、ワーク19を反時計回り方向へ回転させた。バレル槽10を反時計回り方向へ回転させるときは、ワーク19を時計回り方向へ回転させた。バレル槽10とワーク19の回転方向は、2分30秒毎に切り替えた。研磨時間が5分経過する毎に、ワーク19の面粗度を測定した。研磨に要した時間は、合計20分であり、面粗度の測定は4回行った。
【0028】
研磨効率の評価は、本実施例1で定義する「面粗度変化幅」に基づいて行った。面粗度変化幅は、5分間の研磨において「研磨前の面粗度」から「研磨後の面粗度」を減じた値の平均値である。具体的には、一つの歯の歯先の6か所と、この歯とは180゜反対側に位置する歯の歯先の6か所とを併せた計12か所の面粗度変化幅を測定し、それらの面粗度変化幅の平均値を、各実施形態及び各比較形態の研磨効率の評価対象とした。
【0029】
実施形態1は、図3及び図4に示すように、上方拘束板21と一対の側方拘束板22を設けた拘束形態である。上方拘束板21は、長辺21Lの長さが120mm、短辺21Sの長さが80mmの長方形の平板である。上方拘束板21の下面とワーク19の上面との対向間隔は、10mmである。平面視において、上方拘束板21の長辺21Lは研磨材14の通過方向Tと平行又は略平行をなし、上方拘束板21の短辺21Sは径方向Rと平行又は略平行をなす。研磨材14の通過方向Tにおいて、上方拘束板21の上流端21Aはワーク19の回転中心19Rよりも60mm上流側に位置し、上方拘束板21の下流端21Bはワーク19の回転中心19Rよりも60mm下流側に位置する。
【0030】
一対の側方拘束板22は、上方拘束板21の長辺21L側の外側面に固定され、互いに平行をなして上方拘束板21よりも下方へ片持ち状に延出している。一対の側方拘束板22は、平面視において、研磨材14の通過方向Tと平行又は略平行な向きに配置されている。研磨材14の通過方向Tと平行又は略平行に視た通過方向視(図3参照)において、一対の側方拘束板22は、バレル槽10の回転軸13、及びワーク19の回転中心19R(支持軸18)と平行をなしている。研磨材14の通過方向視において、ワーク19の歯先円と側方拘束板22との間の径方向Rの間隔は、15mmである。
【0031】
実施形態1で用いた側方拘束板22は、研磨材14の通過方向Tの長さが40mmの平板である。図4に示すように、一対の側方拘束板22の下流端22Bは、上方拘束板21の下流端21Bと同じ位置に配置されている。一対の側方拘束板22の上流端22Aは、ワーク19の回転中心19Rよりも20mm下流側に位置し、ワーク19の上流端19Aよりも45mm下流側に位置する。平面視において、側方拘束板22とワーク19の歯先円との間隔は、側方拘束板22の上流端22Aにおいて最小である。図3に示すように、側方拘束板22の下端の高さは、ワーク19の下面と同じ高さである。
【0032】
実施形態2では、実施形態1の側方拘束板22とは異なる側方拘束板22を用いた。実施形態2の側方拘束板23は、研磨材14の通過方向Tの長さが60mmの平板である。図5に示すように、実施形態2の側方拘束板23の上流端23Aは、実施形態1の側方拘束板22の上流端22Aよりも上流側に位置する。具体的には、一対の側方拘束板23の上流端23Aは、研磨材14の通過方向Tにおいてワーク19の回転中心19Rと同じ位置に配置され、ワーク19の上流端19Aよりも25mm下流側に配置されている。平面視において、側方拘束板23とワーク19の歯先円との間隔は、側方拘束板23の上流端23Aにおいて最小である。側方拘束板23以外の構成は、実施形態1と同じである。
【0033】
比較形態1では、図6に示すように、実施形態1及び2で用いた上方拘束板21と同一の上方拘束板21を用いているが、側方拘束板は設けられていない。比較形態2では、図7に示すように、上方拘束板及び側方拘束板のいずれも設けられていない。
【0034】
比較形態3で用いた側方拘束板24は、研磨材14の通過方向Tの長さが80mmの平板である。図8に示すように、比較形態3の側方拘束板24の上流端24Aは、実施形態2の側方拘束板23の上流端23Aよりも上流側に位置する。具体的には、一対の側方拘束板24の上流端24Aは、研磨材14の通過方向Tにおいてワーク19の回転中心19Rよりも20mm上流側の位置に配置され、ワーク19の上流端19Aよりも5mm下流側に配置されている。平面視において、側方拘束板24とワーク19との間隔は、側方拘束板24の上流端24Aよりも20mm下流側の位置24C(ワーク19の回転中心19Rと同じ位置)において最小である。側方拘束板24以外の構成は、実施形態1及び実施形態2と同じである。
【0035】
比較形態4で用いた側方拘束板25は、研磨材14の通過方向Tの長さが、上方拘束板21と同じく120mmの平板である。図9に示すように、比較形態4の側方拘束板25の上流端25Aは、比較形態3の側方拘束板24の上流端24Aよりも上流側に位置する。具体的には、一対の側方拘束板25の上流端25Aは、研磨材14の通過方向Tにおいてワーク19の回転中心19Rよりも60mm上流側の位置に配置され、ワーク19の上流端19Aよりも35mm上流側に配置されている。平面視において、側方拘束板25とワーク19との間隔は、側方拘束板25の上流端25Aよりも60mm下流側の位置25C(ワーク19の回転中心19Rと同じ位置)において最小である。側方拘束板25以外の構成は、実施形態1及び実施形態2と同じである。
【0036】
研磨時間の経過に伴う面粗度変化幅は、表1に示す通りである。研磨効率評価の表記については、面粗度変化幅が0.1μm以上の場合を「◎(良好)」とした。面粗度変化幅が0.1μm未満、0.07μm以上の場合は、「〇(やや良好)」とした。面粗度変化幅が0.07μm未満、0.03μm以上の場合は、「△(やや不良)」とした。面粗度変化幅が0.03μm未満の場合は、「×(不良)」とした。
【0037】
【表1】
【0038】
拘束形態が実施形態1の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「◎(良好)」であった。実施形態1では、研磨材14の移動方向において、側方拘束板22の上流端22Aが、ワーク19の上流端19Aよりも下流側の位置に配置され、詳細には、ワーク19の回転中心19R及び重心19Gよりも下流側の位置に配置されている。したがって、ワーク19の回転中心19R及び重心19Gよりも上流側には側方拘束板22が存在しない。そのため、側方拘束板22とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、ワーク19の上流端19Aよりも上流側の領域、及びワーク19の回転中心19R及び重心19Gよりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向(径方向R)へ逃げることができる。
【0039】
また、ワーク19(ワーク19の歯先円が描く軌跡)の平面視形状は、円形であるから、側方拘束板22とワーク19の歯先円との間隔は、研磨材14の通過方向T(移動方向)における側方拘束板22の上流端22Aにおいて最小である。したがって、側方拘束板22とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側には側方拘束板22が存在しない。側方拘束板22とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、側方拘束板22とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向(径方向)へ逃げることができる。
【0040】
実施形態1の拘束形態によれば、側方拘束板22とワーク19との隙間に向かう研磨材14は、隙間の手前で渋滞状態になり難いので、移動速度を低下させることなく隙間内に進入することができる。隙間を通過する過程では、研磨材14からワーク19に対して押圧力が付与される。これにより、研磨材14は、ワーク19に対して好適な相対移動速度と好適な押圧力を保ちながら接触することができるので、研磨力と研磨効率を向上させることができる。
【0041】
拘束形態が実施形態2の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「○(やや良好)」であった。実施形態2では、研磨材14の移動方向において、側方拘束板23の上流端23Aが、ワーク19の回転中心19R及び重心19Gと同じ位置(ワーク19の上流端19Aよりも下流側の位置)に配置されているので、ワーク19の回転中心19R及び重心19Gよりも上流側には側方拘束板23が存在しない。そのため、側方拘束板23とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、ワーク19の回転中心19Rよりも上流側の領域、即ち側方拘束板23の上流端23Aよりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向(径方向R)へ逃げることができる。
【0042】
また、ワーク19の平面視形状は円形であるから、側方拘束板23とワーク19との間隔は、研磨材14の通過方向T(移動方向)における側方拘束板23の上流端23Aにおいて最小である。側方拘束板23の上流端23Aはワーク19の回転中心19Rと同じ位置であるから、ワーク19の回転中心19Rよりも上流側には側方拘束板23が存在しない。側方拘束板23とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、ワーク19の回転中心19Rよりも上流側の領域、即ち側方拘束板23とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向へ逃げることができる。
【0043】
したがって、実施形態2の拘束形態によれば、実施形態1と同様、側方拘束板23とワーク19との隙間に向かう研磨材14は、隙間の手前で渋滞状態になり難く、移動速度を低下させることなく隙間内に進入することができるので、研磨効率を向上させることができる。
【0044】
拘束形態が比較形態1の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「△(やや不良)」であった。比較形態1では、ワーク19に対する研磨材14の相対移動速度は、実施形態1及び2と概ね同等である。しかし、側方拘束板が存在しないので、研磨材14がワーク19の側方を通過する際に、研磨材14からワーク19への押圧力が実施形態1及び2に比べて不足している。そのため、研磨効率が実施形態1及び2よりも低くなったと推察される。
【0045】
拘束形態が比較形態2の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「×(不良)」であった。比較形態1に比べると、比較形態2では、上方拘束板21が存在しない。したがって、研磨材14からワーク19の上面及びワーク19の上流側の外面への押圧力が低く、その分、研磨効率が低下したと推察される。
【0046】
拘束形態が比較形態3の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「×(不良)」であった。比較形態3では、研磨材14の通過方向Tにおいて、側方拘束板24の上流端24Aの位置は、ワーク19の上流端19Aよりも下流側であるが、ワーク19の回転中心19R及び重心19Gよりは上流側である。側方拘束板24とワーク19との間隔は、側方拘束板24の上流端24Aよりも下流側の位置24C(ワーク19の回転中心19R)において最小であるから、側方拘束板24とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側には、側方拘束板24の上流側端部が存在する。
【0047】
一対の側方拘束板24の上流側端部の間に進入した研磨材14は、側方拘束板24とワーク19との間の最小隙間に向かう過程で、ワーク19から遠ざかる方向(径方向R)へ逃げることができない。しかも、一対の側方拘束板24の上流端24Aから、側方拘束板24とワーク19の最小隙間に至る研磨材14の移動経路では、径方向の幅が下流側に向かって次第に狭まっていく。そのため、一対の側方拘束板24の上流側端部の間では、側方拘束板24とワーク19との最小隙間に向かう研磨材14が渋滞状態となり、移動速度を低下させることになる。そのため、比較形態3では、研磨力と研磨効率が低下したと推察される。
【0048】
拘束形態が比較形態4の研磨効率の評価は、研磨時間が5分、10分、15分、20分経過した各時点において、いずれも「×(不良)」であった。比較形態4では、研磨材14の通過方向Tにおいて、側方拘束板25の上流端25Aの位置は、ワーク19の上流端19Aよりも上流側である。側方拘束板25とワーク19との間隔は、側方拘束板25の上流端25Aよりも下流側の位置25C(ワーク19の回転中心19R)において最小であるから、側方拘束板25とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側には、側方拘束板25が存在する。
【0049】
一対の側方拘束板25の間に進入した研磨材14は、側方拘束板25とワーク19との間の最小隙間に向かう過程で、ワーク19から遠ざかる方向(径方向R)へ逃げることができない。しかも、側方拘束板25とワーク19の最小隙間に至る移動経路の幅は、下流側に向かって次第に狭まっている。そのため、一対の側方拘束板25の間では、側方拘束板25とワーク19との最小隙間に向かう研磨材14が渋滞状態となり、移動速度を低下させることになる。そのため、比較形態4では、研磨力と研磨効率が低下したと推察される。
【0050】
本実施例1のバレル研磨装置は、回転可能なバレル槽10と、研磨材14と、支持部材16と、側方拘束板22、23とを備えている。研磨材14は、バレル槽10に収容されることによって研磨層15を構成し、バレル槽10の回転に伴って周方向に移動する。支持部材16は、ワーク19を研磨材14中(研磨層15中)に浸漬した状態で支持する。支持部材16は、ワーク19を回転可能に支持する。側方拘束板22、23は、ワーク19に対しバレル槽10の径方向Rに間隔を空けて並ぶように配置されている。
【0051】
実施例1の実施形態1及び2の拘束形態は、次の2つの技術的特徴を有する。1つ目の特徴は、研磨材14の通過方向Tにおいて、側方拘束板22、23の上流端22A、23Aは、ワーク19の回転中心19R又はワーク19の重心19Gと同じ位置か、回転中心19R又は重心19Gよりも下流側の位置に配置されていることである。換言すると、ワーク19の回転中心19R又は重心19Gよりも上流側には側方拘束板22、23が存在しない、ということである。この配置形態によれば、側方拘束板22、23とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、ワーク19の回転中心19R又は重心19Gよりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向へ逃げることができる。
【0052】
ワーク19(ワーク19の歯先円が描く軌跡)の平面視形状は円形であるから、研磨材14の通過方向Tにおけるワーク19の回転中心19R及び重心19Gの位置は、ワーク19のうち、研磨材14の通過方向Tと直交する径方向の幅寸法が最大になる部位と同じ位置である。したがって、1つ目の特徴は、ワーク19の最大幅寸法部位よりも上流側には側方拘束板22、23が存在しないので、側方拘束板22、23とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、ワーク19の最大幅寸法部位よりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向へ逃げることができる、と言い換えることができる。
【0053】
2つ目の特徴は、側方拘束板22、23とワーク19の歯先円との間隔は、研磨材14の移動方向における側方拘束板22、23の上流端22A、23Aにおいて最小なので、側方拘束板22、23とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側には側方拘束板22、23が存在しない、ということである。側方拘束板22、23とワーク19との隙間に向かう研磨材14のうち、側方拘束板22、23とワーク19との間隔が最小となる位置よりも上流側の領域を移動する研磨材14の一部は、ワーク19から遠ざかる方向へ逃げることができる。
【0054】
上記2つの各技術的特徴によれば、側方拘束板22、23とワーク19との隙間に向かう研磨材14が渋滞状態になり難いので、ワーク19に接触する研磨材14の移動速度の低下が抑制される。したがって、本実施例1の実施形態1及び実施形態2を適用したバレル研磨装置によれば、研磨力と研磨効率を向上させることができる。
【0055】
また、ワーク19は、平面視において、バレル槽10の回転軸13から外れた領域のみに配置されている。一対の側方拘束板22、23は、ワーク19に対して回転軸13に近い内周側の位置と、ワーク19に対して回転軸13から遠い位置(周壁部12に近い位置)とに配置されている。この構成によれば、一対の側方拘束板22、23によって、ワーク19を効率的に研磨することができる。
【0056】
また、バレル研磨装置は、研磨材14中(研磨層15中)に浸漬された状態で、ワーク19を上方から覆う上方拘束板21を備えている。ワーク19が研磨層15における上層領域に配置されている場合でも、上方拘束板21によって、研磨材14をワーク19の上面に対して押圧することができるので、研磨力を増大させることができる。また、研磨材14の移動方向において、上方拘束板21の上流端は側方拘束板22、23の上流端22A、23Aよりも上流側に位置しているので、ワーク19の上面に対する研磨を良好に行うことができる。更に、ワーク19と側方拘束板22,23との間では、上方拘束板21によって研磨材14が上方へ逃げられないようになっているので、ワーク19の外周面(側面)に対する研磨も良好に行うことができる。
【0057】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
・側方拘束板は、ワークに対して回転軸から遠い外周側のみに配置してもよく、ワークに対して回転軸に近い内周側のみに配置してもよい。この場合、側方拘束板が配置されていない側に、補助板を配置してもよい。補助板の上流端は、ワークの上流端よりも上流側の位置や、ワークの回転中心又は重心よりも上流側の位置に配置してもよい。補助板とワークとの間隔が、補助板における上流端とは異なる位置で最小となっていてもよい。
・一対の側方拘束板の上流端は、研磨材の通過方向において、互いに異なる位置に配置されていてもよい。
・一対の側方拘束板の下流端は、研磨材の通過方向において、互いに異なる位置に配置されていてもよい。
・平面視において、一対の平板状をなす側方拘束板の配置は、互いに平行な位置関係に限らず、上流端同士の間隔が下流端同士の間隔よりも広い位置関係や、上流端の間隔が下流端の間隔よりも狭い位置関係でもよい。
・平板状の側方拘束板は、平面視において、研磨材の通過方向に対して斜めに配置してもよい。
・一対の側方拘束板の上端は、異なる高さに配置してもよい。
・一対の側方拘束板の下端は、異なる高さに配置してもよい。
・側方拘束板の平面視形状は、直線形状に限らず、鈍角状に屈曲した形状でもよく、バレル槽と同心の円弧形でもよい。
・研磨材の通過方向と平行に視た通過方向視において、側方拘束板は、バレル槽の回転軸に対して傾斜した向きであってもよい。
・側方拘束板の下端の高さは、ワークの下面より高い位置でもよく、ワークの下面よりも低い位置でもよい。
【0058】
・上方拘束板の上流端は、ワークの上流端よりも下流側の位置や、ワークの回転中心又は重心よりも下流側の位置に配置してもよい。
・上方拘束板の上流端は、研磨材の通過方向において、側方拘束板の上流端と同じ位置に配置してもよく、側方拘束板の上流端よりも下流側の位置に配置してもよい。
・上方拘束板の下流端と側方拘束板の下流端は、研磨材の通過方向において、互いに異なる位置に配置してもよい。
・上方拘束板は、バレル槽の回転軸と直角な向きに限らず、回転軸に対して斜めの向きに配置してもよい。
・上方拘束板を設けない構成としてもよい。
【0059】
・平面視において、ワークの回転中心の位置とワークの重心の位置は、異なっていてもよい。
・バレル槽の回転軸は、鉛直方向に対して傾斜した向きであってもよい。
・ワークは、バレル槽の回転軸に対して斜め方向の軸回りに回転してもよい。
・平面視において、ワーク(支持部材)の回転中心を、バレル槽の回転軸と同心状に配置してもよい。
・研磨時におけるワークの回転は、正逆いずれか一方向のみに連続的に回転する形態、正逆いずれか一方向のみに間欠的に回転する形態、正方向への連続回転と逆方向への連続回転を交互に繰り返す形態、正方向への間欠回転と逆方向への間欠回転を交互に繰り返す形態としてもよい。
・ワークは、回転させずに静止した状態で研磨してもよい。
・ワークの平面視形状は、円形以外の形状(楕円形、長円形、方形等)でもよい。
・上記実施例1ではバレル槽内に水やコンパウンドを投入したが、水やコンパウンドは投入しなくても良い。
【符号の説明】
【0060】
10…バレル槽
13…回転軸
14…研磨材
16…支持部材
19…ワーク
19A…ワークの上流端
19G…ワークの重心
19R…ワークの回転中心
21…上方拘束板
22…側方拘束板
22A…側方拘束板の上流端
23…側方拘束板
23A…側方拘束板の上流端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9