(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036787
(43)【公開日】2024-03-18
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20240311BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D33/00 C BRP
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141255
(22)【出願日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】521206475
【氏名又は名称】VPAK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 快星
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA09
3E064BA22
3E064EA12
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP03
3E067AA03
3E067AA05
3E067AB14
3E067AB23
3E067AB28
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB05
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】開けやすく内容物を取り出しやすいうえに、きれいな切り口が得られ、開封時のゴミの発生を防止できるようにする。
【解決手段】内容物が収納される空間を構成し相対向する表面側シート部12aと裏面側シート部12bを有した包装体11において、表面側シート部12aと裏面側シート部12bとの間の上端部に開封シート14を設ける。開封シート14には、2つに折り曲げられることによって裂ける線状の折り線41を形成する。開封シート14における折り曲げ時に折り線41を山折り線とする面を外側面14aとし、他方の面を内側面14bとして、外側面の折り線41を挟む両側部を表面側シート部12aの内面に接合する。内側面の折り線41を挟む両側部のうちの上側部43を裏面側シート部12bの内面に接合する。表面側シート部12aにおける開封シート14が接合される部分には、開封シート14の折り曲げで開く分離線部15を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収納される空間を構成し相対向するシート部を有した包装体であって、
前記シート部間に開封シートが設けられ、
前記開封シートには、2つに折り曲げられることによって裂ける線状の折り線が形成され、
前記開封シートにおける折り曲げ時に前記折り線を山折り線とする一方の面を外側面とし、他方の面を内側面として、
前記外側面の前記折り線を挟む両側部を一方の前記シート部の内面に接合し、
前記内側面の前記折り線を挟む両側部のうちの片側部を他方の前記シート部の内面に接合して、
一方の前記シート部における前記開封シートが接合される部分には、前記開封シートが折り曲げられたときに開く分離線部が形成された
包装体。
【請求項2】
前記分離線部が前記開封シートにおける前記折り線と一致する位置に形成された
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記分離線部が前記開封シートにおける前記折り線と一致する位置を越えた位置に形成され、一方の前記シート部にフラップ部が設けられた
請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記開封シートにおける前記折り線を有する部分にガスバリア性を有する封止材が備えられた
請求項2または請求項3に記載の包装体。
【請求項5】
前記開封シートに前記折り線と交差する折り曲げ線が形成された
請求項2または請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装袋や可撓性包装容器のような包装体、より詳しくはその開封部分の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装袋を例にあげると、包装袋は開封部分に、切離しの端緒となるノッチ(切込み)や、切除を容易にする脆弱部分を有している。開封は端の部分を手で引っ張って行うので、切離し部分がきれいな直線状になるとはかぎらない。引っ張り方によっては切離し位置が迷走したり、切り離された部分が引き伸ばされたりして、包装体の開口部が見苦しくなることがある。開封後すぐに内容物が使い切られる包装体の場合にはそれでもかまわないが、そうでない包装体の場合には美しいとはいえない外観の切り口が残ることになり、包装体の体裁がよくない。
【0003】
一方、端部の切離しによってきれいな切り口が得られたときには、包装体の開口部は離されるべき部分がそろって密着していることになるので、開口部を構成する材料が柔らかく薄い場合には開口しにくい。
【0004】
下記特許文献1に開示された袋体は、袋本体の上端部近傍における表裏両側の分離線で切り離すと、表裏で異なる高さの段差部が表れるように構成されたものである。分離線は袋本体の肉厚を薄くした薄肉部の溝からなる弱化線で構成されている。この袋体ではいったん開封したあとは、開口部分に段差部が現れているので、開口しやすい。
【0005】
しかし、分離線が薄肉部であるので、切れやすい部分に幅がある。このため分離線に沿ったきれいな切離しができるとはかぎらない。そのうえ、切り離された小さい切れ端はゴミとなるので、適切に処理されなければ環境問題の原因になる。
【0006】
また、開封を行いやすくする包装袋(密封バッグ)としては、下記特許文献2に開示されたものもある。この包装袋は、バッグの口縁の内側又は外側に備えられた一対の可撓性シートを有しており、親指と人差し指で可撓性シートの両端を互いに接近する方向に挟み付けると、可撓性シートが外側に屈曲して互いに分離するように構成されている。
【0007】
このような構成の包装袋は、開封に際して分離してゴミとなるものを有しない点でよい。しかし、開封に際して親指と人差し指で挟まなければならないので、特許文献2の構成は、親指と人差し指では挟めない大きさの包装袋には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5182885号公報
【特許文献2】特表2012-529406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、きれいな切り口が得られるうえに開けやすく取り出しやすくするとともに、開封時のゴミの発生を防止できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、内容物が収納される空間を構成し相対向するシート部を有した包装体であって、前記シート部間に開封シートが設けられ、前記開封シートには、2つに折り曲げられることによって裂ける線状の折り線が形成され、前記開封シートにおける折り曲げ時に前記折り線を山折り線とする一方の面を外側面とし、他方の面を内側面として、前記外側面の前記折り線を挟む両側部を一方の前記シート部の内面に接合し、前記内側面の前記折り線を挟む両側部のうちの片側部を他方の前記シート部の内面に接合して、一方の前記シート部における前記開封シートが接合される部分には、前記開封シートが折り曲げられたときに開く分離線部が形成された包装体である。
【0011】
この構成では、シート部の上から操作して開封シートを2つ折りすると、開封シートは裂けて折り線が開く。折り線が開く時に一方のシート部の分離線部も開いて開封がなされる。
【0012】
開封シートにおける開いた折り線を挟む両側部は互いに分離された状態又は分離に近い状態になるが、開封シートの外側面は双方のシート部と一体であり、開封シートの内側面は他方のシート部と一体であって、シート部の開口縁を補強する。折り曲げによって裂かれる開封シートは予定された折り線に沿って開くので、包装袋を構成するフィルム等を薄肉部で切り離す場合とは異なり、所望形状の開口となる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、2つ折りされて折り線が開く開封シートを備えており、折り曲げによって開封がなされる構成であるので、開けやすい。しかも、開封シートは折り線に沿って開くので、開封後にあらわれる部分を見苦しくない状態にすることができる。さらには、開封シートは折り曲げによって折り線が開いたあとも折り線を挟む両側部をシート部に残す構成であるので、シート部の開口縁の形状が補強される結果、内容物を取り出しやすくすることができる。また、包装体は開封しても切り離されてゴミになる部分がないので、環境問題の点でも貢献し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図7】包装体から内容物を排出する場合の一例を示す断面図。
【
図11】
図10(a)に示した開封シートを備えた包装体の開口状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
包装体は、袋や容器の形態になる包装材料に内容物が収納されて構成される。袋や容器の包装形態にはさまざまなものあり、袋であれば、例えば合掌袋、合掌サイドガゼット、横ピロー、縦ピロー、三方シール、四方シール、スティック、テトラ、スタンドパウチ、四方柱シールなどがある。また、これらのチャック付きのものやスパウト付きのものもある。
【0017】
図1には一例として合掌袋タイプの包装体11をあらわした。包装体11は内容物が収納される空間を構成し相対向するシート部12a,12bを有している。言い換えれば、シート部12a,12bは内容物を排出する口となる部分でもある。包装体11が合掌タイプであるので、相対向するシート部12a,12bは同一のシート材12(包装材料)からなる表面側シート部12aと裏面側シート部12bである。裏面側シート部12bはその左右方向中間部にシート材12の端同士を接合するシール部12cを有している。包装体11の上端と下端はそれぞれ上端シール部12dと下端シール部12eで封鎖されている。
【0018】
包装体11の開封において開かれる部分には、開封のための開封構造13が設けられている。
図1に例示の包装体11は、上端シール部12dを切り離して開封するのと同じように開封できるように、上端シール部12dの隣接位置に開封構造13を有している。
【0019】
図2には包装体11を開封して口を開いた斜視図を示し、
図3には開封構造13の断面図を示している。
【0020】
これらの図に示すように開封構造13は、開封シート14を表面側シート部12aと裏面側シート部12bの間に備えて構成される。
【0021】
開封シート14は、シート部12a,12bを構成する包材としてのシート材12よりも硬質の合成樹脂や紙などから構成されている。硬さは2つ折りして鋭角的に曲げることを可能とするものであり、このような硬い性質のほか、力を加えるとたわむ可撓性も有する材料であるのが好ましい。開封シート14には、2つに折り曲げられることによって裂ける線状の折り線41が形成されている。
【0022】
具体的には開封シート14は、
図4に示したように、上端シール部12dと同様に包装体11の幅方向全体に延びる平らな長方形板状、換言すれば帯状又は短冊状である。
図4の(a)は開封シート14を一方の面から見た斜視図であり、(b)は他方の面から見た斜視図である。開封シート14の短手方向(幅方向)の長さは、折り線41において開くための2つ折りが行えるように、変形の態様・折り線41の構造にあわせて形成されている。
【0023】
折り線41は、幅方向の中間位置において長手方向に沿って一直線に形成されている。その構成は、厚み方向に貫通するスリット(切込み)である。折り線41は開封シート14の長手方向の端から端まで形成されてもよいが、図示例では、開封シート14の長さよりも若干短くして、開封シート14の両端に折り線41のない部分を有している。この折り線41は、平板状の開封シート14をその短手方向の中間部で折り曲げることで開く構造である。このため、開封シート14の幅方向の長さは、手で折り曲げられるように設定される。
【0024】
開封シート14における折り線41を有する部分にはガスバリア性を有する封止材42が備えられている。封止材42は密閉性を得るためのものであるが、開封シート14の折り曲げによって破断することが必要である。このため、たとえばアルミ箔などのような金属箔で構成されるとよい。アルミニウム箔を用いる場合、その厚みが20μmほどのものを使用できる。封止材42は、開封シート14の片面に対して、その幅方向中間部の長手方向全体にホットメルト接着剤を介在させた熱圧着で貼り付けられる。
【0025】
ここで、
図4に例示の開封シート14は、開封のための2つ折りに際して、封止材42が貼り付けられた面が外側面となるように折られる。言い換えれば、封止材42を有する面が折り曲げ時に折り線41を山折り線とする面である。この説明においては、封止材42を有する面を「外側面14a」とし、これとは反対側の面、つまり折り曲げ時に折り線41を谷折り線とする面を「内側面14b」とする。
【0026】
このような開封シート14は、上端シール部12dのすぐ下の位置に、表面側シート部12aと裏面側シート部12bに接合された態様で備えられる。シート部12a,12bに対する接合は、開封シート14における外側面14aの折り線41を挟む両側部を一方のシート部の内面に対しておこない、内側面14bの折り線41を挟む両側部のうちの片側部を他方のシート部の内面に対して行う。そして、開封シート14が2つ折りされて折り線41が開いたときにシート部にも口が開くように、一方のシート部12aにおける開封シート14が接合される部分に分離線部15が形成されている。
【0027】
具体的には、包装体11は
図1に示したように表面側シート部12aに口が開く構造である。このため、断面図である
図3、
図5の(a)に示したように、開封シート14の外側面14aにおける折り線41を挟む両側部を表面側シート部12aの内面に溶着又は接着する。また、内側面14bにおける折り線41を挟む両側部(上側部43と下側部44)のうちの片側部、つまりこの例では上側部43を裏面側シート部12bの内面に対して溶着又は接着する。開封シート14の外側面14aにおける封止材42と表面側シート部12aとの間は密着である。図面において開封シート14とシート部12a,12bが接合した接合部16は太線で表している。
【0028】
表面側シート部12aと裏面側シート部12bの間に開封シート14を備える開封構造13であるが、
図3に仮想線に描いたように、開封シート14の外側面14aと内側面14bの双方が全体的に接合しているのではない。開封シート14の外側面14aは封止材42のある部分を除いて全体が接合されているのに対して、内側面14bは上端シール部12d側に位置している上側部43のみが接合されており、下側部44は接合していない。
【0029】
表面側シート部12aに形成される分離線部15は、厚み方向に貫通するスリットで構成され、開封シート14における折り線41に対応する位置に、折り線41と同じ一直線に形成されている。
【0030】
内容物は、充填包装機を用いて製袋しながら、または予め製袋したものに収納するほか、充填包装機を用いずに収納することもできる。
【0031】
開封構造13は、開封シート14がシート部12a,12bの内面同士を接合して構成されるが、開封構造13の形成位置が上端シール部12dに隣接した位置であるので、内容物の収納に支障をきたすことはない。
【0032】
このように構成された包装体11は、次のようにして開封される。
【0033】
図5の(b)に示したように、開封構造13の上側半分の部分を裏面側に向けて折り返して、2つ折り状態にする。これによって開封シート14の折り線41が背割れして封止材42が破断し、折り線41がその長手方向に沿って開く。同時に、表面側シート部12aの分離線部15が開いて、包装体11の上端シール部12dの下が幅方向の略全体にわたって開口する。その開口は、
図5の(c)に示したように、開封シート14の上側部43と下側部44の曲がりと離れ具合に応じて所望の大きさとなる。
【0034】
内容物が加熱してから食するものである場合には、この状態で加熱するとよい。
【0035】
このような開封動作における開封シート14の形態の変化を示したのが
図6である。
図6の(a)は開封前の状態、(b)は2つ折りした状態である。折り線41が開いたあとは、
図6の(c)に示したように、開封シート14の長手方向の両端を互いに近接する方向に押して挟むようにすれば、口が前後に開く。
【0036】
この開口状態において、開口部分には
図5の(c)に示したように、表面側シート部12aには開封シート14の下側部44が、裏面側シート部12bには上側部43が存在する。このため、表面側シート部12aと裏面側シート部12bの開口縁部の形状が補強される。
【0037】
内容物の排出は内容物の種類に応じて適宜になされる。内容物が個包装された菓子などのような固形物であれば必要なものが適宜取り出され、挽かれた珈琲粉のような粉体であれば必要量が適宜すくい出され、錠剤や植物の種子のような粒体であれば開口を下に傾けて必要量が取り出される。内容物がジャムやマーガリン、しょう油、レトルトカレー、ペット餌のような液体や粘性体である場合も、
図7に示したように傾けて排出される。開口部分には硬質の開封シート14が存在するので、開口縁に硬さが得られる。このため、排出量の微調整が容易である。また開封構造13は上端シール部12dの下に形成されているので、上端シール部12d側の部分を折り返して開口状態にしたときに上端シール部12dを指先で保持すれば、開口状態を維持しやすい。
【0038】
内容物を残した状態で保管等する場合には、開封に際して折り返した上端部分を
図8に示したように戻すと、仮想線で示したように口を閉じることができる。必要であれば、上端シール部12dと開封シート14の上側部43を芯にしてシート材12の上端側部分を巻いて開口を閉じてもよい。
【0039】
開封されたときに現れる切り口は、開封シート14の折り線41と表面側シート部12aの分離線部15であって、いずれも予め貫通形成されたものであるので、予定外の外観になることはなく、見た目に整った状態にすることができる。このため、内容物を出し切らない場合、使い切らない場合には、そのままでも包装体11の見栄えは悪くない。切り口が乱雑で見苦しい場合には、内容物が良いものであっても、その価値を低下させてしまうことがあったが、そのような不都合をなくすことができる。鋏等の道具を使わずともきれいな開口が得られるという利点もある。
【0040】
しかも、開封操作は開封シート14を折り曲げるだけであるので、端を引っ張って切り離す場合や引き裂く場合に比べて、必要とする力が小さくてもよく、開けやすい。指先がすべりやすくなっているときでも開けられる。開封後に口を開くには、操作する部分に硬質の開封シート14が存在するので、
図6の(c)に示したように、開封シート14の長手方向の両端部を挟んで互いに接近させる方向に変形させることで容易に行える。開封シート14の折り線41と表面側シート部12aの分離線部15の形成位置が一致しているので、挟み付けるような変形操作でたやすく開けられる。開封構造13の大きさが手で挟み付けるには不利な場合でも、開封シート14が剛性を有しているので、切り口が切りそろえられた柔軟なフィルムからなる場合とは異なり、所望通りの操作が可能であって開口しやすい。
【0041】
さらには、開封後において上端シール部12dと開封シート14は包装体11にとどまっており、切り離されることはないので、それらが扱いにくいゴミとなることを防止できる。
【0042】
以下、その他の例について説明する。この説明において前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0043】
図9は開封シート14の断面構造を示す。すなわち、封止材42は、(a)のように開封シート14の片面に乗った状態であってもよい。(b)のように押し出しラミネートによって開封シート14の厚み内に存在するものであってもよい。(c)のように開封シート14の少なくとも片面における全面に備えることもできる。いずれの場合も、開封のための2つ折りに際して折り線41を山折り線とする面が外側面14aであり、谷折り線とする面が内側面14bである。
図9の(b)の例では両面がそれぞれ外側面14aにも内側面14bにもなり得る。
【0044】
折り線41については、前述例では厚み方向に貫通したスリットで構成したが、変形時に裂けて貫通すればよく、必ずしもあらかじめ貫通している必要はない。また、スリットではなくミシン目や薄肉部(溝)等で構成することもできる。このことはシート材12に形成される分離線部15についても同様であって、分離線部15はスリット以外で構成してもよい。
【0045】
図10は開封シート14を裏面側から見た斜視図である。この開封シート14は折り線41と交差する折り曲げ線45を有している。具体的には長方形板状であり幅方向の中間に長手方向に延びる折り線41を有した開封シート14において、
図10(a)に示した開封シート14は、長手方向の中間部に開封シート14の幅方向(短手方向)の全体に一直線にのびる折り曲げ線45を有している。図示例では折り曲げ線45は、きれいに折り曲げられるようにするためのいわゆる曲げ罫線で構成したが、曲げやすくする構成であれば足り、ミシン目や適宜の切り込みで構成することもできる。
【0046】
このような開封シート14を備えた包装体11では、前述と同様の開封動作を行い、開封シート14を2つ折りして開口し、続いて両端部を互いに近づける方向に変形させる。すると、折り曲げ線45を有する部分がすぐに折れ曲がって口が前後に開く。開口は
図11に示したように平面視略ひし形となり、前後方向に大きく開く。このため内容物が傾けて排出するものである場合に必要な量を取り出すのが容易である。また、傾けることで内容物を排出する場合には、内容物が通る部分が鋭角となるので、他の容器等に移す場合に内容物をこぼさずに適切に排出できる。
【0047】
なお、折り曲げ線45は開封シート14の長手方向中間の左右均等位置に形成するほか、左右不均等な位置に形成してもよい。
図10の(b)に示したように、折り線41を挟む両側部(上側部43,下側部44)で形成位置をずらすと、2つ折りした開封シート14の両端部に挟み付けるような負荷をかけたときに荷重のかかり方が不均等になって、折り線41が開きやすくなる。折り曲げ線45は折り線41に沿った方向に複数本並べてもよい。
【0048】
図12は包装体11における開封構造13の断面図である。すなわち、包装体11は上端シール部12dに開封シート14を備えている。開封シート14における折り線41よりも上側の上側部43が上端シール部12dに組み込まれた形態であり、接合の態様は前述の包装体11と同じである。
【0049】
このような開封構造13を有する包装体11では、内容物が収納され得る空間を広くとることができる。
【0050】
図13は包装体11の正面図であり、この包装体11は開封構造13を収納空間の隅部分に有している。具体的には、開封構造13は、上端シール部12dの下方の隣接位置であって、上端シール部12dの長手方向における一方の端部に対応する位置に形成されている。
【0051】
開封構造13を構成する開封シート14は正方形板状であり、折り線41がその対角線上に形成されている。開封シート14の一片の長さは上端シール部12dの長さよりも短い。開封シート14は、折り線41がない2つの角部のうち一方を収納空間の角に合わせて、折り線41が上端シール部12dに対して傾くように固定される。折り線41の傾きは図示例のように、折り線41より上側に位置する三角形の上側部43を隅に位置させる傾きである。開封シート14の表面側シート部12aと裏面側シート部12bへの接合態様は前述と同じであり、上側部43が表面側シート部12aと裏面側シート部12bの双方に接合されている。
【0052】
このような構成の包装体11は、内容物としてたとえばキャンディーや錠剤などのように収納空間に手を入れずに取り出すような固形物であって、包装体11に対して比較的小さい大きさのものを収納するのに適している。
【0053】
図14は開封構造13の断面図であり、
図15は開封構造13の端部を破断した包装体11の正面図である。この包装体11の開封構造13は、表面側シート部12aの分離線部15を開封シート14における折り線41と一致する位置を越えた位置に形成して、表面側シート部12aにフラップ部17を設けている。具体的には開封シート14は、
図4に示したものと同じであり、長方形板状に形成されて幅方向の中間に長手方向に沿って延びる折り線41が形成されている。前述の例では表面側シート部12aに形成する分離線部15を織り線41に対応する位置にそれと同じ形態で形成したが、
図14、
図15の例では、分離線部15が折り線41よりも下側の下側部44に対応する位置に直線状に形成されている。表面側シート部12aにおける分離線部15と折り線41に対応する位置との間がフラップ部17である。分離線部15の長手方向の端、すなわちフラップ部17の端には、上下方向またはそれに準じた方向に延びる切り込み部17aが形成されている。
【0054】
このフラップ部17は、先端が下を向くように形成されており、開封シート14の上側部43と一体である。
【0055】
開封シート14の表面側シート部12aと裏面側シート部12bへの接合態様は、
図14、
図16の(a)に示したように前述と同じである。前述例において密着した状態である開封シート14の封止材42と表面側シート部12aとの間には、粘着剤を備えてもよい。すなわち接合に際して開封シート14側に粘着剤を塗工したうえで、開封シート14の接合を行う。粘着剤に代えて、極小吸盤を有する吸盤層を形成することもできる。
【0056】
このようにフラップ部17を有する開封構造13を備えた包装体11は、開封すると
図16の(b)に示したようにフラップ部17が密着している開封シート14の下側部44から剥がれて起立するような態様になる。そして内容物を一部取り出したあと元に戻して口を閉鎖すると、
図16の(c)に仮想線で示したようにフラップ部17が開封シート14の表面に接合して、収納空間を外界から遮断することになる。このため、内容物の乾燥など変質を抑制したり不測の開口を抑制したりすることができる。
【0057】
粘着剤はいったん剥がしても再度貼り付けられる再粘着性を有するものであるとよい。
【0058】
図示は省略するが、フラップ部17は先端が上を向くように開封シート14の下側部44と一体に形成することもできる。
【0059】
図17は折り線41の形態を示す開封シート14の一部破断正面図である。先の例において折り線41は一直線状に形成したが、曲線にしてもよい。
図17の(a)は円弧状に形成した例であり、(b)は2山又は3山有する波形に形成した例である。
【0060】
いずれの場合も、折り線41が直線である場合に比べて、折り曲げに必要な負荷を大きくすることができ、輸送中などにおける折り線41の不測の裂けを抑制できる。また(b)のように折り線41を波形に形成した場合には、開封のための折り曲げ時に指先が当たる部分を、開封シート14の幅を大きくせずとも比較的広くすることができる。このため、開封シート14の大きさが片手で挟んで開封シート14の両端部を互いに近づく方向に変形させることができない包装体11であるときでも、折り曲げて開封した後の口を前後に開く操作が容易である。
【0061】
封止材42は、
図17では折り線41の曲がりに関係なく帯状に形成した例を示したが、折り線41に沿った形状であってもよい。
【0062】
図18、
図19は包装体11の正面図である。
図18の(a)は三方シールタイプの包装体11、
図18の(b)は四方シールタイプの包装体11を示している。図中、12fはシール部である。
【0063】
図19はスパウト付きパウチと同じように利用される包装体11を示している。すなわち、スパウトに代えて上端部に開封構造13が形成されている。このため、射出成形品であるスパウトが不要となり、プラスチックの使用量の削減と廃棄後の低減に貢献できる。
【0064】
これらのほか前述したように多様なタイプの包装体11に開封構造13を備えることができる。
【0065】
図示を省略するが、裏面側シート部12bに分離線部15を形成する態様にしてもよい。このような構成では、開封後も正面には切り口が現れないようにすることができる。
【0066】
また、開封構造13は上端部のほか、下端部であっても、中間部であっても、包装体11の形態に応じて、また内容物に応じて適宜の部位に備えることができる。
【符号の説明】
【0067】
11…包装体
12a…表面側シート部
12b…裏面側シート部
13…開封構造
14…開封シート
14a…外側面
14b…内側面
15…分離線部
16…接合部
17…フラップ部
41…折り線
42…封止材
43…上側部
44…下側部
45…折り曲げ線