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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036782
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】根鉢およびその植栽方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/44 20180101AFI20240311BHJP
   A01G 22/00 20180101ALI20240311BHJP
   A01G 13/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
A01G24/44
A01G22/00
A01G13/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141245
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】502262067
【氏名又は名称】株式会社理舎
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】下岡 大記
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB20
2B022BB02
2B022BB10
(57)【要約】
【課題】植栽に要する作業が容易な根鉢およびその植栽方法を提供する。
【解決手段】本発明の根鉢1は、上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポット2にあらかじめ植え付けて育てられた後、ポット2から取り出されて、表面に防草シート11を施設した土壌10に植栽される。本発明の植栽方法は、開口器具20を使用して、土壌10に、根鉢1の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも根鉢1の高さに対応した深さで、防草シート11の上から防草シート11を突き破って植栽穴12を形成し、根鉢1をその上から挿入して植栽する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポットにあらかじめ植え付けて育てられた後、前記ポットから取り出されて、表面に防草シートを施設した土壌に植栽される根鉢であって、
開口器具を使用して、前記土壌に、前記根鉢の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも前記根鉢の高さに対応した深さで、前記防草シートの上から前記防草シートを突き破って形成された植栽穴に上から挿入されて植栽されることを特徴とする根鉢。
【請求項2】
ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成されることを特徴とする請求項1に記載の根鉢。
【請求項3】
上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポットにあらかじめ植え付けて育てた根鉢を、表面に防草シートを敷設した土壌に植栽する方法であって、
開口器具を使用して、前記土壌に、前記根鉢の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも前記根鉢の高さに対応した深さの植栽穴を、前記防草シートの上から前記防草シートを突き破って形成し、前記ポットから取り出した前記根鉢を、前記植栽穴に上から挿入して植栽することを特徴とする根鉢の植栽方法。
【請求項4】
前記開口器具は、本体部が前記根鉢の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状を持ち、前記本体部より下位の先端部に鋭利な穿孔部を有し、前記穿孔部で前記土壌を押し広げるように開口し、前記防草シートの突き破られた部分を、前記防草シートの隣接する部分から連続して垂直方向に下方に折り曲げ、前記植栽穴の内周面に沿う防草垂下部とすることを特徴とする請求項3に記載の根鉢の植栽方法。
【請求項5】
前記開口器具は、前記本体部に、前記本体部よりも幅広で、下面が前記防草シートの上面に当接することによって前記穿孔部を、前記根鉢の高さと同じ深さまで到達させる位置決め用のストッパを設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の根鉢の植栽方法。
【請求項6】
前記根鉢は、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の根鉢の植栽方法。
【請求項7】
前記根鉢は、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成されることを特徴とする請求項5に記載の根鉢の植栽方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根鉢およびその植栽方法に関するものである。なお、「根鉢」とは、植物を鉢から抜いたときや、庭から掘り上げたときに現れる根(植物)と土がひと塊になった部分をいう。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポットで育てた根鉢をポットから抜き出し、あらかじめ防草シートを敷いた地面に植栽する方法が採用されている。この従来における根鉢は、直径が100mm前後で、高さが150mm前後である。
こうした大きさの根鉢を植栽するために、図10に示すように、防草シート31にT字状または十字状の切れ目32を形成した後、切れ目32の部分の土を掘り起こし、掘り起こした部分に根鉢30を植え込む。そして、さらに掘り起こした土を埋め戻している。防草シート31に切れ目を入れるのは、直径が100mm前後で高さが150mm前後の根鉢を土壌に植栽するためには土を掘り起こす必要があり、その掘り起こし作業を可能にするためである。
【0003】
なお、防草シートに切れ目を入れる方法は、特許文献1にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5-91365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来技術における防草シート31に切れ目32をいれる植栽方法では、まず、防草シート31に切れ目32を形成し、次に、切れ目32の部分の土壌を掘り起こし、そこに根鉢30を植栽した後、さらに掘り起こした土壌を埋め戻すといった多くの工程を必要とする。
従って、植栽に要する作業が厄介である。なお、防草シート31に切れ目32を入れないと、前述したように、土壌の掘り起こしができないので根鉢30を植栽することができない。
また、技来の工法であると植え穴掘削時の土壌のうち埋戻した土壌の残り分(植え付けた根鉢の容積分)が残土として発生し、これを除くのに手間と費用がかかってしまい厄介である。
【0006】
また、植栽後、切れ目32の部分の土壌(この部分は、植え込んだ根鉢30の周りに存在する)が露出し、植栽した根鉢30の周囲に雑草が繁茂してしまうといった問題もある。さらに、この問題を回避するためには、根鉢30を植栽した後、切れ目32にテープ33を貼り付けて覆い隠す必要があり、植栽に要する作業がさらに厄介になるといった問題がある。
【0007】
なお、特許文献1に記載の方法でも防草シートに切れ目をいれているので、雑草の繁茂を防止するためには、当然に、切れ目にテープを貼り付ける必要があり、同様に、植栽に要する作業が厄介となる。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、植栽に要する作業が容易な根鉢およびその植栽方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の根鉢は、上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポット(2)にあらかじめ植え付けて育てられた後、前記ポット(2)から取り出されて、表面に防草シート(11)を施設した土壌(10)に植栽されるものであって、
開口器具(20)を使用して、前記土壌(10)に、前記根鉢(1)の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも前記根鉢(1)の高さに対応した深さで、前記防草シート(11)の上から前記防草シート(11)を突き破って形成された植栽穴(12)に上から挿入されて植栽されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の根鉢は、少なくとも、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明の根鉢の植栽方法は、上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポット(2)にあらかじめ植え付けて育てた根鉢(1)を、表面に防草シート(11)を敷設した土壌(10)に植栽する方法であって、
開口器具(20)を使用して、前記土壌(10)に、前記根鉢(1)の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも前記根鉢(1)の高さに対応した深さの植栽穴(12)を、前記防草シート(11)の上から前記防草シート(11)を突き破って形成し、前記ポット(2)から取り出した前記根鉢(1)を、前記植栽穴(12)に上から挿入して植栽することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の根鉢の植栽方法は、前記開口器具(20)が、本体部(21)が前記根鉢(1)の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状を持ち、前記本体部(21)より下位の先端部に鋭利な穿孔部(22)を有し、前記穿孔部(22)で前記土壌(10)を押し広げるように開口し、前記防草シート(11)の突き破られた部分を、前記防草シート(11)の隣接する部分から連続して垂直方向に下方に折り曲げ、前記植栽穴(12)の内周面に沿う防草垂下部(11a)とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の根鉢の植栽方法は、前記開口器具(20)が、前記本体部(21)に、前記本体部(21)よりも幅広で、下面が前記防草シート(11)の上面に当接することによって前記穿孔部(22)を、前記根鉢(1)の高さと同じ深さまで到達させる位置決め用のストッパ(23)を設けたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の根鉢の植栽方法は、前記根鉢(1)が、少なくとも、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成されることを特徴とする。
【0015】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明の根鉢によれば、逆円錐台または逆四角錐台のポットから取り出された根鉢を、開口器具によって土壌に形成した植栽穴に上から挿入して植栽するので、植栽に要する作業が極めて容易である。すなわち、この植栽穴は、開口器具で防草シートを上から突き破って形成され、かつ、その全体の形状が根鉢に対応しているので、そこに根鉢を挿入するのみで植栽作業が完了する。従って、従来技術のように、防草シートに切れ目を形成し、切れ目の部分の土壌を掘り起こし、そこに根鉢を植栽し、掘り起こした土壌を埋め戻すといった多くの工程を必要としない。また技来の工法であると植え穴掘削時の土壌のうち埋戻した土壌の残り分(植え付けた根鉢の容積分)が残土として発生するが、本発明ではこのような問題もない。従って、きわめて簡単な作業で特に費用もかかることなく植栽を行うことができる。
【0017】
なお、防草シートに切れ目を形成する必要がないのは、根鉢が従来技術のものと比較して小さいことに起因する。すなわち、根鉢を植え付けるポットは、その上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台である。これにより、根鉢もそれに対応した小型のものになり、従来技術のように、防草シートに切れ目を入れて土壌を掘り起こす必要がないからである。
【0018】
なお、ポットから取り出された根鉢は、ポットに対応した逆円錐台または逆四角錐台(すなわち底部が上部よりも幅狭)であるため、植栽穴にさらに容易に挿入することができる。
【0019】
また、防草シートに切れ目を形成しないので、その切れ目の部分から雑草が繁茂することを未然に防止することができる。
【0020】
さらに、切れ目に雑草が繁茂することを防止するために、切れ目にテープを貼るという作業も省くことができ、植栽に要する作業をさらに容易なものとすることができる。
【0021】
また、本発明の根鉢によれば、少なくとも、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成される。これらの品種は、繁殖力が強く、常緑、宿根性であるため、これらを植栽して、道路の中央分離帯、河川の法面、工場の敷地や屋上など、広い面積における緑化を容易に行うことができる。
【0022】
本発明の根鉢の植栽方法によれば、植栽に要する作業を極めて容易に行うことができる。すなわち、植栽穴を、開口器具を使って、防草シートを上から突き破って形成し、かつ、その形状を、根鉢の平面形状およびその深さに対応させているので、根鉢を植栽穴に上から挿入するのみで植栽することができる。従って、きわめて簡単な作業で植栽を行うことができる。
【0023】
また、防草シートに切れ目を形成しないので、その切れ目の部分から雑草が繁茂することを防止することができる。さらに、切れ目にテープを貼るという作業も省くことができるので、植栽に要する作業をさらに容易なものとすることができる。
【0024】
なお、防草シートに切れ目を形成する必要がないのは、前述したように、根鉢が従来技術のものと比較して小さいことに起因する。
【0025】
また、本発明の根鉢の植栽方法によれば、開口器具の本体部が根鉢の上面の平面形状に対応した平面形状を持つので、この本体部によって根鉢の大きさに対応した開口の植栽穴を容易に形成することができる。
【0026】
また、本体部より下位の穿孔部で土壌を押し広げるように開口し、防草シートの突き破られた部分を、植栽穴の内周面に沿う防草垂下部とするので、雑草の繁茂をより確実に防止することができる。すなわち、植栽穴に隣接する土壌は、その上面が防草シートで覆われるのみでなく、その側面(植栽穴の内周面に沿う面)が防草垂下部によって覆われる。従って、植栽穴に隣接する土壌からの雑草の繁茂を防ぐことができる。
【0027】
また、本発明の根鉢の植栽方法によれば、開口器具に位置決め用のストッパを設け、その下面を防草シートの上面に当接させることによって穿孔部を根鉢の高さと同じ深さまで到達させるので、植栽穴の深さを根鉢の高さに容易に対応させることができる。これによって、植栽に要する作業がさらに容易となる。
【0028】
さらに、本発明の根鉢の植栽方法によれば、根鉢を、少なくとも、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成したので、道路の中央分離帯、河川の法面、工場の敷地や屋上など、広い面積における緑化を容易に行うことができる。これらの品種は、繁殖力が強く、常緑、宿根性であるためである。
【0029】
このように、上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台または、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台のポットに植え付けられた後に植栽される小型の根鉢は、上述した特許文献にも一切記載されていない。また、開口器具を使用して、防草シートに切れ目を形成することなく、防草シートを施設した土壌に根鉢の平面形状と高さに対応した植栽穴を形成して植栽する根鉢および根鉢の植栽方法は、上述した特許文献にも一切記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る根鉢を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、開口器具を防草シートに突き刺す前の状態を示す一部断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、開口器具を防草シートに突き刺した状態を示す一部断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、開口器具によって土壌に植栽穴を形成した後の状態を示す一部断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、ポットから根鉢を取り出す状態を示す概略斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、植栽穴に根鉢を挿入する前の状態を示す一部断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法において、植栽穴に根鉢を挿入した後の状態を示す一部断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法に使用する開口器具を示す正面図である。
図9】本発明の実施形態に係る根鉢の植栽方法に使用する他の開口器具を示す正面図である。
図10】従来例に係る植栽方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る根鉢1を説明する。なお、「根鉢」とは前述したように、植物を鉢から抜いたときや、庭から掘り上げたときに現れる根(植物1a)と土1bがひと塊になった部分をいう。
【0032】
本実施形態に係る根鉢1は、ポット2にあらかじめ植え付けて育てられた後、ポット2から取り出されて、表面に防草シート11を施設した土壌10に形成される植栽穴12に植栽されるものである。なお、ポット2への植え付けは、種、根、あるいは茎を用いて行うことができる。
【0033】
根鉢1が植え付けられるポット2の形状は、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台である。従って、ポット2から取り出された根鉢1の大きさも同様に、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台である。
【0034】
なお、このポット2は、上面の直径が25~50mm,下面の直径が10~20mm,高さが30~70mmの逆円錐台形状とすることもができる。
【0035】
この根鉢1は植栽穴12に植栽されるが、この植栽穴12は開口器具20を使用して形成される。すなわち、開口器具20によって、土壌10に、根鉢1の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状で深さも根鉢1の高さに対応した深さのものを、防草シート11の上から防草シート11を突き破って形成する。そして、根鉢1は、このように形成された植栽穴12に上から挿入されて植栽される。なお、根鉢1は、底部が上部よりも幅の狭い四角錐台であるため、植栽穴12に容易に挿入することができる。
【0036】
こうした構成の本実施形態に係る根鉢1は、植栽穴12に上から挿入するのみで植栽できるので、植栽に要する作業をきわめて容易なものとすることができる。また、防草シート11に切れ目を入れないので、切れ目の部分から雑草が繁茂することを未然に防止することができる。さらに、切れ目を塞ぐためにテープを貼り付ける必要もないので、植栽に要する作業をさらに容易なものにすることができる。
【0037】
なお、防草シートに切れ目を形成する必要がないのは、本実施形態の根鉢が小型であるからである。すなわち、根鉢を植え付けるポットは、その上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの小型の逆四角錐台である。従って、根鉢もそれに対応した小型のものとなる(これまでの根鉢は、直径(あるいは対角線)が100mm前後で、高さが150mm前後)。その結果、植栽のために、従来技術のように、防草シートに切れ目を入れて土壌を掘り起こす必要がない。
【0038】
なお、本実施形態に係る根鉢1は、少なくとも、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーのうちいずれか一つの品種で構成される。これらの品種は繁殖力が強く、かつ常緑、宿根性であるため、広い面積(例えば、道路の中央分離帯、河川の法面、工場の敷地、建物の屋上など)をきわめて容易な作業で緑化することができる。
【0039】
次に、図2乃至図6を参照して、本実施形態に係る根鉢の植栽方法について説明する。なお、この根鉢の植栽方法では、上面の対角線が25~50mm,下面の対角線が10~20mm,高さが30~70mmの逆四角錐台形状のポット2にあらかじめ植え付けて育てた根鉢1を使用する。
【0040】
まず、図2乃至図4に示すように、防草シート11を施設した土壌10に開口器具20を使用して植栽穴12を形成する。具体的には、開口器具20を、土壌10の上面に施設した防草シート11の上から突き刺して防草シート11を突き破り、開口器具20で土壌10を押し広げるように開口して植栽穴12を形成する。
これにより、開口器具20を突き刺すのみで、開口器具20の形状に対応した植栽穴12を容易に形成することができる。
【0041】
なお、この開口器具20は、その本体部21が根鉢1の上面の平面形状に対応した同じ大きさの平面形状を持ち、本体部21より下位の先端部に鋭利な穿孔部22を有する。これにより、穿孔部22で土壌10を押し広げて、根鉢1の大きさに対応した植栽穴12を容易に形成することができる。従って、土壌10を手作業で掘り起こす必要がない。
【0042】
また、開口器具20を突き刺すことによって、防草シート11の突き破られた部分を、防草シート11の隣接する部分から連続して垂直方向に下方に折り曲げることができる。そして、図3および図4に示すように、この防草シート11の折曲げた部分によって、植栽穴12の内周面に沿う防草垂下部11aを形成することができる。こうして形成された防草垂下部11aは、植栽穴12に挿入された根鉢1とその周囲の土壌10との間に存在することになる。従って、雑草が周囲の土壌10から繁茂するのを、より確実に防ぐことができる。
【0043】
次に、図5乃至図7に示すように、ボットに植え付けた根鉢1を、その上端部を掴んでポット2から抜くようにして取り出し、そのままの状態で、植栽穴12に上から挿入して植栽する。根鉢1の形状は、開口器具20によって形成された植栽穴12の形状に対応するので、根鉢1を植栽穴12に容易に挿入することができ、かつ、両者の間に不要な隙間を形成させない。仮に、不要な隙間が形成されると、その部分を埋めるための作業を要するが、本実施形態ではそうした作業が不要であるため、植栽に要する作業がさらに容易となる。
【0044】
なお、ここで使用する開口器具20は、図2乃至図4に示したように、位置決め用のストッパ23を備える。ストッパ23は、開口器具20の本体部21に、本体部21よりも幅広に形成され、下面が防草シート11の上面に当接することにより、穿孔部22を根鉢1の高さと同じ深さまで到達させる。従って、開口器具20をストッパ23の下面が防草シート11に当接するまで土壌10に突き刺すことによって、根鉢1の高さに対応した深さの植栽穴12を容易に形成することができる。これによっても、植栽に必要な作業を容易に行うことができる。
【0045】
本実施形態に係る根鉢の植栽方法で使用する開口器具20の具体例を、図8及び図9に示す。これらの開口器具20は、共に、本体部21、穿孔部22、ストッパ23の他に、手で操作するためのハンドル24を備える。このハンドル24に下方向への力を加えることによって植栽穴12を形成することができる。なお、図9に示す開口器具20は、本体部21の中間部分に足掛け部25を形成している。この足掛け部25に足の力を加えることによって、植栽穴12をさらに容易に形成することができる。土壌10が硬い場合に有効である。
【0046】
本実施形態に係る植栽方法で使用する根鉢1は特に限定されないが、例えば、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビーなどが好適である。これらは繁殖力が強く、かつ常緑、宿根性であるため、年間を通じて緑化を施したい場所に使用すると効果的である。
【0047】
本実施形態に係る根鉢およびその植栽方法は、道路の中央分離帯、河川の法面、工場の敷地、建物の屋上などの広い面積での使用の他に、一般家庭などの比較的狭い面積での使用にも適する。また、根鉢としては、ガザニア,タイム,ローズマリー,ヒメツルソバ,キャットミント,ベビーサンローズ,及びアイビー以外の植物も使用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 根鉢
1a 植物
1b 土
2 ポット
10 土壌
11 防草シート
11a 防草垂下部
12 植栽穴
20 開口器具
21 本体部
22 穿孔部
23 ストッパ
24 ハンドル
25 足掛け部
30 根鉢
31 防草シート
32 切れ目
33 テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10